【0001】 【発明の属する技術分野】 発明の分野 本発明は、硬化性コーティング組成物、特に組成物の成分の1つとしてカルバメート−または尿素−官能性化合物を利用する硬化性組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 発明の背景 硬化性コーティング組成物、例えば、熱硬化性コーティング、はコーティング分野において広く使用されている。 それらは自動車および工業的コーティング産業におけるトップコートにしばしば使用されている。 カラー−プラス−クリヤー複合コーティングは、例外的な光沢度、色の深さ、映像の明確さ、または特別の金属効果を望む場合、トップコートとして特に有用である。 自動車産業において、自動車本体のパネルにこれらのコーティングが広範に使用されている。 しかしながら、カラー−プラス−クリヤー複合コーティングは、所望の視的効果を達成するために、クリアコートにおいて極端に高い透明度を必要とする。 高い光沢度のコーティングは、また、所望の視的効果、例えば、高い映像の明確さ(DOI)を達成するために、コーティング表面における視的異常が低いことが要求される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 このようなコーティングは環境腐蝕として知られている現象に対して特に感受性である。 環境腐蝕は、コーティングの仕上げ上にまたはその中に、こすってしばしば除去できない斑点またはしるしとして現れる。 【0004】 カルバメートまたは尿素の官能性を有するコーティング組成物に基づく硬化性コーティング組成物は、腐蝕抵抗性コーティングを提供するためにこの分野において提案された、例えば、米国特許第5,356,669号およびWO第94/10211号各明細書。 【0005】 環境腐蝕に対する抵抗性に加えて、多数の他の特性が望ましいことがある。 例えば、高度の柔軟性を有するコーティングを提供することは望ましいことがある。 プラスチック、皮革、または繊維材料の支持体の場合におけるように、コーティングをその上に配置する支持体がそれ自体柔軟性である場合に、これは特に有利であることがある。 【0006】 また、揮発性有機含量(VOC)を減少させるためにコーティング組成物において要求される支持体の量を減少させることが望ましく、これは環境にとっていっそうよいことである。 【0007】 最後に、耐久性、硬度、および引掻き、擦傷、溶媒、および酸に対する抵抗性のような性質のすぐれた組み合わせを有するコーティングを提供するために、異なる種類のカルバメート−または尿素−官能性材料の選択肢を提供することが望ましい。 【0008】 【課題を解決するための手段】 発明の要約 本発明によれば、下記の(A)および(B)を含んでなるコーティング組成物が提供される。 (A)下記(1)および(2)の反応生成物である、カルバメートまたは尿素官能性化合物、 (1)下記の(a)および(b)の反応生成物である、カルバメートまたは尿素基またはカルバメートまたは尿素に変換できる基およびヒドロキシル官能基を含んでなる化合物、 (a)カルバメートまたは尿素基またはカルバメートまたは尿素基に変換できる基、およびラクトンまたはヒドロキシカルボン酸と反応性である活性水素基を含んでなる化合物、および(b)ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸、 (2)化合物(A)(1)と反応して化合物(A)(1)上のヒドロキシル基をカルバメート基に変換する成分、または化合物(A)(1)上のヒドロキシル基と反応性である基、およびカルバメートまたは尿素基またはカルバメートまたは尿素に変換できる基、を含んでなる成分、 (B)カルバメートまたは尿素と反応性である複数の基を含んでなる化合物。 本発明は、耐久性、硬度、および引掻き、擦傷、溶媒、および酸に対する抵抗性のような性質のすぐれた組み合わせを有するコーティングを提供する。 本発明によるコーティング組成物は、また、低いVOCレベルを提供し、そして柔軟性支持体上に使用するためにすぐれた柔軟性を有するコーティングを製造するために使用することができる。 【0009】 【発明の実施の形態】 好ましい態様の説明 本発明によれば、化合物(A)はカルバメートまたは尿素官能性を有し、そしてカルバメート基または尿素基またはカルバメートまたは尿素に変換できる基およびヒドロキシル基を有する化合物(A)(1)と、化合物(A)(2)との反応により形成される。 【0010】 カルバメート基は、一般に、下記式により特徴づけることができる:
