含臭素ポリエーテル重合体及びその製造方法

申请号 JP2015536332 申请日 2015-01-30 公开(公告)号 JPWO2015115611A1 公开(公告)日 2017-03-23
申请人 マナック株式会社; 发明人 勝頼 屋敷; 勝頼 屋敷;
摘要 本発明は、下記一般式(1):(式中、R1、R2、m、k及び星印は明細書及び請求の範囲に記載のとおりである。)で示される繰り返し単位を含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体及びその製造方法に関する。
权利要求

下記一般式(1): (式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される繰り返し単位を含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体。臭素含量が50重量%〜80重量%である、請求項1記載の重合体。R1が酸素原子である、請求項1又は2記載の重合体。R2が全て水素原子である、請求項1〜3のいずれか1項記載の重合体。熱重量分析(TGA)における5%重量減少温度が200℃〜450℃である、請求項1〜4のいずれか1項記載の重合体。請求項1〜5のいずれか1項記載の重合体を含む難燃剤。下記一般式(2): (式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される単量体を重合開始剤の存在下で重合することを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の重合体の製造方法。カチオン開環重合機構により重合する、請求項7記載の製造方法。重合開始剤がルイス酸である、請求項8記載の製造方法。さらに含活性水素化合物を併用して重合する、請求項9記載の製造方法。前記含活性水素化合物がヒドロキシ化合物である、請求項10記載の製造方法。アニオン開環重合機構により重合する、請求項7記載の製造方法。重合開始剤が四級アンモニウム塩である、請求項12記載の製造方法。アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウムフルオリドである、請求項13記載の製造方法。

下記一般式(1): (式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される繰り返し単位を50モル%以上含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体[ただし一般式(I) (式中、Xは臭素原子を、R1’は脂環式基又は架橋脂環式基を含む脂肪族基を、R2’は各々水素原子又はメチル基を、m’は1〜5の整数を、n’は平均繰り返し数を示す1〜5の統計的数を、各々表す)で示される(メタ)アクリル系単量体、及び前記(メタ)アクリル系単量体の1種以上をポリイソシアネート類の1種以上又はポリイソシアネート類及び共重合可能なビニル単量体の各々1種以上と共に重合させてなる高屈折率透明樹脂を除く]。臭素含量が50重量%〜80重量%である、請求項1記載の重合体。R1が酸素原子である、請求項1又は2記載の重合体。R2が全て水素原子である、請求項1〜3のいずれか1項記載の重合体。熱重量分析(TGA)における5%重量減少温度が200℃〜450℃である、請求項1〜4のいずれか1項記載の重合体。請求項1〜5のいずれか1項記載の重合体を含む難燃剤。下記一般式(2): (式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される単量体を重合開始剤の存在下で重合することを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の重合体[ただし一般式(I) (式中、Xは臭素原子を、R1’は脂環式基又は架橋脂環式基を含む脂肪族基を、R2’は各々水素原子又はメチル基を、m’は1〜5の整数を、n’は平均繰り返し数を示す1〜5の統計的数を、各々表す)で示される(メタ)アクリル系単量体、及び前記(メタ)アクリル系単量体の1種以上をポリイソシアネート類の1種以上又はポリイソシアネート類及び共重合可能なビニル単量体の各々1種以上と共に重合させてなる高屈折率透明樹脂を除く]の製造方法。カチオン開環重合機構により重合する、請求項7記載の製造方法。重合開始剤がルイス酸である、請求項8記載の製造方法。さらに含活性水素化合物を併用して重合する、請求項9記載の製造方法。前記含活性水素化合物がヒドロキシ化合物である、請求項10記載の製造方法。アニオン開環重合機構により重合する、請求項7記載の製造方法。重合開始剤が四級アンモニウム塩である、請求項12記載の製造方法。アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウムフルオリドである、請求項13記載の製造方法。下記一般式(1): (式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される繰り返し単位を50モル%以上含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体[ただし一般式(I) (式中、Xは臭素原子を、R1’は脂環式基又は架橋脂環式基を含む脂肪族基を、R2’は各々水素原子又はメチル基を、m’は1〜5の整数を、n’は平均繰り返し数を示す1〜5の統計的数を、各々表す)で示される(メタ)アクリル系単量体、及び前記(メタ)アクリル系単量体の1種以上をポリイソシアネート類の1種以上又はポリイソシアネート類及び共重合可能なビニル単量体の各々1種以上と共に重合させてなる高屈折率透明樹脂を除く]。臭素含量が50重量%〜80重量%である、請求項1記載の重合体。R1が酸素原子である、請求項1又は2記載の重合体。R2が全て水素原子である、請求項1〜3のいずれか1項記載の重合体。熱重量分析(TGA)における5%重量減少温度が200℃〜450℃である、請求項1〜4のいずれか1項記載の重合体。請求項1〜5のいずれか1項記載の重合体を含む難燃剤。下記一般式(2): (式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよい) で示される単量体を重合開始剤の存在下で重合することを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の重合体[ただし一般式(I) (式中、Xは臭素原子を、R1’は脂環式基又は架橋脂環式基を含む脂肪族基を、R2’は各々水素原子又はメチル基を、m’は1〜5の整数を、n’は平均繰り返し数を示す1〜5の統計的数を、各々表す)で示される(メタ)アクリル系単量体、及び前記(メタ)アクリル系単量体の1種以上をポリイソシアネート類の1種以上又はポリイソシアネート類及び共重合可能なビニル単量体の各々1種以上と共に重合させてなる高屈折率透明樹脂を除く]の製造方法。カチオン開環重合機構により重合する、請求項7記載の製造方法。重合開始剤がルイス酸である、請求項8記載の製造方法。さらに含活性水素化合物を併用して重合する、請求項9記載の製造方法。前記含活性水素化合物がヒドロキシ化合物である、請求項10記載の製造方法。アニオン開環重合機構により重合する、請求項7記載の製造方法。重合開始剤が四級アンモニウム塩である、請求項12記載の製造方法。アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウムフルオリドである、請求項13記載の製造方法。

