Material having a crosslinked polyrotaxane, as well as methods for their preparation

申请号 JP2004249828 申请日 2004-08-30 公开(公告)号 JP5326099B2 公开(公告)日 2013-10-30
申请人 国立大学法人 東京大学; 发明人 耕三 伊藤; 潤 荒木;
摘要 A material having crosslinked polyrotaxane which has further improved swelling properties, especially one having a crosslinked polyrotaxane which changes in swelling property with change in pH; and a material having a crosslinked polyrotaxane which is responsive especially at a high speed to a change of the surrounding electric field. The materials have a crosslinked polyrotaxane comprising at least two polyrotaxane molecules which each comprises cyclic molecules, a linear molecule which includes the cyclic molecules in cavities of cyclic molecules in a skewered manner, and capping groups, each of which locates at each end of the linear molecule in order to prevent the dissociation of the cyclic molecules, the least two polyrotaxane molecules having been bound to each other through a chemical bonding between the cyclic molecules thereof, wherein the cyclic molecules have hydroxy groups (-OHs) and part of the hydroxy groups are substituted with a group having an ionic group.
权利要求
  • 環状分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接され且つ該環状分子が脱離しないように前記直鎖状分子の両末端に封鎖基が配置されるポリロタキサンを少なくとも2分子有し、該少なくとも2分子のポリロタキサンの環状分子同士が化学結合を介して結合してなる架橋ポリロタキサンを有する材料であって、
    前記環状分子は水酸基(−OH)を有し、該水酸基の一部が−COOX基(Xは、水素(H)、アルカリ金属その他1価の金属を示す)、−SO X基(Xは前述と同じ定義である)、−NH 基、−NH X'基(X'は1価のハロゲンイオンを表す)、−PO 基、及び−HPO 基からなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン性基を有する基で置換さ れ、
    架橋剤により前記化学結合がなされており、
    該架橋剤が、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1'-カルボニルジイミダゾール、及びアルコキシシラン類からなる群から選ばれる 、上記材料。
  • 前記イオン性基を有する基は、全環状分子の全水酸基のうちの10〜90%が置換される請求項1記載の材料。
  • 前記材料は、前記架橋ポリロタキサンの絶対乾燥状態1gあたり溶媒を1000g以上吸収する請求項1又は2記載の材料。
  • 前記架橋ポリロタキサンが水を含む溶媒を吸収し、該溶媒のpH及び/又はイオン強度の変化に伴い、前記架橋ポリロタキサンの体積が変化する請求項1〜3のいずれか1項記載の材料。
  • 前記架橋ポリロタキサンが水を含む溶媒を吸収し、前記溶媒を吸収した架橋ポリロタキサンは、電場によりその形状及び/又は体積が変化する請求項1〜4のいずれか1項記載の材料。
  • 前記環状分子がシクロデキストリン分子である請求項1〜5のいずれか1項記載の材料。
  • 前記環状分子がシクロデキストリン分子であり、且つ該シクロデキストリン分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる請求項1〜5のいずれか1項記載の材料。
  • 前記直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる請求項1〜7のいずれか1項記載の材料。
  • 前記封鎖基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、置換ベンゼン類、置換されていてもよい多核芳香族類、及びステロイド類からなる群から選ばれる請求項1〜8のいずれか1項記載の材料。
  • 前記環状分子がα−シクロデキストリンであり、前記直鎖状分子がポリエチレングリコールである請求項1〜9のいずれか1項記載の材料。
  • 前記シクロデキストリン分子が直鎖状分子により串刺し状に包接される際にシクロデキストリン分子が最大限に包接される量を1とした場合、前記シクロデキストリン分子が0.001〜0.6の量で直鎖状分子に串刺し状に包接される請求項1〜10のいずれか1項記載の材料。
  • 前記少なくとも2分子のポリロタキサンは、各ポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子の少なくとも1つのOH基が架橋に関与する請求項1〜 11のいずれか1項記載の材料。
  • 架橋ポリロタキサンを有する材料の調製方法であって、
    1)シクロデキストリン分子と直鎖状分子とを混合してシクロデキストリン分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接する擬ポリロタキサンを調製する擬ポリロタキサン調製工程;
    2)前記シクロデキストリン分子が串刺し状態から脱離しないように、擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基で封鎖してポリロタキサンを調製するポリロタキサン調製工程;及び3)少なくとも2分子のポリロタキサンの各々のシクロデキストリン分子同士を 、架橋剤による化学結合を介して結合して該少なくとも2分子のポリロタキサンを架橋する架橋工程 であって該架橋剤が塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1'-カルボニルジイミダゾール、及びアルコキシシラン類からなる群から選ばれる架橋工程
    を有し、且つシクロデキストリン分子のOH基の一部をイオン性基を有する基に置換する置換工程を、A)前記1)擬ポリロタキサン調製工程前;B)前記1)擬ポリロタキサン調製工程後であって前記2)ポリロタキサン調製工程前、;C)前記2)ポリロタキサン調製工程後であって前記3)架橋工程前;及び/又はD)前記3)架橋工程後、に設けることを特徴とする架橋ポリロタキサンを有する材料の調製方法。
  • 前記置換工程を、前記2)ポリロタキサン調製工程後であって前記3)架橋工程前に設ける請求項 13記載の方法。
  • 前記イオン性基が、−COOX基(Xは、水素(H)、アルカリ金属その他1価の金属を示す)、−SO X基(Xは前述と同じ定義である)、−NH 基、−NH X'基(X'は1価のハロゲンイオンを表す)、−PO 基、及び−HPO 基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項 13又は 14記載の方法。
  • 说明书全文