式中RはHまたはアルキル、好ましくは1〜4個の炭素原子のアルキルである。 好ましくは、RはHまたはメチルであり、より好ましくはRはHである。 尿素基は、一般に、下記式により特徴づけることができる: 式中R'およびR”は各々独立してHまたはアルキル、好ましくは1〜4個の炭素原子のアルキルを表すか、またはR'およびR”は一緒になって複素環式環構造を形成することができる(例えば、R'およびR”はエチレン架橋を形成する)。
【0011】
化合物(A)(1)は、ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸を活性水素基(ラクトンを開環するかヒドロキシカルボン酸の酸基と縮合反応を行うことができるもの)(例えば、ヒドロキシル、第一アミン、酸)およびカルバメート基または尿素基またはカルバメートまたは尿素に変換できる基を有する化合物と反応させることによって形成させることができる。 活性水素基およびカルバメートまたは尿素に変換できる基を有する化合物を使用してラクトンまたはヒドロキシカルボン酸と反応させるとき、この基のカルバメートまたは尿素への変換は開環反応の間にまたは後に達成することができる。
【0012】
カルバメートまたは尿素基および活性水素基を有する化合物はこの分野において知られている。 例えば、ヒドロキシプロピルカルバメートおよびヒドロキシエチルエチレン尿素はよく知られており、そして商業的に入手可能である。 アミンカルバメートは米国特許第2,842,523号明細書に記載されている。 ヒドロキシル尿素は、また、オキサゾリドンをアンモニアまたは第一アミンと反応させるか、またはエチレンオキシドをアンモニアと反応させてアミノアルコールを形成させ、次いでその化合物または任意の他のアミノアルコールを塩酸と、次いで尿素と反応させてヒドロキシ尿素を形成させることによって製造することができる。 アミノ尿素は、例えば、ケトンを、反応から保護された(例えば、立体障害により)1つのアミノ基を有するジアミンと反応させ、次いでHNCO(すなわち、尿素の熱分解生成物)と、次いで水と反応させることによって製造することができる。 また、これらの化合物は、後述するように、活性水素およびカルバメートまたは尿素に変換できる基を有する化合物を使用して出発し、次いでラクトンまたはヒドロキシカルボン酸との反応の開始前に、前記基をカルバメートまたは尿素に変換することによって製造することができる。
【0013】
カルバメートまたは尿素に変換できる基は、環状カーボネート基、エポキシ基、および不飽和結合を包含する。 環状カーボネート基はアンモニアまたは第一アミンとの反応によりカルバメート基に変換することができ、ここでアンモニアまたは第一アミンは環状カーボネートを開環してβ−ヒドロキシカルバメートを形成する。 エポキシ基は、まずCO
2との反応により環状カーボネート基に変換することによって、カルバメート基に変換することができる。 これは大気圧から臨界CO 2圧力を越える任意の圧力において実施することができるが、好ましくは昇圧(例えば、60〜150psi)下に実施される。 この反応のための温度は好ましくは60〜150℃である。 有用な触媒にはオキシラン環を活性化する任意の触媒があり、例えば、第三アミンまたは第四塩(例えば、テトラメチルアンモニウムブロミド)、有機錫ハライドおよびアルキルホスホニウムハライドの組み合わせ(例えば、(CH 3 ) 3 SnI、Bu 4 SnI、Bu 4 PI、および(CH 3 ) 4 PI)、カリウム塩(例えば、K 2 CO 3 、KI)好ましくはそれとクラウンエーテルとの組み合わせ、錫オクトエート、カルシウムオクトエートなどである。 次いで、環状カーボネートを前述したようにカルバメート基に変換することができる。 いかなる不飽和結合をも、まずペルオキシドとの反応によりエポキシ基に変換し、次いでCO 2と反応させて環状カーボネートを形成させ、次いでアンモニアまたは第一アミンと反応させてカルバメートを形成させることによって、カルバメート基に変換することができる。 【0014】
