【発明の詳細な説明】 【0001】本発明は形状記憶ポリウレタンフォームに関する。 ポリウレタンフォームは、それらがガラス転移温度(Tg) よりも高い温度で変形され、そしてその変形された状態でTg以下に冷却される場合、変形したまま存続する。 それらは、Tg以上の温度へ加熱される場合、それらの元の形状を回復する。 【0002】ガラス転移温度(Tg)とは、ポリウレタンが動的機械的熱分析(DMTA)により測定される場合のその主ガラス転移を受ける温度を言及する。 フォームの作業温度(通常、室温)よりも高いTgを有するフォームは形状記憶性質を示す。 【0003】形状記憶ポリウレタンフォームはEP−A −361418に記載されている。 それらは、まず、プレポリマーを形成するために、二官能価ポリオール及び二官能価ジイソシアネートを反応せしめ、次に二官能価連鎖延長剤及び発泡剤を添加し、そして最後に、前記得られる混合物を熱硬化することによって得られる。 使用され得る発泡剤は、分解タイプ又は蒸発タイプのいづれかであり得る。 水は言及されておらず、そして例においては、塩素化されたフルオロカーボンが発泡剤として使用されている。 たった1種のフォームが4,4′−MD I及び高いオキシエチレン含有率のポリオールから製造されたが、しかしそれは−6℃のTgを有する。 【0004】高い含有率、たとえば50重量%又はそれ以上のオキシエチレンを有するポリオールが、フォームが連続気泡構造を有することを確保するために柔軟フォーム配合物に少量の添加剤としてしばしば使用される。 これに反して、通常のイソシアネートと共に高濃度でのそれらのポリエーテルの使用は、独立気泡フォームをもたらす。 【0005】周囲温度以上のTgを有する形状記憶フォームが、高いオキシエチレン含有率の高濃度ポリオール、実質的に純粋な4,4′−MDI又はその誘導体及び水から都合良く製造され得ることが見出された。 本発明のフォームは価値ある性質を示し、そして広範囲の用途に用いられ得る。 【0006】従って、本発明によれば、水を含んで成る発泡剤の存在下でポリイソシアネート成分及びポリオール組成物を含んで成る反応混合物から形状記憶ポリウレタンフォームを製造するための方法が提供され、ここで前記ポリイソシアネート成分は少なくとも70重量%及び好ましくは少なくとも85重量%の4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート又はその変体を含み、そして前記ポリオール組成物はオキシエチレン残基を含む少なくとも1つのポリオキシアルキレンポリオールを含んで成り、そして2.2〜6の平均呼称ヒドロキシル官能価、少なくとも86重量%の平均オキシエチレン含有量及び250〜1500の平均ヒドロキシル当量を有し、 前記水の量がポリオール組成物の重量に基づいて1.5 〜6重量%であり、そして前記イソシアネート指数が9 0〜150であることを特徴とする。 【0007】本発明の方法に使用されるポリイソシアネート成分は、純粋な4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート又はそのジイソシアネートと1又は複数の他の有機ポリイソシアネート、特に他のジフェニルメタンジイソシアネート異性体、たとえば2,4′−異性体、 場合によっては2,2′−異性体の混合物から実質的に成る。 ポリイソシアネート成分はまた、少なくとも70 重量%及び好ましくは少なくとも85重量%の4,4′ −ジフェニルメタンジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物に由来するMDI変体でもあり得る。 M DI変体は当業界において良く知られており、そして本発明に従っての使用のためには、前記ポリイソシアネート組成物中にウレトニミン及び/又はカルボジイミド基を導入することによって及び/又はそのような組成物と1又は複数の低分子量ポリオールとを反応せしめることによって得られる液体生成物を特に包含する。 ポリイソシアネート成分は、2以上のイソシアネート官能価を有する、少量、すなわち30重量%以下及び好ましくは1 5重量%以下のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、たとえばポリマー性又は粗MDIを含んで成る。 好ましくは、ポリイソシアネートのイソシアネート官能価は2.25を越えない。 【0008】ポリオール組成物は、必要とされる官能価、当量及びオキシエチレン含有量を有する単一のポリオキシアルキレンポリオールから成る。 