PAEK/PPSU/PES組成物

申请号 JP2017551001 申请日 2015-12-17 公开(公告)号 JP2018501390A 公开(公告)日 2018-01-18
申请人 ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー; 发明人 エル−ヒブリ, モハマド ジャマール; ゴータム, ケシャブ;
摘要 1〜90重量%(wt%)の少なくとも1種のポリ(アリールエーテルケトン)[(PAEK)ポリマー]、1〜25重量%の少なくとも1種のポリフェニルスルホンポリマー[(PPSU)ポリマー]、1〜90重量%の少なくとも1種のポリエーテルスルホンポリマー[(PES)ポリマー]、および0.1〜50重量%の少なくとも1種の強化充填材を含む組成物[組成物(C)]であって、すべての重量%は、組成物(C)の全重量に基づき、かつ(PES)ポリマーは、ASTM D1238に従って380℃の 温度 および2.16kgの荷重下で35g/10分超のメルトフローレート(MFR)を有する、組成物(C)。【選択図】なし
权利要求

− 1〜90重量%(wt%)の少なくとも1種のポリ(アリールエーテルケトン)[(PAEK)ポリマー]であって、前記(PAEK)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、Ar−C(O)−Ar’基 (式中: ArおよびAr’は、互いに等しいかまたは異なり、芳香族基である) を含む繰り返し単位(RPAEK)であり、かつ 前記繰り返し単位(RPAEK)は、式(J−A)〜式(J−O): (式中: − R’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アミン、および第四級アンモニウムから選択され、 − jは、ゼロまたは1〜4の範囲の整数である) の群から選択される、(PAEK)ポリマー; − 1〜25重量%の少なくとも1種のポリフェニルスルホンポリマー[(PPSU)ポリマー]であって、前記(PPSU)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、式(A): の繰り返し単位(RPPSU)である、(PPSU)ポリマー; − 1〜90重量%の少なくとも1種のポリエーテルスルホンポリマー[(PES)ポリマー]であって、前記(PES)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、式(C): (式中: − R’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アミン、および第四級アンモニウムから選択され、 − j’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、0、1、2、3、または4から選択される) の単位から独立して選択される繰り返し単位(RPES)である、(PES)ポリマー;および − 0.1〜50重量%の少なくとも1種の強化充填材 を含む組成物[組成物(C)]であって、 (式中: ここで、すべてのwt%は、前記組成物(C)の全重量に基づき、かつ 前記PESポリマーは、ASTM D1238に従って380℃の温度および2.16kgの荷重下で35g/10分超のメルトフローレート(MFR)を有する、組成物(C)。前記(PAEK)ポリマーの繰り返し単位の50%モル超が、以下の式(J’−A)〜(J’−O): から選択される繰り返し単位(RPAEK)である、請求項1に記載の組成物(C)。前記(PAEK)ポリマーが、前記組成物(C)の全重量に基づいて、35〜75重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物(C)。前記(PPSU)ポリマーが、前記組成物(C)の全重量に基づいて、4〜10重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物(C)。前記繰り返し(RPES)の50モル%超が、式(D) の繰り返し単位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物(C)。PESポリマーが、前記組成物(C)の全重量に基づいて、25〜70重量%、好ましくは25〜60重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物(C)。前記強化材が、ガラス繊維充填材であり、かつ前記ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、40重量%以下の量で存在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物(C)。前記ガラス繊維が、円形断面およびASTM C1557−03に従って測定して少なくとも76GPaの弾性モジュラスを有する、請求項7に記載の組成物。前記ガラス繊維が、非円形断面およびASTM C1557−03に従って測定して少なくとも76GPaの弾性モジュラスを有する、請求項7に記載のポリマー組成物(C)。前記(PAEK)ポリマーが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。前記PESポリマーが、ASTM D1238に従って380℃の温度および2.16kgの荷重下で55g/10分以上、好ましくは約65g/10分〜約85g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR)を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。前記組成物が、 a)ASTM D638に従って測定された約30,000psi以上の引張り破断強さ; b)ASTM D638に従って測定された約2.6%以上の破断時引張り伸び; c)ASTM D256に従って測定された約1.9フィート−ポンド/インチ以上のノッチ付きアイゾット衝撃抵抗;および d)ASTM D4812に従って測定された約21フィート−ポンド/インチ以上のノッチ無しアイゾット衝撃抵抗 の少なくとも1つを示す、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリマー組成物(C)を製造するための方法であって、 − 少なくとも1種の(PAEK)ポリマー − 少なくとも1種の(PPSU)ポリマー − 少なくとも1種のPESポリマーおよび − 少なくとも1種の強化充填材 を混合する工程を含む、方法。前記混合する工程が、少なくとも1種の他の原料(I)を混合することを含む、請求項13に記載の方法。請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリマー組成物(C)を含む、物品。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、2014年12月22日出願の、米国仮特許出願第62/095,532号に対する優先権を主張するものであり、これは、その全体が参照により本明細書により援用される。

本発明は、高性能ポリアリールエーテルポリマー組成物およびそれから製造された物品に関する。特に、本発明は、少なくとも1種のポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、少なくとも1種のポリフェニルスルホン(PPSU)、少なくとも1種のポリエーテルスルホン(PES)ポリマー、および少なくとも1種の強化充填材を含む組成物に関する。

改善された機械的特性、例えば、強さおよび靭性を有する、低い溶融粘度のポリ(アリールエーテルエトン)(PAEK)組成物を開発するニーズが依然としてある。

本出願人は今や、上述のニーズを満たすPAEK/PPSU/PAES組成物を提供することが可能であることを意外にも見いだした。

例示的な実施形態は、 − 1〜90重量%(wt.%)の少なくとも1種のポリ(アリールエーテルケトン)[(PAEK)ポリマー]であって、前記(PAEK)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、Ar−C(O)−Ar’基 (式中: ArおよびAr’は、互いに等しいかまたは異なり、芳香族基である)を含む繰り返し単位(RPAEK)であり、繰り返し単位 (RPAEK)は、式(J−A)〜式(J−O): (式中: − R’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アミン、および第四級アンモニウムから選択され、 − jは、ゼロ、または1〜4の範囲の整数である) の基から選択される、(PAEK)ポリマー; − 1〜25重量%の少なくとも1種のポリフェニルスルホンポリマー[(PPSU)ポリマー]であって、前記(PPSU)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、式(A): の繰り返し単位(RPPSU)である、(PPSU)ポリマー; − 1〜90重量%の少なくとも1種のポリエーテルスルホンポリマー[(PES)ポリマー]であって、(PES)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、式(C): (式中: − R’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アミン、および第四級アンモニウムから選択され; − j’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、0、1、2、3、または4から選択される) の単位から独立して選択される繰り返し単位(RPES)である、(PES)ポリマー;ならびに − 0.1〜50重量%の少なくとも1種の強化充填材を含む組成物[組成物(C)]であって、 ここで、 すべての重量%は、組成物(C)の全重量に基づき、かつPESポリマーは、 ASTM D1238に従って380℃の温度および2.16kgの荷重下で35g/10分超のメルトフローレート(MFR)を有する、組成物(C)を含む。

好ましくは、(PAEK)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、本明細書で以下の式(J’−A)〜式(J’−O): から選択される繰り返し単位(RPAEK)である。

(PAEK)ポリマーは好ましくは、組成物(C)の全重量に基づいて、35〜75重量%の範囲の量で存在する。好ましくは、(PAEK)ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。

