Biodegradable copolymer bonded to a segment having a plurality of functional groups

申请号 JP2002587491 申请日 2002-03-20 公开(公告)号 JP2004526043A 公开(公告)日 2004-08-26
申请人 コーネル・リサーチ・ファンデーション・インコーポレイテッドCornell Research Foundation, Incorporated; 发明人 チー−チャン・チュ; メイドン・ラン;
摘要 生体適合性で 生物 分解性のポリマーまたはコポリマーが一端でキャップされ、他端で複遊離のヒドロキシルを有する。 この遊離のヒドロキシルが反応して、複数の官能基を結合し得る。 そのいくつかまたは各々が反応して、直接的にまたはスペーサーを介して、アミノオキシル含有基を含む部分、他の薬物分子残基を含む部分または他の生物活性物残基を含む部分に固着し得る。
权利要求
  • 一端でキャップされ、他端で複数の官能基を有するポリマーまたはコポリマーのセグメントに結合しているポリマーまたはコポリマーのセグメントを含む生体適合性で生物分解性のコポリマーであって、いくつかまたは各々の官能基が反応して、アミノオキシル含有基を含む部分を固着するか、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を固着する、生体適合性で生物分解性のコポリマー。
  • 複数の官能基が、いくつかまたは各々の官能基が反応して、アミド、エステルまたはオキシカルボニルの結合を介して、アミノオキシル含有基を含む部分を固着するか、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を固着する複数のカルボニル基である、請求項1の生体適合性で生物分解性のコポリマー。
  • 他端での結合形成が、二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーを生成する不飽和基を組み込むことを含み、また二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーの存在下に、不飽和基含有のモノマーの重合によって、結合したセグメントを生成することを含む、請求項2の生体適合性で生物分解性のコポリマー。
  • 加水分解性のエステルまたは窒素−リン結合を含んでいて、一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもっている出発物質のポリマーまたはコポリマーから生成し、遊離水酸基を、不飽和基を含む末端部分に結合したカルボニルに変換し、末端部分の不飽和基と不飽和カルボニル基含有の化合物またはそのポリマーとの反応によって複数のカルボキシル基をもつ末端セグメントを与え、いくつかまたは各々のカルボキシル基の修飾によって、カルボキシル基の水酸基に代わって、アミノオキシル含有基を含む部分、または他の薬物分子残基を含む部分もしくは他の生物活性物残基を含む部分を与える、請求項2の生体適合性で生物分解性のコポリマー。
  • いくつかまたは各々のカルボキシル基が反応して、アミド、エステルまたはオキシカルボニルの結合を介して、アミノオキシル含有基を含む部分、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を固着する、請求項4の生体適合性で生物分解性のコポリマー。
  • 薬物放出制御機能を組み込んだ生体適合性で生物分解性のポリマーを構成する、請求項5の生体適合性で生物分解性のポリマー。
  • 薬物放出制御機能を組み込んだ生体適合性で生物分解性のポリマーを構成する、請求項1の生体適合性で生物分解性のポリマー。
  • ポリマーまたはコポリマーのセグメントが、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリ(3−ヒドロキシブチラート)およびそれらのコポリマーよりなるグループから選ばれ、ポリマーまたはコポリマーのセグメントは一端でキャップされ、他端で、修飾されたいくつかまたは各々のカルボキシル基含有のポリアクリル酸を含むセグメントに結合しており、カルボキシル基の水酸基に代わって、アミノオキシル含有基を含む部分、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を与える、請求項2の生体適合性で生物分解性のコポリマー。
  • 無水マレイン酸、塩化アクリロイルおよびアリルイソシアナートよりなるグループから選ばれた結合剤と、一端でキャップされ他端に水酸基で終わるポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)の水酸基との反応によって結合を形成し、二重結合官能性のポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)の存在下に、二重結合官能性のポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)およびアクリル酸を重合させる遊離ラジカルを与える、請求項8の生体適合性で生物分解性のコポリマー。
  • 一端でキャップされ、他端で、カルボキシル官能基をもつポリアクリル酸および/または他のポリ酸を含むセグメントに結合しており、反応してカルボキシル基の水酸基に代わってアミノオキシル含有基を含む部分、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を固着する、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)。
  • 一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつ、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマー。
  • 一端でキャップされ、他端に複数の官能基をもつ単数または複数のセグメント、およびスピンラベルおよび/または他の薬物分子および/または他の生物活性物を、スピンラベルおよび他の薬物分子および他の生物活性物に対してポリマーまたはコポリマーの重量比1:99ないし99:1で含んでおり、ポリマーのスピンラベル/他の薬物分子/他の生物活性物のマトリックスに、スピンラベルおよび/または他の薬物分子および/または他の生物活性物を送達させる、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーの混合物。
  • 請求項1のコポリマーを含む、生物医学的適用のための薬物放出システム。
  • 請求項12の混合物を含む、生物医学的適用のための薬物放出システム。
  • 薬物溶出システムを有するステントを与え、請求項13の薬物放出システムに関わるか、またはそれによって形成されたステント。
  • 说明书全文

