【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、シール調立毛布帛及びその製造方法に関する。 【0002】詳しくは、立毛構造や触感が天然の高級毛皮の中でも特に最高級品と評価されているシールやチンチラに非常に近似していて、また特に、従来の類似のものに比べて立毛層の外観が良好で特に立毛繊維の根元部が先端部に比較しケン縮数の多い特殊な立毛布帛及びその製造方法に関するものである。 【0003】この発明による立毛布帛は、特に毛皮調に限定されるものではないが、毛皮に近似していることから、高級衣料やシート地として用いられるのが最適なものである。 【0004】 【従来の技術】天然毛皮は保温を目的に細くてケン縮を有し、かつ密集し一定の長さにそろったわた毛と、体を保護するための太くて長い尖端が尖ったさし毛からなっている。 特にシールはオットセイのさし毛を抜いたわた毛のみの毛皮で、わた毛の密度が高くほぼ直立し根元部が先端部に比較しケン縮数の多い構造で毛並みの方向性が少なく柔らかな触感である。 またチンチラもわた毛タイプで繊細で絹のような柔らかさで、光沢があり最高級毛皮として取り扱われている。 ゆえに人工的にそれらを作ろうとしても近寄り難いものの一つである。 【0005】そのため、天然毛皮は依然として高価なものであり、ステータス・シンボルとして、あるいは超高級ファション衣料素材としてゆるぎない地位にある。 【0006】一方、以前から、単なる毛布様としか言いようのないものなどをはじめとして、「天然毛皮調」をうたい文句にした立毛布帛は数多く提案されてきている。 近年も、動物愛護運動の高まりなどとともに、より高級な天然毛皮調をねらった提案も数多く見られる。 【0007】たとえば、人造の毛皮の製造に関して、特開昭49−85361号公報や実広昭48−15816 号公報に記載の提案等が知られているが、いずれも総合的には満足のいくものでないのが現状である。 【0008】また、特開昭57−61741号公報には、特殊な毛皮調立毛布帛とその製造方法に関する技術が記載されているが、この技術によるものは、わた毛立毛の立毛の長さおよび均一長分布の点では配慮されておらず、天然ミンクと同様の2層構造のはっきりとしたものが得られず見ばえが悪く、また、立毛部分が筆先状集合体となっているため立毛がもつれ合いやすいものであった。 さらに、カットパイル布帛化により切断されたパイル繊維先端部はブツ切り状となり、表面タッチがザラザラとなり見ばえも白ボケ状となるという欠点があった。 また、紡績性からみた場合、わた毛のステ−プル長さは短い方に限界があり、所望の立毛長さを得るのが困難であって、いまだ改良を望まれる点も多くあった。 【0009】また、特公昭63−64536号公報には、わた毛調立毛が地組織からの立毛長さにおいて均一長の部分を有している立毛繊維長分布を呈しているパイル布帛が記載されており、この技術は上述の特開昭57 −61741号公報に記載の方法を更に改良した有効なものであるが、該特開昭57−61741号公報に記載の技術と同様にカットパイル布帛化により分離させる方式のため、わた毛繊維の先端切断部がくぎの頭状となる「ブツ切り状態」となり、該状態では、先端部どうしがひっかかり合って立毛がもつれ合いやすく、また、表面タッチ、見ばえともに満足のいくものが得られないという問題が存在するものであった。 【0010】また、特開昭62−117851号公報には、チンチラ調人工毛皮とその製造方法に関する技術が記載されているが、この技術によるものは、立毛繊維の根元部が先端部に比較しケン縮数が多い点には配慮されておらず、天然チンチラと同様の構造になっておらず、 色の深み不足による見栄えが悪いという欠点があった。 【0011】他方、特開昭58−54039号公報にはポリエステル系繊維からなる立毛長に差のある太くて長いさし毛調繊維と、熱収縮性の大きい細くて短いわた毛調繊維からなる人工毛皮の製造方法が記載されている。 この発明は、本発明の0.5デニールから15デニール以下の細いわた毛調立毛繊維のみからなる物と異なり、 天然毛皮に類似した太くて長いさし毛調繊維と細くて短いわた毛調繊維からなる物で、わた毛調繊維に第三成分としてネオペンチレングリコール3〜25モル%含有している物であって、本発明とは異なるものである。