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Garment with shoulder strap and breast cup, and shoulder strap

申请号 JP2001177369 申请日 2001-06-12 公开(公告)号 JP2002371404A 公开(公告)日 2002-12-26
申请人 Wacoal Corp; 株式会社ワコール; 发明人 YASUI REIKO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a garment with shoulder straps and breast cups, improved in becoming loose when a wearer raises her upper arms, and maintaining breast formativity in the electing posture (electing status while putting down the upper arms), and to provide a shoulder strap used for the garment.
SOLUTION: This garment (brassiere) with shoulder straps is structured as follows: the shoulder strap 5 comprises a part 5a comprising a part (a) where the longitudinal tensibility is comparatively high [50-100% at the load of 9.80665N(1 kgf)], and the elongation recovery factor is also comparatively high [≥85%] covers the front side part of the shoulder strap ranging from the breast cup part-attaching portion 6 through the vicinity of the collarbone of a wearer, and the remaining part 5b comprising a part (b) where the longitudinal tensibility is comparatively small [20-55% at the load of 9.80665N(1 kgf)].
COPYRIGHT: (C)2003,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 一端が乳房カップ部に取り付けられ、他端が衣料本体の背面側に取り付けられている肩紐を有する衣料において、前記肩紐はその長手方向の一部が長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)から成り、残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成る肩紐であって、前記肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩稜線を背面側に5cm
    越えるまでの部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、且つ(a)からなる部分が肩稜線より前側の範囲に於いて少なくとも長さにして2.5cm以上存在し、
    (a)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜100%であり、伸長回復率が85%以上であって、(b)の9.80665N(1k
    gf)荷重時における長手方向伸長性が20〜55%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、(b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることを特徴とする乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項2】 (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩紐が肩稜線に至るまでの肩紐前側の部分から選ばれた少なくとも一部である請求項1に記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項3】 (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から開始されていて連続して存在している請求項1または2のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項4】 (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩稜線を背面側に3cm越えるまでの部分の全部である請求項1に記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項5】 (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩紐が肩稜線に至るまでの肩紐前側の部分の全部である請求項1〜3のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項6】 (a)の9.80665N(1kgf)
    荷重時における長手方向伸長性が70〜90%である請求項1〜5のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項7】 (a)の伸長回復率が90〜96%である請求項1〜6のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項8】 (b)の9.80665N(1kgf)
    荷重時における長手方向伸長性が22〜35%である請求項1〜7のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項9】 (a)の9.80665N(1kgf)
    荷重時における長手方向伸長性が、(b)の9.806
    65N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性の2
    〜3.3倍である請求項1〜8のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項10】 肩紐の長さ調整用金具が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位とは反対側の(b)側の端部側に取り付けられている請求項1〜9のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項11】 肩紐が織物からなる肩紐である請求項1〜10のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項12】 肩紐が、腕を下げて直立した状態での衣料着用状態における肩稜線より前側の肩紐全体を更に2.5cm伸ばした時の肩紐にかかる荷重が7.845
    32N(800gf)以下である特性を有する請求項1
    〜11のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項13】 肩紐が、(a)からなる部分と(b)
    からなる部分とが織り分けられて形成されている1本の連続した織物からなる肩紐である請求項1〜12のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項14】 肩紐が、経糸として弾性糸と非弾性糸を含み、前記弾性糸に加える張力の強弱により(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている連続した織物からなる肩紐であって、前記(a)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が強く設定された部分であり、前記(b)
    からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が(a)の部分より弱く設定された部分である織物からなる肩紐である請求項1〜12のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項15】 衣料が、ブラジャー、ボディスーツ、
    ブラスリップ、ブラキャミソール、セパレートタイプの水着のトップ部から選ばれた衣料である請求項1〜14
    のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。
  • 【請求項16】 長手方向の一部が長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)
    から成り、残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成る、乳房カップを有する衣料用の肩紐であって、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、前記肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩稜線を背面側に5cm越えるまでの部分に相当する部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、且つ(a)からなる部分が肩稜線より衣料前側に相当する範囲に於いて少なくとも長さにして2.5cm以上存在し、(a)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜100%であり、伸長回復率が85%以上であって、(b)の9.80665N
    (1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20〜5
    5%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、
    (b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることを特徴とする乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項17】 (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩稜線に至るまでの衣料前側に相当する部分の肩紐から選ばれた少なくとも一部である請求項16に記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項18】 (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から開始されていて連続して存在している請求項16または17のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項19】 (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩稜線を背面側に3cm越えるまでの相当部分の全部である請求項16に記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項20】 (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩紐が肩稜線に至るまでの衣料前側に相当する部分の肩紐の全部である請求項17に記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項21】 (a)の9.80665N(1kg
    f)荷重時における長手方向伸長性が70〜90%である請求項16〜20のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項22】 (a)の伸長回復率が、90〜96%
    である請求項16〜21のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項23】 (b)の9.80665N(1kg
    f)荷重時における長手方向伸長性が22〜35%である請求項16〜22のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項24】 (a)の9.80665N(1kg
    f)荷重時における長手方向伸長性が、(b)の9.8
    0665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性の2〜3.3倍である請求項16〜23のいずれかに記載の衣料用の肩紐。
  • 【請求項25】 長さ調整用金具が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する端部とは反対側の(b)側の端部側に更に取り付けられている請求項16〜24のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項26】 素材が織物からなる肩紐である請求項16〜25のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項27】 肩紐を乳房カップを有する衣料に適用した場合に、腕を下げて直立した状態での前記衣料着用状態における肩稜線より前側に相当する肩紐全体を更に2.5cm伸ばしたときの肩紐にかかる荷重が7.84
    532N(800gf)以下である特性を有する請求項16〜26のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項28】 肩紐が、(a)からなる部分と(b)
    からなる部分とが織り分けられて形成されている1本の連続した織物からなる肩紐である請求項16〜27のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項29】 肩紐が、経糸として弾性糸と非弾性糸を含み、前記弾性糸に加える張力の強弱により(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている連続した織物からなる肩紐であって、前記(a)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が強く設定された部分であり、前記(b)
    からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が(a)の部分より弱く設定された部分である織物からなる肩紐である請求項16〜27のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 【請求項30】 肩紐が、ブラジャー、ボディスーツ、
    ブラスリップ、ブラキャミソール、セパレートタイプの水着のトップ部から選ばれた衣料用の肩紐である請求項16〜29のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、乳房カップを有する肩紐付き衣料及び当該衣料に用いる肩紐に関する。 特に、上肢を上に挙げた際に生じる着崩れの問題が改良された、乳房カップを有する肩紐付き衣料及び当該衣料に用いる肩紐に関する。

    【0002】

    【従来の技術】従来より、ブラジャー、ボディスーツ、
    ブラスリップ、ブラキャミソール、セパレートタイプの着のトップ部など、乳房カップを有し、一端が当該乳房カップ部に取り付けられ、他端が当該衣料本体の背面側に取り付けられている乳房カップを有する肩紐付き衣料及び当該衣料に用いられる肩紐は、女性用衣料及び当該衣料に用いられる肩紐として広く普及している。

    【0003】ところで、かかる女性用衣料に用いられる肩紐としては、種々の提案がなされているが、いまだに最も広く用いられている肩紐は、例えば、その長手方向の伸長性が長手方向にわたって実質上均一であり、乳房の保形性と共に、若干、乳房全体を上側に持ち上げる、
    いわゆるバストアップ機能を発揮させる造形性が要求されるので、乳房カップ大きさ(乳房の大きさ)によっても異なるが、余り伸長性が大きすぎないように、平均的には9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜60%、特に50〜55%のものが用いられている。 尚、ここで伸長性(%)とは,伸長後の肩紐の長さをb、伸長前の肩紐の長さをaとすると、
    [(b−a)/a]×100(%)で示される。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】かかる乳房カップを有する衣料を着用した場合において、できるだけ1日中、
    着用時の美しいバストシルエット状態を保ち、着崩れを生じない乳房カップを有する衣料が望まれている。 ところで着用者の日常の動作には、伸びをする、棚の上のものを両手を上に挙げてとる、通勤電車やバスなどで、つり革をつかんだり、場合により、電車やバスなどでその荷物棚(網棚)に所持荷物を載せたりおろしたりするなどの上肢を上に挙げる動作がしばしば生じる。

    【0005】しかして、前述したような従来のブラジャーは、通常、腕を下げて直立している状態での造形性(乳房の美しいシルエットを作ること)しか配慮されていないため、上述のような上肢を上に挙げる動作が生じた場合に、肩紐が引っ張られ、その結果、乳房カップが上にずれ上がることにより、腕を下げても乳房カップが元の位置に戻らないなど、着崩れが生じることが問題とされてきている。

