Method and apparatus for gas purification

申请号 JP8743996 申请日 1996-03-15 公开(公告)号 JPH09248417A 公开(公告)日 1997-09-22
申请人 Nippon A P I:Kk; 株式会社日本エイピーアイ; 发明人 MIZOGAMI KAZUAKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an ultra-pure gas from which impurities are fully removed.
SOLUTION: Nitrogen gas which flows into a gas leading pipe 14 is divided to a first flow out path comprising a discharge hole 5 and the inside of a discharge pipe 15 and a second flow out path comprising a part 4'' of a discharge hole 4 and a discharge pipe 16 and flows out of respective discharge pipes 15, 16. Nitrogen gas is primarily ionized by corona discharge generated between a discharge probe and an opposed electrode 9 in a discharge chamber 3, successively secondarily ionized, and consequently impurities, such as oxygen, in the nitrogen gas are ionized to be positive ions. The impurities, e.g. oxygen, ionized to bear positive charge receive repulsion from a positive electrode 17 and at the same time receive attraction from a negative electrode 22 and mainly flow out of the discharge pipe 16 and scarcely flow out of the discharge pipe 15. Consequently, nitrogen gas with ultrahigh purity from which impurities are removed is obtained through the discharge pipe 15.
COPYRIGHT: (C)1997,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 ガスが通流する流路内で主成分ガスイオンと不純物ガス分子とを衝突させ不純物ガス分子をイオン化させるイオン分子反応により、不純物成分をイオン化し、当該不純物ガスイオンに電極手段にて力を作用させて主成分ガス中から当該不純物イオンの少なくとも一部を分離し、主成分ガスの純度を高めることを特徴とするガス純化方法。
  • 【請求項2】 ガスが流入される流入路と、 前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる複数の流出路と、 前記流入路に流入されたガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段と、 前記複数の流出路のうちの一部の流出路に設けられ、一方極性に維持された電極と、 を備えたことを特徴とするガス純化装置。
  • 【請求項3】 前記複数の流出路のうちの残りの流出路に、他方極性に維持された電極が設けられたことを特徴とする請求項2記載のガス純化装置。
  • 【請求項4】 ガスが流入される流入路と、 前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第1、第2及び第3の流出路と、 前記流入路に流入されたガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段と、 前記第1の流出路に設けられ、一方極性に維持された第1の電極と、 前記第2の流出路に設けられ、他方極性に維持された第2の電極と、 を備え、 前記第3の流出路にはいずれかの極性に維持された電極が設けられていないことを特徴とするガス純化装置。
  • 【請求項5】 複数段のガス純化装置を備えた多段ガス純化装置であって、前記各段のガス純化装置が前記請求項2乃至4のいずれかに記載のガス純化装置であり、前段のガス純化装置の純化されたガスが得られる流出路の出口が、次段のガス純化装置の流入路の入口に接続されたことを特徴とする多段ガス純化装置。
  • 【請求項6】 第1のガスが流入される第1の流入路と、 前記第1の流入路のガス流出側に接続され、前記第1の流入路に流入された第1のガスを分流して流出させる第1及び第2の流出路と、 前記第1の流入路に流入された第1のガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段と、 前記第1の流出路に設けられ、一方極性に維持された第1の電極と、 前記第2の流出路に設けられ、他方極性に維持された第2の電極と、 前記第1の流入路、前記第1の流出路及び前記第2の流出路が形成する流路の部分であって、前記イオン化手段により一次イオン化が行われる箇所に対して下流側に位置し前記第1の電極に対して上流側に位置し前記第2の電極に対して上流側に位置する部分に対してガス流出側が接続され、第2のガスが流入される第2の流入路と、 を備えたことを特徴とするガス純化装置。
  • 【請求項7】 請求項6記載のガス純化装置を複数段備え、前段のガス純化装置の前記第2の流出路の出口が次段のガス純化装置の前記第2の流入路の入口に接続されたことを特徴とする多段ガス純化装置。
  • 【請求項8】 前記イオン化手段が、コロナ放電を発生させる放電電極手段を有することを特徴とする請求項2
    乃至7のいずれかに記載のガス純化装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、ガス中の不純物を除去してガスの純度を高めるガス純化方法及びガス純化装置に関し、例えば、高純度ガス中の不純物を除去して超高純度ガスを得るのに好適である。

    【0002】

    【従来の技術】近年、種々の分野において純度の極めて高いガスが要求されている。 例えば、半導体製造等においては、使用される高純度ガス中に不純物が存在すると、デバイスに悪影響を与えるため、ガス中の不純物を除去する必要がある。 そして、半導体プロセスのクリーン化技術においては、プロセスガス中の分は最も低減しなければならないと言われている不純物である。

    【0003】従来、ガス中の不純物を除去してガスを純化するガス純化器として、モレキュラシーブやシリカゲルなどの吸着剤やゲッター剤などを用いたものが提供されている。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら、吸着材を用いたガス純化器のみでは、不純物を十分に除去することができず、近年望まれてきている超高純度ガスを得ることができなかった。

    【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、従来に比べて不純物を除去することができ、
    一層高い純度のガスを得ることができるガス純化装置を提供することを目的とする。

    【0006】

    【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるガス純化方法は、ガスが通流する流路内で主成分ガスイオンと不純物ガス分子とを衝突させ不純物ガス分子をイオン化させるイオン分子反応により、不純物成分をイオン化し、当該不純物ガスイオンに電極手段にてを作用させて主成分ガス中から当該不純物イオンの少なくとも一部を分離し、主成分ガスの純度を高めるものである。

    【0007】この第1の態様によるガス純化方法によれば、イオン分子反応により、不純物成分をイオン化し、
    当該不純物ガスイオンに電極手段にて力を作用させて主成分ガス中から当該不純物イオンの少なくとも一部を分離するので、従来に比べて不純物を除去することができ、一層高い純度のガスを得ることができる。

