室温硬化性シロキサン系ゲル

申请号 JP2015547412 申请日 2013-12-04 公开(公告)号 JP6263548B2 公开(公告)日 2018-01-17
申请人 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー; 发明人 ジュンカン ジェイ.リウ; 石渡 裕信; ジークフリート カー.ベルケ; 柿沼 好映;
摘要
权利要求

縮合硬化性混合物の反応生成物を含むゲル組成物であって、該縮合硬化性混合物は、 少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、 99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、 アミノ基を含む共硬化性化合物と、 を含み、前記縮合硬化性混合物は室温で、触媒又は開始剤の残留物を生成せずに硬化可能である、ゲル組成物。前記アミノ基を含む共硬化性化合物は、以下の一般構造: R62−xR7xN−G−Si(OR8)yR93−y (式中、R6及びR7は、各々独立して、原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基を含み; xは、0、1、又は2の整数であり; Gは二価の結合基であり、 R8は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; R9は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; yは、1、2、又は3の整数である) を有する、請求項1に記載のゲル組成物。少なくとも1つの非反応性シロキサン流体を更に含む、請求項1に記載のゲル組成物。基材と、 前記基材の少なくとも1つの主表面上の少なくとも一部分に配置される粘着性ゲルの層と、 を含む物品であって、前記粘着性ゲルは縮合硬化性混合物の反応生成物を含み、該縮合硬化性混合物が、 少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、 99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、 アミノ基を含む共硬化性化合物と、 を含み、前記縮合硬化性混合物は室温で、触媒又は開始剤の残留物を生成せずに硬化可能である、物品。少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、 99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、 アミノ基を含む共硬化性化合物と、 を含み、室温で硬化可能である縮合硬化性ゲル前駆体組成物を提供する工程と、 前記縮合硬化性ゲル前駆体組成物を基材に塗布する工程と、 前記縮合硬化性ゲル前駆体組成物を室温で硬化させて、触媒又は開始剤の残留物を生成せずにゲルを形成する工程と、を含む、医療用物品の作製方法。

说明书全文

本開示は、テープなどの接着性物品、又は医療用途において有用なシーラント物品を形成するのに使用され得るシロキサン系ゲルに関する。

広範囲に及ぶ接着物品が、医療用途において用いられている。これら接着物品としては、患者の皮膚に電極及び他の検知装置を貼着するために用いられるゲル、患者に医療装置を貼着するための広範囲に及ぶテープ、並びに創傷を被覆及び保護するために用いられる接着包帯が挙げられる。

接着物品の多くは、感圧性接着剤を使用する。感圧性接着剤は、室温で(1)強く永続的な粘着、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着体上に保持する十分な能力、及び(4)被着体からきれいに除去するのに十分な凝集力を含む特定の特性を有することが当業者に周知である。感圧接着剤として充分な機能を有することが示されている材料は、粘着力、剥離接着力、及び剪断保持力の望ましいバランスを得るうえで必要な粘弾特性を示すように設計及び配合されたポリマーである。感圧性接着剤を調製するために最も一般的に用いられるポリマーは、天然ゴム、合成ゴム(例えば、スチレン/ブタジエンコポリマー(SBR)及びスチレン/イソプレン/スチレン(SIS)ブロックコポリマー)、種々の(メタ)アクリレート(例えば、アクリレート及びメタクリレート)コポリマー、及びシリコーンである。

医療用途で接着物品を使用するうえでの1つの問題は、接着物品の除去により、皮膚に外傷が生じる場合があることである。これは、特に、乳幼児及び高齢者などの敏感な皮膚を有する患者において厄介であり、長期にわたって接着物品を繰り返し貼着したり除去したりする慢性患者において重篤になる場合がある。

接着物品を用いてこの問題を軽減するための様々な試みが行われている。特に、医療従事者は、皮膚の外傷を軽減するために除去技術を利用する。皮膚への外傷を軽減するための1つの方法は、皮膚の伸張を避けるために高度でゆっくりと引き剥がすことにより接着物品を除去することである。接着物品が伸縮性である場合、外傷を軽減するための別の方法は、接着層の皮膚からの伸張剥離を誘導するために、(可能な限り0°に近い角度で)真っ直ぐ引き抜くことである。また、接着物品の製造業者は、皮膚の外傷を軽減する物品を開発している。皮膚に接着物品を接着させるために皮膚に十分な接着力を提供するが、除去するときには皮膚細胞をほとんど剥ぎ取ることのない、いわゆる「皮膚に優しい接着剤」が開発されている。

様々な皮膚に優しい接着剤及び皮膚に優しい接着剤を使用する包帯が記載されている。皮膚に優しい接着剤は、米国特許出願公開第2011/0212325号(Determanら)に記載されており、これには、非官能性又は官能性ポリジオルガノポリシロキサンを使用してよい電子ビーム及びガンマ線架橋シリコーンゲル接着剤が記載されている。欧州特許第2,001,424号(Cotton)には、皮膚接触層として有用な疎性ゲル接着剤を含み、また、片側にゲル接着剤を有し、他の側に感圧性接着剤を有する構造層も含有する接着積層包帯が記載されている。また、米国特許第5,891,076号(Fabo)は、ユーザの皮膚に接触する包帯の側にシリコーン−ゲルを含み、また、このゲルがキャリアの両側に連続層を形成するように、シリコーン−ゲル内に具現化された可撓性キャリアシートを含む肥厚性瘢痕用包帯について記載されており、米国特許出願公開第2010/0331785号(Faboら)には、皮膚に接着することを意図する側に、皮膚に優しい接着剤でコーティングされた液体不透過性フィルム層を含む包帯が記載されている。