说明书全文

本発明は、含臭素ポリエーテル重合体、含臭素ポリエーテル重合体を含む難燃剤及びそれらの製造方法に関する。

プラスチックは現代社会において必要不可欠な材料である。プラスチックは一般的に熱に弱く、比較的低い温度で着火、発火する材料である。従ってプラスチックを使用している電気・電子機器や車輌部品、家庭用品は火災安全性のために火が点いても燃えにくくする必要があり、プラスチックに難燃剤を添加することで難燃化されている。それらの難燃剤には主に臭素系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤等が使用されている。

とりわけ臭素系難燃剤では、モノマータイプ、オリゴマー又はポリマータイプが使用されており、最近では分子量がより大きいオリゴマー又はポリマータイプ難燃剤がより環境や人体への健康安全性が高いと考えられており、さらに種々の特性(例えば、ノンブルーミング性や機械特性)においてモノマータイプの難燃剤よりも優れることが報告されている(例えば、『難燃剤の最適処方と燃焼試験』技術情報協会2011年、79-80頁、国際公開第2008/134294号パンフレット参照)。

例えば、オリゴマー又はポリマータイプ難燃剤として主に臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ベンジルアクリレートポリマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマー、臭素化エポキシ等が挙げられるが、これらのオリゴマー又はポリマータイプ臭素系難燃剤は、全てのプラスチックに適用できるわけではなく、それぞれ特有の問題点を有している(例えば、特表2001−517256号公報参照)。

よって上述のオリゴマー又はポリマータイプ難燃剤は市場において使用されているものの未だ全ての性能を満足させるものではなく、当業者は常に新しいタイプの難燃剤を求めている。

国際公開第2008/134294号パンフレット

特表2001−517256号公報

『難燃剤の最適処方と燃焼試験』技術情報協会2011年、79-80頁

本発明は、熱安定性に優れ、さらに重合体中の臭素含量が高いことでより少ない添加量での難燃化を可能とする新規の含臭素重合体及びその製造方法を提供するものである。

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の通りである。

下記一般式(1):

(式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される繰り返し単位を含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体、該重合体を含む難燃剤及びこれらの製造方法に関する。

本発明によれば、高い臭素含量を有し、難燃剤として有用な含臭素ポリエーテル重合体が提供される。本発明の重合体は、優れた熱安定性を有することから、高温加工が必要な樹脂にも適用可能であり、また、プラスチックに添加した際には良好な溶融流動性及びノンブルーミング性が期待できる。

合成例1で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

合成例1で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

合成例2で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

合成例2で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

合成例3で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

合成例3で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

合成例4で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

合成例4で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

合成例5で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

合成例5で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例1で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例1で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例2で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例2で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例3で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例3で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例4で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例4で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例5で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例5で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例6で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例6で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例7で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例7で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

実施例8で得られた化合物の

1H−NMRチャートを示す。

実施例8で得られた化合物のFT−IRチャートを示す。

以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。

本発明の重合体は、下記一般式(1):

(式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される繰り返し単位を含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体である。

ここで、用語「炭素数1〜4のアルキル基」は、炭素数1〜4の、直鎖状又は分岐状の脂肪族飽和炭化水素の一価の基を意味し、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等を例示することができる。

用語「炭素数1〜4のアルコキシ基」は、基RO−(ここで、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である)を意味し、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等を例示することができる。

用語「炭素数1〜4のアルキルチオ基」は、基R′S−(ここで、R′は、炭素数1〜4のアルキル基である)を意味し、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基等を例示することができる。

