ポリウレタン組成物 |
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申请号 | JP2009512348 | 申请日 | 2008-10-23 | 公开(公告)号 | JPWO2009057497A1 | 公开(公告)日 | 2011-03-10 |
申请人 | 株式会社クラレ; | 发明人 | 齋藤 秀和; 秀和 齋藤; 浩樹 木村; 浩樹 木村; | ||||
摘要 | 【課題】非粘着性で成形装置などに付着せず、溶融成形性に優れ、シリコーンとの接着性に優れ、成形体、複合成形体、インキ用バインダーとして有用なポリウレタン組成物、それからなる成形体、複合成形体、インキ用バインダー、インキ組成物の提供。【解決手段】分子中に、下記一般式(I);(式中、R1及びR2はそれぞれ 水 素 原子 又はC1〜6のアルキル基を示す。)で表される構造単位(I)を0.1〜20%の割合で有するポリウレタン(A)、並びに有機Zn化合物、有機Bi化合物、有機Ti化合物及び有機Zr化合物から選ばれる 金属化 合物(B)を0.1〜2000ppm含有するポリウレタン組成物、当該ポリウレタン組成物からなる成形体、当該ポリウレタン組成物層とシリコーン層を有する複合成形体、当該ポリウレタン組成物よりなるインキ用バインダー及びインキ組成物。【選択図】なし | ||||||
权利要求 | 分子中に、下記の一般式(I); (式中、R 1およびR 2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。) で表される構造単位(I)を、ポリウレタンの質量に基づいて0.1〜20質量%の割合で有するポリウレタン(A)、並びに有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)を含有し、金属化合物(B)の含有量がポリウレタン(A)の質量に基づいて0.1〜2,000ppmであることを特徴とするポリウレタン組成物。 リン化合物およびフェノール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を、ポリウレタン(A)の質量に基づいて1〜20,000ppmの割合で更に含有する請求項1に記載のポリウレタン組成物。 有機錫化合物および第3級アミン類を含有しない請求項1または2に記載のポリウレタン組成物。 ポリウレタン(A)が、 ・分子中に上記の一般式(I)で表される構造単位(I)を有するポリマーポリオール(a p −1)をポリマーポリオール成分の少なくとも一部として含有するポリマーポリオール(a p )と、有機ポリイソシアネート(b)を反応させて形成した、構造単位(I)をポリウレタンの質量に基づいて0.1〜20質量%の割合で含有するポリウレタン(A1);および、 ・分子中に上記の一般式(I)で表される構造単位(I)を有するポリマーポリオール(a p −1)をポリマーポリオール成分の少なくとも一部として含有するポリマーポリオール(a p )と、有機ポリイソシアネート(b)と、鎖伸長剤(c)を反応させて形成した、構造単位(I)をポリウレタンの質量に基づいて0.1〜20質量%の割合で含有するポリウレタン(A2); から選ばれる少なくとも1種のポリウレタンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。 ポリマーポリオール(a p −1)が、ポリオレフィンポリオールである請求項4に記載のポリウレタン組成物。 ポリマーポリオール(a p −1)が、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールおよびブタジエン/イソプレンコポリマーポリオールから選ばれる少なくとも1種である請求項4または5に記載のポリウレタン組成物。 ポリウレタン(A)の窒素原子含有率が1〜6質量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。 ポリウレタン(A)の対数粘度が0.5〜1.5dl/gである請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物。 分子中に下記の一般式(I); (式中、R 1およびR 2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。) で表される構造単位(I)を有するポリマーポリオール(a p −1)をポリマーポリオール成分の少なくとも一部として含有するポリマーポリオール(a p )と、有機ポリイソシアネート(b)を、鎖伸長剤(c)を更に用いるかまたは用いずに、ポリマーポリオール(a p )と有機ポリイソシアネート(b)の合計質量に基づいて、或いはポリマーポリオール(a p )と有機ポリイソシアネート(b)と鎖伸長剤(c)の合計質量に基づいて、0.1〜2,000ppmの有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)の存在下に反応させることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン組成物の製造方法。 有機錫化合物および第3級アミン類の不存在下にポリウレタンの形成反応を行う請求項9に記載の製造方法。 ポリウレタン形成反応後に、リン化合物およびフェノール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を、ポリウレタンの質量に基づいて、1〜20,000ppmの割合で添加する請求項9または10に記載の製造方法。 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物よりなる成形体。 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物よりなる層に対してシリコーン層が積層してなる複合成形体。 シリコーン層が、ポリウレタン組成物よりなる層上で硬化性シリコーン組成物を硬化させて形成したものである請求項13に記載の複合成形体。 硬化性シリコーン組成物が、珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物であるか、または珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物である請求項14に記載の複合成形体。 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物よりなる層に、珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物を連続層状または不連続層状に施すか、または珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物を連続層状または不連続層状に施し、ポリウレタン組成物よりなる層上で硬化性シリコーン組成物を硬化させることを特徴とする、ポリウレタン組成物よりなる層に対してシリコーン層が積層してなる複合成形体の製造方法。 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリウレタン組成物よりなるインキ用バインダー。 ポリウレタン(A)1g当たりのアミン価が0.5KOHmg/g以下である請求項17に記載のインキ用バインダー。 請求項17または18に記載のインキ用バインダーを含有するインキ組成物。 |
