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対象中の治療剤の活性を判定するアッセイおよび方法

阅读:868发布:2020-05-11

专利汇可以提供対象中の治療剤の活性を判定するアッセイおよび方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】対象に投与される治療遺伝子を含む組成物の活性を判定する方法及びアッセイの提供。 【解決手段】対象の組織中の遺伝子の活性についてアッセイする方法において、i)対象から 生物 試料を採取することであって、前記生物試料は、前記組織から離隔しており、前記生物試料はエキソソームを含むこと、及び、ii)前記生物試料中のRNAのレベルを検出することであって、前記RNAは、前記対象の前記組織中の前記遺伝子から発現され、前記エキソソームを、前記生物試料中のRNAのレベルの検出前に前記生物試料から精製しないこと、を含み、参照試料と比較した前記RNA又は前記標的RNAの下流標的のRNAのレベルの変化は、前記遺伝子の活性の変化を示し、前記遺伝子の活性の変化は、疾患進行又は縮退、前記対象に対するモジュレーターの効果、又は、前記対象における疾患リスクの増加又は減少、を示す方法。 【選択図】なし,下面是対象中の治療剤の活性を判定するアッセイおよび方法专利的具体信息内容。

対象の組織中の遺伝子の活性についてアッセイする方法において: i)対象から生物試料を採取することであって、前記生物試料は、前記組織から離隔しており、前記生物試料は、エキソソームを含むこと、および ii)前記生物試料中のRNAのレベルを検出することであって、前記RNAは、前記対象の前記組織中の前記遺伝子から発現され、前記エキソソームを、前記生物試料中のRNAのレベルの検出前に前記生物試料から精製しないこと を含み、 参照試料と比較した前記RNA、または前記標的RNAの下流標的のRNAのレベルの変化は、前記遺伝子の活性の変化を示し、 前記遺伝子の活性の変化は、疾患進行もしくは縮退、前記対象に対するモジュレーターの効果、または前記対象における疾患リスクの増加もしくは減少を示す方法。対象中のiRNA薬剤の活性を判定する方法において: i)生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化または発現するiRNA薬剤を投与された対象から生物試料を採取することであって、前記生物試料は、エキソソームを含むこと、 ii)前記生物試料中の前記標的RNAまたはその開裂産物のレベルを検出することであって、前記エキソソームを、前記標的RNAまたはその開裂産物のレベルの検出前に前記生物試料から精製しないこと を含み、 参照試料と比較した前記標的RNAのレベルの変化または前記開裂産物のレベルの増加は、前記iRNA薬剤が前記対象中で活性であることを示す方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で不活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含む、請求項2に記載の方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項2に記載の方法。前記生物試料は、微小胞をさらに含む、請求項2に記載の方法。前記生物試料中の前記RNAの分画は、前記エキソソーム中に存在する、請求項2に記載の方法。前記生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項2に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項6に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓、腎臓、脳、脊髄、脈絡叢、末梢ニューロンもしくは神経、筋肉、内皮細胞、心臓、免疫細胞、皮膚、眼、膵臓、、胃、小腸もしくは大腸、結腸、副腎、腫瘍、癌病巣、または脾臓中のRNAを標的化する、請求項2に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓中のRNAを標的化する、請求項2に記載の方法。前記iRNA薬剤は、中枢神経系(CNS)中で発現されるRNAを標的化する、請求項2に記載の方法。前記生物試料を、血液、尿、脳脊髄液(CSF)、、唾液、母乳、気管支肺胞洗浄液、滑液、および悪性腹水から選択する、請求項7に記載の方法。前記生物試料は、血清試料である、請求項2に記載の方法。前記生物試料は、CSFである、請求項2に記載の方法。前記標的RNAまたはRNA開裂産物を、5’RACE、ハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、分枝DNA(bDNA)アッセイ、または逆転写PCR(RT−PCR)により計測する、請求項2に記載の方法。前記iRNA薬剤を、中枢神経系(CNS)に投与した、請求項2に記載の方法。前記RNAは、HttRNAである、請求項16に記載の方法。前記標的RNAは、SNCA RNAである、請求項16に記載の方法。前記対象は、神経障害を有する、請求項16に記載の方法。前記対象は、ハンチントン病を有する、請求項16に記載の方法。前記対象は、パーキンソン病を有する、請求項16に記載の方法。前記iRNA薬剤を、直接注射もしくは注入、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、吸入、局所、頭蓋内、脳室内、硬膜外、鞘内、動脈内、硝子体内、皮内、経口、または心臓内送達により前記対象に投与した、請求項2に記載の方法。前記iRNA薬剤を、静脈内送達により投与した、請求項2に記載の方法。前記標的RNAは、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)、ヘプシジン、C型肝炎ウイルス(HCV)、egl9ホモログ(EGLN)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、またはプロテインキナーゼN3(PKN3)である、請求項2に記載の方法。前記生物試料を、前記対象が前記iRNA薬剤による治療を受けて6、12、24、36、48、72、96、120、または168時間後に得る、請求項2に記載の方法。前記標的RNAレベルを、前記生物試料中の肝臓タンパク質のRNAに正規化する、請求項10に記載の方法。前記肝臓タンパク質は、第VII因子、アルブミン、またはアルファアンチトリプシン(AAT)である、請求項26に記載の方法。前記標的RNAレベルを、18sRNA、GAPDH RNAまたはβ−アクチンRNAに正規化する、請求項2に記載の方法。前記標的RNAは、平滑筋細胞中で発現される、請求項2に記載の方法。前記標的RNAを、平滑筋細胞関連タンパク質のRNAに正規化する、請求項29に記載の方法。前記平滑筋細胞関連タンパク質は、Acta2である、請求項30に記載の方法。前記RNAは、mRNAである、請求項2に記載の方法。前記RNAは、マイクロRNAである、請求項2に記載の方法。対象中のiRNA薬剤の活性を判定する方法において: i)生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化するiRNA薬剤を投与された対象から生物試料を採取すること、および ii)前記生物試料中の前記標的RNAの開裂産物のレベルを検出すること を含み、参照試料と比較した開裂産物のレベルの増加は、前記iRNA薬剤が前記対象中で活性であることを示し、参照試料と比較した開裂産物のレベルの減少または静止は、前記iRNA薬剤が前記対象中で不活性であることを示す方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で不活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含む、請求項34に記載の方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項34に記載の方法。前記生物試料は、標的RNAのレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項34に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項37に記載の方法。前記生物試料は、エキソソーム、微小胞またはそれらの組合せを含む、請求項34に記載の方法。前記生物試料中の前記開裂産物の分画は、エキソソーム中に存在する、請求項34に記載の方法。エキソソームを、前記開裂産物の検出前に単離する、請求項34に記載の方法。エキソソームを、前記開裂産物の検出前に単離しない、請求項34に記載の方法。前記組織に由来するエキソソームを、前記開裂産物の検出前に選択する、請求項34に記載の方法。前記エキソソームを、組織特異的マーカーを介して選択する、請求項43に記載の方法。前記開裂産物を、5’RACE、ハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、分枝DNA(bDNA)アッセイ、または逆転写PCR(RT−PCR)により検出する、請求項34に記載の方法。前記生物試料は、血液またはCSFである、請求項34に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する、請求項34に記載の方法。対象中のiRNA薬剤の活性を判定するアッセイにおいて: i)生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化するiRNA薬剤を投与された対象から得られた生物試料を、標的RNAまたはその開裂産物の量を検出するためのプローブと接触させることであって、記生物試料は、エキソソームを含むこと、 ii)前記試料中の前記標的RNAまたはその開裂産物の量を検出することであって、前記エキソソームを、前記標的RNAまたはその開裂産物の量の計測前に前記生物試料から精製しないこと、 iii)工程(ii)において検出された前記標的RNAまたはその開裂産物の量を参照試料と比較すること を含み、 前記参照試料と比較した前記標的RNAの量の減少または前記開裂産物の量の増加は、前記対象中のiRNA薬剤活性を示すアッセイ。前記生物試料は、血液またはCSFである、請求項48に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する、請求項48に記載の方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で不活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含む、請求項48に記載の方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項48に記載の方法。前記生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項48に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項53に記載の方法。対象中のiRNA薬剤の活性を判定するアッセイにおいて: i)iRNA薬剤を投与された対象からの生物試料を、標的RNAの開裂産物の量を検出するためのプローブと接触させることであって、前記生物試料は、エキソソームを含むこと、 ii)標的RNAの開裂産物の量を検出すること、 iii)工程(ii)において計測された前記開裂産物の量を参照試料と比較することを含み、 前記参照試料と比較した前記開裂産物の量の変化は、対象中のiRNA薬剤活性を示すアッセイ。前記生物試料は、血液またはCSFである、請求項55に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する、請求項55に記載の方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で不活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含む、請求項55に記載の方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項55に記載の方法。前記生物試料は、開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項55に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項60に記載の方法。対象中のモジュレーターの活性を判定する方法において: i)生物試料から離隔した組織中のタンパク質またはRNAを標的化するモジュレーターを投与された対象から生物試料を採取すること(前記標的タンパク質またはRNAは、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)、ヘプシジン、C型肝炎ウイルス(HCV)、egl9ホモログ(EGLN)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、プロテインキナーゼN3(PKN3)、ハンチンチン(HTT)、およびアルファシヌクレイン(SNCA)からなる群から選択し、前記生物試料は、エキソソームを含む)、および ii)前記生物試料中の前記標的RNA、前記RNAの下流標的のRNAまたは前記標的RNAのその開裂産物のレベルを検出することであって、前記エキソソームを、前記標的RNA、または下流RNAまたは開裂産物の量の検出前に前記生物試料から精製しないことを含み、 参照試料と比較した前記標的RNA、前記タンパク質の下流標的のRNAまたはその開裂産物のレベルの変化の検出は、前記モジュレーターが前記対象中で活性であることを示す方法。前記モジュレーターが前記対象中で不活性である判定に基づき、前記対象に投与されるモジュレーターの用量を増加させることをさらに含む、請求項62に記載の方法。前記モジュレーターが前記対象中で活性である判定に基づき、前記対象に投与されるモジュレーターの用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項62に記載の方法。前記生物試料は、標的RNA、下流RNA、または開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項62に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項65に記載の方法。前記生物試料は、血液またはCSFである、請求項62に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する、請求項62に記載の方法。対象中のモジュレーターの活性を判定する方法において: i)生物試料から離隔した組織中のタンパク質またはRNAを標的化するモジュレーターを投与された対象からの生物試料を検出すること(前記標的タンパク質またはRNAを、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)、ヘプシジン、C型肝炎ウイルス(HCV)、egl9ホモログ(EGLN)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、プロテインキナーゼN3(PKN3)、ハンチンチン(HTT)、およびアルファシヌクレイン(SNCA)からなる群から選択する)、および ii)前記生物試料中の標的RNAの開裂産物の量を検出することを含み、参照試料と比較した標的RNAの開裂産物のレベルの変化の検出は、前記モジュレーターが前記対象中で活性であることを示す方法。前記モジュレーターが前記対象中で不活性である判定に基づき前記対象に投与されるモジュレーターの用量を増加させることをさらに含む、請求項69に記載の方法。前記モジュレーターが前記対象中で活性である判定に基づき前記対象に投与されるモジュレーターの用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項69に記載の方法。前記生物試料は、開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項69に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項72に記載の方法。前記生物試料は、血液またはCSFである、請求項69に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する、請求項69に記載の方法。対象の生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物を検出するアッセイを実施するための1つ以上のプライマーおよび少なくとも1つの追加の試薬を含むキット。前記対象からの生物試料からRNAまたは開裂産物を単離するための試薬をさらに含む、請求項76に記載のキット。カラム、および1つ以上の緩衝液を含む、請求項77に記載のキット。前記対象からの前記生物試料を単離するための1つ以上のツールをさらに含む、請求項76に記載のキット。前記1つ以上のプライマーは、逆転写のためのオリゴ−dTプライマーならびに場合によりPCRのためのフォワードおよびリバースプライマーを含む、請求項76に記載のキット。前記1つ以上のプライマーは、5’RACE用である、請求項76に記載のキット。前記標的RNAは、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)、ヘプシジン、C型肝炎ウイルス(HCV)、egl9ホモログ(EGLN)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、プロテインキナーゼN3(PKN3)、ハンチンチン(HTT)、またはアルファシヌクレイン(SNCA)からなる群から選択されるmRNAである、請求項76に記載のキット。前記標的mRNAにハイブリダイズするプライマーを含む、請求項82に記載のキット。RNA収量を増加させるための試薬をさらに含む、請求項76に記載のキット。前記試薬は、塩化リチウム(LiCl)である、請求項84に記載のキット。LiClは、1Mの最終濃度において使用される、請求項84に記載のキット。前記RNAまたは開裂産物を単離するための試薬は、TRIzol(商標)試薬、クロロホルム、フェノール/クロロホルム、またはそれらの組合せである、請求項77に記載のキット。RNAの沈殿を向上させるための試薬をさらに含む、請求項76に記載のキット。前記試薬は、グリコーゲンまたはポリエチレングリコール(PEG)である、請求項88に記載のキット。RNアーゼ活性を阻害する試薬をさらに含む、請求項76に記載のキット。前記試薬は、RNアーゼインヒビターまたはEDTAである、請求項90に記載のキット。使用説明書をさらに含み、前記説明書は、前記対象がiRNA薬剤を投与されていることを要求する、請求項76に記載のキット。前記標的RNAは、マイクロRNA、例えば、miR−122、miR−16、miR−192、またはmiR−194である、請求項76に記載のキット。前記標的RNAは、遺伝子治療物として対象に投与された外因性遺伝子から発現される、請求項76に記載のキット。対象中の治療核酸の活性を判定する方法において: i)生物試料から離隔した組織中で核酸を標的化または発現する治療核酸を投与された対象から生物試料を採取することであって、前記生物試料は、エキソソームを含むこと、 ii)前記生物試料中の前記標的化または発現される核酸のレベルを検出することであって、前記エキソソームを、前記標的化または発現される核酸のレベルの検出前に前記生物試料から精製しないこと を含み、 参照試料と比較した前記標的化または発現される核酸のレベルの変化は、前記治療核酸が前記対象中で活性であることを示す方法。前記治療核酸が前記対象中で不活性である判定に基づき、前記対象に投与される治療核酸の用量を増加させることをさらに含む、請求項95の記載の方法。前記治療核酸が前記対象中で活性である判定に基づき、前記対象に投与される治療核酸の用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項95の記載の方法。前記生物試料は、標的化または発現される核酸のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項95に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項95に記載の方法。前記治療核酸は、RNAエフェクター分子である、請求項95に記載の方法。前記RNAエフェクター分子は、アンタゴmirまたはmiRNA模倣物であり、前記標的RNAは、miR−122、miR−16、miR−192、またはmiR−194である、請求項100に記載の方法。前記RNAエフェクター分子は、dsRNA、マイクロRNA、プロモーター指向性RNA(pdRNA)、Piwi相互作用RNa(piRNA)、RNA活性化分子、発現干渉RNA(eiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、デコイRNAまたはアプタマーである、請求項100に記載の方法。前記治療核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項95に記載の方法。前記治療核酸は、外因性DNA分子、発現DNA、ドミナントネガティブ突然変異体、改変遺伝子産物、突然変異遺伝子産物、生体異物遺伝子、またはトランス遺伝子を発現するDNAエフェクター分子である、請求項95に記載の方法。前記治療核酸は、ウイルスベクターまたはプラスミドDNAを含むDNAエフェクター分子である、請求項95に記載の方法。前記ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、単純ヘルペスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、またはエプスタイン・バーウイルスベクターである、請求項105に記載の方法。前記プラスミドDNAは、ネイキッドDNAである、請求項105に記載の方法。前記ネイキッドDNAを、エレクトロポレーション、ソノポレーション、マグネトフェクション、直接注射、または脂質複合体を使用して投与する、請求項107に記載の方法。前記DNAエフェクター分子は、誘導性または構成的に活性なプロモーターを含む、請求項105に記載の方法。前記治療核酸は、前記対象のゲノム中に挿入されるDNAエフェクター分子である、請求項95に記載の方法。前記DNAエフェクター分子を、前記ゲノム中にランダムに挿入し、または相同組換えを使用して特定部位に標的化する、請求項110に記載の方法。対象を治療する方法において: 対象中のiRNA薬剤の活性の情報を採取すること、 生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物のレベルを検出することであって、前記生物試料は、エキソソームを含み、前記iRNA薬剤は、前記生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化し、 参照試料と比較した前記標的化または発現されるRNAのレベルの変化は、前記iRNA薬剤が前記対象中で活性であることを示すこと、 前記対象に有効量のiRNA薬剤を投与することであって、前記有効量を、前記対象中のiRNA薬剤の活性の情報に基づき判定すること を含む方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で不活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含む、請求項112に記載の方法。前記iRNA薬剤が前記対象中で活性である判定に基づき、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む、請求項112に記載の方法。前記生物試料は、開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項112に記載の方法。前記遠心分離は、110000gから140000gにおけるものである、請求項112に記載の方法。前記生物試料は、血液またはCSFである、請求項112に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する、請求項112に記載の方法。前記標的RNAは、TTRであり、前記対象を、トランスチレチン(TTR)アミロイドーシスについて治療する、請求項112に記載の方法。対象の組織中の標的遺伝子の活性を評価する方法において: i)前記対象からエキソソームを含む非生検試料を採取すること、および ii)前記試料中の前記標的遺伝子の発現産物のレベルを検出すること を含み、 それにより、前記組織中の前記遺伝子の活性を評価し、 a)前記標的遺伝子についてのmRNAのmRNA開裂産物のレベルを検出することを含み、b)前記標的遺伝子は、前記TTR遺伝子であり、またはc)前記エキソソームを、前記非生検試料中のRNAのレベルの検出前に前記非生検試料から精製しない方法。iii)参照試料と比較して標的RNAもしくは下流RNAのレベルが増加もしくは減少される場合、または標的RNA開裂産物のレベルが増加もしくは減少される場合、遺伝子の活性が変化したと判定すること をさらに含む、請求項120に記載の方法。iv)前記遺伝子の活性が変化したと判定される場合、疾患が進行もしくは退縮したと、または対象の疾患リスクが悪化もしくは改善されたと判定すること をさらに含む、請求項120に記載の方法。前記非生検試料は、前記組織中のRNAを標的化するiRNA薬剤を投与された対象からのものである、請求項120に記載の方法。前記対象に、前記標的遺伝子についてのRNAを標的化するiRNA薬剤を投与することを含む、請求項123に記載の方法。前記投与を、前記試料の採取前に実施する、請求項124に記載の方法。前記投与を、前記試料の採取後に実施する、請求項124に記載の方法。前記iRNA薬剤を不活性であると判定し、前記対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させる、請求項123に記載の方法。前記iRNA薬剤を活性であると判定し、前記対象中の前記iRNA薬剤の活性を増加または減少させるようにiRNA薬剤の用量を調整する、請求項123に記載の方法。前記生物試料は、微小胞をさらに含む、請求項123に記載の方法。前記生物試料中の前記RNAの分画は、前記エキソソーム中に存在する、請求項123に記載の方法。前記生物試料中の前記RNAの分画は、前記微小胞中に存在する、請求項129に記載の方法。前記生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている、請求項123に記載の方法。前記iRNA薬剤は、肝臓、腎臓、脳、脊髄、脈絡叢、末梢ニューロンもしくは神経、筋肉、内皮細胞、心臓、免疫細胞、皮膚、眼、膵臓、肺、胃、小腸もしくは大腸、結腸、副腎、腫瘍、癌病巣、または脾臓中のRNAを標的化する、請求項123に記載の方法。前記RNA薬剤は、肝臓中のRNAを標的化する、請求項123に記載の方法。前記iRNA薬剤は、中枢神経系中で発現されるRNAを標的化する、請求項123に記載の方法。前記生物試料は、血液、尿、脳脊髄液(CSF)、羊水、唾液、母乳、気管支肺胞洗浄液、滑液、または悪性腹水からなる群から選択される、請求項133に記載の方法。前記生物試料は、血清試料である、請求項123に記載の方法。前記生物試料は、CSFである、請求項123に記載の方法。

本願明細書または図面に記載された発明。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、2011年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/499,664号明細書、2011年7月12日に出願された米国仮特許出願第61/507,093号明細書、2011年9月1日に出願された米国仮特許出願第61/530,112号明細書、および2011年9月12日に出願された米国仮特許出願第61/533,737号明細書の優先権を主張する。これらの先行出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。

本発明は、対象中の治療剤の活性を判定する方法に関する。

二本鎖RNA分子(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)として公知の高度に保存された調節機序において遺伝子発現を遮断することが示されている。dsRNAは、種々の生物、例として蠕虫(例えば、線虫(C.elegans))、植物、ショウジョウバエ属(Drosophila)、および哺乳動物中の標的RNAを分解することも示されている。この天然機序は、目下、異常または不所望な遺伝子の調節により引き起こされる障害を治療するための新たなクラスの医薬剤の開発のための焦点となっている。RNAiは、疾患の治療において標的遺伝子の発現を活性化させるために使用することもできる。

本明細書において、対象中の核酸、例えば、二本鎖リボ核酸(dsRNA)の活性を判定するための方法、キットおよび組成物が提供される。このような方法は、治療核酸、例えば、RNAエフェクター分子(例えば、dsRNA)またはDNAエフェクター分子(例えば、遺伝子産物をコードするウイルスベクター)の効の判定、または核酸、もしくは核酸活性の産物の検出による対象の治療のモニタリングに有用である。本明細書において提供される方法は、部分的には、標的mRNAまたはmRNA開裂産物を、dsRNA媒介遺伝子サイレンシングの部位から離隔した生物試料中で検出することができるという発見に基づく。例えば、dsRNAは、肝臓中の標的mRNAの遺伝子サイレンシングを媒介し得、標的mRNA(またはその開裂産物)のレベルを血清中で検出および/または定量することができる。血清中のmRNAレベルをdsRNA投与の前後に検出することによりdsRNAの活性を評価またはモニタリングすることができる。遺伝子治療送達法(例えば、アデノウイルスまたはレトロウイルスを使用するウイルス送達、ネイキッドDNA送達など)を使用して送達された1つ以上の外因性遺伝子(例えば、トランス遺伝子、例えば、治療トランス遺伝子)の発現のレベルを判定する方法も提供される。このような方法は、外因性遺伝子発現の部位から離隔した生物試料中、例えば、血清または尿中の治療または外因性遺伝子のmRNAを計測することを含む。

本発明において挙げられる一態様は、対象の組織中の遺伝子の活性についてアッセイする方法において、(i)対象から生物試料を採取すること(生物試料は、組織から離隔しており、生物試料は、エキソソームを含有する)、および(ii)生物試料中のRNAのレベルを検出すること(RNAは、対象の組織中の遺伝子から発現され、エキソソームを、生物試料中のRNAのレベルの検出前に生物試料から精製しない)を含み、参照試料と比較したRNA、または標的RNAの下流標的のRNAのレベルの変化は、遺伝子の活性の変化を示し、遺伝子の活性の変化は、疾患進行もしくは縮退、対象に対するモジュレーターの効果、または対象における疾患リスクの増加もしくは減少を示す方法に関する。

本発明において挙げられる一態様は、対象中の治療核酸、例えば、RNAもしくはDNAエフェクター分子またはiRNA薬剤の活性を判定する方法において、i)生物試料から離隔した組織中の核酸を標的化または発現する治療核酸を投与された対象から生物試料を採取すること(生物試料は、エキソソームを含有する)、およびii)対象の生物試料中の標的化もしくは発現される核酸、または生物試料中のその産物、例えば、その開裂産物のレベルを検出することを含み、核酸の存在、または参照試料と比較した核酸の産物のレベルの変化は、治療核酸が対象中で有効であることを示す方法に関する。一実施形態において、エキソソームは、標的化または発現される核酸のレベルの検出前に生物試料から精製しない。治療核酸は、例えば、dsRNA、アンタゴmir;マイクロRNA、例えば、マイクロRNA模倣物;または遺伝子置換治療剤であり得る。

一実施形態において、本方法は、対象に投与される治療核酸の用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、対象に投与される治療核酸の用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、標的化または発現される核酸のレベルの検出前に遠心分離を受けている。遠心分離は、高速遠心分離、例えば、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおけるものであり得る。

一実施形態において、治療核酸は、RNAエフェクター分子、例えば、アンタゴmirまたはmiRNA模倣物であり、標的RNAは、mR−122、miR−16、miR−192、またはmiR−194である。他の実施形態において、RNAエフェクター分子は、dsRNA、マイクロRNA、プロモーター指向性RNA(pdRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、RNA活性化分子、発現干渉RNA(eiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、デコイRNAまたはアプタマーである。

一実施形態において、治療核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。

別の実施形態において、治療核酸は、外因性DNA分子、発現DNA、ドミナントネガティブ突然変異体、改変遺伝子産物、突然変異遺伝子産物、生体異物遺伝子、またはトランス遺伝子を発現するDNAエフェクター分子である。一実施形態において、治療核酸は、ウイルスベクターまたはプラスミドDNAを含むDNAエフェクター分子(例えば、ネイキッドDNA)である。ウイルスベクターは、例えば、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクターであり得る。一実施形態において、治療核酸(例えば、ネイキッドDNA)は、エレクトロポレーション、ソノポレーション、マグネトフェクション、直接注射、または脂質複合体を使用して投与する。

DNAエフェクター分子は、誘導性または構成的に活性なプロモーターを含み得る。一部の実施形態において、DNAエフェクター分子は、対象のゲノム中に、例えば、対象のゲノム中にランダムに挿入し、または相同組換えを使用して特定部位に標的化する。

一態様において、本発明は、対象中のiRNA薬剤の活性を判定する方法において、i)生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化するiRNA薬剤を投与された対象から生物試料を採取すること(試料は、エキソソームを含有する)、およびii)生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物のレベルを検出すること(エキソソームを、標的RNAまたはその開裂産物のレベルの検出前に生物試料から精製しない)を含み、参照試料と比較した標的RNAのレベルの変化または開裂産物のレベルの増加は、iRNA薬剤が対象中で活性であることを示す方法を挙げる。

一実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で不活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、エキソソームを含み、一部の実施形態において、生物試料中のRNAの分画は、エキソソーム中に局在する。エキソソームは、標的RNAまたはその開裂産物の検出前に精製しなくてよい。一部の実施形態、例えば、RNA開裂産物をアッセイする実施形態において、エキソソームは、開裂産物の検出前に生物試料から単離する。

一実施形態において、生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている。遠心分離は、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおけるものであり得る。

別の実施形態において、生物試料は、微小胞を含み、一部の実施形態において、生物試料中のRNAの分画は、微小胞中に局在する。微小胞は、標的RNAまたはその開裂産物の検出前に生物試料から精製してもしなくてもよい。

別の実施形態において、生物試料は、細胞外小胞(例えば、エキソソームおよび微小胞)を含み、一部の実施形態において、生物試料中のRNAの分画は、細胞外小胞中に局在する。細胞外小胞は、標的RNAまたはその開裂産物の検出前に精製してもしなくてもよい。

一部の実施形態において、対象は、組織、例えば、肝臓、腎臓、脳、脊髄、脈絡叢、末梢ニューロンもしくは神経、筋肉、内皮細胞、心臓、免疫細胞、皮膚、眼、、胃、小腸もしくは大腸、結腸、副腎、腫瘍、癌病巣、または脾臓中のRNAを標的化するiRNA薬剤により治療する。一実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓中のRNAを標的化する。iRNA薬剤を投与された対象から得られる生物試料は、例えば、体液、例えば、血液、尿、脳脊髄液(CSF)、、唾液、母乳、気管支肺胞洗浄液、滑液、または悪性腹水からのものであり得る。血液試料は、例えば、全血試料(赤血球および白血球、ならびに無細胞タンパク質および核酸を含む)、または血漿もしくは血清試料であり得る。

生物試料から単離される標的RNAまたはRNA開裂産物は、当分野において公知の方法により、例えば、5’RACE、ハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、分枝DNA(bDNA)、または逆転写連結型PCR(RT−PCR)により計測することができる。

一部の実施形態において、iRNA薬剤は、中枢神経系(CNS)に投与する。例えば、CNSにiRNAを投与される対象は、神経疾患、例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、またはアルツハイマー病などを有し得る。例えば、一実施形態において、対象、例えば、患者は、ハンチントン病を有し、標的RNAは、ハンチンチン(Htt)RNAである。別の実施形態において、対象、例えば、患者は、パーキンソン病を有し、標的RNAは、アルファ−シヌクレイン(SNCA)RNAである。別の実施形態において、対象、例えば、患者は、軟髄膜/中枢神経系形態のトランスチレチン(TTR)アミロイドーシスを有し、標的RNAは、TTRRNAである。

治療核酸、例えば、RNAもしくはDNAエフェクター分子またはiRNA薬剤は、種々の方法により、例えば、直接注射、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、吸入、局所、脳内、例として、実質内、脳室内、硬膜外、鞘内、動脈内、硝子体内、皮内、経口、または心臓内送達により対象に投与することができる。治療すべき生物が哺乳動物、例えば、ヒトである場合、組成物は、当分野において公知の任意の手段、例として、限定されるものではないが、経口、腹腔内、または非経口経路、例として、頭蓋内(例えば、脳室内、実質内および鞘内)、硬膜外、筋肉内、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアゾール)、鼻腔、直腸、膣、および局所(例として、バッカルおよび舌下)投与により投与することができる。

一部の実施形態において、治療核酸は、末梢投与により投与し、他の実施形態において、治療核酸は、CNS中に直接投与する。一部の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、静脈内、鞘内または頭蓋内注入または注射により投与する。一実施形態において、治療核酸は、静脈内送達により投与し、別の実施形態において、治療核酸は、頭蓋内送達により投与する。

本明細書に開示の方法において使用されるiRNA薬剤は、任意のRNA、例えば、任意のmRNAまたはmiRNAを標的化し得る。例えば、標的RNAは、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)(GenBank受託番号NM_174936)、トランスチレチン(TTR)(GenBank参照番号NM_000371.3)、血管内皮成長因子A(VEGF)(GenBank受託番号NM_001025366.2)、キネシン様タンパク質(KSP)(GenBank受託番号NM_004523)、下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)(GenBank受託番号NM_020872.1)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)(GenBank受託番号NM_014495.2)、アポリポタンパク質C−III(ApoC3)(GenBank受託番号NM_000040.1)、ヘプシジン(SLC11A2)(GenBank受託番号NM_001174129.1)、egl9ホモログ(EGLN)(GenBank受託番号BC111057.1)、C型肝炎ウイルス(HCV)(GenBank受託番号AK367384.1)、B型肝炎ウイルス(HBV)(GenBank受託番号AB602818.1)、ポロ様キナーゼ1(PLK)(GenBank受託番号NM_005030.3)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)(GenBank受託番号NM_000295.4)、活性化タンパク質C、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)(GenBank受託番号NM_153609.2)、クルッペル様因子4(KLF)(GenBank受託番号DQ658241.1)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)(GenBank受託番号NM_022893.3)、p53(GenBank受託番号NM_001126114.1)、カスパーゼ2(GenBank受託番号NM_001224.4)、β−カテニン(GenBank受託番号NM_001904.3)、プロテインキナーゼN3(PKN3)(GenBank受託番号NM_013355.3)、ハンチンチン(HTT)(Genbank受託番号NM_002111.6)またはアルファシヌクレイン(SNCA)(GenBank受託番号NM_007308.2)であり得る。

iRNA薬剤を投与された対象、例えば、ヒトから得られる生物試料は、対象が治療核酸による治療を受けた後、例えば、対象が治療核酸による治療を受けてから3時間から28日後、例えば、対象がiRNA薬剤による治療を受けてから3時間もしくは6、12、24、36、48、72、96、120または168時間後に対象から単離することができる。

一実施形態において、標的RNAは、肝臓中で発現され、標的RNAレベルは、生物試料中の別の肝臓タンパク質、例えば、第VII因子、アルブミン、またはアルファ−アンチトリプシン(AAT)などのRNAのレベルに正規化する。あるいは、標的RNAレベルは、18sRNA、GAPDH RNAまたはβ−アクチンRNAに正規化する。別の実施形態において、標的RNAは、平滑筋細胞中で発現され、標的RNAは、別の平滑筋細胞関連タンパク質、例えば、Acta2のRNAのレベルに正規化する。別の実施形態において、標的RNAは、中枢神経系中で発現され、標的RNAは、別の中枢神経系タンパク質のRNAのレベルに正規化する。

ある実施形態において、標的RNAは、mRNA、またはmiRNAである。

一態様において、本発明は、対象中のiRNA薬剤の活性を判定する方法において、アッセイは、(i)生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化するiRNA薬剤を投与された対象から生物試料を採取すること、および(ii)生物試料中の標的RNAの開裂産物のレベルを検出することを含み、参照試料と比較した開裂産物のレベルの増加は、iRNA薬剤が対象中で活性であることを示し、参照試料と比較した開裂産物のレベルの減少または静止は、iRNA薬剤が対象中で不活性であることを示す方法を挙げる。開裂産物は、iRNA薬剤によるRNA干渉の結果であり得る。

一実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で不活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている。遠心分離は、高速遠心分離、例えば、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおけるものであり得る。

一実施形態において、生物試料は、エキソソーム、微小胞またはそれらの組合せを含有し、ある実施形態において、生物試料中の標的RNA開裂産物の分画は、エキソソームおよび/または微小胞中に存在する。一部の実施形態において、エキソソームまたは微小胞は、開裂産物の検出前に精製し、他の実施形態において、エキソソームまたは微小胞は、開裂産物の検出前に精製しない。

一実施形態において、組織、例えば、肝臓に由来するエキソソームは、開裂産物の検出前に、例えば、組織特異的マーカーにより選択する。

一実施形態において、開裂産物は、5’RACE、ハイブリダイゼーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量的PCR(qPCR)、分枝DNA(bDNA)アッセイ、または逆転写PCR(RT−PCR)により検出する。

一実施形態において、生物試料は、血液またはCSFであり、ある実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する。

一態様において、本発明は、対象中のiRNA薬剤の活性を判定するアッセイにおいて、(i)生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化するiRNA薬剤を投与された対象からの生物試料を、標的RNAまたはその開裂産物の量を検出するためのプローブと接触させること(生物試料は、エキソソームを含有する)、および(ii)生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物の量を検出すること(エキソソームを、標的RNAまたはその開裂産物の量の計測前に生物試料から精製しない)、(iii)標的RNAまたはその開裂産物の量を参照試料と比較することを含み、参照試料と比較した標的RNAの量の減少または開裂産物の量の増加は、対象中のiRNA薬剤活性を示すアッセイを挙げる。開裂産物は、iRNA薬剤によるRNA干渉の結果であり得る。

一実施形態において、生物試料は、血液またはCSFであり、ある実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する。

一実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で不活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、iRNAが対象中で活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている。遠心分離は、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおけるものであり得る。

一態様において、本発明は、対象中のiRNA薬剤の活性を判定するアッセイにおいて、(i)iRNA薬剤を投与された対象からの生物試料を、標的RNAの開裂産物の量を検出するためのプローブと接触させること(生物試料は、エキソソームを含有する)、および(ii)生物試料中の開裂産物の量を検出すること、および(iii)開裂産物の量を参照試料と比較することを含み、参照試料と比較した開裂産物の量の変化は、対象中のiRNA薬剤活性を示すアッセイを挙げる。開裂産物は、iRNA薬剤によるRNA干渉の結果であり得る。参照試料は、iRNA薬剤により標的化されないRNA、例えば、18sRNAまたはGADPHRNAであり得る。

一実施形態において、生物試料は、血液またはCSFであり、ある実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する。

一実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で不活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている。遠心分離は、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおけるものであり得る。