    本発明は、ポリロタキサン同士を架橋させた架橋ポリロタキサンを有する材料、及びその製造方法に関する。 特に、本発明は、ポリロタキサンに含まれる環状分子が有するOH基を、イオン性基を有する基に置換した架橋ポリロタキサンを有する材料、及びその製造方法に関する。

    ポリロタキサンは、環状分子(回転子:rotator)の開口部が直鎖状分子(軸:axis)によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)に、環状分子が遊離しないように封鎖基を配置して成る。 例えば、環状分子としてα−シクロデキストリン(以降、シクロデキストリンを単に「CD」と略記する場合がある)、直鎖状分子としてポリエチレングリコール(以降、「PEG」と略記する場合がある)を用いたポリロタキサン(例えば特許文献1を参照のこと)は、種々の特性を有することから、その研究が近年、盛んに行われている。

    また、特許文献2は、いわゆるスリッピングゲル又はスライディングゲルとしての特性又は粘弾性材料としての特性を有する架橋ポリロタキサンを有する化合物を開示している。 特に、特許文献2は、環状分子であるα−CD分子に直鎖状分子であるPEGが包接されてなるポリロタキサン同士を化学結合を介して架橋(結合)させた架橋ポリロタキサンを具体的に開示している。

    ここで、架橋ポリロタキサンを有する材料は、より向上した膨潤性が求められる。 例えば、架橋ポリロタキサンが存在する環境の変化、特に環境のpH及び/又はイオン強度の変化に伴い、架橋ポリロタキサンの膨潤性が大きく変化する材料が求められている。 また、架橋ポリロタキサンが存在する環境の電場が変化した場合、その電場に対して応答性を有する、特に高速応答性を有する材料が求められている。

    特許第2810264号公報。

    特許第3475252号公報。

    そこで、本発明の目的は、上記問題を解決することにある。
    具体的には、本発明の目的は、より向上した膨潤性を有する架橋ポリロタキサンを有する材料を提供することにある。 特に、pH及び/又はイオン強度の変化に伴い膨潤性が変化する架橋ポリロタキサンを有する材料を提供することにある。
    また、本発明の目的は、上記目的の別に、又は上記目的に加えて、環境の電場が変化した場合に該電場に対して応答性、特に高速応答性を有する架橋ポリロタキサンを有する材料を提供することにある。

    本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ポリロタキサンを構成する環状分子の酸基の少なくとも一部を、イオン性基を有する基に置換することにより、架橋ポリロタキサンの特性、特に膨潤性、即ち溶媒吸収特性、pH及び/又はイオン強度による膨潤性(体積)の変化、電場雰囲気における挙動の変化など、を制御できることを見出した。

    より具体的には、本発明者らは、以下の発明により、上記課題を解決できることを見出した。
    <1> 環状分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接され且つ該環状分子が脱離しないように前記直鎖状分子の両末端に封鎖基が配置されるポリロタキサンを少なくとも2分子有し、該少なくとも2分子のポリロタキサンの環状分子同士が化学結合を介して結合してなる架橋ポリロタキサンを有する材料であって、前記環状分子は水酸基(−OH)を有し該水酸基の一部が−COOX基(Xは、水素(H)、アルカリ金属その他1価の金属を示す)、−SO X基(Xは前述と同じ定義である)、−NH 基、−NH X'基(X'は1価のハロゲンイオンを表す)、−PO 基、及び−HPO 基からなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン性基を有する基で置換される、上記材料。

    <2> 上記<1>において、イオン性基を有する基は、全環状分子の全水酸基のうちの10〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%が置換されるのがよい。
    <3> 上記<1>又は<2>において、材料は、架橋ポリロタキサンの絶対乾燥状態1gあたり溶媒を1000g以上、好ましくは2000g以上、より好ましくは4000g以上吸収するのがよい。