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说明书全文 | 本発明は、ポリウレタン組成物およびその製造方法、当該ポリウレタン組成物よりなる成形体、当該ポリウレタン組成物を用いて形成した複合成形体およびその製造方法、並びに当該ポリウレタン組成物よりなるインキ用バインダーおよび該インキ用バインダーを含有するインキ組成物に関する。 ポリウレタンは、力学的特性、耐摩耗性、耐油性などに優れている。 ポリウレタンのうちでも特に熱可塑性ポリウレタンは、前記した特性に加えて、弾性回復性や屈曲性などにも優れ、しかも溶融成形が可能であることから、広範な用途で用いられている。 一方、シリコーンは、離型性、耐熱性、耐寒性、耐候性に優れ、更に撥水性や電気絶縁性にも優れ、しかも幅広い温度範囲で安定した物性を発現することから、それらの特性を活かして色々な分野で用いられている。 しかしながら、シリコーンは、引張破断強度などの力学的特性や耐摩耗性などに劣り、また他の材料との接着性に劣るため、その使用範囲が限られている。 そこで、近年、ポリウレタンとシリコーンの双方の欠点を補い、両者の優れた特性を兼ね備えるポリウレタン/シリコーン複合成形体が開発され、例えば、携帯電話、家電製品、自動車部品、通信機器などにおける押しボタンスイッチに用いられるキーシート(キーパッド)、電子写真複写機やプリンターなどに用いられるロールなどとして用いられるようになっている。 しかしながら、シリコーンとポリウレタンとの間の接着強度が低いことから、ポリウレタン成形体の表面および/またはシリコーン成形体の表面を事前に活性化処理して両者間の接着性を向上させる必要がある。 ポリウレタン成形体表面またはシリコーン成形体表面の活性化処理法としては、プライマー処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理などがあるが、いずれの処理もそれらの処理を「前処理」として別途行わなければならないという点で、作業効率の低下の要因となっている。 上記の点から、前処理を行わなくてもシリコーンに接着するポリウレタン材料に関する研究が行われるようになっており、そのような従来技術としては、有機錫化合物触媒などを用いて製造した分子中に脂肪族不飽和基を有するポリウレタンと、ヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有するシリコーンゴム基材にコーティングするためのコーティング剤(特許文献1および2)、並びに両末端に水酸基またはアミノ基を有する直鎖状ポリマーと二官能性イソシアネート化合物を前者:後者のモル比が1.0よりも大きくなるように反応させて得られる重量平均分子量が10,000〜500,000のウレタン樹脂を主成分とするシリコーンゴム用オーバーコート材(特許文献3)が� ��られている。 また、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に一次射出成形した後に、キャビティ内に形成した当該熱可塑性樹脂層上に付加硬化型シリコーンゴム組成物を二次射出成形し、それと共にシリコーンゴム組成物を熱可塑性樹脂の軟化点以上融点未満の温度で硬化させて、シリコーンゴム層と熱可塑性樹脂層とが積層一体化した複合成形体を製造する方法が知られている(特許文献4)。 しかしながら、この方法をポリウレタンとシリコーンゴムの複合成形体の製造に応用しても、ポリウレタン層とシリコーンゴム層が良好に接着した複合成形体を得ることはできない。 また、携帯電話、各種リモコンなどのシリコーンゴム製のキーパッドのキートップ上には、シリコーンゴム含有インキによって文字などが印刷されていることが多いが、シリコーンゴム含有インキは、耐摩耗性、強度、耐油性、耐水性、耐塩分性などの特性に劣るため、使用していると摩耗して印刷した文字などが判読しにくくなったり、油、塩分、水などの浸透によって接点障害などを生じ易くなるという問題があった。 かかる点から、シリコーンゴムとの接着性に優れ、しかも、耐摩耗性、強度、耐油性、耐水性などの特性に優れるインキ用バインダーおよびインキが求められている。 本発明の目的は、非粘着性で、取り扱い性および溶融成形性に優れ、更に耐摩耗性、引張破断強度、引張破断伸度、表面強度などの力学的特性、耐水性、耐油性、弾性回復性などに優れ、非粘着性であるにも拘わらず、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、シリコーンとの接着性に優れ、更にはポリウレタン、ポリエステル、ナイロンなどのポリマーや、紙、布帛、木材などの他の材料との接着性にも優れていて、各種成形体や複合成形体などを円滑に製造することができ、またインキ用バインダーとして有効なポリウレタン組成物、その製造方法、当該ポリウレタン組成物よりなる成形体、当該ポリウレタン組成物を用いて形成した複合成形体およびその製造方法、並びに当該ポリウレタン組成物よりなるインキ用� ��インダーおよび該インキ用バインダーを含有するインキ組成物を提供することである。 本発明者らは前記した目的を達成するために鋭意検討を重ねてきた。 その結果、ポリウレタンの製造に当たって、ウレタン化反応触媒として、従来汎用されてきた有機錫化合物(例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレートなど)や第3級アミン類などを用いる代わりに有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を用いて、脂肪族不飽和炭化水素基を分子中に有するポリウレタンを形成すると、それにより得られる有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有するポリウレタン組成物が、非粘着性で、取り扱い性および溶融成形性に優れていて、射出成形、押出成形、その他の成形方法によって各種成形体を円滑に� ��造することができること、そして当該ポリウレタン組成物を用いて得られる成形体は、耐摩耗性、引張破断強度、引張破断伸度などで代表される力学的特性に優れ、更に耐水性、屈曲性、耐油性、弾性回復性などにも優れ、その上残留歪みが小さく、種々の用途に有効に用い得ることを見出した。 さらに、本発明者らは、前記で得られるポリウレタン組成物は、非粘着性であるにも拘わらず、シリコーンとの接着性に優れていて、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)を行わなくてもシリコーンと強固に接着して、ポリウレタン層とシリコーン層を有する複合成形体を円滑に製造することができること、特にシリコーンとの複合成形体の製造に当たっては、珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物を用いるか、または珪素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性シリコーン組成物を用い、当該硬化性シ� ��コーン組成物を前記したポリウレタン組成物よりなる層(基材)上で硬化させると、ポリウレタン組成物層とシリコーン層とが強固に接着積層した複合成形体が得られることを見出した。 また、本発明者らは、前記したポリウレタン組成物は、耐摩耗性、引張破断強度、引張破断伸度、表面強度などの力学的特性、耐水性、耐油性、弾性回復性などに優れ、非粘着性であるにも拘わらず、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、シリコーンとの接着性に優れ、更にはポリウレタン、ポリエステル、ナイロンなどのポリマーや、紙、布帛、木材などの他の材料との接着性にも優れていて、インキ用バインダーおよびインキ組成物、特にシリコーン層に施すインキ組成物としても有効であることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。 すなわち、本発明は、
1およびR 2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
そして、本発明は、 さらに、本発明は、 また、本発明は、
1およびR 2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