一態様において、本発明は、対象中のモジュレーターの活性を判定する方法において、アッセイは、(i)生物試料から離隔した組織中のタンパク質またはRNAを標的化するモジュレーターを投与された対象から生物試料を採取すること(標的タンパク質またはRNAを、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)、ヘプシジン、C型肝炎ウイルス(HCV)、egl9ホモログ(EGLN)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、プロテインキナーゼN3(PKN3)、ハンチンチン(HTT)、およびアルファシヌクレイン(SNCA)からなる群から選択し、生物試料は、エキソソームを含む)、および(ii)生物試料中の標的RNA、標的RNAの下流のRNAまたは標的RNAの開裂産物のレベルを検出すること(エキソソームを、標的RNA、下流RNAまたは標的RNAの開裂産物の量の検出前に生物試料から精製しない)を含み、参照試料と比較した標的RNA、標的RNAの下流のRNAまたは標的RNAの開裂産物のレベルの変化の検出は、モジュレーターが対象中で活性であることを示す方法を挙げる。

一実施形態において、生物試料は、血液またはCSFであり、ある実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する。

一実施形態において、本方法は、モジュレーターが対象中で不活性である判定に基づき対象に投与されるモジュレーターの用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、モジュレーターが対象中で活性である判定に基づき対象に投与されるモジュレーターの用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けている。遠心分離は、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおけるものであり得る。

一態様において、本発明は、対象中のモジュレーターの活性を判定する方法において、アッセイは、(i)生物試料から離隔した組織中のタンパク質またはRNAを標的化するモジュレーターを投与された対象から生物試料を採取すること(標的タンパク質またはRNAを、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)、ヘプシジン、C型肝炎ウイルス(HCV)、egl9ホモログ(EGLN)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、プロテインキナーゼN3(PKN3)、ハンチンチン(HTT)、およびアルファシヌクレイン(SNCA)からなる群から選択する)、および(ii)生物試料中の標的RNAの開裂産物の量を検出することを含み、参照試料と比較した標的RNAの開裂産物の量の変化の検出は、モジュレーターが対象中で活性であることを示す方法を挙げる。

一実施形態において、生物試料は、血液またはCSFであり、ある実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する。

一実施形態において、本方法は、モジュレーターが対象中で不活性である判定に基づき対象に投与されるモジュレーターの用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、モジュレーターが対象中で活性である判定に基づき対象に投与されるモジュレーターの用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、開裂産物の量の検出前に遠心分離を受けている。遠心分離は、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおけるものであり得る。

一態様において、対象中の治療核酸の活性を判定するアッセイが提供される。1つのそのようなアッセイは、例えば:i)治療核酸を投与された対象から得られた生物試料を、核酸の活性を検出するためのプローブと接触させること;ii)活性レベルを計測すること;およびiii)活性レベルを参照試料において観察された活性レベルと比較することを含む。活性レベルの計測値は、対象中の核酸の活性を示す。プローブは、例えば、標的RNAにハイブリダイズし、場合により、それを増幅させるプライマーもしくはプライマーのセットであり得、またはプローブは、例えば、標的RNAまたは遺伝子治療物のタンパク質産物を計測する抗体であり得る。

一実施形態において、治療核酸は、iRNA薬剤であり、活性レベルは、生物試料中の標的RNAの量、または生物試料中の標的RNA開裂産物の量を計測することによりアッセイする。別の実施形態において、治療核酸は、アンタゴmirであり、アンタゴmirの活性レベルは、生物試料中の標的miRNAの量を計測することによりアッセイする。さらに別の実施形態において、治療核酸は、マイクロRNA模倣物であり、miRNA模倣物の活性レベルは、生物試料中の標的RNAの量を計測することによりアッセイする。別の実施形態において、治療核酸は、遺伝子治療物であり、遺伝子治療物の活性は、生物試料中の遺伝子産物、例えば、mRNAまたはタンパク質産物の発現を検出することによりアッセイする。

例えば、対象中のiRNA薬剤の活性を判定するアッセイが提供される。1つのそのようなアッセイは、例えば、i)iRNA薬剤を投与された対象から得られた生物試料を、標的RNAの量を検出するためのプローブと接触させること、ii)標的RNAまたはその開裂産物の量を計測すること、およびiii)工程(ii)において計測された標的RNAまたはその開裂産物の量を、参照試料と比較することを含む。参照試料と比較した標的RNAの量の変化または開裂産物の量の増加は、対象中のiRNA薬剤活性を示す。

本明細書において、対象中のモジュレーターの活性を判定する方法も提供される。1つのそのような方法は、例えば、i)モジュレーター、例えば、組織中のタンパク質またはRNAを標的化するモジュレーターを投与された対象からの生物試料を提供すること(組織は、生物試料から離隔している)、およびii)生物試料中の標的RNAもしくはその開裂産物、または標的RNAによりコードされるタンパク質の下流標的のRNAのレベルを検出することを含む。参照試料と比較した標的RNAもしくはその開裂産物、または標的RNAによりコードされるタンパク質の下流標的のRNAのレベルの変化は、モジュレーターが対象中で活性であることを示す。標的RNAは、例えば、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子A(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、ヘプシジン、egl9ホモログ(EGLN)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、プロテインキナーゼN3(PKN3)、ハンチンチン(HTT)、およびシヌクレイン(SNCA)であり得る。

モジュレーターは、タンパク質、またはタンパク質を発現するRNAを標的化し得る。モジュレーターは、mRNAまたはタンパク質レベルにおいて所望のタンパク質の発現を阻害し、または活性化させ得る。モジュレーターは、例えば、小分子、タンパク質、ペプチド、抗体、Fab断片、scFv断片、アプタマー、dsRNA、ショートヘアピンRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、アンタゴmir、マイクロRNA模倣物または遺伝子治療物であり得る。

本明細書において提供される別の態様は、標的RNAを検出する方法において、例えば:i)モジュレーターを投与された対象からの生物試料を提供すること、およびii)生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物のレベルを検出することを含む方法である。参照試料と比較した標的RNA、もしくはその開裂産物、または標的RNAによりコードされるタンパク質の下流標的のRNAのレベルの変化は、モジュレーターが対象中で活性であることを示す。標的は、例えば、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、トランスチレチン(TTR)、血管内皮成長因子A(VEGF)、キネシン様タンパク質(KSP)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)、ヘプシジン(SLC11A2)、egl9ホモログ(EGLN)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ポロ様キナーゼ1(PLK)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)、活性化タンパク質C(APC)、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)、クルッペル様因子4(KLF)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)、p53、カスパーゼ2、β−カテニン、プロテインキナーゼN3(PKN3)ハンチンチン(HTT)、またはシヌクレイン(SNCA)であり得る。

本明細書において、iRNA薬剤を投与された対象からのエキソソームリッチ生物試料を含む組成物も提供される。エキソソームは、例えば、iRNA薬剤の活性または標的mRNAから生じる開裂産物を含有し得る。

本明細書に記載の方法を実施するためのキットも提供される。一実施形態において、キットは、対象の生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物を検出するアッセイを実施するための1つ以上のプライマーおよび少なくとも1つの追加の試薬を含む。標的RNAは、例えば、治療剤がdsRNAもしくは遺伝子治療物もしくはmiRNA模倣物である場合、mRNAであり得、または標的RNAは、例えば、治療RNAがアンタゴmirである場合、miRNAであり得る。

キットは、使用説明書をさらに含み得、説明書は、対象がiRNA薬剤を投与されていることを要求し得る。

別の実施形態において、キットは、対象からの生物試料からRNAまたは開裂産物を単離するための試薬をさらに含む。キットは、カラム、ビーズ、および1つ以上の緩衝液または試薬も含み得る。1つ以上のプライマー、例えば、標的mRNAにハイブリダイズするプライマーをキットに含めることもできる。プライマーは、逆転写のためのオリゴ−dTプライマーまたは遺伝子特異的プライマーまたはランダムヘキサマーならびに場合によりPCRのためのフォワードおよびリバースプライマーを含み得る。一実施形態において、1つ以上のプライマーは、5’RACE用である。

別の実施形態において、キットは、RNA収量を増加させるための1つ以上の試薬、例えば、塩化リチウム(LiCl)または酢酸ナトリウムを含む。LiClは、使用準備済の濃度において、例えば、0.1から5M、例えば、1Mの濃度において含めることができ、またはLiClは、濃縮形態で提供することができる。別の実施形態において、RNAまたは開裂産物を単離するための試薬は、TRIzol(商標)試薬、クロロホルム、フェノール/クロロホルム、またはそれらの組合せである。キットは、RNAの沈殿を向上させるための試薬、例えば、グリコーゲンまたはポリエチレングリコール(PEG)も含み得る。一実施形態において、キットは、RNアーゼ活性を阻害する試薬、例えば、RNアーゼインヒビターまたはEDTAを含む。一部の実施形態において、キットは、対象から生物試料を単離するための1つ以上のツールを含む。キットは、生物試料からのRNA収量を増加させるためのいくつかの試薬(洗浄剤)を含み得る。

一実施形態において、キットは、例えば、遺伝子治療物またはdsRNAの活性をモニタリングするための抗体、および/または抗体検出試薬を含む。

一実施形態において、阻害RNAエフェクター分子の投与は、疾患の少なくとも1つの症状を少なくとも5%だけ、例えば、少なくとも10%だけ、少なくとも15%だけ、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%以上だけ低減させる。一部の実施形態において、治療すべき疾患の少なくとも1つの症状は、治療前レベルと比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、または少なくとも60%以上だけ減少される。別の実施形態において、疾患の少なくとも1つの症状の減少は、少なくとも5、10、20、30、または40日以上維持される。

一実施形態において、本明細書に記載のiRNAは、野生型標的RNA転写物を標的化し、別の実施形態において、iRNAは、突然変異体転写物を標的化する。例えば、iRNA薬剤は、多型バリアント、例えば、単一ヌクレオチド多型(SNP)を標的化し得る。別の実施形態において、iRNA標的は、野生型および突然変異体転写物の両方を標的化する。さらに別の実施形態において、iRNAは、転写物バリアントを標的化する。

一実施形態において、本発明において挙げられるiRNAは、標的RNA転写物の非コード領域、例えば、5’または3’非翻訳領域を標的化する。

別の態様において、実施形態は、生物、一般に、ヒト対象中の標的遺伝子の発現を阻害するための医薬組成物を含む。組成物は、典型的には、本明細書に記載のiRNAの1つ以上および薬学的に許容可能な担体または送達ビヒクルを含む。一実施形態において、組成物は、障害の治療に使用する。

別の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の投与量レジメン、例えば、2か月毎に1回以下、1か月に1回以下、1か月に2回以下、4週間毎に1回以下、3週間毎に1回以下、2週間毎に1回以下、または毎週1回以下の投与のために配合する。別の実施形態において、医薬組成物の投与は、1か月以上、例えば、1、2、3、または6か月、または1年、または5年、または10年以上、例として対象の残り寿命にわたり維持することができる。

一実施形態において、医薬組成物は、少なくとも5分間のCNS(例えば、連続注入)中への連続投与のために配合し;他の実施形態において、組成物は、CNS中に連続注入により少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも40分間、少なくとも50分間、少なくとも60分間、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間以上投与する。

別の実施形態において、本明細書に記載のiRNA、例えば、所望の遺伝子を標的化するdsRNAを含有する組成物は、非iRNA治療剤、例えば、iRNA薬剤により標的化すべき障害を治療することが公知の薬剤とともに投与する。

別の実施形態において、iRNAを患者に投与し、次いで非iRNA薬剤を患者に投与する(またはその逆)。別の実施形態において、iRNAおよび非iRNA治療剤を同時に投与する。

対象に投与されるiRNAまたはdsRNAは、遺伝子サイレンシングが望まれる任意の組織中で遺伝子発現を阻害し得る。例えば、iRNAは、肝臓、腎臓、脳、脊髄、脈絡叢、末梢ニューロンもしくは神経、筋肉、内皮細胞、心臓、免疫細胞、脂肪細胞、膀胱、皮膚、眼、膵臓、肺、胃、小腸もしくは大腸、結腸、副腎、腫瘍、癌病巣、または脾臓中のRNAを標的化し得る。一実施形態において、対象に投与されるiRNAは、肝臓細胞、例えば、肝細胞、星細胞、またはクッパー細胞中で遺伝子発現を阻害する。別の実施形態において、対象に投与されるiRNAは、肝臓細胞中で遺伝子発現を活性化させる。

一態様において、本発明は、例えば、対象からの生物試料を提供すること(生物試料は、組織から離隔している)、および生物試料中のRNAのレベルを検出すること(RNAは、対象の組織中の遺伝子から発現される)により対象の組織中の遺伝子の活性をアッセイする方法を提供する。参照試料と比較したRNA、または標的RNAの下流標的のRNAのレベルの変化は、遺伝子の活性の変化を示し、遺伝子の活性の変化は、例えば、疾患進行もしくは縮減、対象に対するモジュレーターの効果、または対象における疾患リスクの増加もしくは減少を示す。本明細書において提供される方法は、例えば、診断、予後診断、および薬理遺伝学的目的などに有用である。

一態様において、本発明は、例えば、生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物のレベルを検出することにより、例えば、対象中のiRNA薬剤の活性の情報を採取すること(生物試料は、エキソソームを含み、iRNA薬剤は、生物試料から離隔した組織中のRNAを標的化し、参照試料と比較した標的化または発現されるRNAのレベルの変化は、iRNA薬剤が対象中で活性であることを示す)、および対象に有効量のiRNA薬剤を投与すること(有効量を、対象中のiRNA薬剤の活性の情報に基づき判定する)により、対象を治療する方法を挙げる。

一実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で不活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させることをさらに含み、別の実施形態において、本方法は、iRNA薬剤が対象中で活性である判定に基づき対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加または減少させることをさらに含む。

一実施形態において、生物試料は、開裂産物のレベルの検出前に、例えば、100000gから150000g、例えば、約110000gから約140000gにおいて遠心分離を受けている。

別の実施形態において、生物試料は、血液またはCSFであり、さらに別の実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓またはCNS中で発現されるRNAを標的化する。一実施形態において、標的RNAは、TTRであり、対象を、トランスチレチン(TTR)アミロイドーシスについて治療する。

一態様において、本発明は、対象の組織中の標的遺伝子の活性を評価する方法において、(i)対象からエキソソームを含む非生検試料を採取すること、および(ii)試料中の前記標的遺伝子の発現産物のレベルを検出することを含む方法を挙げる。一実施形態において、本方法は、標的遺伝子についてのmRNAのmRNA開裂産物のレベルを検出することを含む。別の実施形態において、標的遺伝子は、TTR遺伝子であり、別の実施形態において、エキソソームは、非生検試料中のRNAのレベルの検出前に非生検試料から精製しない。

一実施形態において、本方法は、(iii)参照試料と比較して標的RNAもしくは下流RNAのレベルが増加または減少される場合、または標的RNA開裂産物のレベルが増加もしくは減少される場合、遺伝子の活性が変化したと判定することをさらに含む。

別の実施形態において、本方法は、(iv)遺伝子の活性が変化したと判定される場合、疾患が進行もしくは退縮したと、または対象の疾患リスクが悪化もしくは改善されたとを判定することをさらに含む。

さらに別の実施形態において、非生検試料は、組織中のRNAを標的化するiRNA薬剤と投与された対象からのものである。本方法は、例えば、対象にRNAを標的化するiRNA薬剤を投与することを含み得る。

一実施形態において、投与は、試料の採取前に実施し、別の実施形態において、投与は、試料の採取後に実施する。一実施形態において、iRNA薬剤を不活性であると判定し、対象に投与されるiRNA薬剤の用量を増加させ、別の実施形態において、iRNA薬剤を活性であると判定し、対象中のiRNA薬剤の活性を増加または減少させるようにiRNA薬剤の用量を調整する。

一実施形態において、生物試料は、微小胞およびエキソソームを含み、RNAの分画は、は、微小胞中に存在する。

別の実施形態において、RNAの分画は、エキソソーム中に存在する。

一実施形態において、生物試料は、標的RNAまたは開裂産物のレベルの検出前に遠心分離を受けており、一部の実施形態において、遠心分離は、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおいて実施する。

一実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓、腎臓、脳、脊髄、脈絡叢、末梢ニューロンもしくは神経、筋肉、内皮細胞、心臓、免疫細胞、皮膚、眼、膵臓、肺、胃、小腸もしくは大腸、結腸、副腎、腫瘍、癌病巣、または脾臓中のRNAを標的化する。

一実施形態において、iRNA薬剤は、肝臓中のRNAを標的化し、別の実施形態において、iRNA薬剤は、中枢神経系中で発現されるRNAを標的化する。

一実施形態において、生物試料は、血液、尿、脳脊髄液(CSF)、羊水、唾液、母乳、気管支肺胞洗浄液、滑液、または悪性腹水からなる群から選択する。一実施形態において、生物試料は、血清試料である。

本明細書において、対象中の例えば、外因性遺伝子、例えば、治療外因性遺伝子の遺伝子送達を検出する方法およびアッセイも提供される。例えば、対象からの生物試料を提供すること(生物試料は、外因性遺伝子発現についての標的組織から離隔している)、ならびに生物試料中のRNAの存在および/またはレベルを検出すること(RNAは、対象に送達される外因性遺伝子から発現される)。したがって、本明細書に記載の方法およびアッセイは、例えば、遺伝子治療法、例えば、ウイルス送達、プラスミドDNA送達などを使用して送達される外因性遺伝子の発現のレベルの検出において有用である。

本発明の種々の実施形態の詳細を以下の詳細な説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、詳細な説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかである。

定量的RT−PCRを使用したマウス血清中のTTR、GAPDH、およびRplp2mRNAの検出を示すグラフである。

ラット血清中のTTR、FVII、GAPDH、ベータアクチン、およびActa2mRNAの検出を示すグラフである。図2Aは、それぞれのmRNAについての生発現データを示す。図2Bは、GAPDH発現に対するmRNA発現レベルを示す。

2つの異なるTaqMan(登録商標)アッセイを使用したラット血清中の全長TTRmRNA(例えば、未開裂mRNA)レベルを示す棒グラフである。

カニクイザル(Macaca fascicularis;「カニクイザル」)からの血清中のTTRおよび18smRNAの検出を示す棒グラフである。図4Aは、出発材料中の総RNAに正規化されたTTRmRNAレベルに関するデータを示す。図4Bは、18sRNAに正規化されたTTRmRNA発現レベルを示す。

カニクイザル血清およびヒト血清中のユビキタス(例えば、18sRNA、GAPDH)および肝臓特異的(例えば、TTR、AAT、アルブミン)mRNA転写物の検出を示すグラフである。図5Aは、カニクイザル血清中のGAPDH、18sRNA、TTRおよびAIATのmRNA発現を示す。図5Bは、ヒト血清中のGAPDH、18sRNA、P0、TTR、AATおよびアルブミンのmRNA発現を示す。

定量的RT−PCRを使用したヒト血清中のTTR、AAT、および18smRNAの検出を示す棒グラフである。図6Aは、AATmRNA発現に対するTTRmRNA発現を示す。図6Bは、18smRNA発現に対するTTRmRNA発現を示す。

脳脊髄液(CSF)中のTTR、SNCA、HTT、およびDrD2mRNAの検出を示す棒グラフである。

血清RNAがエキソソームを介してヌクレアーゼ消化から保護されることを示す棒グラフである。図8Aは、RNアーゼにより未処理の、処理され、またはTx−100の存在下でRNアーゼ酵素により処理された単離ラットエキソソーム中のRNAの正規化濃度を示す。図8Bは、RNアーゼ酵素により未処理の、処理され、またはTx−100の存在下でRNアーゼ酵素により処理された単離ヒトエキソソーム中のRNAの正規化濃度を示す。

AF−011−18534二本鎖RNA(dsRNA)を使用したラット血清中のTTRmRNAのRNAi媒介サイレンシングの検出を示すグラフである。図9Aは、肝臓組織中のGAPDH発現に正規化されたTTRmRNA発現を示す。図9Bは、血清中のGAPDH発現に対するTTRmRNA発現を示す。

TTRmRNAのAF−011−18534媒介サイレンシングをラット血清中で検出することができることを示す一連のグラフである。図10A〜10Bは、肝細胞特異的遺伝子AAT(図10A)およびアルブミン(図10B)の血清mRNAに対する血清TTRmRNA発現のサイレンシングを示す。

図10C〜10Dは、ユビキタス遺伝子GAPDH(図10C)および18s(図10D)の血清mRNAに対する血清TTRmRNA発現のサイレンシングを示す。

ラット血清中の肝細胞特異的遺伝子AATまたはアルブミンのmRNA発現レベルに対するAF−011−18534の効果を示す一連のグラフである。図11Aは、ラット血清中のGAPDHmRNAレベルに正規化されたAATのmRNA発現を示す。図11Bは、個々の動物からの血清試料中のGAPDHmRNAレベルに正規化されたAATのmRNA発現を示す。

図11Cは、ラット血清中のGAPDHmRNAレベルに正規化されたアルブミンのmRNA発現を示す。図11Dは、個々の動物からの血清試料中のGAPDHmRNAレベルに正規化されたアルブミンのmRNA発現を示す。

ラット肝臓組織中のTTRmRNAのAF−011−18534媒介サイレンシングの用量応答関係を示すグラフである。

ラット血清中のTTRmRNAのAF−011−18534媒介サイレンシングの用量応答関係を示すグラフである。

SNALP−18324二本鎖RNA(dsRNA)を使用したカニクイザル肝臓組織および血清中のTTRmRNAのRNAi媒介サイレンシングの検出を示すグラフである。図14Aは、カニクイザル肝臓組織中のGAPDHmRNAに対するTTRmRNA発現についてのデータを示す。

図14Bは、カニクイザル血清中の18smRNA発現に対するTTRmRNA発現についてのデータを示す。

SNALP−18324の投与48時間後においてELISAを使用して計測されたTTRタンパク質の血清濃度を示す棒グラフである。

肝臓および血清中のmRNAレベルを使用して検出されたラットモデル中のTMPRSS6のサイレンシングを示すグラフである。

TTR標的化または対照siRNA投与後の規定時間間隔におけるTTRmRNAレベルを示す棒グラフである。図17Aは、ラット血清および肝臓中のmRNAレベルのサイレンシング後回復を示す。図17Bは、最初のsiRNA投与24時間後以内のTTRmRNA低減を示す。

1Mの塩化リチウム(LiCl)の存在または不存在下でのRNA単離の効果を示す棒グラフである。GAPDH、アルブミン、ベータアクチン、およびTTRの相対mRNA発現レベルを示す。

TTRmRNAの5’RACE産物と全長TTR配列とのアラインメントを示す。図19Aは、ラットTTRmRNAの2つの5’RACE産物と全長ラットTTRmRNAとのアラインメントを示す。図19Bは、カニクイザルTTRmRNAの2つの5’RACE産物と全長カニクイザルTTRmRNAとのアラインメントを示す。

GFPを発現するアデノウイルス(Ad−GFP)またはヒトApoEを発現するアデノウイルス(Ad−hApoE)を注射されたラット中のヒトApoEの発現を示す棒グラフである。

GFPを発現するアデノウイルス(Ad−GFP)またはヒトApoEを発現するアデノウイルス(Ad−hApoE)を注射されたラット中のGFPの発現を示す棒グラフである。

miRNA標的化オリゴヌクレオチドの活性のモニタリングにおける循環エキソソームmRNAの検出の適用可能性を実証する。図22Aは、miRNA、miR−122に対して指向されたオリゴヌクレオチド、またはミスマッチオリゴヌクレオチド対照を注射されたラット中の血清および肝臓miR−122の検出を示す棒グラフである。図22Bは、miR−122に対して指向されたオリゴヌクレオチド、またはミスマッチオリゴヌクレオチド対照を注射されたラットの血清および肝臓中のmiR−122標的アルドラーゼAmRNAの検出を示す棒グラフである。

Snca標的化siRNAを注入されたラット中の線条体およびCSFのSNCAmRNAレベルの検出を示す棒グラフである。

ラット血清中で同定された細胞外RNAのレベルを示す棒グラフである。

本明細書に記載のアッセイ、組成物および方法は、部分的には、サイレンシングすべき標的RNAが異なる生物学的区画(例えば、肝臓組織)中で発現される場合であっても、血液または脳脊髄液(CSF)中の標的RNAのレベルを計測することによりiRNA媒介(例えば、dsRNA媒介)遺伝子サイレンシングを検出することができるという発見に基づく。したがって、本明細書において、iRNA薬剤を投与された対象から得られた生物試料(例えば、血液、血清、脳脊髄液(CSF)、母乳、唾液、尿など)中のRNA発現を検出することによりiRNAの活性または効力を判定するアッセイおよび方法において、iRNA標的は、生物試料から離隔した(例えば、遠位の)組織中のRNAを標的化するアッセイおよび方法が提供される。本明細書に記載のアッセイは、iRNA薬剤以外の薬剤の活性のモニタリングに有用である。例えば、他の治療核酸、アンタゴmir、miRNA模倣物および遺伝子治療剤の活性を、治療核酸が試料回収部位から遠位の特定組織中で活性である場合であっても、生物試料、例えば、血清、血液、尿またはCSF試料中の標的RNAレベル、または遺伝子治療発現産物を検出することによりアッセイすることができる。

生物試料から離隔した組織は、試料から遠位であり得る。一実施形態において、組織は、生物試料と接触するが、膜、例えば、脂質二重層により生物試料から離隔している。例えば、組織が生物試料に曝される場合、例えば、組織は、臓器であり得、生物試料は、組織と接触する体液であり得る。例えば、組織は、肝臓であり得、肝臓中のRNAレベルをモニタリングするために使用される生物試料は、血液試料であり得る。血液試料は、当分野において公知の方法により、例えば、対象中の静脈から回収することができる。一態様において、脳組織中のRNAレベルは、脳脊髄液中のRNAレベルをアッセイすることによりモニタリングすることができる。

一実施形態において、脳を標的化するiRNA薬剤は、脳脊髄液中の標的RNAまたは開裂産物をアッセイすることによりサイレンシング活性についてモニタリングすることができ;肝臓、腎臓または心臓を標的化するiRNA薬剤は、例えば、血液、血清、または尿中の標的RNAまたは開裂産物をアッセイすることによりサイレンシング活性についてモニタリングすることができる。本明細書に記載の方法およびアッセイは、対象に投与されたiRNAの活性を非侵襲的に判定する利点を有する。

二本鎖RNA分子(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)として公知の高度に保存された調節機序において遺伝子発現を遮断することが示されている。国際公開第99/32619号パンフレット(Fire et al.)は、線虫(C.elegans)中の遺伝子の発現を阻害するための少なくとも25ヌクレオチド長のdsRNAの使用を開示した。dsRNAは、他の生物、例として、植物(例えば、国際公開第99/53050号パンフレット、Waterhouse et al.;および国際公開第99/61631号パンフレット、Heifetz et al.参照)、ショウジョウバエ属(Drosophila)(例えば、Yang,D.,et al.,Curr.Biol.(2000)10:1191−1200参照)、および哺乳動物(国際公開第00/44895号パンフレット、Limmer;およびDE10100586.5号明細書、Kreutzer et al.参照)中の標的RNAを分解することも示されている。この天然機序は、目下、異常または不所望な遺伝子の調節により引き起こされる障害を治療するための新たなクラスの医薬剤の開発のための焦点となっている。

障害を治療するために対象に投与されるiRNAは、標的遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な30ヌクレオチド長以下、すなわち、15〜30ヌクレオチド長、一般に、19〜24ヌクレオチド長の領域を有するRNAストランド(アンチセンスストランド)を含み得る。これらのiRNAの使用は、特定疾患に関与する遺伝子のmRNAの標的化分解を可能とする。特に、極めて低い投与量のiRNAは、特異的および効率的にRNAiを媒介し得、遺伝子の発現の顕著な阻害をもたらす。

対象の治療に有用な医薬組成物の実施形態は、標的遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な30ヌクレオチド長以下、一般に、19〜24ヌクレオチド長の領域を有するアンチセンスストランドを有するiRNAも、薬学的に許容可能な担体とともに含む。本発明において挙げられる組成物の実施形態は、30ヌクレオチド長以下、一般に、19〜24ヌクレオチド長であり、標的遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な相補性の領域を有するアンチセンスストランドを有するiRNAも含む。

I.定義 便宜のため、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において使用されるある用語および語句の意味を以下に提供する。本明細書の他の部分における用語の使用法と本セクションにおいて提供されるその定義との間に明らかな不一致が存在する場合、本セクションにおける定義が優先される。

「G」、「C」、「A」、「T」および「U」は、それぞれ、一般に、グアニン、シトシン、アデニン、チミジンおよびウラシルをそれぞれ塩基として含有するヌクレオチドを意味する。しかしながら、用語「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」は、さらに以下に記載される改変ヌクレオチド、または代理置換部分も指し得ることが理解される。当業者は、置換部分を担持するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変化させることなく、グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルを他の部分により置き換えることができることを十分認識する。例えば、限定されるものではないが、イノシンを塩基として含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン、またはウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対合し得る。したがって、ウラシル、グアニン、またはアデニンを含有するヌクレオチドは、例えば、イノシンを含有するヌクレオチドにより本明細書において挙げられるdsRNAのヌクレオチド配列中で置き換えることができる。別の例において、オリゴヌクレオチド中のいずれのアデニンおよびシトシンも、グアニンおよびウラシルによりそれぞれ置き換えて標的mRNAとのG−Uゆらぎ塩基対を形成することができる。このような置換部分を含有する配列は、本明細書に記載の組成物および方法に好適である。

本明細書において使用される用語「iRNA」は、用語が本明細書に定義されるRNAを含有し、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介するRNA転写物の標的化開裂を媒介する薬剤を指す。一実施形態において、本明細書に記載のiRNAは、標的遺伝子発現の阻害をもたらす。

本明細書において挙げられる組成物中に含まれるiRNAは、標的遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部と実質的に相補的な30ヌクレオチド以下、一般に、19〜24ヌクレオチド長である領域を有するRNAストランド(アンチセンスストランド)を有する二本鎖RNA(dsRNA)を包含する。一実施形態において、dsRNAは、少なくとも15連続ヌクレオチドの領域を含む。

一実施形態において、標的遺伝子の発現を阻害するためのiRNAは、互いに相補的な少なくとも2つの配列を含む。iRNAは、第1の配列を有するセンスストランドおよび第2の配列を有するアンチセンスストランドを含む。アンチセンスストランドは、標的遺伝子をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的なヌクレオチド配列を含み、相補性の領域は、30ヌクレオチド以下であり、少なくとも15ヌクレオチド長である。一般に、iRNAは、19から24、例えば、19から21ヌクレオチド長である。一部の実施形態において、iRNAは、約15から約25ヌクレオチド長であり、他の実施形態において、iRNAは、約25から約30ヌクレオチド長である。iRNAは、標的遺伝子を発現する細胞との接触時、例えば、本明細書に記載の方法によりアッセイした場合、標的遺伝子の発現を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%または少なくとも40%以上だけ阻害する。一実施形態において、iRNAは、安定核酸脂質粒子(SNALP)中に配合する。

一実施形態において、本明細書において挙げられるiRNAは、表2のセンス配列からなる群から選択されるdsRNAの第1の配列、および表2の対応するアンチセンス配列からなる群から選択される第2の配列を含む。一実施形態において、本明細書において挙げられるiRNAは、表3のセンス配列からなる群から選択されるdsRNAの第1の配列、および表3の対応するアンチセンス配列からなる群から選択される第2の配列を含む。

本明細書において使用される用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的遺伝子をコードするmRNAの少なくとも一部と実質的に相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドを指す。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAへの塩基対合および翻訳機構の物理的妨害により化学量論的に翻訳を阻害し得る、Dias,N.et al.,(2002)Mol Cancer Ther 1:347−355参照。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNA標的に結合し、RNアーゼHを介するmRNA標的破壊を促進することにより標的タンパク質発現も阻害し得る。

本明細書において使用される用語「miRNA」または「マイクロRNA」は、標的mRNA上の相補的配列に結合することにより転写後調節因子として作用する真核細胞から産生される短いRNA配列(例えば、約22ヌクレオチド)を指す。マイクロRNAは、典型的には、翻訳抑制および遺伝子サイレンシングを誘導する。

本明細書において使用される「標的配列」は、阻害すべき遺伝子の転写の間に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続部分、例として、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるメッセンジャーRNA(mRNA)を指す。配列の標的部分は、少なくともその部分またはその近傍においてiRNA指向開裂のための基質として機能するために十分長い。例えば、標的配列は、一般に、9〜36ヌクレオチド長、例えば、15〜30ヌクレオチド長であり、その間の全ての下位範囲を含む。非限定的な例として、標的配列は、15〜30ヌクレオチド、15〜26ヌクレオチド、15〜23ヌクレオチド、15〜22ヌクレオチド、15〜21ヌクレオチド、15〜20ヌクレオチド、15〜19ヌクレオチド、15〜18ヌクレオチド、15〜17ヌクレオチド、18〜30ヌクレオチド、18〜26ヌクレオチド、18〜23ヌクレオチド、18〜22ヌクレオチド、18〜21ヌクレオチド、18〜20ヌクレオチド、19〜30ヌクレオチド、19〜26ヌクレオチド、19〜23ヌクレオチド、19〜22ヌクレオチド、19〜21ヌクレオチド、19〜20ヌクレオチド、20〜30ヌクレオチド、20〜26ヌクレオチド、20〜25ヌクレオチド、20〜24ヌクレオチド、20〜23ヌクレオチド、20〜22ヌクレオチド、20〜21ヌクレオチド、21〜30ヌクレオチド、21〜26ヌクレオチド、21〜25ヌクレオチド、21〜24ヌクレオチド、21〜23ヌクレオチド、または21〜22ヌクレオチドであり得る。

本明細書において使用される用語「配列を含むストランド」は、標準的なヌクレオチド命名法を使用して称される配列により記載されるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。

本明細書において使用され、特に記載のない限り、用語「相補的」は、第1のヌクレオチド配列を第2のヌクレオチドに関して記載するために使用される場合、当業者により理解されるとおり、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの、ある条件下で第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとハイブリダイズし、デュプレックス構造を形成する能力を指す。このような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ストリンジェント条件は:400mMのNaCl、40mMのPIPES pH6.4、1mMのEDTA、50℃または70℃、12〜16時間に続く洗浄を含み得る。他の条件、例えば、生物内部で受け得る生理学的に関連する条件を適用することができる。当業者は、ハイブリダイズされるヌクレオチドの最終用途に従って2つの配列の相補性の試験に最も適切な条件のセットを判定することができる。

本明細書に記載のiRNA内、例えば、dsRNA内の相補的配列は、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとの、一方または両方のヌクレオチド配列の全長を越える塩基対合を含む。このような配列は、本明細書において、互いに関して「完全に相補的」と称することができる。しかしながら、本明細書において、第1の配列が第2の配列に関して「実質的に相補的」と称される場合、2つの配列は、完全に相補的であり得、またはそれらは、30塩基対(bp)までのデュプレックスについてのハイブリダイゼーション時に1つ以上の、しかし、一般に5、4、3または2つ以下のミスマッチ塩基対を形成し得る一方、それらの最終用途、例えば、RISC経路を介する遺伝子発現の阻害に最も関連する条件下でハイブリダイズする能力を保持する。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーション時に1つ以上の一本鎖オーバーハングを形成するように設計される場合、そのようなオーバーハングは、相補性の判定に関してミスマッチとみなされない。例えば、あるオリゴヌクレオチド21ヌクレオチド長および別のヌクレオチド23ヌクレオチド長を含み、長いオリゴヌクレオチドが短いオリゴヌクレオチドと完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含むdsRNAは、本明細書に記載の目的のために依然として「完全に相補的」と称することができる。

本明細書において使用される「相補的」配列は、それらのハイブリダイズする能力に関する上記要件が満たされる限り、非ワトソン・クリック塩基対ならびに/または非天然および改変ヌクレオチドから形成される塩基対も含み得、またはそれらから完全に形成することができる。このような非ワトソン・クリック塩基対としては、限定されるものではないが、G:Uゆらぎまたはフーグスティーン塩基対合が挙げられる。