    【0001】
    (関連出願との相互参照)
    本出願は2001年5月7日に登録された米国特許仮出願60/288,806の権益を請求し、それのすべては引用に包含される。
    【0002】
    (技術分野)
    本発明は、複数の官能基、およびいくつかまたは各々の官能基が反応してできた生成物に結合しており、アミノオキシル含有基を含む部分を固着するか、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を固着する、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーの提供を指向している。
    【0003】
    (発明の背景)
    脂肪族ポリエステルは、生物分解性および生体適合性のゆえに、商業的に成功した適用例のある、一群の生体適合材料である。 このポリマーは縫合材料、移植材料および薬物担体として広範に使われてきたが、人体の修復に積極的に関与する、なんら固有の生物学的機能を有してはいない。
    【0004】
    酸化窒素は生化学および生物学において最もよく研究された化合物のひとつになっており、一酸化窒素とその生物学的機能は多くのレビューの主題である。 しかし人体への一酸化窒素の過剰な導入には、微小血管の漏れ、組織損傷、敗血性ショック、B細胞の破壊および変異原性リスクの可能性といった副作用があろう。 それゆえ、一酸化窒素の濃度と放出を制御することが重要である。
    【0005】
    Leeらの米国特許5,516,881は、一酸化窒素の濃度と放出を制御するための取り組みとして、一酸化窒素類似の安定遊離基を、アミノオキシル含有基のかたちで脂肪族ポリエステル含有のポリマーまたはコポリマーの鎖末端につくることを指向している。 しかし得られる生成物は利用可能なアミノオキシル含有基の濃度の点で制約されている。
    【0006】
    (発明の要約)
    固着したアミノオキシル基、固着した薬物残基または固着した生物活性物残基を利用可能な濃度で自由に変更し得る、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーが、共有結合的またはイオン結合的にアミノオキシル含有部分、他の薬物分子残基または他の生物活性物残基を含有する複数の部分の形成よって提供されることをここに発明した。
    【0007】
    本発明のひとつの実施態様(第1実施態様と称する)は、加分解性のエステルまたは窒素−リン結合を含有するポリマーまたはコポリマーのセグメントを含んでおり、一端でキャップされ他端でそこに付着した複数の官能基をもつポリマーまたはコポリマーのセグメントに結合し、そのいくつかまたは各々の官能基が反応して、アミノオキシル含有基を含む部分に固着するか、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分に固着する、生体適合性で生物分解性のコポリマーを指向している。
    【0008】
    本発明の別の実施態様(第2実施態様と称する)は、一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつ、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーを指向している。 遊離水酸基は反応して、そこに不飽和部分を固着し、さらに反応して複数の官能基をもつ末端セグメントを与える。 いくつかまたは各々の官能基は反応してアミノオキシル含有基を含む部分を固着するか、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を固着する。
    【0009】
    本発明のさらに別の実施態様(第3実施態様と称する)では、一端でキャップされ他端で、複数の官能基をもつ単数または複数のセグメント、およびスピンラベルおよび/または他の薬物分子および/または他の生物活性物を、スピンラベル、他の薬物分子および他の生物活性物に対するポリマーまたはコポリマーの重量比、例えば1:99ないし99:1で含んでおり、持続または遅延のような放出制御機能を有するスピンラベル、他の薬物分子および/または他の生物活性物を送達するためのポリマー薬物のマトリックスを形成する、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーの混合物を提供する。
    【0010】
    本発明のさらに別の実施態様(第4実施態様と称する)では、第1実施態様のコポリマーまたは第3実施態様の混合物であるポリマー薬物のマトリックスを含む、生物医学的適用のための薬物放出システムを提供する。
    【0011】
    本発明のさらに別の実施態様(第5実施態様と称する)では、ステントに第4実施態様の薬物放出システムでコーティングし、そのステント上に薬物の溶出性コーティングを提供する。
    【0012】
    「生体適合性」なる術語は、ここでは好ましくない後遺症がなく、人体と相互に作用する物質を意味して用いる。
    【0013】
    「生物分解性」なる術語は、ここではヒトの体、組織、細胞および生物(例えば細菌)の正常な機能にとって無害な生成物にまで分解が可能であることを意味して用いる。
    【0014】
    「アミノオキシル」なる術語は、ここでは化学構造>N−O−を指して用いる。 「アミノオキシル含有基」なる述語は、化学構造>N−O−を含む基を指して用いる。
    【0015】
    「他の薬物分子残基を含む部分」なる術語は、生体適合性で生物分解性のコポリマーの一部となる、固着物上に分離した部分の無い薬物分子部分を含む部分を指して用いる。 「他の」なる語は、その薬物がアミノオキシル構造含有基を含んでいないことを意味する。 「薬物」なる術語は、ここで疾病の診断、治療、緩和、処置または予防で使用する物質の意味で用いる。
    【0016】