(PPSU)ポリマーは好ましくは、ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、4〜10重量%の範囲の量で存在する。

好ましくは、繰り返し単位(RPES)の50モル%超は、式(D): の繰り返し単位である。

PESポリマーは、組成物(C)の全重量に基づいて、25〜70重量%の範囲の量で、好ましくは、組成物(C)の全重量に基づいて、25〜60重量%の範囲の量で存在してもよい。

強化充填材は、ガラス繊維充填材であってもよく、およびポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、40重量.%以下の量で存在してもよい。好ましくは、ガラス繊維は、S−ガラス繊維である。

例示的な実施形態において、PESポリマーは、ASTMD1238に従って380℃の温度および2.16kgの荷重下で 55g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有する。好ましくは、PESポリマーは、ASTM D1238に従って380℃の温度および2.16kgの荷重下で約65g/10分〜約85g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR)を有する。

例示的な実施形態によれば、本組成物は、ASTM D638に従って測定された約30,000psi以上の引張り破断強さ、ASTM D638に従って測定された約2.6%以上の破断時引張り伸び、ASTM D256に従って測定された約1.9フィート−ポンド/インチ以上のノッチ付きアイゾット衝撃抵抗、およびASTM D4812に従って測定された約21フィート−ポンド/インチ以上のノッチ無しアイゾット衝撃抵抗の少なくとも1つを示してもよい。

例示的な実施形態は、少なくとも1種の(PAEK)ポリマー、少なくとも1種の(PPSU)ポリマー、少なくとも1種のPESポリマー、少なくとも1種の強化充填材、および任意選択で少なくとも1種の他の原料(I)を混合する工程を含む、ポリマー組成物(C)を製造するための方法を含む。

例示的な実施形態はまた、本明細書に記載されるとおりのポリマー組成物(C)を含む、物品を含む。

例示的な実施形態は、 − 1〜90重量%(wt.%)の少なくとも1種のポリ(アリールエーテルケトン)[(PAEK)ポリマー]であって、前記(PAEK)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、Ar−C(O)−Ar’基を含む繰り返し単位(RPAEK)であり、ArおよびAr’は、互いに等しいかまたは異なり、芳香族基である、(PAEK)ポリマー[繰り返し単位(RPAEK)は、式(J−A)〜式(J−O): (式中: − R’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アミンおよび第四級アンモニウムから選択され、jは、ゼロまたは1〜4の整数である) から選択されてもよい]; − 1〜25重量%の少なくとも1種のポリフェニルスルホンポリマー[(PPSU)ポリマー]であって、前記(PPSU)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、式(A): の繰り返し単位(RPPSU)である、(PPSU)ポリマー; − 1〜90重量%の少なくとも1種のポリエーテルスルホンおよび少なくとも1種のポリエーテルスルホンポリマー[(PES)ポリマー]であって、前記(PES)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、繰り返し単位(RPES)であり、前記繰り返し単位(RPES)は、出現するごとに互いに等しいかまたは異なり、式(C): (式中: − R’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類金属ホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アミンおよび第四級アンモニウムから選択され;j’のそれぞれは、出現するごとに互いに等しいかまたは異なり、独立して、ゼロであるかまたは1〜4の整数である) に従う、(PES)ポリマー;および − 0.1〜50重量%の少なくとも1種の強化充填材 を含む組成物[組成物(C)]であって、 すべての重量.%は、組成物(C)の全重量に基づき、かつ PESポリマーは、ASTM D1238に従って380℃の温度および2.16kgの荷重下で35g/10分超のメルトフローレート(MFR)を有する、組成物(C)を含む。

本明細書でより詳細に説明されるとおりに、作業実験に関連して、本出願人は、意外なことに、上に詳述されたとおり、(PAEK)ポリマーおよび(PES)ポリマーの混合物への(PPSU)ポリマーの添加が、機械的特性の改善、より正確には、靭性の増強において特に有効であることを見出した。理論によって拘束されないが、(PPSU)ポリマーは、(PAEK)と(PES)ポリマーとの間の相溶化剤として作用し、したがって、予想外の特性の増強を与えると考えられる。

本文の残りにおいて、表現「(PAEK)ポリマー」は、本発明の目的のために、複数形および単数形の両方で、すなわち、本発明組成物は1種または2種以上の(PAEK)ポリマーを含んでもよいことが理解される。同じことが、表現「(PPSU)ポリマー」、「(PES)ポリマー」、および「強化充填材」について適用されることが理解される。

ポリ(アリールエーテルケトン)ポリマー 述べたように、(PAEK)ポリマーの繰り返し単位の50モル%超は、上に詳述されたとおりの、繰り返し単位(RPAEK)である。

繰り返し単位(RPAEK)において、それぞれのフェニレン部分は独立して、繰り返し単位中でR’と異なる他の部分に対して1,2−、1,4−または1,3−結合を有してもよい。好ましくは、前記フェニレン部分は、1,3−または1,4−結合を有し、より好ましくは、それらは、1,4−結合を有する。

繰り返し単位(RPAEK)において、j’は、好ましくは、出現するごとにゼロであり、したがって、フェニレン部分は、ポリマーの主鎖での結合を可能にするもの以外置換基をまったく有しない。

したがって、好ましい繰り返し単位(RPAEK)は、式(J’−A)〜式(J’−O): から選択される。

さらにより好ましくは、(RPAEK)は、 から選択される。

上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマーにおいて、繰り返し単位の好ましくは60モル%超、より好ましくは80モル%超、さらにより好ましくは90モル%超は、上に詳述されたとおりの繰り返し単位(RPAEK)である。

さらに、(PAEK)ポリマーの実質的にすべての繰り返し単位が、上に詳述されたとおりの、繰り返し単位(RPAEK)であることが一般に好ましく;鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、(PAEK)ポリマーの特性を実質的に変性しないことが理解される。

(PAEK)ポリマーは特に、ホモポリマー、ランダム、交互またはブロックコポリマーであってもよい。(PAEK)ポリマーがコポリマーである場合、それは特に、(i)式(J−A)〜式(J−O)から選択される少なくとも2種の異なる式の繰り返し単位(RPAEK)、または(ii)1つ以上の式(J−A)〜式(J−O)の繰り返し単位(RPAEK)、および繰り返し単位(RPAEK)とは異なる繰り返し単位(R*PAEK)を含んでもよい。

後で詳述されるとおりに、(PAEK)ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトンポリマー([(PEEK)ポリマー]であってもよい。代わりに、(PAEK)ポリマーは、ポリエーテルケトンケトンポリマー[(PEKK)ポリマー]、ポリエーテルケトンポリマー[(PEK)ポリマー]、ポリエーテルエーテルケトンケトンポリマー[(PEEKK)ポリマー]、またはポリエーテルケトンエーテルケトンケトンポリマー[(PEKEKK)ポリマー]であってもよい。

(PAEK)ポリマーはまた、上に詳述されたとおりの、(PEKK)ポリマー、(PEEK)ポリマー、(PEK)ポリマー、(PEEKK)ポリマー、および(PEKEKK)ポリマーから選択される少なくとも2種の異なる(PAEK)ポリマーを含むブレンドであってもよい。

本明細書で使用される場合、用語「(PEEK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Aの繰り返し単位(RPAEK)である任意のポリマーを意味することが意図される。

