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Parts for endoscope, their production and endoscope using the parts

阅读:67发布:2020-10-19

专利汇可以提供Parts for endoscope, their production and endoscope using the parts专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE: To impart the durability against cleaning and sterilizing chemicals to the parts for an endoscope. CONSTITUTION: A chromate film is formed on the base material for the parts consisting of an aluminum alloy at 10-1000mg/m by chemical conversion treatment, and a resin film having 5-50μm thickness is formed on the chromate film by electrodeposition coating. Durability is imparted since the chromate film by chemical conversion treatment is thick and the resin coating film by electrodeposition coating is firmly attached.,下面是Parts for endoscope, their production and endoscope using the parts专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 アルミニウム合金からなる部品基材の全部又は一部の表面にクロム量10〜1000mg/m 2
    のクロメート皮膜が化成処理により形成され、このクロメート皮膜の上に厚さ5〜50μmの樹脂塗膜が電着塗装により形成されていることを特徴とする内視鏡用部品。
  • 【請求項2】 前記クロメート皮膜はリン酸クロメート皮膜またはクロム酸クロメート皮膜であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡用部品。
  • 【請求項3】 前記樹脂塗膜は少なくともフッ素を含有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡用部品。
  • 【請求項4】 アルミニウム合金からなる部品基材の全部又は一部の表面にクロム量10〜1000mg/m 2
    のクロメート皮膜を化成処理により形成し、このクロメート皮膜の上に厚さ5〜50μmの樹脂塗膜を電着塗装により形成することを特徴とする内視鏡用部品の製造方法。
  • 【請求項5】 前記化成処理はリン酸クロメート処理またはクロム酸クロメート処理であることを特徴とする請求項4記載の内視鏡用部品の製造方法。
  • 【請求項6】 前記電着塗装は少なくとも水分散性で且つ電気泳動性のフッ素を主成分として含有する電着塗料組成物を用いて行うことを特徴とする請求項4記載の内視鏡用部品の製造方法。
  • 【請求項7】 アルミニウム合金からなる部品基材の全部又は一部の表面にクロム量10〜1000mg/m 2
    のクロメート皮膜が化成処理により形成され、このクロメート皮膜の上に厚さ5〜50μmの樹脂塗膜が電着塗装により形成された部品が組み込まれていることを特徴とする内視鏡。
  • 【請求項8】 前記部品のクロメート皮膜がリン酸クロメート皮膜またはクロム酸クロメート皮膜であることを特徴とする請求項7記載の内視鏡。
  • 【請求項9】 前記部品の樹脂塗膜は少なくともフッ素を含有することを特徴とする請求項7記載の内視鏡。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は各種洗浄消毒処理に対して耐久性を有した内視鏡用部品及びこの部品を製造する方法、並びにこの部品を用いた内視鏡に関する。

    【0002】

    【従来の技術】体内に挿入して患部を直ちに観察しながら処置できる内視鏡は、X線造影法やCTスキャンでは見逃してしまうような細部に渡ってまでも、患部を検出することができるところから、近年その有効性が注目を集めている。 しかし、内視鏡は高価であって、容易に破棄する使い方はできず、また、種々の病気を有する患者に対して用いられるために、使用後には十分な洗浄消毒をした上でのみ次の患者に適用される。

    【0003】内視鏡に対する洗浄消毒法は、薬剤・ガスの組み合わせや条件により数多く存在するが、世の中では特に有効と考えられる数種に絞って実施されている。
    一般的にはEOG(エチレンオキサイドガス)とフレオンガスや二酸化炭素ガスとの併用による方法、ホルマリンガスによる方法、高圧蒸気法、ヨードホルム溶液による方法の他、アルコール系・アルデヒド系・塩化物系・フェノール系・アンモニウム塩系・グリシン系・ビグアナイド系・過酸化物系を用いた方法がある。 また、最近ではアルカリ陰イオン系界面活性剤水溶液による方法、グルタルアルデヒド等のアルデヒド類水溶液に各種界面活性剤や酸・アルカリを複合化したものによる方法等強な洗浄消毒法が開発されている。 更に、より強力な洗浄消毒のために過酸化物と酸を混合した水溶液を主成分とする洗浄消毒方法が開発されている。

    【0004】従来より、内視鏡用の金属部品はアルミニウム合金やステンレス鋼等を用いており、特にアルミニウム合金系については、上記洗浄消毒方法に対応できるように、表面を酸化してアルマイトにし、その後封孔処理を施していた。 この観点から、アルマイトの表面処理や封孔処理をして耐薬品性を向上させる手段が、特開平2−149698号公報及び同3−277797号公報に記載されている。 特開平2−149698号公報の方法は表面に金属酸化物の層を加熱して形成させるものであり、特開平3−277797号公報の方法はフッ化金属化合物による常温封孔処理と熱水封孔処理とを併用するものである。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平2−1
    49698号公報の方法では、アルミニウム表面に耐薬品性の金属酸化物の薄層を形成させるため、少なくとも650℃以上に加熱する必要があり、内視鏡に用いられる小型の部品は、熱による寸法変化や形状変化を伴い、
    また高温まで加熱すると室温まで温度を下げるのに時間がかかり、大量処理には実用的となっていない。 しかも、種々の薬品に対する耐久性も、十分有するものではない。

    【0006】一方、特開平3−277797号公報の方法は、封孔処理を良好に行うことができたとしても、アルミニウム表面はγAl 23・H 2 Oのアルミナゲル層であり、結晶化度が低いために充分な耐薬品性を得られない。 特に、グルタルアルデヒド等のアルデヒド類の水溶液に各種界面活性剤や酸・アルカリを複合化して行う洗浄消毒方法や、過酸化物と酸を混合した水溶液を主成分とする洗浄消毒方法に対しては耐久性が得られない問題がある。

    【0007】本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、低温下で且つ再現性良く表面処理を行い、内視鏡の洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有した内視鏡用部品及びその製造方法並びにその部品を用いた内視鏡を提供することを目的とする。

