ゲル粒子、インク組成物及びその製造方法、感光性組成物、並びに画像形成方法

申请号 JP2016551664 申请日 2015-08-31 公开(公告)号 JP6343020B2 公开(公告)日 2018-06-13
申请人 富士フイルム株式会社; 发明人 佐藤 憲晃; 鈴木 昭太;
摘要
权利要求

重合性基を有し、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む三次元架橋構造を有し、光重合開始剤を内包しているゲル粒子と、と、を含有するインクジェット用インク組成物。前記光重合開始剤が、カルボニル化合物及びアシルホスフィンオキシド化合物の少なくとも一方を含む請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。前記ゲル粒子は表面に親水性基を有する請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用インク組成物。前記親水性基が、ポリエーテル構造を有する基、カルボン酸基、及びカルボン酸基の塩から選択される少なくとも1種である請求項3に記載のインクジェット用インク組成物。前記ゲル粒子はさらに重合性モノマーを内包している請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。前記三次元架橋構造が、下記一般式(2)で表される3官能以上のイソシアネート化合物と、水と、の反応生成物の構造を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。 (一般式(2)中、Xは(l+m+n)価の有機基を表し、l、m、及びnは、それぞれ0以上であり、l+m+nは3以上である。Y1、Y2、及びY3は、それぞれ独立に、O、S、又はNHを表す。R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキレン基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)前記三次元架橋構造が、下記一般式(2)で表される3官能以上のイソシアネート化合物と、ポリエチレンオキシドのモノエーテル体と、水と、の反応生成物の構造を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。 (一般式(2)中、Xは(l+m+n)価の有機基を表し、l、m、及びnは、それぞれ0以上であり、l+m+nは3以上である。Y1、Y2、及びY3は、それぞれ独立に、O、S、又はNHを表す。R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキレン基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)前記ゲル粒子はさらに増感剤を内包している請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。前記ゲル粒子の外部に、さらに重合性化合物を含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。前記ゲル粒子の外部に、さらに光重合開始剤を含有する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。前記ゲル粒子の全固形分量が、インクジェット用インク組成物の全固形分に対して50質量%以上である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。前記ゲル粒子の体積平均粒子径が0.01μm〜10.0μmである、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法であって、 光重合開始剤、3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、及び有機溶媒を含む油相成分、並びに、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分から選ばれるいずれかの油相成分と、水を含む水相成分と、を混合し、乳化させて乳化物を得る乳化工程と、 前記乳化物を加熱してゲル化させるゲル化工程と、 を有するインクジェット用インク組成物の製造方法。前記3官能以上のイソシアネート化合物が、下記一般式(2)で表される3官能以上のイソシアネート化合物である請求項13に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法。 (一般式(2)中、Xは(l+m+n)価の有機基を表し、l、m、及びnは、それぞれ0以上であり、l+m+nは3以上である。Y1、Y2、及びY3は、それぞれ独立に、O、S、又はNHを表す。R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキレン基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアリーレン基である。)前記3官能以上のイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種から誘導されたイソシアネート化合物である請求項13に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法。前記油相成分又は前記水相成分は界面活性剤を更に含む、請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物の製造方法。請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物を、インクジェット法により記録媒体上に付与するインク付与工程と、 前記記録媒体上に付与されたインクジェット用インク組成物に、活性エネルギー線を照射する照射工程と、 を含む画像形成方法。

说明书全文

本開示は、ゲル粒子、インク組成物及びその製造方法、感光性組成物、並びに画像形成方法に関する。

画像データ信号に基づき、紙などの記録媒体に画像を形成する画像形成方法として、電子写真方式、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式、及びインクジェット方式などがある。例えば、インクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、且つ、必要とされる画像部のみにインクを吐出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像形成方法として優れている。

インクジェット方式によれば、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸性の記録媒体にも画像を形成することが可能である。ところが非吸収性の記録媒体に付与されたインク組成物は、記録媒体に吸収されないため、記録の高速化及び高画質化をするには、感度よく重合反応が進行して、硬化膜を形成できることが望ましい。

インクジェット方式の一つとして、活性エネルギー線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた画像形成方法がある。この方法によれば、インク吐出後直ちに又は一定の時間後に活性エネルギー線を照射し、インク液滴を硬化させることで、記録速度が向上し画像を形成することができる。

紫外線などの活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクの高感度化を達成することにより、活性エネルギー線に対して良好な硬化性が付与され、インクジェット記録の生産性向上に寄与する。

上記との関連において、特開2013−199602号公報には、水や溶剤の存在下での紫外線照射による硬化性を維持しつつ、吐出安定性に優れたインクジェット用インク組成物として、水と、色材と、ラジカル重合性基を有する化合物からなる樹脂エマルジョンと、無機粒子ディスパージョンと、光ラジカル開始剤と、を含むインクジェット用インク組成物が開示されている。

また、特許第4253432号公報には、インクジェット記録用のインク組成物ではないが、良好な機上現像性を有し、高感度で耐擦性の良好な平版印刷用原版として、ラジカル重合性基を有する化合物を含有する微粒子及びラジカル重合性基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分、架橋されていない親水性樹脂、熱ラジカル発生剤並びにポリメチン染料がシアニン染料である原版が開示されている。 特開2011−213114号公報には、赤外線レーザー露光により、高発色で発色後の退色が少なく、更に保存安定性が良好な発色感光性組成物として、ガラス転移温度が50℃以上であるポリマーと、光開始剤と、赤外線吸収染料と、を内包したミクロゲル、及びバインダーポリマーを含有する発色感光性組成物が開示されている。 また、特開2009−515018号公報には、化学線の排除下で貯蔵安定性が高く、沈殿、凝集が生じにくく、高い光沢性を有し、化学薬品、凝集水及び機械的作用に対して安定性の高い塗膜を形成するスラリーとして、オレフィン系不飽和二重結合を有するラジカル架橋可能なバインダーを含有する粉末水分散液が開示されている。

しかしながら、特開2013−199602号公報に示されたインク組成物は、樹脂エマルジョンを用いているため、活性エネルギー線に対する感度及び再分散性が十分ではなかった。また、特許第4253432号公報、特開2011−213114号公報、及び特開2009−515018号公報に示された組成物は、いずれも活性エネルギー線に対する感度が低く、膜強度も十分とはいい難い傾向にあった。

本発明の一実施形態は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、分散性、及び固化が発生した場合の再分散性に優れ、かつ、高感度に硬化し、膜強度に優れた膜(例えば、画像)が得られるゲル粒子、インク組成物及びその製造方法、及び感光性組成物、並びに高感度に硬化し、膜強度に優れた画像が得られる画像形成方法を提供することを課題とする。 なお、再分散性とは、インク組成物に含まれた水が蒸発し、ゲル粒子が析出して固化したときに、固化物に新たなインク組成物が供給されることで、ゲル粒子がインク組成物中に再び分散する性質を意味する。

課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。 <1> 重合性基を有し、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む三次元架橋構造を有し、光重合開始剤を内包しているゲル粒子。

<2> 光重合開始剤が、カルボニル化合物及びアシルホスフィンオキシド化合物の少なくとも一方を含む<1>に記載のゲル粒子。 <3> 表面に親水性基を有する<1>又は<2>に記載のゲル粒子。 <4> 親水性基が、ポリエーテル構造を有する基、カルボン酸基、及びカルボン酸基の塩から選択される少なくとも1種である<3>に記載のゲル粒子。

<5> さらに重合性モノマーを内包している<1>〜<4>のいずれか1つに記載のゲル粒子。 <6> さらに増感剤を内包している<1>〜<5>のいずれか1つに記載のゲル粒子。

<7> <1>〜<6>のいずれか1つに記載のゲル粒子と、水と、を含有するインク組成物。 <8> ゲル粒子の外部に、さらに重合性化合物を含有する<7>に記載のインク組成物。 <9> ゲル粒子の外部に、さらに光重合開始剤を含有する<8>に記載のインク組成物。 <10> ゲル粒子の全固形分量が、インク組成物の全固形分に対して50質量%以上である<7>〜<9>のいずれか1つに記載のインク組成物。

<11> <7>〜<10>のいずれか1つに記載のインク組成物の製造方法であって、光重合開始剤、3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、及び有機溶媒を含む油相成分、並びに、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分から選ばれるいずれかの油相成分と、水を含む水相成分と、を混合し、乳化させて乳化物を得る乳化工程と、乳化物を加熱してゲル化させるゲル化工程と、を有するインク組成物の製造方法。 <12> 3官能以上のイソシアネート化合物が、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種から誘導されたイソシアネート化合物である<11>に記載のインク組成物の製造方法。 <13> <1>〜<6>のいずれか1つに記載のゲル粒子と、水と、を含有する感光性組成物。

<14> <7>〜<10>のいずれか1つに記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む画像形成方法。

本発明の一実施形態によれば、分散性、及び固化が発生した場合の再分散性に優れ、かつ、高感度に硬化し、膜強度に優れた膜(例えば、画像)が得られるゲル粒子、インク組成物及びその製造方法、及び感光性組成物、並びに高感度に硬化し、膜強度に優れた画像が得られる画像形成方法が提供される。

以下、本発明の一実施形態のインク組成物について詳細に説明する。 本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。 本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。

本明細書において、「光」は、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線といった活性エネルギー線を包含する概念である。 本明細書では、紫外線を、「UV(Ultra Violet)光」ということがある。 本明細書では、LED(Light Emitting Diode)光源から生じた光を、「LED光」ということがある。

<インク組成物> インク組成物は、重合性基を有し、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む三次元架橋構造を有し、光重合開始剤を内包しているゲル粒子と、水と、を含有する。 インク組成物は、インクジェット記録に好適に用いることができる。 「インク組成物」には、着色剤を含有するインクと着色剤を含有しない無色のインク(クリアインク)とが包含される。

本発明の一実施形態における作用機構の詳細は不明であるが、以下のように推測される。 インク組成物は、光重合開始剤を内包しているゲル粒子が重合性基を有することで、活性エネルギー線の照射により、光重合開始剤から生じる活性種の作用でゲル粒子の表面または内部に存在する重合性基が隣接する粒子の重合性基と結合して架橋構造を形成する。このとき、光重合開始剤と重合性基がいずれもゲル粒子に存在するため、高感度に硬化し、膜強度に優れた画像が得られると考えられる。また、ゲル粒子が、三次元架橋構造を有することで、耐水性や耐溶剤性などの膜強度に優れた膜が形成されると考えられる。 さらに、ゲル粒子が光重合開始剤を内包していることで、光重合開始剤自体の水分散性を考慮する必要がなく、水に対する分散性又は溶解性の低い光重合開始剤(例えば、水への溶解度が25℃において1.0質量%以下である光重合開始剤)をも用いることができる。そのため、例えば、高感度であるが水への分散性が低い又は溶解性が低いため、従来、水性のインク組成物には用いることが難しかったケトン系やアシルホスフィン系の光重合開始剤を用いることができる。これにより、本発明の一実施形態のインク組成物では、従来のインク組成物に比べ、再分散性と高感度とを兼ね備えたインク組成物を実現できると考えられる。 また、ゲル粒子が光重合開始剤を内包していることで、使用する光重合開始剤の選択の幅が広がり、ひいては、用いられる光源の選択の幅も広がる。そのため、インク組成物は、従来よりも硬化感度を向上し得る。

例えば、アシルホスフィンオキシド化合物は、活性エネルギー線の照射に対する硬化感度に特に優れた光重合開始剤である。 しかしながら、アシルホスフィンオキシド化合物は、水に対する溶解性が低いため、従来は、水系の組成物には含有させることが難しかった。 本発明の一実施形態のインク組成物では、ゲル粒子が光重合開始剤を内包することにより、光重合開始剤として、光に対する感度に優れるが水への溶解性が低い、アシルホスフィンオキシド化合物等の光重合開始剤を選択することができる。 光重合開始剤がアシルホスフィンオキシド化合物である場合、光に対する感度、特に、LED光に対する感度が向上する。 LED光の波長としては、355nm、365nm、385nm、395nm、又は405nmが好ましい。

(内包) 本明細書中において、例えば、「光重合開始剤がゲル粒子に内包されている」とは、光重合開始剤がゲル粒子の内部に含まれていることを意味する。ここでいう「ゲル粒子の内部」とは、三次元架橋構造の空隙を意味する。 本発明の一実施形態のインク組成物では、膜の硬化感度の観点から、光重合開始剤の内包率(質量%)が、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が更に好ましく、97質量%以上が更に好ましく、99質量%以上が特に好ましい。 インク組成物に光重合開始剤が2種以上含まれる場合、少なくとも1種類の光重合開始剤の内包率が上記の範囲であることが好ましい。 ここで、光重合開始剤の内包率(質量%)とは、インク組成物を調製した場合のインク組成物中の光重合開始剤の全量に対する、ゲル粒子に内包されている光重合開始剤の量を意味し、以下のようにして求められた値を指す。

−光重合開始剤の内包率(質量%)の測定方法− 以下の操作を、液温25℃の条件で行う。 以下の操作は、インク組成物が顔料を含有していない場合にはこのインク組成物をそのまま用いて行い、インク組成物が顔料を含有している場合には、まず、遠心分離によってインク組成物から顔料を除去し、顔料が除去されたインク組成物に対して行う。 まず、光重合開始剤の内包率(質量%)の測定対象であるインク組成物を調製し、調製したインク組成物から、同質量の試料を2つ(以下、「試料1」及び「試料2」とする。)採取する。 試料1に対し、この試料1中の全固形分に対して100質量倍のテトラヒドロフラン(THF)を加えて混合し、希釈液を調製する。得られた希釈液に対し、80,000rpm(round per minute;以下同じ。)、40分の条件の遠心分離を施す。遠心分離によって生じた上澄み液(以下、「上澄み液1」とする。)を採取する。この操作により、試料1に含まれていた全ての光重合開始剤が、上澄み液1中に抽出されると考えられる。採取された上澄み液1中に含まれる光重合開始剤の質量を、液体クロマトグラフィー(例えば、Waters社の液体クロマトグラフィー装置)によって測定する。得られた光重合開始剤の質量を、「光重合開始剤の全量」とする。 また、試料2に対し、上記希釈液に施した遠心分離と同じ条件の遠心分離を施す。遠心分離によって生じた上澄み液(以下、「上澄み液2」とする。)を採取する。この操作により、試料2において、ゲル粒子に内包されていなかった(即ち、遊離していた)光重合開始剤が、上澄み液2中に抽出されると考えられる。採取された上澄み液2中に含まれる光重合開始剤の質量を、液体クロマトグラフィー(例えば、Waters社の液体クロマトグラフィー装置)によって測定する。得られた光重合開始剤の質量を、「光重合開始剤の遊離量」とする。 上記「光重合開始剤の全量」及び上記「光重合開始剤の遊離量」に基づき、下記の式に従って、光重合開始剤の内包率(質量%)を求める。 光重合開始剤の内包率(質量%) = ((光重合開始剤の全量−光重合開始剤の遊離量)/光重合開始剤の全量)×100

