二次電池用電解液及び二次電池

申请号 JP2012119056 申请日 2012-05-24 公开(公告)号 JP6150987B2 公开(公告)日 2017-06-21
申请人 富士フイルム株式会社; 发明人 児玉 邦彦; 金澤 吉憲;
摘要
权利要求

下記式(I)で表される化合物および電解質を有機溶媒中に含有し、粘度が20mPa・s(25℃)以下である非二次電池用電解液。 (式中、Raは隣接するC=Oに直接結合したフェニル基であって、置換基を有していてもよい。ReおよびRfは有機基を表す。ここで、ReとRfが結合して環を形成していてもよい。Xaは上記式(a)または(b)で表される置換基を表す。RbおよびRcは、水素原子または置換基を表す。Rdは水素原子または有機基を表す。)更に重合性化合物を含有している請求項1に記載の非水二次電池用電解液。前記式(I)で表される化合物が、下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される化合物である請求項1または2に記載の非水二次電池用電解液。 (式中、R1およびR2は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、ハロゲン原子、アルコキシ基または環状もしくは非環状のアミノ基を表す。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、R1およびR2はそれぞれ異なっていてもよい。 Rb1およびRc1は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xa1は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基またはアルコキシ基を表す。 Rb2は、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。Rc2は、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルオキシ基を表す。 Rb3は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基またはアルコキシ基を表す。Cyは、5〜7員の非芳香族環を表す。 Rb4およびRc4は、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアラルキル基を表す。Rg4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、−N(Rg4)2で2つのRg4が結合してヘテロ原子を含んでもよい5〜7員環構造を形成していてもよい。)前記式(I)で表される化合物が、下記式(Ia)〜(Ie)のいずれかで表される化合物である請求項1または2に記載の非水二次電池用電解液。 (式中、Rc、Rd、ReおよびRfは、前記式(I)と同義である。Meはメチル基を表す。Rgはアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基または環状アミノ基を表す。RhはRgと同義である。n1は0〜5の整数を表す。n1が2以上の場合、複数存在するRgは同一でも異なっていてもよい。)前記重合性化合物が、下記式(3−a)〜(3−d)のいずれかで表される請求項2に記載の非水二次電池用電解液。 (式中、R3は水素原子またはアルキル基を表す。R4は芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基またはアシルオキシ基を表す。R5は水素、アルキル基またはシアノ基を表す。R6はアルキル基またはアルコキシ基またはアミノ基を表す。R7およびR8は水素、アルキル基または芳香族基を表す。X、YおよびZは、5または6員環を形成することができる−O−、−S−、−(C=O)−、−C(=S)−、−NR−、−SO−および−SO2−から選択される2価連結基を表す。ここで、Rはアルキル基または芳香族基を表す。R9は水素原子またはアルキル基を表す。)前記式(I)で表される化合物を0.0001〜0.1mol/Lで含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。前記重合性化合物を0.001〜0.1mol/Lで含有する請求項2または5に記載の非水二次電池用電解液。含まれる各有機成分の平均分子量が1000以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。前記非水二次電池が、正極を構成する材料として、ニッケル原子および/またはマンガン原子を含むリチウム金属複合酸化物を含有する請求項9に記載の非水二次電池。

说明书全文

本発明は、有機溶媒を含む非二次電池用電解液、およびそれを用いた二次電池に関する。

昨今、注目を集めているリチウムイオン電池と呼ばれる二次電池は、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)と、リチウムの析出および溶解を利用する二次電池(いわゆるリチウム金属二次電池)とに大別される。これらは、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られる。この特性を利用して、近年、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器用の電源として広く普及している。アプリケーションの一層の拡充に伴い、ポータブル電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池の開発が進められている。さらに昨今では、小型化、長寿命化、高安全化も強く求められている。

リチウムイオン二次電池やリチウム金属二次電池(以下、これらを総称して単にリチウム二次電池ということがある。)の電解液としては、導電率が高く電位的にも安定であるため、炭酸プロピレンあるいは炭酸ジエチルなどの炭酸エステル系の溶媒と、六フッ化リン酸リチウムなどの電解質塩との組み合わせが広く用いられている。

