シクロカーボネート基およびエポキシ基を有する二成分バインダー系

申请号 JP2016560717 申请日 2015-04-02 公开(公告)号 JP2017515934A 公开(公告)日 2017-06-15
申请人 ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンHenkel AG & Co. KGaA; ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンHenkel AG & Co. KGaA; 发明人 オラフ・ランメルショップ; ハンス−ゲオルク・キンツェルマン; テレーズ・エメリー;
摘要 本発明は、樹脂成分および硬化剤成分を含有するバインダー系であって、樹脂成分は、少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物および少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの化合物を含んでなり、硬化剤成分は、少なくとも1つの多官能性アミンを含んでなるバインダー系、並びにこのバインダー系の接着剤/シーラントとしての使用およびこの接着剤/シーラントの使用に関する。
权利要求

成分(A)および(B)を含有するバインダー系であって、 (i)成分(A)は、少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物および少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの化合物を含んでなり、かつ (ii)成分(B)は、少なくとも2つの(−NHR−)原子団〔ここで、RはH、アルキルまたはアリール基である〕を有する少なくとも1つの化合物を含んでなる ことを特徴とするバインダー系。少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物は、油脂化合物、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、ポリエステル、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート、ポリカルボン酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアミン、ポリウレタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される環状カーボネート基含有ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のバインダー系。少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物は、環状ヒドロキシアルキルカーボネートとイソシアネート基含有ポリマーとの反応生成物であることを特徴とする、請求項1または2に記載のバインダー系。環状ヒドロキシアルキルカーボネートは五員環または六員環カーボネート環を有し、特にグリセリンカーボネートであることを特徴とする、請求項3に記載のバインダー系。イソシアネート基含有ポリマーは、ポリオール、特に60〜4000g/mol、好ましくは75〜2000g/molの平均分子量Mwを有するポリオールと、芳香族ジイソシアネート、特にメチレンジフェニルジイソシアネートとの反応により得られるイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーであることを特徴とする、請求項3または4に記載のバインダー系。少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物は、脂肪族エポキシ、特に100〜500g/mol、好ましくは120〜350g/molのEEWを有する脂肪族エポキシであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のバインダー系。少なくとも2つの(−NHR−)原子団を有する少なくとも1つの化合物は、 (i)アルキレンジアミン、シクロアルキレンジアミン、アミン官能化ポリアルキレングリコールおよび/または多官能性アミン;または (ii)ポリマー、特に高分岐ポリマー、好ましくはポリアミン、ポリイミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニルアミンまたはそれらの混合物からなる群から選択されるデンドリマー; からなる群から選択されるか、或いは (iii)(i)の化合物と(ii)の化合物との混合物である ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のバインダー系。請求項1〜7のいずれかに記載のバインダー系を用いた接着剤/シーラントの製造方法であって、 30:1〜0.2:1、好ましくは10:1〜0.4:1、より好ましくは5:1〜0.5:1、特に好ましくは2:1〜0.6:1、特に好ましくは1.1:1〜0.9:1、最も好ましくは約1:1のカーボネート基と第一級アミノ基との比で、成分(A)を成分(B)と混合し、 混合比は第一級アミノ基の不存在下で第二級アミノ基に適用される ことを特徴とする方法。紙材、ボール紙、木材、プラスチック、金属または焼物を接合するための二成分接着剤としての、請求項1〜7のいずれかに記載のバインダー系の使用。溶媒不含有または溶媒含有の貼り合わせ接着剤としての、または流延材料を製造するための、請求項9に記載のバインダー系の使用。請求項1〜7のいずれかに記載のバインダー系を使用して、同じまたは異なった少なくとも2つのプラスチックフィルムを、その領域の全体または一部について接着接合することを特徴とする、フィルムラミネートの製造方法。請求項11に記載の方法により製造されたフィルムラミネート。

说明书全文

本発明は、樹脂成分および硬化剤成分を含んでなるバインダー系であって、樹脂成分は、少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物および少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの化合物を含有し、硬化剤成分は、少なくとも1つの多官能性アミンを含んでなるバインダー系、並びにこのバインダー系の接着剤/シーラントとしての使用およびこの接着剤/シーラントの使用に関する。

二成分バインダー系、特に、ポリオールおよびNCO末端化合物に基づく二成分バインダー系は、従来技術において以前から知られている。それらは、例えば、金属加工産業、自動車産業、エレクトロニクス産業、包装産業または建築産業の分野において、接着剤、シーリング化合物、充填材または流延材料(流延物)として用いられている。いわゆる樹脂として用いられるNCO基含有ポリウレタンの1つの欠点は、分に対するそれらの感受性である。その故に、NCO基含有ポリウレタンを貯蔵する場合には、適切に、密封容器を用いなければならない。容器を一旦開封すると、ほとんどの場合、品質の低下を回避するために、直ちに、すなわち、短期間内にNCO基含有ポリウレタンを消費しなければならない。ポリオール成分もまた、ほとんどの場合、樹脂成分との混合前に注意深く乾燥しなければならない。そうしなければ、残存水分が接着性フィルムにおける望ましくないふくれを招くことがあり、このことは、ある状況下では、最終用途における不利益を招き得る。少なくとも幾つかのバインダー系に基づく二成分ポリウレタン接着剤のもう1つの欠点は、樹脂成分における、単量体イソシアネート、特に、易揮発性および/または易移行性の単量体イソシアネートの毒性である。多量の易揮発性ジイソシアネートを含有する製品の使用には、使用者サイドでの広範な労働安全対策、特に、現場の空気中に浮遊するガス状、蒸気状または粒状物質としての職業性物質の最大許容濃度の故に法律によって規定されている呼吸用空気の清浄性を保つための複雑な対策が必要とされる(連邦労働社会省の技術規則TRGS900の毎年更新されるMAC(最大許容濃度)リスト)。