他の基、例えば、ヒドロキシル基またはイソシアネート基も、カルバメート基に変換して化合物(A)(1)(a)を形成することができる。 しかしながら、このような基を化合物(A)(1)(a)上に存在させ、そしてラクトンまたはヒドロキシカルボン酸との反応後にカルバメートに変換すべき場合、それらがラクトン、ヒドロキシカルボン酸と、または活性水素基と反応しないように、それらをブロックしなくてはならないであろう。 これらの基のブロッキングが不可能である場合、カルバメートまたは尿素への変換はラクトンまたはヒドロキシカルボン酸との反応前に完結しなくてはならないであろう。 ヒドロキシル基は、モノイソシアネート(例えば、メチルイソシアネート)と反応させて第二カルバメート基を形成するか、またはシアン酸(これは尿素の熱分解によりその場で形成することができる)と反応させて第一カルバメート基(すなわち、非置換カルバメート)を形成させることによって、カルバメート基に変換することができる。 この分野において知られているように、この反応は好ましくは触媒の存在下に生起する。 ヒドロキシル基も、ホスゲンと、次いでアンモニアと反応させて、1または2以上のカルバメート基を有する化合物を形成させることができるか、またはヒドロキシルをホスゲンと、次いで第一アミンと反応させて、第二カルバメート基を有する化合物を形成させることができる。 他のアプローチはイソシアネートをヒドロキシアルキルカルバメートのような化合物と反応させて、カルバメートキャップドイソシアネート誘導体を形成させることである。 例えば、トルエンジイソシアネート上の一方のイソシアネートをヒドロキシプロピルカルバメートと反応させ、次いで他方のイソシアネート基を過剰のポリオールと反応させてヒドロキシカルバメートを形成させることができる。 最後に、カルバメートはエステル交換により製造することができ、ここでヒドロキシル基をアルキルカルバメート(例えば、メチルカルバメート、エチルカルバメート、ブチルカルバメート)と反応させて、第一カルバメート基を含有する化合物を形成させる。 この反応は加熱下に、好ましくは触媒、例えば、有機金属触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート)の存在下に、実施される。 カルバメートを製造する他の技術は、また、この分野において知られており、そして、例えば、P. Adams & F. Baron、Esters of Carbamic Acid、
Chemical Review 、v. 65、1965、に記載されている。 【0015】
オキサゾリドンのような基は、また、ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸との反応後に尿素に変換することができる。 例えば、ヒドロキシエチルオキサゾリドンを使用して、ラクトンまたはヒドロキシカルボン酸と反応させ、次いでアンモニアまたは第一アミンをこのオキサゾリドンと反応させて尿素官能基を発生させる。
【0016】
他の基、例えば、アミノ基またはイソシアネート基も、これを尿素基に変換して化合物(A)(1)(a)を形成させることができる。 しかしながら、このような基を化合物(A)(1)(a)上に存在させ、次いでラクトンまたはヒドロキシカルボン酸との反応後に尿素に変換すべき場合、それらがラクトン、ヒドロキシカルボン酸と、または活性水素基と、反応しないように、それらをブロックしなくてはならないであろう。 これらの基のブロッキングが不可能である場合、カルバメートまたは尿素への変換はラクトンまたはヒドロキシカルボン酸との反応前に完結しなくてはならないであろう。 アミノ基は、モノイソシアネート(例えば、メチルイソシアネート)と反応させて第二尿素基を形成させるか、またはシアン酸(これは尿素の熱分解によりその場で形成することができる)と反応させて第一尿素基を形成させることによって、尿素基に変換することができる。 この分野において知られているように、この反応は好ましくは触媒の存在下に生起する。 アミノ基は、また、ホスゲンと、次いでアンモニアと反応させて、1または2以上の尿素基を有する化合物を形成させることができるか、またはアミノ基をホスゲンと、次いで第一アミンと反応させて、第二尿素基を有する化合物を形成させることができる。 他のアプローチはイソシアネートをヒドロキシ尿素化合物と反応させて、尿素キャップドイソシアネート誘導体を形成させることである。 例えば、トルエンジイソシアネート上の一方のイソシアネートをヒドロキシエチルエチレン尿素と反応させ、次いで他方のイソシアネート基を過剰のポリオールと反応させて、ヒドロキシカルバメートを形成させることができる。
