溶媒分離方法及び装置

申请号 JP2016111208 申请日 2016-06-02 公开(公告)号 JP6505050B2 公开(公告)日 2019-04-24
申请人 パナソニック株式会社; 发明人 宇治野 智大; 永井 耕一; 日野 直文;
摘要
权利要求

気化した溶媒を含んだ気体から前記溶媒を分離する方法であって、 四型筒状構造の筐体と、 前記筐体から絶縁しつつ前記筐体内の対向する一対の内壁面全体を覆うように配置された一対の第1の電極と、 前記筐体内で前記筐体及び前記第1の電極から絶縁しつつ前記第1の電極より内側に離れて前記第1の電極と平行に配置され、且つ前記内壁面の高さの半分以下の高さの一対の第2の電極とを有して溶媒分離部を構成し、 前記一対の第2の電極間の距離は15mm以上200mm以下であり、前記第2の電極のそれぞれから前記筐体内の中心線までの距離より、前記第2の電極のそれぞれから当該第2の電極に最も近い前記第1の電極までの距離が短くなる位置に、前記筐体の前記中心線に対して対称に、前記一対の第1の電極と前記一対の第2の電極とが配置された溶媒分離装置に対して、 前記溶媒を前記筐体に流入させる前に帯電させ、 前記一対の第2の電極のうちの一方の前記第2の電極に、前記溶媒の極性とは反対の極性の電圧を印加し、前記一対の第1の電極と前記一対の第2の電極のうちの他方の前記第2の電極に、前記溶媒の極性と同じ極性の電圧を印加し、 前記電圧の周波数を100Hz以上1kHz以下の周波数として前記溶媒分離部内で振動運動する前記溶媒の振幅が、前記溶媒分離部の流路幅より小さくなる時間間隔で前記一対の第2の電極に印加する電圧の極性を入れ替えることで、前記溶媒を前記筐体内の一定領域内に集め、 集めた前記溶媒を含む気体を、前記筐体内の前記一定領域以外の領域に存在する前記溶媒を含まない気体から分離して排出する、溶媒分離方法。気化した溶媒を含んだ気体から前記溶媒を分離する溶媒分離装置であって、 四角型筒状構造の筐体と、 前記筐体から絶縁しつつ前記筐体内の対向する一対の内壁面全体を覆うように配置された一対の第1の電極と、 前記筐体内で前記筐体及び前記第1の電極から絶縁しつつ前記第1の電極より内側に離れて前記第1の電極と平行に配置され、且つ前記内壁面の高さの半分以下の高さの一対の第2の電極とを有して溶媒分離部を構成するとともに、 前記一対の第2の電極間と同じ幅以下の流入口と、 前記筐体へ気化した溶媒を含んだ気体を流入させる流路に設置された帯電部と、 前記筐体の下流側に前記一対の第1の電極間に対して垂直方向に分岐した第1及び第2の排気流路とを有して、 前記一対の第2の電極間の距離は15mm以上200mm以下であり、前記第2の電極のそれぞれから前記筐体内の中心線までの距離より、前記第2の電極のそれぞれから当該第2の電極に最も近い前記第1の電極までの距離が短くなる位置に、前記筐体の前記中心線に対して対称に、前記一対の第1の電極と前記一対の第2の電極とが配置され、前記第2の電極は前記第2の排気流路へ延在するように配置されるとともに、 前記溶媒分離装置は、さらに、 前記一対の第2の電極のうちの一方の前記第2の電極に対して、前記溶媒の極性とは反対の極性の電圧を印加し、両側の前記第1の電極と前記一対の第2の電極のうちの他方の前記第2の電極に対して、前記溶媒の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加装置と、 前記電圧の周波数を100Hz以上1kHz以下の周波数として前記溶媒分離部内で振動運動する前記溶媒の振幅が、前記溶媒分離部の流路幅より小さくなる時間間隔で両側の前記一対の第2の電極に印加する電圧の極性を入れ替えるように前記電圧印加装置の駆動を制御する制御部とを有する、溶媒分離装置。前記流入口の幅を、前記筐体内の前記一対の第2の電極間の幅より両側5mmずつ以上狭く、且つ前記流入口の幅が5mm以上である、請求項2に記載の溶媒分離装置。前記一対の第1の電極に平行な前記一対の第2の電極と同一平面内に前記第2の電極と同じ厚さの一対の第3の電極が前記第2の電極に接するように配置され、 前記第3の電極の前記同一平面内における高さは、前記筐体の下流から上流に向かって徐々に高くなっていき、前記第3の電極の前記第2の電極に接する面と平行な断面の長さは前記第2の電極から離れるにしたがって小さくなり、且つ前記第1の排気流路と前記第2の排気流路の分岐点においては前記第2の排気流路内に前記第3の電極が収まっている、請求項2又は請求項3に記載の溶媒分離装置。