しかし、遊離単量体ポリイソシアネートは、被覆剤または接合剤中を「移行」することがあり、ある程度は、被覆されたまたは接合された材料まで移行し得る。そのような移行成分は、しばしば、当技術分野において「マイグレート」と称される。水分との接触によって、マイグレートのイソシアネート基は連続的にアミノ基に転換される。

包装分野、特に食品包装において、マイグレートは特に望ましくない。一方、包装材料を通るマイグレートの移行により、包装されている物質が汚染され得る。他方、包装材料が「マイグレート不含有」となり、使用してよい状態となるには、移行し得る単量体ポリイソシアネートの量に応じて、長い待機時間が必要である。

単量体ポリイソシアネートの移行によって起こり得るもう1つの望ましくない効果は、積層プラスチックフィルムのバッグまたはパケットの製造におけるいわゆる抗シーリング効果である。ここで、積層プラスチックフィルムは、しばしば、脂肪酸アミドに基づく潤滑剤を含有する。移行した単量体ポリイソシアネートと脂肪酸アミドおよび水分との反応により、プラスチックフィルムのシーリング温度より高いことがある融点を有する尿素化合物が、フィルム表面に形成される。これにより、シールされるべきフィルム部材の間に異常な抗シーリング層が生じ、均一なシーリング継目の形成が妨げられる。

環状カーボネート基含有化合物および脂肪族ポリアミンに基づく製品は、基本的に知られており、例えば、WO 2006/010408に記載されている。同文献に記載されている製品は、良好な接着/シーリング特性を有すると同時に前記欠点を解消しているものの、少なくとも80℃の高い硬化温度を必要とし、その平均硬化温度は、ある用途にとっては欠点であるか、または非実用的であるとされる100℃前後となる傾向がある。しかし、例えば40℃といったより低い温度では、硬化は不完全であって、後の接着性は低すぎる。

WO 2006/010408

従って、本発明の目的は、これらの欠点を解消し、低温であっても十分な硬化を可能にし、良好な接着特性を示すバインダー系を提供することである。

意外なことに、本発明者らは、この目的が、環状カーボネート基含有樹脂成分に加えてエポキシ樹脂成分が使用されたバインダー系によって達成されることを見出した。このようにして得られたバインダー系は、公知の系と同程度の接着特性を備えつつ、40℃の温度で完全な硬化を示す。

第一の態様では、本発明は、成分(A)および(B)を含有するバインダー系であって、成分(A)は、少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物および少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの化合物を含んでなり、成分(B)は、少なくとも2つの(−NHR−)原子団〔ここで、RはH、アルキルまたはアリール基である〕を有する少なくとも1つの化合物を含んでなるバインダー系に関する。アルキル基は、直鎖状または分岐状、飽和或いはモノまたはポリ不飽和、置換または未置換であってよく、特に1〜30個の炭素原子を有する。アリール基は、単環式または多環式、置換または未置換であってよく、特に6〜22個の炭素原子を有する。

もう1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のバインダー系を用いた接着剤/シーラントの製造方法に関する。この変法では、成分(A)を、30:1〜0.2:1、好ましくは10:1〜0.4:1、より好ましくは5:1〜0.5:1、特に好ましくは2:1〜0.6:1、特に好ましくは1.1:1〜0.9:1、最も好ましくは約1:1のカーボネート基と第一級アミノ基との比(カーボネート基:第一級アミノ基)で、成分(B)と混合する。この混合比は、第一級アミノ基の不存在下で、第二級アミノ基に適用される。

もう1つの態様では、本発明は、紙材、ボール紙、木材、プラスチック、金属または焼物を接着接合するための二成分接着剤としての、特に溶媒不含有または溶媒含有貼り合わせ接着剤としての、或いは流延材料を製造するための、本明細書に記載のバインダー系の使用に関する。

最後に、本発明は、本明細書に記載のバインダー系を使用して、同じまたは異なった少なくとも2つのプラスチックフィルムを、その領域の全体または一部について接合する、フィルムラミネートの製造方法、並びにそのようにして製造されたフィルム複合体に関する。

本明細書に記載の分子量は、特に記載のない限り、重量平均分子量(Mw)を意味する。全ての分子量の規格は、特に記載のない限り、規格DIN55672-1:2007-08に準じてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって得られた分子量のような値を意味する。

本明細書で用いられる「少なくとも1つ」は、1以上、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上を意味する。1つの成分に基づき、この規格は、成分のタイプを意味し、分子の絶対数を意味するのではない。従って、例えば、「少なくとも1つのポリオール」は、少なくとも1つのタイプのポリオールを意味する。すなわち、1種のポリオールまたは幾つかの異なった種類のポリオールの混合物を使用してよい。重量の規格と一緒に、前記規格は、組成物/混合物に含まれる記載のタイプの全ての化合物に関する。すなわち、組成物は、対応する化合物の特定量を超えて、このタイプのいずれか他の化合物を含有しない。

