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金属基材を有する原子炉コンポーネント、DLI−MOCVDによる製造方法および酸化/素化に対する使用

阅读:213发布:2020-05-12

专利汇可以提供金属基材を有する原子炉コンポーネント、DLI−MOCVDによる製造方法および酸化/素化に対する使用专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且i)金属ベースの基材を含む支持材(1)、該基材(1)は、該基材(1)と少なくとも1つの保護層(2)の間に 位置 する介在層(3)で被覆されているか、または被覆されていない、およびii)クロム含有保護材で構成されている該保護層(2)を備えている 原子 炉コンポーネントを製造するための方法であって;母液を気化させる工程a)の後、該保護層(2)を該支持材上にダイレクトリキッドインジェクションによる有機 金属化 合物の化学気相蒸着(DLI−MOCVD)法によって堆積させる工程b)を含む方法。 i)金属ベースの基材を含む支持材、該基材(1)は、該基材(1)と少なくとも1つの保護層(2)の間に位置する介在層(3)で被覆されているか、または被覆されていない、およびii)クロム含有保護材で構成されている該保護層(2)を備えている複合材原子炉コンポーネント。本発明の方法によって製造される複合材原子炉コンポーネントは、 酸化 、 水 素化および/または望ましくない物質の移行に対する改善された抵抗性を有する。 また、本発明は、酸化および/または水素化に対処するための該原子炉コンポーネントの使用に関する。 【選択図】図9B,下面是金属基材を有する原子炉コンポーネント、DLI−MOCVDによる製造方法および酸化/素化に対する使用专利的具体信息内容。

ダイレクトリキッドインジェクションによる有機金属化合物の化学気相蒸着(DLI−MOCVD)法により原子炉コンポーネントを製造するための方法であって、前記原子炉コンポーネントが: − i)ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデンまたはこれを主体とする合金から選択される金属ベースの基材(1)を含む支持材、前記基材(1)は、前記基材(1)と少なくとも1つの保護層(2)の間に配置された介在層(3)で被覆されているか、またはされていない; − ii)前記支持材を被覆しており、クロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物から選択されるクロム含有保護材で構成されている前記少なくとも1つの保護層(2) を備えており; 以下の連続する工程: a)酸素原子無含有の炭化素ベースの溶剤、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質を含み;適切な場合は、さらなる前駆物質、炭素組込み抑制剤またはその混合物を含む母液を気化させる工程;前記前駆物質は、300℃〜600℃を含む分解温度を有する; b)内部にカバー対象の前記支持材が置かれており、雰囲気が300℃〜600℃を含む蒸着温度および13Pa〜7000Paを含む蒸着圧である化学気相蒸着反応器内において;工程a)で気化された前記母液を導入し、これにより、前記支持材上に前記少なくとも1つの保護層(2)の堆積をもたらす工程 を含む方法。前記基材(1)が、ジルコニウムまたはジルコニウム基合金で構成されている、請求項1に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記介在層(3)が前記基材(1)上に、DLI−MOCVD蒸着を行なうことにより、またはプラズマ促進型化学気相蒸着(CVD)によって堆積される、請求項1または2に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記介在層(3)が前記基材(1)の外側表面上に、少なくとも1種類のチタン、アルミニウムまたはケイ素のハロゲン化物とガス状窒素前駆物質を含む混合物を用いたプラズマ促進型CVD蒸着を行うことにより堆積される、請求項3に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記介在層(3)が、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、その合金、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物から選択される少なくとも1種類の介在材料を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記介在層(3)の厚さが1μm〜5μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記原子炉コンポーネントが、前記支持材の内側表面上に配置されたライナー(4)をさらに備えている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)が、前記支持材の外側表面を被覆する外側保護層(2A)および/または、前記原子炉コンポーネントが、解放型であるか、もしくは解放型ではない内部容積を備えている場合は、前記ライナー(4)で被覆されているか、もしくは被覆されていない前記支持材の内側表面を被覆する内側保護層(2B)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記ライナー(4)が、200℃〜400℃を含む蒸着温度で前記支持材の内側表面上に、前駆物質(1種類または複数種)としてチタンアミドを、さらに、前記ライナーを構成している材質が、それぞれケイ素、アルミニウムおよび/または窒素を含む場合はケイ素を含む前駆物質、アルミニウムを含む前駆物質および/または窒素含有液状添加剤を用いる有機金属化合物の化学気相蒸着(MOCVD)またはDLI−MOCVDによって堆積される、請求項7または8に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記ライナー(4)を構成している材質が、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記ライナー(4)が1μm〜10μmの厚さを有する、請求項7〜10のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記抑制剤が酸素原子無含有の塩素ベースまたはイオウベースの添加剤であり、その分解温度が500℃より高い、請求項1〜11のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。工程b)の前記蒸着温度が350℃〜550℃を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。工程b)の前記蒸着温度が300℃〜400℃を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。工程b)の後に: c)前記少なくとも1つの保護層(2)に対して、イオン状もしくはガス状での窒化物形成、イオン状もしくはガス状での珪化物形成、イオン状もしくはガス状での炭珪化物形成、またはイオン状もしくはガス状での窒化物形成の後、イオン状もしくはガス状での珪化物形成もしくは炭珪化物形成である後続の処理工程から選択される少なくとも1つの工程を行うこと を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質と、バナジウムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、ニオブを含むビス(アレーン)型の前駆物質、アルミニウムを含む前駆物質またはこれらのさらなる前駆物質の混合物から選択されるさらなる前駆物質とを含むものであり;それにより、クロム/バナジウム合金、クロム/ニオブ合金、クロム/バナジウム/ニオブ合金もしくはクロム/アルミニウム合金から選択されるクロム合金を含む保護材が前記抑制剤の存在下で得られるか、またはクロム/バナジウム合金の炭化物、クロム/ニオブ合金の炭化物、クロム/バナジウム/ニオブ合金の炭化物もしくはクロム/アルミニウム炭化物から選択されるクロム合金の炭化物を含む保護材が前記抑制剤の非存在下で得られるようにする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質を含むものであり、窒素含有液状前駆物質がさらなる前駆物質として前記母液中に存在しているか、または窒素含有ガス状前駆物質が前記化学気相蒸着反応器内に存在しており;それにより、窒化クロムを含む前記保護材が前記抑制剤の存在下で得られるか、または炭窒化クロムを含む前記保護材が前記抑制剤の非存在下で得られるようにする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質と、さらなる前駆物質としてケイ素を含む前駆物質とを含むものであり;それにより、450℃〜500℃を含む蒸着温度では、クロムケイ素混合炭化物を含む前記保護材が得られるようにする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記クロムケイ素混合炭化物がアモルファスである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記クロムケイ素混合炭化物が「MAX相」型のものである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。「MAX相」型の前記クロムケイ素混合炭化物が、式Cr2SiC、Cr3SiC2もしくはCr5Si3C2の混合炭化物またはその混合物から選択される、請求項20に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質と、さらなる前駆物質としてケイ素を含む前駆物質とを含むものであり、窒素含有液状前駆物質がさらなる前駆物質として前記母液中に存在しているか、または窒素含有ガス状前駆物質が前記化学気相蒸着反応器内に存在しており;それにより、450℃〜550℃を含む蒸着温度では、クロムケイ素混合窒化物を含む前記保護材が前記抑制剤の存在下で得られるか、またはクロムケイ素混合炭窒化物を含む前記保護材が前記抑制剤の非存在下で得られるようにする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、さらなる前駆物質として、イットリウム、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンから選択される添加元素を含むビス(アレーン)型の少なくとも1種類の前駆物質、アルミニウムもしくはイットリウムを添加元素として含む前駆物質またはその混合物をさらに含むものであり;それにより、前記保護材に前記添加元素がドープされるようにする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記保護材が前記添加元素を1atom%〜10atom%の含有量で含む、請求項23に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質、バナジウムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質、ニオブを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質または前記添加元素を含むビス(アレーン)型の前記前駆物質が、それぞれクロム、バナジウム、ニオブまたは前記添加元素から選択される元素Mを含み;前記元素Mが、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質を有するように酸化状態がゼロ(M0)である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記窒素含有液状前駆物質がヒドラジンである、および/または前記窒素含有ガス状前駆物質がアンモニアである、請求項4〜6、9〜11、17または22のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。ケイ素を含む前記前駆物質がオルガノシラン化合物である、請求項9〜11または18〜22のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。アルミニウムを含む前記前駆物質が式AlR3のトリ(アルキル)アルミニウムであり、式中、Rは、CH3、C2H5およびC(CH3)3から選択される、請求項4〜6、9〜11、16、23、または24のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。イットリウムを含む前記前駆物質がトリス(シクロペンタジエニル)イットリウムまたはトリス[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミド]イットリウムである、請求項23または24に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記原子炉コンポーネントが、ジルコニウムベース基材(1)およびクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCzを含む保護層(2)を備えている、請求項1〜29のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)が組成勾配を有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)が等軸晶組織を有する、請求項1〜31のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)が、Im−3m空間群による体心立方晶構造の固体形態の安定な金属クロムの密度の90%〜100%を含む密度を有する、請求項1〜32のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)が、15GPa〜30GPaを含む硬度を有する、請求項1〜33のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)の各々が1μm〜50μmの厚さを有する、請求項1〜34のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)の各々が10μm〜50μmの厚さを有する、請求項35に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。同一または異なる組成のいくつかの保護層がそれぞれ、均一系多層保護被覆または不均一系多層保護被覆を形成している、請求項1〜36のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記均一系多層保護被覆が、クロム合金で構成された保護層を含む、請求項37に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記不均一系多層保護被覆が: − クロムと窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロム、または − クロムケイ素混合炭化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合窒化物とクロム、または − クロムケイ素混合窒化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロムケイ素混合窒化物 で構成された保護層を含む、請求項37に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記原子炉コンポーネントが核燃料被覆管、スペーサグリッド、ガイドチューブ、燃料板または吸収用制御棒である、請求項1〜39のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。− i)ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデンまたはこれを主体とする合金から選択される金属ベースの基材を含む支持材(1)、前記基材(1)は、前記基材(1)と少なくとも1つの保護層(2)の間に配置された介在層(3)で被覆されているか、またはされていない; − ii)前記支持材を被覆しており、クロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物から選択されるクロム含有保護材で構成されている前記少なくとも1つの保護層(2) を備えている原子炉コンポーネント。前記基材(1)が、ジルコニウムまたはジルコニウム基合金で構成されている、請求項41に記載の原子炉コンポーネント。前記介在層(3)が、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、その合金、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物から選択される少なくとも1種類の介在材料を含む、請求項41または42に記載の原子炉コンポーネント。前記介在層(3)の厚さが1μm〜5μmである、請求項41〜43のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記原子炉コンポーネントが、前記支持材の内側表面上に配置されたライナー(4)をさらに備えている、請求項41〜44のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が、前記支持材の外側表面を被覆する外側保護層(2A)および/または、前記原子炉コンポーネントが、解放型であるか、もしくは解放型ではない内部容積を備えている場合は、前記ライナー(4)で被覆されているか、もしくは被覆されていない前記支持材の内側表面を被覆する内側保護層(2B)である、請求項41〜45のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記ライナー(4)を構成している材質が、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物を含む、請求項45または46のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記ライナー(4)が1μm〜10μmの厚さを有する、請求項45〜47のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記クロム合金が、クロム/バナジウム合金、クロム/ニオブ合金、クロム/バナジウム/ニオブ合金もしくはクロム/アルミニウム合金から選択されるか、または前記クロム合金の前記炭化物が、クロム/バナジウム合金の炭化物、クロム/ニオブ合金の炭化物、クロム/バナジウム/ニオブ合金の炭化物もしくはクロム/アルミニウム合金の炭化物から選択される、請求項41〜48のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記クロムケイ素混合炭化物がアモルファスである、請求項41〜49のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記クロムケイ素混合炭化物が「MAX相」型のものである、請求項41〜50のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記クロムケイ素混合炭窒化物または前記クロムケイ素混合窒化物がアモルファスである、請求項41〜51のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記保護材に、イットリウム、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンまたはその混合物から選択される添加元素がドープされている、請求項41〜52のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記保護材が前記添加元素を1atom%〜10atom%の含有量で含む、請求項53に記載の原子炉コンポーネント。前記原子炉コンポーネントが、ジルコニウムベース基材(1)およびクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCzを含む保護層(2)を備えている、請求項41〜54のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が組成勾配を有する、請求項41〜55のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が等軸晶組織を有する、請求項41〜56のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が、Im−3m空間群による体心立方晶構造の固体形態の安定な金属クロムの密度の90%〜100%を含む密度を有する、請求項41〜57のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が、15GPa〜30GPaを含む硬度を有する、請求項41〜58のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)の各々が1μm〜50μmの厚さを有する、請求項41〜59のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)の各々が10μm〜50μmの厚さを有する、請求項60に記載の原子炉コンポーネント。同一または異なる組成のいくつかの保護層がそれぞれ、均一系多層保護被覆または不均一系多層保護被覆を形成している、請求項41〜61のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記均一系多層保護被覆が、クロム合金で構成された保護層を含む、請求項62に記載の原子炉コンポーネント。前記不均一系多層保護被覆が: − クロムと窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロム、または − クロムケイ素混合炭化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合窒化物とクロム、または − クロムケイ素混合窒化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロムケイ素混合窒化物 で構成された保護層を含む、請求項62に記載の原子炉コンポーネント。前記原子炉コンポーネントが核燃料被覆管、スペーサグリッド、ガイドチューブ、燃料板または吸収用制御棒である、請求項41〜64のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。水分を含有している湿潤雰囲気中での酸化および/または水素化に対処するための、請求項41〜65のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントの使用。水素を含有している水素化雰囲気中での水素化に対処するための、請求項41〜65のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントの使用。前記湿潤雰囲気または前記水素化雰囲気が800℃〜1200℃を含む温度である、請求項66または67に記載の酸化および/または水素化に対処するための使用。続いて、前記原子炉コンポーネントを水で急冷する、請求項66〜68のいずれか1項に記載の酸化および/または水素化に対処するための使用。