    【0006】本発明者は、どのような作用により、着崩れが生じるか解明する為に、種々の実験を行った。

    【0007】図17に、上肢を下げて直立した状態(これを正立位と称する)と、上肢を上に挙げて直立した状態における女性人体の横から見た前側のバスト近傍のシルエットを示した。 図17において曲線171aが正立位状態における女性人体の横から見た前側のバスト近傍のシルエット曲線であり、曲線171bが上肢を上に挙げて直立した状態における女性人体の横から見た前側のシルエット曲線である。 172a、172bがその際のそれぞれ曲線171a、曲線171bのバージスライン最下点の位置、173a、173bがその際のそれぞれ曲線171a、曲線171bの乳房トップ(乳房の最も前側に突き出ている部分)の位置を示している。

    【0008】図17から明らかな如く、正立位状態から上肢を上に挙げた状態になった場合に、乳房の位置が全体的に上方に上がることがわかる。

    【0009】さらに、本発明者は、正立位状態と上肢を上に挙げた状態との乳房のバージスラインの変化について検討した。 図18に人体右側の乳房の正立位状態と上肢を上に挙げた状態との乳房のバージスラインを示した。 図18において、181aが正立位状態における乳房のバージスライン、182aがその際のバストトップの位置、181bが上肢を上に挙げた状態における乳房のバージスライン、182bがその際のバストトップの位置を示している。

    【0010】図18からも明らかな様に、上肢を上に挙げることにより、バストの形状が斜め外上方向に伸び、
    特にバストトップの位置から斜め外上にバストの伸びが大きいことがわかる。 この部分の筋肉は大胸筋に相当し、また肩紐の通る位置と重なっている。

    【0011】次に、本発明者は、数名の女性に、前述した従来から最も普通に用いられている肩紐を用いたカップワイヤー入りで且つ土台布(乳房カップの下側に存在する乳房カップの下辺側の縁で乳房カップに結合されている乳房カップを保持している布)を有する3/4カップタイプのブラジャーを着用してもらい、上肢を上に挙げた場合における、ブラジャーの乳房カップの最下点の位置のずれ(通常、乳房カップの最下点の位置における土台布下辺縁のずれ量で代替測定できる)と、着用状態におけるほぼ肩紐の存在する肩紐長手方向相当部分の体表面の伸びなどの関係について調査した。

    【0012】その結果、人体前側において、上述したような人体前側表面部位の伸びは、ほぼどの着用者もおよそ3.5cmであることが分かった。 人体前側表面の伸びは、人体の肩稜線より前側の肩紐の伸びた分の長さ(a)cmとブラジャーの乳房カップの最下点の位置のずれ上がった距離(b)cmとの合計で測定した。 尚、
    肩稜線とは、肩の部分の僧帽筋の最も高い稜線で、身体を前後に分ける場合の目安とする仮想線である。 言い換えれば、人体を肩の位置で前側から後側に超える場合に肩の最も高い位置を示す仮想線である。 そして、乳房カップの最下点の位置のずれ上がった距離(b)が、平均0.5cm以内であれば、着用者はずれを感じないこと、さらに(b)が、平均1cm以内であれば、腕を下げることにより、ブラジャーがほぼもとの着用位置に戻り、ずれが解消することが分かった。 したがって、上肢を上に挙げた場合に少なくとも人体の肩稜線より前側の肩紐の伸びがおよそ3.5cm−1cm=2.5cm以上あれば、ずれが解消できる(ずれが生じても1cm以内のずれになるので上に挙げた腕を下げればブラジャーがほぼもとの着用位置に戻るので)ことがわかった。

    【0013】一方、人体の肩稜線より後側の人体の体表面の伸びや、ブラジャーの肩紐の位置などについて検討する為、従来の肩紐に較べて前側の伸長性が大きく、上肢を上に挙げた場合に人体の肩稜線より前側の肩紐の伸びがおよそ3.5cm伸びるような肩紐で、その代わり肩稜線より後ろ側の肩紐は、9.80665N(1kg
    f)荷重時における長手方向伸長性が、従来のものに較べて小さい約30%の肩紐、すなわち、肩稜線より前側と後側とで伸長性の異なる肩紐を取り付けたブラジャーを着用させて人体の肩稜線より後側の人体の体表面の伸びや、ブラジャーの肩紐の位置などについて検討した。
    図19にかかるブラジャーを着用した状態における背面側からの着用状態部分モデル背面図を示した。 図19において、191が人体、193が着用しているブラジャーのバック布、192が肩紐であり、192aが、上肢を下向きに下ろしている正立位時における肩紐の通る位置、192bが、上肢を上に挙げた状態での肩紐の通る位置を示している。 この実験により、まず、人体背面側の体表面の伸びについては、正立位から上肢を上に挙げた場合における、体表面の伸びは前側に較べて遥かに小さく、正立位でも、上肢を上に挙げた場合でもそれ程大きく変らないことが分かった。 ただ、肩稜線より後側の肩紐は、上肢を下向きに下ろしている正立位時における肩紐の通る位置が、正立位では192aで示される様に、やや身体の外側に膨らむような円弧状の形で人体に密着しているが、上肢を上に挙げることにより、肩紐は正立位の位置を通らずに、後中心側にスライドした位置で、肩紐の背面側のバック布との取り付け位置と肩稜線に至るまでの距離が、最短距離になるような位置にスライドすることがわかった。 この知見から、肩稜線より後側の肩紐は、それほど伸長性が大きくなくても良いことがわかった。

    【0014】次に、従来用いられている肩紐つきの3/
    4カップタイプで、カップサイズとアンダーバストサイズが、A70、B70、C70、D70、E70の前述のブラジャーを用いて、ずれの発生する最小限の肩紐にかかる荷重を求めるための実験を行った。

    【0015】まず、前記各サイズのブラジャーを、それぞれ各サイズに適合する着用者に正立位において造形性が発揮される状態で着用させ、その時の造形性の目安として、バストのトップ(最も前側に盛りあがっている部位)の位置を記録しておき、次の実験を行った。 すなわち、図20に示すように、前記ブラジャー201を着用状態にしたまま肩紐202のうち片側の肩紐を切りとって除去し、当該肩紐が取り付けられていた乳房カップ2
    03の肩紐の付け根に相当する位置に丸環204を取り付け、前記丸環204にバネばかりを205を取り付け、もとの肩紐の長手方向と同じ方向(矢印206で示した方向)にバネばかりを引き上げる。 そして乳房カップのトップの位置が、前記の記録しておいた位置(造形性が発揮されている状態の位置)に来たところで静止しさせる。 次いで、さらにバネばかりを肩紐の長手方向と同一方向に引っ張り、乳房カップ最下点近傍の土台布の下辺207が上側にずれが発生する瞬間の荷重を測定した。

    【0016】前記のカップサイズがA〜Dの場合には、
    ずれが発生する瞬間の荷重が約7.85N(800g
    f)、カップサイズがEの場合には、ずれが発生する瞬間の荷重が約11.77N(1200gf)であることがわかった。 よって、このデータから、上肢を上に挙げた場合に、前側の肩紐に掛かる荷重が約7.85N(8
    00gf)以下に設計されていれば、どのサイズの場合でも、ずれが生じないことがわかった。

    【0017】以上の結果から、人体の肩稜線より前側の肩紐の伸びがおよそ3.5cm−1cm=2.5cm以上あれば、ずれが解消できる(ずれが生じても1cm以内のずれになるので上に挙げた腕を下げればブラジャーがほぼもとの着用位置に戻るので)との前述した知見と、以上の結果から、正立位において造形性が発揮される状態で着用している場合の前側の肩紐の長さ、すなわち乳房カップへの取り付け部位から肩稜線までの肩紐の長さから、さらに2.5cm肩紐を伸ばした状態における前側の肩紐全体に掛かる荷重が約7.85N(800
    gf)以下に設計されていれば、上肢を上に挙げても、
    着用している衣料のずれ上がりが1cm以内になり、衣料のずれ上がりが1cm以内であれば、例えずれが生じたとしても、上に挙げた上肢を下に下げれば、前述した様にずれは解消できるので、上肢を上げ下げしても、着崩れが生じないであろうことが予想できるに至ったものである。 上記の条件を達成するには、長手方向の伸長性が大きければ良いことになるが、しかしながら、長手方向の伸長性を大きくすると造形性が発揮できなくなることがわかった。 造形性が発揮できるようにする為には、
    本発明者が種々検討した結果、肩紐略前側の長手方向の伸長性の上限を規制するだけでなく、肩紐略前側の長手方向の伸長回復率が重要な要件となること、また、肩紐略前側の長手方向の伸長性を大きくするに比較して、肩紐略後側の長手方向の伸長性をより小さくすることによって造形性を発揮でき、しかも前述した実験からも明らかな様に、後側においては、肩紐の伸長性が小さくてもずれ上がりが生じにくいことから、これらの要件を勘案して設計条件を見出し、本発明に到達した。

