Manufacturing methods and gasoline composition of the gasoline base material |
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申请号 | JP2006040702 | 申请日 | 2006-02-17 | 公开(公告)号 | JP4851197B2 | 公开(公告)日 | 2012-01-11 |
申请人 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社; | 发明人 | 康宏 戸井田; 康一 松下; | ||||
摘要 | |||||||
权利要求 | ナフサ留分を異性化してより高いオクタン価を有するガソリン基材を製造する方法において、ナフサ留分を異性化する第1の異性化反応工程、及び第1の異性化反応工程で生成した第1の異性化反応生成物を直接又は間接的に異性化する第2の異性化反応工程を含み、かつ、前記第1の異性化反応生成物を第1の低オクタン価化合物群と第1の高オクタン価化合物群に分離して第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程に送る第1の分離工程、及び/又は第2の異性化反応工程で得られた第2の異性化反応生成物を第2の低オクタン価化合物群と第2の高オクタン価化合物群に分離する第2の分離工程を含み、さらに、前記の両異性化反応工程で、ゼオライト、ヘテロポリ酸、塩素化アルミナのうちいずれか1種以上 と白金とを含む固体酸触媒を用い、 ナフサ留分さらには第1の低オクタン価化合物群及び/又は第2の低オクタン価化合物群を水素の存在下で、反応温度80〜350℃、反応圧力0.5〜5MPa、水素/原料油比0.01〜20mol/mol、液空間速度(LHSV)0.01〜10h -1 の反応条件で前記固体酸触媒に接触させ、かつ、後段の第2の異性化反応工程における反応温度が、前段の第1の異性化反応工程における反応温度よりも10℃以上低い温度であることを特徴とするガソリン基材の製造方法。 第1及び第2の異性化反応工程と、第1の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理する請求項 1に記載のガソリン基材の製造方法。 第1及び第2の異性化反応工程と、第2の分離工程を含み、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応生成物と共に第2の異性化反応工程で処理する請求項 1に記載のガソリン基材の製造方法。 第1及び第2の異性化反応工程と、第2の分離工程を含み、第2の分離工程で分離した直鎖状飽和脂肪族炭化水素を主成分として含む第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応工程でナフサ留分と共に処理する請求項 1に記載のガソリン基材の製造方法。 第1及び第2の異性化反応工程と、第1及び第2の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理し、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の低オクタン価化合物群と共に、第2の異性化反応工程で処理する請求項 1に記載のガソリン基材の製造方法。 第1及び第2の異性化反応工程と、第1及び第2の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理し、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応工程でナフサ留分と共に処理する請求項 1に記載のガソリン基材の製造方法。 第1及び第2の分離工程が、ケイ素、アルミニウム及び炭素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する吸着剤による分離工程、分離膜による分離工程、精密蒸留による分離工程、又はそれらの2種以上の組み合わせによる分離工程であり、かつ、第1及び第2の分離工程は、同じであっても、異なっていてもよい請求項1〜 6のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、ガソリン基材の製造方法、及び当該方法によって製造されたガソリン基材を配合して製造したガソリン組成物に関する。 特には、低オクタン価のナフサ留分を骨格異性化し、得られた異性化生成物から低分岐数の低オクタン価留分を分離してさらに骨格異性化を施し、オクタン価の高い多分岐飽和脂肪族炭化水素に富んだガソリン基材を製造する方法に関する。 