Polyimidazolium salt, and poly-nhc-metal complex

申请号 JP2012140174 申请日 2012-06-21 公开(公告)号 JP2012177138A 公开(公告)日 2012-09-13
申请人 Agency For Science Technology & Research; エイジェンシー・フォー・サイエンス,テクノロジー・アンド・リサーチ; 发明人 YING JACKIE Y; ZHANG YUGEN; HU DINGYU; PATRA PRANAB K;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a polymeric salt which can be converted to polymeric carbene.SOLUTION: The polymeric salt may contain heterocyclic group. The monomer unit of the polymeric salt contains two heterocyclic groups connected by linker groups. The linker group may be a rigid linker group. The heterocyclic group may be present at a main chain of the polymer group. The hetrocyclic group can be a nitrogen hetrocyclic group and may include one, two or three nitrogen atoms. The ring of the hetrocyclic ring may include four-membered ring, five-membered ring, six-membered ring or seven-membered ring. The heterocyclic ring may be either aromatic heterocyclic ring or nonaromatic heterocyclic ring. The heterocyclic ring may be chiral. Nitrogen atoms may be positioned in a manner that the polymeric carbene generated from the polymeric salt can form a complex with a metal atom.
权利要求
  • ポリマー塩であって、前記ポリマー塩のモノマー単位がリンカー基によって連結された2つの窒素含有複素環式基を含み、前記複素環式基の窒素原子が、前記ポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されている、ポリマー塩。
  • 前記複素環式基がポリマー主鎖中に存在する、請求項1に記載のポリマー塩。
  • 前記複素環式基が正電荷を帯びている、請求項1に記載のポリマー塩。
  • 前記複素環式基の各々が、独立にキラルまたはアキラルである、請求項1に記載のポリマー塩。
  • 構造式(I)のモノマー単位を含む、請求項1に記載のポリマー塩
    (式中、前記環はC4および/またはC5で任意に置換され、RおよびR'はリンカー基であり、X は対イオンであり、前記重合度は前記塩がSuzuki反応で使用される溶媒に実質的に不溶であるほどであり、
    は単結合または二重結合のいずれかを表す)。
  • 前記構造式(I)のモノマー単位がポリマー主鎖中に存在する、請求項5に記載のポリマー塩。
  • RおよびR'のうちの少なくとも1つが剛直なリンカー基である、請求項5に記載のポリマー塩。
  • 前記剛直なリンカー基が、任意に置換されたエテニル、エチニル、アリール、ヘテロアリールおよびシクロアルキルリンカー基からなる群から選択される、請求項7に記載のポリマー塩。
  • 前記リンカー基の少なくとも1つがヘテロ原子を含み、金属原子が前記リンカー基によって連結されている環と錯体形成するかまたは前記環に結合する場合に、前記ヘテロ原子もまた前記金属原子と錯体形成することができるか、または前記金属原子に結合することができるように、前記へテロ原子が配置されている、請求項5に記載のポリマー塩。
  • Rが−(CH 、trans−CH=CH−、2,6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、R'がtrans−CH=CH−、2、6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、Xがブロミドである、請求項5に記載のポリマー塩。
  • 第1モノマー単位および第2モノマー単位を含むコポリマー塩である請求項1に記載のポリマー塩であって、前記第1モノマー単位および第2モノマー単位の各々がリンカー基によって連結された2つの窒素含有複素環式基を含み、前記複素環式基の窒素原子が、前記ポリマー塩から形成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されており、
    前記第1モノマー単位および前記第2モノマー単位はともに二座であるか、または 前記第1モノマー単位および前記第2モノマー単位のうちの一方は二座であり、他方は三座または多座であるか、または 前記第1モノマー単位および前記第2モノマー単位はともに三座または多座である、
    ポリマー塩。
  • 前記第1モノマー単位および第2モノマー単位が、請求項5で定義される構造式(I)を有する、請求項11に記載のポリマー塩。
  • 粒子の形態にある、請求項1に記載のポリマー塩。
  • 前記粒子が非晶質、球形または微結晶性である、請求項13に記載のポリマー塩。
  • 請求項5で定義される構造式(I)のポリマー塩を製造するためのプロセスであって、
    イミダゾールまたはイミダゾリジンを、塩基の存在下で構造式Y−R'−Y'の化合物で処理してビスイミダゾールまたはビスイミダゾリジンを生成するステップと、
    前記ビスイミダゾールまたはビスイミダゾリジンを構造式X−R−X'の化合物と共重合するステップとを含み、式中X、X'、YおよびY'は脱離基であり、RおよびR'は、前記ポリマー塩の窒素原子が、前記ポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置される、リンカー基であるプロセス。
  • 前記塩基が、前記イミダゾールまたはイミダゾリジンから水素原子を引き抜くのに十分強い、請求項15に記載のプロセス。
  • 说明书全文

    本発明は、ポリマー塩およびポリマー金属錯体の合成および応用に関する。

    近年、1991年のArduengoによる安定なイミダゾール−2−イリデンの単離(非特許文献1;非特許文献2)以来、N−複素環式カルベン(NHC)は大いに関心を集めている。 電子豊富な有機ホスフィンPR 3およびNHCの類似性およびNHCの優れたσ供与性のため、それらは遷移金属のための最適な配位子となる。 これは、有機合成において有用である有機金属触媒の調製につながる。 C−Cカップリングおよびオレフィンメタセシスのような多くの反応は、従来の触媒よりもNHC−金属錯体によってより効率的に触媒されることが見出された。 しかしながら、これらの均一系触媒系は分離し再利用することが困難であり、生成物に対する汚染物の問題を引き起こす。

    均一系触媒に比べて、不均一系触媒は生成物から容易に分離して再使用することができ、グリーンケミストリーにとっては魅的である。 最近、均一系触媒および不均一系触媒の両方の利点を組合わせるように、いくつかの種類の担持されたNHC−遷移金属錯体が設計されてきた。 メソポーラス材料上および粒子/ポリマーハイブリッド材料上に担持されたNHC−金属錯体もまた、種々の反応のために開発されてきた。 しかしながら、既存のポリマー担持触媒またはメソポーラス材料担持触媒は、低活性、多段合成および低触媒充填量によって制限される。 ポリマー担持触媒にはポリマーの膨潤の問題があり、メソポーラスシリカ担持触媒は、塩基性または酸性の反応条件に敏感である。

    マイクロメートルサイズおよびナノメートルサイズの球形粒子は長い間、触媒反応、光学、バイオセンシング、薬物送達およびデータ記憶を含めてその多くの用途が認識されてきた。 3つの主な種類の材料粒子、すなわち有機ポリマー粒子、無機材料粒子およびごく最近の配位ポリマー粒子の調製について、様々な方法が開発されてきた。 無機粒子材料は、触媒反応用途に大きな影響を与えたが、触媒反応用途における触媒として直接使用される有機粒子または配位ポリマー粒子は依然として未開発の領域である。 限られたモノマーおよび反応のみが、有機ポリマー粒子および配位ポリマー粒子の調製のために使用することができる。 別の種類の材料は有機金属化合物である。 有機金属化合物は金属−炭素結合を特徴とし、かつ触媒反応における重要な触媒材料として周知である。 有機金属化合物は無機粒子の調製のための前駆体として広く使用されるが、今のところ、それらはマイクロメートルサイズまたはナノメートルサイズのコロイド粒子として調製されてはこなかった。 他方、触媒反応用途に向けた粒子の化学特性を微調整することは依然として大きな課題である。

    固定化方法によって不均一系NHC有機金属触媒を開発しようとする多大な努力がなされてきた。 しかしながら、驚くべきことに、固体ポリ−NHCポリマーの開発は、これまで未開発の領域であった。

    Arduengo III,A. J. ;Harlow,R. L. ;Kline,M. K. J. Am. Chem. Soc. 1991,113,361

    Arduengo III,A. J. Acc. Chem. Res. 1999,32,913

    上記の不都合の少なくとも1つを克服するかまたは実質的に改善することが本発明の目的である。

    本発明の一形態は、ポリマーカルベンに変換することができるポリマー塩の提供に関する。 このポリマー塩は、複素環式基を含んでいてもよい。 このポリマー塩のモノマー単位は、リンカー基によって連結された2つの複素環式基を含む。 リンカー基は剛直なリンカー基であってよい。 複素環式基は、ポリマー塩の主鎖に存在してもよい。 複素環式基は窒素複素環であってもよく、複素環式環中に1個、2個または3個の窒素原子を含んでいてもよい。 この複素環の環は、4員環、5員環、6員または7員環を含んでいてもよい。 この複素環は芳香族複素環または非芳香族複素環であってよい。 複素環はキラルであってもよい。 窒素原子は、ポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されていてよい。 複素環式基は、正に帯電していてもよい。 ポリマー塩の対イオンはハライド(例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド)であってもよく、何らかの他の適切な負に帯電したイオンであってもよい。 1種以上(例えば、2種)の対イオンが存在してもよい。 そのイオンまたは各対イオンは、−1または−2の電荷を有していてよい。 このように、本発明は、ポリマー塩のモノマー単位がリンカー基(例えば、剛直なリンカー基)で連結された2個の窒素含有複素環式基を含み、この複素環式基の窒素原子がこのポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されている、ポリマー塩を提供する。 このポリマーカルベンは、ポリマー塩と塩基との反応によりポリマー塩から生成することができる。 ポリマー塩は、2個以上(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個)のモノマー単位を含むコポリマー塩であってもよい。 モノマー単位の各々は、独立に、上に記載したものであってよい。 各モノマー単位は、同一の複素環式基または各他のモノマー単位に対して異なる複素環式基を含んでいてもよい。 各モノマー単位は、同一のリンカー基または各他のモノマー単位に対して異なるリンカー基を含んでいてもよい。 このポリマー塩はカルベンに変換することができないモノマー単位を含んでいてもよい。

    本発明の第1の態様では、構造式(I)のモノマー単位または複数の構造式(I)のモノマー単位を含むポリマー塩が提供される。 この構造は、各々が2つの窒素原子を含む2つの環を含む。 この塩は、任意にC4および/またはC5で、例えばアルキル基またはアリール基により置換されていてもよい。 構造式(I)の複素環式環の各々は、独立に、キラルであってもアキラルであってもよい。 構造式(I)において、

    は単結合または二重結合を表す。 このように、この環はイミダゾリウム環またはイミダゾリジニウム環であってもよく、このポリマー塩はポリイミダゾリウム塩またはポリイミダゾリジニウム塩であってもよい。