    【0018】すなわち本発明は、上肢を上に挙げた際に生じる着崩れの問題が改良され、しかも正立位において、本来の乳房造形性を保持した、乳房カップを有する肩紐付き衣料及び当該衣料に用いる肩紐を提供することを目的とする。

    【0019】

    【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明は、次の様な乳房カップを有する肩紐付き衣料及び当該衣料に用いる肩紐を提供するものである。

    【0020】(1) 一端が乳房カップ部に取り付けられ、他端が衣料本体の背面側に取り付けられている肩紐を有する衣料において、前記肩紐はその長手方向の一部が長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)から成り、残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成る肩紐であって、前記肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩稜線を背面側に5cm越えるまでの部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、且つ(a)からなる部分が肩稜線より前側の範囲に於いて少なくとも長さにして2.5cm以上存在し、(a)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜100%であり、伸長回復率が85%以上であって、(b)の9.8066
    5N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20
    〜55%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、
    (b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることを特徴とする乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0021】(2) (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩紐が肩稜線に至るまでの肩紐前側の部分から選ばれた少なくとも一部である前記(1)項に記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0022】(3) (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から開始されていて連続して存在している前記(1)項または(2)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0023】(4) (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩稜線を背面側に3cm越えるまでの部分の全部である前記(1)項に記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0024】(5) (a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩紐が肩稜線に至るまでの肩紐前側の部分の全部である前記(1)〜(3)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0025】(6) (a)の9.80665N(1k
    gf)荷重時における長手方向伸長性が70〜90%である前記(1)〜(5)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0026】(7) (a)の伸長回復率が90〜96
    %である前記(1)〜(6)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0027】(8) (b)の9.80665N(1k
    gf)荷重時における長手方向伸長性が22〜35%である前記(1)〜(7)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0028】(9) (a)の9.80665N(1k
    gf)荷重時における長手方向伸長性が、(b)の9.
    80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性の2〜3.3倍である前記(1)〜(8)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0029】(10) 肩紐の長さ調整用金具が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位とは反対側の(b)側の端部側に取り付けられている前記(1)〜(9)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0030】(11) 肩紐が織物からなる肩紐である前記(1)〜(10)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0031】(12) 肩紐が、腕を下げて直立した状態での衣料着用状態における肩稜線より前側の肩紐全体を更に2.5cm伸ばした時の肩紐にかかる荷重が7.
    84532N(800gf)以下である特性を有する前記(1)〜(11)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0032】(13) 肩紐が、(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている1本の連続した織物からなる肩紐である前記(1)〜
    (12)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0033】(14) 肩紐が、経糸として弾性糸と非弾性糸を含み、前記弾性糸に加える張の強弱により(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている連続した織物からなる肩紐であって、前記(a)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が強く設定された部分であり、前記(b)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が(a)の部分より弱く設定された部分である織物からなる肩紐である前記(1)〜(12)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0034】(15) 衣料が、ブラジャー、ボディスーツ、ブラスリップ、ブラキャミソール、セパレートタイプの水着のトップ部から選ばれた衣料である前記(1)〜(14)項のいずれかに記載の乳房カップを有する肩紐付き衣料。

    【0035】(16) 長手方向の一部が長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)から成り、残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成る、乳房カップを有する衣料用の肩紐であって、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、
    前記肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩稜線を背面側に5cm越えるまでの部分に相当する部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、
    且つ(a)からなる部分が肩稜線より衣料前側に相当する範囲に於いて少なくとも長さにして2.5cm以上存在し、(a)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜100%であり、伸長回復率が85%以上であって、(b)の9.80665N
    (1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20〜5
    5%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、
    (b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることを特徴とする乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0036】(17) (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩稜線に至るまでの衣料前側に相当する部分の肩紐から選ばれた少なくとも一部である前記(16)項に記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0037】(18) (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から開始されていて連続して存在している前記(16)項または〜(1
    7)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0038】(19) (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩稜線を背面側に3
    cm越えるまでの相当部分の全部である前記(16)項に記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0039】(20) (a)からなる部分が、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩紐が肩稜線に至るまでの衣料前側に相当する部分の肩紐の全部である前記(17)項に記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0040】(21) (a)の9.80665N(1
    kgf)荷重時における長手方向伸長性が70〜90%
    である前記(16)〜(20)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0041】(22) (a)の伸長回復率が、90〜
    96%である前記(16)〜(21)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0042】(23) (b)の9.80665N(1
    kgf)荷重時における長手方向伸長性が22〜35%
    である前記(16)〜(22)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0043】(24) (a)の9.80665N(1
    kgf)荷重時における長手方向伸長性が、(b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性の2〜3.3倍である前記(16)〜(23)項のいずれかに記載の衣料用の肩紐。

    【0044】(25) 長さ調整用金具が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する端部とは反対側の(b)側の端部側に更に取り付けられている前記(1
    6)〜(24)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0045】(26) 素材が織物からなる肩紐である前記(16)〜(25)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0046】(27) 肩紐を乳房カップを有する衣料に適用した場合に、腕を下げて直立した状態での前記衣料着用状態における肩稜線より前側に相当する肩紐全体を更に2.5cm伸ばしたときの肩紐にかかる荷重が7.84532N(800gf)以下である特性を有するのいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0047】(28) 肩紐が、(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている1本の連続した織物からなる肩紐である前記(16)〜
    (27)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0048】(29) 肩紐が、経糸として弾性糸と非弾性糸を含み、前記弾性糸に加える張力の強弱により(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている連続した織物からなる肩紐であって、前記(a)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が強く設定された部分であり、前記(b)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が(a)の部分より弱く設定された部分である織物からなる肩紐である前記(16)〜(27)
    項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0049】(30) 肩紐が、ブラジャー、ボディスーツ、ブラスリップ、ブラキャミソール、セパレートタイプの水着のトップ部から選ばれた衣料用の肩紐である前記(16)〜(29)項のいずれかに記載の乳房カップを有する衣料用の肩紐。

    【0050】

    【発明の実施の形態】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料は、一端が乳房カップ部に取り付けられ、他端が衣料本体の背面側に取り付けられている肩紐を有する衣料において、前記肩紐はその長手方向の一部が長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)から成り、残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成る肩紐であって、前記肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩稜線を背面側に5cm越えるまでの部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、且つ(a)からなる部分が肩稜線より前側の範囲に於いて少なくとも長さにして2.5cm以上存在し、
    (a)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜100%であり、伸長回復率が85%以上であって、(b)の9.80665N(1k
    gf)荷重時における長手方向伸長性が20〜55%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、(b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることを特徴とする。

    【0051】また、本発明の肩紐は、長手方向の一部が長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)から成り、残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成る、乳房カップを有する衣料用の肩紐であって、乳房カップを有する衣料に適用した場合に、前記肩紐の乳房カップ部取り付け部位に相当する肩紐の端部から肩稜線を背面側に5cm越えるまでの部分に相当する部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、且つ(a)からなる部分が肩稜線より衣料前側に相当する範囲に於いて少なくとも長さにして2.5cm以上存在し、(a)の9.80665N(1
    kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜100
    %であり、伸長回復率が85%以上であって、(b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20〜55%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、(b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることを特徴とする。

    【0052】本発明の肩紐の発明の表現に於いて「乳房カップを有する衣料に適用した場合に」と言う表現があるが、特定部分の長さ等を規定するのに、肩紐を乳房カップを有する衣料に適用した場合の肩稜線を当該特定部分の長さの特定の基準部位にしたためである。 以下、いちいち「乳房カップを有する衣料に適用した場合に」と断らないこともあるが、肩稜線を基準として発明要件を説明している場合には、この意味で用いている。

    【0053】以下、本発明の理解を容易にするため、図面を引用しながら、本発明の実施の形態例に説明するが、本発明は、これらの実施の形態例のみに限定されるものではない。