用語「炭素数1〜4のハロアルキル基」は、1個以上のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基を意味し、ブロモメチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモプロピル基、4−ブロモブチル基、ヨードメチル基、2−ヨードエチル基、3−ヨードプロピル基、4−ヨードブチル基、フルオロメチル基、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等を例示することができる。2個以上のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基のハロゲン原子は、同一であっても異なっていてもよい。

用語「炭素数1〜4のハロアルコキシ基」は、1個以上のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4のアルコキシ基を意味し、ブロモメトキシ基、2−ブロモエトキシ基、3−ブロモプロピルオキシ基、4−ブロモブチルオキシ基、ヨードメトキシ基、2−ヨードエトキシ基、3−ヨードプロピルオキシ基、4−ヨードブチルオキシ基、フルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、3−フルオロプロピルオキシ基、4−フルオロブチルオキシ基、トリブロモメトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等を例示することができる。2個以上のハロゲン原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基のハロゲン原子は、同一であっても異なっていてもよい。

用語「ハロゲン原子」又は「ハロ」は、互換可能であり、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はフッ素原子を意味する。

用語「カルボキシ基もしくはエステル基」は、基:−COOHもしくはそのエステル基(すなわち、基:−COOR″)を意味する。ここで、R″は、炭素数1〜4のアルキル基を意味する。

前記一般式(1)においてR1は、化合物の入手容易性、合成容易性に応じて適宜選択すればよいが、酸素原子又はNH基が好ましく、酸素原子がより好ましい。

前記一般式(1)においてR2は、化合物の入手容易性、合成容易性に応じて適宜選択すればよいが、臭素含量をより高くできる点において水素原子を1置換以上含むことが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。

前記一般式(1)において臭素原子の置換数mは、2〜5であり、臭素含量の観点から3〜5が好ましい。

本発明の重合体の臭素含量は、難燃性付与のための添加量を少なくする観点から45〜80重量%が好ましく、50〜80重量%がより好ましく、60〜80重量%がさらに好ましい。なお、本発明において、臭素含量は、JIS K 7229(フラスコ燃焼法)に準じる方法の測定値を意味する。

本発明の重合体は、前記一般式(1)で示される繰り返し単位を含み、臭素含量が45〜80重量%であれば特に限定されない。本発明の重合体は、前記一般式(1)で示される繰り返し単位の2種以上を含んでいても差支えがないが、合成容易性等の観点から、1又は2種を含むのが好ましく、1種を含むのがより好ましい。また本発明の重合体は、目的、用途に応じて適宜前記一般式(1)で示される繰り返し単位以外の成分を共重合成分として含んでもよい。共重合成分の具体例として、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、フェニルグリシジルエーテル等の分子内に一つ以上の三員環環状エーテルを有するオキシラン化合物;オキセタン、2−メチルオキセタン、2−クロロメチルオキセタン、3−メチル−3−クロロメチルオキセタン等の分子内に一つ以上の四員環環状エーテルを有するオキセタン化合物;テトラヒドロフラン、3,4−ジメチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、2−クロロメチルテトラヒドロフラン等の分子内に一つ以上の五員環環状エーテルを有するテトラヒドロフラン化合物;α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、3,4−ジヒドロクマリン等の環状エステル;フタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等の環状酸無水物;一酸化炭素、二酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられる。なかでも共重合の容易性からオキシラン化合物、オキセタン化合物が好ましい。また重合体中の臭素含有量の観点から、本発明の重合体は、好ましくは前記一般式(1)で示される繰り返し単位を10モル%以上含み、好ましくは30モル%以上含み、より好ましくは50モル%以上含み、さらに好ましくは80モル%以上含む。最も好ましくは、本発明の重合体は、前記一般式(1)で示される繰り返し単位のみで構成される重合体である。

本発明の重合体の分子量は、目的、用途に応じて適宜設定すればよいが、良好な熱安定性や加工性を得るためにはポリスチレン換算の重量平均分子量で好ましくは1,000〜500,000、より好ましくは1,000〜100,000、さらに好ましくは1,000〜50,000である。

本発明の重合体の分子鎖構造は、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。好ましくは鎖状体、分岐体、環状体、星形体、ハイパーブランチ体、デンドリマー体、はしご状体であり、より好ましくは鎖状体、分岐体、環状体、星形体である。

本発明の重合体は、例えば難燃剤として使用する場合、加工温度で安定性が求められるため、熱重量分析(TGA)における5%重量減少温度が200〜450℃であることが好ましく、250〜450℃であることがより好ましい。

本発明の難燃剤は、前記一般式(1)で示される繰り返し単位を含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体を含む。本発明でいう難燃剤とは、プラスチック・ゴム・繊維・紙・木材等の可燃性素材に難燃性を付与する目的で使用されるものを指すが、本発明の重合体のように、それ自体を材料として難燃性を有する材料として用いることができるものも含む。

