【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤ収納着脱ラック、より詳しくは、複数のタイヤを省力的かつ省スペースに収納・保管することができ、しかも、自動車のタイヤ着脱作業の省力化にも貢献し得るタイヤラックに関するものである。 【0002】 【従来の技術】周知のとおり、降雪地方においては冬期間、自動車のタイヤをスノータイヤに履き替えるのが一般的であり、その間、取り外した普通タイヤは車庫等に保管される。 そして、雪解け後に再び普通タイヤに履き替えて、今度はスノータイヤを保管する。 このように、 降雪地方では、少なくとも年に二回のタイヤ交換を行なわねばならず、また、一年を通じてスノータイヤ及び普通タイヤの何れか一方を保管しなければならなかった。 【0003】ところで、従来、複数のタイヤを整然とコンパクトに収納・保管することのできるタイヤラックとして、二段棚式タイヤラックが知られている。 これは、 複数のタイヤを単に横一列に並べるのではなく、上下二段式に並べて収納することによって、タイヤ保管の省スペース化を図ったものである。 【0004】しかしながら、従来の二段式タイヤラックは、ラック上段への収納についてはタイヤを抱え上げて行わなければならず、腕力に乏しい女性ドライバー等には、辛い作業とならざるを得なかった。 比較的に軽い軽自動車用タイヤの場合はまだしも、最近、人気のRV車等の大型自動車用タイヤは大径で大変重いため、タイヤ交換作業それ自体は勿論のこと、取り外したタイヤをラックへ収納する作業にも相当な労力が必要とされたのである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の二段式タイヤラックに上記の如き難点があったことに鑑みて為されたもので、複数のタイヤを省力的かつ省スペースに収納・保管することができ、しかも、自動車のタイヤ着脱作業の省力化にも貢献し得るタイヤラックを提供することを技術的課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記技術的課題を解決するために、車輪10・10…により移動可能な枠体から成り、両サイドに設けられたタイヤ支持手段11・ 11によってタイヤT 3・T 4をそれぞれ起立状態に支持可能な移動台車1と;この移動台車1に配設された昇降手段3により当該移動台車1の固定支柱31に沿って上下動自在に付設され、両サイドに設けられたタイヤ支持手段21・21によって他のタイヤT 1・T 2をそれぞれ起立状態に支持可能な昇降枠体2と;から構成されているという技術的手段を採用した。 【0007】また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、タイヤを起立状態に支持するタイヤ支持手段11、21が、所定間隔をあけて互いに平行に水平突設された一対の持出部材11a・11a、 21a・21aによって構成されているという技術的手段を採用した。 【0008】更にまた、本発明は上記課題を解決するために必要に応じて上記手段に加え、昇降枠体2を上下動させる昇降手段3が、移動台車1に立設され、上部に定滑車31aを備えた立筒材から成る固定支柱31と;この固定支柱31の筒内に上下移動自在に挿入され、上部で前記昇降枠体2に連結され、下部に動滑車32aを備えたロッド材から成る可動支柱32と;これら動滑車32a及び定滑車31aに掛けられ、一端が前記固定支柱31の上部に固定された索引部材33と;前記移動台車1に配設され、索引部材33の他端側を巻き取り可能なウィンチ34と;を含んでいるという技術的手段を採用した。 【0009】更にまた、本発明は上記課題を解決するために必要に応じて上記手段に加え、固定支柱31が角筒材から形成されている一方、可動支柱32が丸ロッド材から形成されており、索引部材33の少なくとも一部が当該固定支柱31の内面と可動支柱32の外面との隙間に引き通されているという技術的手段を採用した。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。 なお、図1は本実施形態のタイヤ収納着脱ラックの全体斜視図、図2は同ラックの昇降枠体2を降下させた状態の全体斜視図、図3 は同ラックの昇降手段3の部分縦断面図、図4は同ラックの昇降手段3の部分横断面図、図5〜図8は同ラックの使用説明図である。 【0011】図1及び図2に示すように、本実施形態のタイヤ収納着脱ラックは、両サイドにそれぞれタイヤを起立状態に支持可能な移動台車1と;同じく両サイドにそれぞれ他のタイヤを起立状態に支持可能な昇降枠体2 と;この昇降枠体2を移動台車1の上方で上下動させる昇降手段3と;から構成されている。 以下、順に詳しく説明する。 【0012】本実施形態の移動台車1は、金属パイプ材で長方形状に組み立てられており、その両サイドには各々、タイヤ支持手段11・11が形成されている。 