    【0054】図1は本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4カップタイプのブラジャーの一実施の形態の斜視図、図2はその着用状態における右側面概念図である。 右側面図とせずに、右側面概念図としたのは、図1の如く肩紐がその乳房カップ部取り付け部位とは反対側のバック布との取り付け部位で丸環を通って反転し、2重になっている部分があるが、この部分は本来2重になっているのであるが、右側面概念図ではそのあるがままの状態での図示を省略して、2重になっている部分をまとめて1重で図示しているので「概念図」と言う用語を用いた。 図が複雑になり、かえって理解しづらくなるのでこのような省略を施したものである。 肩紐のこの2重の部分は、斜視図から容易に理解できるものである。 他のすべての「右側面概念図」についても同様である。

    【0055】図1、図2に於いて、1がブラジャーの乳房カップ(この例の場合は、3/4カップタイプのカップ)、2が土台布、3がバック布、4が、左右のバック布の先端に設けられている、左右のバック布の連結係止部であり、フック・アンド・アイとも呼ばれる鈎ホック(図示せず)の後環部(アイ)と、アイに引っかけて止めるための鈎ホックの爪部(フック)とがそれぞれ取り付けられていて、着用時には、フックとアイを係止して左右のバック布3、3を連結し、脱ぐ場合には、フックとアイの係止をはずす方式が、通常、ポピュラーに用いられている。 5が肩紐であり、5aが、肩紐に於いて、
    長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分であり、5bは長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)からなる部分である。 9は5aと5bの境界((a)と(b)の境界)を示している。 6は肩紐の一端であり、乳房カップ部に取り付けられている乳房カップ部取り付け部位である。 この例では、乳房カップ部取り付け部位6においては、肩紐5の5a部分の一端が乳房カップ1に縫合によって取り付けられている。 7は肩紐が衣料本体の背面側に相当するブラジャーのバック布の端部に近い上側に取り付けられている肩紐の衣料背面側への取り付け部位である。
    この例では、背面側への取り付け部位7においては、丸環8を用いて、丸環8の穴を通して取り付けている。 乳房カップ部取り付け部位6においては、肩紐5の5a部分の一端が乳房カップ1に縫合によって取り付けられている例を示したが、例えば、肩紐の衣料背面側への取り付け部位7の如く丸環を用いて丸環を通して先端部を反転させ、その部分を縫合してもよい。 そのほか例えば、
    実用新案登録第3068246号公報に示された方法や、その図24等の従来から用いられている方法など、
    肩紐5の一端部分の乳房カップ1への取り付け手法は本発明の目的を達成できる限り、特に限定されるものではない。 この点は他の実施の形態例についても同様である。

    【0056】そして、この例に於いては、肩紐の長さ調整用金具が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位とは反対側の5bで示される(b)側の端部に取り付けられていて、肩紐の長さが調整できるようになっている。 すなわち、図3に、肩紐の長さ調整用金具が取り付けられている部分の拡大図を示した。 30はエイト環(8環)と呼ばれている肩紐の長さ調整用金具の一例であり、肩紐5
    を通す穴が2つあいているリングである。 エイト環(8
    環)は肩紐の長さ調整用金具として、通常、よく用いられているリングである。 尚、エイト環(8環)30の一例の平面図を図4に示した。

    【0057】図3、図4に於いて、31はエイト環30
    の中央支柱、32と33は外側支柱である。 肩紐5(この例では5bの部分)の他端5cを丸環8(図1参照)
    の穴を通して肩紐の衣料背面側への取り付け部位7で肩紐を反転させてその先端5cをエイト環30の中央支柱31の周囲に巻き付け、肩紐他端部5cを肩紐5本体と縫製ライン34で縫製して支柱31に取り付ける。 一方、衣料背面側への取り付け部位7で反転している図3
    に於いて上側に位置する肩紐5(5b)はエイト環30
    の外側支柱33の下側を通り、中央支柱31の上側、外側支柱32の下側を通っている。

    【0058】肩紐の長さを調整する場合には、エイト環30を肩紐5(5b)に沿って図3に於いては左右のいずれかの方向(図1においては上下のいずれかの方向に相当する)にスライドさせて調整する。

    【0059】本発明に於いては、肩紐の長さ調整用金具、すなわち、この例ではエイト環30が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位とは反対側の(b)側の端部5c
    側に取り付けられていることが好ましい。 言い換えれば、肩紐の長さ調整は、人体背面側に位置する肩紐に於いて調整できるようにすることが好ましい。 前述したように、上肢を上に挙げた場合には、人体の肩稜線より前側の部分が伸長しやすく、背面側の体表面の伸びは前側に較べて遥かに小さいことから、身体背面側の肩紐が折り返されて2重になっていても、本発明に於いては差し支えがないからである。 そしてこの点は他の実施の形態に於いても同様である。

    【0060】なお、図2に於いて、20は着用者の身体の一部であり、21は肩稜線、22は上肢の付け根を模式的に示した。

    【0061】図1、図2に示した実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、
    肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分の約7〜9cmの長さにわたって存在している本発明の好ましい態様例を示したものである。 そして、この実施の形態例に於いては、肩紐5の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0062】更にこの例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて(a)と(b)の部分の境界9まで途切れずに連続して存在している本発明の好ましい態様例となっている。 (a)からなる部分5a
    が、「連続して存在している」とは、(a)−(b)−
    (a)の如く、(a)の部分が所定部位に至るまで(b)によって分断されていないことを意味している。
    本発明に於いては、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6
    から肩稜線21を背面側に5cm越えるまで、好ましくは3cm越えるまでの部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、且つ(a)からなる部分が肩稜線21
    より前側の範囲に於いて少なくとも長さにして2.5c
    m以上存在していればよいので、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から肩稜線21を背面側に5cm越えるまでの部分の肩紐が例えば(a)−(b)−(a)とか、
    あるいは(a)−(b)−(a)−(b)とか、(a)
    −(b)の繰り返しからなっていてもかまわないが、
    (a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて所定位置まで分断されずに連続して存在していることが好ましい。 (a)の部分が連続していた方が、製造が容易で、製造コストも安くなるという肩紐の製造上の利点がある。 また、数10メートル単位で製造された肩紐素材を、裁断した上で、環などを取り付け縫合したり、カップ部に縫合したり、という製造工程において、環などの取り付け箇所や縫合箇所の間違いが起こりにくく、製造時の管理を行い易い。 また(a)の部分の機能が十分に効率よく発揮され易い。

    【0063】上述した実施の形態例のブラジャーは、上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋上を肩紐が通る部分である、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6
    から着用者のほぼ鎖骨近傍部分までが、長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなっており、従って、必要な部分の肩紐長手方向の伸長性並びに伸長回復率が比較的大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレが生じにくくされていて、着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5bで示される様に、長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を極めて良好に発揮することができ好ましい。

    【0064】本発明に於いては、上記実施の形態例に限らず、以下に説明する実施の形態例も含めて本発明に共通して言えることであるが、(a)の9.80665N
    (1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜1
    00%であり、伸長回復率が85%以上であって、
    (b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20〜55%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、(b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることが必要である。

    【0065】(a)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50%より小さい場合には、上肢を上に挙げた際にズレが発生しやすく、着崩れが生じやすくなり不適当である。 長手方向伸長性が10
    0%より大きい場合には、正立位における乳房造形性が低下し好ましくない。 また、(a)の伸長回復率が85
    %より小さい場合には正立位における乳房造形性が低下し好ましくない。 尚、(a)の伸長回復率は、通常、8
    5%以上と大きければよく、好ましくは90〜96%である。 90〜96%のものは、正立位における乳房造形性が良好に発揮されるとともに、上肢を上に挙げた際にズレが発生したり、着崩れが生じたりすることがなく、
    着用中の締め付け感も強すぎることもなく、良好な着用感を有すると言う機能を保ちながら、比較的容易に安価に実現しうるので好ましい。

    【0066】(b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20より小さいと、着用中の締め付け感が強くなり、肩こりの発生など着用感が低下する(b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が55%より大きいと正立位における乳房造形性が低下し好ましくない。

    【0067】また(a)の前記長手方向伸長性が、
    (b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上であることが必要であり、1.5倍より小さいと、正立位における乳房造形性と、上肢を上に挙げた際のズレの発生防止、
    すなわち着崩れ防止機能とがバランスよく効果的に発揮できなくなり好ましくない。

    【0068】従って、本発明に於いては、(a)の9.
    80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50〜100%であり、伸長回復率が85%以上であって、(b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20〜55%で、且つ(a)
    の前記長手方向伸長性が、(b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上あることのいずれか一つの要件を欠いた場合には、本発明の目的を達成することはできない。