(PEEK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Aの繰り返し単位である。最も好ましくは、(PEEK)ポリマーの繰り返し単位のすべてまたは本質的にすべては、式J’−Aの繰り返し単位である。

本明細書で使用される場合、用語「(PEKK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Bの繰り返し単位(RPAEK)である任意のポリマーを意味することが意図される。

(PEKK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Bの繰り返し単位である。最も好ましくは、(PEKK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Bの繰り返し単位である。

本明細書で使用される場合、用語「(PEK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Cの繰り返し単位(RPAEK)である任意のポリマーを意味することが意図される。

(PEK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Cの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Cの繰り返し単位である。

本明細書で使用される場合、用語「(PEKEKK)ポリマー」は、その繰り返し単位の50モル%超が式J’−Lの繰り返し単位(RPAEK)である任意のポリマーを意味することが意図される。

(PEKEKK)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式J’−Lの繰り返し単位である。最も好ましくは(PEKEKK)ポリマーの繰り返し単位はすべて、式J’−Lの繰り返し単位である。

例示的な実施形態によれば、(PAEK)ポリマーは、(PEEK)ホモポリマー、すなわち、(PEEK)ポリマーの繰り返し単位の実質的にすべては、式J’−Aの繰り返し単位であるポリマーであり、ここで、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は(PEEK)ホモポリマーの特性を実質的に変性しないことが理解される。

(PAEK)ポリマーは、0.1g/100mlの(PAEK)ポリマー濃度で95〜98%硫酸(d=1.84g/ml)中で測定して、少なくとも0.50dl/g、好ましくは少なくとも0.60dl/g、より好ましくは少なくとも0.70dl/gの固有粘度(IV)を有することができる。

(PAEK)ポリマー、例えば、PEEKは、ASTM D3835に従って毛管レオメータを使用して測定して、400℃および1000sー1の剪断速度で0.25kPa−s程度に高い、しかし、好ましくは0.20kPa−s未満、最も好ましくは0.18kPa−s未満の溶融粘度を有してもよい。(PAEK)ポリマー、例えば、PEEKは、上記条件下で0.05kPa−s程度に低い溶融粘度を有してもよい。

(PAEK)ポリマー、例えば、PEEKは、ASTM D3835に従って毛管レオメータを使用して測定して、400℃および1000sー1の剪断速度で、約0.05kPa−s〜約0.25kPa−s、好ましくは約0.06kPa−s〜約0.20kPa−s、好ましくは約0.07kPa−s〜約0.18kPa−s、好ましくは約0.08kPa−s〜約0.15kPa−sの範囲の溶融粘度を有してもよい。

毛管レオメータとして、Kayeness Galaxy V Rheometer(Model 8052 DM)が使用されてもよい。

適当な市販の(PAEK)ポリマーの非限定的な例としては、Solvay Specialty Polymers USA,LLCから市販されているKETASPIRE(登録商標)ポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。

(PAEK)ポリマーは、ポリ(アリールエーテルケトン)の製造のための当該技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。

ポリエーテルエーテルケトンホモポリマーは、KETASPIRE(登録商標)およびGATONE(登録商標)ポリ(エーテルエーテルケトン)として特にSolvay Specialty Polymers USA,L.L.C.から市販されている。

組成物(C)中の(PAEK)ポリマーの重量パーセントは、組成物(C)の全重量に基づいて、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも35重量%の、より好ましくは少なくとも40重量%のものである。組成物(C)中のポリマー(PAEK)の重量パーセントは、組成物(C)の全重量に基づいて、好ましくは最大でも85重量%、より好ましくは最大でも80重量%、より好ましくは最大でも75重量%、より好ましくは最大でも70重量%のものである。

例示的な実施形態において、組成物(C)は、組成物(C)の全重量に基づいて、35〜75重量%、好ましくは35〜65重量%、好ましくは35〜55重量%、好ましくは35〜45重量%、好ましくは35〜40重量%、好ましくは37〜39重量%、好ましくは約38重量%の範囲の量で(PAEK)ポリマーを含む。

ポリフェニルスルホン(PPSU)ポリマー 述べたように、ポリマー組成物(C)は、少なくとも1種の(PPSU)ポリマーを含む。

好ましい実施形態において、(PPSU)ポリマーの75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、さらにより好ましくは実質的にすべての繰り返し単位は、式(A)の繰り返し単位(RPPSU)であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、特性を実質的に変性しないことが理解される。

(PPSU)ポリマーは、特にホモポリマー、またはランダムコポリマーもしくはブロックコポリマーなどのコポリマーであってよい。(PPSU)ポリマーがコポリマーである場合、その繰り返し単位は、有利には式(A)の繰り返し単位(RPPSU)と、および特に本明細書で以後表される式(D)、式(E)または式(F): の繰り返し単位およびそれらの混合物などの、繰り返し単位(RPPSU)とは異なる、繰り返し単位(RPPSU*)との混合物である。

(PPSU)ポリマーはまた、前述のホモポリマーおよびコポリマーのブレンドであることができる。

Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C.製のRADEL(登録商標)R PPSUは、市販のポリフェニルスルホンホモポリマーの例である。

(PPSU)ポリマーは、公知の方法によって調製することができる。

(PPSU)ポリマーは、好ましくは、ASTM法D1238に従って測定して、365℃および5.0kgの荷重下で5g/10分以上、好ましくは365℃および5.0kgの荷重下で10g/10分以上、より好ましくは365℃および5.0kgの荷重下で14g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有し;前記メルトフローレートを測定するために、Tinius Olsen Extrusion Plastometerメルトフロー試験装置が使用されてもよい。

(PPSU)ポリマーのメルトフローレートの上界は、決定的ではなく、当業者によって選択されてもよい。好ましくは、(PPSU)ポリマーは、ASTM法D1238に従って365℃および5.0kgの荷重下で測定される場合、最大でも100g/10分、好ましくは最大でも60g/10分、より好ましくは最大でも40g/10分のメルトフローレートを有してもよい。

ある特定の実施形態によれば、組成物(C)は、上に記載されたとおりに測定された、約5g/10分〜約60g/10分、好ましくは約10g/10分から約60g/10分、好ましくは約20g/10分〜約60g/10分、好ましくは約20g/10分〜約40g/10分の範囲のメルトフローレートを有する(PPSU)ポリマーを含んでもよい。

(PPSU)ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてASTM D5296を使用してゲル浸透クロマトグラフィにより決定して1モル当たり20,000〜100,000グラム(g/モル)の範囲であってよい。一部の実施形態において、PPSUポリマーの重量平均分子量は、1モル当たり40,000〜80,000グラム(g/モル)の範囲である。

ポリマー組成物(C)において、(PPSU)ポリマーは、ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、さらにより好ましくは少なくとも5重量%の量で存在してもよい。

(PPSU)ポリマーはまた、ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、最大でも25重量%、好ましくは最大でも20重量%、より好ましくは最大でも15重量%、さらにより好ましくは最大でも10重量%の量で存在してもよい。

好ましくは、(PPSU)ポリマーは、ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、約2〜約20重量%、好ましくは約3〜約15重量%、好ましくは約3〜約10重量%、好ましくは約3〜約7重量%、好ましくは約4〜約6重量%の範囲の量で存在する。最も好ましくは、PPSUポリマーの量は、約5%である。