近年、自動車燃料による環境汚染が社会問題となってきており、環境負荷の少ない自動車燃料が切望されている。 燃料油中の硫黄分は燃焼時に排ガス触媒の性能を低下させることが知られており、10質量ppm、さらに1質量ppmに低減する要求が高まっている。 加えてガソリン中の芳香族分、オレフィン分も環境に悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。 高オクタン価燃料としては、例えば芳香族分を多く含むものが知られているが、該燃料は排ガス中の芳香族化合物の量を増加する。 また、自動車燃料の低硫黄化によって、排ガス触媒の性能維持による環境負荷の低減(特に排ガス中の炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などの低減)も望まれている。 しかし、使用する基材の性状やブレンド比率によっては、低硫黄化により、製品の運転性能の悪化を引き起こす場合がある。 そこで、高オクタン価炭化水素化合物であるアロマ、オレフィンを用いる代わりに、比較的オクタン価の高い分岐状飽和脂肪族炭化水素を主成分とするガソリン基材を製造する必要がある。 オクタン価の低い直鎖状飽和脂肪族炭化水素を分岐状飽和脂肪族炭化水素に、あるいは分岐数の少ない飽和脂肪族炭化水素化合物を分岐数の多い飽和脂肪族炭化水素に変換する方法として、骨格異性化反応が挙げられる。 骨格異性化反応には、従来から酸触媒が使用されてきたが、この反応は熱平衡に支配されている点が特徴であり、反応温度が低温であるほど分岐数の多い飽和脂肪族炭化水素が安定に存在するため、低温でも高活性を示す触媒が望まれていた。 例えば、炭素数が4のブタンには直鎖状でオクタン価94のノルマルブタンと分岐状でオクタン価101のイソブタンの2種類の異性体が存在するが、反応温度300℃における直鎖体/分岐体比は53/47であるのに対し、200℃では47/53、100℃では30/70となり、低温ほどオクタン価の高い分岐体の比率が増加する傾向がある(非特許文献1参照)。 異性化触媒としては、非特許文献2に示されているような、硫酸ジルコニア、タングステン酸ジルコニア等の固体超強酸触媒に白金を担持した触媒が例示される。 これまで、炭素数6以下の飽和脂肪族炭化水素を原料として用いる異性化反応は利用され、特に触媒として塩素化アルミナに貴金属を担持した触媒は活性が高く、これを用いるプロセスは既に広く普及している。 また、炭素数7以上の飽和脂肪族炭化水素を原料油に用いて異性化反応を行なうと、安定な三級カルボカチオンが生成しやすいため、ガソリン基材として好ましくない分解反応も並行して起こってしまうことから、効率的な異性化は困難とされてきた。 一方、低オクタン価飽和脂肪族炭化水素である直鎖状飽和脂肪族炭化水素の分離方法としては、分岐状飽和脂肪族炭化水素と分子サイズの違いから、吸着分離又は膜分離が広く知られている。 石油学会編「石油化学プロセス 3.水素化・脱水素」193頁(1963) 荒田、PETROTECH、733〜739頁、第19巻、9号(1996) 本発明は、高オクタン価である分岐状飽和脂肪族炭化水素を多く含有するガソリン基材を効率よく製造するガソリン基材の製造方法を提供することを目的とするものである。 さらに、このようにして調製された飽和脂肪族炭化水素を主成分とする高オクタン価のガソリン基材を用いて、環境負荷の高い芳香族分やオレフィン分を低減した高オクタン価のガソリン組成物を効率よく調製し、提供することを目的とする。 これまでは、異性化反応は熱平衡に支配されているため平衡値以上の異性化選択性は期待しにくかったことから、飽和脂肪族炭化水素系を主成分とし、芳香族分やオレフィン分を低減した高オクタン価のガソリン基材、又はガソリン組成物を製造することは困難であった。 また、本発明者は、異性化反応が平衡反応であることに着目し、異性化反応生成油中の多分岐飽和脂肪族炭化水素に代表される高オクタン価化合物を分離した後に、分離されたもう一方の低オクタン価化合物をさらに異性化処理をすることにより、一段の異性化反応での平衡以上の多分岐飽和脂肪族炭化水素を有する高オクタン価のガソリン基材が得られることを見出した。 特に、反応塔と分離塔の組み合わせは重要であり、どの留分を分離して再反応させるかという点を留意しなければ、場合によっては平衡的に逆反応を起こさせてしまうこともある。 