一方、電解液の添加成分に関して、サイクル特性などの改善を目的として、電解液中に各種添加剤を含有させる技術が提案されている。例えば、特許文献1においては、特定の芳香族化合物を添加することで、クーロン効率を良化し、寿命を延長できるとされている。また、特許文献2では、特定のカルボニル化合物を用いることで、充電効率およびサイクル特性の向上を図ることができるとされる。

特開昭62−86673号公報

特開2005−347222号公報

しかしながら、昨今の携帯機器の普及と高機能化を考慮したとき、上記従来技術では未だ十分とはいいがたい。そこで、本発明は従来のものとは異なる電解液の機能性添加剤を提案することにより選択肢を豊富化し、しかも広い温度領域において良好な性能を発揮する非水二次電池用電解液および非水二次電池を提供することを目的とする。

上記の課題は以下の手段により解決された。 〔1〕下記式(I)で表される化合物および電解質を有機溶媒中に含有し、粘度が20mPa・s(25℃)以下である非水二次電池用電解液。

(式中、Raは隣接するC=Oに直接結合したフェニル基であって、置換基を有していてもよい。ReおよびRfは有機基を表す。ここで、ReとRfが結合して環を形成していてもよい。Xaは上記式(a)または(b)で表される置換基を表す。RbおよびRcは、水素原子または置換基を表す。Rdは水素原子または有機基を表す。) 〔2〕更に重合性化合物を含有している〔1〕に記載の非水二次電池用電解液。 〔3〕式(I)で表される化合物が、下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される化合物である〔1〕または2〕に記載の非水二次電池用電解液。

(式中、R1およびR2は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、ハロゲン原子、アルコキシ基または環状もしくは非環状のアミノ基を表す。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、R1およびR2はそれぞれ異なっていてもよい。 Rb1およびRc1は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Xa1は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基またはアルコキシ基を表す。 Rb2は、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。Rc2は、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルオキシ基を表す。 Rb3は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基またはアルコキシ基を表す。Cyは、5〜7員の非芳香族環を表す。 Rb4およびRc4は、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアラルキル基を表す。Rg4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、−N(Rg4)2で2つのRg4が結合してヘテロ原子を含んでもよい5〜7員環構造を形成していてもよい。) 〔4〕式(I)で表される化合物が、下記式(Ia)〜(Ie)のいずれかで表される化合物である〔1〕または2〕に記載の非水二次電池用電解液。

(式中、Rc、Rd、ReおよびRfは、式(I)と同義である。Meはメチル基を表す。Rgはアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基または環状アミノ基を表す。RhはRgと同義である。n1は0〜5の整数を表す。n1が2以上の場合、複数存在するRgは同一でも異なっていてもよい。) 〔5〕重合性化合物が、式(3−a)〜(3−d)のいずれかで表される〔2〕に記載の非水二次電池用電解液。

(式中、R3は水素原子またはアルキル基を表す。R4は芳香族基、複素環基、シアノ基、アルコキシ基またはアシルオキシ基を表す。R5は水素、アルキル基またはシアノ基を表す。R6はアルキル基またはアルコキシ基またはアミノ基を表す。R7およびR8は水素、アルキル基または芳香族基を表す。X、YおよびZは、5または6員環を形成することができる−O−、−S−、−(C=O)−、−C(=S)−、−NR−、−SO−および−SO2−から選択される2価連結基を表す。ここで、Rはアルキル基または芳香族基を表す。R9は水素原子またはアルキル基を表す。) 〔6〕式(I)で表される化合物を0.0001〜0.1mol/Lで含有する〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。 〔7〕重合性化合物を0.001〜0.1mol/Lで含有する〔2〕または〔5〕に記載の非水二次電池用電解液。 〔8〕含まれる各有機成分の平均分子量が1000以下である〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液。 〔9〕 〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の非水二次電池用電解液を用いた非水二次電池。 〔10〕非水二次電池が、正極を構成する材料として、ニッケル原子および/またはマンガン原子を含むリチウム金属複合酸化物を含有する〔9〕に記載の非水二次電池。 本明細書において、隣接する置換基は特に断らなくても互いに結合ないし縮合して環を形成していてもよい。

