Coating composition for paper

申请号 JP15122294 申请日 1994-07-01 公开(公告)号 JPH0813391A 公开(公告)日 1996-01-16
申请人 Sumitomo Chem Co Ltd; 住友化学工業株式会社; 发明人 YOSHIDA YOSHIFUMI; HASEGAWA TOSHIYUKI; TANIKAWA AKIRA; KUMEI FUJIKO; KAWAMURA AKIRA;
摘要 PURPOSE:To obtain a coating composition capable of imparting a paper with excellent printability and printing effect. CONSTITUTION:This coating composition contains (I) a pigment, (II) an aqueous binder and (III) a resin component consisting of a mixture or a reaction product of (A) a water-soluble resin produced by reacting (a) an alkylenediamine or a polyalkylene polyamine with (b) a urine compound and (c) a compound selected from aldehydes, epihalohydrins and alpha,gamma-dihalo-beta-hydrins and (B) an amide compound produced by reacting (x) an alpha,beta-unsaturated carboxylic acid compound with (y) a primary or secondary amino compound. The paper coated with the composition has excellent ink receptivity and water resistance.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】(I) 顔料、 (II) 水性バインダー、 (III) 少なくとも (a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、 (b) 尿素類、及び (c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物 の三成分を反応させて得られる水溶性樹脂(A)と、 (x) α,β−不飽和カルボン酸系化合物、及び (y) 1級又は2級アミノ化合物 の二成分を反応させて得られるアミド化合物(B)との混合物又は反応物である樹脂成分を含有することを特徴とする紙用塗工組成物。
  • 【請求項2】樹脂成分(III) が、水溶性樹脂(A)とアミド化合物(B)との混合物である請求項1記載の組成物。
  • 【請求項3】樹脂成分(III) が、水溶性樹脂(A)とアミド化合物(B)との反応物である請求項1記載の組成物。
  • 【請求項4】水溶性樹脂(A)が、 (a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、 (b) 尿素類、 (c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物、及び (d) 二塩基性カルボン酸系化合物 を反応させて得られる樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  • 【請求項5】成分(d) の二塩基性カルボン酸系化合物が、遊離酸、エステル又は酸無水物である請求項4記載の組成物。
  • 【請求項6】水溶性樹脂(A)が、 (a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、 (b) 尿素類、 (c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物、及び (e) 活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物から選ばれる脂環式化合物 を反応させて得られる樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  • 【請求項7】水溶性樹脂(A)が、 (a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、 (b) 尿素類、 (c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物、 (d) 二塩基性カルボン酸系化合物、及び (e) 活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物から選ばれる脂環式化合物 を反応させて得られる樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
  • 【請求項8】アミド化合物(B)が、 (x) α,β−不飽和カルボン酸系化合物、及び (y) 少なくとも一つの1級又は2級アミノ基を有する脂環式アミン類 の二成分を反応させて得られるアミド化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  • 【請求項9】アミド化合物(B)が、 (x) α,β−不飽和カルボン酸系化合物、及び(y) 少なくとも一つの1級又は2級アミノ基を有する芳香族アミン類 の二成分を反応させて得られるアミド化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、顔料及び性バインダーを含有する紙用塗工組成物に関するものである。 更に詳しくは、紙に対して優れた印刷適性及び印刷効果を付与することができる紙用塗工組成物を提供しようとするものである。

    【0002】なお、本明細書で用いる「紙」という語は広義の意味であり、狭義の意味でいう紙及び板紙を包含する。

    【0003】

    【従来の技術】顔料と水性バインダーを主体とした塗工組成物を紙に塗布し、乾燥、カレンダー処理などの必要な処理を施して得られる塗工紙は、その優れた印刷効果などの特徴から、商業印刷物や雑誌・書籍などに広く用いられているが、品質要求の高度化、印刷の高速化などに伴って、塗工紙の品質改良努が今もなお続けられている。 とりわけ印刷の多くを占めるオフセット印刷においては、しめし水の影響下でのインキ受理性、ウエットピックなどの耐水性、輪転印刷での耐ブリスター性の改良・向上が業界の重要な課題となっている。

    【0004】従来よりこうした課題に対して、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、又はポリアミドポリ尿素−ホルムアルデヒド樹脂、
    例えば特公昭44− 11667号公報や特公昭59− 32597号公報等に示されるような耐水化剤や印刷適性向上剤などを添加する手法が知られている。

    【0005】しかし、これら従来の耐水化剤や印刷適性向上剤などは、いずれも有効な特性を有する反面、一部の特性において重大な欠点又は効果の不十分さが認められることから、実用上必ずしも満足し得るものではない。

    【0006】例えば、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂や尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのアミノプラスト樹脂は、作業時の、あるいは塗工紙からのホルムアルデヒドの発生が多いのみならず、インキ受理性や耐ブリスター性の改良効果がほとんど得られないことや、塗工組成物のpHが高くなると耐水化効果も発揮しにくくなるといった問題がある。