本明細書に記載の組成物と組み合わせて規定される全てのパーセント量は、特に記載のない限り、常に、各混合物に基づいた重量%(wt%)を意味する。

数値と組み合わせて本明細書で用いられる「約」または「前後」は、数値±10%、好ましくは±5%を意味する。

意外なことに、本明細書に記載のバインダー系は、比較的低い温度であっても本質的に完全に転換し、接着剤/シーラントとして適しており、様々な材料の表面に対する良好な接着性を特徴とする。本質的にNCO基を含まないポリウレタン接着剤/シーラントは、物質として、または常套の有機溶媒中の溶液として使用してよい。「本質的にNCO基を含まない」とは、成分(A)中のNCO含有量が、(Spiegelberger, EN ISO 1909:2007-05に準じて測定して)0.1重量%未満であることを意味する。

少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物として、成分(B)との反応に関与できない他の官能基を有しない限りは、あらゆるポリマーを使用してよい。少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物は、直鎖状または分岐状のいずれでもよい。既に記載のとおり、本明細書において、用語「少なくとも1つ」とは、バインダー系が、その各々が少なくとも2つの環状カーボネート基を有する1つ以上の化合物を含有してよいことを意味する。「少なくとも2つの環状カーボネート基」とは、化合物が2つ以上、好ましくはちょうど2つの環状カーボネート基、特に末端基を有することを意味する。

環状カーボネート基は、好ましくはポリマー鎖末端に位置する。しかし、多くの場合、ポリマー鎖全体にわたってランダムに分布するこれらの基を有する化合物を使用することもできる。従って、環状カーボネート基は、主鎖に位置していても、左右位置に位置していてもよい。

少なくとも2つの環状カーボネート基を有する化合物は、好ましくはポリマーであり、該ポリマーは、油脂化合物、ポリエーテル、ポリエーテルポリオール、ポリエステル、ポリエステルポリオール、ポリカーボネート、ポリカルボン酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアミン、ポリウレタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい油脂化合物は、ヒマシ油またはダイマージオールを包含し、これらはアルコキシル化されていてよい。本発明において特に好ましいものは、ポリウレタンである。

ポリアミドは、アミンNH基を有さないものであると理解される。

環状カーボネートとも称され得るシクロカーボネートは、炭酸エステル基が式(I):

[式中、 Aは(C(R1R2)nであり、ここで、n>2であり、好ましくはn=2または3であり、特に好ましくはn=2であり; R1およびR2は、各々、相互に独立して、水素、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状または環状の芳香族またはアリール脂肪族の場合により置換されていてよいC1〜12炭化水素基、1〜12個の炭素原子および3個までの酸素を有するエーテル基、R3X基〔ここで、R3は二価の脂肪族、脂環式、芳香族、アリール脂肪族またはエーテル含有の場合により置換されていてよいC1〜20炭化水素基であり、Xは、ヒドロキシ、エポキシ、カルボン酸またはカルボン酸エステル基である〕またはZ〔ここで、Zは、不飽和重合性基、特に、ビニル、(メタ)アクリル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸またはクロトン酸エステル基である〕から選択される] で示される環構造の一部である構造物であると理解される。

シクロカーボネートの具体的な例は、限定されるものではないが、エチレンカーボネート(1,3−ジオキソラン−2−オン);プロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン);グリセリンカーボネート(4−メチルヒドロキシ−1,3−ジオキソラン−2−オン);5−エチル−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサン−2−オン;1,3−ジオキサン−2−オン;5−(アリルオキシ)メチル)−5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オンまたは1,3−ジオキセピン−2−オンを包含する。エポキシ基を有する環状カーボネートは、例えば、DE 3726497 A1に記載されている。

環状カーボネートは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなどの炭酸エステルをポリオールでエステル交換することによって得られ、ここで、該ポリオールは、好ましくは少なくとも3つのヒドロキシル基を有し、そのうち2つが、エステル交換反応において炭酸エステルと反応して環状五員または六員のカーボネートを形成する。挙げられる多価ポリオールの例は、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、糖アルコール(例えば、キシリトール、マンニトール、エリスリトール)、ジメチロールプロパンおよびトリメチロールプロパン、ジメチロールエタンおよびトリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールを包含する。本発明では、グリセロールが特に好ましい。環状カーボネートは、当業者に公知の方法によってポリオールから合成され、具体的には、特に触媒を使用して、1.0:1.0〜1.0:10.0(カーボネート基を形成するための1,2−または1,3−グリコール基の比)の化学量論的比でポリオールをカーボネートと反応させることによって合成される。適当な触媒の例は、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、重炭酸塩、アルコラート、カルボン酸塩、水酸化物または酸化物などの塩基性触媒、並びにルイス酸物質、例えば、二価または三価のスズまたはチタンの有機化合物、例えば、オクタン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、酸化ジブチルスズまたはチタンテトラブチレートを包含する。触媒は、例えば、ポリオールおよび炭酸エステルに基づいて、0.01〜1.0重量%の量で添加してよい。

環状カーボネートは、公知の方法で、二酸化炭素をエポキシ化合物と反応させることによって得ることもできる。転換反応は、例えば、WO 84/03701、DE−A 3529263またはDE−A 3600602に記載されている。