本発明の非水二次電池用電解液および非水二次電池は、電解液の機能性添加剤の選択肢を豊富化し、しかも広い温度領域において良好な性能を発揮する。

本発明の好ましい実施形態に係るリチウム二次電池の機構を模式化して示す断面図である。

本発明の好ましい実施形態に係るリチウム二次電池の具体的な構成を示す断面図である。

以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明の構成が、この内容により限定して解釈されるものではない。

[非水二次電池用電解液] 本発明の非水二次電池用電解液は下式(I)で表される化合物を含有する。この化合物は、一般に光重合開始剤として知られる化合物を含んでいる。本発明者らが非水二次電池用の電解液に含有させる機能性添加剤について探索を進めた結果、この化合物を添加することで、低温から高温までの広い温度領域における電池性能の良化が見られることが判明した。この光重合開始剤に代表される化合物は、重合性化合物と併用してもその効果が得られるが、単独で用いても電池性能の向上が達成された。また、本願においては一般に光重合開始剤を作用させる場合に必須である光照射を必要としない。すなわち、既知の光重合開始剤としての作用ではなく、この種の液体電解質を利用する非水二次電池において特有の作用を呈し所望の効果を達成したものと考えられる。この点について推定を含めて言うと、式(I)の化合物が電極近傍で酸化あるいは還元反応し、生成した反応物あるいは生成した反応物と後述の重合性化合物とが反応した反応物が、例えば電極保護膜として機能し、電池性能劣化を抑制しているものと考えられる。以下、本発明についてその好ましい実施形態を中心に詳細に説明する。

(式(I)で表される化合物) 本発明においては、下式(I)で表される化合物を用いる。

・Ra 式中、Raは有機基を表す。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、Raとしては、芳香族基が好ましく、フェニル基がより好ましく、本発明ではフェニル基である

・Rb Rbは水素原子または置換基を表す。置換基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、有機基としては好ましくはアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)、アラルキル基(好ましくはベンジル基、4−メチルベンジル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)である。無機基としては好ましくはヒドロキシル基が挙げられる。

・Rc Rcは水素原子または置換基を表す。置換基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、有機基としては好ましくはアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)、アラルキル基(好ましくはベンジル基、4−メチルベンジル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルコキシ基(好ましくはメトキシ基)である。無機基としては好ましくはヒドロキシル基が挙げられる。 RbとRcが結合して環を形成していてもよい。環を形成する場合5〜7員環が好ましい。より好ましくはピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環を形成しているのが好ましい。

・Xa Xaは前記式(a)または(b)の置換基を表す。

・Rd Rdは、水素原子または有機基を表す。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、好ましくはアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)、アシル基(好ましくは炭素数2〜10の脂肪族アシル基、炭素数7〜15の芳香族アシル基)である。

・Re、Rf Re、Rfは、水素原子または有機基を表す。有機基としては、特に限定されないが、後記置換基Tの例が挙げられる。なかでも、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。ReとRfが結合して環を形成していてもよい。この環としては、環を形成する場合5〜7員環が好ましい。より好ましくはピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環を形成しているのが好ましい。

式(I)の構造について異なる側面から好ましいものを規定すると、その構造中に芳香族構造を有していることが好ましい。芳香族構造として好ましいものは、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。なお、上記芳香族構造をなす基はさらに置換基Tを有していてもよい。

前記式(I)で表される化合物は、下記式(I−1)〜(I−4)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。

式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、ハロゲン原子、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)、または環状もしくは非環状のアミノ基(好ましくは炭素数2〜8)を表す。複数のR1ないしR2は互いに連結して環を形成していてもよい。 nは0〜5の整数を表す。ただし、環Cyに置換する場合には置換可能数を上限とする。

Rb1およびRc1は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb1およびRc1は互いに連結して環を形成していてもよい。

Xa1は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、またはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8)を表す。

Rb2は、水素原子、または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。

Rc2は、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、またはアシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)を表す。Rb2およびRc2は互いに連結して環を形成していてもよい。

Rb3は、ヒドロキシル基、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、また はアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8)を表す。

