フタロニトリル化合物

申请号 JP2018513250 申请日 2016-05-20 公开(公告)号 JP2018515625A 公开(公告)日 2018-06-14
申请人 エルジー・ケム・リミテッド; 发明人 スン・ヒ・イ; サン・ウ・キム; キ・ホ・アン;
摘要 本出願は、新規なフタロニトリル化合物及びその用途に関する。前記フタロニトリル化合物は、新規な構造を有し、フタロニトリル化合物が適用され得るものと公知された用途で優れた効果を示すことができる。このようなフタロニトリル化合物の用途には、いわゆるフタロニトリル樹脂、フタロシアニン染料、蛍光増白剤、写真増感剤又は酸無 水 物等の原料或いは前駆体が例示され得る。
权利要求

下記化学式1の化合物: 化学式1で、Aは、炭素数1〜20のアルキレン基又はアルキリデン基であり、Q1及びQ2は、少なくとも一つのアルキル基で置換されている芳香族2価ラジカルであり、L1及びL2は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子であり、R1〜R10は、それぞれ独立に、素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はシアノ基であり、且つ、R1〜R5のうち少なくとも2個は、シアノ基であり、R6〜R10のうち少なくとも2個は、シアノ基である。化学式1のQ1及びQ2は、それぞれ独立に、下記化学式2の芳香族化合物に由来する、請求項1に記載のラジカルである化合物: 化学式2で、Ra〜Rfは、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基であり、Ra〜Rfのうち2個は、共有結合を形成し、且つ、前記共有結合を形成する2個のうちいずれか一つは、化学式1のL1又はL2と共有結合を形成し、他の一つは、化学式1のAと共有結合を形成し、Ra〜Rfのうち前記共有結合を形成していない置換基のうち少なくとも一つは、アルキル基である。化学式2のRa〜Rfのうち化学式1のAと共有結合を形成する置換基を基準にパラ位置に存在する置換基は、化学式1のL1又はL2と共有結合を形成している、請求項2に記載の化合物。化学式2のRa〜Rfのうち化学式1のAと共有結合を形成する置換基を基準にオルト又はメタ位置に存在する置換基のうち少なくとも一つは、アルキル基である、請求項3に記載の化合物。化学式2のRa〜Rfのうち化学式1のAと共有結合を形成する置換基を基準にメタ位置に存在する置換基のうち少なくとも一つはアルキル基である、請求項3に記載の化合物。化学式2のRa〜Rfのうち化学式1のAと共有結合を形成する置換基を基準にメタ位置に存在する2個の置換基がアルキル基である、請求項3に記載の化合物。L1及びL2は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルキリデン基又は酸素原子である、請求項1に記載の化合物。化学式1でR2〜R4のうちいずれか2個がシアノ基であり、R7〜R9のうちいずれか2個がシアノ基である、請求項1に記載の化合物。請求項1に記載の化合物由来の重合単位を含むフタロニトリル樹脂。請求項1に記載の化合物及び硬化剤を含む重合性組成物。請求項10に記載の重合性組成物の反応物であるプレポリマー。請求項9に記載のフタロニトリル樹脂及び充填剤を含む複合体。充填剤は、金属物質、セラミック物質、ガラス、金属酸化物、金属窒化物又は炭素系物質である、請求項12に記載の複合体。請求項10に記載の重合性組成物又は請求項11に記載のプレポリマー;及び充填剤を含む、請求項13に記載の複合体の前駆体。請求項14に記載の前駆体を硬化させる段階を含む複合体の製造方法。

说明书全文

本出願は、2015年5月22日付けで提出された韓国特許出願第10−2015−0071800号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。

本出願は、フタロニトリル化合物、フタロニトリル樹脂、重合性組成物、プレポリマー、複合体、その前駆体と製造方法及び用途に関する。

フタロニトリルは、多様な用途に使用され得る。 例えば、前記フタロニトリルをモノマーとして製造される樹脂(フタロニトリル樹脂)をガラス繊維や炭素繊維等のような充填剤に含浸させて形成される複合体(composite)は、自動車、飛行機又は船舶等の素材に使用され得る。前記複合体の製造過程は、例えば、フタロニトリルと硬化剤の混合物又は該混合物の反応により形成されるプレポリマーと充填剤を混合した後、硬化させる過程を含むことができる(例えば、特許文献1参照)。複合体の製造が効果的に行われるためには、重合性組成物やプレポリマーが適切な溶融性と流動性を有し、いわゆるプロセスウィンドウ(process window)が広いことが要求される。