本明細書における用語「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」は、それらが使用される文脈から理解されるとおり、dsRNAのセンスストランドとアンチセンスストランドとの、またはiRNA薬剤のアンチセンスストランドと標的配列との塩基マッチングに関して使用することができる。

本明細書において使用される、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部と実質的に相補的」なポリヌクレオチドは、関心mRNAの連続部分と実質的に相補的なポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、配列が標的遺伝子をコードするmRNAの非中断部分と実質的に相補的な場合、標的mRNAの少なくとも一部と相補的である。

本明細書において使用される用語「二本鎖RNA」または「dsRNA」は、標的RNAに関して「センス」および「アンチセンス」配向を有すると称される2つの逆平行の実質的に相補的な核酸ストランドを含むハイブリダイズされたデュプレックス領域を有するRNA分子または分子の複合体を含むiRNAを指す。デュプレックス領域は、RISC経路を介する所望の標的RNAの特異的分解を可能とする任意の長さのものであり得るが、典型的には、9から36塩基対長、例えば、15〜30塩基対長の範囲である。9から36塩基対長のデュプレックスを考慮すると、デュプレックスは、この範囲の任意の長さ、例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36およびそれらの間の任意の下位範囲、例として、限定されるものではないが、15〜30塩基対、15〜26塩基対、15〜23塩基対、15〜22塩基対、15〜21塩基対、15〜20塩基対、15〜19塩基対、15〜18塩基対、15〜17塩基対、18〜30塩基対、18〜26塩基対、18〜23塩基対、18〜22塩基対、18〜21塩基対、18〜20塩基対、19〜30塩基対、19〜26塩基対、19〜23塩基対、19〜22塩基対、19〜21塩基対、19〜20塩基対、20〜30塩基対、20〜26塩基対、20〜25塩基対、20〜24塩基対、20〜23塩基対、20〜22塩基対、20〜21塩基対、21〜30塩基対、21〜26塩基対、21〜25塩基対、21〜24塩基対、21〜23塩基対、または21〜22塩基対であり得る。Dicerおよび類似酵素によるプロセシングにより細胞中で生成されるdsRNAは、一般に、19〜22塩基対長の範囲である。dsDNAのデュプレックス領域の一方のストランドは、標的RNAの領域と実質的に相補的な配列を含む。デュプレックス構造を形成する2つのストランドは、少なくとも1つの自己相補的領域を有する単一RNA分子からのものであり得、または2つ以上の別個のRNA分子から形成されていてよい。

デュプレックス領域が単一分子の2つのストランドから形成される場合、分子は、デュプレックス構造を形成する一方のストランドの3’末端とそれぞれの他方のストランドの5’末端と間でヌクレオチドの一本鎖(本明細書において「ヘアピンループ」と称される)により離隔されたデュプレックス領域を有し得る。ヘアピンループは、少なくとも1つの不対合ヌクレオチドを含み得;一部の実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも23以上の不対合ヌクレオチドを含み得る。dsRNAの2つの実質的に相補的なストランドが別個のRNA分子により含まれる場合、それらの分子は共有結合する必要はないが、共有結合していてよい。2つのストランドがヘアピンループ以外の手段により共有結合している場合、結合構造は「リンカー」と称される。用語「siRNA」は、本明細書において、上記dsRNAを指すためにも使用される。

一態様において、RNA干渉剤は、標的RNA配列と相互作用して標的RNAの開裂を指向する一本鎖RNAを含む。理論により拘束されるものではないが、植物または脊椎動物細胞中に導入された長い二本鎖RNAは、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼによりsiRNAに分解される(Sharp et al.,Genes Dev.2001,15:485)。DicerのリボヌクレアーゼIII様酵素は、dsRNAを、特徴的な2塩基3’オーバーハングを有する19〜23塩基対の短い干渉RNAにプロセシングする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次いで、siRNAはRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)中に取り込まれ、1つ以上のヘリカーゼがsiRNAデュプレックスをほどき、相補的アンチセンスストランドが標的認識をガイドすることを可能とする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。RISC内の1つ以上のエンドヌクレアーゼは、適切な標的mRNAに結合すると、標的を開裂してサイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。したがって、一態様において、本発明は、RISC複合体の形成を促進して標的遺伝子のサイレンシングをもたらす一本鎖RNAに関する。

本明細書において使用される用語「ヌクレオチドオーバーハング」は、iRNA、例えば、dsRNAのデュプレックス構造から突出する少なくとも1つの不対合ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの一方のストランドの3’末端が他方のストランドの5’末端を越えて伸び、またはこの逆である場合、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得;あるいは、オーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つのヌクレオチド以上を含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、ヌクレオチド/ヌクレオシドアナログ、例として、デオキシリボヌクレオチド/ヌクレオシドを含み得、またはそれからなり得る。オーバーハングは、センスストランド、アンチセンスストランドまたはそれらの任意の組合せ上に存在し得る。さらに、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンスまたはセンスストランドのいずれかの5’末端、3’末端または両末端上に存在し得る。

一実施形態において、dsRNAのアンチセンスストランドは、3’末端および/または5’末端において1〜10ヌクレオチドオーバーハングを有する。一実施形態において、dsRNAのセンスストランドは、3’末端および/または5’末端において1〜10ヌクレオチドオーバーハングを有する。別の実施形態において、オーバーハング中のヌクレオチドの1つ以上は、ヌクレオシド三リン酸により置き換えられている。

dsRNAを参照して本明細書において使用される用語「平滑」または「平滑末端」は、不対合ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログがdsRNAの所与の末端において存在しない、すなわち、ヌクレオチドオーバーハングが存在しないこと意味する。dsRNAの一方または両末端は、平滑であり得る。dsRNAの両末端が平滑である場合、dsRNAは、平滑末端であると言われる。明確性のため、「平滑末端」dsRNAは、両末端において平滑である、すなわち、分子のいずれの末端においてもヌクレオチドオーバーハングが存在しないdsRNAである。このような分子は、その全長にわたり二本鎖であることが最も多い。

用語「アンチセンスストランド」または「ガイドストランド」は、標的配列と実質的に相補的な領域を含むiRNA、例えば、dsRNAのストランドを指す。本明細書において使用される用語「相補性の領域」は、ある配列、例えば、本明細書に定義の標的配列と実質的に相補的なアンチセンスストランド上の領域を指す。相補性の領域が標的配列と完全に相補的でない場合、ミスマッチが分子の内部または末端領域中に存在し得る。一般に、ほとんどの認容されるミスマッチは、末端領域中、例えば、5’および/または3’末端の5、4、3、または2ヌクレオチド以内に存在する。

本明細書において使用される用語「センスストランド」または「パッセンジャーストランド」は、用語が本明細書に定義されるアンチセンスストランドの領域と実質的に相補的な領域を含むiRNAのストランドを指す。

一実施形態において、本明細書において使用される用語「SNALP」は、安定核酸脂質粒子を指す。SNALPは、核酸、例えば、iRNAまたはiRNAが転写されるプラスミドを含む低減された水性内部をコートする脂質の小胞を表す。SNALPは、例えば、米国特許出願公開第20060240093号明細書、米国特許出願公開第20070135372号明細書および国際出願国際公開第2009082817号パンフレットに記載されている。「SNALP」配合物の例は、本明細書の他箇所に記載され、当分野において公知である。

「細胞中に導入する」は、iRNAを指す場合、当業者により理解されるとおり、細胞中への取り込みまたは吸収を易化し、またはもたらすことを意味する。iRNAの吸収または取り込みは、自発的拡散もしくは活性細胞プロセスを介して、または助剤もしくはデバイスにより生じ得る。この用語の意味は、インビトロでの細胞に限定されず;iRNAは、生物の一部である「細胞中に導入」することもできる。このような例において、細胞中への導入は、生物への送達を含む。例えば、インビボ送達のため、iRNAを組織部位中に注射し、または全身投与することができる。インビボ送達は、β−グルカン送達系、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第5,032,401号明細書および米国特許第5,607,677号明細書、ならびに米国特許出願公開第2005/0281781号明細書に記載のものによるものでもあり得る。細胞中へのインビトロ導入としては、当分野において公知の方法、例えば、エレクトロポレーションおよびリポフェクションが挙げられる。さらなるアプローチは、本明細書において以下に記載され、当分野において公知である。

本明細書において使用される用語「の発現をモジュレートする」は、未処理細胞中での標的遺伝子の発現と比較した本明細書に記載の組成物により処理された細胞中での標的遺伝子発現の少なくとも部分的な「阻害」または部分的な「活性化」を指す。したがって、「モジュレーター」は、標的遺伝子の発現をモジュレート(例えば、阻害または活性化)するRNAまたはDNAエフェクター分子を指す。

用語「活性化させる」、「向上させる」、「の発現を上方調節する」、「の発現を増加させる」などは、それらが標的遺伝子を指す限り、本明細書において、第1の細胞または細胞群と実質的に同一であるが、処理されていない第2の細胞または細胞群(対照細胞)と比較した、標的遺伝子が転写され、標的遺伝子の発現が増加されるように処理された第1の細胞または細胞群から単離し、またはその中で検出することができる標的mRNAの量の増加により顕在化される標的遺伝子の発現の少なくとも部分的な活性化を指す。

一実施形態において、標的遺伝子の発現は、iRNAの投与により少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%だけ活性化される。一部の実施形態において、標的遺伝子は、iRNAの投与により少なくとも約60%、70%、または80%だけ活性化される。一部の実施形態において、標的遺伝子の発現は、本明細書に記載のiRNAの投与により少なくとも約85%、90%、または95%以上だけ活性化される。一部の実施形態において、標的遺伝子発現は、本明細書に記載のiRNAにより処理された細胞中で未処理細胞中の発現と比較して少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍以上だけ増加される。小分子dsRNAによる発現の活性化は、例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれるLi et al.,2006 Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.103:17337−42、ならびに米国特許出願公開第2007/0111963号明細書および米国特許出願公開第2005/226848号明細書に記載されている。

用語「サイレンシングする」、「の発現を阻害する」、「の発現を下方調節する」、「の発現を抑制する」などは、それらが標的遺伝子を指す場合、本明細書において、第1の細胞または細胞群と実質的に同一であるが、処理されていない第2の細胞または細胞群(対照細胞)と比較した、標的遺伝子が転写され、標的遺伝子の発現が阻害されるように処理された第1の細胞または細胞群から単離し、またはその中で検出することができる標的mRNAの量の低減により顕在化される標的遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を指す。阻害の程度は、通常、

を単位として表現される。

あるいは、阻害の程度は、標的遺伝子発現に機能的に関連するパラメーター、例えば、遺伝子によりコードされるタンパク質の量、またはある表現型を示す細胞の数の低減を単位として与えることができる。原則として、遺伝子サイレンシングは、構成的に、またはゲノムエンジニアリングにより標的遺伝子を発現する任意の細胞中でおよび任意の適切なアッセイにより判定することができる。

例えば、ある例において、標的遺伝子の発現は、iRNAの投与により少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%だけ抑制される。一部の実施形態において、標的遺伝子は、本明細書に記載のiRNAの投与により少なくとも約60%、70%、または80%だけ抑制される。一部の実施形態において、標的遺伝子は、本明細書に記載のiRNAの投与により少なくとも約85%、90%、95%、98%、99%以上だけ抑制される。

標的遺伝子発現に関して本明細書において使用される用語「治療する」、「治療」などは、標的遺伝子の発現により媒介される病理学的プロセスからの軽減または緩和を指す。本発明に関して、用語「治療する」、「治療」などは、それが本明細書に以下に記載される他の病態のいずれかに関する限り、治療すべき病態に伴う少なくとも1つの症状を軽減もしくは緩和すること、またはそのような病態の進行もしくは見込まれる進行を遅延もしくは反転させることを意味する。

疾患マーカーまたは症状に関する「低下させる」は、そのようなレベルの統計的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%以上であり得、例えば、そのような障害を有さない個体についての正常の範囲内として許容されるレベルに下がる。

本明細書において使用される語句「治療有効量」および「予防有効量」は、標的遺伝子の発現により媒介される病理学的プロセスまたはそのような発現により媒介される病理学的プロセスの明らかな症状の治療、予防、または管理における治療利益を提供する量を指す。治療有効である具体的な量は、通常の医師が容易に判定することができ、当分野において公知の要因、例えば、標的遺伝子の発現により媒介される病理学的プロセスのタイプ、患者の既往歴および年齢、標的遺伝子発現により媒介される病理学的プロセスの病期、ならびに標的遺伝子発現により媒介される病理学的プロセスを阻害する他の薬剤の投与などに応じて変動し得る。

本明細書において使用される「医薬組成物」は、薬理学的有効量の治療核酸、例えば、iRNA、および薬学的に許容可能な担体を含む。本明細書において使用される「薬理学的有効量」、「治療有効量」または単に「有効量」は、意図される薬理学的、治療または予防結果を産生するために有効なiRNAの量を指す。例えば、所与の臨床治療が疾患または障害に関連する計測可能なパラメーターの少なくとも10%の低減が存在する場合に有効とみなされる場合、その疾患または障害の治療のための薬物の治療有効量は、そのパラメーターの少なくとも10%の低減をもたらすために必要な量である。

用語「薬学的に許容可能な担体」は、治療剤の投与のための担体を指す。このような担体としては、限定されるものではないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストローズ、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組合せが挙げられる。この用語は、特に細胞培養培地を除外する。経口投与される薬物のため、薬学的に許容可能な担体としては、限定されるものではないが、薬学的に許容可能な賦形剤、例えば、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤が挙げられる。好適な不活性希釈剤としては、炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウム、ならびにラクトースが挙げられる一方、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸が好適な崩壊剤である。結合剤としては、デンプンおよびゼラチンを挙げることができる一方、滑沢剤は、存在する場合、一般にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。所望により、錠剤を、材料、例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートによりコートして胃腸管中の吸収を遅延させることができる。薬物配合物中に含まれる薬剤は、本明細書においてさらに以下に記載される。

本明細書において使用される「対象」は、哺乳動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、および他の非ヒト霊長類である。一実施形態において、対象は、ヒトである。

本明細書において使用される用語「RNA活性化またはRNAa」は、細胞または哺乳動物中の標的遺伝子の発現を上方調節するためのRNA活性化剤(例えば、dsRNA)の使用を指す。

本明細書において使用される用語「生物試料から遠位」および「生物試料から離隔」は、分析のために対象から得られる生物試料から区別される部位を指し;すなわち、得られる生物試料は、治療核酸が所望の遺伝子産物の発現をモジュレートする(例えば、RNAエフェクター分子、DNAエフェクター分子など)意図される部位でない。一実施形態において、生物試料は、治療遺伝子が発現について標的化される同一組織から得ない。例えば、治療核酸は、肝臓組織中で発現させることができ、対象から得られる生物試料は、血液または血清である。一実施形態において、組織は生物試料と接触するが、膜、例えば、脂質二重層により生物試料から離隔している。例えば、組織が生物試料に曝される場合、例えば、組織は、臓器であり得、生物試料は、組織と接触する体液であり得る。例えば、組織は、肝臓であり得、肝臓中のRNAレベルをモニタリングするために使用される生物試料は、血液試料であり得る。生物試料は、当分野において公知の方法により回収することができる。例えば、血液試料は、対象中の静脈から回収することができる。一態様において、脳組織中のRNAレベルは、脳脊髄液中のRNAレベルをアッセイすることによりモニタリングする。

一実施形態において、脳を標的化するiRNA薬剤は、脳脊髄液中の標的RNAまたは開裂産物をアッセイすることによりサイレンシング活性についてモニタリングすることができ;肝臓、腎臓または心臓を標的化するiRNA薬剤は、例えば、血液、血清、または尿中の標的RNAまたは開裂産物をアッセイすることによりサイレンシング活性についてモニタリングすることができる。本明細書に記載の方法およびアッセイは、対象に投与されたiRNAの活性を非侵襲性が最小な技術を使用することにより判定する利点を有する。

本明細書において使用される用語「LNPXX」(「XX」は、数字である)は、本明細書において「AF−0XX」とも称される。例えば、LNP11は、AF−011とも称される。

本明細書において使用される用語「採取する」または「採取すること」は、物理的実体または値を「直接的に採取すること」または「間接的に採取すること」により物理的実体、または値、例えば、数値の所有を得ることを指す。「直接的に採取すること」は、プロセスを実施(例えば、合成または分析法を実施)して物理的実体または値を得ることを意味する。「間接的に採取すること」は、別の団体または供給源(例えば、物理的実体または値を直接的に採取した第三者の実験室)から物理的実体または値を受容することを指す。物理的実体を直接的に採取することとしては、物質、例えば、出発材料の物理的変化を含むプロセスを実施することが挙げられる。例示的な変化としては、2つ以上の出発材料から物理的実体を作製すること、物質を剪断または断片化すること、物質を分離または精製すること、2つ以上の別個の実体を混合物に合わせること、共有または非共有結合の分解または形成を含む化学反応を実施することが挙げられる。値を直接的に採取することとしては、試料または別の物質の物理的変化を含むプロセスを実施すること、例えば、物質、例えば、試料、分析物、または試薬の物理的変化を含む分析プロセス(本明細書において、「物理的分析」と称されることがある)を実施すること、分析法、例えば、以下の1つ以上の含む方法を実施することが挙げられる:物質、例えば、分析物、もしくはその断片もしくは他の誘導体を別の物質から分離または精製すること;分析物、もしくはその断片もしくは他の誘導体を、別の物質、例えば、緩衝液、溶媒、または反応物質と合わせること;または分析物、もしくはその断片もしくは他の誘導体の構造を、例えば、分析物の第1の原子と第2の原子との共有もしくは非共有結合の分解もしくは形成により変化させること;または試薬、もしくはその断片もしくは他の誘導体の構造を、例えば、試薬の第1の原子と第2の原子との共有もしくは非共有結合の分解もしくは形成により変化させることによる。

本明細書において使用される用語「試料を採取すること」は、試料を「直接的に採取すること」または「間接的に採取すること」により試料、例えば、組織試料または核酸試料の所有を得ることを指す。「試料を直接的に採取すること」は、プロセスを実施(例えば、物理的方法、例えば、手術または抽出を実施)して試料を得ることを意味する。「試料を間接的に採取すること」は、別の団体または供給源(例えば、試料を直接的に採取した第三者の実験室)から試料を受容することを指す。試料を直接的に採取することとしては、物質、例えば、出発材料、例えば、組織、例えば、ヒト患者中の組織または患者から事前に単離された組織の物理的変化を含むプロセスを実施することが挙げられる。例示的な変化としては、出発材料から物理的実体を作製すること、組織を切除または掻爬すること;物質(例えば、試料組織または核酸試料)を分離または精製すること;2つ以上の別個の実体を混合物に合わせること;共有または非共有結合の分解または形成を含む化学反応を実施することが挙げられる。試料を直接的に採取することとしては、例えば、上記の試料または別の物質の物理的変化を含むプロセスを実施することが挙げられる。

本明細書において使用される用語「含むこと」または「含む」は、本発明に不可欠な組成物、方法、およびそれぞれのその構成要素を参照して使用され、不可欠か否かに関わらず、不特定要素の包含もさらに受け入れられる。

本明細書において使用される用語「から本質的になること」は、所与の実施形態に要求される要素を指す。この用語は、本発明において挙げられるその実施形態の基礎および新規または機能的特徴に実質的に影響しない要素の存在を可能とする。

用語「からなること」は、本明細書に記載の組成物、方法、およびそれぞれのその構成要素を指し、実施形態のその記載に引用されないいかなる要素も除外する。

II.アッセイ 本明細書において、iRNA薬剤を投与された対象から得られた生物試料中の標的RNAの発現を検出することによりiRNA薬剤の活性を判定するアッセイが提供される。本明細書に記載の方法は、iRNA媒介遺伝子サイレンシングが生じる組織から離隔した生物試料中のiRNA活性の検出を可能とする。このようなアッセイは、生物試料を非侵襲的に得て所望の組織中のiRNA作用の活性および/または効力を確認するという利点を有する。

生物試料 サイレンシングすべき標的遺伝子のmRNA発現レベルを計測するために、本質的に任意の生物試料を使用することができる。典型的には、生物試料は、生物体液、例えば、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、羊水、唾液、母乳、気管支肺胞洗浄液、滑液、痰、髄液、胸膜液、乳頭吸引液、リンパ液、呼吸器、腸および尿生殖路の体液、涙液、リンパ系からの体液、精液、臓器系内体液、悪性腹水、腫瘍嚢胞液ならびにそれらの組合せである。

一実施形態において、生物試料は、血清であり、別の実施形態において、生物試料は、CSFである。

一部の実施形態において、最小の侵襲性を有する方法を使用して得ることができる生物試料(例えば、血漿、尿、血清、血液)が望まれる。本明細書において提供される方法およびアッセイは、最小の侵襲技術を使用する連続iRNAまたはdsRNA媒介サイレンシングの検出を可能とし、高価および/またはリスクを伴う組織生検(例えば、肝臓生検)を回避する利点を提供する。

生物試料は、当業者、例えば、医師などに公知の方法を使用して対象から得ることができる。例えば、試料は、シリンジまたは綿棒を使用して得ることができる。

生物試料は、直接的または間接的に得、または提供することができる。直接的に得、または提供することは、試料を得るためのプロセスを実施することを意味する。間接的に得、または提供することは、別の団体または供給源から、例えば、試料を直接的に得た第3の団体実験室から試料を受容することを指す。

生物試料は、標的RNAレベルの検出前に貯蔵することができる。典型的には、温度が低下すれば、試料をより長く安定的に貯蔵することができる。一実施形態において、温度は、−5℃から−80℃である。他の実施形態において、貯蔵温度は、−15℃から−20℃である。他の実施形態において、貯蔵温度は、試料からのRNAの単離前に−20℃または−80℃である。別の実施形態において、試料は、試料からのRNA単離前に4℃において、例えば、2時間から168時間貯蔵することができる。

生物試料は、RNA単離前に、例えば、0.2μMから0.5μMフィルター、例えば、0.4μMフィルターに通す濾過に供することができる。さらに、または代替的に、生物試料は、試料からのRNA単離前に遠心分離、例えば、高速遠心分離に供することができる。例えば、試料は、1000gから10000g、例えば、2000gから5000gにおいて遠心分離することができる。一部の実施形態において、試料は、100000gから150000g、例えば、110000gから140000gにおいて遠心分離(例えば、さらに遠心分離)する。一部の実施形態において、遠心分離工程の1つ以上の前にLiClを試料に添加する。LiClは、例えば、0.5M、1M、1.5M、2M以上の濃度において添加することができる。

エキソソーム 一部の実施形態において、生物試料は、エキソソームを含有する。本明細書において使用される用語「エキソソーム」は、エンドサイトーシスおよび分泌経路に存在する多小胞体(MVB)の内部小胞として生じるナノメートルサイズ(30nmから150nm、例えば、40nmから100nm)小胞である。エキソソームは、内腔が細胞質とトポロジー的に同等である膜に囲まれた区画を引き起こす陥入プロセスまたは内部への出芽により形成される。「微小胞」は、細胞膜の脂質ラフト領域から出芽プロセスにより産生されるより大きい小胞(例えば、100nmから1000nm)である。

RNA、例として、mRNAおよびmiRNAは、エキソソーム内に内在化される。エキソソームは、正常および病理学的条件の両方の下で異なる細胞タイプにより細胞外環境中に調節様式で放出され、それらが生じた細胞からのRNA、タンパク質および細胞内オルガネラを含有する。エキソソームを発現する細胞タイプとしては、神経細胞、肝臓細胞、およびほとんどの他の臓器の細胞が挙げられる。これらのタンパク質、RNA(例えば、mRNAおよびmiRNA)および脂質組成物は、微小胞体のレベルにおける選別事象の結果である。エキソソームは、共通および細胞タイプ特異的タンパク質およびRNAを含む。エキソソームは、多くのタイプの体液、例として、血液、血漿、血清、脳脊髄液、尿、唾液、羊水、母乳、気管支肺胞洗浄液および滑液、ならびに悪性腹水中に存在する。

一部の実施形態において、生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物の分画は、エキソソーム中に存在する。例えば、典型的には、生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物の少なくとも0.000001%がエキソソーム中に存在し;例えば、標的RNAまたは開裂産物の少なくとも0.00001%、少なくとも0.001%、少なくとも0.01%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはさらには100%(すなわち、全分画)が、エキソソーム中に存在し得る。例えば、肝臓マーカーについてのエキソソームRNAは、肝臓細胞RNAよりも約105から106低い(例えば、RNAの0.00001%から0.000001%がエキソソーム中に存在する)。

一実施形態において、生物試料は、エキソソームについて濃縮する。生物試料は、例えば、遠心分離および/またはクロマトグラフィー、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーによりエキソソームについて濃縮することができる。生物試料は、エキソソームについて濃縮することができるが、「精製」されたエキソソームを含まなくてよい。エキソソームは、エキソソーム結合分子、例えば、抗体、レプチンまたは他のタンパク質リガンドの使用を介して精製する。

一実施形態において、エキソソームは、標的RNA(例えば、mRNA)またはその開裂産物(例えば、RISC開裂産物)の検出前に精製しない。生物試料から精製されなかったエキソソームは、抗体またはレプチンまたは他のタンパク質リガンドの使用に選択されなかったものである。例えば、エキソソームは、例えば、抗体またはレプチンまたは他のタンパク質リガンドを使用することによりエキソソーム上で濃縮されるタンパク質について選択することにより精製しない。エキソソーム上で濃縮されるタンパク質としては、例えば、シャペロン、テトラスパニン、アドヘシン分子、rabタンパク質、細胞骨格タンパク質および代謝酵素が挙げられる。エキソソームと会合する例示的なタンパク質としては、例えば、CD63、CD9、ベータ1−インテグリン、CD81、ICAM−1、Mfg−E8、トランスフェリン受容体、シアル酸、ムチン、Tsg101(腫瘍感受性遺伝子101)、Aip1/Alix、アネキシンII、EF1a(転写伸長因子1a)、CD82、セラミド、およびスフィンゴミエリンが挙げられる(例えば、Conde−Vancells et al.,J. Proteome Res.7:5157−5166,2008)。

本明細書において使用される「濃縮」は、操作前に含有される試料よりも大きい割合の特定の構成要素を含有するように選択、プロセシング、または操作された試料(例えば、エキソソームについて濃縮され、またはより肝臓特異的なエキソソームについて濃縮された生物試料)を指す。例えば、濃縮試料は、少なくとも10%の所望の構成要素(例えば、エキソソーム)を含み、他の実施形態において、濃縮試料は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の所望の構成要素を含む。したがって、エキソソーム濃縮試料は、例えば、エキソソーム細胞表面抗原、例えば、米国特許第7,198,923号明細書に記載のもののレベルを計測することにより判定された少なくとも10%のエキソソームを含む試料を指す。他の実施形態において、エキソソーム濃縮試料は、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%のエキソソームを含む。

本明細書において使用される「精製」は、生物試料の他の構成要素、例えば、細胞および無細胞タンパク質および核酸から実質的に分離されることを意味する。構成要素は、例えば、抗体またはレプチンまたは他のタンパク質リガンドを使用して精製して精製構成要素を生物試料中の他の構成要素から分離する。

一部の実施形態において、遺伝子サイレンシングが標的化される組織に由来するエキソソームは、RNAの検出前に選択しない。本明細書において使用される用語「について選択」は、マーカー、例えば、細胞表面マーカーによる小胞の精製を指す。例えば、抗体、例えば、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、またはペプチドリガンドは、エキソソームの表面上の組織特異的マーカーについて選択するため、例えば、エキソソームを特異的組織、例えば、肝臓から精製するために使用しない。エキソソームは、エキソソームの表面上で発現されるタンパク質について選択することにより精製しない。

一部の実施形態において、例えば、siRNA開裂産物をアッセイする場合、遺伝子サイレンシングが標的化される組織に由来するエキソソームをRNAの検出前に選択する。例えば、抗体、例えば、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、またはペプチドリガンドを使用してエキソソームの表面上の組織特異的マーカーについて選択し、例えば、エキソソームを特異的組織、例えば肝臓から精製する。例えば、SRBIは、肝臓からエキソソームについて選択するために使用することができる肝細胞マーカーである。本発明において挙げられる生物試料中のエキソソームは、当分野において公知の他の方法により精製することができる。例えば、分画遠心を使用してエキソソームを精製することができる(例えば、Raposo et al.,J Exp Med(1996)183:1161−1172参照)。他の方法としては、アニオン交換クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー(例えば、米国特許第6,899,863号明細書および米国特許第6,812,023号明細書)、スクロース密度勾配、オルガネラ電気泳動(例えば、米国特許第7,198,923号明細書)磁気活性化細胞選別(MACS)(Taylor and Gercel−Taylor,Gynecology Oncology (2008)110(1):13−21)およびナノ膜限外濾過濃縮器(Cheruvanky et al.,Am J Physiol Renal Physiol(2007)292(5):F1657−61)が挙げられる。エキソソームを精製する他の方法は、参照により全体として本明細書に組み込まれるGibbings et al.(米国特許出願公開第2011/0177054号明細書)に記載されている。

生物試料中のエキソソームは、特異的細胞タイプ、例えば、肝臓、肺、胃、腸、膀胱、腎臓、卵巣、精巣、皮膚、結腸直腸、乳房、前立腺、脳、脊髄、脈絡叢、末梢ニューロンもしくは神経、食道、副腎、脾臓、胎盤、腫瘍、癌病巣、または胎児細胞などから生じたものについて濃縮することができる。エキソソームは、それらのドナー細胞からの表面分子、例えば、抗原を担持するため、表面分子を使用して特異的ドナー細胞タイプからエキソソームを同定することができる(Al−Nedawi et al.,Nat Cell Biol(2008)10:619−624;Taylor and Gercel−Taylor,Gynecology Oncology(2008)110(1):13−21)。このように、区別される細胞集団から生じたエキソソームは、それらの核酸(例えば、RNA)内容物について分析することができる。例えば、腫瘍(悪性および非悪性)エキソソームは、腫瘍関連表面抗原を担持し、腫瘍関連表面抗原を介して検出することができる。

例えば、RNA開裂産物についてのアッセイのための特異的細胞タイプからのエキソソームの精製は、例えば、所望の表面抗原について特異的な抗体、アプタマー、アプタマーアナログまたは分子インプリントポリマーを使用することにより達成することができる。一実施形態において、表面抗原は、癌タイプについて特異的である。別の実施形態において、表面抗原は、必ずしも癌性でない細胞タイプについて特異的である。細胞表面抗原に基づくエキソソーム分離の方法の一例は、米国特許第7,198,923号明細書に提供されている。例えば、米国特許第5,840,867号明細書および米国特許第5,582,981号明細書、ならびに国際公開第2003/050290号パンフレットに記載のとおり、アプタマーおよびそれらのアナログは、表面分子に特異的に結合し、細胞タイプ特異的エキソソームを回収するために分離ツールとして使用することができる。分子インプリントポリマーも、例えば、米国特許第6,525,154号明細書;米国特許第7,332,553号明細書;および米国特許第7,384,589号明細書に記載のとおり表面分子に特異的に認識し、細胞タイプ特異的エキソソームを回収および単離するためのツールである。エキソソームは、マイクロ流体プラットフォームを使用するマイクロチップ技術により生物試料から同定および精製して腫瘍由来微小胞を効率的および選択的に分離することもできる(Nagrath et al.,Nature(2007)450:1235−9)。

分析前に生物試料から核酸(例えば、RNA)を抽出することが利益的またはそうでなければ望ましいことがある。核酸分子は、当分野において周知の任意数の手順を使用して試料から単離することができ、選択される特定の単離手順は、特定の生物試料に適切なものである。一部の例において、いくつかの技術を用いて、生物試料からの抽出なしで核酸を分析することも可能である。

一実施形態において、抽出された核酸、例として、RNAは、増幅工程なしで直接的に分析する。直接分析は、種々の方法、例として、限定されるものではないが、分枝DNA(bDNA)またnanostring技術を用いて実施することができる。NanoString技術は、色分けされた蛍光レポーターをそれぞれの標的分子に付着させることにより生物試料中の個々の標的分子の同定および定量を可能とする。このアプローチは、バーコードをスキャンすることにより在庫を計測する概念と類似する。レポーターは、数百またはさらには数千の異なるコードを用いて作製することができ、高度に多重化した分析を可能とする。この技術は、Geiss et al.(Geiss et al.,Nat Biotech(2008)26:317−325)により記載されており、参照により全体として本明細書に組み込まれる。

「微小胞」は、細胞膜から削られ、または千切れた膜断片である。微小胞は、一般に、エキソソームよりも大きいと考えられる(例えば、100nmから1000nm)が、それらの特徴および生物生成は類似すると思われる。RNA、例として、mRNAおよびmiRNAは、エキソソームと類似の調節様式で放出される微小胞中に存在する。一部の実施形態において、生物試料中の標的RNAまたはその開裂産物の分画は、微小胞中に存在する。微小胞は、典型的には、標的RNAの検出前に生物試料から単離しない。

一部の実施形態において、標的RNAまたはその開裂産物は、エキソソームおよび微小胞(例えば、細胞外小胞)を含む生物試料から単離する。

一部の実施形態において、エキソソームは、例えば、サイズ使用により、例えば、密度勾配遠心または当分野において公知の他の方法により微小胞から分離する。

RNAの単離および増幅 生物試料から得られたRNAは、当業者に公知の任意の標準的手段により単離することができる。本明細書において一般に使用されるRNA単離の標準的方法、および組換え核酸法は、Sambrook et al.,Molecular Biology:A laboratory Approach,Cold Spring Harbor,N.Y.1989;Ausubel,et al.,Current protocols in Molecular Biology,Greene Publishing,Y,1995に記載されている。

核酸は、当業者に明らかな有機溶媒を用いる抽出、クロロホルム抽出、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール、イソプロパノールもしくは任意の他の低級アルコールを用いる沈殿により、クロマトグラフィー、例として、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、シリカゲルクロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィーにより、または電気泳動法、例として、ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびアガロースゲル電気泳動により生物試料から回収することができる。

一実施形態において、標的RNAは、フェノールクロロホルム抽出を使用して生物試料から単離する。別の実施形態において、RNAは、TRIzol(商標)試薬(Invitrogen(商標),Carlsbad,Calif.から入手可能)を使用して生物試料から単離する。

単離後、RNAは、当分野において周知の技術により場合により精製することができる。一実施形態において、精製は、汚染DNAもタンパク質も実質的に含まないRNAをもたらす。さらなる精製は、核酸回収のための上記技術のいずれかにより達成することができる。RNAは、低級アルコールを使用する、特にエタノールまたはイソプロパノールを用いる沈殿により精製することができる。沈殿は、沈殿を易化する担体、例えば、グリコーゲンの存在下で実施することができる。

生物試料からのRNAは、一部はPCRを用い得る種々の機序により増幅させることができる。例えば、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(Ed.H.A.Erlich,Freeman Press,NY,N.Y.,1992);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Eds.Innis,et al.,Academic Press,San Diego,Calif.,1990);Mattila et al.,Nucleic Acids Res.19:4967(1991);Eckert et al.,PCR Methods and Applications 1:17(1991);PCR(Eds.McPherson et al.,IRL Press,Oxford);ならびに米国特許第4,683,202号明細書;米国特許第4,683,195号明細書;米国特許第4,800,159号明細書;米国特許第4,965,188号明細書;および米国特許第5,333,675号明細書参照、これらのそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。試料は、アレイ上で増幅させることができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,300,070号明細書および米国特許出願第09/513,300号明細書参照。