    【0008】本発明の第2の態様によるガス純化装置は、ガスが流入される流入路と、前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる複数の流出路と、前記流入路に流入されたガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段と、前記複数の流出路のうちの一部の流出路に設けられ、一方極性に維持された電極と、を備えたものである。

    【0009】この第2の態様によるガス純化装置によれば、パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高いガスが流入路に流入され、このガスは、該流入路を経て、第1及び第2の流出路により分流されて第1及び第2の流出路からそれぞれ流出される。

    【0010】流入路に流入したガスは、複数の流出路により分流される前に、流入路の途中においてイオン化手段により少なくとも一次イオン化される。 この一次イオン化では、流入路に流入したガスの主成分と不純物のイオン化率がほぼ同じであるため、不純物イオンの量は少ない。 ところが、一次イオン化により生じた主成分イオンと一次イオン化によりイオン化されていない不純物の中性分子との間でイオン分子反応(二次イオン化)が起き、主成分イオンが中性分子となって減るとともに不純物イオンが増える。

    【0011】ガスが複数の流出路に分流される際、ガス中の主成分の多くが中性分子であるため、主成分は複数の流出路のうちの一部の流出路に設けられた電極の影響をほとんど受けずに、複数の流出路に分流されて流出される。 一方、ガス中の不純物イオンは、その極性に応じて、複数の流出路のうちの一部の流出路に設けられ一方極性に維持された電極により引力又は斥力を受ける。 したがって、一方極性にイオン化される不純物は、複数の流出路のうちのいずれか一部に片寄って流出されることになる。 このため、前記第2の態様によれば、複数の流出路のうちの一部から一方の極性にイオン化される不純物を除去したガスを得ることができ、従来に比べて不純物を除去することができ、一層高い純度のガスを得ることができる。

    【0012】なお、流入路に流入されるガスは、大気圧付近の圧力以上の圧力状態であることが好ましい。 この場合、当該ガスの平均自由工程が極めて短いことから、
    主成分イオンと不純物中性分子との間の衝突回数が多くてイオン分子反応の機会が多く、イオン分子反応により主成分がイオンから中性分子となる量が多くなるとともに不純物が中性分子からイオンとなる量が多くなり、不純物のほとんどをイオン化することができ、不純物除去の効率が更に上がる。

    【0013】本発明の第3の態様による多段ガス純化装置は、前記第2の態様によるガス純化装置において、前記複数の流出路のうちの残りの流出路に、他方極性に維持された電極が設けられたものである。 前記第2の態様においては残りの流出路には必ずしも電極を設ける必要はないが、この第3の態様のように残りの流出路に他方極性に維持された電極を設けると、不純物イオンに対して引力及び斥力のうちの一方のみならず他方も作用することになるので、不純物イオンの複数の流出路の一部に対する片寄りの程度(分離効率)が高まり、不純物除去の効率が更に上がり、好ましい。

    【0014】本発明の第4の態様によるガス純化装置は、ガスが流入される流入路と、前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第1、第2及び第3の流出路と、前記流入路に流入されたガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段と、前記第1の流出路に設けられ、一方極性に維持された第1の電極と、前記第2の流出路に設けられ、他方極性に維持された第2の電極と、を備え、前記第3の流出路にはいずれかの極性に維持された電極が設けられていないものである。 この第4の態様も、前記第2の態様の具体例の1つである。
    なお、この第4の態様においても、流入路に流入されるガスは、大気圧付近の圧力以上の圧力状態であることが好ましい。

    【0015】この第4の態様によるガス純化装置によれば、パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高いガスが流入路に流入され、このガスは、該流入路を経て、第1、第2及び第3の流出路により分流されて第1、第2及び第3の流出路からそれぞれ流出される。 そして、前記第2の態様と同様に、流入路に流入したガスは、第1、第2及び第3の流出路により分流される前に、一次イオン化及び二次イオン化により、不純物がイオン化されて不純物イオンが増える。

    【0016】ガスが第1、第2及び第3の流出路に分流される際、ガス中の主成分の多くが中性分子であるため、主成分は第1及び第2の流出路に設けられた第1及び第2の電極の影響をほとんど受けずに、第1、第2及び第3の流出路に分流されて流出される。 一方、ガス中の不純物イオンは、その極性に応じて、一方極性の電極により引力を受けるとともに他方極性の電極により斥力を受ける。 したがって、一方極性にイオン化される不純物は第1及び第2の流出路のうちの一方に片寄って流出されることになり、他方極性にイオン化される不純物は第1及び第2の流出路のうちの他方に片寄って流出されることになる。 そして、いずれの極性にイオン化された不純物も、電極の設けられていない第3の流出路へはほとんど流れない。 このため、前記第3の態様によれば、
    第3の流出路から一層純度の高い超高純度ガスを得ることができる。

    【0017】本発明の第5の態様による多段ガス純化装置は、複数段のガス純化装置を備えた多段ガス純化装置であって、前記各段のガス純化装置が前記第2乃至第4
    のいずれかの態様によるガス純化装置であり、前段のガス純化装置の純化されたガスが得られる流出路の出口が、次段のガス純化装置の流入路の入口に接続されたものである。 この第5の態様によれば、前段で除去しきれなかった不純物の一部が次段で除去されるので、一層純度の高いガスを得ることができる。 なお、第5の態様では、各段のガス純化装置が同一のガス純化装置であってもよいし異なるガス純化装置であってもよいことは、言うまでもない。

    【0018】本発明の第6の態様によるガス純化装置は、第1のガスが流入される第1の流入路と、前記第1
    の流入路のガス流出側に接続され、前記第1の流入路に流入された第1のガスを分流して流出させる第1及び第2の流出路と、前記第1の流入路に流入された第1のガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段と、前記第1の流出路に設けられ、一方極性に維持された第1の電極と、前記第2の流出路に設けられ、他方極性に維持された第2の電極と、前記第1の流入路、前記第1の流出路及び前記第2の流出路が形成する流路の部分であって、前記イオン化手段により一次イオン化が行われる箇所に対して下流側に位置し前記第1の電極に対して上流側に位置し前記第2の電極に対して上流側に位置する部分に対してガス流出側が接続され、第2のガスが流入される第2の流入路と、を備えたものである。

