Materials carbohydrate binder and is fabricated using the same

申请号 JP2013508521 申请日 2011-05-07 公开(公告)号 JP2013525586A 公开(公告)日 2013-06-20
申请人 ナフ インサレーション; 发明人 チャールズ アップリー,; カール ハンプソン,; ゲルト ミューラー,; ベネディクト パコレル,;
摘要 炭 水 化物反応物と求核剤との生成物を含むポリマー結合剤を含む結合剤が開示される。 結合剤は、繊維など、緩く組み合わされた物体を強固に固めるのに有用である。 炭水化物反応物および求核剤に 接触 した繊維を含む繊維生成物も開示される。 結合剤組成物は、架橋ポリマーによって結合された繊維を含む繊維生成物が得られるように、硬化することができる。 炭水化物反応物およびポリアミンをベースにした結合剤で繊維を結合するための方法がさらに開示される。
权利要求
  • 炭水化物反応物と求核剤とのポリマー生成物を含む結合剤であって、
    (a)前記求核剤がR −Q−R であり、
    (b)Qがアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはシクロヘテロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルはそれぞれ、任意選択で置換され、求核部分および安定化部分を有しており、
    (c)R が、アミン、アジド、シアネート、イソシアネート、チオール、ジスルフィド、チオシアネート、ハロゲン、ハロホルミル、カルボキシル、カルボキシレート、ヒドロキシル、およびアルコキシドからなる群から選択され、
    (d)R が、アミン、アミド、イミン、イミド、ニトロ、ニトレート、ピリジン、ホスフェート、ホスホノ、ヒドロキシル、水素、スルホノ、スルホ、スルフィニル、およびスルフヒドリルからなる群から選択される結合剤。
  • 前記炭水化物反応物が多糖である、請求項1に記載の結合剤。
  • 前記炭水化物反応物が単糖または二糖である、請求項1に記載の結合剤。
  • 前記炭水化物反応物が、そのアルドース形態またはケトース形態である単糖である、請求項1に記載の結合剤。
  • 前記炭水化物反応物が、デキストロース、キシロース、フルクトース、ジヒドロキシアセトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の結合剤。
  • およびR が前記炭水化物反応物と共有結合を形成して前記ポリマー生成物を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の結合剤。
  • が求核部分であり、R が安定化部分である、請求項1から6のいずれか一項に記載の結合剤。
  • Qが、C 〜C 24からなる群から選択されるアルキルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
  • Qが、C 〜C からなる群から選択されるアルキルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
  • Qが、C 〜C からなる群から選択されるアルキルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
  • QがC アルキルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
  • Qが、シクロヘキシル、シクロペンチル、またはシクロブチルからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
  • Qがベンジルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
  • −Q−R が2−[(2-アミノエチル)アミノ]エタノールである、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合剤。
  • およびR がそれぞれチオールである、請求項1から13のいずれか一項に記載の結合剤。
  • がアミンである、請求項1から13のいずれか一項に記載の結合剤。
  • が、アミン、アミド、イミン、またはイミドである、請求項16に記載の結合剤。
  • がアミンである、請求項16に記載の結合剤。
  • 前記炭水化物反応物と前記求核剤とのモル比が約1:1から約30:1の範囲内にある、請求項1から18のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記炭水化物反応物と前記求核剤とのモル比が約2:1から約10:1の範囲内にある、請求項1から18のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記ポリマー生成物の水性抽出物が約5から約9の範囲のpHを有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記ポリマー生成物の水性抽出物が本質的に無色である、請求項1から21のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記ポリマー生成物の水性抽出物が、ベネディクト試薬を還元することが可能である、請求項1から22のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記ポリマー生成物が、フェノールフリーおよびホルムアルデヒドフリーである、請求項1から23のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記炭水化物反応物および前記求核剤が不揮発性である、請求項1から24のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記結合剤に接触している溶液がベネディクト試薬を還元する、請求項1から25のいずれか一項に記載の結合剤。
  • 前記ポリマー生成物が、420nmの光を強力に吸収する、請求項1から26のいずれか一項に記載の結合剤。
  • ポリマー結合剤を生成するための反応物および溶媒を含有する溶液を調製するステップであって、前記反応物が炭水化物反応物および求核剤を含んでいるステップと、
    前記溶液を、物体集合体上に配置するステップと、
    前記溶媒を揮発させて、未硬化生成物を形成するステップと、
    前記炭水化物反応物および前記求核剤を重合させて前記ポリマー結合剤の形成を引き起こす条件に前記未硬化生成物を供するステップとを含む、前記ポリマー結合剤で結合された物体集合体を作製する方法。
  • 前記物体集合体が、鉱物線維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、およびセルロース繊維からなる群から選択される繊維を含む、請求項28に記載の方法。
  • 前記物体集合体がガラス繊維である、請求項28に記載の方法。
  • 前記ガラス繊維が、約70重量%から約99重量%の範囲で存在する、請求項30に記載の方法。
  • 前記物体集合体がセルロース繊維を含む、請求項28に記載の方法。
  • 前記セルロース繊維が、木屑、おが屑、木材パルプ、および砕木からなる群から選択される基材である、請求項32に記載の方法。
  • 前記未硬化生成物を、貯蔵に適した包装材料に包装するステップをさらに含む、請求項28に記載の方法。
  • 前記溶液を調製するステップが、ある量の前記炭水化物反応物とある量の前記求核剤とを、重量比が約2:1から約10:1の範囲内にあるように添加するステップを含む、請求項28に記載の方法。
  • 前記溶液を調製するステップが、前記炭水化物反応物および前記求核剤を水溶液に添加するステップを含む、請求項28に記載の方法。
  • 前記溶液を調製するステップが、前記溶液のpHを約8から約12の範囲内に調節するステップを含む、請求項36に記載の方法。
  • 物体集合体および結合剤を含む組成物であって、前記結合剤は、炭水化物反応物と求核剤との間の反応のポリマー生成物を含み、前記ポリマー生成物は実質的に水不溶性である組成物。
  • 前記物体集合体が、鉱物線維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、およびセルロース繊維からなる群から選択される繊維を含む、請求項38に記載の組成物。
  • 前記物体集合体がガラス繊維を含む、請求項38に記載の組成物。
  • 前記物体集合体がセルロース繊維を含む、請求項38に記載の組成物。
  • 前記セルロース繊維が、木屑、おが屑、木材パルプ、砕木、黄麻、亜麻、麻、および藁からなる群から選択されるセルロース基材中に存在する、請求項41に記載の組成物。
  • 前記炭水化物反応物が、デキストロース、キシロース、フルクトース、ジヒドロキシアセトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項38から42のいずれか一項に記載の組成物。
  • 前記求核剤が、求核部分および安定化部分を有する化合物である、請求項38から43のいずれか一項に記載の組成物。
  • 前記求核剤がR −Q−R であり、式中、
    (a)Qがアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはシクロヘテロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルはそれぞれ、任意選択で置換されており、
    (b)R が前記求核部分であり、
    (c)R が前記安定化部分である、
    請求項38から44のいずれか一項に記載の結合剤。
  • ケイ素含有化合物をさらに含む、請求項38から45のいずれか一項に記載の組成物。
  • 前記ケイ素含有化合物が、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノ官能性オリゴマーシロキサン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項46に記載の組成物。
  • 前記ケイ素含有化合物がγ−アミノプロピルトリエトキシシランである、請求項46に記載の組成物。
  • 制塵油、リン酸一アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メラミン、シュウ酸スズ(II)、およびメチル水素シリコーン流体エマルジョンからなる群から選択される腐食防止剤をさらに含む、請求項38から48のいずれか一項に記載の組成物。
  • 说明书全文

    (関連出願への相互参照)
    本願は、2010年5月7日に出願された米国仮特許出願第61/332,452号の利益を主張する。 この米国仮特許出願第61/332,452号は、参考として本明細書に援用される。

    本開示は、結合剤配合物と、それを用いて作製された、炭化物をベースにした結合剤を含む材料と、それを調製するための方法とに関する。 詳細には、炭水化物および求核剤の反応生成物を含む結合剤と、それを用いて作製された材料とについて記述される。

    (背景)
    結合剤は、組み合わされていない、または緩く組み合わされた物体を強固に固めることが可能であるので、物品を製作するのに有用である。 例えば結合剤は、2つ以上の面を一体化するのを可能にする。 特に結合剤は、強固に固められた繊維を含む製品を生成するのに使用してもよい。 熱硬化性結合剤は、熱または触媒作用を介して不溶性および不溶融性の材料へと変形させることにより、特徴付けることができる。 熱硬化性結合剤の例には、様々なフェノール−アルデヒド、尿素−アルデヒド、メラミン−アルデヒド、およびフランやポリウレタン樹脂のような他の縮合重合材料が含まれる。 フェノール−アルデヒド、レゾルシノール−アルデヒド、フェノール/アルデヒド/尿素、およびフェノール/メラミン/アルデヒドなどを含有する結合剤組成物は、繊維、織物、プラスチック、ゴム、および多くの他の材料の結合に使用される。

    ミネラルウールおよびファイバーボード産業は、繊維を結合するのにフェノールホルムアルデヒド結合剤を歴史的に使用してきた。 フェノールホルムアルデヒド型結合剤は、最終製品に適切な性質を提供する。 しかし環境への配慮から、代替結合剤の開発が促されてきた。 そのような1つの代替の結合剤は、炭水化物と多プロトン酸との反応から得られる炭水化物をベースにした結合剤であり、例えば、特許文献1および特許文献2である。 別の代替結合剤は、ポリカルボン酸とポリオールとを反応させたエステル化生成物であり、例えば特許文献3である。 これらの結合剤はホルムアルデヒドを試薬として利用しないので、ホルムアルデヒドフリー結合剤とまとめて呼ばれている。

    現行の開発の一領域は、建築および自動車部門における製品の全範囲にわたって(例えば、ガラス繊維絶縁材、パーティクルボード、オフィス用パネル、および音響遮音材)フェノールホルムアルデヒド型結合剤の代替物を見出すことである。 特に、既に開発されたホルムアルデヒドフリー結合剤は、この部門における全製品について所望の性質の全てを有していなくともよい。 例えばアクリル酸およびポリ(ビニルアルコール)をベースにした結合剤は、将来有望な性能特性を示している。 しかしこの結合剤は、フェノールホルムアルデヒド結合剤に比べてさらに費用がかかり、石油ベースの資源から本質的に誘導され、フェノールホルムアルデヒドをベースにした結合剤組成物と比較してより低い反応速度を示す傾向を有する(長い硬化時間または高い硬化温度を必要とする)。 炭水化物をベースにした結合剤組成物は、比較的安価な前駆体で作製され、再生可能な資源から主に誘導される。 しかしこれらの結合剤は、従来のフェノールホルムアルデヒド結合剤系が硬化する条件とは実質的に異なる、硬化するための反応条件を必要とする可能性もある。 したがって、フェノールホルムアルデヒド型結合剤と既存の代替物との簡便な置換は、容易に実現されていない。

    米国特許出願公開第2007/0027283号明細書

    国際公開第2009/019235号

    米国特許出願公開第2005/0202224号明細書

    (要旨)
    本開示によれば、炭水化物をベースにした結合剤が記述される。 結合剤組成物は、様々な用途で有用となる性質を有し、特に結合剤は、繊維などの緩く組み合わされた物体を結合するのに使用され得る。

    例示的な実施形態では、本開示は、炭水化物反応物と求核剤とのポリマー生成物を含む結合剤に関する。 一実施形態では、炭水化物反応物が多糖である。 一実施形態では、炭水化物反応物が単糖または二糖である。 別の実施形態では、炭水化物は、そのアルドース形態またはケトース形態である単糖である。 別の実施形態では、炭水化物反応物は、デキストロース、キシロース、フルクトース、ジヒドロキシアセトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。 別の実施形態では、ポリマー生成物が熱硬化性ポリマー生成物である。

    例示的な実施形態では、求核剤が二官能性である。 別の実施形態では、求核剤がR −Q−R であり、式中、Qはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはシクロヘテロアルキルであり、上記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルはそれぞれ、任意選択で置換され、求核部分および安定化部分を有しており、R は、アミン、アジド、シアネート、イソシアネート、チオール、ジスルフィド、チオシアネート、ハロゲン、ハロホルミル、カルボキシル、カルボキシレート、ヒドロキシル、およびアルコキシドからなる群から選択され、R は、アミン、アミド、イミン、イミド、ニトロ、ニトレート、ピリジン、ホスフェート、ホスホノ、ヒドロキシル、水素、スルホノ、スルホ、スルフィニル、およびスルフヒドリル(チオール)からなる群から選択される。 一実施形態では、求核剤はアミン官能基を含む。