他の好適な増幅法としては、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、Wu and Wallace,Genomics 4:560(1989),Landegren et al.,Science 241:1077(1988)およびBarringer et al.Gene 89:117(1990))、転写増幅(Kwoh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173(1989)および国際公開第88/10315号パンフレット)、自家持続配列複製(Guatelli et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,87:1874(1990)および国際公開第90/06995号パンフレット)、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅(米国特許第6,410,276号明細書)、コンセンサス配列プライムポリメラーゼ連鎖反応(CP−PCR)(米国特許第4,437,975号明細書)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)(米国特許第5,413,909号明細書;米国特許第5,861,245号明細書)ならびに核酸ベース配列増幅(NABSA)。(米国特許第5,409,818号明細書;米国特許第5,554,517号明細書;および米国特許第6,063,603号明細書参照;これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。使用することができる他の増幅法は、米国特許第5,242,794号明細書;米国特許第5,494,810号明細書;米国特許第4,988,617号明細書;および米国特許第6,582,938号明細書に記載されており、これらのそれぞれは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。

本発明の方法により単離されるRNAとしては、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、およびリボソームRNA(rRNA)を挙げることができる。一実施形態において、RNAは、mRNAである。別の実施形態において、RNAは、mRNA開裂産物である。別の実施形態において、RNAは、RISC開裂産物である。

典型的には、RNAの単離は、物質、例えば、出発材料、例えば、生物試料および試料の内容物(例えば、RNA)の物理的変化を含むプロセスを要求する。例示的な変化としては、2つ以上の出発材料から物理的実体を作製すること(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応による)、物質を剪断もしくは断片化すること、物質を分離もしくは精製すること、2つ以上の別個の実体を混合物に合わせること、または共有もしくは非共有結合の分解もしくは形成を含む化学反応を実施することが挙げられる。

標的RNAまたはその開裂産物を検出する方法 RNAレベル、例えば、mRNAレベルを評価する方法は、当業者に周知である。RNA転写物の検出は、公知の増幅法を使用して達成することができる。例えば、mRNAをcDNAに逆転写し、次いでポリメラーゼ連鎖反応を行うこと(RT−PCR);または、米国特許第5,322,770号明細書に記載の両方の工程のために単一酵素を使用すること、またはR.L.Marshall,et al.,PCR Methods and Applications 4:80−84(1994)により記載されているとおりmRNAをcDNAに逆転写し、次いで対称ギャップリガーゼ連鎖反応(RT−AGLCR)を行うことは、本発明の範囲内である。

一実施形態において、遺伝子発現は、定量的リアルタイムPCRを使用して計測する。定量的リアルタイムPCRは、通常、蛍光により、増幅プロセスの間、経時的にモニタリングして特定配列の増幅の程度に関するパラメーターを計測するポリメラーゼ連鎖反応を指す。増幅サイクルの間に放出される蛍光の量は、それぞれのPCRサイクルにおいて増幅された産物の量に比例する。

ハイブリダイゼーション法を用いることもでき、例えば、放射または蛍光標識アンチセンスRNAプローブを単離RNAにハイブリダイズさせ、洗浄し、RNアーゼにより開裂させ、可視化する。ポリヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイを実施する方法は、当分野において十分に開発されている。ハイブリダイゼーションアッセイ手順および条件は、用途に応じて変動し、公知の一般的な結合方法、例として、Maniatis et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Ed.Cold Spring Harbor,N.Y.,1989);Berger and Kimmel Methods in Enzymology,Vol.152,Guide to Molecular Cloning Techniques(Academic Press,Inc.,San Diego,Calif.,1987);Young and Davism,P.N.A.S,80:1194(1983)に参照されるものに従って選択する。反復および制御ハイブリダイゼーション反応を実施するための方法および装置は、例えば、米国特許第5,871,928号明細書;米国特許第5,874,219号明細書;米国特許第6,045,996号明細書および米国特許第6,386,749号明細書;米国特許第6,391,623号明細書に記載されており、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。RNA発現、例として、mRNA発現は、DNAアレイ、チップまたはマイクロアレイ上で検出することができる。標的RNAに対応するオリゴヌクレオチドはチップ上に固定し、次いで対象から得られた生物試料の標識RNAとハイブリダイズさせる。陽性ハイブリダイゼーションシグナルは、標的遺伝子の転写物を含有する試料について得られる。DNAアレイを調製する方法およびそれらの使用は、当分野において周知である。(例えば、米国特許第6,618,6796号明細書;米国特許第6,379,897号明細書;米国特許第6,664,377号明細書;米国特許第6,451,536号明細書;米国特許第548,257号明細書;米国特許出願公開第20030157485号明細書ならびにSchena et al.1995 Science 20:467−470;Gerhold et al.1999 Trends in Biochem.Sci.24,168−173;およびLennon et al. 2000 Drug discovery Today 5:59−65参照、これらは、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。遺伝子発現連続分析(SAGE)を実施することもできる(例えば、米国特許出願第20030215858号明細書参照)。

5’RACE(「cDNA末端の急速増殖」)技術を開裂産物の検出において用いることができ、これを使用して例えば、開裂産物と会合する全長RNAを得ることができる。5’RACE技術は、典型的には、逆転写を使用する関心RNA配列のcDNAコピーの産生に続くそのcDNAコピーのPCR増幅を含む。増幅されたcDNAコピーを配列決定し、全長mRNA配列にマッピングすることができる。5’RACEを実施するための方法およびキットは、当分野において公知である。

典型的には、RNA(例えば、RNAレベル)の検出または分析または計測は、物質、例えば、出発材料、例えば、単離RNAの物理的変化を含むプロセスを要求する。例示的な変化としては、2つ以上の出発材料から物理的実体を作製すること(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応による)、物質を剪断もしくは断片化すること、物質を分離もしくは精製すること、2つ以上の別個の実体を混合物に合わせること、または共有もしくは非共有結合の分解もしくは形成を含む化学反応を実施することが挙げられる。試料の分析としては、物質、例えば、RNA試料、分析物、または試薬の物理的変化を含む分析プロセス(本明細書において、「物理的分析」と称されることがある)を実施すること、分析法、例えば、以下の1つ以上の含む方法を実施することを挙げることができる:核酸、分析物、またはその断片もしくは他の誘導体を、別の物質、例えば、緩衝液、溶媒、もしくは反応物質と合わせること;核酸、分析物、またはその断片もしくは他の誘導体の構造を、例えば、核酸もしくは分析物の第1の原子と第2の原子との間の共有もしくは非共有結合の分解もしくは形成により変化させること;または試薬、もしくはその断片もしくは他の誘導体の構造を、例えば、試薬の第1の原子と第2の原子との間の共有もしくは非共有結合の分解もしくは形成により変化させること;または物質、例えば、核酸分析物、もしくはその断片もしくは他の誘導体を別の物質から分離もしくは精製すること。

参照試料 本明細書において使用される「参照試料」は、例えば、iRNAを受容していない患者から得られ、またはiRNAの受容前の患者から得られた生物試料である。例えば、iRNAの投与後の試料中の標的iRNAレベルを計測するため、または標的RNA分解に対するiRNAの活性を判定する本明細書に記載のアッセイの結果は、iRNAの受容前の患者から単離された生物試料中の標的RNAレベルと比較することができる。

同様に、例えば、遺伝子治療有効性を判定するため、および/または外因性遺伝子(例えば、トランス遺伝子)の発現のレベルを計測するための本明細書に記載のアッセイの結果は、RNAレベル、例えば、外因性遺伝子の受容前の患者から単離された生物試料中の対応する遺伝子(すなわち、ベースラインまたはバックグラウンドレベルの遺伝子)と比較することができる。例えば、対応する遺伝子は、突然変異を有し得、対応する遺伝子は、患者中でRNAに転写され、または転写されない。一部の実施形態において、遺伝子治療前の対応する遺伝子のレベルは、不存在であり得、または発現は、血清および/または組織試料中で検出不能なほどに低くてよい。一実施形態において、外因性遺伝子に対応する遺伝子は、患者中で発現されない(例えば、外因性遺伝子は、合成ペプチドまたはウイルスペプチドをコードする)。外因性RNAの発現は、外因性遺伝子の投与前後の患者中の内因性RNA(例えば、ハウスキーピング遺伝子からのもの)の発現を比較することによりモニタリングすることができる。

一部の実施形態において、計測された標的RNAレベル(例えば、第1および第2の時点におけるもの)は、iRNA治療により変動が予期されない遺伝子(例えば、ハウスキーピング遺伝子または非標的化組織特異的遺伝子)のRNAレベルと比較することができる。一実施形態において、iRNAの投与後の試料中の標的RNAレベルは、iRNAの投与前後のユビキタス対照RNA(例えば、GAPDH、β−アクチンまたはリボソーム(例えば、18S))のレベルと比較することができる。別の実施形態において、iRNAの投与後の試料中の標的RNAレベルは、iRNAの投与前後の非標的組織特異的RNAのレベルと比較することができる。例えば、非標的肝臓RNA、例えば、アルファアンチトリプシン(AAT)のレベルは、TTRを標的化するiRNAの投与後のTTR標的RNAレベルと比較することができる。一部の実施形態において、標的RNAレベルは、iRNA治療により変動することが予期されない遺伝子のRNAレベルに正規化する。

一部の実施形態において、参照試料は、例えば、正常集団および/または疾患集団の個体のうちの生物試料中で計測された標的RNAレベルを平均化することにより判定された集団標準である。疾患集団は、標的RNAレベルの計測および集団標準の判定のためにさらに未治療およびiRNA治療群に分けることができる。このような集団標準は、例えば、個体の標的RNAレベルとの比較のために診療所において使用することができる標的RNAレベルの許容可能な範囲または閾値の判定において有用である。したがって、一部の実施形態において、参照試料は、数字(例えば、閾値、カットオフ値、許容可能な範囲など)である。

キット 本明細書において考察される方法およびアッセイのための構成要素は、キットで提供することができる。キットは、例えば、生物試料からの標的RNAを逆転写および/または増幅させるためのプライマーを含み得る。キットは、例えば、RNAの5’RACE増幅用のプライマーを含み得る。

一実施形態において、キットは、それぞれのペアが所望の標的転写物を増幅させ得る1つ以上のプライマーペアを提供し、それにより、1つの反応またはいくつかの並行反応における生物試料中の1つ以上の標的の発現の分析のためのキットを提供する。キット中のプライマーは、標識、例えば、蛍光標識して増幅産物の検出および標的RNAまたはその開裂産物の発現レベルの結果分析を易化することができる。

一実施形態において、2つ以上の標的遺伝子を1つの分析において検出することができる。したがって、組合せキットは、異なる標的RNAを増幅させ得るプライマーを含む。プライマーは、例えば、異なる蛍光標識を使用して別々に標識して検出すべき標的RNAを区別することができる。

キット内に含有されるプライマーは、本明細書において実施例6に示される1つ以上の例示的なプライマーを含み得る。あるいは、プライマーは、以下の標的RNAの1つ以上のための配列を使用する5’RACE、逆転写またはTaqMan(登録商標)定量的PCRのために設計することができる:前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)(GenBank受託番号NM_174936)、トランスチレチン(TTR)(GenBank参照番号NM_000371.3)、血管内皮成長因子A(VEGF)(GenBank受託番号NM_001025366.2)、キネシン様タンパク質(KSP)(GenBank受託番号NM_004523)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)(GenBank受託番号NM_020872.1)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)(GenBank受託番号NM_014495.2)、アポリポタンパク質C−III(ApoC3)(GenBank受託番号NM_000040.1)、ヘプシジン(SLC11A2)(GenBank受託番号NM_001174129.1)、egl9ホモログ(EGLN)(GenBank受託番号BC111057.1)、C型肝炎ウイルス(HCV)(GenBank受託番号AK367384.1)、B型肝炎ウイルス(HBV)(GenBank受託番号AB602818.1)、ポロ様キナーゼ1(PLK)(GenBank受託番号NM_005030.3)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)(GenBank受託番号NM_000295.4)、活性化タンパク質C、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)(GenBank受託番号NM_153609.2)、クルッペル様因子4(KLF)(GenBank受託番号DQ658241.1)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)(GenBank受託番号NM_022893.3)、p53(GenBank受託番号NM_001126114.1)、カスパーゼ2(GenBank受託番号NM_001224.4)、β−カテニン(GenBank受託番号NM_001904.3)、プロテインキナーゼN3(PKN3)(GenBank受託番号NM_013355.3)、ハンチンチン(HTT)(Genbank受託番号NM_002111.6)またはアルファシヌクレイン(SNCA)(GenBank受託番号NM_007308.2)。

キットは、1つ以上のプライマーに加え、他の成分、例えば、溶媒もしくは緩衝液、安定剤、または保存剤を含み得る。薬剤は、任意の形態、例えば、液体、乾燥または凍結乾燥形態、ならびに実質的に純粋および/または無菌の形態で提供することができる。薬剤を液体溶液で提供する場合、液体溶液は、例えば、水溶液である。薬剤を乾燥形態で提供する場合、再構成は一般に、好適な溶媒の添加による。溶媒、例えば、無菌水または緩衝液を、キット中で場合により提供することができる。

キットは、例えば、増幅プロトコルおよび結果の分析のための説明書も含み得る。説明書は、対象者がiRNA薬剤を投与されていることも規定し得る。あるいは、キットは、増幅および増幅産物の分析を実施するための緩衝液、酵素、および容器も含み得る。キットの情報材料は、その形態において限定されない。例えば、情報材料は、アッセイの実施の仕方、要求される試薬の濃度、期限日、バッチまたは生産場所の情報などについての情報を含み得る。一実施形態において、情報材料は、生物試料を得、標的RNAまたはその開裂産物を単離し、そのレベルを計測する方法に関する。情報は、種々のフォーマット、例として、印刷テキスト、コンピュータ読取材料、録画、もしくは録音、または実質的な材料へのリンクもしくはアドレスを提供する情報(例えば、URL)で提供することができる。

一実施形態において、キットは、アッセイを実施および解釈するための情報材料を含み得る。別の実施形態において、キットは、アッセイの結果を報告する場所、例えば、研究施設、治療センターまたはヘルスケア提供者に関する指針を提供し得る。キットは、本明細書に記載のアッセイの結果を報告するための形態、ならびにそのような形態または他の関連情報を送付する場所に関するアドレスおよび連絡先;またはオンラインデータベースもしくはオンラインアプリケーション(例えば、app)において結果を報告するためのURL(ユニフォーム・リソース・ロケータ(Uniform Resource Locator))アドレスを含み得る。別の実施形態において、情報材料は、アッセイの結果に応じて患者がiRNA薬剤による治療を受容すべきかどうか、またはその治療を受容し続けるべきかどうかに関する指針を含み得る。

キットは、生物試料からRNAを単離するための試薬、例として、例えば、フェノール/クロロホルムまたは試薬TRIzol(商標)試薬も含み得る。一部の実施形態において、単離の間のRNA収量を増加させる試薬もキット中に含める。一実施形態において、RNA収量を増加させるための試薬は、塩化リチウムであり、例えば、それを0.1〜5M(例えば、0.5、1、1.5、2、2.5または3M)の最終濃度において試料に添加することができる。キットは、共沈殿剤として作用して小容量のRNAのペレット化を助ける試薬、例えば、グリコーゲンをさらに含み得る。キットは、RNアーゼ活性を阻害するための試薬、またはRNA担持小胞(エキソソーム)を溶解させるための洗浄剤を含み得る。

キットは、生物試料中のRNアーゼ活性を阻害するため、またはRNA沈殿を向上させるための薬剤をさらに含み得る。例えば、キットは、RNアーゼインヒビターもしくはRNアーゼ活性を阻害するためのEDTAを含み得、および/またはRNA沈殿を向上させるためのPEGもしくは塩化リチウムを含み得る。

キットは、他のツール、例えば、DNAマイクロアレイを含むスクリーニング、診断または予後診断キットの構成要素でもあり得る。キットは、1つ以上の対照テンプレート、例えば、正常血清もしくは組織試料から単離された標的RNAまたは組換え標的RNAも含み得る。あるいは、iRNA薬剤またはモジュレーターを投与される前の患者から単離された生物試料を対照として使用することができる。

キットは、薬剤を含有する1つまたは複数の組成物のための1つ以上の容器を含み得る。一部の実施形態において、キットは、組成物および情報材料のための別個の容器、仕切りまたは区画を含む。例えば、組成物は、瓶、バイアル、またはシリンジ中に含有させることができ、情報材料は、プラスチックスリーブまたはパケット中に含有させることができる。他の実施形態において、キットの別個の要素は、単一の無仕切り容器内に含有させる。例えば、組成物は、情報材料がラベルの形態で付着している瓶、バイアルまたはシリンジ中に含有させる。一部の実施形態において、キットは、複数(例えば、パック)の個々の容器を含み、それぞれは、薬剤の1つ以上の単位剤形(例えば、本明細書に記載の剤形)を含有する。容器は、組合せ単位、例えば、RT−PCRのためのプライマー、または2つ以上のRNAを標的化するプライマーを含む単位を含み得る。一例において、キットは、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、ブリスターパック、または医療デバイスを含み、例えば、それぞれは、例えば、生物試料を得、試料から標的RNAを単離および検出するための単一の組合せ単位を含有する。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、湿気または蒸発の変化を防ぐ)、および/または遮光性であり得る。

III.治療核酸 本明細書において使用される用語「治療核酸」は、例えば、疾患または障害の治療のために対象に投与される核酸、例えば、DNAまたはRNAエフェクター分子を指す。治療核酸は、所望の遺伝子産物の発現を増加させるため、または所望の遺伝子産物の発現を減少させるために使用することができる。例えば、治療核酸は、例えば、治療核酸がトランス遺伝子を発現する外因性DNAである場合、または、核酸がRNA活性化により機能する場合、所望の遺伝子産物の発現を増加させ得る。治療核酸は、例えば、治療核酸が阻害RNAエフェクター分子、ドミナントネガティブ突然変異体を発現する核酸、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである場合、所望の遺伝子産物の発現を減少させ得る。

治療核酸は、リボヌクレオチドのみ、デオキシリボヌクレオチドのみ(例えば、オリゴデオキシヌクレオチド)、またはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方を含み得る。以下に記載されるDNAまたはRNAエフェクター分子のいずれも、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方を含み得る。

DNAエフェクター分子 本明細書において使用される用語「DNAエフェクター分子」は、宿主細胞内で遺伝子産物の発現を増加させ(例えば、治療遺伝子)、またはタンパク質の活性を減少させ得る(例えば、ドミナントネガティブ突然変異体)デオキシリボヌクレオチド薬剤を指す。このようなDNAエフェクター分子は、例えば、プラスミドまたはベクターによりコードされるDNA、例えば、発現cDNAを含み得る。DNAエフェクター分子を使用してトランス遺伝子、外因性遺伝子産物、生体異物遺伝子産物、突然変異遺伝子産物、ドミナントネガティブ突然変異体、または改変遺伝子産物などを発現させることができる。DNAエフェクター分子は、遺伝子治療の過程で送達することができる。

一部の実施形態において、DNAエフェクター分子を使用して所望の遺伝子を対象のゲノム中に挿入すること、例えば、非機能遺伝子を置き換えることができる。このような遺伝子は、ゲノム中にランダムに挿入することができ、または相同組換え技術を使用して非機能遺伝子についてスワッピングすることができる。

遺伝子をインビボで送達するための多数の異なるベクター技術および遺伝子送達法、例として、ウイルスベクターおよび種々の核酸封入技術が提案および試験されている。例えば、DNAエフェクター分子は、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、シュードタイプベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、または単純ヘルペスウイルスを使用して送達することができる。遺伝子のための代替的なウイルス送達ビヒクルとしては、ネズミレトロウイルス、組換えアデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス、HSV、HIVベクター、およびバキュロウイルスが挙げられる。宿主細胞への遺伝子の送達のためのこのようなウイルスベクターの改変は、当業者に公知である。

非ウイルス遺伝子送達法としては、カチオン性または中性リポソームまたはポリマーの使用が挙げられる。例えば、遺伝子移入の効率は、例えば、リポソームまたはポリマーとの組合せにおける融合ペプチドの使用を介して向上させてエンドソームからのプラスミドDNAの放出を易化することができる。

一部の実施形態において、DNAエフェクター分子は、ネイキッドDNAまたはプラスミドDNAとして送達することができる。例えば、ネイキッドDNAは、コードされる遺伝子の発現が望まれる組織中に注射することができる。さらに、いくつかの物理的方法、例として、限定されるものではないが、遺伝子銃、エレクトロポレーション、ソノポレーションおよびマグネトフェクションを利用して宿主細胞または組織中へのネイキッドDNAまたはプラスミドDNAの取り込みを誘導することができる。

DNAエフェクター分子は、リポプレックス(例えば、カチオン性脂質)、ポリプレックス(例えば、カチオン性脂質複合体)、またはデンドリマー(例えば、エンドサイトーシスを介して細胞により取り込まれる球状の高度に分枝鎖化した巨大分子)を使用して送達することができる。

DNAエフェクター分子は、例えば、筋肉組織または腫瘍中に局所注射により送達することもできる。特定組織または細胞への標的化送達は、標的化基とのDNAのコンジュゲート、例えば、肝臓を標的化するためのプラスミドDNA/ポリリジン/肝臓標的化基を使用して達成することができる。一実施形態において、治療プラスミドのコンジュゲート(例えば、腫瘍抑制遺伝子を有する)は、遺伝子治療のために腸中に直接的に導入して結腸癌を治療することができ、またはリポソームとコンジュゲートされたプラスミドDNAは、遺伝子治療のために皮膚細胞に直接的に局所送達して黒色腫またはB型血友病を治療することができる。DNAエフェクター分子の標的化送達は、静脈内送達によるものであり得る。

例えば、受容体媒介エンドサイトーシスによる巨大分子の選択的取り込みを利用することにより、受容体媒介送達ビヒクルを用いて治療遺伝子をコードする核酸を細胞中に送達することもできる。種々の受容体の細胞タイプ特異的分布のため、送達は高度に特異的であり得る。

遺伝子送達のためのベクターまたはプラスミドは、宿主細胞中のDNAエフェクター分子からの遺伝子産物の発現を制御するための構成性または誘導性プロモーターを含み得る。構成的プロモーターとしては、限定されるものではないが、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、単純ヘルペスウイルス1(HSV1)前初期プロモーター、SV40プロモーター、リゾチームプロモーター、初期および後期CMVプロモーター、初期および後期HSVプロモーター、アクチンプロモーター、チューブリンプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびに熱ショックタンパク質(HSP)プロモーターが挙げられる。

誘導性プロモーターは、遺伝子が取り込まれた細胞内で転写制御エレメントにより産生または認識される物質により調節される。一部の実施形態において、誘導性プロモーターは、誘導物質の存在下を除き不活性であり、または比較的低い活性を示す(またはその逆)プロモーターである。誘導性プロモーターの一部の例としては、限定されるものではないが、MTII、MMTV、コラゲナーゼ、ストロメリシン、SV40、ネズミMX遺伝子、α−2−マクログロブリン、MHCクラスI遺伝子h−2kb、プロリフェリン、腫瘍壊死因子、または甲状腺刺激ホルモンα遺伝子が挙げられる。

誘導性プロモーターとしては、組織特異的プロモーター、発生調節プロモーター、および化学誘導性プロモーターも挙げられる。組織特異的プロモーターの例としては、グルコース−6−ホスファターゼ(G6P)プロモーター、ビテロゲニンプロモーター、オボアルブミンプロモーター、オボムコイドプロモーター、コンアルブミンプロモーター、オボトランスフェリンプロモーター、プロラクチンプロモーター、腎臓ウロモジュリンプロモーター、および胎盤性ラクトゲンプロモーターが挙げられる。

化学誘導性プロモーターの例としては、生殖ホルモン誘導プロモーターおよび抗生物質誘導性プロモーター、例えば、テトラサイクリン誘導性プロモーターおよび亜鉛誘導性メタロチオニンプロモーターが挙げられる。他の誘導性プロモーター系としては、IPTG(イソプロピルベータ−D−チオガラクトシド)により誘導されるLacオペレーターリプレッサー系、エクジソンベース誘導系;エストロゲンベース誘導系;GAL4結合ドメインおよび単純ヘルペスウイルス転写活性化ドメインVP16、ならびにリガンド結合能を保持し、RU486により刺激され得るヒトプロゲステロン受容体のトランケート形態からなるハイブリッドタンパク質であるキメラ調節因子GLVPを使用するプロゲステロンベース誘導系が挙げられる。化学誘導性プロモーターを活性化させる化学物質は、当業者に公知の任意の方法を介して関心トランス遺伝子を含有する動物に投与することができる。遺伝子発現を制御するための当業者に公知の追加のプロモーターを、本明細書に記載の方法およびアッセイについて取り入れることもできる。

本明細書において、遺伝子産物を発現またはコードするDNAエフェクター分子の活性を判定するアッセイおよび方法が記載される。

RNAエフェクター分子 本明細書において使用される用語「RNAエフェクター分子」は、宿主細胞内の標的遺伝子の発現を低減もしくは予防し得るリボヌクレオチド薬剤、または宿主細胞内の標的遺伝子の発現レベルを低減させ得る分子を形成し得るリボヌクレオチド薬剤を指す。RNAエフェクター分子としては、例えば、RNA活性化により所望の遺伝子産物の発現を増加させ得るリボヌクレオチド薬剤も挙げられる。RNAエフェクター分子としては、例えば、iRNA、dsRNA、アンタゴmir、miRNA、miRNA模倣物、アンチセンスRNA、プロモーター指向性RNA(pdRNA)、Piwi相互作用RNa(piRNA)、RNA活性化分子、発現干渉RNA(eiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、デコイRNAおよびアプタマーが挙げられる。

少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20ヌクレオチド長であるRNAエフェクター分子の一部分は、標的遺伝子と実質的に相補的である。好ましくは、RNAエフェクター分子の少なくとも15連続ヌクレオチドが、標的配列と相補的である(例えば、RNAエフェクター分子の少なくとも16、17、少なくとも18、少なくとも19以上の連続ヌクレオチドが、標的配列と相補的である)。RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写物と相互作用し、それらの選択的分解を媒介し、またはそうでなければそれらの翻訳を妨げる。

RNAエフェクター分子は、単一RNAストランドまたは2つ以上のRNAストランドを含み得る。RNAエフェクター分子の例としては、例えば、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスRNA、プロモーター指向性RNA(pdRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、発現干渉RNA(eiRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、アンタゴmir、デコイRNA、およびアプタマーが挙げられる。RNAエフェクター分子は、一本鎖または二本鎖であり得る。一本鎖RNAエフェクター分子は、二本鎖領域を有し得、二本鎖RNAエフェクター分子は、一本鎖領域を有し得る。好ましくは、RNAエフェクター分子は、アンチセンスストランドが標的遺伝子と実質的に相補的な配列を含む二本鎖RNAである。

RNAエフェクター分子内、例えば、dsRNA(二本鎖リボ核酸)内の相補的配列は、完全に相補的または実質的に相補的であり得る。一般に、30塩基対までのデュプレックスについて、dsRNAは、ハイブリダイゼーション時に5、4、3または2つ以下のミスマッチ塩基対を含む一方、その標的遺伝子の発現を調節する能力を保持する。

一部の実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写物と相互作用し、その開裂を指向する一本鎖オリゴヌクレオチドを含む。例えば、一本鎖RNAエフェクター分子は、5’改変、例として、ヌクレアーゼ分解からエフェクター分子を保護するための1つ以上のホスフェート基またはそのアナログを含む。RNAエフェクター分子は、標的遺伝子の「センス」核酸と相補的なヌクレオチド配列を有する一本鎖アンチセンス核酸、例えば、二本鎖cDNA分子のコードストランドまたはRNA配列、例えば、プレmRNA、mRNA、miRNA、もしくはプレmiRNAであり得る。したがって、アンチセンス核酸は、センス核酸標的と水素結合を形成し得る。

コードストランド配列(例えば、cDNA分子のセンスストランドの配列)を考慮して、アンチセンス核酸は、ワトソン・クリック塩基対合の規則に従って設計することができる。アンチセンス核酸は、RNAのコードまたは非コード領域、例えば、プレmRNAまたはmRNAの翻訳開始部位を包囲する領域、例えば、5’UTRと相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約10から25ヌクレオチド長(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヌクレオチド長)であり得る。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、分子の生物学的安定性および/またはアンチセンス核酸と標的核酸との間に形成されるデュプレックスの物理的安定性を増加させるために設計された1つ以上の改変ヌクレオチド、例えば、ホスホロチオエート誘導体および/またはアクリジン置換ヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドのみ、デオキシリボヌクレオチドのみ(例えば、オリゴデオキシヌクレオチド)、または、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方を含み得る。例えば、リボヌクレオチドのみからなるアンチセンス薬剤は、相補的RNAにハイブリダイズし得、標的RNA転写物への翻訳機構の接近を妨げ得、それによりタンパク質合成を妨げる。アンチセンス分子、例として、デオキシリボヌクレオチドのみ、またはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドは、相補的RNAにハイブリダイズし得、続いてRNA標的を酵素、例えば、RNアーゼHにより開裂させて翻訳を妨げることができる。フランキングRNA配列は、2’−O−メチル化ヌクレオチド、およびホスホロチオエート結合を含み得、内部DNA配列は、ホスホロチオエートヌクレオチド内結合を含み得る。内部DNA配列は、好ましくは、RNアーゼH活性による標的化が望まれる場合、少なくとも5ヌクレオチド長である。

ある実施形態において、RNAエフェクターは、(a)互いに実質的に相補的なセンスストランドおよびアンチセンスストランドを含み;(b)前記アンチセンスストランドは、標的遺伝子の1つと実質的に相補的な相補性の領域を含み、前記相補性の領域は、10から30ヌクレオチド長である二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含む。

一部の実施形態において、RNAエフェクター分子は、二本鎖オリゴヌクレオチドである。典型的には、2つのストランドにより形成されるデュプレックス領域は小さく、約30ヌクレオチド長以下である。このようなdsRNAは、siRNAとも称される。例えば、siRNAは、15から30ヌクレオチド長、10から26ヌクレオチド長、17から28ヌクレオチド長、18から25ヌクレオチド長、または19から24ヌクレオチド長、などであり得る。

デュプレックス領域は、RISC経路を介する所望の標的RNAの特異的分解を可能とする任意の長さのものであり得るが、典型的には、9から36塩基対長、例えば、15から30塩基対長の範囲である。例えば、デュプレックス領域は、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、もしくは36塩基対長、またはその間の任意の下位範囲、例として、例えば、15から30塩基対、15から26塩基対、15から23塩基対、15から22塩基対、15から21塩基対、15から20塩基対、15から19塩基対、15から18塩基対、15から17塩基対、18から30塩基対、18から26塩基対、18から23塩基対、18から22塩基対、18から21塩基対、18から20塩基対、19から30塩基対、19から26塩基対、19から23塩基対、19から22塩基対、19から21塩基対、19から20塩基対、20から30塩基対、20から26塩基対、20から25塩基対、20から24塩基対、20から23塩基対、20から22塩基対、20から21塩基対、21から30塩基対、21から26塩基対、21から25塩基対、21から24塩基対、21から23塩基対、または21から22塩基対であり得る。

dsRNAのデュプレックス構造を形成する2つのストランドは、少なくとも1つの自己相補的領域を有する単一RNA分子からのものであり得、または2つ以上の別個のRNA分子から形成されていてよい。デュプレックス領域が単一分子の2つのストランドから形成される場合、分子は、デュプレックス構造を形成する一方のストランドの3’末端とそれぞれの他方のストランドの5’末端との間でヌクレオチドの一本鎖(「ヘアピンループ」)により離隔されたデュプレックス領域を有し得る。ヘアピンループは、少なくとも1つの不対合ヌクレオチドを含み得;一部の実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも23以上の不対合ヌクレオチドを含み得る。dsRNAの2つの実質的に相補的なストランドが別個のRNAストランドにより形成される場合、2つのストランドは、場合により共有結合していてよい。2つのストランドがヘアピンループ以外の手段により共有結合している場合、結合構造は、「リンカー」と称される。

20から23、しかし特に21塩基対のデュプレックス構造を有するdsRNAが、RNA干渉の導入に特に有効であると支持されていることは公知である。Elbashir et al.,20 EMBO 6877−88(2001)。

二本鎖オリゴヌクレオチドは、二本鎖オリゴヌクレオチド、例えば、dsRNAのデュプレックス構造の末端から突出する1つ以上の不対合ヌクレオチドである1つ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを含み得る。二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得;あるいは、オーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つのヌクレオチド以上を含み得る。オーバーハングは、センスストランド、アンチセンスストランドまたはそれらの任意の組合せ上に存在し得る。さらに、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンスまたはセンスストランドのいずれかの5’末端、3’末端、または両末端上に存在し得る。

一実施形態において、dsRNAの少なくとも一方の末端は、1から4、一般に、1または2ヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを有する。

オーバーハングは、デオキシリボヌクレオシドまたはヌクレオシドアナログを含み得る。さらに、オーバーハング中のヌクレオシド内結合の1つ以上は、ホスホロチオエートにより置き換えられていてよい。一部の実施形態において、オーバーハングは、1つ以上のデオキシリボヌクレオシドを含み、またはオーバーハングは、1つ以上のdT、例えば、配列5’−dTdT−3’もしくは5’−dTdTdT−3’を含む。一部の実施形態において、オーバーハングは、配列5’−dT*dT−3(*は、ホスホロチオエートヌクレオシド内結合である)を含む。

本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、標的配列に対する1つ以上のミスマッチを含有し得る。好ましくは、本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、3つ以下のミスマッチを含有する。RNAエフェクター分子のアンチセンスストランドが標的配列に対する1つ以上のミスマッチを含有する場合、ミスマッチは、相補性の領域の中央に局在しないが、相補性の領域の5’または3’末端のいずれかからの最後の5ヌクレオチド内に限定されることが好ましい。例えば、23ヌクレオチドRNAエフェクター分子薬剤RNAについて、アンチセンスストランドは、一般に、中央の13ヌクレオチド内にいかなるミスマッチも含有しない。

dsRNAは、さらに以下に考察される当分野において公知の標準的方法により、例えば、自動化DNA合成装置、例えば、Biosearch Technologies(Novato,CA)などから市販されているものの使用により合成することができる。

一部の実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のmRNA転写物の非コード領域と実質的に相補的なプロモーター指向性RNA(pdRNA)である。一実施形態において、pdRNAは、転写開始部位から上流に、例えば、転写開始部位から100超、200超、または1000塩基超上流に局在する部位における標的遺伝子mRNAのプロモーター領域と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写物の3’−UTRと実質的に相補的である。一実施形態において、pdRNAは、それぞれのストランド上に3’ジまたはトリヌクレオチドオーバーハングを場合により有する18〜28塩基のdsRNAを含む。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写物のプロモーターまたは3’−UTRと実質的に相補的なDNA配列を含む一本鎖ポリヌクレオチドからなり、細胞ヌクレアーゼからギャップマーを保護する1つ以上の改変ヌクレオチド、例えば、2’MOE、2’OMe、またはロックド核酸(Locked Nucleic Acid)塩基(LNA)を含むポリヌクレオチド配列(例えば、ギャップマーの5’および3’末端のそれぞれにおいて5末端塩基を含む)をフランキングするギャップマーを含む。

pdRNAは、標的遺伝子の発現を選択的に増加、減少させ、またはそうでなければモジュレートするために使用することができる。理論に限定されるものではないが、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写物の非コード領域と重複する内因性アンチセンスRNA転写物に結合し、Argonauteタンパク質(dsRNAの場合)または宿主細胞ヌクレアーゼ(例えば、RNアーゼH)(ギャップマーの場合)をリクルートして内因性アンチセンスRNAを選択的に分解することにより標的遺伝子の発現をモジュレートすると思われる。一部の実施形態において、内因性アンチセンスRNAは、標的遺伝子の発現を負に調節し、pdRNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を活性化させる。したがって、一部の実施形態において、pdRNAを使用して内因性アンチセンスRNAによる標的遺伝子発現の負の調節を阻害することにより標的遺伝子の発現を選択的に活性化させることができる。標的遺伝子のプロモーター配列によりコードされるアンチセンス転写物を同定する方法ならびにプロモーター指向性RNAを作製および使用する方法は、公知であり、例えば、国際公開2009/046397号パンフレット参照。