本実施形態のタイヤ支持手段11は、所定の間隔をあけて互いに平行に水平突設された一対の略コ字状の持出部材11a・11 aにより構成されており、これら一対の持出部材11a・ 11a同士の対向部には各々、支持スリーブ11b・11bが軸回転自在に被嵌してあり、タイヤT 3・T 4を起立させた状態のまま自由に回転調節することが可能である。 【0013】これら一対の持出部材11a・11aの支持スリーブ11b・11b上にタイヤを渡すように縦置きすることによって当該タイヤを抱持する。 こうして、本実施形態の移動台車1には、タイヤ支持手段11・11を介して両サイドに一本ずつ計二本のタイヤが起立状態に支持されるのである(図8参照)。 【0014】また、本実施形態では、移動台車1の両サイドに水平突設された計四つの持出部材11a・11a・11 a・11aの各先端部の下側に、方向転換自在な車輪10・ 10・10・10が設けられており、タイヤを支持したまま、 移動台車1を自由に移動できるようになっている。 なお、これら車輪10・10…を、上下方向の送りネジ機構を用いて移動台車1に対する高さ位置を調整できるように設けても良い。 【0015】本実施形態の昇降枠体2もまた、上述した移動台車1と同様、金属パイプ材により長方形状に組み立てられており、その両サイドには各々タイヤ支持手段 21・21が形成されている。 各タイヤ支持手段21は、所定間隔をあけて互いに平行に水平突設された一対の略コ字状の持出部材21a・21aによって構成されており、これら一対の持出部材21a・21a同士の対向部には各々、支持スリーブ21b・21bが軸回転自在に被嵌してあり、タイヤT 1・T 2を起立載置したまま自由に回転調節することが可能である。 【0016】これら一対の持出部材21a・21aの支持スリーブ21b・21b上にタイヤを渡すように縦置きすることによって当該タイヤを抱持する。 こうして、本実施形態の昇降枠体2にも、タイヤ支持手段21・21を介して両サイドに一本ずつ計二本のタイヤが起立状態に支持されるのである(図6参照)。 【0017】また、本実施形態の昇降枠体2の上方には、立体カゴ状の連結枠体20が設けられており、この連結枠体20によって、次述する昇降手段3の可動支柱32の上端部と昇降枠体2とが連結されている。 【0018】本実施形態の昇降手段3は、図1及び図2 に示すように、前記長方形状の移動台車1の角部付近に計四組配設されており、これら四組の昇降手段3・3・ 3・3が協働して昇降枠体2を上下動させる。 各昇降手段3は、図3及び図4に示すように、移動台車の角部付近に立設され、上部外側面に定滑車31aを備えた角筒材から成る固定支柱31と;この固定支柱31の筒内に上下摺動自在に挿入され、下部に動滑車32aを備えた丸ロッド材から成る可動支柱32と;これら動滑車32aおよび定滑車31aに掛けられ、上端部が前記固定支柱31の上部内側面のピン33aに固定されたワイヤから成る索引部材33 と;前記移動台車に配設され、索引部材33の他端側を巻き取り可能なウィンチ34と;から構成されている。 【0019】このウィンチ34を回転させて索引部材33を巻き取れば、図3に示すように索引部材33の上端部が固定支柱31の上部に固定されているため、定滑車31aの存在によって動滑車32aと共に可動支柱32が上方へ持ち上げられることになり、逆に、索引部材33を解舒すれば、 可動支柱32を下げることができる。 このようにウィンチ 34の回転操作によって可動支柱32を上下動させ、この可動支柱32の上部に前記連結枠体20を介して連結された昇降枠体2を上下動させるのである。 【0020】なお、本実施形態では、図4に示すように、索引部材33を、角筒材から成る固定支柱31の内面と丸ロッド材から成る可動支柱32の外面との間の隙間に引き通しており、昇降機構のコンパクト化、可動支柱32のガタ付き防止、及び索引部材33の保護を実現している。 本実施形態では、固定支柱31の上部に開設した窓部31b を通すことによって索引部材33を固定支柱31の内側の動滑車32aから外側の定滑車31aへ掛けている。 【0021】また、本実施形態では、図1に示すように、四組の昇降手段3・3・3・3のウィンチ34・34・ 34・34を一斉にハンドル38で回転駆動できるように構成されている。 即ち、隣り合うウィンチ34・34の共通軸にはウォームホイール35・35が設けられていると共に、ハンドル38の回転軸37にはこれらウォームホイール35・35 に噛合するウォーム36・36が設けられていて、このハンドル38を回せば、これらウォームギヤ機構によってウィンチ34・34・34・34を一斉に回転駆動できるのである。 【0022】次に、図5〜図8を参照しながら、本実施形態のタイヤ収納着脱ラックの使用方法について説明する。 ここでは、4輪自動車から取り外したタイヤT 1 〜 T 4をラックに収納する作業例を説明する。 【0023】まず、図5に示すように、本実施形態ラックを自動車の傍まで移動し、ハンドル38を回して昇降枠体2を降ろす。 そして、自動車の車軸S 1から取り外したタイヤT 1を昇降枠体2の片方のタイヤ支持手段21に起立状態に収納する。 【0024】次に、図6に示すように、本実施形態ラックを反転させて、他の車軸S 2から取り外したタイヤT 2を、昇降枠体2の他方のタイヤ支持手段21上に起立状態に収納する。 