    【0008】

    【課題を解決するための手段及び作用】本発明の内視鏡用部品は、アルミニウム合金からなる部品基材の全部又は一部の表面にクロム量10〜1000mg/m 2のクロメート皮膜が化成処理により形成され、このクロメート皮膜の上に厚さ5〜50μmの樹脂塗膜が電着塗装により形成されていることを特徴とする。 本発明の内視鏡はこの部品を組み込むことにより構成されるものである。

    【0009】本発明の内視鏡用部品の製造方法は、アルミニウム合金からなる部品基材の全部又は一部の表面にクロム量10〜1000mg/m 2のクロメート皮膜を化成処理により形成し、このクロメート皮膜の上に厚さ5〜50μmの樹脂塗膜を電着塗装により形成することを特徴とする。

    【0010】以上のような本発明は、アルミニウム合金からなる部品基材に対して、まず脱脂洗浄を行い、この洗浄後の部品基材の全部又は一部の表面にクロメート皮膜を化成処理により形成し、このクロメート皮膜の上に電着塗装を行い、余分の塗料を水洗で除去したのち、焼き付け炉内で100〜200℃の温度で10〜50分間の硬化を行うものである。

    【0011】本発明に用いられるアルミニウム合金としては、AC7B等の鋳物用合金、ADC12等のダイカスト用合金、JIS 1100等のJIS 1000系の純アルミニウム系合金、JIS 2011等のJIS
    2000系のAl−Cu系合金、JIS 3003等のJIS 3000系のAl−Mn系合金、JIS40
    32等のJIS 4000系のAl−Si系合金、JI
    S 5056等のJIS 5000系のAl−Mg系合金等のようにアルミニウムを主成分とする合金であれば、特に限定されるものではない。

    【0012】このアルミニウム合金の表面のクロメート皮膜は、化成処理によって形成される。 化成処理は電解によらず化学処理のみで皮膜を形成する処理であり、電解に比べ厚い皮膜を均一に得ることができる特性を有している。 この化成処理としてはクロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、アルカリ性クロメート処理等がある。

    【0013】代表的な化成処理であるクロム酸クロメートの浴組成としては、例えばCrO 3 :5.0g/リットル、HF:7.0g/リットル、K 3 Fe(C
    N) 6 :3.0g/リットルを純水中に溶解したものを用い、20〜50℃の温度で10〜180秒浸漬してクロメート皮膜を形成する。 乾燥前のクロメート皮膜は含水されたゲル状の状態であり、厚いクロメート皮膜として形成されても、イオンがアルミニウム合金の素地から供給できる。 そのためクロム量が多く、厚い皮膜が可能となる。 このクロメート皮膜のクロム量としては10〜
    1000mg/m 2が良好である。 これに対し電解クロメートは厚膜されるにつれ緻密な酸化クロムが形成されるため電気抵抗が増し、厚い均一な皮膜を得ることが難しい。

    【0014】本発明の電着塗装に用いる塗料は、カチオン型またはアニオン型のものである。 カチオン型の塗料はアミノ基等を有するポリマーを有機カルボン酸等の低分子有機酸で中和した水性塗料であり、アニオン型の塗料はカルボキシル基等を有するポリマーを水酸化ナトリウムや有機アミン等で中和した水性塗料である。 この電着では、各々を水中に分散化し、カチオン型は被塗物を陰極として、アニオン型は被塗物を陽極にして電気泳動を用い、ポリマーの不溶化により被塗物表面にポリマーを析出させるものである。

    【0015】カチオン型の塗料に使用するポリマーとしては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等にアミノ基等を導入して親水化したものに硬化剤を混合したものである。
    硬化剤としては側鎖にスチレンやブタジエンを導入した炭素−炭素二重結合を利用した酸化重合や、ブロック化イソシアネート基のウレタン結合を利用したもの等が用いられる。

    【0016】アニオン型の塗料に使用するポリマーとしては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等にカルボキシル基等を導入して親水化したものに硬化剤を混合したものである。 この硬化剤としては、メチロール化メラミンによるメラミン架橋や、側鎖にスチレンやブタジエンを導入した炭素−炭素二重結合を利用した酸化重合等が用いられる。 アニオン系樹脂塗料に使用する樹脂としては、アクリル系樹脂及びアクリル系樹脂をフッ素等により変性した樹脂を用いることが加水分解に対する安定性の点から望ましいが、特に限定されない。

    【0017】その他、必要に応じて着色剤、希釈剤、溶剤、添加剤等を併用することができる。 着色剤としては顔料や塗料を用いるが、水系に分散させる為に、水系に不溶でpH安定性が良好で、耐熱性の良好なカーボンブラックや酸化チタン等が選択される。 希釈剤としては、
    塩素イオンやナトリウムイオン等の不純物が混入していない脱イオン水を用いる。 これは、これらのイオンが、
    塗料の析出量や付き周り性等の電着特性を変化させ、析出塗膜の外観不良や塗膜物性の低下を引き起こすためである。 溶剤としてはアルコール、ケトン、エステル系のものを、添加剤としては硬化触媒や界面活性剤等を用いることができる。 この電着塗装により形成する樹脂塗膜の厚さは5〜50μmが良好である。

    【0018】本発明の内視鏡は、このような手段が施された部品を用い、組み立てられることにより作製される。 このアルミニウム合金の部品基材で構成される内視鏡の部位は、その一部あるいは全部の表面が洗浄消毒に用いる薬液・ガス等に曝される部位である。 なお、このアルミニウム合金からなる部品基材は内視鏡を構成するために必要に応じて、接着、シーリング剤によるシーリング処理、ネジ止め等により他の部品と固定され、また、文字等を表記するため印刷等が行われる。

    【0019】アルミニウム合金からなる部品基材の表面に化成処理により形成されるクロメート皮膜は、クロム量10〜1000mg/m 2の皮膜であり、この皮膜はアルミニウム合金素地との密着力が高い。