一部の実施形態において、RNAエフェクター分子は、非核酸リガンド、例えば、有機小分子またはタンパク質、例えば、転写または翻訳因子に結合し、続いて活性を改変(例えば、阻害)するアプタマーを含む。アプタマーは、非核酸リガンド上の標的化結合部位の認識を指向する特異的構造にフォールドし得る。アプタマーは、本明細書に記載の改変のいずれかを含有し得る。

一部の実施形態において、RNAエフェクター分子は、アンタゴmirを含む。アンタゴmirは、マイクロRNAを標的化する一本鎖、二本鎖、部分的に二本鎖またはヘアピン構造である。アンタゴmirは、内因性miRNA、より特定すると、miRNAまたはプレmiRNAヌクレオチド配列の標的配列と実質的に相補的な少なくとも10以上の連続ヌクレオチドから本質的になり、またはそれを含む。アンタゴmirは、好ましくは、アンタゴmirが標的配列にハイブリダイズすることを可能とするために約12から25ヌクレオチド、例えば、約15から23ヌクレオチドのmiRNA標的配列と十分に相補的なヌクレオチド配列を有する。より好ましくは、標的配列は、アンタゴmirの配列と1、2、または3ヌクレオチド以下だけ異なる。一部の実施形態において、アンタゴmirは、例えば、オリゴヌクレオチド薬剤の3’または5’末端に付着していてよい非ヌクレオチド部分、例えば、コレステロール部分を含む。

一部の実施形態において、アンタゴmirは、改変、例えば、ヌクレオチド改変の取り込みにより核酸分解に対して安定化させる。例えば、一部の実施形態において、アンタゴmirは、ヌクレオチド配列の5’または3’末端において少なくとも第1、第2、および/または第3のヌクレオチド内結合を含むホスホロチオエートを含有する。さらなる実施形態において、アンタゴmirは、2’−改変ヌクレオチド、例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、2’−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、または2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)を含む。一部の実施形態において、アンタゴmirは、少なくとも1つの2’−O−メチル改変ヌクレオチドを含む。

一部の実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のmRNA転写物の非コード領域と実質的に相補的なプロモーター指向性RNA(pdRNA)である。pdRNAは、転写開始部位から上流に、例えば、転写開始部位から100超、200超、または1000塩基超上流に局在する部位における標的遺伝子mRNAのプロモーター領域と実質的に相補的であり得る。さらに、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写物の3’−UTRと実質的に相補的であり得る。例えば、pdRNAは、それぞれのストランド上に3’ジまたはトリヌクレオチドオーバーハングを場合により有する18から28塩基のdsRNAを含む。dsRNAは、標的遺伝子mRNA転写物のプロモーター領域または3’−UTR領域と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写物のプロモーターまたは3’−UTRと実質的に相補的なDNA配列を含む一本鎖ポリヌクレオチドからなり、細胞ヌクレアーゼからギャップマーを保護する1つ以上の改変ヌクレオチド、例えば、2’MOE、2’OMe、またはロックド核酸塩基(LNA)を含むポリヌクレオチド配列(例えば、ギャップマーの5’および3’末端のそれぞれにおいて5末端塩基を含む)をフランキングするギャップマーを含む。

発現干渉RNA(eiRNA)は、標的遺伝子の発現を選択的に増加、減少させ、またはそうでなければモジュレートするために使用することができる。典型的には、eiRNA、dsRNAを第1の形質移入細胞中で発現ベクターから発現させる。このようなベクターにおいて、dsRNAのセンスストランドおよびアンチセンスストランドは、例えば、核酸配列のいずれかの末端における2つのコンバージェント(convergent)プロモーターまたはセンスもしくはアンチセンス配列のいずれかを転写する別個のプロモーターを使用して同一核酸配列から転写させることができる。あるいは、2つのプラスミドを、プラスミドの一方をdsRNAの一方のストランドを転写するように設計する一方、他方を他方のストランドを転写するように設計して同時形質移入することができる。eiRNAエフェクター分子を作製および使用する方法は、当分野において公知である。例えば、国際公開第2006/033756号パンフレット;米国特許出願公開第2005/0239728号明細書および米国特許出願公開第2006/0035344号明細書参照。

一部の実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子と実質的に相補的であり、Argonauteタンパク質のPiwiまたはAubergineサブクラスのタンパク質に選択的に結合する小分子一本鎖Piwi相互作用RNA(piRNAエフェクター分子)を含む。piRNAエフェクター分子は、約10から50ヌクレオチド長、約25から39ヌクレオチド長、または約26から31ヌクレオチド長であり得る。例えば、米国特許出願公開第2009/0062228号明細書参照。

マイクロRNAは、植物および動物のゲノム中のDNAから転写されるが、タンパク質に翻訳されない高度に保存されたクラスのRNA小分子である。プレマイクロRNAは、miRNAにプロセシングされる。プロセシングされたマイクロRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)中に取り込まれ、発生、細胞増殖、アポトーシスおよび分化のキー調節因子と同定されている一本鎖の約17から25ヌクレオチド(nt)RNA分子である。これらは、特異的mRNAの3’−非翻訳領域への結合により遺伝子発現の調節の役割を担うと思われる。マイクロRNAは、例えば、標的化mRNAの翻訳を阻害し、またはその分解を開始させることにより特異的標的遺伝子の転写後サイレンシングを引き起こす。一部の実施形態において、miRNAは、標的核酸と完全に相補的である。他の実施形態において、miRNAは、標的核酸と非相補性の領域を有し、非相補性の領域における「突起」をもたらす。一部の実施形態において、非相補性の領域(突起)は、デュプレックス形成を可能とするために十分な相補性、例えば、完全な相補性の領域によりフランキングされる。例えば、相補性の領域は、少なくとも8から10ヌクレオチド長(例えば、8、9、または10ヌクレオチド長)である。

miRNAは、例えば、miRNAが標的核酸と完全に相補的でない場合、例えば、翻訳を抑制することにより、またはmiRNAが完全なまたは高程度の相補性でその標的に結合する場合、標的RNA分解を引き起こすことにより遺伝子発現を阻害し得る。さらなる実施形態において、RNAエフェクター分子は、内因性miRNAまたはプレmiRNAを標的化するオリゴヌクレオチド薬剤を含み得る。例えば、RNAエフェクターは、RNAエフェクターが標的遺伝子のmiRNAベース阻害を緩和するように、標的遺伝子の発現を負に調節する内因性miRNAを標的化し得る。

miRNAは、天然に生じたヌクレオ塩基、糖、およびヌクレオチド内(骨格)共有結合を含み得、または所望の特性、例えば、細胞取り込みの向上、内因性miRNA標的についての親和性の向上、および/またはヌクレアーゼの存在下での安定性の増加を付与する1つ以上の非天然に生じた特徴部を含み得る。一部の実施形態において、特異的内因性miRNAに結合するように設計されたmiRNAは、標的miRNAの少なくとも10、20、または25以上の塩基と実質的な相補性、例えば、少なくとも70%、80%、90%、または100%の相補性を有する。miRNAおよびプレmiRNAを標的化する例示的なオリゴヌクレオチド薬剤は、例えば、米国特許出願公開第20090317907号明細書、米国特許出願公開第20090298174号明細書、米国特許出願公開第20090291907号明細書、米国特許出願公開第20090291906号明細書、米国特許出願公開第20090286969号明細書、米国特許出願公開第20090236225号明細書、米国特許出願公開第20090221685号明細書、米国特許出願公開第20090203893号明細書、米国特許出願公開第20070049547号明細書、米国特許出願公開第20050261218号明細書、米国特許出願公開第20090275729号明細書、米国特許出願公開第20090043082号明細書、米国特許出願公開第20070287179号明細書、米国特許出願公開第20060212950号明細書、米国特許出願公開第20060166910号明細書、米国特許出願公開第20050227934号明細書、米国特許出願公開第20050222067号明細書、米国特許出願公開第20050221490号明細書、米国特許出願公開第20050221293号明細書、米国特許出願公開第20050182005号明細書、および米国特許出願公開第20050059005号明細書に記載されている。

miRNAまたはプレmiRNAは、10から200ヌクレオチド長、例えば、16から80ヌクレオチド長であり得る。成熟miRNAは、16から30ヌクレオチド、例えば、21から25ヌクレオチドの長さ、特に21、22、23、24、または25ヌクレオチド長を有し得る。miRNA前駆体は、70から100ヌクレオチドの長さを有し得、ヘアピン立体構造を有し得る。一部の実施形態において、miRNAは、酵素cDicerおよびDroshaによりプレmiRNAからインビボで生成される。miRNAまたはプレmiRNAは、細胞ベース系によりインビボで合成することができ、または化学合成することができる。miRNAは、例えば、1つ以上の所望の特性、例えば、優れた安定性、標的核酸とのハイブリダイゼーション熱力学、特定の組織または細胞タイプへの標的化、および/またはエンドサイトーシス依存性もしくは非依存性機序による細胞浸透性を付与する改変を含み得る。改変は、配列特異性も増加させ得、結果的にオフサイト標的化を減少させ得る。

本明細書において、対象中の標的遺伝子の発現をモジュレートする治療核酸、例えば、RNAエフェクター分子の活性を判定するアッセイおよび方法が記載される。

IV.二本鎖RNA 一実施形態において、iRNA薬剤は、細胞または哺乳動物中の標的遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。dsRNAは、標的遺伝子の発現において形成されるmRNAの少なくとも一部と相補性の領域を有するアンチセンスストランドを含む。相補性の領域は、30ヌクレオチド長以下、一般に、19〜24ヌクレオチド長であり、dsRNAは、標的遺伝子を発現する細胞との接触時、標的遺伝子の発現を、例えば、PCRもしくは分枝DNA(bDNA)ベース法により、またはタンパク質ベース法により、例えば、ウエスタンブロットによりアッセイして少なくとも10%だけ阻害する。一実施形態において、iRNA薬剤は、細胞または哺乳動物中の標的遺伝子の発現を活性化させる。細胞培養物、例えば、COS細胞、HeLa細胞、初代肝細胞、HepG2細胞、初代培養細胞または対象からの生物試料中の標的遺伝子の発現は、、例えば、bDNAもしくはTaqMan(登録商標)アッセイによりmRNAレベルを計測することにより、または例えば、ウエスタンブロッティングまたはフローサイトメトリック技術などを使用する免疫蛍光分析によりタンパク質レベルを計測することにより、アッセイすることができる。

dsRNAは、相補的であり、dsRNAが使用される条件下でハイブリダイズしてデュプレックス構造を形成する2つのRNAストランドを含む。dsRNAの一方のストランド(アンチセンスストランド)は、標的配列と実質的に相補的な、一般に、完全に相補的な相補性の領域を含む。標的配列は、標的遺伝子の発現の間に形成されるmRNAの配列に由来し得る。他方のストランド(センスストランド)は、好適な条件下で合わせた場合、2つのストランドがハイブリダイズし、デュプレックス構造を形成するようにアンチセンスストランドと相補的な領域を含む。一般に、デュプレックス構造は、15から30塩基対(両端含む)、より一般には、18から25(両端含む)、さらにより一般には、19から24(両端含む)、最も一般には19から21塩基対長(両端含む)である。同様に、標的配列と相補性の領域は、15から30塩基対長(両端含む)、より一般には、18から25(両端含む)、さらにより一般には、19から24(両端含む)、最も一般には、19から21ヌクレオチド長(両端含む)である。一部の実施形態において、dsRNAは、15から20ヌクレオチド長(両端含む)であり、他の実施形態において、dsRNAは、25から30ヌクレオチド長(両端含む)である。当業者は、開裂のために標的化されるRNAの標的化領域が、より大きいRNA分子、多くはmRNA分子の一部であることが最も多いことを認識する。関連する場合、mRNA標的の「一部」は、RNAi指向性開裂(すなわち、RISC経路を介する開裂)のための基質であるために十分な長さのmRNA標的の連続配列である。9塩基対ほどの短いデュプレックスを有するdsRNAは、同一状況下で、RNAi指向性RNA開裂を媒介し得る。標的は、少なくとも15ヌクレオチド長、例えば、15〜30ヌクレオチド長であることが最も多い。

当業者は、デュプレックス領域、例えば、9から36、例えば、15〜30塩基対のデュプレックス領域がdsRNAの主要機能部分であることも認識する。したがって、一実施形態において、開裂のために所望のRNAを標的化する例えば、15〜30塩基対の機能的デュプレックスにプロセシングされる程度で、30塩基対超のデュプレックス領域を有するRNA分子またはRNA分子の複合体は、dsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態において、miRNAがdsRNAであることを認識する。別の実施形態において、dsRNAは、天然に生じたmiRNAでない。別の実施形態において、標的遺伝子発現を標的化するために有用なiRNA薬剤は、より大きいdsRNAの開裂により標的細胞中で生成させない。

本明細書に記載のdsRNAは、1つ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングをさらに含み得る。dsRNAは、さらに以下に考察される当分野において公知の標準的方法により、例えば、自動化DNA合成装置、例えば、Biosearch,Applied Biosystems,Inc.などから市販されているものの使用により合成することができる。一実施形態において、標的遺伝子は、ヒト遺伝子である。別の実施形態において、標的遺伝子は、マウスまたはラット遺伝子である。

一部の実施形態において、dsRNAは、前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)(GenBank受託番号NM_174936)、トランスチレチン(TTR)(GenBank参照番号NM_000371.3)、血管内皮成長因子A(VEGF)(GenBank受託番号NM_001025366.2)、キネシン様タンパク質(KSP)(GenBank受託番号NM_004523)、耳下腺プロリンリッチ唾液タンパク質Pc(PCS)(GenBank受託番号NM_020872.1)、アンギオポエチン様3(ANGPTL3)(GenBank受託番号NM_014495.2)、アポリポタンパク質C−III(ApoC3)(GenBank受託番号NM_000040.1)、ヘプシジン(SLC11A2)(GenBank受託番号NM_001174129.1)、egl9ホモログ(EGLN)(GenBank受託番号BC111057.1)、C型肝炎ウイルス(HCV)(GenBank受託番号AK367384.1)、B型肝炎ウイルス(HBV)(GenBank受託番号AB602818.1)、ポロ様キナーゼ1(PLK)(GenBank受託番号NM_005030.3)、アルファ−アンチトリプシン(AAT)(GenBank受託番号NM_000295.4)、活性化タンパク質C、膜貫通セリンプロテアーゼ6(TMPRSS6)(GenBank受託番号NM_153609.2)、クルッペル様因子4(KLF)(GenBank受託番号DQ658241.1)、B細胞CLL/リンパ腫11A(BCL11A)(GenBank受託番号NM_022893.3)、p53(GenBank受託番号NM_001126114.1)、カスパーゼ2(GenBank受託番号NM_001224.4)、β−カテニン(GenBank受託番号NM_001904.3)、プロテインキナーゼN3(PKN3)(GenBank受託番号NM_013355.3)、ハンチンチン(HTT)(Genbank受託番号NM_002111.6)またはアルファシヌクレイン(SNCA)(GenBank受託番号NM_007308.2)を標的化する。

したがって、一態様において、dsRNAは、少なくとも2つのヌクレオチド配列、センスおよびアンチセンス配列を含み、センスストランドは、表2または表3に提供される配列の群から選択される。この態様において、2つの配列の一方は、2つの配列の他方と相補的であり、配列の一方は、標的遺伝子の発現において生成されるmRNAの配列と実質的に相補的である。したがって、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含み、一方のオリゴヌクレオチドは、表2または表3におけるセンスストランドと記載され、第2のオリゴヌクレオチドは、表2または表3からのセンスストランドの対応するアンチセンスストランドとして記載される。本明細書の他箇所において記載されるとおり、および当分野において公知のとおり、dsRNAの相補的配列は、別個のオリゴヌクレオチド上での存在とは対照的に、単一核酸分子の自己相補的領域として含有させることもできる。

当業者は、20から23、しかし特に21塩基対のデュプレックス構造を有するdsRNAが、RNA干渉の誘導において特に有効であると支持されていることを十分認識する(Elbashir et al.,EMBO 2001,20:6877−6888)。しかしながら、より短いまたはより長いRNAデュプレックス構造も有効であり得ることが見出されている。上記実施形態において、表2または表3に提供されるオリゴヌクレオチド配列の性質のため、本明細書に記載のdsRNAは、最低21ntの長さの少なくとも1つのストランドを含み得る。一端または両端上の数ヌクレオチドのみ不足する表2または表3の配列の1つを有するより短いデュプレックスが、上記dsRNAと比較して同様に有効であり得ることを合理的に予期することができる。したがって、表2または表3の配列の1つからの少なくとも15、16、17、18、19、20以上の連続ヌクレオチドの部分的配列を有し、完全配列を含むdsRNAと5、10、15、20、25、または30%以下の阻害だけ標的遺伝子の発現を阻害する能力が異なるdsRNAが、本発明により企図される。

さらに、表2または表3に提供されるRNAは、RISC媒介開裂を受けやすいTTRまたはHTT転写物中の部位を同定する。したがって、本発明は、このような配列の1つ内で標的化するiRNAをさらに挙げる。本明細書において使用されるiRNAは、その特定部位内のいずれかでiRNAが転写物の開裂を促進する場合、RNA転写物の特定部位内で標的化すると言われる。このようなiRNAは、一般に、TTRまたはHTT遺伝子中の選択配列に連続する領域から取られた追加のヌクレオチド配列に結合している表2または表3に提供される配列の1つからの少なくとも15連続ヌクレオチドを含む。

標的配列は、一般に、15〜30ヌクレオチド長である一方、任意の所与の標的RNAの開裂を指向するためのこの範囲での特定配列の好適性は広く変動する。本発明に記載の種々のソフトウエアパッケージおよび指針は、任意の所与の遺伝子標的のための最適な標的配列の同定のためのガイダンスを提供するが、所与のサイズ(非限定的な例として、21ヌクレオチド)の「ウインドウ」または「マスク」を標的RNA配列上に文字または図として(例として、例えば、インシリコで)配置して標的配列として機能し得るサイズ範囲の配列を同定する実験的アプローチを採用することもできる。配列「ウインドウ」を開始標的配列位置の1ヌクレオチド上流または下流に漸次移動させることにより、考えられる配列の完全なセットが選択される任意の所与の標的サイズについて同定されるまで、次の潜在的な標的配列を同定することができる。このプロセスは、系統的合成および最適に機能する配列を同定するための同定配列の試験(本明細書に記載のまたは当分野において公知のアッセイを使用)と連結させると、iRNA薬剤により標的化する場合、標的遺伝子発現の最良の阻害を媒介するRNA配列を同定し得る。したがって、例えば、表2および表3に同定される配列がTTRおよびHTTに対して有効な標的配列を表す一方、所与の配列の1ヌクレオチド上流または下流に漸次「ウインドウを歩行させ」て同等またはより良好な阻害特徴を有する配列を同定することにより阻害効率のさらなる最適化を達成することができることが企図される。

さらに、例えば、表2または表3に同定される任意の配列について、より長いまたはより短い配列を生成するようにヌクレオチドを系統的に追加または除去し、そのポイントから標的RNAの上方または下方により長いまたはより短いサイズのウインドウを歩行させることにより生成された配列を試験することによりさらなる最適化を達成することができることが企図される。ここでも、新たな候補標的を生成するためのこのアプローチを当分野において公知のまたは本明細書に記載の阻害アッセイにおける標的配列に基づくiRNAの有効性についての試験と連結させることは、阻害の効率のさらなる改善を導き得る。さらに依然として、このような最適化配列は、例えば、本明細書に記載のもしくは当分野において公知の改変ヌクレオチドの導入、オーバーハングの追加もしくは変化、または当分野において公知のおよび/もしくは本明細書において考察される他の改変により調整して発現インヒビターとして分子をさらに最適化することができる(例えば、血清安定性または循環半減期の増加、熱安定性の増加、膜貫通送達、特定位置または細胞タイプへの標的化の向上、サイレンシング経路酵素との相互作用の増加、エンドソームからの放出の増加など)。

本明細書に記載のiRNAは、標的配列に対する1つ以上のミスマッチを含有し得る。一実施形態において、本明細書に記載のiRNAは、3つ以下のミスマッチを含有する。iRNAのアンチセンスストランドが標的配列に対するミスマッチを含有する場合、ミスマッチの領域は相補性の領域の中央に局在しないことが典型的である。iRNAのアンチセンスストランドが標的配列に対するミスマッチを含有する場合、ミスマッチは相補性の領域の5’または3’末端のいずれかから最後の5ヌクレオチド内に限定されることが典型的である。例えば、標的遺伝子の領域と相補的な23ヌクレオチドiRNA薬剤RNAストランドについて、RNAストランドは、一般に、中央の13ヌクレオチド内にいかなるミスマッチも含有しない。本明細書に記載の方法または当分野において公知の方法を使用して標的配列に対するミスマッチを含有するiRNAが標的遺伝子の発現の阻害において有効かどうかを判定することができる。標的遺伝子の発現の阻害におけるミスマッチを有するiRNAの効力の考慮は、特に標的遺伝子中の特定の相補性の領域が集団内の多型配列バリエーションを有することが公知である場合、重要である。

一実施形態において、dsRNAの少なくとも一端は、1から4、一般に、1または2ヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを有する。少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを有するこのようなdsRNAは、それらの平滑末端相当物に対して意外にも優れた阻害特性を有する。さらに別の実施形態において、iRNA、例えば、dsRNAのRNAは、安定性または他の利益特徴を向上させるように化学的に改変する。本発明において挙げられる核酸は、当分野において十分確立された方法、例えば、参照により本明細書に組み込まれる“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Edrs.),John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY,USAに記載のものにより合成および/または改変することができる。当業者に公知の任意の改変を、対象中の疾患の治療のための治療iRNAの設計において使用することができる。改変としては、例えば、(a)末端改変、例えば、5’末端改変(リン酸化、コンジュゲーション、逆位結合など)3’末端改変(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆位結合など)、(b)塩基改変、例えば、安定化塩基、脱安定化塩基、またはパートナーの拡張されたレパートリーと塩基対合する塩基による置き換え、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)、またはコンジュゲート塩基、(c)糖改変(例えば、2’位または4’位における)または糖の置き換え、ならびに(d)骨格改変、例として、ホスホジエステル結合の改変または置き換えが挙げられる。

一実施形態において、iRNAは、iRNA薬剤の分布、標的化または寿命を変化させるリガンドを含有する。ある実施形態において、リガンドは、このようなリガンドが存在しない種と比較して選択標的、例えば、分子、細胞または細胞タイプ(例えば、肝臓細胞、例えば、肝細胞)、区画、例えば、細胞または臓器区画、組織、臓器または身体の領域についての親和性の向上を提供する。あるリガンドは、デュプレックス核酸におけるデュプレックス対合に関与しない。

リガンドとしては、天然に生じた物質、例えば、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、またはグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリンまたはヒアルロン酸);または脂質を挙げることができる。リガンドは、組換えまたは合成分子、例えば、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸でもあり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリアミノ酸が、ポリリジン(PLL)、ポリLアスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンであることが挙げられる。ポリアミンの例としては:ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、またはαヘリカルペプチドが挙げられる。

リガンドとしては、標的化基、例えば、細胞または組織標的化基、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば、規定の細胞タイプ、例えば、腎細胞に結合する抗体も挙げることができる。標的化基は、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントプロテインA、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパラギネート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、ホレート、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣物であり得る。

リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サプフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、脂溶性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メンソール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾールコンジュゲート、テトラアザ大員環のEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPが挙げられる。

リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、コリガンドについての特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、規定の細胞タイプ、例えば、癌細胞、内皮細胞、もしくは骨細胞に結合する抗体であり得る。リガンドとしては、ホルモンおよびホルモン受容体も挙げることができる。これらとしては、非ペプチド種、例えば、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノース、または多価フコースも挙げることができる。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38MAPキナーゼの活性化物質、またはNF−κBの活性化物質であり得る。

リガンドは、例えば、細胞骨格を破壊することにより、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、および/または中間フィラメントを破壊することにより細胞中へのiRNA薬剤の取り込みを増加させ得る物質、例えば、薬物であり得る。薬物は、薬物は、例えば、タキソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ノコダゾール、ジャプラキノリド(japlakinolide)、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、またはミオセルビン(myoservin)であり得る。

一部の実施形態において、本明細書に記載のiRNAに付着しているリガンドは、PKモジュレーターとして作用する。本明細書において使用される「PKモジュレーター」は、薬物動態モジュレーターを指す。PKモジュレーターとしては、脂溶性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質アナログ、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPKモジュレーターとしては、限定されるものではないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。多数のホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドが血清タンパク質に結合することも公知であり、したがって、骨格中で複数のホスホロチオエート結合を含む短いオリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基または20塩基のオリゴヌクレオチドもリガンドとして(例えば、PKモジュレートリガンドとして)本発明に従う。さらに、血清構成要素(例えば、血清タンパク質)に結合するアプタマーも、本明細書に記載の実施形態においてPKモジュレートリガンドとしての使用に好適である。

一部の実施形態において、iRNAは、細胞のエンドソームまたはリソソーム区画中のiRNAの捕獲を妨げる配合物を含む。ある実施形態において、本発明のエンドソーム分解構成要素は、pH依存性膜活性および/または融合性を示すポリアニオンペプチドまたはペプチド模倣物であり得る。ペプチド模倣物は、ペプチドを模倣するように設計された小分子タンパク質様鎖であり得る。ペプチド模倣物は、分子の特性を変化させるための既存のペプチドの改変、または非天然アミノ酸もしくはそれらのアナログを使用するペプチド様分子の合成から生じ得る。ある実施形態において、これらは、ペプチドと比較して改善された安定性および/または生物活性を有する。ある実施形態において、エンドソーム分解構成要素は、エンドソームpH(例えば、pH5〜6)においてその活性立体構造を取る。「活性」立体構造は、エンドソーム分解構成要素がエンドソームの溶解およびエンドソームから細胞の細胞質への、本発明において挙げられるモジュール組成物、またはその構成要素(例えば、核酸)のそのいずれかの輸送を促進する立体構造である。

例示的なエンドソーム分解構成要素としては、GALAペプチド(Subbarao et al.,Biochemistry,1987,26:2964−2972)、EALAペプチド(Vogel et al.,J.Am.Chem.Soc.,1996,118:1581−1586)、およびそれらの誘導体 (Turk et al.,Biochem.Biophys.Acta,2002,1559:56−68)が挙げられ。ある実施形態において、エンドソーム分解構成要素は、pHの変化に応答して電荷の変化またはプロトン化を受ける化学基(例えば、アミノ酸)を含有し得る。エンドソーム分解構成要素は、直鎖または分枝鎖であり得る。エンドソーム分解構成要素の例示的な一次配列としては、H2N−(AALEALAEALEALAEALEALAEAAAAGGC)CO2H(配列番号2);H2N−(AALAEALAEALAEALAEALAEALAAAAGGC)−CO2H(配列番号3);およびH2N−(ALEALAEALEALAEA)−CONH2(配列番号4)が挙げられる。

ある実施形態において、2つ以上のエンドソーム分解構成要素を本発明において挙げられるiRNA薬剤中に取り込むことができる。一部の実施形態において、これは、iRNA薬剤中への同一のエンドソーム分解構成要素の2つ以上の取り込みを伴う。他の実施形態において、これは、iRNA薬剤中への2つ以上の異なるエンドソーム分解構成要素の取り込みを伴う。

脂質コンジュゲート 一実施形態において、リガンドまたはコンジュゲートは、脂質または脂質ベース分子である。このような脂質または脂質ベース分子は、典型的には、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合リガンドは、標的組織、例えば、身体の非腎臓標的組織へのコンジュゲートの分布を可能とする。例えば、標的組織は、肝臓、例として、肝臓の実質細胞であり得る。HSAに結合し得る他の分子をリガンドとして使用することもできる。例えば、ネプロキシンまたはアスピリンを使用することができる。脂質または脂質ベースリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増加させ得、(b)標的細胞または細胞膜中への標的化もしくは輸送を増加させ得、および/または(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するために使用することができる。

脂質ベースリガンドは、標的組織へのコンジュゲートの結合をモジュレート、例えば、制御するために使用することができる。例えば、HSAにより強く結合する脂質または脂質ベースリガンドは、腎臓に標的化される可能性が低く、したがって、身体からクリアランスされる可能性が低い。HSAにそれほど強く結合しない脂質または脂質ベースリガンドは、コンジュゲートを腎臓に標的化させるために使用することができる。

一実施形態において、脂質ベースリガンドは、HSAに結合する。典型的には、これは、コンジュゲートが非腎臓組織に分布されるように十分な親和性でHSAに結合する。しかしながら、親和性は、HSAリガンド結合が解かれ得ないほど強くあるべきではない。

別の実施形態において、脂質ベースリガンドは、コンジュゲートが腎臓に分布されるようにHSAに弱く結合し、または全く結合しない。腎臓細胞を標的化する他の部分を、脂質ベースリガンドに代えて、またはそれに加えて使用することもできる。

別の態様において、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖細胞により取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。これらは、例えば、悪性または非悪性タイプ、例えば、癌細胞の不所望な細胞増殖を特徴とする障害の治療に特に有用である。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、E、およびKが挙げられる。他の例示的なビタミンとしては、Bビタミン、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサルまたは癌細胞により取り込まれる他のビタミンもしくは栄養素が挙げられる。HSAおよび低密度リポタンパク質(LDL)も挙げられる。

細胞浸透ペプチド 対象へのiRNAの投与における使用に好適なペプチドは、天然ペプチド、例えば、tatまたはアンテナペディアペプチド、合成ペプチド、またはペプチド模倣物であり得る。さらに、ペプチドは、改変ペプチドであり得、例えば、ペプチドは、非ペプチドまたはシュードペプチド結合、およびD−アミノ酸を含み得る。ペプチド模倣物(本明細書においてオリゴペプチド模倣物とも称される)は、天然ペプチドと類似の規定の三次元構造にフォールドし得る分子である。iRNAへのペプチドおよびペプチド模倣物の付着は、例えば、細胞認識および吸収を向上させることによりiRNAの薬物動態分布に影響し得る。ペプチドまたはペプチド模倣物部分は、約5〜50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であり得る。

ペプチドまたはペプチド模倣物は、例えば、細胞浸透ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、または疎水性ペプチド(例えば、主としてTyr、TrpまたはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束ペプチドまたは架橋ペプチドであり得る。別の代替例において、ペプチド部分としては、疎水性膜輸送配列(MTS)を挙げることができる。例示的疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号5)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGFアナログ(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号6))も標的化部分であり得る。ペプチド部分は、巨大極性分子、例として、ペプチド、オリゴヌクレオチド、およびタンパク質を細胞膜を越えて担持し得る「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIVTatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号7))およびショウジョウバエ属(Drosophila)アンテナペディアタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号8))からの配列が、送達ペプチドとして機能し得ることが見出されている。ペプチドまたはペプチド模倣物、例えば、ファージディスプレイライブラリーまたはワン・ビーズ・ワン化合物(one−bead−one−compound)(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから同定されたペプチドをDNAのランダム配列によりコードさせることができる(Lam et al.,Nature,354:82−84,1991).。例えば、脂質に繋留しているペプチドまたはペプチド模倣物は、細胞標的化ペプチド、例えば、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)ペプチド、またはRGD模倣物であり得る。ペプチド部分は、約5アミノ酸から約40アミノ酸の長さの範囲であり得る。ペプチド部分は、例えば、安定性を増加させ、または立体構造特性を指向するための構造的改変を有し得る。以下に記載される構造的改変のいずれかを利用することができる。

RGDペプチド部分は、腫瘍細胞、例えば、内皮腫瘍細胞または乳癌腫瘍細胞を標的化するために使用することができ(Zitzmann et al.,Cancer Res.,62:5139−43,2002)る。RGDペプチドは、種々の他の組織、例として、肺、腎臓、脾臓、または肝臓の腫瘍へのdsRNA薬剤の標的化を易化し得る(Aoki et al.,Cancer Gene Therapy 8:783−787,2001)。一部の実施形態において、RGDペプチドは、腎臓へのiRNA薬剤の標的化を易化する。RGDペプチドは、直鎖または環状であり得、改変、例えば、グリコシル化またはメチル化して規定の組織への標的化を易化することができる。例えば、グリコシル化RGDペプチドは、αVβ3を発現する腫瘍細胞にiRNA薬剤を送達し得る(Haubner et al.,Jour.Nucl.Med.,42:326−336,2001)。

増殖細胞中で濃縮されるマーカーを標的化するペプチドを使用することができる。例えば、RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣物は、癌細胞、特にαvβ3インテグリンを示す細胞を標的化し得る。したがって、RGDペプチド、RGDを含有する環状ペプチド、D−アミノ酸を含むRGDペプチド、および合成RGD模倣物を使用することができる。RGDに加え、αvβ3インテグリンリガンドを標的化する他の部分を使用することができる。一般に、このようなリガンドは、増殖細胞および血管新生を制御するために使用することができる。

「細胞浸透ペプチド」は、細胞、例えば、微生物細胞、例えば、細菌もしくは真菌細胞、または哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞に浸透し得る。微生物細胞浸透ペプチドは、例えば、α−ヘリカル直鎖ペプチド(例えば、LL−37またはセロピン(Ceropin)P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α−デフェンシン、β−デフェンシンまたはバクテネシン)、または1もしくは2つの優勢アミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR−39またはインドリシジン)であり得る。細胞浸透ペプチドは、核定位シグナル(NLS)も含み得る。例えば、細胞浸透ペプチドは、二分両親媒性ペプチド、例えば、HIV−1gp41およびSV40ラージT抗原のNLSの融合ペプチドドメインに由来するMPGであり得る(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717−2724,2003).。

炭水化物コンジュゲート 一部の実施形態において、本明細書に記載のiRNAオリゴヌクレオチドは、炭水化物コンジュゲートをさらに含み得る。炭水化物コンジュゲートは、本明細書に記載のインビボ治療使用に好適な核酸、および組成物のインビボ送達に有利である。本明細書において使用される「炭水化物」は、少なくとも6つの炭素原子(直鎖、分枝鎖または環状であり得る)をそれぞれの炭素原子に結合している酸素、窒素または硫黄原子とともに有する1つ以上の単糖単位から構成されるそれ自体炭水化物である化合物;または少なくとも6つの炭素原子(直鎖、分枝鎖または環状であり得る)をそれぞれの炭素原子に結合している酸素、窒素または硫黄原子とともにそれぞれ有する1つ以上の単糖単位から構成される炭水化物部分を一部として有する化合物を指す。代表的な炭水化物としては、糖(約4〜9つの単糖単位を含有する単糖、二糖、三糖およびオリゴ糖)、および多糖、例えば、デンプン、グリコーゲン、セルロースおよび多糖ゴムが挙げられる。具体的な単糖としては、C5および上記(例えば、C5〜C8)糖が挙げられ;二糖および三糖としては、2または3つの単糖単位(例えば、C5〜C8)を有する糖が挙げられる。一部の実施形態において、炭水化物コンジュゲートは、他のリガンド、例えば、限定されるものではないが、PKモジュレーター、エンドソーム分解リガンド、および細胞浸透ペプチドをさらに含む。