様々なシリコーン感圧性接着剤及びシリコーン感圧性接着剤のブレンドが記載されている。米国特許第4,831,070号(McInallyら)において、(A)トリオルガノシロキシ単位を含有するコポリマーと(B)ヒドロキシル基を含有するポリオルガノシロキサン流体との硬化性混合物、1分子当たり2つを超えるケイ素結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、及び縮合触媒を含有する、医療用接着剤として使用するのに好適な組成物が記載されている。カナダ国特許出願公開第711,756号(Pail)において、感圧性接着剤は、(1)SiO2及びR3SiO1/2単位を有する45〜75重量%の樹脂化合物;(2)25〜55重量%のヒドロキシル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサン流体、及び(3)0.001〜5重量%の脂肪族有機アミン化合物、の混合物を100℃を超える温度で加熱することで調製される。米国特許出願公開第2012/0095109号(Garaudら)において、接着剤フィルムは、(a)M及びQ単位から構成されるポリオルガノシロキサン(polyoransiloxane)、(d)ヒドロシリル化触媒及び少なくとも1つの(b)少なくとも2つのSi−H基を有するポリオルガノシロキサン化合物、又は末端Si−H基を有するテレケリック型ポリオルガノシロキサン化合物、を含む。米国特許出願公開第2011/0028647号(Sixtら)において、室温硬化性材料は、有機ケイ素及び無機酸と共に主族I又はII又は亜族I又はIIの金属を含有する触媒に由来すると記載されている。米国特許出願公開第2007/0202245号(Gantnerら)は、ヒドロキシル置換シロキサン樹脂を含有するシリコーンゲルを使用する、ヒト又は動物に医療用基材を接着する方法を記載している。米国特許出願公開第2005/0282977号(Stempelら)は、(1)オルガノシロキサンと複数の反応性官能基を有するシロキサンとのコポリマー、及び架橋剤を含むゲル、及び(2)ゲルと非反応性である感圧性接着剤、のブレンド含む感圧性接着剤組成物を記載している。米国特許第6,881,807号(Teradaら)において、硬化性シリコーンゲルは、(A)ポリオルガノシロキサン、(C)付加反応白金触媒、(D)有機ケイ素化合物、及び(E)有機チタン化合物、を含むものである。

医療用物品は、ゲル接着剤を備える創傷包帯を記載している米国特許出願公開第2012/0029455号(Perez−Foulleratら)、及びともにブレンドされる治療薬を有する非硬化性感圧性接着剤を含む多層経皮パッチを記載している米国特許出願公開第2012/0135225号(Colasら)に記載されている。医療用シーラントは、プレポリマーを含有するアルケニル基を含むA部分、及びSi−H基を含有するプレポリマーを含むB部分、及び触媒を有する2部分からなる組織シーラント記載している国際公開第2012/069794号(Phillipsら)で記載されている。

本明細書において、シロキサン系ゲル組成物、シロキサン系ゲル組成物を含む物品及びシロキサン系ゲル組成物を含む物品の作製方法が開示される。

いくつかの実施形態において、ゲル組成物は縮合硬化性混合物の反応生成物を含み、縮合硬化性混合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、アミノ基を含む共硬化性化合物と、を含み、縮合硬化性混合物は室温で硬化可能である。

基材の少なくとも1つの主表面の少なくとも一部分に配置される粘着性ゲルの層を含む物品もまた記載されており、粘着性ゲルは縮合硬化性混合物の反応生成物を含み、縮合硬化性混合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、アミノ基を含む共硬化性化合物と、を含み、縮合硬化性混合物は室温で硬化可能である。

医療用物品の作製方法は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、アミノ基を含む共硬化性化合物と、を含み、縮合硬化性混合物が室温で硬化可能である、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を提供する工程と、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を基材に塗布する工程と、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を室温で硬化させて、ゲルを形成する工程と、を含む。形成されたゲル物品は、接着剤又はシーラントであり得る。

医療用途における接着剤、特に感圧性接着剤の広範囲に及ぶ使用によって、皮膚に優しい接着剤及び接着剤物品の開発につながった。これらの接着剤の幾つかは感圧性接着剤であり残りはゲル接着剤である。皮膚に接着させるための、シリコーン感圧性接着剤を含む感圧性接着剤の用途は、当該技術分野において既知であり、多くの実例が市販されている。しかしながら、感圧性接着剤の中には、皮膚への接着において適用が制限されるものがある。例えば、感圧性接着剤の除去中に起こり得る皮膚ダメージは、皮膚への表面接着性が高すぎることを示している。あるいは、皮膚への表面接着性が減少している場合、感圧性接着剤は、有用であるのに十分な保持力を欠く場合があるか、又は接着剤を容易に適用するのを可能とする室温での粘着力を失う。更には、皮膚と比較して相対的に剛性が高いか又は柔軟性の低い感圧性接着剤には、典型的に、使用中に患者をかなり不快にさせるものがある。また、皮膚に対して、低い剥離接着力を有する接着剤においてでさえ、除去時に不快にさせる場合がある(例えば、接着剤を毛髪付近の表面に貼着する場合など)。

シリコーンゲル(架橋ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)材料)は、誘導体フィラー、振動減衰器、及び瘢痕組織治癒を促進するための医学療法に用いられてきた。低架橋シリコーンゲルは、比較的高濃度の流体(液体)を含む、柔らかく、粘着性である弾性材料である。シリコーンゲルは、典型的には、シリコーン感圧性接着剤よりも柔らかいため、皮膚に接着される際の不快感が少ない。皮膚における適度な接着性保持力と除去の際の皮膚への外傷の少なさとの組み合わせによって、シリコーンゲルは、接着剤を皮膚に優しく適用するのに好適なものとなる。