例えば、異性化生成物から直鎖状飽和脂肪族炭化水素を除去した留分について再反応させる場合、分岐状飽和脂肪族炭化水素化から直鎖状飽和脂肪族炭化水素への逆反応を起こしてしまい、かえってオクタン価を下げる結果になる。 すなわち、本発明は、次の通りのガソリン基材の製造方法、又はガソリン組成物である。 (2)固体酸触媒は、周期律表第VIII族の元素を含み、第1の異性化反応工程に用いる固体酸触媒と第2異性化反応工程に用いる固体酸触媒は、同じものであっても、それぞれ異なっていてもよく、かつ、ナフサ留分さらには第1の低オクタン価化合物群及び/又は第2の低オクタン価化合物群を水素の存在下で前記固体酸触媒と接触させる、上記(1)に記載のガソリン基材の製造方法。 (3)周期律表第VIII族の元素が、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群から選ばれる1種以上の元素である上記(2)に記載のガソリン基材の製造方法。 (4)第1及び第2の異性化反応工程と、第1の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。 (5)第1及び第2の異性化反応工程と、第2の分離工程を含み、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応生成物と共に第2の異性化反応工程で処理する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。 (6)第1及び第2の異性化反応工程と、第2の分離工程を含み、第2の分離工程で分離した直鎖状飽和脂肪族炭化水素を主成分として含む第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応工程でナフサ留分と共に処理する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。 (7)第1及び第2の異性化反応工程と、第1及び第2の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理し、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の低オクタン価化合物群と共に、第2の異性化反応工程で処理する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。 (8)第1及び第2の異性化反応工程と、第1及び第2の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理し、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応工程でナフサ留分と共に処理する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。 (9) (10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法により得られたガソリン基材を配合して得られた、リサーチ法オクタン価が90以上、硫黄分が10.0質量ppm以下、50容量%留出温度が100℃以下、蒸気圧が65kPa以下、かつ、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量が9.0質量%以下であるガソリン組成物。 (11)硫黄分が1.0質量ppm以下である、上記(10)に記載のガソリン組成物。 本発明は、上記のガソリン基材の製造方法により、分岐状飽和脂肪族炭化水素を多く含有する高オクタン価のガソリン基材の製造方法を提供することができる。 すなわち、分離工程で異性化反応生成物から高オクタン価化合物を分離することにより、熱平衡以上の高いオクタン価を有するガソリン基材を得ることができ、また、異性化反応生成油中の多分岐飽和脂肪族炭化水素に代表される高オクタン価化合物を分離、除去した後に、低オクタン価化合物をさらに異性化処理することにより、高オクタン価化合物を高収率で得ることができる。 さらに、本発明から得られるガソリン組成物については、分岐状飽和脂肪族炭化水素化合物の含有量が多いことから、ガソリンエンジン用燃料としてはもちろんのこと、これに加えて燃料電池用の燃料としても、エネルギー効率の高い性能を有しており、共用ガソリンとしても使用することができる。 本発明のガソリン基材の製造方法は、基本的には2つの異性化反応工程と、そこで生成した異性化反応生成物を高オクタン価化合物群と低オクタン価化合物群とに分離する1つ又は2つの分離工程からなる方法であり、適切な異性化処理方法と、適切な分離方法とを最適に組み合わせることにより、異性化工程での熱平衡により制約される高オクタン価の分岐状飽和脂肪族炭化水素を、より多く製造する方法である。 