フタロニトリル化合物の他の用途としては、フタロシアニン染料(phthalocyanine pigment)の前駆体としての用途が挙げられる。例えば、フタロニトリル化合物を金属と複合させて顔料として適用し得る。

フタロニトリル化合物は、また、蛍光増白剤(fluorescent brightener)又は写真増感剤(photographic sensitizer)の前駆体又は酸無物の前駆体等に適用され得る。例えば、適切な酸化工程と脱水工程を経て前記フタロニトリル化合物を酸無水物に転換させることができ、このような酸無水物は、ポリアミド酸又はポリイミド等の前駆体として使用されることもできる。

韓国登録特許第0558158号公報

本出願は、新規なフタロニトリル化合物及びその用途を提供する。前記化合物の用途には、フタロニトリル化合物が適用され得るものと知られた大部分の用途が含まれることができ、その例としては、フタロニトリル樹脂、重合性組成物、プレポリマー、複合体、顔料、蛍光増白剤、写真増感剤又は酸無水物の前駆体或いは原料が例示され得る。

本出願は、フタロニトリル化合物に関する。前記化合物は、下記化学式1で表示され得る。

化学式1で、Aは、炭素数1〜20のアルキレン基又はアルキリデン基であり、Q1及びQ2は、少なくとも一つのアルキル基で置換されている芳香族2価ラジカルであり、L1及びL2は、それぞれ独立に、アルキレン基、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子であり、R1〜R10は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はシアノ基であり、且つ、R1〜R5のうち少なくとも2個は、シアノ基であり、R6〜R10のうち少なくとも2個は、シアノ基である。

本出願で用語「アルキレン基又はアルキリデン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8又は炭素数1〜4のアルキレン基であることができる。前記アルキレン基は、直鎖、分岐鎖又は環形であることができ、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。

本出願で用語「アルキル基又はアルコキシ基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8又は炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基であることができる。前記アルキル基又はアルコキシ基は、直鎖、分岐鎖又は環形であることができ、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。

本出願で用語「アリール基」は、特に別途規定しない限り、ベンゼン、ベンゼンを含む化合物又は前記のうちいずれか一つの誘導体に由来する1価ラジカルを意味できる。前記でベンゼンを含む化合物としては、2個以上のベンゼン環がそれぞれ2個の炭素原子を共有しながら縮合されているか、適切なリンカーにより連結されている構造を有する化合物が例示され得る。芳香族2価ラジカルは、例えば、6個〜25個、6個〜20個、6個〜15個又は6個〜12個の炭素原子を含むことができ、任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。

本出願で用語「芳香族2価ラジカル」は、特に別途規定しない限り、ベンゼン、ベンゼンを含む化合物又は前記のうちいずれか一つの誘導体に由来する2価ラジカルを意味できる。前記でベンゼンを含む化合物としては、2個以上のベンゼン環がそれぞれ2個の炭素原子を共有しながら縮合されているか、適切なリンカーにより連結されている構造を有する化合物が例示され得る。芳香族2価ラジカルは、例えば、6個〜25個、6個〜20個、6個〜15個又は6個〜12個の炭素原子を含むことができ、任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。本出願で用語「2価ラジカル又はラジカルの形成」は、前記ベンゼン、ベンゼンを含む化合物又はその誘導体が化学式1で他の置換体、例えば、A、L1及び/又はL2と共有結合を形成している状態を意味できる。したがって、本出願で用語「2価ラジカル」は、前記共有結合が2個存在する場合を意味できる。

本出願で前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、芳香族ラジカル、アルキレン基又はアルキリデン基に任意に置換されていてもよい置換基としては、塩素又はフッ素等のハロゲン、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基又は脂環式エポキシ基等のエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、チオール基、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基等が例示され得るが、これに制限されるものではない。