p −1)をポリマーポリオール成分の少なくとも一部として含有するポリマーポリオール(a p )と、有機ポリイソシアネート(b)を、鎖伸長剤(c)を更に用いるかまたは用いずに、ポリマーポリオール(a p )と有機ポリイソシアネート(b)の合計質量に基づいて、或いはポリマーポリオール(a p )と有機ポリイソシアネート(b)と鎖伸長剤(c)の合計質量に基づいて、0.1〜2,000ppmの有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)の存在下に反応させることを特徴とする前記(1)のポリウレタン組成物の製造方法である。 さらに、本発明は、 さらに、本発明は、 そして、本発明は、 上記の一般式(I)で表される構造単位(I)を本発明で規定する量で有するポリウレタン(A)中に、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)を本発明で規定する量で含有する本発明のポリウレタン組成物は、非粘着性で成形装置や金型などに付着しにくく、取り扱い性に優れ、しかも溶融成形性に優れており、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、注型などの任意の成形方法によって、外観に優れる各種成形体を円滑に生産性よく製造することができる。 本発明のポリウレタン組成物は、非粘着性であるにも拘わらず、シリコーンとの接着性に優れていて、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)を行わなくてもシリコーンと強固に接着して、ポリウレタン組成物層とシリコーン層を有する複合成形体を円滑に製造することができる。 本発明のポリウレタン組成物を用いてなるインキ用バインダーおよびインキ組成物は、非粘着性で、耐摩耗性、引張破断強度、引張破断伸度、表面強度などの力学的特性、耐水性、耐油性、弾性回復性などに優れ、非粘着性であるにも拘わらず、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、シリコーン基材との接着性に優れ、更にはポリウレタン、ポリエステル、ナイロンなどのポリマーや、紙、布帛、木材などの他の材料からなる基材との接着性に優れており、本発明のインキ組成物を用いてシリコーン基材やその他の基材に印刷した文字や模様は、基材からの剥離、摩耗、油、水、塩分などによる文字や模様の変質が生じにくく、携帯電話やリモコンのキーパッドに印刷した場合には、油、塩分、水等の浸透などによる� ��点障害などを生じない。 以下に本発明について詳細に説明する。
1およびR 2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
上記の一般式(I)において、R 1およびR 2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、R 1およびR 2の両方が水素原子であってもよいし、一方が水素原子でもう一方がアルキル基であってもよいし、または両方がアルキル基であってもよい。 限定されるものではないが、構造単位(I)の具体例としては、 ポリウレタン(A)は、ポリウレタンの質量に基づいて、構造単位(I)を0.1〜20質量%の割合で有する。 構造単位(I)の含有量が0.1質量%よりも少ないと、シリコーンとの接着性が低下し、一方20質量%よりも多いと、ポリウレタン組成物の成形性が低下し、ポリウレタン組成物から得られる成形体や複合成形体の力学的特性、耐熱性、耐候性などが低下する。 ポリウレタン(A)における構造単位(I)の含有量は、ポリウレタンの質量に基づいて0.5〜10質量%であることが好ましく、0.8〜8質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。 分子中に上記の構造単位(I)を有するポリウレタン(A)を含有する本発明のポリウレタン組成物は、分子中に構造単位(I)を有するポリマーポリオール(a p −1)をポリマーポリオール成分の少なくとも一部として含有するポリマーポリオール(a p )と、有機ポリイソシアネート(b)を、必要に応じて鎖伸長剤(c)の併用下に、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)よりなるウレタン化反応触媒の存在下に反応させる方法によって製造することができる。 上記において、ポリマーポリオール(a p )におけるイソシアネート基と反応性の官能基としては、水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、酸無水物基、チオカルボキシル基などを挙げることができ、そのうちでも水酸基であることが、イソシアネート基との反応性、原料の入手容易性、低毒性、シリコーンとの接着性などの点から好ましい。 ポリマーポリオール(a p )におけるイソシアネート基と反応性の官能基の数は、1分子当たり平均で0.7個以上であることが好ましく、0.7〜3個であることがより好ましく、特に1.8〜2.5個であることが一層好ましい。 ポリマーポリオール(a p )の数平均分子量は、非粘着性、溶融成形性、耐摩耗性や引張破断強度で代表される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性、耐油性などに優れるポリウレタン組成物、成形体、複合成形体、インキ組成物、印刷物などが得られる点から、500〜10,000であることが好ましく、500〜8,000であることがより好ましく、600〜5,000であることが更に好ましく、800〜5,000であることが一層好ましい。 本発明において、分子中に構造単位(I)を有するポリマーポリオール(a p −1)をポリマーポリオール成分の少なくとも一部として含有するポリマーポリオール(a p )と、有機ポリイソシアネート(b)を、必要に応じて鎖伸長剤(c)の併用下、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)よりなるウレタン化反応触媒の存在下に反応させて、ポリウレタン(A)と共に前記した金属化合物(B)を含有する本発明のポリウレタン組成物を製造すると、非粘着性、溶融成形性、引張破断強度で代表される力学的特性、柔軟性、屈曲性、低残留歪み性などに優れるポリウレタン組成物を得ることができる。 上記の場合に用いるポリマーポリオール(a p −1)の数平均分子量、およびポリマーポリオール(a p )に含まれるポリマーポリオール(a p −1)以外の他のポリマーポリオール[構造単位(I)を持たないポリマーポリオール][以下「他のポリマーポリオール(a p −2)」ということがある]の数平均分子量は、500〜10,000であることが好ましく、500〜8,000であることがより好ましく、600〜5,000であることが更に好ましく、800〜5,000であることが一層好ましい。 かかる数平均分子量のポリマーポリオール(a p −1)および他のポリマーポリオール(a p −2)を用いることによって、非粘着性、力学的強度、耐熱性などに優れるポリウレタン組成物、成形体、複合成形体などを得ることができる。 また、ポリマーポリオール(a p −1)および他のポリマーポリオール(a p −2)における1分子当たりの水酸基数を2.0〜2.1個、更には2.0〜2.07個、特に2.005〜2.05個の範囲内にすると、成形性、非粘着性、耐摩耗性、力学的特性などにより優れるポリウレタン組成物を得ることができる。 ポリマーポリオール(a p )におけるポリマーポリオール(a p −1)の含有割合は、ポリマーポリオール(a p −1)における構造単位(I)の含有量、ポリマーポリオール(a p −1)の分子量、他のポリマーポリオール(a p −2)の分子量、有機ポリイソシアネート(b)の分子量や使用量、鎖伸長剤(c)の分子量や使用量などに応じて、最終的に得られるポリウレタン(A)における構造単位(I)の含有量が前記した0.1〜20質量%の範囲内、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは0.8〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の範囲になるように調節するとよい。 分子中に構造単位(I)を有するポリマーポリオール(a p −1)としては、分子中に構造単位(I)を必要な量で有し且つイソシアネート基と反応性の水酸基を複数個有するポリマーポリオールであればいずれでもよいが、代表的には1,2−結合および/または3,4−結合により重合したブタジエン単位および/またはイソプレン単位を有し且つ2個以上の水酸基、好ましくは2個の水酸基を有するポリマー等のポリオレフィンポリオールを挙げることができる。 ポリマーポリオール(a p )の一部として、構造単位(I)を有するポリマーポリオール(a p −1)と共に用い得る他のポリマーポリオール(a p −2)としては、ポリウレタンの製造に従来から用いられているいずれのポリマーポリオールも使用することができる。 他のポリマーポリオール(a p −2)として用い得る上記したポリエステルポリオールとしては、例えば、常法にしたがって、ポリオール成分とポリカルボン酸、そのエステル、酸無水物などのエステル形成性誘導体などのポリカルボン酸成分とを直接エステル化反応させるかまたはエステル交換反応させて得られるポリエステルポリオール、ポリオールを開始剤としてラクトンを開環重合することによって得られるポリエステルポリオールなどを挙げることができる。 