    構造式(I)において、RおよびR'はリンカー基である。 R'は剛直なリンカー基であってもよい。 適切な剛直なリンカー基R'としては、芳香族基、複素芳香族基、脂環式基、適切に剛直なアルケンおよび適切に剛直なアルキンが挙げられる。 適切なR'基としては、任意に置換されたエテニル、エチニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルリンカー基、例えば、−CH=CH−(cisまたはtrans)、フェニレン(例えば、1,4−または1,3−フェニレン)またはピリジレン(例えば、2,6−)が挙げられる。 R'は、塩がポリマーカルベンに変換され、金属原子が上記カルベンに錯体形成または結合する場合に、上記ヘテロ原子もその金属原子に錯体形成または結合することができるように配置されたヘテロ原子(例えば、窒素)を含んでいてもよい。 Rは、R'について上で説明した剛直なリンカー基であってもよく、または非剛直もしくは半剛直なリンカー基(例えば、アルキル、アルケニル(エテニル以外のもの)、アルキルアリールもしくは他の適切なリンカー基)であってもよい。 適切な非剛直または半剛直なリンカー基Rとしては、−(CH )m−(式中、mは1〜約10である)が挙げられ、そしてこれらは任意に置換されていてもよくかつ/または分枝状であってもよい。 ポリマー塩の末端基は、イミダゾール基またはイミダゾリジン基および/またはハライドあるいは何らかの他の脱離基であってよい。 構造式(I)において、X は対イオン(例えば、ハライド)である。 ポリマー塩の重合度は、この塩がSuzuki反応に使用される溶媒に不溶であるほど、またはこの塩から作製されるポリマーカルベンまたはポリ−N−複素環式カルベン金属錯体がSuzuki反応に使用される溶媒に不溶であるほど十分に大きくてもよい。 この重合度は約5より大きくてもよく、約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000より大きくてもよい。 それは約5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000であってもよい。 上記ポリマー塩は複数の構造式(I)のモノマー単位を含んでいてもよく、約5個より多いかかるモノマー単位、または約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000個より多いかかるモノマー単位を含んでいてもよい。 それは約5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000個のかかるモノマー単位を含んでいてもよい。

    構造式(I)において、そして本願明細書中の他の箇所の関連構造式において、構造式における

    のような正電荷の表示は、以下に示すような2つの互変異性構造を組み込んでいると解釈されるべきである。 このように、正電荷は各窒素原子に部分的に存在する。


    構造式(I)のモノマー(複数であってもよい)は、ポリマー塩の主鎖に存在してもよい。 このように、ポリマー塩は主鎖型ポリイミダゾリウム塩または主鎖型ポリイミダゾリジニウム塩であってもよい。

    構造式(I)において、環炭素原子4および/または5は任意に置換されていてもよいことは理解できるであろう。 このように、ポリマー塩は、A、B、CおよびDが各々独立に、素、または水素ではない置換基である構造式(Ia)のモノマー単位を含んでいてもよい。 A、B、CおよびDは、独立に、水素、アルキル(例えば、直鎖、分枝鎖、シクロアルキル)、アリール(例えば、フェニル、ナフチル)、水素、ハライド(例えば、ブロモ、クロロ)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピロール)、アルケニル(例えば、エテニル、プロペニル)、アルキニル(例えば、エチニル、プロピニル)または何らかの他の置換基であってもよい。 A、B、CおよびDはすべて同一であってもよく、いくつかは異なっていてもよく、またはすべてが異なっていてもよい。 アルキル基は、約1〜20個の炭素原子(ただし、環状アルキル基もしくは分枝状アルキル基は少なくと3個の炭素原子を有する)、約1〜10個または1〜6個の炭素原子を有していてもよく、それらはメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチルなどであってよい。 この置換基は任意に置換されていてもよい。 この置換基は、各々独立に、キラルまたはアキラルであってよい。

    構造式(Ia)において、

    で表示される結合は、単結合であってもよく、二重結合であってもよい。 このように、構造式(Ia)は構造式(Ia1)または(Ia2)を有することができる。


    構造式(Ia1)において、各環のC4およびC5(置換基A、B、CおよびDを有する炭素原子)は、各々、水素原子をも有していてもよく、さらなる非水素置換基を有していてもよい。 このように、モノマー単位は、R、R'、X、A、B、CおよびDが上で定義したとおりであり、E、F、GおよびHが独立にA、B、GおよびDについて定義したとおりである構造式(Ib)を有していてよい。


    構造式(Ia1)および(Ib)のモノマー単位は、置換基A〜Hの分布に起因して不斉すなわちキラルであってよく、構造式(Ia1)、(Ia2)および(Ib)のモノマー単位は、置換基A〜Hの1つ以上のキラリティに起因して不斉であってよいことは明らかである。

    このポリマー塩は、シアノ化反応を触媒することができるものとすることができる。

    一実施形態では、Rが−(CH 22 −、trans−CH=CH−、2,6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、R'がtrans−CH=CH−、2,6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、Xがブロミドである構造式(I)のモノマー単位を含むポリマー塩が提供される。

    別の実施形態では、ポリマー塩は、R、R'、XおよびA〜Hがこれまでに定義したとおりであり、nが重合度である構造式(Ic)、(Id)または(Ie)を有する。 nは、この塩がSuzuki反応に使用される溶媒に不溶であるほど、またはこの塩から作製されるポリマーカルベンまたはポリ−N−複素環式カルベン金属錯体がSuzuki反応に使用される溶媒に不溶であるほど十分に大きくてもよい。 nは、約5より大きくてもよく、約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000より大きくてもよい。 nは約5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000であってもよい。

    別の実施形態では、第1モノマー単位および第2モノマー単位を含み、この第1単位がリンカー基で連結された2つの窒素含有複素環式基を含み、この複素環式基の窒素原子が、ポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されており、
    第1モノマー単位および第2モノマー単位がともに二座であるか、または 第1モノマー単位および第2モノマー単位のうちの1つは二座であり、他方が三座もしくはより多座であるか、または 第1モノマー単位および第2モノマー単位の両方が三座もしくはより多座である、
    コポリマー塩が提供される。

    一方または両方のモノマー単位は上で説明したとおりの構造式(I)を有していてもよい。 このコポリマー塩は交互共重合体であってよい。

    二座モノマー単位については、リンカー基R'は金属原子に配位する(錯体を形成する)ことができず、コポリマー塩がポリマーカルベンに変換されると、この二座モノマー単位は二座様式で金属原子と錯体を形成することができる二座配位子単位を形成する。 二座モノマー単位は、ヘテロ原子を含まないリンカー基を含んでいてもよく、このモノマー単位が二座配位子単位に変換されると(すなわち、ポリマー塩がポリマーカルベンに変換されると)、配位子単位はリンカー基によって連結された各複素環上の1つのカルベンを介して金属原子と配位する。 三座モノマー単位について、リンカー基R'は金属原子に配位することができ、モノマー単位が三座配位子単位に変換されると(すなわち、ポリマー塩がポリマーカルベンに変換されると)、この三座配位子単位は三座様式で金属原子と錯体を形成することができる。 このように、三座モノマー単位は、窒素原子または金属原子に配位する(錯体を形成する)ことができる何らかの他のヘテロ原子を含むリンカー基を含んでいてもよく、この三座モノマー単位から生成される三座配位子単位は、リンカー基によって連結された各複素環上の1つのカルベンとリンカー基のヘテロ原子とを介して配位することができる。 多座配位子単位は多座様式で金属原子と錯体を形成することができる。 それゆえ、それは複数の窒素原子および/または他のヘテロ原子、例えば、2、3、4または5を含んでいてもよい。

    別の実施形態では、第1モノマー単位および第2モノマー単位を含むコポリマー塩であって、この第1モノマー単位および第2モノマー単位が各々、リンカー基で連結された2つの窒素含有複素環式基を含み、この複素環式基の窒素原子が、ポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されており、この第1モノマー単位および第2モノマー単位がともに二座である、コポリマー塩が提供される。 このコポリマー塩は微粒子状であってよい。 このコポリマー塩は非晶質の微細構造を有していてよい。

    別の実施形態では、第1モノマー単位モノマー単位および第2モノマー単位を含むコポリマー塩であって、この第1モノマー単位および第2モノマー単位が各々、リンカー基で連結された2つの窒素含有複素環式基を含み、この複素環式基の窒素原子が、ポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されており、この第1モノマー単位および第2モノマー単位のうちの一方が二座であり他方が三座である、コポリマー塩が提供される。 コポリマー塩は微粒子状であってよい。 それは、ミクロンサイズまたはナノメートルサイズのコロイド粒子の形態であってもよい。 コポリマー塩は球形粒子の形態であってもよい。 この球形粒子は、均一な粒径を有していてもよく、狭い粒径分布を有していてもよい。 この粒子の90%(または80%、70%、60%もしくは50%)は、平均粒径(例えば、数平均粒径または重量平均粒径)の約10%(または約20%、30%、40%もしくは50%)以内の粒径を有していてよい。 コポリマー塩中の第1モノマー単位:第2モノマー単位の比は、モル基準で約1:100〜約100:1、または約1:10〜約10:1、または約1:1〜約2:1とすることができる。

    別の実施形態では、第1モノマー単位モノマー単位および第2モノマー単位を含むコポリマー塩であって、この第1モノマー単位および第2モノマー単位が各々、リンカー基で連結された2つの窒素含有複素環式基を含み、この複素環式基の窒素原子が、ポリマー塩から生成されるポリマーカルベンが金属原子と錯体形成することができるように配置されており、この第1モノマー単位および第2モノマー単位がともに三座である、コポリマー塩が提供される。 このコポリマー塩は微粒子状であってよい。 このコポリマー塩は微結晶粒子の形態であってよい。

    本発明の第2の態様では、構造式(I)のモノマー単位を含むポリマー塩を製造するためのプロセスが提供される。 このプロセスは、
    イミダゾールまたはイミダゾリジンを、塩基の存在下で構造式Y−R'−Y'の化合物で処理して、ビスイミダゾールまたはビスイミダゾリジンを生成するステップと、
    このビスイミダゾールまたはビスイミダゾリジンを構造式X−R−X'の化合物と共重合するステップと、
    を含み、上で説明したように、式中のX、X'、YおよびY'は脱離基であり、RおよびR'はリンカー基である。 X、X'、YおよびY'のいずれか1つはそれらのうちの他のいずれかと同じであってもよく、異なっていてもよく、独立に、任意の好都合な脱離基、例えば、ハライド(クロリド、ブロミド、ヨージド)、トシレートなどであってよい。