ダイレクトリキッドインジェクションによる有機金属化合物の化学気相蒸着(DLI−MOCVD)法により原子炉コンポーネントを製造するための方法であって、核燃料被覆管、スペーサグリッド、ガイドチューブ、燃料板または吸収用制御棒から選択される前記原子炉コンポーネントが: − i)ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデンまたはこれを主体とする合金から選択される金属ベースの基材(1)を含む支持材、前記基材(1)は、前記基材(1)と少なくとも1つの保護層(2)の間に配置された介在層(3)で被覆されているか、またはされていない; − ii)前記支持材を被覆しており、クロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物から選択されるクロム含有保護材で構成されている前記少なくとも1つの保護層(2) を備えており; 以下の連続する工程: a)酸素原子無含有の炭化水素ベースの溶剤、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質を含み;適切な場合は、さらなる前駆物質、炭素組込み抑制剤またはその混合物を含む母液を気化させる工程;前記前駆物質は、300℃〜600℃を含む分解温度を有する; b)内部にカバー対象の前記支持材が置かれており、雰囲気が300℃〜600℃を含む蒸着温度および13Pa〜7000Paを含む蒸着圧力である化学気相蒸着反応器内において;工程a)で気化された前記母液を導入し、これにより、前記支持材上に前記少なくとも1つの保護層(2)の堆積をもたらす工程 を含む方法。前記原子炉コンポーネントが、前記原子炉コンポーネントの外側の前記媒体と反対側の前記支持材の表面である前記支持材の内側表面上に配置されたライナー(4)をさらに備えている、請求項1に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記少なくとも1つの保護層(2)が、前記原子炉コンポーネントの外側の前記媒体に対向している前記支持材の表面である前記支持材の外側表面を被覆する外側保護層(2A)および/または、前記原子炉コンポーネントが、解放型であるか、もしくは解放型ではない内部容積を備えている場合は、前記ライナー(4)で被覆されているか、もしくは被覆されていない前記支持材の内側表面を被覆する内側保護層(2B)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記ライナー(4)が、200℃〜400℃を含む蒸着温度で前記支持材の内側表面上に、前駆物質(1種類または複数種)としてチタンアミドを、さらに、前記ライナーを構成している材質が、それぞれケイ素、アルミニウムおよび/または窒素を含む場合はケイ素を含む前駆物質、アルミニウムを含む前駆物質および/または窒素含有液状添加剤を用いる有機金属化合物の化学気相蒸着(MOCVD)またはDLI−MOCVDによって堆積される、請求項2または3に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。工程b)の後に: c)前記少なくとも1つの保護層(2)に対して、イオン状もしくはガス状での窒化物形成、イオン状もしくはガス状での珪化物形成、イオン状もしくはガス状での炭珪化物形成、またはイオン状もしくはガス状での窒化物形成の後、イオン状もしくはガス状での珪化物形成もしくは炭珪化物形成である後続の処理工程から選択される少なくとも1つの工程を行うこと を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質と、バナジウムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、ニオブを含むビス(アレーン)型の前駆物質、アルミニウムを含む前駆物質またはこれらのさらなる前駆物質の混合物から選択されるさらなる前駆物質とを含むものであり;それにより、クロム/バナジウム合金、クロム/ニオブ合金、クロム/バナジウム/ニオブ合金もしくはクロム/アルミニウム合金から選択されるクロム合金を含む保護材が前記抑制剤の存在下で得られるか、またはクロム/バナジウム合金の炭化物、クロム/ニオブ合金の炭化物、クロム/バナジウム/ニオブ合金の炭化物もしくはクロム/アルミニウム炭化物から選択されるクロム合金の炭化物を含む保護材が前記抑制剤の非存在下で得られるようにする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質を含むものであり、窒素含有液状前駆物質がさらなる前駆物質として前記母液中に存在しているか、または窒素含有ガス状前駆物質が前記化学気相蒸着反応器内に存在しており;それにより、窒化クロムを含む前記保護材が前記抑制剤の存在下で得られるか、または炭窒化クロムを含む前記保護材が前記抑制剤の非存在下で得られるようにする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質と、さらなる前駆物質としてケイ素を含む前駆物質とを含むものであり;それにより、450℃〜500℃を含む蒸着温度では、クロムケイ素混合炭化物を含む前記保護材が得られるようにする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質と、さらなる前駆物質としてケイ素を含む前駆物質とを含むものであり、窒素含有液状前駆物質がさらなる前駆物質として前記母液中に存在しているか、または窒素含有ガス状前駆物質が前記化学気相蒸着反応器内に存在しており;それにより、450℃〜550℃を含む蒸着温度では、クロムケイ素混合窒化物を含む前記保護材が前記抑制剤の存在下で得られるか、またはクロムケイ素混合炭窒化物を含む前記保護材が前記抑制剤の非存在下で得られるようにする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。前記母液が、さらなる前駆物質として、イットリウム、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンから選択される添加元素を含むビス(アレーン)型の少なくとも1種類の前駆物質、アルミニウムもしくはイットリウムを添加元素として含む前駆物質またはその混合物をさらに含むものであり;それにより、前記保護材に前記添加元素がドープされるようにする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。クロムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質、バナジウムを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質、ニオブを含むビス(アレーン)型の前記前駆物質または前記添加元素を含むビス(アレーン)型の前記前駆物質が、それぞれクロム、バナジウム、ニオブまたは前記添加元素から選択される元素Mを含み;前記元素Mが、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質を有するように酸化状態がゼロ(M0)である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントを製造するための方法。− i)ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデンまたはこれを主体とする合金から選択される金属ベースの基材を含む支持材(1)、前記基材(1)は、前記基材(1)と少なくとも1つの保護層(2)の間に配置された介在層(3)で被覆されているか、またはされていない; − ii)前記支持材を被覆しており、前記基材がジルコニウムベースでない場合はクロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物から選択されるクロム含有保護材で構成されている前記少なくとも1つの保護層(2) を備えている、核燃料被覆管、スペーサグリッド、ガイドチューブ、燃料板または吸収用制御棒から選択される原子炉コンポーネント。前記介在層(3)が、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、その合金、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物から選択される少なくとも1種類の介在材料を含む、請求項12に記載の原子炉コンポーネント。前記原子炉コンポーネントが、前記支持材の内側表面上に配置されたライナー(4)をさらに備えており、前記支持材の内側表面が、前記原子炉コンポーネントの外側の前記媒体と反対側の表面である、請求項12または13に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が、前記原子炉コンポーネントの外側の前記媒体に対向している前記支持材の表面である前記支持材の外側表面を被覆する外側保護層(2A)および/または、前記原子炉コンポーネントが、解放型であるか、もしくは解放型ではない内部容積を備えている場合は、前記ライナー(4)で被覆されているか、もしくは被覆されていない前記支持材の内側表面を被覆する内側保護層(2B)である、請求項12または14に記載の原子炉コンポーネント。前記ライナー(4)を構成している材質が、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物を含む、請求項14または15に記載の原子炉コンポーネント。前記クロム合金が、クロム/バナジウム合金、クロム/ニオブ合金、クロム/バナジウム/ニオブ合金もしくはクロム/アルミニウム合金から選択されるか、または前記クロム合金の前記炭化物が、クロム/バナジウム合金の炭化物、クロム/ニオブ合金の炭化物、クロム/バナジウム/ニオブ合金の炭化物もしくはクロム/アルミニウム合金の炭化物から選択される、請求項12〜16のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記クロムケイ素混合炭化物、前記クロムケイ素混合炭窒化物または前記クロムケイ素混合窒化物がアモルファスである、請求項12〜17のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記クロムケイ素混合炭化物が「MAX相」型のものである、請求項12〜18のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記保護材に、イットリウム、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンまたはその混合物から選択される添加元素がドープされている、請求項12〜19のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記保護材が前記添加元素を1atom%〜10atom%の含有量で含む、請求項20に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が組成勾配を有する、請求項12〜21のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記少なくとも1つの保護層(2)が等軸晶組織を有する、請求項12〜22のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。同一または異なる組成のいくつかの保護層がそれぞれ、均一系多層保護被覆または不均一系多層保護被覆を形成している、請求項12〜23のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネント。前記均一系多層保護被覆が、クロム合金で構成された保護層を含む、請求項24に記載の原子炉コンポーネント。前記不均一系多層保護被覆が: − クロムと窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロム、または − クロムケイ素混合炭化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合窒化物とクロム、または − クロムケイ素混合窒化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロムケイ素混合窒化物 で構成された保護層を含む、請求項24に記載の原子炉コンポーネント。水分を含有している湿潤雰囲気中での酸化および/または水素化に対処するため、または水素を含有している水素化雰囲気中での水素化に対処するための、請求項12〜26のいずれか1項に記載の原子炉コンポーネントの使用。

说明书全文

技術分野 本発明は、原子分野で使用される材料、特に、公称条件下および原子炉事故の際に、例えば、加圧型原子炉(PWR)または沸騰水型原子炉(BWR)内においてみられる物理化学的条件に対して可能な限り最良の抵抗性を示すことが意図される材料の分野に関する。