    「他の生物活性物」なる術語は、タンパク質、サイトカイン、アンチセンス・オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド、遺伝子、炭水化物およびホルモンを含むが、アミノオキシル含有基および「他の薬物分子」を含む化合物を除外する。 「残基」なる術語は、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーの一部となる、固着物上に分離した生物活性物部分の無い物質を意味して用いる。
    【0017】
    (詳細な説明)
    本発明の第1実施態様の戻って説明する。 該実施態様は、加水分解性のエステルまたは窒素−リン結合を含有するポリマーまたはポリマーのセグメントを含んでおり、一端でキャップされ、他端でそこに付着した複数の官能基を持つポリマーまたはポリマーのセグメントに結合し、そのいくつかまたは各々の官能基は反応してアミノオキシル含有基を含む部分に固着するか、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分固着する、生体適合性で生物分解性のコポリマーを指向している。
    【0018】
    第1実施態様の生体適合性で生物分解性のコポリマーの重量平均分子量は例えば約750から約500,000の範囲で変わり得る。
    【0019】
    第1実施態様を提供する中間体は、一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつ生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーである。 その遊離水酸基は反応して不飽和基を組み込んで(例えば末端の)二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーを生成し、ついで該ポリマーまたはコポリマーは反応して複数の官能基を含むポリマーと結合をつくり、二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーの存在下に、不飽和官能基を含む化合物の重合によって生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーを生成する。 一端でキャップするのは、不飽和官能基を含む化合物との反応中に、中間体が交差結合して不溶物になるのを防ぐためであって、該交差結合は、いくつかまたは各々の官能基と、アミノオキシル含有基を含む部分を生成するスピンラベルとの反応工程、または他の薬物分子残基を含む部分を生成する薬物もしくは薬物誘導体との反応工程、または他の生物活性物残基を含む部分を生成する他の生物活性物あるいはその誘導体との反応工程(該工程は溶液中で行う)を困難にするであろう。
    【0020】
    前記中間体は、一端をキャップするが他端はキャップしない十分量のキャッピング剤の存在下に、両端に水酸基を含むポリマーまたはコポリマーを形成することによってつくり得る。
    【0021】
    キャッピング剤の存在下に生成する、中間体を得るためのポリマーまたはコポリマーは、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、またはポリ(3−ヒドロキシブチラート)およびそれらのコポリマーを例とする、ポリラクトンおよびそのコポリマーのような直鎖の脂肪族ポリエステルを含んでいる。
    【0022】
    ポリマー/コポリマーからアミノオキシル基または薬物もしくは他の生物活性物をより良く浸透するゆえ、すなわちより良く放出するゆえ、またより良い可塑性を持つゆえ、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)はポリラクチドのホモポリマーよりも好ましい。 コポリマーの生物分解速度はホモポリマーの分解速度よりも速く、カプロラクトンに対するラクチドの比によって制御し得るゆえ、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)はポリカプロラクトンのホモポリマーよりも好ましい。
    【0023】
    前記中間体を得るために一端でキャップされている他のポリマーまたはコポリマーは、Leeらの米国特許5,516,881に挙げられたものを含み、その全開示は出典明示により本明細書の一部とする。 これらは加水分解性の窒素−リン結合を含有するポリ〔ビス(カルボキシラートフェノキシ)フォスファジン〕を含んでいる。 米国特許5,516,881に挙げられている出発物質のポリマーまたはコポリマーが末端カルボキシル基を含む際、これらは例えばジオールまたは酸無水物との反応によって末端水酸基に変換することができる。
    【0024】
    中間体となる他のポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)とポリエステル−アミド(PEAと記す)/ポリ(エステル ウレタン)(PEURと記す)との組み合わせを含む米国特許出願09/651,338に記載のように、PEAおよびPUERを含んでいる。
    【0025】
    キャッピング剤は、好ましくは高沸点(例えば160℃を上まわる沸点)で水酸基が一個のアルコールである。 好ましい水酸基一個のキャッピング剤はベンジルアルコールであり、出発のポリマーが好ましく合成される条件(例えば高真空の条件)で簡単に蒸発しないゆえに、またベンジルエステル末端基として組み込まれたことが、例えばNMRによって容易に検出できるゆえに好ましい。 水酸基一個のキャッピング剤の例は、その他シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロペンタンメタノール、シクロヘプタノールおよび3−シクロペンチル−1−プロパノールが挙げられる。
    【0026】
    前記中間体の重量平均分子量は、例えば500ないし30,000、例えば1,000ないし20,000、例えば2,600ないし6,000の範囲で変わり得る。
    【0027】