シリコーンゲル接着剤は、穏やかな除去力を備えた良好な接着を皮膚に提供し、再配置され得る能力を有する。市販のシリコーンゲル接着剤系の例としては、商標名:Dow Corning MG 7−9850、WACKER 2130、BLUESTAR 4317及び4320、並びにNUSIL 6345及び6350で流通している製品が挙げられる。これらの皮膚に優しい皮膚接着剤は、ヒドロシリル化触媒(例えば白金錯体)の存在下、ビニル末端PDMSと水素末端PDMSとの間での付加硬化反応により形成される。ビニル末端及び水素末端PDMS鎖は、それらの固有の化学的部分に由来して「官能化」シリコーンと呼ばれる。一般的には、かかる官能性シリコーンの個々は反応性ではないが、それらは共に反応性シリコーン系を形成する。更に、シリコーン樹脂(「シリケート樹脂」と呼ばれることもある粘着付与剤)、及び多くの水素官能基(架橋剤)を有するPDMSを配合することが可能であり、ゲルの接着剤部分が改変される。

これらの種類の材料を使用することには、マイナス面がある。例えば、これらは、特別に「官能化された」シリコーン材料を使用する必要がある。また、これらは、典型的には、触媒を使用する必要があり、しばしば、白金又はパラジウム触媒などの金属含有触媒を使用する必要がある。これらの触媒は高価であり、硬化した組成物中に金属含有残留物を残す。かかるシリコーン材料の触媒促進硬化の代わりに、フリーラジカル重合が使用され、シリコーン感圧性接着剤又はゲル配合物が硬化又は架橋される。これらの重合は、例えば、有機過酸化物の高温分解などのフリーラジカル源によって開始させる必要がある。硬化化学物質から、腐食性であり、皮膚との接触に望ましくない酸性の残留物が、フィルム中に残されることから、この硬化技術は望ましくない。

したがって、望ましくない触媒又は開始剤残留物を生成せずに、室温で硬化及び架橋するシロキサン系ゲル接着剤及びシーラントが作製され得ることが望ましい。更に、特別な官能化を必要としないシロキサン系開始物質からシロキサン系ゲル接着剤及びシーラントが形成されるのが望ましい。

本開示は、縮合反応の生成物であるシロキサン系ゲル組成物を記載している。この反応において、2つのシラノール基(つまり、末端−SiOH基)が縮合してSi−O−Si結合及び水(H2O)分子を形成する。シロキサン系ゲルは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、アミノ基を含む共硬化性化合物とを含む縮合硬化性混合物の反応生成物である。アミノ基を含む共硬化性化合物は、縮合反応を触媒するのを助けるために存在するが、共硬化性であるため、すなわち、高分子マトリックスに化学的に結合されるため、金属系触媒又はフリーラジカル開始剤場合のように、触媒残留物を生成しない。これらのゲル組成物は、接着剤又はシーラントとして使用され得る。

これらのシロキサン系ゲル接着剤及びシーラントは、ポリシロキサンネットワークのガラス転移温度(Tg)及び弾性率が非常に低いため、優れた湿潤特性及び流動特性を有し、これによって、ゲル接着剤内部の機械的連結及びエネルギー散逸が原因で荒くなった皮膚表面上で十分な接着剤保持力がもたらされる。更に、シリコーンゲルの表面接着性が低いことで、皮膚に付着している間、毛髪又は皮膚細胞に緊密に貼着することを防ぎ、更には除去中に痛みが起こる例を減少させることができる。これにより、除去の際に生じる皮膚の外傷は、最小限から皆無になる。

本明細書で使用するとき、用語「ゲル」は、液体又は流体を含有する半固体架橋マトリックスを指す。ゲルは、接着剤又はシーラントであり得る。本明細書で使用するとき、用語「ゲル接着剤」は、液体又は流体を含有し、1つ以上の基材に接着することができる粘着性の半固体架橋マトリックスを指す。本明細書で使用するとき、「ゲルシーラント」は、硬化の際に、例えば、創傷、傷口、切開などの上又は周りに封止を形成することができる連続ゲル層を形成する硬化性混合物を指す。

用語「接着剤」は、本明細書で使用するとき、2つの被着体を互いに接着させるのに有用なポリマー組成物を指す。接着剤の例は、感圧性接着剤である。

感圧性接着ポリマーは、当業者には、(1)攻撃的及び永久的粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着体を保持する十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り外すのに十分な貼着力を含む特性を有することが周知である。感圧性接着剤として良好に機能することが見出された材料は、粘着力、剥離接着力、及び剪断保持力の所望のバランスをもたらす必要な粘弾性特性を示すように設計及び配合されたポリマーである。特性の適正なバランスを得るのは、単純なプロセスではない。

本明細書で使用するとき、「シリコーン」又は「シリコーン系」という用語は、ジアルキル又はジアリールシロキサン(−SiR2O−)反復単位を有する単位を含有するポリマーを指す。シロキサン系ポリマーは、セグメント化コポリマー又はポリシロキサンポリマーであってよい。シリコーン及びシロキサンという用語は互換的に使用される。

用語「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである一価の基を指す。アルキルは、直鎖、分枝鎖、環状、又はこれらの組み合わせであってよく、典型的には、1〜20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びエチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。単純アルキル基は、メチル=Me、エチル=Et、n−プロピル=Prと略される。

用語「アリール」は、芳香族及び炭素環である一価の基を指す。アリールは、芳香環に結合又は縮合した1〜5個の環を有し得る。他の環構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであってよい。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。単純アリール基としては、本明細書においてフェニルはPhと略される。