本発明の重合体の製造方法は、特に限定されず、いかなる製造方法を用いて製造してもよい。例えば環状エーテルの開環重合、ジオール体の脱水縮合等の重縮合反応によって製造する方法が挙げられる。好ましくは、下記一般式(2):

(式中、 mは2〜5の整数であり、 kは5−mであり、 R1は酸素原子、NH基又は硫黄原子であり、 R2は水素原子、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、ビニル基、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基、アミノ基、ヒドロキシ基、チオール基、スルホ基、スルホンアミド基、又はカルボキシ基もしくはエステル基であり、kが2以上の場合、R2は同一であっても異なっていてもよく、 星印は、重合体末端又は他の構造単位との結合点を表す) で示される単量体を重合開始剤の存在下で重合することにより、下記一般式(1):

(式中、R1、R2、m、k及び星印は、前記と同義である) で示される繰り返し単位を含み、臭素含量が45〜80重量%である重合体を得ることができる。

本発明の製造方法で用いる一般式(2)で示される単量体は、市販されており、マナック(株)、ナガセケムテックス(株)などの供給業者より容易に入手することが可能である。またフェノール誘導体及びエピクロロヒドリンを用いて公知の方法(例えば、特開平10−273552に記載の方法)に準じて合成することが可能である。一般式(2)で示される単量体としては、R1が酸素原子であり、R2が水素原子を1置換以上含むものが好ましく、R2が、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であるものがより好ましく、R2が、全て水素原子であるものが特に好ましい。そのような単量体としては、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等のジブロモ単量体;トリブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモクレジルグリシジルエーテル等のトリブロモ単量体;テトラブロモフェニルグリシジルエーテル等のテトラブロモ単量体、及びペンタブロモフェニルグリシジルエーテル等のペンタブロモ単量体が挙げられる。

上記単量体の重合方法としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の重合方法を用いることができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよいが、バルク重合、溶液重合が工業的に有利で、分子量等の構造調整も容易であり好ましい。

上記単量体が重合時に液体の場合には、生産性の観点からバルク重合を選択することが好ましい。バルク重合により重合する場合の条件は、使用する単量体の種類に応じて適宜設定すればよい。

上記単量体を溶液重合法により重合する場合、重合に使用する溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、クロロホルム、四塩化炭素、エチレンジクロリド、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン等のアミド系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;ピコリン、ピリジン等の含窒素系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中では、単量体の溶解性、人体及び環境への影響の少なさ、工業的入手のし易さから、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロメタン、ジブロモメタン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルが好ましい。

上記単量体を溶液重合法により重合する場合、溶媒の使用量としては、全単量体100重量部に対して、10〜5,000重量部が好ましく、10〜3,000重量部がより好ましい。

また重合機構としては、使用する単量体の種類や活性に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、カチオン開環重合、アニオン開環重合、配位アニオン開環重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができる。

上記単量体をカチオン開環重合機構により重合する場合、重合に使用するカチオン開環重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、使用する単量体の種類や活性に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、塩酸、過塩素酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、フルオロ硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、三塩化アルミニウム、五フッ化リン、四塩化チタン、三塩化鉄、四塩化スズ、五塩化アンチモン、五フッ化アンチモン等のルイス酸;アンバーリスト(登録商標)15(ローム&ハース社製)、ナフィオン(登録商標)(デュポン社製)、ダウエックス(登録商標)(ダウ社製)等の陽イオン交換樹脂;ゼオライト、活性白土等の固体酸触媒;トリフルオロメタンスルホン酸メチル、フルオロ硫酸メチル等の超強酸エステル;トリフルオロメタンスルホン酸無水物、フルオロ硫酸無水物等の超強酸無水物;1−(4−メトキシベンジル)−4−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート等のベンジルピリジニウム塩化合物;ベンジルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロホスファート、p−メトキシベンジルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のスルホニウム塩化合物;(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート等のヨードニウム塩などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

また、カチオン開環重合開始剤としてルイス酸を用いる場合、単独で使用してもよいし、種々の有機化合物との錯体として使用してもよい。ルイス酸と有機化合物の錯体としては、例えば、ジメチルエーテル錯体、ジエチルエーテル錯体、THF(テトラヒドロフラン)錯体等のエーテル錯体;酢酸錯体等のカルボン酸錯体;アルコール錯体;アミン錯体;フェノール錯体等が挙げられる。

ここで、カチオン開環重合開始剤の使用量としては、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜500,000の重合体を得るには単量体総モル数に対して、0.01〜20モル%が好ましく、0.05〜15モル%がより好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。