    <4> 上記<1>〜<3>のいずれかにおいて、材料が水を含む溶媒を吸収し、該溶媒のpH及び/又はイオン強度の変化に伴い、材料の体積が変化するのがよく、例えば材料は、pH2で架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を5g以上、好ましく10g以上、より好ましくは50g以上吸収する一方、pH10で架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を500g以上、好ましく1000g以上、より好ましくは2000g以上吸収するのがよい。 また、イオン強度10 −1 mol/Lで架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を5g以上、好ましく10g以上、より好ましくは50g以上吸収する一方、イオン強度10 −3 mol/Lで架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を200g以上、好ましく500g以上、より好ましくは1000g以上吸収するのがよい。
    <5> 上記<1>〜<4>のいずれかにおいて、材料が水を含む溶媒を吸収し、溶媒を吸収した材料は、電場によりその形状及び/又は体積が変化するのがよい。 具体的には、イオン性基がカチオン性であれば、電場によりカチオン性を有する環状分子が負極側に局在化し、それにより材料の形状及び/又は体積が変化、例えば屈曲するか、又はイオン性基がアニオン性であれば、電場によりアニオン性を有する環状分子が正極側に局在化し、それにより材料の形状及び/又は体積が変化、例えば屈曲するのがよい。

    <6> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、環状分子がシクロデキストリン分子であるのがよい。
    <7> 上記<1>〜<5>のいずれかにおいて、環状分子がシクロデキストリン分子であり、且つ該シクロデキストリン分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれるのがよい。

    <8> 上記<1>〜<7>のいずれかにおいて、直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれるのがよい。
    <9> 上記<1>〜<8>のいずれかにおいて、封鎖基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル、アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、スルホニル、カルボキシル、アミノ、フェニルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、上記と同じものを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、及びステロイド類からなる群から選ばれるのがよい。 なお、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、及びピレン類からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくはアダマンタン基類又はトリチル基類であるのがよい。

    <10> 上記<1>〜<9>のいずれかにおいて、環状分子がα−シクロデキストリンであり、前記直鎖状分子がポリエチレングリコールであるのがよい。

    <11> 上記<1>〜<10>のいずれかにおいて、環状分子が直鎖状分子により串刺し状に包接される際に環状分子が最大限に包接される量を1とした場合、前記環状分子が0.001〜0.6、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.05〜0.4の量で直鎖状分子に串刺し状に包接されるのがよい。
    <12> 上記<1>〜<9>のいずれかにおいて、少なくとも2分子のポリロタキサンは、架橋剤により化学結合されているのがよい。

    <13> 上記<1>〜<12>のいずれかにおいて、架橋剤は、その分子量が2000未満、好ましくは1000未満、より好ましくは600未満、最も好ましくは400未満であるのがよい。
    <14> 上記<12>又は<13>において、架橋剤は、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1'-カルボニルジイミダゾール、及びアルコキシシラン類からなる群から選ばれるのがよい。

    <15> 上記<1>〜<14>のいずれかにおいて、少なくとも2分子のポリロタキサンは、各ポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子の少なくとも1つのOH基が架橋に関与するのがよい。
    <16> 上記<1>〜<15>のいずれかにおいて、直鎖状分子は、その分子量が1万以上、好ましくは2万以上、より好ましくは3.5万以上であるのがよい。

    <17> 架橋ポリロタキサンを有する材料の調製方法であって、1)OH基を有する環状分子と直鎖状分子とを混合して前記環状分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接する擬ポリロタキサンを調製する擬ポリロタキサン調製工程;2)前記環状分子が串刺し状態から脱離しないように、擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基で封鎖してポリロタキサンを調製するポリロタキサン調製工程;及び3)少なくとも2分子のポリロタキサンの各々の環状分子同士を化学結合を介して結合して該少なくとも2分子のポリロタキサンを架橋する架橋工程を有し、且つ前記環状分子のOH基の一部をイオン性基を有する基に置換する置換工程を、A)前記1)擬ポリロタキサン調製工程前;B)前記1)擬ポリロタキサン調製工程後であって前記2)ポリロタキサン調製工程前、;C)前記2)ポリロタキサン調製工程後であって前記3)架橋工程前;及び/又はD)前記3)架橋工程後、に設けることを特徴とする架橋ポリロタキサンを有する材料の調製方法。
    <18> 架橋ポリロタキサンを有する材料の調製方法であって、1)シクロデキストリン分子と直鎖状分子とを混合してシクロデキストリン分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接する擬ポリロタキサンを調製する擬ポリロタキサン調製工程;2)前記シクロデキストリン分子が串刺し状態から脱離しないように、擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基で封鎖してポリロタキサンを調製するポリロタキサン調製工程;及び3)少なくとも2分子のポリロタキサンの各々のシクロデキストリン分子同士を化学結合を介して結合して該少なくとも2分子のポリロタキサンを架橋する架橋工程を有し、且つシクロデキストリン分子のOH基の一部をイオン性基を有する基に置換する置換工程を、A)前記1)擬ポリロタキサン調製工程前;B)前記1)擬ポリロタキサン調製工程後であって前記2)ポリロタキサン調製工程前、;C)前記2)ポリロタキサン調製工程後であって前記3)架橋工程前;及び/又はD)前記3)架橋工程後、に設けることを特徴とする架橋ポリロタキサンを有する材料の調製方法。