    例示的な実施形態では、炭水化物反応物と求核剤とのモル比が約1:1から約30:1の範囲にある。 別の実施形態では、炭水化物反応物と求核剤とのモル比が約2:1から約10:1の範囲にある。 別の実施形態では、ポリマー生成物の水性抽出物は、約5から約9の範囲のpHを有する。 別の実施形態では、ポリマー生成物の水性抽出物は、本質的に無色である。 さらに別の実施形態では、ポリマー生成物はフェノールフリーおよび/またはホルムアルデヒドフリーである。 別の実施形態では、ポリマー生成物の水性抽出物は、ベネディクト試薬を還元することが可能である。 別の実施形態では、ポリマー生成物は、400から500nmの間の光を吸収し、例えば一実施形態では420nmの光を吸収する。

    例示的な実施形態では、ポリマー結合剤で結合された物体集合体を作製する方法は、ポリマー結合剤を生成するための反応物および溶媒を含有する溶液を調製するステップであって、この反応物が炭水化物反応物および求核剤を含んでいるステップと;この溶液を、物体集合体上に配置するステップと;溶媒を揮発させて、未硬化生成物を形成するステップと、炭水化物反応物および求核剤を重合させてポリマー結合剤の形成を引き起こす条件に、この未硬化生成物を供するステップとを含む。 一実施形態では、物体集合体は、鉱物線維(スラグウールファイバー、ロックウールファイバー、またはガラス繊維)、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、およびセルロース繊維からなる群から選択される繊維を含む。 別の実施形態では、物体集合体は、石炭または砂などの微粒子を含む。 別の実施形態では、物体集合体がガラス繊維である。 さらに別の実施形態では、ガラス繊維は、約70重量%から約99重量%の範囲で存在する。 別の実施形態では、物体集合体は、セルロース繊維を含む。 例えばセルロース繊維は、木屑、おが屑、木材パルプ、または砕木であってもよい。 さらに別の実施形態では、セルロース繊維は、黄麻、亜麻、麻、および藁などの他の天然繊維であってもよい。

    例示的な実施形態では、ポリマー結合剤で結合された物体集合体を作製する方法は、さらに、ある量の炭水化物反応物およびある量の求核剤を、そのモル比がそれぞれ約2:1から約10:1の範囲になるように添加することによって溶液を調製するステップを含む。 一実施形態では、溶液を調製するステップは、炭水化物反応物および求核剤を水溶液に添加するステップを含む。 別の実施形態では、溶液を調製するステップは、溶液のpHを、約8から約13の範囲内に、例えば一実施形態では約8から約12の範囲内に調節するステップを含む。

    例示的な実施形態では、本開示は、物体集合体および結合剤を含む組成物に関し、この結合剤は、炭水化物反応物と求核剤との間の反応のポリマー生成物を含み、このポリマー生成物は、実質的に水不溶性である。 一実施形態では、物体集合体は、鉱物線維(スラグウールファイバー、ロックウールファイバー、またはガラス繊維)、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、およびセルロース繊維を含む。 例えばセルロース繊維は、木屑、おが屑、木材パルプ、および/または砕木を含む。 一実施形態では、炭水化物反応物は、デキストロース、キシロース、フルクトース、ジヒドロキシアセトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。 別の実施形態では、求核剤は、ジアミン、トリアミン、テトラミン、およびペンタミンからなる群から選択される。 一実施形態では、求核剤はR −Q−R であり、式中、Qはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはシクロヘテロアルキルであり、上記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルはそれぞれ、任意選択で置換されており、R は求核部分であり、R は安定化部分である。 一実施形態では、R は、アミン、アジド、シアネート、イソシアネート、チオール、ジスルフィド、チオシアネート、ハロゲン、ハロホルミル、カルボキシル、カルボキシレート、ヒドロキシル、およびアルコキシドからなる群から選択される。 別の実施形態では、R は、アミン、アミド、イミン、イミド、ニトロ、ニトレート、ピリジン、ホスフェート、ホスホノ、ヒドロキシル、水素、スルホノ、スルホ、スルフィニル、およびスルフヒドリル(チオール)からなる群から選択される。

    別の実施形態では、組成物はさらに、ケイ素含有化合物を含む。 一実施形態では、ケイ素含有化合物は、官能化シリルエーテルまたは官能化アルキルシリルエーテル、例えばアミノ官能化アルキルシリルエーテルである。 例えば、一実施形態では、ケイ素含有化合物は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、またはアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、またはその混合物であってもよい。 別の実施形態では、ケイ素含有化合物は、アミノ官能性オリゴマーシロキサンであってもよい。 別の実施形態では、組成物は、制塵油、リン酸一アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メラミン、シュウ酸スズ(II)、およびメチル水素シリコーン流体エマルジョンからなる群から選択される腐食防止剤を含む。

    図1は、結果的にメラノイジンが生成される、メイラード反応の概略図を示す。

    図2は、代表的なアマドリ転位の概略図を示す。

    図3は、204℃の温度制御プラテンを備えた成型プレスを使用する熱成型サイクル(X軸、分で表した成型時間))中の、異なる結合剤に関するガラス繊維マットサンプルの中心の硬化温度プロファイル(Y軸、℃))を示す。 結合剤1(◆)は、フェノールホルムアルデヒド結合剤(比較例2)であり、結合剤2(■)は、炭水化物−無機酸結合剤(比較例3)であり、結合剤3(×)は、デキストロース−アンモニア−ヘキサメチレンジアミン(HMDA)結合剤(実施例5)である。

    (詳細な説明)
    本発明は、様々な修正および代替形態にすることができるが、特定の実施形態について本明細書に詳細に記述する。 しかし、本発明を、記述される特定の形に限定する意図はなく、それどころか本発明の趣旨および範囲に包含される全ての修正例、均等物、および代替物を含むものとすることを理解すべきである。

    本開示は、組み合わされていない、または緩く組み合わされた物体を強固に固めるときの、予期せぬ有用性を有する結合剤組成物に関する。 結合剤組成物は、結合剤組成物の分野における現況技術の予期せぬ進歩を示す。 具体的には結合剤は、性能に改善をもたらし、より単純化され有利な製造方法を提供し、それと共に、炭水化物をベースにした結合剤系の特徴である環境と調和した利点が維持される。

    本明細書で使用される結合剤溶液という用語は、未硬化結合剤が形成されるように実質的に脱水することができる化学物質の溶液である。 本明細書で使用される結合剤または結合剤組成物は、硬化させてもよく、硬化させなくてもよく、または部分的に硬化させてもよい。 未硬化結合剤の組成物は、未硬化結合剤組成物と呼ばれる。 未硬化結合剤は、硬化した結合剤が形成されるように硬化させることができる化学物質の、実質的に脱水された混合物である。 実質的に脱水されたとは、結合剤溶液を作製するのに使用される溶媒(典型的には水またはその混合物)が気化した結果、残りの材料(結合剤反応物および溶媒を含む)の粘度が、緩く組み合わされた物体の間に凝集を生成させるのに十分に高いことを意味する。 したがって、残りの材料は未硬化の結合剤である。 一実施形態では、溶媒は、残りの材料の全重量の65%未満である。 別の実施形態では、実質的に脱水された結合剤は、全結合剤の約5重量%から約65重量%の間の含水量を有する。 別の実施形態では、溶媒は、残りの材料の全重量の50%未満であってもよい。 さらに別の実施形態では、溶媒は、残りの材料の全重量の35%未満であってもよい。 別の実施形態では、実質的に脱水された結合剤は、全結合剤の約10重量%から約35重量%の間の水を有する。 別の実施形態では、溶媒は、残りの材料の全重量の約20%未満を構成してもよい。

    例示的な実施形態では、未硬化結合剤は、少なくとも部分的に水溶性の、無色、白色、オフホワイト、黄土色、または黄色から茶色がかった粘着性物質であってもよい。 本明細書で使用される硬化結合剤という用語は、未硬化結合剤組成物を硬化するポリマー生成物を示す。 硬化結合剤は、特徴的な茶色から黒色を有していてもよい。 茶色または黒色と記述したが、別の特徴は、結合剤が、波長の広い範囲にわたって光を吸収する傾向があることである。 特に、約420nmでより高い吸光度を有していてもよい。 ポリマーは広範にわたり架橋するので、硬化結合剤は実質的に不溶性である。 例えば、結合剤は、大部分は水に不溶性である。 本明細書に記述される未硬化結合剤は、繊維を強固に固めるのに十分な結合能を提供する。 しかし硬化結合剤は、堅牢で長期にわたる耐久性と、架橋ポリマーに一般に関連した物理的性質とを与える。

    例示的な実施形態では、本明細書に記述される結合剤反応物は水に可溶性であり、結合剤溶液は、水溶液中の結合剤反応物の溶液である。 一実施形態では、界面活性剤は、1種または複数種の結合剤反応物または添加剤の溶解性または分散性を増大させる目的で、水溶液に含まれる。 例えば界面活性剤は、粒状添加剤の分散性を高めるために、水性結合剤溶液に添加されてもよい。 一実施形態では、界面活性剤は、無極性添加剤または結合剤反応物を伴うエマルジョンを生成するのに使用される。 別の実施形態では、結合剤溶液は、結合剤溶液の重量に対して約0.01重量%から約5重量%の界面活性剤を含む。

    例示的な実施形態では、本明細書に記述される結合剤溶液は、鉱物線維絶縁製品の生成中に、鉱物線維に付着させる(例えば、形成領域に進入するときにマットにスプレーするかまたは繊維にスプレーする)ことができる。 結合剤溶液が鉱物線維に接触すると、鉱物線維の残留熱(例えばガラス繊維は溶融ガラスから作製され、したがって残留熱を含有することに留意されたい)と、製品の内部および/または周りの空気の流れとによって、水の一部が結合剤溶液から蒸発する。 水の除去によって、結合剤の残りの成分が、粘着性または半粘着性の高固形分混合物のコーティングとして繊維表面に残される。 粘着性または半粘着性の高固形分混合物のこのコーティングは、結合剤として機能する。 この時点で、マットは硬化していない。 言い換えれば、未硬化結合剤は、鉱物線維をマットに結合するように機能する。

    さらに、上述の未硬化結合剤は硬化することができることを理解すべきである。 例えば、硬化絶縁製品を製造するプロセスは、未硬化結合剤組成物中に化学反応を引き起こすよう熱を加える後続ステップを含んでいてもよい。 例えば、ガラス繊維絶縁製品を作製する場合、結合剤溶液を繊維に付着させ脱水した後に、未硬化絶縁生成物を硬化炉に移してもよい。 硬化炉内では、未硬化絶縁生成物を加熱し(例えば、約300°Fから約600°F[約150℃から約320℃])、これによって、結合剤を硬化させる。 硬化結合剤は、絶縁製品のガラス繊維を一まとめに結合するホルムアルデヒドフリーの耐水性結合剤である。 乾燥および熱硬化は、逐次的に、同時に、同時期に、または一斉に行ってもよいことに留意されたい。

    例示的な実施形態では、未硬化繊維生成物は、乾燥結合剤固形分を約3%から約40%含む(重量での全未硬化固形分)。 一実施形態では、未硬化繊維生成物は、乾燥結合剤固形分を約5%から約25%含む。 別の実施形態では、未硬化繊維生成物は、繊維を約50重量%から約97重量%含む。

    鉱物線維表面の結合剤に関して本明細書に記述されるように、硬化結合剤は、結合剤反応物を硬化した生成物である。 硬化したという用語は、結合剤が、化学変化を開始するような条件に曝されたことを示す。 これら化学変化の例には、(i)共有結合、(ii)結合剤成分の水素結合、および(iii)結合剤中のポリマーおよび/またはオリゴマーの化学的架橋が含まれるが、これらに限定するものではない。 これらの変化は、未硬化結合剤と比較して結合剤の耐久性および耐溶媒性を増大させることができる。 結合剤の硬化は、熱硬化性材料の形成をもたらすことができる。 さらに硬化結合剤は、未硬化結合剤と比較して、集合体中の物体間の接着性を増大させることができる。 硬化は、例えば熱、マイクロ波放射、および/または上述の化学変化の1つまたは複数を開始する条件によって、開始することができる。 特定の理論に限定するものではないが、硬化は、求核付加反応または求核付加脱離反応における炭水化物と求核剤との反応を含んでいてもよい。

    結合剤中の化学変化が水の放出をもたらす状況、例えば重合および架橋において、硬化は、乾燥のみに由来して生じたであろう水の量を超えて放出された水の量によって決定することができる。 結合剤を硬化させる場合と比較して、乾燥中に放出される水の量を測定するために使用される技法は、当技術分野で周知である。