前記化学式1の化合物で、Q1及びQ2は、それぞれ芳香族2価ラジカルであり、且つ、前記芳香族2価ラジカルは、少なくとも一つのアルキル基により置換されている。

一つの例示で、前記芳香族ラジカルは、下記化学式2〜4のうちいずれか一つの芳香族化合物に由来するラジカルであることができる。

化学式2により形成されるラジカルが化学式1のQ1である場合、化学式2のRa〜Rfのうち2個が共有結合を形成し、且つ、前記共有結合を形成する置換基のうちいずれか一つは、化学式1のL1と共有結合を形成し、他の一つは、化学式1でAと共有結合を形成していてもよく、前記ラジカルが化学式1のQ2である場合、化学式2のRa〜Rfのうち2個が共有結合を形成し、且つ、前記共有結合を形成する置換基のうちいずれか一つは、化学式1のL2と共有結合を形成し、他の一つは、化学式1でAと共有結合を形成していてもよい。

Ra〜Rfのうち前記共有結合を形成していない置換基は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基であることができ、少なくとも一つは、アルキル基である。

化学式3により形成されるラジカルが化学式1のQ1である場合、化学式3のRa〜Rhのうち2個が共有結合を形成し、且つ、前記共有結合を形成する置換基のうちいずれか一つは、化学式1のL1と共有結合を形成し、他の一つは、化学式1でAと共有結合を形成していてもよく、前記ラジカルが化学式1のQ2である場合、化学式3のRa〜Rhのうち2個が共有結合を形成し、且つ、前記共有結合を形成する置換基のうちいずれか一つは、化学式1のL2と共有結合を形成し、他の一つは、化学式1でAと共有結合を形成していてもよい。

Ra〜Rhのうち前記共有結合を形成していない置換基は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基であることができ、少なくとも一つは、アルキル基である。

化学式4で、Lは、アルキレン基、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子であることができる。なお、化学式4により形成されるラジカルが化学式1のQ1である場合、化学式4のRa〜Rhのうち2個が共有結合を形成し、且つ、前記共有結合を形成する置換基のうちいずれか一つは、化学式1のL1と共有結合を形成し、他の一つは、化学式1でAと共有結合を形成していてもよく、前記ラジカルが化学式1のQ2である場合、化学式4のRa〜Rhのうち2個が共有結合を形成し、且つ、前記共有結合を形成する置換基のうちいずれか一つは、化学式1のL2と共有結合を形成し、他の一つは、化学式1でAと共有結合を形成していてもよい。

Ra〜Rhのうち前記共有結合を形成していない置換基は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基であることができ、少なくとも一つは、アルキル基であることができる。

前記芳香族2価ラジカルに置換されているアルキル基の数字は、特に制限されず、例えば、1個〜12個、1個〜8個、1個〜4個又は1個〜2個であることができる。

一つの例示で、化学式1のQ1及びQ2の芳香族ラジカルは、前記化学式2の芳香族化合物により形成され得る。このような場合、化学式2のRa〜RfのうちAと共有結合を形成する置換基を基準に少なくともオルト(ortho)、メタ(meta)又はパラ(para)位置に存在する置換基、好適には、パラ(para)位置の置換基がL1及び/又はL2と共有結合を形成するラジカルであることができる。

また、前記構造で化学式2のRa〜RfのうちAと共有結合を形成する置換基を基準に少なくともオルト(ortho)、メタ(meta)又はパラ(para)位置に存在する置換基、好適には、オルト又はメタ位置、又はメタ位置に存在する置換基のうち少なくとも一つがアルキル基であることができ、例えば、メタ位置に存在する2個の置換基がいずれもアルキル基であることができる。

化学式1で、Aは、アルキレン基又はアルキリデン基であり、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8又は炭素数1〜4のアルキレン基又はアルキリデン基であることができる。

化学式1で、L1及びL2は、アルキレン基、アルキリデン基、酸素原子又は硫黄原子であり、L1及びL2は、互いに同一であってもよく、異なってもよい。L1及びL2の適切な例示としては、アルキレン基、アルキリデン基又は酸素原子が挙げられ、例えば、前記L1及びL2は、いずれも、酸素原子であることができるが、これに制限されるものではない。

