Aromatic polycarbodiimide and the sheet

申请号 JP15576297 申请日 1997-05-28 公开(公告)号 JP3211725B2 公开(公告)日 2001-09-25
申请人 日東電工株式会社; 发明人 昌宏 吉岡; 亨枝 坂本; 周 望月;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 分子主鎖にシロキサン結合を含む芳香族ポリカルボジイミド。
  • 【請求項2】 下記式(I) 【化1】 (式中、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、
    xは1〜20の整数、nは2〜200の整数である。 )
    で表される構成単位を含む請求項1のポリカルボジイミド。
  • 【請求項3】 下記式(III) 【化2】 (式中、R及びnは前記に同じ。)で表される構成単位を含む請求項2のポリカルボジイミド。
  • 【請求項4】 下記一般式(IIa)及び(IIb) 【化3】 【化4】 (式中、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、
    xは1〜20の整数、R'は2価の有機基、y及びmは正の整数である。 )で表される構成単位を含む請求項1
    のポリカルボジイミド。
  • 【請求項5】 下記式(IV)及び(IIb) 【化5】 【化6】 (式中、Rは単結合もしくは炭素数1〜4のアルキレン基、R'は2価の有機基、y及びmは正の整数である。)
    で表される構成単位を含む請求項4のポリカルボジイミド。
  • 【請求項6】 式中、y+mが2〜200の整数で、かつy/mが0.01以上である請求項4又は5のポリカルボジイミド。
  • 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかのポリカルボジイミドからなる熱硬化性樹脂をシート状に形成した接着シート。
  • 【請求項8】 支持体の少なくとも一方の面にシートを積層してなる請求項7の接着シート。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の背景】本発明は新規なポリカルボジイミド及びこれを用いたシートに関する。 本発明のポリカルボジイミドは、接着剤、半導体素子表面保護膜、半導体素子封止材に用いた場合、比較的低温で短時間での接着が可能である。

    【0002】従来、半導体チップや基板、リードフレームなどの電気、電子部品の固着処理用接着剤としては、
    ペースト状の接着剤や、耐熱性基材に接着剤を塗工したものが知られている。 これらの接着剤には、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ゴム−フェノール樹脂系などの熱硬化性樹脂が用いられている。 しかしながら、これらの接着剤は、加熱硬化に高温長時間を必要とするので接着作業性が低い、加熱硬化時に多量の揮発性成分が発生してリード線の汚染を生ずる、吸湿性が高く半田リフロー時に半導体チップの封止樹脂パッケージにクラックを生じる、などの種々の問題点を有している。 このように、従来の接着剤は、電気・電子部品の固着処理用の接着剤に必要な高度の信頼性を有しているとは言い難く、
    これまで充分に満足な接着剤は得られていない。

    【0003】また、ポリイミド樹脂を用いたホットメルト型のフィルム接着剤は、短時間で被着体に熱圧着することが可能であり、接着後の加熱硬化過程が不必要であるが、ガラス転移点が高く加工に非常に高温を要し、被着体に熱損傷を与える恐れが大きい。 一方、低温加工性を付与するためガラス転移点の低い接着剤を用いた場合は、耐熱性が低く信頼性は低下する。

    【0004】さらに、従来汎用のポリカルボジイミドは耐熱性も高く、ポリイミドに比べて比較的加工性も良好であることが知られているが、これらのポリカルボジイミドは室温雰囲気下では低吸湿性であるが、プレッシャークッカー試験(PCT)のような高温高圧下の加湿条件下に放置すると、容易に加分解を生じて、分子量の低下とともに機械強度が低下し、半導体素子周辺に用いる電子材料用途としては実用に耐えない。

    【0005】

    【発明の目的及び概要】本発明者らは、常態において低温短時間で接着が可能であり、高温高圧下の加湿条件下でも耐湿性および耐熱性に優れた樹脂について鋭意検討した結果、主鎖にシロキサン結合を含む芳香族ポリカルボジイミドがこのような要求を満たすとの知見を得て本発明を完成した。