ポリオールをホスゲンと反応させることによって、脂肪族環状カーボネートおよび芳香族環状カーボネートのいずれも得ることができる(例えば、US 3,624,016)。

ポリマーへの少なくとも2つの環状カーボネート基の付与(以下、官能化とも称する)は、ポリマー鎖の合成中に行ってよく、対応するシクロカーボネート基含有モノマー構成単位を使用してよい。しかし、既に合成したポリマーを後に官能化することが好ましい。本発明において特に好ましいのは、無水物基またはイソシアネート基を有するポリマーへの環状ヒドロキシアルキルカーボネートの付加である。基本的に、対応する方法はEP 0328150 A2に記載されている。五員または六員のカーボネート環を有する環状ヒドロキシアルキルカーボネートが、該付加反応において好ましく使用される。グリセリンカーボネートが最も好ましい。同様に、エステル交換によってそのようなヒドロキシアルキルカーボネートを反応させることも可能であり、例えばポリマーのC1〜C4アルキルエステル基を直接反応させてよく、またはポリマーのヒドロキシル基を、低分子量C2〜C6ジカルボン酸エステルのエステル基と反応させ、次いで、残りのC1〜C4アルキルエステル基をヒドロキシアルキルカーボネートと反応させることが可能である。低分子量ジカルボン酸エステルは、ジカルボン酸基が2〜44個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子、特に好ましくは2〜6個の炭素原子で構成され、直鎖状または分岐状、脂肪族、脂環式または芳香族の構造を有してよいジカルボン酸エステルであると理解される。ヒドロキシアルキルカーボネートの反応を促すもう1つの可能性は、酸ハライド、特にカルボン酸ハライドとのそれらの反応である。

本発明のもう1つの態様では、少なくとも2つの環状カーボネート基を有する化合物の例は、二酸化炭素をエポキシ基含有ポリマーに付加することによって得られた化合物を包含する。基本的に、そのような付加方法は、未審査ドイツ国公開DE−OS 3529263および/またはDE−OS 3600602に記載されている。

塩基性化合物の選択および環状カーボネート基での官能化の選択の故に、ウレタン基を有する、またはエステル基のみを有するポリマーを得ることが可能である。このように、ポリマーの粘度を調整することが可能である。

少なくとも2つの環状カーボネート基で官能化されたポリウレタンが好ましい。環状カーボネート基は、特に、末端に位置する。そのような官能化ポリマーは2工程合成で調製される。第一の工程で、ポリオールまたはポリオール混合物を、化学量論的に過剰のポリイソシアネートと反応させ、NCO末端ポリウレタンプレポリマーを得、次いで、第二の工程で、例えば環状ヒドロキシアルキルカーボネート、特に五員または六員のカーボネート環を有する環状ヒドロキシアルキルカーボネート、最も好ましくはグリセリンカーボネートを末端イソシアネート基と反応させることによって、NCO末端ポリウレタンプレポリマーを環状カーボネート基で官能化する。

従って、少なくとも2つの環状カーボネート基を有する化合物は、イソシアネート基含有ポリマー、特にイソシアネート基末端ポリウレタンプレポリマーと、ヒドロキシアルキルカーボネート、特に五員または六員のカーボネート環を有するヒドロキシアルキルカーボネート、最も好ましくはグリセリンカーボネートとの反応生成物であることが好ましい。

ポリマーの合成に使用されるポリオールは、ポリウレタン合成のために一般に使用されるポリオールの全て、例えば、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール、特に、ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオールであってよい。使用されるポリオールは、好ましくは60〜4000g/mol、より好ましくは75〜2000g/molの平均分子量(Mw)を有する。

使用されるポリイソシアネートは、特にジイソシアネート、特に好ましくは芳香族ジイソシアネートである。適当なジイソシアネートの例は、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネートまたは2,2’−メチレンジフェニルジイソシアネートなどのメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)並びにそれらの混合物を包含する。

従って、少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物は、好ましくは、ポリエーテルポリオールおよびMDIなどの芳香族ジイソシアネートのシクロカーボネート末端ポリウレタンプレポリマーである。

少なくとも2つの環状カーボネート基を有する少なくとも1つの化合物の分子量(Mw)は、好ましくは1500g/mol〜100,000g/mol、特に好ましくは2000g/mol〜50,000g/molである。

別の態様では、別の環状カーボネート基含有低分子化合物を、バインダー系に存在させてもよい。この成分は、1000g/mol未満、好ましくは800g/mol未満の分子量(Mw)を有すべきであり、少なくとも2つの環状カーボネート基を有すべきである。これらは、例えば、CO2と反応したジエポキシ、またはエステル基において前記ヒドロキシ官能性環状カーボネートと反応したジまたはトリカルボン酸エステルであってよい。このタイプの成分は反応性希釈剤とも称され、バインダー系の粘度を調整するために、(A)に基づいて60重量%まで、好ましくは25重量%までの量で添加してよい。

成分(A)は、少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つの化合物をさらに含有する。ここで使用され得る化合物は、好ましくは、エポキシ樹脂、例えば、ポリグリシジルエポキシ化合物またはエポキシノボラックである。適当なポリグリシジルエポキシは、限定されるものではないが、ポリグリシジルエーテル、ポリ(β−メチルグリシジル)エーテル、ポリグリシジルエステルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エステルおよび前記エポキシ樹脂の混合物を包含する。適当なポリグリシジルエーテルまたはエステルは、例えば、脂肪族ジオールまたはジカルボン酸のジグリシジルエーテルまたはエステルを包含する。また、適当なものは、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノールに基づく(ジ)エーテルまたは(ジ)エステルなどの脂環式エポキシ樹脂である。