    <19> 上記<17>又は<18>において、置換工程を、前記2)ポリロタキサン調製工程後であって前記3)架橋工程前に設けるのがよい。
    <20> 上記<17>〜<19>のいずれかにおいて、イオン性基は、−COOX基(Xは、水素(H)、アルカリ金属その他1価の金属を示す)、−SO X基(Xは前述と同じ定義である)、−NH 基、−NH X'基(X'は1価のハロゲンイオンを表す)、−PO 基、及び−HPO 基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
    <21> 上記<17>〜<20>のいずれかにおいて、イオン性基を有する基は、全環状分子の全水酸基のうちの10〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%が置換されるのがよい。

    <22> 上記<17>〜<21>のいずれかにおいて、材料は、架橋ポリロタキサンの絶対乾燥状態1gあたり溶媒を1000g以上、好ましくは2000g以上、より好ましくは4000g以上吸収するのがよい。
    <23> 上記<17>〜<22>のいずれかにおいて、材料が水を含む溶媒を吸収し、該溶媒のpH及び/又はイオン強度の変化に伴い、材料の体積が変化するのがよく、例えば材料は、pH2で架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を5g以上、好ましく10g以上、より好ましくは50g以上吸収する一方、pH10で架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を500g以上、好ましく1000g以上、より好ましくは2000g以上吸収するのがよい。 また、イオン強度10 −1 mol/Lで架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を5g以上、好ましく10g以上、より好ましくは50g以上吸収する一方、イオン強度10 −3 mol/Lで架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を200g以上、好ましく500g以上、より好ましくは1000g以上吸収するのがよい。

    <24> 上記<17>〜<23>のいずれかにおいて、材料が水を含む溶媒を吸収し、溶媒を吸収した材料は、電場によりその形状及び/又は体積が変化するのがよい。 具体的には、イオン性基がカチオン性であれば、電場によりカチオン性を有する環状分子が負極側に局在化し、それにより材料の形状及び/又は体積が変化、例えば屈曲するか、又はイオン性基がアニオン性であれば、電場によりアニオン性を有する環状分子が正極側に局在化し、それにより材料の形状及び/又は体積が変化、例えば屈曲するのがよい。
    <25> 上記<17>〜<24>のいずれかにおいて、環状分子がシクロデキストリン分子であるのがよい。

    <26> 上記<17>〜<24>のいずれかにおいて、環状分子がシクロデキストリン分子であり、且つ該シクロデキストリン分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれるのがよい。
    <27> 上記<17>〜<26>のいずれかにおいて、直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれるのがよい。

    <28> 上記<17>〜<27>のいずれかにおいて、封鎖基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル、アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、スルホニル、カルボキシル、アミノ、フェニルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、上記と同じものを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、及びステロイド類からなる群から選ばれるのがよい。 なお、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、及びピレン類からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくはアダマンタン基類又はトリチル基類であるのがよい。

    <29> 上記<17>〜<28>のいずれかにおいて、環状分子がα−シクロデキストリンであり、前記直鎖状分子がポリエチレングリコールであるのがよい。
    <30> 上記<17>〜<29>のいずれかにおいて、環状分子が直鎖状分子により串刺し状に包接される際に環状分子が最大限に包接される量を1とした場合、前記環状分子が0.001〜0.6、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.05〜0.4の量で直鎖状分子に串刺し状に包接されるのがよい。

    <31> 上記<17>〜<30>のいずれかにおいて、少なくとも2分子のポリロタキサンは、架橋剤により化学結合されているのがよい。
    <32> 上記<31>において、架橋剤は、その分子量が2000未満、好ましくは1000未満、より好ましくは600未満、最も好ましくは400未満であるのがよい。
    <33> 上記<31>又は<32>において、架橋剤は、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1'-カルボニルジイミダゾール、及びアルコキシシラン類からなる群から選ばれるのがよい。

    <34> 上記<17>〜<33>のいずれかにおいて、少なくとも2分子のポリロタキサンは、各ポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子の少なくとも1つのOH基が架橋に関与するのがよい。
    <35> 上記<17>〜<34>のいずれかにおいて、直鎖状分子は、その分子量が1万以上、好ましくは2万以上、より好ましくは3.5万以上であるのがよい。

    本発明により、より向上した膨潤性を有する架橋ポリロタキサンを有する材料を提供することができる。 特に、pH及び/又はイオン強度の変化に伴い膨潤性が変化する架橋ポリロタキサンを有する材料を提供することができる。
    また、本発明により、上記効果とは別に、又は上記効果に加えて、環境の電場が変化した場合に該電場に対して応答性、特に高速応答性を有する架橋ポリロタキサンを有する材料を提供することができる。