    【0019】この第6の態様によるガス純化装置によれば、第1の流入路に流入される第1のガスとしては、第2の流入路に流入される第2のガスの希釈用ガスが用いられる。 パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高い第1のガスが第1の流入路に流入され、
    この第1のガスは、該第1及び第2の流出路により分流されて第1及び第2の流出路からそれぞれ流出される。
    同時に、パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高い第2のガスが第2の流入路に流入され、
    この第2のガスは、イオン化手段により一次イオン化が行われる箇所へは逆流せずに第1及び第2の流出路からそれぞれ流出される。 したがって、第2のガスは、第1
    のガスにより希釈されて第1及び第2の流出路からそれぞれ流出されることになる。

    【0020】イオン化手段により一次イオン化が行われる箇所は第1の流入路の途中であり、第2の流入路のガス流出側はこの箇所に対して下流側に接続されているので、第1の流入路に流入した第1のガスのみが、第1及び第2の流出路により分流される前に、一次イオン化される。 この一次イオン化により、第1のガスの主成分のイオンと第1のガスの不純物のイオンとが生ずる。 なお、この一次イオン化では、第1のガスの主成分と不純物のイオン化率がほぼ同じであるため、第1のガスの主成分イオンの量は多く、第1のガスの不純物イオンの量は少ない。 そして、前記第2の態様と同様に、第1のガスの主成分イオンと第1のガスの不純物中性分子との間でイオン分子反応が起き、第1のガスの不純物イオンが増える。 同時に、第2の流入路から第2のガスが流入していることから、第1のガスの主成分イオンと第2のガスの不純物中性分子との間でもイオン分子反応(二次イオン化)が起き、第2のガスの不純物イオンが増える。

    【0021】第1及び第2のガスの混合ガスが第1及び第2の流出路に分流される際、その混合ガス中の主成分の多くが中性分子であるため、当該主成分は第1及び第2の流出路に設けられた第1及び第2の電極の影響をほとんど受けずに、第1及び第2の流出路に分流されて流出される。 一方、前記混合ガス中の不純物イオンは、その極性に応じて、一方極性の電極により引力を受けるとともに他方極性の電極により斥力を受ける。 したがって、一方極性にイオン化される混合ガスの不純物は第1
    及び第2の流出路のうちの一方に片寄って流出されることになり、他方極性にイオン化される混合ガスの不純物は第1及び第2の流出路のうちの他方に片寄って流出されることになる。 このため、前記第6の態様によれば、
    第1及び第2の流出路のうちの一方から一方極性にイオン化される不純物を除去した第1及び第2のガスの混合ガスを得ることができ、例えば当該混合ガス中の不純物の多くがいずれか一方の極性にイオン化されるものである場合などには、十分に純化された超高純度ガスを得ることができる。 そして、前記第6の態様では、第2のガスが一次イオン化により固化してしまうなどの不都合が生ずるガスである場合であっても、第2のガスが一次イオン化されないので、何ら支障を来さない。

    【0022】なお、第1及び第2の流入路にそれぞれ流入される第1及び第2のガスは、大気圧付近の圧力以上の圧力状態であることが好ましい。 この場合、当該ガスの平均自由工程が極めて短いことから、イオン分子反応の機会が多く、不純物が中性分子からイオンとなる量が多くなり、不純物のほとんどをイオン化することができ、不純物除去の効率が更に上がる。

    【0023】なお、前記第6の態様によるガス純化装置において、前記流路に対する前記第2の流入路の接続位置と前記イオン化手段により一次イオン化が行われる箇所との間に絞りを設けてもよい。 この場合、絞りの両側に圧力差が生じるため、第2のガスの一次イオン化箇所への逆流が確実に阻止されることになり、好ましい。

    【0024】本発明の第7の態様による多段ガス純化装置は、前記第6の態様によるガス純化装置を複数段備え、前段のガス純化装置の前記第2の流出路の出口が次段のガス純化装置の前記第2の流入路の入口に接続されたものである。 この第7の態様によれば、前段で除去しきれなかった不純物の一部が次段で除去されるので、一層純度の高い超高純度ガスを得ることができる。

    【0025】本発明の第8の態様によるガス純化装置は、前記第2乃至第7のいずれかの態様によるガス純化装置において、前記イオン化手段が、コロナ放電を発生させる放電電極手段を有するものである。 もっとも、本発明では、前記イオン化手段として、コバルト60やニッケル63のような放射線照射手段や紫外線のような光照射手段などを用いてもよい。

    【0026】なお、本発明では、ガスの導入に際して、
    モレキュラシーブやシリカゲルなどの吸着剤やゲッター剤などを用いたガス純化器やその他のフィルタ等を通過させてもよいことは、言うまでもない。

    【0027】

    【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態によるガス純化装置について図面を参照して説明する。 なお、
    各実施の形態を通して、実質的に同じ構成要素には同一参照番号を付して、重複する説明は省略する。