    【0007】ポリアミドポリ尿素−ホルムアルデヒド樹脂は、耐水性の向上と同時にインキ受理性及び耐ブリスター性の向上に有効ではあるが、それらの向上度合は、
    近年の塗工紙品質の高度化要求に対して必ずしも充分なものとは言い難かった。 そこで一層の品質向上に向けた努力がなされており、例えば特開昭 62-104995号公報、
    特開平4−100997号公報、特開平4−263696号公報などにより、更なる改良が試みられている。 しかし、その後の塗工紙品質に対する要求の高度化に伴い、より一層の高性能化が必要となってきている。

    【0008】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、塗工紙品質に対する要求に応え、紙に対してより高度のインキ受理性及び耐水性が付与できるなど、塗工紙の一層の高品質化を図ることができる紙用塗工組成物を提供することにある。

    【0009】本発明者らは、かかる課題解決のために鋭意研究を行った結果、特定の水溶性樹脂と特定のアミド化合物との混合物又は反応物を含有する組成物が、紙に対して優れた性能を付与することを見出し、本発明を完成した。

    【0010】

    【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、次の成分 (I)、(II)及び(III) を必須成分として含有する紙用塗工組成物を提供するものである。

    【0011】(I) 顔料、 (II) 水性バインダー、 (III) 少なくとも (a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、 (b) 尿素類、及び (c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物 の三成分を反応させて得られる水溶性樹脂(A)と、 (x) α,β−不飽和カルボン酸系化合物、及び (y) 1級又は2級アミノ化合物 の二成分を反応させて得られるアミド化合物(B)との混合物又は反応物である樹脂成分。

    【0012】また上記水溶性樹脂(A)は、上記成分
    (a)、(b) 及び(c) に加えて、更に他の成分、例えば二塩基性カルボン酸系化合物 (d)、活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミン及び/又は脂環式エポキシ化合物 (e)を反応させたものであってもよい。

    【0013】以下、本発明について、更に詳細に説明する。

    【0014】紙用塗工組成物の成分となる顔料(I) は、
    紙の塗工に従来から一般に用いられているものでよく、
    白色無機顔料及び白色有機顔料を使用することができる。 白色無機顔料としては、例えばカオリン、タルク、
    炭酸カルシウム(重質又は軽質)、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、酸化チタンなどが挙げられる。 また白色有機顔料としては、例えばポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。 これらの顔料は、それぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。 また更には、有色の無機又は有機顔料を併用することもできる。

    【0015】水性バインダー(II)も、紙の塗工に従来から一般に用いられているものでよく、水溶性のバインダーや水乳化系のバインダーを使用することができる。 水溶性バインダーとしては、例えば酸化でんぷんやリン酸エステル化でんぷんをはじめとする無変性の、又は変性されたでんぷん類、ポリビニルアルコール、カゼインやゼラチンをはじめとする水溶性プロテイン、カルボキシメチルセルロースをはじめとする変性セルロース類などが挙げられる。 また水乳化系バインダーとしては、例えばスチレン−ブタジエン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、メチルメタクリレート樹脂などが挙げられる。 これらの水性バインダーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。

    【0016】本発明においては、顔料(I) 及び水性バインダー(II)に加えて、更に特定の樹脂成分(III) を併用する。 樹脂成分(III) は、水溶性樹脂(A)及びアミド化合物(B)の混合物又は反応物である。

    【0017】水溶性樹脂(A)は、(a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、(b) 尿素類、並びに(c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−
    ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物の少なくとも三成分を反応させて得られるものである。 水溶性樹脂(A)がアミド化合物(B)とともに反応物を形成する場合、水溶性樹脂(A)は、アミド化合物(B)が反応する時点で形成されていればよい。 例えばアミド化合物(B)との反応系に導入する前に予め形成させておいてもよい。 また、例えばアミド化合物(B)との反応系内で形成させてもよい。 この場合には、成分(c)を用いることなく、又は一部用いて成分(a)、(b)等を反応させたのち、アミド化合物(B)及び残りの成分(c)を添加した反応系内で更に反応させて水溶性樹脂(A)を形成させてもよい。

    【0018】ここで水溶性樹脂(A)に用いるアルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン類、及びジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−
    1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−
    ジアミンのようなポリアルキレンポリアミン類が挙げられる。 これらの中では、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンが工業的に有利である。 これらのアルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a)
    は、各々単独で用いることができ、また2種以上の混合物として用いることもできる。

    【0019】尿素類(b) としては、例えば尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などを挙げることができる。 尿素類(b) も、それぞれ単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。 工業的見地からは、尿素が好ましく用いられる。 尿素類
    (b) の使用量は、成分(a) のアミノ基1モルに対して、
    0.3〜1モル、好ましくは0.5〜1モルである。

    【0020】成分(c) を構成するアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒドやプロピルアルデヒドのようなアルキルアルデヒド類、グリオキザール、プロパンジアールやブタンジアールのようなアルキルジアルデヒド類などが挙げられる。 工業的には、ホルムアルデヒド及びグリオキザールが好ましい。
    これらのアルデヒド類は、それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上の混合物として用いることもできる。