また上記単量体をカチオン開環重合機構により重合する場合、必要に応じて、含活性水素化合物を併用して重合してもよい。含活性水素化合物を併用して重合を行うと、低分子量環状体の生成が抑制され、高分子量体が得られやすくなる傾向にある。このような含活性水素化合物としては、一般的にヒドロキシ化合物、アミン化合物、カルボン酸化合物、フェノール化合物、リン酸やチオール化合物等を挙げることができる。より具体的には、水、メタノール、イソプロピルアルコール、フェネチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、へキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、スクロース等のヒドロキシ化合物;エチレンジアミン、アニリン、臭素化アニリン等のアミン化合物;安息香酸、アジピン酸等のカルボン酸化合物;フェノール、臭素化フェノール、ビスフェノールA、臭素化ビスフェノールA、ビスフェノールS、臭素化ビスフェノールS等のフェノール化合物;エタンジチオール、ブタンジチオール等のチオール化合物等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

ここで、含活性水素化合物の使用量としては、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、単量体の総モル数に対して、0.01〜20モル%が好ましく、0.05〜15モル%がより好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。

上記単量体をカチオン開環重合機構により重合する際の重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、−78〜200℃が好ましく、−50〜150℃がより好ましい。

上記単量体をアニオン開環重合機構により重合する場合、重合に使用するアニオン開環重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、使用する単量体の種類や活性に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ナトリウム−ナフタレン錯体、リチウム−アントラセン錯体等のアルカリ金属錯体;n−ブチルリチウム等のアルキルアルカリ金属;フェニルマグネシウムブロミド等のグリニャール試薬;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド;トリエチルアミン、ベンジルアミン等のアミン化合物;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラブチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩;アルミニウムテトラフェニルポルフィリン、亜鉛テトラフェニルポルフィリン、マンガンテトラフェニルポルフィリン等の金属ポルフィリン錯体などを挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

アニオン開環重合開始剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜500,000の重合体を得るには、単量体の総モル数に対して、0.01〜20モル%が好ましく、0.05〜15モル%がより好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。

上記単量体をアニオン開環重合機構により重合する際の重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、−78〜200℃が好ましく、−50〜150℃がより好ましい。

上記単量体を配位アニオン開環重合機構により重合する場合、重合に使用する配位アニオン開環重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリt−ブトキシド、鉄トリエトキシド等の金属アルコキシド;炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;酸化ストロンチウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物;トリエチルアルミニウム、ジエチル亜鉛等の有機金属化合物;塩化鉄−プロピレンオキシド錯体等を挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

また、配位アニオン開環重合開始剤として金属アルコキシドを用いる場合、単独で使用してもよいし、塩化亜鉛等の助触媒を併用してもよく、有機金属化合物を用いる場合には水、アルコール等の含活性水素化合物を併用してもよい。

配位アニオン開環重合開始剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜500,000の重合体を得るには、単量体総モル数に対して、0.01〜20モル%が好ましく、0.05〜15モル%がより好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。

上記単量体を配位アニオン開環重合機構により重合する際の重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、−78〜200℃が好ましく、−50〜150℃がより好ましい。

本発明の製造方法における重合時間は、重合機構、使用する単量体の量や種類、溶媒の有無やその種類、反応温度等の条件によって適宜設定することができる。通常、1分〜72時間であることが好ましく、作業性の観点から10分〜48時間であることがより好ましい。

重合終了後、得られた反応溶液から、一般的な方法を用いて一般式(1)で示される化合物を単離することができる。単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、重合溶媒を濃縮する方法及び/又は貧溶媒中へ添加することで固体を析出させる方法等が挙げられる。

単離した重合体は必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再沈殿法等によりさらに精製することもでき、必要に応じて乾燥及び/又は加熱溶融しペレット化することもできる。

以下に本発明を具体的な実施例により示すが、本発明は実施例の内容に制限されるものではない。なお、実施例及び合成例で得られた化合物の5%重量減少温度、融点(又はガラス転移温度)、重量平均分子量、臭素含量、エポキシ当量、NMRおよび赤外線吸収スペクトルの測定方法は以下の通りである。

5%重量減少温度:示差熱・熱重量同時測定装置((株)島津製作所製 DTG−60)にて窒素気流下、10℃/分の昇温速度で、40〜500℃まで昇温した。測定開始から5%重量が減少した時点の温度を5%重量減少温度とした。

融点又はガラス転移温度:示差走査熱量計((株)島津製作所製 DSC−60)にて、毎分10℃で20〜200℃まで昇温し、測定を行った。解析ソフトによりDSC曲線の外挿点から融点又はガラス転移温度を算出した。

重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフ法により測定した。予め、東ソー製標準ポリスチレンを用い、分子量約120万までの検量線を作成し、次に試料0.01gをテトラヒドロフラン10mLに溶解後、その10μLを東ソー製CCPMシステムに注入し、得られたクロマトグラフによりデータ処理装置を用いて標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を計算した。分析条件は以下の通りである。カラム(東ソー製TSK−Gel G4000Hxl×1、G3000Hxl×1、G2000Hxl×24本連結)、移動相(テトラヒドロフラン)、流速(1.0mL/min.)、カラム温度(40℃)、検出波長(UV254nm)。