    第1実施態様を提供する前記中間体中の遊離水酸基は、上述の如く有利に反応して不飽和基を組み込んで二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーを与え、ついで該ポリマーまたはコポリマーは反応して複数の官能基を含むポリマーと結合をつくる。 すなわちその場合、他端(キャップされていない末端)での結合の形成は、二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーを生成する不飽和基の組み込みを含んでおり、また、二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーの存在下に、不飽和基を含む官能基をもつモノマーの重合によるか、または複数の前記官能基をもつ不飽和基含有化合物と二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーの不飽和基との反応によって、付着した複数の官能基をもつ結合セグメントを生成することを含んでいる。 いくつかまたは各々の官能基は反応してアミノオキシル含有基を含む部分、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分に結合をつくる。
    【0028】
    第1実施態様のための官能基は、例えばカルボキシル基、アミノ基または水酸基である。
    【0029】
    官能基がカルボキシル基の場合について説明する。 この場合には、いくつかまたは各々のカルボキシル基が反応して、アミド、エステルまたはオキシカルボニル結合を介するか、またはイオン結合によるカルボキシラート・イオンを介して、アミノオキシル含有基を含む部分、他の薬物分子残基を含む部分または生化学的活性物残基を含む部分を固着する。 生体適合性で生物分解性のコポリマーの重量平均分子量は、例えば1,000または2,000ないし200,000、例えば2,500ないし16,500の範囲で変わり得る。
    【0030】
    複数の官能基がカルボキシル基である場合には、生体適合性で生物分解性のポリマーは、加水分解性エステル結合または窒素−リン結合を含んでいて、一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつ出発物質のポリマーまたはコポリマーから、その遊離水酸基の水素を不飽和基含有の末端部分に結合したカルボニル基への変換によって生成し、また末端部分、すなわち二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーの不飽和基と不飽和基含有の化合物またはそのポリマーとの反応により、複数のカルボキシル基含有の末端セグメントを生成し、また、いくつかまたは各々のカルボキシル基の修飾により、カルボキシル基の水酸基に代わって、アミノオキシル含有基を含む部分または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を生成する。
    【0031】
    付着のカルボキシル官能基と整合性がとれた二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーは、出発物質のポリマーまたはコポリマーと、例えば無水マレイン酸との反応、または塩化メタアクリロイル、塩化アクリロイルのようなメタアクリロイルもしくはアクリロイル化合物との反応、またはアリルイソシアナートとの反応により生成する。
    【0032】
    複数のカルボキシル基含有の末端セグメントを与える、二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーの末端部分にある不飽和基の反応は、二重結合を末端にもつポリマーまたはコポリマーの存在下に、アクリル酸またはメタアクリル酸のようなカルボキシル酸含有の二重結合を重合する遊離ラジカルによって行うことができる。
    【0033】
    各々のカルボキシル官能基は、適切なスピンラベルと反応して、カルボキシル基の水酸基が2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシの4位に結合したイミノ基と置き換わるか、または2,2,5,5−テトラメチルピペリジン−1−オキシの3位に結合したイミノ基と置き換わるか、または2,2,5,5−テトラメチル−3−ピロリン−1−オキシ−カルボニルのカルボニルに結合したオキシ基と置き換わって、アミノオキシル含有基を含む部分を生成する。 適切なスピンラベルは米国特許5,516,881に挙げられている。
    【0034】
    いくつかまたは各々のカルボキシル官能基は、薬物または他の生物活性物が前述のカルボキシル基と反応可能な基、例えばカルボニル、カルボキシラート、カルボキシル酸または修飾されてこのような基を含む基に結合したアミン基またはオキシ基と反応して、カルボキシル基の水酸基部分に代って、他の薬物分子残基または他の生物活性物残基を含む部分を生成する。
    【0035】
    つぎにカルボキシル官能基を含むコポリマーが、一端でキャップされ他端でカルボキシル官能基含有のポリアクリル酸および/または他のポリ酸を含むセグメントに結合しているポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)である場合について説明する。 そのポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)は、反応してカルボキシル官能基の水酸基に代わって、アミノオキシル含有基を含む部分、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を固着する。
    【0036】
    好ましい場合、ポリマーまたはコポリマーのセグメントは、例えばベンジルアルコールを用いて一端でキャップされ、他端でいくつかまたは各々の修飾されたカルボキシル基を含むポリアクリル酸含有のセグメントに結合しているポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)であって、カルボキシル基の水酸基に代わって、アミノオキシル含有基を含む部分、または他の薬物分子残基もしくは他の生物活性物残基を含む部分を生成する。 この場合、生体適合性で生物分解性のコポリマーの重量平均分子量は、例えば1,000ないし150,000、例えば3,200ないし13,000の範囲で変わり得る。