    【0006】本発明は主鎖にシロキサン結合を含む芳香族ポリカルボジイミドを提供するものである。 さらに詳しくは、本発明は下記式(I)

    【化7】

    (式中、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、


    xは1〜20の整数、nは2〜200の整数である。 )


    で表される構成単位を含むポリカルボジイミドを提供する。 特に、式(I)において、xが1である下記式(II


    I)

    【0007】

    【化8】

    (式中、R及びnは前記に同じ。)で表される構成単位を含むポリカルボジイミドは、ポリマー分子中のカルボジイミド単位の含有率が高く熱硬化特性に優れる。 なお、


    式(I)および式(III)において、nは2〜200の整数であるのが好ましい。

    【0008】また、本発明は下記式(IIa)及び(IIb)

    【化9】

    【0009】

    【化10】

    (式中、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、


    xは1〜20の整数、R'は2価の有機基、yおよびm


    は正の整数である。 )で表される構成単位を含む共重合ポリカルボジイミドを提供する。 特に、式(IIa)において、xが1である下記式(IV)

    【0010】

    【化11】

    (式中、Rは単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、


    R'は2価の有機基、y及びmは正の整数である。 )で表される構成単位を含む前記共重合ポリカルボジイミドは、ポリマー分子中のカルボジイミド単位の含有率が高く熱硬化樹脂として優れている。

    【0011】なお、式(IIa)又は式(IV)及び(IIb)
    において、y+mは2〜200の整数であるのが好ましい。

    【0012】

    【発明の詳細な開示】本発明のポリカルボジイミドは前記式(I)の構造を有するが、Rは単結合又は炭素数1〜
    4のアルキレン基であり、具体的にはRは

    【化12】

    などが好ましい。 xは1〜20の整数であり、好ましくは1〜5である。 nは2〜200の整数、さらに好ましくは8〜40である。

    【0013】また、共重合体において、式(IIa)のR
    及びxは前記に同じである。 y+mは2〜200の整数、さらに好ましくは8〜40である。 y/mはシロキサン結合を有するジイソシアネートにより異なるが、一般に0.01以上、好ましくは0.05以上である。 R'
    は二価の有機基であり、例えば下記構造で表される芳香族二価の基が例示される。

    【0014】

    【化13】

    【0015】このようなポリカルボジイミドは、対応するジイソシアネートをリン系触媒などのカルボジイミド化触媒の存在下、公知の方法で重合するか、あるいは対応するビスウレタンをカルボジイミド化触媒、有機ケイ素化合物及び塩基性化合物のもとに反応を行うことにより製造することができる。

    【0016】(ジイソシアネートからの製造)原料であるジイソシアネートは公知の方法により製造できる。 例えば、前駆体としてビス(3−または4−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサンなどを用い、これをホスゲンやジフェニルカーボネート、トリメチルクロロシランなどでイソシアネート化する方法、あるいはイソシアネート前駆体としてビス(3−または4−カルボキシフェノキシメチルテトラメチル)ジシロキサンなどのジカルボン酸を用い、これをクルチウス分解によってイソシアネート化する方法などが採用される。

    【0017】このようなシロキサン結合を有するジイソシアネートの重合は単独で行ってもく、その性質を失わない範囲で他のジイソシアネートと共重合してもよい。
    このような他のジイソシアネートとしては芳香族ジイソシアネートならいずれでもよく、たとえば2,2−ビス
    (4−イソシアナートフェノキシフェニル)プロパン、
    2,2−ビス(4−イソシアナートフェノキシフェニル)
    ヘキサフルオロプロパン、1,3−または1,4−ビス
    (4−イソシアナートフェノキシ)ベンゼン、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナート−2,2'−ジメチルまたはビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ジフェニルメタンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、3, 3'−ジメトキシ−4, 4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4, 4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3, 3'−ジメチル-4, 4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート、o−トリレンジイソシアネート等があげられるが、これらに限定されるものではない。