少なくとも1つのエポキシ樹脂は、プロピレングリコールまたはエチレングリコールに基づくジグリシジルエーテルからの種々の態様から選択される。

一般に、少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物が脂肪族エポキシであることが好ましい。100〜500g/mol、好ましくは120〜350g/molのエポキシ当量(EEW、エポキシ当量)を有するエポキシが好ましい。EEWとは、1モルのエポキシ基を有するエポキシ化合物の重量を意味する。EEWは、規格DIN EN ISO 3001:1999-11に準じて測定される。

成分(A)中のエポキシの量は、固体(シクロカーボネート化合物およびエポキシ)の総量に基づいて好ましくは5〜30重量%である。結果的に、シクロカーボネート化合物は、固体の総量に基づいて70〜95重量%の量で存在する。

本発明のバインダー系は、成分(A)に加えて、成分(B)として、少なくとも1つの多官能性アミン、すなわち、少なくとも2つの(−NHR−)原子団を有する少なくとも1つの化合物、または少なくとも2つの(−NHR−)原子団を有する2つ以上の化合物の混合物を含有する。ここで、R=H、アルキルまたはアリール基である。

成分(B)の化合物は、直鎖状および分岐状のいずれであってもよい。成分(B)の分子構造は、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、脂環式および複素環式構造を有してよい。第一級および/または第二級および第三級アミンが分子中に存在してよいが、少なくとも2つの(−NHR−)原子団、好ましくは2つのアミノ基が存在しなければならない。アミン官能性自体は脂肪族である。すなわち、アミン窒素に直接隣接する炭素原子は芳香族環構造の一部ではない。

成分(B)は、好ましくは、成分(B1)として、特に60g/mol〜500g/mol、好ましくは60g/mol〜300g/molの分子量(Mw)を有する、多官能性アミン、および/または成分(B2)として、特に500g/molを超える平均分子量(Mw)を有する、多官能性アミンを含有する。(B1)および(B2)の混合物が特に好ましい。使用される(B1)と(B2)との混合物における(B1)と(B2)との重量比(B1:B2)は、0.5:20〜20:0.5である。成分(B2)の分子量(Mw)の上限値は約5,000,000g/molである。成分(B2)は、好ましくは600g/mol〜20,000g/mol、特に好ましくは800g/mol〜2000g/molの平均分子量(Mw)を有する。

成分(B1)は、成分(B1)として使用され得る、単一成分として、または対応する化合物の混合物として使用される。成分(B1)は、好ましくは、アルキレンジアミンおよび/またはシクロアルキレンジアミンからなる群から選択される。

アルキレンジアミンは、一般式:R4R5N−Z−NR6R7[式中、R4、R5、R6およびR7は、相互に独立して、H、アルキルまたはシクロアルキル基であってよく、Zは、2個、好ましくは2個を超える炭素原子を有する直鎖状または分岐状の、飽和または不飽和アルキレン鎖を示す]で示される化合物であると理解される。好ましい例は、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、ネオペンチルジアミン、ジアミノヘキサン、1,6−ジアミノ−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4,4−トリメチルヘキサン、ジアミノペンタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノウンデカン、ジアミノドデカン、ダイマーアミン(例えば、Cognisおよび/またはBASFからの商品名Versamin 551の商品名で市販)、トリアセトンジアミン、ジオキサデカンジアミン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)ドデシルアミン(例えば、LonzaからLonzabac12.30の商品名で市販)およびそれらの混合物を包含する。

シクロアルキレンジアミンは、一般式:R8R9N−Y−NR10R11[式中、R8、R9、R10およびR11は、相互に独立して、H、アルキルまたはシクロアルキル基であってよく、Yは、3個を超える炭素原子、好ましくは4個を超える炭素原子を有する飽和または不飽和シクロアルキル基を示す]で示される化合物である理解される。ジアミノシクロペンタン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノシクロヘプタン、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレン−ビスシクロヘキシルアミン、4,4’−イソプロピレン−ビスシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、m−キシリレンジアミン、N−アミノエチルピペラジンまたはそれらの混合物。

ジアミンは、アルキル基およびシクロアルキル基の両方を一緒に有してもよい。好ましい例は、アミノエチルピペラジン、1,8−ジアミノ−p−メンタン、イソホロンジアミン、1,2−(ビスアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−(ビスアミノメチル)シクロヘキサン、1,4−(ビスアミノメチル)シクロヘキサンおよびビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタンを包含する。

本発明に従って成分(B1)のために使用され得るジアミンのさらなる例は、ビス−(6−アミノヘキシル)アミン、α,α’−ジアミノキシロールなどを包含する。

高官能性アミンが、好ましくは、成分(B1)および/または成分(B2)として使用される。特に、これらは、1,2−ビス−(アミノエトキシ)エタン、1,13−ジアミノ−4,7,10−トリオキサトリデカンなどのアミノ官能化ポリアルキレングリコールである。本発明に従って使用され得るアミン官能化ポリアルキレングリコールは、Huntsman CorpからJeffamine(登録商標)として市販されているものを包含する。好ましいJeffamineは、D-230、D-400、D-2000、D-4000、T-403、T-3000、T-5000、ED-600、ED-2003である。

成分(B1)および/または成分(B2)として好ましく使用され得る多官能性アミンは、一般式:H2N−(CH2CH2−NH)x−CH2CH2−NH2[式中、1

成分(B2)として、ポリアミン、ポリイミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニルアミンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーが使用されることが好ましい。