    このプロセスは、上記イミダゾールまたはイミダゾリジンのアニオンを生成するステップを含んでいてもよい。 このイミダゾールまたはイミダゾリジンのアニオンを生成するステップは、イミダゾールまたはイミダゾリジンを、そのイミダゾールまたはイミダゾリジンから水素を引き抜くに十分に強い(すなわち、十分に塩基性の)塩基で処理するステップを含んでいてよい。 適切な塩基は水素化ナトリウムである。

    第2の態様のプロセスによって形成される、構造式(I)のモノマー単位を含むポリマー塩もまた提供される。

    一実施形態では、コポリマー塩を生成するためのプロセスが提供される。 このプロセスは、
    第1イミダゾールを構造式Y−R'−Y'の化合物で処理して第1ビスイミダゾールを生成するステップと、
    第2イミダゾールを構造式Y”−R”−Y”'の化合物で処理して第2ビスイミダゾールを生成するステップと、
    第1ビスイミダゾールおよび第2ビスイミダゾールを構造式X”−R'”−X'”の化合物と共重合するステップと、
    を含み、上で説明したように、式中のX、X'、X”、X'”、Y、Y'、Y”およびY'”は脱離基であり、R、R'およびR”はリンカー基である。X、X'、X”、X'”、Y、Y'、Y”およびY'”のいずれか1つは、それらのうちの他のいずれかと同じであってもよく、異なっていてもよく、独立に、任意の好都合な脱離基であってよい。

    本発明の第3の態様では、構造式(II)のモノマー単位を含むポリ−N−複素環式カルベン金属錯体(ポリNHC金属錯体)が提供される。 式中、R、R'およびXは上で説明したとおりであり、Mは1つまたは2つのカルベン(−C:−)中心と、そして任意にヘテロ原子とも錯体形成することができる金属である。 この構造は、各々が2つの窒素原子を含む2つの環を含む。

    Mは遷移金属であってよい。 それは白金族金属であってよい。 それはVIII族金属であってよい。 それは、例えば、パラジウム、銅、ニッケルまたは銀であってよい。 対イオンX

    は金属Mに配位していていてもよい。 構造式(II)において、


    は単結合または二重結合のいずれかを表す。 本願明細書全体にわたり、構造式IIおよび関連する構造式の金属−炭素錯体は、上で示したようにM上に2+電荷を伴って表示されることがある。 あるいは、それらは、XをMに連結する結合を有するように表示される場合もあり得る。

    構造式(II)において、環炭素原子4および/または5は任意に置換されていてもよいことは理解できるであろう。 このように、ポリ−N−複素環式カルベン金属錯体は、A、B、CおよびDがこれまでに説明したとおりである構造式(IIa)を有していてよい。

    構造式(IIa)において、

    で表される結合は単結合であってもよく、二重結合であってもよい。 このように、構造式(IIa)は構造式(IIa1)または(IIa2)を有していてよい。


    構造式(IIa1)では、各環のC4およびC5(置換基A、B、CおよびDを有する炭素原子)は、各々、水素原子をも保持していてよく、またはさらなる非水素置換基を有していてもよい。 このように、このモノマー単位は、R、R'、X、A、B、CおよびDがこれまでに説明したとおりであり、E、F、GおよびHが独立に、A、B、CおよびDについて定義されたとおりである構造式(IIb)を有していてよい。

    構造式(IIa1)および式(IIb)のモノマー単位は、置換基A〜Hの分布に起因して不斉またはキラルであってよく、構造式(IIa1)、式(IIa2)および式(IIb)のモノマー単位は、1つ以上の置換基A〜Hのキラリティに起因して不斉であってよいことは明らかであろう。

    ポリ−N−複素環式カルベン金属錯体は、シアノ化反応またはSuzuki反応を触媒することができるものとすることができる。

    一実施形態では、Rが−(CH −、trans−CH=CH−、2,6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、R'がtrans−CH=CH−、2,6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、Xがブロミドである構造式(II)のモノマー単位を含むポリマー塩が提供される。

    別の実施形態では、M、X、R、R'、A、B、C、D、E、F、GおよびHがこれまでに定義したとおりであり、nが重合度である構造式(IIb)、(IIc)または(IIe)のポリ−N−複素環式カルベン金属錯体(ポリNHC金属錯体)が提供される。 nは、このポリ−N−複素環式カルベン金属錯体がSuzuki反応に使用される溶媒に不溶なほど十分に大きくてよい。 nは、約5より大きくてもよく、約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000より大きくてもよい。 nは約5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000であってもよい。

    本発明の第4の態様では、ポリ−N−複素環式カルベン金属錯体を生成するためのプロセスが提供される。 このプロセスは、
    構造式(I)のモノマー単位を含むポリマー塩(例えば、本発明の第1の態様に係るポリマー塩)を塩基で処理してポリマー中間体を生成するステップと、
    このポリマー中間体を金属の塩で処理するステップと、
    を含む。 この金属は、本発明の第3の態様(Mについて)において説明したとおりであってよく、R、R'およびXはこれまでに説明したとおりであってよい。 塩基は、ポリマー塩を中間体に変換するに十分に強い(塩基性)であってよい。 この塩基は、例えば、ナトリウム tert−ブトキシド、カリウム tert−ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミドまたは何らかの他の適切な塩基であってよい。 この中間体は、ポリマーカルベンであってもよく、ポリ−N−複素環式カルベン(ポリNHC)であってもよい。 上記金属の塩は、アセテートまたは何らかの他の好都合な塩であってよい。

    本発明の第5の態様では、ポリ−N−複素環式カルベン金属錯体を生成するためのプロセスが提供される。 このプロセスは、構造式(I)のモノマー単位を含むポリマー塩(例えば、本発明の第1の態様に係るポリマー塩)を金属の塩で処理するステップを含む。 この金属は、パラジウムまたは銀とすることができる。 この塩は、上記金属のハライドまたはアセテート、例えば、クロリドまたはブロミドであってよく、すなわち、上記塩は塩化パラジウム、臭化パラジウム、塩化銀、臭化銀、酢酸パラジウム、酢酸銀であってよく、これらのうちのいずれか2つ以上の混合物であってもよい。

    第4または第5の態様のプロセスによって生成される場合のポリ−N−複素環式カルベン金属錯体も提供される。 このように、上記金属の塩を、上で説明したとおりである構造式(I)のモノマー単位を含むポリマー塩、または上記ポリマー塩を塩基で処理することにより生成したポリマー中間体と反応させることにより作製されるポリ−N−複素環式カルベン金属錯体が提供される。

    本発明の第6の態様では、化学反応を実施する方法が提供される。 この方法は、上記反応のための試薬(複数種であってもよい)を本発明に係るポリ−N−複素環式カルベン金属錯体またはポリマー塩またはポリマーカルベンに接触させるステップを含む。 この金属は遷移金属であってよい。 それは白金族金属であってよい。 それはVIII族金属であってよい。 それは例えば、パラジウム、銅、ニッケルまたは銀であってよい。 上記反応は、カップリング反応であってよい。 それは、Suzuki反応またはシアノ化反応であってよい。 Suzuki反応は、アリールボロン酸またはビニルボロン酸とアリールハライドまたはビニルハライド(例えば、クロリドまたはブロミド)またはアリールトリフレートまたはビニルトリフレートとをカップリングすることを含む。 この方法は、ポリNHC金属錯体またはポリマー塩またはポリマーカルベンを反応混合物から分離することをも含んでいてもよい。 それは、反応混合物から反応生成物を分離することを含んでいてよい。

    第6の態様のプロセスにより生成された場合の反応生成物(例えば、Suzuki反応生成物またはシアノ化反応生成物)もまた提供される。 本発明は、化学反応(例えば、Suzuki反応)を実施するため、必要に応じて化学反応(例えば、Suzuki反応)を触媒するための、本発明に係るポリ−N−複素環式カルベン金属錯体またはポリマー塩またはポリマーカルベンの使用をも包含する。

    本発明の第7の態様では、構造式(III)のモノマー単位を含むポリマーカルベンが提供される。 この構造式は、各々が2つの窒素原子を含む2つの環を含む。 この環は、任意にC4および/またはC5で置換されていてよい。 RおよびR'は、これまでに説明したとおりのリンカー基であってよい。 構造式(III)において、

    は単結合または二重結合のいずれかを表す。 構造式(III)のモノマー単位はポリマーカルベンの主鎖中に存在してよい。 このように、ポリマーカルベンは主鎖型ポリマーカルベンであってよい。 このポリマーカルベンはシアノ化反応を触媒することができるものとすることができる。


    関連する物質(例えば、上記ポリマー塩)についてこれまで説明してきたように、これらの環の一方または両方が置換されている場合、このポリマーカルベンの構造は構造式(IIIa)に示すとおりであることは理解されるであろう。 (IIIa)において、A、B、CおよびDはこれまで説明してきたとおりである。

    重合度は、上記ポリマーカルベンがSuzuki反応に使用される溶媒に実質的に不溶であるほどであってもよい。 このポリマーカルベンは、複数の構造式(III)のモノマー単位を含んでいてもよく、約5個より多いかかるモノマー単位を含んでいてもよく、約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000個より多いかかるモノマー単位を含んでいてもよい。 それは約5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000個のかかるモノマー単位を含んでいてもよい。 構造式(III)および構造式(IIIa)のカルベンおよび本願明細書の他の箇所に記載される関連するカルベン構造は、1つ以上の隣接するヘテロ原子(例えば、構造式IIIおよび構造式IIIaの2つの隣接する窒素原子)によって少なくとも部分的に安定化されていてもよい。

    ポリ−N−複素環式カルベン金属錯体は、シアノ化反応またはSuzuki反応を触媒することができるものとすることができる。

    構造式(IIIa)において、

    と表される結合は単結合または二重結合であってよい。 このように、構造式(IIIa)は構造式(IIIa1)または構造式(IIIa2)を有していてよい。


    構造式(IIIa1)において、各環のC4およびC5(置換基A、B、CおよびDを有する炭素原子)は、各々、水素原子を有していてもよく、さらなる非水素置換基を有していてもよい。 このように上記モノマー単位は、R、R'、X、A、B、CおよびDが上で説明したとおりであり、E、F、GおよびHは独立に、A、B、CおよびDについて定義されたとおりである構造式(IIIb)を有していてよい。


    構造式(IIIa1)および構造式(IIIb)のモノマー単位は、置換基A〜Hの分布に起因して不斉またはキラルであってよく、構造式(IIIa1)、構造式(IIIa2)および構造式(IIIb)のモノマー単位は、1つ以上の置換基A〜Hのキラリティに起因して不斉であってよいことは明らかであろう。