Cyは、5〜7員の非芳香族環を表す。

Rb4およびRc4は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアラルキル基を表す。Rb4およびRc4は互いに連結して環を形成していてもよい。

Rg4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、−N(Rg4)2で2つのRg4が結合してヘテロ原子を含んでもよい5〜7員環構造を形成していてもよい。その好ましいものは、前記ReおよびRfが形成する環と同様である。

式(I)で表される化合物としてさらに好ましくは式1a〜1eで表される化合物である。

Rc、Rd、Re、Rfは、式(I)と同義である。Meはメチル基を表す。

・Rg Rgはアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ジアルキルアミノ基、または環状アミノ基(モルホリノ基、ピペリジル基)を表す。 n1は0〜5を表す。n1が2以上の場合、複数存在するRgは同一でも異なっていてもよい。

・Rh RhはRgと同義である。

式(I)で表される化合物の具体例を以下に示す。

Me:メチル基

式(I)で表される化合物の電解液中での含有量はサイクル性向上の観点から、下限値としては、0.0001mol/L以上であることが好ましく、0.0005mol/L以上であることがより好ましい。上限は特にないが、0.1mol/L以下であることが好ましく、0.05mol/L以下であることがより好ましい。本発明の電解液においては、本機能性添加剤をこのように少量で適用することで高い効果を発揮することができることがその特徴の一つである。

後記重合性化合物との関係で言うと、重合性化合物100質量部に対して、前記式(I)で表される化合物を0.1質量部以上で添加することが好ましく、1質量部以上で添加することがより好ましい。上限は特にないが、100質量部以下で添加することが好ましく、20質量部以下で添加することがより好ましい。

(有機溶媒) 本発明に用いられる有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンなどの環状炭酸エステル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピルなどの鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチルなどの鎖上エステル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリルなどのニトリル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシド燐酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、環状炭酸エステル(好ましくは炭酸エチレン、炭酸プロピレン)、鎖状炭酸エステル(好ましくは炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチル)、環状エステル(好ましくはγ−ブチロラクトン)からなる群のうちの少なくとも1種を含有していることが好ましく、より好ましくは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを含む溶剤、または環状炭酸エステルと環状エステルを含む溶剤であり、特に好ましくは、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチル、γ−ブチロラクトンなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせである。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。 しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒(非水溶媒)は、上記例示によって限定されるものではない。

(電解質) 本発明の電解液に用いることができる電解質としては金属イオンもしくはその塩が挙げられ、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩が好ましい。電解液の使用目的により適宜選択される、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。

(L−1)無機リチウム塩:LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機フッ化物塩;LiClO4、LiBrO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl4等の無機塩化物塩等。

(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCF3SO3等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。

(L−3)オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等。 これらのなかで、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、Li(Rf1SO3)、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、及びLiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rf2はそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。 なお、電解液に用いるリチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。 電解液における周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩の含有量は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるよう量で添加される。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜30質量%である。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。

(重合性化合物) 本発明の電解液において、式(I)の化合物に加えて重合性化合物を用いると更に効果が顕著である。本発明で用いることのできる重合性化合物の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えば、ラジカル重合性化合物、アニオン重合性化合物、カチオン重合性化合物があげられ、ラジカル重合性化合物及び/又はアニオン重合性化合物が好ましい。 ラジカル重合性化合物及びアニオン重合性化合物として好ましくは、炭素−炭素多重結合を有する化合物である。炭素−炭素多重結合を有する化合物としては、ビニル化合物、スチレン誘導体、(メタ)アクリレート誘導体、環状オレフィン(環内にヘテロ原子を含んでいても良い)等が挙げられる。更に好ましくは炭素−炭素多重結合及び極性官能基を有する化合物であり、極性官能基としては、エステル基、カーボネート基、ニトリル基(シアノ基)、アミド基、ウレア基、スルホラン基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル、環状エーテル基、ポリアルキレンオキサイド基などが挙げられる。これら極性基は鎖状構造でも環状構造を形成していてもよい。 カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物またはビニルエーテル化合物が挙げられる。 それらの中で特に、下記式(3−a)〜(3−d)で示される構造の化合物を用いることが好ましい。