    【0069】上記に於いて、(a)の9.80665N
    (1kgf)荷重時における長手方向伸長性が70〜9
    0%であることが、上肢を上に挙げた際にズレの発生に伴う、着崩れを防止できると共に、正立位における乳房造形性がより良好に発揮され、より好ましい。

    【0070】また(a)の伸長回復率が90〜96%であることが、正立位における乳房造形性が良好に発揮されるとともに、上肢を上に挙げた際にズレが発生したり、着崩れが生じたりすることがなく、着用中の締め付け感も強すぎることもなく、良好な着用感を有すると言う機能を保ちながら、伸長回復率が90〜96%のものは、それより大きいものに比べて比較的容易に安価に実現でき好ましい。

    【0071】また(b)の9.80665N(1kg
    f)荷重時における長手方向伸長性が22〜35%であるであることが、正立位における乳房造形性がより一層発揮されると共に、着用中の締め付け感が強すぎたり、
    肩こりの発生などがより確実に防止でき、着用感の低下がより少なくなり、より好ましい。

    【0072】更に、(a)の9.80665N(1kg
    f)荷重時における長手方向伸長性が、(b)の9.8
    0665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性の2〜3.3倍、より好ましくは2〜3倍、特に好ましくは2.4〜2.7倍であることが好ましい。 この範囲に保つことにより、正立位における乳房造形性と、上肢を上に挙げた際のズレの発生防止、すなわち着崩れ防止機能とが、よりバランスよく効果的に発揮されより好ましい。

    【0073】更に特に限定するものではないが、(b)
    の部分の長手方向伸長回復率も比較的高いものが好ましく、(a)の部分と(b)の部分の伸長回復率の差が5
    %以内、より好ましくは3%以内、更に好ましくは1%
    以内、最も好ましくは(a)の部分と(b)の部分の伸長回復率が同等であることが好ましい。

    【0074】(b)の部分の長手方向伸長回復率を上記の様にすることにより、正立位における乳房造形性がより良好に発揮されると共に、上肢を上に挙げた際のズレの発生防止、すなわち着崩れ防止機能とが効果的に発揮され、運動追従性と造形性の点でより好ましい。

    【0075】更に特に限定するものではないが、(a)
    の部分の長さの占める割合が着用状態に準備した状態での肩紐全長の20〜50%、より好ましくは、30〜4
    0%であることが好ましい。 (尚、ここで言う肩紐全長とは、肩紐に長さ調整機構がある場合に、肩紐が折り返されて2重になった部分は2重のままで長さを測定する、広げて1重に伸ばしてから測定するものではない。
    例えば図2においては、ここで言う肩紐全長とは、図2
    の如く衣料を着用している若干肩紐に荷重がかかって肩紐が伸びている状態ではなく、図2の着用状態にして於いて、それを、脱いだ状態、すなわち肩紐に着用時の荷重がかからない状態(これを本発明では、「着用状態に準備した状態」と称している)での肩紐の6〜7までの長さを言う。 (a)の部分の長さとは、同様の状態における肩紐の6〜9までの長さを言う。 )。 更に上述のような条件を満たすことにより、上肢を上に挙げた際にズレの発生に伴う、着崩れを防止できると共に、正立位における乳房造形性がより良好に発揮され、より好ましい。

    【0076】更に本発明に於いては、肩紐が、腕を下げて直立した状態(正立位)での衣料着用状態における肩稜線より前側の肩紐全体を更に2.5cm伸ばした時の肩紐にかかる荷重が7.84532N(800gf)以下である特性を有することが好ましい。 上肢を上に挙げた場合に、前述した解析から明らかなように、肩稜線より前側の肩紐全体が正立位の時の長さより更に2.5c
    m以上伸びることが好ましく、2.5cm伸ばした時の前側の肩紐全体にかかる荷重が7.84532N(80
    0gf)以下であることにより、着用している乳房カップを有する肩紐付き衣料のズレを最小限許容される範囲に押さえることができ、より確実に、着崩れの生じにくい乳房カップを有する肩紐付き衣料を提供でき好ましい。

    【0077】肩紐としては、織物からなる肩紐、編物からなる肩紐など各種のものが用い得るが、織物からなる肩紐が、編物からなる肩紐に比べて、強度を大きくすることができ、ほつれが生じにくく、また長期間の使用において、強度を長期にわたって維持しやすい点で好ましい。

    【0078】長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)と長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)とを肩紐長手方向に区分して設ける手法としては、本発明の目的が達成できる手法であれば、特に限定はなく、例えば、 、(a)の部分と(b)の部分とを別個にそれぞれの所定の特性を満足するものを作成して於いて、それらを、縫製、接着、つなぎ金具使い、または、その他の適宜の手段で繋ぎ合わせる方法。

    【0079】、(a)からなる部分と(b)からなる部分とを、織物からなる肩紐の場合には、織り方を変化させることにより織り分けるか、編物からなる肩紐の場合には、編み方を変化させることにより編み分けることにより、(a)の部分と(b)の部分とを1本の連続した織物ないし編物(特に織物が好ましいが)から構成する方法、 肩紐全体を(a)の特性のもので構成し、(b)の特性を付与したい部分に弾性樹脂液を含浸、塗布、あるいは弾性樹脂膜ないしテープを積層することにより(b)
    の特性を有する部分と(a)の特性を有する部分とを区分けして設ける手法、 肩紐全体を(a)の特性のもので構成し、(b)の特性を付与したい部分にエンボス加工(加熱エンボス加工でもよい)を施して伸長性を小さくする手法、などが挙げられる。

    【0080】の手法は最も簡便に実現できる手法であり実用的であると言う点で好ましいが、つなぎ目が生じることから、最も好ましい肩紐としてはの手法で作成された肩紐である。

    【0081】やの手法で、(a)の特性や、(b)
    の特性を付与するには、通常、用いる非弾性繊維と弾性繊維の使用割合、その種類の選定、それぞれの繊維の太さの変化、織りないし編み密度の変化などのいずれか一つ、またはその少なくとも2つ以上を適宜組み合わせることなどにより達成できる。

    【0082】特にの織り方を変化させることにより織り分けることにより、(a)の部分と(b)の部分とを1本の連続した織物から構成する方法としては、経糸として弾性糸と非弾性糸を含み、前記弾性糸に加える張力の強弱により(a)からなる部分と(b)からなる部分とを織り分けて形成する手法が一般的であり、前記(a)からなる部分を織る際には、前記経糸の弾性糸に加える張力を強く設定した状態(弾性糸を通常より伸ばした状態)で緯糸を織り込み、次いで前記(b)からなる部分を織る際には、前記経糸の弾性糸に加える張力を前記(a)からなる部分に比べて弱く設定した状態で緯糸を織り込むことにより製造できる。 経糸の弾性糸に加える張力は、糸の種類、太さ、用いる非弾性糸の種類や太さ、弾性糸と非弾性糸の割合、目的とする肩紐の幅、
    などに応じて調整することにより、所望の長手方向伸長性ならびに伸長回復率を有する肩紐にすることができる。 この場合、前記経糸の弾性糸に加える張力を強く設定した状態で緯糸を織り込んだ部分である(a)に相当する部分は、織った後、経糸の弾性糸に加えた張力が解除されるので、その分、経方向に縮み、その部分の緯糸の糸の密度が(b)の部分に比べて高くなる。 緯糸の糸の密度が高くなるとは、肩紐の単位長さ当たり、例えば肩紐の長さ10mm当たりの緯糸の糸の密度が(b)の部分の長さ10mm当たりの緯糸の密度に比べて大きくなることを示しており、通常、これを織物の畝(ウェール)の本数の密度で表現する。 緯糸の糸の密度であれば、よこウェール(すなわち、よこ畝)XXX本/10
    mm(肩紐の長さ10mm当たり、よこ畝がXXX本存在する)として表現する。

    【0083】尚、弾性糸としては、裸の弾性糸を用いてもよいが、ナイロンやポリエステル繊維などの非弾性糸で被覆したカバリング糸を用いることも好ましい。 また、緯糸は特に限定するものではないが、非弾性糸が用いられる。

    【0084】ちなみに本発明の実施の形態例に於いては、前述した実施の形態例や以下の実施の形態例に於いて、上記で説明した様に、経糸として弾性糸と非弾性糸を含み、前記弾性糸に加える張力の強弱により(a)
    からなる部分と(b)からなる部分とを織り分けて形成する方法を採用し、(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている1本の連続した織物からなる肩紐を用いている。 肩紐の幅で、10m
    m幅のもの、13mm幅のもの、16mm幅のものを作成したが、その具体的態様はそれぞれ表1〜表3に示した通りである。