    【0021】エピハロヒドリン類は、次の一般式で示される。

    【0022】

    【0023】式中、Xはハロゲン原子を表し、wは1、
    2又は3を表す。 エピハロヒドリン類の好ましい例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられる。 これらのエピハロヒドリン類は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。

    【0024】α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は、次の一般式で示される。

    【0025】

    【0026】式中、Y及びZはハロゲン原子を表す。 かかるα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類としては、例えば1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げられる。

    【0027】本発明においては、アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物(c) を1種又は2種以上用いる。 従ってこれらは、もちろん単独で用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。 例えば、アルデヒド類とエピハロヒドリン類を組み合わせて用いることもできるし、更には、アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類を組み合わせて用いることもできる。 成分(c) の使用量は、成分(a) 1モルに対して、0.1〜2モル、好ましくは0.2〜1モルである。

    【0028】以上のようなアルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) 、尿素類(b) 、並びにアルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−
    ヒドリン類から選ばれる化合物(c) の少なくとも三成分を反応させることにより、本発明で用いる水溶性樹脂(A)が得られる。 また水溶性樹脂(A)は、これら三成分に加えて、更に他の成分を反応させたものであってもよい。 好ましく用いられる追加の反応成分としては、
    二塩基性カルボン酸系化合物(d) 及び活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物から選ばれる脂環式化合物(e) が挙げられる。

    【0029】二塩基性カルボン酸系化合物(d) は、分子中に2個のカルボキシル基を有するもの、又はそれから誘導されるものであり、例えば遊離酸、エステル類、酸無水物などである。

    【0030】二塩基性カルボン酸は、脂肪族、芳香族、
    脂環式のいずれであってもよい。 遊離酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸のような脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、更にはテトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、シクロヘキサン−1,3−又は−1,
    4−ジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、3−
    又は4−メチルテトラハイドロフタル酸、3−又は4−
    メチルヘキサハイドロフタル酸のような脂環式ジカルボン酸が挙げられる。 なお、脂環式基が不飽和結合を有し、その不飽和結合の位置が明示されていない場合、その不飽和結合の位置は任意であると理解されるべきであり、以下の説明においても同様である。

    【0031】二塩基性カルボン酸系化合物(d) としては、遊離酸であるこれらの二塩基性カルボン酸のほか、
    そのエステル類(例えば、低級アルコールとのモノ−又はジ−エステル類、グリコール類とのポリエステル類)、酸無水物なども用いることもできる。

    【0032】酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラハイドロ無水フタル酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸、3−又は4−メチルヘキサハイドロ無水フタル酸、3−又は4−メチルテトラハイドロ無水フタル酸などが挙げられる。

    【0033】二塩基性カルボン酸とグリコール類との反応生成物であるポリエステルも有利に使用されるが、中でも、遊離カルボキシル基を有するものが好ましい。 ここで用いるグリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールのようなアルキレングリコール類、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオールのようなシクロアルキレングリコール類、ブテンジオール、オクテンジオールのようなアルケニレングリコール類、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物などを例示することができる。 二塩基性カルボン酸とグリコール類との反応にあたって、カルボン酸過剰モル比で反応させれば、分子末端に遊離カルボキシル基を有するポリエステルが得られる。

    【0034】これらの二塩基性カルボン酸系化合物を用いる場合は、それぞれ単独で用いても、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。 二塩基性カルボン酸系化合物(d) の使用量は、成分(a) 1モルに対して、1モル以下、好ましくは0.5モル以下である。

    【0035】脂環式化合物(e) のうち、活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミンは、通常、環炭素数が5
    〜12程度の脂環式環、好ましくはシクロヘキサン環を有するとともに、1級又は2級のアミノ基を少なくとも一つ有する化合物であり、ここでアミノ基は、脂環式環に直接結合していてもよく、またアルキレンのような連結基を介して間接的に脂環式環と結合していてもよい。

    【0036】活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミンの具体例としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、
    1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノ−3,
    3′−ジメチルビシクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,3−、1,2−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、1,5−又は2,6−ビス(アミノメチル)
    オクタハイドロ−4,7−メタノインデン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−
    アミノシクロヘキシル)メタン、4,4′−オキシビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−スルホンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、2,4′−又は4,4′−ジアミノ−
    3,3′,5,5′−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、メンタンジアミン、N−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、3−N−メチルアミノ−3,5,5
    −トリメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどが挙げられる。 これらの脂環式アミンを用いる場合も、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

    【0037】脂環式化合物(e) のうち脂環式エポキシ化合物は、通常、環炭素数が5〜12程度の脂環式環、好ましくはシクロヘキサン環に、直接又は間接にエポキシ基が結合した化合物であり、ここで間接とは、例えばグリシジル基のようなエポキシ基を有する基が、脂環式環に結合していることを意味する。

    【0038】脂環式エポキシ化合物の具体例としては、
    シクロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4
    −エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3−
    (3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ジグリシジル ヘキサハイドロフタレート、2,2−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパンなどが挙げられる。 これらの脂環式エポキシ化合物を用いる場合も、各々単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 またもちろん、脂環式アミンと脂環式エポキシ化合物を併用することもできる。 脂環式化合物
    (e) の使用量は、成分(a) 1モルに対して1モル以下、
    好ましくは0.5モル以下である。