(PES)ポリマー 述べたように、繰り返し単位の50モル%超は、上に詳述されたとおりの、式(C)の繰り返し単位(RPES)である。

好ましい繰り返し単位(RPES)は、以下に示される、式(D): に従うものである。

(PES)ポリマーの繰り返し単位の好ましくは75モル%超、好ましくは85モル%超、好ましくは95モル%超、好ましくは99モル%超は、式(C)の繰り返し単位である。最も好ましくは、ポリエーテルスルホンの繰り返し単位のすべてまたは本質的にすべては、式(C)の繰り返し単位であり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は、ポリマーの特性を実質的に変性しないことが理解される。

好ましい実施形態において、(PES)ポリマーの繰り返し単位の75モル%超、より好ましくは90モル%超、より好ましくは99モル%超、さらにより好ましくは実質的にすべてまたは本質的にすべては、式(D)のものであり、鎖欠陥、または非常に少量の他の単位が存在してもよく、これらの後者は特性を実質的に変性しないことが理解される。

(PES)ポリマーは、ホモポリマー、またはランダムコポリマーもしくはブロックコポリマーなどのコポリマーであってよい。(PES)ポリマーがコポリマーである場合、その繰り返し単位は好ましくは、式(D)の繰り返し単位(RPES)と、繰り返し単位(RPES*)との混合物である。これらの繰り返し単位(RPES*)は、以下の式(L)、式(M)および式(Q): (式中: − R’のそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、エーテル、チオエーテル、カルボン酸、エステル、アミド、イミド、アルカリまたはアルカリ土類金属スルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルカリまたはアルカリ土類ホスオン酸塩、アルキルホスホン酸塩、アミン、および第四級アンモニウムから選択され; − i’のそれぞれは、互いにおよび出現するごとに等しいかまたは異なり、独立して、ゼロであるかまたは1〜4の整数であり; − Tのそれぞれは、互いに等しいかまたは異なり、結合、−CH2−;−O−;−S−;−C(O)−;−C(CH3)2−;−C(CF3)2−;−C(=CCl2)−;−C(CH3)(CH2CH2COOH)−;−N=N−;−RaC=CRb−;(ここで、各RaおよびRbは、互いに独立して、素、またはC1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、もしくはC6〜C18アリール基である);−(CH2)q−および−(CF2)q−(ここで、qは、1〜6の範囲の整数である)、または最大で6個の炭素原子の、直鎖もしくは分岐の、脂肪族二価基;ならびにそれらの混合物から選択される) のものから選択することができる。

具体的な繰り返し単位(RPES*)は、以下の式(A)、式(E)および式(F): のもの およびそれらの混合物から選択することができる。

(PES)ポリマーはまた、前述のホモポリマーおよびコポリマーのブレンドであることができる。

例示的な(PES)ポリマーは、Solvay Specialty Polymers USA, L.L.CからVERADEL(登録商標)PESとして入手可能である。

(PES)ポリマーは、公知の方法によって調製することができる。

(PES)ポリマーは、ASTM D1238に従って380℃および2.16kgの荷重下で35g/10分超、好ましくは40g/10分以上、好ましくは45g/10分以上、好ましくは50g/10分以上、好ましくは55g/10分以上、好ましくは60g/10分以上、好ましくは65g/10分以上、好ましくは70g/10分以上、好ましくは75g/10分以上、好ましくは80g/10分以上のメルトフローレート(MFR)を有してもよい。

(PES)ポリマーは、ASTM D1238に従って380℃および2.16kgの荷重下で35g/10分超〜約100g/10分、好ましくは約36g/10分〜約100g/10分、好ましくは約36g/10分〜約95g/10分、好ましくは約36g/10分〜約90g/10分、好ましくは約36g/10分〜約85g/分、好ましくは約40g/10分〜約85g/10分、好ましくは約45g/10分〜約85g/10分、好ましくは約50g/10分〜約85g/10分、好ましくは約55g/10分〜約85g/10分、好ましくは約60g/10分〜約85g/10分、最も好ましくは約65g/10分〜約85g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR)を有してもよい。

メルトフローレートを測定するために、Tinius Olsen Extrusion Plastometerメルトフロー試験装置が使用されてもよい。

(PES)ポリマーのメルトフローレートのための上界は、決定的ではなく、当業者によって選択されてもよい。それにもかかわらず、(PES)ポリマーは、ASTM法D1238に従って380℃および2.16kgの荷重下で測定される場合、最大でも100g/10分、好ましくは最大でも80g/10分のメルトフローレートを有してもよいことが理解される。

例示的な実施形態において、VERADEL(登録商標)PESの重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてASTM D5296を使用してゲル浸透クロマトグラフィによって決定して1モル当たり20,000〜100,000グラム(g/モル)の範囲であってもよい。一部の実施形態において、VERADEL(登録商標)PESの重量平均分子量は、1モル当たり40,000〜80,000グラム(g/モル)の範囲であってもよい。

組成物(C)中の(PES)ポリマーの重量パーセントは、好ましくは、組成物(C)の全重量に基づいて、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%である。組成物(C)中の(PES)ポリマーの重量パーセントは一般に、組成物(C)の全重量に基づいて、最大でも85重量%、より好ましくは最大でも80重量%、より好ましくは最大でも75重量%、より好ましくは最大でも70重量%のものであることがさらに理解される。

組成物(C)中の(PES)ポリマーの重量パーセントは、好ましくは、約1〜約90重量%、好ましくは約5〜約80重量%、好ましくは約10〜約70重量%、好ましくは約15〜約60重量%、好ましくは約20〜約50重量%、好ましくは約25〜約40重量%、好ましくは約25〜約35重量%、好ましくは約25〜約30重量%、好ましくは約26〜約28重量%の範囲である。最も好ましくは、(PES)ポリマーの重量パーセントは、約27重量%である。

強化充填材 幅広く選択した強化充填材が、組成物(C)に添加されてもよい。それらは好ましくは、繊維状および粒子状充填材から選択される。繊維状強化充填材は、平均長さが幅および厚さの両方よりもかなり大きい、長さ、幅および厚さを有する材料であると本明細書では見なされる。好ましくは、そのような材料は、少なくとも5の、長さと最小の幅および厚さとの間の平均比と定義される、アスペクト比を有する。好ましくは、強化充填材のアスペクト比は、少なくとも10、より好ましくは少なくとも20、さらにより好ましくは少なくとも50である。

好ましくは、強化充填材は、無機充填材、例えば、特にタルク、雲母、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム);ガラス繊維;炭素繊維、例えば、特にグラファイト状炭素繊維(それらのいくつかは、恐らくは99%超のグラファイト含有率を有する)、非晶質炭素繊維、ピッチ系炭素繊維(それらのいくつかは、恐らくは99%超のグラファイト含有率を有する)、PAN系炭素繊維;合成ポリマー繊維;アラミド繊維;アルミニウム繊維;ケイ酸アルミニウム繊維;このようなアルミニウム繊維の金属の酸化物;チタン繊維;マグネシウム繊維;炭化ホウ素繊維;ロックウール繊維;スチール繊維;石綿;ウォラストナイト;炭化ケイ素繊維;ホウ素繊維、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)などから選択される。

一実施形態において、充填材は、繊維状充填材である。好ましくは、繊維状充填材はガラス繊維である。好ましくは、繊維状充填材は、連続繊維状充填材である。1種以上の充填材が使用されてもよい。