    【0018】カルボジイミド化触媒(重合触媒)としては通常リン系触媒が用いられ、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−フェニル−2−
    ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−
    オキシド、3−メチル−1−フェニルホスホレン−1−
    オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドを使用することができる。 これらの使用量は一般にジイソシアネートの0.1〜10mol
    %、好ましくは0.3〜5mol%、最適には0.5〜3.0
    mol%である。 前記使用量が少なすぎると反応途中で失活し、重合が停止する場合がある。 多すぎると反応の制御が困難になる場合がある。

    【0019】重合の反応温度は一般に−50〜200
    ℃、好ましくは−10〜150℃、さらに好ましくは2
    0〜120℃であるが、用いるジイソシアネートの種類と溶媒の組み合わせにより適宜変更することができる。
    反応温度が前記より低いと反応が全く進行しない場合がある。 逆に反応温度を上げすぎたり長く加熱し過ぎたりすると、好ましくない副反応が起こったり、生成物が分解する場合があるので、IRなどで反応をトレースしながら低温から徐々に温度を上昇させて進めるのがよい。

    【0020】反応溶媒はジイソシアネートを溶解または懸濁する溶媒であればいずれでもよく、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。 これらの溶媒は単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。 また、場合によっては反応途中でその一部ないし全部を置換することにより反応温度を変更してもよい。

    【0021】反応混合物中のジイソシアネート濃度は1
    〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%である。 濃度が前記より低いと反応に時間を要し、実用的でない。 濃度が前記範囲より高いと副反応を生ずる恐れがあるので好ましくない。

    【0022】(ビスウレタンからの製造)本発明のポリカルボジイミドの他の製造法としては、カルボジイミド化触媒の存在下、ビスウレタンモノマーに有機ケイ素化合物と塩基性化合物を作用させる方法を用いてもよい。

    【0023】 ビスウレタンビスウレタンモノマーは、対応するジアミンにハロゲン化ホルメートを作用させることにより合成できる。 即ち、ビス(3−または4−アミノフェノキシメチルテトラメチル)ジシロキサンにメチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、フェニルクロロホルメート、p-
    ニトロフェニルクロロホルメートなどを作用させてウレタンを合成する。 この中で、ポリカルボジイミドを得るための十分に活性化したウレタンを得るためには、フェニルクロロホルメートまたはp-ニトロフェニルクロロホルメートがより適している。

    【0024】反応溶媒はジアミンを溶解するものであればよく、例えばTHF、ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチルなどのエステル系化合物、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの炭化水素系化合物、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素化合物などが挙げられる。 これらの溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。

    【0025】反応温度は−40〜70℃、好ましくは−
    20〜50℃、最も好ましくは0℃〜30℃である。 反応温度が−40℃より低いと反応が進行しにくく、70
    ℃を越える高温では縮合などの副反応が起こる可能性があり好ましくない。

    【0026】ビスウレタンを生成する際に生じる塩化水素をトラップする塩基としては、用いた溶媒に溶解し、
    反応を阻害しないものであればよく、例えばトリエチルアミン、ピリジン、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。 塩基の使用量は用いるジアミンのモル数の2.0〜
    3.4倍がよい。

    【0027】ビスウレタンの精製方法は再結晶、カラムなど従来公知の方法を用いることができる。 また、必要に応じて蒸留を行なってもよい。

    【0028】 ビスウレタンからポリカルボジイミドの製
    かかる反応の触媒として用いられる有機ケイ素化合物としては、ハロゲン化有機ケイ素化合物が挙げられ、特にトリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、テトラクロロシランなどのクロロシラン類が好適である。 これらのうち、扱いやすさや経済性の面から、トリメチルクロロシランが最も好適である。 有機ケイ素化合物の使用量は用いるビスウレタンの使用モル量の2〜4倍が好ましい。 使用量が少なすぎると未反応の原料が残存することがある。 使用量が多すぎると反応終了後に除去するのが困難であったり、好ましくない副反応を引き起こしたりすることがある。

    【0029】塩基性化合物としては、有機塩基、無機塩基を用いることができるが、溶媒に溶解しやすいという点で有機塩基がより適している。 さらに有機塩基の中でも反応を阻害しないという点から、例えばトリエチルアミン、ピリジンなどの三級アミンが適している。 一級アミンや二級アミンは活性水素を持ち、反応中間体として生成すると考えられるイソシアネートと反応する可能性があるため好ましくない。 塩基性化合物の使用量は用いるジアミンのモル数の2.0〜3.4倍がよい。