ポリオキシエチレンポリオールが好ましいが、しかし酸化エレチン以外の酸化アルキレンを少量含むポリオール、たとえばポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)ポリオールもまた使用され得る。 そのようなポリオールは当業界において知られており、そしてエチレン及び所望には他の酸化アルキレン並びに開始剤、たとえば平均2.2〜6の活性水素原子を有する、ポリオール、ヒドロキシアミン、ポリアミン及びそれらの混合物を、目的及び/又はいづれかの順序で連続的に反応せしめることによって、従来の態様で得られる。 適切な開始剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、エタノールアミン及びエチレンジアミン並びにそれらの混合物、及びそのような開始剤と2つの活性水素原子を有する開始剤、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール及びブタンジオールとの混合物(但し、そのような混合物は平均2.2〜 6の活性水素原子を有する)を包含する。 【0009】他方、ポリオール組成物は、その合計組成物が必要とされる平均官能価、当量及びオキシエチレン含有量を有するような、複数のポリオキシアルキレンポリオールの混合物を含んで成る。 そのような混合物に存在するポリオキシアルキレンポリオールは好ましくはポリオキシエチレンポリオール又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールであり;少量、たとえば10重量%以下の1又は複数のポリオキシプロピレンポリオールもまた存在し得る。 【0010】本明細書において用語 "平均呼称ヒドロキシル官能価" とは、ポリオール組成物の平均官能価(分子当たりのヒドロキシル基の数)を示すが、但し、そこに存在するポリオキシアルキレンポリオールの平均官能価はそれらの調製に使用される開始剤の平均官能価(分子当たりの活性水素原子の数)と同一であるという仮定に基づかれているが、但し、実際、それはいくらかの末端不飽和のためにいく分低いであろう。 【0011】ポリオール組成物の平均呼称ヒドロキシル官能価は好ましくは4〜6であり、最っとも好ましいポリオキシアルキレンポリオールはヘキソールである。 好ましいポリオール組成物はさらに、少なくとも95重量%の平均オキシエチレン含有量及び250〜1000及び最っとも好ましくは250〜600の平均ヒドロキシル当量を有する。 【0012】所望には、ポリオキシアルキレンポリオール(又は混合物が使用される場合、1又は複数のポリオキシアルキレンポリオール)は、分散されたポリマー粒子を含むことができる。 そのようなポリマー変性ポリオールは当業界において十分に知られており、そして1又は複数のビニルモノマー、たとえばアクリロニトリル及びスチレンのポリオキシアルキレンポリオールにおける現場重合により、又はポリイソシアネートとアミノ−又はヒドロキシ−官能化合物、たとえばトリエタノールアミンとのポリオキシアルキレンポリオールにおける現場反応により得られる生成物を包含する。 【0013】本発明の方法に使用するための発泡剤は、 水であり、場合によっては物理的発泡剤、たとえば低沸点オルガノフルオロ化合物と共に水が使用され得る。 発泡剤の量は、所望するフォーム密度を達成するために既知の手段で変えられ得るが、水の適切な量はポリオール組成物の重量に基づいて1.5〜6重量%である。 好ましくは水は、ポリオール組成物の重量に基づいて1.5 〜5重量%の量で使用される唯一の発泡剤である。 ポリオール組成物、水及びいづれか他のイソシアネート反応性種、たとえば連鎖延長剤又は架橋剤を考慮して、使用されるイソシアネート指数は90〜150である。 イソシアネート指数は、NCO基の数及び活性水素原子の数の比×100である。 【0014】フォーム形成反応混合物は、そのような反応混合物に従来の1又は複数の添加剤を含むことができる。 そのような添加剤は、触媒、たとえば第三アミン及び錫化合物、界面活性剤及びフォーム安定剤、たとえばシロキサン−オキシアルキレンコポリマー、連鎖延長剤、たとえば低分子量ジオール又はジアミン、架橋剤、 たとえばトリエタノールアミン、難燃剤、有機及び無機充填剤、顔料、いわゆる煮沸−フォーム効果を抑制するための剤、たとえばポリジメチルシロキサン及び内部離型剤を包含する。 触媒はフォーム形成反応混合物に添加され得るが、反応は好ましくは、触媒の不在下で行なわれる。 