本発明は、より詳しくは、原子炉コンポーネント(nuclear component)、その製造方法ならびに酸化および/または水素化に対するその使用に関する。

技術的背景 現在使用されている核燃料被覆管の構成要素であるジルコニウム合金は、PWRまたはBWR原子炉用の冷却材を構成する水と接触すると酸化された状態になる。

酸化物形態は脆弱であり、酸化に付随する水素の取込みは、脆化性の二水素ジルコニウムの沈着をもたらすため、該被覆管の耐用年数が、最大許容厚の酸化物およびそれに付随する吸収水素含有量によって一部限定的となる。核燃料の最適な閉じ込めを保証することに関して該被覆管の良好な残留機械的特性を保証するためには、剛健で延性のジルコニウム合金の残留厚が充分でなければならない、および/または水素化物の割合が、核燃料の最適な閉じ込めを保証することに関して該被覆管の良好な残留機械的特性が保証されるのに充分に限定的でなければならない。

したがって、かかる酸化および/または水素化を制限または遅滞させることが可能なことは、事故の状態下では極めて重要であることがわかり得よう。

このような状況に至るのは、例えば、仮想事故シナリオ、例えば、RIA(「反応度事故(Reactivity Insertion Accident)」)もしくはLOCA(「一次冷却材喪失事故(Loss of Primary Coolant Accident)」)の場合、またはさらには、使用済み燃料の貯蔵プールの排水の状態下である。この状況は、とりわけ、一般的には700℃より高い、特に800℃〜1200℃であり、かつ高い温度上昇速度で到達し得る高温を特徴とする。かかる温度では、冷却材が蒸気の形態である。

事故の状態下での酸化は正常な原子炉稼働中の状態下よりずっと重大であり、それは、該被覆管(これは、燃料閉じ込めのための第1の障壁である)の劣化が、より急速であり、それに付随するリスクも大きくなるためである。このようなリスクは、とりわけ以下のもの: − 水素の放出; − 高温で酸化による該被覆管の脆化またはさらには、一部の特定の状態下では該被覆管の水素化; − 原子炉の炉心を確保するための水の大量導入の際の急激な温度低下によって引き起こされる、急冷による該被覆管の脆化; − とりわけ事故後のハンドリング操作、地震の後遺症などの場合の、急冷または冷却後の該被覆管の低い機械的強度 である。

このようなリスクを考慮すると、とりわけ冷却材として水を使用する原子炉の安全性が改善されるように、高温、またはさらには超高温での該被覆管の酸化および/または水素化をできるだけ大きく制限することが不可欠である。

このような超高温は、事故規制条件によって設定される700℃〜1200℃を含む高温の極限またはさらには、それを超える温度に存在する。

現在、1970年代に規定されたLOCA型のシナリオによる設計が理由の事故に適用される規制基準には、該被覆管の最大温度は1204℃(2200°F)を超えるべきでないと明記されており、「ECR」酸化量の最大度合いは17%と明記されている。

「ECR」(「被覆管化学量論的(Equivalent Cladding Reacted)」)酸化量の度合いは、反応した酸素すべてが化学量論的ジルコニアを形成すると仮定したとき、核燃料被覆管に含有されているジルコニウムの酸化によって生じるジルコニア(ZrO2)に変換された金属被覆管の厚さのパーセンテージである。

運転中の該被覆管の水素化に付随するこのさらなる脆化効果を考慮するため、この残留「ECR」酸化量の許容範囲の度合いは、現在、一部の特定の状態下では実質的に17%未満であり得、例えば、運転中の被覆管の水素化は数百ppm(質量基準)までで、これは実際面において、1200℃で数分間を超えてはならない該被覆管の酸化量の度合いに相当する。

超高温での酸化および/または水素化に対する抵抗性の改善により、好都合には、とりわけ事故の状況の悪化または持続の場合は該被覆管の劣化が比例して抑制または遅滞されることにより、さらなる安全域を得ることが可能になり得よう。

発明の説明 したがって、本発明の目的の1つは、とりわけ水蒸気の存在下での酸化および/または水素化に対する抵抗性を改善する原子炉コンポーネントおよびその製造方法を提案することにより、上記の欠点の1つ以上を抑制または軽減することである。

本発明の別の目的は、700℃〜1200℃の高温、またはさらには1200℃より上の超高温での;とりわけ0.1℃/秒〜300℃/秒を含む温度上昇速度を伴ってこのような温度に到達する場合の酸化および/または水素化に対するこの抵抗性を改善することであり得る。

本発明の別の目的は、超えると原子炉コンポーネントの完全性、特に核燃料の閉じ込めがもはや保証されなくなる酸化および/または水素化抵抗性時間を改善することであり得る。

本発明の別の目的は、とりわけ多用途であるだけでなく経済的でより環境にやさしい方法を提案することにより、該製造方法の産業化の潜在的可能性を改善することであり得る。

したがって、本発明は、ダイレクトリキッドインジェクションによる有機金属化合物の化学気相蒸着(DLI−MOCVD)法により原子炉コンポーネントを製造するための方法であって、該原子炉コンポーネントが: − i)ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデンまたはこれを主体とする合金から選択される金属ベースの基材を含む支持材、該基材は、該基材と少なくとも1つの保護層の間に配置された介在層で被覆されているか、またはされていない; − ii)前記支持材を被覆しており、安定クロム結晶相と準安定クロム結晶相を含む部分的準安定クロム、アモルファス炭化クロム、クロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物から選択されるクロム含有保護材で構成されている前記少なくとも1つの保護層 を備えており; 以下の連続する工程: a)酸素原子無含有の炭化水素ベースの溶剤、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質を含み;適切な場合は、さらなる前駆物質、炭素組込み抑制剤またはその混合物を含む母液を気化させる工程;該前駆物質は、300℃〜600℃を含む分解温度を有する; b)内部にカバー対象の前記支持材が置かれており、雰囲気が300℃〜600℃を含む蒸着温度および13Pa〜7000Pa(またはさらには130Pa〜4000Pa)を含む蒸着圧力である化学気相蒸着反応器内に;工程a)で気化された該母液を導入し、次いで、前記支持材上に前記少なくとも1つの保護層を堆積させる工程、この堆積は、工程a)で気化された該母液のこの導入によってもたらされる を含む方法に関する。

より具体的には、クロムを含む保護材は、クロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物から選択される。

先行技術の方法との比較において、本発明の製造方法により、とりわけ、酸化および/または水素化に対する原子炉コンポーネントの抵抗性が改善されるとともに、同時に、再利用の可能性によって強化される産業化の大きな潜在的可能性を有する蒸着法がもたらされる。

本発明の製造方法では、ダイレクトリキッドインジェクションによる有機金属化合物の化学気相蒸着(“Direct Liquid Injection−Metal Organic Chemical Vapor Deposition”の英語の頭文字に従ってDLI−MOCVDとして知られている)の方法を使用する。この方法は、例えば、以下の文献:“F.Maury,A.Douard,S.Delclos,D.Samelor,C.Tendero;Multilayer chromium based coatings grown by atmospheric pressure direct liquid injection CVD,Surface and Coatings Technology,204(2009)983−987”(参考文献[1])、“A.Douard,F.Maury;Nanocrystalline chromium−based coatings deposited by DLI−MOCVD under atmospheric pressure from Cr(CO)6,Surface and Coatings Technology,200(2006)6267−6271”(参考文献[2])、WO2008/009714(参考文献[3])およびWO2008/009715(参考文献[])に記載されている。

念のため、DLI−MOCVD手法の原理は、化学気相蒸着チャンバ内に、連続またはパルス式の条件下で、堆積させる金属の前駆物質を気化形態で直接導入するというものである。

この目的で、供給槽を圧力(例えば、3×105Paの圧力の不活性ガス)下で開始し、前駆物質として少なくとも1種類の有機金属化合物を含む母液を蒸発部内に導入する。次いで、これを微小液滴に分割させ、フラッシュ気化されるエーロゾルを形成させる。フラッシュ蒸発は、化合物を、飽和蒸気圧の法則によって予測される圧力/温度条件外で急速に気化させることを本質とする。蒸発部を、前駆物質とその溶剤が気化されるがこの段階で分解がもたらされることがないような温度まで加熱する。この温度は簡便には、溶剤の沸点と前駆物質の分解温度、場合によっては溶剤の分解温度、例えば200℃の間の温度を含む。

母液の噴射のためのパラメータは、好ましくはコンピュータプログラムを用いて設定する。該パラメータは、減圧下で満足なフラッシュ蒸発を得るために非常に微細な数多くの液滴のミストが得られるように調整される。したがって、この液体噴射は、被覆蒸着法のパラメータの最適化のための可能性を制限しない、有機金属前駆物質の充分に制御された供給源を構成する。

母液の配合におけるこの柔軟性により、多種多様な被覆を1つの物理気相蒸着装置で堆積させることが可能である。被覆の組成、組織、幾何構造および物理化学的特徴は特に、数多くの異型形態に、とりわけ被覆では、例えば保護層、介在層またはライナーに分解され得る。

気化された母液は、不活性ガス流により、内部にカバー対象の基材が配置された該反応器の蒸発部から蒸着ゾーンへとエントレインメントされる。使用されるキャリアガスは好ましくは、より効率的な気化を得るために蒸発部の温度まで予熱する。前記ガスは、存在している試薬と(例えば、これを酸化させることによって)反応しないように不活性である。低コストのため一般的には窒素が選択されるが、ヘリウム(これは、より良好な熱伝導の恩恵を被る)またはアルゴン(これは、より大きな保護力を有する)もまた使用され得る。

本発明の製造方法によれば、化学気相蒸着反応器のチャンバを、300℃〜600℃を含む蒸着温度まで加熱する。この温度範囲では、有機金属前駆物質、特にビス(アレーン)金属型のものは、反応器壁面またはさらには基材上に堆積することによってチャンバを汚染する傾向にある反応副生成物の生成ができるたけ多く抑制されるようにするため、溶剤を劣化させることなく分解される。カバー対象の基材が金属性である場合、この温度は、該基材が変形または相変態(あれば)を受けることが抑制されるように、該金属が抵抗性の温度に制限される場合があり得る。例えば、基材がジルコニウムの合金で構成されている場合、蒸着温度は350℃〜550℃を含むものであり得る。DLI−MOCVD法の低い蒸着温度は、ガス状の遷移金属ハロゲン化物を使用し、900℃に至ることがあり得る温度で操作する他の気相クロムメッキCVD法と比べた場合、利点である。

化学気相蒸着反応器は減圧下に配置され、この圧力で、母液の気化から、該製造方法の終了時に得られた排出液の任意選択の収集までの蒸着のメインの工程が行われる。減圧は一般的に数トール〜数十トールである。したがって、これは、高真空装置を必要とする工業的PVD法の約10−3トール〜10−4トールの圧力に対して中程度の減圧である。

原子炉コンポーネントを保護層で被覆するためのDLI−MOCVD蒸着法の利点の1つは、前記層が、介在層で被覆されているか、またはされていない基材の内側表面および/または外側表面上に堆積され得ることである。

本発明の製造方法による原子炉コンポーネントの内側層の保護は、被覆対象の基材が大型サイズのもの、例えば、直径1cmおよび長さ約4mの管形の核燃料被覆管の場合、特に好都合である。これにより、原子力セクターにおいてみられる酸化および/または水素化の問題が一部解決される。

具体的には、一例として、第2世代および第3世代原子炉での一次冷却材喪失事故(LOCA)シナリオの際、ジルコニウム合金の燃料被覆管は内部温度/圧力の急上昇に供され、これにより、該被覆管の膨張および酸化の加速がもたらされる。この2つの現象の組合せにより、該被覆管の破裂、したがって、核燃料の閉じ込めおよび内部に含まれている核分裂生成物の漏れがもたらされる場合があり得る。