他の実施形態において、充填材は非繊維状である。

ガラス繊維は、異なるタイプのガラスを生成させるために調整され得るいくつかの金属酸化物を含有するシリカ系ガラス化合物である。主な酸化物は、ケイ砂の形態のシリカであり;カルシウム、ナトリウムおよびアルミニウムなどの他の酸化物が、溶融温度を低下させ、および結晶化を妨げるために組み込まれる。ガラス繊維は、長円形、楕円形または長方形を含めて、円形断面または非円形断面を有してもよい(いわゆる「扁平ガラス繊維」)。ガラス繊維は、エンドレス繊維としてまたはチョップドガラス繊維として添加されてもよい。ガラス繊維は、一般に5〜20μm、好ましくは5〜15μm、より好ましくは5〜10μmの均等な直径を有する。A、C、D、E、M、S、R、Tガラス繊維(Additives for Plastics Handbook,2nd ed,John Murphyの第5.2.3章、43〜48ページに記載されているような)、または任意のそれらの混合物もしくはそれらの混合物などの、すべてのガラス繊維タイプが使用されてもよい。例えば、R、SおよびTガラス繊維は、典型的には、ASTM D2343に従って測定して少なくとも76、好ましくは少なくとも78、より好ましくは少なくとも80、最も好ましくは少なくとも82GPaの弾性モジュラスを有する高モジュラスガラス繊維である。

E、R、SおよびTガラス繊維は、当技術分野で周知である。それらは特に、Fiberglass and Glass Technology,Wallenberger,Frederick T.;Bingham,Paul A.(Eds.),2010,XIV,chapter5,pages197−225に記載されている。R、SおよびTガラス繊維は、ケイ素、アルミニウムおよびマグネシウムの酸化物から本質的になる。特に、それらのガラス繊維は典型的には、62〜75重量%のSiO2、16〜28重量%のAl2O3および5〜14重量%のMgOを含む。ポリマー組成物に広く使用される通常のEガラス繊維とは対照的に、R、SおよびTガラス繊維は、10重量%未満のCaOを含む。

好ましくは、繊維状充填材、特にガラス繊維は、高温サイズ剤と配合される。本出願人は、前記高温サイズ剤が、(PEEK)、(PEKK)および(PPSU)ポリマーのような、一般に高温で加工されるのを必要とするポリマーとの優れた界面接着を与えることを観察した。

例示的な実施形態によれば、ガラス繊維は、非円形断面およびASTM C1557−03に従って測定して少なくとも76GPaの弾性モジュラスを有してもよい。

ガラス繊維は、長円形、楕円形または長方形を含めて、非円形断面を有してもよい(いわゆる「扁平ガラス繊維」)。

繊維状充填材、特にガラス繊維は、少なくとも15μm、好ましくは少なくとも20μm、より好ましくは少なくとも22μm、さらにより好ましくは少なくとも25μmの断面最長直径を有してもよい。それは、有利には最大でも40μm、好ましくは最大でも35μm、より好ましくは最大でも32μm、さらにより好ましくは最大でも30μmのものである。優れた結果は、断面最長直径が、15〜35μm、好ましくは20〜30μm、より好ましくは25〜29μmの範囲である場合に得られた。

繊維状充填材、特にガラス繊維は、少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、より好ましくは少なくとも6μm、さらにより好ましくは少なくとも7μmの断面最短直径を有してもよい。それは、有利には最大でも25μm、好ましくは最大でも20μm、より好ましくは最大でも17μm、さらにより好ましくは最大でも15μmのものである。優れた結果は、断面最短直径が、5〜20μm、好ましくは5〜15μm、より好ましくは7〜11μmの範囲である場合に得られた。

繊維状充填材、特にガラス繊維は、少なくとも2、好ましくは少なくとも2.2、より好ましくは少なくとも2.4、さらにより好ましくは少なくとも3.のアスペクト比を有してもよい。アスペクト比は、ガラス繊維の断面における最長直径と、その最短直径の比と定義される。また、ガラス繊維のアスペクト比は、最大でも8、好ましくは最大でも6、より好ましくは最大でも4のものである。優れた結果は、前記比が約2〜約6、好ましくは約2.2〜約4のものである場合に得られた。

ガラス繊維の断面の形状、その長さ、その断面直径およびそのアスペクト比は、光学顕微鏡法を使用して容易に決定することができる。例えば、繊維断面のアスペクト比は、Euromex光学顕微鏡および画像解析ソフトウェア(Image Focus 2.5)を使用して、繊維断面の最長(幅)および最小(高さ)寸法を測定し、1番目の数を2番目の数で除すことによって決定されてもよい。

ガラス繊維は、ASTM C1557−03に従って測定して少なくとも76GPa、ASTM C1557−03に従って測定して、好ましくは少なくとも78、より好ましくは少なくとも80、さらにより好ましくは少なくとも82、最も好ましくは少なくとも84GPaの弾性モジュラスを有してもよい。

また、ポリマー組成物(C)のガラス繊維は、ASTM C1557−03に従って測定して少なくとも3.5GPa、ASTM C1557−03に従って測定して、好ましくは少なくとも3.6、より好ましくは少なくとも3.7、さらにより好ましくは少なくとも3.8、最も好ましくは少なくとも3.9GPaの引張り強さを有する。

弾性モジュラスおよび引張り強さのこのレベルは典型的には、ガラス繊維を製造するために使用されるガラスの特定の化学組成を使用する場合に達せられる。ガラスは、異なるタイプのガラスを生成させるために調整され得るいくつかの金属酸化物を含有するシリカ系ガラス化合物である。主な酸化物は、ケイ砂の形態のシリカであり;カルシウム、ナトリウムおよびアルミニウムなどの他の酸化物が、溶融温度を低下させ、および結晶化を妨げるために組み込まれる。Al2O3の高負荷を有するガラスを使用する場合、それから誘導されるガラス繊維は高い弾性モジュラスを示すことが当技術分野において周知である。特に、それらのガラス繊維は典型的には、ガラス組成物の全重量に基づいて、55〜75重量%のSiO2、16〜28重量%のAl2O3および5〜14重量%のMgOを含む。ポリマー組成物中に幅広く使用される通常のE−ガラス繊維とは反対に、高モジュラスガラス繊維は、5重量%未満、好ましくは1重量%未満のB2O3を含む。

ガラス繊維は、ガラス組成物の全重量に基づいて、高い負荷のAl2O3、典型的には16〜28重量%のAl2O3を特徴とするガラス組成物を使用して米国特許第4,698,083号明細書に記載されたものなどの周知の技術によって製造されてもよい。

一実施形態によれば、ガラス繊維は、ポリマー組成物(C)のポリマーおよび他の原料との反応を調整し、ならびにポリマー/ガラス結合を改善するためにその表面上に所定の材料でコーティングされてもよい。コーティング材料は、ガラス繊維強化ポリマー組成物の性能を変化させ得る。

別の実施形態において、ポリマー組成物(C)中の強化充填材は炭素繊維である。

本発明の目的のために、用語「炭素繊維」は、グラファイト化、部分グラファイト化および非グラファイト化炭素強化繊維またはそれらの混合物を含むことが意図される。

本発明の目的のために、用語「繊維」は、比較的高い直線強度(tenacity)および長さと直径の高い比で特徴付けられる固体(しばしば、結晶)の基本的な形態を意味する。