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、前述したような点に鑑み、立毛構造や触感が天然の高級毛皮のわた毛調と言われるシールやチンチラに非常に近似していて、根元部ではボリューム感があり立毛繊維を立たせると同時に地割れを防止し、先端部では繊細な柔らかいタッチと色の深みを得、特に良好でハイレベルのものを得ることを課題とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するため本発明の立毛布帛は、次の構成を有する。 すなわち、低収縮ポリエステル系繊維と高収縮ポリエステル系繊維との2種以上のフィラメント混繊糸からなる立毛を有する立毛布帛において、高収縮ポリエステル系繊維と低収縮ポリエステル系繊維の沸水収縮率差が5〜15% であり、高収縮ポリエステル系繊維と低収縮ポリエステル系繊維の160℃乾熱収縮率差が15〜40%であり、低収縮ポリエステル系繊維および高収縮ポリエステル系繊維の立毛本数がそれぞれ全立毛本数の5%以上であり、立毛繊維の根元部のケン縮数が先端部のケン縮数より大であることを特徴とする立毛布帛である。 【0014】また、本発明の立毛布帛の製造方法は、次の構成を有する。 すなわち、低収縮ポリエステル系繊維と高収縮ポリエステル系繊維との2種以上のフィラメント混繊糸からなり、高収縮ポリエステル系繊維と低収縮ポリエステル系繊維の沸水収縮率差が5〜15%であり、高収縮ポリエステル系繊維と低収縮ポリエステル系繊維の160℃乾熱収縮率差が15〜40%であり、低収縮ポリエステル系繊維および高収縮ポリエステル系繊維の立毛本数がそれぞれ全立毛本数の5%以上であるカットパイル立毛布帛を、基布側を150〜250℃かつ、立毛側温度より50℃以上高い温度で加熱した後、 カットパイル立毛布帛の立毛表面部に、粘度が150〜 700ポイズであるアルカリ処理剤を付与し、加熱して立毛繊維の先端部を減量加工することを特徴とする立毛布帛の製造方法である。 【0015】以下、さらに詳しく本発明について説明する。 【0016】本発明において用いるポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合体があげられる。 好ましくはポリエチレンテレフタレートが良い。 このポリエステルあるいはポリエチレンテレフタレートは製造工程において副生成される範囲内でジエチレングリコールなどを主鎖に含んでいてもかまわない。 【0017】高収縮ポリエステル系繊維(以下、高収縮糸)に用いられる共重合ポリエステルの第三成分として、ジカルボン酸類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールのグリコール類、ビスフェノールAおよびビスフェノールスルフォンからなる群より選ばれた2 種以上の第三成分をそれぞれ5〜18モル%共重合させたものを用いることも好ましい。 【0018】ジカルボン酸類としては、シュウ酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸があげられ、グリコール類としては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールがあげられる。 【0019】本発明に用いる高収縮糸の共重合ポリエステルとしては、これらの共重合ポリエステルのうちアルカリ減量速度がポリエステルのアルカリ減量速度よりも単位表面積当たりのアルカリ減量速度比で1.3以上3.1以下大きくするものを好適に選択できる。 特にビスフェノールA1.0モル%以上とイソフタル酸3.0 モル%以上をともに、第三成分として共重合した共重合ポリエステルを高収縮糸とする収縮差混繊糸は製糸が容易であり、最終製品である立毛布帛にした場合、立毛構造が天然の高級毛皮であるシールやチンチラに非常に近似してるので好ましい。 【0020】本発明の異収縮糸の混繊を得る方法としては、未延伸糸を延伸しながら混繊する方法、延伸後に延伸糸を混繊する方法、また各延伸糸を静電気あるいは流体で開繊し、混繊する方法がある。 【0021】また,立毛繊維として、紡糸時において共重合ポリエステルからなる高収縮糸と非共重合ポリエステルからなる低収縮ポリエステル系繊維(以下、低収縮糸)を同時に紡糸して得られるマルチフィラメント糸を用いることも好ましい。 【0022】特に収縮差混繊糸の製造方法の中で生産性の点で最も優れた紡糸混繊方式をとることが可能となるので、低収縮糸をポリエステルとし、収縮の最も大なる繊維成分(高収縮糸)には第三成分を共重合せしめた共重合ポリエステルとすることが好ましい。 ここにおいて安定な製糸が可能であって、なおかつ収縮差混繊糸の収縮特性が容易に得られるため、共重合ポリエステルの第三成分共重合量は5モル〜18モル%とすることがより好ましい。 