    【0028】まず、本発明の第1の実施の形態によるガス純化装置1について、図1を参照して説明する。 図1
    はこのガス純化装置1を示す概略断面図である。

    【0029】本実施の形態によるガス純化装置1は、ステンレススチール等の金属で作られた筒状体2を有している。 この筒状体2は、その軸方向一端(図1中の左端)から略中央部まで比較的大きな直径の開口を穿設することにより形成された放電室3と、一端が放電室3の底部(図1中の右側部)に連通するとともに他端が筒状体2の軸方向他端に開口するように穿設された排出孔4
    とを有している。 また、筒状体2には、一端が排出孔4
    の側部に連通するとともに他端が筒状体2の側部に開口した排出孔5が穿設されている。 放電室3の図1中の左側開口には、筒状体2と同様な金属で作られた蓋6が、
    金属パッキン7により放電室3を密閉状にシールするように取り付けられている。 蓋6には、コロナ放電を発生させる放電電極手段としての、放電針8及びこれに対向する対向電極9が、絶縁材10,11を介してそれぞれ取り付けられている。 対向電極9の略L字状に曲げられた先端部は、放電室3の底部近傍に位置するように支持されている。 放電針8の先端は、放電室3内において対向電極9の先端部と所定の間隔をあけて位置するように支持されている。 放電針8には電源12により+200
    0Vが印加され、対向電極9には電源13により−10
    0Vが印加されている。 電源12,13は、電圧源でも電流源でもよい。 筒状体2の側部には、一端が放電室3
    に連通するようにガス導入パイプ14が接続されている。 排出孔5の出口側には排出パイプ15の一端が接続されている。 排出孔4の出口側には排出パイプ16の一端が接続されている。

    【0030】本実施の形態では、ガス導入パイプ14の内部、放電室3及び排出孔4の放電室3側の部分4'
    が、大気圧付近の圧力以上の圧力状態でガスが流入される流入路を構成している。 排出孔5及び排出パイプ15
    の内部が、前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第1の流出路を構成している。 排出孔4の残りの部分4”及び排出パイプ16の内部が、前記流入路のガス流出側に接続されて前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第2の流出路を構成している。放電針8及び対向電極9
    は、前記流入路に流入したガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段を構成している。

    【0031】また、排出孔5の排出孔4側の入口付近には、メッシュ状の電極17が取り付けられている。 この電極17には、接続端子18及びリード線19を介して電源20により+100Vが印加されている。 接続端子18は、絶縁材21を介して排出パイプ15に取り付けられている。 また、排出孔4の部分4”の排出パイプ1
    6寄りの位置には、メッシュ状の電極22が取り付けられいる。 この電極22には、接続端子23及びリード線24を介して電源25により−1000Vが印加されている。 接続端子23は、絶縁材26を介して排出パイプ16に取り付けられている。

    【0032】以上のように構成された本実施の形態によるガス純化装置1の動作について、次に説明する。

    【0033】予めパーティクル等が除去された比較的高純度の窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、ヘリウムガス、酸素ガス等のガス(純化しようとするガス)が、ガス導入パイプ14に流入される。 なお、ここでは、流入されたガスが半導体製造において使用される窒素ガスである場合を例にとって具体的に説明する。

    【0034】ガス導入パイプ14に流入された窒素ガスは、ガス導入パイプ14、放電室3、及び排出孔4の部分4'からなる流入路を経て、排出孔5及び排出パイプ15の内部からなる第1の流出路と排出孔4の部分4”
    及び排出パイプ16の内部からなる第2の流出路とにより分流されて、排出パイプ15,16からそれぞれ流出される。

    【0035】そして、放電室3内には放電針8が対向電極9に対向する形で位置し、かつ電源12により放電針8に+2000Vが印加されるとともに電源13により対向電極9に−100Vが印加されているので、放電針8付近でコロナ放電が起きている。 このため、流入された窒素ガスはまず一次イオン化される。 この一次イオン化ではガスの主成分とガス中の不純物のイオン化率は同じであるため、不純物イオンの量は少ない。 ところが、
    この一次イオン化に引き続いて、一次イオン化により生じた主成分イオンと一次イオン化によりイオン化されていない不純物の中性分子との間でイオン分子反応(二次イオン化)が起き、主成分イオンが中性分子となって減るとともに不純物イオンが増える。 本実施の形態では、
    流入される窒素ガスは大気圧付近の圧力以上の圧力状態に保持されているため当該ガスの平均自由工程が極めて短いことから、主成分イオンと不純物中性分子との間の衝突回数が多くてイオン分子反応の機会が多く、イオン分子反応により主成分がイオンから中性分子となる量が多くなるとともに不純物が中性分子からイオンとなる量が多くなり、不純物のほとんどがイオン化される。

    【0036】窒素ガスの場合、この原理は以下のような反応式で示される。

    【0037】

    【化1】 N 2 →N + ,N 2 + (コロナ放電) ・・・(1)

    【化2】 N + +2N 2 →N 3 + +N 2・・・(2)

    【化3】 N 2 + +2N 2 →N 4 + +N 2・・・(3)

    【化4】 N 4 + +O 2 →O 2 + +2N 2・・・(4)

    【化5】 N 4 + +CO 2 →CO 2 + +2N 2・・・(5)

    【化6】 N 4 + +H 2 O→H 2+ +2N 2・・・(6)

    【0038】例えば前記反応式(4),(5),(6)
    で示されるように、窒素ガス中の酸素、二酸化炭素、水等の不純物の大部分の分子はN 4 +との電荷交換反応(イオン化ポテンシャルの高い物質から低い物質への電荷の移動)によりイオン化が行われる。

    【0039】このように、一次イオン化及びこれに引き続く二次イオン化により、窒素ガス中の酸素、二酸化炭素、水等の不純物の分子のほとんどは、イオン化される。 そして、このガスが前記第1及び第2の流出路に分流される際、窒素ガス中の主成分(窒素分子)の多くが中性分子であるため、主成分は電極17,22の影響をほとんど受けずに、前記第1及び第2の流出路に分流されて排出パイプ15,16からそれぞれ流出される。 一方、窒素ガス中の不純物イオンであるO 2 + ,CO 2 + ,H
    2+等は、正イオンであるため、正極性に維持された電極17により斥力を受けるとともに負極性に維持された電極22により引力を受ける。 したがって、正イオン化される酸素、二酸化炭素、水等の不純物は主として排出パイプ16から流出されることになり、負極性にイオン化される不純物は主として排出パイプ15から流出されることになる。 なお、不純物イオンのほとんどは、それを引き込む電極15,16により中和されて排出パイプ15,16から流出される。 このため、排出パイプ15
    から酸素、二酸化炭素、水等の不純物が除去された窒素ガスを得ることができ、窒素ガス中の不純物のほとんどが酸素、二酸化炭素、水等であれば、排出パイプ15から十分に純化された超高純度の窒素ガスを得ることができる。