インク組成物が2種以上の光重合開始剤を含む場合には、2種以上の光重合開始剤の合計量を「光重合開始剤の全量」とし、2種以上の光重合開始剤の遊離量の合計を「光重合開始剤の遊離量」として2種以上の光重合開始剤全体の内包率を求めてもよく、いずれか1つの光重合開始剤の量を「光重合開始剤の全量」とし、上記いずれか1つの光重合開始剤の遊離量を「光重合開始剤の遊離量」として上記いずれか1つの光重合開始剤の内包率を求めてもよい。

光重合開始剤以外の成分がゲル粒子に内包されているか否かについても、光重合開始剤が内包されているか否かを調べる方法と同様の方法によって確認することができる。 但し、分子量1,000以上の化合物については、上記の上澄み液1及び上澄み液2に含まれる化合物の質量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、それぞれ「化合物の全量」及び「化合物の遊離量」とし、化合物の内包率(質量%)を求める。

ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8020GPC(東ソー(株))を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super Multipore HZ−H(4.6mmID×15cm、東ソー(株))を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。また、測定条件としては、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。 検量線は、東ソー(株)の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、及び「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製できる。

(三次元架橋構造) 「三次元架橋構造」とは、架橋によって形成された立体的な網目構造を指す。本発明の一実施形態のインク組成物では、粒子内で三次元架橋構造が形成されることにより、ゲル粒子が形成されている。 即ち、本明細書中において、粒子が三次元架橋構造を有することと、粒子がゲル粒子であることとは同義である。

インク組成物が三次元架橋構造を有するゲル粒子を含むことは、以下のようにして確認する。以下の操作を、液温25℃の条件で行う。 また、以下の操作は、インク組成物が顔料を含有していない場合にはこのインク組成物をそのまま用いて行い、インク組成物が顔料を含有している場合には、まず、遠心分離によってインク組成物から顔料を除去し、顔料が除去されたインク組成物に対して行う。 インク組成物から試料を採取する。採取した試料に対し、この試料中の全固形分に対して100質量倍のテトラヒドロフラン(THF)を加えて混合し、希釈液を調製する。得られた希釈液に対し、80000rpm、40分の条件の遠心分離を施す。遠心分離後に、残渣があるかどうかを目視で確認する。残渣がある場合、残渣を水で再分散させて再分散液を調製し、得られた再分散液について、湿式粒度分布測定装置(LA−910、(株)堀場製作所製)を用い、光散乱法によって粒度分布を測定する。 以上の操作によって粒度分布が確認できた場合を、インク組成物が三次元架橋構造を有するゲル粒子を含むと判断する。

(ゲル粒子が有する重合性基) 本明細書において、「ゲル粒子が重合性基を有する」とは、ゲル粒子が、三次元架橋構造に含まれる重合性基、及び、三次元架橋構造に含まれない重合性基の少なくとも一方を有することを意味する。 即ち、ゲル粒子において、重合性基は、三次元架橋構造の一部として存在していてもよいし、三次元架橋構造以外の部分として存在していてもよい。 「重合性基が三次元架橋構造以外の部分として存在する」とは、ゲル粒子に、三次元架橋構造とは別に、重合性基を有するモノマー(以下、「重合性モノマー」ともいう。)が含まれていることを指す。 いずれの場合においても、重合性基は、ゲル粒子の表面部分(水との接触部分)に存在していることが好ましい。 「ゲル粒子が重合性基を有する」ことは、例えば、フーリエ変換赤外線分光測定(FT-IR)分析によって確認することができる。 ゲル粒子が有する重合性基、及び重合性基を有するモノマー(重合性モノマー)の詳細については、後述する。

[ゲル粒子] インク組成物は、重合性基を有し、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む三次元架橋構造を有し、光重合開始剤を内包しているゲル粒子を含有する。 ゲル粒子に内包されている光重合開始剤は、ゲル粒子の三次元架橋構造の空隙に、三次元架橋構造とは結合せずに存在しているものを含む。 なお、本明細書においては、三次元架橋構造の空隙に存在する光重合開始剤等も含めて「ゲル粒子」とする。 インク組成物は、上記の粒子を含むことで、分散性、及び固化が発生した場合の再分散性に優れ、かつ、高感度に硬化し、膜強度(耐水性、耐溶剤性)に優れた膜が得られる。

ゲル粒子が、重合性基を有することで、隣接するゲル粒子同士が架橋することができ、膜を形成することができる。 ゲル粒子が、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む三次元架橋構造を有することで、膜強度に優れた画像が得られる。また、機械的強度の高い画像が得られる。 ゲル粒子が、光重合開始剤を内包することで、高感度で硬化し、架橋性も高い。 ゲル粒子の用途としては、特に限定されず、インク組成物以外の用途、例えば、コーティング剤、接着剤、塗料等にも用いることができる。

三次元架橋構造は、3官能以上のイソシアネート化合物又は2官能のイソシアネート化合物と水又は2つ以上の活性水素基を有する化合物との反応により形成できる。ゲル粒子を製造する際の原料として、3つ以上の反応性基(イソシアネート基又は活性水素基)を有する化合物を少なくとも1種含むため、架橋反応が三次元で進行し、立体的な網目構造を形成する。 ゲル粒子における三次元架橋構造は、3官能以上のイソシアネート化合物と水との反応により形成された生成物であることが好ましい。

(3官能以上のイソシアネート化合物) 3官能以上のイソシアネート化合物は、分子内に3つ以上のイソシアネート基を有する化合物であり、後述の方法により合成した化合物、及び公知の化合物を使用することができる。3官能以上のイソシアネート化合物としては、例えば、3官能以上の芳香族イソシアネート化合物、3官能以上の脂肪族イソシアネート化合物などが挙げられる。 公知の化合物としては例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている化合物が挙げられる。

3官能以上のイソシアネート化合物は、下記一般式(1)で表される分子内に3つ以上のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。

一般式(1)中、X1はn価の有機基を表す。 一般式(1)中、nは3以上である。nは3〜10が好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。

3官能以上のイソシアネート化合物は、2官能のイソシアネート化合物(分子中に2つのイソシアネート基を有する化合物)から誘導された化合物であることが好ましい。3官能以上のイソシアネート化合物は、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種から誘導されたイソシアネート化合物であることがより好ましい。 なお、「誘導された」とは、原料に上記の化合物を用い、原料に由来する構造を含むことを意味する。

また、3官能以上のイソシアネート化合物としては、例えば、2官能以上のイソシアネート化合物(分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物)と3官能以上のポリオール、ポリアミン、及びポリチオールなどの分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物とのアダクト体(付加物)として3官能以上としたイソシアネート化合物(アダクト型)、2官能以上のイソシアネート化合物の3量体(ビウレット型又はイソシアヌレート型)、並びにベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物などの分子内に3つ以上のイソシアネート基を有する化合物も好ましい。 これらの3官能以上のイソシアネート化合物は、複数の化合物が含まれる混合物であってもよく、以下に示す一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物がこれら混合物の主成分であることが好ましく、他の成分を含んでいてもよい。

−アダクト型− アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物は、下記一般式(2)又は一般式(3)で表される化合物が好ましい。

一般式(2)及び一般式(3)中、Xは(l+m+n)価の有機基を表し、l、m、及びnは、それぞれ0以上であり、l+m+nは3以上である。l+m+nは3〜10が好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。 一般式(2)及び一般式(3)中、Y1、Y2、Y3、Y4、及びY5は、それぞれ独立に、O、S、又はNHを表し、O又はSが好ましく、Oがより好ましい。 一般式(2)及び一般式(3)中、Zは2価の有機基を表す。

一般式(2)及び一般式(3)中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、2価の有機基を表す。R1、R2、R3、R4、及びR5で表される有機基は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキレン基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアリーレン基であることが好ましい。R1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、下記(3−1)〜(3−11)、(4−1)〜(4−2)、及び(5−1)〜(5−7)で表される基から選択される基であることがより好ましい。なお、*は連結部位を示す。

一般式(2)及び一般式(3)中、R1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)から誘導される基(5−3)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から誘導される基(5−7)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)から誘導される基(5−5)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンから誘導される基(5−4)、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)から誘導される基(5−1)、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから誘導される基(5−2)のいずれかであることがより好ましい(*は連結部位を示す)。

アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物の合成は、後述の分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物と後述の2官能以上のイソシアネート化合物とを反応させることで行うことができる。なお、活性水素基とはヒドロキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びメルカプト基を意味する。

アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物は、例えば、分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物と2官能以上のイソシアネート化合物とを有機溶剤中で、攪拌しながら加熱(50℃〜100℃)することにより、又はオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら低温(0℃〜70℃)で攪拌することで得ることができる(下記合成スキーム1)。 一般に、分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物と反応させる2官能以上のイソシアネート化合物のモル数(分子数)は、分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物における活性水素基のモル数(活性水素基の当量数)に対し、0.6倍以上のモル数(分子数)の2官能以上のイソシアネート化合物が使用される。2官能以上のイソシアネート化合物のモル数は、上記の活性水素基のモル数の0.6倍〜5倍が好ましく、0.6倍〜3倍がよりに好ましく、0.8倍〜2倍がさらに好ましい。

また、アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物は、分子中に2つの活性水素基を有する化合物と2官能以上のイソシアネート化合物との付加物(プレポリマー)を合成後、このプレポリマーと分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物を反応させることにより得ることもできる(下記合成スキーム2)。

2官能以上のイソシアネート化合物としては、例えば、2官能以上の芳香族イソシアネート化合物、2官能以上の脂肪族イソシアネート化合物などを挙げることができる。

2官能以上のイソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、p−キシリレンジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、1,3−ビス(2−イソシアナト−2−プロピル)ベンゼンなどが挙げられる。 これらの2官能以上のイソシアネート化合物の中でも、下記(8−1)〜(8−24)に示す構造の化合物が好ましい。

これらの2官能以上のイソシアネート化合物の中でも、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートが好ましい。

また、2官能以上のイソシアネート化合物としては、上記の化合物から誘導される2官能のイソシアネート化合物も使用することができる。例えば、デュラネート(登録商標)D101、D201、A101(旭化成株式会社製)などが挙げられる。

分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物は、ヒドロキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びメルカプト基から選ばれる少なくとも1種の基を分子中に3つ以上有する化合物であり、例えば、下記(9−1)〜(9−13)で表される構造の化合物が挙げられる。なお、下記の構造において、nは、1〜100から選択される整数を表す。

アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物は、下記表1に示す組み合わせで分子中に2つ以上の活性水素基を有する化合物と2官能以上のイソシアネート化合物とを反応させた化合物を用いることが好ましい。

アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物は、上記表1に示した化合物の中で、NCO102〜NCO105、NCO107、NCO108、NCO111、及びNCO113がより好ましい。

アダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、D−102、D−103、D−103H、D−103M2、P49−75S、D−110、D−120N、D−140N、D−160N(三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)L75、UL57SP(住化バイエルウレタン株式会社製)、コロネート(登録商標)HL、HX、L(日本ポリウレタン株式会社製)、P301−75E(旭化成株式会社製)などが挙げられる。

これらのアダクト型の3官能以上のイソシアネート化合物の中でも、D−110、D−120N、D−140N、D−160N(三井化学株式会社製)がより好ましい。

−ビウレット型又はイソシアヌレート型− ビウレット型又はイソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物は、下記一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物が好ましい。

一般式(4)及び一般式(5)中、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、それぞれ独立に、2価の有機基を表す。R6、R7、R8、R9、R10、及びR11で表される有機基は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキレン基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、又は炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアリーレン基であることが好ましい。R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、それぞれ独立に、既述の(3−1)〜(3−11)、(4−1)〜(4−2)、及び(5−1)〜(5−7)で表される基から選択される基が好ましい。なお、*は連結部位を示す。

一般式(4)及び一般式(5)中、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、それぞれ独立に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)から誘導される基(5−3)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から誘導される基(5−7)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)から誘導される基(5−5)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンから誘導される基(5−4)、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)から誘導される基(5−1)、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから誘導される基(5−2)であることがより好ましい(*は連結部位を示す)。

ビウレット型の3官能以上のイソシアネート化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、D−165N、NP1100(三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)N3200(住化バイエルウレタン)、デュラネート(登録商標)24A−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。 また、イソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、D−127、D−170N、D−170HN、D−172N、D−177N(三井化学株式会社製)、スミジュールN3300、デスモジュール(登録商標)N3600、N3900、Z4470BA(住化バイエルウレタン)、コロネート(登録商標)HX、HK(日本ポリウレタン株式会社製)、デュラネート(登録商標)TPA−100、TKA−100、TSA−100、TSS−100、TLA−100、TSE−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。

これらのビウレット型及びイソシアヌレート型の3官能以上のイソシアネート化合物の中でも、デュラネート(登録商標)24A−100(旭化成株式会社製)、D−127(三井化学株式会社製)、TKA−100、及びTSE−100(旭化成株式会社製)がより好ましい。

(水又は2つ以上の活性水素基を有する化合物) ゲル粒子は、既述の3官能以上のイソシアネート化合物と、水又は2つ以上の活性水素基を有する化合物と、を反応させて製造されることが好ましい。 3官能以上のイソシアネート化合物と反応させる化合物としては、一般に水が使用される。3官能以上のイソシアネート化合物と水とが反応することで、ウレア結合を有する三次元架橋構造が形成される。 また、水以外に3官能以上のイソシアネート化合物と反応させる化合物として、2つ以上の活性水素基を有する化合物が挙げられ、2つ以上の活性水素基を有する化合物として、多官能アルコール、多官能フェノール、窒素原子上に水素原子を有する多官能アミン、多官能チオールも用いることができる。

多官能アルコールの具体例としては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタンなどが挙げられる。 多官能アミンの具体例としては、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどが挙げられる。 多官能チオールの具体例としては、1,3−プロパンジチオール、1,2−エタンジチオールなどが挙げられる。 多官能フェノールの具体例としては、ビスフェノールAなどが挙げられる。 これらの化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

なお、2つ以上の活性水素基を有する化合物には、既述の分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物も含まれる。

(ゲル粒子の重合性基) ゲル粒子は、重合性基を有する。 ゲル粒子は、三次元架橋構造中に重合性基が導入されることにより重合性基を有していてもよく、重合性モノマーがゲル粒子の内部(三次元架橋構造の空隙)に含まれることにより重合性基を有していてもよい。また、その両方が併存してもよい。 ゲル粒子の内部に重合性モノマーが含まれない場合、ゲル粒子は、三次元架橋構造中に重合性基を有する。 ゲル粒子は、感度及び架橋性の観点から表面、又はゲル粒子の表面と表面付近に重合性基を有することが好ましい。