说明书全文

本発明は、気化した溶媒を含む気体から、溶媒を除去して浄化する溶媒分離方法及び装置に関するものである。

近年、様々な工業製品若しくは家電の組み立て製造工程、又は、それらの製品の構成部品となる各種電子部品、各種の電池、若しくは、基板などのデバイス製造工程においても、各種の機能を持ったペースト状の材料を塗布したのち、各種熱処理装置によって加熱処理が行われている。ここで、各種熱処理装置とは、例えば、乾燥炉、焼成炉、キュア炉、もしくは電子部品の実装工程などではんだ付けに使用されるリフロー炉などである。それぞれのペースト状の材料には、最終的に製品に必要とされる固形分などに加え、それらを各種の基板又は基材などに塗工するために、それぞれの目的又は必要に応じて、又は有機溶剤などの各種の溶剤が混入されて粘度調整又は性能調整が施されている。

それらの溶媒は、熱処理装置における加熱工程で、気化及び脱媒の工程を経て、ペースト上の材料から装置内に放出される。これにより、連続的に加熱処理がなされる場合には、装置内に溶媒が連続的に気化して放出され、その結果、装置内雰囲気における溶媒濃度が上がり、様々な不具合につながる可能性がある。例えば、装置内雰囲気中の溶媒濃度が高くなるにつれて、装置内温度での雰囲気中に存在可能な溶媒の量が飽和状態に近づくことで、熱処理対象物の乾燥が困難になり、又は、爆発性を有する溶媒の場合は、飽和蒸気圧まで達していなくても、気化溶媒濃度の爆発限界を超えてしまう可能性もある。そのために、装置外から外気を装置内に定期的又は連続的に供給したり、窒素ガス又はその他の雰囲気(雰囲気ガス)が必要な場合には、それらの雰囲気を装置外から供給する必要がある。さらに、同時に、溶媒濃度が上昇した装置内の雰囲気を装置外に放出する手段が採られる。

図8は、雰囲気の供給と排気とを説明する図である。送風ブロア2で外気を熱処理装置1の内部に供給する。熱処理装置1内で気化する溶媒を含んだ熱処理装置1内の雰囲気の一部を、排気ブロア3で装置外に排出する。排気に含まれ且つ気化した溶媒除去方式は、例えば特許文献1の方式が知られている。

図9は特許文献1の概略構成図である。特許文献1で開示されている構成は、以下のような構成である。溶媒分離部4の第1壁面5aには電極6が設置されており、電圧印加装置7から電圧を印加可能としている。また、第1壁面5aに相対する第2壁面5bについては、電極6とは絶縁し、アースに接続されている。そして、溶媒分離部4の出口側は、第1の排気ダクト8と第2の排気ダクト9とに分岐するように構成されており、第1の排気ダクト8は第1壁面5aに延在するように配置されている。このように構成することで、第2壁面5bと第2壁面5bに対向する第1壁面5aに配置している電極6との間に電位差が生じ、溶媒分離部4内に電界10が発生する。よって、熱処理装置1から排出されて溶媒分離部4内に供給された排気雰囲気12に含まれる溶媒11は、電界10の影響領域内に到達すると、静電誘引によって電極6の方向に誘引される。よって、電極6側に集められた溶媒11を含む第1の排気雰囲気13は第1の排気ダクト8から排出され、一方、溶媒11を含まない浄化された第2の排気雰囲気14については、第2の排気ダクト9から排出される。

特開2015−142898号公報

しかしながら、前記特許文献1の構成では、電界を一方向に印加するため、溶媒が電極に接触し、溶媒分離部内から排出されず、電極を汚してしまう。電極の汚染が進行すると、溶媒の捕集効率の低下に繋がるため、定期的に電極のメンテナンスが必要となる。

本発明は、このような点に鑑み、気化した溶媒が電極に接触するのを抑制しつつ、電界によって誘引させながら溶媒分離部内の片側に集めて分離し排出する、溶媒分離方法及び装置を提供することを目的とする。