    【0085】すなわち、表1〜3に示したように経糸としてナイロン糸2本でカバリングされたポリウレタン糸のダブルカバリングヤーンとナイロン糸を併用し、緯糸としてナイロン糸を用い、細幅テープ織り機を用いてドビー織りにより、得られる肩紐の(a)の部分のよこウェール密度(緯方向の畝の密度)が表1〜3の(a)部分のよこウェール密度となり、(b)の部分のよこウェール密度(緯方向の畝の密度)が表1〜3の(b)部分のよこウェール密度となるように、前記経糸のポリウレタン弾性糸に加える張力を強弱2段にそれぞれ調整し、
    作成した。 尚、肩紐幅はこの例では(a)の部分でも(b)の部分でも実質上同じであり、従って、肩紐の、
    たてウェール密度(経方向の畝の密度)は(a)の部分も(b)の部分も実質上同じである。 たてウェール密度(経方向の畝の密度)は肩紐の最終仕上げ幅、すなわち10mm幅のもの、13mm幅のもの、16mm幅のものによって多少変えている。

    【0086】

    【表1】

    【0087】

    【表2】

    【0088】

    【表3】

    【0089】尚、表1〜表3における符号の意味は、次の様である。

    【0090】繊度の欄のT:繊度dtex (尚、78/2Tなどの××/2は2本撚りを意味する。従って、78/2Tの場合は、78dtexの糸2
    本を撚った糸を用いたと言う意味。 ) NF:ナイロンフィラメント糸 WN:ナイロン捲縮加工糸(ウーリーナイロン糸) PU:ポリウレタン糸 DCY:ダブルカバリングヤーン 次に、図5に本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4カップタイプの別の実施の形態のブラジャーの斜視図、図6にその着用状態における右側面概念図を示した。

    【0091】このブラジャーは、肩紐の態様が、図1、
    図2に示したブラジャーと異なるが、その他の態様は図1、図2に示したブラジャーと実質上同一であるので、
    同一部分には同一の符号を付して、重複説明を省略している。

    【0092】この図5、図6に示したブラジャーの実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から肩紐が肩稜線21に至るまでの肩紐前側の部分の全部の部分であり、約9〜10cmの長さにわたって存在している本発明の好ましい態様例を示したものである。 そして、この実施の形態例に於いては、肩紐5の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0093】更にこの例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて(a)と(b)の境界9まで分断されずに連続して存在している態様例となっている。

    【0094】上述した実施の形態例のブラジャーの肩紐は、上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋上を通過する部分はもちろん、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者のほぼ鎖骨近傍部分を通り、更に肩稜線21に至るまでの肩紐前側の部分の全部の部分が、
    長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなっており、従って、(a)からなる部分の割合が図1や図2で示した態様に比べて更に大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレがより一層生じにくくされていて、着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5bで示される様に、
    長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を良好に発揮することができる。 乳房造形性の点では、図1や図2で示した態様のものが最も優れている。 この図5、図6に示したブラジャーの実施の形態例は、図1や図2で示した態様のブラジャーに比べて、主として、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレがより一層生じにくくされていて、着崩れの問題の改良により一層の改良重点が置かれている態様といえる。

    【0095】次に、図7に本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4
    カップタイプの更に別の実施の形態のブラジャーの斜視図、図8にその着用状態における右側面概念図を示した。

    【0096】このブラジャーは、肩紐の態様が、図1、
    図2に示したブラジャーと異なるが、その他の態様は図1、図2に示したブラジャーと実質上同一であるので、
    同一部分には同一の符号を付して、重複説明を省略している。

    【0097】この図7、図8に示したブラジャーの実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から肩稜線21を越えて、肩稜線21を背面側に3cm越えるまでのほぼ肩甲骨の上端点に至る部位までの肩紐前側の部分の全部と後側部分の一部を構成し、合計約10
    〜13cmの長さにわたって存在している本発明の一態様例を示したものである。 そして、この実施の形態例に於いては、肩紐5の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0098】更にこの例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて(a)と(b)の境界9まで分断されずに連続して存在している態様例となっている。

    【0099】上述した実施の形態例のブラジャーの肩紐は、上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋上を通過する部分はもちろん、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者の肩稜線21を越えて、肩稜線21
    を背面側に3cm越えるまでのほぼ肩甲骨の上端点に至る部位までが、長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなっており、従って、(a)からなる部分の割合が図1や図2あるいは図5や図6で示した態様に比べて更に大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレがより一層生じにくくされていて、着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5bで示される様に、長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を保持することができる。

    【0100】この図7、図8に示したブラジャーの実施の形態例は、図1や図2で示した態様のブラジャーに比べて、主として、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレがより一層生じにくくされていて、着崩れの問題の改良により一層の改良重点が置かれている態様といえる。 乳房造形性の点では、図1や図2で示した態様のものが最も優れており、乳房造形性と着崩れの問題の改良のバランスと言う点では図5や図6で示した態様のものが最も良好であり、次いで図1、図2に示したブラジャー、その次が図7、図8に示したブラジャーと言う順位になる。

    【0101】次に、図9に本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4
    カップタイプの更に別の実施の形態のブラジャーの斜視図、図10にその着用状態における右側面概念図を示した。

    【0102】このブラジャーは、肩紐の態様が、図1、
    図2に示したブラジャーと異なるが、その他の態様は図1、図2に示したブラジャーと実質上同一であるので、
    同一部分には同一の符号を付して、重複説明を省略している。

    【0103】この図9、図10に示したブラジャーの実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6
    から鎖骨近傍9cに至るまでの肩紐前側の部分に存在しているのであるが、乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍9cに至るまで(a)からなる部分5aが、連続して存在しているものではなく、その中間9aと9cの間に長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成っている5bの部分が存在している態様である。 (a)からなる部分5aの合計の長さは6〜9cmの長さにしてある。 そして、この実施の形態例に於いては、肩紐5の前記で説明した部分以外の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0104】この例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されているが、鎖骨近傍9cに至るまで(a)からなる部分5aが、連続して存在しているものではないと言う点で図1、図2に示した態様と異なっている。

    【0105】上述した実施の形態例のブラジャーにおいても、上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋に相当する部分である、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者のほぼ鎖骨近傍部分までが、中間部の(b)の部分が介在している部分を除いては、長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなっており、従って、必要な部分の肩紐長手方向の伸長性並びに伸長回復率が比較的大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレが生じにくくされていて、着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5bで示される様に、長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を極めて良好に発揮することができる。 この態様は、乳房造形性に特に重点が置かれた態様であり、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者のほぼ鎖骨近傍部分までの長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)
    からなる部分の中間部に(b)の部分が介在しているため、上肢を上に挙げた場合の、肩紐のこの部分の運動追従性が図1、図2に示した態様に比べて若干劣るが、本発明の目的は達成可能な態様であるといえる。

    【0106】次に、図11に本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料であるフルカップタイプの一実施の形態のブラジャーの斜視図、図12にその着用状態における右側面概念図を示した。

    【0107】このブラジャーは、肩紐の態様は、図1、
    図2に示したブラジャーとほぼ同一の概念のもとに設計されているが、乳房カップのタイプが3/4カップタイプではなく、よりカップ形状の大きいフルカップタイプのブラジャーに適用した態様である。 その他の態様は図1、図2に示したブラジャーと実質上同一であるので、
    同一部分には同一の符号を付して、重複説明を省略している。

    【0108】この図11、図12に示したブラジャーの実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)
    からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分の約4〜7
    cmの長さにわたって存在している本発明の好ましい態様例を示したものである。 図1、図2の3/4カップタイプの態様に比べて、カップの形状が大きいので、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分5aの長さが、若干短くなる点が、図1、図2の態様と若干異なってくるのみである。 そして、この実施の形態例に於いても、肩紐5の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0109】更にこの例に於いても、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて(a)と(b)の境界9まで分断されずに連続して存在している本発明の好ましい態様例となっている。

    【0110】上述した実施の形態例のブラジャーは、上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋上を通る部分である、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者のほぼ鎖骨近傍部分までが、長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなっており、従って、必要な部分の肩紐長手方向の伸長性並びに伸長回復率が比較的大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレが生じにくくされていて、着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5
    bで示される様に、長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を極めて良好に発揮することができ好ましい。

    【0111】次に、図13に本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である1/
    2カップタイプの一実施の形態のブラジャーの斜視図、
    図14にその着用状態における右側面概念図を示した。

    【0112】このブラジャーは、肩紐の態様は、図1、
    図2に示したブラジャーとほぼ同一の概念のもとに設計されているが、乳房カップのタイプが3/4カップタイプではなく、よりカップ形状の小さい1/2カップタイプのブラジャーに適用した態様である。 その他の態様は図1、図2に示したブラジャーと実質上同一であるので、同一部分には同一の符号を付して、重複説明を省略している。