【0025】次に、図7に示すように、両サイドにタイヤT 1・T 2が収納された昇降枠体2をハンドル38を回して上昇させ、今度は、移動台車1の片方のタイヤ支持手段11に他の車軸S 3から取り外したタイヤT 3を起立状態に収納する。 【0026】そして、図8に示すように、本実施形態ラックを反転させ、他の車軸S 4から取り外したタイヤT 4を昇降枠体1の他方のタイヤ支持手段11に起立状態に収納する。 こうして、本実施形態ラックに四本のタイヤT 1 〜T 4が収納され、そのままラック全体を移動させて車庫等で保管できるのである。 【0027】このように、本実施形態のタイヤ収納着脱ラックにあっては、タイヤを支持する移動台車1と昇降枠体2とが上下二段式に構成されているので、上方空間を有効に利用でき、複数のタイヤを省スペース、且つ、 コンパクトに保管することが可能となる。 更に、上段の昇降枠体2をハンドル38の回転操作により簡単に上下動できるので、従来の二段式タイヤラックのように作業者がタイヤを抱え上げてラック上段へ収納しなければならない苦労もなく、極めて省力的にタイヤ収納作業を行うことができる。 【0028】しかも、本実施形態のタイヤ収納着脱ラックは、車輪10・10…によりタイヤを載せたままラック全体を自由に移動させることができるので、タイヤ運搬作業を頗る楽に行なうことができ、更には、タイヤを起立状態に抱持するタイヤ支持手段11・11、21・21が、移動台車1及び昇降枠体2の両サイドに突設されているので、車軸から取り外したタイヤを、そのまま立てた姿勢で昇降手段3の支柱等に邪魔されずにスムーズに収納することができ、自動車のタイヤ着脱作業それ自体の省力化にも貢献できるのである。 【0029】なお、図5〜図8においては、ナットを外した後に、タイヤをラックに載せ替える作業例を説明しているが、勿論これに限定されるものではなく、予めタイヤの下側へタイヤ支持手段11、21を差し込んでおき、 その後、ナットを外してタイヤをタイヤ支持手段11、21 に抱持させるようにしても良い。 この場合、更に省力的なタイヤ着脱作業が可能になる。 【0030】また、タイヤを車軸に取り付ける場合も同様であり、タイヤ支持手段11、21にタイヤを抱持させたまま、車軸のボルト位置にタイヤのホイール孔を合わせてナットを締め、タイヤを車軸に固定しておいてから、 ラックを後退させるようにしても良い。 本実施形態のタイヤ収納着脱ラックにあっては、前述したように、タイヤ支持手段11、21には軸回転自在な支持スリーブ11b、 21bが被嵌されているので、タイヤを抱持した状態のまま、簡単にタイヤを軸回転させることができ、タイヤのホイール孔の位置合せも簡単に行うことができ、極めて省力的なタイヤ着脱作業を行うことができるのである。 【0031】本発明の具体例である実施形態は概ね上記のように構成されているが本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能である。 例えば、上記実施形態では、昇降枠体2を上下動させる昇降手段3として動滑車機構を採用しているが、決してこれに限定されるものではなく、他の昇降機構を採用することも勿論可能である。 【0032】 【発明の効果】以上、実施形態をもって説明したとおり、本発明に係るタイヤ収納着脱ラックにあっては、タイヤを支持する移動台車と昇降枠体とが上下二段式に構成されているので、上方空間を有効に利用でき、複数のタイヤを省スペース、且つ、コンパクトに保管することが可能であり、さらに、上段の昇降枠体を簡単に上下動できるので、従来の二段式タイヤラックのように作業者がタイヤを抱え上げてラック上段へ収納しなければならない苦労もなく、極めて省力的にタイヤ収納作業を行なうことができる。 【0033】しかも、本発明に係るタイヤ収納着脱ラックは、車輪によってタイヤを載せたまま自由に移動させることができるので、タイヤ運搬作業を頗る楽に行なうことができ、更には、タイヤを起立状態に抱持するタイヤ支持手段が、移動台車及び昇降枠体の両サイドに設けられているので、タイヤを立てた姿勢のまま、支柱等に邪魔されずにスムーズに収納することができ、自動車のタイヤ着脱作業の省力化にも貢献し得る。 【図面の簡単な説明】 【図1】本実施形態のタイヤ収納着脱ラックの全体斜視図である。 【図2】同ラックの昇降枠体2を降下させた状態の全体斜視図である。 【図3】同ラックの昇降手段3の部分縦断面図である。 【図4】同ラックの昇降手段3の部分横断面図である。 【図5】同ラックの使用方法を示す概略説明図である。 【図6】同ラックの使用方法を示す概略説明図である。 【図7】同ラックの使用方法を示す概略説明図である。 【図8】同ラックの使用方法を示す概略説明図である。 【符号の説明】 1 移動台車 10 車輪 11 タイヤ支持手段 11a 持出部材 2 昇降枠体 21 タイヤ支持手段 21a 持出部材 3 昇降手段 31 固定支柱 31a 定滑車 32 可動支柱 32a 動滑車 33 索引部材 34 ウィンチ T 1 〜T 4タイヤ |