前記目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる溶媒分離方法は、気化した溶媒を含んだ気体から前記溶媒を分離する方法であって、 四型筒状構造の筐体と、 前記筐体から絶縁しつつ前記筐体内の対向する一対の内壁面全体を覆うように配置された一対の第1の電極と、 前記筐体内で前記筐体及び前記第1の電極から絶縁しつつ前記第1の電極より内側に離れて前記第1の電極と平行に配置され、且つ前記内壁面の高さの半分以下の高さの一対の第2の電極とを有して溶媒分離部を構成し前記一対の第2の電極間の距離は15mm以上200mm以下であり、前記第2の電極のそれぞれから前記筐体内の中心線までの距離より、前記第2の電極のそれぞれから当該第2の電極に最も近い前記第1の電極までの距離が短くなる位置に、前記筐体の前記中心線に対して対称に、前記一対の第1の電極と前記一対の第2の電極とが配置された溶媒分離装置に対して、 前記溶媒を前記筐体に流入させる前に帯電させ、 前記一対の第2の電極のうちの一方の前記第2の電極に、前記溶媒の極性とは反対の極性の電圧を印加し、前記一対の第1の電極と前記一対の第2の電極のうちの他方の前記第2の電極に、前記溶媒の極性と同じ極性の電圧を印加し、 前記電圧の周波数を100Hz以上1kHz以下の周波数として前記溶媒分離部内で振動運動する前記溶媒の振幅が、前記溶媒分離部の流路幅より小さくなる時間間隔で前記一対の第2の電極に印加する電圧の極性を入れ替えることで、前記溶媒を前記筐体内の一定領域内に集め、 集めた前記溶媒を含む気体を、前記筐体内の前記一定領域以外の領域に存在する前記溶媒を含まない気体から分離して排出する、溶媒分離方法。

本発明の別の態様にかかる溶媒分離装置は、気化した溶媒を含んだ気体から前記溶媒を分離する溶媒分離装置であって、 四角型筒状構造の筐体と、 前記筐体から絶縁しつつ前記筐体内の対向する一対の内壁面全体を覆うように配置された一対の第1の電極と、 前記筐体内で前記筐体及び前記第1の電極から絶縁しつつ前記第1の電極より内側に離れて前記第1の電極と平行に配置され、且つ前記内壁面の高さの半分以下の高さの一対の第2の電極とを有して溶媒分離部を構成するとともに、 前記一対の第2の電極間と同じ幅以下の流入口と、 前記筐体へ気化した溶媒を含んだ気体を流入させる流路に設置された帯電部と、 前記筐体の下流側に前記一対の第1の電極間に対して垂直方向に分岐した第1及び第2の排気流路とを有して、 前記一対の第2の電極間の距離は15mm以上200mm以下であり、前記第2の電極のそれぞれから前記筐体内の中心線までの距離より、前記第2の電極のそれぞれから当該第2の電極に最も近い前記第1の電極までの距離が短くなる位置に、前記筐体の前記中心線に対して対称に、前記一対の第1の電極と前記一対の第2の電極とが配置され、前記第2の電極は前記第2の排気流路へ延在するように配置されるとともに、 前記溶媒分離装置は、さらに、 前記一対の第2の電極のうちの一方の前記第2の電極に対して、前記溶媒の極性とは反対の極性の電圧を印加し、両側の前記第1の電極と前記一対の第2の電極のうちの他方の前記第2の電極に対して、前記溶媒の極性と同じ極性の電圧を印加する電圧印加装置と、 前記電圧の周波数を100Hz以上1kHz以下の周波数として前記溶媒分離部内で振動運動する前記溶媒の振幅が、前記溶媒分離部の流路幅より小さくなる時間間隔で両側の前記一対の第2の電極に印加する電圧の極性を入れ替えるように前記電圧印加装置の駆動を制御する制御部とを有する。

以上のように、本発明の前記態様の溶媒分離方法及び装置によれば、熱処理装置などの排気発生装置から排出される気化した溶媒を含む排気雰囲気からの溶媒除去において、溶媒分離部内で両側の第2の電極側に溶媒が引き寄せられるような電界を交互に印加することにより、溶媒を振動運動させながら溶媒分離部内の一対の第2の電極間の空間に集め、分岐した排気流路から排出することで、電極に溶媒が接触するのを抑制しつつ、排気雰囲気から溶媒を含んだ気体を分離することが可能となる。