かくして露出した該被覆管の内側表面は、酸化および二次的水素化、すなわち、閉じ込め効果による水蒸気雰囲気の酸素の枯渇によって生じる大量の局部的水素化に対して特に感受性になる。次いで、該被覆管は、事故を起こした炉心の再給水によって引き起こされる急冷の際、またはさらには、急冷後の機械的ストレス(地震の後遺症、ハンドリングなど)の際の亀裂発生によって劣化状態になり得る。この分解により、場合によっては、燃料集合体の冷却効率の低下および無制御の劣化状況への進行(「重大事故」)がもたらされる場合があり得る。

核燃料被覆管の内側表面を少なくとも1つの保護層で被覆することにより、LOCA条件下における内部酸化および/または二次的水素化の制限、遅滞またはさらには抑制が補助される。

また、これは、該被覆管に偶発的に穴があいた場合の公称条件下での二次的水素化に対処するため、および燃料ペレット−被覆管間の相互作用の問題に対処するためにも好都合である。

本発明の製造方法によって少なくとも1つの保護層が上面に堆積される基材は、金属またはその基合金のうちの1種類で構成されたものである。

優先的には、基材は、ジルコニウムまたはジルコニウム基合金で構成されたものである。ジルコニウム基合金は、重量基準で: − 0%〜3%のニオブ; − 0%〜2%のスズ; − 0%〜0.5%の鉄; − 0%〜0.2%のクロム; − 0%〜0.2%のニッケル; − 0%〜0.2%の銅; − 0%〜1%のバナジウム; − 0%〜1%のモリブデン; − 0.05%〜0.2%の酸素 を含むものであり得る。

ジルコニウム合金は、特に、原子力分野の制約を満たす合金、例えばジルカロイ−2、ジルカロイ−4、ZirloTM、Optimized−ZirloTMまたはM5TMから選択され得る。これらの合金の組成は、重量基準で、例えば: − ジルカロイ−2合金:1.20%〜1.70%のSn;0.07%〜0.20%のFe;0.05%〜1.15%のCr;0.03%〜0.08%のNi;900ppm〜1500ppmのO;残部がジルコニウム − ジルカロイ−4合金:1.20%〜1.70%のSn;0.18%〜0.24%のFe;0.07%〜1.13%のCr;900ppm〜1500ppmのO;0.007%未満のNi;残部がジルコニウム − ZirloTM合金:0.5%〜2.0%のNb;0.7%〜1.5%のSn;0.07%〜0.28%の、Fe、Ni、Crから選択される少なくとも1種類の元素;200ppmまでのC;残部がジルコニウム − Optimized−ZirloTM合金:0.8%〜1.2%のNb;0.6%〜0.9%のSn;0.090%〜0.13%のFe;0.105%〜0.145%のO;残部がジルコニウム − M5TM合金:0.8%〜1.2%のNb;0.090%〜0.149%のO;200ppm〜1000ppmのFe;残部がジルコニウム を含むようなものである。

優先的には、ジルコニウム基合金はジルカロイ−2またはジルカロイ−4である。

具体的な幾何構造の一例によれば、本発明の方法によって製造される原子炉コンポーネントは、基材と少なくとも1つの保護層の間に位置する介在層を備えたものであり得る。

この実施形態では、基材と介在層の組合せによって支持材が形成される。

介在層は拡散障壁としての機能を果たし得る。

基材がジルコニウムまたはジルコニウムの合金を含むものである場合、介在層は、特に: − ジルコニウムベースの外部層から内部層に向かってのクロムの拡散(これは、酸化クロムになる酸化に加えて外部層(1つまたは複数)の消耗の加速をもたらす); − およそ1330℃より上での共晶の形成(これは、該コンポーネントの機械的強度およびその被冷却能に潜在的に有害であり得る)を制限し、さらには実際に抑制する拡散障壁を構成する。

介在層は基材上に多種多様な蒸着法によって、より具体的には、DLI−MOCVD蒸着を行うことにより、またはプラズマ促進型化学気相蒸着(CVD)によって、基材の外側表面上および/または内側表面上に堆積され得る。

この2つの方法は、介在層を基材の外側表面上に堆積させる場合に使用され得る。

他方で、DLI−MOCVDによる蒸着のみにより、一般的に、介在層が金属材料で構成されている場合、基材の内側表面をカバーすることが可能である。そのときのDLI−MOCVDによる蒸着の操作条件は、本説明の他の箇所に記載のものである。特に、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブまたはバナジウムから選択される介在材料を含む該前駆物質は、本説明に示した異型形態によるビス(アレーン)型のものであり得る。

プラズマ促進型CVD蒸着法は、一部では、一般的には介在層がセラミック材料で構成されている場合、基材の外側表面上への蒸着にのみ使用される。優先的には、そのとき、介在層は基材の外側表面上に、例えば、文献“S.Anderbouhr,V.Ghetta,E.Blanquet,C.Chabrol,F.Schuster,C.Bernard,R.Madar;LPCVD and PACVD(Ti,Al)N films:morphology and mechanical properties;Surface and Coatings Technology,第115巻,2−3号,1999年7月18日,第103〜110頁”(参考文献[5])に示されているような、少なくとも1種類のチタン、アルミニウムまたはケイ素のハロゲン化物とガス状窒素前駆物質を含む混合物を用いたプラズマ促進型CVD蒸着を行うことにより堆積させる。

優先的には、該チタン、アルミニウムまたはケイ素のハロゲン化物はチタン、アルミニウムまたはケイ素の塩化物である。これは、例えばTiCl4、AlCl3およびSiCl4またはその混合物から選択される。

優先的には、介在層は、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、その合金、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物から選択される少なくとも1種類の介在材料を含むものであり得る。

窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物またはチタンアルミニウム混合窒化物で構成された介在材料はセラミック製介在材料であり:これらの材料は各々、一般的に、それぞれTiN、TiCN、TiSiN、TiSiC、TiSiCNまたはTiAlN(これはなんら化学量論を示唆するものではない)と表示され;窒素原子、炭素原子、ケイ素原子およびアルミニウム原子は一般的にチタン金属母材中の挿入物である。

優先的には、介在層の厚さは1μm〜5μmである。

別の具体的な幾何構造によれば、本発明の方法によって製造される原子炉コンポーネントは、前記支持材の内側表面上に配置されたライナーをさらに備えたものであり得る。このライナーは一般的に、拡散障壁の機能を果たすか、または起こり得る化学的もしくは機械的相互作用に対する原子炉コンポーネントの堅牢性を改善する。

前記少なくとも1つの保護層は、前記支持材の外側表面を被覆する外側保護層および/または、原子炉コンポーネントが、解放型であってもそうでなくてもよい内部容積を備えている場合は、ライナーで被覆されているか、または被覆されていない前記支持材の内側表面を被覆する内側保護層であり得る。

内部容積を備えている原子炉コンポーネントは、例えば、核燃料被覆管、ガイドチューブ、燃料板その内部容積は解放型ではないが、それにもかかわらず、このコンポーネントを、上面に内側保護層が堆積される表面(このような表面は、パーツの一体化後、保護層でカバーされた該支持材の内側表面を構成する)を備えたものであり得るいくつかのパーツを一体化することにより製造することが可能である)、または吸収用制御棒である。

ライナーは、必ずしも被覆を構成するものではない:これは、その後に原子炉コンポーネントに一体化または嵌合されるパーツであってもよい。また、基材の製造の際に熱間共押出しによって得られるものであってもよい。

あるいはまた、ライナーは、200℃〜400℃を含む蒸着温度で該支持材の内側表面上に、前駆物質(1種類または複数種)としてチタンアミドを、さらに、ライナーを構成している材質が、それぞれケイ素、アルミニウムおよび/または窒素を含む場合は、ケイ素を含む前駆物質、アルミニウムを含む前駆物質および/または窒素含有液状添加剤を前駆物質として用いる有機金属化合物の化学気相蒸着(MOCVD)またはDLI−MOCVDによって堆積され得る。

MOCVD蒸着法は、例えば、チタン同族体(これは、このMOCVD法ではクロムであってもよい)について、文献“F.Ossola,F.Maury:MOCVD route to chromium carbonitride thin films using Cr(NEt2)4 as single−source precursor:growth and mechanism.,Adv.Mater.Chem.Vap.Deposition,3(1997)137−143.”(参考文献[6])に記載されている。

優先的には、MOCVDまたはDLI−MOCVDによるライナーの堆積の際、窒素含有液状添加剤はアンモニア、または任意選択で、チタン−窒素間結合を含む分子の前駆物質である。高濃度の窒素含有液状添加剤では一般的に、炭素が該有機金属前駆物質に由来する炭化物を犠牲にして窒化物の形成が促進される。

MOCVDまたはDLI−MOCVD蒸着温度は、ライナーを構成している材質中のアモルファス構造の割合、したがってライナーの拡散障壁としての性能ができるだけ最良に向上するように、300℃〜400℃を含むものであり得る。

あるいはまた、MOCVDまたはDLI−MOCVD蒸着温度は、堆積速度が高まるように、400℃〜550℃であり得る。

優先的には、ライナーを構成している材質は、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物を含むものである。

ライナーは一般的に1μm〜10μmの厚さを有する。

また、他の蒸着法、例えば、それぞれ、文献“Jin Zhang,Qi Xue and Songxia Li,Microstructure and corrosion behavior of TiC/Ti(CN)/TiN multilayer CVD coatings on high strength steels.Applied Surface Science,2013.280:第626〜631頁”(参考文献[7])、“A.Weber,C.‐P.Klages,M.E.Gross,R.M.Charatan and W.L.Brown,Formation Mechanism of TiN by Reaction of Tetrakis(dimethylamido)‐Titanium with Plasma‐Activated Nitrogen.Journal of The Electrochemical Society,1995.142(6):第L79〜L82頁.”(参考文献[8])または“Y.S.Li,S.Shimada,H.Kiyono and A.Hirose,Synthesis of Ti−Al−Si−N nanocomposite films using liquid injection PECVD from alkoxide precursors.Acta Materialia,2006.54 (8):第2041〜2048頁”(参考文献[9])に示されているようなCVD、プラズマCVDまたはDLICVD蒸着も、ライナーを堆積させるのに好適であり得る。

少なくとも1つの保護層を支持材または基材上に堆積させるため、本発明の製造方法は、その一般的な実施形態において、2つの工程: − 保護層の前駆物質(1種類または複数種)を含む母液の気化の工程a)、 − 工程中に保護層が基材上に形成される、気化された母液の蒸着の工程b) を含むものである。

母液の気化の工程a)は優先的には、120℃〜220℃を含む気化温度で行われる。

母液は、溶剤、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質;適切な場合は、さらなる前駆物質と炭素組込み抑制剤を含むものである。

母液中に含める溶剤の選択は一般的に、いくつかの基準を満たす。

まず、蒸発部内でのフラッシュ蒸発を可能にするため、溶剤の沸点は蒸発部の温度より低いものである。亀裂発生による堆積物の酸化を抑制するため、酸素を全く含有していない。溶液中で前駆物質に対して化学的に不活性であり、標準温度/圧力条件下、すなわち、本説明によれば大気圧および25℃の温度で液体である。最後に、溶剤は、反応器から出て行く排出液中に回収されるように、および汚染(あれば)が回避または制限されるように、反応器内で有意に分解されないものである。