    例示的な実施形態では、求核剤が窒素含有化合物である。 一実施形態では、硬化結合剤組成物が窒素含有ポリマーを含む。 一実施形態では、窒素含有ポリマーは、その色が茶色から黒色である。 特定の理論に限定するものではないが、硬化結合剤組成物は、高分子量ポリマーの混合物を含む。 高分子量ポリマーは、高度に架橋されていると特徴付けることができる。 さらに、高分子量ポリマーは、茶色で複合的なフラン環含有および窒素含有ポリマーであると特徴付けることができる。 本明細書で使用される高分子量は、100,000ダルトンを超える分子量を有するポリマーを含む。 高度に架橋されたポリマー鎖から構成されることにより、本明細書に記述される高分子量ポリマーの分子量は無限大に近付く。 したがって、高分子量ポリマーの分子量は、分析されるポリマーの質量および物理的寸法の関数であり得る。 例えば、3グラムの質量を有するメラノイジンの一体サンプルは、広範な架橋に起因する単一ポリマー分子を含むと推測することができる。 したがって、ポリマーの分子量は1モル当たり約1.8×10 24グラム(サンプル質量とアボガドロ数との積)と考えられる。 本明細書で使用される高分子量ポリマーは、1モル当たり約1×10 から約1×10 24グラムの間の桁の分子量を有するポリマーを含む。

    特定の理論に限定するものではないが、高分子量ポリマーはその構造が、調製時の反応物および条件に応じて変わることが理解される。 高分子量ポリマーは、加熱の温度および時間と共に増大する炭素と窒素との比を有することも公知である。 さらに高分子量ポリマーは、飽和、不飽和、および芳香族の特徴を有する。 一実施形態では、高分子量ポリマーは、加熱の温度(硬化温度)および時間(硬化時間)と共に増大する不飽和度および芳香族性を有した。 高分子量ポリマーは、ポリマー内に様々な構造で反応物として組み込まれた糖のC−1も含有した。 高分子量ポリマーは、カルボニル、カルボキシル、アミン、アミド、ピロール、インドール、アゾメチン、エステル、無水物、エーテル、メチル、および/またはヒドロキシル基を含有してもよい。 構造の複雑さに応じて、赤外分光法がこれら官能基の1つまたは複数を同定するのに有用と考えられる。 本明細書ではそのように分類されないが、当業者なら、結合剤を、ポリエステルやポリエーテル、ポリアミドなど、存在する特定の結合の存在に応じて分類可能であってもよいことも理解されよう。

    結合剤を特徴付けることができる別の手法は、硬化結合剤の熱分解中に生成される気体化合物の分析による。 本開示の範囲内の硬化結合剤の気体熱分解は、下記化合物:2−シクロペンテン−1−オン、2,5−ジメチル−フラン、フラン、3−メチル−2,5−フランジオン、フェノール、2,3−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン、2−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−フェノール、ジメチルフタレート、オクタデカン酸、またはエルシルアミドの1種または複数種を、約0.5から約15%(相対ピーク面積で)もたらすことができる。 ポリアミン成分としてヘキサメチレンジアミンを使用して調製された結合剤サンプルの、770℃で実施された熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(Py GC−MS)フィンガープリントは、ピリジンと、ピロールまたはピリジン誘導体(メチルピリジン、メチルピロール、ジメチルピリジン、ジメチルピロール、エチルメチルピロール、および他のピロール関連N含有成分)である成分の数を示す。 結合剤を同定することができる別の手法は、結合剤を含有する溶液(または抽出溶液)がベネディクト試薬を還元することが可能かどうかである。 一実施形態では、結合剤またはその水性抽出物に接触している溶液が、ベネディクト試薬を還元する。

    本開示の一態様は、本明細書に記述される結合剤が環境に優しいことである。 進行中の政府の規制と一緒に、本開示はホルムアルデヒドフリーにすることができる結合剤について記述する。 さらに、本明細書に記述される化学的性質は、ホルムアルデヒドおよびフェノールを本質的に含まない。 この意味で、ホルムアルデヒドもフェノールも、本開示の範囲内では試薬として使用されない。 どちらも潜在的に有用な性質を有する結合剤を得るために添加することができるが、本開示の一態様は、これら試薬の両方を含まないで作製することができる結合剤である。 別の態様では、本発明の結合剤組成物は、揮発性反応物を使用せずに製造することができる。 一実施形態では、求核剤および炭水化物は共に、不揮発性反応物である。 本明細書で使用されるように、揮発性反応物は、20℃で10kPaよりも大きい蒸気圧を有するものである。 同様に、本明細書で使用される不揮発性反応物は、20℃で約10kPa未満の蒸気圧を有する。 具体的に、例として、本発明の結合剤は、アンモニアまたはアンモニア放出化合物を添加することなく製造することができる。 一実施形態では、求核剤は、60℃で約0.5kPa未満の蒸気圧を有する。

    別の、環境に優しい本開示の態様は、結合剤の一次反応物が炭水化物であることである。 炭水化物は、再生可能資源と見なされる。 しかし、現況技術は主に、結合剤組成物を製造するのに石油由来の反応物を使用する。 別の態様では、結合剤は、従来技術に記述された同等の系の場合よりも低い温度で起き得る化学反応を通して、作製される。 したがって、硬化炉および製造設備は、より低い温度で作動させることができ、貴重な資源を節約できる。 代替の、関連ある手法では、本明細書に記述される結合剤は、類似の硬化温度に曝された場合、現在使用されている同等の結合剤よりも迅速に硬化する。 したがって、どちらの手法によっても、本開示の一態様は、現在開示されている結合剤を使用して形成された生成物のカーボンフットプリントを、現況技術により作製された同等の結合剤、例えばフェノールホルムアルデヒドをベースにした生成物と比較して著しく低下させることができることである。

    環境上の利益に加え、本発明の結合剤組成物およびそれを用いて作製された材料は、同等の結合剤系、例えばフェノールホルムアルデヒド結合剤に等しいかまたはそれを超える性能特性を有するように作製され得る。 一態様では、本開示による結合剤は、この結合剤を用いて作製された、打抜き、製作、積層、およびOEM用途での据付けを可能にする十分な引張り強度の物品を提供する。 一態様では、本開示による結合剤は、フェノールホルムアルデヒド結合剤の場合と同等の水ホールドアップ性(耐候性)を有する。 特定の用途に関係があり得る他の性能特性には、製品排出物質、密度、強熱減量、厚さ回復、塵埃、引張り強度、分断強度、分断強度の耐久性、結合強度、吸水性、熱面性能、鋼の腐食性、曲げ剛性、剛直剛性、圧縮耐性、条件付き圧縮耐性、圧縮弾性率、条件付き圧縮弾性率、および強熱発煙が含まれる。 本開示の一態様は、硬化結合剤の抽出物のpHが本質的に中性であり、例えば6から8の間のpHである。 本開示の別の態様は、本発明の結合剤によって、フェノールホルムアルデヒド結合剤組成物と同等の関連性能特性を有する生成物の製造が可能になることである。

    例示的に、一態様では、本開示の発明による結合剤には、本質的に無色の水性抽出物をもたらす利点がある。 本開示のこの特徴は、完成した製品が水と接触する可能性のある、天井用タイル、家具、またはオフィス用パネルなどの用途において結合剤を望ましいものにする。 本発明の結合剤を用いて作製された硬化製造品は、湿分または水に接触した後に、変色またはブリージングに対して優れた耐性を示す。 さらに、そのような実施形態では、結合剤に接触する水は、結合剤に接触した後に接触する可能性のある他の物品または部品に残留色を残さない。 例えば、一実施形態では、結合剤は、オフィス用パネルの用途でガラス繊維を結合するのに使用されてもよい。 結合されたガラス繊維組成物を覆うのは、薄く着色された布地であってもよい。 一実施形態では、ガラス繊維組成物に接触した水は、オフィス用パネルを乾燥した後に布地に着色残留物を残さないことが有利である。

    性能特性の他に、現在開示されている結合剤が関わる製造プロセスおよび方法には、前述の結合剤よりも優れたいくつかの予期せぬ利点がある。 一態様では、環境上の利益に関して先に述べたように、本発明の結合剤は、高揮発性の反応物を使用することなく製造することができる。 したがって、製造放出規制は、減少した負担の下での規制である。 さらに反応効率は、気化による反応物の損失が減少するので、より高い。 したがって、本開示の一態様は、本明細書で使用される化合物が実質的に不揮発性であることであり、したがって、望ましくない放出を減ずるために取らなければならないステップが減少する。

    別の態様によれば、反応して結合剤を形成する反応物は、1ステップ/1ポット結合剤系を使用することができるほどに、十分ゆっくりと反応する。 この態様によれば、反応物化合物は十分ゆっくりと反応するので、単一反応物溶液に添加し、妥当な時間にわたり貯蔵することができ、その間に1つの分布系を使用して製品に付着させることができる。 これを、低温で反応して結合剤溶液送達系内で不溶性反応生成物をもたらす結合剤系と、対比させる。 本明細書で使用される、実質的な(>5%)ポリマー沈殿を伴わずに貯蔵するのに妥当な時間は、2週間である。

    本開示の別の態様は、1ポット手法を容易にする室温条件では結合剤が十分に反応しないが、この結合剤は、高温では十分に反応性であり、非常に低い温度および/または非常に短い硬化滞留時間で硬化する。 ある観点において、低下した硬化温度は、フレームレス燃焼が行われかつ/または線状火災(line fire)を引き起こす絶縁製品の危険性を低下させる。 本明細書で使用される非常に低い温度は、約120℃以下と特徴付けられる。 本明細書で使用される非常に短い硬化時間は、約4分以下である。

    例示的な実施形態では、結合剤組成物は、未硬化結合剤または結合剤溶液の保存寿命を長くするために酸または酸塩を含む。 この酸は反応物でも触媒でもないが、結合剤溶液または未硬化結合剤を貯蔵条件下で維持しながら、結合剤反応物が結合剤を形成するのを遅くするかまたは阻害するために上記酸は含まれ得る。 例えば、周囲条件での硬化反応を遅くするかまたは阻害する揮発性の酸または酸塩を、結合剤溶液または未硬化結合剤に含めてもよい。 しかし、酸が揮発しかつ結合剤溶液または未硬化結合剤のpHが上昇するように、結合剤溶液または未硬化結合剤を加熱することによって、酸が除去されてもよい。 一実施形態では、結合剤組成物は、保存寿命を延長する酸を含む。 別の実施形態では、結合剤組成物は、保存寿命を延長する酸と求核剤を約1:20〜約1:1のモル比で含む。

    本開示の別の態様は、同等のフェノールおよびホルムアルデヒド型結合剤が同等の使用の範囲内で示すことのできる硬化速度を満足させまたは超える、硬化速度、サイクル時間、および硬化温度を有する結合剤である。 これに関し、本発明の結合剤は、設備に修正を加えることのない用途において、フェノールホルムアルデヒド樹脂の直接置換として使用することができる。 さらに本発明の結合剤は、反応温度および硬化時間が共に低減できるように、硬化温度および時間を修正することを可能にする。 この低減には、プロセス全体のエネルギー消費を削減する効果があり、この低減が、製品の製造による環境への影響を低減する。 さらに、より低い硬化温度には、製造プロセスの安全性を増大させるさらなる効果がある。 より低い硬化温度の別の効果は、フレームレス燃焼または発火の危険性を低減することである。

    絶縁製品の製造において、発熱硬化反応により放出された熱は、製品の自己加熱をもたらす可能性がある。 自己加熱は、熱が製品から放散する限り、典型的には問題がない。 しかし熱によって、酸化プロセスが開始される点まで製品の温度が上昇した場合、自己加熱は製品に著しい損傷を引き起こす可能性がある。 例えばフレームレス燃焼または酸化は、絶縁製品の温度が約425°F(210℃)を超えたときに起きる可能性がある。 これらの温度で、発熱燃焼または酸化プロセスはさらなる自己加熱を促進させ、結合剤が破壊される可能性がある。 さらに、温度は、ガラス繊維の溶融または失透が起こり得るレベルまで上昇する可能性がある。 これは絶縁製品の構造および価値を損なうだけでなく、火炎災害を引き起こす可能性もある。

    本開示の別の態様は、結合剤系が本質的に非腐食性であり、腐食防止剤が添加されているかもしくは添加されていないことである。 さらに結合剤系は、触媒または活性成分として、任意の有機酸、無機酸、およびこれらの塩の添加を必要としない。 したがって、本発明の結合剤の一態様は、本質的に酸を含まずに作製できることである。 さらに、結合剤は、全体的にアルカリ条件下で製造されてもよい。 本明細書で使用される酸という用語は、多プロトン性無機酸および多プロトン性有機酸(例えば、硫酸およびクエン酸)など、化合物の酸性を示す特徴に関して主に特徴付けることが可能な化合物を含む。 この態様は、製造設備の磨耗および維持要件を低減し、作業者の安全性を高める。