リンカー 一部の実施形態において、本明細書に記載のコンジュゲートは、開裂可能または開裂不能であり得る種々のリンカーによりiRNAオリゴヌクレオチドに付着させることができる。用語「リンカー」または「結合基」は、化合物の2つの部分を結合させる有機部分を意味する。リンカーは、典型的には、直接結合または原子、例えば、酸素または硫黄、単位、例えば、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHまたは原子の鎖、例えば、限定されるものではないが、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘレロシクリルアルキニル(alkyl hererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘレロアリール(alkynylhereroaryl)を含み、1つ以上のメチレンは、O、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環化合物により中断または終結されていてよく;R8は、水素、アシル、脂肪族または置換脂肪族化合物である。一実施形態において、リンカーは、1〜24原子、例えば、4〜24原子、6〜18原子、8〜18原子、または8〜16原子であり得る。

他の改変 ある例において、iRNAのRNAは、非リガンド基により改変することができる。iRNAの活性、細胞分布または細胞取り込みを向上させるために多数の非リガンド分子がiRNAにコンジュゲートされており、そのようなコンジュゲーションを実施するための手順は、科学文献において利用可能である。このような非リガンド部分としては、脂質部分、例えば、コレステロール(Kubo,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2007,365(1):54−61;Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison−Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10:111;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)が挙げられている。

このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許は、上記に列記した。典型的なコンジュゲーションプロトコルは、配列の1つ以上の位置においてアミノリンカーを担持するRNAの合成を含む。次いで、適切なカップリングまたは活性化試薬を使用してアミノ酸をコンジュゲートされる分子と反応させる。コンジュゲーション反応は、固体担体に依然として結合しているRNAを用いて、またはRNAの開裂後に溶液相中で実施することができる。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製は、典型的には、純粋なコンジュゲートをもたらす。

iRNAの送達 iRNAの、それを必要とする対象への送達は、多数の異なる手法において達成することができる。インビボ送達は、iRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を対象に投与することにより直接的に実施することができる。あるいは、送達は、iRNAをコードし、その発現を指向する1つ以上のベクターを投与することにより間接的に実施することができる。

iRNA組成物の直接送達 一般に、核酸分子を送達する任意の方法を、iRNAを用いる使用に適合させることができる(例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるAkhtar S.and Julian RL.(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139−144および国際公開第94/02595号パンフレット参照)。iRNAの非特異的効果は、局所投与により、例えば、組織(非限定的な例として、腫瘍)中への直接注射もしくは植込みにより、または調製物を局所投与することにより最小化することができる。治療部位への局所投与は、薬剤の局所濃度を最大化し、他では薬剤により害され得、または薬剤を分解し得る全身組織への薬剤の曝露を限定し、投与すべきiRNA分子のより低い総用量を可能とする。

疾患の治療のためにiRNAを全身投与するため、RNAを改変し、または薬物送達系を使用して送達することができ;両方法は、インビボでのエンドおよびエキソヌクレアーゼによるdsRNAの急速な分解を妨げるように作用する。RNAまたは医薬担体の改変は、標的組織へのiRNA組成物の標的化も可能とし、不所望なオフターゲット効果を回避し得る。iRNA分子は、細胞取り込みを向上させ、分解を妨げるために脂溶性基、例えば、コレステロールへの化学コンジュゲーションにより改変することができる。

代替的実施形態において、iRNAは、薬物送達系、例えば、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性送達系を使用して送達することができる。正荷電カチオン性送達系は、iRNA分子(負荷電)の結合を易化し、負荷電細胞膜における相互作用も向上させて細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能とする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、iRNAに結合させ、またはiRNAを包む小胞もしくはミセルを形成するように誘導することができる(例えば、Kim SH.,et al(2008)Journal of Controlled Release 129(2):107−116参照)。小胞またはミセルの形成は、全身投与時のiRNAの分解をさらに妨げる。

カチオン性iRNA複合体を作製および投与する方法は、十分に当業者の能力の範囲内である(例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれるSorensen,DR.,et al(2003)J.Mol.Biol 327:761−766;Verma,UN.,et al(2003)Clin.Cancer Res.9:1291−1300;Arnold,AS et al(2007)J.Hypertens.25:197−205参照)。iRNAの全身送達に有用な薬物送達系の一部の非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,DR.,et al(2003)、前掲;Verma,UN.,et al(2003)、前掲)、Oligofectamine、“solid nucleic acid lipid particles”(Zimmermann,TS.,et al(2006)Nature 441:111−114)、カルジオリピン(Chien,PY.,et al(2005)Cancer Gene Ther.12:321−328;Pal,A.,et al(2005)Int J.Oncol.26:1087−1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME.,et al(2008)Pharm.Res.Aug 16 Epub ahead of print;Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg−Gly−Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472−487)、およびポリアミドアミン(Tomalia,DA.,et al(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61−67;Yoo,H.,et al(1999)Pharm.Res.16:1799−1804)が挙げられる。一部の実施形態において、iRNAは、全身投与のためのシクロデキストリンと複合体を形成する。iRNAおよびシクロデキストリンの投与方法および医薬組成物は、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,427,605号明細書に見出すことができる。

ベクターコードiRNA 一態様において、本明細書に記載のアッセイおよび方法は、ベクター発現iRNAにより治療された対象から得られた試料中の標的RNAを計測することによりiRNA活性を判定するために使用することができる。一実施形態において、ベクターは、本明細書に記載のiRNAの少なくとも1つのストランドをコードするヌクレオチド配列に作動可能に結合している少なくとも1つの調節配列を含む。

別の態様において、所望の遺伝子を標的化するiRNAは、DNAまたはRNAベクター中に挿入された転写単位から発現させることができる(例えば、Couture,A,et al.,TIG.(1996),12:5−10;Skillern,A.,et al.,PCT国際公開第00/22113号パンフレット、Conrad、PCT国際公開第00/22114号パンフレット、およびConrad、米国特許第6,054,299号明細書参照)。発現は、使用される特異的構築物および標的組織または細胞タイプに応じて一過的(約数時間から数週間のオーダー)または持続的(数週間から数か月以上)であり得る。これらのトランス遺伝子は、直鎖構築物、環状プラスミド、または統合もしくは非統合ベクターであり得るウイルスベクターとして導入することができる。トランス遺伝子は、それの染色体外プラスミドとしての遺伝を可能とするように構築することもできる(Gassmann,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:1292)。

iRNAの個々の1つまたは複数のストランドは、発現ベクター上のプロモーターから転写させることができる。2つの別個のストランドを発現させ、例えば、dsRNAを生成すべき場合、2つの別個の発現ベクターを標的細胞中に同時導入することができる(例えば、形質移入または感染による)。あるいは、dsRNAのそれぞれの個々のストランドは、両方とも同一の発現プラスミド上に局在するプロモーターにより転写させることができる。一実施形態において、dsRNAのストランドは、dsRNAがステムおよびループ構造を有するようにリンカーポリヌクレオチド配列により結合している逆位反復ポリヌクレオチドとして発現させる。

iRNA発現ベクターは、一般に、DNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核細胞と適合可能な発現ベクター、例えば、脊椎動物細胞と適合可能なものを、本明細書に記載のiRNAの発現のための組換え構築物を産生させるために使用することができる。真核細胞発現ベクターは、当分野において周知であり、多数の市販源から入手可能である。典型的には、所望の核酸セグメントの挿入のための簡便な制限部位を含有するこのようなベクターが提供される。iRNA発現ベクターの送達は、例えば、静脈内もしくは筋肉内投与による、患者から取り出された標的細胞への投与に続く患者への再導入による、または所望の標的細胞中への導入を可能とする任意の他の手段による全身的なものであり得る。

iRNA発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えば、Oligofectamine)または非カチオン性脂質ベース担体(例えば、Transit−TKOTM)との複合体として標的細胞中に形質移入することができる。1週間以上の期間にわたる標的RNAの異なる領域を標的化するiRNA媒介ノックダウンのための複数の脂質形質移入も、本発明により企図される。宿主細胞中へのベクターの連続導入は、種々の公知の方法を使用してモニタリングすることができる。例えば、一過的形質移入は、レポーター、例えば、蛍光マーカー、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)によりシグナル発生させることができる。エクスビボでの細胞の安定的形質移入は、規定の環境因子(例えば、抗生物質および薬物)に対する耐性、例えば、ハイグロマイシンB耐性を有する形質移入細胞を提供するマーカーを使用して確保することができる。

本明細書に記載の方法および組成物について利用することができるウイルスベクター系としては、限定されるものではないが、(a)アデノウイルスベクター;(b)レトロウイルスベクター、例として、限定されるものではないが、レンチウイルスベクター、モロニーネズミ白血球ウイルスなど;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)ポックスウイルスベクター、例えば、オルソポックス、例えば、ワクシニアウイルスベクターまたはアビポックス、例えば、カナリア痘または鶏痘;および(j)ヘルパー依存性またはガットレスアデノウイルスが挙げられる。複製欠損ベクターも有利であり得る。異なるベクターを細胞のゲノム中に取り込み、または取り込まない。構築物は、所望により形質移入のためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構築物は、エピソーム複製可能なベクター、例えば、EPVおよびEBVベクター中に取り込むことができる。iRNAの組換え発現のための構築物は、一般に、例えば、標的細胞中のiRNAの発現を確保するために調節配列、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを要求する。ベクターおよび構築物について考慮する他の態様を以下にさらに記載する。

iRNAの送達に有用なベクターは、所望の標的細胞または組織中のiRNAの発現に十分な調節配列(プロモーター、エンハンサーなど)を含む。調節配列は、構成性または調節/誘導性発現のいずれかを提供するように選択することができる。

iRNAの発現は、例えば、ある生理学的調節因子、例えば、循環グルコースレベル、またはホルモンに感受性の誘導性調節配列を使用することにより正確に調節することができる(Docherty et al.,1994,FASEB J.8:20−24)。細胞または哺乳動物中のdsRNA発現の制御に好適なこのような誘導性発現系としては、例えば、エクジソンによる、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、ダイマー化の化学誘導物質、およびイソプロピル−β−D1−チオガラクトピラノシド(IPTG)による調節が挙げられる。当業者は、iRNAトランス遺伝子の意図される使用に基づき適切な調節/プロモーター配列を選択することができる。

具体的な実施形態において、iRNAをコードする核酸配列を含有するウイルスベクターを使用することができる。例えば、レトロウイルスベクターを使用することができる(Miller et al.,Meth.Enzymol.217:581−599(1993)参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正確なパッケージングおよび宿主細胞DNA中への統合に必要な構成要素を含有する。iRNAをコードする核酸配列は、1つ以上のベクター中でクローニングし、患者中への核酸の送達を易化する。レトロウイルスベクターについてのさらなる詳細は、例えば、Boesen et al.,Biotherapy 6:291−302(1994)に見出すことができ、それは、mdr1遺伝子を造血幹細胞に送達して幹細胞を化学療法に対してより耐性とするためのレトロウイルスベクターの使用を記載している。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参照文献は:Clowes et al.,J.Clin.Invest.93:644−651(1994);Kiem et al.,Blood 83:1467−1473(1994);Salmons and Gunzberg,Human Gene Therapy 4:129−141(1993);およびGrossman and Wilson,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110−114(1993)である。使用について企図されるレンチウイルスベクターとしては、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,143,520号明細書;米国特許第5,665,557号明細書;および米国特許第5,981,276号明細書に記載のHIVベースベクターが挙げられる。

アデノウイルスも、iRNAの送達における使用について企図される。アデノウイルスは、例えば、遺伝子を呼吸上皮に送達するために魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは天然には呼吸上皮に感染し、それらはそこで軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスベース送達系のための他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染し得るという利点を有する。

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの使用も企図される(Walsh et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300(1993);米国特許第5,436,146号明細書)。一実施形態において、iRNAは、例えば、U6もしくはH1RNAプロモーターまたはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組換えAAVベクターから2つの別個の相補的一本鎖RNA分子として発現させることができる。本発明において挙げられるdsRNAを発現させるための好適なAAVベクター、組換えAVベクターを構築する方法、およびベクターを標的細胞中に送達する方法は、全開示が参照により本明細書に組み込まれるSamulski R et al.(1987),J.Virol.61:3096−3101;Fisher K J et al.(1996),J.Virol,70:520−532;Samulski R et al.(1989),J.Virol.63:3822−3826;米国特許第5,252,479号明細書;米国特許第5,139,941号明細書;国際特許出願国際公開第94/13788号パンフレット;および国際特許出願国際公開第93/24641号パンフレットに記載されている。

別の例示的ウイルスベクターは、ポックスウイルス、例えば、ワクシニアウイルス、例えば、減衰ワクシニア、例えば、改変ウイルスアンカラ(Modified Virus Ankara)(MVA)またはNYVAC、アビポックス、例えば、鶏痘またはカナリア痘である。

ウイルスベクターの向性は、ベクターを他のウイルスからのエンベロープタンパク質もしくは他の表面抗原によりシュードタイプ化することにより、または異なるウイルスキャプシドタンパク質を置換することにより適宜改変することができる。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどからの表面タンパク質によりシュードタイプ化することができる。AAVベクターは、異なるキャプシドタンパク質血清型を発現するようにベクターをエンジニアリングすることにより異なる細胞を標的化するように作製することができる、例えば、全開示が参照により本明細書に組み込まれるRabinowitz J E et al.(2002),J Virol 76:791−801参照。

ベクターの医薬調製物は、ベクターを許容可能な希釈剤中で含み得、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれた徐放マトリックスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクター、例えば、レトロウイルスベクターを組換え細胞からインタクトで産生することができる場合、医薬調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。

V.治療核酸を含有する医薬組成物 本明細書に記載のアッセイは、標的組織への治療核酸、例えば、iRNA薬剤の送達を検出するためおよび治療核酸の活性をモニタリングするために有用である。対象に投与すべき治療核酸は、治療核酸、例えば、iRNA、および薬学的に許容可能な担体を含有する医薬組成物として配合する。例えば、iRNAを含有する医薬組成物は、標的遺伝子の発現または活性に伴う疾患または障害、例えば、標的遺伝子発現により媒介される病理学的プロセスの治療に有用である。このような医薬組成物は、送達方式に基づき配合する。一例としては、組成物を、非経口送達を介する、例えば、静脈内(IV)送達による全身投与のために配合することが挙げられる。

医薬組成物は、標的遺伝子の発現を阻害するために十分な投与量で投与する。一般に、治療核酸、例えば、iRNAの好適な用量は、1日当たり受容者の体重1キログラム当たり0.001から200.0ミリグラムの範囲、一般に、1日当たり体重1キログラム当たり0.01から50mgの範囲である。例えば、iRNAは、単一用量当たり0.01、0.05mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、または50mg/kgにおいて投与することができる。医薬組成物は、1日1回、または1週間に1回、または1か月に1回、または2か月に1回投与することができる。あるいは、組成物は、1週間に2回もしくは1か月に2回、または2、3もしくは4週間に1回投与することができる。一部の実施形態において、治療核酸は、1日にわたり適切な間隔において2、3つ以上の下位用量としてまたはさらには制御放出配合物を介する連続注入もしくは送達を使用して投与する。その場合、それぞれの下位用量に含有される治療核酸は、総1日投与量を達成するために相応により小さくなければならない。別の場合、治療核酸は、連続注入により、例えば、CNS中への、例えば、脳実質中への連続頭蓋内注入、連続脳室内注入、または連続鞘内注入により投与することができる。投与量単位は、例えば、数日の期間にわたる治療核酸の徐放を提供する慣用の徐放配合物を使用して数日にわたる送達のために配合することもできる。徐放配合物は、当分野において周知であり、例えば、本発明の薬剤について使用することができる特定部位における薬剤の送達に特に有用である。この実施形態において、投与量単位は、対応する複数の1日用量を含有する。

一実施形態において、標的mRNAレベルに対するiRNAの単一用量の効果は、後続の用量を3、4、もしくは5日間隔以下において、または1、2、3、もしくは4週間以下の間隔において投与するように長時間持続し得る。

当業者は、ある要因、例として、限定されるものではないが、疾患もしくは障害の重症度、以前の治療、対象の全身健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患が対象を効率的に治療するために要求される投与量およびタイミングに影響し得ることを認識する。さらに、治療有効量の組成物による対象の治療としては、単一治療または一連の治療を挙げることができる。本発明により包含される個々のiRNAについての有効投与量およびインビボ半減期の推定は、慣用の方法を使用して、または本明細書の他箇所に記載の適切な動物モデルを使用するインビボ試験に基づき行うことができる。

マウス遺伝学の進歩により、種々のヒト疾患の研究のために多数のマウスモデルが生成されている。このようなモデルは、治療核酸のインビボ試験に、および治療有効用量の判定に使用することができる。好適なマウスモデルは、例えば、ヒト標的遺伝子を発現するトランス遺伝子を含有するマウスである。

医薬組成物は、望まれる治療が局所か全身かに応じて、および治療すべき区域に応じて多数の手法において投与することができる。投与は、局所(例えば、経皮貼付剤による)、肺(例えば、粉末またはエアゾールの吸入または吹送、例として、ネブライザーによる);気管内、鼻腔内、上皮および経皮、経口または非経口投与であり得る。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または注入;皮下、例えば、植込みデバイスを介するもの;または頭蓋内、例えば、実質内、鞘内または脳室内投与によるものが挙げられる。

治療核酸、例えば、iRNAは、特定組織、例えば、肝臓(例えば、肝臓の肝細胞)を標的化する様式で送達することができる。

局所投与のための医薬組成物および配合物としては、経皮貼付剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点眼剤、坐剤、噴霧剤、液剤および散剤を挙げることができる。慣用の医薬担体、水性粉末または油性基剤、増粘剤などが必要なまたは望まれることがある。被覆コンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所配合物としては、本明細書において挙げられるiRNAが局所送達剤、例えば、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤および界面活性剤との混合物として存在するものが挙げられる。好適な脂質およびリポソームとしては、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)およびカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が挙げられる。本発明において挙げられるiRNAは、リポソーム内に封入することができ、またはそれとの複合体、特にカチオン性リポソームとの複合体を形成し得る。あるいは、iRNAは、脂質、特にカチオン性脂質と複合体化させることができる。好適な脂肪酸およびエステルとしては、限定されるものではないが、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセイル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アクリルカルニチン、アシルコリン、またはC1〜20アルキルエステル(例えば、イソプロピルミリステートIPM)、モノグリセリド、ジグリセリドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩が挙げられる。局所配合物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,747,014号明細書に詳述されている。

リポソーム配合物 一部の実施形態において、RNAもしくはDNAエフェクター分子またはiRNA配合物は、リポソームを含む。異なるリポソーム配合物の一部の非限定的な例を以下に考察する。

リポソームは、2つの広いクラスに分けられる。カチオン性リポソームは、負荷電DNA分子と相互作用して安定複合体を形成する正荷電リポソームである。正荷電DNA/リポソーム複合体は、負荷電細胞表面に結合し、エンドソーム中で内在化される。エンドソーム内の酸性pHに起因して、リポソームは破裂し、それらの内容物を細胞質中に放出する(Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,1987,147,980−985)。

pH感受性または負荷電のリポソームは、核酸と複合体化せずに核酸を捕獲する。DNAおよび脂質の両方が類似の荷電を示すため、複合体形成ではなく破裂が生じる。これにもかかわらず、一部のDNAは、これらのリポソームの水性内部に捕獲される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードする核酸を培養物中の細胞単層に送達するために使用されている。外因性遺伝子の発現は、標的細胞中で検出された(Zhou et al.,Journal of Controlled Release,1992,19,269−274)。

1つの主要なタイプのリポソーム組成物としては、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質が挙げられる。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成することができる。アニオン性リポソーム組成物は、一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成する一方、アニオン性融合リポソームは、主としてジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成する。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば、ダイズPC、卵PCなどから形成する。別のタイプは、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物から形成する。

非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含む系も、皮膚への薬物の送達のそれらの有用性を判定するために試験されている。Novasome(商標)I(グリセリルジラウレート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)およびNovasome(商標)II(グリセリルジステアレート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム配合物は、シクロスポリン−Aをマウス皮膚の真皮中に送達するために使用された。結果は、そのような非イオン性リポソーム系が皮膚の異なる層中へのシクロスポリンAの沈着の易化において有効であることを示した(Hu et al.,S.T.P.Pharma.Sci.,1994,4,6,466)。

リポソームとしては、リポソーム中に取り込まれた場合、特殊化脂質を欠くリポソームに対して循環寿命の向上をもたらす1つ以上の特殊化脂質を含むリポソームを指す本明細書において使用される用語「立体安定化」リポソームも挙げられる。立体安定化リポソームの例は、リポソームの小胞形成脂質部分の一部が(A)1つ以上の糖脂質、例えば、モノシアロガングリオシドGM1を含み、または(B)1つ以上の親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)部分により誘導体化されているものである。いかなる特定の理論によっても拘束されるものではないが、少なくともガングリオシド、スフィンゴミエリン、またはPEG誘導体化脂質を含有する立体安定化リポソームについて、それらの立体安定化リポソームの循環半減期の向上は、細網内皮系(RES)の細胞中への取り込みの低減に由来すると当分野において考えられる(Allen et al.,FEBS Letters,1987,223,42;Wu et al.,Cancer Research,1993,53,3765)。

1つ以上の糖脂質を含む種々のリポソームは、当分野において公知である。Papahadjopoulos et al.(Ann.N.Y.Acad.Sci.,1987,507,64)は、モノシアロガングリオシドGM1、ガラクトセレブロシドスルフェートおよびホスファチジルイノシトールの、リポソームの血中半減期を改善させる能力を報告した。これらの知見は、Gabizon et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1988,85,6949)により十分説明された。両方ともAllen et al.の米国特許第4,837,028号明細書および国際公開第88/04924号パンフレットは、(1)スフィンゴミエリンおよび(2)ガングリオシドGM1またはガラクトセレブロシド硫酸エステルを含むリポソームを開示している。米国特許第5,543,152号明細書(Webb et al.)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示している。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、国際公開第97/13499号パンフレット(Lim et al)に開示されている。

1つ以上の親水性ポリマーにより誘導体化された脂質を含む多くのリポソーム、およびその調製方法は、当分野において公知である。Sunamoto et al.(Bull.Chem.Soc.Jpn.,1980,53,2778)は、PEG部分を含有する非イオン性洗浄剤2C1215Gを含むリポソームを記載した。Illum et al.(FEBS Lett.,1984,167,79)は、ポリマーグリコールによるポリスチレン粒子の親水性コーティングが血中半減期の顕著な向上をもたらすことを着目した。ポリアルキレングリコール(例えば、PEG)のカルボキシル基の付着により改変された合成リン脂質は、Sears(米国特許第4,426,330号明細書および米国特許第4,534,899号明細書)により記載されている。Klibanov et al.(FEBS Lett.,1990,268,235)は、PEGまたはPEGステアレートにより誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むリポソームが血中循環半減期の顕著な増加を有することを実証する実験を記載した。Blume et al.(Biochimica et Biophysica Acta,1990,1029,91)は、他のPEG誘導体化リン脂質、例えば、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)およびPEGの組合せから形成されたDSPE−PEGにそのような観察を拡張した。外表面上に共有結合PEG部分を有するリポソームは、Fisherの欧州特許第0445131B1号明細書および国際公開第90/04384号パンフレットに記載されている。1〜20モルパーセントのPEGにより誘導体化されたPEを含有するリポソーム、およびその使用方法は、Woodle et al.(米国特許第5,013,556号明細書および米国特許第5,356,633号明細書)およびMartin et al.(米国特許第5,213,804号明細書および欧州特許第0496813B1号明細書)により記載されている。多数の他の脂質ポリマーコンジュゲートを含むリポソームは、国際公開第91/05545号パンフレットおよび米国特許第5,225,212号明細書(両方ともMartin et al.)ならびに国際公開第94/20073号パンフレット(Zalipsky et al.)に開示されている。PEG改変セラミド脂質を含むリポソームは、国際公開第96/10391号パンフレット(Choi et al)に記載されている。米国特許第5,540,935号明細書(Miyazaki et al.)および米国特許第5,556,948号明細書(Tagawa et al.)は、表面上の機能的部分によりさらに誘導体化することができるPEG含有リポソームを記載している。

核酸を含む多数のリポソームが当分野において公知である。Thierry et al.の国際公開第96/40062号パンフレットは、高分子量核酸をリポソーム中に封入する方法を開示している。Tagawa et al.の米国特許第5,264,221号明細書は、タンパク質結合リポソームを開示し、そのようなリポソームの内容物がdsRNAを含み得ることを主張している。Rahman et al.の米国特許第5,665,710号明細書は、オリゴデオキシヌクレオチドをリポソーム中に封入するある方法を記載している。Love et al.の国際公開第97/04787号パンフレットは、raf遺伝子に標的化されるdsRNAを含むリポソームを開示している。

トランスファーソーム(transfersome)は、さらに別のタイプのリポソームであり、薬物送達ビヒクルのための魅力的な候補である高度に変形可能な脂質凝集物である。トランスファーソームは、それらが液滴よりも小さい細孔を介して容易に浸透し得るほど高度に変形可能な脂質液滴として記載することができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適合可能であり、例えば、それらは自己最適化性(皮膚中の細孔の形状に適合可能)であり、自己修復性であり、断片化せずにそれらの標的に高頻度で到達し、自己負荷性であることが多い。トランスファーソームを作製するため、表面縁部活性化物質、通常、界面活性剤を標準的なリポソーム組成物に添加することが可能である。トランスファーソームは、血清アルブミンを皮膚に送達するために使用されている。血清アルブミンのトランスファーソーム媒介送達は、血清アルブミンを含有する液剤の皮下注射と同程度に有効であることが示されている。

界面活性剤は、配合物、例えば、エマルション(例として、マイクロエマルション)およびリポソーム中に広く適用されている。天然および合成の両方の多くの異なるタイプの界面活性剤の特性を分類および順位付けする最も一般的な手法は、親水性/親油性バランス(HLB)の使用によるものである。親水性基(「頭部」としても公知)の性質は、配合物中で使用される異なる界面活性剤をカテゴライズする最も有用な手段を提供する(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。

界面活性剤分子がイオン化されていない場合、それは、非イオン性界面活性剤と分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬および化粧製品中に広く適用されており、広範なpH値にわたり使用可能である。一般に、これらのHLB値は、それらの構造に応じて2から約18の範囲である。非イオン性界面活性剤としては、非イオン性エステル、例えば、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、およびエトキシ化エステルが挙げられる。非イオン性アルカノールアミドおよびエーテル、例えば、脂肪酸アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコール、およびエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマーもこのクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤クラスの最も一般的なメンバーである。

界面活性剤分子が水中に溶解または分散されたときに負電荷を担持する場合、界面活性剤はアニオン性と分類される。アニオン性界面活性剤としては、カルボキシレート、例えば、石鹸、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、硫酸のエステル、例えば、アルキルスルフェート、エトキシ化アルキルスルフェート、スルホネート、例えば、アルキルベンゼンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレートおよびスルホスクシネート、およびホスフェートが挙げられる。アニオン性界面活性剤クラスの最も重要なメンバーは、硫酸アルキルおよび石鹸である。

界面活性剤分子が水中に溶解または分散されたときに正電荷を担持する場合、界面活性剤はカチオン性と分類される。カチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩およびエトキシ化アミンが挙げられる。第四級アンモニウム塩は、このクラスの最も使用されるメンバーである。

界面活性剤分子が正電荷または負電荷のいずれも担持する能力を有する場合、界面活性剤は両性と分類される。両性界面活性剤としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタインおよびホスファチドが挙げられる。薬物製品、配合物およびエマルション中での界面活性剤の使用は、概説されている(Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,p.285)。

核酸脂質粒子 一実施形態において、対象に投与されるdsRNAは、脂質配合物中に完全に封入して例えば、SPLP、pSPLP、SNALP、または他の核酸脂質粒子を形成する。

本明細書において使用される用語「SNALP」は、安定核酸脂質粒子、例として、SPLPを指す。本明細書において使用される用語「SPLP」は、脂質小胞内に封入されたプラスミドDNAを含む核酸脂質粒子を指す。SNALPおよびSPLPは、典型的には、カチオン性またはイオン化脂質、非カチオン性脂質、および粒子の凝集を妨げる脂質(例えば、PEG−脂質コンジュゲート)を含有する。SNALPおよびSPLPは、全身適用に極めて有用である。これというのも、これらが静脈内(i.v.)注射後に循環寿命の延長を示し、遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離隔した部位)において蓄積するためである。SPLPとしては、PCT国際公開第00/03683号パンフレットに記載の封入された縮合剤−核酸複合体を含む「pSPLP」が挙げられる。

粒子は、典型的には、約50nmから約150nm、より典型的には、約60nmから約130nm、より典型的には、約70nmから約110nm、最も典型的には、約70nmから約90nmの平均直径を有し、実質的に非毒性である。さらに、本発明の核酸−脂質粒子中に存在する核酸は、水溶液中でヌクレアーゼによる分解に対する耐性を示す。核酸−脂質粒子およびそれらの調製方法は、例えば、米国特許第5,976,567号明細書;米国特許第5,981,501号明細書;米国特許第6,534,484号明細書;米国特許第6,586,410号明細書;米国特許第6,815,432号明細書;およびPCT国際公開第96/40964号パンフレットに開示されている。

一実施形態において、脂質と薬物との比(質量/質量比)(例えば、脂質とdsRNAとの比)は、約1:1から約50:1、約1:1から約25:1、約3:1から約15:1、約4:1から約10:1、約5:1から約9:1、または約6:1から約9:1の範囲である。

カチオン性およびイオン化脂質は、例えば、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(I−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイオキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイオキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、または3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオ(propanedio)(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)またはそのアナログ、(3aR,5s,6aS)−N,N−ジメチル−2,2−ジ((9Z,12Z)−オクタデカ−9,12−ジエニル)テトラヒドロ−3aH−シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール−5−アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)−ヘプタトリアコンタ−6,9,28,31−テトラエン−19−イル4−(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3),1,1’−(2−(4−(2−((2−(ビス(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2−ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン−1−イル)エチルアザネジイル)ジドデカン−2−オール(Tech G1)、またはそれらの混合物であり得る。カチオン性またはイオン化脂質は、粒子中に存在する総脂質の約20mol%から約50mol%または約40mol%含まれ得る。

別の実施形態において、化合物2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランを脂質−siRNAナノ粒子を調製するために使用することができる。2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソランの合成は、参照により本明細書に組み込まれる2008年10月23日に出願された米国仮特許出願第61/107,998号明細書に記載されている。

一実施形態において、脂質−siRNA粒子は、40%の2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン:10%のDSPC:40%のコレステロール:10%のPEG−C−DOMG(モルパーセント)を含み、粒子サイズは、63.0±20nmであり、siRNA/脂質比は、0.027である。

非カチオン性脂質は、アニオン性脂質または中性脂質、例として、限定されるものではないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−l−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジル−エタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−トランスPE、1−ステアロイル−2−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、またはそれらの混合物であり得る。非カチオン性脂質は、コレステロールが含まれる場合、粒子中に存在する総脂質の約5mol%から約90mol%、約10mol%、または約58mol%であり得る。

粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)−脂質、例として、限定されるものではないが、PEG−ジアシルグリセロール(DAG)、PEG−ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG−リン脂質、PEG−セラミド(Cer)、またはそれらの混合物であり得る。PEG−DAAコンジュゲートは、例えば、PEG−ジラウリルオキシプロピル(Ci2)、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(Ci4)、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(Ci6)、またはPEG−ジステアリルオキシプロピル(C]8)であり得る。粒子の凝集を妨げるコンジュゲート脂質は、粒子中に存在する総脂質の0mol%から約20mol%または約2mol%であり得る。

一部の実施形態において、核酸−脂質粒子は、コレステロールを、例えば、粒子中に存在する総脂質の約10mol%から約60mol%または約48mol%においてさらに含む。

LNP01 一実施形態において、脂質−dsRNAナノ粒子(すなわち、LNP01粒子)を調製するためにリピドイドND98・4HCl(MW1487)(参照により全体として本明細書に組み込まれる2008年3月26日に出願された米国特許出願第12/056,230号明細書参照)、コレステロール(Sigma−Aldrich)、およびPEG−Ceramide C16(Avanti Polar Lipids)を使用することができる。エタノール中のそれぞれの原液を以下のとおり調製することができる:ND98、133mg/ml;コレステロール、25mg/ml、PEG−セラミドC16、100mg/ml。次いで、ND98、コレステロール、およびPEG−セラミドC16原液を例えば、42:48:10のモル比で合わせることができる。合わせた脂質溶液を水性dsRNA(例えば、酢酸ナトリウムpH5中)と、最終エタノール濃度が約35〜45%になり、最終酢酸ナトリウム濃度が約100〜300mMになるように混合することができる。脂質−dsRNAナノ粒子は、典型的には、混合時に自然に形成する。所望の粒子サイズ分布に応じて、得られたナノ粒子混合物を、例えば、サーモバレル(thermobarrel)押出機、例えば、Lipex Extruder(Northern Lipids,Inc)を使用してポリカーボネート膜(例えば、100nmカットオフ)を介して押出することができる。一部の例において、押出工程は、省略することができる。エタノール除去および同時緩衝液交換は、例えば、透析またはタンジェンシャルフロー濾過により達成することができる。緩衝液は、例えば、約pH7、例えば、約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3、または約pH7.4におけるリン酸緩衝液(PBS)と交換することができる。

LNP01配合物は、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際出願公開国際公開第2008/042973号パンフレットに記載されている。

追加の例示的な脂質−dsRNA配合物としては、以下のものが挙げられる:

SNALP(1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA))を含む配合物は、参照により本明細書に組み込まれる2009年4月15日に出願された国際公開第2009/127060号パンフレットに記載されている。

XTCを含む配合物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる2009年9月3日に出願された米国仮特許出願第61/239,686号明細書に記載されている。

MC3を含む配合物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる2009年9月22日に出願された米国仮特許出願第61/244,834号明細書、2009年6月10日に出願された米国仮特許第61/185,800号明細書および2010年6月10日に出願された国際出願第PCT/US28224号明細書に記載されている。

ALNY−100を含む配合物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる2009年11月10日に出願された国際特許出願第PCT/US09/63933号明細書に記載されている。

C12−200を含む配合物は、参照により本明細書に組み込まれる2009年5月5日に出願された米国仮特許出願第61/175,770号明細書および2010年5月5日に出願された国際出願第PCT/US10/33777号明細書に記載されている。

経口投与のための組成物および配合物としては、散剤または顆粒剤、微粒子剤、ナノ粒子剤、水性または非水性媒体中の懸濁液または液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤、錠剤または小型錠剤が挙げられる。増粘剤、着香剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が望ましいことがある。一部の実施形態において、経口配合物は、本発明において挙げられるdsRNAが1つ以上の浸透向上剤、界面活性剤およびキレート化剤とともに投与されるものである。好適な界面活性剤としては、脂肪酸および/またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸および/またはその塩が挙げられる。好適な胆汁酸/塩としては、ケノデオキシコール酸(CDCA)およびウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸(glucholic acid)、グリコール酸(glucholic acid)、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、ナトリウムタウロ−24,25−ジヒドロ−フシデートおよびナトリウムグリコジヒドロフシデートが挙げられる。好適な脂肪酸としては、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、またはモノグリセリド、ジグリセリドまたは薬学的に許容可能なそれらの塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。一部の実施形態において、浸透向上剤の組合せ、例えば、脂肪酸/塩を胆汁酸/塩との組合せにおいて使用する。1つの例示的な組合せは、ラウリン酸のナトリウム塩、カプリン酸およびUDCAである。さらなる浸透向上剤としては、ポリエオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリエオキシエチレン−20−セチルエーテルが挙げられる。本発明において挙げられるdsRNAは、顆粒形態、例として、噴霧乾燥粒子で経口送達し、または複合体化させてマイクロもしくはナノ粒子を形成することができる。dsRNA複合体化剤としては、ポリアミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート、ポリオキセタン、ポリアルキルシアノアクリレート;カチオン化ゼラチン、アルブミン、デンプン、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)およびデンプン;ポリアルキルシアノアクリレート;DEAE誘導体化ポリイミ、ポルラン(pollulan)、セルロースおよびデンプンが挙げられる。好適な複合体化剤としては、キトサン、N−トリメチルキトサン、ポリ−L−リジン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p−アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、DEAE−メタクリレート、DEAE−ヘキシルアクリレート、DEAE−アクリルアミド、DEAE−アルブミンおよびDEAE−デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(DL−乳酸−co−グリコール酸(PLGA)、アルギネート、ならびにポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNAのための経口配合物およびそれらの調製は、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,887,906号明細書、米国特許出願公開第20030027780号明細書、および米国特許第6,747,014号明細書に詳述されている。