とりわけこのような理由で、母液の溶剤は炭化水素ベースの溶剤である、すなわち、炭素と水素のみで構成されたものである。

好ましくは、溶剤は、少なくとも1種類の前駆物質化合物の配位子のものと類似している化学物質ファミリーに属するものであり、例えば、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質は芳香族炭化水素(またはアレーン)ファミリーに属するものである。これは、反応器を通過中、この前駆物質が熱分解して、その配位子を次々に放出するためである。したがって、反応副生成物は本質的に遊離のアレーンであり、これは、溶剤と化学的に類似している、またはさらには同一である場合、なおさらに該溶剤と混合される。その結果、反応器から出て行く排出液中に収集される化合物(前駆物質または未消耗の試薬、DLI MOCVD反応の副生成物および溶剤)は一般的に、すべて芳香族炭化水素である。

したがって、優先的には、溶剤は単環式の芳香族炭化水素であり、これは標準状態で液体であり、150℃より下の沸点および600℃より高い分解温度を有する。さらにより優先的には、これは、ベンゼン、またはメチル基、エチル基およびイソプロピル基から独立して選択される1つ以上の同一かもしくは異なる基で置換されているベンゼンから選択される。さらにより優先的には、溶剤はトルエン、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)またはエチルベンゼンである。また、これらの化合物の混合物を溶剤として使用することも可能である。

母液の主構成要素のうちの1つは、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質および、適切な場合はさらなる前駆物質である。

母液について選択される組成に応じて、後述する種々の保護材が、蒸着工程b)中に前駆物質の分解によって堆積され得る。保護材はすべて、クロムを含有しているため、母液は、少なくとも溶剤とクロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質とを含むものであり、該前駆物質の濃度は広い範囲内で選択され得る。この濃度は主に、工程b)による堆積速度に対して影響を有する:母液中で前駆物質が濃縮されているほど、被覆の成長速度は高くなる。

クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質の母液中の濃度は、0.1mol.L−1〜4.4mol.L−1(純粋な前駆物質の濃度)、一般的には0.1mol.L−1〜1mol.L−1を含むもの、典型的には0.35mol.L−1であり得る。

保護層の前駆物質および溶剤の他に、母液はまた、炭素含有保護材の堆積を抑制または制限する炭素組込み抑制剤も含むものであってもよい:かかる保護材は、炭化物、混合炭化物、炭窒化物または混合炭窒化物であり得、このような保護材は場合によっては、例えば、原子百分率として、35%の炭素を含むものであり、任意選択で、多くの場合、2%〜3%の酸素を保護層の表面上に局在させる。

該抑制剤の存在下であっても少量の炭素が、工程b)中にクロムとともに偶発的に堆積される場合があり得るが、炭化物は形成されない。

該抑制剤は、一般的には酸素原子無含有の塩素ベースまたはイオウベースの添加剤である求核化合物である。その分解温度は500℃より高く、それにより、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質の芳香族配位子の不均一な分解が抑制または制限され、その間、該前駆物質の金属−配位子間結合の解離により、一部の炭化水素配位子が、基材の触媒効果の下で分解され、炭化物型のセラミックが形成されるように自身の炭素を供給する。

優先的には、該抑制剤は、チオール基または少なくとも1個の塩素で置換されている単環式の芳香族炭化水素であり、さらにより優先的には、該抑制剤はチオフェノール(C6H5SH)またはヘキサクロロベンゼン(C6Cl6)である。

該抑制剤は、母液中のクロム前駆物質のモル濃度の1%以上10%まで、例えば2%の濃度で存在させ得る。

母液の気化が工程a)で行われたら、蒸着工程b)が、この分野で慣用的に使用されており、減圧下で操作されるホットウォール型反応器で行われ得る。この反応器はその全体が、蒸着に必要とされる温度まで加熱され、そのため、壁面、反応器内を循環する反応性ガス相およびカバー対象の基材が同じ温度である。また、この型の反応器は、「等温型」反応器(または「擬等温型」反応器、場合によっては、いくつかの温度勾配が残存する場合があり得るため)としても知られている。

また、反応器のみが蒸着温度ではなく、より低温であるコールドウォール型反応器が利用される場合もあり得る。この場合の方が、前駆物質の消耗量から求められる反応器収率が低い。

本発明によれば、化学気相蒸着反応器は300℃〜600℃を含む蒸着温度であり、そのため、母液中に存在するビス(アレーン)型の前駆物質(あれば)は分解されるが、溶剤は分解を受けない。これにより、反応器壁面上またはさらには基材上に堆積されることによってチャンバを汚染しやすい副生成物の生成が回避される。

工程b)による蒸着温度は、基材(金属性の場合)の変形または相変態(あれば)が回避またはさらに制限されるように、優先的には350℃〜550℃、さらにより優先的には350℃〜450℃を含む。

あるいはまた、工程b)による蒸着温度は300℃〜400℃を含み、これにより、保護層の密度が改善され、そのアモルファスの性質が助長され、したがって、酸化に対する抵抗性、水素化に対する抵抗性および/または原子炉コンポーネントを通り抜ける核分裂性物質などの望ましくない物質の移行に対する抵抗性が向上する。

蒸着工程b)は、支持材の最後の層に対して行われる。例えば、支持材の外側表面上への堆積では、保護層の堆積は、支持材が、それぞれ、そのままの基材を含むのか、少なくとも1つの介在層で被覆されている基材を含むのかに応じて、基材または最後の介在層に対して行われる。

工程b)の後、本発明の製造方法に以下の工程: c)前記少なくとも1つの保護層に対して、イオン状もしくはガス状での窒化物形成、イオン状もしくはガス状での珪化物形成、イオン状もしくはガス状での炭珪化物形成、イオン状もしくはガス状での窒化物形成の後、イオン状もしくはガス状での珪化物形成もしくは炭珪化物形成である後続の処理工程から選択される少なくとも1つの工程を行うことを含めてもよい。

この後処理工程により、保護層の耐熱性およびトライボロジー特性、より具体的には引っかき抵抗性が改善される。

このような後処理の方法は当業者に知られており、例えば、文献“S.Abisset,F.Maury,R.Feurer,M.Ducarroir,M.Nadal and M.Andrieux;Gas and plasma nitriding pretreatment of steel substrates before CVD growth of hard refractory coatings;Thin Solid Films,315(1998)179−185”(参考文献[10])に記載されている。

イオン処理は、最低蒸着温度が約400℃であり得るプラズマ促進型処理であるため、保護層の外側表面のみにしか適用可能でない。

ガス状の炭珪化物形成およびガス状の珪化物形成の最低蒸着温度は、それぞれ、約900℃〜約800℃である。

一般に、この珪化物形成および炭化物形成の方法では、それぞれ、シランまたはその同族体(SinH2n+2)のうちの1種類および炭化水素(例えば、CH4、C3H8、C2H2またはC2H4)が使用され、それぞれ、最低温度が約800℃または400℃のプラズマを用いて、またはなしで操作され得る。

一般に、工程a)、b)および/またはc)は、任意の化学種が化学気相蒸着反応器内に噴射されるように、キャリアガスを用いて行われる。キャリアガスは、反応器内に存在している種々の化学種に対して通常、化学的に不活性である少なくとも1種類の希ガスを含む。希ガスは、キセノンまたはクリプトンから選択してもよいが、好ましくは窒素、ヘリウムまたはアルゴンから選択され得る。キャリアガスは、例えば0.2Pa〜2Paを含む圧力である。

本発明の製造方法の該種々の工程を行ったら、化学気相蒸着反応器から出て行くガス状排出液には、前駆物質分子、溶剤および、適切な場合は、消耗または熱分解されなかった該抑制剤が含まれている。また、排出液に、溶剤と同じ芳香族ファミリーのものである、該前駆物質から解離した遊離の配位子も含まれている場合があり得る。該配位子は、これと混和性のベース溶剤中に組み込まれ、自身が溶剤としての機能を果たす。予想外の大きな利点は、低温で反応器から出て行くこのような化合物の大部分は、一般的に、最初の化合物、すなわち前駆物質または溶剤のものと同様または同一の化学構造の単環式芳香族分子であるということである。したがって、該化合物を収集することは好都合である。該化合物は、反応器から出て行く際はその温度/圧力条件のためガス状であるが、標準状態で液体である。かくして収集された混合物は、娘液として知られる溶液を構成し、本発明の製造方法の工程a)で使用され得る新たな母液として、反応器の供給槽内に導入され得る。これによってもたらされるこの再利用過程は、特許出願FR1562862(参考文献[11])に記載されている。

本発明の製造方法は、その特徴のおかげで、かかる再利用が可能であり、したがって密閉サイクル内で機能することができ、これは、多くの利点:環境に悪い物質の排出の低減またはさらには排除、前駆物質の最適な使用によろう経済的節約および、以下に示すような、保護被覆の硬度の上昇を有する。

本発明の製造方法の最後に、支持材を少なくとも1つの保護層で被覆する。この保護被覆により、とりわけ、原子炉コンポーネントの内部または外部の望ましくない物質(あれば)、例えば、核燃料に由来する核分裂性物質(あれば)の酸化、水素化および/または移行に対処することが可能である。

本発明の製造方法によって堆積され得る保護材はさまざまである。これらを以下に説明する。

本発明の一実施形態によれば、母液は、該抑制剤と、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質とを含むものであり;それにより、300℃〜450℃を含む蒸着温度では、部分的準安定クロムを含む保護材が得られるようにする。この場合、該抑制剤は好ましくは、チオール基で置換されている単環式の芳香族炭化水素、例えばチオフェノールである。

部分的準安定クロムを含む保護層は一般的に柱状構造を有する。この柱状構造の構成要素である柱状粒子は、100nm〜1μmの平均直径を有するものであり得る。

準安定クロム結晶相は一般的に、Pm−3n空間群による体心立方晶構造のクロムで構成されている。優先的には、安定クロム結晶相はIm−3m空間群による体心立方晶構造のクロムで構成されており、準安定クロム結晶相はPm−3n空間群による体心立方晶構造のクロムで構成されている。例えば、Pm−3n空間群による体心立方晶構造のクロムを含む準安定結晶相は部分的準安定クロムの1atom%〜10atom%である。

Im−3mおよびPm−3n空間群は、例えば以下のウェブサイト:https://en.wikipedia.org/wiki/Space_groupに説明されている。これらの構造およびその割合はX線回折(XRD)によって測定され得る。

このIm−3m+Pm−3n部分的準安定多結晶クロムが得られることは予想外である:本発明者らが知る限り、本発明の製造方法によってのみ、かかる結晶構造の保護層を堆積させることが可能である。

この結晶構造は、原子力安全性のための一定の利点を有する。具体的には、Pm−3n型の準安定クロム結晶相は450℃より上で不可逆的に消失する。現在、原子炉、例えばPWR原子炉は公称条件下、約380℃で機能する。例えば非破壊制御(NDC)中のXRD分析で、部分的準安定クロム保護層内におけるPm−3n型の準安定なクロム相の消失が帰納的に示された場合、これから、本発明の製造方法によって得られる原子炉コンポーネント周囲の環境は、短時間ではあるが、450℃より上、すなわち、公称実用温度の380℃より充分に上の温度に曝露されていることが推論され得る。異常な温度上昇のかかる検出可能性は、帰納的であっても、原子炉の安全性管理のための大きな利点を構成する。したがって、部分的準安定クロムを含む保護層は原子炉コンポーネントの内部プローブとしての機能を果たすが、これがないと、原子力環境における該コンポーネントの全体挙動に悪影響を及ぼす。

本発明の別の実施形態によれば、母液は、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質を含むものであり;それにより、300℃〜500℃を含む蒸着温度では、アモルファス炭化クロムを含む保護材が得られるようにする。