    以下、本発明を詳細に説明する。
    本発明は、環状分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接され且つ該環状分子が脱離しないように前記直鎖状分子の両末端に封鎖基が配置されるポリロタキサンを少なくとも2分子有し、該少なくとも2分子のポリロタキサンの環状分子同士が化学結合を介して結合してなる架橋ポリロタキサンを有する材料であって、前記環状分子は水酸基(−OH)を有し該水酸基の一部がイオン性基を有する基で置換される材料を提供する。

    本発明の材料のイオン性基は、イオン性を有するものであれば、特に限定されない。 例えば、イオン性基は、−COOX基(Xは、水素(H)、アルカリ金属その他1価の金属を示す)、−SO X基(Xは前述と同じ定義である)、−NH 基、−NH X'基(X'は1価のハロゲンイオンを表す)、−PO 基、及び−HPO 基などを挙げることができ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種であるのがよい。
    イオン性基を有する基は、全環状分子の全水酸基のうちの10〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%が置換されるのがよい。

    本発明の材料は、イオン性基を有することにより、次のような作用を生じる。 即ち、イオン性基を有することにより、水との水和性又は親水性が増加することにより、溶媒吸収性及び/又は膨潤性が向上する。

    また、材料に含まれる水、又は材料が含まれる水のpH及び/又はイオン強度の変化により、直鎖状分子上のイオン性基を有する環状分子の分散性が変化する。 この環状分子の分散性の変化に伴い、溶媒吸収性及び/又は膨潤性が変化する。 具体的には、イオン性基がカチオン性の場合、pHが高くなると、溶媒吸収性及び/又は膨潤性が減少する。 一方、イオン性基がアニオン性の場合、pHが高くなると、溶媒吸収性及び/又は膨潤性が増大する。

    さらに、材料を電界中に配置した場合、電界により、次のようなことが生じるものと考えられる。
    例えば、電界により、1)直鎖状分子上のイオン性基を有する環状分子の分散性が変化する。 この分散性の変化により、材料の形状及び/又は体積が変化する。 具体的には、イオン性基がカチオン性の場合、カチオン性を有する環状分子が負極側に局在化する。 一方、イオン性基がアニオン性の場合、アニオン性を有する環状分子が正極側に局在化する。 このような局在化により、材料の形状及び/又は体積が変化する。 より具体的には、環状分子が局在化すると、架橋ポリロタキサンの伸縮性が制限されるため、環状分子が局在化している材料の一部は収縮する一方、その他の材料の部分は収縮されないため、材料が屈曲するなど、材料の形状変化をもたらすことができる。
    または、2)材料が配置される電界が、イオンが存在する場である場合、電界により材料内のイオンが移動し、材料内に局所的なイオン強度差が生じる。 材料は、イオン強度により、その膨潤率が異なる。 例えば、イオン強度が大である場合、材料の膨潤率は小さい一方、イオン強度が小である場合、材料の膨潤率が大きくなる。 したがって、材料中に局所的なイオン強度差が生じると、材料の膨潤率が局所的に異なり、材料が屈曲するなど、材料の形状変化をもたらすこととなる。

    本発明の材料は、架橋ポリロタキサンの絶対乾燥状態1gあたり溶媒を1000g以上、好ましくは2000g以上、より好ましくは4000g以上吸収するのがよい。
    特に、本発明の材料が水を含む溶媒を吸収し、該溶媒のpH及び/又はイオン強度の変化に伴い、材料の体積が変化するのがよく、例えば材料は、pH2で架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を5g以上、好ましく10g以上、より好ましくは50g以上吸収する一方、pH10で架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を500g以上、好ましく1000g以上、より好ましくは2000g以上吸収するのがよい。 また、イオン強度10 −1 mol/Lで架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を5g以上、好ましく10g以上、より好ましくは50g以上吸収する一方、イオン強度10 −3 mol/Lで架橋ポリロタキサンの絶対乾燥1gあたり溶媒を200g以上、好ましく500g以上、より好ましくは1000g以上吸収するのがよい。

    また、本発明の材料は、水を含む溶媒を吸収し、溶媒を吸収した材料は、電場によりその形状及び/又は体積が変化するのがよい。 具体的には、イオン性基がカチオン性であれば、電場によりカチオン性を有する環状分子が負極側に局在化し、それにより材料の形状及び/又は体積が変化、例えば屈曲するか、又はイオン性基がアニオン性であれば、電場によりアニオン性を有する環状分子が正極側に局在化し、それにより材料の形状及び/又は体積が変化、例えば屈曲するのがよい。

    本発明の材料において、環状分子がシクロデキストリン分子であるのがよい。 シクロデキストリン分子は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンからなる群から選ばれるのがよく、特にα−シクロデキストリン分子であるのがよい。

    本発明の材料において、直鎖状分子が、ポリエチレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれるのがよく、特にポリエチレングリコールであるのがよい。
    直鎖状分子は、その分子量が1万以上、好ましくは2万以上、より好ましくは3.5万以上であるのがよい。