【0023】本発明の紡糸時に同時に紡糸して得られる収縮差混繊糸を製造する方法としては、特開平3−59 130号公報に開示されたような方法で、紡糸時において共重合ポリエステルからなる高収縮糸と非共重合ポリエステルからなる低収縮糸を同時に紡出し、高収縮糸と低収縮糸との混合未延伸糸として巻取り、その後該未延伸糸を延伸する紡糸混繊方法が最も生産性の上で有利である。 この製糸工程において、製編織における工程通過性を向上させるために、流体交絡処理を付与することも好ましい。 【0024】本発明の立毛布帛のパイル部に用いる収縮差混繊糸は、熱収縮率の異なる少なくとも2種の繊維群からなることが必要であるが、製糸が容易なことから2 種の繊維群を主体にすることが好ましい。 本発明で用いる低収縮糸をポリエステルとし、高収縮糸を第三成分を共重合せしめた共重合ポリエステルとすることが好ましい。 本発明で用いる収縮差混繊糸は、例えば、特公昭5 1−30620号公報や特開昭49−72449号公報などに示されるような通常の混繊紡糸と延伸により得られる。 この製糸工程において、製編織における工程通過性を向上させるために流体交絡処理を付与することが好ましい。 工程通過性を良好にする観点から好ましい交絡度の範囲は5〜60コ/mである。 【0025】本発明に用いる混繊糸は高収縮糸と低収縮糸の沸水収縮率差を5〜15%とするものである。 高収縮ポリエステル系繊維と低収縮ポリエステル系繊維の沸水収縮率差が5%に満たないと、熱処理により2種以上の繊維のケン縮状態が非常に似かより、繊維が重なったような形態となり1本1本独立した立毛繊維とならず見栄えを悪くする。 例えば収縮率が低い物同士であれば、 ボリーム不足となり地割れや、立毛のヘタリが大きくなりわた毛調立毛布帛としては不十分である。 また収縮率が高い物同士であれば、ケン縮発現が大きく、ボリームが出過ぎて立毛繊維同士が絡み合いモヤモヤとした見栄えの悪い物となり、立毛のそよぎ性も悪くなる。 一方、 沸水収縮率差が15%を越えるとケン縮状態が異なり過ぎて人工的な風合いとなるなどの問題がある。 【0026】また、本発明に用いる混繊糸は高収縮糸と低収縮糸の160℃乾熱収縮率差を15〜40%とするものである。 高収縮糸と低収縮糸の160℃乾熱収縮率差が15%に満たないと、熱処理により2種以上の繊維のケン縮状態が非常に似かより、繊維が重なったような形態となり1本1本独立した立毛繊維とならず見栄えを悪くする。 一方、160℃乾熱収縮率差が40%を越えるとケン縮状態が異なり過ぎて人工的な風合となってしまう。 【0027】ここで沸水収縮率差、160℃乾熱収縮率差とは、最高収縮糸と最低収縮糸との差である。 例えば3種以上のフィラメント糸を用いた場合、中間の収縮率の糸との差ではない。 【0028】本発明の立毛布帛においては、立毛の構成される収縮率の異なる各々の立毛本数を、全立毛本数の5%以上とするものである。 5%未満であれば同一繊維が多くなり過ぎてケン縮形態がほぼ同じとなり繊維同士が重なり合って1本1本開繊されにくく見栄えの悪い物となる。 【0029】本発明の立毛布帛においては、立毛繊維の根元部のケン縮数が先端部のケン縮数より大とするものである。 このようにしなければ、根元部でボリューム感を出し、立毛繊維を立たせると同時に地割れを防止し、 先端部では繊細な柔らかいタッチと色の深みを出すことはできない。 このような構造にするには後述のとおり基布側を150〜250℃かつ、立毛先端側の加熱温度より50℃以上高い温度で加熱すればよい。 【0030】本発明において立毛布帛は、基布が編織物である二重パイル編織物で、タテパイル糸をナイフ等で切断することにより2枚に分離して得ることができる。 【0031】この様にして得られた収縮差混繊糸をパイル糸として用い、二重製編織機にて製編織し、タテパイル糸をナイフで切りパイル編織物を2枚得て、その後該編織物のパイル裏面側に適宜バッキング加工を施し、さらにパイル面に対して毛さばき処理を施して遊び毛などを適宜に除去する。 【0032】パイル編織物は、ポリエステル系フィラメント糸からなる2種以上の収縮差混繊糸のパイルからなるもので、単繊維繊度を0.5〜15デニール,立毛長を5〜20mmとすればわた毛調立毛布帛が容易に得られるので好ましい。 【0033】次に本発明の立毛布帛の製造方法について説明する。 【0034】本発明の立毛布帛の製造方法は、前記した、低収縮糸と高収縮糸との2種以上のフィラメント混繊糸からなり、高収縮糸と低収縮糸の沸水収縮率差が5 〜15%であり、高収縮糸と低収縮糸の160℃乾熱収縮率差が15〜40%であり、低収縮糸および高収縮糸の立毛本数がそれぞれ全立毛本数の5%以上であるカットパイル立毛布帛を用いて、基布側を150〜250 ℃,好ましくは180〜230℃かつ、立毛側温度より50℃以上、好ましくは70℃以上高い温度で加熱するものである。 