理想的なアモルファス固体では、ガラス型のものは、原子がランダムに配列されて三次元網目構造を形成している。遷移金属ベースの炭化物または窒化物型の化合物の場合、一定度合いの短距離規則度が、例えば10nm未満の距離において示される場合があり得る。このスケールでは、アモルファス固体はナノ結晶性の性質のものである:これは、このようなドメインの互いに対する結晶方位差(disorientation)であり、これとは別の、より不規則なゾーンはアモルファス構造となる。

アモルファス炭化クロムは“a−CrCx”と表示され得る:用語“a−”はアモルファスを意味し、係数xは、該炭化物が、3種類の安定炭化クロム化合物(Cr23C6;Cr7C3;Cr3C2)のうちの1種類の厳密な化学量論を有していないことを示す。その組成はCr7C3に近いがCr3C2のものとの中間であり得る。

500℃より上の蒸着温度では、炭化クロムは、もはやアモルファスではなく多結晶性である。

本発明の製造方法によってアモルファス炭化クロムを含む保護材が得られることは数多くの利点を有し得る。

本明細書において以下に示すように、アモルファス炭化クロムは非常に高い硬度、例えば22GPa〜29GPaのものであり、前駆物質が該製造方法の最後で再利用される場合は特に高い。さらに、これは一般的に粒子接合がなく、これにより、高温であっても効率的な拡散障壁となり、これはとりわけ、ジルコニウムベース基材中のクロムの透過(これにより基材は弱体化する可能性がある)を制限する効果を有する。アモルファス炭化クロムのこのような構造的特徴は、1100℃での酸化後、水での急冷の後であっても全体的に保持され得る。

したがって、アモルファス炭化クロムで構成された保護層は、酸化、水素化、望ましくない物質(あれば)の移行および/または原子炉コンポーネントのハンドリング時の損傷に対して原子炉コンポーネントを保護するための優れた解決策である。

本発明の別の実施形態によれば、母液は、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、バナジウムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、ニオブを含むビス(アレーン)型の前駆物質、アルミニウムを含む前駆物質またはこれらのさらなる前駆物質の混合物から選択されるさらなる前駆物質を含むものであり;それにより、クロム/バナジウム合金、クロム/ニオブ合金、クロム/バナジウム/ニオブ合金もしくはクロム/アルミニウム合金から選択されるクロム合金を含む保護材が該抑制剤の存在下で得られるか、またはクロム/バナジウム合金の炭化物、クロム/ニオブ合金の炭化物、クロム/バナジウム/ニオブ合金の炭化物もしくはクロム/アルミニウム合金の炭化物から選択されるクロム合金の炭化物を含む保護材が該抑制剤の非存在下で得られるようにする。

クロム合金の炭化物は、炭素が上記のクロム合金のうちの1種類に組み込まれ、挿入炭化物を形成することによって生じる:したがって、これは、クロム/バナジウム合金の炭化物、クロム/ニオブ合金の炭化物、クロム/バナジウム/ニオブ合金の炭化物またはクロム/アルミニウム合金の炭化物(好ましくは、「MAX相」型の混合炭化物Cr2AlC)であり、これらは、それぞれCrVC、CrNbC、CrVNbC、CrAlC(この表記法はなんら化学量論を示すものではない)と表示され得る。

好ましくは、クロム合金もしくはその対応する炭化物は混合合金もしくは混合炭化物である(すなわち、任意の他の金属元素が有意な含有量で、例えば0.5atom%より多い含有量で含まれていない)、および/またはクロム基合金もしくはそのクロム基合金の対応する炭化物である。

このような合金により、該原子炉コンポーネントの保護層の延性が改善される。合金またはその混合炭化物中の各元素の含有量は当業者によって、原子力環境において所望される機械的特性、例えば延性が得られるように選択される。例えば、このような合金中のバナジウムまたはニオブの原子含有量は10%〜50%を含むものであり得る。一般に、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質とバナジウムを含むビス(アレーン)型の前駆物質またはニオブを含むビス(アレーン)型の前駆物質とのモル比は、クロム合金中におけるクロムとバナジウムまたはニオブとの化学量論比と、それぞれ同様であるか、または対応している。

優先的には、該クロム合金は準安定または部分的準安定である、すなわち全体または一部分が準安定結晶相(これは、蒸着温度を下げることによって助長される)で形成されている。

本発明の別の実施形態によれば、母液は、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質を含むものであり、窒素含有液状前駆物質がさらなる前駆物質として該母液中に存在しているか、または窒素含有ガス状前駆物質が該化学気相蒸着反応器内に存在しており;それにより、窒化クロムを含む保護材が該抑制剤の存在下で得られるか、または炭窒化クロムを含む保護材が該抑制剤の非存在下で得られるようにする。

核燃料被覆管において、窒化クロムおよび/または炭窒化クロムを含む保護材は、ペレット−被覆管間の相互作用として知られる、該被覆管(特に、基材)の内側表面と核燃料ペレット間の相互作用に対処するという利点をさらに有する場合があり得る。この目的で、保護層の堆積を、例えば保護層を酸素または水との接触状態に置くことにより該保護層を部分的に酸化させることに関する不動態化工程によって終了してもよい。

優先的には、工程b)による蒸着温度は、窒化クロムがアモルファスであるように、300℃〜400℃、さらにより優先的には300℃〜500℃、例えば480℃を含む。

窒化クロムの蒸着の際の炭素の組込みを回避するための該抑制剤がすべて消耗されたら、残りの前駆物質と炭窒化クロムが形成される場合があり得る。次いで、窒化物と炭窒化物の混合物が得られる。

優先的には、窒化クロムまたは炭窒化クロムはCrN、Cr2NもしくはCr2(C,N)である。

堆積される窒化物の性質は、窒素を含む前駆物質の分圧とクロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質の分圧の比Rに依存し得る:所与の温度において、低R値では六方相の窒化物Cr2Nが優先的に得られ、最高値では立方相の窒化物CrNが得られる。また、当業者は、CrNもしくはCr2Nの生成が促進されるように蒸着温度または蒸着圧力を変更することができよう。

本発明の別の実施形態によれば、母液は、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、さらなる前駆物質としてケイ素を含む前駆物質を含むものであり;それにより、450℃〜500℃を含む蒸着温度では、クロムケイ素混合炭化物を含む保護材が得られるようにする。

適切な場合は、クロムケイ素混合炭化物を含む保護材を、金属の性質の層とセラミックの性質(例えば、SiC/SiCなどの複合材料)の層の間に位置する相間層の組成に、異なる性質のこれらの2つの層間の密着性が向上するように含めてもよい。

優先的には、クロムケイ素混合炭化物はアモルファスであり、これは、例えば、保護材の結晶化を遅滞させ、アモルファス炭化クロムの微構造を保持する化学的ドーピングと同様のケイ素原子百分率(例えば、1%〜3%を含む原子百分率)によって助長され得る。

本明細書において以下に示すように、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物は良好な耐久性を有する。

優先的には、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物は一般式CrxSiyCzを有するものであり、化学量論係数“x”は0.60〜0.70を含み、“y”は0.01〜0.05を含み、“z”は0.25〜0.35を含む。

クロムケイ素混合炭化物は「MAX相」型のものであってもよい。

MAX相は、本明細書において、式Mn+1AXnによって規定される三元炭化物であり、式中、Mはクロムであり、Aはケイ素であり、Xは炭素である。この類型の材料は、ナノメートルの層の積層体と少量割合(nが1、2および3である場合、それぞれ25%、33%および37.5%)の非金属原子を含む六方晶構造を特徴とする。このような材料は、金属の性質とセラミックのものと同様の特性との両方を有する。

本発明による「MAX相」型のクロムケイ素混合炭化物は、好ましくはケイ素原子を、15%〜30%を含む原子百分率で含む。優先的には、これは、式Cr2SiC、Cr3SiC2、Cr5Si3C2の混合炭化物またはその混合物(これらの炭化物は、原子百分率として25%のケイ素、17%のケイ素、30%のケイ素および25%のアルミニウムを含む)から選択される。

本発明の別の実施形態によれば、母液は、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、さらなる前駆物質としてケイ素を含む前駆物質を含むものであり、窒素含有液状前駆物質がさらなる前駆物質として該母液中に存在しているか、または窒素含有ガス状前駆物質が該化学気相蒸着反応器内に存在しており;それにより、450℃〜550℃を含む蒸着温度では、クロムケイ素混合窒化物を含む保護材が該抑制剤の存在下で得られるか、またはクロムケイ素混合炭窒化物を含む保護材が該抑制剤の非存在下で得られるようにする。

優先的には、クロムケイ素混合炭窒化物またはクロムケイ素混合窒化物はアモルファスであり、この構造は特に穏和な蒸着温度で有利である。

クロムケイ素混合窒化物は一般式Crx’Siy’Nw’を有するものであり得、化学量論係数“x’”は0.23〜0.57を含み、“y’”は0.003〜0.240を含み、“w’”は0.42〜0.56を含む。

クロムケイ素混合炭窒化物は一般式Crx’’Siy’’Cz’’Nw’’を有するものであり得、化学量論係数“x’’”は0.20〜0.56を含み、“y’’”は0.005〜0.220を含み、“z’’”は0.05〜0.34を含み、“w’’”は0.06〜0.50を含む。

クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物またはクロムケイ素混合炭窒化物を含む保護材を得るためには、ケイ素を含む該前駆物質のモル百分率は、母液中、10%〜90%、優先的には10%〜25%、例えば15%であり得る。モル百分率は、本明細書において、ケイ素を含む該前駆物質のモル数/(ケイ素を含む該前駆物質とクロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質のモル数の和)の比と定義する。ガス状であれ液状であれ、窒素を含む前駆物質は一般的に、化学気相蒸着反応器内に過剰量で存在させる。その濃度は、例えば、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質の濃度より100〜200倍高い。

本発明の別の実施形態によれば、母液は、さらなる前駆物質として、イットリウム、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンから選択される添加元素を含むビス(アレーン)型の少なくとも1種類の前駆物質、アルミニウムもしくはイットリウムを添加元素として含む前駆物質またはその混合物をさらに含むものであり;それにより、該保護材に該添加元素がドープされるようにする。

このドーピングは、本説明に記載の任意の保護材に関係し得る。保護材に添加元素をドープした場合、一般的に、対応する非ドープ保護材の微構造は保持され、該微構造内では添加元素は通常、挿入元素の形態またはさらには、一部の特定の場合では置換元素の形態、例えばクロムのケイ素での置換である。

優先的には、保護材は添加元素を1atom%〜10atom%の含有量で含む。この含有量は、蒸着温度および一般的には保護材中の該添加元素の原子百分率より多い添加元素を含むビス(アレーン)型の前駆物質の母液中のモル百分率とともに高くなる。

先に記載の各保護材を得ることが意図される前駆物質は、いろいろな組成を有するものであり得る。

優先的には、それぞれ、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、バナジウムを含むビス(アレーン)型の前駆物質、ニオブを含むビス(アレーン)型の前駆物質または該添加元素を含むビス(アレーン)型の前駆物質中にクロム、バナジウム、ニオブまたは該添加元素から選択される元素Mが存在する。したがって、ビス(アレーン)型のこれらの前駆物質の各々は、対応する元素Mを含むものである。好ましくは、元素Mは、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質を有するように酸化状態がゼロ(M0)である。

同様に、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブまたはバナジウムから選択される介在材料を含むビス(アレーン)型の前駆物質中に存在するクロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブまたはバナジウムから選択される元素Mも、好ましくは、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質を有するように酸化状態がゼロ(M0)である。