【0017】
活性水素基およびカルバメートに変換できる基を有する化合物の好ましいクラスは、ヒドロキシアルキル環状カーボネートである。 ヒドロキシアルキル環状カーボネートは多数のアプローチにより製造することができる。 ある種のヒドロキシアルキル環状カーボネート、例えば、3−ヒドロキシプロピルカーボネート(すなわち、グリセリンカーボネート)は商業的に入手可能である。 環状カーボネート化合物はいくつかの異なるアプローチの任意のものにより合成することができる。 1つのアプローチは、前述したような条件下にかつ触媒を使用して、エポキシ基含有化合物をCO
2と反応させることを包含する。 エポキシドも、β−ブチロラクトンと反応させることができる。 他のアプローチにおいて、グリコール、例えば、グリセリン、を少なくとも80℃において触媒(例えば、炭酸カリウム)の存在下にジエチルカーボネートと反応させてヒドロキシアルキルカーボネートを形成させる。 また、構造式: 【0018】
【化1】
を有する1,2−ジオールのケタールを含有する官能性化合物を水で、好ましくは微量の酸とともに、開環して1,2−グリコールを形成させることができ、次いでこれをさらにジエチルカーボネートと反応させて環状カーボネートを形成させる。
【0019】
環状カーボネートは、この分野において知られているように、典型的には5〜6員環を有する。 5員環は、合成が容易でありかつ商業的に入手可能な程度が大きいので、好ましい。 6員環は、環状カーボネートの形成についてこの分野において知られている条件下に、ホスゲンを1,3−プロパンジオールと反応させることによって合成できる。 実際に使用されている好ましいヒドロキシアルキル環状カーボネートは、下記式により表すことができる:
【0020】
【化2】
式中R(またはnが2以上である場合各R)は1〜18個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子、のヒドロキシアルキル基であり、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができ、そしてヒドロキシル(これはそれ自体第一、第二、または第三であることができる)に加えて置換基を有することができ、そしてnは1または2であり、前記置換基は1または2以上の他の置換基、例えば、ブロックドアミンまたは不飽和基により置換されることができる。 より好ましくは、Rは−C
m H 2m OHであり、ここでヒドロキシルは第一または第二であることができ、そしてmは1〜8であり、なおより好ましくは、Rは−(CH 2 ) p −OHであり、ここでヒドロキシルは第一であり、そしてpは1〜2である。 【0021】
活性水素により開環することができるラクトンはこの分野においてよく知られている。 それらは、例えば、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、β−プロプリオラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ノナン酸ラクトン、γ−オクタン酸ラクトン、およびペントラクトンを包含する。 好ましい態様において、ラクトンはε−カプロラクトンである。 本発明の実施において有用なラクトンは、また、下記式により特徴づけられる:
【0022】
【化3】
式中nは1〜7の正の整数であり、そしてRは1または2以上のH原子、または1〜7個の炭素原子の置換または非置換のアルキル基である。
【0023】
ラクトンの開環反応は典型的には昇温(例えば、80〜150℃)下に実施される。 反応成分は通常液体であるので、溶媒は不必要である。 しかしながら、反応成分が液体である場合であってさえ、溶媒は反応のためのすぐれた条件を促進するために有用であることがある。 任意の非反応性溶媒を使用することができ、極性および非極性の双方の有機溶媒を包含する。 有用な溶媒の例には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどがある。 触媒の存在が好ましい。 有用な触媒はプロトン酸(例えば、オクタン酸、Amberlyst