用語「アルキレン」は、アルカンのラジカルである二価の基のことを指す。アルキレンは、直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってよい。多くの場合、アルキレンは炭素原子を1〜20個有する。いくつかの実施形態では、アルキレンは、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同じ炭素原子上(すなわち、アルキリデン)に存在してもよく、又は異なる炭素原子上に存在してもよい。

用語「ヘテロアルキレン」とは、チオ、オキシ、又は−NR−(式中、Rはアルキルである)によって接続された、少なくとも2つのアルキレン基を含む、二価の基を指す。ヘテロアルキレンは、直鎖、分枝状、環状、アルキル基によって置換される、又はこれらの組み合わせであってもよい。いくつかのヘテロアルキレンは、ポリオキシアルキレンであって、このヘテロ原子が酸素であるものであり、例えば、 −CH2CH2(OCH2CH2)nOCH2CH2−である。

用語「アリーレン」とは、炭素環式かつ芳香族である、二価の基を指す。この基は、連結している、縮合している、又はこれらの組み合わせである1〜5個の環を含有する。その他の環は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態では、アリーレン基は、最大で5個、最大で4個、最大で3個、最大で2個、又は1個の芳香環を有する。例えば、アリーレン基はフェニレンであってよい。

用語「アラルキレン」は、式−Ra−Ara−(式中、Raはアルキレンであり、Araはアリーレンである(すなわち、アルキレンがアリーレンに結合している))の二価の基を指す。

用語「縮合末端基」は、一般式:−SiR2(OX)の一価の自己反応末端基を指し、式中、Rはアルキル基であり、XはH又はR基である。

本明細書において、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂、99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体、及びアミノ基を含む共硬化性化合物を含む縮合硬化性混合物の反応生成物を含むゲルが開示されている。縮合硬化性混合物は、室温で硬化可能である。

縮合硬化性混合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂を含む。好適なシリコーン樹脂には、しばしば「シリケート粘着付与樹脂」と言われている、市販の粘着付与樹脂が含まれる(用語「シリケート樹脂」は、より正確な用語「シリコーン樹脂」と共通の語法で置き換えられるが、この用語は本明細書において互換的である)。シリコーン樹脂におけるヒドロキシル基は、それらをシラノール末端シロキサン流体と共縮合させることが可能であるため、架橋シロキサンポリマーネットワーク中に組み込まれる。

好適なシリコーン樹脂としては、以下の構造単位:M(すなわち、一価のR’3SiO1/2単位)、D(すなわち、二価のR’2SiO2/2単位)、T(すなわち、三価のR’SiO3/2単位)、及びQ(すなわち、四価のSiO4/2単位)、及びこれらの組み合わせから構成されるものの樹脂が挙げられる。典型的なシリコーン樹脂の代表例としては、MQシリコーン樹脂、MQDシリコーン樹脂、及びMQTシリコーン樹脂が挙げられる。これらのシリコーン樹脂は、通常、100〜50,000g/モル(例えば、500g/モル〜15,000g/モル)の範囲の数平均分子量を有し、一般的には、R’基はメチル基である。

MQシリコーン樹脂は、共重合体樹脂であり、ここで、各M単位はQ単位に結合し、各Q単位は少なくとも1つの他のQ単位に結合する。Q単位の一部は、他のQ単位だけに結合する。しかしながら、いくつかのQ単位は、ヒドロキシルラジカルに結合されて、HOSiO3/2単位(すなわち、「TOH」単位)をもたらし、それがシリコーン樹脂のいくつかのケイ素結合ヒドロキシル含有の原因となる。

MQ樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基(すなわち、シラノール)の濃度は、シリケート粘着付与樹脂の重量に対して、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1.0重量%以下、又は0.8重量%以下まで削減することができる。これは、例えばヘキサメチルジシラザンをシリケート粘着付与樹脂と反応させることによって実現することができる。このような反応は、例えばトリフルオロ酢酸によって触媒してもよい。あるいは、トリメチルクロロシラン又はトリメチルシリルアセトアミドをシリケート粘着付与樹脂と反応させてもよく、この場合、触媒は必要ではない。

好適なシリコーン樹脂は、Dow Corning(例えばDC 2−7066)、Momentive Performance Materials(例えばSR545及びSR1000)、及びWacker Chemie AG(例えばBELSIL TMS−803)などの供給元から市販されている。

縮合硬化性混合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂を含む。より典型的には、縮合硬化性混合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む1.0〜30重量%又は更には1.0〜20重量%のシリコーン樹脂を含む。理論に束縛されるものではないが、シリコーン樹脂の濃度が高すぎる場合、接着剤の流動特性は制限されるため、接着剤は、所望の皮膚への接着剤塗布において好適ではなくなる。

縮合硬化性混合物は、99.5〜0.55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン材料も含む。一般的に、これらのシロキサン材料は、油、流体、ガム、エラストマー又は樹脂(例えば、破砕性固体樹脂)であり得る。一般的に、低分子量で低粘度の材料は流体又は油と呼ばれるが、高分子量で高粘度の材料は粘性物質と称されるが、これらの用語は厳格に区別されるものではない。エラストマー及び樹脂は、粘性物質よりも更に高い分子量を有し、典型的には流動しない。本明細書で使用される場合、用語「流体」及び「油」は、25℃で1,000,000mPa・秒以下(例えば、600,000mPa・秒未満)の動的粘度を有する材料を指し、一方25℃で1,000,000mPa・秒(例えば、少なくとも10,000,000mPa・秒)を超える動的粘度を有する材料は、「ガム」と呼ばれる。

幅広い種類のシラノール末端シロキサン流体は、本開示のゲル組成物と一緒に使用するのに好適である。一般的に、シラノール末端シロキサン流体は、以下の式1で記載される線状材料である:

(式中、R1、R2、R3、及びR4は、独立して、アルキル基、アリール基、及び官能基からなる群より選択され、各R5は、アルキル基であり、各Xは、ヒドロキシル基であり、n及びmは、整数であり、m又はnのうちの少なくとも1つは、0ではない)。いくつかの実施形態では、アルキル基又はアリール基のうちの1つ以上はハロゲン置換基(例えばフッ素)を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のアルキル基は−CH2CH2C4F9であってよい。

他の実施形態では、各R5はメチルであり、ポリジオルガノポリシロキサン材料がジメチルシラノール基によって終端するようになっている。いくつかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、nは0である、すなわち、この材料は、ポリ(ジアルキルシロキサン)である。いくつかの実施形態では、アルキル基はメチル基である、すなわち、ポリ(ジメチルシロキサン)(「PDMS」)である。いくつかの実施形態では、R1はアルキル基であり、R2はアリール基であり、nは0である、すなわち、この材料はポリ(アルキルアリールシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R1はメチル基であり、R2はフェニル基である、すなわち、この材料はポリ(メチルフェニルシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、R3及びR4はアリール基である、すなわち、この材料はポリ(ジアルキルジアリールシロキサン)である。いくつかの実施形態では、R1及びR2はメチル基であり、R3及びR4はフェニル基である、すなわち、この材料はポリ(ジメチルジフェニルシロキサン)である。

いくつかの実施形態では、非官能化ポリジオルガノシロキサン材料は、分枝状であり得る。例えば、R1、R2、R3、及び/又はR4基のうちの1つ以上は、アルキル又はアリール置換基(ハロゲン化されたアルキル又はアリールを含む)及び末端R5基を有する直鎖状又は分枝状シロキサンであり得る。

いくつかの市販の実施形態では、R1、R2、R3、R4、及びR5は、全てメチル基であり、この材料をポリジメチルシロキサン又はPDMS材料とすることができる。他の実施形態では、R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくともいくつかはアリール基である。

最近では、非官能化ポリシロキサン材料から作製することができる皮膚に優しい接着剤が、米国特許出願公開第2011/0212325号(Determanら)に記載されている。これらの材料は、式1に記載されているもの(X=R5)及び式1に記載されているもの(X=OH)である。この参考文献において、X=OHである材料は、「非官能化材料」であると考えられるが、その理由は、ヒドロキシル基が「官能基」として使用されない、すなわち、重合反応が、ヒドロキシル基との反応を含まないためである。これら「非官能性材料」は、電子ビーム又はガンマ線に曝露した際に重合して、シロキサンネットワークが生じることが見出されている。

多くの好適なシラノール末端シロキサン流体は、市販されている。多くの材料例は、例えば、Gelest,Inc.(Morrisville,PA)、Dow Corning(Midland MI)、及びWacker Chemie AG(Munich,Germany)から市販されている。特に好適な例としては、XIAMETER OHX−4070(Dow Corning,Midland,MI)として市販されているシラノール末端PDMS(ポリジメチルシロキサン)、及び350N(Wacker Chemie AG,Munich,Germany)として市販されているヒドロキシル官能化PDMSが挙げられる。

上述されるように、ゲルは、液体又は流体を含有する半固体架橋マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、本開示のゲル中に存在する液体又は流体は、非反応シラノール末端シロキサン流体であり得る。他の実施形態では、本開示のゲル中に存在する液体又は流体は、1つ以上の添加した非反応シロキサン流体であり得る。これらの流体は、以下の式1Aで示される一般的な構造を有する:

(式中、R1、R2、R3、及びR4は、独立して、アルキル基、アリール基、及び官能基からなる群より選択され、各R5は、アルキル基であり、n及びmは、整数であり、m又はnのうちの少なくとも1つは、0ではない)。いくつかの実施形態では、アルキル基又はアリール基のうちの1つ以上はハロゲン置換基(例えばフッ素)を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のアルキル基は−CH2CH2C4F9であってよい。

用語から連想されるように、非反応シロキサン流体は、硬化反応に加わらず、成形された架橋シロキサンマトリックスに組み込まれないシロキサン流体である。

任意ではあるが、非反応シロキサン流体の添加は、多くの理由から望ましい。非反応シロキサン流体が存在することでゲル中にシロキサン流体が残る一方で、非反応シラノール末端シロキサン流体の存在するために、反応の範囲の変動によってゲル中に存在するシロキサン流体の可変濃度が生み出され得る。更に、1つ以上の非反応シロキサン流体を添加することで、シラノール末端シロキサン流体と異なる粘度を有するシロキサン流体を加えることによってゲルの特性を調整する能力がもたらされる。

典型的には、本開示のゲルは、少なくとも0.5重量%の抽出可能なシロキサン流体を含む。上記で示されるように、この抽出可能なシロキサン流体は、非反応シラノール末端シロキサン流体、添加した非反応シロキサン流体、又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、抽出可能なシロキサン流体の濃度は、40重量%ほどであり得る。

縮合硬化性混合物は、アミノ基を含む共硬化性化合物も含む。この材料は、アミノ基を介する縮合重合触媒として機能し、シラノール末端シロキサン流体と共反応し得る反応基も含有し、架橋シロキサンポリマーネットワーク中に組み込まれる。

アミノ基を含む様々な好適な共硬化性化合物は好適であり、典型的にはこれらの化合物は、一般構造:A−B−C(式中、Aはアミノ基であり、Bは連結基であり、Cは、アルコキシ−シリル基などのシラノール末端シロキサン流体と共反応し得る基である)の二官能性化合物である。アルコキシ−シリル基は、一般構造(ケイ素原子と結合する他の基は無視する):−Si−OR(式中、Rはアルキル基である)のものである。これらの基は、水と反応してシラノール基及びアルコールを形成し得る。形成されたシラノール基は、上述されるように、他のシラノール基と反応して−Si−O−Si−結合を形成し得る。この手順は以下の反応スキーム1に要約される。 −Si−OR+H2O→−Si−OH+ROH −Si−OH+−Si−OH→−Si−O−Si−+H2O 反応スキーム1