    一実施形態では、Rが−(CH −、trans−CH=CH−、2,6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、R'がtrans−CH=CH−、2,6−ピリジレンまたは1,4−フェニレンであり、Xがブロミドである構造式(III)のモノマー単位を含むポリマーカルベンが提供される。

    別の実施形態では、ポリマーカルベンはR、R'、A、B、C、D、E. F、GおよびHがこれまで定義されたとおりであり、nはポリマーカルベンの重合度である構造式(IIIc)、構造式(IIId)または構造式(IIIe)を有する。 nは、このポリマーカルベンがSuzuki反応に使用される溶媒に不溶なほど十分に大きくてよい。 nは約5より大きくてもよく、約10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000より大きくてもよい。 nは約5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1000であってもよい。

    本発明の好ましい形態は、一例として添付の図面を参照して本願明細書中において説明される。

    様々な種類の担持されたNHC金属錯体を示す図である。

    本発明の担持されたNHC金属錯体を合成するための反応スキームを示す図である。

    金属が3座で配位されている本発明の担持されたNHC金属錯体を合成するための反応スキームを示す図である。

    本発明に係る担持されたNHC金属錯体を用いたSuzuki反応の反応スキームである。

    様々なポリマー構造のポリ−イミダゾリウム塩を合成するための反応スキームを示す図である。

    本発明に係る担持されたNHC金属錯体の粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 (a)表面改質した球形粒子12a*(図7で説明したように作製した)、(b)球形粒子12a(図7で説明したように作製した)、(c)THF中で調製した球形粒子12a(図7で説明したように作製した)、(d)微結晶粒子13(図5で説明したように作製した)。

    本発明の担持されたNHC金属錯体への末端基の付加を示す反応スキームである。

    図7のポリマー粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 (a)12aC−Ag、(b)過剰の銀を用いて作製した12aC−Ag、(c)12aC−Pd、(d)過剰のパラジウムを用いて作製した12aC−Pd。

    本発明は、ポリマーカルベンおよび/またはポリマーカルベン金属錯体に変換することができるポリマー塩に関する。 ポリマーカルベンへの変換は、この塩と適切な塩基との反応により実施することができ、ポリマー塩からポリマーカルベン金属錯体への変換は、適切な金属イオン(例えば、遷移金属イオン)の塩との反応により実施することができる。

    ポリマー塩は複素環式基を含んでいてもよく、このポリマー塩のモノマー単位はリンカー基で連結された2つの複素環式基を含んでいてもよい。 例えば、本発明に係るポリマー塩は、構造式IVのモノマー単位を含んでいてよい。 このポリマー塩は構造式IVaを有していてもよい。 このポリマー塩は、ポリマーカルベンに変換することができる。 そのポリマーカルベンは構造式Vのモノマー単位を含んでいてもよい。 ポリマーカルベンは、構造式Vaを有していてもよい。 ポリマーカルベンは、構造式VIのモノマー単位を有するポリマーカルベン金属錯体に変換することができる。 そのポリマーカルベン金属錯体は構造式VIaを有していてもよい。 あるいは、ポリマー塩は、ポリマーカルベン錯体に変換することができる。

    構造式IV、IVa、V、Va、VIおよびVIaにおいて、


    は単結合または二重結合のいずれかを表し、


    が二重結合を表す場合、置換基E、F、GおよびHは存在しない。 置換基A、B、CおよびD、ならびに存在する場合にはE、F、GおよびHは、各々独立に、水素、または水素ではない置換基であってもよい。 それらは独立に、水素、アルキル(例えば、直鎖、分枝鎖、シクロアルキル)、アリール(例えば、フェニル、ナフチル)、ハライド(例えば、ブロモ、クロロ)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピロリル、フラニル、フラニルメチル、チオフラニル、イミダゾリル)、アルケニル(例えば、エテニル、1−プロペニル、もしくは2−プロペニル)、アルキニル(例えば、エチニル、1−プロピニルもしくは3−プロピニル、1−ブト−1−イニル、3−ブト−1−イニルもしくは4−ブト−1−イニル、1−ブト−2−イニルもしくは4−ブト−2−イニルなど)または何らかの他の置換基であってよい。 A、B、CおよびD、ならびに存在する場合にはE、F、GおよびHは、すべて同一であってもよく、いくつかまたはすべて異なっていてもよい。 アルキル基は、約1〜20個の炭素原子(ただし、環状または分枝状のアルキル基は少なくとも3個の炭素原子を有する)、約1〜10個または1〜6個の炭素原子有していてよく、例えば、メチル、エチル、1−プロピルもしくは2−プロピル、イソプロピル、1−ブチルもしくは2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、メチルシクロヘキシルなどであってよい。 置換基は(例えば、アルキル基,アリール基、ハライドまたは何らかの他の置換基によって)任意に置換されていてもよく、O、S、Nのようなヘテロ原子を含んでいてもよい(例えば、置換基は、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、ポリオキシエチル、チオメトキシメチル、メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチルなどであってよい)。 置換基A、B、CおよびD、ならびに存在する場合にはE、F、GおよびHは、各々独立に、キラルまたはアキラルであってよい。

    A、B、CおよびD、ならびに存在する場合にはE、F、GおよびHの任意の2つは連結され環状構造を形成してもよいことは理解されるであろう。 このように、構造式IV、IVa、V、Va、VIおよびVIaの環は縮合環であってもスピロ連結環であってもよい。 例えば、

    が単結合を表す場合、AおよびE(または同一の炭素原子に結合した置換基の任意の他の対)は連結されシクロペンチル、シクロヘキシルまたは何らかの他の環を形成してよい。 AおよびEがシクロペンチル環を形成する場合、これは例えば、1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン構造を形成してもよい。 あるいは、AおよびB(または隣接する炭素原子に結合した置換基の任意の他の対)は連結されシクロペンチル、シクロヘキシルまたは何らかの他の環を形成してよい。 AおよびBがシクロペンチル環を形成する場合、これは例えば、1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン構造を形成することになる。 さらに、


    が単結合を表す場合、AおよびE(または同一の炭素原子に結合した置換基の任意の他の対)は二重結合によって環炭素原子に連結された単一の置換基を表してもよい。 このように、例えば、モノマー単位Iは構造式VIIa、VIIbまたはVIIcを有してもよい。 当業者は、他の構造が可能であり、それらが本開示の範囲に包含されることを容易に理解するであろう。


    構造式VIIa、VIIbおよびVIIcにおいて、J、K、LおよびMは、独立に=CPQまたは=NPであってもよく、PおよびQは独立にA〜Hについてこれまでに定義されたとおりである。 例えば、それらは=CH

    、=CHCH

    、=CHPh、=NCH

    または=NPhまたは何らかの他の適切な二重結合を有する基であってよい。 類似の構造がその各々に存在してもよい。 さらに別の例として、


    が二重結合を表す場合、構造式IV、IVa、V、Va、VIおよびVIaの環は、芳香族環またはヘテロ芳香族環と縮合していてもよい。 このように、例えばモノマー単位Iは構造式VIII(芳香族環上で任意に置換されている)を有していてもよい。


    本願明細書において記載するポリマー塩、ポリマー金属錯体およびポリマーカルベンを作製するためのプロセスは、構造式IV、IVa、V、Va、VIおよびVIa(ならびにVIIa、VIIbおよびVIIc)のすべてに等しく適用できることは当業者には明らかであろう。 このように、例えば、モノマー単位VIIIを含むポリマー塩は、ベンゾイミダゾールのアニオンを構造式Y−R'−Y'の化合物で処理してビスベンゾイミダゾールを生成し、このビスベンゾイミダゾールを構造式X−R−X'の化合物と共重合させることにより作製することができる。 ベンゾイミダゾールのアニオンは、ベンゾイミダゾールをそのベンゾイミダゾールから水素原子を引き抜くに十分強い塩基で処理することにより作製することができる。 次いで、モノマー単位VIIIを含むポリマー塩は、類似の変換について他の箇所で説明するようにして、対応するポリマー金属錯体および/またはポリマーカルベンを作製するために使用することができる。 上記プロセスで使用されるベンゾイミダゾールは、当該分野で周知の方法により入手することができる。

    構造式IV、IVa、V、Va、VIおよびVIa(ならびにVIIa、VIIbおよびVIIc)において、RおよびR'はリンカー基である。 R'は剛直なリンカー基であってよい。 適切な剛直なリンカー基RおよびR'としては、芳香族基、ヘテロ芳香族基、脂環式基、適切に剛直なアルケンおよび適切に剛直なアルキンが挙げられる。 適切なRおよびR'基としては、任意に置換されたエテニル(例えば、エテンジイル、プロペン−1,2−ジイル、2−ブテン−2,3−ジイル)、エチニル(例えば、エチンジイル、プロピンジイル、ブト−2,3−イン−1,4−ジイル)、アリール(1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、1,6−ナフチレン、1,7−ナフチレン、1,8−ナフチレン)、ヘテロアリール(例えば、2,6−ピリジンジイル、2,6−ピランジイル、2,5−ピロールジイル)、またはシクロアルキルリンカー基(例えば、1,3−シクロヘキサンジイル、1,4−シクロヘキサンジイル、1,3−シクロペンタンジイル、1,3−シクロブタンジイル,)基が挙げられる。 適切な非剛直なリンカー基または半剛直なリンカー基Rとしては、−(CH )m−(mは1〜約10である)が挙げられ、これらは任意に置換されていてもよく、かつ/または分枝状であってもよく、例えば、1,2−エタンジイル、1,2−プロパンジイルまたは1,3−プロパンジイル、1,2−ブタンジイル、1,3−ブタンジイル、1,4−ブタンジイルまたは2,3−ブタンジイル、2−メチル−ブタン−3,4−ジイルなどが挙げられる。 X−は対イオン(例えば、ハライド)である。 それは、例えば、ブロミド、クロリド、ヨージド、アセテート、ニトレート、トリフルオロアセテートなどであってよい。 Rは、(例えば、アルキル基、アリール基、ハライドまたは何らかの他の置換基により)任意に置換されていてもよく、O、S、Nのようなヘテロ原子を含んでいてもよい(例えば、Rは−CH OCH −、−CH OCH CH −、−CH OCH(CH )−、−(CH OCH )p−(pは1〜約100である)、−CH NHCH −、CH N(CH )CH −、−CH N(Ph)CH −、−CH SCH −などであってもよい)。