すなわち、本発明のガソリン基材の製造方法は、ナフサ留分を異性化してより高いオクタン価を有するガソリン基材を製造する方法において、ナフサ留分を異性化する第1の異性化反応工程、及び第1の異性化反応工程で生成した第1の異性化反応生成物を直接又は間接的に異性化する第2の異性化反応工程を含み、かつ、前記第1の異性化反応生成物を第1の低オクタン価化合物群と第1の高オクタン価化合物群に分離して第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程に送る第1の分離工程、及び/又は第2の異性化反応工程で得られた第2の異性化反応生成物を第2の低オクタン価化合物群と第2の高オクタン価化合物群に分離する第2の分離工程を含み、さらに、前記の両異性化反応工程で、ゼオライト、ヘテロポリ酸、塩素化アルミナを含む固体酸触媒を用い、かつ、後段の第2の異性化反応工程における反応温度が、前段の第1の異性化反応工程における反応温度よりも10℃以上低い温度であることを特徴とする。 本発明のガソリン基材の製造方法によれば、ナフサ原料を異性化して高オクタン価化合物の含有量を高めるだけでなく、得られた異性化反応生成物を後記の分離方法により、さらに高オクタン価の化合物を得ることができる。 オクタン価のレベルによる分離の目安は、便宜的には、(1)直鎖状飽和脂肪族炭化水素化合物を主成分として含む低オクタン価、(2)分岐数2以上の飽和脂肪族炭化水素化合物を主成分として含む高オクタン価、及び(3)分岐数1の飽和脂肪族炭化水素化合物を主成分として含む中オクタン価の3成分に分離することが考えられる。 2成分に分ける場合、(3)の中オクタン価化合物は、(1)の低オクタン価化合物に含めて分けるケースと、(2)の高オクタン価化合物に含めて分けるケースとがあり、前者の場合低オクタン価化合物は分岐数1以下の飽和脂肪族炭化水素を主成分として含むことになり、後者の場合高オクタン価化合物は分岐数1以上の飽和脂肪族炭化水素を主成分として含むことになる。 (異性化工程) 周期律表第VIII族の元素としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)からなる群から選ばれる1種以上の元素などが挙げられる。 このうち、白金、パラジウム、及びルテニウムが好ましく、特に白金を好ましく用いることができる。 周期律表第VIII族の元素の割合(当該元素含有量の平均値)は、当該元素として、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特には0.1〜3質量%である。 周期律表第VIII族の元素の含有量が少なすぎると、触媒性能向上効果が低く好ましくない。 この元素の含有量が多すぎると、触媒の比表面積や細孔容積の低下を引き起こすため好ましくない。 触媒に用いるゼオライト、ヘテロポリ酸、塩素化アルミナについては、特に限定されないが、酸性度が高いものが好ましく、これらは1種のみでも、2種以上を組み合わせて用いても良い。 ヘテロポリ酸とは、2種類以上の無機系オキシ酸が互いに縮合している酸を意味する。 本発明に用いられるヘテロポリ酸はKeggin型、Dawson型、Anderson型など特定の構造に限定されるものではないが、安定性、合成の容易さの点からKeggin型構造のものが好ましい。 これらの化合物の中心元素はP、Si、B、Ge、As、Se、TiおよびZrより成る群から選択できる。 これらの酸の配位元素としてはMo、W、V、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、NbおよびFeの様なイオンが使用できる。 具体的には一般式H 3 AB 12 O 40で表され、式中、A原子はPが最も好ましく、B原子はWまたはMoが最も好ましい。 固体酸触媒の比表面積は50〜1000m 2 /gが好ましく、さらには80〜500m 2 /g、特には100〜300m 2 /gが好ましい。 比表面積はBET法によって測定できる。 固体酸触媒の形状は特に限定されるものではなく、粉末状、ペレット状、タブレット状、ビーズ状などどのような形状でもかまわないが、粉体でなく、成形された形状が好ましい。 例えば、押出し成形で容易に得ることができる断面が円の円柱状やクローバ型などの異形の柱状(平均径約1.5mm、長さ約4.0mm)のペレットあるいはエクストゥルード(extrude)と呼ばれる形態の固体酸触媒を好ましく用いることができる。 