    【0039】本発明における水溶性樹脂(A)は、以上のようなアルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) 、尿素類(b) 、並びにアルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物(c) の三成分を反応させることにより、あるいは任意に更に他の成分、例えば二塩基性カルボン酸系化合物(d) 、活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物から選ばれる脂環式化合物(e) を反応させることにより得られる。

    【0040】例えば、次の成分を反応させることにより、本発明で用いるのに好適な水溶性樹脂(A)を得ることができる。

    【0041】(a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、(b) 尿素類、(c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物、並びに所望ならば(e) 活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物から選ばれる脂環式化合物。

    【0042】各成分の反応の順序は任意であり、特に制限されるものでないが、例えば次の態様を採ることができる。 アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) と尿素類(b) を脱アンモニア反応させ、次いでアルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物(c) を反応させる。 また、所望により脂環式アミン及び/又は脂環式エポキシ化合物(e) を用いる場合は、の反応及び/又はの反応の際に、これらの化合物の1種又は2種以上を反応させればよい。

    【0043】の反応においては、尿素類(b) を一括して仕込んで反応させてもよいし、また尿素類(b) の一部を最初に仕込んでアルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) と反応させたあと、残りの尿素類(b)
    を加えて脱アンモニア反応を行うといったように、反応を2段階で行うこともできる。 の反応において、成分
    (c) としてアルデヒド類を用いる場合は、酸性下で反応を行うか、あるいは一旦アルカリ性下で反応させたあと、更に酸性下で反応を行うのが好ましい。 一方、成分
    (c) としてエピハロヒドリン類及び/又はα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類を用いる場合は、弱酸性ないしアルカリ性、例えばpH5以上、更にはpH6〜9の範囲で反応を行うのが好ましい。 また、水溶性樹脂(A)がアミド化合物(B)とともに反応物を形成する場合には、の反応は、例えばの反応のあと、成分(c)の全部を仕込んで行うこともできるし、の反応のあと、
    最初に成分(c)の一部を仕込んで反応させ、次いで残りの成分(c)をアミド化合物(B)とともに添加してその系内で更に反応させて行うこともできる。 また、
    の反応のあと、成分(c)の全部をアミド化合物(B)
    とともに添加し、その系内で行うこともできる。

    【0044】これらの反応は、それぞれ公知の方法に従って行うことができる。 例えば、上記成分(a) 、(b) 及び(c) の反応は、特開平4−100997号公報により公知であり、そこに記載の方法に準じて行うことができる。 また、上記成分(a) 、(b) 及び(c) に加えて、更に成分
    (e) を用いる場合の反応は、特開平 4-263696 号公報及び特開平4−333697号公報により公知であり、そこに記載の方法に準じて行うことができる。

    【0045】本発明で用いるのに好適な別の水溶性樹脂(A)は、次の成分を反応させることにより得られる。

    【0046】(a) アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン、(b) 尿素類、(c) アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物、(d) 二塩基性カルボン酸系化合物、並びに所望ならば(e) 活性水素を少なくとも一つ有する脂環式アミン及び脂環式エポキシ化合物から選ばれる脂環式化合物。

    【0047】ここでも、各成分の反応の順序は任意であり、特に制限されるものでないが、例えば次の態様を採ることができる。 アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) 、尿素類(b) 及び二塩基性カルボン酸系化合物(d) を、任意の順序で脱アンモニア反応及び脱水縮合に供して、ポリアミドポリ尿素を生成させ、その後アルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−
    ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる化合物(c) を反応させる。 また、所望により脂環式アミン及び/又は脂環式エポキシ化合物(e) を用いる場合は、の反応及び/
    又はの反応の際に、これらの化合物の1種又は2種以上を反応させればよい。

    【0048】この場合のの反応においても、尿素類
    (b) を一括して仕込んで反応させることも可能であるし、尿素類(b) の一部を最初に仕込んで脱アンモニア反応を行い、後の段階で残りの尿素類(b) を加えて再度脱アンモニア反応を行うという方法を採ることも可能である。 例えば、アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) と二塩基性カルボン酸系化合物(d) を脱水縮合させ、次に尿素類(b)を脱アンモニア反応させる方法、尿素類(b) の一部をアルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) と脱アンモニア反応させたあと、二塩基性カルボン酸系化合物(d) を脱水縮合させ、
    更に残りの尿素類(b) と脱アンモニア反応させる方法、
    アルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a)
    及び二塩基性カルボン酸系化合物(d) に、尿素類(b) の一部を加えて脱水及び脱アンモニア反応を行い、更に残りの尿素類(b) を加えて脱アンモニア反応を行う方法などを採用することができる。 またの反応においても、
    成分(c) としてアルデヒド類を用いる場合は、酸性下で反応を行うか、あるいは一旦アルカリ性下で反応させたあと、更に酸性下で反応を行うのが好ましい。 一方、成分(c) としてエピハロヒドリン類及び/又はα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類を用いる場合は、弱酸性ないしアルカリ性、例えばpH5以上、更にはpH6〜9の範囲で反応を行うのが好ましい。 この場合にも、水溶性樹脂(A)がアミド化合物(B)とともに反応物を形成する場合のの反応は、例えばの反応のあと、成分(c)
    の全部を仕込んで行うこともできるし、の反応のあと、最初に成分(c)の一部を仕込んで反応させ、次いで残りの成分(c)をアミド化合物(B)とともに添加してその系内で更に反応させて行うこともできる。 また、の反応のあと、成分(c)の全部をアミド化合物(B)とともに添加し、その系内で行うこともできる。