R 15(Rohm & Haas))、および錫触媒(例えば、オクタン酸第一錫)を包含する。 また、この反応はラクトン環と反応させるために分子上のヒドロキシル基のナトリウム塩を形成させることによって開始することができる。 【0024】
十分な量のラクトンが存在する場合、ラクトンの開環反応により分子の連鎖延長が生じる。 カルバメートまたは尿素化合物(A)(1)(a)およびラクトン(A)(1)(b)の相対量を変化させて、連鎖延長の程度をコントロールすることができる。 ヒドロキシルまたはアミン基を使用するラクトン環の開環により、エステルまたはアミドおよびOH基が形成される。 このOH基は他の利用可能なラクトン環と反応し、こうして連鎖延長が生じる。 したがって、この反応は、開始剤化合物(A)(1)の量に関するラクトンの比率によってコントロールされる。 本発明の実施において、(A)(1)(b)からのラクトンの当量/(A)(1)(a)上の活性水素基の比は好ましくは0.1:1〜10:1、より好ましくは1:1〜5:1である。 ラクトンを酸で開環するとき、生ずる化合物は酸基を有し、この酸基はよく知られている技術、例えば、エチレンオキシドとの反応、によりヒドロキシル基に変換することができる。
【0025】
ヒドロキシル活性水素基を有する化合物(A)(1)も、ヒドロキシカルボン酸と反応させてカルバメートまたは尿素官能性化合物(A)を形成させることができる。 有用なヒドロキシカルボン酸は、ジメチルヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシステアリン酸、酒石酸、乳酸、2−ヒドロキシエチル安息香酸、およびN−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸を包含する。 この反応は典型的なエステル交換条件下に、例えば、室温〜150℃の温度において、エステル交換触媒、例えば、オクタン酸カルシウム、金属水酸化物(例えば、KOH)、第1またはII族の金属(例えば、Na、Li)、金属炭酸塩(例えば、K
2 CO 3 )(これはクラウンエーテルと組み合わせた使用により増強することができる)、金属酸化物(例えば、酸化ジブチル錫)、金属アルコキシド(例えば、NaOCH 3 、Al(OC 3 H 7 ) 3 、金属エステル(例えば、オクタン酸第一錫、オクタン酸カルシウム、またはプロトン酸(例えば、H 2 SO 4 )、MgCO 3またはPh 4 SbIを使用して実施することができる。この反応は、また、室温においてポリマー支持触媒、例えば、Amberlyst−15 R (Rohm & Haas)を使用して、R.Anand、 Synthetic Co mmunications 、24(19)、2743−47(1994)(その開示は引用することによって本明細書の一部とされる)に記載されているように実施することができる。 【0026】
化合物(A)(1)上の末端のヒドロキシル基を次いで化合物(A)(2)との反応によりカルバメートまたは尿素に変換する。 この化合物(A)(2)は化合物(A)(1)と反応して化合物(A)(1)上のヒドロキシル基をカルバメート基または尿素基に変換するか、または化合物(A)(1)上のヒドロキシル基と反応性である基、およびカルバメート基または尿素基またはカルバメートまたは尿素に変換できる基を含んでなる。
【0027】
多数の化合物を成分(A)(2)として使用して、化合物(A)(1)上のヒドロキシル基をカルバメート基に変換することができる。 ヒドロキシル基は、モノイソシアネート(例えば、メチルイソシアネート)と反応させて第二カルバメート基を形成させるか、またはシアン酸(これは尿素の熱分解により形成することができる)と反応させて第一カルバメート基(すなわち、非置換カルバメート)を形成させることができる。 この反応は好ましくはこの分野において知られているように触媒の存在下に実施される。 ヒドロキシル基は、また、ホスゲンおよびアンモニアと反応させて1または2以上の第一カルバメート基を有する化合物を形成するか、またはヒドロキシルをホスゲンと反応させ、次いで第一アミンと反応させて、第二カルバメート基を有する化合物を形成させることができる。
【0028】