成分(B)として使用され得るポリアミンは、Henry Lee and Kris Neville,Handbook of Epoxy Resins,第7章,第7−1〜7−33頁,McGraw-Hill Book Company,New York 1967およびそこで引用されている刊行物、並びにClayton A.May,Epoxy Resins,第466〜468頁,Marcel Dekker,New York 1988およびそこで引用されている刊行物に記載されている。

好ましいポリイミンはポリエチレンイミンを包含する。ポリエチレンイミンのアミン水素官能基は、例えばアルキル化、ベンジル化、アシル化、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化および/またはプロポキシル化などによって、部分的に修飾されていてもよい。エピクロロヒドリンでの修飾が特に好ましい。好ましく使用され得るポリエチレンイミンは、Lupasol(登録商標)PS、P、WF、Bo 150、FC、FG、G100、G-20、G-35、G-500、HF、PO-100、PR-8515およびSKの商品名でBASFから市販されており、またはPolyethylenimin 6、12、18、600および1000の商品名でDOWから市販されている。

ポリアミノアミドは、主鎖にアミン官能基およびアミド官能基の両方を有する。ポリアミノアミドは、ポリアミンおよびジカルボン酸の重縮合によって、またはジアミンへのアクリル酸エステルのマイケル付加および続く得られたアミン酸エステルの重縮合によって合成される。成分(B2)として使用され得るポリアミノアミドは、Henry Lee and Kris Neville,Handbook of Epoxy Resins,第10章,第10−1〜10−23頁,McGraw-Hill Book Company,New York 1967、並びにClayton A Ma,Epoxy Resins,第460頁,Marcel Dekker,New York 1988およびそこに引用されている刊行物に記載されている。

本発明の範囲内では、脂肪族ポリアミンと二量体化または三量体化脂肪酸との重縮合によって得られたポリアミノアミドが好ましく使用される。グラフト化ポリアミノアミドおよび未グラフト化ポリアミノアミド、例えばWO 94/29422に記載されたグラフト化ポリアミノアミドおよび未グラフト化ポリアミノアミドを使用してよい。Cognisおよび/またはBASFからのポリアミノアミドはVersamid(登録商標)の商品名で、Bakelite AGからはRuetadurの商品名で、S.I.Q.Kunstharz GmbHからはSIQ Therm製品シリーズの商品名で市販されている。

成分(B2)として好ましく使用され得るさらなるポリアミンは、ポリビニルアミンを包含する。ポリビニルアミンは、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセタミドなどのようなN−ビニルアシルアミドの重合、および続くアミド基の完全なまたは部分的な加水分解によって合成され得る。好ましく使用され得るポリビニルアミンは、BASFから、Lupamin(登録商標):1500、4500、4595、9000、9030、9095の商品名で市販されている。アミン末端ポリエーテルウレタンは、例えば、HenkelからLoctite Liofol UR 9640の商品名で市販されている。

成分(B2)として使用され得るさらなるポリアミンは、アミノ基含有高分岐ポリマー、特に分岐末端に第一級アミノ基を有する高分岐ポリマーを包含する。

成分(B2)として特に好ましい高分岐ポリマーの群は、デンドリマー、カスケードポリマーまたは「スターバースト」ポリマーとも称される樹枝状ポリマーを包含する。そのようなポリマーは、各工程でモノマー末端基の数が指数関数的に増大し、最終的には球状ツリー構造となるように、既に結合された各モノマーで2つ以上のモノマーを連結することによって段階的に構築される、合成マクロ分子であると理解される。好ましいデンドリマーは、分岐末端に第一級アミノ官能基を有するポリアミノアミド(PAMAM)を包含する。0を超える世代のものが好ましい。世代0は、下記構造: [−CH2N(CH2CH2CONHCH2CH2NH2)2]2 で示されるデンドリマーを意味するものと理解される。

特に好ましいのは、1を超える世代のデンドリマーであり、世代1のデンドリマーは、下記構造: [−CH2N[CH2CH2CONHCH2CH2N(CH2CH2CONHCH2CH2NH2)2]2]2 を有する。

より高い世代、好ましくは世代6までの構造は、世代0〜世代1の前記系統的生成によって得られる。

デンドリマーは、例えば、アンモニアまたは一般式:R4R5N−Z−NR6R7[式中、R4〜R7は水素を表し、Zは、2個以上の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和または不飽和アルキレン鎖である]で示される前記アルキレンジアミンの適当な典型例と、アクリル酸エステルとの段階的な反応によって合成される。ポリマー構造は、オレフィン性二重結合へのアミノ基のマイケル付加、およびアミノ基とエステル基との縮合によって生成される。適切なモル過剰のアミンを選択すべきである。デンドリマー構造のためのさらなる適当なアミン成分は、シクロアルキレンジアミン、アルキル基およびシクロアルキル基の両方を有するジアミン、およびアミン官能化ポリアルキレングリコールの前記群に見つけることができる。これらの場合、対象のアミン成分の全ては、2つの第一級アミノ官能基を有する。

成分(B2)として使用される高分岐ポリマーのもう1つの好ましい群は、例えば、アクリル酸エステルと、一般式:H2N−(CH2CH2−NH)X−CH2CH2−NH2[式中、1

本発明に従って使用され得る成分(B2)は、成分(B1)として使用され得る過剰の前記低分子多官能性アミンと、1000g/mol未満、好ましくは100g/mol〜800g/molの平均分子量(Mw)を有する環状カーボネートとの反応によって合成してもよい。これらの場合において、成分(B2)としての使用のために本発明に従ったアミン官能基がさらに存在しながら、一方では所望の分子量が達成されるように、シクロカーボネートに対して適当なモル過剰のアミンを選択すべきである。