    本発明の材料において、封鎖基が、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル、アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、スルホニル、カルボキシル、アミノ、フェニルなどを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、上記と同じものを挙げることができるがこれらに限定されない。置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、及びステロイド類からなる群から選ばれるのがよい。 なお、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、及びピレン類からなる群から選ばれるのが好ましく、より好ましくはアダマンタン基類又はトリチル基類であるのがよい。

    本発明の材料において、環状分子の包接量は、次の量であるのがよい。 即ち、環状分子が直鎖状分子により串刺し状に包接される際に環状分子が最大限に包接される量を1とした場合、前記環状分子が0.001〜0.6、好ましくは0.01〜0.5、より好ましくは0.05〜0.4の量で直鎖状分子に串刺し状に包接されるのがよい。 環状分子の包接量が最大値に近い状態であると、直鎖状分子上の環状分子の移動距離が制限される傾向が生じる。 移動距離が制限されると、材料の体積変化の度合いが制限される傾向が生じるため、好ましくない。
    なお、環状分子の最大包接量は、直鎖状分子の長さと環状分子との厚さにより、決定することができる。 例えば、直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、環状分子がα−シクロデキストリン分子の場合、最大包接量は、実験的に求められている(Macromolecules 1993, 26, 5698-5703を参照こと。なお、この文献の内容はすべて本明細書に組み込まれる)。

    本発明の材料において、少なくとも2分子のポリロタキサンは、架橋剤により化学結合されているのがよい。
    架橋剤は、その分子量が2000未満、好ましくは1000未満、より好ましくは600未満、最も好ましくは400未満であるのがよい。
    架橋剤は、塩化シアヌル、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド、エピクロロヒドリン、ジブロモベンゼン、グルタールアルデヒド、フェニレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トリレイン、ジビニルスルホン、1,1'-カルボニルジイミダゾール、及びアルコキシシラン類からなる群から選ばれるのがよい。

    本発明の材料において、少なくとも2分子のポリロタキサンは、各ポリロタキサンの少なくとも1つの環状分子の少なくとも1つのOH基が架橋に関与するのがよい。

    本発明の架橋ポリロタキサンを有する材料は、例えば次のように調製することができる。 即ち、1)シクロデキストリン分子と直鎖状分子とを混合してシクロデキストリン分子の開口部に直鎖状分子が串刺し状に包接する擬ポリロタキサンを調製する擬ポリロタキサン調製工程;2)前記シクロデキストリン分子が串刺し状態から脱離しないように、擬ポリロタキサンの両末端を封鎖基で封鎖してポリロタキサンを調製するポリロタキサン調製工程;及び3)少なくとも2分子のポリロタキサンの各々のシクロデキストリン分子同士を化学結合を介して結合して該少なくとも2分子のポリロタキサンを架橋する架橋工程を有し、且つシクロデキストリン分子のOH基の一部をイオン性基を有する基に置換する置換工程を、A)前記1)擬ポリロタキサン調製工程前;B)前記1)擬ポリロタキサン調製工程後であって前記2)ポリロタキサン調製工程前、;C)前記2)ポリロタキサン調製工程後であって前記3)架橋工程前;及び/又はD)前記3)架橋工程後、に設けることを特徴とする方法により、調製することができる。

    環状分子が有するOH基の一部をイオン性基に置換する置換工程は、上記A)〜D)のいずれかの時期において設けるか、又はA)〜D)の2以上の時期に設けることもできる。
    なお、上記調製方法において、用いる環状分子、直鎖状分子、封鎖基等は、上記したものを用いることができる。

    置換工程は、2)ポリロタキサン調製工程後であって3)架橋工程前に設けるのが好ましい。
    置換工程において用いられる条件は、置換するイオン性基に依存するが、特に限定されず、種々の反応方法、反応条件を用いることができる。 例えば、イオン性基として上記の一種であるカルボキシル基を用いる場合、その手法として、一級水酸基の酸化、一級及び二級水酸基のエーテル誘導体化(カルボキシメチル化・カルボキシエチル化等を含む)、無水コハク酸・無水マレイン酸及び/又はその誘導体の付加などを挙げることができるが、これらに限定されない。

    以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。

    <カルボキシル基導入ポリロタキサン(カルボキシメチル化ポリロタキサン)の調製>
    ポリエチレングリコール(分子量:35,000)がα−CDを90〜100包接する(包接量:約25%)ポリロタキサンを準備した(なお、封鎖基はアダマンタン基であった)。 このポリロタキサン1gをジメチルスルホキシド(DMSO)80mlに溶解した後、微細粉末状にした水酸化ナトリウム10gを少量ずつ加えた後、Ar雰囲気下でよく分散するように1時間、激しく攪拌しポリロタキサン準備液を得た。 これとは別個に、モノクロロ酢酸(又はモノクロロ酢酸ナトリウム)0.8gをDMSO20mlに溶解した溶液を調製した。 この溶液を、ポリロタキサン準備液に滴下し、室温で一昼夜反応させた。 反応終了後、激しく攪拌した純水300〜400mlに反応液を滴下し、速やかに5N塩酸50mlで過剰の水酸化ナトリウムを中和した。 純水での透析により試料を精製した後、凍結乾燥して、α−CDのOH基の一部を−CH COOH基に置換したカルボキシメチル化ポリロタキサン(PR−1)1.19gを得た。