    【0049】これらの反応も、それぞれ公知の方法に従って行うことができる。 例えば、上記成分(a) 、(b) 、
    (c) 及び(d) の反応は、特開昭55− 31837号公報、特開昭57−167315号公報、特開昭62−104995号公報、特開昭
    62−125092号公報、特開昭62−125093号公報、その他により公知であり、そこに記載の方法に準じて行うことができる。 また、上記成分(a) 、(b) 、(c) 及び(d) に加えて、更に成分(e) を用いる場合の反応は、特開平2−
    216297号公報及び特開平2−221498公報により公知であり、そこに記載の方法に準じて行うことができる。

    【0050】本発明においては、以上説明したような水溶性樹脂(A)を特定のアミド化合物(B)との混合物又は反応物として用いる。 ここで用いるアミド化合物(B)は、α,β−不飽和カルボン酸系化合物 (x)とアミノ化合物 (y)とを反応させることにより得られる。

    【0051】アミド化合物(B)の原料となるα,β−
    不飽和カルボン酸系化合物 (x)は、遊離酸のほか、エステル類、酸無水物などが使用できる。 具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
    アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、イタコン酸、イタコン酸無水物、クロトン酸、クロトン酸メチル等が挙げられる。

    【0052】アミド化合物(B)のもう一方の原料となるアミノ化合物 (y)は、分子内に1級又は2級アミノ基を有する化合物であるが、炭素数4以上のものが好ましく、中でも炭素数4以上であり、かつ、二つ以上のアミノ基を有するものが特に好ましい。 アミノ基が二つ以上ある場合には、1級又は2級アミノ基の他に3級アミノ基を有するものも好ましい。

    【0053】アミノ化合物 (y)として、具体的には、水溶性樹脂(A)の合成に用いられるアルキレンジアミン又はポリアルキレンポリアミン(a) 及び脂環式化合物
    (e) に例示されるアミノ化合物が挙げられる。 更に、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、ベンジルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン等のモノアミン類、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−メチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン等のジアミン類、N−
    エチルイミノビスエチルアミン、N−メチルイミノビスプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルエチレンジアミン等のポリアミン類が例示される。

    【0054】アミド化合物(B)は、α,β−不飽和カルボン酸系化合物 (x)とアミノ化合物 (y)とを、100
    〜250℃、好ましくは130〜200℃で、生成する水又はアルコールを系外に除去しながら2〜20時間反応させることにより得ることができる。 また、両原料化合物を10〜80℃で1〜5時間反応させたのち、1
    00〜250℃に昇温して留出物を除去しながら更に2
    〜15時間反応を行う方法も好ましい。 なお、反応を行うにあたり、硫酸、リン酸などの酸触媒を用いてもよい。

    【0055】α,β−不飽和カルボン酸系化合物 (x)の使用量は、アミノ化合物 (y)の1級又は2級アミノ基数に対して、0.2〜0.5モル倍程度が好ましい。 アミド化合物(B)は、その70%水溶液の粘度が25℃において1〜1000Pとなるものが好ましく、特に5〜50
    0Pとなるものが好ましい。

    【0056】上記のようにして得られた水溶性樹脂(A)及びアミド化合物(B)は、両者の混合物又は反応物である樹脂成分(III) として用いられる。

    【0057】水溶性樹脂(A)とアミド化合物(B)との反応物は、 両原料成分を20〜100℃で、1〜1
    0時間反応させることにより得ることができる。 また、
    前述のように、水溶性樹脂(A)の構成成分のうちのアルデヒド類、エピハロヒドリン類及びα,γ−ジハロ−
    β−ヒドリン類から選ばれる化合物 (c)の一部又は全部は、アミド化合物(B)と反応させる際に用いて反応させることもできる。

    【0058】本発明の紙用塗工組成物は、以上説明した顔料(I) 、水性バインダー(II)及び樹脂成分(III) を含有するものである。

    【0059】紙用塗工組成物の調製にあたって、顔料
    (I) と水性バインダー(II)との組成割合は、用途や目的に応じて決定されるが、当業界で一般に採用されている組成と特に異なるところはない。 両者の好ましい組成割合は、顔料(I) 100重量部に対し、水性バインダー(I
    I)5〜200重量部程度、より好ましくは10〜50重量部程度である。

    【0060】樹脂成分(III) は、顔料(I) 100重量部に対し、固形分として0.05〜5重量部程度配合するのが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部程度配合する。 また、樹脂成分(III) が水溶性樹脂(A)とアミド化合物(B)との混合物の場合には、アミド化合物(B)は、樹脂成分(III) の固形分重量を基準として1
    〜90重量%程度の範囲で配合するのが好ましく、更には3〜80重量%程度の範囲で配合するのがより好ましい。