化学式1でR1〜R10は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はシアノ基であり、且つ、R2〜R4のうち少なくとも2個は、シアノ基であり、R7〜R9のうち少なくとも2個は、シアノ基である。シアノ基でないR1〜R10の適切な例示としては、水素、アルキル基又はアルコキシ基;又は水素又はアルキル基が挙げられるが、これに制限されるものではない。一つの例示で、化学式1では、R2、R3、R7及びR8がシアノ基であり、残りの置換基は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基;水素、アルキル基又はアルコキシ基;又は水素又はアルキル基であることができる。

前記化学式1の化合物は、前記のように、芳香族ラジカルにアルキル基が置換されている構造を有する。これにより、前記化合物は、低い加工温度と適切なオンセット温度(onset temperature)を示し、広いプロセスウィンドウを示すことができる。また、前記化合物は、優れた耐熱性を示すことができる。本出願で、用語「加工温度」は、前記化合物、それを含む下記重合性組成物又はプレポリマー等が加工可能な状態で存在する温度を意味できる。このような加工温度は、例えば、溶融温度Tp又はガラス転移温度Tgであることができる。

これにより、前記化合物は、硬化性に優れ、適切な加工温度と広いプロセスウィンドウ(process window)を示し、優れた物性の複合体を形成できる重合性組成物及びプレポリマーを提供できる。

一つの例示で、前記化合物の加工温度は、50℃〜250℃、80℃〜200℃又は90℃〜150℃の範囲内にあり得る。このような範囲は、適切な流動性と加工性を示し、広いプロセスウィンドウが確保され、優れた物性の複合体を形成できる重合性組成物又はプレポリマーを具現するのに有利である。

化学式1の化合物は、いわゆるフタロニトリル化合物が適用され得るものと公知されている多様な用途で効果的に使用され得る。例えば、前記フタロニトリル化合物は、いわゆるフタロニトリル樹脂を製造できる原料或いは前駆体として効果的に使用され得る。前記化合物は、適切な溶融温度を示し、硬化剤との反応性に優れ、広いプロセスウィンドウ(process window)を示し、前記用途に効果的に適用され得る。前記化合物は、前記用途外にも、フタロシアニン染料(phthalocyanine pigment)等のような染料の前駆体、蛍光増白剤(fluorescent brightener)、写真増感剤(photographic sensitizer)又は酸無水物の前駆体或いは原料等に適用され得る。

化学式1の化合物は公知の有機化合物の合成法により合成できる。例えば、化学式1の化合物は、フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族化合物と少なくとも2個のシアノ基を有する芳香族化合物を反応させる方法(ex.nitro displacement method)等で合成できる。有機化学分野には、前記化学式1の化合物の構造を形成できる前記芳香族化合物が知られていて、このような化合物は、目的する構造を考慮してすべて前記化合物の製造に適用され得る。

本出願は、また、前記化合物の用途に関する。前記化合物の用途として、前述したように、フタロニトリル樹脂、フタロシアニン染料、蛍光増白剤、写真増感剤又は酸無水物の原料或いは前駆体が例示され得る。前記用途の一例示として、例えば、本出願は、フタロニトリル樹脂に関するものである。前記フタロニトリル樹脂は、前記化学式1の化合物由来の重合単位を含むことができる。本出願で用語「所定化合物由来の重合単位」は、当該化合物の重合或いは硬化により形成されたポリマーの骨格を意味できる。

フタロニトリル樹脂は、フタロニトリル化合物の重合単位を、重量を基準に40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上又は90%以上含むことができる。フタロニトリル樹脂に前記の比率で含まれるフタロニトリル化合物の重合単位は、前記化学式1の化合物の重合単位又は前記化学式1の化合物と他のフタロニトリル化合物の混合物の重合単位であることができる。前記の比率は、他の例示で、100%未満又は99%以下であることができる。