    例示的な実施形態では、結合剤は、炭水化物反応物と求核剤とのポリマー生成物を含む。 本明細書で使用される炭水化物反応物という用語は、単糖、二糖、多糖、またはそれらの反応生成物を指す。 一実施形態では、炭水化物反応物が還元糖であってもよい。 本明細書で使用される還元糖は、アルデヒド基を含有する1種もしくは複数種の糖か、または異性化、即ち互変異性化してアルデヒド基を含有することができる1種もしくは複数種の糖を示し、この基は、例えばCu +2で酸化されてカルボン酸を与え得るものである。 任意のそのような炭水化物反応物は、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、およびアルコキシなどで任意選択で置換されてもよいことも理解される。 任意のそのような炭水化物反応物中には1つまたは複数のキラル中心が存在し、各キラル中心での共に可能性のある光学異性体は、本明細書に記述される本発明に含まれるものとすることが、さらに理解される。 さらに、ラセミ混合物、または、任意のそのような炭水化物反応物の様々な光学異性体の他のジアステレオマー混合物、ならびにそれらの様々な幾何異性体を含む、様々な混合物を、本明細書に記述される1つまたは複数の実施形態で使用してもよいことが、同様に理解される。 非還元糖、例えばスクロースは好ましくない可能性があるが、それにも関わらず上記非還元糖は、還元糖へのin−situ変換によって本開示の範囲内で有用であり得る(即ち、スクロースから転化糖への変換は、当技術分野で公知の方法である)。 さらに、単糖、二糖、または多糖は、炭水化物反応生成物が形成されるように前駆体と部分的に反応してもよいことも理解される。 炭水化物反応生成物が単糖、二糖、または多糖から誘導され、かつ単糖、二糖、または多糖と求核剤との反応生成物に類似の反応生成物が形成されるように求核剤との類似の反応性を維持する限りにおいて、炭水化物反応生成物は、炭水化物反応物という用語の範囲内である。

    一態様では、任意の炭水化物反応物は、求核剤との反応に依然として利用可能なままであるその能力が最大限になるのに十分に不揮発性であるべきである。 炭水化物反応物は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、またはヘプトースを含めたそのアルドース形態またはケトース形態である単糖;または多糖;またはこれらの組合せであってもよい。 例えば、トリオースが炭水化物反応物として働く場合、または他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用される場合、それぞれグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンなどのアルドトリオース糖またはケトトリオース糖を利用してもよい。 テトロースが炭水化物反応物として働くか、または他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用される場合、エリトロースおよびトレオースなどのアルドテトロース糖;およびエリトルロースなどのケトテトロース糖を利用してもよい。 ペントースが炭水化物反応物として働くか、または他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用される場合、リボース、アラビノース、キシロース、およびリキソースなどのアルドペントース糖;およびリブロース、アラブロース、キシルロース、およびリキスロースなどのケトペントース糖を利用してもよい。 ヘキソースが炭水化物反応物として働くか、または他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用される場合、グルコース(即ち、デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、およびイドースなどのアルドヘキソース糖;およびフルクトース、プシコース、ソルボース、およびタガトースなどのケトヘキソース糖を利用してもよい。 ヘプトースが炭水化物反応物として働くか、または他の還元糖および/または多糖と組み合わせて使用される場合、セドヘプツロースなどのケトヘプトース糖を利用してもよい。 天然に生ずることが公知ではないそのような炭水化物反応物の他の立体異性体も、本明細書に記述される結合剤組成物を調製するのに有用であることが企図される。 一実施形態では、炭水化物反応物は、高フルクトースコーンシロップである。

    例示的な実施形態では、炭水化物反応物が多糖である。 一実施形態では、炭水化物反応物が、低い重合度を有する多糖である。 一実施形態では、多糖が、糖蜜、デンプン、セルロース加水分解物、またはこれらの混合物である。 一実施形態では、炭水化物反応物が、デンプン加水分解物、マルトデキストリン、またはこれらの混合物である。 より高い重合度の炭水化物は好ましくない可能性があるが、そのような炭水化物はそれにも関わらず、in−situ解重合によって、本開示の範囲内で有用と考えられる(即ち、高温でのアンモニア処理による解重合は、当技術分野で公知の方法である)。

    さらに、炭水化物反応物は、非炭水化物ポリヒドロキシ反応物と組み合わせて使用してもよい。 炭水化物反応物と組み合わせて使用することができる非炭水化物ポリヒドロキシ反応物の例には、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、完全に加水分解されたポリ酢酸ビニル、およびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定するものではない。 一態様では、非炭水化物ポリヒドロキシ反応物は、モノマーまたはポリマーポリアミンとの反応に依然として利用可能なままであるその能力を最大限にするのに十分に不揮発性である。 非炭水化物ポリヒドロキシ反応物の疎水性は、本明細書に記述されるように調製された結合剤の物理的性質を決定する際の一因子であり得ることが理解される。

    本明細書で使用される求核剤は、両方の結合電子を供与することによってその反応パートナー(求電子試薬)との結合を形成する試薬である。 本明細書で使用される求電子試薬は、反応パートナーから両方の結合電子を受容することによってその反応パートナー(求核剤)との結合を形成する試薬である。 例示的には、求電子試薬は、本明細書に記述される炭水化物である。 具体的には、求電子試薬基は、炭水化物のアルドース形態またはケトース形態と関連付けられた炭素である。 例えばグルコースのC−1は、アルドース官能性により陽電性であり、本開示の求核剤と反応する。 別の例では、フルクトースのC−2は、ケトース官能性により陽電性であり、本開示の求核剤と反応する。 炭水化物は求核剤とのその最初の相互作用における求電子試薬として記述したが、当業者なら、炭水化物は、起き得る反応の範囲内で求電子試薬としてのみ作用することに限定されないことを理解するであろう。 例えば、炭水化物のヒドロキシル基は、反応性求核剤の存在に応じて求核剤として作用することができる。 さらに、求核剤と炭水化物との間の初期反応は、炭水化物を求電子試薬として正確に分類することができるが、その反応の生成物は、さらなる反応において求核剤および求電子試薬の両方の官能性を示すことができる。

    例示的な実施形態では、求核剤は、本明細書に記述されるpHおよび本明細書に記述される温度を有する溶液中で、そのアルドース形態またはケトース形態である炭水化物と反応するのに十分求核性である。 一実施形態では、求核剤は、陽イオン安定化部分を含む。 本明細書で使用される陽イオン安定化部分は、求核攻撃により形成される陽イオンを安定化させる、求核剤上の化学基である。 例えば、本開示の範囲内にある1つの求核剤は、ジアミンである。 第一級アミンによるカルボニルの求核攻撃によって、シッフ塩基の陽イオンが形成される。 ジアミンの第1のアミンは求核剤の役で作用するが、第2のアミンは、シッフ塩基の陽イオンを安定化させるときに陽イオン安定化部分の役で作用する。 シッフ塩基からエノールまたはケト形態への陽イオンのさらなる転位は、自発的に進行することが公知である。 求核攻撃によって形成される陽イオンは、求核剤の構造によって同様に安定化される(シッフ塩基がそうであるように)。 別の態様では、求核剤の構造は、化合物が求核攻撃によって形成される陽イオンの形態である間に獲得される正電荷を安定化させることによって、転位を加速させる。

    この自発的な反応は、速度が脱水サンプルにおいて増大するので、脱水によってさらに促進されることが発見された。 安定化部分の重要性については、本開示の求核剤を使用する強化された効果がこれまで開示されてこなかったので、本出願の範囲内の従来技術で論じられていないと考えられる。 したがって本開示の一態様は、後続の転位中に、求核剤塩基の陽イオンに安定性をもたらすタイプの求核剤である。 別の態様では、求核剤は、実質的に乾燥状態である間に、後続の転位中に求核剤塩基の陽イオンに安定性をもたらすタイプのものである。

    例示的な実施形態では、求核剤はR −Q−R であり、式中、Qはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはシクロヘテロアルキルであり、上記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルはそれぞれ、任意選択で置換され、R は求核部分であり、R は安定化部分である。 一実施形態では、R は、アミン、アジド、シアネート、イソシアネート、チオール、ジスルフィド、チオシアネート、ハロゲン、ハロホルミル、カルボキシル、カルボキシレート、ヒドロキシル、およびアルコキシドからなる群から選択される。 別の実施形態では、R は、アミン、アミド、イミン、イミド、ニトロ、ニトレート、ピリジン、ホスフェート、ホスホノ、ヒドロキシル、水素、スルホノ、スルホ、スルフィニル、およびスルフヒドリル(チオール)からなる群から選択される。

    一実施形態では、求核剤が第一級アミンである。 本明細書で使用される第一級アミンは、1個または複数の第一級アミン基を有する有機化合物である。 第一級アミンという用語の範囲内には、1個または複数の第一級アミン基を有する化合物を生成するように、in situで修飾され得るかまたは異性化し得る化合物がある。 一実施形態では、第一級アミンは、H N−Q−Rの式を有する分子であってもよく、式中、Qはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはシクロヘテロアルキルであり、上記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルはそれぞれ、任意選択で置換されていてもよく、Rは、アミン、アミド、イミン、イミド、ニトロ、ニトレート、ピリジン、ホスフェート、ホスホノ、ヒドロキシル、水素、スルホノ、スルホ、スルフィニル、およびスルフヒドリル(チオール)からなる群から選択される陽イオン安定化部分を含む。

    一実施形態では、Qは、C 〜C 24からなる群から選択されるアルキルである。 別の実施形態では、Qは、C 〜C からなる群から選択されるアルキルである。 別の実施形態では、Qは、C 〜C からなる群から選択されるアルキルである。 さらに別の実施形態では、QがC アルキルである。 一実施形態では、Qは、シクロヘキシル、シクロペンチル、またはシクロブチルからなる群から選択される。 別の実施形態では、Qがベンジルである。 一実施形態では、R −Q−R が2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノールである。 R −Q−R の別の実施形態では、R およびR のそれぞれがチオールである。

    一実施形態では、R がアミンである。 上述のさらなる実施形態では、R がアミン、アミド、イミン、またはイミドである。 上述のさらなる実施形態では、R がアミンである。

    本明細書で使用される「アルキル」という用語は、任意選択で分岐している炭素原子の鎖を含む。 本明細書で使用される「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、任意選択で分岐している炭素原子の鎖を含み、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む。 アルキニルは、1つまたは複数の二重結合を含んでよいことも理解される。 アルキルは、C 〜C 24 、C 〜C 12 、C 〜C 、C 〜C 、およびC 〜C を含めた限定された長さのものが有利であることがさらに理解される。 アルケニルおよび/またはアルキニルは、それぞれ、有利には、C 〜C 24 、C 〜C 12 、C 〜C 、C 〜C 、およびC 〜C を含めた限定された長さのものであってもよいことがさらに理解される。 より短いアルキル、アルケニル、および/またはアルキニル基は、化合物の親水性をそれほど増大させない可能性があり、したがって炭水化物反応物に対する異なる反応性と結合剤溶液への溶解性を有することになることが、本明細書では理解される。

    本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、任意選択で分岐している炭素原子の鎖であって、この鎖の少なくとも一部分が環状である鎖を含む。 シクロアルキルアルキルは、シクロアルキルの部分集合であることが理解される。 シクロアルキルは多環式であってもよいことが理解される。 例示的なシクロアルキルには、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロプロピル、シクロペンチルエタ−2−イル、およびアダマンチルなどが含まれるが、これらに限定するものではない。 本明細書で使用される「シクロアルケニル」という用語は、任意選択で分岐している炭素原子の鎖を含み、少なくとも1つの二重結合を含み、この鎖の少なくとも一部分は環状である。 1つまたは複数の二重結合は、シクロアルケニルの環状部分および/またはシクロアルケニルの非環状部分に存在してもよいことが理解される。 シクロアルケニルアルキルおよびシクロアルキルアルケニルは、それぞれシクロアルケニルの部分集合であることが理解される。 シクロアルキルは多環式であってもよいことが理解される。 例示的なシクロアルケニルには、シクロペンテニル、シクロヘキシルエテン−2−イル、およびシクロヘプテニルプロペニルなどが含まれるが、これらに限定するものではない。 シクロアルキルおよび/またはシクロアルケニルを形成する鎖は、C 〜C 24 、C 〜C 12 、C 〜C 、C 〜C 、およびC 〜C を含めた限られた長さのものが有利であることが、さらに理解される。 シクロアルキルおよび/またはシクロアルケニルを形成する、より短いアルキルおよび/またはアルケニル鎖はそれぞれ、化合物の親油性をそれほど増大させない可能性があり、したがって異なる挙動を有することになることが本明細書では理解される。