ポリオール成分とポリカルボン酸成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールの製造に用いる前記したポリオール成分は、ポリエステルの製造において一般的に使用されているものであればいずれでもよく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8� ��オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの炭素数2〜15の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジメタノール、ジメチルシクロオクタンジメタノールなどの脂環式ジオール;1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香族二価アルコールなどの1分子当たり水酸基を2個有するジオールや、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの1分子当たり水酸基を3個以上有するポリオールな どを挙げることができる。 ポリエステルポリオールの製造に当たっては、これらのポリオール成分は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 ポリウレタン(A)をベースとする本発明のポリウレタン組成物をインキ用バインダーとして用いる場合は、他のポリマーポリオール(a p −2)として用いるポリエステルポリオールを形成するポリオール成分として、2−メチル−1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオールなどのメチル基を側鎖として有する炭素数5〜12の分岐脂肪族ジオールが好ましく用いられる。 特に、これらの分岐脂肪族ジオールを、ポリエステルポリオールの製造に用いる全ポリオール成分の30モル%以上、更には50モル%以上の割合で含有するポリオール成分を用いて製造したポリエステルポリオールをポリマーポリオール(a p −1)と共に用いて、ポリウレタン(A)を含むインキ用バインダー用のポリウレタン組成物を製造することが好ましい。 かかるインキ用バインダーは、有機溶媒への溶解性、各種ポリマーに対する接着性、これを含有するインキ組成物の印刷特性などの点で優れている。 ポリオール成分とポリカルボン酸成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールの製造に用いる前記したポリカルボン酸成分は、ポリエステルの製造において一般的に使用されているものであればいずれでもよく、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、トリメチルアジピン酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジ� ��ルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上のポリカルボン酸;あるいはそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。 これらのポリカルボン酸成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 そのうちでも、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸、特にアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸の1種または2種以上が好ましく用いられる。 ラクトンの開環重合によって得られるポリエステルポリオールの製造に用いるラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトンなどを挙げることができる。 他のポリマーポリオール(a p −2)として用い得る上記したポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオールの存在下に、環状エーテルを開環重合して得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。 そのうちでも、ポリテトラメチレングリコールおよび/またはポリ(メチルテトラメチレングリコール)が好ましく用いられる。 他のポリマーポリオール(a p −2)として用い得る上記したポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られるものを挙げることができる。 ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの製造に用いる成分として先に例示したポリオール成分を用いることができる。 また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。 他のポリマーポリオール(a p −2)として用い得る上記したポリエステルポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネート化合物を同時に反応させて得られたもの、或いは予め上記した方法によりポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールをそれぞれ合成し、次いでそれらをカーボネート化合物と反応させるか、またはポリオールおよびポリカルボン酸と反応させることによって得られたものなどを挙げることができる。 他のポリマーポリオール(a p −2)として用い得る上記したポリオレフィンポリオールとしては、例えば、重合開始剤の存在下に、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン、またはそれらと他のモノマーをリビング重合した後に、重合活性末端にヒドロキシル基含有エポキシ化合物を反応させて得られる、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ブタジエン/イソプレンコポリマーポリオール、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーポリオール、ブタジエン/スチレンコポリマーポリオールなどの共役ジエン系ポリマーポリオールの水素添加物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。 本発明のポリウレタン組成物の製造に用いる有機ポリイソシアネート(b)の種類は特に制限されず、ポリウレタンの製造に従来から用いられている有機ポリイソシアネートのいずれもが使用でき、例えば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族または脂環式ジイソシアネートなどを挙げることができる。 これらの有機ポリイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 本発明のポリウレタン組成物の製造に当たって、必要に応じて用いられる鎖伸長剤(c)としては、ポリウレタンの製造に際して鎖伸長剤として通常用いられている2個以上の活性水素原子を有する低分子化合物のいずれもが使用でき、特に制限されない。 本発明で用い得る鎖伸長剤(c)の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などを挙げることができる。 これらの鎖伸長剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 また、本発明のポリウレタン組成物をインキ用バインダーおよびインキ組成物として用いる場合は、必要に応じて、エタノール、イソプロピルアルコールなど1価のアルコール、ジ−n−ブチルアミンなどのモノアミンなどを重合停止剤として使用して、ポリウレタンの分子量の調整などを行うこともできる。 本発明のポリウレタン組成物を製造するに当たっての各成分の使用比率は、目的とするポリウレタン(A)に付与すべき硬度、力学的特性などを考慮して適宜決定される。 本発明のポリウレタン組成物を製造するためのウレタン化反応方法は特に制限されず、公知のウレタン化反応技術のいずれを採用して行ってもよく、プレポリマー法またはワンショット法のいずれもが採用できる。 本発明では、ポリウレタン(A)の製造に当たって、ウレタン化反応触媒として従来から汎用されている有機錫化合物および第3級アミン類を用いないことが好ましく、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)をウレタン化反応触媒として用いることが好ましい。 