    【0113】この図13、図14に示したブラジャーの実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)
    からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分の約8〜1
    1cmの長さにわたって存在している本発明の好ましい態様例を示したものである。 図1、図2の3/4カップタイプの態様に比べて、カップの形状が小さいので、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分5aの長さが、若干長くなる点が、
    図1、図2の態様と若干異なってくるのみである。 そして、この実施の形態例に於いても、肩紐5の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0114】更にこの例に於いても、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて(a)と(b)の境界9まで分断されずに連続して存在している本発明の好ましい態様例となっている。

    【0115】上述した実施の形態例のブラジャーは、上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋に相当する部分である、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者のほぼ鎖骨近傍部分までが、長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)
    からなっており、従って、必要な部分の肩紐長手方向の伸長性並びに伸長回復率が比較的大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレが生じにくくされていて、
    着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5bで示される様に、長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を極めて良好に発揮することができ好ましい。

    【0116】次に、図15に本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料であるフルカップタイプの一実施の形態のボディスーツの斜視図を示した。

    【0117】このボディスーツのブラジャー相当部分と肩紐の態様は、図11、図12で説明したフルカップタイプのブラジャーとほぼ同一の概念のもとに設計されているボディスーツである。 乳房カップ1より下側にボディ部50とクロッチ部51を有している。 その他の態様は図11、図12に示したブラジャーと実質上同一であるので、同一部分には同一の符号を付して、重複説明を省略している。

    【0118】この図15に示したボディスーツの実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分の約4〜7cmの長さにわたって存在している本発明の好ましい態様例を示したものである。 図1、図2の3/4カップタイプのカップ態様に比べて、カップの形状が大きいので、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分5aの長さが、若干短くなる点が、図1、図2に示したブラジャーの態様と若干異なってくる。 そして、この実施の形態例に於いても、肩紐5の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0119】更にこの例に於いても、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて(a)と(b)の境界9まで分断されずに連続して存在している本発明の好ましい態様例となっている。

    【0120】上述した実施の形態例のボディスーツは、
    上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋上を通る部分である、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者のほぼ鎖骨近傍部分までが、長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)
    からなっており、従って、必要な部分の肩紐長手方向の伸長性並びに伸長回復率が比較的大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレが生じにくくされていて、
    着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5bで示される様に、長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を極めて良好に発揮することができ好ましい。

    【0121】次に、図16に本発明の肩紐とそれを用いた本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料であるフルカップタイプの一実施の形態のブラスリップの斜視図を示した。

    【0122】このブラスリップのブラジャー相当部分と肩紐の態様は、図11、図12で説明したフルカップタイプのブラジャーとほぼ同一の概念のもとに設計されているブラスリップである。 乳房カップ1より下側に胸下部身頃60と更にそれに連なってスカート部61を有している。 その他の態様は図11、図12に示したブラジャーと実質上同一であるので、同一部分には同一の符号を付して、重複説明を省略している。

    【0123】この図16に示したブラスリップの実施の形態例に於いては、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分の約4〜7cmの長さにわたって存在している本発明の好ましい態様例を示したものである。 図1、図2の3/4カップタイプのカップ態様に比べて、カップの形状が大きいので、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から鎖骨近傍に至るまでの肩紐前側の部分5aの長さが、若干短くなる点が、図1、図2に示したブラジャーの態様と若干異なってくる。 そして、この実施の形態例に於いても、肩紐5の残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)5bから成っている。

    【0124】更にこの例に於いても、肩紐5の長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分5aが、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から開始されていて(a)と(b)の境界9まで連続して存在している本発明の好ましい態様例となっている。

    【0125】上述した実施の形態例のブラスリップは、
    上肢を上に挙げた場合に最もよく伸展する大胸筋上を肩紐が通る部分である、肩紐の乳房カップ部取り付け部位6から着用者のほぼ鎖骨近傍部分までが、長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなっており、従って、必要な部分の肩紐長手方向の伸長性並びに伸長回復率が比較的大きく、上肢を上に挙げた場合に乳房カップのズレが生じにくくされていて、着崩れの問題が改良されると共に、肩紐の残余の部分が5bで示される様に、長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成るので、上肢を下げた場合の正立位において、乳房造形性を極めて良好に発揮することができ好ましい。

    【0126】以上、実施の形態の具体例として、ブラジャー、ボディスーツ、ブラスリップを挙げて本発明を説明したが、本発明の肩紐並びにそれを用いた乳房カップを有する肩紐付き衣料は、これらの具体例で記載されたもののみに限定されるものではなく、ブラジャー、ボディスーツ、ブラスリップ、ブラキャミソール、セパレートタイプの水着のトップ部、その他各種の乳房カップを有する肩紐付き衣料用の肩紐並びに乳房カップを有する肩紐付き衣料に適用できる。

    【0127】尚、本発明の肩紐の長手方向伸長性並びに伸長回復率の測定方法は次の通りである。

    【0128】[長手方向伸長性並びに伸長回復率の測定方法]長手方向伸長性は、次の引っ張り試験を行って測定する。 肩紐用テープを経方向長さ16.0cmにカットし試験片とする。 緯方向長さ(幅)は、試験片であるテープの幅のままである。

    【0129】その経方向長さを上下方向に向けてその両端を引張試験機のチャックでつかむ。 上部経方向つかみ長さを2.5cm、下部経方向つかみ長さを3・5cm
    とし、従って試験長(上部と下部のチャック間の試験片の長さ)は10.0cmとして定速伸長形引張試験機(島津製作所製”オートグラフ”AG−500D)に取り付け、30±2cm/分の速度で試験片を引つ張る。
    応力が22.064962N(2.25kgf)時まで引つ張り、9.80665N(1.0kgf)時の伸びを測定し、これを本発明での9.80665N(1kg
    f)荷重時における長手方向伸長性とする。

    【0130】伸長性は次式で表される。

    【0131】

    【数1】 伸長性(%)=[(b−a)/a]×100(%)

    【0132】ここで、aは伸長前の試験片の長さ(伸長前の上部と下部のチャック間の試験片の長さ)を表し、
    bは伸長後の試験片の長さ(伸長後の上部と下部のチャック間の試験片の長さ)を表す。

    【0133】伸長性の値は、上記引っ張り試験機により自動的に記録される様に設定しておくと便利であるが、
    自動記録設定をせずに目視により確認してもよい。 尚、
    伸長性のデータは、試験片2つの平均値とした。

    【0134】次に、伸長回復率の測定法を説明する。 上記と同様の試験片を上記と同様の態様で定速伸長形引張試験機(島津製作所製”オートグラフ”AG−500
    D)に取り付け、30±2cm/分の速度で試験片を伸度60%となるまで引っ張る。 ここで伸度とは、上記数式[数1]の伸長性の式により計算できる。 伸度60%
    を、設定伸度:Lとする。 すなわちここではL=60である。 伸度60%までの引っ張りを3回繰り返す。 伸度60%までの引つ張りを3回繰り返した後、試験片にかかる応力を取り去ると、試験片が元の長さに戻ろうするが、除重して0N(0kgf)になった時の残留伸度(%)を測定し、これをL 0とする。 3回の引っ張り試験の後、試験片に残留伸びが生じ、通常経方向長さが元の長さよりも長くなる。 回復率は、下記数式により算出する。

    【0135】

    【数2】回復率(%)=[(L−L 0 )/L]×100

    【0136】尚、残留伸度L 0 (%)は、下記数式で表される。

    【0137】

    【数3】残留伸度L 0 (%)=[(d−c)/c]×1
    00(%)

    【0138】ここで、cは伸長前の試験片の長さ(伸長前の上部と下部のチャック間の試験片の長さ)を表し、
    dは伸長後の除重時の試験片の長さ[除重して0N(0
    kgf)になった時の上部と下部のチャック間の試験片の長さ]を表す。

    【0139】

    【発明の効果】(1)以上説明した様に、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料及び当該衣料に用いる肩紐は、肩紐の長手方向の一部が長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)から成り、残部が長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)から成る肩紐であって、前記肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩稜線を背面側に5cm越えるまでの部分の肩紐の少なくとも一部が(a)からなり、且つ(a)からなる部分が肩稜線より前側の範囲に於いて少なくとも長さにして2.5cm以上存在し、(a)の9.8066
    5N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が50
    〜100%であり、伸長回復率が85%以上であって、
    (b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が20〜55%であり、且つ(a)の前記長手方向伸長性が、(b)の前記長手方向伸長性の1.5倍以上としたので、上肢を上に挙げた際に生じる着崩れの問題が改良され、しかも正立位において、本来の乳房造形性を保持した、乳房カップを有する肩紐付き衣料及び当該衣料に用いる肩紐を提供できる。