    【0030】重合は含ケイ素ウレタン単独で行ってもよく、その性質を失わない範囲で他のビスウレタン化合物と共重合を行っても良い。 このような他のビスウレタン化合物としては芳香族ジアミンであればいずれも用いることができ、例えば2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−または1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−
    または2,6−ジアミノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−2,2'−ジメチルまたはビス(トリフルオロメチル)ビフェニル等から誘導されるウレタン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

    【0031】カルボジイミド化(重合)触媒としては、前記公知のリン系触媒がいずれも用いられてよい。 すなわち、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3
    −メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニルホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3
    −ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドを使用することができる。 これらの使用量は一般にビスウレタンの0.1〜10 mol%、好ましくは0.3〜5mol%、最適には0.5〜3.0mol%である。 前記使用量が少なすぎると反応途中で失活し、重合が停止する場合がある。
    多すぎると反応の制御が困難になる場合がある。

    【0032】また、添加順序は適宜選択でき、これら重合に用いるカルボジイミド化触媒は反応の最初に加えてもよく、ビスウレタンと有機ケイ素化合物、塩基性化合物の反応を先に進行させた後に加えてもよい。

    【0033】カルボジイミド化による重合反応を進める際の反応温度は一般に−50〜200℃、好ましくは−
    10〜150℃、さらに好ましくは20〜120℃であり、用いるビスウレタンと有機ケイ素化合物の組み合わせにより適宜変更することができる。 反応温度がこれより低いと反応が全く進行しない場合がある。 逆に反応温度を上げすぎたり長く加熱し過ぎたりすると、副反応が起こったり、生成物が分解する場合があるので、IRなどで反応をトレースしながら低温から徐々に昇温して反応を進めるのがよい。

    【0034】反応溶媒はウレタンを溶解または懸濁するものであればよく、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。 これらの溶媒は単独で用いてもよく混合して用いてもよい。 また、場合によっては反応途中でその一部ないし全部を置換することにより反応温度を変化させることもできる。

    【0035】反応混合物中のウレタン濃度は1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、最適には10〜30
    重量%である。 濃度が低すぎると反応に時間を要し実用的でない。 濃度が高すぎると副反応を招く恐れがあり好ましくない。

    【0036】本発明のポリカルボジイミドの重合度n及び共重合体の重合度(y+m)は特に制限されないが、
    好ましくは2〜200の整数、より好ましくは8〜40
    の整数である。 すなわち、これらポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは約700〜約1,000,000、より好ましくは約1,500〜200,000である。

    【0037】本発明の耐熱性樹脂には、その加工性、耐熱性を損なわない範囲で微細な無機充填剤が配合されてもよい。 また、表面平滑性を付与するため平滑剤、レベリング剤、脱泡剤などの各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。

    【0038】本発明のポリカルボジイミドワニスは、常法によりフィルムに成形し、接着シートとすることができる。 シート厚は1〜200μmが一般的であるが、これに限定されず接着目的に応じて適宜決定することができる。 またシートの形状や大きさについても、リードフレームや半導体チップなどの被着体に応じて適宜に決定することができる。

    【0039】接着シートの形成に際しては、導電性の付与や伝熱性の向上、弾性率の調節、特に高弾性率化などを目的に、例えばアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの金属ないし合金、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化ケイ素のごときセラミック、その他カーボンなどからなる種々の無機粉末を必要に応じ1種または2種以上配合することもできる。

    【0040】フィルムの塗工温度は20〜150℃、好ましくは50〜120℃、最も好ましくは70〜100
    ℃である。 塗工温度が20℃より低いと溶剤がフィルム中に残存することがある。 また150℃を越える高温ではフィルムの熱硬化が進むことがある。