基布側(裏面)の加熱温度を150℃未満としたのでは根元部に十分なケン縮を発現させることが困難である。 250℃を越えるとケン縮が出すぎ、また繊維が黄変するなどの問題がある。 【0035】また、基布側(裏面)加熱温度と立毛側温度との差が50℃未満では根元部と先端部のケン縮数を異なるものとすることは困難である。 【0036】ここで、立毛側温度とは立毛繊維先端部の雰囲気温度をいう。 熱処理時間は20秒以上必要であるが3分を過ぎれば変化が少ないので最適時間を選べば良い。 パイル糸の熱による収縮発現処理は、布帛形成後染色までの任意の段階で行うことが出来る。 その処理方法は公知の乾熱処理の方法を採用することができる。 乾熱処理温度により立毛糸の収縮率が異なるのを利用して、 立毛繊維の根元部は加熱温度を高くしてケン縮を多く付与し、立毛繊維の先端部は根元部に比べ加熱温度を低くしケン縮を少なくする。 【0037】加熱処理は、熱シリンダーロールに基布側を抱かせる方法や、基布側のみから熱風を当てたり、ガス等の燃焼熱や電気ヒーターの熱などによる輻射熱を利用し基布側から当てる方法を採用することが出来る。 熱処理することで糸収縮が起こり適度なケン縮が発現すると同時に、収縮差により立毛の長短およびケン縮の度合いの異なる立毛繊維で構成されるパイル布帛が得られる。 最適な熱処理条件により天然の高級毛皮であるシールやチンチラの立毛繊維に非常に近似したケン縮構造の立毛布帛が得られる。 【0038】本発明の方法においては、さらに、パイル編織物の立毛表面部に、粘度が150〜700ポイズであるアルカリ処理剤を付与して後、乾熱処理または湿熱処理に供することによって、該わた毛調立毛繊維の先端部を減量加工せしめるものである。 【0039】アルカリ減量加工法なしでは、立毛繊維の先端部は図2のようにくぎの頭状になっているため、表面タッチがザラザラとなり見ばえも光反射による白ボケ状となり、わた毛調立毛どうしが寄り合いもつれ合いやすいものであって、該もつれが、外観の美しさや立毛のなびき性を著しく悪化させて、製品品位、品質を悪化させる一因となる。 【0040】アルカリ処理剤粘度を150〜700ポイズ、好ましくは200〜500ポイズ以上とするものである。 150ポイズ未満の粘度では布帛を水平にて加熱処理した場合、熱によるアルカリ処理剤の急激な粘度低下が起り、立毛密度の粗な所へアルカリ処理剤が落ち込んでしまい、また、立毛密度が密な所へは浸透が不足し、結局、不均一な加工を行なわしめ立毛繊維のスポット状不ぞろいによる見栄えの悪いものが得られる。 70 0ポイズを越えると均一塗布が困難となる。 【0041】なお、本発明でいう粘度は、処理液を調合したときの粘度であり、後述する処理条件時の粘度を示すものではない。 また、本発明でいう粘度値は、いずれも20±5℃においてB型粘度計を用い、測定条件としてロータNo. 4を使用し、12 rpmにて測定される値である。 【0042】増粘アルカリ処理剤としては、経済的、作用効果の面から水酸化ナトリウムを用いるのがよく、増粘剤としては一般に糊剤と呼ばれるものを各種使用できるが、これ以外にも水溶性のポリマーなども使用できる。 【0043】以下、図面に基づき更に詳しく本発明について説明する。 【0044】本発明にかかる立毛布帛の構造例をモデル図により説明すると、図1は、本発明により得られるわた毛調立毛を有するパイル布帛の構造例を示した概略モデル側面図であり、低収縮使いわた毛調立毛1は立毛長が長く、高収縮使いわた毛調立毛2は立毛長が短く、各々地組織3からの立毛長さがほぼ均一長さの部分を有してる。 低収縮使いわた毛調立毛1は収縮率が低いため、 ケン縮が少なく繊維先端部はストレートに近く根元部は若干のケン縮を有している。 高収縮使いわた毛調立毛2 は収縮率が高いため、根元部では特にケン縮が多く、繊維先端部は処理温度が根元部に比べ低いためにケン縮が少なくなっている。 従来の熱風乾燥機等の均一加熱による均一ケン縮発現に比較して本発明の立毛表面部のケン縮数の減少によりモヤモヤ感が減少され見栄えが良くなっている。 【0045】全体的にみて低収縮糸使いわた毛層と高収縮糸使いわた毛層の明瞭な長さ分布差は見受けられないが、若干高収縮糸使いわた毛層が短くなった本発明の立毛布帛1を呈している。 