用語「グラファイト化」は、炭素原子が、グラファイト構造と同様に配置される、炭素繊維の高温熱分解(2000℃超)によって得られる炭素繊維を意味することを意図する。

本発明に有用な炭素繊維は有利には、例えば、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、芳香族ポリアミドまたはフェノール樹脂などの異なるポリマー前駆体の熱処理および熱分解によって得ることができ、本発明に有用な炭素繊維はまた、ピッチ材料から得られてもよい。

本発明に有用な炭素繊維は好ましくは、PAN系炭素繊維(PAN−CF)、ピッチ系炭素繊維、グラファイト化ピッチ系炭素繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される。

PAN系炭素繊維(PAN−CF)は、有利には3〜20μm、好ましくは4〜15μm、より好ましくは5〜10μm、最も好ましくは6〜8μmの直径を有する。良好な結果は、7μmの直径を有するPAN系炭素繊維(PAN−CF)で得られた。

PAN−CFは、任意の長さのものであってもよい。一般に、PAN−CFの長さは、少なくとも50μmである。

少なくとも約50重量%のグラファイト状炭素、約75重量%超のグラファイト状炭素、最大で実質的に100%のグラファイト状炭素を含有するグラファイト化ピッチ系炭素繊維が、商業的供給源から容易に入手可能である。本発明の実施に使用するのに特に好適な高度グラファイト状炭素繊維は、高導電性としてさらに特徴づけられてもよく、およびこのような繊維は、1平方インチ当たり約80〜約1億2千万ポンド、すなわち百万ポンド/インチ2(MSI)のモジュラスを有して、一般に使用される。ある特定の実施形態において、高度グラファイト状炭素繊維は、約85〜約120MSIのモジュラス、および他のある特定の実施形態において、約100〜約115MSIのモジュラスを有する。

ピッチ系CFは、有利には5〜20μm、好ましくは7〜15μm、より好ましくは8〜12μmの直径を有する。

ピッチ系CFは、任意の長さのものであってもよい。ピッチ系CFは、有利には1μm〜1cm、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは5μm〜500μm、さらにより好ましくは50〜150μmの長さを有する。

炭素繊維は、チョップド炭素繊維として、または繊維をミルにかけるかもしくは粉末状にすることによって得られてもよいような微粒子形態で用いられてもよい。本発明の実施に使用するのに好適な粉末状にされたグラファイト化ピッチ系炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維のThermalGraph DKD XおよびCKD XグレードとしてCytec Carbon FibersならびにDialead炭素繊維としてMitsubishi Carbon Fibersからを含めて商業的供給源から入手されてもよい。本発明に好ましく使用されるチョップドPAN系炭素繊維は、商業的供給源から入手されてもよい。

強化充填材は好ましくは、ポリマー組成物(C)中に、ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%の量で存在する。

強化充填材はまた、ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、好ましくは最大でも45重量%、より好ましくは最大でも40重量%、さらにより好ましくは最大でも30重量%の量で存在する。

好ましくは、強化充填材の量は、約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは約5重量%〜約45重量%、好ましくは約10重量%〜約40重量%、好ましくは約15重量%〜約35重量%、好ましくは約20重量%〜約35重量%、好ましくは約25重量%〜約35重量%、好ましくは約28重量%〜約32重量%の範囲である。好ましくは、強化充填材の量は、ポリマー組成物(C)の約30重量%である。

他の原料 ポリマー組成物(C)は、他の原料(I)、例えば、着色剤、例えば、特に染料、および/もしくは顔料、例えば、特に二酸化チタン、硫化亜鉛および酸化亜鉛、紫外線安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、例えば、特に有機ホスファイトおよびホスホナイト、酸捕捉剤、加工助剤、核形成剤、内部滑剤および/もしくは外部滑剤、難燃剤、煙抑制剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、ならびに/または導電性添加剤、例えば、カーボンブラックおよびカーボンナノフィブリルをさらに任意選択で含んでもよい。

ポリマー組成物(C)はまた、上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマー、(PPSU)ポリマーおよび(PES)ポリマーとは異なる他のポリマーをさらに含んでもよい。特に、ポリマー組成物(C)は、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレン、ポリエステルおよびポリフェニレンスルフィドなどのポリマーをさらに含んでもよい。それらの添加は、組成物(C)が、ある種の特別な最終使用によって必要とされるような、いくらかの特定の要件を満たさなければならない場合、特に有用であり得る。

1種以上の他の原料が存在する場合、それらの全重量は、ポリマー組成物(C)の全重量に基づいて、好ましくは20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、さらにより好ましくは2%未満である。

本発明の組成物(C)は好ましくは、上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PES)ポリマー、上に詳述されたとおりの、強化充填材、および任意選択で、上に詳述されたとおりの、他の原料(I)から本質的になる。

本明細書で使用される場合の表現「から本質的になる」は、上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PES)ポリマー、上に詳述されたとおりの、強化充填材、および任意選択で、他の原料(I)とは異なる任意の追加の原料が、組成物(C)の全重量に基づいて、最大でも1重量%の量で存在することを意味することが意図される。

例示的な実施形態において、組成物(C)は、 − 35〜75重量%の少なくとも1種の(PEEK)ポリマー、 − 3〜15重量%の少なくとも1種の(PPSU)ポリマー、 − 30〜70重量%の少なくとも1種の(PES)ポリマー、および − 15〜30重量%のガラス繊維 を含み、またはそれらから本質的になり; ここで、すべての%は、組成物(C)の全重量に基づく。

例示的な実施形態によれば、組成物(C)は、ASTM D638に従って測定された、約30,000psi以上、好ましくは約30,500psi以上、好ましくは約31,000psi以上、好ましくは約31,500psi以上の引張り破断強さを示す。

例示的な実施形態によれば、組成物(C)は、ASTM D638に従って測定された、約2.6%以上、好ましくは約2.7%以上の破断時引張り伸びを示す。

例示的な実施形態によれば、組成物(C)は、ASTM D256に従って測定された、約1.9フィート−ポンド/インチ以上、好ましくは約2.0フィート−ポンド/インチ以上、好ましくは約2.1フィート−ポンド/インチ以上のノッチ付きアイゾット衝撃抵抗を示す。

例示的な実施形態によれば、組成物(C)は、ASTM D4812に従って測定された、約21フィート−ポンド/インチ以上、好ましくは約22フィート−ポンド/インチ以上、好ましくは約23フィート−ポンド/インチ以上のノッチ無しアイゾット衝撃抵抗を示す。

当業者は、本明細書に記載される物理的、化学的、および機械的特性の任意の組合せを示す組成物が企図され、かつ本開示の範囲内であることを理解する。

組成物(C)は、ポリマー材料と、配合物中で所望される、上に詳述されたとおりの、任意の任意選択の原料との緊密な混合を伴う様々な方法によって、例えば、溶融混合、または乾式ブレンディングと溶融混合との組合せによって調製することができる。典型的には、上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PES)ポリマー、上に詳述されたとおりの、強化充填材、および任意選択で、他の原料(I)の乾式ブレンディングは、特にHenschel型ミキサおよびリボンミキサなどの、高強ミキサを使用することよって行われる。

このような粉末混合物は、上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたとおりの(PES)ポリマー、上に詳述されたとおりの、強化充填材、および任意選択で、他の原料(I)を、上に記載されたとおりの重量比で含んでもよい。例示的な組成物は、射出成形もしくは押出しなどの溶融製造方法によって完成物品を製造するために適するか、またはマスターバッチとして使用され、その後の加工工程で、上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたとおりの(PES)ポリマー、上に詳述されたとおりの強化充填材、および任意選択で、他の原料(I)のさらなる量で希釈される濃縮混合物であることができる。