    【0041】また、これらのフィルムは支持体上に形成してもよい。 このような構成の積層接着シートを作製するためには、支持体上にポリカルボジイミドワニスを塗工してもよく、あらかじめ形成したフィルムをプレスなどによりラミネートすることにより作製してもよい。

    【0042】支持体としては金属箔、絶縁性フィルムなどを用いることができる。 金属箔としてはアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、インジウム、クロム、鉛、
    錫、亜鉛、パラジウム等がいずれでも好適に用いられ、
    単独で用いてもよく複数の金属の合金であってもよい。
    また、絶縁性フィルムとしてはポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱性や耐薬品性を有するフィルムであれば種々のフィルムが用いられてよい。

    【0043】また上記金属箔と絶縁性フィルムはそれぞれ単独で用いてもよく、両者の2層構成、即ち金属箔/
    絶縁性フィルムといった2層基材を用いてもよい。 2層基材としては、例えば銅/ポリイミド2層基材などが挙げられる。

    【0044】本発明の接着シートは、加熱処理により熱硬化して強固な接着を発現すると共に、低吸湿性の硬化物となる。 加熱処理は、例えばヒーター、超音波、紫外線などの適宜な方法で行うことができる。 従って本発明の接着シートは、種々の材料の接着処理に好ましく用いることができ、特に低吸湿性で信頼性の高い固着処理が要求される半導体チップやリードフレームなどで代表される電気・電子部品の固着処理及び表面保護に好ましい。

    【0045】本発明の接着シートは熱膨張係数が小さく温度変化に対する寸法安定性に優れていること、低吸湿性であること、可撓性に富み取り扱いやすいこと、半導体素子に対して接着性がよいこと、保存安定性がよいことなどの点で優れている。

    【0046】本発明の樹脂組成物をワニスとし、このワニスを金属箔の片面に塗布し乾燥した接着剤層付き金属箔は、多層回路基板等の製造に特に有用である。

    【0047】

    【実施例】つぎに本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明する。 なお、得られたポリカルボジイミドの特性は次のようにして測定した。

    【0048】接着性:各実施例、比較例において樹脂ワニスをシリコンウェハー上にスピンコートし所定の乾燥、熱処理を行った。 これを121℃×2気圧×100
    %RHのプレッシャークッカー試験(TABAI社製、PRESSU
    RE COOKER試験装置、TPC-411モデル、以下PCT)において所定時間放置した後のポリカルボジイミドとシリコンウェハー間の密着性を評価した。 結果は1mmのマス目100個中、剥離した数をn個としてn/100で表した。

    【0049】また、接着強度は島津オートグラフAGS
    -100Dを用いて測定した。

    【0050】(実施例1)1Lの3つ口フラスコに、
    1,3−ビス(3−アミノフェノキシメチル)−1,1,3,
    3−テトラメチルシロキサン61g(0.16mol)と酢酸エチル600mL、トリエチルアミン49mL(0.35
    mol)を仕込んだ。 滴下漏斗にフェニルクロロギ酸48m
    L(0.38mol)を入れ、反応容器を氷浴で0℃に冷却した。 20分かけてフェニルクロロギ酸を滴下し、室温に戻しながら2時間撹拌した。 生成した塩を濾過により除去し、溶媒をエバポレートして40℃で減圧乾燥すると白色固体が得られた。 この白色固体をトルエンで再結晶すると、下記式(V)

    【0051】

    【化14】

    のSi-ウレタン82g(収率83%)が得られた。

    【0052】つぎに、50mLの二口フラスコに前記ウレタン1.0g(1.6mmol)、塩化メチレン10mL、トリエチルアミン0.50mL(3.6mmol)、カルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)0.0040g(0.021mmol)を仕込んだ。 室温でトリメチルクロロシラン0.46mL(3.
    6mmol)を投入し、室温で10分間撹拌した後溶媒をトルエンに置換して徐々に80℃まで温度を上昇させながら4時間撹拌した。 反応混合物にm−トリルイソシアネート0.08mL(0.62mmol)を入れ2時間撹拌し、生成した塩を濾過により取り除いた。 得られたポリマーの赤外吸収スペクトルは、図1に示すようにN=C=N
    (2110cm -1 )の吸収が観測された。 また、プロトン核磁気共鳴スペクトル( 1 H−NMR)において、0.30
    ppmにSi−ウレタン由来の(Si Me )プロトンのピークが観測された。 また、ポリマーの分子量はMn=8,00
    0であった。