【0046】地組織4には、ポリウレタン、ポリアクリルなどの接着性重合体が含浸されているか、バッキング層5が形成せしめられているか、あるいはそれら両者が形成されていてもよく、バッキングをせしめる場合には、パイル立毛の固定、さらに疑革化など所望の目的に応じて適切なバッキングを行なえばよい。 連続フィラメント糸をパイル糸に使用したパイル布帛は、場合によっては、バッキングを省略することが可能な場合もある。 【0047】個々のパイル立毛中間部は、その中間部横断面構造において低収縮糸繊維と高収縮糸繊維のわた毛立毛をなす繊維とが複数本混在している混紡糸構造、すなわち、複数本の立毛繊維が混紡糸状に集団で寄り集まって1つのパイル株を構成しているパイル株構造を有している。 【0048】このように、本発明のパイル布帛では、連続フィラメント糸使いの特殊加工糸を用いパイルが形成されたものであることから、個々のパイル中間部では、 低収縮糸繊維と高収縮糸繊維のわた毛立毛とが、非常にうまくこなれ良くミックスされて混在している糸束構造になっている。 このようなパイル構造を有することにより、後述するように、表面タッチ、色の深みの良さがもたらされる。 【0049】立毛繊維の先端部を減量加工して得られる立毛布帛の製造方法としては、粘度が特に150〜70 0ポイズであるようにされた増粘アルカリ処理剤により、該わた毛調立毛繊維の先端部を減量加工せしめるものである。 減量加工とは加水分解剤であるアルカリ処理剤で立毛繊維の先端部をモデル図2に示す処理前のくぎの頭状のようなブツ切り状の物を図3〜図6に示す様な、ある程度滑らかな形態やテーパー状態に加工することである。 その程度の形態の変化があっても、外観、タッチ、風合いなどの改善効果は十分に認められるからである。 【0050】次に、本発明方法における好ましい製造方法を説明する。 【0051】この様にして得られた収縮差混繊糸をパイル糸として用い、二重製編織機にて製編織し、タテパイル糸をナイフで切りパイル編織物を2枚得た、フィラメント糸使いのためほぼ全立毛繊維がパイルカット長の長さの分布を示している。 【0052】立毛繊維の熱処理によるケン縮発現方法はバッキング工程の前後どちらでも良いが、作業性等からバッキング前の方が良い。 生産を考慮すれば温度調整が簡単で精度の良い熱シリンダーロールを用いて基布側(裏面)をロールに接触抱かせる方法が良い。 【0053】次に立毛繊維の抜け防止のため、アクリル等の接着性重合体を用い裏面からバッキングを行なう。 ただし地組織や、編織密度により立毛繊維の抜けが問題なければ省略してもよい。 次にパイル面に対してレイジイング機で毛さばき処理を施して、立毛繊維を開繊する。 パイルカット斑による立毛繊維の長短差が出た場合や立毛長さを一定に揃える等の時はシャーリングマシンにて一定長まで刈り込みを実施する。 【0054】そしてさらに、該パイル布帛の立毛に対して、特に増粘された粘度が150〜700ポイズであるアルカリ処理剤(以下、増粘アルカリ処理剤という)をコーターで付与し、さらに乾熱処理または湿熱処理に該布帛を供することによってシール調立毛を減量加工させると、図1に示したような立毛布帛が得られる。 減量加工された立毛繊維の先端は図3〜図6に示す様な、ある程度滑らかな形態やテーパー状態になっている。 【0055】アルカリ処理剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ソーダなどのアルカリ金属化合物を使用できる。 本発明は立毛を構成する繊維がポリエステル系繊維であるので、薬剤のコスト、取扱い性、 排水処理の容易さなどの点から、特に水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。 これらの加水分解剤のアルカリ使用濃度は好ましくは15〜45%の範囲内で、用いられている合成繊維の種類、太さ、断面形状、処理方法などに応じて最適濃度を決定すればよい。 また、加水分解促進剤を併用することが望ましく、かかる促進剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリエチルクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩などを使用することができるものである。 【0056】本発明において増粘剤とは、処理液に付与することによって該液の粘度が添加前に比べて粘性が生じる物質をいう。 この粘性の程度は、通常、粘度としてポイズ単位で表示されるものである。 このような粘性を表わす増粘剤とは、一般に、繊維加工業界で「糊料」と呼ばれるものを使用できるが、これ以外にも水溶性のポリマーなども使用できる。 