ゲル粒子が重合性基を有することで、活性エネルギー線の照射により、互いに隣接するゲル粒子同士が結合し架橋構造を形成することができ、架橋性が高く、膜強度に優れた画像を形成することができる。

ゲル粒子への重合性基の導入方法としては、例えば、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を有する三次元架橋構造を形成する際に、既述の3官能以上のイソシアネート化合物と、水又は既述の2つ以上の活性水素基を有する化合物と、重合性基導入モノマーとしての重合性化合物と、を反応させる方法、既述の3官能以上のイソシアネート化合物を製造する際に、既述の2官能以上のイソシアネート化合物と重合性基導入モノマーとしての重合性化合物とを反応させ、あらかじめ重合性基を導入したイソシアネート化合物と水又は既述の2つ以上の活性水素基を有する化合物とを反応させる方法、並びにゲル粒子を製造する際に、ゲル粒子を構成する成分とともに、重合性基導入モノマーとしての重合性化合物を油相成分に溶解させ、油相成分に水相成分を添加、混合し、乳化する方法がある。

ゲル粒子への重合性基の導入に用いる重合性化合物としては、少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。 少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物は下記構造式(a)で表すことができる。 L1LcmZn (a)

構造式(a)において、L1は、m+n価の連結基を表し、m及びnは、それぞれ独立に、1〜100から選ばれる整数であり、Lcは1価のエチレン性不飽和基を表し、Zは活性水素基を表す。 L1は、2価以上の脂肪族基、2価以上の芳香族基、2価以上の複素環基、−O−、−S−、−NH−、−N<、−CO−、−SO−、−SO2−又はそれらの組合せであることが好ましい。 m及びnは、それぞれ独立に、1〜50であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましく、3〜5であることがとくに好ましい。 Lcで表される1価のエチレン性不飽和基としては、アリル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができる。 Zは、OH、SH、NH又はNH2であることが好ましく、OH又はNH2であることがより好ましく、OHであることがさらに好ましい。

以下に少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物の例を示すが、この構造に限定されるものではない。なお、化合物(11−3)及び(12−2)におけるnは、例えば、1〜90から選らばれる整数を表す。

少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成株式会社製)、ブレンマー(登録商標)AE−90U(n=2)、AE−200(n=4.5)、AE−400(n=10)、AP−150(n=3)、AP−400(n=6)、AP−550(n=9)、AP−800(n=13)(日油株式会社製)、DENACOL(登録商標)ACRYLATE DA−212、DA−250、DA−314、DA−721、DA−722、DA−911M、DA−920、DA−931(ナガセケムテックス株式会社製)等のアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社化学株式会社製)、ブレンマー(登録商標)PE−90(n=2)、PE−200(n=4.5)、PE−350(n=8)、PP−1000(N=4〜6)、PP−500(n=9)、PP−800(n=13)(日油株式会社製)等のメタクリレート、アクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。

これらの少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物の中で、ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)、AE−400(n=10)、AP−400(n=6)(日油株式会社製)、DENACOL(登録商標)ACRYLATE DA−212(ナガセケムテックス株式会社製)、及びPP−500(n=9)(日油株式会社製)が好ましい。

ゲル粒子への重合性基の導入は、例えば、下記合成スキーム3に示すように、3官能以上のイソシアネート化合物のイソシアネート基と、少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物の活性水素基と、を反応させることで重合性基を導入したイソシアネート化合物を作製し、作製された重合性基を導入したイソシアネート化合物と既述の2つ以上の活性水素基を有する化合物と、を反応させることで行うことができる。

ゲル粒子の製造に重合性基を導入したイソシアネート化合物を用いる場合、下記表2に示す組み合わせで少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物(表2中、重合性基導入モノマーと表示)と3官能以上のイソシアネート化合物(表2中、ポリイソシアネートと表示)とを反応させた化合物を用いることが好ましい。

これらの少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物は、1種単独のものでもよいが、2種以上のものを組み合わせたものであってもよい。

3官能以上のイソシアネート化合物(表2中、ポリイソシアネートと表示)のイソシアネート基と1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物(表2中、重合性基導入モノマーと表示)の活性水素基は、少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物における活性水素基のモル数が、3官能以上のイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル数の0.01倍〜0.3倍となる量で反応させることが好ましく、0.02倍〜0.25倍となる量で反応させることがより好ましく、0.03倍〜0.2倍となる量で反応させることがさらに好ましい。 3官能以上のイソシアネート化合物を含む2官能以上のイソシアネート化合物と、1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物と、の反応により得られた化合物は、化合物中のイソシアネート基の平均官能基数が3以下となる場合もあるが、原料中に3官能以上のイソシアネート化合物が少なくとも1つ含まれることで、ゲル粒子を製造する際に三次元架橋構造を形成することが可能である。

(光重合開始剤) ゲル粒子は、光重合開始剤の少なくとも1種を内包している。 ゲル粒子が光重合開始剤を内包していることで、活性エネルギー線に対する感度が高くなり、膜強度に優れた画像が得られる。また、ゲル粒子が光重合開始剤を内包していることで、従来、高感度であるが水への分散性が低い又は溶解性が低いため用いることが難しかった光重合開始剤を用いることができる。このため、ゲル粒子をインク組成物に適用した場合、従来のインク組成物に比べ、高感度なインク組成物を実現できる。また、ゲル粒子が光重合開始剤を内包していることで、使用する光重合開始剤の選択の幅が広がり、ひいては、用いられる光源の選択の幅も広がる。そのため、従来よりも硬化感度を向上し得る。 ゲル粒子の内部に含まれる光重合開始剤(以下、内包光重合開始剤ともいう)としては、公知の光重合開始剤を、インク組成物等の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。 内包光重合開始剤は、活性エネルギー線を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する化合物である。活性エネルギー線として、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。

内包光重合開始剤としては、公知の化合物が使用できるが、本発明の一実施形態で使用し得る好ましい内包光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類等のカルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。

これらの内包光重合開始剤は、上記(a)〜(m)の化合物を1種単独もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。

(a)カルボニル化合物、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、及び、(e)チオ化合物の好ましい例としては、”RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY”,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117に記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。 より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号パンフレット、ヨーロッパ特許0284561A1号公報に記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。 また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。

これらの内包光重合開始剤の中でも、(a)カルボニル化合物及び(b)アシルホスフィンオキシド化合物がより好ましく、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)819)、2−(ジメチルアミン)−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジル−1−ブタノン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)369)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)907)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、BASF社製のIRGACURE(登録商標)184)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(例えば、DAROCUR(登録商標)TPO、LUCIRIN(登録商標)TPO(いずれもBASF社製)などが挙げられる。 これらの中でも、感度向上の観点及びLED光への適合性の観点等から、内包光重合開始剤としては、(b)アシルホスフィンオキシド化合物がさらに好ましく、モノアシルホスフィンオキシド化合物であるLUCIRIN(登録商標)TPO及びビスアシルホスフィンオキシド化合物であるIRGACURE(登録商標)819から選ばれる少なくともいずれかが特に好ましい。

内包光重合開始剤は、ゲル粒子を製造する際に、ゲル粒子を構成する成分とともに内包光重合開始剤を油相成分として溶解し、油相成分に水相成分を添加、混合し、乳化することで、ゲル粒子の内部に含めることができる。

内包光重合開始剤の含有量は、ゲル粒子の全固形分に対して、0.1質量%〜25質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜20質量%、さらに好ましくは1質量%〜15質量%である。

(重合性モノマー) ゲル粒子は、さらに重合性モノマーを内包していることが好ましい。 ゲル粒子が重合性モノマーを内包している態様は、膜の硬化感度及び膜の硬度を向上させる観点からみて有利である。 なお、ゲル粒子が三次元架橋構造中に重合性基を有さない場合、ゲル粒子は、重合性モノマーを内包しており、重合性モノマーの重合性基はゲル粒子が有する重合性基として機能する。 ゲル粒子が内包している重合性モノマー(以下、内包重合性モノマーともいう)としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーから選択できる。

内包重合性モノマーとして用いられるラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性モノマーの例としては、エチレン性不飽和基を有する化合物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性モノマーが挙げられる。 内包重合性モノマーは、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。 内包重合性モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

内包重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社製のA−TMPT)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社製のA−TMM−3L)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社製のAD−TMP)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、サートマー社製のSR−399E)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(例えば、新中村化学工業株式会社製のA−DPH)、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ネオペンチルグリコールプロピレンオキシド付加物ジアクリレート(NPGPODA)、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、及び4−t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等のアクリレートモノマー;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリレートモノマー;その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、N−ビニルカプロラクタム等、が挙げられる。

これらの内包重合性モノマーの中でも、多官能の重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールプロピレンオキシド付加物ジアクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートがさらに好ましい。また、単官能の重合性モノマーとしては、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、N−ビニルカプロラクタムが好ましい。

また、内包重合性モノマーは、架橋性及び膜強度の観点から、多官能の重合性モノマーが好ましく、3官能以上の重合性モノマーがより好ましく、4官能以上の重合性モノマーがさらに好ましい。多官能の内包重合性モノマーは、メタクリレートモノマー、及びアクリレートモノマーが好ましく、アクリレートモノマーがより好ましい。 内包重合性モノマーは、3官能以上のアクリレートモノマーであることがさらに好ましく、4官能以上のアクリレートモノマーであることが特に好ましい。

また、内包重合性モノマーとして、前述の単官能の内包重合性モノマーを用いることで、膜の記録媒体への密着性が向上する。さらに、前述の単官能の内包重合性モノマーを2種以上組合せて用いることで、膜の密着性がより向上する。 また、内包重合性モノマーは、2種以上の単官能の内包重合性モノマーと多官能の内包重合性モノマーとを併用することで、膜の密着性向上の効果に加え、膜の硬度がより向上する効果も得られる。

上記に挙げた内包重合性モノマーの他にも、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマーを用いることができる。

また、内包重合性モノマーとしては、例えば、特開平7−159983号公報、特公平7−31399号公報、特開平8−224982号公報、特開平10−863号公報、特開平9−134011号公報、特表2004−514014号公報等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化性の重合性モノマーが知られており、これらもゲル粒子に適用することができる。

また、内包重合性モノマーとしては、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、UF−8001G、DAUA−167(共栄社化学株式会社製)、SR444、SR454、SR492、SR499、CD501、SR502、SR9020、CD9021、SR9035、SR494(サートマー社製)等のエトキシ化又はプロポキシ化アクリレート、A−9300、A−9300−1CL(新中村化学工業株式会社製)等のイソシアヌルモノマーなどが挙げられる。 その他、重合性モノマーとしては、NPGPODA(ネオペンチルグリコールプロピレンオキシド付加物ジアクリレート、サートマー社)、SR399E(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、サートマー社)、ATMM−3L(ペンタエリスリトールトリアクリレート、新中村化学工業(株))、A−DHP(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学工業(株))、アロニックス(登録商標)M−156(東亞合成(株)製)、V−CAP(BASF社製)、ビスコート#192(大阪有機化学工業(株)製)、SR−531、SR−285、SR256(サートマー社製)等の市販品を好適に用いることができる。

内包重合性モノマーは、ゲル粒子を製造する際に、ゲル粒子を構成する成分とともに内包重合性モノマーを油相成分として溶解し、油相成分に水相成分を添加、混合し、乳化することで、ゲル粒子の内部に含ませることができる。

内包重合性モノマーの分子量としては、重量平均分子量として、好ましくは100〜100000であり、より好ましくは100〜30000であり、さらに好ましくは100〜10000であり、さらに好ましくは100〜1000であり、さらに好ましくは100〜900であり、さらに好ましくは100〜800であり、特に好ましくは150〜750である。内包重合性モノマーの重量平均分子量の下限は200であってもよく、250であってもよい。 なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定できる。測定方法は既述のとおりである。

ゲル粒子の全固形分中、内包重合性モノマーの含有量は、0.1質量%〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%〜60質量%であり、さらに好ましくは、1質量%〜50質量%である。上記範囲とすることで架橋性及び膜強度が良好な画像が得られる。

(ゲル粒子の表面の親水性基) ゲル粒子は、表面に親水性基を有することが好ましい。 ゲル粒子は、その表面に親水性基を有することで、水媒体中への分散性がより向上する。そのため、ゲル粒子をインク組成物に用いた場合であればインク組成物の分散性をより向上させることができる。 また、ゲル粒子は、表面に親水性基を有することで、ゲル粒子の親水性が向上し、再分散性に優れる。 ゲル粒子において、親水性基は、三次元架橋構造の一部として存在していてもよいし、三次元架橋構造以外の部分として存在していてもよい。 ここで、「親水性基が三次元架橋構造の一部として存在する」とは、親水性基が三次元架橋構造の親水性基以外の部分と共有結合していることを指す。 また、「親水性基が三次元架橋構造以外の部分として存在する」とは、ゲル粒子に、三次元架橋構造とは別に、親水性基を有する有機化合物が含まれていることを指す。

ゲル粒子の表面部分に存在する親水性基としては、カルボン酸基、カルボン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、硫酸基、硫酸基の塩、ポリエーテル構造を有する基、ベタイン構造を有する基等が挙げられる。なお、本明細書において「親水性基」とは、上述の活性水素基(ヒドロキシ基、1級アミノ基、2級アミノ基、及びメルカプト基)とは区別される。上述のカルボン酸基の塩、スルホン酸基の塩、硫酸基の塩、ホスホン酸基の塩、及びリン酸基の塩は、ゲル粒子の製造過程で、中和によって形成された塩であってもよい。ゲル粒子がその表面に親水性基を有する場合、ゲル粒子は、親水性基を1種のみ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。

ゲル粒子の表面に導入される親水性基は、ポリエーテル構造を有する基、カルボン酸基及びカルボン酸基の塩から選択される少なくとも1種であることが好ましい。

ゲル粒子の表面への親水性基の導入は、既述の3官能以上のイソシアネート化合物及び既述の2つ以上の活性水素基を有する化合物と、親水性基を有する化合物と、を反応させることで行うことができる。また、既述の3官能以上のイソシアネート化合物を製造する際に、2官能以上のイソシアネート化合物と親水性基を有する化合物とを反応させ、あらかじめ親水性基を導入したイソシアネート化合物と既述の2つ以上の活性水素基を有する化合物とを反応させることで行うこともできる。

ゲル粒子の表面への親水性基の導入に用いる親水性基を有する化合物としては、上記の親水性基を有する化合物が挙げられる。 親水性基を有する化合物としては、ポリエーテル構造を有する化合物、カルボン酸基を有する化合物、及びカルボン酸基の塩を有する化合物が好ましい。