    【0020】洗浄消毒に用いる薬品類による塗装膜の剥離等の不具合は薬品類が塗装及びその下地処理に浸透して、アルミニウム合金に達して生じるものである。 本発明の下地処理であるクロメート皮膜は有機物である塗装膜に対し膜が緻密であり、この皮膜が薬品類の浸透を阻害するため、薬品類がアルミニウム合金に達するまでの時間を遅延する効果が大きい。 そのためクロメート皮膜のクロム量を多くし、厚くすることが望ましいが、クロム量1000mg/m 2を超える場合の皮膜においては皮膜表面が粉状になり、塗装の密着性、外観等が低下するため実用的ではない。 また、クロム量10mg/m 2
    未満の皮膜では、上述した遅延の効果が小さく、アルミニウム素地に劣化を発生させる。 本発明において、形状等に由来する皮膜の厚みのばらつき、皮膜の応力等を考慮するとクロム量50〜300mg/m 2のクロメート皮膜が望ましい。 代表的なクロメート処理であるクロム酸クロメート処理により形成されたクロム酸クロメート皮膜はCr 2 (CrO 4 3を主成分とし、6価のクロムを多く含む構成になっており、酸、過酸化水素等の影響を極度に受ける場合には変質するが、実用上の問題はなく、十分に使用が可能である。 かかるクロメート皮膜上には、電着塗装による樹脂塗膜が形成される。

    【0021】この塗装において、カチオン型電着塗装ではアニオン型電着塗装のように被塗物金属からの電気的溶出がなく、塗膜の素材への密着性に優れ、薬品に対する耐久性にも優れるため、近年、過酷となっている種々の内視鏡の洗浄消毒方法に対して、高い耐久性を確保できる。 なお、アニオン型電着塗装は、アニオン型の上記欠点は有するものの、実用上の問題はない。 すなわち、
    洗浄消毒処理に対して、電子顕微鏡による表面観察、クロマトグラフィー分析(GPC分析)、赤外線分光分析の結果、その分子量、官能基の塗膜の変化は認められず、カチオン型と同様の薬品に対する耐久性を有する。
    また、フッ素等による変性された化合物については、カチオン型と同等か、それ以上の薬品に対する耐久性があり、内視鏡の洗浄消毒液に対して、かなり有効である。

    【0022】かかる塗膜厚は5〜50μmが良好で、入り組んだ複雑な形状に適用する場合、好ましくは8〜3
    0μmが良い。 5μm未満では薬品類の浸透時間の遅延効果が小さく、塗膜や素材の欠陥の影響により、薬品に対する耐久性がばらつき易い。 また50μmを超えると塗膜の応力発生や付き周りのばらつきにより、外観上及び密着耐久性に問題が発生する。 厚い皮膜を得る塗装として、通常用いられる溶剤希釈型塗料を吹き付けて行う方法を採用できるが、この塗装では、塗膜条件が安定し難く均一で再現性の良い塗装条件が設定しにくい。 これに対して、電着塗装では、電気的に成膜条件を制御できるので、均一で再現性の良い塗膜が成膜できる。 また、
    封孔処理や酸化物皮膜を形成させる際の高温下での処理が不要なので、樹脂塗膜の硬化温度以上の温度に曝されることはなく、そのため200℃以下で表面処理を行うことができ、比較的な低温での処理が可能であり、これにより、部品の高い寸法精度を確保できる。

    【0023】このように上記構成では、アルミニウム合金からなる部品基材の表面に化成処理によりクロム量1
    0〜1000mg/m 2のクロメート皮膜を形成させ、
    この上に電着塗装により厚さ5〜50μmの樹脂塗膜を形成させるため、低温で且つ再現性良く表面処理を行うことができるばかりでなく、内視鏡の洗浄消毒方法において用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有している。

    【0024】また、このように処理された部品基材を、
    内視鏡の薬液・ガス等に曝される部位に用いることにより、薬液・ガス等による部品基材の破損、形状変化、脱色等の劣化を防止することができる。 これにより、洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有した内視鏡となる。

    【0025】本発明において、上述した化成処理をリン酸クロメート処理により行うことができる。 このリン酸クロメート処理は、アルミニウム合金からなる部品基材に対して、脱脂洗浄を行い、その後に行われる。 このリン酸クロメート処理は、スプレー、浸漬、ロールコート等により行われるが、均一な皮膜の形成及び生産性から浸漬が望ましい。 リン酸クロメートの浴組成としては、
    例えば、CrO 3 :6.0〜20.0g/リットル、P
    4 2- (H 3 PO 4 ):20〜100g/リットル、F
    - (HF):2.0〜6.0g/リットルを純水中に溶解したものを用いる。 この浴を20〜50℃とし、5〜
    180秒浸漬しクロメートを得る。 その後、水洗を行い、必要に応じて、冷風あるいは温風等による乾燥を行う。 この場合、用いるアルミニウム合金の種類、クロメート皮膜のクロム量、電着塗装の種類・条件、あるいは内視鏡に用いる部位、接着,印刷の有無、その他は上述と同様である。

    【0026】リン酸クロメートにより形成されたリン酸クロメート皮膜は、特に過酸化物と酸との混合系洗浄消毒液に対する耐久性が良好となる。 これは、過酸化水素等の過酸化物とリン酸(H 3 PO 4 )や酢酸(CH 3
    OOH)等の酸との混合系の洗浄消毒に対し、リン酸クロメート皮膜はCrPO 4を主成分とし、3価のクロムを多く含む構成になっており、上述の酸、過酸化水素等の影響を受けにくいためである。

    【0027】もう1つの代表的なクロメート処理であるクロム酸クロメート処理により形成されたクロム酸クロメート皮膜はCr 2 (CrO 43を主成分とし、6価のクロムを多く含む構成になっており、酸、過酸化水素等の影響を極度に受ける場合には、変質するが、実用上の問題はない。

    【0028】このように、アルミニウム合金からなる部品基材の表面にリン酸クロメート処理によりクロム量1
    0〜1000mg/m 2のリン酸クロメート皮膜を形成し、更にその上に電着塗装により厚さ5〜50μmの樹脂塗膜を形成することにより、低温下で且つ再現性良く表面処理を行うことができるばかりでなく、内視鏡の洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有している。 特にリン酸クロメート皮膜は過酸化物と酸との混合系洗浄消毒液に対する耐久性が優れている。