フタロニトリル樹脂は、化学式1の化合物の重合単位に、さらに他のフタロニトリル化合物の重合単位を含むこともできる。このような場合、選択及び使用され得るフタロニトリル化合物の種類は、特に制限されず、フタロニトリル樹脂の形成及びその物性の調節に有用なものと知られた公知の化合物が適用され得る。このような化合物の例としては、米国特許第4,408,035号、米国特許第5,003,039号、米国特許第5,003,078号、米国特許第5,004,801号、米国特許第5,132,396号、米国特許第5,139,054号、米国特許第5,208,318号、米国特許第5,237,045号、米国特許第5,292,854号又は米国特許第5,350,828号等で公知されている化合物が例示され得るが、これに制限されるものではない。

フタロニトリル樹脂において前記化学式1の化合物の重合単位は、前記化合物と硬化剤の反応により形成される重合単位であることができる。このような場合、使用され得る硬化剤の種類は、化学式1の化合物と反応して高分子を形成できるものであれば、特に制限されず、例えば、いわゆるフタロニトリル樹脂の形成に有用なものと知られた化合物であれば、いずれの化合物をも使用できる。このような硬化剤は、前記記述した米国特許を含む多様な文献に知られている。

一つの例示では、硬化剤として芳香族アミン化合物のようなアミン化合物又はヒドロキシ化合物を使用できる。本出願でヒドロキシ化合物は、分子内に少なくとも一つ又は二つのヒドロキシ基を含む化合物を意味できる。フタロニトリル化合物を硬化させて樹脂を形成できる硬化剤は、多様に公知されていて、このような硬化剤は、本出願で大部分適用され得る。

硬化剤の一つの例示としては、下記化学式5の化合物が挙げられる。

化学式5でR11〜R16は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基又は下記化学式6の置換基であり、R11〜R16のうち2個以上は、ヒドロキシ基、アミノ基又は下記化学式6の置換基である。

化学式6で、Lは、単結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基又はアルキリデン基であり、R17〜R21は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヒドロキシ基又はアミノ基であり、R17〜R21のうち少なくとも一つは、ヒドロキシ基又はアミノ基である。

化学式5で、2個以上、例えば2個〜5個、2個〜4個、2個〜3個又は2個存在するヒドロキシ基、アミノ基又は下記化学式6の置換基は、相互に対してオルト、メタ又はパラ位置に存在できる。

また、化学式6で、少なくとも一つ、例えば1個存在するヒドロキシ基又はアミノ基は、化学式6のLを基準にオルト、メタ又はパラ位置に存在できる。

本出願は、また、重合性組成物に関する。重合性組成物は、前記記述した化学式1の化合物を含むことができる。重合性組成物は、前記化学式1の化合物とともに硬化剤をさらに含むことができる。

前記重合性組成物は、フタロニトリル化合物を、重量を基準に40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上又は90%以上含むことができる。重合性組成物に前記比率で含まれるフタロニトリル化合物は、前記化学式1の化合物又は前記化学式1の化合物と他のフタロニトリル化合物の混合物であることができる。前記の比率は、他の例示で、100%未満又は99%以下であることができる。

重合性組成物に含まれる硬化剤としては、例えば、既に記述したような硬化剤を使用できる。 重合性組成物において硬化剤の比率は、特に制限されない。前記比率は、例えば、組成物に含まれている化学式1の化合物等の硬化性成分の比率や種類等を考慮して、目的する硬化性が確保され得るように調節され得る。例えば、硬化剤は、重合性組成物に含まれている化学式1の化合物1モル当たり約0.02モル〜2.5モル、約0.02モル〜2.0モル又は約0.02モル〜1.5モル程度で含まれていてもよい。しかし、前記比率は、本出願の例示に過ぎない。通常、重合性組成物において硬化剤の比率が高くなるが、プロセスウィンドウが狭くなる傾向にあり、硬化剤の比率が低くなると、硬化性が不十分になる傾向があるので、このような点等を考慮して、適切な硬化剤の比率が選択され得る。