ポリエーテル構造を有する化合物としては、例えば、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物が挙げられる。具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリスチレンオキシド、ポリシクロヘキシレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ブロック共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドランダム共重合体などが挙げられる。 これらのポリオキシアルキレン鎖を有する化合物の中でも、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体が好ましく、ポリエチレンオキシドがより好ましい。 また、ポリエーテル構造を有する化合物としては、ポリエチレンオキシドのモノエーテル体(モノエーテルとしては、例えば、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル等が挙げられる)、ポリエチレンオキシドのモノエステル体(モノエステルとしては、例えば、モノ酢酸エステル、モノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる)も好ましい。

カルボン酸基やその他イオン系の親水性基を有する化合物としては、以下の具体例が挙げられる。カルボン酸基又はその他イオン系の親水性基を有する化合物は、水酸化ナトリウムなどの無機塩機、及びトリエチルアミンなどの有機塩基を用いて部分中和して用いてもよい。

ゲル粒子の表面への親水性基の導入に、親水性基を導入したイソシアネート化合物を用いる場合、親水性基を有する化合物と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、又はジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(HMDI)と、の反応物を用いることが好ましい。 親水性基としてポリエーテル構造を有する基をゲル表面に導入する場合は、トリメチロールプロパン(TMP)とm−キシリレンジイソシアネート(XDI)とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(EO)の付加物(例えば、三井化学株式会社製、タケネート(登録商標)D−116N)を用いることが好ましい。 親水性基としてカルボン酸基又はカルボン酸基の塩をゲル粒子の表面に導入する場合は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)又は2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)の塩とイソホロンジイソシアネート(IPDI)との反応物(カルボン酸基又はカルボン酸基の塩を含むイソシアネート化合物)を用いることが好ましい。カルボン酸基の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエチルアミン塩、ジメチルエタノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩又はトリエチルアミン塩がより好ましい。

ゲル粒子の表面への親水性基の導入に用いる親水性基を有する化合物の添加量は、ゲル粒子の質量に対して0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜45質量%がより好ましく、0.1質量%〜40質量%がさらに好ましく、1質量%〜35質量%がさらに好ましく、3質量%〜30質量%がさらに好ましい。

〜ゲル粒子の物性〜 ゲル粒子の体積平均粒子径は、分散性の観点から0.01μm〜10.0μmであることが好ましく、0.01μm〜5μmであることがより好ましく、0.05μm〜1μmであることがさらに好ましい。 ゲル粒子の体積平均粒子径は、光散乱法により測定することができる。なお、本明細書における体積平均粒子径は、湿式粒度分布測定装置LA−910((株)堀場製作所製)により測定された値が用いられる。

ゲル粒子は、分散性及び架橋性の観点から、インク組成物の全質量に対して、ゲル粒子の固形分で1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、3質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、5質量%〜30質量%含有されることがさらに好ましい。 なお、ゲル粒子の含有量は、ゲル粒子の内部(三次元架橋構造の空隙)に存在する光重合開始剤などの固形成分も含めた値である。 ゲル粒子の全固形分量は、インク組成物の全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上が特に好ましい。ゲル粒子の全固形分量の上限は、インク組成物の全固形分に対して100質量%でもよく、インク組成物がゲル粒子以外の固形成分を含む場合、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。

[水] インク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10質量%〜99質量%であり、より好ましくは20質量%〜95質量%であり、さらに好ましくは30質量%〜90質量%であり、さらに好ましくは50質量%〜90質量%である。

[着色剤] インク組成物は、着色剤の少なくとも1種を含有してもよい。 本発明の一実施形態に用いることができる着色剤としては、特に制限はなく、顔料、水溶性染料、分散染料等の公知の色材から任意に選択して使用することができる。この中でも、耐候性に優れ、色再現性に富む点から、顔料を含むことがより好ましい。

−顔料− 顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機顔料及び無機顔料などが挙げられ、また、染料で染色した樹脂粒子、市販の顔料分散体や表面処理された顔料(例えば、顔料を分散媒として水、液状有機化合物や不溶性の樹脂等に分散させたもの、及び、樹脂や顔料誘導体等で顔料表面を処理したもの等)も挙げられる。

有機顔料及び無機顔料としては、例えば、黄色顔料、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、橙色顔料、紫色顔料、褐色顔料、黒色顔料、白色顔料等が挙げられる。 黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、10、65、73、74、75、97、98、111、116、130、167、205等のモノアゾ顔料、61、62、100、168、169、183、191、206、209、212等のモノアゾレーキ顔料、12、13、14、16、17、55、63、77、81、83、106、124、126、127、152、155、170、172、174、176、214、219等のジスアゾ顔料、24、99、108、193、199等のアントラキノン顔料、60等のモノアゾピラゾロン顔料、93、95、128、166等の縮合アゾ顔料、109、110、139、173、185等のイソインドリン顔料、120、151、154、175、180、181、194等のベンズイミダゾロン顔料、117、129、150、153等のアゾメチン金属錯体顔料、138等のキノフタロン顔料、213等のキノキサリン顔料が好ましい。 赤色顔料又はマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド 193等のモノアゾレーキ顔料、38等のジスアゾ顔料、2、5、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、22、23、31、32、112、114、146、147、150、170、184、187、188、210、213、238、245、253、256、258、266、268、269等のナフトールAS顔料、3、4、6等のβ−ナフトール顔料、49、53、68等のβ−ナフトールレーキ顔料、237、239、247等のナフトールASレーキ顔料、41等のピラゾロン顔料、48、52、57、58、63、64:1、200等のBONAレーキ顔料、81:1、169、172等のキサンテンレーキ顔料、88、181、279等のチオインジゴ顔料、123、149、178、179、190、224等のペリレン顔料、144、166、214、220、221、242、262等の縮合アゾ顔料、168、177、182、226、263等のアントラキノン顔料、83等のアントラキノンレーキ顔料、171、175、176、185、208等のベンズイミダゾロン顔料、122、202(C.I.ピグメントバイオレット 19との混合物を含む)、207、209等のキナクリドン顔料、254、255、264、270、272等のジケトピロロピロール顔料、257、271等のアゾメチン金属錯体顔料が好ましい。 青色顔料又はシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー 25、26等のナフトールAS顔料、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、75、79等のフタロシアニン顔料、1、24:1、56、61、62等の染付けレーキ顔料、60等のアントラキノン系顔料、63等のインジゴ顔料、80等のジオキサジン顔料が好ましい。 緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン 1、4等の染付けレーキ顔料、7、36等のフタロシアニン顔料、8等のアゾメチン金属錯体顔料が好ましい。 橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ 1等のモノアゾ顔料、2、3、5等のβ−ナフトール顔料、4、24、38、74等のナフトールAS顔料、13、34等のピラゾロン顔料、36、60、62、64、72等のベンズイミダゾロン顔料、15、16等のジスアゾ顔料、17、46等のβ−ナフトールレーキ顔料、19等のナフタレンスルホン酸レーキ顔料、43等のペリノン顔料、48、49等のキナクリドン顔料、51等のアントラキノン系顔料、61等のイソインドリノン顔料、66等のイソインドリン系顔料、68等のアゾメチン金属錯体顔料、71、73、81等のジケトピロロピロール顔料が好ましい。 褐色顔料としては、C.I.ピグメントブラウン 5等のBONAレーキ顔料、23、41、42等の縮合アゾ顔料、25、32等のベンズイミダゾロン顔料が好ましい。 紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット 1、2、3、27等の染付けレーキ顔料、13、17、25、50等のナフトールAS顔料、5:1等のアントラキノンレーキ顔料、19等のキナクリドン顔料、23、37等のジオキサジン顔料、29等のペリレン顔料、32等のベンズイミダゾロン顔料、38等のチオインジゴ顔料が好ましい。 黒色顔料としては、C.I.ピグメントブラック 1等のインダジン顔料、7であるカーボンブラック、10であるグラファイト、11であるマグネタイト、20等のアントラキノン顔料、31、32等のペリレン顔料が好ましい。 白色顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 4である酸化亜鉛、6である酸化チタン、7である硫化亜鉛、12である酸化ジルコニウム(ジルコニウムホワイト)、18である炭酸カルシウム、19である酸化アルミニウム・酸化ケイ素(カオリンクレー)、21又は22である硫酸バリウム、23である水酸化アルミニウム(アルミナホワイト)、27である酸化ケイ素、28であるケイ酸カルシウムが好ましい。 白色顔料に使用される無機粒子は単体でもよいし、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物や有機金属化合物、有機化合物との複合粒子であってもよい。 中でも酸化チタンが好適に使用される。

顔料粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.005μm〜0.5μm、より好ましくは0.01μm〜0.45μm、更に好ましくは0.015μm〜0.4μmとなるよう、顔料、分散剤、媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。 なお、顔料粒子の体積平均粒子径及び粒径分布は、湿式粒度分布測定装置LA−910((株)堀場製作所製)等の市販の粒径測定装置を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。

−水溶性染料− 本発明の一実施形態に用いることができる水溶性染料としては、例えば酸性染料や直接染料が挙げられる。酸性染料、直接染料は、可溶化基として、酸性基をもつ構造となっている。酸性基としては、スルホン酸基及びその塩、カルボン酸基及びその塩、リン酸基及びその塩が挙げられる。酸性基の数はひとつでも複数でもよく、組み合わせでもよい。水溶性染料が含有する発色団の化学構造としては、アゾ系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、ピラゾロン系、ニトロ系、スチルベン系、キノリン系、メチン系、チアゾール系、キノンイミン系、インジゴイド系、ローダミン系、アントラキノン系、アンスラキノン系のものなどが挙げられる。

着色剤のインク組成物中における含有量は、適宜選択することができるが、インク組成物全体の質量に対して、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましい。

−分散剤− 着色剤として顔料を用いる場合には、顔料粒子を調製する際に、必要に応じて顔料分散剤を用いてもよく、用いることのできる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、又はスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体及びこれらの塩を挙げることができる。

顔料の分散方法としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各種分散機を用いることができる。また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置や、フィルターを使用することも好ましい。

[その他の添加剤] インク組成物には、必要によって、上記で説明した以外のその他の成分を添加することができる。以下、その他の成分を説明する。

(増感剤) インク組成物には、光重合開始剤の活性エネルギー線照射による分解を促進させるために増感剤を添加すること好ましい。増感剤は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより光重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基の生成を促進させるものである。増感剤として増感色素を用いることができる。

併用しうる公知の増感剤の例としては、ベンゾフェノン、チオキサントン、特にまたイソプロピルチオキサントン、アントラキノン及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンなどが挙げられる。また、特開2010−24276号公報に記載の一般式(i)で表される化合物や、特開平6−107718号公報に記載の一般式(I)で表される化合物も、好適に使用できる。 上記の中でも、増感剤としては、LED光への適合性及び光重合開始剤との反応性の観点から、チオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びベンゾフェノンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、チオキサントン及びイソプロピルチオキサントンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、イソプロピルチオキサントンが更に好ましい。 インク組成物が増感剤を含有する場合、増感剤を1種単独で、又は、2種以上組み合わせて含有してもよい。

インク組成物が増感剤を含有する場合、増感剤は、光重合開始剤との反応性がより向上するという観点から、ゲル粒子に内包されていることが好ましい。 インク組成物が増感剤を含有する場合、増感剤の含有量は、ゲル粒子の全固形分に対して、0.1質量%〜25質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましく、1質量%〜15質量%であることがさらに好ましい。

(重合禁止剤) 保存性を高める観点から重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノンやメトキシベンゾキノンなどのキノン類、フェノチアジン、カテコール類、アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、サリチル酸銅、チオジプロピオン酸エステル類、メルカプトベンズイミダゾール、ホスファイト類、などが挙げられ、p−メトキシフェノール、カテコール類、キノン類が好ましく、特にハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、tris(N−nitroso−N−phenylhydroxylamine)aluminum salt等がより好ましい。

(紫外線吸収剤) インク組成物には、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いてもよい。 紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンズオキサゾール系化合物等が挙げられる。

(有機溶剤) インク組成物には、記録媒体との密着性を改良するため、以下の有機溶剤を添加してもよい。 ・アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、 ・多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−メチルプロパンジオール等)、 ・多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、 ・アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、 ・アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、 ・複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン等)、 ・スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、 ・スルホン類(例えば、スルホラン等)、 ・その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等) インク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%の有機溶剤を添加することが好ましい。

(界面活性剤) インク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。なお、インク組成物に用いられる界面活性剤は、ゲル粒子製造時に用いられる界面活性剤とは区別される。 界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、シロキサン類等のノニオン性界面活性剤、が挙げられる。 なお、界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。 有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。

また、インク組成物は、膜物性、密着性、及び吐出性制御の観点から、必要に応じ、ゲル粒子の外部に、光重合開始剤、重合性化合物、水溶性樹脂、水分散性樹脂等を含有していてもよい。 インク組成物がゲル粒子の外部に光重合開始剤を含有するとは、インク組成物がゲル粒子に内包されない光重合開始剤を含有することを意味する。重合性化合物、水溶性樹脂、水分散性樹脂等をゲル粒子の外部に含有する場合も同様である。

(ゲル粒子の外部に含有され得る光重合開始剤) インク組成物は、ゲル粒子の外部に光重合開始剤を含有することが好ましい。 インク組成物が、ゲル粒子の外部に光重合開始剤を含有することでゲル粒子同士の架橋効率を向上させることができ、より膜強度の強い膜を形成することができる。さらに、露光照度の低い(例えば、40mJ/cm2〜70mJ/cm2)活性エネルギー線(光)に対しても高効率で架橋が進行する。

上記光重合開始剤としては、上述の光重合開始剤(ゲル粒子に内包されている光重合開始剤)と同様のものが挙げられるが、ゲル粒子の外部に含有され得る光重合開始剤としては、水溶性又は水分散性の光重合開始剤であることが好ましく、その観点から、例えば、DAROCUR(登録商標)1173、IRGACURE(登録商標)2959、IRGACURE(登録商標)754、DAROCUR(登録商標)MBF、IRGACURE(登録商標)819DW、IRGACURE(登録商標)500(以上、BASF社製)、下記一般式(X)で表される化合物、国際公開第2014/095724号に記載のアシルホスフィンオキシド化合物等が挙げられる。 なお、「水溶性」とは、105℃で2時間乾燥させた場合に、25℃の蒸留水100gに対する溶解量が1gを超える性質を意味する。 また、「水分散性」とは、水不溶性であり、かつ、水中に分散される性質を指す。ここで、「水不溶性」とは、105℃で2時間乾燥させた場合に、25℃の蒸留水100gに対する溶解量が1g以下である性質を意味する。