アミノ基を含む好適な共硬化性化合物には、以下の式2で記載されるものが含まれる: R62−xR7xN−G−Si(OR8)yR93−y 式2 (式中、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基を含み;xは、0、1、又は2の整数であり;Gは二価の結合基であり;R8は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり;R9は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり;yは、1、2、又は3の整数である)。

いくつかの実施形態では、xは2であり、R7は水素原子であり、化合物のアミノ部分は第一級アミンとなる。他の実施形態では、xは1であり、R7は水素原子であり、R6は、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり、化合物のアミノ部分は第二級アミンとなる。更に他の実施形態では、xは0であり、R6は、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり、化合物のアミノ部分は第三級アミンとなる。好適なアミノ基の例としては:アミノ(−NH2);メチルアミノ(−NHMe);ジメチルアミノ(−NMe2);エチルアミノ(−NHEt);ジエチルアミノ(−NEt2);プロピルアミノ(−NHPr);ジプロピルアミノ(−NPr2);フェニルアミノ(−NHPh);などが挙げられる。

広範囲に及ぶ好適なG基が可能であるが、典型的には、Gは以下の一般構造:(−CH2−)a(式中、aは1〜18の整数である)を有する二価のアルキレン基である。

広範囲に及ぶアルコキシ−シリル基−Si(OR8)yR93−yが好適である。典型的には、R8は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、より典型的にはR8はメチル又はエチル基であり;R9は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基であり、より典型的にはR9はメチル又はエチル基であり;yは1又は2である。好適なアルキル−シリル基の例としては:メトキシジメチルシリル;メトキシジエチルシリル;ジメトキシメチルシリル:ジメトキシエチルシリル;エトキシジメチルシリル;エトキシジエチルシリル;ジエトキシメチルシリル;ジエトキシエチルシリル;などが挙げられる。

アミノ基を含む好適な市販の共硬化性化合物の例としては、例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン及びアミノプロピルジエトキシメチルシランが挙げられる。

様々な任意添加剤はまた、硬化反応を妨害せずに、ゲル接着剤の所望の特性が得られる限り、硬化性混合物に添加し得る。上述のように、ゲルは、1つ以上のシラノール流体を含み得る。更に、ゲルは、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、殺生物剤、充填剤などが挙げられる。

本開示のゲルは、広範囲に及ぶ物品、特に医療用物品を調整するのに使用され得る。これらの物品は、広範囲に及ぶ接着剤物品並びに医療用シーラント物品を含む。

接着剤物品は、基材と、基材の少なくとも1つの主表面の少なくとも一部分に配置される粘着性ゲルの層とを含み、粘着性ゲルは上述の粘着性ゲルを含む。

広範に及ぶ基材は、剥離ライナー、及び医療用基材などに好適である。剥離ライナーは、少なくとも1つの表面上で低接着コーティングを有するシート材料である。本開示のゲルは、剥離ライナー上に配置され、剥離ライナー上にゲル層を含む物品が作製され得る。ゲル/剥離ライナー物品は、異なる基材にゲル層を積層することで他のゲル/基材物品を作製した後、剥離ライナーを除去するのに使用され得る。これによって、直接ゲルを配置するのが難しい基材上にゲルを配置することが可能になる。ゲル/剥離ライナー物品は、例えば、電極、オストミー器具などのような物品にゲル接着層を塗布するのにも使用され得る。

代表的な医療用基材としては、高分子材料、プラスチック、天然の高分子材料(例えばコラーゲン、木、コルク、及び皮革)、紙、布、金属、ガラス、セラミックス、並びに複合材料が挙げられる。医療用基材は、テープ裏材であり得る。好適なテープ裏材の例としては、ゲルが配置される、通気性形状適合裏材を含む。広範に及ぶ通気性形状適合裏材が、本開示の物品で使用するのに好適である。典型的に、通気性形状適合裏材は、織布又はニット織物、不織布、又はプラスチックを含む。

いくつかの実施形態では、通気性形状適合裏材は、高水蒸気透過性フィルム裏材を含む。このような裏材、このようなフィルムの製造方法、及びその透過性の試験方法の例は、例えば、米国特許第3,645,835及び同第4,595,001号に記載されている。典型的に、このような裏材は、多孔質材料である。

一般的に、裏材は、解剖学的面に形状適合する。そのため、裏材が解剖学的面に適用されたとき、その面が動いたときであっても、その面に適合する。一般的に、裏材は、動物の解剖学的関節に対しても形状適合する。関節が屈曲した後に非屈曲位置に戻るとき、裏材は、伸長して関節の屈曲に対応するが、関節が非屈曲状態に戻るとき、関節へ形状適合し続けるのに十分な弾力性がある。

特に好適な裏材の例は、例えば、米国特許第5,088,483号及び同第5,160,315号に見出すことができ、例えば、エラストマーポリウレタン、ポリエステル、又はポリエーテルブロックアミドフィルムが挙げられる。これらフィルムは、弾力性、高水蒸気透過性、及び透明性を含む望ましい特性の組み合わせを有する。

ゲルは、任意の好適な厚さを有し得る。材料は室温硬化性であり、放射線を入射する必要がないため、広範に及ぶ厚さが好適である。いくつかの実施形態では、厚さは少なくとも10マイクロメートル〜最大で2ミリメートルであり、いくつかの実施形態では、厚さは少なくとも20マイクロメートル〜最大で1ミリメートルである。100〜500マイクロメートル、200〜400マイクロメートルなどの広範に及ぶ中程度の厚さもまた好適である。