(A)(1)上のヒドロキシル基と反応性である基、およびカルバメート基または尿素基またはカルバメートまたは尿素に変換できる基を有する成分(A)(2)として、種々の化合物を使用することができる。 アルキルカルバメート(例えば、メチルカルバメート、ブチルカルバメート)または置換アルキルカルバメート(例えば、ヒドロキシプロピルカルバメート)を化合物(A)(1)上のヒドロキシル基でエステル交換することができる。 この反応は加熱下に、好ましくは触媒、例えば、有機金属触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート)の存在下に、実施される。 メチロールアクリルアミドを(A)(1)上のヒドロキシル基と反応させ、次いでカルバメートに変換することができる。 この反応において、不飽和結合を次いでペルオキシド、CO
2 、およびアンモニアと前述したように反応させる。 部分的にブロックされたトリレンジイソシアネートを、また、成分(A)(2)として使用することができる。 1つの態様において、部分的にブロックされたトリレンジイソシアネート上のブロックされないイソシアネートを(A)(1)上のヒドロキシル基と反応させることができる。 次いで他方のイソシアネートを脱ブロックし、そしてヒドロキシアルキルカルバメート(例えば、ヒドロキシプロピルカルバメート)またはヒドロキシ尿素(例えば、ヒドロキシエチルエチレン尿素)と反応させることができる。 また、ブロックされなていないイソシアネートをヒドロキシアルキルカルバメート(例えば、ヒドロキシプロピルカルバメート)またはヒドロキシ尿素(ヒドロキシエチルエチレン尿素)と反応させ、次いで他方のイソシアネート基を脱ブロックし、化合物(A)(1)上のヒドロキシル基と反応させることができる。 他のポリイソシアネートを使用して、(A)(1)上のヒドロキシル基上にカルバメート基または尿素基を付加することができるが、それらは競合副反応を生じて、ポリイソシアネートは2以上の(A)(1)分子または2以上のヒドロキシアルキルまたはヒドロキシ尿素と反応する。 【0029】
本発明の組成物はカルバメートまたは尿素官能性化合物(A)と、成分(B)、すなわち成分(A)上のカルバメート基または尿素基と反応性の複数の官能基を有する化合物、との反応により硬化される。 このような反応性基は、アミノプラスト架橋剤上、または他の化合物、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド付加物上の活性メチロールまたはメチルアルコキシ基、シロキサンまたはシラン基、および
無水物基を包含する。 (B)化合物の例には、メラミンホルムアルデヒド樹脂(モノマーまたはポリマーのメラミン樹脂および部分的または完全にアルキル化されたメラミン樹脂を包含する)、尿素樹脂(例えば、メチロール尿素、例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルコキシ尿素、例えば、ブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂)、N−メチロールアクリルアミドエマルジョン、イソブトキシメチルアクリルアミドエマルジョン、ポリ無水物(例えば、ポリコハク酸無水物)、およびシロキサンまたはシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン)がある。 アミノプラスト樹脂、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂、は特に好ましい。 また、米国特許第5,300,328号明細書に記載されているように、150℃未満の硬化温度を使用する方法において使用するための、アミノ窒素の1または2以上がカルバメート基で置換されたアミノプラスト樹脂も好ましい。 本発明の実施において使用するコーティング組成物において、溶媒を必要に応じて利用することができる。 本発明によるコーティング組成物は、特に成分(A)についての連鎖延長度が制限される場合、溶媒なしに適用することができる。 しかしながら、多くの場合において、このコーティング組成物も溶媒を使用することが望ましい。 この溶媒はカルバメート−または尿素−官能性化合物(A)ならびに成分(B)の双方に関して溶媒として作用すべきである。 一般に、成分(A)および(B)の溶解度に依存して、溶媒は任意の有機溶媒および/または水であることができる。 1つの好ましい態様において、溶媒は極性有機溶媒である。 より好ましくは、溶媒は極性脂肪族溶媒または極性芳香族溶媒である。 一層好ましくは、溶媒はケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、または非プロトン性アミンである。 有用な溶媒の例には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、または芳香族炭化水素のブレンドがある。 他の態様において、溶媒は水または水と補助溶媒との混合物であることができる。 【0030】