【0015】従って、追加の観点において、本発明は、 (i)少なくとも85重量%の4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート又はその変体を含むポリイソシアネート成分; (ii) オキシエチレン残基を含む少なくとも1つのポリオキシアルキレンポリオールを含んで成るポリオール組成物、ここで前記ポリオール組成物は2.2〜6の平均呼称ヒドロキシル官能価、250〜1500の平均ヒドロキシル当量及び少なくとも86重量%の平均オキシエチレン含有量を有し; (iii)水を含んで成る発泡剤;及び場合によっては、 (iv) フォーム配合において通常である1又は複数の添加剤を含んで成る反応システムを提供する。 【0016】本発明の方法を操作する場合、既知のワン−ショット技法が好ましいが、しかしセミプレポリマー及びプレポリマー法もまた使用され得る。 フォームはスラグ材又は成形品の形で生成され得る。 本発明のフォームは、容易に再循環され、そして従来のエネルギー吸収用途、たとえばバンパー及び自動車ドアにおける横衝撃ボルスター、並びに絶縁又は包装目的のための軽重量代用物として適切である。 本発明は次の例により例示されるが、それらは本発明を限定するものではなく、そして特にことわらない限り、すべての部、%及び比は重量によってである。 【0017】 【実施例】 例フォームを、ワン−ショット技法を用いて、下記表1及び2に与えられる配合物をベンチ混合することによって製造した。 フォーム反応混合物を開放鋳型に注いだ。 5 分間、硬化した後、フォームを取出し、そして手で粉砕した。 【0018】 【表1】 【0019】 【表2】 【0020】ポリオールA:1800の分子量を有するポリオキシエチレンソルビトール。 ポリオールB:600の分子量を有するポリエチレングリコール。 ポリオールC:3500の分子量及び50%のランダムオキシエチレン基を有するグリセロール開始のポリオキシプロピレンオキシエチレントリオール。 ポリオールD:2000の分子量を有するポリオキシプロピレングリコール。 ポリオールE:1025の分子量を有するポリオキシプロピレングリコール。 ポリオールF:425の分子量を有するポリオキシプロピレングリコール。 ポリオールG:約4000の分子量及び77%のランダムオキシエチレン含有率を有するトリメチロールプロパン開始のポリオキシエチレンオキシプロピレントリオール。 触媒1:DABCO33LV;Air Product sから入手できる(DABCOはAir Produc tsの商標である)。 触媒2:0.87%のジブチル錫ジラウレート及び0. 13%のD80/20(DABCO及びジメチルエタノールアミンの混合物)の混合物。 ポリイソシアネートI:71%の4,4′−MDI、及び29.3%のNCO−含有率を有するウレトニミン変性4,4′−MDI27%を含むMDI−組成物。 ポリイソシアネートII:39%の4,4′−MDIを含む、30.7%のNCO−含有率を有するポリマーMD I。 ポリイソシアネートIII : 4,4′MDI及びポリイソシアネートIの50/50w/w混合物。 NM:測定されなかった。 コメント1:形状記憶フォームは得られなかった。 コメント2:フォームは得られなかった。 【0021】実験1〜7、及び16及び17は本発明によるものである。 比較実験8〜10においては、許容できるフォームを製造することは不可能であった。 実験8 で得られるフォームの気泡は、完全に独立化され、そしてフォームは粉砕され得ず、実験9においては、フォームは煮沸効果のためにその配合では製造されず、そして実験10においては、フォームは柔軟であり、そして形状記憶性質を有さなかった。 実験11〜13においては、形状記憶フォームは製造されず、この事は低過ぎる及び高過ぎるイソシアネート指数が使用され得ないことを示す。 実験14及び15は、形状記憶をもたらさず、 この事は水の量が限界範囲間に維持されるべきであることを示す。 実験18は、4,4′−MDIの比較的低い量で、フォームは形状記憶性質を弱めることを示す。 フロントページの続き (51)Int.Cl. 5識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 101:00) C08L 75:04 8620−4J (72)発明者 ステファン エドバルト レオ ヘルセマ ンス ベルギー国,ベー−1731 ツェリク,ブリ ュッセルセステーンベク 840 |