成分(B2)は、成分(B2)として使用され得る、単一成分として、または対応する化合物の混合物として使用される。

本明細書に記載のバインダー系は、特に、接着剤/シーラントとして適している。

従って、本発明の対象はまた、本明細書に記載のバインダー系を使用した接着剤/シーラントの合成方法であって、30:1〜0.2:1、好ましくは10:1〜0.4:1、より好ましくは5:1〜0.5:1、特に好ましくは2:1〜0.6:1、最も好ましくは約1:1のカーボネート基と第一級アミノ基との比で、成分(A)を成分(B)と混合する方法である。第一級アミノ基が分子中に存在しない場合は、前記比は第二級アミノ基に適用される。成分(A)、(B1)、(B2)の官能基は、全体として考慮されるべきである。

本明細書に記載の方法の好ましい態様では、溶媒の存在下で、成分(A)と成分(B)との反応を行う。

本発明における溶媒としては、基本的に、当業者に公知の全ての溶媒、特に、ケトン、ハロゲン化炭化水素、アルカン、アルケンおよび芳香族炭化水素を使用してよい。そのような溶媒の例は、塩化メチレン、トリクロロエチレン、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、酢酸メトキシブチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジクロロベンゼン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジオキサン、酢酸エチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、2−エチルヘキセルアセテート、二酢酸グリコール、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソブチル、イソオクタン、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランまたはテトラクロロエチレン、または前記溶媒の2つ以上の混合物を包含する。

本明細書に記載の方法の特定の態様では、成分(A)と成分(B)との反応は触媒を用いて行う。そのようにするためには、触媒量の塩基を混合物に添加する。そのような塩基および使用すべきその量は、US 5,977,266およびWO 02/079148に記載されている。特に、WO 98/50345、第3頁第1行〜第4頁第17行を参照されたい。しかし、触媒は、成分(A)または(B)に既に存在していてもよい。接着接合またはシーリングのためには、接合またはシールすべき基材の少なくとも一方を混合物で被覆し、それにより被覆された部分を少なくとも1つのさらなる基材と接合する。

本明細書に記載のバインダー系は、様々な基材の接着接合およびシーリングに適している。これらの基材は、例えば、木材、金属、ガラス、植物繊維、石材、焼物、紙材、セルロース水和物、並びにポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと塩化ビニリデンとのコポリマー、酢酸ビニルとオレフィンとのコポリマーおよびポリアミドなどのプラスチック、特にプラスチックフィルムおよび金属、特に、アルミニウム、鉛または銅のフィルムを包含する。

本明細書に記載のバインダー系は、紙材、ボール紙、木材、プラスチック、金属または焼物を接着接合するための二成分接着剤として特に適している。

本発明の特に好ましい態様では、本明細書に記載のバインダー系は、溶媒不含有または溶媒含有の貼り合わせ接着剤として使用される。貼り合わせ接着剤は、好ましくは本質的に溶媒不含有であり、特に本質的に水を含まない。

本明細書に記載のバインダー系は、常套の塗布方法のいずれかを使用することによって、例えば、溶媒不含有バインダー系の使用の場合には噴霧、ドクター塗布、3−4−ローラー塗布システムによって、または溶媒含有バインダー系の使用の場合には2−ローラー塗布システムによって、接合すべき基材に適用することができる。

本明細書に記載のバインダー系は、その低い粘度の故に、特に、温度感受性プラスチックフィルム、例えばポリオレフィンフィルム、特にポリエチレンまたはポリプロピレンで作製されたポリオレフィンフィルムの接着接合に適している。

従って、本発明のもう1つの対象は、本明細書に記載のバインダー系を使用して、同じまたは異なった少なくとも2つのプラスチックフィルムを、その領域の全体または一部について接着接合することによって得られるフィルムラミネートの製造方法である。バインダー系は、そのような目的のために通常使用されている機械、例えば典型的な貼り合わせ機を使用して、接合すべきフィルムに二成分接着剤として適用してよい。本発明のもう1つの対象は、本明細書に記載のバインダー系を用い、本明細書に記載の方法によって製造されたラミネートフィルムである。このラミネートフィルムは、特に、食品および高級品並びに医薬品を包装するのに適している。

本明細書中に記載のバインダー系は、可塑剤、シラン、抗酸化剤、UV安定化剤および老化防止剤などの通常の添加剤を含有してよい。本発明で好ましく使用される可塑剤は、フタル酸エステル、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジトリデシルおよびフタル酸ブチルベンジル、リン酸エステル、例えばリン酸トリクレシル、アジピン酸エステル、例えばアジピン酸ジオクチル、または安息香酸塩、例えばプロピレングリコールジベンゾエートを包含する。

特に、ガラス、金属などとの接着性を改善するためには、アミノシラン、エポキシシランまたはメルカプトシラン、特にγ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランまたはγ−アミノプロピルトリメトキシシランを使用する。

シーリング化合物として使用するためには、カーボンブラック、炭酸カルシウム、二酸化チタンなどのような無機充填剤を、本明細書に記載のバインダー系に添加してよい。高分散ケイ酸、特に熱分解法ケイ酸または沈降ケイ酸が、チキソトロピー効果を有する無機充填剤として好ましく使用され、そのチキソトロピー特性は、長期貯蔵後であっても、本明細書に記載のバインダー系において維持される。