反応温度80〜350℃、反応圧力0.5〜5MPa、水素/原料油比0.01〜20mol/mol、液空間速度(LHSV)0.01〜10h −1の反応条件で異性化反応を進めると、直鎖状飽和脂肪族炭化水素が異性化されて分岐状飽和脂肪族炭化水素が増加する。 前記の反応条件の中でも特に好ましい反応条件としては、例えば、反応温度100〜300℃、反応圧力1〜3MPa、水素/原料油比0.1〜10mol/mol、LHSV:0.1〜5h −1である。 本発明は2工程の異性化反応を要するが、各工程で使用する触媒は同一であっても、また活性の異なる触媒を使用しても構わない。 ここで重要なのは、後段の異性化工程では、前段の異性化工程で生成したある程度分岐した異性化油を再度処理するので、前段の異性化工程よりも反応条件を温和なものとし、過分解反応を起こさせないことである。 具体的には、反応温度を下げること、LHSVを上げて接触時間を短くすること等の方法が挙げられるが、一般的には反応温度を下げる方が望ましい。 さらに詳細に述べると、後段の異性化工程の反応温度は前段の異性化工程の反応温度よりも10℃以上低い温度で反応させることが好ましく、触媒の種類にもよるが、同一触媒であれば20℃以上低い温度で反応させることがさらに好ましい。 これにより望ましくない分解反応を抑制できるばかりではなく、熱平衡的に有利な低温反応での処理が可能となり、より分岐度の高い、高オクタン価の異性体を多く得ることができる。 異なる種類の触媒を使用する場合は、それぞれの有する酸強度を考慮して、反応温度を選定することが望ましい。 (原料油) ナフサ留分として、具体的には、少なくとも40〜50℃の、好ましくは30〜60℃の沸点成分を含むライトナフサ留分や、少なくとも90〜110℃の、好ましくは90〜140℃の沸点成分を含むヘビーナフサ留分が挙げられる。 さらには、ライトナフサ留分は10容量%留出温度が10〜50℃、特には、20〜45℃であり、95容量%留出温度が50〜90℃、特には、60〜80℃である蒸留性状を有する。 ヘビーナフサ留分は10容量%留出温度が80〜140℃、特には、90〜120℃であり、95容量%留出温度が140〜220℃、特には、140〜200℃である蒸留性状を有する。 本願発明に用いるナフサ留分として、ライトナフサ留分及びヘビーナフサ留分のいずれか一方、またはこれらの適宜の混合物を使用できる。 (分離工程) 吸着分離に用いる吸着剤として、多孔質無機酸化物が好ましく、例えば、A型ゼオライト、ZSM−5型(MFI型)ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライトに代表される各種ゼオライト、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、白土、ケイソウ土、活性炭、合成樹脂等が挙げられる。 吸着剤は、上記化合物の1種のみで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。 例えば、A型ゼオライトの場合、分子サイズの小さい直鎖状飽和脂肪族炭化水素のみが細孔の中に取り込まれて吸着され、吸着された直鎖状飽和脂肪族炭化水素は、より吸着力の高い化合物によって脱離されて、直鎖状飽和脂肪族炭化水素のみを分離することができる。 脱離の際に、温度差や圧力差を利用して脱離させることもできる。 各種ゼオライトにおいて、吸着分離性能に寄与する陽イオンは、プロトンの他、ナトリウム(Na)、カリウム(K)などのアルカリ金属、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属が好ましいが、遷移金属でも良い。 遷移金属としては、具体的には、銀(Ag)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等が挙げられる。 また、ゼオライト以外の上記のシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、白土、ケイソウ土、活性炭、合成樹脂等の吸着剤も、これらの陽イオンを含有し、吸着性能を向上させたものであっても良い。 吸着剤の形状は、粉末状、ペレット状、タブレット状、又はビーズ状であることが好ましい。 吸着分離において、圧力は、分離能の面から低圧が好ましく、特に0.1〜0.5MPaが好ましい。 分離操作温度は、特に限定されるものではないが、吸着速度と吸着平衡から適した温度を求めて用いればよく、一般的には0〜200℃が好ましく、より好ましくは20〜100℃が採用される。 