    【0140】(2)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩紐が肩稜線に至るまでの肩紐前側の部分から選ばれた少なくとも一部である本発明の好ましい態様とすることにより、更に乳房造形性をより良好に発揮することができる。

    【0141】(3)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から開始されていて連続して存在している本発明の好ましい態様とすることにより、(a)の部分が連続していた方が、製造が容易で、製造コストも安くなるという肩紐の製造上の利点がある。 また、数10メートル単位で製造された肩紐素材を、裁断した上で、環などを取り付け縫合したり、カップ部に縫合したり、という製造工程において、環などの取り付け箇所や縫合箇所の間違いが起こりにくく、製造時の管理を行い易い。 また(a)の部分の機能が十分に効率よく発揮され易い傾向にあり好ましい。

    【0142】(4)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩稜線を背面側に3cm越えるまでの部分の全部である態様とすることにより、より一層着崩れの改良された乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐が提供できる。

    【0143】(5)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(a)からなる部分が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位から肩紐が肩稜線に至るまでの肩紐前側の部分の全部である本発明の好ましい態様とすることにより、前記(4)の態様に較べて、乳房造形性が保持しやすい。

    【0144】(6)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(a)の9.806
    65N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が7
    0〜90%である本発明の好ましい態様とすることにより、上肢を上に挙げた際にズレの発生に伴う、着崩れを防止できると共に、正立位における乳房造形性がより良好に発揮され、より好ましい。

    【0145】(7)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(a)の伸長回復率が90〜96%である本発明の好ましい態様とすることにより、正立位における乳房造形性がより良好に発揮され、より好ましい。

    【0146】(8)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(b)の9.806
    65N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が2
    2〜35%である本発明の好ましい態様とすることにより、正立位における乳房造形性がより一層発揮されると共に、着用中の締め付け感が強すぎたり、肩こりの発生などがより確実に防止でき、着用感の低下がより少なくなり、より好ましい。

    【0147】(9)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、(a)の9.806
    65N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性が、
    (b)の9.80665N(1kgf)荷重時における長手方向伸長性の2〜3.3倍である本発明の好ましい態様とすることにより、正立位における乳房造形性と、
    上肢を上に挙げた際のズレの発生防止、着崩れ防止機能とがよりバランスよく効果的に発揮されより好ましい。

    【0148】(10)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、肩紐の長さ調整用金具が、肩紐の乳房カップ部取り付け部位とは反対側の(b)側の端部側に取り付けられている本発明の好ましい態様とすることにより、肩紐の長さ調整が衣料の背面側の肩紐の部分で行えるので、本発明の着崩れの改良、
    乳房造形性の保持機能を阻害することなく、肩紐の長さ調整が可能となる。

    【0149】(11)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、肩紐が織物からなる肩紐である本発明の好ましい態様とすることにより、
    織物からなる肩紐は、編物からなる肩紐に比べて、強度を大きくすることができ、ほつれが生じにくく、また長期間の使用において、強度を長期にわたって維持しやすい点で好ましい。

    【0150】(12)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、肩紐が、腕を下げて直立した状態での衣料着用状態における肩稜線より前側の肩紐全体を更に2.5cm伸ばした時の肩紐にかかる荷重が7.84532N(800gf)以下である特性を有する本発明の好ましい態様とすることにより、着用している乳房カップを有する肩紐付き衣料のズレを最小限許容される範囲に押さえることができ、より確実に、着崩れの生じにくい乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに当該衣料に用いる肩紐を提供できる。

    【0151】(13)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、肩紐が、(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている1本の連続した織物からなる肩紐である本発明の好ましい態様とすることにより、(a)部分と(b)部分とのつなぎ目や、段差のない肩紐とすることができ好ましい。

    【0152】(14)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、肩紐が、経糸として弾性糸と非弾性糸を含み、前記弾性糸に加える張力の強弱により(a)からなる部分と(b)からなる部分とが織り分けられて形成されている連続した織物からなる肩紐であって、前記(a)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が強く設定された部分であり、前記(b)からなる部分が前記織物の形成の際に前記弾性糸に加える張力が(a)の部分より弱く設定された部分である織物からなる肩紐である本発明の好ましい態様とすることにより、(a)部分と(b)部分とのつなぎ目や、段差のない肩紐で、本発明の所定の物性を備えた肩紐を容易に得ることができ好ましい。

    【0153】(15)また、本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料並びに肩紐において、その衣料が、ブラジャー、ボディスーツ、ブラスリップ、ブラキャミソール、セパレートタイプの水着のトップ部から選ばれた衣料であり、また肩紐が前記衣料用の肩紐である本発明の好ましい態様とすることにより、これらの衣料に適用した場合にはこれらの衣料は前述した本発明の改良機能を最も必要とする衣料であり、効率よく本発明の効果かが発揮され好ましい。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4カップタイプのブラジャーの一実施の形態の斜視図。

    【図2】図1のブラジャーの着用状態における右側面概念図。

    【図3】本発明の肩紐に置ける長さ調整用金具が取り付けられている部分の拡大部分斜視図。

    【図4】エイト環の一例の平面図。

    【図5】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4カップタイプの別の実施の形態のブラジャーの斜視図。

    【図6】図5のブラジャーの着用状態における右側面概念図。

    【図7】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4カップタイプの更に別の実施の形態のブラジャーの斜視図。

    【図8】図7のブラジャーの着用状態における右側面概念図。

    【図9】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である3/4カップタイプの更に別の実施の形態のブラジャーの斜視図

    【図10】図9のブラジャーの着用状態における右側面概念図。

    【図11】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料であるフルカップタイプの一実施の形態のブラジャーの斜視図。

    【図12】図11のブラジャーの着用状態における右側面概念図。

    【図13】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料である1/2カップタイプの一実施の形態のブラジャーの斜視図。

    【図14】図13のブラジャーの着用状態における右側面概念図。

    【図15】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料であるフルカップタイプの一実施の形態のボディスーツの斜視図。

    【図16】本発明の乳房カップを有する肩紐付き衣料であるフルカップタイプの一実施の形態のブラスリップの斜視図。

    【図17】上肢を下げて直立した状態と、上肢を上に挙げて直立した状態における女性人体の横から見た前側のバスト近傍のシルエット図。

    【図18】人体右側の乳房の正立位状態と上肢を上に挙げた状態との乳房のバージスラインを示した図。

    【図19】ブラジャーを着用した状態における背面側からの着用状態部分モデル背面図。

    【図20】ずれの発生する最小限の荷重を測定するための実験状況を示す図。

    【符号の説明】

    1 乳房カップ 2 土台布 3 バック布 4 バック布の連結係止部 5 肩紐 5a 長手方向伸長性が比較的大きく、且つ伸長回復率も比較的大きい部分(a)からなる部分 5b 長手方向伸長性が比較的小さい部分(b)からなる部分 5c 肩紐5の他端 6 肩紐の乳房カップ部取り付け部位 7 肩紐の衣料背面側への取り付け部位 8 丸環 9、9a、9b、9c (a)と(b)の境界 20 着用者の身体の一部 21 肩稜線 22 上肢の付け根 30 エイト環(8環) 31 エイト環30の中央支柱 32 エイト環30の外側支柱 33 エイト環30の外側支柱 50 ボディ部 51 クロッチ部 60 胸下部身頃 61 スカート部 171a 正立位状態における女性人体の横から見た前側のシルエット曲線 171b 上肢を上に挙げて直立した状態における女性人体の横から見た前側のシルエット曲線 172a 曲線171aのバージスライン最下点の位置 172b 曲線171bのバージスライン最下点の位置 173a 曲線171aの乳房トップの位置 173b 曲線171bの乳房トップの位置 181a 正立位状態における乳房のバージスライン 181b 上肢を上に挙げた状態における乳房のバージスライン 182a 正立位状態における乳房のトップの位置 182b 上肢を上に挙げた状態における乳房のトップの位置 191 人体 192 肩紐 192a 上肢を下向きに下ろしている正立位時における肩紐の通る位置 192b 上肢を上に挙げた状態での肩紐の通る位置 193 ブラジャーのバック布 201 ブラジャー 202 肩紐 203 乳房カップ 204 丸環 205 バネばかり 206 もとの肩紐の長手方向と同じ方向の矢印 207 土台布の下辺

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