・R3 R3は水素原子またはアルキル基を表す。R3として好ましいアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、R3は水素原子であることがさらに好ましい。

・R4 R4は芳香族基、複素環基、ニトリル基(シアノ基)、アルコキシ基、またはアシルオキシ基を表す。R4の芳香族基としては炭素数6〜10の2π系芳香族基(フェニル、ナフチルなど)が好ましく、複素環基としては炭素数4〜9の複素芳香族基(フリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジル、キノリルなど)が好ましく、アルコキシ基としては炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、アシルオキシ基としては炭素数1〜10のアシルオキシ基(アセチル基、ヘキサノイルオキシ基など)が好ましく、R4としては、フェニル基がより好ましい。

・R5 R5は水素かアルキル基、シアノ基を表し、好ましいアルキル基としては炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)であり、水素またはメチル基であることがより好ましい。

・R6 R6はアルキル基またはアルコキシ基、アミノ基を表し、アルコキシ基、すなわち式(3−b)はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであることがより好ましい。この場合のエステルのアルコール部分に相当するアルコキシ基は炭素数1〜10のアルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)が好ましく、メトキシ基あるいはエトキシ基がより好ましい。

・R7、R8 R7及びR8は水素、アルキル基または芳香族基を表す。R7及びR8が水素であるか、R7が水素でありR8が芳香族基であることが好ましい。この場合の好ましい芳香族基としては炭素数6〜10の芳香族基(フェニル、ナフチルなど)がより好ましい。

・X,Y,Z X、Y、Zは、5または6員環を形成することができる−O−、−S−、−(C=O)−、−C(=S)−、−NR−、−SO−、−SO2−から選択される2価連結基を表すが、XとYが−O−、Zが−(C=O)−であることが好ましい。前記Rはアルキル基または芳香族基を表す。アルキル基の好ましいものとしてはR3と同義であり、芳香族基の好ましいものとしてはR4と同義である。

・R9 R9は水素原子又はアルキル基を表し、水素原子か炭素数1〜10のアルキル基(メチル、エチル、ヘキシル、シクロヘキシルなど)が好ましく、水素またはメチル基であることがより好ましい。

上述のR3〜R9の置換基は、更に他の置換基Tを含んでいてもよい。

置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。 アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基((好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルもしくはアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、ヒドロキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基またはヒドロキシル基である。 また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tがさらに置換していてもよい。

化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、同様に置換されていても無置換でもよい。

なお、本明細書において化合物として示したものについては、当該化合物そのもののほか、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の一部を変化させた誘導体を含む意味である。また、本明細書において置換・無置換を明記していない置換基や連結基については、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。

重合性化合物としては下記のものを例示することができる。ただし、本発明はこれらの例により限定して解釈されるものではない。

R1は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基を表す。 nは1〜20を表す。

重合性化合物の添加量は、少ない場合には、サイクル性向上効果が小さく、多すぎる場合には、電池の内部抵抗が上がるため電池の初期特性が損なわれる。その濃度範囲は、電解液の有機成分中0.001M〜0.1M(モル/リットル)の範囲であることが好ましく、0.002M〜0.05Mの範囲がより好ましい。

(その他成分) 本発明による電解液には、電池の性能を向上させるため、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、過充電防止剤、負極被膜形成剤、正極保護剤、難燃剤等のこのような機能性添加剤を用いてもよい。

また、負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用や、過充電防止剤と負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用が特に好ましい。

非水系電解液中におけるこれらその他の添加剤の含有割合は特に限定はないが、非水系電解液の有機成分全体に対し、それぞれ、0.01質量%以上が好ましく、特に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、5質量%以下が好ましく、特に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。これらの化合物を添加することにより、過充電による異常時に電池の破裂・発火を抑制したり、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させたりすることができる。