    【0037】
    一端でキャップされ他端が水酸基で終わるポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)中間体の重量平均分子量は、例えば1,000ないし20,000、例えば2,600ないし6,000の範囲で変わり得る。
    【0038】
    特に好ましい場合、一端でキャップされ他端が水酸基で終わるポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)の水酸基と無水マレイン酸との反応で結合ができ、二重結合を末端にもつポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)の存在下に、二重結合官能性のポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)およびアクリル酸を重合する遊離ラジカルを与える。 生成したコポリマーは、Aブロックがラクチドとε−カプロラクトンとの不揃いのコポリマーであって、Bブロックがポリアクリル酸であるブロック・コポリマーである。 生成したコポリマーは、バックボーンとしてポリ(アクリル酸)、およびグラフト・セグメントとしてキャップされたポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)をもつグラフト・コポリマーであると見られる。
    【0039】
    特に好ましい生体適合性で生物分解性のコポリマーは、以下に述べるように4工程でつくり得る。
    【0040】
    第1工程で、一端がベンジルアルコールでキャップされ他端に1個の遊離水酸基をもつ、中間体であるポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)をつくる。 ここではこの生成物をPBLC−OHと表わし、「P」はコポリマーを意味し、「B」はキャッピング剤のベンジルアルコールを意味し、「L」は出発物質のラクチドを意味し、「C」は出発物質のε−カプロラクトンを意味し、また「−OH」は遊離水酸基を意味する。 本第1工程はM. LangらのBiomat. Sci. Polymer Edn. 10, No. 4, 501-512 (1999) に記載されている。 本工程の反応は、ベンジルアルコール(微量)および開環を触媒するオクタン酸第1錫の存在下、ラクチドおよびε−カプロラクトン(モル比2.5:1)の融解開環共重合であり、シラン加工した重合管中で48時間130℃にて実施する。 オクタン酸第1錫の代わりに使用しうる開環触媒は、例えばアルミニウム・トリイソプロポキシド、〔(n−C O) AlO〕 Zn、ジブチルチンジメトキシド、L−乳酸亜鉛、チオール酸アルミニウムおよびトリエチルアルミニウムを含む。
    【0041】
    第1工程の生成物の末端水酸基に不飽和基が組み込まれている第2工程で、PBLC−OHを二重結合性官能性のポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)の合成前駆物質として使い、そのPBLC−OHの水酸官能基と無水マレイン酸との反応によって二重結合性官能性のポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)をつくる。 この生成物はマレイン酸で末端がキャップされたポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)コポリマーということができ、ここでPBLC−Maと表わすが、その「PBLC」は上述のとおりであり、また「Ma」は末端キャップのマレイン酸を意味する。 無水マレインに対するPBLC−OHのモル比は5:1であり、反応は24時間130℃、融解状態で窒素雰囲気下で行う。
    【0042】
    第2工程の生成物ポリマーとアクリル酸との共重合反応を構成する第3工程で、PBLC−Maおよびアクリル酸を遊離ラジカル重合反応の条件に付してポリアクリル酸セグメントに結合させ、アクリル酸/ラクチド/ε−カプロラクトンをつくる。 この生成物はPBLCAと表わし、ここで「A」はポリアクリル酸セグメントを意味する。 反応は2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)または他の開始剤を用いて開始させ、ジオキサン溶媒中で5時間60℃に加熱して行う。 反応生成物はバックボーンにポリアクリル酸をもつグラフト・コポリマーおよびグラフト・セグメントとしてPBLCをもつグラフト・コポリマーであると見られる。
    【0043】
    第4工程では、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ(TEMPAMINE)とPBLCAとの反応によって、アミノオキシル基含有部分をPBLCAのカルボン酸位置に組み込み、4−アミノ由来のイミノをカルボン酸の水酸基に置き換える。 この反応は、N,N'−カルボニル・ジイミダゾールの存在下に、50℃でジオキサン溶媒中、またはPBLCAには他の適当な非プロトン性もしくはテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシドまたはクロロホルムのような他の溶媒中で行い、アミノオキシル基が組み込まれた生体適合性で生物分解性のコポリマーを得る。 この生成物はTAM−PBLCAと表わし、ここで「TAM」は反応剤のTEMPAMINEを意味し、「PBLCA」は反応剤のPBLCAを意味する。
    【0044】
    第3工程の生成物もまた、スピンラベルまたは他の薬物分子もしくは他の生物活性物と混合することにより、薬物送達マトリックスとして使うことができる。
    【0045】
    特に好ましい生体適合性で生物分解性のポリマーをつくる4つの工程の反応式を以下に示す。
    【化1】