    【0061】紙用塗工組成物を調製するにあたり、顔料
    (I) 、水性バインダー(II)及び樹脂成分 (III) の添加混合順序は任意であり、特に制限を受けないが、例えば以下のような方法を採ることができる。 樹脂成分(III)
    が混合物の場合には、水溶性樹脂(A)及びアミド化合物(B)の両成分を混合したのち、これを顔料(I)及び水性バインダー(II)と混合する方法、両成分を予め混合することなく顔料(I) 及び水性バインダー(II)に添加混合する方法、一方の成分を顔料(I) (又は水性バインダー(II))と混合し、他方を水性バインダー(II)
    (又は顔料(I) )と混合し、後に両者を混合する方法などを採用することにより、本発明の効果を達成することができる。 一方、樹脂成分(III) が反応物の場合には、
    水溶性樹脂(A)及びアミド化合物(B)の両成分を反応させたのち、これを顔料(I) 及び水性バインダー(II)
    と混合する方法などを採用することができる。

    【0062】本発明の紙用塗工組成物には、その他の成分として、例えば分散剤、粘度・流動性調整剤、消泡剤、防腐剤、潤滑剤、保水剤や、染料・有色顔料のような着色剤などを、必要に応じて配合することができる。

    【0063】本発明の紙用塗工組成物は、従来より公知の方法、例えばブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、キャストコーターなど、公知の各種コーターを用いる方法により、紙基体に塗布される。 その後必要な乾燥を行い、更に必要に応じてスーパーカレンダーなどで平滑化処理を施すことにより、塗工紙を製造することができる。

    【0064】かくして本発明によれば、特定のアミド化合物(B)を追加的に用いたことにより、顔料(I) 、水性バインダー(II)及び水溶性樹脂(A)からなる塗工組成物を用いた場合に比べ、改良された性能を示す塗工紙が得られる。

    【0065】

    【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。 例中、含有量又は添加量を表す%及び部は、特に断らない限り重量基準である。 また粘度及びpHは、25
    ℃において測定した値である。 まず、実施例で用いる水溶性樹脂を以下に示す合成例1〜3に従って合成した。
    またアミド化合物は合成例4〜9に従って合成し、更に水溶性樹脂とアミド化合物との反応物は合成例10〜1
    3に従って調製した。

    【0066】合成例1:

    【0067】温度計、還流冷却器及び攪拌棒を備えた四つ口フラスコに、トリエチレンテトラミン146.2g
    (1.0モル)及び尿素30.0g(0.5モル)を仕込み、
    内温140〜160℃で3.5時間加熱して脱アンモニア反応を行った。 その後、アジピン酸73.1g(0.5モル)を仕込み、内温を150〜160℃に保って、5時間脱水アミド化反応を行った。 次いで内温を130℃に下げ、尿素120.1g(2.0モル)を仕込み、120〜
    130℃で2時間脱アンモニア反応を行った。 その後2
    70gの水を加えて樹脂水溶液とした。 更に37%ホルマリン60.9g(0.75モル)を仕込み、70%硫酸で系のpHを4〜5に調整し、内温70℃で4時間反応させた。 その後、苛性ソーダ水溶液でpHを4〜5に調整し、内温70℃で4時間反応させた。 更に苛性ソーダ水溶液でpHを6.5、濃度50%に調整して、粘度14
    0cps の水溶性樹脂水溶液を675g得た。

    【0068】合成例2:

    【0069】合成例1で用いたのと同じ容器に、トリエチレンテトラミン58.5g(0.4モル)及び尿素12.0
    g(0.2モル)を仕込み、内温120〜140℃で3時間加熱して脱アンモニア反応を行った。 その後、ヘキサハイドロフタル酸34.4g(0.2モル)を仕込み、内温150〜160℃で5時間、脱水アミド化反応を行った。 次に内温が130℃になるまで冷却し、尿素48.0
    g(0.8モル)を仕込み、温度120〜130℃で2時間脱アンモニア反応を行った。 反応後100℃まで冷却し、水108gを加えて樹脂水溶液とした。 次いで、
    37%ホルマリン32.4g(0.4モル)を加え、70%
    硫酸で系のpHを5.1に合わせた。 これを60℃に昇温し、5時間反応させたあと冷却し、28%苛性ソーダ水溶液で中和してpH7.1、濃度50%、粘度45cps の水溶性樹脂水溶液を275g得た。

    【0070】合成例3:

    【0071】合成例1で用いたのと同じ容器に、トリエチレンテトラミン146.2g(1.0モル) 及び尿素18
    0.2g(3.0モル) を仕込み、内温120〜140℃で2時間加熱して脱アンモニア反応を行った。 その後、水150gを加えて樹脂水溶液とした。 更に37%ホルマリン48.7g(0.6モル) を加え、内温70℃で4時間反応させたあと、70%硫酸で系のpHを4.0に調整し、再び内温を70℃に保ちながら4時間反応させた。
    その後、苛性ソーダ水溶液でpHを7.0に調整して、濃度60%、粘度210cps の水溶性樹脂水溶液を506
    g得た。