    【0029】また、このように処理された部品基材を内視鏡の薬液・ガス等に曝される部位に用いることにより、薬液・ガス等による部品基材の破損、形状変化、脱色等の劣化を防止することができる。 これにより、洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有し、
    特に過酸化物と酸との混合系洗浄消毒液に対する耐久性が優れた内視鏡となる。

    【0030】本発明では、クロメート皮膜の上の樹脂塗膜は、水分散性かつ、電気泳動性のフッ素を含有する樹脂を主成分とする電着塗料組成物を用いた電着塗装を行うことにより形成することができる。 この処理により、
    フッ素を含有する樹脂塗膜を形成することができる。

    【0031】この場合、アニオン型に使用する電着液としては、ポリマーの主鎖または側鎖中にフッ素原子を含有した樹脂を用いる。 このポリマーにカルボキシル基を導入して親水化したものに硬化剤を混合して用いるものである。 硬化剤としては、メチロール化メラミンによるメラミン架橋や、側鎖にスチレンやブタジエンを導入した炭素−炭素二重結合を利用した酸化重合が用いられる。

    【0032】カチオン型に使用する電着液としては、ポリマーの主鎖または側鎖中にフッ素原子を含有した樹脂を用いる。 このポリマーにアミノ基を導入して親水化したものに硬化剤を混合して用いるものである。 硬化剤としては、側鎖にスチレンやブタジエンを導入した炭素−
    炭素二重結合を利用した酸化重合や、ブロック化イソシアネート基のウレタン結合を利用したもの等が用いられる。 なお、用いるアルミニウム合金の種類、クロメート処理条件及びクロメート皮膜の種類・特性、電着塗装の添加剤等、あるいは内視鏡に用いる部位、接着、印刷の有無、その他は上述と同様である。

    【0033】フッ素含有樹脂系の電着液によって塗装されたフッ素含有樹脂塗膜は、フッ素の特性から、その表面及び内部が親水基あるいは親油基を有する液体、水に対して濡れ性が悪くなり、樹脂塗膜内部への浸透を阻害する。 このため各種洗浄消毒液の浸透も阻害され部品基材あるいはクロメート皮膜との界面に達するまでの時間が遅延され、界面における剥離等を抑制することができる。

    【0034】このように、アルミニウム合金からなる部品基材の表面にリン酸クロメート処理等の化成処理によるクロム量10〜1000mg/m 2のクロメート皮膜を形成し、更にその上に水分散性かつ電気泳動性のフッ素を含有する樹脂を主成分とする電着液によって電着塗装を行ってフッ素を含有する樹脂塗膜を形成することにより低温下で且つ再現性良く表面処理を行うことができるばかりでなく、内視鏡の洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有することができる。

    【0035】また、このように処理された部品基材を内視鏡の薬液・ガス等に曝される部位に用いることにより、薬液・ガス等による部品基材の破損、形状変化、脱色等の劣化を防止することができる。 このため洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有する内視鏡となる。

    【0036】本発明においては、上述の処理によってフッ素を含有する樹脂塗膜を形成した後、塗膜表面の必要箇所に紫外線あるいは真空紫外線を照射することができる。 フッ素を含有する樹脂塗膜の表面は親水基あるいは親油基を有した液体、水に対し濡れ性が悪くなり、樹脂塗膜内部への薬液の浸透を阻害するという長所を有する反面、他の部品との接着、印刷等を困難にしている。 この点を改善しつつ、洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有することが必要となる。

    【0037】本発明に用いる紫外線あるいは真空紫外線としては、メタルハライドランプ、重水素ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Xe
    2 、KrCl、XeClによるエキシマランプ、あるいはArF、KrF、XeClによるエキシマレーザ等様々なものを使用できる。 この内、344nm以下の波長が望ましく、特に300nm以下の波長、中でも低圧水銀ランプXe 2 、KrCl、XeClによるエキシマランプが好適である。 また、この紫外線あるいは真空紫外線をオゾン雰囲気中で照射することにより、表面の改質を効率的に行うことができる。 なお、樹脂塗膜表面の任意箇所のみへの照射が必要な場合には、マスキングテープ等を用いたマスキングにより行うことができる。 ここで、用いるアルミニウム合金の種類、クロメート処理条件及びクロメート皮膜の種類・特性、電着塗装の種類・
    条件、あるいは内視鏡に用いる部位、接着,印刷の有無、その他は上述と同様である。

    【0038】樹脂塗膜表面に紫外線あるいは真空紫外線を照射した場合、塗膜表面が紫外線あるいは真空紫外線に対する吸収力が大きいため、これらが塗膜表面で吸収される。 特に塗膜表面には側鎖であるC−CF 3 、CF
    2 −CF 2等の結合が集中して分布しているため、紫外線あるいは真空紫外線はC−CF 3 、CF 2 −CF 2等の結合により吸収される。 この吸収された波長344m
    以下の紫外線、あるいは真空紫外線のエネルギーはC−
    C結合のエネルギー83Kcal/molよりも高いため、C−C結合が切断され、−CF 3が切り離される。
    このCF 3が切り離されたC−には空気中の水分、酸素、オゾンが分解した=Oや−OHが再結合して、−C
    OOH、−OH、>C=O等の官能基が形成される。 これにより、表面は親水性に改質される。 この場合、この紫外線あるいは真空紫外線の照射をオゾン雰囲気中で行うと、オゾン自体の強い酸化作用との相乗効果により、
    改質を促進できる。 この紫外線あるいは真空紫外線による改質は樹脂塗膜の表面に限定され、内部までは進まない。 このため、各種洗浄消毒液の浸透を阻害する能力は低下することがない。

    【0039】このように、アルミニウム合金からなる部品基材の表面に、リン酸クロメート処理等の化成処理によりクロム量10〜1000mg/m 2のクロメート皮膜を形成し、更にその上に水分散性かつ電気泳動性のフッ素を含有する樹脂を主成分とする電着液で電着塗装を行ってフッ素を含有する樹脂塗膜を形成し、この樹脂塗膜に対して紫外線あるいは真空紫外線を照射することにより低温下で且つ再現性良く表面処理を行うことができると共に、内視鏡の洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有し、さらには接着、印刷等が可能となる。