本発明の第1実施形態における溶媒分離装置の概略構成図

帯電部の概略図

本発明の第1実施形態における溶媒分離部の構成図

本発明の第1実施形態における溶媒分離部の構成図

第1の電極と第2の電極に印加する電圧のグラフ

第1の電極と第2の電極に印加する電圧のグラフ

本発明の第2実施形態における溶媒分離部の構成図

本発明の第3実施形態における溶媒分離部の構成図

本発明の第4実施形態における溶媒分離部の構成図

本発明の第4実施形態における溶媒分離部の構成図

本発明の第4実施形態における溶媒分離部の構成図

本発明の第5実施形態における溶媒分離部の構成図

従来の雰囲気の供給と排気とを説明する概略構成図

従来の溶媒分離装置の概略構成図

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

(第1実施形態) 図1は、本発明の第1実施形態における溶媒分離装置111の概略構成図である。溶媒分離装置111は、排気発生装置の一例としての熱処理装置1に連結されて、帯電部102と、排気ダクト101と、溶媒分離部103と、第1の排気流路の一例として機能する第1の排気ダクト104と、第2の排気流路の一例として機能する第2の排気ダクト105と、第1の排気ブロア106と、第2の排気ブロア107とを備えている。

熱処理装置1は、例えば、焼成炉、乾燥炉、キュア炉、又は、リフロー炉など、加熱処理を行う炉である。この加熱処理では、加熱対象の各種材料又は部材に応じた加熱を実施し、加熱により熱処理装置1内の雰囲気(気体)中に溶媒が気化する。気化した溶媒を含む熱処理装置内雰囲気の一部は、熱処理装置1に連通して配置されている排気ダクト101に導かれる。

排気ダクト101の下流側には、帯電部102を経由して、溶媒分離部103が連通するように接続されており、溶媒を溶媒分離部103に流入させる前に帯電部102で帯電させるようにしている。この溶媒分離部103内には、熱処理装置1から排気ダクト101を介して、排気雰囲気108を送り込む。そして、詳しくは後述するように、排気雰囲気108中の気化した溶媒の気体分子が、帯電部102により正又は負に帯電され、溶媒分離部103内における電界の影響による静電誘引により、排気雰囲気108中の溶媒以外の気体分子から分離される。その結果、溶媒を含まない部分の第1の排気雰囲気109と、溶媒を含む部分の第2の排気雰囲気110とに分離されて、排気雰囲気の中で溶媒濃度の偏りが発生する。ここで、静電誘引とは、正の電荷に帯電した物質は負の電荷に引き寄せられ、負の電荷に帯電した物質は正の電荷に引き寄せられることを言う。

このように溶媒分離部103で互いに分離された、溶媒を含まない部分の第1の排気雰囲気109と、溶媒を含む部分の第2の排気雰囲気110とを、溶媒分離部103に連通する別々の第1の排気ダクト104と第2の排気ダクト105とにそれぞれ導く。溶媒を含まない第1の排気雰囲気109は、第1の排気ブロア106により第1の排気ダクト104を介して溶媒分離部103外に排出される。一方、溶媒を含む第2の排気雰囲気110については、第2の排気ダクト105を介して、第2の排気ブロア107によって溶媒分離部103外に排出される。

ここで、図2に帯電部102の構造の一例を示す。図2のように、帯電部102は、接地した対向する一対の平板電極112と、帯電用電圧印加装置135に接続された放電電極113とで構成されている。放電電極113の極性は、帯電用電圧印加装置135により正又は負に設定されており、帯電用電圧印加装置135から直流の高電圧が印加されている。帯電部102を通過する気化した溶媒114は、放電電極113から平板電極112へのコロナ放電により、放電電極113が負極のときは負に帯電し、放電電極113が正極のときは正に帯電し、静電誘引により正極又は負極に引き寄せられるようになる。帯電部102としては、他にもイオンを対象物に吹きかけて帯電させるもの、又は帯電部102の壁面との摩擦により帯電させるようなものもある。

図3Aは、本発明の第1実施形態における溶媒分離装置の構成図である。溶媒分離部103内に供給された排気雰囲気108に含まれる溶媒114を、溶媒分離部103内で分離させる機能について説明する。

図3Aに示すように、溶媒分離部103は、四角型筒状構造の筐体の一例として機能する四角型筒状部材115と、長方形平板状の第1の電極116と、長方形平板状の第2の電極117とを備えている。

四角型筒状部材115は、全体が絶縁材で構成されるか、又は、導体の場合には、四角型筒状部材115と第1の電極116との間が絶縁材などで絶縁され、かつ、四角型筒状部材115と第2の電極117との間も絶縁材などで絶縁されるように構成されている。

溶媒分離部103の下流側には、一例として、上側に配置された第1の排気ダクト104と、下側に配置された第2の排気ダクト105とを備えている。すなわち、四角型筒状部材115の下流側において、第1の排気ダクト104及び第2の排気ダクト105とは、一対の第1の電極116間に対して垂直方向に分岐している。