【0057】該増粘剤としては、上述した加水分解剤に分解または/および凝固しないものであって、安価で減量加工後、繊維束から容易に除去できるものを用いることが望ましい。 このような性状を示すものとしては、澱粉、米ぬか、トラガントゴム、アルギン酸ソーダ、ローカストビーンガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナフカクリスタルガム、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸ソーダなどの天然糊料、半合成糊料、合成糊料と呼ばれるものや水溶性のポリマーなどが挙げられる。 【0058】処理液中に増粘剤を付与しておくことによるの効果は、立毛布帛立毛面に図7の5で示した如く均一な増粘アルカリ処理剤層を保持させる点にある。 【0059】増粘アルカリ処理剤の付与方法として、フラットスクリーン、ロータリースクリーン、ナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター等公知の高粘度用コーティングマシンのいずれかを使用すればよい。 付与量として立毛繊維先端形状、立毛繊維密度、繊度、長さ、目標目付等に応じて変更すればよい。 おおむね10〜300g/m 2が好ましい。 【0060】増粘アルカリ剤を付与した立毛繊維の先端部を溶解、分解除去させる過熱処理方法としては、特に、限定されるものではないが、乾熱、常圧湿熱、高圧湿熱、過熱湿熱、高周波、マイクロ波等のいずれかを使用あるいはそれらを併用すればよい。 立毛繊維の溶解、 分解が終了したら、湯水洗と乾燥をする。 このようにして得られた立毛布帛は、立毛繊維の先端部が減量加工され、図3〜図6の状態を有している。 【0061】本発明の方法で得られるパイル布帛は図1 のごとく詳細に見れば2種類の各々均一長の立毛繊維から成り立っているが、長い方の繊維が収縮率が少ないためケン縮も弱くストレートに近いので、立毛表面に現われケン縮によるモヤモヤ感が減少され見栄えが良くなっている。 全体的に見れば低収縮糸、高収縮糸共に一見均一な長さであるため、天然シールやチンチラに非常に近似した構造となっている。 【0062】本発明では、増粘アルカリ処理剤により、 わた毛調立毛繊維の先端部を減量加工されるため、図3 〜図6に示す様にしっかりした形態となっている。 わた毛調立毛先端部が減量加工され釘の頭状の物がなくなり細くなっため立毛部のもつれが少なく、外観の美しさや立毛のなびき性を著しく向上させ、さらに加えて特に濃色系のものであるときにケン縮の強い高収縮糸立毛がストレートに近い低収縮糸立毛層より若干内層であるため、視覚上白っぽく見えるなどという欠点がなく、一段と濃く見えることになる。 そして、これらの効果により立毛の色の深み感、それに基づく立毛層の高級感や立体感、落ちついた光沢感などの外観・色沢特性が非常に良好な高級感に富んだものとなるのである。 【0063】本発明のアルカリ処理剤による立毛繊維の先端部の減量加工による製造方法は、立毛布の全面領域に施すことが基本であるが、それのみにとらわれず、原料立毛布の一部領域にのみ本発明の方法を施すようにしてもよい。 たとえば、タテ方向のストライプ状や斑模様状やランダム模様状になるように一部領域にのみ施してもよい。 【0064】なお、この発明は、毛皮調立毛布帛のみならず、ベロア、ベルベット、モケット、毛布等のいわゆる立毛布帛に有効に応用できる。 【0065】なお、ここで本発明における収縮差混繊糸の糸特性の測定法は次のとおりである。 【0066】沸水収縮率 糸種ごとに100 mg/d の荷重下で試料長(L 0 )を測定したのち無荷重の状態で20分間沸水処理を行なう。 処理後100 mg/d の荷重下で試料長(L 1 )を測定する。 沸水収縮率は次式で求められる。 【0067】 沸水収縮率=(L 0 −L 1 )/L 0 ×100(%) 160℃乾熱収縮率 糸種ごとに100 mg/d の荷重下で試料長(L 0 )を測定したのち無荷重の状態で160℃のオーブン中に30分間静置し乾熱処理を行なう。 処理後100 mg/dの荷重下で試料長(L 2 )を測定する。 160℃乾熱収縮率は次式で求められる。 【0068】 160℃乾熱収縮率=(L 0 −L 2 )/L 2 ×100(%) ケン縮数 糸種ごとに2 mg/d の荷重をかけ、長さ(Lmm)とケン縮の山と谷の数(Cn)を数える。 ケン縮数は次式で求められる。 【0069】 ケン縮数(山/25mm)=Cn×25/2×L 【0070】 【実施例】以下、実施例に基づいて、より具体的に本願発明の特殊な立毛布帛及びその製造方法について説明をする。 