    <スルホン酸基導入ポリロタキサン(スルホエチル化ポリロタキサン)の調製その1>
    実施例1と同様に、ポリロタキサン準備液を得た。 これと別に、ブロモエタンスルホン酸ナトリウム1.8gをDMSO20mlに溶解した溶液を調製した。 この溶液を、上記ポリロタキサン準備液に滴下し、室温で一昼夜反応させた。 反応終了後、激しく攪拌した純水300〜400mlに反応液を滴下し、速やかに5N塩酸50mlで過剰の水酸化ナトリウムを中和した。 純水での透析により試料を精製した後、凍結乾燥して、α−CDの−OH基の一部を−(CH −SO Na基に置換したスルホエチル化ポリロタキサン(PR−2)0.96gを得た。

    <スルホン酸基導入ポリロタキサン(スルホエチル化ポリロタキサン)の調製その2>
    ポリエチレングリコールの分子量を500,000とした以外、実施例1と同様に、ポリロタキサン準備液を得た(α−CD量:約1500、α−CD包接量:約25%))。 これと別に、ブロモエタンスルホン酸ナトリウム2gをDMSO20mlに溶解した溶液を調製した。 この溶液を、上記ポリロタキサン準備液に滴下し、室温で一昼夜反応させた。 反応終了後、激しく攪拌した純水300〜400mlに反応液を滴下し、速やかに5N塩酸50mlで過剰の水酸化ナトリウムを中和した。 純水での透析により試料を精製した後、凍結乾燥して、α−CDの−OH基の一部を−(CH −SO Na基に置換したスルホエチル化ポリロタキサン(PR−2')0.90gを得た。

    <アミノ基導入ポリロタキサン(アミノエチル化ポリロタキサン)の調製>
    実施例1と同様に、ポリロタキサン準備液を得た。 これと別に、ブロモエチルアンモニウムブロミド3gをDMSO20mlに溶解した溶液を調製した。 この溶液を、上記ポリロタキサン準備液に滴下し、室温で一昼夜反応させた。 反応終了後、激しく攪拌した純水300〜400mlに反応液を滴下し、速やかに5N塩酸で過剰の水酸化ナトリウムを中和した。 純水での透析により試料を精製した後、凍結乾燥して、α−CDのOH基の一部を−(CH −NH 基に置換したアミノエチル化ポリロタキサン(PR−3)0.90gを得た。

    <カルボキシメチル化ポリロタキサンPR−1からの架橋ポリロタキサンの調製、及びその特性>
    カルボキシメチル化ポリロタキサンPR−1 250mgを、0.1N NaOH水溶液1mLに溶解させ、ジビニルスルホン20μLをさらに加えて、架橋反応を行った。 1時間静置してゲル化を確認後、多量の食塩水(0.01〜0.1N)に繰り返し浸漬し、未反応試薬及びNaOHを除去し、架橋カルボキシメチル化ポリロタキサンCPR−1を得た。
    架橋カルボキシメチル化ポリロタキサンCPR−1を、純水中に浸漬して膨潤させた。 周囲の純水を繰り返し交換し、平衡に達するまで膨潤させた。 十分に膨潤したら、120×132メッシュのナイロンメッシュ上で、10分間水を切り、重量w1を測定した。 得られた膨潤物を凍結乾燥して重量w2を測定した。
    膨潤率Q(Q=w1/w2)は2678であった。

    <スルホエチル化ポリロタキサンPR−2からの架橋ポリロタキサンの調製、及びその特性>
    スルホエチル化ポリロタキサンPR−2 250mgを、0.1N NaOH水溶液1mLに溶解させ、ジビニルスルホン20μLをさらに加えて、架橋反応を行った。 1時間静置してゲル化を確認後、多量の食塩水(0.01〜0.1N)に繰り返し浸漬し、未反応試薬及びNaOHを除去し、架橋スルホエチル化ポリロタキサンCPR−2を得た。
    架橋スルホエチル化ポリロタキサンCPR−2を、純水中に浸漬して膨潤させた。 周囲の純水を繰り返し交換し、平衡に達するまで膨潤させた。 十分に膨潤したら、40メッシュの網上で、10分間水を切り、重量w1を測定した。 得られた膨潤物を凍結乾燥して重量w2を測定した。
    膨潤率Q(Q=w1/w2)は851であった。