上に記載されたとおりの粉末混合物をさらに溶融コンパウンディングすることによって本組成物を製造することも可能である。述べたように、溶融コンパウンディングは、上に詳述されたとおりの粉末混合物に対して、または好ましくは上に詳述されたとおりの、(PAEK)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PPSU)ポリマー、上に詳述されたとおりの、(PES)ポリマー、上に詳述されたとおりの、強化充填材、および任意選択で、他の原料(I)に対して直接行なうことができる。従来型の溶融コンパウンディング装置、例えば、同方向回転および異方向回転押出機、単軸スクリュ押出機、コニーダー、ディスク−パックプロセッサ、ならびに様々な他のタイプの押出装置を使用することができる。好ましくは、押出機、より好ましくは二軸スクリュ押出機を使用することができる。

望まれる場合、コンパウンディングスクリュの設計、例えば、フライトピッチおよび幅、クリアランス、長さならびに運転条件は、十分な熱および機械的エネルギーが与えられて、上に詳述されたとおりの粉末混合物または原料を完全に溶融させ、異なる原料の均一な分布を得るように選択される。但し、最適混合はバルクポリマーと充填材内容物との間で達成されることを条件とする。例示的な実施形態において、組成物(C)は、延性でなくてもよいストランド押出物を形成するために使用されてもよい。このようなストランド押出物は、例えば、水噴霧によってコンベヤ上で冷却後に、例えば、回転切断ナイフによってチョップすることができる。このようにして、例えば、ペレットまたはビーズの形態で存在してもよい組成物(C)は、次いで、物品の製造のためにさらに使用することができる。

例示的な実施形態はまた、上記のポリマー組成物(C)を含む物品を含む。

物品は、任意の適当な溶融加工方法を使用してポリマー組成物(C)から作製されてもよい。特に、それらは、射出成形または押出成形によって作製されてもよい。

ポリマー組成物(C)は、多種多様な最終使用に有用な物品の製造によく適し得る。

本発明による物品の非限定的な例は以下の通りである。 − 管継手、リング、給水栓、弁および多岐管などの、圧力下での水または他の流体の輸送用に使用される配管物品。その一般的な用途としては、家庭用温冷水、ラジエータ加熱システム、床および壁冷暖房システム、圧縮空気システムおよび天然ガス用配管システムが挙げられる; − 医療/歯科/ヘルスケア物品、例えば、医療機器または機器の部品(特に、ハンドルおよび観察ガラス)、医療処置(麻酔など)で使用される化学薬品を取り扱いまたは分配する医療装置の構成部品、そのような機器を保持するために使用されるケースおよびトレイ; − 航空機インテリア物品、例えば、航空機でのパネルおよび構成部品(ダクトエレメント、構造ブラケット、ファスナー、客室インテリア構成部品または他の軽量もしくは中量構造エレメントおよび構成部品); − 食品サービス物品、例えば、加温トレイ、スチームテーブルトレイ、プラスチック調理器具; − 乳製品設備物品、例えば、ミルクおよび他の乳製品の収集または輸送のために使用される配管システム; − 実験動物ケージ; − 実験室設備物品、例えば、漏斗、フィルター装置および他の実験室設備; − 電子物品、例えば、電子装置の構造部品 − 電線および電磁ワイヤ絶縁コーティング − 携帯エレクトロニクスの構造的およびまたは他の機能性エレメントおよび構成部品 − 高温および/または攻撃的な化学環境に遭遇する自動車ボンネット下使用向け部品 − 室温および高温での化学薬品、溶剤、油または有機流体のポンプ送液および配送用の部品および構成部品。これには、化学プロセス工業および水理学および伝熱流体配送システムにおいて使用される配管および管継手が含まれる。

例示的な実施形態において、物品は、7mm未満、好ましくは5mm未満、好ましくは3mm未満の厚さを有する、少なくとも1つの壁または区画を含む。

参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願、および刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先されるものとする。

本発明はこれから、その目的が例示的であるにすぎず、本発明の範囲を限定することが意図されない、以下の実施例に関連してより詳細に説明される。

出発材料 実施例で使用されるPAEKは、Solvay Specialty Polymers USA., LLCから入手可能な、0.07〜0.15kPa−sの範囲の溶融粘度を有するKetaSpire(登録商標)PEEKであった。溶融粘度は、400℃の温度および1000秒−1の剪断速度で毛管レオメータにより測定した。

実施例で使用されるPAESグレードは、ASTM D1238メルトフローレート試験を使用して380℃および2.16kgの荷重下で測定される場合、65〜85g/10分の範囲でのメルトフローレートを有して、Solvay Specialty Polymers USA, LLCから入手可能なPESの高流動性/低粘度グレードである、Veradel(登録商標)3600 PESであった。このグレードのPESは、特に射出成形に適する。

表3に示される2つの比較例(6および7)は、それぞれ、Veradel(登録商標)PESグレードA−301 NTおよびA−201 NTで調製し、これらは、380℃および2.16kgのピストン荷重下で測定される場合、それぞれ、25〜35g/10分および15〜25g/10分の範囲の名目メルトフローを有するグレードである。

配合の一部で使用されるPPSUグレードは、Radel(登録商標)R−5900 NT PPSUであり、これは、Solvay Specialty Polymers USA, LLCから入手可能である。これは、ASTM D1238に従って365℃および5.0kg重の試験条件下で26〜36の範囲のメルトフローレートを有するPPSUの高流動性グレードである。

実施例のすべてで使用される強化材は、以下のグレードのチョップドガラス繊維であった。 OCV 910A:11ミクロンの名目繊維直径を有するOwens Corning VetrotexからのE−ガラスチョップドファイバガラス。このガラス繊維は、丸い(円形)断面を有する。 CSG3PA−820:繊維断面の幅が、その厚さの約4倍である、「扁平な」または長方形/リボン様断面を有する、NittoboからのE−ガラス繊維。 AGY S2 9 Micron:9ミクロンの名目繊維直径および円形繊維断面を有する、AGYからのS−ガラスチョップド繊維。

配合で使用した他の添加剤は、以下の通りであった。 硫化亜鉛:使用した硫化亜鉛グレードは、Sachtlieben CorporationからのSachtolith−L(登録商標)であった。この添加剤は、配合の一部において顔料として使用した。 酸化亜鉛:Lanxess Corpから入手可能なAktiv(登録商標)を、配合の一部で溶融加工熱安定剤として使用した。

実施例および比較例のポリマーブレンドは、最初に、ガラス繊維以外の、ブレンドされる樹脂および添加剤のペレットおよび/または粉末を所望の組成比で約20分間タンブルブレンドし、続いて、48:1のL/D比を有する、26mm直径のCoperion ZSK−26同方向回転部分かみ合い型二軸スクリュ押出機、または8つのバレル区画および40:1のL/D比を有する、Berstorff 25mm二軸スクリュ同方向回転部分かみ合い型押出機のいずれかを使用して溶融コンパウンディングすることによって調製した。Coperion ZSK−26押出機をコンパウンディングのために使用した場合、バレル区画2ないし12およびダイを以下のとおりの設定点温度に加熱した: バレル 2:345℃ バレル 4〜6:365℃ バレル7:360℃ バレル 8:350℃ バレル 9〜12:340℃ ダイ:340℃。