このような本発明のポリウレタン組成物は、ポリウレタン(A)と共に、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる金属化合物(B)の1種または2種以上を含有している。 ポリウレタン(A)の製造に当たって、ポリウレタンの製造に従来から汎用されている有機錫化合物、第3級アミン類などを触媒として用いた場合には、それによって得られる前記触媒を含有するポリウレタン組成物は、理由は定かではないが、シリコーンの硬化触媒として使用される白金触媒などの硬化機能の低下をもたらし、ポリウレタンとシリコーンとが強固に接着した複合成形体が得られない場合がある。 かかる点から、本発明のポリウレタン組成物は、有機錫化合物および第3級アミン類を含有しないことが好ましい。 本発明のポリウレタン組成物を製造する際に使用される有機亜鉛化合物の具体例としては、亜鉛アセチルアセトナート、プロピオン酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛などを挙げることができる。 金属化合物(B)は、ポリウレタン(A)の質量に対して、0.1〜2,000ppm(0.2質量%)の範囲内となる量で用いる。 金属化合物(B)の使用量がポリウレタン(A)の質量に基づいて0.1ppm未満であると、ポリウレタン組成物の溶融成形性やシリコーンとの接着性などが低下し易く、一方2,000ppmを超えた場合にもポリウレタンの溶融成形性(特に溶融滞留安定性)が低下する。 金属化合物(B)は、ポリウレタン(A)の質量に対して、0.5〜200ppmの範囲内となる量で用いることが好ましく、1〜200ppmの範囲内となる量で用いることがより好ましく、1〜100ppmの範囲内となる量で用いることがさらに好ましい。 本発明のポリウレタン組成物は、上記した金属化合物(B)と共に、リン化合物およびフェノール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を含有していることが好ましい。 上記したリン化合物としては、下記の一般式(IIa)〜(IIc)で表されるリン化合物が好ましく用いられる。 3 〜R 5はそれぞれ独立して水素原子または1価の炭化水素基、aおよびbはそれぞれ0または1を示し;式(IIb)中、R 6およびR 7はそれぞれ独立して1価の炭化水素基、d、e、fおよびgはそれぞれ0または1を示し;式(IIc)中、R 8 〜R 11はそれぞれ独立して1価の炭化水素基、R 12は2価の炭化水素基、h、i、jおよびkはそれぞれ0または1を示す。 ]
3 〜R 5のうちの少なくとも1つが脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基であることが好ましい。 また、上記の式(IIc)において、hとiがともに1の場合にはR 8 〜R 11のうちの少なくとも1つが脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基であることが好ましい。 上記の式(IIa)〜(IIc)で表されるリン化合物において、R 3 〜R 11が1価の炭化水素基である場合は、炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましく、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、イソデシル基、オクタデシル基などの脂肪族炭化水素基;シクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、ノニルフェニル基、クレジル基、2,4−ジ−t−ブチルフェニル基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。 R 3 〜R 11が芳香族炭化水素基である場合は、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェノキシ基または水酸基などの置換基を芳香環上に有していてもよい。 上記の式(IIa)で表されるリン化合物の具体例としては、亜リン酸、リン酸;メチルホスファイト、エチルホスファイト、イソプロピルホスファイト、ブチルホスファイト、2−エチルヘキシルホスファイト、ラウリルホスファイト、オレイルホスファイト、ステアリルホスファイト、フェニルホスファイト、ジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ジブチルホスファイト、ビス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジラウリルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジステアリルホスファイト、ジフェニルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリノニルホス� �ァイト、トリス(デシル)ホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリス(オクタデシル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイトなどの亜リン酸エステル;メチルホスフェート、エチルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ブチルホスフェート、2−エチルヘキシルホスフェート、ラウリルホスフェート、オレイルホスフェート、ステアリルホスフェート、フェニルホスフェート、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレ イルホスフェート、ジステアリルホスフェート、ジフェニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(デシル)ホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリス(オクタデシル)ホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェートなどのリン酸エステル;フェニル亜ホスホン酸ジメチル、フェニル亜ホスホン酸ジエチル、フェニル亜ホスホン酸ジブチル、フェニル亜ホスホン酸ジオクチル、フェニル亜ホスホン酸ジドデシル、フェニル亜ホスホン酸ビス(オクタデシル)、フェニル亜ホスホン酸ジシクロヘキシル、フェニル亜ホスホン酸ジフェニルなどの亜ホスホン酸誘導体のジエステル;フェニルホス� ��ン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジブチル、フェニルホスホン酸ジオクチル、フェニルホスホン酸ジドデシル、フェニルホスホン酸ビス(オクタデシル)、フェニルホスホン酸ジシクロヘキシル、フェニルホスホン酸ジフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルなどのホスホン酸誘導体のジエステルなどが挙げられる。 上記の式(IIb)で表されるリン化合物の具体例としては、ジドデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどの亜リン酸トリエステル;ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスフェートなどのリン酸トリエステルなどが挙げられる。 上記の式(IIc)で表されるリン化合物の具体例としては、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールテトラキス(トリデシル)ジホスファイトなどの亜リン酸トリエステル;テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンホスホナイトなどの亜ホスホン酸誘導体のジエステルなどが挙げられる。 リン化合物としては上記したリン化合物のうちの1種または2種以上を用いることができる。 