    【0040】また、このように処理された部品基材を内視鏡の薬液・ガス等に曝される部位に用いることにより、薬液・ガス等によるアルミニウム合金からなる部品基材の破損、形状変化、脱色等の劣化を防止することができ、しかも他部品との接着、印刷も可能な内視鏡となる。

    【0041】

    【実施例1】図1は、本発明が適用される内視鏡1を示す。 この内視鏡1は操作部2と、体腔内への挿入部3
    と、ユニバーサルコード4とを備えている。 体腔内への挿入部3は操作部2側から可撓管5、湾曲管6、先端部7が順に連設されており、湾曲管6は操作部2に設けられた操作ノブ8によって所望の向きに湾曲するように遠隔操作される。

    【0042】ユニバーサルコード4は体腔内照明用のライトガイドファイバ(図示省略)が内部に挿入されており、その一端にコネクタ部9が取り付けられている。 コネクタ部9は光源装置(図示省略)に接続されるものである。 このユニバーサルコード4内のライトガイドファイバは体腔内の挿入部3における先端部7に光を供給するものであり、これにより先端部7が体腔内を照明する。 この先端部7には対物レンズ(図示省略)が配置されており、対物レンズで得られた画像は挿入部3内に設けたイメージガイドファイバ(図示省略)により伝送され、この画像が接眼部10で観察される。

    【0043】図2は接眼部10を示す。 この接眼部10
    は電気接点101,接眼レンズ102及び観察者の視度に合わせるための視度環103を有している。 図3はコネクタ部9を示す。 このコネクタ部9はコネクタ本体1
    04を有し、このコネクタ本体104にライトガイド1
    05,送気管106,電気接点107,高周波焼灼を行う際の洩れ電流を電源装置に戻すためのSコードコネクタ受108,吸引口金109,通気口金110及び給水口金110が設けられることにより構成されている。

    【0044】ここで、視度環103及びコネクター本体104は、アルミニウム合金の表面にクロム量10〜1
    000mg/m 2のクロメート皮膜を化成処理により設け、次いで、カチオンまたはアニオン電着塗装法により、厚さ5μm以上50μm以下の樹脂塗膜を設けた部品を用いている。 洗浄消毒に曝される内視鏡表面に露呈する他の構成部品は、ステンレス鋼,ガラス,耐薬品性の高いシリコン樹脂等の樹脂等が用いられている。

    【0045】図4は視度環103を示し、JIS 50
    00系のアルミニウム合金をその部品基材としている。
    この視度環103は外径が30mm,長さ20mmの円筒状となっている。 コネクタ部9の一部の用いられるコネクタ本体104は、JIS5000系のアルミニウム合金が使用されている。 このコネクタ本体104は両端部の外径が36mm,中央部の外径が30mm,長さが60mmの円筒状となっており、Sコードコネクタ10
    8,吸引口金109,通気口金110,給水口金111
    を挿入するための内径10mmの孔が設けられている。
    この視度環103,コネクタ本体104の単体からなる部品のそれぞれを超音波洗浄機を用い、アセトン溶媒中で洗浄し、次いで脱脂剤「FC−315」(日本パーカライジング(株)製)で、濃度30g/リットル、60
    ℃で120秒間脱脂した。

    【0046】その後、クロム酸クロメート処理剤「アルクロム713」(日本パーカライジング(社)製)を、
    イオン交換水1リットルに対して72g加え、攪拌し、
    その後、約40℃に加温し、部品11を60秒間浸漬して、クロム酸クロメート皮膜を形成した。

    【0047】また、クロム量測定サンプルとして500
    0系のアルミニウム合金により直径50mm、厚さ2m
    mの円盤状の板を作成し、分析上の誤差を最小限にするため、表面粗さをRmax:0.1μmに加工した。 このクロム量測定サンプルを同条件で脱脂を行い、同条件でクロメート処理を行った。 その後、蛍光X線分析装置「システム3070E」(理学電気工業(株)製)でクロム量を測定したところ、100mg/m 2であった。

    【0048】次に、この表面処理した視度環103,コネクタ本体104の表面に、エポキシ樹脂ベースのカチオン型電着塗料「アクアNo.4210(黒)」(日本油脂(株)製)で塗膜を形成した。 電着浴は液温27
    ℃、電圧200V3分間の処理で行い、この処理の後、
    余分な塗料を水洗で除去し、175℃で25分間の加熱硬化を行い、厚さ22μmの塗膜を形成した。 これを2
    個ずつ5回のロットで計20個製作した。

    【0049】ところで、内視鏡は洗浄消毒を行うために様々な液やガスに曝される。 そこで、各種洗浄消毒試験に対する耐久性を確認するため、ポビドンヨウ素含有水溶液(10vol%)、グルタルアルデヒド含有水溶液(2wt%)、界面活性剤(2wt%)、グルタルアルデヒドと界面活性剤の混合溶液(1wt%)、エチレンオキサイドガス(エチレンオキサイドガス80wt%、
    炭酸ガス20wt%)、過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合液(8wt%)、高濃度酢酸(過酢酸、0.5
    wt%)を用い、この視度環103、コネクター本体1
    04を内視鏡に組み込んで、内視鏡を作成し、各液をそれぞれ容器内にいれ、常温常圧下に保ち、内視鏡を1時間浸漬した後、目視観察及び機能検査として視度調整機能の正常・異常の確認を行った。 尚、各液は1時間浸漬を終了した時点で新しい液に交換し、1時間浸漬を1サイクルとして計100サイクル実施した。 また、エチレンオキサイドガスについては密閉容器を50℃に保ち、
    内視鏡を容器内に設置し、減圧により容器内の空気を排除した後、容器内にエチレンオキサイドガスを充満させ、大気圧で1時間放置した。 その後、容器内に空気を導入してエチレンオキサイドガスを排除した後、目視観察及び機能検査としての視度調整機能の正常・異常の確認を行った。 このエチレンオキサイドガス雰囲気内の1
    時間放置を1サイクルとし計100サイクル実施した。
    この部品の外壁部は各種洗浄消毒液に曝されるものである。