本発明の非水二次電池用電解液は、電解液中の各有機成分が、分子量1000以下のもので構成されていることが好ましく、500以下のもので構成されていることがより好ましい。これは、本発明の実施態様における前提となるものであり、本発明の非水二次電池ないしその電解液が、固体電解質型二次電池あるいはポリマー電解質型二次電池に係るものではないことを意味する。なお、非水二次電池用電解液というときには、固体電解質型二次電池あるいはポリマー電解質型二次電池に用いられる材料ではないこと、つまり液体電解液を用いる二次電池(これを、「液体電解液型二次電池」ということがある)用途であることを指す。 分子量は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドンのアミド系溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。使用可能温度が高いカラムを用いて50℃〜200℃で測定を行うこともできる。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対象となる化合物の物性に応じて適宜選定することができる。

本発明の非水二次電池用電解液は、その粘度(25℃)が、20mPa・s以下であり、10mPa・s以下であることが好ましいく、5mPa・s以下であることが更に好ましい。下限値は特にないが、0.5mPa・s以上であることが実際的である。このような粘度範囲は、固体電解質との区別のために設定されるものである。固体電解質においてあえて粘度を定義するならば、∞となる。本明細書において、粘度の値は、特に断らない限り、後記実施例に記載の方法により測定した値を言う。なお、固体電解質を構成するポリマーの原料溶液は上記で規定される粘度の範囲にあることもあるが、これは電解液の原料溶液(前駆体)であって、電解液ではない。

[電解液の調製方法等] 本発明の非水二次電池用電解液は、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた例を含め、前記各成分を前記非水電解液溶媒に溶解して、常法により調製される。

本発明において、「非水」とは水を実質的に含まないことをいい、発明の効果を妨げない範囲で微量の水を含んでいてもよい。良好な特性を得ることを考慮して言うと、水の含有量が200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。下限値は特にないが、不可避的な混入を考慮すると、10ppm以上であることが実際的である。

[二次電池] 本発明においては前記非水電解液を含有する非水二次電池とすることが好ましい。好ましい実施形態として、リチウムイオン二次電池についてその機構を模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7および動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。以下、本発明の好ましい実施形態であるリチウム二次電池の構成について、さらに詳細に説明する。

(電池形状) 本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。

有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。図2は、有底筒型形状リチウム二次電池100の例である。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウム二次電池100となっている。

有底角型形状では、一番大きい面の面積S(端子部を除く外形寸法の幅と高さとの積、単位cm2)の2倍と電池外形の厚さT(単位cm)との比率2S/Tの値が100以上であることが好ましく、200以上であることが更に好適である。最大面を大きくすることにより高出力かつ大容量の電池であってもサイクル性や高温保存等の特性を向上させるとともに、異常発熱時の放熱効率を上げることができ、後述する「弁作動」や「破裂」という危険な状態になることを抑制することができる。

(電池を構成する部材) 本実施形態のリチウム二次電池は、図1に基づいて言うと、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9を具備して構成される。以下、これらの各部材について述べる。本発明の非水二次電池は、電解液として、少なくとも前記本発明の非水電池用電解液を含む。 (電極合材) 電極合材は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合材と活物質が負極活物質である負極合材が使用されることが好ましい。次に、電極合材を構成する分散物(電極用組成物,電極合剤)中の各成分等について説明する。

・正極活物質 正極活物質には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、リチウム含有遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物等が好適に挙げられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の第1(Ia)族、第2(IIa)族の元素)、及び/又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量としては、遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。

前記正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物の中でも、リチウム化合物/遷移金属化合物(ここで遷移金属とは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種のことをいう。)の合計のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。

さらに、前記リチウム化合物/遷移金属化合物の中でも、LigM3O2(M3はCo、Ni、Fe、及びMnから選択される1種以上の元素を表す。gは、0〜1.2を表す。)を含む材料、又はLihM42O(M4はMnを表す。hは、0〜2を表す。)で表されるスピネル構造を有する材料が特に好ましい。前記M3、M4としては、遷移金属以外にAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。