臭素含量:JIS K 7229(フラスコ燃焼法)に準じる方法で測定した。

エポキシ当量:300mLの共栓付三フラスコに試料0.2gを量りとった。ここに0.2mol/Lの塩酸−ジオキサン溶液25mLをホールピペットで正確に加え、栓をして充分に溶解した。19〜21℃の暗所に15分間放置の後、中性エタノール30mLを加えた。クレゾールレッド指示薬を2〜3滴加え、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム標準液で滴定し、試料の色が桃色から黄色に変わり、わずかの変化で紫色に変わる点を終点とした。 本試験と並行して空試験を行い、次式によってエポキシ当量を算出した。 エポキシ当量=(10000×S)/{f×(A−B)} A:空試験に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL) B:本試験に要した水酸化ナトリウム標準液の量(mL) S:試料採取料(g) f:水酸化ナトリウム標準液のファクター

NMR:試料と重クロロホルム(和光純薬工業(株)製 クロロホルム−d1 0.05%TMS含有)とを混合した溶液を調製し、NMR(日本電子(株)製 JNM−AL400)にて、25℃で1H−NMR測定を行った。

赤外線吸収スペクトル:IR測定装置((株)パーキンエルマー製Spectrum 100 FT-IR Spectrometer)を用い、KBr法にて赤外吸収スペクトルを測定した。

以下の実施例で使用した単量体は、以下のものである。

ジブロモフェニルグリシジルエーテル:デナコールEX−147(ナガセケムテックス(株)製)、臭素含量52重量%、エポキシ当量312g/eq。

ジブロモフェニルグリシジルエーテルとジブロモクレジルグリシジルエーテルの7:3混合物:EB−200B(マナック(株)製)、臭素含量51重量%、エポキシ当量324g/eq。

[合成例1] 2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテルの合成 コンデンサー及び温度計を備えた1L4つ口フラスコに、2,4,6−トリブロモフェノール(マナック(株)製)256g(0.774モル)、エピクロロヒドリン(東京化成工業(株)製)322g(3.48モル)及びイソプロピルアルコール125gを加え35℃にて撹拌溶解後、48%水酸化ナトリウム水溶液74gを1.5時間で滴下、内温65℃にて0.5時間反応した。反応後、水168gを添加し副生塩を溶解させ水層を除き、減圧下で過剰のエピクロロヒドリン及びイソプロピルアルコールを留去した。その後メチルイソブチルケトン299gと48%水酸化ナトリウム水溶液17gを加えて75℃にて1時間反応させ、さらにメチルイソブチルケトン399gを加えた後、水を加えて水洗を行った。この水洗を5回繰り返した後に有機層を減圧下において濃縮すると白色結晶が析出した。白色結晶を濾取し、200mLのメタノールで洗浄した。得られた白色結晶を送風乾燥に付すことによって、目的の2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテルを241g(0.62モル)、収率81%、エポキシ当量377g/eq、臭素含量62重量%、融点116℃で得た。目的物の1H−NMRを図1に、FT−IRチャートを図2に示す。

[合成例2] 2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルグリシジルエーテルの合成 2,4,6−トリブロモフェノール(マナック(株)製)の代わりに2,3,4,5,6−ペンタブロモフェノール(マナック(株)製)を用いた以外は合成例1に準じて合成し、目的の2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルグリシジルエーテルを38g(70ミリモル)、収率68%、エポキシ当量570g/eq、臭素含量73重量%、融点169℃で得た。目的物の1H−NMRを図3に、FT−IRチャートを図4に示す。

[合成例3] 2,6−ジブロモ−4−ニトロフェニルグリシジルエーテルの合成 2,4,6−トリブロモフェノール(マナック(株)製)の代わりに2,6−ジブロモ−4−ニトロフェノール(東京化成工業(株)製)を用いた以外は合成例1に準じて合成し、目的の2,6−ジブロモ−4−ニトロフェニルグリシジルエーテルを3.25g(9.2ミリモル)、収率63%、エポキシ当量355g/eq、臭素含量45重量%、融点109℃で得た。目的物の1H−NMRを図5に、FT−IRチャートを図6に示す。

[合成例4] 2,6−ジブロモ−4−シアノフェニルグリシジルエーテルの合成 2,4,6−トリブロモフェノール(マナック(株)製)の代わりに2,6−ジブロモ−4−シアノフェノール(東京化成工業(株)製)を用いた以外は合成例1に準じて合成し、目的の2,6−ジブロモ−4−シアノフェニルグリシジルエーテルを3.19g(9.6ミリモル)、収率52%、エポキシ当量345g/eq、臭素含量47重量%、融点100℃で得た。目的物の1H−NMRを図7に、FT−IRチャートを図8に示す。