多くの異なる種類の医療用物品が、本開示に含まれる。本開示のゲルの硬化層が、創傷表面、切開表面などの表面に塗布される組織シーラントは、シーラント物品に含まれる。本開示の医療用シーラントは、例えば、米国特許出願公開第2011/0106030号(Scholz)に記載されるように、包帯とともに使用して陰圧創傷閉鎖療法を提供するのが特に好適である。これらの陰圧創傷閉鎖療法において、本開示のシーラントは、創傷上に密封環境をもたらし、創傷の密封環境から流体を除去することができる。

医療用物品の作製方法も開示される。これらの医療用物品には、接着剤又はシーラントであり得る、上述のゲルを含む。方法は、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を提供する工程と、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を基材に塗布する工程と、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を室温で硬化させて、ゲルを形成する工程と、を含む。硬化性ゲル前駆体組成物は、上記で詳細に記載されている。

ゲルがシーラントである実施形態では、基材は、創傷、切開のような表面などの表面であり、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を提供する工程は、2成分混合物を混合する工程を含む。この2成分混合物は、(1)少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂、及び99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体、及び(2)アミノ基を含む共硬化性化合物、を含む。(1)部分及び(2)部分は、混合前に、物理的に分離されたままである。

ゲルが接着剤である実施形態では、基材は、剥離ライナー又は医療用基材を含む。剥離ライナー及びテープ裏材などの好適な医療用基材は、上述されている。

いくつかの実施形態では、医療用物品は、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を剥離ライナーに配置する工程、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を剥離ライナーの表面上で硬化させる工程、及びその後の硬化したゲルを他の基材又は表面に積層する工程、によって作製される。基材は上述されるように医療用基材であり得るか、電極、オストミー器具などのような物品の表面であり得る。

本開示の縮合硬化性組成物は室温硬化性であるが、所望であれば、組成物は、例えば硬化を促進するエネルギー源に晒され得る。いくつかの実施形態では、縮合硬化性ゲル前駆体組成物を紫外線、ガンマ線、又は電子ビームで露光することが望ましい。

以下の実施例はあくまで例示を目的としたものにすぎず、付属の「特許請求の範囲」に対して限定的であることを意図するものではない。特に断りがないかぎり、以下の実施例及び明細書の残りの部分に記載される部、比率(%)、比などはすべて重量基準のものである。使用した溶媒類及びその他の試薬類は、特段の規定がない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)より入手した。以下の略語を使用する:cm=センチメートル;mm=ミリメートル;g=グラム;kg=キログラム;lb=ポンド;sec=秒;mn=分。用語「重量%」、「%重量」、及び「wt%」は、互換的に用いられる。

試験方法 粘着力 直径6mmのポリプロピレンシリンダープローブを備えるTA.XT Plusテクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems Ltd.,Surrey,UK)を使用して、粘着力を測定した。接着剤サンプルを1.9cmの幅及び10.2cmの長さに細長く裁断し、直径10mmの孔(プローブに、この孔を通過させてテープ表面の接着剤に到達させる)を備える黄銅棒材に積層した。プローブ速度を1mm/secに設定し、力を100グラムに設定し、接触時間を5秒間に設定した。グラム(g)単位で粘着力を測定した。

180°剥離接着力 ASTM D 3330−90に記載される手順にしたがって、剥離接着力を測定した。IMass 2000剥離試験機(Imass,Inc.,Accord,MA)を使用して剥離接着力を測定した。接着剤サンプルを1.3cmの幅及び12.7cmの長さに細長く裁断した。次に、生じたテープを、2kg(4.5lb)の硬性ゴムローラーを4回通過させることで使用して、清潔なステンレス鋼パネルに適用した。試験前、サンプルを室温(22℃)及び50%の相対湿度で20分間平衡化した。次に、パネルを試験機の台の上に載せ、30.5cm/分の速度でテープを180°の角度で引き上げた。結果をグラム/cm(g/cm)の単位で測定した。

剪断保持力 ASTM D 3654−88に記載される手順にしたがって剪断保持力を測定した。2.54cmの長さ及び1.27cmの幅の接着剤サンプルのテープを、テープ縁部がパネル縁部と同延となるように、2.54cm×5.08cmに測定したステンレス鋼パネルに積層した。パネルを1.27cm重ねて、テープと対向方向に延びるパネルの自由端とを覆った。テープサンプルに剪断応力をかけるために、テープ底端部から50グラムの重りを吊り下げて、室温でパネルの一方の端部をラックに掛けた。下方のパネルが吊り下げパネルから剥がれる時間を10,000分まで測定した。故障までの時間を分単位で記録した。

(実施例) 実施例1(E−1) 45部のMQ樹脂及び1部のAPTSを100部のST−PDMSに添加した。これをSPEEDMIXER(FlackTek Inc.,Landrum,SC)で約4分間混合し、152マイクロメートルのギャップを有するナイフコーターでポリウレタンフィルムにコーティングした。コーティングされたフィルムは、室温で24時間後、自己粘着性シリコーンゲル接着テープとなった。

実施例2(E−2) 45部のMQ樹脂及び1部のAPDMを100部のST−PDMSに添加した。これをSPEEDMIXERで約4分間混合し、152マイクロメートルのギャップを有するナイフコーターでポリウレタンフィルムにコーティングした。コーティングされたフィルムは、室温で24時間後、自己粘着性シリコーンゲル接着テープとなった。