    【0040】以上の説明からわかるように、本実施の形態では、ガスが通流する流路内で主成分ガスイオンと不純物ガス分子とを衝突させ不純物ガス分子をイオン化させるイオン分子反応をイオン化し、当該不純物ガスイオンに電極17,22にて力を作用させて主成分ガス中から当該不純物イオンの少なくとも一部を分離し、排出パイプ15から得られる主成分ガスの純度を高めている。

    【0041】なお、以上は、純化しようとするガス中の不純物が正イオン化されるものの例であるが、不純物が負イオン化されるものである場合には、前記電極17,
    22の極性を逆にすることにより排出パイプ15から超高純度のガスを得ることができる。 この場合、放電針8
    及び対向電極9の極性も逆にすることが好ましい。

    【0042】また、本実施の形態では電極17,22の両方が設けられているが、本発明では、例えば、図1において電極17,22の一方を除去してもよい。

    【0043】次に、本発明の第2の実施の形態による多段ガス純化装置21について、図2を参照して説明する。 図2は、この多段ガス純化装置21を示す概略断面図である。

    【0044】第2の実施の形態による多段ガス純化装置21は、前述した第1の実施の形態によるガス純化装置1を2段直列に接続して、不純物の除去処理を2回行って、更に純度を高めたガスを得るようにしたものである。 なお、図2において、第1段のガス純化装置1a及び第2段のガス純化装置1bの構成は図1中のガス純化装置1の構成と全く同じであるので、図2において、各構成要素には、図1中の同一構成要素と同じ参照番号の後にa,bを付けて、第1段のガス純化装置1aと第2
    段のガス純化装置1bの構成を識別しており、その重複した説明は省略する。

    【0045】すなわち、本実施の形態では、第1段のガス純化装置1aにおける排出パイプ15aの出口側である一点鎖線32の部分には、第2段のガス純化装置1b
    のガス導入パイプ14bの入口側が接続されており、第1段のガス純化装置1aにより不純物が除去されたガスが導入される。 この第2段のガス純化装置1bにおいても、第1段のガス純化装置1aと同様にして、放電室3
    a内においてガスが再度一次イオン化され、この一次イオン化とこれに引き続く二次イオン化とにより、第1段のガス純化装置1aにより除去しきれずに残留している不純物がイオン化され、前述と同様に窒素ガスの例では、当該窒素ガス中の不純物イオンO 2 + ,CO 2 + ,H 2
    +等は、正極性に維持された電極17により斥力を受けるとともに負極性に維持された電極22により引力を受ける。 したがって、正イオン化される酸素、二酸化炭素、水等の残留不純物は主として排出パイプ16bから流出されることになり、負極性にイオン化される不純物は主として排出パイプ15bから流出されることになる。 このため、酸素、二酸化炭素、水等の不純物を除去した窒素ガスを排出パイプ15aから一旦得た後に、この窒素ガス中に除去しきれずに残留した酸素、二酸化炭素、水等の不純物を更に除去した窒素ガスを排出パイプ15bから得ることができ、窒素ガス中の不純物のほとんどが酸素、二酸化炭素、水等であることから、排出パイプ15bから一層純度の高い超高純度の窒素ガスを得ることができる。

    【0046】ところで、前述の説明からわかるように、
    前記第1及び第2の実施の形態では、一方極性にイオン化される不純物を除去することができるものの、他方極性にイオン化される不純物は除去することができない。

    【0047】次に、いずれの極性にイオン化される不純物も除去することができる本発明の第3の実施の形態によるガス純化装置41について、図3を参照して説明する。 図3は、このガス純化装置41を示す概略断面図である。

    【0048】本実施の形態によるガス純化装置41では、放電室3を、中空の筒状体42を用いて構成している。 筒状体42の略中央部の側面には相対するように2
    つの開口43,44が穿設されている。 開口43には、
    ガス導入パイプ45がその一端に形成されたフランジ部45aで塞ぐように取り付けられている。 放電針8及び対向電極9は、このフランジ部45aに取り付けられている。 放電針8には電源12により+2000Vが印加され、対向電極9には電源13により−100Vが印加されている。 開口44には、排出パイプ46の一端が取り付けられている。 筒状体42の内部の一端側部分4
    2'には、電源20により+3000Vが印加されたメッシュ状の電極17が設けられている。 筒状体42の内部の他端側部分42”には、電源25により−100V
    が印加されたメッシュ状の電極22が設けられている。

    【0049】本実施の形態では、ガス導入パイプ45の内部、放電室3(すなわち、筒状体42の内部の中央部分)が、大気圧付近の圧力以上の圧力状態でガスが流入される流入路を構成している。 筒状体42の内部の一端側部分42'が、前記流入路のガス流出側に接続され、
    前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第1
    の流出路を構成している。 筒状体42の内部の他端側部分42”が、前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第2の流出路を構成している。排出パイプ46の内部が、前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第3の流出路を構成している。なお、この第3の流出路には、いずれの極性に維持された電極も設けられていない。放電針8及び対向電極9は、前記流入路に流入したガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段を構成している。

    【0050】本実施の形態によるガス純化装置41においても、前記第1の実施の形態によるガス純化装置1と同様に、パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高いガスが、ガス導入パイプ45に流入される。 このガスは、ガス導入パイプ45及び放電室3からなる流入路を経て、筒状体42の内部の一端側部分4
    2'からなる第1の流出路と筒状体42の内部の他端側部分42”からなる第2の流出路と排出パイプ46の内部からなる第3の流出路とに分流されて、筒状体42の一端及び他端並びに排出パイプ46からそれぞれ流出される。そして、前記第1の態様と同様に、流入路に流入したガスは、第1、第2及び第3の流出路により分流される前に、一次イオン化及び二次イオン化により、不純物のほとんどがイオン化されて不純物イオンとなる。このとき、例えば、酸素、二酸化炭素、水等の不純物は正イオンとなり、窒素酸化物、硫黄酸化物、ハロゲン化物等の不純物は負イオンとなる。