第1の電極116は、四角型筒状部材115から絶縁しつつ四角型筒状部材115内の対向する一対の長方形の内壁面全体を覆うように配置されており、溶媒分離部103の入口から、少なくとも第1の排気ダクト104と第2の排気ダクト105との分岐点まで存在している。

第2の電極117は、四角型筒状部材115内で四角型筒状部材115及び第1の電極116から絶縁しつつ第1の電極116より内側に離れて第1の電極116と平行に配置され、且つ四角型筒状部材115の内壁面の高さの半分以下の高さを有しており、第2の排気ダクト105へ延在するように配置されている。

第1の電極116と第2の電極117とは、四角型筒状部材115内の中心線140に対して対称に配置されている。すなわち、各第2の電極117から四角型筒状部材115内の中心線140までの距離D2よりも、第2の電極117のそれぞれから当該第2の電極117に最も近い第1の電極116までの距離D1が短くなる位置に、中心線140に対して対称に、一対の第1の電極116と一対の第2の電極117とが配置されている。また、第1の電極116と第2の電極117とは、それぞれ、四角型筒状部材115から絶縁されて配置されている。

また、溶媒分離部103への流入口121の幅は、一対の第2の電極117間の幅Wと同じ幅に設定されている。溶媒分離部103内に供給された排気雰囲気108に含まれる溶媒114は、溶媒分離部103内で、溶媒114を含まない第1の排気雰囲気109と溶媒114を含む第2の排気雰囲気110とに分離され、溶媒114を含まない第1の排気雰囲気109は第1の排気ダクト104から排気され、溶媒114を含む第2の排気雰囲気110は、第2の排気ダクト105から溶媒分離部103外へ排出される。

以下、溶媒分離部103内における各電極116,117に第1電圧印加装置136と第2電圧印加装置137とからそれぞれ印加する電圧について、溶媒114が、帯電部102において負に帯電した場合を例に説明する。第1電圧印加装置136と第2電圧印加装置137とからの電圧印加は、制御部138によりそれぞれ駆動制御される。図3Bは溶媒分離部103の断面を示した図である。

まず、制御部138の制御により、一方の第2の電極(例えば図3Bの右側の第2の電極)117に負の電圧を、他方の第2の電極(例えば図3Bの左側の第2の電極)117に、一方の第2の電極117と同じ絶対値の正の電圧を第2電圧印加装置137から印加し、両側の第1の電極116に一方の第2の電極117に印加した電圧と同じ絶対値の負の電圧を第1電圧印加装置136から印加する。それにより、溶媒分離部103内では、一対の第2の電極117間の空間(領域)142に存在しかつ負に帯電した溶媒114を、正の電圧を印加した第2の電極(例えば図3Bの左側の第2の電極)117へ誘引する電界(矢印120参照)が発生する。すると、前記空間(領域)142に存在しかつ負に帯電した溶媒114は、静電誘引によって、正の電圧を印加した第2の電極(例えば図3Bの左側の第2の電極)117側に向かって移動する。

次いで、制御部138の制御により、一定時間経過毎に、第2の電極117のそれぞれに印加する電圧の極性のみを第2電圧印加装置137で入れ替えることにより、溶媒分離部103内の電界の向きは、一対の第2の電極117間で反転する。この結果、一対の第2の電極117間の空間(領域)142に存在しかつ負に帯電した溶媒114を、正の電圧を印加した第2の電極(例えば図3Bの右側の第2の電極)117へ誘引する電界(矢印130参照)が発生する。すると、前記空間(領域)に存在しかつ負に帯電した溶媒114は、静電誘引によって、正の電圧に入れ替わった第2の電極(例えば図3Bの右側の第2の電極)117側に向かって移動する。

ここで、図3Cの(a)及び(b)は、一対のそれぞれの第2の電極117に第2電圧印加装置137から印加する電圧123a、123bを、縦軸が電圧で、横軸が時間で示したグラフである。図3Cの(c)は両側の一対の第1の電極116に第1電圧印加装置136から印加する電圧123cを、縦軸が電圧で、横軸が時間で示したグラフである。

このように、制御部138での制御の下に、第2の電極117の電圧123a,123bの極性の入れ替えを、後述するような時間間隔で第2電圧印加装置137で行うことにより、溶媒114は、溶媒分離部103内を振動運動、すなわち、矢印120と矢印130とのように交互に異なる方向に移動しながら、溶媒分離部103の下流側に流れていく。また、溶媒分離部103内の一対の第2の電極117間の空間(領域)142以外の空間(領域)143に存在する溶媒114も、一対の第2の電極117間の空間(領域)142内に存在する溶媒114からの影響で振動運動しながら、溶媒分離部103内の一対の第2の電極117間の空間(領域)142に集められ、溶媒分離部103の下流側に流れていく。