    【0050】確認のために、上記実施例1に加えて、同じアルミニウム製部品に対し、以下の検討を行った。 脱脂、洗浄、クロメート条件等は上記本実施例と1全く同一とし、電着塗装の条件だけを変更して塗膜厚を5μm
    に形成したもの(追加の確認例1)及び塗膜厚を50μ
    mに形成したもの(追加の確認例2)と、脱脂、洗浄、
    電着塗装等は上記実施例1と同一とし、クロメート条件だけを変更してクロム量を10mg/m 2に形成したもの(追加の確認例3)及びクロム量を1000mg/m
    2に形成したもの(追加の確認例4)とをそれぞれ作成した。 また、比較例として、同じアルミニウム製部品の表面をシュウ酸アルマイト処理し、ブラックアルマイト封孔処理表面化したもの(比較例1)を作成した。 本実施例1と同様に内視鏡に組み込み、内視鏡用の洗浄消毒試験及びその後の観察、検査を行った。 これらの結果を表1及び表2に示す。 なお、ブラックアルマイトは、本実施例と同様の脱脂処理後、5%シュウ酸電解液を用いて液温35℃で交直重畳電解を50分間行った後、黒色染料液にて黒染し、酢酸ニッケル系高温封孔剤「トップシールDX−500」(奥野製薬工業(株)製)で90
    ℃5分間封孔処理することにより行った。

    【0051】

    【表1】

    【0052】

    【表2】

    【0053】表1及び表2からもわかる様に、比較例1
    は内視鏡用の洗浄消毒試験により色落ちによる変色、形状変化が20個中全数、30サイクル時点から発生し、
    また、内視鏡機能上の問題も50サイクル時点から、2
    0個中全数に発生した。 確認例1,3は過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合溶液への浸漬の95サイクル時点で、20個中異なるロットから3個、微細な塗膜の剥離(剥離面積は全体の5%以下)が観察されたが、内視鏡機能上の問題はなく、良好な耐久性を示した。 また確認例2,4及び本実施例1は、過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合溶液への浸漬の97サイクル時点で、2
    0個中異なるロットから2個、微細な塗膜の剥離(剥離面積は全体の5%以下)が観察されたが、内視鏡機能上の問題はなく、良好な耐久性を示した。

    【0054】この様に、本実施例では、化成処理によりクロム量10〜1000mg/m 2のクロム酸クロメート皮膜を形成後、カチオン型電着塗装により厚さ5〜5
    0μmの塗膜を施すことにより、低温下で且つ再現性良く表面処理を行い、内視鏡の洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有した内視鏡用部品およびその部品を用いた内視鏡とすることができた。

    【0055】

    【実施例2】実施例1におけるエポキシ樹脂ベースのカチオン型電着塗料の代わりにアクリル樹脂系アニオン型電着塗料「エレコートAM−1(カーボンブラック入り)」((株)シミズ製)を用い、液温25℃、電圧7
    5Vで2分間の処理後、余分な塗料を水洗で除去し、1
    00℃、10分の予備乾燥後、180℃で30分間加熱硬化させて、厚さ10μmの塗膜を形成させた。 電着塗装以外の工程、用いた部品等その他は実施例1と同様である。

    【0056】この部品を実施例1と同様に、内視鏡に組み込んで内視鏡を作成し、各種の内視鏡用の洗浄消毒試験を行い、外観上の変化の観察、内視鏡の機能検査を行った。 この部品の外壁部は各種洗浄消毒液に曝されるものである。 結果を表1に示す。

    【0057】表1からもわかる様に、本実施例は、過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合溶液への浸漬の97
    サイクル時点で、20個中異なるロットから3個、微細な塗膜の剥離(剥離面積は全体の5%以下)が観察されたが、内視鏡機能上の問題はなく、良好な耐久性を示した。 この様に、本実施例では、化成処理によるクロム酸クロメート皮膜の形成後、アニオン型電着塗装を施すことにより、低温下で且つ再現性良く表面処理を行い、用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有した内視鏡用部品および内視鏡とすることができた。

    【0058】

    【実施例3】実施例2において、クロム酸クロメート処理の代わりにリン酸クロメート処理剤「アロジン40
    7」及び「アロジン47」(日本パーカライジング(株)製)を用い、イオン交換水1リットルに対して、
    アジロン407を44ml、アロジン47を9ml/リットルを加え拡散した。 その後、約40℃に加温して、
    120秒間浸漬し、クロメート皮膜を形成した。 クロメート処理以外の工程、用いた部品等その他は実施例1と同様である。 蛍光X線分析によってクロム量を測定したところ、230mg/m 2であった。

    【0059】この部品を実施例1と同様に、内視鏡に組み込んで内視鏡を作成し、各種の内視鏡用の洗浄消毒試験を行い、外観上の変化の観察、内視鏡の機能検査をした。 この部品の外壁部は各種洗浄消毒液に曝されるものである。 結果を表1に示す。

    【0060】表1からもわかるように、本実施例は、実施例1及び実施例2で認められた過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合溶液に対する僅かな劣化も認められず、洗浄消毒試験において外観上の変化はなく、機能上での問題も発生せず良好な耐久性を示した。

    【0061】この様に、本実施例では、化成処理によるリン酸クロメート皮膜の形成後、カチオン型電着塗装を施すことにより、低温下で且つ再現性良く表面処理を行い、洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有した内視鏡用部品および内視鏡とすることができる。

    【0062】

    【実施例4】実施例1においてエポキシ樹脂ベースのカチオン型電着塗料の代わりに、側鎖にフッ素を含有したアクリル樹脂系アニオン型電着塗料「エレコートAMF
    −400(カーボンブラック入り)」((株)シミズ製)を用い、液温25℃、電圧100Vで2分間の処理後、余分な塗料を水洗除去し、100℃、10分間の予備乾燥後、180℃で30分間加熱硬化させて、厚さ8
    μmの塗膜を形成した。 電着塗装以外の工程、用いた部品等その他は実施例1と同様である。

    【0063】この部品を実施例1と同様に、内視鏡に組み込んで、内視鏡を作成し、内視鏡用の洗浄消毒試験を行い、外観上の変化の観察、内視鏡の機能検査をした。
    この部品の外壁部は各種洗浄消毒液に曝されるものである。 結果を表1に示す。