空間速度(液体の場合はLHSV、気体の場合はGHSV)は過剰に高すぎると分離能力が低下し、逆に低すぎると装置が大きくなりすぎるため、適した範囲に設定する。 具体的には、液体の場合、LHSVは0.05〜10h −1が好ましく、0.1〜5h −1が特に好ましい。 また、炭化水素化合物を吸着剤から脱着させる際、水素や窒素などのガスを共存させても良い。 膜分離の場合も、例えば、分子篩機能を有するMFI型ゼオライト膜などのように、分子サイズの小さい直鎖状飽和脂肪族炭化水素のみを透過させて分離する方法と、Y型ゼオライト膜、シリカ膜、高分子膜などのように、分離膜素材の吸着特性や溶解特性により特定の化合物をより多く透過する方法がある。 膜による分離操作は、供給側と透過側の両側とも気相である蒸気透過法(vapor permeation)、供給側が液相で透過側が気相である浸透気化法(pervaporation)、供給側と透過側の両側とも液相である液相法の何れの方法を採用してもよいが、異性化反応生成物の状態に適した分離操作方法を採用することにより、より効率化を図ることができる。 具体的には、例えば、第1の異性化反応工程と第2の異性化反応工程との間での分離操作は、蒸気透過法が好ましい。 分離操作温度は特に限定されるものではないが、透過速度と分離係数から適した温度が求められ、0〜300℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃が採用される。 圧力は、分離膜の損傷を避けるために低圧が好ましく、特に絶対圧として0.5kPa〜0.5MPaが好ましい。 膜分離における分離係数は、一般に供給側の濃度比に対する透過側の濃度比で表される。 例えば、2成分A及びBの供給側の濃度(又は分圧)をXa及びXb、透過側の濃度(又は分圧)をYa及びYbとすると分離係数α=(Ya/Yb)/(Xa/Xb)と表せる。 一般に、分離係数αは40以上が望ましいとされている。 例えば、Xa=0.5、Xb=0.5からYa=0.98、Yb=0.02と分離される場合、分離係数α=(0.98/0.02)/(0.5/0.5)=49である。 MFI型ゼオライトを用いたC6飽和脂肪族炭化水素異性体分離では、100℃において、ノルマルヘキサン/2−メチルペンタンの分離係数は約100、ノルマルヘキサン/2,2−ジメチルブタンの分離係数は1000以上、2−メチルペンタン/2,2−ジメチルブタンの分離係数は数十以上となることが示されており(例えば、松方ら、石油学会第35回石油・石油化学討論会講演要旨、1B07(2005)参照)、十分に実用可能な分離係数である。 一方、蒸留方法では、還流比を上げ分離能を高くすると、極めて小さい沸点の差でも分離することができる。 同一の炭素数の場合、一般的に分岐数の多い化合物ほど沸点が低い傾向があることから、分岐数ごとに分離するためには有用な方法である。 例えば、炭素数が8であるオクタンには多くの異性体が存在するが、直鎖のノルマルオクタン、1分岐体の3-メチルヘプタンの沸点は、それぞれ126℃、119℃であるのに対して、2分岐体の2,4-ジメチルヘキサン、3分岐体の2,2,4-トリメチルペンタンではそれぞれ110℃、99℃となり、分岐数が増えるほど沸点は低下する傾向にある。 これら4種の炭素数が8の化合物のオクタン価は、それぞれ−22、27、65、100であり、分岐度が増すほどオクタン価が高くなる。 これら化合物類の特性から考慮すると、多分岐飽和脂肪族炭化水素を分離する際、分子形状での分離効率が悪い場合、精密蒸留方法を適用することで分岐数の異なる同一炭素数の飽和脂肪族炭化水素を分離することが可能となる。 このような精密蒸留方法として、具体的には、充填材を充填した蒸留塔を用い、還流比を少なくとも1/1、好ましくは3/1、より好ましくは5/1とし、理論段数は多いほど好ましく、少なくとも15段、好ましくは30段以上、より好ましくは50段以上とする。 充填材は特に限定されないが、熱履歴や水分などによって形状を損なうことがないようにするため、ステンレス製、金属製、耐火性無機物製などが広く使用される。 形状としては、円筒状、サドル状、ハニカム状、メッシュ状や、それらを改良した形状が挙げられるが、具体例としては、ラシヒリング、ヘリパック、ディクソンパッキング、グッドロールパッキングなどが挙げられる。 蒸留の温度、圧力条件は、蒸留分離する原料によって異なるため限定されるものではなく、蒸留分離して目的化合物が得られるように、供給原料温度、塔頂温度、リフラックス温度や蒸留塔の真空度などを適宜設定すればよい。 