その後、溶媒分離部103の一対の第2の電極117間に集められた、溶媒114を含む第2の排気雰囲気110は、第2の排気ダクト105から溶媒分離部103の外に排出される。一方、溶媒114を含まない第1の排気雰囲気109は、第1の排気ダクト104から溶媒分離部103の外に排出される。

また、図3Dの(a)、(b)、(c)、(d)は、一方の第2の電極117に第2電圧印加装置137から印加する電圧123aと、その電圧123aを印加する一方の第2の電極117と同じ側の一方の第1の電極116に第1電圧印加装置136から印加する電圧124aと、他方の第2の電極117に第2電圧印加装置137から印加する電圧123bと、その電圧123bを印加する他方の第2の電極117と同じ側の他方の第1の電極116に第1電圧印加装置136から印加する電圧124bをそれぞれ示している。第1の電極116の電圧は、同じ側の第2の電極117に正の電圧が印加されている間のみ、電圧の絶対値を第2の電極117に印加する電圧より小さくしてもよい。ただし、0Vにしてもよいが、正の電圧にしてはならない。

なお、溶媒114が帯電部102で正に帯電したときは、前記の説明に対して、各電極の極性を入れ替えることで、同様の効果が得られる。

以下、溶媒分離部103に関する各パラメータについて説明する。

熱処理装置1などの排気発生装置から排出される排気の流速は、1〜10m/s程度と想定される。この流速の排気に含まれる溶媒114を第2の電極117間の空間(領域)142側に誘導するためには、第1の電極116と第2の電極117とにそれぞれ印加する電圧は、帯電部102で帯電した溶媒114と反対の極性の電圧を印加する第2の電極117と、第2の電極117と同じ側ではなく対向する反対側に位置する第1の電極116との間の電界強度が、100〜500kV/m程度になるよう設定するのが好ましい。一例として、一対の第2の電極117間の距離の目安としては、15〜200mm程度が適当であると考えられる。第1の電極116を設置している溶媒分離部103の四角型筒状部材115の壁面の高さは、溶媒分離部103内の一対の第2の電極117間の空間(領域)142以外の空間(領域)143に存在する溶媒114に対して、それぞれの第2の電極117側へ誘引する電界を印加するために、一対の第2の電極117間の距離に対して、2倍以下になるように設定する必要がある。溶媒分離部103の流路の長さの一例としては、溶媒114を溶媒分離部103内の一対の第2の電極117間の空間(領域)142側に集めて溶媒分離部103から排出させるためには、流体の速度を1〜10m/s程度と想定すると、少なくとも10cm以上あればよい。第1の電極116及び第2の電極117にそれぞれ印加する電圧の周波数は、前記電界強度に対して、100Hz〜1kHz程度であれば、溶媒分離部103内で振動運動する溶媒114の振幅は、数百μm〜数mm程度になり、溶媒分離部103の流路幅に対して十分小さいため、電極116,117への接触を抑制することができ、且つそれぞれの第2の電極117側への誘導も可能である。第2の電極117の高さは、第1の電極116を設置している溶媒分離部103の壁面の高さの半分以下に収まるようにすれば、溶媒分離部103の図3Bで示した断面から見たときに、溶媒分離部103全体の半分以下の空間(領域)に溶媒114を集めることができ、排気雰囲気の一部として溶媒分離部103外に排出することができる。また、第2の電極117の高さは、少なくとも5mm以上あれば、溶媒114をそれぞれの第2の電極117側へ誘導することが可能である。

両側それぞれの第1の電極116と第2の電極117との間の距離は、第1の電極116と第2の電極117との間にかかる電界強度が、空気の絶縁耐である2.0×106V/mの半分以下になるようにすればよい。

前記第1実施形態にかかる溶媒分離方法及び装置によれば、第1の電極116及び第2の電極117に対して、一定方向に電界を印加するのではなく、それぞれの第2の電極117側へ溶媒114が移動するような電界120,130を交互に印加し、溶媒114を振動運動させ、振動運動する溶媒114の振幅を流路幅に対して、小さくなるように電圧又は周波数を設定することで、溶媒114が第2の電極117に接触するのを抑制しつつ、排気雰囲気から、溶媒114を含んだ気体を効率良く分離することが可能となる。