    【0051】そして、このガスが前記第1、第2及び第3の流出路に分流される際、ガス中の主成分の多くが中性分子であるため、主成分は電極17,22の影響をほとんど受けずに、前記第1、第2及び第3の流出路に分流されて筒状体42の一端及び他端並びに排出パイプ4
    6からそれぞれ流出される。 一方、ガス中の不純物正イオンは、負極性に維持された電極22により引力を受けるとともに、正極性に維持された電極17により斥力を受ける。 また、ガス中の不純物負イオンは、正極性に維持された電極17により引力を受けるとともに、負極性に維持された電極22により斥力を受ける。 したがって、正極性にイオン化される酸素、二酸化炭素、水等の不純物は主として筒状体42の図3中の左側端から流出されることになり、負極性にイオン化される窒素酸化物、硫黄酸化物、ハロゲン化物等の不純物は主として筒状体42の図3中の右側端から流出されることになる。
    そして、いずれの極性にイオン化された不純物も、電極の設けられていない排出パイプ46へはほとんど流れない。 このため、排出パイプ46から、いずれの極性にイオン化される不純物も除去された純度の高い超高純度ガスを得ることができる。

    【0052】なお、図面には示していないが、図1に示すガス純化装置1を2段接続して図2に示す多段ガス純化装置を構成したのと同様に、本実施の形態による図3
    に示すガス純化装置41を2段以上に接続して多段ガス純化装置を構成してもよい。 この場合には、前段のガス純化装置41の排出パイプ46が、次段のガス純化装置41のガス導入パイプ45に接続される。 この多段ガス純化装置によれば、前段で除去しきれなかった不純物の一部が次段で除去されるので、一層純度の高い超高純度ガスを得ることができる。 また、本発明では、例えば、
    図1に示すガス純化装置1と図3に示すガス純化装置4
    1とを組み合わせて多段ガス純化装置を構成してもよい。

    【0053】以上説明した各実施の形態では、単一の流入路を有しているのみでガス導入パイプ14又は45から流入したガスはイオン化手段により一次イオン化されてしまうので、シランガスを含むガスのようにコロナ放電等により一次イオン化すると固化してしまうなどの不都合が生ずるガスは純化することができない。

    【0054】次に、シランガスを含むガスのように一次イオン化すると不都合が生ずるガスを含むガスであっても超高純度化したガスを得ることができる、本発明の第4の実施の形態によるガス純化装置51について、図4
    を参照して説明する。 図4は、このガス純化装置51を示す概略断面図である。

    【0055】本実施の形態によるガス純化装置51は、
    前述した図1に示す第1の実施の形態によるガス純化装置1を主に次のように変形したものである。 すなわち、
    本実施の形態によるガス純化装置51では、排出パイプ15の筒状体2に対する接続位置に対する下流側であって電極22の上流側の位置において排出孔4と連通するように、筒状体2の側部に、ガス導入パイプ14とは別にガスを導入するガス導入パイプ52の一端が接続されている。 排出パイプ15の筒状体2に対する接続位置と排出パイプ52の筒状体2に対する接続位置との間の位置において、排出孔4内に引き込み制御用の電極53が設けられている。 この電極53には、接続端子54及びリード線55を介して電源56により−600Vが印加されている。 接続端子54は、絶縁材57を介して筒状体2に取り付けられている。 また、放電室3と排出孔4
    との境界部には、絞り58が形成されている。

    【0056】本実施の形態によるガス純化装置51によれば、ガス導入パイプ52からは、例えばモノシランガスのようにコロナ放電により一次イオン化すると固化するような第2のガスが流入される。 ガス導入パイプ14
    からは、前記第2のガスの希釈用ガス(例えば窒素やアルゴン等)が第1のガスとして流入される。 ここでは、
    第1のガスとして窒素ガスが用いられ、第2のガスとしてモノシランガスが用いられるものとして説明する。

    【0057】パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高い窒素ガスがガス導入パイプ14に流入され、この窒素ガスは、ガス導入パイプ14、放電室3及び排出孔4の部分4'からなる第1の流入路を経て、排出パイプ15の内部からなる第1の流出路と排出孔4の部分4”からなる第2の流出路とにより分流されて、排出パイプ15及び部分4”からそれぞれ流出される。 同時に、パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高いモノシランガスが導入パイプ52に流入され、このモノシランガスは、放電室3へは逆流せずに、排出パイプ15の内部からなる第1の流入路と排出孔4の部分4”からなる第2の流出路とからそれぞれ流出される。したがって、モノシランガスは、窒素ガスにより希釈されて排出パイプ15及び部分4”からそれぞれ流出されることになる。 なお、本実施の形態では、
    絞り58が設けられていることによりその両側に圧力差が生ずるので、モノシランガスの放電室3への逆流が確実に阻止される。

    【0058】モノシランガスは放電室3へは逆流しないので、ガス導入パイプ14に流入した窒素ガスのみが、
    前記第1及び第2の流出路により分流される前に、放電室3でコロナ放電により一次イオン化される。 この一次イオン化により、窒素ガスの主成分のイオンと窒素ガス中の不純物のイオンとが生ずる。 なお、この一次イオン化では、ガスの主成分とガス中の不純物のイオン化率がほぼ同じであるため、不純物イオンの量は少ない。 そして、前記第1の実施の形態によるガス純化装置1と同様に、窒素ガス中の主成分イオンと窒素ガス中の不純物中性分子との間でイオン分子反応が起き、窒素ガス中の不純物イオン(例えば、O 2 + ,CO 2 + ,H 2+等)が増える。 同時に、ガス導入パイプ52からモノシランガスが流入していることから、窒素ガス中の主成分イオンとモノシランガス中の不純物中性分子との間でもイオン分子反応(二次イオン化)が起き、モノシランガス中の不純物イオン(例えば、O 2 + ,CO 2 + ,H 2+等)が増える。 このとき、本実施の形態では、ガス導入パイプ53
    の接続位置がガス導入パイプ15の接続位置に対して下流側であることから、モノシランガスの一部が排出孔4
    を逆流して排出パイプ15へ向かうことになるので、モノシランガス中の不純物のイオン分子反応の機会が多くなり、好ましい。 もっとも、ガス導入パイプ52の接続位置は、この位置に限定されるものではなく、例えば、
    ガス導入パイプ15の上流側に配置してもよい。 また、
    本実施の形態では、電極53によって、電極53と電極22との間で正イオンである窒素ガス中の主成分イオンの滞留時間を長くなり、それによりモノシランガス中の不純物のイオン分子反応の機会が多くなり、好ましい。
    もっとも、電極53は取り除いてもよい。