【0071】(実施例1)テレフタル酸/エチレングリコールスラリを用いてエステル化反応を行なった後、通常の重合反応を行ないポリエチレンテレフタレートのチップ(チップI )を得た。 他方テレフタル酸/エチレングリコール及びイソフタル酸/エチレングリコールスラリを用い、エステル化反応を行なった後、ビスフェノールAと平均粒径0.5μmの酸化チタンのエチレングリコール溶液 (13.5g /100ml)を添加し、通常の重合反応を行ないイソフタル酸8モル%、ビスフェノールA5モル%共重合ポリエチレンテレフタレートのチップ(チップII)を得た。 このようにして得られたチップI とチップIIを吐出孔径の異なる紡糸口金を装着した紡糸機により、紡糸温度 290℃、紡糸速度 1300m/分で混繊未延伸糸を紡糸した、さらにこの混繊未延伸糸を延伸速度 800 m /分でホットロール(温度90℃)−熱板(温度 100℃ 〜180 ℃)の方式により延伸した。 なお延伸の際にはエア交絡を施し20コ/mの交絡を付与させ、延伸倍率は延伸糸の伸度が30〜40%の範囲になるように調整した。 得られた収縮差混繊糸は75デニール36フィラメントで高収縮糸、低収縮糸共に37.5デニール18フィラメント、三角断面形状である。 収縮差混繊糸を高収縮糸と低収縮糸とに分けた後、それぞれ収縮特性を測定した結果、高収縮糸の沸水収縮率18%、160℃乾熱収縮率45%、低収縮糸の沸水収縮率7%、160℃乾熱収縮率17%であった。 【0072】上記収縮差混繊糸75デニールを撚り係数80コ/mで2本を撚り合わせて約150デニールとしタテパイル糸として用い、地糸のタテ、ヨコにポリエステル・ステープル繊維1.2d×51mmからなる紡績糸(60S/2)を使用し、二重パイル織機にてタテパイル糸をナイフで切りながらタテパイル織物を2枚織成した。 その時の製織性は良好であった。 【0073】地織密度はタテ×ヨコ:96本×48本/ 2.54cm、パイル密度はタテ96本/2.54cmで1 6越ファーストパイルである。 カット高さ(長さ)は1 2mmに設定した。 熱シリンダーロールの表面温度を20 5℃に設定し、得られた生機の基布側をロールに圧着する様に3/4 周抱かせ、ロール回転と同速度で乾熱処理を行なった。 ロールとの接触時間は2分で、その時の立毛繊維先端の温度は95℃であった。 熱処理の終った原反からパイル糸の束を切り取りケン縮を測定した結果、高収縮糸の根元部から半分の高さまでのケン縮数の平均は12山/25mmで、半分の高さから立毛繊維先端までのケン縮数の平均は6山/25mmであった。 また低収縮糸の根元部から半分の高さまでのケン縮数の平均は6山/25mm で、半分の高さから立毛繊維先端までのケン縮数の平均は3山/25mmであった。 その時の低収縮糸のパイル長は10mmで高収縮糸のパイル長は8mmであった。 【0074】次にアクリル樹脂30%水溶液でバッキングし乾燥した。 アクリル樹脂付着量はドライで45g/ m 2であった。 その後、レイシング機でパイル繊維の毛さばきを根元から行ない解繊した。 次に、水酸化ナトリウム20%、澱粉系増粘剤4%、第4級アンモニウム系分解促進剤2%を含む水溶性アルカリ処理剤を調製した。 この処理剤の粘度は、B型粘度計で200ポイズ(20℃)であった。 この処理剤を用い、リバースロールコーターで120g/m 2の付着量となるように立毛面にコーティングを行ない、その後、常圧湿熱処理装置で水平に原反を置き、100℃×5分間のスチーミングを施し、湯水洗、酸洗い乾燥した。 【0075】得られたパイル布帛は、立毛繊維の先端が立毛長の15%以下の範囲で減量加工され、わた毛調立毛繊維の低収縮糸が約8mmで高収縮糸が約6.5mmの均一長の部分を有し、立毛繊維の減量は30g/m 2であった。 次に、液流染色機にて130℃にて染色後、仕上げ剤を付与し、レイジィング機で立毛の毛さばきを実施した。 【0076】得られたものは、図1に示されるような天然毛皮によく似た形態を有し、外観、柔軟な触感、光沢や色の深み感および毛のそよぎ性、逆なで回復性、立毛層の腰、ボリューム感などにおいて、総合的にシールに極めてよく似た優れた高級毛皮調パイル織物であった。 パイル糸のケン縮数を測定した結果熱シリンダーロールにて熱処理後のケン縮数に比較して全体に若干少なくなっている程度であった。 この時の布帛物の目付は580 g/m 2であった。 さらに、この毛皮調パイル織物を、 抗ピル試験器を用いて強制立毛もつれ試験に供してみたところ、立毛繊維どうしのもつれが少ない好ましい製品特性を有しているものであることが確認できた。 