本発明において分離された直鎖状飽和脂肪族炭化水素を主成分として含む低オクタン価化合物は、さらに、異性化することによりオクタン価を高めることができる。 また、外部に抜き出して石油化学の原料など、別の用途に利用することもできる。 (プロセスフロー例) 図1は、本発明のガソリン基材の製造方法の基本的なプロセスフローを示す。 図1において、R1、R2はそれぞれ固体触媒を用いて異性化反応を行う第1の異性化反応工程2、第2の異性化反応工程4を示し、S1はR1で生成された第1の異性化反応生成物3を第1の高オクタン価化合物群7と第1の低オクタン価化合物群8に分離する第1の分離工程6を示し、S2はR2で生成された第2の異性化反応生成物5を第2の高オクタン価化合物群10と第2の低オクタン価化合物群11に分離する第2の分離工程9を示す。 なお、S1で分離された第1の低オクタン価化合物群8は、R2に送られてR1よりも10℃以上低い温度で異性化されること、及び高オクタン価化合物が除去された化合物を原料に用いることにより、さらに分岐度は増し、効果的に高オクタン価化合物を得ることができる。 図2は、第1の異性化反応工程(R1)2の後に設置した第1の分離工程(S1)6において、第1の異性化反応生成物3を第1の高オクタン価化合物群7と第1の低オクタン価化合物群8とに分離し、第1の低オクタン価化合物群8を第2の異性化反応工程(R2)4でさらに処理して、第2の異性化反応生成物5を得るガソリン基材の製造方法を示している。 第1の低オクタン価化合物群8は、直鎖状飽和脂肪族炭化水素を主成分として含むものであっても、分岐数1以下の飽和脂肪族炭化水素を主成分として含むものであってもよく、R2でR1よりも低い温度で処理することにより、また、第1の高オクタン価化合物群7を分離した残りであるから反応平衡がずれて、R2においてより効果的に異性化反応が進む。 ガソリン基材としては、第1の高オクタン価化合物群7、及び第2の異性化反応生成物5が該当し、両者を混合して用いることもできる。 図3は、第1の異性化反応工程(R1)2、第2の異性化反応工程(R2)4及び第2の分離工程(S2)9を含むプロセスフローを示し、第2の分離工程(S2)で分離された第2の低オクタン価化合物群11は、第1の異性化反応工程2に戻されて再び異性化処理されるか(図3(b))、又は第2の異性化反応工程4に戻されて再び異性化処理される(図3(a))。 基本的には、ガソリン基材として第2の高オクタン価化合物群10だけが製造される。 第2の低オクタン価化合物群11をR1に戻す場合は、直鎖状飽和脂肪族炭化水素を主成分として含む低オクタン価化合物として分離して戻すことが好ましい。 図4は、2つの異性化反応工程(R1及びR2)と2つの分離工程(S1及びS2)を組み合わせたガソリン基材の製造方法を示すプロセスフローである。 図3のフローとは、第1の分離工程6を含んでいる点で異なる。 すなわち、第2の異性化反応工程では、第1の異性化反応生成物3を第1の分離工程(S1)で分離して得た第1の低オクタン価化合物群8を異性化処理する。 図3と同様に、第2の分離工程(S2)で分離された第2の低オクタン価化合物群11は、第1の異性化反応工程2に戻されて再び異性化処理されるか(図4(b))、又は第2の異性化反応工程4に戻されて再び異性化処理される(図4(a))。 ガソリン基材として、第1の高オクタン価化合物群7と、及び第2の高オクタン価化合物群10の高オクタン価化合物のみを製造し、両者は混合して得ることもできる。 〔ブレンド工程〕 この含酸素化合物としては、例えば、炭素数2〜5のアルコール類、炭素数4〜8のエーテル類が好適であり、具体的には、エタノール、プロピルアルコール類、ブチルアルコール類などのアルコールや、アルコール類からの誘導体である、エチルイソプロピルエーテル、エチルターシャリーブチルエーテル、エチルセカンダリーブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ターシャリーアミルエチルエーテル等のエーテル類、及び酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。 これらの含酸素化合物は、全ガソリン組成物基準で、1〜15容量%、好ましくは3〜12容量%、より好ましくは、5〜10容量%使用される。 これは、少なすぎると添加効果が少なく、また、多すぎると水分等の不純物を同伴してしまい、配管やシール材の腐食等のトラブルを引き起こすためである。 例えば、エタノールは水を際限なく溶解することから、燃料中に多く含まれる場合、自動車燃料タンク内で水分が濃縮され、蓄積して悪影響を与える可能性がある。 