[合成例5] N−(2,3−エポキシプロピル)−2,4,6−トリブロモアニリンの合成 コンデンサー及び温度計を備えた四つ口フラスコに、2,4,6−トリブロモアニリン(マナック(株)製)100g(304ミリモル)、酢酸14.6g(243ミリモル)、モノクロロベンゼン23mLを加え、110℃に加熱した後、エピクロロヒドリン(東京化成工業(株)製)11.2g(121ミリモル)を4分割して滴下しながら8時間撹拌した。反応終了後、モノクロロベンゼンを留去し、室温まで冷却した。その際、析出した過剰の2,4,6−トリブロモアニリンをろ過により除去した後、メチルエチルケトン100mL、2.5mol/L水酸化ナトリウム水溶液205gを加え、還流温度で1時間撹拌した。モノクロロベンゼンで抽出した後、有機層を濃縮して粗生成物を得た。その粗生成物をイソプロピルアルコール/ヘプタン(50/50(重量比))の混合溶媒から再結晶を行うことで目的のN−(2,3−エポキシプロピル)−2,4,6−トリブロモアニリンを16.5g(42.8ミリモル)、収率35%、エポキシ当量379g/eq、臭素含量61重量%、融点40℃で得た。目的物の1H−NMRを図9に、FT−IRチャートを図10に示す。

[実施例1] 2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテルのカチオン開環重合 コンデンサー及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、合成例1で合成した2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテル10g(26ミリモル)及びジクロロメタン50mLを加えた。その後、五塩化アンチモン(シグマ・アルドリッチ社製)0.40g(1.3ミリモル)を加え、17〜28℃で18時間撹拌した。反応終了後、水40gで水洗し、水層を除去した後、さらに水40gを加え、水層が中性になるまで25%水酸化ナトリウム水溶液で中和した。静置分液後、有機層を減圧下で濃縮し、酢酸エチルで再沈殿させた。液相をデカンテーションにより除去することで沈殿した粘稠物を得た。得られた粘稠物を140℃減圧下で恒量となるまで乾燥に付すことによって目的物をガラス状固体として得た(収量6.6g、収率66%、臭素含量62重量%、ガラス転移温度52℃、5%重量減少温度345℃、重量平均分子量1,400(Mw/Mn=1.2))。目的物の1H−NMRを図11に、FT−IRチャートを図12に示す。

[実施例2] 2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテルのカチオン開環重合 コンデンサー及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコに、窒素雰囲気下、ジクロロメタン10mL、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(ステラケミファ(株)製)0.10g(0.71ミリモル)及びフェネチルアルコール(和光純薬工業(株)製)0.08g(0.65ミリモル)を加えた。撹拌を始めて合成例1で合成した2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテル10g(26ミリモル)を40mLのジクロロメタンで溶解したジクロロメタン溶液を内温20〜22℃に保ちながら4時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに内温22〜25℃で12時間撹拌した。反応終了後、実施例1と同様な操作により目的物をガラス状固体として得た(収量9.0g、収率90%、臭素含量62重量%、ガラス転移温度51℃、5%重量減少温度353℃、重量平均分子量1,900(Mw/Mn=1.3))。目的物の1H−NMRを図13に、FT−IRチャートを図14に示す。

[実施例3] 2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテルのカチオン開環重合 コンデンサー及び温度計を備えた500mL4つ口フラスコに、ジクロロメタン40mL、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(ステラケミファ(株)製)0.22g(1.6ミリモル)及び1,4−ブタンジオール(和光純薬工業(株)製)0.15g(1.7ミリモル)を加えた。撹拌を始めて合成例1で合成した2,4,6−トリブロモフェニルグリシジルエーテル50g(129ミリモル)を200mLのジクロロメタンで溶解したジクロロメタン溶液を内温40〜42℃で8時間かけて滴下した。滴下終了後さらに内温40〜42℃で3時間撹拌した。反応終了後、実施例1と同様な操作により目的物をガラス状固体として得た(収量47g、収率94%、臭素含量62重量%、ガラス転移温度56℃、5%重量減少温度355℃、重量平均分子量5,200(Mw/Mn=1.6))。目的物の1H−NMRを図15に、FT−IRチャートを図16に示す。

[実施例4] 2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルグリシジルエーテルのカチオン開環重合 コンデンサー及び温度計を備えた200mL4つ口フラスコに、ジクロロメタン30mL、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(ステラケミファ(株)製)0.12g(0.86ミリモル)及び1,4−ブタンジオール(和光純薬工業(株)製)0.08g(0.9ミリモル)を加えた。撹拌を始めて合成例2で合成した2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニルグリシジルエーテル10g(18.3ミリモル)を200mLのジクロロメタンで溶解したジクロロメタン溶液を内温40〜42℃で8時間かけて滴下した。滴下終了後さらに内温38℃〜40℃で12時間撹拌した。反応終了後、実施例1と同様な操作により目的物をガラス状固体として得た(収量8.2g、収率82%、臭素含量73重量%、ガラス転移温度100℃、5%重量減少温度330℃、重量平均分子量1,500(Mw/Mn=1.1))。目的物の1H−NMRを図17に、FT−IRチャートを図18に示す。