    <スルホエチル化ポリロタキサンPR−2'からの架橋ポリロタキサンの調製、及びその特性>
    スルホエチル化ポリロタキサンPR−2' 150mgを、DMSO1mLに溶解し、さらにカルボニルジイミダゾール30mgをさらに加えて、よく攪拌した。 攪拌後、減圧下で脱泡し、50℃で1〜3日間放置して架橋を行った。 ゲル化を確認後、多量の食塩水(0.01〜0.1N)に繰り返し浸漬し、未反応試薬及びDMSOを除去し、架橋スルホエチル化ポリロタキサンCPR−2'を得た。

    <スルホエチル化ポリロタキサンPR−2'から調製した架橋ポリロタキサンの膨潤率。 イオン強度による変化>
    実施例7で得られた架橋スルホエチル化ポリロタキサンCPR−2'を1wt%、0.1wt%及び0.01wt%のNaCl水溶液に繰り返し浸漬し、平衡に達するまで膨潤させた。 十分に膨潤したら、120×130メッシュのナイロンメッシュ上で、10分間水を切り、重量w'1を測定した。 得られた膨潤物を凍結乾燥又はシリカゲルを入れたデシケータ中で乾燥させて乾燥重量w'2を測定した。 吸液量w'及び膨潤率Q'(1gのポリマーが含んだ液体の重量)を以下の式にしたがって求めた。
    w'=(w'1−w'2)/(c/100)
    Q'=w'/(w'1−w')
    式中、cは各実験に用いた食塩水の濃度(wt%)である。 得られた膨潤率Q'を、表1に示す。
    表1から、食塩水の濃度が低くなる、即ちイオン強度が小さくなると、膨潤率が高まることがわかる。

    <電場におけるイオン性架橋ポリロタキサンの屈曲>
    実施例6で得られたイオン性架橋ポリロタキサンCPR−2を、2.5×2.5×24mm又は3×4×32mmに切り、0.01M Na CO 水溶液中に浸漬した。 図1に示すように、白金板で作成した2枚の電極1及び2を液中に平行に立て、ゲル3の長辺が電極板と平行となるように電極間の中央にゲル3を配置した(図1(a)を参照のこと)。
    電極に35Vの電圧を印加すると、図1(b)に示すように、ゲルは2分以内に両端が陰極方向に近づくように屈曲した。 屈曲したゲルは、電圧を印加し続けると、やがて直線状に戻り(図1(c)参照)、さらに続けると、両端が正極方向に近づくように屈曲した(図1(d)参照)。
    3×4×32mmに切り出した試料に関して、35Vの電圧を印加した場合の屈曲の大きさと時間との関係を図2に示す。 ここで、歪み(Strain)は、陰極方向への屈曲を正として定義した変位量(Deflection)Y(mm)、ゲルの幅D(4mm)及びゲルの長さL(32mm)より、6DY/L と定義した(陰極方向への屈曲は図1(b)を参照のこと)。 なお、ゲルの両端が陰極側へ向かった場合の変位量Yを正の変位と定義した(図1(b)のYを参照のこと)。
    図2からも、電圧を印加すると、まず陰極側に屈曲し、その後、直線状に戻り、次いで正極側に屈曲することがわかる。
    なお、試料が陰極側に屈曲している最中に、電圧の向きを逆にすると、試料は反対方向に動き、一方向に電圧を印加し続けるよりも早く(約30秒〜1分早く)直線状に戻った。

    (比較例1)
    Shiga et al., J. Appl. Polym. Sci. 44, 249-253(1992)及びShiga et al., J. Appl. Polym. Sci. 47, 113-119(1993)(なお、これらの文献は参照としてその内容全てが本明細書に含まれる)は、ポリ(ビニルアルコール)−ポリアクリル酸ソーダを用いたゲル(PVA−PAAゲル、直径約8mm、長さ80mmのロッド状物質)が10〜30V/cmの電界(Na O水溶液)において屈曲することが記されている。 最大屈曲した際の歪みは0.2であり、最大屈曲までに約2分必要であることがわかる。

    比較例1と実施例9とを比較すると、両者共に、電場において、ほぼ同程度の歪み量(両者共に約0.2)且つほぼ同程度の速度で屈曲することがわかる。 しかしながら、実施例9においては、より低い電場(実施例9:7V/cm;比較例1:30V/cm)で、屈曲を生じさせることができる。 即ち、本発明のイオン性架橋ポリロタキサンは、より容易に屈曲を生じさせることができる。 これは、実施例9のイオン性架橋ポリロタキサンにおいて、CD環がポリマー鎖上を滑らかに動くことに起因するものと考えられる。

    実施例9の架橋ポリロタキサンの電場における形状変化を示す概念図である。

    架橋ポリロタキサンに対して、35Vの電圧を印加した場合のゲルの歪み量と時間の関係を示すグラフである。

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