一般式(X)中、R1及びR2は各々独立にアルキル基を表す。R1及びR2は直鎖でも分岐していてもよい。R1及びR2は好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、更に好ましくはメチル又はエチルである。また、R1及びR2は互いに連結して環を形成していてもよい。R1及びR2が連結して形成される環構造の基はシクロアルキル基であることが好ましい。より好ましくは炭素数3〜10、更に好ましくは炭素数4〜8のシクロアルキル基であり、より具体的にはシクロヘプチル又はシクロヘキシルであることが好ましい。 一般式(X)中、R3、R4、R5及びR6は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R3、R4、R5及びR6の少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。R3、R4、R5及びR6のうち2つ以上が水素原子であることが好ましく、より好ましくはR3、R4及びR5の少なくとも2つが水素原子である。また、R3、R4、R5及びR6のうち3つ以上が水素原子であることがより好ましく、より好ましくはR3、R4及びR5が水素原子である。更に好ましくはR3、R4、R5及びR6の全てが水素原子である。R3、R4、R5及びR6が置換基である場合、この置換基として例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3、更に好ましくは炭素数1又は2のアルキル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホ基、スルホニル基、ホスホニル基、ホウ酸基、アルコキシ基、及びアミド基から選ばれる基が挙げられる。中でもメチル、エチル、又はハロゲン原子が好ましい。 一般式(X)中、R7は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、更に好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)、アシル基(好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6、更に好ましくは炭素数2〜4のアシル基)又はトリアルキルシリル基(トリアルキルシリル基のアルキル基1つにつき炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、更に好ましくは1又は2にトリアルキルシリル基)を表す。 一般式(X)中、Zはヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、更に好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基)又はアルキルアミノ基(ジアルキルアミノ基を含む。アルキルアミノ基のアルキル基1つにつき炭素数が好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3)を表す。 一般式(X)中、Y1及びY2は各々独立に酸素原子又は硫黄原子を表し、より好ましくは酸素原子である。 一般式(X)中、nは1〜3の整数である。

一般式(X)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記PI−1〜PI−3で表される化合物が挙げられる。

また、国際公開第2014/095724号に記載のアシルホスフィンオキシド化合物の具体としては、例えば、下記PI−4で表される化合物が挙げられる。

上記のPI−1〜PI−3は、国際公開第86/05778号に記載の方法により合成することができる。また、上記のPI−4は、国際公開第2014/095724号に記載の方法により合成することができる。

(ゲル粒子の外部に含有され得る重合性化合物) インク組成物は、ゲル粒子の外部に重合性化合物を含有することが好ましい。 インク組成物が、ゲル粒子の外部に重合性化合物を含有することでゲル粒子同士の架橋効率を向上させることができ、より膜強度の高い膜を形成することができる。さらに、露光照度の低い(例えば、40mJ/cm2〜70mJ/cm2)活性エネルギー線(光)に対しても高効率で架橋が進行する。 インク組成物が、ゲル粒子の外部に重合性化合物を含有する場合、さらに前述の光重合開始剤をゲル粒子の外部に含むことが好ましく、さらに膜強度の高い膜を形成することができる。

上記重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。 これらの中でも、上記重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が特に好ましい。さらに、上記重合性化合物としては、水溶性又は水分散性の重合性化合物であることが好ましい。 水溶性の重合性化合物における「水溶性」は、前述した「水溶性の光重合開始剤」における「水溶性」と同義であり、また、水分散性の重合性化合物における「水分散性」は、前述した「水分散性の光重合開始剤」における「水分散性」と同義である。

水溶性又は水分散性の観点から、上記重合性化合物としては、アミド構造、ポリエチレングリコール構造、ポリプロピレングリコール構造、カルボキシル基、及びカルボキシ基の塩からなる群から選択される少なくとも1種を有する化合物が好ましい。

水溶性又は水分散性の観点からは、ゲル粒子の外部に含有され得る重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、モルホリンアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、N−[トリス(3−アクリロイルアミノプロピルオキシメチレン)メチル]アクリルアミド、ジエチレングリコールビス(3−アクリロイルアミノプロイル)エーテル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、下記一般式(a)〜一般式(d)で表される化合物、及びエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、サートマー社製のSR9035)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、N−[トリス(3−アクリロイルアミノプロピルオキシメチレン)メチル]アクリルアミド、ジエチレングリコールビス(3−アクリロイルアミノプロイル)エーテル、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、下記一般式(a)〜一般式(d)で表される化合物、及びエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、サートマー社製のSR9035)から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。

一般式(a)中、複数のR1はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、複数のR2はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のL1はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基を表す。 一般式(b)中、複数のR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のL2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、複数のk及びpはそれぞれ独立に、0又は1を表し、複数のmはそれぞれ独立に、0〜8の整数を表し、但し、k及びpの少なくとも1つは1である。 一般式(c)中、複数のR4はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のnはそれぞれ独立に、1〜8の整数を表し、lは0又は1の整数を表す。 一般式(d)中、Z1はポリオールのヒドロキシル基から水素原子をq個除いた残基を表し、qは3〜6の整数を表し、複数のR5はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、複数のL3はそれぞれ独立に炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。

一般式(a)〜一般式(d)で表される化合物の具体例としては、下記AM−1〜AM−4で表される化合物が挙げられる。

上記のAM−1〜AM−4は、特許第05591858号に記載の方法により合成することができる。

(ゲル粒子の外部に含有され得る、水溶性樹脂又は水分散性樹脂) 上記水溶性樹脂又は水分散性樹脂の構造については、特に制限はなく、任意の構造であればよい。上記水溶性樹脂又は水分散性樹脂の構造としては、例えば、鎖状構造、枝分かれ(分岐)構造、星型構造、架橋構造、網状構造等の構造が挙げられる。 水溶性樹脂における「水溶性」は、前述した「水溶性重合性化合物」における「水溶性」と同義であり、また、水分散性樹脂における「水分散性」は、前述した「水分散性重合性化合物」における「水分散性」と同義である。 水溶性樹脂又は水分散性樹脂としては、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、スルホ基、スルホ基の塩、硫酸基、硫酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩、アンモニウム塩基、水酸基、カルボン酸アミド基、及びアルキレンオキシ基から選ばれる官能基を有する樹脂であることが好ましい。 上述した塩の対カチオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属カチオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、又はホスホニウムカチオンが好ましく、アルカリ金属カチオンが特に好ましい。 アンモニウム塩基のアンモニウム基に含まれるアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。 また、アンモニウム塩基の対アニオンとしては、塩素、臭素等のハロゲンアニオン、硫酸アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、又は炭酸アニオンが好ましく、ハロゲンアニオン、スルホン酸アニオン、又はカルボン酸アニオンが特に好ましい。 カルボン酸アミド基の窒素原子上の置換基としては、炭素数8以下のアルキル基が好ましく、炭素数6以下のアルキル基が特に好ましい。 アルキレンオキシ基を有する樹脂は、アルキレンオキシ基の繰り返しからなるアルキレンオキシ鎖を有することが好ましい。アルキレンオキシ鎖に含まれるアルキレンオキシ基の数は、2以上が好ましく、4以上が特に好ましい。

〜インク組成物の好ましい物性〜 インク組成物は、インク組成物を25℃〜50℃とした場合に、粘度が、3mPa・s〜15mPa・sであることが好ましく、3mPa・s〜13mPa・sであることがより好ましい。特に、インク組成物として、25℃におけるインク組成物の粘度が50mPa・s以下であることが好ましい。インク組成物の粘度が上記の範囲であると、インクジェット記録に適用した場合に高い吐出安定性を実現することができる。インクジェット記録に適用した場合においてインク組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。したがって、吐出時のインク組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、インク組成物の温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。 なお、インク組成物の粘度は、粘度計:VISCOMETER TV−22(東機産業(株)製)を用いて測定された値を用いている。

<インク組成物の製造方法> インク組成物の製造方法は、上記の構成を有しているゲル粒子と水とを含むインク組成物を製造できればよく、特に限定されるものではない。 インク組成物を製造する方法としては、ゲル粒子の分散液を得やすいという観点から、以下で説明する、本実施形態のインク組成物の製造方法が好ましい。

本実施形態のインク組成物の製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう。)は、光重合開始剤、3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分(以下、「油相成分A」ともいう。)、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、及び有機溶媒を含む油相成分(以下、「油相成分B」ともいう。)、並びに、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分(以下、「油相成分C」ともいう。)から選ばれるいずれかの油相成分と、水を含む水相成分と、を混合し、乳化させて乳化物を得る乳化工程と、上記乳化物を加熱してゲル化させるゲル化工程と、を有する。 本実施形態の製造方法は、必要に応じ、その他の工程を有していてもよい。 本実施形態の製造方法によれば、上述した本発明の一実施形態のインク組成物を容易に製造することができる。

以下、本実施形態の製造方法における各工程について詳細に説明する。 なお、各工程で用いる成分の具体例、及び好ましい態様については、上述のインク組成物の項に記載したとおりであるため、ここでは説明を省略する。

(乳化工程) 乳化工程は、油相成分A、油相成分B、及び油相成分Cから選ばれるいずれかの油相成分と、水を含む水相成分と、を混合し、乳化させて乳化物を得る工程である。 乳化工程において、油相成分として、光重合開始剤、3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分A、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、及び有機溶媒を含む油相成分B、並びに、光重合開始剤、重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、重合性モノマー、及び有機溶媒を含む油相成分Cから選ばれるいずれかの油相成分を使用することで、最終的に、少なくとも光重合開始剤を内包し、表面、又は、表面及び表面付近に重合性基を有するゲル粒子を得ることができる。 油相成分Aが含む重合性モノマー、油相成分Bが含む重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物、並びに油相成分Cが含む重合性モノマー及び重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物が有する重合性基が、ゲル粒子の表面、又は、表面及び表面付近に存在する重合性基となると考えられる。

油相成分に含まれる有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。

油相成分は、上記の成分以外に、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。 他の成分としては、例えば、上述の親水性基を有する化合物が挙げられる。 油相成分が上述の親水性基を有する化合物を含むことで、表面に親水性基を有するゲル粒子を得ることができる。

3官能以上のイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネートから選択される少なくとも1種から誘導されたイソシアネート化合物であることが好ましい。

水相成分は、水以外に、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。 油相成分が、親水性基を有する化合物として、カルボキシ基、スルホ基、硫酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種の親水性基を有する化合物を含む場合、水相成分は、中和剤を含んでいてもよい。 油相成分が親水性基を有する化合物を含み、かつ、水相成分が中和剤を含むと、油相成分と水相成分との混合によって、カルボキシ基等の親水性基が中和され、カルボキシ基等の塩が形成される。この形成される塩も、ゲル粒子の親水性基として機能する。これらの塩は、ゲル粒子を水中に分散させる効果に特に優れる。 中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム等が挙げられる。

本実施形態の製造方法では、イソシアネート基との反応によって、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも一方の結合を含む三次元架橋構造のゲル粒子を形成するための原料として、水以外に、既述の多官能アルコール、多官能フェノール、窒素原子上に水素原子を有する多官能アミン、多官能チオール等を用いてもよい。 具体的には、多官能アルコール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等)、多官能アミン(例えば、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)、多官能チオール(例えば、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオナート)等)などの化合物が挙げられ、多官能アルコールが特に好ましい。 これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらの化合物は、その溶解性等に応じて、油相成分及び/又は水相成分に添加される。

本実施形態の製造方法では、上述の原料以外に、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤としては、例えば、上述の界面活性剤が挙げられる。 一般に、乳化分散に用いる界面活性剤は、比較的長鎖の疎水基を有する界面活性剤が優れているとされている。例えば、界面活性剤としては、「界面活性剤便覧」(西一郎他、産業図書発行(1980))に記載の界面活性剤、具体的には、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等のアルカリ金属塩が好ましく、アルキル硫酸エステル塩がより好ましい。 アルキル硫酸エステル塩のアルキル鎖長は、分散安定性の観点から、12以上が好ましく、16以上がより好ましい。 界面活性剤は、油相成分又は水相成分の何れに添加してもよいが、通常、有機溶媒に対する溶解度が低いため、水相成分に添加する。 界面活性剤の量は、油相成分の全固形分量に対して0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましい。

乳化工程における油相成分及び水相成分から有機溶媒及び水を除いた全量(以下、「全固形分量」ともいう。)が、製造されるゲル粒子の全固形分量に対応する。 油相成分中における光重合開始剤の量は、特に限定されず、例えば、全固形分量に対して0.1質量%〜25質量%であることが好ましい。 油相成分中における3官能以上のイソシアネート化合物(又は重合性基を有する3官能以上のイソシアネート化合物)の量は、特に限定されず、例えば、全固形分量に対して10質量%〜70質量%であることが好ましい。 油相成分が重合性モノマーを含む場合、油相成分中における重合性モノマーの量は、特に限定されず、例えば、全固形分量に対して0.1質量%〜75質量%であることが好ましい。 有機溶媒の量は、特に限定されず、油相成分中に含まれる成分の種類、量等により、適宜、選択される。 水の量は、特に限定されず、油相成分中に含まれる成分の種類、量等により、適宜、選択される。

油相成分が親水性基を有する化合物を含む場合、油相成分中における親水性基を有する化合物の量は、特に限定されず、例えば、全固形分量に対して、0.1質量%〜40質量%であることが好ましい。

油相成分に含まれる各成分は、単に混合すればよく、全ての成分を一度に混合してもよいし、各成分をいくつかに分けて混合してもよい。 油相成分と水相成分との混合の方法としては、特に限定されず、例えば、攪拌による混合が挙げられる。

混合によって得られた混合物の乳化の方法としては、特に限定されず、例えば、ホモジナイザー等の乳化装置(例えば、分散機等)による乳化が挙げられる。 乳化における分散機の回転数は、例えば、5000rpm〜20000rpmであり、好ましくは10000rpm〜15000rpmである。 乳化における回転時間は、例えば、1分間〜120分間であり、好ましくは3分間〜60分間であり、より好ましくは3分間〜30分間であり、更に好ましくは5分間〜15分間である。

(ゲル化工程) ゲル化工程は、上記乳化物を加熱してゲル化させる工程である。 ゲル化工程では、上記乳化物の加熱によって、3官能以上のイソシアネート化合物と水とが反応し、イソシアネート基同士が架橋することで、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも一方を含む三次元架橋構造と、重合性基と、を有し、少なくとも光重合開始剤を内包している、ゲル粒子を含有する分散液を得ることができる。

ゲル化工程における乳化物の加熱温度(反応温度)は、35℃〜70℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。 ゲル化工程における加熱時間(反応時間)は、6時間〜50時間が好ましく、12時間〜40時間がより好ましく、15時間〜35時間が更に好ましい。 ゲル化工程は、乳化物から有機溶媒を留去する工程を含むことが好ましい。

(混合工程) 混合工程は、ゲル化工程で得られたゲル粒子、水、及び着色剤を混合する工程を有してもよい。ゲル粒子、水、及び着色剤を混合する方法は特に制限されない。また、ゲル粒子は分散液の状態で用いてもよい。 着色剤は、既述のインク組成物に含有され得る着色剤として説明したとおりである。