    【0053】合成した樹脂ワニスをシリコンウェハー上にスピンコートし、90℃で30分乾燥後、250℃で1時間の熱処理を行った。

    【0054】(実施例2)滴下漏斗を取り付けた50mL
    の二口フラスコに、実施例1で合成したウレタン0.1
    6g(0.26mmol)と式(VI)

    【化15】

    で示される2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのウレタン化合物(BAPF


    −ウレタン)2.0g(2.6mmol)、塩化メチレン22m


    L、トリエチルアミン 0.88mL(6.3mmol)、カルボジイミド化触媒 0.0046g(0.024mmol)を仕込んだ。 滴下漏斗にトリメチルクロロシラン 0.80mL(6.3mm


    ol)を入れ、室温で2分かけてトリメチルクロロシランを滴下し、溶媒をトルエンに置換して徐々に80℃まで温度を上昇させながら4時間撹拌した。 反応混合物にm


    -トリルイソシアネート 0.17mL(1.3mmol)を入れ2時間撹拌し、生成した塩を濾過により取り除いた。 得られたポリマーの赤外吸収スペクトルは、図2に示すように2120cm

    -1にカルボジイミド(N=C=N)の吸収が観測された。 また、プロトン核磁気共鳴スペクトル(

    1


    H−NMR)において、0.30ppmにSi−ウレタン由来の(Si

    Me )プロトンのピークが観測された。 また、ポリマーの分子量はMn=17,000であった。

    【0055】合成した樹脂ワニスをシリコンウェハー上にスピンコートし、90℃で30分乾燥後、250℃で1時間の熱処理を行った。

    【0056】(実施例3)モノマーとして実施例1で合成したウレタン 0.34g(0.55mmol)と式(VII)

    【化16】

    で示される2,4−トリレンジイソシアネートのウレタン化合物(TDI−ウレタン)2.0g(5.5mmol)の混合物を用いたほかは実施例2と同様にしてポリカルボジイミドを合成した。 得られたポリマーの赤外吸収スペクトルは、図3に示すように2120cm

    -1にカルボジイミド


    (N=C=N)の吸収が観測された。 また、プロトン核磁気共鳴スペクトル(

    1 H−NMR)において、2.33ppm


    と0.27ppmにTDI−ウレタン由来の(C

    6

    5 CH 3 )


    プロトンのピークと、Si−ウレタン由来の(Si

    Me )プロトンのピークが観測された。 また、ポリマーの分子量はMn=3,600であった。

    【0057】このワニスをシリコンウェハー上にスピンコートし、90℃で30分乾燥後、200℃で1時間の熱処理を行った。

    【0058】(比較例1)モノマーとして実施例2のB
    APF−ウレタン2.0g(2.6mmol)を用いたほかは実施例2と同様にしてポリカルボジイミドを合成した。 このワニスをシリコンウェハー上にスピンコートし、90
    ℃で30分乾燥後、250℃で1時間の熱処理を行った。

    【0059】(実施例4)1Lの3口フラスコに、p−アミノフェノール30g(0.27mol)とTHF600mL、
    ジエチルエーテル300mL、トリエチルアミン27.
    3g(0.27mol)を仕込んだ。 一方、滴下漏斗にフェニルクロロギ酸42.3g(0.27mol)を入れ、反応容器を氷浴で0℃に冷却した。 30分かけてフェニルクロロギ酸を滴下し、室温に戻しながら2時間撹拌した。 生成した塩を加水分解により除去し、有機層を抽出して溶媒をエバポレートすると白色固体が得られた。 この白色固体をトルエンで2回再結晶すると、p−アミノフェノールウレタン28g(収率45%)が得られた。