本発明の実施において使用するコーティング組成物は、硬化反応を増強するために触媒を含むことができる。 例えば、アミノプラスト成分、例えば、モノマー状のメラミンを成分(B)として使用するとき、強酸触媒を使用して硬化反応を増強することができる。 このような触媒はこの分野においてよく知られており、例えば、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニルアシッドホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェート、およびヒドロキシホスフェートエステルを包含する。 本発明の組成物において有用でありうる他の触媒は、ルイス酸、亜鉛塩、および錫塩を包含する。
【0031】
溶媒はコーティング組成物の中に約0.01重量%〜約99重量%の量で存在することができるが、それは好ましくは35%より少ない、より好ましくは25%より少ない、最も好ましくは15%より少ない、量で存在する。 コーティング組成物は好ましくは3.5lbs/galより低い、より好ましくは2.5lbs/galより低い、最も好ましくは1.5lbs/galより低い、VOC(VOCは本明細書においてASTM D3960に従うVOCとして定義される)を有する。
【0032】
コーティング組成物は、多数のこの分野においてよく知られている技術の任意のものにより、物品上にコーティングすることができる。 これらは、例えば、吹付けコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、カーテンコーティングなどを包含する。 自動車本体のパネルについて、吹付けコーティングが好ましい。 本発明によるコーティング組成物を使用して達成することができる1つの利点は、高度の柔軟性を有するコーティングを製造できるということである。 したがって、好ましい態様において、コーティングを適用する支持体は柔軟性であり、例えば、プラスチック、皮革、または繊維材料の支持体である。
【0033】
使用する追加の物質、例えば、界面活性剤、充填剤、安定剤、湿潤剤、分散剤、接着促進剤、紫外線吸収剤、HALSなどをコーティング組成物の中に混合することができる。 これらの物質はこの分野においてよく知られているが、使用量はコーティング特性に悪影響を及ぼすことを回避するようにコントロールしなくてはならない。
【0034】
1つの好ましい態様において、本発明によるコーティング組成物は好ましくは高い光沢度のコーティングにおいておよび/または複合カラー−プラス−クリヤーコーティングのクリアコートとして利用される。 高い光沢度のコーティングは、本明細書おいて使用するとき、20°の光沢度(ASTM D523−89)または少なくとも80のDOI(ASTM E430−91)を有するコーティングである。 他の好ましい態様において、コーティング組成物は高い光沢度または低い光沢度のプライマーまたはエナメルコーティングを製造するために利用することができる。
【0035】
本発明のコーティング組成物を高い光沢度の着色ペイントコーティングとして使用するとき、顔料は任意の有機または無機の化合物または着色物質、充填剤、金属または他の無機フレーク物質、例えば、雲母またはアルミニウムフレーク、およびこの分野において通常顔料と命名される種類の他の物質であることができる。 顔料は通常組成物中に、成分AおよびB(すなわち、0.02〜3.5のP:B比)の合計重量(溶媒を含まない)に基づいて、2%〜350%の量で使用される。
【0036】