    本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、炭素および少なくとも1個のヘテロ原子の両方を含む、任意選択で分岐している原子の鎖を含む。 例示的なヘテロ原子には、窒素、酸素、および硫黄が含まれる。 ある変形例では、例示的なヘテロ原子は、リンおよびセレンも含む。 ヘテロシクリルおよび複素環を含む、本明細書で使用される「シクロヘテロアルキル」という用語は、炭素および少なくとも1個のヘテロ原子の両方を含む原子の鎖(例えば、ヘテロアルキルなど)を含み、かつこれは任意選択で分岐しており、この鎖の少なくとも一部分は環状である。 例示的なヘテロ原子には、窒素、酸素、および硫黄が含まれる。 ある変形例では、例示的なヘテロ原子がリンおよびセレンも含む。 例示的なシクロヘテロアルキルには、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、およびキヌクリジニルなどが含まれるが、これらに限定するものではない。

    本明細書で使用される「任意選択で置換された」という用語は、水素原子が、任意選択で置換されるラジカル上の他の官能基で置き換えられることを含む。 そのような他の官能基には、例示として、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびこれらの誘導体、カルボン酸およびこれらの誘導体などが含まれるが、これらに限定するものではない。 例示として、アミノ、ヒドロキシル、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、および/またはスルホン酸のいずれかが、任意選択で置換される。

    例示的な実施形態では、第一級ポリアミンが、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、またはペンタミンである。 一実施形態では、求核剤が、ジエチレントリアミン、1−ピペラジンエタンアミン、またはビス(ヘキサメチレン)トリアミンから選択されたトリアミンである。 別の実施形態では、ポリアミンがテトラミンであり、例えばトリエチレンテトラミンである。 別の実施形態では、ポリアミンがペンタミンであり、例えばテトラエチレンペンタミンである。

    求核剤の一態様は、低い立体障害を有していてもよいものである。 例えばQは、求核剤が低い立体障害を有するように選択される。 例えばQが本質的に直鎖状であり、少なくとも3個の原子の長さを有する場合、求核部分および安定化部分は、求核剤が求電子試薬と反応できるように十分な間隔を有している。

    特定の理論に限定するものではないが、安定化部分は、本明細書に記述される反応中間体を安定化させることができるので、そのように呼ばれている。 しかし、本開示の別の態様では、安定化部分は、本開示の範囲内の反応物として働いてもよい。 したがって、求核部分と炭水化物との間の反応後に存在する転位生成物は、安定化部分を、別の炭水化物と反応するかもしくは反応することが可能な基に変換するかまたは戻すことができる。 したがって、安定化部分は、求核部分の形に変換されるかまたは戻すことができ、それに応じて炭水化物と反応することができる。

    例示的な実施形態では、本明細書に記述されるQ基は、R およびR が他の位置で生じる化学的性質の影響を本質的に受けないように、2個の基を分離するよう働くことができる。 したがって、Q基は、安定化部分の能力の中で働いていても働いていなくてもよい。 この理論によれば、二官能性求核剤の利用を通して得られた利点は、単一の二官能性化合物が2種の炭水化物化合物の間に架橋を形成することができるという事実に主に起因する。 2個の官能基は、R およびR の両方の反応によってQ基を通して結合されるので、結果として、R およびR がQ基を通して結合されなかった場合よりも高い分子量の生成物が得られる。 したがって、R およびR は、アミン、アジド、シアネート、イソシアネート、チオール、ジスルフィド、チオシアネート、ハロゲン、ハロホルミル、カルボキシル、カルボキシレート、ヒドロキシル、アルコキシド、アミド、イミン、イミド、ニトロ、ニトレート、ピリジン、ホスフェート、ホスホノ、ヒドロキシル、水素、スルホノ、スルホ、スルフィニル、およびスルフヒドリル(チオール)からなる群から選択することができる。

    例示的な実施形態では、Q基は、R とR との間に化学的連絡(chemical communication)をとることを可能にするタイプのものである。 例えばQは、R からR への共鳴および極性シフトを可能にすることによって、化学的連絡をとることを可能にすることができる。 他の実施形態では、Qは、R およびR のいずれかでの反応がもう一方の基(R またはR )での電子分布に変化を生じさせる長さのものであってもよい。 一実施形態では、求核剤は安定化部分および求核部分を含む。 一実施形態では、求核部分は、アミン、アジド、シアネート、イソシネート、チオール、ジスルフィド、チオシアネート、ハロゲン、ハロホルミル、カルボキシル、カルボキシレート、ヒドロキシル、およびアルコキシドからなる群から選択される。 別の実施形態では、陽イオン安定化部分は、アミン、アミド、イミン、イミド、ニトロ、ニトレート、ピリジン、ホスフェート、ホスホノ、ヒドロキシル、水素、スルホノ、スルホ、スルフィニル、およびスルフヒドリル(チオール)からなる群から選択される。

    一実施形態では、求核剤はポリマーポリアミンを含んでいてもよい。 例えば、本開示の範囲内にあるポリマーポリアミンには、キトサン、ポリリシン、ポリエチレンイミン、ポリ(N−ビニル−N−メチルアミン)、ポリアミノスチレン、およびポリビニルアミンが含まれる。 一実施形態では、ポリアミンはポリビニルアミンを含む。 本明細書で使用されるポリビニルアミンは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。

    特定の理論に限定するものではないが、本開示の一態様は、第一級アミンおよび炭水化物反応物が、メラノイジン生成物を形成するように反応するメイラード反応物である。 図1は、最終的にメラノイジンを生成するメイラード反応の概略図を示す。 その初期の段階で、メイラード反応は、炭水化物反応物、例えば還元糖を必要とする(炭水化物反応物は、メイラード反応条件下で還元糖を生成することが可能な物質に由来することに留意されたい)。 反応には、炭水化物反応物(例えば、還元糖)とアミン反応物、即ちアミノ基を有する化合物との縮合も含まれる。 言い換えれば、炭水化物反応物およびアミン反応物は、メイラード反応のためのメラノイジン反応物である。 これら2種の構成成分の縮合は、N−置換グリコシルアミンを生成する。 メイラード反応のより詳細な記述については、その開示が参考として本明細書に援用されるHodge,JE Chemistry of Browning Reactions in Model Systems J.Agric.Food Chem. 1953年、1巻、928〜943頁を参照されたい。 メイラード反応に関する文献は、アミノ酸から生成されたメラノイジンに焦点を当てている。 本開示は、本開示の範囲内の求核剤は安定化部分もまた含むという点で、これら参考文献とは区別することができる。 本開示の範囲内と見なされる一般的なアミノ酸には、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リシン、およびアルギニンが含まれる。

    理論に拘泥するものではないが、求核剤と炭水化物反応物との間の共有結合反応について、さらに具体的に記述する。 本明細書に記述されるように、本発明の反応の経路は、以下の理由により、従来技術で教示されたものとは明らかに異なる:(1)本発明の反応は、完全に塩基性pHで起き得、(2)求核剤は、求核部分および安定化部分を有する二官能性であり、(3)求核剤は、その二官能性または別の認識されていない現象を通じて、反応の範囲内でより低い活性化エネルギーを示し、反応速度の予期せぬ増大および/または反応が進行する温度の低下をもたらす。

    例示的な実施形態では、求核剤および炭水化物反応物からの高分子量ポリマーの形成における第1のステップは、炭水化物反応物と求核剤との縮合である。 証拠は、本明細書に記述される条件が、この反応を終了まで推進させるのに特に適していることを示す。 まず、結合剤溶液のアルカリ度が縮合を推進させると考えられる。 例えば、糖およびアミンなどの求核剤は、用いられるアミンの塩基強度または溶液のpHに比例して水溶液中で褐色に変化することが示されている。 この例において、N−置換グリコシルアミンは、かなりの程度まで水溶液中で解離していないままであると考えられる。 したがって、解離していない分子が受ける不可逆的変形を、考慮しなければならない。 縮合反応は可逆的であることが公知であるが、本発明者らは、並行して行われる結合剤溶液の脱水により、ルシャトリエの原理に従って、この反応が終了までさらに推進され得ることを発見した。 したがって、最初に、未硬化結合剤組成物の第一級構成要素は、求核剤および炭水化物の縮合生成物であることが立証された。

    結合剤反応物から高分子量ポリマー生成物への変換における第2のステップは、転位であり得る。 例示的な転位を、図2のアマドリ転位の概略図として示す。 図2を参照すると、代表的なアミンのN−グリコシル誘導体は、シッフ塩基の陽イオンと平衡状態にある。 この平衡はN−グリコシルアミンを好むが、シッフ塩基の陽イオンからエノールまたはケト形態へのさらなる転位が自発的に進行することが公知である。 この自発的な反応は、脱水サンプルにおいて速度が増大したので、脱水によってさらに促進されることが発見された。 本開示の一態様は、化合物がシッフ塩基の陽イオンの形態である間に獲得される正電荷を安定させることによって、求核剤の構造がこの転位を特に加速させることである。 この安定化効果は、本開示の範囲内でそのように求核剤を使用することの強化された効果は、以前に開示されていないので、従来技術または文献で論じられていないと考えられる。 したがって本開示の一態様は、求核剤が、転位中に陽イオン性塩基に安定性をもたらすタイプのものであるということである。 別の態様では、求核剤は、実質的に乾燥状態にある間、転位中に陽イオン性塩基に安定性をもたらすタイプのものである。

    本開示の別の態様は、炭水化物の構造が転位の動態に影響を及ぼすとも考えられることである。 具体的には、結晶質N−置換グリコシルアミンのC−2ヒドロキシルが置換されていない場合、化合物は、貯蔵中に転位生成物へとゆっくり変形したことが公知である。 しかし、C−2ヒドロキシルが置換された場合、転位は実質的に阻害された。 したがって、本開示の一態様は、本開示の炭水化物が、ケトンまたはアルデヒドに隣接するヒドロキシルで置換されていないことである。

    例示的な実施形態では、炭水化物反応物と求核剤とのモル比が、約1:1から約30:1の範囲にある。 別の実施形態では、炭水化物反応物と求核剤とのモル比が約2:1から約10:1の範囲にある。 さらに別の実施形態では、炭水化物反応物と求核剤とのモル比が約3:1から約6:1の範囲にある。 一態様によれば、硬化速度は、炭水化物反応物と第一級ポリアミンとのモル比の関数である。 この関数によれば、比が低下するにつれて硬化速度は増大したことが立証され、したがって硬化時間は短くなった。 したがって、本開示の一態様は、他のパラメーターが等しく維持されるならば、硬化時間が炭水化物反応物とポリアミンとのモル比に直接関係するということである。 別の態様では、結合剤硬化時間は、炭水化物反応物と求核剤とのモル比が約6:1に等しい場合、同等のフェノールホルムアルデヒド結合剤組成物の硬化時間まで短縮される。 したがって、一実施形態では、本開示による結合剤は、炭水化物反応物と求核剤とのモル比が約2:1から約6:1の範囲にある場合、同等のフェノールホルムアルデヒド結合剤系を超える硬化速度を有する。

    本明細書に記述される反応の別の態様は、最初に、水性反応物溶液(この溶液は、脱水され、結合剤として使用されてもよい)がアルカリ性pHを有する。 本開示の一態様は、アルカリ性結合剤溶液が、酸性溶液よりも金属に対する腐食性が低いことである。 したがって、産業に対する実質的な障壁を克服する本開示の1つの特徴は、本明細書に記述される結合剤が、アルカリ性結合剤組成物に起因して、本発明の結合剤を含む材料を生成するのに使用されてもよい製造設備に対して低い腐食性を有することである。 他の最近記述された炭水化物結合剤系(例えば、米国出願公開第2007/0027283号)よりも優れた本開示の1つの際立った特徴は、反応が、酸性経路を通じて必ずしも進行するとは限らないということである。 むしろ、本開示の一態様は、未硬化結合剤が、硬化結合剤の形成をもたらす化学反応の過程全体を通して、アルカリ性pHを有することができることである。 したがって未硬化結合剤は、その使用および貯蔵の間中、腐食の危険性をもたらさない。 例示的な実施形態では、硬化結合剤の水性抽出物は、約5から約9の範囲のpHを有する。 さらに、ポリマー生成物の水性抽出物は、本質的に無色である。

    例示的な実施形態では、ポリマー結合剤で結合された物体集合体を作製する方法は、ポリマー結合剤を生成するための反応物および溶媒を含有する溶液を調製するステップであって、この反応物が炭水化物反応物および求核剤を含んでいるステップと;この溶液を、物体集合体上に配置するステップと;溶媒を揮発させて、未硬化生成物を形成するステップと、この未硬化生成物を、炭水化物反応物および求核剤を重合させてポリマー結合剤を形成させる条件に供するステップとを含む。

    例示的な実施形態では、物体集合体は、絶縁繊維を含む。 一実施形態では、絶縁繊維および結合剤を含む繊維絶縁製品について記述される。 本明細書で使用される「絶縁繊維」という用語は、高温に耐えるのに適した耐熱性繊維を示す。 そのような繊維の例には、鉱物線維(ガラス繊維、スラグウールファイバー、およびロックウールファイバー)、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、あるポリエステル繊維、およびレーヨン繊維が含まれるが、これらに限定するものではない。 例示的に、そのような繊維は、約120℃よりも高い温度に曝されることによる影響を実質的に受けない。 一実施形態では、絶縁繊維がガラス繊維である。 さらに別の実施形態では、鉱物線維は、約70重量%から約99重量%の範囲で存在する。