    【0064】表1からもわかるように、本実施例は、過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合溶液への浸漬の9
    7サイクル時点で、20個中異なるロットから3個、微細な塗膜の剥離(剥離面積は全体の5%以下)が観察されたが、内視鏡機能上の問題はなく、良好な耐久性を示した。

    【0065】この様に、本実施例では、化成処理によるクロム酸クロメート皮膜の形成後、フッ素変性樹脂系アニオン型電着塗装を施すことにより、低温下で且つ再現性良く表面処理を行い、洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有した内視鏡用部品および内視鏡とすることができた。

    【0066】

    【実施例5】実施例3においてエポキシ樹脂ベースのカチオン型電着塗料の代わりに、側鎖にフッ素を含有したアクリル樹脂系アニオン型電着塗料「エレコートAMF
    −400(カーボンブラック入り)」((株)シミズ製)を用い、液温25℃、電圧100Vで2分間の処理後、余分な塗料を水洗除去し、100℃、10分の予備乾燥後、180℃で30分間加熱硬化させて、厚さ8μ
    mの塗膜を形成した。 電着塗装以外の工程、用いた部品等その他は実施例3と同様である。

    【0067】この部品を実施例1と同様に、内視鏡に組み込んで、内視鏡を作成し、内視鏡用の洗浄消毒試験を行い、外観上の変化の観察、内視鏡の機能検査をした。
    この部品の外壁部は各種洗浄消毒液に曝されるものである。 結果を表1に示す。

    【0068】表1からもわかる様に、本実施例は、第1
    実施例及び第2実施例で認められた過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合溶液に対する僅かな劣化も認められず、各種の洗浄消毒試験において外観上の変化はなく、
    機能上での問題も発生せず良好な耐久性を示した。

    【0069】この様に、本実施例では、化成処理によるリン酸クロメート皮膜の形成後、フッ素変性樹脂系アニオン型電着塗装を施すことにより、低温下で且つ再現性良く表面処理を行い、その洗浄消毒に用いられる種々の薬品類に対して耐久性を有した内視鏡用部品および内視鏡とすることができた。

    【0070】

    【実施例6】図5は紫外線照射装置を示す。 同図において、11は出力110Wの低圧水銀ランプ光源、12は直径50mm、厚さ2mm、表面粗さRmax:0.1
    μmの5000系アルミニウム合金に実施例5と同様の仕様、条件にて塗装したサンプルであり、フッ素を含有する塗膜が形成されている。 13はサンプルステージである。

    【0071】光源11からサンプル12表面までの距離は10mm、サンプル表面での紫外線強度は254nm
    の波長において15mW/cm 2であり、照射時間は5
    分である。 低圧水銀ランプ光源11より放射された紫外線及び真空紫外線は空気中の水分に吸収され、水を分解しつつサンプル12表面に到達する。 サンプル12表面に到達した紫外線は塗料中の側鎖であるC−CF 3に吸収されC−C結合を切断する。 −CF 3が切り離されたC−には、水が分解した−OHが再結合し、表面が親水性に改質される。

    【0072】改質した表面に対して水及びシンナーの接触測定、及び酸化チタン入り熱硬化型アクリル樹脂塗料「リルコンB」(武蔵塗料(株)製)により全面を印刷し、クロスカット試験(JIS K5400)を行い改質効果を確認した。 クロスカット試験は熱硬化型アクリル樹脂塗料を塗布後、130℃の温度で1時間硬化させた後に行った。 結果を表3に示す。 表3の結果から判るように、未処理サンプルと比較して接触角の低下、塗料の密着性の向上が明らかにみられる。

    【0073】

    【表3】

    【0074】次に、実施例5で作成した部品の外壁面に上述した条件で紫外線を照射して表面を改質した。 低圧水銀ランプ光源11より放射された紫外線及び真空紫外線は散乱光であるため、表面だけでなく、側面においても改質される。 そして、改質された一部に熱硬化型アクリル樹脂塗料による印刷を施した。 この部品を実施例1
    と同様に、内視鏡に組み込んで、内視鏡を作成し、各種の内視鏡用の洗浄消毒試験を行い、外観上の変化の観察、内視鏡の機能検査をした。 この部品の外壁部は各種洗浄消毒液に曝されるものである。 結果を表1に示す。

    【0075】表1からもわかるように、本実施例は、各種洗浄消毒試験において、印刷部の剥離等の不具合の発生はなく、他の外観上の変化も認められず、機能上での問題も発生せず良好な耐久性を示した。

    【0076】このように、本実施例では、化成処理によるリン酸クロメート被覆の形成後、フッ素変性樹脂系アニオン型電着塗装を施した後、電着塗装の塗膜に紫外線及び真空紫外線を照射することにより、低温下で且つ再現性良く表面処理を行い、且つ印刷等も可能となった内視鏡用部品および内視鏡とすることができた。

    【0077】

    【発明の効果】本発明はアルミニウム合金からなる部品基材の表面に10〜1000mg/m 2のクロム量のクロメート皮膜を化成処理により形成し、このクロメート皮膜の上に5〜50μmの樹脂塗膜を電着塗装により形成するものであり、内視鏡の洗浄消毒に用いられる薬品類に対して耐久性を有している。

    【0078】本発明は上述した化成処理をリン酸クロメートまたはクロム酸クロメート処理等により行うことにより、リン酸クロメートまたはクロム酸クロメート皮膜等を形成するものであり、特にこの生成したリン酸クロメート皮膜は酸や過酸化物に対して良好な耐久性を有している。 本発明は、上述した樹脂塗膜としてフッ素を含有するものを形成することにより、洗浄消毒の浸透を阻害でき、耐久性がさらに向上する。 加えて、本発明はこのフッ素含有の樹脂塗膜に紫外線又は真空紫外線を照射することにより、表面への印刷等が可能となる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】内視鏡の斜視図である。