    およびnは例えば30ないし70のように10ないし100、mは例えば3ないし10、好ましくは3ないし7、xは例えば1ないし10、好ましくは1または2、およびyは例えば5ないし50、好ましくは10ないし20の各範囲で変わり得る。 反応式中、(1)はベンジルアルコールを表わし、(2)はラクチドを表わし、(3)はε−カプロラクトンを表わし、(4)はベンジルアルコールで末端がキャップされた、ラクチドとε−カプロラクトンとの不揃いコポリマーであるPBLC−OHを表わし、(5)は無水マレイン酸を表わし、(6)はPBLC−Maを表わし、(7)はアクリル酸を表わし、(8)はPBLCAを表わし、(9)はTEMPAMINを表わし、また(10)はTAM−PBLCAを表わす。


    【0046】


    (4)はε−カプロラクトン末端基を示すが、中間体PBLC−OHは末端基としてラクチド・ユニットをもつこともできる。 そして後述の実施例においては、PBLC−OHコポリマーの95%がオキシプロピオニル末端基(すなわちラクチド・ユニット)を有していた。 末端基としてラクチド・ユニットをもつPBLC−OHを示す構造は【化2】


    【0047】


    さらに実施例の無水マレイン酸との反応において、いくつかのマレイン酸モノエステル酸は、マレイン酸モノエステルからフマル酸モノエステルに転位した(すなわちPBLC−Maの二重結合の13%)。


    【0048】


    つぎにコポリマーのセグメントに付着した官能基がアミン基または水酸基である場合について説明する。 無水マレイン酸の代わりに使用する反応剤は、不飽和を与えるにふさわしく、かつ重合の際、複数の官能基を与えるアクリル酸の代わりに用いる、不飽和基含有モノマーの官能基と整合した反応剤である。 この場合、生体適合性で生物分解性のコポリマーの重量平均分子量は、例えば1,000または2,000ないし200,000、例えば2,500ないし16,500の範囲で変わり得る。


    【0049】


    コポリマーがアミノオキシル含有基を含む第1実施態様の有用性は、米国特許5,516,881に記載のように、抗腫瘍処置または血管の再建を含んでいる。 第1実施態様の有用性は、第4および第5実施態様の有用性を包含する、薬物放出制御機能も含んでいる。


    【0050】


    つぎに、一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつ生物分解性のポリマーまたはコポリマーを指向する、本発明の第2実施態様について説明する。 本実施態様のポリマーまたはコポリマーは第1実施態様を提供する中間体として有用である。 ポリマーまたはコポリマーおよびその製法は、第1実施態様およびその製法に関連して上に説明してあり、また第1実施態様を提供する中間体として上に引用してある。 第2実施態様のポリマーまたはコポリマーの重量平均分子量は、例えば500ないし30,000、例えば1,000ないし20,000、例えば2,600ないし6,000の範囲で変わり得る。


    【0051】


    つぎに本発明の第3実施態様について説明する。 本実施態様は、一端でキャップされ、他端に、複数の官能基をもつ単数または複数のセグメント、およびスピンラベルおよび/または他の薬物分子および/または他の生物活性物を含んでおり、持続または遅延のような放出制御機能をもち、スピンラベル、他の薬物分子および/または他の生物活性物を送達するためのポリマー薬物のマトリックスを形成する、生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーの混合物を指向している。 単数または複数のセグメントと複数の官能基との結合は、好ましくはポリマーまたはコポリマーに組み込むことによって生成し、また第1実施態様との関連で説明したように、二重結合官能性のポリマーまたはコポリマーの存在下に不飽和基モノマーの重合によって、複数の官能基を結合したセグメントを生成する。 好ましくは、第3実施態様の生体適合性で生物分解性のポリマーまたはコポリマーは、加水分解性のエステルまたは窒素−リン結合を含み一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつ出発物質のポリマーまたはコポリマーから生成し、第1実施態様との関連で説明したように、遊離水酸基の水素を不飽和基含有の末端モノマーに結合したカルボニルに変換し、その末端部分の不飽和基と不飽和でカルボニル基を含む化合物またはそのポリマーとの反応によって、複数のカルボニル基を含む末端セグメントを生成する。 一端でキャップされ他端に複数の官能基をもつ単数または複数のセグメントを含む、特に好ましいポリマーまたはコポリマーは、第1実施態様との関連で述べた4工程のうち初めの3工程で生成するPBLCAである。 第3実施態様の混合物の有用性は第4および第5実施態様の有用性を含む薬物放出制御機能を含む。