本実施形態の製造方法は、必要に応じて、乳化工程、ゲル化工程、及び混合工程以外のその他の工程を有していてもよい。 その他の工程としては、その他の成分を添加する工程が挙げられる。 添加されるその他の成分については、インク組成物に含有され得るその他の成分として既に説明したとおりである。

<ゲル粒子> ゲル粒子は、重合性基を有し、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む三次元架橋構造を有し、光重合開始剤を内包している。 ゲル粒子は、既述のインク組成物におけるゲル粒子と同義である。 ゲル粒子は、インク組成物以外の用途に用いてもよく、例えば、コーティング剤、接着剤、塗料等に用いることができる。

<感光性組成物> 感光性組成物は、重合性基を有し、ウレタン結合及びウレア結合から選ばれる少なくとも1種の結合を含む三次元架橋構造を有し、光重合開始剤を内包しているゲル粒子と、水と、を含有する。 感光性組成物におけるゲル粒子及び水は、既述のインク組成物において用いたものと同じものを用いることができる。 感光性組成物は、既述の本発明の一実施形態におけるゲル粒子を含有するため、分散性、及び固化後の再分散性に優れ、かつ、高感度に硬化し、膜強度に優れる。

感光性組成物は、活性エネルギー線の照射により、高感度に硬化し、形成された膜は膜強度に優れるため、コーティング剤、接着剤、塗料等の各種用途に好適に用いることができる。

<画像形成方法> 画像形成方法は、既述のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む。これらの工程を行うことで、記録媒体上に定着したインク組成物による画像が形成される。

(インク付与工程) 以下、画像形成方法における、インク付与工程について説明する。 インク付与工程は、インク組成物を記録媒体上に付与する工程であれば限定されない。

記録媒体上にインク組成物を付与する態様としては、インクジェット法によるインク組成物を記録媒体上に付与する態様が特に好ましい。

画像形成方法において、インク付与工程インクジェット法が適用される場合に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、目的とする解像度を達成し得る公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。すなわち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、画像形成方法における記録媒体へのインク組成物の吐出を行うことができる。

インクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、加熱手段を含む装置が挙げられる。 インク供給系は、例えば、インク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1pl〜100pl、より好ましくは8pl〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320dpi(dot per inch)×320dpi〜4000dpi×4000dpi(dot per inch)、より好ましくは400dpi×400dpi〜1600dpi×1600dpi、さらに好ましくは720dpi×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。なお、dpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。

インク付与工程において、吐出されるインク組成物は、一定温度にすることが望ましいことから、インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが好ましい。一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。すなわち、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。 温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物の流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立上げ時間を短縮するため、又は熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。

記録媒体としては、特に限定されず、支持体や記録材料として公知の記録媒体を使用することができる。記録媒体としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされもしくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。 中でも、本発明の一実施形態のインク組成物は密着性に優れるため、記録媒体として非吸収性記録媒体に対して好適に使用することができ、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等のプラスチック基材が好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂基材がより好ましく、ポリ塩化ビニル樹脂シート又はフィルムがさらに好ましい。

(照射工程) 以下、画像形成方法における、照射工程について説明する。 照射工程は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程であれば限定されない。 インク組成物に活性エネルギー線を照射することで、インク組成物中のゲル粒子の架橋反応が進行し、画像を定着させ、画像の膜強度等を向上させることが可能となる。

照射工程で用いることができる活性エネルギー線としては、紫外線(UV光)、可視光線、電子線等をあげることができ、これらの中でも、紫外線(UV光)が好ましい。

活性エネルギー線(光)のピーク波長は、必要に応じて用いられる増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200nm〜405nmであることが好ましく、220nm〜390nmであることがより好ましく、220nm〜385nmであることが更に好ましい。 なお、増感剤と光重合開始剤とを併用しない場合は、例えば、200nm〜310nmであることが好ましく200nm〜280nmがより好ましい。

活性エネルギー線(光)が照射される際の露光面照度は、例えば、10mW/cm2〜2000mW/cm2、好ましくは、20mW/cm2〜1000mW/cm2で照射されることが適当である。

活性エネルギー線(光)を発生させるための源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV蛍光灯、ガスレーザー、固体レーザー等が広く知られている。 また、上記で例示された光源の、半導体紫外発光デバイスへの置き換えは、産業的にも環境的にも非常に有用である。 半導体紫外発光デバイスの中でも、LED(Light Emitting Diode)(好ましくはUV−LED)、LD(Laser Diode)(好ましくはUV−LD)は小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、光源として期待されている。 光源としては、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LED、又は青紫レーザーが好ましい。 これらの中でも、増感剤と光重合開始剤とを併用する場合は、波長365nm、405nm、若しくは436nmの光照射が可能な超高圧水銀ランプ、波長365nm、405nm、若しくは436nmの光照射が可能な高圧水銀ランプ、又は、波長355nm、365nm、385nm、395nm、若しくは405nmの光照射が可能なLEDがより好ましく、波長355nm、365nm、385nm、395nm、若しくは405nmの光照射が可能なLEDが最も好ましい。

画像形成方法に用いられるインク(即ち、本発明の一実施形態の水分散物)では、光重合開始剤を、三次元架橋構造を有するゲル粒子に内包しているため、従来、水系インクでは用いることができなかった光重合開始剤、例えば、光に対する感度に優れるが水への溶解性が低い、アシルホスフィンオキシド化合物等の光重合開始剤を選択することができる。 例えば、350nm〜450nmに吸収波長を有する、アシルホスフィンオキシド化合物等の光重合開始剤とチオキサントン化合物等の増感剤とを併用する場合には、光源としては、特に、LEDが好ましい。 また、アシルホスフィンオキシド化合物等の光重合開始剤とチオキサントン化合物等の増感剤とを併用する場合には、紫外線よりも波長の長い380nm〜450nmにピーク波長を有する活性エネルギー線(光)も好ましく用いることができる。 光重合開始剤と増感剤とを併用しない場合には、メタルハライドランプ、中圧水銀ランプ、又は低圧水銀ランプが好ましい。

照射工程おいては、記録媒体上に付与されたインク組成物が、このようなUV光に、例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.1秒間〜90秒間照射されることが適当である。 照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている照射条件及び照射方法を同様に適用することができる。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査する方式や、駆動を伴わない別光源によって行われ、駆動を伴わない別光源によって行われる方式が好ましい。活性エネルギー線の照射は、インク着弾、加熱乾燥後、一定時間(例えば、0.01秒間〜120秒間、好ましくは、0.01秒間〜60秒間)をおいて行われることになる。

(加熱乾燥工程) 画像形成方法は、必要によりインク付与工程後であって照射工程前に、更に加熱乾燥工程を有していてもよい。 加熱乾燥工程において、記録媒体上に吐出されたインク組成物は、加熱手段により、水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤が蒸発されることにより画像が定着されることが好ましい。

吐出されたインク組成物に熱を加えて乾燥させ、定着する工程(加熱乾燥工程)について説明する。 加熱手段としては、水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。 加熱温度は、40℃以上が好ましく、40℃〜150℃程度がより好ましく、40℃〜80℃程度が更に好ましい。なお、乾燥又は加熱時間は、用いるインク組成物の組成及び印刷速度を加味して適宜設定することができる。

加熱により定着されたインク組成物は、必要に応じ、照射工程において活性エネルギー線を照射して、さらに光定着される。既述のごとく、照射工程においては、UV光による定着をすることが好ましい。

以下、本発明の実施形態を実施例により具体的に説明するが、本発明の実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。

〔イソシアネート化合物1(NCO104)の合成〕 三口フラスコにトリメチロールプロパン(TMP)10g、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI) 57.91g、酢酸エチル(AcOEt)126.11gを加え、50℃に加熱し、そこにネオスタンU−600(日東化成株式会社製、無機ビスマス触媒)を0.194g添加し、3時間反応させ、イソシアネート化合物1を得た。

〔イソシアネート化合物2(NCO202)の合成〕 三口フラスコにトリメチロールプロパン(TMP)10g、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)57.91g、酢酸エチル(AcOEt)169.62gを加え、50℃に加熱し、そこにネオスタンU−600を0.261g添加し、3時間反応させた。反応後、そこにブレンマーAP−400(日油株式会社製)23.43g、ジヒドロキシトルエン(BHT)0.04g加えてさらに50℃、3時間反応させ、イソシアネート化合物2を得た。

〔イソシアネート化合物3(NCO210)の合成〕 三口フラスコにデュラネート(登録商標)TKA−100(旭化成株式会社製、イソシアヌレート型3官能イソシアネート化合物、イソシアネート基21.7質量%含有)50g、酢酸エチル(AcOEt)122.88g、ブレンマーAP400(日油株式会社製、水酸基含有アクリレート、n=6)16.16g、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.033gを加え、50℃に加熱し、そこにネオスタンU−600を0.189g添加し、3時間反応させ、イソシアネート化合物3を得た。

〔イソシアネート化合物4(NCO109)の合成〕 三口フラスコにペンタエリスリトールエチレンオキシド10g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)35.58g、酢酸エチル(AcOEt)84.65gを加え、50℃に加熱し、そこにネオスタンU−600を0.13g添加し、3時間反応させ、イソシアネート化合物4を得た。

〔親水性基を導入したイソシアネート化合物2の合成〕 三口フラスコに2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)45g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)223.72g、酢酸エチル(AcOEt)499.05gを加え、50℃に加熱し、そこにネオスタンU−600を0.7677g添加し、3時間反応させ親水性基を導入したイソシアネート化合物2(カルボン酸基を有するイソシアネート化合物)を得た。

イソシアネート化合物1〜イソシアネート化合物4と同様の方法で、下記表3及び表4の組み合わせで、NCO101〜NCO113、並びにNCO201〜NCO211を作製した。NCO106〜NCO113はイソシアネート化合物1(NCO104)のトリメチロールプロパンを、表3に記載の2つ以上の活性水素基を有する化合物に変え、表3に記載の組成比となるよう調製した。なお、表4中の「重合性基導入モノマー」は、少なくとも1つ活性水素基を有し、少なくとも1つ末端にエチレン性不飽和結合を有する化合物を表し、「ポリイソシアネート」は、3官能以上のイソシアネート化合物を表す。

〔ゲル粒子の分散液の作製〕 (実施例1) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)39g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル5g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃、24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子1の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。なお、体積平均粒子径の測定には、湿式粒度分布測定装置LA−910((株)堀場製作所製)を用いた。

(実施例2〜実施例6) 実施例1で用いたイソシアネート化合物NCO202を、下記表5に示すイソシアネート化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、ゲル粒子2〜ゲル粒子6の分散液を作製した。

(実施例7〜実施例11) 実施例1で用いた内包光重合開始剤(Irgacure(登録商標)819)を、下記表5に示す内包光重合開始剤に変更した以外は、実施例1と同様にして、ゲル粒子7〜ゲル粒子11の分散液を作製した。

(実施例12) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)39g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)、2−イソプロピルチオキサントン(ITX)0.5g(内包増感剤)を酢酸エチル5g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃、24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子12の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例13) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)19g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー製、SR399E)6.5g(内包重合性モノマー)、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル18g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子13の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例14〜実施例18) 実施例13で用いたイソシアネート化合物NCO202を、下記表5に示すイソシアネート化合物に変更した以外は、実施例13と同様にして、ゲル粒子14〜ゲル粒子18の分散液を作製した。

(実施例19〜実施例23) 実施例13で用いた内包光重合開始剤(Irgacure(登録商標)819)を、下記表5に示す内包光重合開始剤に変更した以外は、実施例13と同様にして、ゲル粒子19〜ゲル粒子23の分散液を作製した。

(実施例24) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)19g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー製、SR399E)6.5g(内包重合性モノマー)、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)、2−イソプロピルチオキサントン(ITX)0.5g(内包増感剤)を酢酸エチル18g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子24の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例25〜実施例37) 実施例13で用いたイソシアネート化合物NCO202を、下記表5に示すイソシアネート化合物に変更した以外は、実施例13と同様にして、ゲル粒子25〜ゲル粒子37の分散液を作製した。

(実施例38) 実施例37で用いた内包光重合開始剤(Irgacure(登録商標)819)を、ベンゾフェノンに変更した以外は、実施例37と同様にして、ゲル粒子38の分散液を作製した。

(実施例39) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)39g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、親水性基を導入したイソシアネート化合物2 2.51g、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル5g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4g、水酸化ナトリウム0.033gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃、24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子39の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例40〜実施例44) 実施例39で用いたイソシアネート化合物NCO202を下記表5に示すイソシアネート化合物に変更した以外は、実施例39と同様にして、ゲル粒子40〜ゲル粒子44の分散液を作製した。

(実施例45) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)19g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、親水性基を導入したイソシアネート化合物2 2.51g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー製、SR399E)6.5g(内包重合性モノマー)、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル18g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4g、水酸化ナトリウム0.033gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子45の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例46〜実施例50) 実施例45で用いたイソシアネート化合物NCO202を下記表5に示すイソシアネート化合物に変更した以外は、実施例45と同様にして、ゲル粒子46〜ゲル粒子50の分散液を作製した。

(実施例51) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)39g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、親水性基を導入したイソシアネート化合物2 2.51g、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル5g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4g、水酸化ナトリウム0.033gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子51の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例52〜実施例56) 実施例51で用いたイソシアネート化合物NCO202を、下記表5に示すイソシアネート化合物に変更した以外は、実施例51と同様にして、ゲル粒子52〜ゲル粒子56の分散液を作製した。

(実施例57) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO202(固形分35質量%)19g(重合性基が導入された3官能以上のイソシアネート化合物)、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、親水性基を導入したイソシアネート化合物2 2.51g、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー製、SR399E)6.5g(内包重合性モノマー)、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル18g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4g、水酸化ナトリウム0.033gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子57の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例58〜実施例62) 実施例57で用いたイソシアネート化合物NCO202を、下記表5に示すイソシアネート化合物に変更した以外は、実施例57と同様にして、ゲル粒子58〜ゲル粒子62の分散液を作製した。

(実施例63) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO101(固形分35質量%)19g(3官能以上のイソシアネート化合物)、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、ネオペンチルグリコールプロピレンオキシド付加物ジアクリレート(サートマー社製、NPGPODA)6.5g(内包重合性モノマー)、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル18g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子63の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例64〜実施例68) 実施例63で用いたイソシアネート化合物NCO101及び内包重合性モノマー(NPGPODA)を、下記表5に示す化合物にそれぞれ変更した以外は、実施例63と同様にして、ゲル粒子64〜ゲル粒子68の分散液を作製した。

(実施例69) 実施例57で用いたイソシアネート化合物NCO202を、イソシアネート化合物NCO104に変更した以外は、実施例57と同様にして、ゲル粒子69の分散液を作製した。