    【0072】合成例4:

    【0073】温度計、リービッヒ冷却器、滴下ロート及び攪拌棒を備えた四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジアミン232g(2.0モル)を仕込み、系内を40〜5
    0℃に保ちつつ、メタクリル酸メチル150g(1.5モル)を1時間かけて滴下し、更に60〜70℃で1時間反応させた後、内温を120〜150℃として、メタノールを留出させながら5時間反応を行った。 反応終了後水を加えて、濃度70%、粘度74Pのアミド化合物液478gを得た。

    【0074】合成例5:

    【0075】合成例4で用いたのと同様の容器に、N,
    N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン204g
    (2.0モル)を仕込み、アクリル酸メチル86g(1.0
    モル)を仕込んで、系内を100〜130℃に保ったまま、メタノールを留出させながら5時間反応を行った。
    反応終了後水を加えて、濃度70%、粘度7.3Pのアミド化合物液389gを得た。

    【0076】合成例6:

    【0077】合成例4で用いたのと同様の容器に、1,
    3−ビスアミノメチルシクロヘキサン284g(2.0モル)を仕込み、系内を30〜40℃に保ちつつ、メタクリル酸103g(1.2モル)を1時間かけて滴下し、更に40〜50℃で1時間反応させた後、内温を120〜
    150℃として、水を留出させながら5時間反応を行った。 反応終了後水179gを加えて、70℃まで冷却し、更にメタクリル酸メチル50g(0.5モル)を加えて、60〜70℃で2時間反応させ、濃度70%、粘度130Pのアミド化合物液598gを得た。

    【0078】合成例7:

    【0079】合成例4で用いたのと同様の容器に、イソホロンジアミン341g(2.0モル)を仕込み、系内を30〜40℃に保ちつつ、アクリル酸メチル95g
    (1.1モル)を1時間かけて滴下した。 更に40〜50
    ℃で1時間反応させた後、内温を120〜150℃として、メタノールを留出させつつ5時間反応を行った。 反応終了後水を加え、濃度70%、粘度22Pのアミド化合物液573gを得た。

    【0080】合成例8:

    【0081】合成例4で用いたのと同様の容器に、キシリレンジアミン272g(2.0モル)を仕込み、アクリル酸72g(1.0モル)を仕込んで、系内を120〜1
    50℃に保ったまま、水を留去させながら5時間反応を行った。 反応終了後水158gを加えて、70℃まで冷却し、更にアクリル酸メチル43g(0.5モル)を加えて、60〜70℃で2時間反応させ、濃度70%、粘度180Pのアミド化合物液527gを得た。

    【0082】合成例9:

    【0083】合成例4で用いたのと同様の容器に、シクロヘキシルアミン99g(1.0モル)及びジエチレントリアミン103g(1.0モル)を仕込み、系内を30〜
    40℃に保ちつつ、アクリル酸メチル112g(1.3モル)を1時間かけて滴下し、更に40〜50℃で1時間反応させた後、内温を100〜130として、メタノールを留出させながら5時間反応を行った。 反応終了後水を加えて、濃度70%、粘度18Pのアミド化合物液4
    32gを得た。

    【0084】合成例10:

    【0085】合成例1で用いたのと同様の容器に、合成例1と同様にして得た水溶性樹脂水溶液375g、合成例4と同様にして得たアミド化合物液89g及び水36
    gを仕込んで60〜70℃で2時間反応させ、濃度50
    %、粘度200cps の樹脂成分液を得た。

    【0086】合成例11:

    【0087】合成例10で用いたのと同様の容器に、合成例3と同様にして得た水溶性樹脂水溶液333g、合成例6と同様にして得たアミド化合物液71g及び水1
    2gを仕込んで、合成例10と同様の条件下で反応させ、 濃度60%、粘度330cps の樹脂成分液を得た。

    【0088】合成例12:

    【0089】合成例1で用いたのと同様の容器に、合成例2と同様にして得た水溶性樹脂水溶液350g、合成例8と同様にして得たアミド化合物液107g、37%
    ホルマリン4g及び水40gを仕込み、硫酸でpH5に調整し、60〜70℃で4時間反応させ、濃度50%、
    粘度58cps の樹脂成分液を得た。

    【0090】合成例13:

    【0091】合成例3と同様にして得た水溶性樹脂水溶液253g、合成例7と同様にして得たアミド化合物液12g、37%ホルマリン8g及び水50gを用いて合成例12と同様にして反応させ、濃度50%、粘度11
    0cps の樹脂成分液を得た。

    【0092】実施例1:

    【0093】合成例1で得た水溶性樹脂水溶液95g
    に、 合成例4で得たアミド化合物液7.5g及び水1.4
    gを加え、硫酸でpHを7に調整し、濃度50%、粘度190cps の樹脂成分液を得た。 こうして得た樹脂成分液を、表1に示したマスターカラーへ、顔料100部あたり樹脂成分液中の固形分0.5部の割合で添加した。

    【0094】実施例2〜14:

    【0095】水溶性樹脂及びアミド化合物の種類及び量をそれぞれ変える以外は実施例1と同様にして、樹脂成分液を調製した。 水溶性樹脂とアミド化合物の種類及び配合量、並びに得た樹脂成分液の物性値を、実施例1におけるものとともに表2にまとめた。 また、こうして得た樹脂成分液を、実施例1と同様、表1に示したマスターカラーへ、顔料100部あたり樹脂成分液中の固形分0.5部の割合で添加した。

    【0096】

    【表1】

    *1ウルトラホワイト90: 米国エンゲルハードミネラルズ社製クレー

    *2カービタル90: 富士カオリン(株)製炭酸カルシウム

    *3スミレーズレジン DS-10: 住友化学工業(株)製ポリアクリル酸系顔料分散剤

    *4 SN−307: 住友ダウ(株)製スチレンブタジエン系ラテックス

    *5王子エースA: 王子ナショナル(株)製酸化でんぷん

    *6配合比:固形分重量による割合で表した。

    【0097】

    【表2】

    【0098】実施例15〜18:

    【0099】合成例10〜13で得た樹脂成分液を、顔料100部あたり樹脂成分液中の固形分が0.5部の割合となるよう、表1に示したマスターカラーに添加した。

    【0100】実施例19〜22:

    【0101】実施例1、5、12及び13で用いた水溶性樹脂とアミド化合物を、両者を予め混合することなく各々単独で、表5に示した割合で、顔料100部あたり両樹脂の固形分合計0.5部の割合となるよう、表1に示したマスターカラーに添加した。

    【0102】 塗工組成物の調製及び物性測定 :以上の実施例1〜22で調製したそれぞれの組成物は、 総固形分が60%、pHが約9.0となるように、各々水と10
    %苛性ソーダ水溶液で調整した。 得られたそれぞれの塗工組成物について、以下の方法で物性値を測定し、その結果を表3〜5に示した。

    【0103】(1) pH:ガラス電極式水素イオン濃度計〔東亜電波工業(株)製〕を用い、調製直後の塗工組成物のpHを25℃にて測定した。

    【0104】(2) 粘度:B型粘度計〔(株)東京計器製、BL型〕を用い、60rpm 、25℃で、調製直後の塗工組成物の粘度を測定した。

    【0105】 塗工紙の作成 :上記のようにして得られたそれぞれの塗工組成物を、米坪量80g/m 2の上質紙の片面に、ワイヤーロッドを用いて、塗工量が14g/m 2
    となるように塗布した。 塗布後ただちに、120℃にて30秒間熱風乾燥し、次いで温度20℃、相対湿度65
    %にて16時間調湿し、更に温度60℃、線圧60kg/
    cmの条件で2回スーパーカレンダー処理を施して、塗工紙を得た。

    【0106】 塗工紙物性の評価 :こうして得た塗工紙を、耐水性及びインキ受理性の試験に供し、試験結果を表3乃至表5に示した。 なお、試験方法は以下のとおりである。

    【0107】(3) 耐水性:ウェットピック法(WP法) RI試験機(明製作所製)を使用し、コート面を給水ロールで湿潤させたあと印刷し、紙むけ状態を肉眼で観察して判定した。 判定基準は次のように行った。 耐水性 (劣)1〜5(優)

    【0108】(4) インキ受理性 (4-1) A 法 RI試験機を使用して、塗工面を給水ロールで湿潤させたあとに印刷し、インキの受理性を肉眼で観察して判定した。 判定基準は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)

    【0109】(4-2) B 法 RI試験機を使用してインキに水を練り込みながら印刷し、インキ受理性を肉眼で観察して判定した。 判定基準は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)

    【0110】

    【表3】

    *1調製法 X: 水溶性樹脂とアミド化合物とを直接混合するが、反応はさせない。

    【0111】

    【表4】

    【0112】

    【表5】

    *1調製法 Y: 水溶性樹脂とアミド化合物とを反応させる。

    *2調製法 Z: 水溶性樹脂及びアミド化合物を予め混合することなく各々単独でマスターカラーに添加する。

    【0113】比較例1〜4

    【0114】先の実施例で用いたマスターカラー及び合成例1〜3で得られたそれぞれの水溶性樹脂水溶液を用い、ポリアミドを添加することなく、比較例1〜3では、表1に示したマスターカラーに、顔料100部あたり、合成例1〜3で得られたそれぞれの樹脂水溶液を固形分0.5部の割合で添加した。 また比較例4では、表1
    に示したマスターカラーをそのまま用いた。

    【0115】こうして得られたそれぞれの組成物につき、前記実施例と同様の方法で、固形分及びpHの調整を行ったあと、それぞれの塗工組成物を用いて塗工紙を作成し、同様の試験を行った。 試験結果を表6に示した。

    【0116】

    【表6】

    【0117】

    【発明の効果】本発明の紙用塗工組成物を用いて得た塗工紙は、インキ受理性及び耐水性に優れるなど、種々の優れた有効な特性を有する。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粂井 藤子 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友化学工業株式会社内 (72)発明者 河村 晃 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友化学工業株式会社内

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