ビス(アレーン)型の前駆物質の有機金属化合物において、元素M0は、有機配位子、すなわち置換または非置換のアレーン基によって錯体形成された「サンドイッチ」である。元素M0は、堆積される保護被覆の場合と同じ酸化状態を有するため(混合または非混合型の炭化物、窒化物、炭窒化物は一般的に挿入化合物であり、元素M0はその内部で酸化状態ゼロを保持している)、ビス(アレーン)型の前駆物質は通常、複雑な反応、例えば、数多くの副生成物が生じる酸化還元反応を伴わずに分解される。

優先的には、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質は、一般式(Ar)(Ar’)M0の、酸素原子無含有のビス(アレーン)型の前駆物質であり、式中、ArおよびAr’は、同一であっても異なっていてもよく、各々、互いに独立して、ベンゼン型または少なくとも1つのアルキル基で置換されているベンゼン型の芳香族基を表す。

金属−配位子間結合の安定性は、実質的にベンゼン核上の置換基の数とともに高まるため、式中のArおよびAr’が、2つの控え目に(sparingly)置換された芳香族配位子を表す前駆物質を選択することは好都合である。そのため、優先的には、芳香族基ArおよびAr’は、各々、ベンゼン配位子またはメチル、エチルもしくはイソプロピル基から選択される1〜3つの同一かもしくは異なる基で置換されているベンゼン配位子を表す。

したがって、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質は、式M0(C6H6)2)、M0(C6H5Et)2、M0(C6H5Me)2またはM0(C6H5iPr)2の少なくとも1種類の化合物から選択され得る。次いで、これは約300℃から分解する。600℃より高い分解温度を有する場合は、一般的に、溶剤の分解が回避されるように、および副生成物の形成が制限されるようには選択されない。

好ましくは、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質は式M0(C6H5Et)2を有するものであり、それは、該前駆物質が気化工程a)の条件下で液体状態であることにより、母液中の溶剤の量が有意に少なく、したがって、工程b)の際の堆積速度が高まるためである。

一例として、該金属がクロムである場合、前駆物質は、サンドイッチ型クロム化合物、例えば、ビス(ベンゼン)クロム(BBCとして知られており、式Cr(C6H6)2のもの)、好ましくは、ビス(エチルベンゼン)クロム(BEBCとして知られており、式Cr(C6H5Et)2のもの)、ビス(メチルベンゼン)クロム(式Cr(C6H5Me)2のもの)およびビス(クメン)クロム(式Cr(C6H5iPr)2のもの)またはその混合物であり得る。また、元素M0を含むビス(アレーン)型の前駆物質は、式中のArとAr’が異なる式(Ar)(Ar’)Crの非対称の誘導体;またはこのようなビス(アレーン)クロム化合物の混合物(該化合物のうちの1種類が多く含まれるものであってもよい)であってもよい。BBCのみが粉末の形態で存在する。これは、溶液の形態で噴射され得るが、そのとき濃度は、炭化水素ベースの溶剤中への溶解度が低いことによって急速に制限される。記載のその他の前駆物質は液体であり、溶剤なしで直接噴射され得るが、これでは、堆積物の微構造を満足に制御することが可能でない。溶液状態で使用することが好ましく、それは、これにより、前記溶液の濃度の幅広いバリエーション、ならびに噴射条件およびその結果として物性のより良好な調整が可能になるためである。

好都合には、母液は、本発明の製造方法に対してマイナスの影響を有しない種々の前駆物質を含むものであり得る。特に、該金属の芳香族配位子の厳密な性質は重要ではないが、このような配位子は好ましくは、控え目に置換された単環式芳香族化合物と同じ化学物質ファミリーに属しているものとする。したがって、最初の試薬に由来するDLI−MOCVD反応の副生成物は、反応器出口で収集された生成物が互いに構造的差異を有する場合であっても、化学気相蒸着反応器内に再導入され得る。また、最初の母液の純度も重要ポイントではなく、これにより、例えば最大10%の派生化合物が含まれていてもよい市販の溶液を使用することが可能である。このような派生化合物を、その方法自体で再利用することが可能であるため、後続の蒸着に使用される再利用母液には、種々のビス(アレーン)が前駆物質として含まれている。したがって、該母液は、一般式(Ar)(Ar’)M0のいくつかの異なる前駆物質の混合物を含むものであり得る。かかる特性により、本発明の製造方法の産業化の可能性が改善される。

窒素原子を含む該前駆物質に関して、一般的に、該窒素含有液状前駆物質はヒドラジンである、および/または該窒素含有ガス状前駆物質はアンモニアである。一般に、特に記載のない限り、化学気相蒸着反応器内のアンモニアまたはヒドラジンの濃度は、それぞれ、クロムを含むビス(アレーン)型の前駆物質の濃度より1〜10倍または1〜500倍高い。

ケイ素を含む前駆物質は、その一部がオルガノシラン化合物であってもよく、該オルガノシラン化合物は好ましくは、フェニルシラン型またはアルキルシラン型の基を含むものである。そのため、優先的には、ケイ素を含む該前駆物質は、ジフェニルシラン(C6H5)2SiH2、モノフェニルシラン(C6H5)SiH3、ジエチルシラン(C2H5)2SiH2、トリエチルシラン(C2H5)3SiHまたはその混合物から選択される。

アルミニウムを含む前駆物質は、式AlR3のトリ(アルキル)アルミニウムであり得、式中、Rは、例えばCH3、C2H5およびC(CH3)3から選択される。

イットリウムを含む前駆物質は、イットリウムアルキル錯体、特に、該アルキル基が大きな立体障害性を有するもの、より具体的には、式YR3のトリ(アルキル)イットリウムであり得る。したがって、これは、R==C5H5であるトリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(YCp3と表示)であり得る。

また、イットリウムを含む前駆物質は、イットリウムアミド錯体、より具体的には、一般式YL3のトリ(アミド)イットリウムであってもよい。したがって、これは、トリス[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミド]イットリウムであり得る。

したがって、前述のことに鑑みると、支持材上、とりわけ、介在層で被覆されていない基材上に堆積される保護層は多種多様な組成を有する。

一例として、該原子炉コンポーネントは: − ジルコニウムベース基材と部分的準安定クロムを含む保護層(Cr/Zrと表示)または; − ジルコニウムベース基材とアモルファス炭化クロムを含む保護層(CrC/Zrと表示)または; − モリブデンベース基材とアモルファス炭化クロムを含む保護層(CrC/Moと表示)または; − ジルコニウムベース基材とクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCzを含む保護層(CrxSiyCz/Zrと表示) を備えたものであり得る。

また、該組成は、保護層自体の内部でもさまざまであり得る。したがって、保護層は組成勾配を有するものであり得る:保護材がいくつかの種類の化学元素で、例えば、式AxByの保護材の場合の元素AとBで構成されている場合、組成勾配は、少なくとも一方の元素AまたはBの原子百分率xまたはyが被覆の厚さに応じて多様であることを本質とする。この多様性は連続的であっても段階的であってもよい。

実際には、この原子百分率を多様にするために、元素AまたはBがいくぶん多い2種類の母液が、保護層の成長中に2つのインジェクターを用いて、いろいろな流速で同時に噴射され得る。

組成勾配を有する保護層は介在層として特に好都合であり、それは、保護被覆の機械的特性を、ともに接合体を形成する材料の対応する特性とより密着性となるように徐々に適応させるためである。組成勾配で堆積される保護材は、例えば、クロムの合金またはその炭化物、例えば、クロム/バナジウム合金である。

また、少なくとも1つの保護層を備えた保護被覆は、1つ以上の層内で物理化学的特徴および/または幾何構造のさまざまな構造を有するものであってもよい。

したがって、保護層は柱状または等軸晶組織を有するものであり得る。好ましくは、該構造は、保護層が拡散障壁機能を有する場合は等軸晶である。保護被覆の拡散障壁特性は、その微構造に影響される。したがって、通常、外来性の化学元素の拡散防止性能は以下:柱状<等軸晶<アモルファスの順に高い。

柱状構造では、保護材の粒子は細長く、それは、一般的に、保護層が臨界厚さ、例えば数十〜数百ナノメートルに達した後、優先方向に成長するためである。また、柱状構造は、一般的には高温でのエピタキシーによる二次成長によって、および 積層体を非常に急速に成長させることにより有利となる。

また、他方で、等軸晶組織では、保護材の粒子は、そのあらゆる成長優先方向に成長する。

また、保護層は特定の密度を有するものであってもよい。これは、例えば、Im−3m空間群による体心立方晶構造の固体形態の安定な金属クロムの密度の90%〜100%(好ましくは、95%〜100%)を含む。

優先的には、前記少なくとも1つの保護層は、15GPa〜30GPa、好ましくは20GPa〜29GPaを含む硬度を有する。一般的に、保護層が緻密であるほど、例えば、酸素、水素または望ましくない物質(あれば)の拡散を抑制するための拡散障壁としてより効率的である。保護層の密度は、多層被覆の一部を形成している場合、または低い堆積速度で形成されている場合(例えば、低い温度もしくは圧力で作業することにより)ほど一般的に高い。

また、複数の保護層を備えた保護被覆の幾何構造もいろいろであり得る。

前記少なくとも1つの保護層の各々は、1μm〜50μm、さらにより優先的には1μm〜25μm、またはさらには1μm〜15μmの厚さを有するものであり得る。

あるいはまた、前記少なくとも1つの保護層は10μm〜50μmの厚さを有するものであり得る:この最小肉厚の保護層では、酸化に対する抵抗性が向上する。

優先的には、前記保護層の積算厚さは2μm〜50μmである。原子炉コンポーネントは1〜50層の保護層を備えたものであり得る。

また、保護被覆は単層被覆であっても多層被覆であってもよい。組成が同一かまたは異なるいくつかの保護層がそれぞれ、均一系多層保護被覆または不均一系多層保護被覆を形成し得る。

優先的には、均一系多層保護被覆は一般的に、柱状構造の生成に不利である。これは、部分的準安定クロム(その密度により、均一な多層被覆の拡散障壁の役割が向上する)または例えば約400nm、もしくはさらには100nm〜400nmの厚さを有するクロム合金で構成された保護層を含むものであり得る。

多層材は、全体的に等価な化学組成の単層材とは、とりわけ、層間の境界面の存在で異なっている。この境界面は一般的に、微構造の原子規模での摂動に対応するようなものである。これは、例えば、微細特性評価手法、例えば高分解能透過型電子顕微鏡法(TEM)、EXAFS(Extended X−Ray Absorption Fine Structure,広域X線吸収微細構造)分光法、組成プロフィールを示すCastaingマイクロプローブによって、またはさらには、境界面ゾーンは優先的酸化経路であるため、帰納的に、酸化物(1種類もしくは複数種)の任意の存在によって確認される。

多層材は一般的に、各単層の順次蒸着が行われる方法によって得られる。均一系多層保護被覆を堆積させるため、各層の堆積は、化学気相蒸着反応器がパージされるように例えば1分〜10分間の待機時間で隔てられ得る。