本出願の重合性組成物は、硬化性に優れ、適切な加工温度と広いプロセスウィンドウ(process window)を示すことができる。

一つの例示で、前記重合性組成物の加工温度は、50℃〜250℃、80℃〜200℃又は90℃〜150℃の範囲内にあり得る。このような場合、前記重合性組成物のプロセスウィンドウ、すなわち前記加工温度Tpと前記化学式1の化合物と硬化剤の硬化温度Tcの差Tc−Tpの絶対値は、30℃以上、50℃以上又は100℃以上であることができる。一つの例示で、前記硬化温度Tcが前記加工温度Tpに比べて高い。このような範囲は、重合性組成物を使用して、例えば後述する複合体を製造する過程で適切な加工性を確保するのに有利であることができる。前記でプロセスウィンドウの上限は、特に制限されるものではないが、例えば、前記加工温度Tpと硬化温度Tcの差Tc−Tpの絶対値は、400℃、300℃以下又は200℃以下であることができる。

重合性組成物は、前記化学式1の化合物以外に、他のフタロニトリル化合物等を含む多様な添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤の例としては、多様な充填剤が例示され得る。充填剤に使用され得る物質の種類は、特に制限されず、目的する用途によって好適な公知の充填剤がすべて使用され得る。例示的な充填剤としては、金属物質、セラミック物質、ガラス、金属酸化物、金属窒化物又は炭素系物質等が例示され得るが、これに制限されるものではない。また、前記充填剤の形態も、特に制限されず、アラミド繊維、ガラス繊維又はセラミック繊維等のような繊維状物質、又はその物質により形成された織布、不織布、紐又はロープ、ナノ粒子を含む粒子状、多形又はその他無定形等多様な形態であることができる。前記で炭素系物質としては、グラファイト(graphite)、グラフェン(graphene)又はカーボンナノチューブ等やそれらの酸化物等のような誘導体或いは異性質体等が例示され得る。しかし、重合性組成物がさらに含むことができる成分は、前記に制限されるものではなく、例えば、ポリイミド、ポリアミド又はポリスチレン等のようないわゆるエンジニアリングプラスチックの製造に適用され得るものと知られた多様な単量体やその他添加剤も目的によって制限なしに含むことができる。

本出願は、また、前記重合性組成物、すなわち前記化学式1の化合物及び硬化剤を含む重合性組成物の反応により形成されるプレポリマー(prepolymer)に関する。

本出願で用語「プレポリマー状態」は、前記重合性組成物内で化学式1の化合物と硬化剤がある程度起きた状態(例えば、いわゆるA又はBステージ段階の重合が起きた状態)や、完全に重合された状態には至らず、適切な流動性を示し、例えば、後述するような複合体の加工が可能な状態を意味できる。一つの例示で、前記プレポリマー状態は、前記重合性組成物の重合がある程度進行された状態であって、該組成物の常温においての粉末又はパウダー等のような固体状態であることができる。本出願での用語「常温」は、加温されるか又は減温されない自然そのままの温度であって、例えば、約10℃〜30℃、約15℃〜30℃、約20℃〜30℃、25℃又は23℃程度の温度を意味できる。

前記プレポリマーも、優れた硬化性、適切な加工温度及び広いプロセスウィンドウ(process window)を示すことができる。

例えば、前記プレポリマーの加工温度は、50℃〜250℃、80℃〜200℃又は90℃〜150℃の範囲内にあり得る。このような場合、前記プレポリマーのプロセスウィンドウ、すなわち前記加工温度Tpと前記プレポリマーの硬化温度Tcの差Tc−Tpの絶対値は、30℃以上、50℃以上又は100℃以上であることができる。一つの例示で、前記硬化温度Tcが前記加工温度Tpに比べて高い。このような範囲は、プレポリマーを使用して、例えば後述する複合体を製造する過程で適切な加工性を確保するのに有利であることができる。前記でプロセスウィンドウの上限は、特に制限されるものではないが、例えば、前記加工温度Tpと硬化温度Tcの差Tc−Tpの絶対値は、400℃以下、300℃以下又は200℃以下であることができる。

プレポリマーは、前記成分以外に公知の任意の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤の例としては、前述した充填剤等が例示され得るが、これに制限されるものではない。