本発明によるコーティング組成物を複合カラー−プラス−クリヤーコーティングとして使用するとき、着色ベースコート組成物はこの分野においてよく知られている種類の任意のものであることができる。 ベースコート組成物において有用であることが知られているポリマーは、アクリル、ビニール、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキド、およびシロキサンを包含する。 好ましいポリマーはアクリルおよびポリウレタンを包含する。 本発明の1つの好ましい態様において、ベースコートはまたカルバメート官能性アクリルポリマーを利用する。 ベースコートのポリマーは好ましくは架橋可能なものであり、したがって1または2以上の種類の架橋可能な官能基を含む。 このような基は、例えば、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、およびアセトアセテート基を包含する。 これらの基は、所望の硬化条件、一般に昇温下における架橋反応のためにブロック解除または利用可能とされるような方法で、マスクまたはブロックすることができる。 有用な架橋可能な官能基は、ヒドロキシ、エポキシ、酸、無水物、シラン、およびアセトアセテート基を包含する。 好ましくは架橋可能官能基は、ヒドロキシ官能基およびアミノ官能基を包含する。
【0037】
ベースコートのポリマーは自己架橋可能であるか、またはポリマーの官能基と反応性である別の架橋剤を必要とすることがある。 ポリマーが、例えば、ヒドロキシ官能基を含むとき、架橋剤はアミノプラスト樹脂、イソシアネートおよびブロックドイソシアネート(イソシアヌレート)、および酸または無水物の官能性架橋剤であることができる。
【0038】
本明細書において記載するコーティング組成物は、好ましくはコーティング層を硬化する条件に付す。 種々の硬化方法を使用することができるが、加熱硬化が好ましい。 一般に、加熱硬化はコーティングされた物品を主として放射加熱源により供給される上昇温度に暴露することによって実施する。 硬化温度は架橋剤中に使用する特定のブロッキング剤に依存するが、一般に93℃〜177℃の範囲である。 本発明によるコーティング組成物は比較的低い温度においてさえ硬化可能である。 したがって、好ましい態様において、硬化温度はブロックされた酸を触媒とする系について好ましくは115℃〜150℃、より好ましくは115℃〜138℃である。 ブロックされない酸を触媒とする系について、硬化温度は好ましくは82℃〜99℃である。 硬化時間は使用する特定の成分、および物理的パラメーター、例えば、層の厚さ、に依存して変化するであろうが、典型的な硬化時間はブロックされた酸を触媒とする系について15〜60分、好ましくは15〜25分の範囲であり、そしてブロックされない酸を触媒とする系について、10〜20分である。
【0039】
【実施例】
下記の諸例は、本発明をさらに説明するものである。
調製物1 撹拌機、熱電対、窒素ライン、および冷却器を装備した3首の3リットルのフラスコに、841.5gのヒドロキシプロピルカルバメート、806.9gのε−カプロラクトン、および2.8gのオクタン酸第一錫を窒素雰囲気下に添加した。 この混合物を130℃の温度に5.5時間加熱し、次いで室温に冷却した。
調製物2 200部の調製物1に、102.7部の尿素、および1.6部のジエチレントリアミンを添加した。 この系を130℃に加熱し、1時間保持した。 次いでこの系を140℃に5.5時間加熱した。 これにより、尿素から熱分解によりシアン酸が形成し、これは調製物1上のヒドロキシル基と反応してカルバメート基を形成した。 生ずる固体状生成物を酢酸エチルで洗浄し、塩化メチレン中に溶解し、濾過した。 塩化メチレンを次いで蒸発により除去すると、最終生成物が得られた。
例1 下記の成分を混合し、ガラス支持体上に流延して、厚さ8mmの層を形成させた:
6.2gの調製物2
1.7gのResimene
R 747メラミン樹脂0.04gのドデシルベンゼンスルホン酸10gの酢酸アミルコーティングされたガラス支持体を250°Fにおいて30分間焼成すると、透明な不粘着性薄膜が生成した。 これは200回のメチルエチルケトンの二重のこすりに合格し、表わずかの表面の引っ掻きを有した。 【0040】
本発明をその好ましい態様を参照して詳細に説明した。 しかしながら、変化および修飾を本発明の精神および範囲内で行うことができることに注意すべきである。
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