    例示的な実施形態では、物体集合体はセルロース繊維を含む。 例えばセルロース繊維は、木屑、おが屑、木材パルプ、または砕木であってもよい。 さらに別の実施形態では、セルロース繊維は、黄麻、亜麻、麻、および藁などの他の天然繊維であってもよい。 本明細書に開示される結合剤は、参考としてその全体が本明細書に援用される公開PCT出願WO2008/089847に記載された結合剤の代わりに使用してもよい。 一実施形態では、木質パーティクルおよび結合剤を含む複合木質ボードが開示される。 別の実施形態では、複合木質ボードがホルムアルデヒドフリーである。 一実施形態では、複合木質ボードは、6mm超13mmまでの呼び厚さ範囲を有し、少なくとも約1050N/mm の弾性率(MOE)、少なくとも約7N/mm の曲げ強度(MOR)、および少なくとも0.20N/mm の内部結合強度(IB)を有する。 別の実施形態では、複合木質ボードは6mm超13mmまでの呼び厚さ範囲を有し、少なくとも約12.5N/mm の曲げ強度(MOR)および少なくとも0.28N/mm の内部結合強度(IB)を有する。 別の実施形態では、複合木質ボードは6mm超13mmまでの呼び厚さ範囲を有し、少なくとも約1800N/mm の弾性率(MOE)、少なくとも約13N/mm の曲げ強度(MOR)、および少なくとも0.40N/mm の内部結合強度(IB)を有する。 別の実施形態では、複合木質ボードは、少なくとも約1800N/mm の弾性率(MOE)を有する。 別の実施形態では、複合木質ボードは少なくとも約2500N/mm の弾性率(MOE)を有する。 別の実施形態では、複合木質ボードは少なくとも約14N/mm の曲げ強度(MOR)を有する。 さらに別の実施形態では、複合木質ボードは少なくとも約18N/mm の曲げ強度(MOR)を有する。 一実施形態では、複合木質ボードは少なくとも0.28N/mm の内部結合強度(IB)を有する。 さらに別の実施形態では、複合木質ボードは少なくとも0.4N/mm の内部結合強度(IB)を有する。 さらに別の実施形態では、複合木質ボードは、20℃の水中で24時間後に厚さの変化を測定した場合、約12%以下で膨潤する。 別の実施形態では、複合木質ボードは、20℃の水中で24時間後に、約40%以下の吸水率を有する。

    例示的な実施形態では、複合木質ボードは木質パーティクルボード、配向性ストランドボード、または中密度ファイバーボードである。 一実施形態では、結合剤は、複合木質ボードの約8重量%から約18重量%(乾燥木質パーティクルの重量に対する乾燥樹脂の重量)を構成する。 別の実施形態では、複合木質ボードはワックスをさらに含む。 さらに別の実施形態では、複合木質ボードは、この複合木質ボードの約0.1重量%から約2重量%のワックスを含む。 例示的な実施形態では、ポリマー結合剤で結合された物体集合体を作製する方法は、ある量の炭水化物反応物とある量の求核剤とを、モル比が約2:1から約10:1の範囲になるように添加することによって溶液を調製するステップを、さらに含んでもよい。 一実施形態では、溶液を調製するステップは、炭水化物反応物およびポリアミンを水溶液に添加するステップを含む。 別の実施形態では、溶液を調製するステップは、溶液のpHを約8から約12の範囲内に調節するステップを含む。 さらに別の実施形態では、ポリマー結合剤で結合された物体集合体を作製する方法は、未硬化生成物を、貯蔵に適した包装材料に包装するステップをさらに含んでもよい。

    例示的な実施形態では、本開示は、物体集合体および結合剤を含む組成物に関し、この結合剤は、炭水化物反応物と求核剤との間の反応のポリマー生成物を含んでおり、ポリマー生成物は、実質的に水不溶性である。 一実施形態では、物体集合体は、鉱物線維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、またはセルロース繊維を含む。 例えば、セルロース繊維は、木屑、おが屑、木材パルプ、および/または砕木を含んでいてもよい。 一実施形態では、物体集合体は、砂または他の無機粒状物質を含む。 一実施形態では、物体集合体は、石炭微粒子である。 一実施形態では、炭水化物反応物は、デキストロース、キシロース、フルクトース、ジヒドロキシアセトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。 一実施形態では、求核剤は、R −Q−R であり、式中、Qはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、またはシクロヘテロアルキルであり、上記アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキルはそれぞれ、任意選択で置換され、R は求核部分であり、R は安定化部分である。

    別の実施形態では、組成物はさらに、ケイ素含有化合物を含む。 一実施形態では、ケイ素含有化合物は、官能化シリルエーテルまたは官能化アルキルシリルエーテルであり、例えばアミノ官能化アルキルシリルエーテルなどである。 例えば一実施形態では、ケイ素含有化合物は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、またはアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、またはこれらの混合物であってもよい。 別の実施形態では、ケイ素含有化合物は、アミノ官能性オリゴマーシロキサンであってもよい。 別の実施形態では、組成物は、制塵油、リン酸一アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メラミン、シュウ酸スズ(II)、およびメチル水素シリコーン流体エマルジョンからなる群から選択される腐食防止剤を含む。

    別の例示的な実施形態では、結合剤は、繊維集合体上に配置され、実質的に脱水され、包装され、次いで貯蔵されるかまたは別の関係者に販売されてもよい。 さらなる製造プロセスでの使用のために別の関係者に販売された未硬化生成物を、「出荷用未硬化(物)」と呼んでもよい。 さらなる製造プロセスでの使用のために貯蔵された未硬化生成物は、「プラント用未硬化(物)」と呼んでもよい。 このタイプの生成物を販売するかまたは貯蔵する際、適切な容器またはバッグに包装される。

    例示的な実施形態では、包装された未硬化繊維生成物は、未硬化結合剤組成物と繊維集合体とを含み、(i)未硬化結合剤組成物は、繊維集合体に接触し、この繊維集合体を強固に固め、(ii)繊維集合体に接触している未硬化結合剤組成物は、適切な包装材料に包装されている。 一実施形態では、未硬化結合剤組成物中の湿分の量は、生成物の全重量に対して約1重量%から約15重量%の範囲にあってもよい。 さらに別の実施形態では、適切な包装材料は、未硬化結合剤組成物中の湿分の量を、周囲温度および周囲圧力で1週間にわたり当初の湿分レベルの約20%以内に維持することが可能であってもよい。 一実施形態では、包装された未硬化繊維生成物は、適切な包装材料の重量を考慮することなく、包装された未硬化繊維生成物の重量に対して約3重量%から約30重量%の未硬化結合剤組成物を含む。 一実施形態では、包装された未硬化繊維生成物は、適切な包装材料の重量を考慮せずに、包装された未硬化繊維絶縁生成物の重量に対して約60から約97重量%の繊維を含む。

    本開示の一態様は、本明細書に記述される結合剤が、出荷用未硬化物への利用およびプラント用未硬化物への利用において予想外に有用であることである。 具体的には、出荷用未硬化生成物およびプラント用未硬化生成物は、後に別の場所で硬化が起き得るように、未硬化結合剤と提供される。 出荷用未硬化物の場合、硬化温度および時間は、顧客にとって非常に重要な生成物の性質である。 具体的には、硬化温度は、顧客の既存設備を使用して生成物を硬化させることができるように、十分低くなくてはならない。 さらに、硬化時間は、生成物を硬化させるためのサイクル時間が短い状態のままであるように、十分に短くなければならない。 この産業では、製造設備および許容されるサイクル時間は、フェノールホルムアルデヒド型樹脂を含む未硬化生成物に合わせて確立されてきた。 したがって、十分低い硬化温度は、同等のフェノールホルムアルデヒド型生成物を硬化させるのに適した硬化温度である。 同様に、十分短いサイクル時間は、同等のフェノールホルムアルデヒド型生成物を硬化するためのいつもの手順であるサイクル時間である。 当業者なら、特定の用途は劇的に異なるパラメーターを有する可能性があるので、硬化時間も硬化温度も明確な量として記述できないことが理解されよう。 しかし、モデルシステムの硬化時間および硬化温度は、様々な用途における結合剤性能の信頼性ある予測を行うことができるように、根底にある化学硬化反応の動態に関して十分代表的な情報を提供することが、十分に理解される。

    例示的な実施形態では、結合剤の硬化時間および硬化温度は、同等のフェノールホルムアルデヒド結合剤組成物以下である。 一実施形態では、結合剤の硬化時間は、同等のフェノールホルムアルデヒド結合剤組成物の硬化時間未満である。 別の実施形態では、結合剤の硬化温度は、同等のフェノールホルムアルデヒド結合剤組成物の硬化温度未満である。 本明細書で使用される、同等のフェノールホルムアルデヒド結合剤組成物は、参考としてその全体が本明細書に援用される米国特許第6,638,882号に記載されているものと同様である。

    以下に論じるように、様々な添加剤を、結合剤組成物に組み入れることができる。 これらの添加剤は、本発明の結合剤に、追加の所望の特徴を与える。 例えば、結合剤はケイ素含有カップリング剤を含んでいてもよい。 多くのケイ素含有カップリング剤は、Dow−Corning Corporation、Evonik Industries、およびMomentive Performance Materialsから市販されている。 例示的には、ケイ素含有カップリング剤には、シリルエーテルおよびアルキルシリルエーテルなどの化合物であって、そのそれぞれがハロゲン、アルコキシ、およびアミノなどで任意選択で置換されていてもよい化合物が含まれる。 一変形例では、ケイ素含有化合物は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST A−1101;Momentive Performance Materials、Corporate Headquarters:22 Corporate Woods Boulevard、Albany、NY 12211 USA)などのアミノ置換シランである。 別の変形例では、ケイ素含有化合物は、アミノ置換シラン、例えばアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン(Dow Z−6020;Dow Chemical、Midland、MI;USA)である。 別の変形例では、ケイ素含有化合物は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST A−187;Momentive)である。 さらに別の変形例では、ケイ素含有化合物は、アミノ官能性オリゴマーシロキサン(HYDROSIL 2627、Evonik Industries、379 Interpace Pkwy、Parsippany、NJ 07054)である。

    ケイ素含有カップリング剤は、溶解した結合剤固形分に対して約0.1重量パーセントから約1重量パーセント(即ち、水溶液に添加された固形分の重量に対して約0.05%から約3%)の範囲で結合剤中に、典型的には存在する。 一適用例では、これらケイ素含有化合物の1種または複数種を、水性結合剤溶液に添加することができる。 次いで結合剤を、結合させる材料に付着させる。 その後、結合剤を、所望される場合、硬化させてもよい。 これらのシリコーン含有化合物は、結合剤が配置される物体(ガラス繊維など)にこの結合剤が接着する能力を高める。 結合剤が物体に接着する能力を高めることにより、例えば、組み合わされていないまたは緩く組み合わされた(1種または複数種の)物質において凝集を生成するかまたは促進させる能力が改善される。

    別の例示的な実施形態では、本発明の結合剤は、1種または複数種の腐食防止剤を含んでいてもよい。 これらの腐食防止剤は、酸によってもたらされる化学分解により引き起こされた、金属などの物質の侵食または磨耗を防止または阻害する。 腐食防止剤が本発明の結合剤に含まれる場合、結合剤の腐食性は、この防止剤が存在しない結合剤の腐食性と比較して低下する。 一実施形態では、これらの腐食防止剤は、本明細書に記述されるガラス繊維含有組成物の腐食性を低下させるのに利用することができる。 例示的に、腐食防止剤には、下記の物質、即ち制塵油、またはリン酸一アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メラミン、シュウ酸スズ(II)、および/またはメチル水素シリコーン流体エマルジョンの、1種または複数種が含まれる。 本発明の結合剤に含まれる場合、腐食防止剤は、典型的には、溶解した結合剤固形分に対して約0.5重量パーセントから約2重量パーセントの範囲で結合剤中に存在する。 本開示の一態様は、腐食防止添加剤の必要性が、結合剤溶液のアルカリ性および実質的に脱水された未硬化結合剤によって大幅に低減されることである。 一実施形態では、結合剤は腐食防止剤を含まず、結合剤溶液の腐食性は許容される範囲内にある。