本出願は、また、複合体(composite)に関する。前記複合体は、前記記述したように、フタロニトリル樹脂及び充填剤を含むことができる。前記記述したように、本出願の化学式1の化合物を通じて優れた硬化性、適切な加工温度と広いプロセスウィンドウ(process window)の達成が可能であり、これにより、多様な充填剤を含む優れた物性のいわゆる強化樹脂複合体(reinforced polymer composite)を容易に形成できる。このように形成された複合体は、前記フタロニトリル樹脂と充填剤を含むことができ、例えば、自動車、飛行機又は船舶等の耐久材等を含む多様な用途に適用され得る。

充填剤の種類は、特に制限されず、目的する用途を考慮して適宜選択され得る。充填剤の具体的な例示は、前述した通りであるが、これに制限されるものではない。

充填剤の比率も、特に制限されるものではなく、目的する用途によって適正範囲に設定され得る。

本出願は、また、前記複合体を製造するための前駆体に関し、前記前駆体は、例えば、前記記述した重合性組成物と前記充填剤を含むか、あるいは前記記述したプレポリマーと前記充填剤を含むことができる。

複合体は、前記前駆体を使用した公知の方式で製造できる。例えば、前記複合体は、前記前駆体を硬化させて形成できる。

一つの例示で、前記前駆体は、前記記述した化学式1の化合物を溶融状態で硬化剤と配合して製造された重合性組成物あるいは前記プレポリマーを加熱等により溶融させた状態で前記充填剤と配合して製造し得る。例えば、前記のように製造された前駆体を目的する形状に成形した後、硬化させて、前述した複合体の製造が可能である。前記重合性組成物又はプレポリマーは適切な加工温度と広いプロセス温度を有し、硬化性に優れ、前記過程で成形及び硬化が効率的に行われることができる。

前記過程でプレポリマー等を形成する方法、そのようなプレポリマー等と充填剤を配合し、加工及び硬化させて、複合体を製造する方法等は、公知された方式によって進行され得る。

本出願は、また、前記化合物を含むフタロシアニン染料の前駆体、蛍光増白剤の前駆体又は写真増感剤の前駆体に関するものであるか、前記化合物に由来する酸無水物に関するものであることができる。前記化合物を使用して前記前駆体を組成する方法又は前記酸無水物を製造する方法は、特に制限されず、フタロニトリル化合物を使用して前記前駆体或いは酸無水物を製造できるものと知られた公知の方式がすべて適用され得る。

本出願では、フタロニトリル化合物及びその用途を提供できる。前記フタロニトリル化合物は、新規な構造を有し、フタロニトリル化合物が適用され得るものと公知された用途で優れた効果を示すことができる。このようなフタロニトリル化合物の用途には、いわゆるフタロニトリル樹脂、フタロシアニン染料、蛍光増白剤、写真増感剤又は酸無水物等の原料或いは前駆体が例示され得る。

図1は、製造例1の化合物のNMR結果を示す。

図2は、製造例2の化合物のNMR結果を示す。

図3は、製造例3の化合物のNMR結果を示す。

以下、実施例及び比較例により本出願のフタロニトリル樹脂等を具体的に説明するが、前記樹脂等の範囲が下記実施例に制限されるものではない。

1.NMR、DSC及びTGA分析 NMR分析は、装置(Agilent 500MHz NMR device)を使用して製造社のマニュアルによって行った(使用溶媒:DMSO(d6)(dimethylsulforxide−d6))。

また、DSC(Differential scanning calorimetry)分析は、TA Instrument社のQ20systemを利用して35℃から450℃まで約10℃/分の速度で昇温しつつ、N2フロー(N2 flow)雰囲気で測定した。また、TGA(Thermogravimetric Analysis)分析は、Mettler−Toledo社のTGAe850を利用して、化合物の場合、25℃から800℃まで約10℃/分の速度で昇温しつつ、N2フロー(N2flow)雰囲気で測定し、重合性組成物の場合、25℃から900℃まで約10℃/分の速度で昇温しつつ、N2フロー(N2flow)雰囲気で測定した。