さらに、燃料油中に含酸素化合物が多い場合、例えば15容量%を超える量が含まれると、既存エンジンの空気/燃料比最適値から外れてしまい、酸素過剰気味となることから、排ガス中の窒素酸化物(NOx)量が増加してしまう欠点がある。 また、含酸素化合物は、他のガソリン基材と比較すると発熱量が総じて低く、燃費を下げてしまうことがあるため、あまり多く使用することは好ましくない。 〔ガソリン組成物〕 また、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量は、1.0容量%以上7.0容量%以下が好ましく、2.0容量%以上6.0容量%以下がより好ましく、さらには2.0容量%以上5.5容量%以下が好ましい。 ここで、直鎖状飽和脂肪族炭化水素化合物の含有量が9容量%を超える場合、従来通りの蒸留性状、蒸気圧及びオクタン価を維持するために、環境に悪影響を与える可能性がある芳香族分やオレフィン分を多く含む基材多く使用せざるを得ない結果となってしまうので好ましくない。 さらに、本発明のガソリン組成物は、排気ガス性状や低温運転性維持の観点から芳香族分はできるだけ少ない方が好ましく、5.0容量%以上35.0容量%以下、さらには5.0容量%以上32.0容量%以下が好ましい。 一方、オレフィン含有量はRON維持、燃費、光安定性及び貯蔵安定性の観点から5.0容量%以上30.0容量%以下が好ましく、さらに好ましくは5.0容量%以上25.0容量%以下である。 さらに、ガソリン車両の燃料タンク液面計に銀が一部使用されていることから、銀板腐食が1以下であることが望ましい。 〔添加剤〕 以下に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。 実施例1、比較例1 (蒸留分離工程) 次いで、上記のようにして得られた第1の低オクタン価化合物Cを、第2の反応器に供給して第2の異性化反応を実施した。 第2の異性化反応は、触媒Aを用い、反応温度を120℃とした以外は第1の異性化反応と同条件で実施して第2の異性化反応生成物Dを得た。 得られた第2の異性化反応生成物Dを、上記の第1の分離工程で得た軽質分の第1の高オクタン価化合物Bとそれぞれ得られた量の割合で混合し分離異性化ガソリン基材Eを得た。 表1から明らかなように、比較例1(第1の異性化反応生成物A)に示すような1段反応の場合では、仮に有効な触媒を使用しても、最適な異性化工程と分離工程を組み合わせた実施例1(分離異性化ガソリン基材E)と比較してオクタン価が不十分であり、ガソリン基材として優れた性状を得ることはできない。 比較例2 表2から明らかなように、比較例2に示すような異性化活性が不十分な触媒を用いた場合、仮に有効な分離工程を採用しても、実施例1と比較してオクタン価が不十分であり、ガソリン基材として優れた性状を得ることはできない。 実施例2〜5、比較例3〜7 なお、従来のガソリン基材は、次のようにして調製したものを用いた。 接触分解軽質ナフサ留分(FL) 脱硫分解ナフサ留分(DS−FCCG) アルキレート(ALK) 接触改質ガソリン(AC9) エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE) エタノール(EtOH) なお、ガソリン基材及びガソリン組成物の性状は、次の方法により測定した。 表4に示すように、本発明の方法で製造したガソリン基材をブレンドして製造した実施例2〜5のオクタン価向上ガソリンは、比較例3〜7の従来型ガソリンと比較して、異性化工程と分離工程を最適に組み合わせて得た異性化ガソリンを用いることにより、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量が低いため、オクタン価が高い。 すなわち、実施例2〜5のオクタン価向上ガソリンは、比較例3〜7のガソリンと比較して、硫黄分や蒸留性状が同程度であっても、オクタン価が高く優れた実用性能を有することがわかる。 本発明のガソリン基材の製造方法により、オクタン価の高い分岐状飽和脂肪族炭化水素の含有量を多くすることができるようになるため、これを配合して得られるガソリン組成物は、従来オクタン価を稼ぐために使用されていた芳香族分やオレフィン分を多用しなくても良い。 芳香族分やオレフィンの含有量の少ないガソリン組成物は、環境保全上からガソリンエンジン用燃料として好ましいことはもちろんのこと、これに加えて燃料電池用の燃料としても、高い燃焼性及びエネルギー効率を有しており、共用ガソリンとしても使用することが期待される。 1 ナフサ留分2 第1の異性化反応工程(R1) |