    例示的な実施形態では、結合剤はさらに、非水性加湿剤を含んでいてもよい。 非水性加湿剤は、1種または複数種のポリエーテルを含んでいてもよい。 例えば、非水性加湿剤は、直鎖および/または分岐鎖アルキル基およびアルカリール基を有するエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド縮合物を含んでいてもよい。 一実施形態では、非水性加湿剤には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールエーテル、チオエーテル、ポリオキシアルキレングリコール(例えば、Jeffox TP400(登録商標))、ジプロピレングリコール、および/またはポリプロピレングリコール(例えば、Pluriol P425(登録商標)またはPluriol 2000(登録商標))が含まれる。 一実施形態では、非水性加湿剤は、ポリオキシアルキレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含む。 別の実施形態では、非水性加湿剤は、ポリヒドロキシ化合物をベースにした化合物(例えば、部分的にまたは完全にエステル化されたポリヒドロキシ化合物)を含む。 別の実施形態では、非水性加湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリンアセテート、ソルビトール、キシリトール、またはマルチトールをベースにしたポリヒドロキシを含む。

    別の実施形態では、非水性加湿剤は、テトラヒドロフラン、カプロラクトン、および/または、約7から約18個の炭素原子を含有するアルキル基を有しかつ約4から約240個のエチレンオキシ単位を有するアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールをベースにした、多数のヒドロキシル基を有する他の化合物を含む。 例えば、非水性加湿剤は、ヘプチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールおよび/またはノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールを含んでいてもよい。 別の実施形態では、非水性加湿剤は、ソルビタン、ソルビド、マンニタン、および/またはマンニドなどのヘキシトールのポリオキシアルキレン誘導体を含む。 さらに別の実施形態では、非水性加湿剤は、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、および/またはトリオレイン酸ソルビタンのポリオキシアルキレン誘導体などの、部分長鎖脂肪酸エステルを含んでいてもよい。

    例示的な実施形態では、非水性加湿剤は、エチレンオキシドと疎水性塩基との縮合物を含み、この塩基は、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとを縮合させることによって形成されるものである。 一実施形態では、非水性加湿剤は、エチレンオキシドと高級アルキルメルカプタン(例えば、ノニル、ドデシル、テトラデシルメルカプタン、または、約6から約15個の炭素原子をアルキル基内に有するアルキルチオフェノール)とを縮合させることによって調製された硫黄含有縮合物などの硫黄含有縮合物を含む。 別の実施形態では、非水性加湿剤は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはオレイン酸などの、長鎖カルボン酸のエチレンオキシド誘導体を含む。 さらに別の実施形態では、非水性加湿剤は、オクチル、デシル、ラウリル、またはセチルアルコールなどの長鎖アルコールのエチレンオキシド誘導体を含む。 別の実施形態では、非水性加湿剤は、エチレンオキシド/テトラヒドロフランコポリマーまたはエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを含む。

    下記の実施例は、特定の実施形態についてさらに詳細に示す。 これらの実施例は、例示的な目的でのみ提供され、本発明または本発明の概念を、任意の特定の物理構成にいかなる方法によっても限定するもではないと解釈すべきである。

    (実施例1)
    デキストロース50g(0.278mol)、ヘキサメチレンジアミン50g(0.431mol)を脱イオン水566.6gに溶解させた溶液(15%固形分溶液、pH11.9)を、溶液の沸点まで加熱した。 茶色がかった水不溶性ポリマーが、反応容器内の沈殿物として観察された。

    (実施例2)
    デキストロース50g(0.278mol)、ヘキサメチレンジアミン50g(0.431mol)を脱イオン水566.6gに溶解させた上記溶液(15%固形分溶液、pH11.9)から、結合剤溶液2gを、モイスチャーバランス内に配置したフィルターパッドに付着させ、120℃で15分間加熱した。 茶色がかった水不溶性ポリマーが、フィルターパッド上に形成された。 脱イオン水100gを使用した、硬化したフィルターパッドの抽出物は、本質的に無色であり、pH6.8を有する。

    (実施例3)
    デキストロース85g(0.472mol)、ヘキサメチレンジアミン15g(0.129mol)を脱イオン水566.6gに溶解させた溶液(15%固形分溶液、pH10.8)を調製した。 結合剤溶液2gを、モイスチャーバランス(Moisture Balance)内に配置したフィルターパッドに付着させ、140℃で15分間加熱した。 茶色がかった水不溶性ポリマーが、フィルターパッド上に形成された。 脱イオン水100gを使用した、硬化したフィルターパッドの抽出物は、本質的に無色であり、pH6.8を有する。

    (実施例4)
    デキストロース95g(0.528mol)、ヘキサメチレンジアミン5g(0.043mol)を脱イオン水566.6gに溶解させた溶液(15%固形分溶液)を調製した。 結合剤溶液2gを、モイスチャーバランス内に配置したフィルターパッドに付着させ、180℃で15分間加熱した。 茶色がかった水不溶性ポリマーが、フィルターパッド上に形成された。 脱イオン水100gを使用した、硬化したフィルターパッドの抽出物は、本質的に無色であり、pH6.8を有する。

    (比較例1)
    デキストロース180g(1mol)を脱イオン水1020gに溶解させた溶液(15%固形分溶液)を調製した。 結合剤溶液2gを、モイスチャーバランス内に配置したフィルターパッドに付着させ、180℃で15分間加熱した。 水不溶性ポリマーは、フィルターパッド上に形成されなかった。 得られた熱処理済み結合剤は、本質的に完全に水溶性であった。

    硬化速度および硬化時間:重量が44gである正方形のガラス繊維マット(13”×13”)(34.5g/ft に相当する)に、15%固形分を含有する結合剤を含浸させた。 過剰な結合剤を真空吸引によって除去し、湿ったマットを炉(再循環)内で、90°Fで少なくとも12時間乾燥する。

    乾燥したマットを、同じ寸法の4つの正方形に切断する。 正方形を、互いの上に積み重ね、レコーダーに接続された少なくとも1つの熱電対(即ち、オーブンモル(oven mole))を、第2および第3の層の間の積層体の中央に配置する。

    温度制御プラテンを備えた成型プレスを、400°F(204℃)に加熱する。 準備された熱電対を備えたサンプルをプラテンの中央に配置し、5/8”の厚さに所定時間(即ち、3.5分、4.0分、5.0分、6.0分、15分)プレスする。

    各成型サンプルについて、表面の均一性、水ホールドアップ性、および抽出物の試験をすることにより、硬化度に関して評価を行った。 サンプルは、「こぶ」が全くない状態で表面が滑らかになり、サンプルを水に浸漬したときにサンプルが著しく弱まることがなく、サンプルを水に浸漬したときに抽出物の著しい着色が形成されない場合に、サンプルが硬化したと見なした。 サンプルの中心の温度プロファイルを、成型サイクル中に測定し、図3に示す。

    (比較例2)
    フェノールホルムアルデヒド結合剤。
    乾燥固形分をベースにした組成:
    − 硫酸アンモニウム 2.41部 − アンモニア 1.08部 − シランA1101 0.21部 − 96.3%フェノールホルムアルデヒド樹脂:Urea Premix(70:30)
    比較例2を、図3では結合剤1と呼ぶ。

    (比較例3)
    炭水化物−無機酸結合剤。
    乾燥固形分をベースにした組成:
    − デキストロース 81.59部 − 硫酸アンモニウム 17.09部 − アンモニア 1部 − シランA1101 0.3部比較例3を、図3では結合剤2と呼ぶ。

    (実施例5)
    乾燥固形分をベースにした組成:
    − デキストロースおよびアンモニア溶液(2mol/リットルのデキストロースおよび2mol/リットルのアンモニアを含有する水溶液)80.94部 − ヘキサメチレンジアミン 19.06部実施例5を、図3では結合剤4と呼ぶ。

    本開示の範囲内にある結合剤の完全な硬化を実現するのに必要な時間は、多様な化学的性質を有する3つの比較例の結合剤系の場合よりも短いことが決定された。 このモデル系は、他の変数が一定に保たれることを前提に、硬化時間が結合剤系の化学的性質に依存することを示す。 本開示の範囲内にある例示的な結合剤組成物の化学的性質は、これらの他の例示的な系に比べて改善された硬化時間を実現する。 結果を以下に示す。

    次に図3を参照すると、結合剤1、2、および4のそれぞれに特徴的な温度プロファイルが示されている。 温度プロファイルは各結合剤ごとに特徴的であることがわかった。 硬化速度および硬化時間が硬化温度プロファイルの特徴でないことは、立証されなかった。 しかし硬化温度プロファイルは、硬化速度および硬化時間を理解し予測するのを助ける。 具体的には、比較例3は最長の硬化時間を必要とし、同様に硬化温度プロファイルは、漸近的に最大限にするのに最も長い時間を必要とした。 同様に、実施例5は、漸近的に最大限にするのに最も短い時間を必要とし、最短の硬化時間を実証した。

    炭水化物反応物:ポリアミンの比が硬化サイクル時間に及ぼす影響。 ウェットレイドマット(WLM)を、デキストロース一水和物(DMH)とヘキサメチレンジアミン(HMDA)を様々な比で用いて作製した。 試験をした重量比には、それぞれ75/25、85/15、および92/8が含まれる。

    15%デキストロース−HMDA結合剤を、5つのWLMに付着させた。 下記の結合剤組成物を調製した。

    マットを、厚さ3/8”の13”×13”の小片に調製する。マットの成型に使用したプレスを400°Fに設定する。サンプルが成型されると、その厚さは約5/8”である。 温度プロファイルを、15分間隔で最初に決定した。 次のサンプルを4分間プレスした。 これは、同等のフェノールホルムアルデヒド結合剤組成物を硬化するのに要する時間である(結果は図示せず)。 各組成物を硬化するのに必要な最短時間が決定されるまで、実験を、様々な硬化時間で繰り返した。 各結合剤が硬化するまでの範囲を、重量に基づいて決定した。 下記の結果が決定された。

    上述のように、同等のフェノールホルムアルデヒドをベースにした生成物(例えば、比較例2)は、4分のサイクル時間で硬化する。 さらに、同等の炭水化物をベースにした結合剤(例えば、比較例3)は、5分のサイクル時間で硬化する。 これらの結果は、炭水化物反応物と第一級ポリアミンとが85/15以下である本開示の範囲内にある結合剤が、フェノールホルムアルデヒドをベースにした生成物と同等のまたはそれよりも速い速度で硬化することを示す。 さらなる実験は、より低い温度で等しい硬化時間を実現するために、より短い硬化時間を有する生成物において硬化温度を下げることができることを示した。 得られた結果は、アレニウスの式に基づいた本発明者らの予測に基本的には一致した。

    詳述されるそれら実施例に加え、下記の実施例を、炭水化物反応物およびポリアミンが広範な代替例を含んでもよいことを確実にするために行った。

    他のデキストロース−求核剤の実施例:


    (実施例16)


    脱イオン水56.08g、デキストロース一水和物7.15g、および1,12−ジアミノドデカン3.5gの懸濁液を、11N HClでpH1.0に酸性化し、撹拌しながら70℃に加熱した結果、無色透明の溶液が得られた。 溶液は、熱硬化性の水不溶性ポリマーを160℃で形成する(試験条件:結合剤溶液2gを、モイスチャーバランス内に配置したフィルターパッドに付着させる。フィルターパッドを160℃で15分間加熱する)。 脱イオン水100gによる硬化したフィルターパッドの抽出物は、本質的に無色である。

    (実施例17)
    デキストロース一水和物8.25gおよび1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(Dytek A、Invista)2.50gを脱イオン水56.08gに溶解させた溶液は、熱硬化性の水不溶性ポリマーを160℃で形成する(試験条件:結合剤溶液2gを、モイスチャーバランス内に配置したフィルターパッドに付着させる。フィルターパッドを160℃で15分間加熱する)。 脱イオン水100gによる硬化したフィルターパッドの抽出物は、本質的に無色である。

    (実施例18)
    デキストロース一水和物8.03gおよびN−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン2.70gを脱イオン水56.08gに溶解させた溶液は、熱硬化性の水不溶性ポリマーを200℃で形成する(試験条件:結合剤溶液2gを、モイスチャーバランス内に配置したフィルターパッドに付着させる。フィルターパッドを200℃で15分間加熱する)。 脱イオン水100gによる硬化したフィルターパッドの抽出物は、微かに黄色がかった色を有する。

    (実施例19)
    デキストロース3g(0.016mol)およびヘキサメチレンジアミン0.5g(0.004mol)を脱イオン水9mLに溶かした溶液を、調製した。 この反応混合物を100℃で1時間加熱し、その後、ジチオトレイトール0.7g(0.004mol)を混合物に添加して、これをフィルターパッドに滴下し、このフィルターパッドを125℃で加熱した。 茶色がかった水不溶性ポリマーをフィルターパッド上に形成した。

    (実施例20)
    デキストロース3g(0.016mol)、ヘキサメチレンジアミン0.5g(0.004mol)を脱イオン水9mLに溶かした溶液を調製した。 この反応混合物を100℃で1時間加熱し、その後、ブタンジチオール0.52g(0.004mol)を混合物に添加して、これをフィルターパッドに滴下し、このフィルターパッドを125℃で加熱した。 茶色がかった水不溶性ポリマーをフィルターパッド上に形成した。