    【図2】内視鏡の接眼部の斜視図である。

    【図3】内視鏡のコネクタ部の斜視図である。

    【図4】部品の斜視図である。

    【図5】紫外線照射装置の正面図である。

    ─────────────────────────────────────────────────────

    【手続補正書】

    【提出日】平成7年6月12日

    【手続補正1】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0025

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0025】本発明において、上述した化成処理をリン酸クロメート処理により行うことができる。 このリン酸クロメート処理は、アルミニウム合金からなる部品基材に対して、脱脂洗浄を行い、その後に行われる。 このリン酸クロメート処理は、スプレー、浸漬、ロールコート等により行われるが、均一な皮膜の形成及び生産性から浸漬が望ましい。 リン酸クロメートの浴組成としては、
    例えば、CrO 3 :6.0〜20.0g/リットル、
    4 3- (H 3 PO 4 ):20〜100g/リットル、F
    - (HF):2.0〜6.0g/リットルを純水中に溶解したものを用いる。 この浴を20〜50℃とし、5〜
    180秒浸漬しクロメートを得る。 その後、水洗を行い、必要に応じて、冷風あるいは温風等による乾燥を行う。 この場合、用いるアルミニウム合金の種類、クロメート皮膜のクロム量、電着塗装の種類・条件、あるいは内視鏡に用いる部位、接着,印刷の有無、その他は上述と同様である。

    【手続補正2】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0043

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0043】図2は接眼部10を示す。 この接眼部10
    は電気接点101,接眼レンズ102及び観察者の視度に合わせるための視度環103を有している。 図3はコネクタ部9を示す。 このコネクタ部9はコネクタ本体1
    04を有し、このコネクタ本体104にライトガイド1
    05,送気管106,電気接点107,高周波焼灼を行う際の洩れ電流を電源装置に戻すためのSコードコネクタ受108,吸引口金109,通気口金110及び給水
    口金111が設けられることにより構成されている。

    【手続補正3】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0047

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0047】また、クロム量測定サンプルとして500
    0系のアルミニウム合金により直径50mm、厚さ2m
    mの円盤状の板を作成し、分析上の誤差を最小限にするため、表面粗さをRmax:0.1μmに加工した。 このクロム量測定サンプルを同条件で脱脂を行い、同条件でクロメート処理を行った。 その後、蛍光X線分析装置「システム3070E」( 理学電機工業(株)製 )でクロム量を測定したところ、100mg/m 2であった。

    【手続補正4】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0049

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0049】ところで、内視鏡は洗浄消毒を行うために様々な液やガスに曝される。 そこで、各種洗浄消毒試験に対する耐久性を確認するため、 ポピドンヨウ素含有水溶液(10 wt% )、グルタルアルデヒド含有水溶液(2wt%)、界面活性剤(2wt%)、グルタルアルデヒドと界面活性剤の混合溶液(1wt%)、エチレンオキサイドガス(エチレンオキサイドガス80 vol
    、炭酸ガス20 vol% )、過酸化水素とリン酸と界面活性剤の混合液(8wt%)、高濃度酢酸(過酢酸、
    0.5wt%)を用い、この視度環103、コネクター本体104を内視鏡に組み込んで、内視鏡を作成し、各液をそれぞれ容器内にいれ、常温常圧下に保ち、内視鏡を1時間浸漬した後、目視観察及び機能検査として視度調整機能の正常・異常の確認を行った。 尚、各液は1時間浸漬を終了した時点で新しい液に交換し、1時間浸漬を1サイクルとして計100サイクル実施した。 また、
    エチレンオキサイドガスについては密閉容器を50℃に保ち、内視鏡を容器内に設置し、減圧により容器内の空気を排除した後、容器内にエチレンオキサイドガスを充満させ、大気圧で1時間放置した。 その後、容器内に空気を導入してエチレンオキサイドガスを排除した後、目視観察及び機能検査としての視度調整機能の正常・異常の確認を行った。 このエチレンオキサイドガス雰囲気内の1時間放置を1サイクルとし計100サイクル実施した。 この部品の外壁部は各種洗浄消毒液に曝されるものである。

    【手続補正5】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0050

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0050】確認のために、上記実施例1に加えて、同じアルミニウム製部品に対し、以下の検討を行った。 脱脂、洗浄、クロメート条件等は上記本実施例1と全く同一とし、電着塗装の条件だけを変更して塗膜厚を5μm
    に形成したもの(追加の確認例1)及び塗膜厚を50μ
    mに形成したもの(追加の確認例2)と、脱脂、洗浄、
    電着塗装等は上記実施例1と同一とし、クロメート条件だけを変更してクロム量を10mg/m 2に形成したもの(追加の確認例3)及びクロム量を1000mg/m
    2に形成したもの(追加の確認例4)とをそれぞれ作成した。 また、比較例として、同じアルミニウム製部品の表面をシュウ酸アルマイト処理し、ブラックアルマイト封孔処理表面化したもの(比較例1)を作成した。 本実施例1と同様に内視鏡に組み込み、内視鏡用の洗浄消毒試験及びその後の観察、検査を行った。 これらの結果を表1及び表2に示す。 なお、ブラックアルマイトは、本実施例と同様の脱脂処理後、5%シュウ酸電解液を用いて液温35℃で交直重畳電解を50分間行った後、黒色染料液にて黒染し、酢酸ニッケル系高温封孔剤「トップシールDX−500」(奥野製薬工業(株)製)で90
    ℃5分間封孔処理することにより行った。

    【手続補正6】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0052

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0052】

    【表2】

    【0053】

    【手続補正7】

    【補正対象書類名】明細書

    【補正対象項目名】0058

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【0058】

    【実施例3】実施例2において、クロム酸クロメート処理の代わりにリン酸クロメート処理剤「アロジン40
    7」及び「アロジン47」(日本パーカライジング(株)製)を用い、イオン交換水1リットルに対して、
    アジロン407を44ml、アロジン47を9ml/リットルを加え拡散した。 その後、約40℃に加温して、
    60秒間浸漬し、クロメート皮膜を形成した。 クロメート処理以外の工程、用いた部品等その他は実施例1と同様である。 蛍光X線分析によってクロム量を測定したところ、230mg/m 2であった。

    【手続補正8】

    【補正対象書類名】図面

    【補正対象項目名】図3

    【補正方法】変更

    【補正内容】

    【図3】

    フロントページの続き (72)発明者 渡辺 厚 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

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