(第2実施形態) 図4は、本発明の第2実施形態における溶媒分離装置の構成図である。第2実施形態では、第1実施形態の溶媒分離部103に代えて、両側それぞれの第1の電極116と第2の電極117との間を溶媒114が通過しないように、両側それぞれの第1の電極116と第2の電極117との間の空間(領域)139を、溶媒分離部103B内の一対の第2の電極117間と同じ幅の空間(領域)141から遮断する遮断部材118を設置した構造を有する溶媒分離部103Bを配置している。

溶媒分離部103Bは、両側の第2の電極117と第1の電極116とのそれぞれの間の空間(領域)139を、溶媒分離部103B内の一対の第2の電極117間と同じ幅の空間(領域)141から、遮断部材118により完全に遮断しており、排気雰囲気108がその隙間を通過することはできない。故に、溶媒分離部103B内に流入してきた、排気雰囲気108に含まれる溶媒114の一部が、両側の第1の電極116と第2の電極117との間の隙間空間(領域)139に入り込み、その隙間空間(領域)139にトラップされ、溶媒分離部103Bから排出できなくなることを抑制することが可能となる。

第2実施形態の場合、第1実施形態の作用効果に加えて、溶媒114が、両側の第1の電極116と第2の電極117との間の隙間空間139に入り込まないため、溶媒分離部103B内に導入した排気雰囲気108に含まれる溶媒114を溶媒分離部103B外に確実に排出することができる。

遮断部材118は、各電極116,117に印加する電圧と、両側の第2の電極117と第1の電極116との間のそれぞれの距離D3とを鑑み、それらがショートしない程度の絶縁耐力を有する板状の部材が適当である。第1の実施形態と同じ条件に設定したとして、例を挙げると、ポリテトラフルオロエチレン(絶縁耐力:〜2×107V/m)で構成される板状の部材などがある。なお、空気の絶縁耐力も十分大きいため、遮断部材118内は、流入口121側のみ遮蔽されて、残りの部分は空洞になっていてもよい。

(第3実施形態) 図5は、本発明の第3実施形態における溶媒分離装置の構成図である。第3実施形態では、第1実施形態の溶媒分離部103に代えて、溶媒分離部103Cの流入口121の流路幅W2を、一対の第2の電極117間の幅Wより狭くした構造を有する溶媒分離部103Cを配置している。第1の実施形態において、溶媒114が溶媒分離部103Cの流入口121に流入する際に、流入口121の端縁の第2の電極117付近に存在する溶媒114においては、第2の電極117との距離がほとんど無いため、溶媒114の振動運動の振幅が非常に小さいものであったとしても、第2の電極117と接触する可能性がある。そこで、溶媒分離部103Cの流入口121の幅W2を、一対の第2の電極117間の幅Wよりも狭くすることで、第2の電極117付近の流入口121から入ってくる溶媒114も、第2の電極117に接触するのを抑制しつつ、排出することができる。

第3実施形態の場合、第1実施形態の作用効果に加えて、溶媒114が、溶媒分離部103Cの第2の電極117から十分離れたところを通過するため、溶媒114が、第2の電極117に接触するのをさらに抑制することが可能となる。また、溶媒分離部103Cの流入口121と第2の電極117との間の距離D4は、溶媒114の振動運動の振幅が前記の電圧の周波数に対して、数百μm〜数mm程度であり、大きく見積もっても3mm程度であることから、電界のばらつきなどを考慮して、5mm以上あれば十分であると考えられる。また、流入口121の幅W2は、熱処理装置1などの排気発生装置から接続することを考えると、流速を1〜10m/s程度に抑えるために、少なくとも5mm以上必要であると考えられる。

(第4実施形態) 図6A〜図6Cは、本発明の第4実施形態における溶媒分離装置の構成図であり、理解しやすくするため、第2の電極117と第3の電極122とをハッチングによりそれぞれ他の部材から区別して示している。第4実施形態では、第1実施形態の溶媒分離部103に代えて、第1の電極116を設置する溶媒分離部103Dの内壁面に、平行且つ両側の第2の電極117と同一平面内に第2の電極117と同じ厚さの一対の第3の電極122を、第2の電極117に接するように第2の電極117上に配置している。第3の電極122の高さは、溶媒分離部103Dの下流から上流に向かって徐々に高くなっており、また第2の電極117に接する面と平行な断面の下流から上流方向の長さは、第2の電極117から離れるにつれ、小さくなっている構造をしている。