(実施例70) <乳化工程> −油相成分の作製− イソシアネート化合物NCO104(固形分35質量%)19g、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアネートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの付加物(三井化学株式会社製、タケネートD−116N酢酸エチル50質量%溶液、親水性基を導入したイソシアネート化合物1)3.5g、親水性基を導入したイソシアネート化合物2を2.51g、イソボルニルアクリレート(IBOA)1.30g(単官能の内包重合性モノマー)、2−フェノキシエチルアクリレート(PEA)1.95g(単官能の内包重合性モノマー)、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート(CTFA)3.25g(単官能の内包重合性モノマー)、Irgacure(登録商標)819(BASF製)1g(内包光重合開始剤)を酢酸エチル18g中に溶解させて、油相成分を得た。

−水相成分の作製− ドデシル硫酸ナトリウム0.4gを蒸留水50gに溶解させて、水相成分を得た。 油相成分に水相成分を添加、混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化させて乳化物を得た。

<ゲル化工程> 得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、50℃で3時間攪拌し、酢酸エチルを留去した。 その後、さらに50℃24時間攪拌し、得られたゲル粒子の分散液の固形分濃度を20質量%になるように蒸留水を用いて希釈し、ゲル粒子70の分散液を得た。光散乱法により測定したゲル粒子の体積平均粒子径は0.15μmであった。

(実施例71〜実施例74) 実施例70で用いた単官能の内包重合性モノマーを、下記表6に示す単官能の内包重合性モノマーに変更した以外は、実施例70と同様にして、ゲル粒子71〜ゲル粒子74の分散液を作製した。

(実施例75〜実施例79) 実施例70で用いた単官能の内包重合性合物を、下記表6に示す単官能の内包重合性モノマー及び2官能以上の内包重合性モノマーに変更した以外は、実施例70と同様にして、ゲル粒子75〜ゲル粒子79の分散液を作製した。

(実施例80〜実施例84) 実施例75〜実施例79で用いた3官能以上のイソシアネート化合物NCO104を、NCO202に変更した以外は、実施例75〜実施例79と同様にして、ゲル粒子80〜ゲル粒子84の分散液を作製した。

(実施例85〜実施例89) 実施例75〜実施例79のゲル粒子作製の乳化工程おいて、更に2−イソプロピルチオキサントン(ITX)0.5gを加えた以外は、実施例75〜実施例79と同様にして、ゲル粒子85〜ゲル粒子89の分散液を作製した。

表5中のD−116N、カルボン酸基を含むイソシアネート化合物、スルホニウムは、以下に示す構造の化合物である。また、TPOは、Lucirin(登録商標)TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、BASF社製)を示す。Irgacure(登録商標)369、Irgacure(登録商標)907、Irgacure(登録商標)184は、それぞれBASF社製のものである。A−TMPT、ATMM−3L、AD−TMP、A−DHPは、新中村化学工業株式会社製のものである。UA−306Tは、共栄社化学株式会社製のものである。

表6中、SR−399Eはサートマー社製のジペンタエリスリトールペンタアクリレート、THFAはテトラヒドロフルフリルアクリレート、EOEOEAは 2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、NVCはN−ビニルカプロラクタムを表す。

〔比較合成例1:ウレタンアクリレート(a)の合成〕 攪拌装置、冷却管、滴下ロート、及び空気導入管を備えた反応容器に、444.6部のIPDI及び202.3部の1,12−ドデカンジオールを仕込み、攪拌を行いながら、0.26部のオクチル酸第1錫加え、反応容器内の温度を90℃まで昇温し、1.5時間反応させた。その後、700.0部のメトキシPEG1000(メトキシポリエチレングリコール、東邦化学工業株式会社製)及び0.54部のオクチル酸第1錫を加え、さらに1.5時間反応させた。次いで、当該反応容器に、1300.0部のジペンタエリスリトールペンタアクリレート、1.32部のメトキノン、及び1.06部のオクチル酸第1錫を仕込み、混合し、空気のバブリング下で反応容器内の温度を85℃まで昇温し、3時間反応させた後、冷却して、ウレタンアクリレート(a)を得た。

〔比較合成例2:ウレタンアクリレート(b)の合成〕 比較合成例1と同様の反応容器に、578.0部のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の3量体(コロネート(登録商標)HXR、日本ポリウレタン株式会社製)、200.0部のメトキシPEG400(メトキシポリエチレングリコール、東邦化学工業株式会社製)、及び200.0部のメトキシPEG1000を仕込み、攪拌を行いながら、0.39部のオクチル酸第1錫を加え、反応容器内の温度を75℃まで昇温し、1.5時間反応させた。次いで、当該反応容器に、1051.6部のペンタエリスリトールトリアクリレート、1.01部のメトキノン、及び0.81部のオクチル酸第1錫を仕込み、混合し、空気のバブリング下で反応容器内の温度を80℃まで昇温し、2時間反応させた後、冷却して、ウレタンアクリレート(b)を得た。なお、このウレタンアクリレート(b)は、片末端がアクリロイル基で、かつ、3官能のイソシアネートを用いたウレタンアクリレートである。

〔比較合成例3:ウレタンアクリレート(c)の合成〕 比較合成例1と同様の反応容器に、444.6部のIPDI(2モル)と400.0量部の重量平均分子量が400のポリプロピレングリコールを仕込み、攪拌を行いながら、0.34部のオクチル酸第1錫を加え、反応容器内の温度を90℃まで昇温し、1.5時間反応させた後、1400.0部のメトキシPEG2000(メトキシポリエチレングリコール、東邦化学工業株式会社製)及び0.90部のオクチル酸第1錫を加え、さらに1.5時間反応させた。次いで、当該反応容器に、1300部のジペンタエリスリトールペンタアクリレート、1.77部のメトキノン及び2.13部のオクチル酸第1錫を仕込み、混合し、空気のバブリング下で反応容器内の温度を85℃まで昇温し、3時間反応させた後、冷却して、両親媒性ウレタンアクリレート(c)を得た。

(比較例1) 比較合成例1と同様の反応容器に、上記で得られた両親媒性ウレタンアクリレート(a)27.5部、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート9.2部、及び光ラジカル重合開始剤(TPO)3.3部を仕込み、攪拌を行いながら容器内の温度を80℃に昇温し、2時間保温した。次に、容器内の温度を50℃まで冷却した後、攪拌しながら60部の脱イオン水を加え、40℃で1時間保温することにより、不揮発分(両親媒性ウレタンアクリレート(a)、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、及び光ラジカル重合開始剤(TPO))が40質量%の分散液を得た。さらに、得られた分散液に蒸留水を加え固形分濃度が20質量%になるように調製し、エマルション1を得た。 なお、エマルション1において、ゲル粒子は形成されていない。

(比較例2) 比較合成例1と同様の反応容器に、上記で得られたウレタンアクリレート(b)27.5部、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート9.2部、及び光ラジカル重合開始剤(TPO)3.3部を仕込み、攪拌を行いながら容器内の温度を80℃に昇温し、2時間保温した。次に、容器内の温度を50℃まで冷却した後、攪拌しながら60部の脱イオン水を加え、40℃で1時間保温することにより、不揮発分(両親媒性ウレタンアクリレート(b)、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、及び光ラジカル重合開始剤(TPO))が40質量%の分散液を得た。さらに、得られた分散液に蒸留水を加え固形分濃度が20質量%になるように調製し、エマルション2を得た。 なお、エマルション2において、ゲル粒子は形成されていない。

(比較例3) 比較合成例1と同様の反応容器に、上記で得られた両親媒性ウレタンアクリレート(c)23.3部、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート8.3部、定着用ウレタンアクリレート1.7部、光ラジカル重合開始剤(TPO)5.0部、光ラジカル重合開始剤として2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン(DETX、アルドリッチ社製)1.7部、蛍光増白剤として、1,4−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ナフタレン(KCB、東京化成工業株式会社製)0.07部を仕込み、攪拌を行いながら容器内の温度を80℃に昇温し、2時間保温した。次に、容器内の温度を50℃まで冷却した後、攪拌しながら60部の脱イオン水を加え、50℃で1時間保温することにより、不揮発分(両親媒性ウレタンアクリレート(c)、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、定着用ウレタンアクリレート、光ラジカル重合開始剤(TPO、DETX)、蛍光増白剤(KCB))が40質量%の分散液を得た。さらに、得られた分散液に蒸留水を加え固形分濃度が20質量%になるように調製し、エマルション3を得た。 なお、エマルション3において、ゲル粒子は形成されていない。

(比較例4) 比較合成例1と同様の反応容器に、上記で得られた両親媒性ウレタンアクリレート(c)21.6部、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート7.7部、定着用ウレタンアクリレート1.5部、光ラジカル重合開始剤(TPO)5.0部、光ラジカル重合開始剤(DETX)1.7部を仕込み、攪拌を行いながら容器内の温度を80℃に昇温し、2時間保温した。次に、容器内の温度を50℃まで冷却した後、攪拌しながら2.5部の架橋剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(PEMP、SC有機化学製)を加え、そのまま15分間攪拌を続けた。その後、60部の脱イオン水を加え、50℃で1時間保温した後、容器内の温度を80℃に昇温し、6時間保温することにより、不揮発分(両親媒性ウレタンアクリレート(c)、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート、定着用ウレタンアクリレート、光ラジカル重合開始剤(TPO、DETX)、及び架橋剤(PEMP))40質量%の分散液を得た。さらに、得られた分散液に蒸留水を加え固形分濃度が20質量%になるように調製し、エマルション4を得た。 なお、エマルション4において、ゲル粒子は形成されていない。

(比較例5) 油相成分としてトリメチロールプロパン(TMP)とキシリレンジイソシアネート(XDI)との付加物の50質量%酢酸エチル溶液(三井化学製、タケネートD−110N、マクロカプセル壁材)65g、赤外線吸収色素3g、熱ラジカル発生剤(下記構造)2.5g、パイオニンA41C、0.1gをメチルエチルケトン30g、酢酸エチル60gの混合溶液に溶解した。 水相成分としてPVA205の4質量%水溶液120gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用いて10000rpmで10分間乳化した。 その後、水を130g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにしてマイクロカプセルの分散液を得た。さらに、得られた分散液に蒸留水を加え固形分濃度が20質量%になるように調製した。分散液中のマイクロカプセルの体積平均粒子径は0.35μmであった。 マイクロカプセルの分散液において、マイクロカプセルは重合性基を有していない。

<ゲル粒子の分散液が重合性基を有するゲル粒子を含むことの確認> 上記にて得られた実施例1〜実施例89のゲル粒子の分散液中が、実際にゲル粒子を含むがどうかを、以下の方法により確認した。なお、以下の操作は、液温25℃の条件で行った。 上記にて得られたゲル粒子の分散液から試料を採取した。採取した試料に対し、この試料中の全固形分(本実施例では粒子)の100質量倍のテトラヒドロフラン(THF)を加えて混合し、ゲル粒子の分散液の希釈液を調製した。得られた希釈液に対して、遠心分離(80000rpm、40分間)を施した。遠心分離後、目視によって残渣の有無を確認し、残渣が確認された場合には、この残渣に水を加え、スターラーを用いて1時間攪拌することにより、残渣を水で再分散させて再分散液を得た。得られた再分散液について、湿式粒度分布測定装置(LA−910、(株)堀場製作所製)を用い、光散乱法によって、粒度分布を測定した。以上の操作により粒度分布が確認された場合を、分散液がゲル粒子を含むと判断した。 また、以上の結果とフーリエ変換赤外線分光測定(FT−IR)分析の結果とから、全てのゲル粒子の分散液が、重合性基を有するゲル粒子を含むこと(すなわち、ゲル粒子が、実際に重合性基を有するゲル粒子であること)が確認された。

<光重合開始剤の内包の確認> 上記にて得られた実施例1〜実施例89のゲル粒子の分散液について、光重合開始剤の内包率(%)を測定することにより、ゲル粒子に光重合開始剤が内包されているか否かを確認した。詳細を以下に示す。なお、以下の操作は、液温25℃の条件で行った。 上記ゲル粒子の分散液から、同質量の試料を2つ(以下、「試料1A」及び「試料2A」とする。)採取した。 試料1Aに対し、この試料1A中の全固形分に対して100質量倍のテトラヒドロフラン(THF)を加えて混合し、希釈液を調製した。得られた希釈液に対し、80,000rpm、40分の条件の遠心分離を施した。遠心分離によって生じた上澄み液(以下、「上澄み液1A」とする。)を採取した。採取された上澄み液1A中に含まれる光重合開始剤の質量を、Waters社の液体クロマトグラフィー装置「Waters2695」によって測定した。得られた光重合開始剤の質量を、「光重合開始剤の全量」とした。 また、試料2Aに対し、上記希釈液に施した遠心分離と同じ条件の遠心分離を施した。遠心分離によって生じた上澄み液(以下、「上澄み液2A」とする。)を採取した。採取された上澄み液2A中に含まれる光重合開始剤の質量を、上記液体クロマトグラフィー装置によって測定した。得られた光重合開始剤の質量を、「光重合開始剤の遊離量」とした。 上記「光重合開始剤の全量」及び上記「光重合開始剤の遊離量」に基づき、下記の式に従って、光重合開始剤の内包率(質量%)を求めた。

光重合開始剤の内包率(質量%) = ((光重合開始剤の全量−光重合開始剤の遊離量)/光重合開始剤の全量)×100

その結果、全てのゲル粒子において、内包率が99%以上であり、光重合開始剤が内包されていることが確認された。

<重合性モノマーの内包の確認> 上記にて得られた実施例1〜実施例89のゲル粒子の分散液のうち、重合性モノマーを用いたゲル粒子の分散液について、重合性モノマーの内包率(%)を測定することにより、ゲル粒子に重合性モノマーが内包されているか否かを確認した。 重合性モノマーの内包の有無の確認は、上記の光重合開始剤の内包の確認と同様の方法により行った。 その結果、重合性モノマーを用いたゲル粒子の分散液の全てのゲル粒子において、内包率が99%以上であり、重合性モノマーが内包されていることが確認された。

<増感剤の内包の確認> 上記にて得られた実施例1〜実施例89のゲル粒子の分散液のうち、増感剤を用いたゲル粒子の分散液について、増感剤の内包率(%)を測定することにより、ゲル粒子に増感剤が内包されているか否かを確認した。 増感剤の内包の有無の確認は、上記の光重合開始剤の内包の確認と同様の方法により行った。 その結果、増感剤を用いたゲル粒子の分散液の全てのゲル粒子において、内包率が99%以上であり、増感剤が内包されていることが確認された。

<ゲル粒子の体積平均粒子径の測定> 上記にて得られたゲル粒子の分散液中のゲル粒子1〜ゲル粒子89の体積平均粒子径を、湿式粒度分布測定装置(LA−910、(株)堀場製作所)を用い、光散乱法によって測定した。その結果、ゲル粒子1〜ゲル粒子89の体積平均粒子径は、0.15μmであった。