貼り合わせ接着剤として使用するためには、バインダー系は好ましくは無機充填剤を含有しない。

本発明を、幾つかの典型的な態様に基づいて以下に説明する。記載されている量は、特に記載のない限り、重量%であると理解される。

バインダー系と組み合わせて本明細書に記載されている全ての態様は、当然のことながら、本明細書に記載の適用および方法で使用することもでき、その逆も成立する。

原料: ・PPG2000:Voranol 2000L、プロピレングリコール、Mw=2000g/mol、Dow ・Lupranat MIS:ジフェニルメタンジイソシアネート、異性体混合物、BASF ・グリセリンカーボネート:Jeffsolグリセリンカーボネート(4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、Huntsman ・TIB Kat 216:ジラウリル酸ジオクチルスズ、TIB Chemicals ・エポキシ1:市販の二官能性プロピレングリコール系エポキシ樹脂(EEW:320g/mol) ・アミン1:第一級アミノ基のみを有する市販の二官能性アミン、Mw=176g/mol ・アミン2:市販の超分岐ポリエチレンイミン(第一級/第二級/第三級アミン比:1/0.9/0.5)、Mw=800g/mol

成分の調製:

溶媒不含有プレポリマー1(KA1)の合成 PPG2000(435.46g)を三つ口フラスコに入れ、1時間脱水し(10ミリバール、80℃)、窒素を通気した。冷却し、保護ガス下で一晩貯蔵した後、Lupranat MIS(104.69g)を添加し、完全溶解後、反応混合物を80℃に再度調整した。NCO滴定を規則的にかつNCO=2.91%で行い、グリセリンカーボネート(46.30g)をより低い温度(50.6℃)で添加した。その後直ちに、0.05重量%のTIB Kat 216(0.30g)を添加し、発熱反応完了後、反応混合物を、NCO<0.1%に達するまで、80℃に再度加熱した。

溶媒含有プレポリマー2(KA2)の合成 PPG2000(1548.14g)を三つ口フラスコに入れ、1時間脱水し(10ミリバール未満、80℃)、窒素を通気した。冷却し、保護ガス下で一晩貯蔵した後、反応混合物を直ちに約34℃に調整し、Lupranat MIS(371.92g)を添加した。完全均質化後、反応混合物を80℃に再度調整した。NCO滴定を規則的にかつNCO=3.01%で行い、グリセリンカーボネート(164.69g)をより低い温度(50.2℃)で添加した。その後直ちに、0.05重量%のTIB Kat 216(0.30g)を添加し、発熱反応完了後、反応混合物を、NCO<0.1%に達するまで80℃に再度加熱した。次いで、約55℃で、固形物分が60重量%に達するまで、エタノール(1390.46g)を添加した。

エポキシを有する成分A(KA3) KA1(2100g)を容器に導入し、エポキシ樹脂をエポキシ1(176g)に添加した。混合物を、均質になるまで木製スパチュラで撹拌し、使用するまで貯蔵した。

硬化剤(KB1)の調製 アミン1(20.00g)およびアミン2(80.09g)を、混合物が均質になるまで、マグネチックスターラーを用いて1つの温度で混合した。

接着剤の調製および貼り合わせ:

溶媒含有接着剤1の調製および貼り合わせ(KS1)(比較例) KA1(11.00g)を酢酸エチル(35.4805g)に溶解した。加えて、KB1(0.8268g)を添加した(第一級アミン/シクロカーボネートの比=1/1当量)。これにより、25重量%の固形分を有し、貼り合わせに使用できる接着剤(KS1)を得た。スパイラルドクターアプリケーター(0.08mm)を用い、KS1をPETフィルムに適用し、乾燥室で溶媒を90℃で5分間蒸発させた。その後直ちに、実験室用貼り合わせデバイスを用いて、(予め表面コロナ処理した)PEフィルムと貼り合わせた。貼り合わせシート(2〜3.5g/m2、乾燥)を加圧(5kg重)下40℃で貯蔵し、貼り合わせシートの接着を測定するために、規則的にストリップを切り出した(15mm幅ストリップ、100mm/分における引張試験機で90°剥離試験)。貼り合わせシートのPE層についてIRスペクトルを記録した(ATR)。40℃で1日後の貼り合わせシートの接着力:PET/PE 0.72N/15mm、凝集破壊、双方のストリップは依然として粘着性。40℃で3日後のIRスペクトルは、依然として、1818.30cm−1にシクロカーボネートのカルボニル基を有していた。

溶媒含有接着剤2の調製および貼り合わせ(KS2)(本発明) KA3(2276g)をエタノール(2330g)に溶解し、硬化剤KB1(157g)をそれに添加し(第一級アミン/シクロカーボネートの比=1/1当量)、木製スパチュラを用いて均質化した。これにより、貼り合わせに使用できる固形分32重量%の接着剤(KS2)を得た。ローラー塗布機(1cm当たり50ラインの彫刻ローラー)を備えた実験室用組合せ貼り合わせシステムを用いてKS2を適用し、適用重量(乾燥)が約2.5g/m2となるようにパラメーターを調整した。貼り合わせた巻取りロールを、貼り合わせ後直ちに40℃で貯蔵した。40℃で1日後の貼り合わせシートの接着力:PET/PE:2.05 N/15mm、接着破壊、PEは依然として粘着性。40℃で2日後のIRスペクトルは、もはや、1818.30cm−1にシクロカーボネートのカルボニル基のバンドを有していなかった。

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