    【0059】窒素ガスとモノシランガスとの混合ガスが前記第1及び第2の流出路に分流される際、その混合ガス中の主成分の多くが中性分子であるため、当該主成分は電極17,22,53の影響をほとんど受けずに、分流されて排出パイプ及び部分4”からそれぞれ流出される。一方、前記混合ガス中のO 2 + ,CO 2 + ,H 2+等の不純物イオンは、その極性に応じて、負極に維持された電極22,53により引力を受けるとともに正極に維持された電極17により斥力を受ける。したがって、前記混合ガス中の正イオン化される酸素、二酸化炭素、水等の不純物は、窒素ガス中に含まれていたもののみならずモノシランガス中に含まれていたものも、排出孔4の部分4”に片寄って流出されることになり、他方極性にイオン化される混合ガスの不純物は排出パイプ15に片寄って流出されることになる。 このため、排出孔4の部分4”から酸素、二酸化炭素、水等の不純物が除去された窒素ガスとモノシランガスとの混合ガスを得ることができ、窒素ガス及びモノシランガス中の不純物のほとんどが酸素、二酸化炭素、水等であれば、排出孔4の部分4”から十分に純化された高純度の窒素ガスとモノシランガスとの混合ガスを得ることができる。 そして、本実施の形態では、モノシランガスについては、コロナ放電による一次イオン化が行われずに二次イオン化のみが行われるので、モノシランガスが固化などして支障を来さすようなおそれがない。

    【0060】このように、本実施の形態によるガス純化装置51は、一次イオン化することが好ましくないガスを含む混合ガスの超高純度ガスを得る場合に好適である。

    【0061】次に、本発明の第5の実施の形態による多段ガス純化装置61について、図5を参照して説明する。 図5は、この多段ガス純化装置61を示す概略断面図である。

    【0062】第5の実施の形態による多段ガス純化装置61は、前述した第4の実施の形態によるガス純化装置51を2段接続して、不純物の除去処理を実質的に2回行って、更に純度を高めたガスを得るようにしたものである。 なお、図5において、第1段のガス純化装置51
    a及び第2段のガス純化装置51bの構成は図4中のガス純化装置51の構成と全く同じであるので、図5において、各構成要素には、図4中の同一構成要素と同じ参照番号の後にa,bを付けて、第1段のガス純化装置5
    1aと第2段のガス純化装置51bの構成を識別しており、その重複した説明は省略する。

    【0063】本実施の形態では、第1段のガス純化装置51aにおける排出パイプ15aの出口側である一点鎖線62の部分には、第2段のガス純化装置51bのガス導入パイプ52bの入口側が接続されており、第1段のガス純化装置51aにより不純物が除去された混合ガスが導入される。 なお、ガス導入パイプ14a,14bには例えば窒素ガスやアルゴンガス等が流入され、ガス導入パイプには例えばモノシランガス等が流入される。

    【0064】本実施の形態によれば、第1段のガス純化装置51aで除去しきれなかった不純物の一部が第2のガス純化装置51bで除去され、排出パイプ15bから一層純度の高い超高純度の混合ガスを得ることができる。

    【0065】次に、本発明の第6の実施の形態によるガス純化装置71について、図6を参照して説明する。 図6は、このガス純化装置41を示す概略断面図である。

    【0066】本実施の形態によるガス純化装置71は、
    ステンレススチール等の金属で作られた筒状体72を有している。 この筒状体72には、その軸方向一端(図6
    中の左端)から他端(図6中の右端)まで軸方向に連通する軸孔73が形成され、該軸孔73の他端側部分73
    aのみが他の部分より径が大きく形成されている。 また、筒状体72には、その軸方向の図6中の左側位置において筒状体72の側部に開口するとともに軸孔73に連通したガス導入孔74が穿設され、該ガス導入孔74
    の出口側にはガス導入パイプ75の一端が接続されている。 軸孔73の図6中の左側開口には、筒状体72と同様な金属で作られた蓋76が、金属パッキン77により軸孔73を密閉状にシールするように取り付けられている。 蓋76には、放電針78が、絶縁材79を介して取り付けられている。 放電針78は、軸孔73の軸線に沿って配置されてその先端がガス導入孔74に対して図6
    中の右側に位置するように支持されている。 本実施の形態では、筒状体72は接地され、放電針78と軸孔73
    の壁面との間隔が比較狭くされており、放電針78と軸孔73の壁面との間でコロナ放電が起きるようになっている。 すなわち、本実施の形態では、放電針78及び筒状体72が、コロナ放電を発生させる放電電極手段を構成している。 放電針78には電源80により+2000
    Vが印加されている。 電源80は、電圧源でも電流源でもよい。 また、筒状体72には、その軸方向の中央付近の位置において筒状体72の側部に開口するとともに軸孔73に連通した排出孔81が穿設され、該排出孔81
    の出口側には排出パイプ82の一端が接続されている。
    さらに、筒状体72には、その軸方向の図6中の右側位置において筒状体72の側部に開口するとともに軸孔7
    3の大径部分73aに連通した排出孔83が穿設され、
    該排出孔83の出口側には排出パイプ84の一端が接続されている。