製造例1 下記化学式Aの化合物は、ニトロ置換(nitro displacement)反応により合成した。Bis(4−hydroxy−3、5−dimethylphenyl)metane(CAS No.5384−21−4)41.0gと150mLのDMF(dimethyl formamide)を500mLのフラスコ(3 neck round−bottom flask)に入れ、常温で撹拌した。前記混合物に4−nitrophthalonitrile 55.4gを添加し、DMF50gを追加して撹拌し、溶解させた。炭酸カリウム66.3gをDMF50gと一緒に投入し、撹拌しながら、温度を85℃まで昇温した。5時間程度反応させ、常温まで冷却させた後、冷却した反応溶液を0.2Nの塩酸水溶液に注いで、中和沈殿させ、沈殿物をフィルタリング後、水洗した。フィルタリングした生成物を100℃真空オーブンで一日間乾燥させて、水と残留溶媒を除去し、目的化合物を得た。製造された化合物に対するNMR分析結果は、図1に記載した。

製造例2 下記化学式Bの化合物も、ニトロ置換(nitro displacement)反応により合成した。4、4’−dihydroxybiphenyl 27.9gと100mLのDMF(dimethyl formamide)を500mLのフラスコ(3 neck round−bottom flask)に入れ、常温で撹拌した。前記混合物に4−nitrophthalonitrile 51.9gを添加し、DMF50gを追加して撹拌し、溶解させた。炭酸カリウム62.2gをDMF50gと一緒に投入し、撹拌しながら温度を85℃まで昇温させた。5時間程度反応させ、常温まで冷却させた後、冷却した反応溶液を0.2Nの塩酸水溶液に注いで、中和沈殿させ、沈殿物をフィルタリングした後、水洗した。フィルタリングした生成物を100℃真空オーブンで一日間乾燥させて、水と残留溶媒を除去し、目的化合物を得た。製造された化合物に対するNMR分析結果は、図2に記載した。

製造例3 下記化学式Cの化合物も、ニトロ置換(nitro displacement)反応により合成した。2,2−bis(3−amino−4−hydroxyphenyl)hexafluoropropane 0.4gと150mLのDMF(dimethyl formamide)を500mLのフラスコ(3 neck round−bottom flask)に入れ、常温で撹拌した。前記混合物に4−nitrophthalonitrile 51.9gを添加し、DMF50gを追加して撹拌し、溶解させた。炭酸カリウム62.2gをDMF50gと一緒に投入し、撹拌しながら温度を85℃まで昇温させた。5時間程度反応させ、常温まで冷却させた後、冷却した反応溶液を0.2Nの塩酸水溶液に注いで、中和沈殿させ、沈殿物をフィルタリングした後、水洗した。フィルタリングした生成物を100℃真空オーブンで一日間乾燥させて、水と残留溶媒を除去し、目的化合物を得た。製造された化合物に対するNMR分析結果は、図3に記載した。

製造例4 下記化学式Dの化合物(m−APB)は、TCI社の製品を購買し、追加精製なしに使用した。

前記製造例1〜3の化合物の溶融温度Tm等の物性は、下記表1に整理された通りである。

実施例1 製造例1で合成された化学式Aの化合物4gに硬化剤(製造例4の化合物)を前記化学式Aの化合物1モル当たり12モルが存在するように配合し、重合性組成物を製造した。前記混合物を200℃程度で溶融させ、5分間急速に冷却させて、前駆体(prepreg)を製造できる。

比較例1 製造例1で合成された化学式Aの化合物の代わりに、製造例2の化学式Bの化合物を使用したことを除いて、実施例1と同一に重合性組成物を製造し、その物性を評価した。

比較例2 製造例1で合成された化学式Aの化合物の代わりに、製造例3の化学式Cの化合物を使用したことを除いて、実施例1と同一に重合性組成物を製造し、その物性を評価した。

前記実施例1及び比較例1と2の結果に対して測定した物性を整理すると、表2の通りである。

表1及び表2の結果から、本出願の特定化学式の化合物は、低い加工温度(溶融温度、Tm)と適切なオンセット温度(onset temperature)を示し、広いプロセスウィンドウを示すことを確認でき、化合物の耐熱性に優れていることが分かる。

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