また、フェノール系化合物の具体例としては、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−ブチル−6−(3'−t−ブチル−2'−ヒドロキシ−5'−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジペンチルフェニルアクリレート、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−(t−ブチル−3−ヒドロキシ� ��2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)などのヒンダードフェノール系化合物;2−ヒドロキシ−4−オクチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタンなどのヒドロキシベンゾフェノン系化合物;2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3'',4'',5'',6''−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5' −t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]}などのヒドロキシベンゾトリアゾール系化合物;4−t−ブチルフェニルサリチル酸などのサリチル酸系化合物、4−t−ブチルパラオキシ安息香酸フェニルなどのオキシ安息香酸系化合物;3,4−ジヒドロキシ安息香酸オクチルなどのカテコール系化合物;3,5−ジヒドロキシ安息香酸オクチルなどのレゾルシノール系化合物;4,4'−オクチル−2,2'− ビフェノールなどのビフェノール系化合物;2,2'−ビナフトールなどのビナフトール系化合物などが挙げられる。 フェノール系化合物としては、上記の化合物のうちの1種または2種以上を用いることができる。 リン化合物およびフェノール系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(C)を用いる場合は、その使用量は、ポリウレタン(A)の質量に基づいて、1〜20,000ppm(2質量%)であることが好ましい。 化合物(C)(リン化合物および/またはフェノール系化合物)の使用量がポリウレタン(A)の質量に基づいて1ppm未満の場合には、ポリウレタン組成物の溶融成形性(特に溶融滞留安定性)が低下することがある。 一方、化合物(C)(リン化合物および/またはフェノール系化合物)の使用量がポリウレタン(A)の質量に基づいて20,000ppm(2質量%)を超えると、ポリウレタン組成物から得られる成形体の表面状態を損ない、またポリウレタン組成物よりなる層とシリコーン層を有する積層複合体などを製造する際にシリコーンとの接着性の低下を招く傾向があり、さらに硬化性シリコーン組成物の硬化性を阻害する場合がある。 化合物(C)(リン化合物および/またはフェノール系化合物)の使用量は、ポリウレタン(A)の質量に基づいて5〜2,000ppm(0.2質量%)の範囲内であることがより好ましく、5〜1,000ppm(0.1質量%)の範囲内であることがさらに好ましく、5〜500ppmの範囲内であることが特に好ましく、10〜250ppmの範囲内であることが最も好ましい。 また、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物(B)に対する使用割合からいうと、リン化合物を用いる場合は、金属化合物(B)中の金属原子1モルに対して、リン化合物中のリン原子が0.1〜500モルとなる割合で使用することが好ましく、0.2〜200モルとなる割合で使用することがより好ましく、0.5〜100モルとなる割合で使用することがさらに好ましい。 本発明のポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタン(A)は、N,N−ジメチルホルムアミド溶媒に、濃度が0.5g/dlになるように溶解して30℃で測定したときの対数粘度(η inh )が0.5〜1.5dl/g、更には0.6〜1.4dl/g、特に0.7〜1.3dl/gの範囲にあるポリウレタンであることが好ましい。 前記した対数粘度(η inh )となるポリウレタン(A)を含む本発明のポリウレタン組成物は、シリコーンとの接着性に優れている。 しかも、対数粘度(η inh )が前記した範囲となるポリウレタン(A)を含むポリウレタン組成物並びにそれから得られる成形体、複合成形体などは、耐摩耗性、引張破断強度や引張破断伸度などで代表される力学的特性、屈曲性、耐油性、弾性回復性、耐水性、撥水性、耐熱性、耐寒性、離型性、電気絶縁性などの特性に優れている。 また、本発明のポリウレタン組成物が、インキ用バインダーとして用いられるものである場合には、当該インキ用バインダーから調製したインキ組成物を用いて得られる印刷物の表面強度、非粘着性、耐油性などの点から、ポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタン(A)の数平均分子量は、5,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、8,000〜50,000の範囲内であることがより好ましい。 ポリウレタン(A)の数平均分子量が、小さすぎると、インキ組成物を用いて形成した印刷物の表面強度、非粘着性、耐油性などが低下する傾向があり、一方大きすぎるとインキ用バインダーの粘度が高くなって取り扱い性に劣るようになり、しかもインキ組成物および印刷物の光沢の低下が生じたり、インキ組成物の有機溶媒への再溶解性が低下したものになり易い。 本発明のポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタン(A)では、その窒素原子含有率が1〜6質量%であることが好ましく、1.5〜5質量%であることがより好ましく、2〜4.5質量%であることがさらに好ましい。 窒素原子含有率が前記範囲にあるポリウレタン(A)は、シリコーンとの接着性に優れている。 しかも、窒素原子含有率が前記範囲になるポリウレタン(A)を含むポリウレタン組成物並びにそれから得られる成形体や複合成形体は、耐摩耗性、引張破断強度や引張破断伸度などで代表される力学的特性、屈曲性、耐油性、弾性回復性、耐水性、撥水性、耐熱性、耐寒性、離型性、電気絶縁性などの特性に優れている。 また、本発明のポリウレタン組成物をインキ用バインダーに用いる場合は、ポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタン(A)は、分子内にアミノ基を有していることが好ましい。 分子内にアミノ基を有するポリウレタン(A)は、上記した二段法(プレポリマー法)によってポリウレタン(A)を含む本発明のポリウレタン組成物を製造する際に、鎖伸長剤(c)および/または重合停止剤として、アミン系の化合物を、プレポリマーの末端に存在する遊離のイソシアネート基に対してアミノ基が過剰に存在するような量で使用することによって得ることができる。 その際に、ポリウレタン(A)におけるアミノ基の含有量は、インキ用バインダ−の接着性、得られる印刷物の非粘着性、硬化性などの観点から、ポリウレタン(A)1g当りのアミン価として、0.5KOHmg/g以下であることが好ましく、0.3KOHmg/g以下であることがより好ましい。 本発明のポリウレタン組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、離型剤、補強剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、安定剤などの各種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル繊維などの各種繊維;タルク、シリカなどの無機物;各種カップリング剤;ポリウレタン(A)以外のポリマーなどの任意の成分を含有してもよい。 本発明のポリウレタン組成物は、溶融成形性に優れており、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、注型などの任意の成形方法によって種々の成形体(例えば、シート、フィルム、プレート、管状体、棒状体、中空成形体、各種容器、各種ブロック状成形体、各種型物など)を円滑に製造することができる。 特に、本発明のポリウレタン組成物は、非粘着性で成形装置や金型などに付着しにくく且つ溶融成形性に優れているので、各種の高品質の成形体を生産性良く製造することができる。 本発明のポリウレタン組成物を用いて得られる成形体は、非粘着性であり、それにも拘わらずシリコーンとの接着性に優れており、更に耐摩耗性や引張破断強度や引張破断伸度などで代表される力学的特性、屈曲性、耐油性、耐水性、弾性回復性などの特性に優れ、残留歪みが小さく、且つ適度な柔軟性を有しており、しかも平滑な表面を有し表面状態も良好である。 