Berstorff 25mm押出機を使用した場合は、8つのバレル区画およびダイは、以下に示されるとおりに設定した: バレル 2〜4:330℃ バレル 5〜8:340℃ アダプタおよびダイ:340℃。

それぞれの場合、ファイバガラス以外の樹脂および添加剤は、重力フィーダを使用して6〜13kg/時間の範囲の押出量でバレル区画1にて供給し、一方でガラス繊維は、全押出量の30%の名目押出量でバレル区画7(ZSK)およびバレル区画5(Berstorff)にて押出機に供給した。押出機は、180〜200RPMの範囲のスクリュ速度で運転した。単一ホールダイをコンパウンドすべてに使用し、ダイを出る溶融ポリマーストランドを水トラフ中で冷却し、次いで、ペレタイザで切断して、長さおよそ3.0mm、直径2.7mmのペレットを形成した。

射出成形 射出成形は、実施例配合物によって行なって、機械的特性試験のための3.2mm(0.125インチ)厚さのASTM引張りおよび曲げ試験片を作製した。タイプI引張りASTM試験片および5インチ×0.5インチ×0.125インチの曲げ試験片を、供給業者によって提供されたPEEK射出成形ガイドラインを使用して射出成形した。

配合物の試験 機械的特性は、1)タイプI引張りバー、2)5インチ×0.5インチ×0.125インチの曲げバー、および3)計装化衝撃(Dynatup)試験のための4インチ×4インチ×0.125インチのプラークからなる、射出成形された0.125インチ厚さのASTM試験片を使用して配合物すべてについて試験した。以下のASTM試験方法を、すべての組成物の評価に用いた。 D638:引張り特性:破断時引張り強さ、引張りモジュラスおよび破断時引張り伸び D790:曲げ特性:破断時曲げ強さ、曲げモジュラスおよび破断時曲げ歪み D256:ノッチ付きアイゾット衝撃抵抗 D4812:ノッチ無しアイゾット衝撃抵抗 D3835:毛管レオメータによる溶融粘度

溶融粘度は、400℃の温度および100〜100001/秒の範囲の剪断速度で測定した。異なる材料間の比較のために、10001/秒の中間剪断速度での溶融粘度を使用した。

実験結果 実施例および比較例の配合物を表1〜表3に示す。実施例および比較例はすべて、30%のチョップドガラス繊維を含有し、PEEKとガラス繊維、またはPEEKと1種以上のPAESとのブレンドのいずれかであった。酸化亜鉛は、実施例または比較例の配合物の一部で低いレベル(0.1%)で任意選択で使用した。硫化亜鉛も、顔料としてほとんどの配合物中3.0phrで使用した。実施例および比較例の機械的特性および溶融粘度も、表1〜表3に示す。

上の表中のデータにより、PEEK、35g/10分超のメルトフローを有するPES、および小重量%のPPSUの組合せを含む配合物が、非常に高いメルトフロー特性(低い溶融粘度)とともの高い機械的特性の予想外の組合せを示すことが例証される。データは、表1〜表3における3つの論理的グループ化で提示する。実施例表のそれぞれは、異なるタイプ/グレードのガラス繊維を用いる配合物を提示する。ガラス繊維タイプは、機械的特性にかなりの影響を有し得るので、実施例は、実施例のそれぞれの組で同じガラス繊維を使用して比較例と比較する。

表1中で、ガラス繊維強化PEEK(比較例1)、PEEKと高流動PESとのガラス繊維強化ブレンド(比較例2)、および本発明によって調製された、第3の配合物の間の比較を示し−ここでは、PEEK、高流動PES、および小割合のPPSUの組合せを、配合物のポリマー部分で使用する。3つの配合物はすべて、30%ガラス繊維強強化である。実施例1の機械的特性は、PPSUが配合物に添加されなかったブレンドよりも高い強さ、高い破断時伸び、および高い衝撃抵抗を示す。事実、実施例1の配合物は、30%ガラス繊維強化PEEKよりも高いことさえある引張り強さを示したが、これは、30%ガラス繊維強化PESが30%ガラス繊維強化PEEKよりも引張り強さでかなり低いという予想を考慮すると意外である。実施例1の配合物はまた、30%ガラス繊維強化PEEKの粘度よりも低い粘度を示す一方で、より高い引張り強さならびにより高いノッチ付きおよびノッチ無し衝撃抵抗を与える。

表2の実施例は、同じガラス繊維強化ブレンド配合物を35g/10分超のメルトフローレートを有する高流動PESと調製した場合(実施例2および実施例3)、35g/10分以下のメルトフローレートを有するPESポリマー組成物を使用して調製した同じ配合物と比較して、強さ、破断時伸び、および衝撃抵抗を含めて、より高い機械的特性が予想外にも達成されたことを例証する。実施例2は、65〜85g/10分の範囲のメルトフローレートを有するPESを使用した。比較例3および比較例4は、それらが、それぞれ25〜35g/10分および15〜25g/10分のメルトフローレートを有するPESを使用したことを除いて、実施例2と同じ配合であった。比較例3および比較例4を上回る実施例2の衝撃抵抗挙動(ノッチ付きおよびノッチ無し)の利点は、より高い衝撃抵抗が、典型的にはこのような配合物におけるより高い分子量(すなわち、より低いメルトフローレート)のポリマー原料から予想されることを考慮すると特に意外である。

最後に、表3は、PEEK/高流動PES/PPSU/ガラス繊維配合物とPEEK/ガラス繊維配合物との比較を示す。この場合、扁平またはリボン様ガラス繊維を使用した。この比較では、実施例4のブレンドは、比較例5のガラス繊維強化PEEKと比較して優れた特性だけでなく、より低い粘度も示した。やはり、本発明(実施例4)によって調製された三元ブレンドの機械的特性が、強化PEEK(比較例5)のものを超えるという事実は、予想外である。実施例4の配合物の粘度はまた、比較例5のものよりも低く、実施例1と比較例1の間の比較と一致する。

したがって、PEEKおよびPESだけを含むポリマー部分を有する配合物(すなわち、配合物中のPPSUの存在なしの)と比較して本発明ブレンドについてより高い引張り強さ、衝撃抵抗、および破断時伸びが予想外にも達成された。さらに、および非常に予想外にも、より高い流動/より低い分子量のPESを使用した場合、強さ、破断時伸びおよび衝撃抵抗を含めて、配合物の機械的特性は、より高い靭性特性が典型的にはより高い分子量のポリマー原料が配合物中で使用される場合に強化材料によって示されるという予想と反対に、低いメルトフローレート(≦35g/10分)のPESを含有する類似の配合物と比較してすべて改善した。

非常に高いフローレートと相まっての例外的に高い機械的特性との組合せを示すポリマーは、射出成形によって製造するのがやはり容易である(非常に低い粘度のために)減少した重量を有する、高い強さおよび高い靭性の薄い部品の製作に有用であり得る。このようなポリマーはまた、携帯性の容易さのための(例えば、モバイル電子部品のための)または燃料消費の減少(例えば、宇宙航空または商業的輸送用途における)のための優れた機械的堅牢性および軽量を示し得る。最大の機械的強さおよび靭性特性のために、円形フィラメントSガラスは、実施例2および実施例3で示されるとおりに好ましい一方で、最低の粘度および最大の加工性の容易さのために、扁平ガラス繊維が実施例4に示されるとおりに好ましい。

参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願、および刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載を優先するものとする。

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