また、両側の第3の電極122の電位は、それぞれ、同じ側の第2の電極117と同電位に設定する。

第4実施形態の場合、第1実施形態の作用効果に加えて、溶媒分離部103D内の一対の第2の電極117間の空間(領域)(例えば図4の空間141)以外の空間(領域)(例えば図4の空間139)を流れる溶媒114に対しても、第3の電極122が近距離にあるため、溶媒114を第2の電極117間の空間(領域)側へ誘引することができ、第1の電極116を設置している溶媒分離部103Dの壁面の高さを、一対の第2の電極117間の距離の2倍より大きくしても溶媒114が溶媒分離部103D内でそれぞれの第2の電極117側への引き寄せが可能となる。

図6Aのように第3の電極122が三角形板状の場合、第3の電極122と流入口121の開口面とがなす角度119は、10°以上あればよく、第1の排気ダクト104と第2の排気ダクト105の分岐までに、第3の電極122が第2の排気ダクト105内に収まっていればよい。

また、図6Bのように、第3の電極122の上縁が湾曲凹部の曲線状の場合、曲線の接線と流入口121の開口面とがなす角度119において、角度119が一番急になる接線を選んだときに、角度119が10°以上あればよい。

図6Cのように、第3の電極122の上縁が上流から下流に向けて下り階段状の場合は、ある特定の段と次の段の頂点を結んだ直線と流入口121の開口面とのなす角度119において、角度119が一番急になる直線を選んだときに、角度119が10°以上あればよい。

第1の電極116を設置している溶媒分離部103Dの壁面の高さは、前記第3の電極122の条件を満たす範囲内まで大きくすることが可能である。なお、第2の電極117と第3の電極122とは一体物にしてもよい。

(第5実施形態) 図7は、本発明の第5実施形態における溶媒分離装置の構成図である。第5実施形態では、第1実施形態の溶媒分離部103に代えて、第2の電極117を溶媒分離部103Eの四角型筒状部材115の壁面から浮かせる構造を有する溶媒分離部103Eを配置している。第2の電極117と溶媒分離部103Eの四角型筒状部材115の壁面との間には第2の電極117の高さを調整する絶縁部材145が挿入されている。

第5実施形態の場合、第1実施形態の作用効果に加えて、一対の第2の電極117間の空間(領域)142の溶媒分離部103Eの四角型筒状部材115の壁面付近に集められた溶媒114が、溶媒分離部103Eの四角型筒状部材115の壁面と接触するのを抑制することが可能となる。

第2の電極117の下端面の溶媒分離部103Eの四角型筒状部材115の壁面からの高さHは、5mm以上あれば、十分効果が得られる。

なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。

本発明の前記態様にかかる溶媒分離方法及び装置は、排気雰囲気に含まれる溶媒が電極に接触するのを抑制しつつ、効率良く分離することができるため、メンテナンス頻度が少なく、雰囲気使用量の少ない溶媒分離方法及び装置として、工業製品又は家電製品の製造工程又は各種電子部品の製造工程における乾燥炉、焼成炉、キュア炉、又はリフロー炉などの各種熱処理を行う熱処理装置などの排気発生装置に適用できる。

1 熱処理装置 2 送風ブロア 3 排気ブロア 4 溶媒分離部 5a 第1壁面 5b 第2壁面 6 電極 7 電圧印加装置 8 第1の排気ダクト 9 第2の排気ダクト 10 電界 11 溶媒 12 排気雰囲気 13 第1の排気雰囲気 14 第2の排気雰囲気 101 排気ダクト 102 帯電部 103,103B,103C,103D,103E 溶媒分離部 104 第1の排気ダクト 105 第2の排気ダクト 106 第1の排気ブロア 107 第2の排気ブロア 108 排気雰囲気 109 第1の排気雰囲気 110 第2の排気雰囲気 111 溶媒分離装置 112 平板電極 113 放電電極 114 溶媒 115 四角型筒状部材 116 第1の電極 117 第2の電極 118 遮断部材 119 角度 120 電界 121 流入口 122 第3の電極 123a 電圧 123b 電圧 123c 電圧 124a 電圧 124b 電圧 130 電界 135 帯電用電圧印加装置 136 第1電圧印加装置 137 第2電圧印加装置 138 制御部 139 第1の電極と第2の電極との間の空間(領域) 140 中心線 141 一対の第2の電極間と同じ幅の空間(領域) 142 一対の第2の電極間の空間(領域) 143 一対の第2の電極間の空間(領域)以外の空間(領域) 145 絶縁部材 D1 第2の電極から第1の電極までの距離 D2 第2の電極から中心線までの距離 D3 第2の電極と第1の電極との間の距離 D4 流入口と第2の電極との間の距離 H 第2の電極の下端面の溶媒分離部の壁面からの高さ W 一対の第2の電極間の幅 W2 溶媒分離部の流入口の流路幅

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