非経口、実質内(脳中)、鞘内、脳室内、または肝内投与のための組成物および配合物としては、緩衝液、希釈剤および他の好適な添加剤、例えば、限定されるものではないが、浸透向上剤、担体化合物および他の薬学的に許容可能な担体または賦形剤も含有し得る無菌水溶液を挙げることができる。

本発明の医薬組成物としては、限定されるものではないが、液剤、エマルション、およびリポソーム含有配合物が挙げられる。これらの組成物は、限定されるものではないが、既成液体、自己乳化固体および自己乳化半固体が挙げられる種々の構成要素から生成することができる。典型的な配合物は、肝障害、例えば、肝癌が治療される場合、肝臓を標的化する。

医薬配合物は、簡便には、単位剤形で提供することができ、薬学産業において周知の慣用の技術に従って調製することができる。このような技術は、活性成分を医薬担体または賦形剤と会合させる工程を含む。一般に、配合物は、活性成分を液体担体または微粉固体担体またはその両方と均等および緊密に会合させ、次いで、必要により、製品に成形することにより調製する。

本発明の組成物は、多くの考えられる剤形のいずれか、例えば、限定されるものではないが、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟ゲル剤、坐剤、および浣腸剤に配合することができる。本発明の組成物は、水性、非水性または混合媒体中の懸濁液として配合することもできる。水性懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例として、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランをさらに含有し得る。懸濁液は、安定剤も含有し得る。

追加の配合物 エマルション 対象に投与すべきiRNAは、エマルションとして調製および配合することができる。エマルションは、典型的には、ある液体が通常直径0.1μmを超過する液滴の形態で別のものに分散している不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchi et al.,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301参照)。エマルションは、互いに緊密に混合および分散された2つの非混和性液相を含む二相系であることが多い。一般に、エマルションは、油中水型(w/o)または水中油型(o/w)種のいずれかのものであり得る。水相が微細化され、微小液滴としてバルク油相中に分散している場合、得られる組成物は油中水型(w/o)エマルションと呼ばれる。あるいは、油相が微細化され、バルク水相中に微小液滴として分散している場合、得られる組成物は水中油型(o/w)エマルションと呼ばれる。エマルションは、分散相、および水相、油相のいずれかの溶液または別個の相としてそれ自体として存在し得る活性薬物に加えて追加の構成要素を含有し得る。医薬賦形剤、例えば、乳化剤、安定剤、色素、および酸化防止剤も、必要によりエマルション中に存在し得る。医薬エマルションは、例えば、油中水中油型(o/w/o)および水中油中水型(w/o/w)エマルションの場合のような、3つ以上の相からなる多相エマルションでもあり得る。このような複合配合物は、単純な二元エマルションが提供しないある利点を提供することが多い。o/wエマルションの個々の油液滴が小さい水液滴を包む多相エマルションは、w/o/wエマルションを構成する。同様に、油連続相中で安定化された水の小球中に包まれた油液滴の系は、o/w/oエマルションを提供する。

エマルションは、熱力学安定性をほとんど有さず、または有さないことを特徴とする。エマルションの分散または不連続相は、外部または連続相中に十分分散しており、乳化剤の手段または配合物の粘度を介してこの形態で維持されることが多い。エマルションの相のいずれも、エマルション型軟膏基剤およびクリーム剤の場合と同様、半固体または固体であり得る。エマルションを安定化させる他の手段は、エマルションのいずれの相中にも取り込むことができる乳化剤の使用を伴う。乳化剤は、4つのカテゴリーに広く分類することができる:合成界面活性剤、天然に生じた乳化剤、吸収基剤、および微細分散固体(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker (Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199参照)。

合成界面活性剤は、表面活性剤としても公知であり、エマルションの配合物中に広い適用可能であり、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),Marcel Dekker Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199参照)。界面活性剤は、典型的には、両親媒性であり、親水性および疎水性部分を含む。界面活性剤の親水性の性質と疎水性の性質との比は、親水性/親油性バランス(HLB)と称され、配合物の調製における界面活性剤のカテゴライズおよび選択における有益なツールである。界面活性剤は、親水性基の性質に基づき異なるクラス:非イオン性、アニオン性、カチオン性および両性に分類することができる(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins (8th ed.),New York,NY Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman, Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285参照)。

エマルション配合物中で使用される天然に生じた乳化剤としては、ラノリン、ミツロウ、ホスファチド、レシチンおよびアカシアガムが挙げられる。吸収基剤、例えば、無水ラノリンおよび親水性ワセリンは、それらが水を吸い上げ、w/oエマルションを形成し、依然としてそれらの半固体コンシステンシーを保持し得るように親水特性を有する。微粉固体も、良好な乳化剤として特に界面活性剤との組合せにおいて、および粘性調製物中に使用されている。これらとしては、極性無機固体、例えば、重金属水酸化物、非膨潤クレー、例えば、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウムおよびコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、顔料および非極性固体、例えば、カーボンまたはグリセリルトリステアレートが挙げられる。

多種多様の非乳化材料もエマルション配合物中に含まれ、エマルションの特性に寄与する。これらとしては、脂肪、油、ロウ、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、保湿剤、親水性コロイド、保存剤および酸化防止剤が挙げられる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman, Rieger and Banker (Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。

親水性コロイドまたは親水コロイドとしては、天然に生じたガムおよび合成ポリマー、例えば、多糖(例えば、アカシアガム、寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、カラヤガム、およびトラガカントガム)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシプロピルセルロース)、および合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、およびカルボキシビニルポリマー)が挙げられる。これらは、水中で分散または膨潤し、分散相液滴周囲に強力な界面皮膜を形成し、外部相の粘度を増加させることによりエマルションを安定化させるコロイド溶液を形成する。

エマルションは、微生物の成長を容易に支持し得る多数の成分、例えば、炭水化物、タンパク質、ステロールおよびホスファチドを含有することが多いため、これらの配合物は、保存剤を取り込むことが多い。エマルション配合物中に一般に使用される保存剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、およびホウ酸が挙げられる。酸化防止剤も、配合物の劣化を妨げるためにエマルション配合物に添加する。使用される酸化防止剤は、フリーラジカルスカベンジャー、例えば、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、または還元剤、例えば、アスコルビン酸およびメタ重硫酸ナトリウム、および酸化防止剤相乗剤、例えば、クエン酸、酒石酸、およびレシチンであり得る。

皮膚、経口および非経口経路を介するエマルション配合物の適用ならびにそれらの製造方法は、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,およびAnsel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman, Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199参照)。経口送達のためのエマルション配合物は、配合の容易性、ならびに吸収およびバイオアベイラビティーの観点からの効力のため極めて広く使用されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker (Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199参照)。鉱油ベース緩下剤、油溶性ビタミンおよび高脂肪栄養調製物は、o/wエマルションとして一般に経口投与される材料のものである。

本発明の一実施形態において、iRNAおよび核酸の組成物は、マイクロエマルションとして配合する。マイクロエマルションは、単一の光学的等方性および熱力学安定性の液体溶液である水、油および両新媒性の系と定義することができる(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245参照)。典型的には、マイクロエマルションは、最初に油を水性界面活性剤溶液中で分散させ、次いで十分量の第4の構成要素、一般に、中間鎖長アルコールを添加して透明系を形成することにより調製された系である。したがって、マイクロエマルションは、表面活性分子の界面皮膜により安定化された2つの非混和性液体の熱力学的に安定な、等方的に澄明な分散液と記載することもできる(Leung and Shah,in:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pages 185−215)。マイクロエマルションは、一般に、油、水、界面活性剤、コサーファクタントおよび電解質を含む3から5つの構成要素の組合せを介して調製する。マイクロエマルションが油中水型(w/o)タイプか水中油型(o/w)タイプかは、使用される油および界面活性剤の特性、ならびに界面活性剤分子の極性頭部および炭化水素尾部の構造および幾何学的充填に依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。

相ダイアグラムを利用する現象学的アプローチは、広範に研究されており、マイクロエマルションの配合の仕方の包括的な知識を当業者にもたらした(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams & Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,MarcelDekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335参照)。慣用のエマルションと比較して、マイクロエマルションは、水不溶性薬物を自然に形成された熱力学的に安定な液滴の配合物中で可溶化させる利点を提供する。

マイクロエマルションの調製において使用される界面活性剤としては、限定されるものではないが、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレエート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレエート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレエート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオレエート(SO750)、デカグリセロールデカオレエート(DAO750)の単独物またはコサーファクタントとの組合せが挙げられる。コサーファクタント、通常、短鎖アルコール、例えば、エタノール、1−プロパノール、および1−ブタノールは、界面活性剤皮膜中に浸透し、結果的に界面活性剤分子間に生成された隙間のため不規則皮膜を作出することにより界面流動率を増加させるように機能する。しかしながら、マイクロエマルションは、コサーファクタントの使用なしで調製することができ、アルコール不含自己乳化マイクロエマルション系が、当分野において公知である。水相は、典型的には、限定されるものではないが、水、薬物の水溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、およびエチレングリコールの誘導体であり得る。油相としては、限定されるものではないが、材料、例えば、Captex300、Captex355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8〜C12)モノ、ジ、およびトリグリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、植物油ならびにシリコーン油を挙げることができる。

マイクロエマルションは、薬物可溶化および薬物吸収の向上の観点から特に興味深い。脂質ベースマイクロエマルション(o/wおよびw/oの両方)は、薬物、例として、ペプチドの経口バイオアベイラビティーを向上させることが提案されている(例えば、米国特許第6,191,105号明細書;米国特許第7,063,860号明細書;米国特許第7,070,802号明細書;米国特許第7,157,099号明細書;Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385−1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205参照)。マイクロエマルションは、薬物可溶化の改善、酵素加水分解からの薬物の保護、膜流動性および浸透性の界面活性剤誘導変化に起因して考えられる薬物吸収の向上、調製の容易性、固体剤形と比べた経口投与の容易性、臨床力価の改善、ならびに毒性の減少の利点をもたらす(例えば、米国特許第6,191,105号明細書;米国特許第7,063,860号明細書;米国特許第7,070,802号明細書;米国特許第7,157,099号明細書;Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Ho et al.,J.Pharm.Sci.,1996,85,138−143参照)。マイクロエマルションは、それらの構成要素が周囲温度において一緒にされたときに自然に形成し得ることが多い。これは、熱不安定薬物、ペプチドまたはiRNAを配合する場合に特に有利である。マイクロエマルションは、化粧および医薬用途の両方において活性構成要素の経皮送達においても有効である。本発明のマイクロエマルション組成物および配合物は、胃腸管からのiRNAおよび核酸の全身吸収の増加を易化し、iRNAおよび核酸の局所的な細胞取り込みを改善することが予期される。

本発明のマイクロエマルションは、配合物の特性を改善するためならびに本発明のiRNAおよび核酸の吸収を向上させるための追加の構成要素および添加剤、例えば、ソルビタンモノスレアレート(Grill3)、Labrasol、および浸透向上剤も含有し得る。本発明のマイクロエマルション中で使用される浸透向上剤は、5つの広いカテゴリー、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、および非キレート化非界面活性剤の1つに属すると分類することができる(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらのクラスのそれぞれは、上記に考察した。

浸透向上剤 一実施形態において、本発明は、動物の皮膚への核酸、特にiRNAの効率的な送達をもたらすための種々の浸透向上剤を用いる。ほとんどの薬物は、溶液中でイオン化および非イオン化形態の両方で存在する。しかしながら、通常、脂溶性または親油性薬物のみが、細胞膜を容易に越える。非親油性薬物でさえ、越えるべき膜が浸透向上剤により処理された場合、細胞膜を越え得ることが発見されている。浸透向上剤は、細胞膜を越える非親油性薬物の拡散を支援することに加え、親油性薬物の浸透性も向上させる。

浸透向上剤の一部の非限定的な例としては、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、および非キレート化非界面活性剤が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92参照)。

界面活性剤:界面活性剤(または「表面活性剤」)は、溶液の表面張力または水溶液と別の液体との界面張力を低減させ、結果として粘膜を介するiRNAの吸収を向上させる。さらに、胆汁酸塩および脂肪酸に加え、これらの浸透向上剤としては、例えば、ナトリウムラウリルスルフェート、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−20−セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92参照);ならびにペルフルオロ化学エマルション、例えば、FC−43.Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が挙げられる。

脂肪酸:浸透向上剤として作用する種々の脂肪酸およびそれらの誘導体としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレオイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1〜20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピルおよびt−ブチル)、ならびにそれらのモノおよびジグリセリド(すなわち、オレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が挙げられる(例えば、Touitou,E.,et al.Enhancement in Drug Delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.1992,44,651−654参照)。

胆汁酸塩:胆汁の生理学的役割としては、脂質および脂溶性ビタミンの分散および吸収の易化が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Brunton,Chapter 38 in:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.Eds.,McGraw−Hill,New York,1996,pp.934−935参照)。用語「胆汁酸塩」としては、胆汁の天然に生じた構成要素のいずれかおよびそれらの合成誘導体のいずれかが挙げられる。好適な胆汁酸塩としては、例えば、コール酸(または薬学的に許容可能なそのナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、ナトリウムタウロ−24,25−ジヒドロ−フシデート(STDHF)、ナトリウムグリコジヒドロフシデートおよびポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In: Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pages 782−783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579−583参照)。

キレート化剤:キレート化剤は、錯体を形成することにより溶液から金属イオンを除去し、結果として粘膜を介するiRNAの吸収を向上させる化合物と定義することができる。浸透向上剤としてのこれらの使用に関して、キレート化剤は、DNアーゼインヒビターとしても機能する追加の利点を有する。これというのも、ほとんどの特性決定されたDNAヌクレアーゼは触媒のために二価金属イオンを要求し、したがってキレート化剤により阻害されるためである(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315−339)。好適なキレート化剤としては、限定されるものではないが、ジナトリウムエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えば、ナトリウムサリチレート、5−メトキシサリチレートおよびホモバニレート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9およびβ−ジケトンのN−アミノアシル誘導体(エナミン)が挙げられる(例えば、Katdare,A.et al.,Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43−51参照)。

非キレート化非界面活性剤:本明細書において使用される非キレート化非界面活性剤の浸透向上化合物は、キレート化剤としてまたは界面活性剤としてのわずかな活性を実証するが、それにもかかわらず、消化器粘膜を介するiRNAの吸収を向上させる化合物である(例えば、Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33参照)。このクラスの浸透向上剤としては、例えば、不飽和環状尿素、1−アルキル−および1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92)ならびに非ステロイド抗炎症剤、例えば、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンおよびフェニルブタゾン(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621−626)が挙げられる。細胞レベルにおけるiRNAの取り込みを向上させる薬剤を、本発明の医薬および他の組成物に添加することもできる。例えば、カチオン性脂質、例えば、リポフェクション(Junichi et al,米国特許第5,705,188号明細書)、カチオン性グリセロール誘導体、およびポリカチオン性分子、例えば、ポリリジン(Lollo et al.,PCT出願国際公開第97/30731号パンフレット)も、dsRNAの細胞取り込みを向上させることが公知である。市販の形質移入試薬の例としては、例えば、とりわけ、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、DMRIE−C(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、FreeStyle(商標)MAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)2000CD(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、RNAiMAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、X−tremeGENE Q2形質移入試薬(Roche;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAPリポソーム形質移入試薬(Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOSPERリポソーム形質移入試薬(Grenzacherstrasse,Switzerland)、またはFugene(Grenzacherstrasse,Switzerland)、Transfectam(登録商標)試薬(Promega;Madison,WI)、TransFast(商標)形質移入試薬(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−20試薬(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)−50試薬(Promega;Madison,WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille,France)、TransPassa D1形質移入試薬(New England Biolabs;Ipswich,MA,USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invivogen;San Diego,CA,USA)、PerFectin形質移入試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、NeuroPORTER形質移入試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER形質移入試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER2形質移入試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、Cytofectin形質移入試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、BaculoPORTER形質移入試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、TroganPORTER(商標)形質移入試薬(Genlantis;San Diego,CA,USA)、RiboFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、PlasFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、UniFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、SureFECTOR(B−Bridge International;Mountain View,CA,USA)、またはHiFect(商標)(B−Bridge International,Mountain View,CA,USA)が挙げられる。

他の薬剤、例として、グリコール、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコール、ピロール、例えば、2−ピロール、アゾン、およびテルペン、例えば、リモネンおよびメントンを、投与される核酸の浸透を向上させるために利用することができる。

担体 本発明のある組成物は、配合物中に担体組成物も取り込む。本明細書において使用される「担体化合物」または「担体」は、不活性である(すなわち、それ自体生物学的活性を有さない)が、例えば、生物活性核酸を分解することまたは循環からのその除去を促進することにより生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビティーを低減させるインビボプロセスにおいて核酸と認識される核酸、またはそのアナログを指し得る。核酸および担体化合物の同時投与(典型的には、担体物質が過剰)は、おそらく共通の受容体についての担体化合物と核酸との競合に起因して肝臓、腎臓または他の循環外溜め中に回収される核酸の量の実質的な低減をもたらし得る。例えば、肝組織中の部分的ホスホロチオエートdsRNAの回収は、それがポリイノシン酸、硫酸デキストラン、ポリシチジン酸または4−アセトアミド−4’−イソチオシアノ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸と同時投与された場合、低減させることができる(Miyao et al.,DsRNA Res.Dev.,1995,5,115−121;Takakura et al.,DsRNA & Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177−183。

賦形剤 担体化合物とは対照的に、「医薬担体」または「賦形剤」は、薬学的に許容可能な溶媒、懸濁化剤または動物への1つ以上の核酸の送達のための任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体または固体であり得、所与の医薬組成物の核酸および他の構成要素と合わせた場合、所望のバルク、コンシステンシーなどを提供するように、計画された投与様式を考慮して選択する。典型的な医薬担体としては、限定されるものではないが、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);増量剤(例えば、ラクトースおよび他の糖、微結晶性セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレートまたはリン酸水素ナトリウムなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、硬化植物油、トウモロコシデンプン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど);および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。

核酸と有害反応しない非経口投与に好適な薬学的に許容可能な有機または無機賦形剤も、本発明の組成物を配合するために使用することができる。好適な薬学的に許容可能な担体としては、限定されるものではないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。

核酸の局所投与のための配合物としては、一般の溶媒、例えば、アルコール中の無菌および非無菌水性溶液、非水性溶液、または液体もしくは固体油性基剤中の核酸の溶液を挙げることができる。溶液は、緩衝液、希釈剤および他の好適な添加剤も含有し得る。核酸と有害反応しない非経口投与に好適な薬学的に許容可能な有機または無機賦形剤を使用することができる。

好適な薬学的に許容可能な賦形剤としては、限定されるものではないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。

他の構成要素 組成物は、医薬組成物中に慣用的に見出される他の付加構成要素を、それらの当分野において確立された使用量レベルにおいてさらに含有し得る。したがって、例えば、組成物は、追加の適合性の薬学的に活性な材料、例えば、鎮痒剤、収斂剤、局所麻酔剤もしくは抗炎症剤などを含有し得、または本発明の組成物の種々の剤形の物理的配合において有用な追加の材料、例えば、色素、着香剤、保存剤、酸化防止剤、乳白剤、増粘剤および安定剤を含有し得る。しかしながら、このような材料は、添加される場合、本発明の組成物の構成要素の生物学的活性を過度に干渉すべきでない。配合物は、安定化させ、所望により、配合物の核酸と有害相互作用しない助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝液、着色剤、着香剤および/または芳香物質などと混合することができる。

水性懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例として、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランを含有し得る。懸濁液は、安定剤も含有し得る。

一部の実施形態において、医薬組成物は、(a)1つ以上のiRNA化合物および(b)非RNAi機序により機能する1つ以上の抗サイトカイン生物剤を含み得る。このような生物剤の例としては、IL1β(例えば、アナキンラ)、IL6(例えば、トシリズマブ)、またはTNF(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、アドリムマブ、またはセルトリズマブ)を標的化する生物剤が挙げられる。

このような化合物の毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%の致死用量)およびED50(集団の50%における治療有効用量)を判定するための細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順により判定することができる。毒性効果と治療効果との用量比は、治療指数であり、それは、LD50/ED50の比として表現することができる。高い治療指数を示す化合物が典型的である。

細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトにおける使用のための一連の投与量の配合において使用することができる。本明細書において挙げられる組成物の投与量は、一般に、毒性をほとんど有さず、または有さないED50を含む循環濃度の範囲内である。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。本発明において挙げられる方法において使用される任意の化合物について、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。用量は、細胞培養物において判定されるIC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む化合物の、または適宜、標的配列のポリペプチド産物(例えば、ポリペプチドの濃度の減少を達成)の循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて配合することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に判定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより計測することができる。

本明細書に記載のiRNAは、上記で考察されるこれらの投与に加え、標的発現により媒介される病理学的プロセスの治療において有効な他の公知の薬剤との組合せで投与することができる。任意のイベントにおいて、投与する医師は、当分野において公知のまたは本明細書に記載の効力の標準的な尺度を使用して観察された結果に基づきiRNA投与の量およびタイミングを調整することができる。

VI.アンタゴmir 本明細書に記載の方法は、例えば、アンタゴmirを対象に投与した後のアンタゴmir活性のモニタリングに有用であり得る。

アンタゴmirは、RNアーゼ保護および薬理学的特性のための種々の改変、例えば、向上した組織および細胞取り込みを保有するRNA様オリゴヌクレオチドである。これらは、通常のRNAとは、例えば、糖の完全な2’−O−メチル化、ホスホロチオエート骨格および、例えば、3’末端におけるコレステロール部分が異なる。アンタゴmirは、アンタゴmirおよび内因性miRNAを含むデュプレックスを形成し、それによりmiRNA誘導遺伝子サイレンシングを妨げることにより内因性miRNAを効率的にサイレンシングするために使用することができる。アンタゴmir媒介miRNAサイレンシングの一例は、参照により全体として本明細書に明確に組み込まれるKrutzfeldt et al,Nature,2005,438:685−689に記載のmiR−122のサイレンシングである。アンタゴmirRNAは、標準的な固相オリゴヌクレオチド合成プロトコルを使用して合成することができる。米国特許出願11/502,158第号明細書および米国特許出願第11/657,341号明細書(それぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)参照。アンタゴmirは、リガンドコンジュゲートモノマーサブユニットおよびオリゴヌクレオチド合成のためのモノマーを含み得る。例示的なモノマーは、米国特許出願公開第20050107325号明細書に記載されている。アンタゴmirは、例えば、国際公開第2004/080406号パンフレットに記載のZXY構造を有し得る。アンタゴmirは、両親媒性部分と複合体化することができる。オリゴヌクレオチド薬剤とともに使用される例示的な両親媒性部分は、国際公開第2004/080406号パンフレットに記載されている。

アンタゴmirは、マイクロRNAを標的化する一本鎖、二本鎖、部分的二本鎖またはヘアピン構造、化学的改変オリゴヌクレオチドであり得る。アンタゴmirは、内因性miRNAと実質的に相補的な約12以上の連続ヌクレオチドから本質的になり、またはそれを含み得、より特定すると、miRNAまたはプレmiRNAヌクレオチド配列の標的配列と実質的に相補的な約12以上の連続ヌクレオチドを含む薬剤である。ある実施形態において、本発明において挙げられるアンタゴmirは、約12から25ヌクレオチド、一部の例において約15から23ヌクレオチドのmiRNA標的配列にハイブリダイズするために十分に相補的なヌクレオチド配列を含む。

アンタゴmirは、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際公開第2007/021896号パンフレットにさらに記載されている。

アンタゴmirの活性は、例えば、アンタゴmirの投与前後の生物試料、例えば、生物体液、例えば、血液、血清、尿またはCSF試料中の標的miRNAレベルを検出することによりアッセイすることができる。例えば、アンタゴmirは、例えば、miR−122、miR−16、miR−192、またはmiR−194を標的化し得、アンタゴmirの効力は、生物試料中の標的miRNAのレベルをモニタリングすることにより評価することができる。

VII.miRNA模倣物 本明細書に記載の方法は、例えば、mi模倣物を対象に投与した後のmiRNA模倣物の活性のモニタリングに有用であり得る。

miRNA模倣物は、1つ以上のmiRNAの遺伝子サイレンシング能を模倣するために使用することができる分子のクラスを表す。したがって、用語「マイクロRNA模倣物」は、RNAi経路に入り、遺伝子発現を調節し得る合成非コードRNAを指す(すなわち、miRNAは、内因性miRNAの資源からの精製により得ない)。miRNA模倣物は、成熟分子(例えば、一本鎖)または模倣前駆体(例えば、プリまたはプレmiRNA)として設計することができる。miRNA模倣物は、限定されるものではないが、RNA、改変RNA、DNA、改変DNA、ロックド核酸、または2’−O,4’−C−エチレン−架橋核酸(ENA)、または上記のものの任意の組合せ(例として、DNA−RNAハイブリッド)を含むオリゴヌクレオチドを含む核酸(改変または改変核酸)からなり得る。さらに、miRNA模倣物は、送達、細胞内区画化、安定性、特異性、機能性、ストランド頻度、および/または力価に影響し得るコンジュゲートを含み得る。1つの設計において、miRNA模倣物は、二本鎖分子(例えば、約16から約31ヌクレオチド長のデュプレックス領域を有する)であり、所与のmiRNAの成熟ストランドとの同一性を有する1つ以上の配列を含有する。改変は、核酸安定性および/または特異性を向上させる分子の一方または両方のストランド上の2’改変(例として、2’−Oメチル改変および2’F改変)およびヌクレオチド内改変(例えば、ホスホロチオエート改変)を含み得る。

さらにmiRNA模倣物は、オーバーハングを含み得る。オーバーハングは、いずれかのストランドの3’または5’末端上のいずれかの1〜6ヌクレオチドからなり得、安定性または機能性を向上させるように改変することができる。一実施形態において、miRNA模倣物は、16から31ヌクレオチドのデュプレックス領域および以下の化学改変パターンの1つ以上を含み:センスストランドは、1および2つ目のヌクレオチド(センスオリゴヌクレオチドの5’末端からカウント)、ならびにCおよびUの全ての2’−O−メチル改変を含有し;アンチセンスストランド改変は、CおよびUの全ての2’F改変、オリゴヌクレオチドの5’末端のリン酸化、ならびに2ヌクレオチド3’オーバーハングと会合する安定化ヌクレオチド内結合を含み得る。

miRNA模倣物の活性は、miRNA模倣物の投与前後の生物試料、例えば、血液もしくは血清、または尿またはCSF試料中の標的mRNAのレベルを検出することによりアッセイすることができる。

VIII.遺伝子治療 本明細書において、対象への治療(例えば、外因性)遺伝子治療物の導入を検出し、遺伝子治療物の活性(例えば、発現)を検出およびモニタリングするアッセイおよび方法が提供される。例えば、遺伝子治療物のRNA産物は、本明細書に記載の方法およびアッセイを使用して検出することができる。一実施形態において、遺伝子治療物の活性は、対象の生物試料、例えば、血液、血清、尿またはCSF試料中の遺伝子治療物から発現されるタンパク質を検出することによりモニタリングする。遺伝子治療物は、DNAエフェクター分子の送達に有用である。

遺伝子治療は、一般に、発現が遺伝性障害の改善または治療をもたらす細胞中への1つ以上の治療遺伝子(例えば、トランス遺伝子)の導入を含む。含まれる治療遺伝子は、タンパク質、構造または酵素RNA、阻害産物、例えば、アンチセンスRNAもしくはDNA、または任意の他の遺伝子産物をコードするものであり得る。発現は、そのような遺伝子産物の生成またはそのような遺伝子産物の生成の得られる効果である。したがって、発現の向上としては、任意の治療遺伝子のより多い産生または細胞、組織、臓器または生物の状態の判定におけるその産物の役割の増大が挙げられる。

核酸を細胞中に導入するための技術は、核酸をインビトロで培養細胞中に移すかインビボで意図される宿主の細胞中に直接注射するかに応じて変動する。核酸をインビトロで哺乳動物細胞中に移すために好適な技術としては、リポソーム、エレクトロポレーション(Luxembourg A.,et al.,Expert Opinion Biol.Ther.7(11):1647−1664(2007);Kesaraju P,et al.,Mol.Ther.14(3):416−422(2006);Luxembourg,et al.,Vaccine(24(21):4490−4493(2006))、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈殿法などの使用が挙げられる。

他の例示的遺伝子移入技術としては、ウイルス(典型的には、レトロウイルス)ベクターによる形質移入およびウイルスコートタンパク質−リポソーム媒介形質移入(Dzau,et al.,Trends in Biotechnology 11(5):205−10(1993))、幹細胞治療、ならびにcDNAによるワクチン接種が挙げられる。

細胞免疫応答エレメントまたはその断片が哺乳動物中で発現されるようにポリヌクレオチドをインビボで哺乳動物に投与することは、哺乳動物遺伝子発現についての分野において公知の方法を使用して達成することができる。例えば、発現系および送達系を含む発現可能なポリヌクレオチドを哺乳動物に投与するそのような方法は、米国特許第6,875,748号明細書、米国特許第5,763,270号明細書、米国特許第5,580,859号明細書、米国特許第6,040,295号明細書、および米国特許第6,034,072号明細書に見出すことができる。

治療遺伝子は、カセット内の核酸の発現のための必須エレメントを含有するプラスミドとして投与することができる。発現は、挿入遺伝子、核酸配列、またはプラスミドを有する核酸カセットの効率的な転写を含む。発現産物は、タンパク質、ポリペプチドまたはRNAであり得る。核酸配列は、核酸カセット中に含有させることができる。核酸の発現は、連続的または規則的であり得る。

本明細書において、遺伝子治療物の活性をモニタリングする方法が提供される。例えば、遺伝子治療物により発現されるRNA(例えば、mRNAまたはiRNA薬剤)は、遺伝子治療物が発現されているかどうかおよびどの程度発現されているかを判定するための手段として対象における生物試料中で検出することができる。一部の実施形態において、遺伝子治療物の効力は、遺伝子治療物から発現されるタンパク質産物を検出することによりモニタリングする。

標的遺伝子の発現により引き起こされる疾患を治療する方法 iRNA薬剤またはモジュレーターを使用して治療すべき疾患としては、典型的には、遺伝子産物の過剰活性を有し、またはその活性を欠損する疾患が挙げられる。したがって、iRNA薬剤またはモジュレーターを投与して過剰活性を有する遺伝子の発現を阻害することができる。あるいは、遺伝子発現を活性化させる治療遺伝子、DNAエフェクター分子、またはRNA活性化剤を使用して遺伝子産物の活性欠損を補うことができる。標的遺伝子を疾患の発病または伝播に関与すると同定することができる本質的に任意の疾患を、iRNA薬剤またはモジュレーターを使用して治療することができる。本明細書に記載のアッセイは、対象中のiRNA薬剤またはモジュレーターの効力のモニタリングに有用である。

RNAまたはDNAエフェクター分子は、追加の治療剤との組合せで投与することができる。RNAもしくはDNAエフェクター分子および追加の治療剤は、同一組成物中で、例えば、非経口投与することができ、または追加の治療剤は、別個の組成物の一部として、もしくは本明細書に記載の別の方法により投与することができる。治療遺伝子および追加の治療剤の投与は、同時または任意の順序での異なる時点であり得る。本明細書に記載のアッセイは、組合せ治療の投与の任意の段階において、例えば、RNAもしくはDNAエフェクター分子の投与前後;RNAもしくはDNAエフェクター分子および追加の治療剤の組合せの投与後;または例えば、RNAもしくはDNAエフェクター分子および追加の治療剤を連続投与する場合、RNAもしくはDNAエフェクター分子の投与後および追加の治療剤のさらなる投与前および/もしくは後に実施することができる。

本発明は、所望の遺伝子を標的化するiRNA薬剤を、標的発現により媒介される疾患または障害を有する患者に投与し、標的遺伝子発現に対するiRNA薬剤の効果をさらにアッセイする方法を挙げる。dsRNAの投与は、治療すべき疾患の少なくとも1つの症状を5%、10%、15%、20%、25%以上だけ低下させ得る。少なくとも1つの症状のレベルは、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、35%以下に低下させることができる。

本文脈に関する「低下させる」は、そのようなレベルの統計的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%以上であり得、例えば、そのような障害を有さない個体についての正常の範囲内として許容されるレベルに下がる。

標的遺伝子発現に対するRNAまたはDNAエフェクターの効果のアッセイに加え、疾患の治療または予防の効力を、例えば、疾患進行、疾患寛解、症状の重症度、疼痛の低減、生活の質、治療効果を維持するために要求される医薬の用量、疾患マーカーのレベルまたは治療もしくは予防のために標的化される所与の疾患に適切な計測可能な任意の他のパラメーターを計測することにより評価することができる。このようなパラメーターのいずれか1つ、またはパラメーターの任意の組合せを計測することにより治療または予防の効力をモニタリングすることは十分に当業者の能力の範囲内である。

治療または予防効果は、疾患状態の1つ以上のパラメーターの統計的に有意な改善が存在する場合、または他では予期される症状の悪化または発達が見られないことにより明らかである。一例として、疾患の計測可能なパラメーターの少なくとも10%の好ましい変化、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%以上は、有効な治療を示し得る。所与のiRNA薬物またはその薬物の配合物についての効力は、当分野において公知の所与の疾患についての実験動物モデルを使用して判断することもできる。実験動物モデルを使用する場合、治療の効力は、マーカーまたは症状の統計的に有意な低減が観察される場合に証明される。

あるいは、効力は、臨床的に許容される疾患重症度評点スケールに基づき診断の当業者により判定される疾患の重症度の低減により計測することができる。

患者には、治療量のRNAまたはDNAエフェクター分子、例えば、iRNAを、例えば、0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、または2.5mg/kgのdsRNAにおいて投与することができる。iRNAは、ある期間にわたり、例えば、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、60分間、90分間または120分間の期間にわたり静脈内注入により投与することができる。投与は、例えば、規則的に、例えば、1か月、2か月、3か月、4か月以上にわたり隔週(すなわち、2週間毎)で繰り返す。最初の治療レジメン後、治療は、より少ない頻度で施すことができる。例えば、3か月にわたる隔週投与後、投与を、6ヵ月または1年以上にわたり1か月当たり1回繰り返すことができる。別の例において、投与は、例えば、規則的に、例えば、2か月、3か月、4か月以上にわたり4週間毎)に繰り返す。最初の治療レジメン後、治療は、より少ない頻度で施すことができる。例えば、3か月にわたる4週間毎の投与後、投与を、6ヵ月または1年以上にわたり2か月当たり1回繰り返すことができる。iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿または他の区画中の遺伝子発現レベルを少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%以上だけ低減させ得る。

iRNAの全用量の投与前、患者により小さい用量、例えば、5%の注入反応物を投与し、悪影響、例えば、アレルギー反応または症状の悪化についてモニタリングすることができる。別の例において、患者は、不所望な免疫賦活効果、例えば、サイトカイン(例えば、TNF−αまたはINF−α)レベルの増加についてモニタリングすることができる。

標的遺伝子の発現をモジュレートする方法 さらに別の態様において、対象に、哺乳動物中の標的遺伝子の発現をモジュレート(例えば、阻害または活性化)するための薬剤を投与し、本明細書において提供される方法は、標的遺伝子発現に対する薬剤の効果のモニタリングに有用である。