    【0052】


    つぎに本発明の第4実施態様について説明する。 本実施態様は第1実施態様のコポリマーおよび/または第3実施態様の混合物を含む生物医学的適用のための薬物放出システムを指向する。 薬物放出システムは、第1実施態様のポリマーまたはコポリマーに組み込まれた、または第3実施態様の混合物に由来した、アミノオキシル基、または他の薬物もしくは他の生物活性物を放出する。 第4実施態様の薬物放出システムは、担体および/または適当な他の化合物または成分との任意の組み合わせで、第1実施態様のポリマーまたは第3実施態様の混合物を含む。 第1実施態様の、ポリマーまたはコポリマーのセグメントの量、結合している分子(例えば無水マレイン酸)の数および官能基(例えばカルボン酸基)の数は、直接に切断可能な共有結合でもって調整され、またアミノオキシル基および他の薬物または他の生物活性物を固着するスペーサー分子を介して、長さおよび構造の変化に連動させて放出制御機能を与える。 さらに第3実施態様の生体適合性で生物分解性のポリマーまたはポリマー成分は、一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつポリマーまたはコポリマー中間体の量、結合している分子(例えば無水マレイン酸)の数、官能基(例えばカルボン酸基)の数、およびスピンラベル、他の薬物または他の生物活性物に対するポリマーまたはコポリマーの比を変えることによって調整され、放出制御機能を与える。 制御放出機能は放出を持続、または遅延することのできる機能である。 例えば、種々の抗炎症薬(例えばシロリムス)、抗増殖性薬(例えばパクリタキセル)、生物製剤、およびタンパク質;サイトカイン;アンチセンス・オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド;遺伝子;炭水化物;ホルモンなどの生物活性物は、薬物または他の生物活性物をポリマーのバックボーンに接合するスペーサー分子を介して、異なる分子の長さおよび構造を用いた種々の接合技術により、イオン結合またはTAM−PBLCAのような直接の共有結合による、PBLC−OH、PBLC−Ma、およびPBLCAのようなポリマー物質と併せて適用できるし、あるいはスピンラベルまたは他の薬物もしくは他の生物活性物をポリマーの成分と混合することによって、ポリマー薬物のマトリックスをつくることができるし、あるいは薬物およびポリマー物質の層を層状に構築できるし、あるいは種々のヒドロゲル/薬物混合物を用いてコーティングを行い、制御した薬物の持続放出性の局所薬物送達システムをステント基盤上に、または全身投与のミクロスフェアー・ベースの薬物送達システムを提供するミクロスフェアー(ナノ粒子)上につくることができる。


    【0053】


    つぎに本発明の第5実施態様について説明する。 本実施態様は、アミノオキシル含有基または毒性、炎症もしくは再閉塞を改善もしくは予防する他の薬物もしくは他の生物活性物を含有する第4実施態様の薬物放出または送達システムでコートされたようなステント、またはそのシステムでつくられたステントに関し、ステント上に薬物溶出性コーティングを提供する。 ステントへのコーティングは、治療的に有効な量にて薬物送達システムでステントをコーティングすることにより容易に実施できる。 浸漬コーティング、スプレイ・コーティング、バキュウム・コーティング、スピン・コーティングなどのようなさまざまなコーティング技術により、薬理学的に適切なまたは治療的に有効な量で持続した期間、薬物または他の生物活性物の送達を可能にする適当な厚さで、ステント基盤上に薬物送達システムをコーティングする。 TAM−PBLCAでのコーティングは、例えば分解の原因となる外的ストレスが無く(例えば高湿度でない)、窒素のような不活性ガスの雰囲気下に融解コーティングによるか、またはジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシドもしくはクロロホルムのような非プロトン性あるいは他の溶媒を使った溶液コーティングにより行う。 薬物送達システムは、ステント上を覆った、またステントと共に広がったメッシュ状またはチューブ状の配置で形成することもでき、動脈壁の広い範囲をカバーする。 薬物送達システムは、バルーンを介して広がった形のステント、および紫外線の使用で固定形にクロスリンクした形のステントで配置することもできる。


    【0054】


    他の薬物分子残基または他の生物活性物残基を固着するには、バイオ分解可能なポリマーの官能基と反応する官能基をもつ薬物または生物活性物を、スピンラベルに変えて反応させる。


    【0055】


    ここで述べる重量平均分子量は単分散ポリスチレン標準と対比して、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定する。


    【0056】


    ここで用いる「いくつかまたは各々」なる表現において、「いくつか」はひとつを超え且つすべてを下回り、また「各々」はすべてを示す。


    【0057】


    本発明は以下の実施例にて詳細に説明する。


    【実施例1】


    【0058】


    ラクチド(7.5モル)、ε−カプロラクトン(3モル)、ベンジルアルコール(1モル)およびオクタン酸第1錫(重量で0.5%)をパイレックス(登録商標)の重合チューブに入れた。 ついで重合チューブの頭部スペースにアルゴンを満たし、数回頭部スペースに真空操作を行ってすぐ重合チューブを真空封印した。 封印したチューブを油浴中130℃で48時間加熱してラクチドとε−カプロラクトンとの融解開環重合を行い、一端でキャップされ他端に遊離水酸基をもつポリ(ラクチド−コ−ε−カプロラクトン)、すなわちPBLC−OHを得た。 封印したチューブを油浴から出して室温まで冷却し、すぐに生成物をクロロホルムに溶かして重合チューブから取り出した。 できた溶液を過剰の石油エーテルに注ぎポリマーを沈殿させた。 沈殿物を蒸留水で4回洗浄し、重量が一定になるまで減圧下に無水リン酸にて室温で乾燥した。


    【0059】


    別の実施では、反応剤が以下のような量であることを除き、上記と同様に行った:ラクチド(17.5モル)、ε−カプロラクトン(7モル)、ベンジルアルコール(1モル)。 オクタン酸第1錫の量は重量で0.5%を用いた。