    構造式IV、VまたはVI(あるいはVIIa、VIIbまたはVIIc)のモノマーは、それぞれのポリマー分子の主鎖中にあってよい。

    本発明のポリマー塩を作製するために使用することができるモノマーは、適切な複素環の塩を連結化合物で処理することにより作製することができる。 適切な複素環の塩は、複素環アニオンとカチオンとを含む。 この複素環は窒素複素環であってよい。 それは、環中に4、5、6または7個の原子を有していてよく、そのうちの1、2または3個は窒素原子であってよい。 その複素環は、環炭素がカルベンである場合に、その複素環が芳香族であるような複素環であってもよい。 ただし、いつもこうである必要はない。 そのカルベンは、少なくとも1つ、必要に応じて2つの隣接する窒素原子または他のヘテロ原子によって安定化されていてもよい。 複素環は、連結化合物にカップリングするために、少なくとも2つのカップリング部位を有することができる。 各カップリング部位は、例えば、環窒素原子であってもよく、官能性置換基(例えば、エステル、カルボン酸、ハライドなど)であってもよい。 複素環は、例えば、C4および/またはC5で任意に置換されたイミダゾールまたはイミダゾリジン(例えば、4,5−ジフェニル−イミダゾリジン)、または任意に置換されたトリアゾールであってよい。 複素環はキラルな複素環または不斉の複素環であってよい。 それは、単一のキラル異性体として存在することができる。 このイミダゾールまたはイミダゾリジンは、芳香族基(例えば、任意に置換されたフェニル、ナフチルなど)、あるいはアルキル基(例えば、C1〜C12の直鎖、またはC3〜C12の分枝状もしくは環状。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチルなど)で置換されていてもよい。 カチオンは、例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムであってよい。 連結化合物は構造式Y−R'−Y'を有していてよい。 YおよびY'は同一であってもよく、異なっていてもよく、独立に、例えばハライド(例えば、クロリドまたはブロミド)、トシレートなどであってよい。 YおよびY'は、複素環のアニオンによってそれらを置換することができるようなものであってよい。 R'はリンカー基、例えば、剛直なリンカー基または非剛直なリンカー基である。 それは約1〜20個またはこれより多くの原子を有していてよい。 それは、アルキルまたはアリールまたは複素環のリンカー(例えば、ピリジル、メチレン、エチレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンもしくは1,4−フェニレン、−CH=CH−、−シクロC 10 −、−CH C(CH )CH −など)であってよい。 このように、代表的な合成においては、複素環は塩基(例えば、NaH、LDAなど)によって処理され、複素環のアニオンを生成する。 この反応は一般に極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMF、NMP、DMSOなど)中で実施される。 その反応は、室温またはいくらか好都合に高めた温度(例えば、25、30、35、40、45または50℃)で実施することができる。 塩基:連結化合物のモル比は約2:1であるべきであるが、約1.5:1〜3:1であってもよく、約1.8:1〜2.2:1、1.8:1〜2:1または2:1〜2.2:1(例えば、約1.8:1、1.9:1、2.1:1または2.2:1)であってもよい。 得られた複素環の塩は、単離することなく連結化合物と反応させることができる。 このように、上で説明したようにして得られた複素環の塩の溶液に,約2:1、または約1.5:1〜3:1、または約1.8:1〜2.2:1、1.8:1〜2:1または2:1〜2.2:1(例えば、約1.8:1、1.9:1、2.1:1または2.2:1)の複素環の塩:連結化合物のモル比で連結化合物を添加してよい。 この反応は、上で説明したような複素環の塩の生成と類似の範囲の条件(溶媒、温度)下で実施することができる。 得られたビス複素環モノマーは、標準的な有機化学手順によって単離してもよい。

    ビス複素環モノマーは、構造式X−R−X'の第2リンカー化合物と共重合することにより本発明のポリマー塩に変換することができる。 XおよびX'は、同一であってもよく、異なっていてもよく、独立に、上で説明したとおりのYおよびY'と同一の基の集合から選択されてよい。 各々は同一であってもよく、各YまたはY'に対して異なっていてもよい。 RはR'と同一であってもよく、上で説明したとおりのR'とは異なっていてもよく、R'と同一のリンカー基の集合から選択されてよい。 第2のビス複素環、および必要に応じて第3、第4、第5などのビス複素環も、共重合され、ポリマー状の基を形成してもよい。 例えば、第2のビス複素環が共重合される場合、その2つのビス複素環の混合物は上で説明したような第2リンカー化合物と共重合してよい。 2つの複素環は、例えば、異なるリンカー基R'を含んでいてよい。 それゆえ、ポリマー塩を生成するための代表的なプロセスでは、ビス複素環、またはビス複素環の混合物は、溶媒中、一般には極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMF、DMSO、NMP)中で第2リンカー化合物で処理される。 ビス複素環(またはビス複素環の混合物):第2リンカー化合物のモル比は約1:1であるべきであるが、約1.2:1〜0.8:1、または約1.1:1〜0.9:1、例えば、約1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:1または0.8:1、または何らかの他の比であってもよい。 反応は一般に、高温、例えば、約80℃より高温、または約90℃、100℃、110℃または120℃より高温で実施され、約80℃、90℃、100℃、110℃または120℃で実施されてもよい。 反応時間は、少なくとも50%変換率、または少なくとも約60%、70%もしくは80%変換率に十分であるべきであり、試薬および温度に依存するであろうが、少なくとも約10時間、12時間、14時間または16時間であってよい。

    得られたポリマー塩は、ポリ−N−複素環式カルベン金属錯体(ポリNHC金属錯体)に変換することができる。 特定の金属(例えば、銀またはパラジウム)に対して、これはポリマー塩をその金属の塩で処理することにより達成することができる。 反応は、任意の好都合な溶媒中で実施することができる。 溶媒は極性のものであってもよい。 その溶媒は非プロトン性であってもよい。 それは、例えば、DMF、DMSO、NMPなどであってもよい。 金属塩:ポリマー塩のビス複素環モノマー単位のモル比は、約1:2〜約2:1、または約1:2〜1:1、1:1〜2:1または1:1.5〜1.5:1、例えば、約2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9または1:2であってもよい。 この塩は、任意の好都合な塩、例えばハライドおよびアセテート、スルフェートなど、または好都合な塩の混合物であってよい。 反応は高温(溶媒の沸点を超えないことが好ましい)または種々の高温で実施することができる。 この温度または各温度は、約25〜約150℃、または約50〜150℃、100〜150℃、25〜100℃、25〜50℃、50〜100℃もしくは50〜120℃、例えば、約25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、60℃、70℃、80、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃もしくは150℃であってよい。 反応時間は、ポリマー塩をポリNHC金属錯体に変換するのに十分であってよい。 変換率は、少なくとも約70%、または少なくとも約75%、80%、85%もしくは90%であってよい。 反応時間は、約1〜10時間、または約1〜5時間、5〜10時間もしくは2〜8時間、例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間もしくは10時間であってよく、反応温度に応じて変わってもよい。 反応は不均一系反応であってもよい。 すなわち、ポリマー塩は少なくとも部分的に溶媒に不溶であってもよく、または反応は、ポリマー塩が溶液中に存在する均一系反応であってもよい。 ポリNHC金属錯体を粒子として生成してもよい。 粒子は、濾過、遠心分離、膜分離または何らかの他の適切な分離プロセによって反応混合物から分離することができる。 次いで分離された粒子は、溶媒(反応に使用した溶媒と同一であってもよく、異なっていてもよい)で洗浄することができ、例えば加熱、凍結乾燥、真空乾燥、ガスを粒子に通すこと、または何らかの他の適切なプロセスによって乾燥することができる。

    別のプロセスでは、ポリマー塩は、ポリマー塩を塩基で処理してポリマー中間体を形成し、そのポリマー中間体を上記金属の塩で処理することによって、ポリNHC金属錯体に変換することができる。 金属は、1つまたは2つのカルベン中心、および必要に応じてヘテロ原子とも錯体を形成することができる。 この金属は遷移金属であってよい。 それは白金族金属であってよい。 それはVIII族金属であってよい。 それは例えば、パラジウム、銅、ニッケルまたは銀であってよい。 塩基は、ポリマー塩を中間体に変換するに十分強い(塩基性である)ものであっててよい。 この塩基は、例えば、ナトリウム tert−ブトキシド、カリウム tert−ブトキシド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミドまたは何らかの他の適切な塩基であってよい。 この中間体は、ポリマーカルベンであってもよく、ポリ−N−複素環式カルベン(ポリ−NHC)であってもよい。 この金属の塩は、アセテートまたはハライド(例えば、クロリドもしくはブロミド)、あるいは何らかの他の好都合な塩であってよい。 ポリマー塩を塩基で処理するステップは、溶媒中で実施してよい。 この溶媒は有機溶媒であってよい。 それは極性の有機溶媒であってよい。 それは極性の非プロトン性溶媒であってよい。 それは、例えばDMF、NMPなどであってよい。 それは溶媒の混合物であってもよい。 このステップは、室温または何らかの他の好都合な温度で実施することができる。 それは、約5〜50℃、または約5〜30℃、5〜20℃、5〜10℃、10〜50℃、20〜50℃、30〜50℃、10〜40℃もしくは2〜30℃、例えば、約5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃もしくは50℃で実施することができる。 反応は約0.5〜約12時間かかってもよい。 反応時間は、試薬の性質、温度、溶媒などに依存することがある。 それは、約0.5〜10時間、0.5〜5時間、0.5〜2時間、1〜10時間、1〜6時間、1〜3時間、3〜12時間、6〜12時間または4〜8時間、例えば、約0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間もしくは12時間であってもよい。 生成したポリマー中間体(例えば、ポリマーカルベン)は、濾過または何らかの他の分離プロセスによって単離することができる。 次いでそれは、(上で説明した溶媒と類似の)溶媒中で金属塩(例えば、金属クロリド、ブロミド、アセテートなど)を反応させてポリNHC金属錯体を生成することができる。 金属塩との反応は、約1〜約12時間、または約1〜10時間、1〜6時間、1〜3時間、3〜12時間、6〜12時間もしくは4〜8時間、例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間もしくは12時間かかる場合もある。 この反応は、約20〜約100℃、または約20〜50℃、20〜30℃、30〜100℃、50〜100℃、40〜80℃もしくは50〜70℃、例えば、約20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃もしくは100℃で実施することができる。

    ある状況では、ポリマーカルベン(例えば、12aA)は単離することができる。 ポリマーカルベンは、それ自体で、化学反応(例えば、Suzuki反応、カルボニル化化合物のシアノ化など)の不均一系触媒反応のための触媒として使用することができる。