そのため、本発明のポリウレタン組成物を用いて得られる成形体は、前記した特性を活かして、例えば、コンベアベルト;携帯電話、家電製品、自動車部品、通信機器などの押しボタンスイッチに用いられる各種キーシート、キーボード;ラミネート品;各種容器用のフィルムやシート;ホース;チューブ;自動車部品;機械部品;靴底;時計バンド;パッキング材;制振材;日用雑貨などの各種用途に使用することができる。 特に、ポリウレタン(A)をベースとする本発明のポリウレタン組成物は、ポリウレタン(A)分子に含まれる構造単位(I)中の不飽和炭化水素基が、珪素原子に結合した水素原子を有するシリコーン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)とヒドロシリル化触媒の存在下で反応し、また分子中にビニル基などの不飽和基を有するシリコーンとも反応するため、シリコーンに対してプライマー処理などの表面活性化処理を施さなくても、シリコーンと強固に接合する。 本発明のポリウレタン組成物よりなる層[以下単に「ポリウレタン組成物層」ということがある]とシリコーンよりなる層[単に「シリコーン層」ということがある]とが接着積層した複合成形体は、ポリウレタン組成物層とシリコーン層のみからなっていてもよいし、またはポリウレタン組成物層およびシリコーン層と共に、他の材料からなる層[例えば本発明のポリウレタン組成物以外のポリマーやポリマー組成物、紙、布帛、金属、セラミック、木材などからなる層][以下単に「他の材料層」ということがある]の1つまたは2つ以上を有していてもよい。 限定されるものではないが、ポリウレタン組成物層とシリコーン層を有する本発明の複合成形体の例としては、ポリウレタン組成物層/シリコーン層からなる2層構造体;シリコーン層/ポリウレタン組成物層/シリコーン層よりなる3層構造体;ポリウレタン組成物層/シリコーン層/ポリウレタン組成物層よりなる3層構造体;ポリウレタン組成物層/シリコーン層/ポリウレタン組成物層/シリコーン層よりなる4層構造体;他の材料層(例えば紙、布帛、金属、他のポリマーなどからなる層)/シリコーン層/ポリウレタン組成物層からなる3層構造体;シリコーン層/ポリウレタン組成物層/他の材料層(例えば紙、布帛、金属、他のポリマーなどからなる層)からなる3層構造体;シリコーン層/ポリウレタン組成物層/シリコ� ��ン層/ポリウレタン組成物層/他の材料層(例えば紙、布帛、金属、他のポリマーなどからなる層)からなる5層構造体などを挙げることができる。 ポリウレタン組成物層とシリコーン層とが接着積層した本発明の複合成形体では、複合成形体全体の厚さ、ポリウレタン組成物層の厚さおよびシリコーン層の厚さは特に制限されず、複合成形体の用途などに応じて調整することができる。 前記した複合成形体の製造に用い得るシリコーンとしては、例えば、(i)常温で硬化してシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂となる常温硬化型のシリコーン組成物、(ii)加熱により硬化してシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂となるメチルビニルシリコーンなどの加熱加硫型のシリコーン組成物などの硬化性シリコーン組成物を硬化させて形成したものを挙げることができ、硬化性シリコーン組成物のうちでも、作業性の観点からは、硬化前は柔らかなペースト状もしくは半流動状で取り扱い性に優れる前記(i)の常温硬化型のシリコーン組成物、特に常温硬化型のシリコーンゴム組成物が好ましく用いられる。 2液型の常温硬化型シリコーン組成物は、シリコーン中に導入されている官能基によって、縮合反応型と付加反応型の2種類に大別される。 上記した(α)および(β)の硬化性シリコーン組成物において用いられる、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、珪素原子に結合した水素原子を1分子中に1個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであればいずれでもよく、特に制限されない。 そのうちでも、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、柔軟性、優れた弾性特性、入手容易性、硬化性などの点から、ジオルガノポリシロキサンであって当該ジオルガノポリシロキサン分子中の珪素原子に結合した1価有機基(オルガノ基)のうちの1つまたは2つ以上が水素原子で置き換わったジオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましく用いられ、ジメチルポリシロキサン分子中の珪素原子に結合したメチル基の1個以上、特に2〜10個が水素原子に置き換わったジメチルハイドロジェンポリシロキサンがより好ましく用いられる。 また、上記(β)の硬化性シリコーン組成物で用いるアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、1分子中にビニル基、アリル基などのアルケニル基を1個以上有するオルガノポリシロキサンであればいずれでもよく、特に制限されない。 そのうちでも、当該アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、柔軟性、優れた弾性特性、入手容易性、硬化性などの点から、珪素原子に結合したアルケニル基を1つまたは2つ以上有するジオルガノポリシロキサンが好ましく用いられ、ジメチルポリシロキサン分子中の珪素原子に結合したメチル基の1個以上、特に2〜10個がアルケニル基に置き換わったジメチルポリシロキサンがより好ましく用いられる。 上記した(α)および(β)の硬化性シリコーン組成物で用いる、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、並びに上記(β)の硬化性シリコーン組成物で用いるアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンの分子量は特に制限されず、本発明のポリウレタン組成物層とシリコーン層を有する複合成形体の用途などに応じて、それぞれの用途に適したものを使用することができる。 上記した(α)および(β)の硬化性シリコーン組成物で用いるヒドロシリル化触媒の種類は特に制限されず、従来から用いられているヒドロシリル化触媒のいずれもが使用でき、例えば、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウムなどの貴金属の錯体;有機過酸化物;アゾ化合物などを挙げることができる。 そのうちでも、反応性が高く、取り扱い性に優れる白金錯体、特に塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸溶液を中和した後に脂肪族不飽和炭化水素基含有化合物を配位させたものなどが好ましく用いられる。 本発明のポリウレタン組成物層とシリコーン層が接着積層した構造部分を少なくとも1つ有する複合成形体の製法は特に制限されず、例えば、本発明のポリウレタン組成物を用いて予め形成した成形体や、ポリウレタン組成物層と他の素材からなる複合体におけるポリウレタン組成物層上に硬化性シリコーン組成物を被覆し硬化させて複合成形体を製造する方法;本発明のポリウレタン組成物よりなる部材を金型内に配置(インサート)した状態で硬化性シリコーン組成物を溶融下に金型内に充填して硬化させて接着・一体化させる方法;ポリウレタン組成物および硬化性シリコーン組成物が熱可塑性である場合にポリウレタン組成物と硬化性シリコーン組成物を共押出成形して接着・硬化・一体化させる方法などを採用することができる。 上記したいずれの方法を採用する場合にも、ポリウレタン組成物層とシリコーン層とが強固に接着した複合成形体を得るために、ポリウレタン組成物よりなる層上で硬化性シリコーン組成物を硬化させて、ポリウレタン組成物層とシリコーン層との接着・積層・一体化を行うようにするのがよい。 上記によって得られる本発明の複合成形体は、複合成形体を構成しているポリウレタン組成物からなる層やシリコーンからなる層の性質に応じて、更には複合成形体を構成している他の材料層の材質や性質などに応じて、種々の用途に使用することができる。 