    【0060】


    2つの実施の結果を下の表1に示す。 ここでM

    は数量平均分子量、M

    は重量平均分子量、またM

    はピーク分子量(すなわち、表1のPBLC−OH標品の、GPCカーブのピークにおけるPBLC−OHの重量平均分子量)である。


    【表1】


    実施2で得たPBLC−OH中の−CH(CH

    )−OH末端基に対する−CH

    OHのモル比は1/19.62であった。 実施2で得たα−オキシプロピオニル・ユニット(Lユニット)に対するε−オキシカプロイル・ユニット(Cユニット)の組成比は1/4.53であったが、使用したモル比は1/5であった。 これはε−カプロラクトン・モノマーの重合率がラクチド・モノマーのそれよりも高かったこと示している。 実施2で得た生成物では、PBLC−OHの95%がα−オキシプロピオニル末端基をもっていた。 95%でα−オキシプロピオニル末端基の量が得られたのは、表1の実施2での使用モル比によること、および適用した重合条件でε−カプロラクトン・モノマーの重合率がラクチド・モノマーのそれよりも高かったことのふたつに起因している。 もしも使用モル比が代わって、Cユニットが35モルおよびLユニットが7モルであったなら、ラクチド末端基を含むPBLC−OH分子の百分率は増加するが、前述の相対的な重合率のゆえに増加のレベルは限定されるであろう。


    【0061】


    実施2で得たPBLC−OH(0.01モル)および無水マレイン酸(0.05モル)(モル比1:5)を三つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下130℃で24時間加熱した。 次いで過剰の無水マレイン酸を減圧下130℃にて留去し、つぎに反応混合物をクロロホルムに溶解した。 クロロホルム溶液を水で3回抽出して残る無水マレイン酸を除去し、無水硫酸マグネシウムにて一夜乾燥した。 水で抽出したクロロホルム溶液に過剰の石油エーテルを加えて精製PBLC−Maを沈殿させ、これを減圧下室温にて乾燥した。 PBLC−OHポリマーの末端水酸基の54%が無水マレイン酸と反応し、二重結合官能基に変換した(転位反応により無水マレイン酸モノエステルが87%およびフマル酸モノエステルが13%)。


    【0062】


    PBLC−Ma(1.98g)、アクリル酸(3.0g)およびAIBN(0.0335g)(アクリル酸の重量で1.1%)を三つ口フラスコ中、室温にて窒素雰囲気下20mlのジオキサンに溶解した。 できた溶液を60℃に5時間加熱した。 溶媒の殆どを120℃で除去した後、反応混合物に冷水を加えて沈殿させ、副生成物のアクリル酸ホモポリマーを分離した。 沈殿物のPBLCAをろ取し、冷水で3回洗浄し、無水リン酸にて減圧下室温で乾燥した。


    【0063】


    PBLCA(1.1392g)を20mlのジオキサンに50℃で溶解し、ついでN,N'−カルボニルジイミダゾール(0.2851g)を加えた。 15分後、5mlのジオキサンに溶解した4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシ(TEMPAMINE)を50℃で反応混合物に徐々に加えた。 反応混合物を50℃にて数時間激しく攪拌した。 できた溶液を石油エーテル中に徐々に滴下し、TAM−PBLCAを沈殿させた。 水100ml中で3時間室温にて攪拌して過剰のTEMPAMINE、N,N'−カルボニルジイミダゾールおよび(反応中に生成した)イミダゾールを除去し、ろ取して水で4回洗浄したのち無水リン酸にて減圧下室温で乾燥した。 TAM−PBLCAに含まれているTEMPAMINEは重量で8.32%であった。


    【0064】


    各段階で得られたPBLC−OH(実施2由来)、PBLC−Ma、PBLCAおよびTAM−PBLCAの分子量の測定結果を下の表2に示す。


    【表2】


    【0065】


    TAM−PBLCAはアミノオキシル含有基を含む部分をもつ成分の有用性を有し、米国特許5,516,881に記載されている。


    【実施例2】


    【0066】


    薬物放出システムは、PBLCAとTEMPAMINEを(TEMPAMINEの1部に対しPBLCAを10部)混合して、またはPBLCAとパクリタキセルを(パクリタキセルの1部に対しPBLCAを50部)混合してつくる。 前者は、アミノオキシル含有基を含む部分をもつ成分について、米国特許5,516,881に記載された有用性をもっている。 後者は抗腫瘍の有用性をもっている。


    【実施例3】


    【0067】


    TAM−PBLCAのジオキサン溶液(20mlのジオキサン中1gのTAM−PBLCA)または他の適当な溶媒の溶液にステントを浸漬たのち、溶媒を蒸発させることによってステントをコートする。 血管形成術後に置かれる、TAM−PBLCAでコートされたステントは、通常のステントに比べて炎症が軽減されることに関係する。


    【0068】


    (バリエーション)


    上記の多くのバリエーションは、この技術分野に精通した者には明らかであろう。 よって本発明は特許請求の範囲にて定義する。

    QQ群二维码
    意见反馈