    【0067】本実施の形態では、ガス導入パイプ75の内部、軸孔73における図6中の左側端から排出孔81
    が形成された位置までの部分73bが、大気圧付近の圧力以上の圧力状態でガスが流入される流入路を構成している。 排出孔81及び排出パイプ82の内部が、前記流入路のガス流出側に接続され、前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第1の流出路を構成している。 軸孔73における排出孔81が形成された位置から大径部分73aまでの部分73c、軸孔73の大径部分73a、排出孔83及び排出パイプ84の内部が、前記流入路のガス流出側に接続されて前記流入路に流入されたガスを分流して流出させる第2の流出路を構成している。 放電針78及び筒状体72は、前記流入路に流入したガスを前記流入路の途中において少なくとも一次イオン化するイオン化手段を構成している。

    【0068】また、軸孔73の大径部分73aの入口付近には、円板状の電極85が軸孔73の軸線に対して直交するように取り付けられている。 この電極85の径は軸孔73の大径部分73aの径より若干小さいとともに軸孔73の他の部分73b,73cの径より若干大きくされており、電極85は、軸孔73の大径部分73aと軸孔74の他の部分との間の段差の位置から若干図6中右側方向に位置するとともに、電極85の周囲に若干隙間があくように、配置されている。 筒状体72と同様な金属で作られた蓋86が、金属パッキン87により軸孔73の大径部分73aを密閉状にシールするように取り付けられている。 蓋86には、前記電極85を支持する導電性支持部材87が、絶縁材88を介して取り付けられている。 前記電極85には、導電性支持部材87を介して電源89により−1000Vが印加されている。 なお、電極85と放電針78との間の距離は十分にとられており、両者の間ではコロナ放電は生じない。

    【0069】本実施の形態によるガス純化装置71においても、前記第1の実施の形態によるガス純化装置1と同様に、パーティクルなどの不純物が予め除去された比較的純度の高いガスが、ガス導入パイプ75に流入される。 このガスは、ガス導入パイプ75の内部、ガス導入孔74及び軸孔73の部分73bからなる流入路を経て、排出孔81及び排出パイプ82の内部からなる第1
    の流出路と軸孔73の部分73c、大径部分73a、排出孔83及び排出パイプ84の内部からなる第2の流出路とに分流されて、排出パイプ82,84からそれぞれ流出される。 そして、前記第1の態様と同様に、流入路に流入したガスは、第1及び第2の流出路により分流される前に、一次イオン化及び二次イオン化により、不純物のほとんどがイオン化されて不純物イオンとなる。

    【0070】そして、放電針78に+2000Vが印加されるとともに筒状体72が接地されているので、放電針78とこの周囲の軸孔73の壁面との間でコロナ放電が起きている。 このため、前述した第1の実施の形態と同様に、流入されたガスはまず一次イオン化され、引き続いて起きるイオン分子反応により、不純物の分子のほとんどがイオン化される。

    【0071】そして、このガスが前記第1及び第2の流出路に分流される際、ガス中の主成分の多くが中性分子であるため、主成分は電極85の影響をほとんど受けずに、前記第1及び第2の流出路に分流されて排出パイプ82,84からそれぞれ流出される。 一方、ガス中の不純物正イオンは負極性に維持された電極85により引力を受け、ガス中の不純物負イオンは、負極性に維持された電極85により斥力を受ける。 したがって、正極性にイオン化される不純物は主として排出パイプ84から流出され、負極性にイオン化される不純物は主として排出パイプ81から流出される。 このため、前述した第1の実施の形態と同様に、例えば、ガス導入パイプ75から導入されたガス中の不純物のほとんどが正極性にイオン化されるものである場合には、排出パイプ82から十分に純化された超高純度のガスを得ることができる。

    【0072】なお、本実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様に、排出孔81の入口付近に正極性に維持された電極を配置してもよい。

    【0073】以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。

    【0074】例えば、図1に示すガス純化装置1と図4
    に示すガス純化装置51とを組合せ、ガス純化装置1の排出パイプ15の出口側をガス純化装置51のガス導入パイプ14の入口側に接続してもよい。 同様に、図4に示すガス純化装置51と図6に示すガス純化装置71とを組み合わせてもよい。

    【0075】また、前述した各実施の形態においては、
    一次イオン化を放電針を使用したコロナ放電により行っているが、沿面放電によるコロナ放電でイオン化してもよい。 また、コロナ放電によらず、コバルト60やニッケル63のような放射線、あるいは紫外線のような光を照射して一次イオン化させてもよい。

    【0076】なお、本発明によるガス純化装置の流入路の入口に従来の吸着剤等を用いたガス純化器を接続してもよいことは、勿論である。

    【0077】

    【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
    従来に比べて不純物除去することができ、一層高い純度のガスを得ることができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の第1の実施の形態によるガス純化装置を示す概略断面図である。

    【図2】本発明の第2の実施の形態による多段ガス純化装置を示す概略断面図である。

    【図3】本発明の第3の実施の形態によるガス純化装置を示す概略断面図である。

    【図4】本発明の第4の実施の形態によるガス純化装置を示す概略断面図である。

    【図5】本発明の第5の実施の形態による多段ガス純化装置を示す概略断面図である。

    【図6】本発明の第6の実施の形態によるガス純化装置を示す概略断面図である。

    【符号の説明】

    1,1a,1b,41,51,51a,51b,71
    ガス純化装置 2,2a,2b,42,72 筒状体 3,3a,3b 放電室 4,4a,4b,5,5a,5b,81,83 排出孔 8,8a,8b,78 放電針 9,9a,9b 対向電極 14,14a,14b,45,52,52a,52b,
    75 ガス導入パイプ 15,15a,15b 16,16a,16b,46
    排出パイプ 17,17a,17b,22,22a,22b,53,
    53a,53b 電極 31,61 多段ガス純化装置 58 絞り 73 軸孔 74 ガス導入孔 82,84 排出パイプ 85 電極

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