一実施形態において、本方法は、標的遺伝子の発現が、例えば、延長された持続時間、例えば、少なくとも2、3、4日以上、例えば、1週間、2週間、3週間、または4週間以上減少されるように、RNAエフェクター分子、例えば、iRNAを投与することを含む。本明細書に記載のアッセイは、そのような持続時間にわたる標的遺伝子発現のモニタリングに有用である。

別の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の組成物を哺乳動物に、標的遺伝子の発現が、例えば、未処理動物と比較して少なくとも10%だけ増加されるように投与することを含む。一部の実施形態において、標的遺伝子の活性化は、延長された持続時間、例えば、少なくとも2、3、4日以上、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間以上にわたり生じる。理論により拘束されるものではないが、RNA活性化剤は、標的mRNA転写物を安定化し、ゲノム中のプロモーターと相互作用し、および/または標的遺伝子発現のインヒビターを阻害することにより標的遺伝子発現を活性化させ得る。

本発明において挙げられる方法および組成物に有用なiRNAは、標的遺伝子のRNA(一次またはプロセシングされたもの)を特異的に標的化し得る。iRNAを使用してこれらの遺伝子の発現を阻害するための組成物および方法は、本明細書の他箇所に記載のとおり調製および実施することができる。

一実施形態において、本方法は、iRNAを含有する組成物において、iRNAは、治療すべき哺乳動物の標的遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列を含む組成物を投与することを含む。治療すべき生物が哺乳動物、例えば、ヒトである場合、組成物は、当分野において公知の任意の手段、例として、限定されるものではないが、経口、腹腔内、または非経口経路、例として、頭蓋内(例えば、脳室内、実質内および鞘内)、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアゾール)、鼻腔、直腸、および局所(例として、バッカルおよび舌下)投与により投与することができる。ある実施形態において、組成物は、静脈内注入または注射により投与する。

特に定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似または均等の方法および材料を本発明において挙げられるiRNAおよび方法の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書において挙げられる全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、説明にすぎず、限定を意図するものではない。

実施例1 干渉RNA(iRNA)合成 試薬の資源 試薬の資源は、本明細書に具体的に挙げないが、そのような試薬は、分子生物学用試薬の任意の供給業者から分子生物学における用途のための品質/純度標準において得ることができる。

オリゴヌクレオチド合成 本出願人らは、いくつかの異なる方法を使用して対象の治療に有用なiRNA分子を生成した。本実施例は、使用された1つのアプローチを記載する。当業者は、当分野において公知の任意の方法を使用して本明細書に記載のiRNAを調製することができる。

オリゴヌクレオチドは、AKTAoligopilot合成装置上で合成する。市販の制御細孔ガラス固体担体(dT−CPG、500Å、Prime Synthesis)および標準的な保護基を有するRNAホスホラミダイト、5’−O−ジメトキシトリチルN6−ベンゾイル−2’−t−ブチルジメチルシリル−アデノシン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチルl−2’−t−ブチルジメチルシリル−シチジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N2−−イソブチル(isobutryl)−2’−t−ブチルジメチルシリル−グアノシン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト、および5’−O−ジメトキシトリチル−2’−t−ブチルジメチルシリル−ウリジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイト(Pierce Nucleic Acids Technologies)を、オリゴヌクレオチド合成に使用した。2’−Fホスホラミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2’−フルオロ−シチジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチル−ホスホラミダイトおよび5’−O−ジメトキシトリチル−2’−フルオロ−ウリジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホラミダイトを(Promega)から購入する。全てのホスホラミダイトは、アセトニトリル(CH3CN)中0.2Mの濃度において使用するが、但しグアノシンは10%のTHF/ANC(v/v)中0.2Mの濃度において使用する。16分のカップリング/再循環時間を使用する。活性化物質は、5−エチルチオテトラゾール(0.75M、American International Chemicals)であり;PO酸化のためにヨウ素/水/ピリジンを使用し、PS酸化のために2,6−ルチジン/ACN(1:1v/v)中のPADS(2%)を使用する。

3’リガンドコンジュゲートストランドは、対応するリガンドを含有する固体担体を使用して合成する。例えば、配列中へのコレステロール単位の導入は、ヒドロキシプロリノール−コレステロールホスホラミダイトから実施する。コレステロールは、トランス−4−ヒドロキシプロリノールに6−ヘキサノエート結合を介して繋留させてヒドロキシプロリノールコレステロール部分を得る。5’末端Cy−3およびCy−5.5(フルオロフォア)標識iRNAは、対応するQuasar−570(Cy−3)ホスホラミダイトから合成し、それはBiosearch Technologiesから購入する。5’末端およびまたは内部位置へのリガンドのコンジュゲーションは、適切に保護されたリガンド−ホスホラミダイトビルディングブロックを使用することにより達成する。5−(エチルチオ)−1H−テトラゾール活性化物質の存在下でのホスホラミダイトの無水CH3CN中0.1M溶液と、固体担体結合オリゴヌクレオチドの延長された15分間のカップリング。ヌクレオチド内ホスファイトのホスフェートへの酸化は、報告された(1)標準的なヨウ素−水を使用して、またはtert−ブチルヒドロペルオキシド/アセトニトリル/水(10:87:3)により10分間の酸化待機時間でコンジュゲートオリゴヌクレオチドを処理することにより実施する。ホスホロチオエートは、硫黄転移試薬、例えば、DDTT(AM Chemicalsから購入)、PADSおよびまたはBeaucage試薬を使用することによるホスファイトのホスホロチオエートへの酸化により導入する。コレステロールホスホラミダイトは、インハウスで合成し、ジクロロメタン中0.1Mの濃度において使用する。コレステロールホスホラミダイトのためのカップリング時間は、16分間である。

脱保護I(ヌクレオ塩基脱保護) 合成の完了後、担体を100mLのガラス瓶(VWR)に移す。エタノール性アンモニア[アンモニア:エタノール(3:1)]の80mLの混合物により塩基およびホスフェート基を同時に55℃において6.5時間脱保護することによりオリゴヌクレオチドを担体から開裂させる。瓶を氷上で短時間冷却し、次いでエタノール性アンモニア混合物を新たな250mLの瓶中に濾過する。CPGを2×40mLのエタノール/水(1:1v/v)の部分により洗浄する。次いで、混合物の容量を約30mLにロータリーエバポレーターにより低減させる。次いで、混合物をドライアイス上で凍結させ、speed vac上で真空下で乾燥させる。

脱保護II(2’−TBDMS基の除去) 乾燥残留物を26mLのトリエチルアミン、トリエチルアミントリヒドロフルオリド(TEA・3HF)またはピリジン−HFおよびDMSO(3:4:6)中に再懸濁させ、60℃において90分間加熱して2’位におけるtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基を除去する。次いで、反応を50mLの20mM酢酸ナトリウムによりクエンチし、pHを6.5に調整する。オリゴヌクレオチドは、精製までフリーザー中に貯蔵する。

分析 オリゴヌクレオチドは、精製前に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、緩衝液およびカラムの選択は、配列およびまたはコンジュゲートリガンドの性質に依存する。

HPLC精製 リガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチドは、逆相分取HPLCにより精製する。未コンジュゲートオリゴヌクレオチドは、インハウスで充填されたTSKゲルカラム上でのアニオン交換HPLCにより精製する。緩衝液は、10%のCH3CN中20mMのリン酸ナトリウム(pH8.5)(緩衝液A)および10%のCH3CN、1MのNaBr中20mMのリン酸ナトリウム(pH8.5)(緩衝液B)である。全長オリゴヌクレオチドを含有する分画をプールし、脱塩し、凍結乾燥させる。約0.15のODの脱塩オリゴヌクレオチドを水中で150μLに希釈し、次いでCGEおよびLC/MS分析のための特殊バイアル中にピペッティングする。次いで、化合物をLC−ESMSおよびCGEにより分析する。

iRNA調製 iRNAの一般的な調製のため、等モル量のセンスおよびアンチセンスストランドを1×PBS中で95℃において5分間加熱して、室温にゆっくりと冷却する。デュプレックスの統合性は、HPLC分析により確認する。

標準的な命名法、具体的には表1の略語を使用して核酸配列を以下に提示する。

実施例2 血清中の組織特異的mRNAの検出 肝臓中のRNAi活性は、目下、肝臓組織試料の分子分析を介して、および分泌タンパク質については、血清または血漿試料中の標的タンパク質の循環レベルの定量を介してモニタリングする。臨床試験において、ヒト対象から肝臓生検物を得ることは、関連リスク、例えば、出血を伴う。結果として、正常ヒト被験者において、手順は正当化されず、肝臓生検物を得ることができない。患者のうち、肝臓生検は、疾患状態、例えば、肝臓癌の小サブセットにおいてのみ許容可能であり、それらの患者のうちでさえ、同意率は低いことがある。

肝臓組織試料の不存在下で、循環標的タンパク質の定量は、肝臓中のRNAi活性をモニタリングする主要な方法である。このアプローチは、標的タンパク質が血液中に分泌されることを要求し、このことは、対応するタンパク質が分泌されない肝臓中の、および他の組織中の多数の分子標的を排除し、これらの非分泌タンパク質について、現在のところ、肝臓組織生検物の不存在下でRNAiをモニタリングする方法は存在しない。本明細書に記載の本発明(血清試料中の標的RNAまたはその開裂産物の検出)は、血清の分子評価を介して非分泌タンパク質標的についてRNAiをモニタリングする能力を提供する。

分泌タンパク質について、肝臓中のRNAiをモニタリングするため、標的タンパク質は、容易に検出および定量することができる血液レベルに到達しなければならない。関心標的についてのタンパク質アッセイは、関心組織中のRNAi活性についてのキー読出しとしての標的タンパク質の循環レベルに依存するために十分に感受性、選択性、正確性および再現性を示さなければならない。さらに、標的タンパク質の循環レベルは、肝臓mRNAのレベルと同一のiRNA投与に対する用量応答を示しても示さなくてもよく;この場合、標的RNAレベルが対応するタンパク質レベルよりもiRNA投与に感受性である場合、より低いiRNA用量レベルにおけるRNAi活性を明らかにし得る標的RNAレベルをモニタリングする能力を有することが有用である。

複数の組織が所与の標的タンパク質の循環レベルに寄与し、RNAiが送達系の結果としてそれらの組織の1つまたはそのサブセットにおいてのみ生じる場合、RNAi活性は、循環中の総標的タンパク質の計測可能な低下をもたらさないことがある。しかしながら、標的RNAからの開裂産物の血清中の検出は、組織中のRNAi活性の定性的な指標を提供する。さらに、特定組織、例えば、肝臓に由来するエキソソームの単離を介して、またはそのようなエキソソームについて濃縮された生物試料(例えば、血液または血清試料)の単離を介して、その特定組織のみからの標的RNAを、他の組織寄与と無関係に定量することができる。

本明細書に記載の方法およびアッセイは、作用部位として機能する組織のサンプリングを必要とせずインビボでRNA干渉を評価するためのバイオマーカーを検出し、非分泌タンパク質についての遺伝子サイレンシングの臨床モニタリングを可能とし、分泌タンパク質についての遺伝子サイレンシングの臨床モニタリングを易化する。

血清からのRNA単離 マウス、ラット、カニクイザル、またはヒトから得られた血清試料(新鮮または貯蔵)を、0.4μmフィルターを使用する濾過に供し、または2000〜5000gにおいて10分間回転させた。一部の例において、塩化リチウムを濾過試料に1MのLiClの最終濃度まで添加した。試料を4℃において2時間インキュベートし、次いで110000〜140000gにおいて1時間35分遠心分離した。

RNAは、得られたペレットから、TRIzol(商標)クロロホルム法を使用して単離した。RNAは、共沈殿剤であるグリコーゲンの存在下でイソプロパノールを使用して沈殿させた。直鎖ポリアクリルアミドを共沈殿剤としてグリコーゲンに代えて使用することができる。

このプロトコルは、図24に示すとおりユビキタス、肝臓および組織特異的RNAの単離をもたらす。

RNA定量 RNAは、Nanodrop技術を使用して定量した。約100〜1000ngのRNAを、製造業者の説明書を使用してApplied Biosystems High Capacity cDNA合成キットを使用するcDNA合成に使用した。定量PCRは、Roche Lightcycler480中でRoche Master MixおよびTaqMan(登録商標)プローブを用いて実施した。

血清試料 血清は、マウス、ラット、カニクイザルおよびヒト対象から得た。一部の実験においては個々の血清試料を別個に分析した一方、他の実験においては個々の血清試料を分析前にプールした。

4mlの血清をそれぞれのカニクイザル対象から得、分析前に凍結貯蔵した。1群当たり2mlのプールカニクイザル血清を分析に使用した。4〜5mlのヒト血清を使用した。

血清試料中のRNA検出 マウス 129S雄マウスからの14mLの凍結血清を、肝細胞特異的(例えば、TTR、FVII)およびユビキタス(GAPDH、Rplp2)mRNAの分析のためにプールした。図1は、Rplp2、GAPDH、およびTTRmRNAがプール血清試料中でそれぞれ検出可能であったことを示す。

ラット ラットからの14mLの新鮮血清を、組織特異的mRNAの分析のためにプールした。図2Aおよび2Bは、肝細胞特異的(TTR、FVII)、平滑筋特異的(Acta2)およびユビキタス(GAPDH、ベータアクチン)mRNAをラット血清中で検出することができることを示す。肝臓発現遺伝子AATおよびアルブミンに対応するmRNAは、ユビキタス発現遺伝子18sとともに逆転写定量的PCRにより検出した。血清中で検出されたTTRmRNAが全長TTRmRNAを表すかどうかを評価するため、2つの異なるTaqMan(登録商標)アッセイを用い、一方のアッセイはmRNAの5’末端を増幅するプライマーを利用し、第2のアッセイはmRNAの3’末端を増幅するプライマーを利用した。図3は、TTRの5’および3’末端のレベルが類似であったことを示し、それにより、検出されたTTRmRNAの少なくとも一部が全長mRNAであったことを示す。

カニクイザルおよびヒト 個々のカニクイザル対象からの4mLの凍結血清を、血清中の肝細胞特異的RNAについて分析した。2つの技術的反復をそれぞれの試料について実施した。図4Aおよび4Bは、肝細胞特異的(TTR)およびユビキタス(18s)mRNAをカニクイザル血清中で検出することができることを示す。図5Aは、カニクイザル血清中のGAPDH、18s、TTRおよびAIATmRNAの検出を示すデータを示す。図5Bは、ヒト血清中のGAPDH、18s、TTR、AATおよびアルブミンmRNAの検出を示すデータを示す。

新鮮血清試料(それぞれ4〜5mL)をヒト対象から得た。2つの技術的反復を試料毎に実施した。mRNAのレベルは、TTRmRNAを18sに正規化した場合、試料間で8〜10倍変動した。試料間のmRNAのレベルは、肝臓特異的mRNA(すなわち、アルファアンチトリプシン(AAT))に正規化すると3倍のみ変動した。4〜5mLの血清をそれぞれの対象から得、2つの技術的反復を試料毎に実施した。

図6Aは、3つの個々の血清試料中のAATに正規化されたTTRmRNAを示す。図6Bは、3つの個々の血清試料中の18sリボソームRNAに正規化されたTTRmRNAを示す。図5Bは、血清中の追加のmRNAマーカー、例として、GAPDH、18sRNA、P0、TTR、AATおよびアルブミンの発現を示す。

脳脊髄液(CSF)中のRNA検出 CSF試料を30匹のナイーブラットからプールすることにより合計8mLのCSFを得た。RNAの総濃度(nanodrop技術を使用して260のODにおいて判定)は、約2μgであった。CSFは、10000gにおいて10分間遠心分離して試料から血液および細胞を除去した。次いで、上澄みを110000gにおいて1時間35分遠心分離して核酸を含むペレットを得た。ペレットをRNAの単離のためにTRIzol(商標)試薬中で再懸濁させた。RNAは、グリコーゲンを使用して沈殿させた。

図7は、SNCA、TTR、HTTおよびDRD2mRNAがラットからのCSF試料中で検出可能であったことを示す。CSF試料は、30匹の動物から得、分析のためにプールした。

実施例3 血清RNAはエキソソームと会合する 血清RNAは、RNAをRNアーゼ消化から保護し得るエキソソームと会合し得る。したがって、一部の実施形態において、当業者は、mRNA発現レベルの検出前にエキソソームを単離することができる。

エキソソーム単離およびmRNAの検出 ラット血清を回収し、40μMフィルターを介する濾過に供し、次いで110000×gにおいて遠心分離工程に供した。得られたペレットを再懸濁させ、0.25M〜2Mのスクロース勾配上にロードし、遠心分離に供した。1mLの分画を密度勾配から回収した。

ペレットの細胞内構成要素を、密度勾配遠心分離により4つの主分画中に分解した。最小密度分画はチューブの頂部に存在し、最大密度分画は底部に存在し;頂部から底部への細胞内構成要素分画の順序は以下のとおりである:(i)小胞分画、(ii)リソソーム分画、(iii)ペルオキシソーム分画、および(iv)核含有画分。

RNAは、それぞれのスクロース勾配分画から検出された。しかしながら、RNAの最大レベルは、分画2〜7(密度約1.075−1.13)中で検出された。この検出パターンは、エキソソームについて報告された密度値(密度約1.05〜1.19)と一致し、血清中に存在するRNAのほとんどがエキソソーム中に存在することを示す。

血清中のRNAがエキソソーム内に封入されるかどうかを判定するため、エキソソームを遠心分離により単離してペレットを産生し、それを膜破壊洗浄剤TritonX−100(Tx−100)の存在または不存在下でRNアーゼ消化に供した。

図8Aおよび8Bは、単離エキソソーム中のRNAの大多数がRNアーゼ消化から保護されることを示し、RNAのほとんどがエキソソーム小胞内に封入されることを示す。RNアーゼ処理前に0.2%のTx−100により前処理された試料において、RNアーゼによるRNA分解は増加され、このことは、膜が破壊され、RNアーゼ酵素が試料中のRNAにより多く接近したことを示す。RNAの40〜50%がRNアーゼ酵素によるヌクレアーゼ消化から保護されることが判定された。まとめると、これらのデータは、血清RNAは、エキソソーム内に存在し、エキソソーム膜によりヌクレアーゼ消化から保護されることを示す。

エキソソームマーカー エキソソームマーカーAlixおよびCD9についてのウエスタンブロッティングを、SDSを有するRIPA緩衝液中で再懸濁されたエキソソームペレットに対して、または粉末化ラット肝臓粉末に対して実施した。タンパク質含有率は、BCAアッセイにより判定し、それぞれのレーンに等量のタンパク質をロードした。

エキソソームマーカーAlixおよびCD9は、単離ヒト、ラットおよびマウスエキソソーム分画中に存在したが、ラット肝臓試料中で検出されなかった。肝細胞マーカーSRBIもヒト、ラットおよびマウス血清のエキソソーム分画中で検出された。

エキソソーム特徴 エキソソームペレットの凍結割断電子顕微鏡法は、約100nmの平均サイズを有する小胞の存在を示した。

エキソソームと類似の特徴を有する小胞は、動的光散乱により検出された。マウス、ラットおよびヒト試料についての粒子についての動的光散乱計測値は、以下のとおりである: マウス Z−平均:79.8nm PDI 0.577 ラット Z−平均:134nm PDI 0.944 ヒト Z−平均:97nm PDI 0.907

実施例4 血清試料中の遺伝子サイレンシングの検出 肝臓肝細胞への送達のために脂質ナノ粒子中に配合されたげっ歯類TTRを標的化するdsRNAを含むAF−011−18534を使用してナイーブラット中の肝臓遺伝子TTRをサイレンシングした。肝臓肝細胞への送達のために脂質ナノ粒子中に配合された霊長類TTRを標的化するdsRNAを含むSNALP−18324を使用してナイーブカニクイザル中の肝臓遺伝子TTRをサイレンシングした。非哺乳動物遺伝子ルシフェラーゼを標的化するAF−011−1955およびSNALP−1955を、本明細書においてdsRNA対照として使用し、これはインビボで投与された場合にいかなる遺伝子サイレンシング効果も有さないことが公知である。

ナイーブラット中の遺伝子サイレンシング 実験1:単一IVボーラスの0.3mpk(mg/kg)のAF−011−18534(n=6)またはAF−011−1955(n=6)をラットに投与して肝臓遺伝子サイレンシングを血清試料中のmRNAレベルの計測により検出することができるかどうかを判定した。肝臓および血清TTRmRNAレベルは、ボーラス投与24時間後に計測した。14mLの新鮮血清試料をそれぞれの群のためにプールした。2〜4回の技術的反復を群毎に実施した。

図9A中のデータは、AF−011−18534投与後のTTRの肝臓mRNAの低減を示す。図9Bは、対照dsRNAのAF−011−1955により処理された動物からのプール血清と比較した、AF−011−18534より処理された動物からのプール血清中のTTRmRNAレベルの類似の低減を示す。したがって、AF−011−18534により媒介される肝臓中のTTR遺伝子サイレンシングは、血清中のTTRmRNA低下として検出可能である。

図10A〜10Dは、AAT、アルブミン、GAPDH,および18smRNAにそれぞれ正規化されたラット血清中のTTRmRNAレベルを示す。図10A〜10Dのそれぞれのデータは、肝臓中のAF−011−18534媒介TTR遺伝子サイレンシングを、肝細胞特異的またはユビキタス遺伝子のいずれかに正規化した場合、血清試料中の類似のTTRmRNA低下として検出することができることを示す。

図11A〜11Dは、ラットに投与されたAF−011−18534が、血清試料中の非標的肝細胞特異的遺伝子(すなわち、AATまたはアルブミン)のmRNAレベルを変えないことを示す。

単一IVボーラスの抗TTRRNAi薬剤により処理された動物において、膵臓中のTTRmRNAの明らかなノックダウンは存在しなかった。

実験2:単一IVボーラスの0.001mpk、0.003mpk、0.01mpk、0.03mpkまたは0.1mpkのAF−011−18534をラット(n=4〜5)に投与して肝臓遺伝子サイレンシングの用量応答関係を、血清試料中のmRNAレベルの計測により検出することができるかどうかを判定した。対照群において、単一IVボーラスの0.1mpkのAF−011−1955(n=3)をdsRNA対照として使用し、PBS(n=3)をビヒクル対照として投与した。肝臓および血清TTRmRNAレベルは、IVボーラスの投与24時間後に計測した。

AF−011−18534媒介TTR遺伝子サイレンシングの用量応答関係は、図12Aおよび12Bにおいて示すとおり肝臓試料中で予期されるとおり明らかであった。AF−011−18534媒介遺伝子サイレンシングの類似の用量応答関係は、図13Aおよび13Bに示すとおり血清試料中で計測されたTTRmRNAレベルについて観察された。

ナイーブカニクイザル中の遺伝子サイレンシング 実験3:単一15分間IV注入の0.3mpk、1mpkもしくは3mpkのSNALP−18324(n=3)、または3mpkのSNALP−1955(n=3)をカニクイザルに投与して肝臓遺伝子サイレンシングを血清試料中のmRNAレベルの計測により検出することができるかどうかを判定した。肝臓および血清TTRmRNAレベルは、IV投与48時間後に計測した。

図14Aは、肝臓組織中のTTRmRNAのSNALP−18324媒介サイレンシングについての用量応答関係を示す。図14Bは、血清試料中のTTRmRNAのSNALP−18324媒介サイレンシングについて観察された用量応答関係を示す。

図15は、SNALP−18324の投与48時間後における血清試料中のTTRタンパク質の濃度(ELISAを使用して計測)を示す。

3mg/kgのSNALP−18324において、血清中のTTRmRNA抑制の程度は、肝臓中のTTRmRNA抑制の程度と区別不能であった一方、血清中のTTRタンパク質抑制の程度は、約20%だけ弱かった。

TMPRSS6のサイレンシングの血清検出 血清mRNA発現レベルを使用する遺伝子サイレンシングの検出は、TTR以外の遺伝子に拡張することができる。例えば、図16Aおよび16Bは、TMPRSS6mRNAのサイレンシングを肝臓および血清試料の両方で検出することができること示す。

この実験において、0.3mg/kgにおける単一IVボーラスを雄ラット(1群当たりn=4)に投与した。肝臓および血清TMPRSS6mRNAレベルは、投与24時間後に計測した。

RNAiのボーラス投与後のサイレンシングの持続時間 ラット(1群当たり6〜8匹の動物)に、単一IVボーラスの0.1mg/kgの抗TTRsiRNA調製物または対照抗ルシフェラーゼsiRNA調製物を投与した。肝臓および血清を動物屠殺の異なる時点において回収し(例えば、1日目、2日目、5日目、8日目、10日目、および14日目)、TTRmRNA発現について分析した。図17Aは、血清中のTTRmRNAレベルの回復は、肝臓試料中のTTRmRNAの回復と並行することを示す。これらのデータは、血清中のTTRレベルの計測が、投与されたRNAi薬剤の臨床効果を検出する実行可能な方法であることを示す。

第2の試験において、肝臓および血清TTRmRNAの低減がsiRNA投与後のより短い時点において計測された。処理の3時間以内に、肝臓および血清TTRmRNAレベルの両方が40〜50%だけ低減され、約90%のピーク標的低減が肝臓および血清中で12時間までに達成された(図17B)。したがって、標的遺伝子サイレンシングの開始および持続時間の両方に関してLNP−siRNAによる処理後に経時的な肝臓中および血清中の相対TTRmRNAレベルの顕著な一致が存在した。これらの結果は、循環エキソソームmRNA検出による肝臓遺伝子の循環mRNAレベルのモニタリングが、組織特異的標的遺伝子サイレンシングの正確な提示を提供することを示す。

実施例5 RNA収量の改善 一部の実施形態において、塩化リチウム(LiCl)を1Mの最終濃度において使用して単離の間のRNA収量を増加させた。これらの実験において、血清試料は、1MのLiClの存在または不存在下で4℃において濾過後1時間インキュベートした。続いて、RNAを上記のスクロース密度勾配超遠心を介して単離し、TaqMan(登録商標)定量的PCRを介して分析した。図18に示すとおり、GAPDH、アルブミン、ベータアクチン、およびTTRの相対mRNA発現レベルは、LiClの存在下で増加する。LiClとのインキュベーションは、超遠心工程の間のRNAの沈殿を向上させる可能性が高く、したがって、単離の間の全RNA収量を向上させる。

実施例6 Q−PCRおよび5’RACE 定量的PCRは、Applied Biosystems TaqMan(登録商標)プライマー系を使用して実施した。使用されるプライマー/アッセイは、Applied Biosystemsから購入することができ、ヒトトランスチレチン(TTR)(カタログ番号Hs00174914_m1)、ヒトアルファアンチトリプシン(AAT)(カタログ番号Hs01097800_m1)、およびヒトアルブミン(カタログ番号Hs00910225_m1)を含む。

カスタムTaqMan(登録商標)プライマーは、カニクイザル(Macaca fascicularis)(「カニクイザル」)TTRについて設計し、以下のものを含む: カニクイザル TTRフォワードプライマー:TGG CAT CTC CCC ATT CCA カニクイザル TTRリバースプライマー:CGG AAT CGT TGG CTG TGA A カニクイザル TTR TaqMan(登録商標)プローブ:6FAMAGC ATG CAG AGG TGGMGBNFQ

ヒトトランスチレチン(TTR)の逆転写または5’RACE(他のプライマーとの組合せにおける)のためのカスタムプライマーを設計し、以下のものを含む: リバースプライマー: 5’ ttttacagaatgtgtctttttaatggctgc 3’ 5’ gctgcagatcatatttaatacgtgc 3’ 5’ gcttgcaagacaatggaaatttggatc 3’ フォワードプライマー 5’ gactaagtcaataatcagaatcagcag 3’

カスタム5’RACEプライマーは、ラットTTR配列を使用して設計し、以下のものを含む: 5’ ttttttgaatgaaataaaggtgg 3’ 5’ gaatgaaataaaggtgg 3’ 5’ ggtggtttaataagaacg 3’ 5’ taataagaacgtttcacggc 3’ 5’ ttttttttgaatgaaataaaggt 3’ 5’ ccactgctgtcgtcagtaacc 3’ 5’ gaactgagggacccagcccac 3’ 5’ ccacgaggaccaagatcttgc 3’

5’−RACE ラット(1群当たりn=6)に、LNP−siTTRまたはLNP−siLuc(0.1mg/kg)を注射し、ラットを24時間後に分析のために屠殺した。それぞれの群の動物からの血清を分析のためにプールした。RNAをプール血清から抽出し、5’RACE(cDNA末端の5’急速増幅)のためにプロセシングした。正確なサイズのネステッドPCRからのバンドを溶出させ、クローニングおよび配列決定した。

配列の20%がsiTTR処理群において正確な開裂産物を実証した一方、対照LNP−siLuc群において正確な開裂産物を有する配列は検出されなかった(表4)。さらに、図19Aは、開裂産物についての2つの配列と全長ラットTTRmRNAとのアラインメントを示す。

ラットにおける上記5’RACE分析の結果も非ヒト霊長類モデルと一致し、配列の84%がsiTTR処理群において正確な開裂産物を実証した一方、対照LNP−siLuc群において正確な開裂産物を有する配列は検出されなかった(表5)。さらに、図19Bは、開裂産物についての2つの配列と全長カニクイザルTTRmRNAとのアラインメントを示す。

これらのデータは、5’RACEを使用してRNAi処理ラットの血清中でTTR開裂産物を検出することができることを示す。すなわち、肝臓RNAiは、血清中の特異的5’RACE産物の検出により確認することができる。

実施例7 遺伝子治療後の血清および肝臓中のmRNAの検出 外因性遺伝子の発現は、GFPを発現するアデノウイルス(Ad−GFP)またはヒトApoEを発現するアデノウイルス(Ad−hApoE)を注射されたラットモデルの血清中でmRNAの血清レベルの計測により検出することができることが判定された。同様に、外因性または治療遺伝子の発現は、ラットモデルの肝臓中で治療遺伝子の肝臓mRNAレベルの計測により検出することができる。

1日目にラットにAd−GFPまたはAd−hApoE(1×1011のmoi)のいずれかを静脈内注射し;5日目に血清および肝臓全体を分析のために摘出した。アデノウイルス発現は肝臓全体にわたり均等でないため、2つの別個のRNA調製物をそれぞれの肝臓から調製して組織サンプリングを増加させた。

図20および図21は、アデノウイルスを使用して送達された外因性GFPおよびApoEのmRNAを処理動物の肝臓および血清中の両方で検出することができることを示す。発現レベルは、予期されるとおり動物毎に変動した。データは、処理動物の肝臓および血清中の相対mRNAレベル間で相関が存在することも示した。

まとめると、これらのデータは、本明細書に記載の方法およびアッセイを使用して血清または肝臓中の遺伝子治療法を使用して送達された外因性遺伝子のmRNAレベルを評価することができることを示す。したがって、このようなアッセイおよび方法を使用して比較的非侵襲的様式で、例えば、血清試料中のmRNAレベルの計測により患者における遺伝子治療レジメンの成功を判定および/またはモニタリングすることができる。

実施例8 血清および肝臓試料中のmiRNA阻害の検出 mRNAおよびタンパク質に加え、マイクロRNA(miRNA)が循環エキソソーム中で検出されている。miRNA標的化オリゴヌクレオチドの活性をモニタリングするための循環エキソソームmRNA検出の適用可能性を試験するため、ラットに肝臓特異的miRNAのmiR−122に対して指向されたLNP−配合オリゴヌクレオチドを投与した。対照マウスは、ミスマッチオリゴヌクレオチドを受容した。3日後、miR−122レベルを肝臓および血清から単離された総RNA中で計測した。図22Aに示すとおり、miR122特異的オリゴヌクレオチドによる処理は、肝臓miR−122レベルを88%だけ低減させ、血清中でも同様に86%減少した。miR−122レベルの低減がmiR−122の非特異的下方調節により引き起こされないことをさらに確認するため、miR−122標的アルドラーゼAの発現レベルを計測した。図22Bに示すとおり、miR122特異的オリゴヌクレオチドによる処理は、肝臓中の標的アルドラーゼAmRNA発現の増加を引き起こした。しかしながら、この上方調節は、血清中では検出することができず、おそらく、アルドラーゼAがユビキタスに発現されるためである。まとめると、これらの結果は、肝臓中のmiRNA阻害をモニタリングするための、循環エキソソームmRNA検出の使用を確立する。

実施例9 脳脊髄液中の遺伝子サイレンシングの検出 エキソソームは、脳脊髄液(CSF)中で検出されている。循環エキソソームmRNA検出をCSFに適用して脳中の遺伝子サイレンシングをモニタリングすることができるかどうかを判定するため、パーキンソン病関連遺伝子Sncaを標的化するsiRNAを、ラットの線条体中に両側注入した。雄Sprague−Dawleyラットを麻酔し、定位固定フレーム(Benchmark(商標)Digital Stereotaxic,myNeuroLab)中に配置した。30ゲージ浸透圧ポンプ注入カニューラ(Plastics One,Wallingford,CN)を左右の脳半球中に植込み、線条体を標的化した(ブレグマに対する定位座標AP0.5、ML3およびDV5.1;門歯バーは両耳間線の3.3mm下)。PBS中に配合されたLucまたはSNCAsiRNAを含有する浸透圧ポンプ(1μl/hrの流速、Alzet)を製造業者の説明書に従って0.9%の生理食塩水中で37℃において一晩プライミングし、次いでカニューラに接続し、皮下に植え込んだ。1ul/hrの流速においてラットに投与される4mg/mlのsiRNAの濃度は、線条体のそれぞれの部位について0.096mg/日の用量に対応する。注入の7日後、ラットを麻酔し、定位固定フレーム中にマウントした。環椎後頭膜を曝露し、30ゲージニード(need)を有するシリンジを使用して環椎後頭膜を介してCSFを回収した。CSF回収後、ラットを屠殺し、脳を取り出した。mRNA定量のため、前部から後部へのラット脳にわたる1mm厚の冠状スライスを、脳マトリックス(Braintree Scientific,Braintree,MA)を使用して得、線条体をそれぞれのスライスから切開し、液体窒素中でスナップ凍結し、次いでmRNA定量を実施するまで−80℃において貯蔵した。線条体RNAを調製するため、組織をQiazol(Qiagen,Inc.)中でホモジナイズし、Qiagen RNeasyキット(Qiagen,Inc.)を使用して総RNAを単離した。cDNAの合成は、TaqMan(登録商標)Reverse Transcriptionキット(Applied Biosystems)を用いて実施し、ラットSncaおよびGapdh発現は、TaqMan(登録商標)アッセイ(Applied Biosystems)を使用して定量した。CSFからRNAを単離するため、試料をプールし(それぞれ5ml)、LiClを1Mの最終濃度まで添加した。4℃における1時間のインキュベーション後、試料を110000×gにおいて100分間遠心分離し、RNAをペレットからTrizol抽出およびイソプロパノール沈殿により調製した。cDNAの合成およびTaqMan(登録商標)分析を標準的プロトコル毎に実施した。

7日の注入期間の終了時、脳およびCSFを分析のために回収した。ナイーブ動物と比較して線条体SncamRNAの33%の低減が、SncasiRNAを受容した動物において計測された(図23)。CSFエキソソームRNAを分析するため、プール試料を高速遠心分離に供し、総RNAをペレットから単離した。対照に対してSncamRNAの61%の低減が、SncasiRNA処理動物からのCSF中で計測された(図23)。線条体と比較したCSFのSncamRNAの低減のより大きい相対程度は、脳の異なる領域によるエキソソームの分泌の変動性に起因し得た。これらの結果は、CSFRNAのアッセイにより脳発現遺伝子のサイレンシングをモニタリングするための循環エキソソームmRNA検出の好適性を確認する。

他の実施形態は、特許請求の範囲に存在する。

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