前記LigM3O2を含む材料、LihM42Oで表されるスピネル構造を有する材料の中でも、LigCoO2、LigNiO2、LigMnO2、LigCojNi1−jO2、LihMn2O4、LiNijMn1−jO2、LiCojNihAl1−j−hO2、LiCojNihMn1−j−hO2、LiMnhAl2−hO4、LiMnhNi2−hO4(ここでgは0.02〜1.2を表す。jは0.1〜0.9を表す。hは0〜2を表す。)が特に好ましく、もっとも好ましくはLigCoO2、LiMn2O4、LiNi0.85Co0.01Al0.05O2、及びLiNi0.33Co0.33Mn0.33O2である。高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。ここで、前記g値及びh値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する値である。具体的には、 LiCoO2、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.01Al0.05O2、 LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiMn1.8Al0.2O4、 LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。

リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiFeP2O7等のリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。

非水二次電池において、用いられる前記正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01m2/g〜50m2/gであるのが好ましい。また、正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては、7以上12以下が好ましい。

前記正極活性物質を所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。前記焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。

・負極活物質 負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。 これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。 また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。

負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。

これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。

非水二次電池において用いられる負極活物質である金属酸化物及び金属複合酸化物は、これらの少なくとも1種を含んでいればよい。金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であるのが好ましく、5倍以下であるのがより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。

前記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの一種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、及びカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga2O3、SiO、GeO、SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb2O4、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、Bi2O3、Bi2O4、SnSiO3、GeS、SnS、SnS2、PbS、PbS2、Sb2S3、Sb2S5、SnSiS3などが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、Li2SnO2であってもよい。

本発明の非水二次電池において、用いられる前記負極活物質の平均粒子サイズは、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、よく知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。

前記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。

本発明において、Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。

本発明においては、チタン酸リチウム、より具体的にはリチウム・チタン酸化物(Li[Li1/3Ti5/3]O4)を負極の活物質として用いることも好ましい。これを負極活物質として用いることにより、前記式(I)で表される化合物ないしこれと重合性化合物との組合せによる効果が一段と高まり、一層優れた電池性能を発揮させることができる。

・導電材 導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。

・結着剤 本発明では、前記電極合材を保持するための結着剤を用いることが好ましい。 結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。

結着剤は、一種単独又は二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。

・フィラー 電極合材は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、分散物中、0〜30質量%が好ましい。

・集電体 正・負極の集電体としては、非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。

負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。

前記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。 これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合材が形成される。

(セパレータ) 非水二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能、を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。

前記セパレータの孔の形状は、通常は円形や楕円形で、大きさは0.05μm〜30μmであり、0.1μm〜20μmが好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は、20%〜90%であり、35%〜80%が好ましい。

前記ポリマー材料としては、セルロース不織布、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単一の材料を用いたものでも、2種以上の複合化材料を用いたものであってもよい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが、好ましい。

前記無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01μm〜1μm、厚さが5μm〜50μmのものが好適に用いられる。前記の独立した薄膜形状以外に、前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を樹脂製の結着剤を用いて正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子をフッ素樹脂の結着剤を用いて多孔層として形成させることが挙げられる。

(非水二次電池の作製) 本発明の非水二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。

以下、図2により、有底筒型形状リチウム二次電池100を例に挙げて、その構成及び作製方法について説明する。有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。図2は、有底筒型形状リチウム二次電池100を例である。この電池は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を巻回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウム二次電池100となっている。その他、図中の20が絶縁板、22が封口板、24が正極集電、26がガスケット、28が圧力感応弁体、30が電流遮断素子である。なお、拡大した円内の図示は視認性を考慮しハッチングを変えているが、各部材は符号により全体図と対応している。

まず、負極活物質と、所望により用いられる結着剤やフィラーなどを有機溶剤に溶解したものを混合して、スラリー状あるいはペースト状の負極合剤を調製する。得られた負極合剤を集電体としての金属芯体の両面の全面にわたって均一に塗布し、その後、有機溶剤を除去して負極合材層を形成する。さらに、集電体と負極合材層との積層体をロールプレス機等により圧延して、所定の厚みに調製して負極シート(電極シート)を得る。このとき、各剤の塗布方法や塗布物の乾燥、正・負極の電極の形成方法は定法によればよい。

本実施形態では、円筒形の電池を例に挙げたが、本発明はこれに制限されず、例えば、前記方法で作製された正・負の電極シートを、セパレータを介して重ね合わせた後、そのままシート状電池に加工するか、或いは、折りまげた後角形缶に挿入して、缶とシートを電気的に接続した後、電解質を注入し、封口板を用いて開口部を封止して角形電池を形成してもよい。