実施例3〜10(E3〜E10) 表1に示される成分とともに、上述の実施例2で記載される手順にしたがって、実施例E−3〜E−10を調製した。注記されるように、コーティングされたフィルムに、モデルCB−300電子ビーム生成装置(Energy Sciences,Inc.,Wilmington,MAから入手)からの6mradの電子ビームを照射した。注記されるように、高速ミキサー中で、ケイ素をST−PDMS及びMQ樹脂と混合した。上述の試験方法を使用して、剥離接着力を測定した。

比較例C−1〜C−9 表1に示される成分とともに、上述の実施例2で記載されるようにして比較例C−1〜C−9を調製した。上述の試験方法を使用して、剥離接着力を測定した。

実施例11〜16及び比較例C−10〜C−12 表2に示される量で、実施例11〜16及び比較例C−10〜C−12をトルエン(50%固体)中で調製し、SPEEDMIXERで混合し、ポリウレタンフィルムにコーティングし、66℃で15分間乾燥した。乾燥後、比較例を6mradの電子ビーム放射線を照射した。上述の試験方法を使用して、粘着力、剥離接着力、及び剪断保持力を測定した。

本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[22]に記載する。 [項目1] 縮合硬化性混合物の反応生成物を含むゲル組成物であって、該縮合硬化性混合物は、 少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、 99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、 アミノ基を含む共硬化性化合物と、を含み、前記縮合硬化性混合物は室温で硬化可能である、ゲル組成物。 [項目2] 前記アミノ基を含む共硬化性化合物は、以下の一般構造: R62−xR7xN−G−Si(OR8)yR93−y (式中、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基を含み; xは、0、1、又は2の整数であり; Gは二価の結合基であり、 R8は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; R9は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; yは、1、2、又は3の整数である)を有する、項目1に記載のゲル組成物。 [項目3] Gは、以下の一般構造: (−CH2−)a (式中、aは1〜18の整数である)を有する二価のアルキレン基である、項目2に記載のゲル組成物。 [項目4] 少なくとも1つの非反応性シロキサン流体を更に含む、項目1に記載のゲル組成物。 [項目5] 前記ゲル組成物がシーラントを構成する、項目1に記載のゲル組成物。 [項目6] 前記ゲル組成物が接着層を構成する、項目1に記載のゲル組成物。 [項目7] 前記ゲル組成物は、少なくとも0.5重量%の抽出可能なシロキサン流体を含む、項目1に記載のゲル組成物。 [項目8] 基材と、 前記基材の少なくとも1つの主表面上の少なくとも一部分に配置される粘着性ゲルの層と、を含む物品であって、前記粘着性ゲルは縮合硬化性混合物の反応生成物を含み、該縮合硬化性混合物が、 少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、 99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、 アミノ基を含む共硬化性化合物と、を含み、前記縮合硬化性混合物は室温で硬化可能である、物品。 [項目9] アミノ基を含む共硬化性化合物は、以下の一般構造: R62−xR7xN−G−Si(OR8)yR93−y (式中、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基を含み; xは、0、1、又は2の整数であり; Gは二価の結合基であり; R8は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; R9は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; yは、1、2、又は3の整数である)を有する、項目8に記載の物品。 [項目10] Gは、以下の一般構造: (−CH2−)a (式中、aは1〜18の整数である)を有する二価のアルキレン基である、項目9に記載の物品。 [項目11] 前記粘着性ゲルは、少なくとも1つの非反応性シロキサン流体を更に含む、項目8に記載の物品。 [項目12] 前記基材は、剥離ライナー又は医療用基材を構成する、項目8に記載の物品。 [項目13] 前記縮合硬化性混合物の反応生成物は、紫外線、ガンマ線、又は電子ビームで露光されている、項目8に記載の物品。 [項目14] 少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂と、 99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、 アミノ基を含む共硬化性化合物と、を含み、室温で硬化可能である縮合硬化性ゲル前駆体組成物を提供する工程と、 前記縮合硬化性ゲル前駆体組成物を基材に塗布する工程と、 前記縮合硬化性ゲル前駆体組成物を室温で硬化させて、ゲルを形成する工程と、を含む、医療用物品の作製方法。 [項目15] 縮合硬化性ゲル前駆体組成物を提供する工程は、2成分混合物を一緒に混合する工程を含み、前記2成分混合物は、 (1)少なくとも2つのヒドロキシル基を含む0.5〜45重量%のシリコーン樹脂、及び 99.5〜55重量%の少なくとも1つのシラノール末端シロキサン流体と、 (2)アミノ基を含む共硬化性化合物と、を含み、(1)及び(2)は、混合前は互いに物理的に分離されている、項目14に記載の方法。 [項目16] 前記ゲルはシーラントを構成する、項目15に記載の方法。 [項目17] 前記ゲルは接着剤を構成する、項目14に記載の方法。 [項目18] 前記基材は剥離ライナー又は医療用基材を構成する、項目17に記載の方法。 [項目19] 前記基材は剥離ライナーを構成し、ゲルを第2基材又は表面に積層する工程を更に含む、項目18に記載の方法。 [項目20] 前記アミノ基を含む共硬化性化合物は、以下の一般構造: R62−xR7xN−G−Si(OR8)yR93−y (式中、R6及びR7は、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基を含み; xは、0、1、又は2の整数であり; Gは二価の結合基であり、 R8は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; R9は、各々独立して、アルキル基、アリール基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基であり; yは、1、2、又は3の整数である)を有する、項目14に記載のゲル組成物。 [項目21] 前記粘着性ゲルは、少なくとも1つの非反応性シロキサン流体を更に含む、項目14に記載の方法。 [項目22] 前記縮合硬化性ゲル前駆体組成物を紫外線、ガンマ線、又は電子ビームで露光する工程を更に含む、項目14に記載の方法。

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