[実施例5] ジブロモフェニルグリシジルエーテルのアニオン開環重合 30mLナスフラスコに、アルゴン雰囲気下、ジブロモフェニルグリシジルエーテル(デナコールEX−147;ナガセケムテックス(株)製)2.5g(8.1ミリモル)を加え、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、d=0.92)(東京化成工業(株)製)を0.8mL(0.8ミリモル)注入し60℃に昇温して4時間撹拌した。反応終了後2mLのテトラヒドロフランで溶解し、大量のメタノールで再沈殿させた。液相をデカンテーションにより除去し、沈殿した粘稠物を得た。得られた粘稠物を140℃減圧下で恒量となるまで乾燥することで目的物をガラス状固体として得た(収量1.8g、収率72%、臭素含量52重量%、ガラス転移温度35℃、5%重量減少温度351℃、重量平均分子量1,600(Mw/Mn=1.3))。目的物の1H−NMRを図19に、FT−IRチャートを図20に示す。

[実施例6] ジブロモフェニルグリシジルエーテルとジブロモクレジルグリシジルエーテルの7:3混合物のアニオン開環重合 コンデンサー及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコに、アルゴン雰囲気下、ジブロモフェニルグリシジルエーテルとジブロモクレジルグリシジルエーテルの7:3混合物(EB−200B;マナック(株)製)40g(総モル数128ミリモル)を加え、テトラブチルアンモニウムフルオリド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、d=0.92)(東京化成工業(株)製)を6.7mL(6.7ミリモル)注入し50℃に昇温して48時間撹拌した。反応終了後20mLのテトラヒドロフランで溶解し、実施例5と同様の操作により目的物をガラス状固体として得た(収量35.8g、収率89.5%、臭素含量51重量%、ガラス転移温度42℃、5%重量減少温度358℃、重量平均分子量1,700(Mw/Mn=1.2))。目的物の1H−NMRを図21に、FT−IRチャートを図22に示す。

[実施例7] 2,6−ジブロモ−4−ニトロフェニルグリシジルエーテルと2,6−ジブロモ−4−シアノフェニルグリシジルエーテルの1:1混合物のカチオン開環重合 50mLナスフラスコに、アルゴン雰囲気下、合成例3で合成した2,6−ジブロモ−4−ニトロフェニルグリシジルエーテル0.88g(2.5ミリモル)、合成例4で合成した2,6−ジブロモ−4−シアノフェニルグリシジルエーテル0.83g(2.5ミリモル)及びジクロロメタン5mLを加えた。その後、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(ステラケミファ(株)製)0.04g(0.29ミリモル)を加え、10〜22℃で4時間撹拌した。反応終了後、有機層が中性になるまで水洗し、静置分液後、有機層を塩酸酸性メタノールで再沈殿させた。液相をデカンテーションにより除去することで沈殿した粘稠物を得た。得られた粘稠物を140℃減圧下で恒量となるまで乾燥に付すことによって目的物をガラス状固体として得た(収量0.90g、収率53%、臭素含量47重量%、ガラス転移温度62℃、5%重量減少温度268℃、重量平均分子量2,200(Mw/Mn=1.7))。目的物の1H−NMRを図23に、FT−IRチャートを図24に示す。

[実施例8] N−(2,3−エポキシプロピル)−2,4,6−トリブロモアニリンのカチオン開環重合 50mLナスフラスコに、アルゴン雰囲気下、合成例5で合成したN−(2,3−エポキシプロピル)−2,4,6−トリブロモアニリン3.86g(10ミリモル)及びジクロロメタン5mLを加えた。その後、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体(ステラケミファ(株)製)0.08g(0.6ミリモル)を加え、10〜26℃で4時間撹拌した。反応終了後、実施例7と同様な操作によって目的物をガラス状固体として得た(収量2.91g、収率75%、臭素含量62重量%、ガラス転移温度78℃、5%重量減少温度326℃、重量平均分子量1,100(Mw/Mn=1.6))。目的物の1H−NMRを図25に、FT−IRチャートを図26に示す。

本発明の含臭素ポリエーテル重合体は、高臭素含量であることから難燃剤として有用である。また、本発明の含臭素ポリエーテル重合体は、優れた熱安定性を有することから、高温加工が必要な樹脂にも難燃剤として適用可能であり、さらにプラスチックに添加した際には、良好な溶融流動性及びノンブルーミング性が期待できる。

日本国特許出願2014−018165号(出願日:2014年2月3日)の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

QQ群二维码
意见反馈