【0077】(比較例)実施例1で用いたのと同じ織り上がりカット布帛を、乾燥機にて160℃,4分間の乾熱処理を行ないケン縮の発現を行なった。 その時の低収縮糸のパイル長さは10mmで高収縮糸のパイル長さは8 mmであった。 ケン縮数を測定した結果、高収縮糸の平均は10山/25mmで根元部から先端部までほぼ同じ形態で、低収縮糸の平均は5山/25mmで根元部から先端部までほぼ同じ形態であった。 【0078】次に実施例1と同じ条件にて、バッキング、アルカリ処理、染色、仕上げ加工を行なった。 得られたものは、ケン縮が立毛先端まで多く残っているので実施例1に比較してモヤモヤ感や、光沢、色の深み、そよぎ性において悪い結果であった。 【0079】(実施例2)地糸のタテ、ヨコにポリエステル・ステープル繊維1.2d×51mmからなる紡績糸(60S/2)を使用し、パイル糸に沸水収縮率7%、 160℃乾熱収縮率10%からなるポリブチレンテレフタレート10D−1F3本と実施例1で用いたポリエチレンテレフタレート75D−36F1本を用いてカバーリング加工糸約110Dをのパイル糸を作製した。 次に二重パイル織機にてタテパイル糸をナイフで切りながらタテパイル織物を2枚織成した。 カバーリング加工性、 製織性ともに良好であった。 【0080】地密度はタテ×ヨコ:96本×61本/ 2.45cm、パイル密度はタテ96本/2.54cmで1 6越ファーストパイルである。 カット高さ(長さ)は1 1mmに設定した。 得られた生機を実施例1と同様に熱シリンダーロールを用い同条件にて熱処理した。 その時の立毛繊維先端温度は100℃であった。 熱処理の終った原反からパイル糸の束を切り取りケン縮を測定した結果、高収縮糸の根元部から半分の高さまでのケン縮数の平均は13山/25mmで、半分の高さから立毛繊維先端までのケン縮数の平均は7山/25mmであった。 また低収縮糸の根元部から半分の高さまでのケン縮数の平均は6山/25mmで、半分の高さから立毛繊維先端までのケン縮数の平均は3山/25mmであった。 ポリブチレンテレフタレート糸の根元部から半分の高さまでのケン縮数の平均は5山/25mmで、半分の高さから立毛繊維先端までのケン縮数の平均は2山/25mmであった。 【0081】次にアクリル樹脂30%水溶液でバッキング乾燥し、その後、レイジング機で毛さばきをした。 次に、シャーリングマシンにて一定長さの9mmまで苅り込み均一繊維長とした。 次に水酸化ナトリウム30%、澱粉系増粘剤4%、第4級アンモニウム系分解促進剤2% を含む水溶性アルカリ処理剤を調製した。 この処理剤の粘度は、B型粘度計で250ポイズ(20℃)であった。 この処理剤を用い、実施例1と同じ方法でアルカリ増粘剤による減量加工を実施した。 この時の付着量は1 00g/m 2であった。 得られたパイル布帛は、立毛繊維の先端が立毛長の15%以下の範囲で減量加工され先端形状は図3〜図6に示す形態であった。 地組織からの立毛長さは平均8mmで目付は530g/m 2であった。 次に、液流染色機にて130℃にて染色後、仕上げ剤付与し、レイジング機で立毛のさばきを実施した。 得られたものは、図1に示されるような天然毛皮によく似た形態を有し、実施例1と同様の光沢や色の深み感および毛のそよぎ性があり、更に逆なで回復性、立毛層の腰が実施例1よりもよい結果であった。 総合的にシールに極めてよく似た優れた高級毛皮調パイル織物であった。 【0082】 【発明の効果】本発明によれば、従来不可能に近いと考えられていた毛皮の最高級品であるシールやチンチラに非常に近似した人工毛皮を得ることが出来る。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の立毛布帛の立毛状態を示すパイル2株の概略モデル側面図。 【図2】アルカリ増粘剤による減量処理前の立毛繊維先端部の概略モデル図。 【図3】アルカリ増粘剤による減量処理後の立毛繊維先端部の概略モデル図。 【図4】アルカリ増粘剤による減量処理後の立毛繊維先端部の概略モデル図。 【図5】アルカリ増粘剤による減量処理後の立毛繊維先端部の概略モデル図。 【図6】アルカリ増粘剤による減量処理後の立毛繊維先端部の概略モデル図。 【図7】本発明の立毛布帛の製造方法を説明する概略モデル側面図。 【符号の説明】 1:パイル布帛(立毛布帛) 2:高収縮糸立毛 3:低収縮糸立毛 4:地組織 5:バッキング層 6:増粘アルカリ処理剤層 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D06M 101:32 |