    上で説明した合成の具体例において、12aAおよび12aC(M=Cu)(図7)を以下のようにして調製した。

    12aAの調製:反応フラスコ中でNaO(C(CH )(40mg、0.5mmol)を3a(150mg)のDMF(10ml)懸濁液に加えた。 反応混合物を4時間撹拌した。 固体生成物を濾過し、DMFで注意深く洗浄してNaBr塩を除去し、淡黄色の粉末12aAを得た。 この黄色粉末の元素分析実測値:C,58.01,H,6.05,N,12.25(ポリマーカルベン12aAについての計算結果:C,58.71,H,6.62,N,12.84)。 13 C NMR(固体):δ 16.4(CH ),48.2(CH ,C−O)),128−163(C−C),220(C2カルベン)。 PA−IR(cm −1 ):1558(s,C=C)。 SEMで観察したところ、12aおよび12aAの粒子は非常に類似しているように見えた。

    12aC−Cuの調製。 反応フラスコ中でNaO(C(CH)(50mg、0.5mmol)を3a(250mg)のDMF(10ml)懸濁液に加えた。反応混合物を1時間撹拌し、CuCl(50mg、0.5mmol)を加えた。反応混合物を80℃でもう6時間撹拌した。固体生成物を濾過し、乾燥して白色粉末12aC−Cuを得た。 13 C NMR(固体):δ 21.6(CH ),54(CH ),120−150(C=C),185(小さい,C−Cu)。PA−IR(cm −1 ):1670(m,C=C).Cu装填量 11wt%(TGによる)。

    図8は、金属ナノ粒子をともなうポリマー粒子のTEM写真を示す。 図8aは粒子12aC−Agを示す。 これらの粒子の銀の装填量は8wt%であった。 このTEM写真では銀ナノ粒子は見られない。 図8bは、銀の装填量が17wt%であった粒子12aC−Agを示す。 このTEM写真では、ポリマー粒子に付着した銀ナノ粒子がはっきり見られる。 図8cは、パラジウム装填量が6.5wt%であった12aC−Pdを示す。 このTEM写真では、パラジウムナノ粒子はまったく見られない。 図8dは、パラジウム装填量が17wt%であった12aC−Pdを示す。 このTEM写真では、ポリマー粒子中にパラジウムナノ粒子がはっきり見られる。 このように、ポリマー粒子を作製する際に過剰の金属を使用した場合には、ポリマー粒子に付着した金属ナノ粒子が生成するようである。

    ポリマー塩およびポリNHC金属錯体は、非晶質粒子、球形粒子または微結晶粒子の形態であってもよい。 この粒子はコロイド粒子であってもよい。 この粒子は、ミクロンサイズまたはナノメートルサイズのコロイド粒子であってもよい。 この粒子は、直径約100nm〜約10ミクロンであってもよい。 この粒子は約100nm〜1ミクロン、100〜500nm、500nm〜10ミクロン、1〜10ミクロン、または100nm〜1ミクロン、例えば、約100、200、300、400、500、600、700、800もしくは900nm、または約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9もしくは10ミクロンの直径を有することができる。 粒子の粒径および形状は、使用するビス複素環モノマーの性質およびポリマー塩の合成条件(具体的には、重合プロセスで使用される溶媒)に依存することもある。

    本発明のポリNHC金属錯体は、化学反応(例えば、Suzuki反応)を触媒するために使用することができる。 Suzuki反応は、アリールハライド基質(例えば、アリールクロリド、ブロミドまたはヨージド)とアリールボロン酸試薬とをカップリングしてビアリールを生成することを含む。 この反応は、一般に、触媒の存在下で実施される。 この反応は、適切な溶媒中で、ポリNHC金属錯体および塩基(例えば炭酸セシウムなどのセシウム塩)の存在下で基質と試薬とを合わせることにより実施することができる。 例えば、K CO 、Na CO 、NaOAcなどの他の塩基も使用することができる。 この塩基は、酸スカベンジャーとして機能することができる。 一般に上記錯体は、基質に対して約1mol%、例えば、約0.1〜10mol%、または0.1〜1mol%、1〜10mol%、0.5〜10mol%、0.5〜5mol%、0.5〜2mol%、0.5〜1mol%、1〜2mol%もしくは1〜5mol%、例えば、約0.1mol%、0.2mol%、0.3mol%、0.4mol%、0.5mol%、0.6mol%、0.7mol%、0.8mol%、0.9mol%、1mol%、1.5mol%、2mol%、2.5mol%、3mol%、3.5mol%、4mol%、4.5mol%、5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%もしくは10mol%で添加される。 基質は、共触媒に対して約0.1〜1mol当量、例えば約0.1〜0.5mol当量、0.5〜1mol当量、0.2〜0.8mol当量、0.3〜0.7mol当量または0.4〜0.6mol当量(例えば、約0.1mol当量、0.2mol当量、0.3mol当量、0.4mol当量、0.5mol当量、0.6mol当量、0.7mol当量、0.8mol当量、0.9mol当量もしくは1mol当量)で存在してよい。 上記試薬は、基質に対して約1〜2mol当量、または約1〜1.5mol当量、1.5〜2mol当量、1.2〜1.8mol当量、1.3〜1.7mol当量もしくは1.4〜1.6mol当量、例えば、約1mol当量、1.1mol当量、1.2mol当量、1.3mol当量、1.4mol当量、1.5mol当量、1.6mol当量、1.7mol当量、1.8mol当量、1.9mol当量もしくは2mol当量で存在してよい。 共触媒は、基質に対して約1〜3mol当量、または約1〜2、2〜3、1.5〜2.5、1.7〜2.3もしくは1.9〜2.1mol当量、例えば、約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9もしくは2mol当量で添加することができる。 溶媒は任意の好都合な溶媒であってよい。 それは水と混和性であってもよく、水と非混和性であってもよい。 それは例えば、DMF、トルエンまたはジオキサンであってよい。 溶媒は、有機溶媒と水との混合物(例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1または1:1混合物)であってもよい。 この反応は、約10〜150℃で実施するのが好都合であるが,反応混合物の成分の分解を引き起こさず、かつ溶媒の沸点を超えないかぎり、何らかの他の温度を使用してもよい。 温度は、約10〜120℃、10〜100℃、10〜80℃、10〜50℃、10〜30℃、20〜150℃、50〜150℃、100〜150℃、20〜100℃、20〜80℃、80〜120℃、20〜50℃または50〜80℃、例えば、約10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃または150℃であってよい。 反応完了後、ポリNHC金属錯体は、例えば濾過または何らかの他の適切な方法によって反応混合物から分離することができる。

    ポリNHC金属錯体は、後の反応を触媒するために再利用または再使用することができる。 それは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回または10回より多く再使用することができる。

    本発明のポリマー塩、またはポリマーカルベン、またはポリNHC金属錯体のモノマー単位がキラルである場合、それらはキラルな反応、例えば不斉Suzuki合成または不斉シアノ化反応を触媒するために使用することができる。 かかるキラルな反応の生成物の鏡像体過剰率は、約50%よりも高くすることができ、または約60%、70%、80%、90%もしくは95%より高くすることができ、例えば、約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%とすることができる。

    本発明者らは、新規なタイプの不均一系NHC金属錯体、主鎖型ポリイミダゾリウムおよびポリ−NHC−金属錯体(図1を参照のこと)を開発した。 図1において、Pはポリマーを表し、従って1はポリマー担持NHC金属錯体を表す。 2はメソポーラスシリカ担持NHC金属錯体を表す。 3は、本発明に係る主鎖型ポリ−NHC−金属錯体を表す。 容易に合成される主鎖型ポリ−NHC−Pd触媒は、非常に高い触媒装填量を有し、非常に安定で丈夫である。 優れた不均一系NHCベースの触媒を得るための一般的かつ簡単な方法が示された。 これらの触媒は、活性化、非活性化および不活性化ブロモアレーン基質ならびに活性化、非活性化および不活性化ヨードアレーン基質が関与するSuzukiカップリング反応に対して優れた活性を示す。 それらはクロロアレーン基質に対しても活性を示す。

    剛直なベンゼンベースまたはブチレンベースのスペーサは、アルキル化に対して位置制御を確実にして小さい環生成物の生成を阻害するために使用することができる(図2を参照)。 ポリイミダゾリウムブロミド5を合成するために、2種のスペーサを使用した。 スペーサの少なくとも1つは剛直である、例えばベンゼン環であるべきである。 まず、ジブロモ末端スペーサ(Br−R−Br)を使用することによってイミダゾール(Im)をアルキル化してビイミダゾール(Im−R−Im)を生成し、次いで第2ステップで、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中、110℃で一晩別のジブロモ末端スペーサ(Br−R'−Br)を用いてアルキル化し、ポリイミダゾリウムブロミドを高収率で得た。 ポリ−はさみ(pincer)(すなわち、三座)型イミダゾリウムブロミド8(図3)は、2,6−ジブロモピリジンを第1スペーサとして使用した以外は同様にして合成した。 ポリイミダゾリウム塩の非常に小さい溶解性のために、その正確な分子量を測定することは困難であった。 ポリマー5および8は通常の溶媒には不溶であったが、熱ジメチルスルホキシド(DMSO)中では膨潤した。 ポリマー5は加熱するとDMSOに溶解した。 DMSO中での5の H核磁気共鳴(NMR)はポリマー構造と一致したが、末端基に由来するシグナルは容易には判別できなかった。 NMRデータと元素分析結果を組み合わせて、ポリマー鎖あたりのモノマー単位の数平均をポリマー5および8においては10〜20と見積もった。