いずれの実施形態においても、安全弁を開口部を封止するための封口板として用いることができる。また、封口部材には、安全弁の他、従来知られている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子などが好適に用いられる。

また、前記安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することができる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あるいは独立に接続させてもよい。

缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が好適に用いられる。

キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来知られている化合物や混合物を用いることができる。

[非水二次電池の用途] 本発明によればサイクル性が良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。

以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。

<実施例1・比較例1> 電解液の調整 1M LiBF4の炭酸エチレン/γ−ブチロラクトンの体積比3対7電解液に、表1に示した成分を、表中に記載の量で加え実施例用電解液、及び比較例用電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下であった。 <電池(1)の作製> 正極は活物質:ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製し、負極は活物質:チタン酸リチウム(Li4Ti5O12) 94質量%、導電助剤:カーボンブラック 3質量%、バインダー:PVDF 3質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製25μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験用電解液について、2032形コイン電池を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表1に示している。

<放電容量維持率> 30℃の恒温槽中電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流充電した後、2.75V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に30℃の恒温槽中、電池電圧が1.2Vになるまで1C定電流放電を行い、放電容量を測定した。この測定を後述の高温サイクル試験の前後で行い下記式にて放電容量維持率を算出した。値が大きい程、高温下で充放電を繰り返しても放電容量劣化が小さく、良好である。

(放電容量維持率(RTratio(%))= {(サイクル試験後の放電容量)/(サイクル試験前の放電容量)}×100

<低温放電容量維持率> 前記放電容量維持率試験において放電時の温度を30℃に替えて−10℃とした際の放電容量維持率を低温放電容量維持率(LTratio(%))とした。

<高温サイクル試験> 前記2032形コイン電池を45℃の恒温槽中、電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流充電した後、2.75V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に電池電圧が1.2Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを500サイクルに達するまで繰り返した。

<表の注記> *cで始まるものは比較例。それ以外は本発明例(電解液ないし二次電池のサンプル番号)。 式(I)で表される化合物 Comp.:化合物 Conc.:濃度(M)

式(I)で表される化合物:前記例示化合物参照 比較用化合物 BP:ベンゾフェノン AP:アセトフェノン

<実施例2・比較例2> ・電解液の調製 1M LiPF6の炭酸エチレン/炭酸ジエチルの体積比1対2電解液に、表2に示した成分を、表中に記載の量で加え各試験No.に対応した電解液を調製した。調製した電解液の25℃における粘度は全て5mPa・s以下であった。

・電池(2)の作製 正極は活物質:コバルト酸リチウム(LiCoO2) 85質量%、導電助剤:カーボンブラック 7質量%、バインダー:PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 8質量%で作製し、負極は活物質:黒鉛 86質量%、導電助剤:カーボンブラック 6質量%、バインダー:PVDF 8質量%で作製した。セパレータはポリプロピレン製25μm厚である。上記の正負極、セパレータを使用し、各試験No.の電解液について、2032形コイン電池を作製し、下記項目の評価を行った。結果を表2に示している。

<放電容量維持率、低温放電容量維持率> 充電時の上限電圧を4.3V、放電時の下限電圧を2.75Vとした以外は電池1で行った評価と同一条件で行った。

<高温サイクル試験> 充電時の上限電圧を4.3V、放電時の下限電圧を2.75Vとした以外は電池1で行った評価と同一条件で行った。

上記のとおり本発明の非水電解液とそれを用いた二次電池によれば、高温で繰返し充放電した際の容量維持性、特に低温での放電容量維持性においてその性能の向上を達成することができる。

1 正極導電材 2 正極活物質 3 負極導電材 4 負極活物質 5 電解液 6 動作手段 7 配線 9 セパレータ 10 リチウムイオン二次電池 12 セパレータ 14 正極シート 16 負極シート 18 負極を兼ねる外装缶 20 絶縁板 22 封口板 24 正極集電 26 ガスケット 28 圧力感応弁体 30 電流遮断素子 100 有底筒型形状リチウム二次電池

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