    ガス熱分解で結合剤サンプルを分析するための手順。 表面に結合剤を有する硬化生成物約10gを試験管に入れ、次いで試験管を1000°Fに2.5分間加熱し、そのときにヘッドスペースをサンプリングし、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)により下記の条件下で分析する:炉、50℃で1分間−10℃/分で300℃にし10分間;入口、280℃スプリットレス;カラム、HP−5 30mm×0.32mm×0.25μm;カラム流、1.11mL/分 ヘリウム;検出器、MSD 280℃;注入体積、1mL;検出器モード、スキャン34〜700amu;閾値、50;およびサンプリング速度、22スキャン/秒。 サンプルにおけるクロマトグラフィーピークの質量スペクトルのコンピューターサーチを、質量スペクトルのWileyライブラリーに対して行う。 最良の一致が報告される。 0から99に及ぶ品質指数(ライブラリースペクトルに対する一致の近さ)が生成される。 90以上の品質指数を有するピークの同一物だけが報告される。

    下記の表は、メラノイジンをベースにした結合剤組成物の熱分解中に生成された気体化合物のGC/MS分析から予測される、代表的な熱分解データを示す。

    下記は、ポリアミン構成成分としてヘキサメチレンジアミンを使用して調製された結合剤サンプルの熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(PyGC−MS)で観察された、化学種を挙げたものである。 熱分解は、200℃、300℃、および770℃で実施した。 フィンガープリントは、200℃および300℃の両方で、質量クロマトグラムにおいて酢酸に相当する非常に有意なピークを示し、これは、デキストロースおよび硫酸アンモニウムを使用して作製されたサンプル(比較例3参照)では見られないものであり、有意な揮発物質は特に300℃でのSO

    であった。 770℃で、観察されたピークを、保持時間が増加する順に、下記の通り割り当てた:A:共溶出されるC

    10 、C

    12 、アセトン、おそらくは低分子量の酢酸エステル;B:C

    ジエン;C:C

    ジエン;D:おそらくはペンタノール;E:C

    12 −メチルペンテン;F:ヘキサン;G:メチルシクロペンタン;H:シクロヘキサジエン;I:C

    10 −おそらくはメチルシクロペンタン;J:ベンゼン;K:酢酸;L:シクロヘキセン;M:おそらくはノナノール;N:2−メチル−3−ペンタノン;O:2,5−ジメチルフラン;P:C

    10 +未割当共溶出物;Q:ピリジン+未割当共溶出物;R:トルエン;S:おそらくはデセナール+未割当共溶出物;T:2−エチル−5−メチルフラン;U:メチルピリジン;V:メチルピロール;W:キシレン;X:未割当(これはアルコール官能性を有する);Y:未割当;Z:キシレン+未割当共溶出物;AA:未割当;AB:ジメチルピロール;AC:ジメチルピリジン;AD:ジメチルピリジン;AE:未割当;AF:未割当;AG:エチルメチルピロール+未割当共溶出物;AI:未割当であるが明瞭な質量スペクトル(N含有)、ピロール関連;AJ:未割当であるが明瞭な質量スペクトル(N含有)、おそらくはアセトアミド;AK:未割当であるが明瞭な質量スペクトル(N含有)、ピロール関連;AL:未割当であるが明瞭な質量スペクトル(N含有)ピロール関連;AM:未割当であるが明瞭な質量スペクトル(N含有)、ピロール関連。 ピークAIからAMに見られる明瞭な質量スペクトルは、ポリアミン構成成分を持たない従来の結合剤のデータでは見られない。

    乾燥および耐候引張り強度を評価するための手順。 それらの乾燥および「耐候」引張り強度について評価した場合、所与の結合剤を用いて調製されたガラスビーズ含有シェルボーン組成物は、その特定の結合剤で調製されたガラス繊維生成物と同様の引張り強度および同様の耐久性の指標をそれぞれ提供する。 予測された耐久性は、シェルボーンの耐候引張り強度:乾燥引張り強度の比に基づく。 シェルボーンは、例えばヘキサメチレンジアミン−デキストロース結合剤混合物に対して、下記の通り調製され、天候に曝され、試験される。

    シェルボーン金型(Dietert Foundry Testing Equipment;Heated Shell Curing Accessory、Model 366、およびShell Mold Accessory)を所望の温度、一般には425°Fに設定し、少なくとも1時間にわたり加熱上昇させる。 シェルボーン金型を加熱する間、水性結合剤(一般に、結合剤固形分15%)約100gを調製する(例えば、実施例7で記述されるように)。 大きなガラスビーカーを使用して、ガラスビーズ(Quality Ballotini Impact Beads、Spec.AD、US Sieve 70−140、106−212ミクロン−#7、Potters Industries,Inc.製)727.5gを差引計量する。 ガラスビーズを、清浄かつ乾燥した混合ボウルに注ぎ、このボウルを電気ミキサースタンドに載置した。 水性結合剤約75gを、混合ボウル内のガラスビーズにゆっくり注ぐ。 次いで電気ミキサーに電源を入れ、ガラスビーズ/結合剤混合物を1分間撹拌する。 大きなスパチュラを使用して、ウィスク(ミキサー)の側面を擦り取ることにより、結合剤の塊を全て除去し、それと共に、ガラスビーズがボウルの底面に存在しているエッジ部も擦り取る。 次いでミキサーに、さらに1分間元のように電源を入れ、次いでウィスク(ミキサー)をユニットから取り外し、その後、ガラスビーズ/結合剤の混合物が入っている混合ボウルを取り外す。 大きなスパチュラを使用して、ウィスク(ミキサー)に付着したできる限り多くの結合剤およびガラスビーズを除去し、次いで混合ボウル内のガラスビーズ/結合剤の混合物に混ぜる。 次いでボウルの側面を擦り取って、側面に蓄積されていた可能性のある任意の過剰な結合剤に混合する。 この時点で、ガラスビーズ/ヘキサメチレンジアミン−デキストロース結合剤混合物は、シェルボーン金型の中で成型する用意ができている。

    シェルボーン金型のスライドは、底部金型プラテン内で位置合わせされることが確認される。 次いで大きなスパチュラを使用して、ガラスビーズ/ヘキサメチレンジアミン−デキストロース結合剤混合物を、シェルボーン金型内の3つの金型キャビティーに素早く加える。 各キャビティー内の混合物の表面を平らに均し、一方、過剰な混合物は擦り落として、均一な表面領域をシェルボーンに与える。 キャビティーのいずれかに存在するどの不整合およびギャップも、追加のガラスビーズ/ヘキサメチレンジアミン−デキストロース結合剤混合物で満たし、次いで平らに均す。 ガラスビーズ/ヘキサメチレンジアミン−デキストロース結合剤混合物をシェルボーンキャビティー内に置いたら、混合物を熱に曝し、硬化を開始する。 操作時間は試験結果に影響を及ぼす可能性があり、例えば2つの異なる状態で硬化した層を有するシェルボーンが生成される可能性があるので、シェルボーンは一貫して迅速に調製される。 シェルボーン金型が充填されたら、上部プラテンを素早く底部プラテン上に配置する。 同時に、またはその後すぐに、硬化時間の測定をストップウォッチを用いて開始し、その間の底部プラテンの硬化温度は約400°Fから約430°Fに及び、一方、上部プラテンの温度は約440°Fから約470°Fに及ぶ。 経過時間7分で、上部プラテンを取り外し、スライドを引き出して、3つのシェルボーン全てを取り外すことができるようにする。 次いで新しく作製されたシェルボーンを、シェルボーン金型プラテンに隣接したワイヤーラック上に配置し、室温まで冷却させる。 その後、各シェルボーンに標識を付け、適切に標識が付されたプラスチック貯蔵バッグ内に各シェルボーンを個別に置く。 シェルボーンを、調製したその日に試験できない場合は、シェルボーン含有プラスチックバッグをデシケーターユニット内に置いた。

    シェルボーン用状態調節(耐候)手順:ブルーM湿度チャンバーの電源を入れ、次いで90°Fおよび相対湿度90%(即ち、90°F/90%rH)の耐候条件が提供されるように設定する。 湿度チャンバーの側面にある水タンクをチェックし、定期的に、通常は電源を入れるごとに充填する。 湿度チャンバーを、少なくとも4時間かけて、典型的には丸1日の平衡期間で、指定された耐候条件に到達させる。 耐候条件に曝されるシェルボーンを、開いた状態の湿度チャンバーのドアを通して湿度チャンバーの上方のスロット付きの棚に、1つずつ素早く投入する(ドアが開いている間は湿度および温度が共に低下するので)。 シェルボーンが湿度チャンバー内に置かれる時間を書き留め、耐候試験を24時間実施する。 その後、湿度チャンバーのドアを開き、一組のシェルボーンを一度に素早く取り出し、それぞれのプラスチック貯蔵バッグに個別に入れ、完全に密封する。 一般に、1から4組のシェルボーンを同時に、上述のように耐候試験にかける。 耐候試験がなされたシェルボーンをすぐにInstron部屋に持って行き、試験をする。

    シェルボーンを破壊するための試験手順:Instron部屋において、確実に適正なロードセル(即ち、Static Load Cell 5kN)が据え付けられるようにしながらシェルボーン試験法を5500R Instronマシンに導入し、このマシンを15分間ウォームアップする。 この期間中に、シェルボーン試験グリップがマシンに設置されたことを確認する。 ロードセルをゼロにし、バランスを保ち、次いで一組のシェルボーンを下記の通り同時に試験する:シェルボーンをそのプラスチック貯蔵バッグから取り外し、次いで計量する。 次いで重量(単位:グラム)を、Instronマシンに接続されたコンピューターに入力する。 次いで測定されたシェルボーンの厚さ(単位:インチ)を、試験片の厚さとして3回、Instronマシンに接続されたコンピューターに入力する。 次いでシェルボーン試験片をInstronマシンのグリップに配置し、Instronマシンのキーパッドを介して試験を開始する。 シェルボーン試験片を取り出した後、測定された破壊点を、Instronマシンに接続されたコンピューターに入力し、一組の全てのシェルボーンの試験がなされるまで試験を継続する。

    炭水化物反応物:ポリアミンの比がシェルボーンの性質に及ぼす影響。 シェルボーンを、シラン添加剤(ISIO200)と共に、デキストロース一水和物(DMH)およびヘキサメチレンジアミン(HMDA)を様々な比で用いて作製し、25mm/分の試験速度で上述のように試験をした。 試験をした重量比には、90/10、85/15、80/20、および75/25がそれぞれ含まれる。

    (実施例)


    ガラスウール(ガラス繊維)試験 2種のグルコース−ヘキサメチレンジアミン結合剤と標準結合剤との品質の比較を、ガラスウール製品(Ac+032 100mm 1200mm幅;32kg/m

    −15m/分)での硬化および剛性に関して、分断強度および密度を測定することにより実施した。


    結合剤1:85%グルコース−15%ヘキサメチレンジアミン。


    結合剤2:90%グルコース−10%ヘキサメチレンジアミン。

    通常の分断強度(オートクレーブ前)および耐候分断強度(オートクレーブ後)は、国際特許出願公開番号WO2008/089851またはWO2009/019235に記載されるように測定することができる。

    標準結合剤に関する分断強度

    結合剤1に関する分断強度:

    結合剤2に関する分断強度

    試験中の観察所見:製品は、2種のグルコース−ヘキサメチレンジアミン結合剤では線上でより茶色がかっていた。

    結論:2種のグルコース−ヘキサメチレンジアミン結合剤の場合、分断強度(長手方向の引張り強度である)の結果は著しい改善を示し、著しい改善は、3つの他の剛性試験(「60°」試験−シュートに対して60°に傾けたときに測定されたたるみ;「テーブル」試験−水平面に対して測定されたたるみ;およびAcermi試験−テーブルの縁から35cmで測定されたたるみ)で観察された。

    (実施例)
    パーティクルボード試験 尿素−ホルムアルデヒド結合剤(UF E0)を使用して、および炭水化物ポリアミン(ヘキサメチレンジアミン)結合剤を使用して作製されたパーティクルボードの品質の比較を、下記の条件下で実施した。
    ボードサイズ:350×333mm、および主に厚さ10mm(2×20mm)。
    プラテン温度:主に195℃であるが、175および約215℃でもある。
    圧力:設定3.5Mpa(35bar)−実測35Kg/cm 、実現には56bar。
    密度目標:650kg/m
    プレス前に調製されたプリフォーム。

    結果

    調製された全てのボードは高品質であるように見え、裂け目または脱気は観察されなかった。 この炭水化物ポリアミン配合物で作製されたボードは、150秒間硬化させた場合に尿素ホルムアルデヒドボードに匹敵する。

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