    金属の導入は、改良したHermannの方法およびCrabtreeの方法(Herrmann,W.A.;Schwarz,J.;Gardiner,M.G. Organometallics 1999,18,4082;Loch,J.A.;Albrecht,M.;Peris,E.; Mata,J.; Faller,J.W.;Crabtree,R.H. Organometallics 2002,21,700)によって、ポリイミダゾリウムブロミド5および8をDMSO中室温でPd(OAc) で処理し、次いで50〜150℃に加熱することにより実施した。 反応懸濁液をジクロロメタンおよびエーテルに注ぎ込み、ポリ−NHC−Pd錯体6および9を得た。 ポリイミダゾリウムブロミド5に対する導入反応は、ポリイミダゾリウム8に対するパラジウム導入反応よりもはるかに速く、より低い温度において完了することができた。 ポリイミダゾリウム8に対するパラジウム導入反応には、150℃で数時間の加熱を要した。 ポリ−NHC−Pd錯体は一般の溶媒には不溶であった。 元素分析および光音響フーリエ変換赤外(PA−FTIR)データは、パラジウムがポリイミダゾリウムブロミド鎖中に導入され、錯体が生成したことを示唆した。 PA−FTIRおよび固体状態13 C NMR分光法により、パラジウムはイミダゾリウムのC2位で特異的に配位していることが確認された。 5aにおける4級イミダゾリウムの強いバンドは、PA−FTIRスペクトルで1157cm −1に現れた。 6aのパラジウム導入後、このバンドは消失し、1665cm −1のアルケンのバンドがより強くなった。 固体状態13 C NMRスペクトルでは、8aのC2炭素シグナルは145ppmに観察された。 このピークの強度は、9aのスペクトルでは顕著に減少した。 担持されたNHC−Pd錯体は溶媒中で非常に安定である(例えば、担持された単座NHC−Pd錯体は150℃まで安定であり、担持された二座またははさみ型錯体はさらにより安定である)ことが公知である。 触媒6および9の融点は、250〜290℃であると測定した。 6a(19.7wt%)、6c(17.0wt%)、9a(17.5wt%)および9b(16.6wt%)のパラジウム装填量は元素分析および熱重量分析(TGA)に基づいて算出した。

    (不均一系Suzukiクロスカップリング反応)
    ポリ−NHC−パラジウム触媒6および9の触媒活性をパラジウム触媒によるSuzuki反応(図4)において検討した。 まず、いくつかの溶媒を、ポリ−NHC−Pd触媒6aおよび9a(1mol%)によるブロモベンゼンおよびフェニルボロン酸の反応について調べた。 ビフェニルは、ジオキサン/水(8:2)およびDMF/水(8:2)中で触媒6aにより優れた収率(それぞれ、90%および99%)で得られた(表1、エントリー3および5)。 しかしながら、トルエン/水(8:2)中では中程度の収率(50%)しか得られなかった(表1、エントリー4)。 この溶媒効果は、反応を加速するために触媒の膨潤が重要であることを示した。 触媒6aと比べて、触媒9aは、同一の溶媒中でわずかに低い収率を与えた。

    種々のアリールヨージド、ブロミドおよびクロリドとフェニルボロン酸とのSuzukiクロスカップリング反応を6aに対して調べた。 表2は、非活性化アリールヨージドおよび不活性化アリールヨージドはともに、室温で優れた収率で対応するビアリールに変換されることを示す。 電子不足のアリールブロミドとフェニルボロン酸との反応および電子豊富なアリールブロミドとフェニルボロン酸との反応はともに円滑に進行し、80℃で4〜6時間以内に優れた収率でビアリールを与えた(表2、エントリー6〜13)。 このポリ−NHC−Pd触媒は、窒素含有アリールブロミド(例えば、4−ブロモピリジンおよび2,6−ジブロモピリジン)とフェニルボロン酸との反応においても非常に高い活性を示し、それぞれ4−フェニルピリジンおよび2,6−ジフェニルピリジンを優れた収率で与えた(表2、エントリー14および15)。 この触媒は非常に有効であり、アリールヨージドおよびアリールブロミドのすべてが優れた収率で対応する生成物に変換された。 さらに、ポリ−NHC−Pd触媒はアリールクロリドとフェニルボロン酸との反応においても活性であって、穏和な条件下で中程度〜良好な収率で対応するビアリールが生成することが見出された。 一般に、非常に嵩高い隣接基を有するNHC−Pd錯体のみがSuzuki反応においてアリールクロリドに対して高い活性を示し、かかる高い活性は均一系においてのみ実証されている。 本発明では,アリールクロリドに対するポリ−NHC−Pd触媒の高活性は、二座またははさみ型配位モデルによって、および触媒の活性部位を立体的に込み入ったものにする主鎖型NHCポリマー構造によっても説明することができるであろう。 このポリ−NHC−Pd触媒は、優れた再使用可能性をも実証した。 それは、DMF/水中、80℃、4時間でのヨードアニソールとフェニルボロン酸またはブロモベンゼンとフェニルボロン酸の反応において5回再使用された。 (表2、エントリー3〜8)。 繰り返された再利用の際にポリ−NHC−Pd触媒が優れた触媒活性を維持したことは注目すべきことであった。

    結論として、新規な主鎖型ポリ−イミダゾリウム塩およびその対応するパラジウム錯体の開発に成功した。 不均一系触媒として、ポリ−NHC−Pdは合成の簡便性、高い触媒装填量および様々な反応条件下での丈夫さを提供した。 ポリ−NHC−Pd錯体は、不均一系Suzukiクロスカップリング反応において、すべての種類のブロモアレーン基質およびヨードアレーン基質に対する優れた活性を、およびクロロアレーン基質に対して中程度の活性を示した。 それらは、他の担持されたNHC−Pd触媒よりもはるかに活性であった。 ポリ−NHC−Pd錯体は、優れた再使用可能性をも実証した。 ポリ−NHC−Pd錯体の触媒活性は、触媒構造を改変することにより改善することができた。 ポリイミダゾリウム塩は、種々の反応を触媒するために様々な金属と一体化することができた。

    表1:6aおよび9aによるブロモベンゼンおよびフェニルボロン酸の不均一系Suzukiクロスカップリング反応

    代表的な反応条件:溶媒(0.8ml)と水(0.2ml)との混合溶媒中、1mol%の触媒、1mmolのCs

    CO

    、0.75mmolのC

    B(OH)2、0.5mmolの基質。


    すべての反応においてH

    O(20vol%)を共溶媒として使用した。


    収率は、ガスクロマトグラフィ(GC)およびガスクロマトグラフィ−質量分析(GC−MS)を使用して決定した。

    表2:6aによるアリールヨージド、アリールブロミドおよびアリールクロリドとフェニルボロン酸との不均一系Suzukiクロスカップリング反応

    代表的な反応条件:溶媒(0.8ml)と水(0.2ml)との混合溶媒中、1mol%の触媒、1mmolのCs

    CO

    、0.75mmolのC

    B(OH)2、0.5mmolの基質。


    収率は、GCおよびGC−MSを使用して決定した。


    エントリー3の触媒を再利用した。


    4回使用後の触媒を再利用した。


    エントリー6の触媒を再利用した。


    4回使用後の触媒を再利用した。


    ベンゼンボロン酸の代わりにアニソールボロン酸を使用した。


    Bu

    NBr(10%)を添加した。

    本発明者らは、主鎖型ポリイミダゾリウム塩の多目的なコロイド粒子がイミダゾールのアルキル化によって調製できることを示した。 これらは、数百ナノメートル〜数μmで調整可能な直径を有する粒子の形態で製造することができる。 これらは、特定のスペーサ基を使用すると、自発的に生成し得る。 親であるイオン性ポリマー粒子は、ポリ−N−複素環式カルベン粒子およびポリ有機金属粒子に変換することができる。 これらの粒子を作製することができる容易さおよびそれらの化学特性および物理特性を調整できることに起因して、それらの粒子は広範囲な実用的な適用に適切なものとなっている。 本発明者らは、かかる粒子が有機触媒反応および有機金属触媒反応において使用できることを示した。

    本発明者らは、ポリイミダゾリウムハロゲン塩を作製するための2段階アルキル化プロセス(図5)を設計した。 剛直なスペーサは、アルキル化に対する位置制御を確実にして小さい環生成物の生成を阻害するために使用された。 ポリマー生成物の微細構造はモノマーの構造に大きく依存することが見出された。 2つの二座モノマーを縮合すると、非晶質の微細構造を有する線状ポリマーが生成した。 1つの二座モノマーおよび1つの三座モノマーの組合せを使用すると、イミダゾールのアルキル化反応により誘導される異なる構築単位のアセンブリによって、ポリイミダゾリウムネットワークから構成される均一な球形のミクロ粒子およびナノ粒子が生成した(図5および図6)。 さらに、2つの三座モノマーを使用すると微結晶粒子が生成した(図6)。 図6aに示す表面改質された球形粒子12a*は0.413±0.130μmの平均直径を有する(調製については図3を参照)。 図6bに示す球形粒子12a(DMF中で製造された)は0.755±0.140μmの平均直径を有する。 図6cに示す球形粒子12aはTHF中、80℃で調製されたが、それは1.450±0.470μmの直径を有する。 図6dに示す微結晶性粒子13は2.5〜3.5μmの平均サイズで十分に結晶化している。 球形粒子生成物の調製のための代表的な実験において、ビスイミダゾール前駆体10および2,4,6−トリス(ブロモメチル)メシチレン(3:2モル比)を、耐圧フラスコ中、DMFに溶解した。 このフラスコを密閉して50〜110℃に加熱し、30分〜10時間かけて球形ポリマー粒子3を自発的に形成させた。 粒子のサイズは温度、濃度および溶媒の極性に依存することが見出された。 生成したポリイミダゾリウム塩粒子は一般の溶媒には不溶であった。

    本発明の球形粒子のアセンブリのための重要な因子は、二座モノマーと三座モノマーとの組合せを使用することである。 粒子の核形成はデンドリマータイプの構造の形成を経て起こることが理論づけされている。 粒子は、そのデンドリマー構造へのアルキル化反応を経て生成するのかも知れない。 粒子のサイズは、溶媒、スペーサ基およびモノマー濃度を変更することにより制御することができる。 例えば、DMF中で直径約900nmの粒子を生成する条件下で、12aの合成のためにDMFの代わりにTHFを溶媒として使用すると、より小さい球形ナノ粒子(直径約400nm)が生成した。 これは、THFに対する生成物の溶解性がはるかに小さいため、より迅速な核形成および粒子の沈殿が生じることに起因する可能性がある。 スペーサ基としてフェニルの代わりにビフェニルを使用すると、(12aの900nmに比べて)12bのより小さい粒子(約700nm)が沈殿した。 より濃い溶液がより大きい粒径をもたらすことも観察された(図6)。

    試料の走査型電子顕微鏡(SEM、図6)写真は異なるサイズの球形粒子を示す。 試料の平均粒径は約500nm〜約1500nmで変動した。 元素分析および光音響フーリエ変換赤外(PA−FTIR)の結果は、その化学組成と一致した。 ポリマー粒子中の4級イミダゾリウムに帰属できる強いバンドはPA−FTIRスペクトルでは1157cm −1に現れた。 固体状態13 C NMR分光法もポリイミダゾリウム塩の組成を確認した。 C2炭素に起因するシグナルは、約145ppmに観察された。 熱分析は、ポリマー粒子は約300℃まで安定であり、約320〜350℃で分解することを示した。 これらの球形粒子12についての粉末X線回折データは、それらが非晶質であって結晶性物質ではないことを示す。