何ら限定されるものではないが、例えば、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバーなどの自動車用内装部品;モールなどの自動車外装部品;掃除機バンパー、冷蔵庫当たり、カメラグリップ、電動工具グリップ、家庭用調理器具、リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、携帯電話や家電製品などの押しボタンスイッチに用いられる各種キーシート、ハウジングなどの家電部品;水中眼鏡などのスポーツ用品;各種カバー、耐摩耗性、密閉性、防音性、防振性などを目的とした各種パッキン付き工業部品、カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギアなどの電気・電子部品や日用雑貨などに使用することができ� ��。 また、本発明のポリウレタン組成物は、非粘着性、溶融成形性、および耐摩耗性、引張破断強度、引張破断伸度などで代表される力学的特性に優れ、かつ耐水性、屈曲性、耐油性、弾性回復性などに優れ、残留歪みが小さいという前記した特性に加えて、ポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタン(A)が分子中に構造単位(I)を有していて結晶化傾向が低下しているために、無溶剤型のインキ用バインダーおよびハイソリッドな溶剤型のインキ用バインダーとして極めて有効であり、したがって本発明は、本発明のポリウレタン組成物よりなるインキ用バインダーおよび当該インキ用バインダーを含有するインキ組成物を包含する。 本発明のポリウレタン組成物を用いて溶剤型のインキ用バインダーを調製するに当たっては、有機溶媒として、インキ用の溶剤として従来から使用されている有機溶媒のいずれもが使用でき、特に制限なく、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。 これらの有機溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。 溶剤型のインキ用バインダーでは、インキ用バインダーにおける、ポリウレタン組成物の含有量は特に制限されないが、印刷時の作業性などの観点から、インキ用バインダーの粘度が25℃において50〜100,000cpsの範囲となるように調整することが実用的である。 前記した粘度を有する溶剤型のインキ用バインダーは、通常インキ用バインダー中でのポリウレタン組成物の含有量を5〜80質量%、好ましくは15〜60質量%程度にすることによって得ることができる。 本発明のインキ用バインダーは、必要に応じて、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、アクリル酸エステル系ポリマーなどの従来からインキ用バインダーとして用いられている高分子化合物の1種または2種以上を含有していてもよい。 本発明のインキ用バインダーに、顔料などの着色剤、溶剤、さらに必要に応じてインキ流動性や表面皮膜の改質などのための界面活性剤、ワックス、その他の添加剤を適宜配合し、ボールミル、アトライター、サンドミルなどの通常のインキ製造装置を用いて混練することによってインキ組成物とすることができる。 上記により得られる本発明のインキ組成物は、シリコーンとの接着性に優れると共に、ポリエステル、ナイロンなどのフィルムに対しても優れた接着性を示し、しかも当該インキ組成物を用いて得られる印刷物は、耐ボイル性、耐レトルト性、表面強度、非粘着性、耐油性などの諸物性において従来のインキから形成された印刷物に比べて優れている。 以下に、本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などによって何ら限定されるものではない。 (1)ポリマーポリオールの数平均分子量: (2)インキ用バインダーに用いるポリウレタンの数平均分子量: (3)ポリウレタン組成物の溶融粘度: (4)ポリウレタンの対数粘度: (5)ポリウレタンにおける構造単位(I)の含有量: (6)ポリウレタンの窒素原子含有率: (7)ポリウレタンのアミン価: (8)射出成形性: (9)押出成形性: (10)成形体の硬度: (11)成形体の耐摩耗性: (12)シリコーンとの接着性(複合成形体におけるポリウレタン組成物層とシリコーン層の接着強度): ・硬化性シリコーン組成物液(1) : (iii) 上記(ii)で得られた3層構造の複合成形体を用いて、インストロン・ジャパン社製「インストロン5566」を使用して、室温下、引張速度50mm/分の条件で、中間のシリコーン層を接着剤層と見做して、2つの外層(ポリウレタン組成物層)同士の180度剥離試験を行って、2つの外層を引き剥がすときの抵抗値を測定して、接着強度とした。 (13)ポリウレタン組成物よりなるインキ組成物とシリコーンとの接着性: また、下記の実施例および比較例で用いた化合物に関する略号と内容を以下に示す。 《構造単位(I)を持たないポリマーポリオール[他のポリマーポリオール(a p −2)]》 《有機ポリイソシアネート》 《鎖伸長剤》 《ウレタン化反応触媒》 《ウレタン化反応触媒の失活剤》 《実施例1》 《実施例2〜6》 《比較例1》 《比較例2》 《比較例3》 《比較例4》 《実施例7》 《実施例8》 《実施例9》 上記の表1および3の結果にみるように、実施例1〜9で得られたポリウレタン組成物(1)〜(9)は、ポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタンの分子中に、構造単位(I)をポリウレタンの質量に基づいて0.1〜20質量%の範囲内の量で有し、しかもウレタン化反応触媒として有機チタン化合物、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物または有機ジルコニウム化合物をポリウレタン(A)の質量に基づいて0.1〜2,000ppmの範囲内の量で用いて製造したものであって、ポリウレタン組成物中に含まれるウレタン化反応触媒が有機チタン化合物、有機亜鉛化合物、有機ビスマス化合物または有機ジルコニウム化合物であることにより、非粘着性で射出成形したときに金型から容易に離型し、しかも得られた成形体の� ��面が平滑であって射出成形性に優れており、押出成形したときにフィルムに割れなどの不良現象が生じず、平滑な表面を有し、且つ正常に巻き取ることができ、押出成形性に優れており、適度な硬度で柔軟性、弾性に優れ、摩耗量が少なくて耐摩耗性に優れ、しかもシリコーンと強く接着し、シリコーンとの接着性に優れている。 それに対して、比較例1のポリウレタン組成物は、ポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタンが分子中に構造単位(I)を持たないために、ポリウレタン組成物層とシリコーン層を有する複合成形体を製造しても、ポリウレタン組成物層とシリコーン層との接着強度が極めて低く、シリコーン層が手で容易に剥離してしまい、シリコーンとの接着性に劣っている。 さらに、比較例3のポリウレタン組成物は、ポリウレタン組成物のベースをなすポリウレタンが、分子中に構造単位(I)を有するポリウレタンであるが、構造単位(I)の含有量が20質量%を超えているために、ウレタン化反応触媒として有機チタン化合物を用いて製造したにも拘わらず、粘着性が高いことにより、射出成形したときに金型から容易に離型できず、得られた成形体の表面に変形が生じており、押出成形したときにフィルムに割れなどの不良現象や、表面の荒れなどを生じていて押出成形性に劣って、しかも摩耗量が大きくて、耐摩耗性に劣っている。 《実施例10》 本発明のポリウレタン組成物は、非粘着性で成形装置や金型などに付着しにくく、取り扱い性に優れ、しかも溶融成形性に優れており、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、注型などの任意の成形方法によって、外観に優れる各種成形体を円滑に生産性よく製造することができ、更に非粘着性であるにも拘わらず、シリコーンとの接着性に優れていて、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)を行わなくてもシリコーンと強固に接着して、ポリウレタン組成物層とシリコーン層を有する複合成形体を円滑に製造することができ、その上本発明のポリウレタン組成物をインキ用バインダーとして用いてなるインキ組成物は、非粘着性で、耐摩耗性、表面強度、耐油性などに優れ、非粘� ��性であるにも拘わらず、事前の表面活性化処理(プライマー処理など)をしなくても、シリコーン基材やその他の基材との接着性に優れていて良好な印刷面を形成することができるので、種々の用途に有効に用いることができる。 |