    【0060】滴下漏斗を取り付けた50mLの2口フラスコに、合成したp−アミノフェノールのウレタン60.
    4mg(O.26mmol)とTHF 1mL、トリエチルアミン26.8mg(0.26mmo1)を仕込んだ。 フラスコを0℃に冷却し、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルトリシロキサン36.6mg(0.13mmol)を滴下した。 これを室温で1時間撹拌した後、さらに50℃で1
    時間撹拌し、シロキシ結合を3つ有するウレタン(VIII)
    を合成した。 室温に冷却し、式(VI)で示される2,2−
    ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのウレタン化合物(BAPF−ウレタン)2.0g
    (2.6mmol)、トルエン20mL、トリエチルアミン0.4
    9g(4.8mmol)、トリメチルクロロシラン0.51g(4.7m
    mol)を投入し10分間撹拌した。 カルボジイミド化触媒35.3mg(O.l8mmol)を加え、徐々に80℃まで昇温しながら4時間撹拌した。 実施例1と同様に単離、同定を行い、Mn=5,900のポリマーを得た。 合成した樹脂ワニスをシリコンウエハー上にスピンコートし、90℃で30分間乾燥後、250℃で1時間の熱処理を行った。

    【0061】

    【化17】

    【0062】(比較例2)モノマーとして実施例3のT
    DI−ウレタン2.0g(5.5mmol)を用いたほかは実施例2と同様にしてポリカルボジイミドを合成した。 このワニスをシリコンウェハー上にスピンコートし、90℃
    で30分乾燥後、200℃で1時間の熱処理を行った。

    【0063】

    【表1】 密着性試験の結果 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実 施 例 比 較 例 PCT中の ───────────────── ───────── 放置時間(hr) 1 2 3 4 1 2 ─────────────────────────────────── 0 0/100 0/100 0/100 0/100 47/100 1/100 16 0/100 2/100 0/100 0/100 100/100 100/100 82 0/100 8/100 0/100 0/100 − − 144 0/100 4/100 0/100 1/100 − − 234 0/100 3/100 0/100 2/100 − − 298 0/100 4/100 0/100 2/100 − − ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    【0064】(実施例5)実施例2で合成したワニスを表面研磨したステンレス板上へキャストし、90℃で3
    0分乾燥した後、剥離して厚さ30μmの接着シートを作製した。 これを銅板と銅箔の間に挟み、200℃・5
    0kg/cm 2の圧力で2分間プレスして貼り合わせた。 接着力を測定したところ980g/cm 2の接着力を示した。 これをPCTに100時間投入した後の接着力は850g/
    cm 2であった。

    【0065】(実施例6)実施例5の表面研磨したステンレス板の代わりに圧延銅箔を用いて実施例2で合成したポリカルボジイミドワニスをキャストし、Cu/ポリカルボジイミド2層構成の接着シートを作製した。 これを200℃、50kg/cm 2の圧力で2分間プレスしてガラス板と貼り合わせ、接着力(180度ピール)を測定したところ960g/cm 2であった。 これをPCTに100時間投入した後の接着力は890g/cm 2であった。

    【0066】(比較例3)比較例1で合成したワニスを用い、実施例5と同様にして厚さ25μmの接着シートを作製した。 実施例5と同様にして銅板2枚を貼り合わせ、接着力を測定したところ800g/cm 2であった。 これをPCTに100時間投入した後の接着力は110g/
    cm 2であった。

    【0067】

    【発明の効果】本発明のポリカルボジイミドは、高温高圧下の加湿条件下でも耐湿性および耐熱性に優れており、ガラス転移点が200℃付近であるため、低温加工性が向上する。 また、半導体素子などの被着体に対して接着性が良く、低吸湿性で保存安定性に優れ、常温での長期保存が可能である。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】実施例1にて得られた重合体の赤外吸収スペクトルである。

    【図2】実施例2にて得られた重合体の赤外吸収スペクトルである。

    【図3】実施例3にて得られた重合体の赤外吸収スペクトルである。

    【図4】実施例4にて得られた重合体の赤外吸収スペクトルである。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) C08G 18/02 B32B 27/28 C08J 5/18 C09J 7/00 - 7/02

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