    本発明者らは、驚きをもって、様々な用途のためにポリイミダゾリウム粒子の化学特性および物理特性を調整することができることを見出した。 ポリマー粒子に対して2段階改質プロセスを使用した。 第1段階では、ポリイミダゾリウム粒子は、スペーサ基を改変することにより(図5)、そしてその表面特性を改変するために末端基を付加することにより(図7)、改変された。 スペーサ基Rが変えられるにつれて、活性部位の立体的環境、ならびに粒子の密度およびミクロ多孔性が変化する。 末端基によって、粒子の表面は一般の溶媒とより相溶性になる。 第2段階では、イオン性ポリマー粒子は、中性のフリーのカルベンポリマーおよび有機金属ポリマーに変換される。 これらのプロセスの実験手順を図7に示す。 これらの変換により、最初のポリマー粒子の化学特性および物理特性は改変され、ポリマー粒子は広範囲の用途(例えば、触媒反応)に適したものとなる。 このように、図7のステップAでは、粒子は臭素含有粒子12aに末端基を付加することにより表面改質される。 適切な末端基としては、アリール基(例えば、2,6−ジメチルフェニル基)、他のアリール基(例えば、任意に置換されたフェニル、ナフチルなど)、アルキル基(例えば、任意に置換されたC1〜C20の直鎖、またはC3〜C20の分枝状もしくは環状)、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。 ステップBにおいて、イオン性粒子12aは、フリーのカルベンを含有する粒子12aA、保護されたカルベンを含む粒子12aBおよび有機金属粒子12aCに変換される。 SEM写真は、この2段階プロセスにより生成された粒子(12aA、12aB、12aC)は、それらの生成のもとになった粒子(例えば、図6を参照)と同一の球形モルホロジーを保持することを示す。 透過型電子顕微鏡写真(TEM、図8)は、12aCの粒子中には金属ナノ粒子は観察されないことを示す。 これは、金属イオンがカルベンと配位して金属−炭素結合が生成していることを示唆する。 このモデルは、IRおよび固体状態13 C NMRの結果とも一致する。

    N−複素環式カルベン(NHC)は、多くの重要な有機変換反応を触媒するために使用されてきた。 粒子12aAおよび12aBは、TMSCNとカルボニル化化合物との間の不均一系触媒化シアノ化反応および他の不均一系触媒反応においても有用であり得る。 さらに、本発明のポリマー塩はシアノ化反応をも触媒することができる。 このように、粒子12aは、不均一系触媒としても使用することができる。 以下のスキームは、これらの粒子が触媒することができるシアノ化反応を示す。

    12aAおよび12aBはともに、in situで発生させることができ、単離することもできる。 これらの粒子は、非常に穏和な条件下でシアノ化反応に対して非常に高い触媒活性を示す。 反応は、0.1〜1mol%の触媒装填量で、室温で約10分間〜約2時間でほぼ完了し、広範囲のアルデヒドおよびケトン基質に対して優れた収率を与えた。 この触媒粒子は優れた再利用安定性を示す。 SEM写真は、反応サイクル後も触媒粒子は球形モルホロジーを保持することを示した。 これは、主鎖型ポリイミダゾリウム塩粒子は成功裏にポリ−NHC粒子に変換され、不均一系の再利用可能な有機合成触媒反応に適用されたことを実証する。

    有機金属粒子12aCの触媒反応への適用も検討した。 粒子12aC−Pdは、Suzukiカップリング反応に対して、試験した粒子の中で最も活性な不均一系NHC−Pd触媒であることが示された。 1mol%の触媒12aC−Pd粒子によって、非活性化アリールヨージドおよび不活性化アリールヨージドはともに、室温で優れた収率で対応するビアリールに変換された。 電子不足のアリールブロミドとフェニルボロン酸との反応および電子豊富なアリールブロミドとフェニルボロン酸との反応もともに円滑に進行し、約80℃で約4〜6時間以内に優れた収率でビアリールを生成した。 さらに、粒子触媒12aC−Pdはアリールクロリドとフェニルボロン酸との反応においても活性であり、100℃で優れた収率で対応するビアリールを与えることが見い出された。 この反応において、粒子触媒12aC−Pdは、11から誘導される非晶質のポリ−NHC−Pdよりもはるかにより活性であることが見出された。 12aC−Pd触媒は、不均一系触媒として優れた再使用可能性をも示した。 一般に、非常に嵩高い隣接基を有するNHC−Pd錯体のみがSuzuki反応においてアリールクロリドに対して高い活性を示す。 12aC−Pd粒子の高い活性は、触媒活性部位を立体的に込み入ったものにする主鎖型NHCのポリマー構造に起因するかも知れない。

    本発明者らは、ミクロンサイズおよびナノメートルサイズのポリイミダゾリウム球形粒子の合成および使用を示した。 それらは、化学特性および物理特性を調整するためにポリ−NHCおよびポリ−NHC−金属粒子に容易に変換することができる。 これらのコロイド粒子は、NHCの多用途の化学を謳歌するための有用な基盤を提供する。 イミダゾール構築単位はキラルブロック(例えば、4,5−ジフェニル−イミダゾリジン)容易に変換することができるので、これらの物質は不斉触媒反応および不斉分離に使用することができる。 これらの粒子の3次元ネットワーク構造は局所的な構造の特徴(キラリティなど)を粒子全体に増幅することをもたらし、小さいサイズの粒子が大きい表面積をもたらして非粒子状生成物と比べて恩恵をもたらす。

    (一般的情報)
    すべての溶媒および化学物質は、特記しない限り供給業者から入手したまま使用した。 遠心分離は、Eppendorf Centrifuge 5810R(4000rpm、10分)で実施した。 Hおよび13 C NMRスペクトルは、Bruker AV−400(400MHz)機器で測定した。 Hおよび13 C NMRについてのデータは化学シフト(δ ppm)、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線)として記録した。 PA−FTIRスペクトルは、MTEC−300光音響検出器を備えたDigilab FTS 7000 FTIR分光計で実施した。 GC−MSは、Shimadzu GCMS QP2010で実施した。 GLCは、スプリットモードキャピラリー注入システムおよび水素炎イオン化検出器を備えたAgilent 6890N Seriesガスクロマトグラフで実施した。 元素分析(C、H、N)は、EAI CE−440 Elemental Analyzerで実施した。 融点測定は、OptiMelt Automated Melting Point Systemで実施した。 熱重量分析(TGA)はPerkin−Elmer Pyris−1 Thermogravimetric Analyzerで実施した。

    Suzuki反応の進行は、通常、反応液の一定分量のGCまたはGC−MS分析によりモニターした。

    (ポリイミダゾリウムブロミド5a)
    NaH(油中の60%、400mg、10mmol)をイミダゾール(680mg、10mmol)のDMF溶液に加え、生成した懸濁液を室温で5時間撹拌した。 1,2−ジブロモエタン(940mg、5mmol)をこの残渣に加えた。 生成した溶液を室温でさらに4時間撹拌した。 溶媒を真空下で除去した。 1,2−ジイミダゾールエタンをジクロロメタンで抽出した。 この生成物のDMF溶液に1,4−ジブロモブチレン(1.07g、5mmol)を加えた。 生成した溶液を110℃で16時間撹拌した。 淡褐色の固体生成物が反応フラスコに沈殿し、これを濾過し、DMFおよびCH Cl で洗浄し、真空下で乾燥した。 5aを、82%収率(1.54g)で固体として得た。 H NMR(DMSO−d ):δ 9.50(s,1H),7.80(s,1H),7.70(s,1H),6.15(s,1H),4.90(s,2H),4.75(s,2H)。

    (ポリイミダゾリウムブロミド(8a))
    1,2−ジブロモエタン(1.88g、10mmol)を2,6−ジイミダゾールピリジン(2.11g、10mmol)のDMF溶液に加えた。 生成した溶液を110℃で16時間撹拌した。 白色固体生成物が反応フラスコに沈殿し、これを濾過し、DMFおよびCH Cl で洗浄し、真空下で乾燥した。 8aを、85%収率(3.39g)で白色固体として得た。 元素分析:[C 1313 Br ]n(n=10)(8a)に対する計算値:C 37.71,H 3.19,N 16.66;実測値:C 37.81,H 3.65,N 16.48。

    (ポリ−NHC−Pd(6a))
    Pd(OAc) (448mg、2mmol)をポリイミダゾリウムブロミド(5a)(752mg)のDMSO懸濁液に加えた。 生成した混合物を、室温で2時間、50℃で10時間、そして120℃で2時間撹拌した。 反応混合物を30mlのCH Cl に注ぎ込み、100mlのエーテルを加えた。 得られた灰緑色固体を濾過し、DMFおよびCH Cl で洗浄し、真空下で乾燥した。 6aを、5a(886mg)に基づき92%収率で得た。 元素分析:[C 1214 Br Pd] (n=10)(6a)に対する計算値:C 29.35,H 2.89,N 11.22,Pd 21.33;実測値C 28.23,H 2.93,N 10.16,Pd 19.7. M. P. :277.9℃。

    (ポリ−NHC−Pd(9a))
    9aを、最後の段階で反応混合物を150℃で2時間撹拌したこと以外は6aと同一の手順で合成した。 9aを、暗緑色固体として、8aに基づき92%収率で得た。 元素分析:[C 1311 Br Pd] (n=10)(9a)に対する計算値:C 30.33,H 2.87,N 13.40,Pd 20.30;実測値 C 29.69,H 3.01,N 12.76,Pd 17.5. M. P. :244.2℃。

    (Suzukiカップリングについての実験手順)
    アリールハライド(0.5mol)、フェニルボロン酸(0.75mmol)、炭酸セシウム(1.0mmol)、メシチレン(0.5mmol)(GC分析のための内部標準)およびパラジウム触媒(1%)(すなわち、本発明に係るポリNHCパラジウム錯体)をバイアル中で混合した。 1.5mlの溶媒(DMF/H2O=1:0.2)をこの反応混合物に加えた。 このバイアルに蓋をし、反応混合物を所望の温度で大気圧で撹拌した。 (GC−MSにより決定した場合の)反応完了後,触媒を濾過し、反応混合物を水に注ぎ込んだ。 水相をCH2Cl2で抽出した。 生成物をGC−MSにより確認し、収率をGCにより決定した。 反応混合物を遠心分離し、この溶液を傾瀉した。 メタノールを洗浄溶媒として用いてこの手順を少なくとも3回繰り返した。 回収した触媒を次の反応に直接使用した。

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