〔インク組成物の調製〕 上記実施例1〜実施例89のゲル粒子の分散液、比較例1〜比較例4のエマルション、又は比較例5のマイクロカプセルの分散液のいずれか1つを用いて下記のインク組成物になるように各成分を混合して各実施例のインク組成物を調製した。

−インク組成物の組成− ・実施例1〜実施例89の各ゲル粒子の分散液、比較例1〜比較例4の各エマルション、又は比較例5のマイクロカプセルの分散液・・・82部 ・インク(Pro−jet Cyan APD1000(FUJIFILM Imaging Colorants社製)着色剤濃度 14質量%)・・・13部 ・フッ素系界面活性剤(DuPont社製、Capstone FS−31、固形分25質量%)・・・0.3部 ・2−メチルプロパンジオール・・・4.7部

〔インク組成物の評価方法〕 各実施例のインク組成物をRK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 Kハンドコーター KハンドコーターのNo.2バーを用いて基材(塩化ビニル(PVC)シート(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT))に12μmの厚みで塗布した。塗布後、塗膜を60℃で3分間水分を乾燥し、インク組成物評価用試料を得た。 得られた試料について、以下の評価を行った。評価結果は下記表7及び表8に示す。

−密着性評価A(クロスハッチテスト)− 露光光源としてオゾンレスメタルハライドランプMAN250Lを搭載し、コンベアスピード9.0m/分、露光強度2.0W/cm2に設定した実験用UVミニコンベア装置CSOT((株)ジーエス・ユアサパワーサプライ製)により、活性エネルギー線を上記で得られたインク組成物評価用試料に照射し、試料を硬化させた。記録媒体への密着性は、硬化塗膜を用いてISO2409(クロスカット法)により下記の基準で評価した。 なお、下記基準0〜5における格子の剥がれを示す「%」は、1mm間隔で直に切り込まれて形成された25の格子数に対し、剥がれが観察された格子数の割合を百分率で示したものである。 格子の剥がれた割合(%)=〔(剥がれの生じた格子数)/(全格子数)〕×100

評価基準 0:カット縁が滑らかであり、全ての格子に剥がれがない。 1:カットの交点において塗膜に小さな剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の5%以下である。 2:塗膜のカット部の縁に沿った部分、及びカット交点の少なくともいずれかにおいて剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の5%を超え、15%以下である。 3:塗膜のカット部の縁に沿って、部分的もしくは全面的に剥がれが観察されるか、又は、格子の種々の部分で部分的もしくは全面的な剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の15%を超え、35%以下である。 4:塗膜のカット部の縁に沿って、部分的もしくは全面的な剥がれが観察されるか、又は、格子の種々の部分で部分的もしくは全面的な剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の35%を超え、65%以下である。 5:剥がれが観察された箇所が、全格子数の65%を超える。 上記評価において、0〜1が実用上許容されるレベルであると評価した。

−定着性評価− 上記で得られたインク組成物評価用試料をDeep UVランプ(ウシオ電機株式会社製、SP−7)で1000mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光した。露光後の試料表面の定着度合いを触診にて評価した。べたつきが残る場合は、べたつきが無くなるまで露光を繰り返し、べたつきがなくなるまでの露光量により定着性を評価した。

評価基準 A:1回の露光でべたつきが無くなる。 B:2回〜3回の露光でべたつきが無くなる。 C:4回〜5回の露光でべたつきが無くなる。 D:6回以上露光してもべたつきが無くならない。

−耐溶剤性評価− 上記で得られたインク組成物評価用試料をDeep UVランプ(ウシオ電機株式会社製、SP−7)で8000mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光した。8000mJ/cm2のエネルギー条件で露光した印画物の表面を、イソプロピルアルコールを含浸した綿棒にてこすり、以下の基準に従い目視で評価した。

評価基準 A:10回以上こすっても、画像に変化が認められなかった。 B:5回〜9回のこすりで、画像の濃度が低下した。 C:2回〜4回のこすりで、画像の濃度が低下した。 D:1回こすっただけで、画像の濃度が著しく低下した。

−耐水性評価− 上記で得られたインク組成物評価用試料をDeep UVランプ(ウシオ電機株式会社製、SP−7)で8000mJ/cm2のエネルギーとなる条件で露光した。8000mJ/cm2のエネルギー条件で露光した印画物の表面を、水を含浸した綿棒にてこすり、以下の基準に従い目視で評価した。

評価基準 A:10回以上こすっても、画像に変化が認められなかった。 B:5回〜9回のこすりで、画像の濃度が低下した。 C:2回〜4回のこすりで、画像の濃度が低下した。 D:1回こすっただけで、画像の濃度が著しく低下した。

−再分散性評価− インク組成物をRK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 Kハンドコーター KハンドコーターのNo.2バーを用いて、アルミプレートに12μmの厚みで塗布した。塗布後、塗膜を60℃で3分間、水分を乾燥した。この塗膜を、水を含浸したスポンジでこすり取る操作を1回行った。 スポンジでこすり取る前の塗膜及びこすった後の塗膜のそれぞれについて、フーリエ変換赤外線分光測定(FT−IR)を実施し、得られた結果から、下記式に基づき、ゲル粒子の残存率を算出した。 粒子の残存率 = (スポンジでこすった後に残存した塗膜におけるゲル粒子由来のピークの強度/スポンジでこすり取る前の塗膜におけるゲル粒子由来のピークの強度)×100 ここで、ゲル粒子由来のピークとは、1700cm−1のピークである。 得られたゲル粒子の残存率に基づき、下記の評価基準に従い、インク組成物の再分散性を評価した。

評価基準 A:ゲル粒子の残存率が1%以下である。 B:ゲル粒子の残存率が1%を超えて5%以下である。 C:ゲル粒子の残存率が5%を超えて10%以下である。 D:ゲル粒子の残存率が10%を超える。

−吐出性評価− 実施例1〜実施例89の各インク組成物をインクジェットプリンタ(ローランド ディー.ジー.社製、SP−300V)を用いて、ヘッドから30分間吐出して、停止し、5分間経過した後、再び吐出することで記録媒体(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)上にベタ画像及び細線を記録した。得られた画像(5cm×5cm)を観察し、下記の評価基準に従って目視により評価した。

評価基準 A:ドット抜けの発生が認められず、良好な画質の画像が得られた。 B:ドット抜けの発生がわずかに認められたが、実用上画質に支障を来さない程度であった。 C:ドット抜けの発生があり、実用上画質に支障を来たす。 D:吐出ができなかった。

−インク組成物の保存安定性評価− 得られたインク組成物を容器に密封し、60℃で2週間経時させたのち、上記の吐出性評価と同様の評価を実施し、同様の基準で評価した。

〔感光性組成物の調製〕 上記実施例1〜実施例89のゲル粒子の分散液、比較例1〜比較例4のエマルション、又は比較例5のマイクロカプセルの分散液のいずれか1つを用いて下記の感光性組成物になるように各成分を混合して各実施例の感光性組成物を調製した。

−感光性組成物の組成− ・実施例1〜実施例89の各ゲル粒子の分散液、比較例1〜比較例4の各エマルション、又は比較例5のマイクロカプセルの分散液・・・82部 ・フッ素系界面活性剤(DuPont社製、Capstone FS−31、固形分25質量%)・・・0.3部 ・水・・・全体を100部として残部

〔感光性組成物の評価方法〕 インク組成物をRK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 Kハンドコーター KハンドコーターのNo.2バーを用いて基材(トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、富士フイルム株式会社製)に12μmの厚みで塗布した。塗布後、塗膜を60℃で3分間水分を乾燥し、感光性組成物評価用試料を得た。 得られた感光性組成物評価用試料について、以下の評価を行った。評価結果は下記表7及び表8に示す。

−密着性評価B(クロスハッチテスト)− 露光光源としてオゾンレスメタルハライドランプMAN250Lを搭載し、コンベアスピード9.0m/分、露光強度2.0W/cm2に設定した実験用UVミニコンベア装置CSOT((株)ジーエス・ユアサパワーサプライ製)により、活性エネルギー線を感光性組成物評価用試料に照射し、試料を硬化させた。記録媒体への密着性は、硬化塗膜を用いてISO2409(クロスカット法)により下記の基準で評価した。 なお、下記基準0〜5における格子の剥がれを示す「%」は、1mm間隔で直角に切り込まれて形成された25の格子数に対し、剥がれが観察された格子数の割合を百分率で示したものである。 格子の剥がれた割合(%)=〔(剥がれの生じた格子数)/(全格子数)〕×100

評価基準 0:カット縁が滑らかであり、全ての格子に剥がれがない。 1:カットの交点において塗膜に小さな剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の5%以下である。 2:塗膜のカット部の縁に沿った部分、及びカット交点の少なくともいずれかにおいて剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の5%を超え、15%以下である。 3:塗膜のカット部の縁に沿って、部分的もしくは全面的に剥がれが観察されるか、又は、格子の種々の部分で部分的もしくは全面的な剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の15%を超え、35%以下である。 4:塗膜のカット部の縁に沿って、部分的もしくは全面的な剥がれが観察されるか、又は、格子の種々の部分で部分的もしくは全面的な剥がれが観察される。剥がれが観察された箇所は、全格子数の35%を超え、65%以下である。 5:剥がれが観察された箇所が、全格子数の65%を超える。 上記評価において、0〜1が実用上許容されるレベルであると評価した。

−鉛筆硬度− 密着性評価に用いたものと同様に作製したインク硬化膜について、JIS K5600−5−4(1999年)に基づき、鉛筆硬度試験を行った。感光性組成物において、硬度の許容範囲はHB以上であり、H以上であることが好ましい。評価結果がB以下である印刷物は印刷物の取り扱い時に傷が生じる可能性があり好ましくない。 なお、鉛筆は三菱鉛筆(株)製のUNI(登録商標)を使用した。

表7及び表8より、実施例のインク組成物において、密着性、耐水性、耐溶剤性、定着性、吐出性、再分散性、保存安定性のいずれも優れることがわかる。また、実施例の感光性組成物において、密着性、鉛筆硬度に優れることがわかる。 これらのことから、実施例は、分散性、再分散性に優れ、かつ、高感度に硬化し、膜強度に優れた画像が得られることがわかる。

(実施例90〜実施例93) 〔LEDを用いたインク組成物の評価〕 実施例1、12、13、24のインク組成物について、LEDを用いた評価を行った。 詳細には、上記の密着性評価A、密着性評価B及び鉛筆硬度の評価において、露光光源を、実験用385nmUV−LED照射器(CCS(株)製)に変更し、露光エネルギーを300mJ/cm2に変更したこと以外は、同様の操作を行った。 結果を表9に示す。

表9に示すように、硬化に際し、LED光を用いた実施例1、12、13、24のインク組成物は、オゾンレスメタルハライドランプMAN250Lを用いた場合(上記の表6参照)と同様に、密着性及び鉛筆硬度の評価において、優れた結果を示した。

(実施例94) 〔インク組成物の調製〕 上記実施例69のゲル粒子の分散液を用いて、下記に示すシアンインク組成物になるように各成分を混合してシアンインク組成物を調製した。

−シアンインク組成物の組成− ・ゲル粒子69の分散液・・・75部 ・SR9035(サートマー社製、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、重合性化合物)・・・10部 ・インク(Pro−jet Cyan APD1000(FUJIFILM Imaging Colorants社製)着色剤濃度 14質量%)・・・10部 ・フッ素系界面活性剤(Du Pont社製、Capstone FS−31、固形分25質量%)・・・0.3部 ・2−メチルプロパンジオール・・・4.7部

(実施例95〜実施例98) 実施例94のシアンインク組成物で用いた重合性化合物を、下記表10に示す重合性化合物に変更した以外は、実施例94と同様にして各実施例のシアンインク組成物を作製した。

(実施例99〜実施例107) 実施例94、実施例95、及び実施例97のシアンインク組成物に、更に下記表10に示す光重合開始剤を2部加えた以外は、実施例94、実施例95、及び実施例97と同様にして各実施例のシアンインク組成物を作製した。

(実施例108〜実施例110) 実施例95のシアンインク組成物で用いた重合性化合物の添加量を下記表10に示す量に変更した以外は、実施例95と同様にして各実施例のシアンインク組成物を作製した。

(実施例111〜実施例113) 実施例103のシアンインク組成物で用いた光重合開始剤の添加量を下記表10に示す量に変更した以外は、実施例103と同様にして各実施例のシアンインク組成物を作製した。

〔インク組成物の評価方法〕 上記で得られた実施例94〜実施例113の各シアンインク組成物をRK PRINT COAT INSTRUMENTS社製 Kハンドコーター KハンドコーターのNo.2バーを用いて基材(塩化ビニルシート(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT))に12μmの厚みで塗布した。塗布後、塗膜を60℃で3分間水分を乾燥し、インク組成物評価用試料を得た。 得られた試料について、上記と同様の方法で密着性評価A、定着性評価、耐溶剤性評価、耐水性評価、及び鉛筆硬度の評価を行った。評価結果は下記表11に示す。 また、上記で得られた実施例94〜実施例113のシアンインク組成物について上記と同様の方法で再分散性評価、及び保存安定性評価を行い、さらに下記の方法で吐出性の評価を行った。評価結果は下記表11に示す。

−吐出性評価− 上記で得られた実施例94〜実施例113のシアンインク組成物をインクジェットプリンタ(ローランド ディー.ジー.社製、SP−300V)を用いて、ヘッドから30分間吐出して、停止し、5分間経過した後、再び吐出することで記録媒体(エイブリィ・デニソン社製、AVERY 400 GLOSS WHITE PERMANENT)上にベタ画像及び細線を記録した。得られた画像(5cm×5cm)を観察し、下記の評価基準に従って目視により評価した。

評価基準 A:ドット抜けの発生が認められず、良好な画質の画像が得られた。 B:ドット抜けの発生がわずかに認められたが、実用上画質に支障を来さない程度であった。 C:ドット抜けの発生があり、実用上画質に支障を来たす。 D:吐出ができなかった。

表10中のSR9035は、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(サートマー社製)であり、AM−1〜AM−4は、以下に示す構造の化合物である。 表10中のIrgacure2959は、BASF社製の光重合開始剤であり、PI−1及びPI−4は、以下に示す構造の化合物である。

表11に示されるように実施例94〜113のインク組成物は、密着性、耐水性、耐溶剤性、定着性、吐出性、再分散性、保存安定性のいずれも優れることがわかる。これらのことから、実施例は、分散性、再分散性に優れ、かつ、高感度に硬化し、膜強度に優れた画像が得られることがわかる。

2014年9月29日に出願された日本国特許出願2014−199145号、2015年2月25日に出願された日本国特許出願2015−035774号、及び2015年3月24日に出願された日本国特許出願2015−061719号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

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