一例として、保護被覆が不均一な多層型のものである場合、これは: − クロムとアモルファス炭化クロム(Cr/CrCと表示)、または − クロムと窒化クロム(Cr/CrNと表示)、または − アモルファス炭化クロムと窒化クロム(CrC/CrNと表示)、または − クロムとアモルファス炭化クロムと窒化クロム(Cr/CrC/CrNと表示)、またはクロムとクロムケイ素混合炭化物(Cr/CrxSiyCzと表示)、または − クロムケイ素混合炭化物とアモルファス炭化クロム(CrxSiyCz/CrCと表示)、または − クロムケイ素混合炭化物と窒化クロム(CrxSiyCz/CrNと表示)、または − クロムとクロムケイ素混合窒化物(Cr/CrSixNyと表示)、または − クロムケイ素混合窒化物とアモルファス炭化クロム(CrSixNy/CrCと表示)、または − クロムケイ素混合窒化物と窒化クロム(CrSixNy/CrNと表示)、または − クロムケイ素混合炭化物とクロムケイ素混合窒化物(CrxSiyCz/CrSixNyと表示) で構成された保護層を含むものであり得る。

異なる組成のいくつかの層を備えた保護被覆を製造するためには、可能性の1つは、組成が異なる層の数だけ多くのインジェクターを使用することであり、各インジェクターにより、特定の組成の母液を化学気相蒸着反応器内に導入することが可能になる。

不均一系多層保護被覆がクロム保護層を備えている場合、該被覆の最後の保護層は一般的に、セラミックの性質(炭化物、窒化物または炭窒化物、これらは混合型であっても、そうでなくてもよい)の保護層である。

原子炉コンポーネントは一般的に、原子炉の炉心のコンポーネント、より具体的には、核燃料被覆管、スペーサグリッド、ガイドチューブ、燃料板または吸収用制御棒である。優先的には、核燃料被覆管は管またはプレートの形態である。プレートは、より具体的には、2つのサブユニットの一体化により得られ得る。

また、本発明は、本発明の製造方法によって得られる、または得られ得る原子炉コンポーネントに関する。

また、本発明は: − i)ジルコニウム、チタン、バナジウム、モリブデンまたはこれを主体とする合金から選択される金属ベースの基材を含む支持材、該基材は、該基材と少なくとも1つの保護層の間に配置された介在層で被覆されているか、または被覆されていない; − ii)前記支持材を被覆しており、安定クロム結晶相と準安定クロム結晶相を含む部分的準安定クロム、アモルファス炭化クロム、クロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物から選択されるクロム含有保護材で構成されている前記少なくとも1つの保護層 を備えている原子炉コンポーネントに関する。

この2つの型の原子炉コンポーネント、すなわち、本発明による原子炉コンポーネントおよび本発明の製造方法によって得られる、または得られ得る原子炉コンポーネントは、本発明の製造方法について本説明に記載の異型形態、とりわけ、原子炉コンポーネントの構造、物理化学的特徴(例えば、密度)、幾何構造および/または組成に関する異型形態の1つ以上であり得る。

このような異型形態は、とりわけ、排他的ではないが:本説明、とりわけ本発明の製造方法の説明に詳述しているような基材、介在層、ライナー、具体的な基材との組合せを含む保護層、保護被覆または原子炉コンポーネントの型に関するものである。

この2つの型の原子炉コンポーネントにおいて、保護材は、より具体的には、クロム合金、クロム合金の炭化物、窒化クロム、炭窒化クロム、クロムケイ素混合炭化物、クロムケイ素混合窒化物、クロムケイ素混合炭窒化物またはその混合物を含むものである。

例えば、この2つの型の原子炉コンポーネントについて、本発明の具体的な実施形態は、任意選択で組合せで考慮されて: − 基材は、ジルコニウムまたはジルコニウム基合金で構成されたものである; − 介在層が、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブ、バナジウム、その合金、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物から選択される少なくとも1種類の介在材料を含む; − 介在層の厚さが1μm〜5μmである; − 原子炉コンポーネントが、支持材の内側表面上に配置されたライナーをさらに備えている; − 該少なくとも1つの保護層が、支持材の外側表面を被覆する外側保護層および/または、原子炉コンポーネントが、解放型であってもそうでなくてもよい内部容積を備えている場合は、ライナーで被覆されているか、または被覆されていない支持材の内側表面を被覆する内側保護層である; − ライナーを構成している材質が、窒化チタン、炭窒化チタン、チタンケイ素混合窒化物、チタンケイ素混合炭化物、チタンケイ素混合炭窒化物、チタンアルミニウム混合窒化物またはその混合物を含む; − ライナーが1μm〜10μmの厚さを有する; − クロム合金が、クロム/バナジウム合金、クロム/ニオブ合金、クロム/バナジウム/ニオブ合金もしくはクロム/アルミニウム合金から選択されるか、または該クロム合金の該炭化物が、クロム/バナジウム合金の炭化物、クロム/ニオブ合金の炭化物、クロム/バナジウム/ニオブ合金の炭化物もしくはクロム/アルミニウム合金の炭化物から選択される; − クロムケイ素混合炭化物がアモルファスである; − クロムケイ素混合炭化物が「MAX相」型のものである; − クロムケイ素混合炭窒化物またはクロムケイ素混合窒化物がアモルファスである; − 保護材に、イットリウム、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンまたはその混合物から選択される添加元素がドープされている; − 保護材が該添加元素を1atom%〜10atom%の含有量で含む; − 原子炉コンポーネントは、ジルコニウムベース基材とクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCzを含む保護層を備えたものである; − 該少なくとも1つの保護層が組成勾配を有する; − 該少なくとも1つの保護層が等軸晶組織を有する; − 該少なくとも1つの保護層が、Im−3m空間群による体心立方晶構造の固体形態の安定な金属クロムの密度の90%〜100%を含む密度を有する; − 該少なくとも1つの保護層が、15GPa〜30GPaを含む硬度を有する; − 該少なくとも1つの保護層の各々が1μm〜50μm、またはさらには10μm〜50μmの厚さを有する; − 同一または異なる組成のいくつかの保護層がそれぞれ、均一系多層保護被覆または不均一系多層保護被覆を形成している; − 均一系多層保護被覆は、クロム合金で構成された保護層を含むものである; − 不均一系多層保護被覆は: − クロムと窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロム、または − クロムケイ素混合炭化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合窒化物とクロム、または − クロムケイ素混合窒化物と窒化クロム、または − クロムケイ素混合炭化物とクロムケイ素混合窒化物 で構成された保護層を含む; − 原子炉コンポーネントが核燃料被覆管、スペーサグリッド、ガイドチューブ、燃料板または吸収用制御棒である ようなものであり得る。

また、本発明は、水分を(特に、水蒸気の形態で)含有している湿潤雰囲気中での酸化および/または水素化に対処するための、このような型の原子炉コンポーネントの使用に関する。

また、本発明は、水素を含む水素化雰囲気、特に、50mol%より多くの水素および/またはさらに水(特に、水蒸気の形態で)(例えば最低25mol%の水分、とりわけ25%〜50%)を含む水素化雰囲気中での水素化に対処するための、このような型の原子炉コンポーネントの使用に関する。

湿潤雰囲気は、25mol%〜100mol%、優先的には50mol%〜100mol%、さらにより優先的には75mol%〜100mol%の水蒸気を含むものであり得る。

湿潤雰囲気または水素化雰囲気は、空気、窒素、二酸化炭素またはその混合物から選択されるさらなるガスをさらに含むものであってもよい。

優先的には、このような使用の目的は: − 湿潤雰囲気または水素化雰囲気が25℃〜1400℃もしくはさらには25℃〜1600℃を含む温度、より特別には200℃〜1300℃を含む温度、さらにより特別には1200℃〜1300℃もしくはさらには1300℃〜1600℃;または優先的には800℃〜1200℃である場合;および/または − 少なくとも5000秒間まで、より具体的には1000秒間〜5000秒間、特に、温度が1200℃〜1300℃を含む場合の;および/または − 0.1℃/秒〜300℃/秒を含む温度上昇速度の存在下での;および/または − 原子炉コンポーネントの水での急冷後の、特に、急冷が25℃〜400℃を含む温度で行われる場合の 酸化および/または水素化に対処することである。

また、本発明は、原子力環境内における温度変動(好ましくは、450℃より上への温度上昇)のためのプローブであって、安定クロム結晶相と準安定クロム結晶相を含む部分的準安定クロムを含むものであるプローブに関する。

先に示したように、とりわけ温度変動を測定するための部分的準安定クロムの使用は、450℃より上への温度上昇の帰納的測定における利点、したがって原子力安全性のための利点を有する。

準安定クロム結晶相は、Pm−3n空間群による体心立方晶構造のクロムを含むものであり得る。

優先的には、安定クロム結晶相はIm−3m空間群による体心立方晶構造のクロムで構成されており、準安定クロム結晶相はPm−3n空間群による体心立方晶構造のクロムで構成されている。

一般的に、Pm−3n空間群による体心立方晶構造のクロムを含む準安定結晶相は部分的準安定クロムの1atom%〜10atom%である。

プローブは、システムのコンポーネントまたは非破壊制御(NDC)(すなわち、例えば、製造、使用またはメンテナンスの際に、構造もしくは部材の完全性の状態を、これらを劣化させることなく特性評価する制御)のためのパーツのコンポーネントであり得る。

したがって、該パーツは非常に単純な構造のものであり得、それは、その特性を与えるものは本質的にその組成であるためである。したがって、これは、トレーサとしての機能を果たし、温度変動を検出するために容易に帰納的に解析できるようにするために原子力環境内に放置され得る。

集積化および小型化のため、本発明の原子炉コンポーネントは、とりわけ、原子炉コンポーネントについて記載の異型形態すべてにおいてプローブを備えたものであり得る。

発明の詳細な説明 本発明の説明において、動詞、例えば“to comprise(〜を含む)”、“to incorporate(〜を組み込む)”、“to include(〜を含む)”、“to contain(〜を含む)”、“composed of(〜で構成されている)”およびその活用形は包含的用語であり、したがって、これらの用語の後に記載された最初の要素(1つもしくは複数)および/または工程(1つもしくは複数)に追加されるさらなる要素(1つもしくは複数)および/または工程(1つもしくは複数)の存在を排除しない。しかしながら、これらの包含的用語は、任意の他のものを排除して最初の要素(1つもしくは複数)および/または工程(1つもしくは複数)のみを対象とする特定の一実施形態をさらに対象としている;その場合、その包含的用語は、限定的用語“to consist of(〜からなる)”、“to be constituted of(〜で構成されている)”およびその活用形をさらに対象としている。

表現「および/または」は、両要素を、該要素のうちの一方単独、両方の要素またはさらには、その混合物もしくはその組合せを同時に表示する目的で接続することに関するものである。

要素または工程に対する不定冠詞“a”または“an”の使用は、特に記載のない限り、複数の要素または工程の存在を排除しない。

特許請求の範囲において括弧書きで示した参照符号(あれば)は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。

さらに、特に記載のない限り、限界値は、表示しているパラメータ範囲内に包含され、表示している温度は大気圧での実施のものとみなされたい。

本発明の製造方法によって堆積される被覆、層またはライナーはいずれも、それが存在する表面の一部または好ましくは全部をカバーできるものである。

さらに、本説明において、合金はいずれも一般的に基合金である。とりわけ、基材、保護材または介在材料の組成に含まれた金属の「基合金」という用語は、該金属を主体とするものであって、該金属の含有量が、合金中の該金属が少なくとも50重量%、特に90%より多い、またはさらには95%より多い任意の合金を表す。基金属は例えば、ジルコニウム、チタン、クロム、タンタル、モリブデン、タングステン、ニオブまたはバナジウムである。

また、合金は、他の化学元素(例えば、0.5atom%より多い含有量で)、特に第2の金属元素を含有しており、そのため混合合金を構成しているものであってもよい。

合金中の挿入炭素元素および/または挿入窒素元素はそれぞれ、該合金の炭化物、該合金の窒化物または該合金の炭窒化物を形成し、これらもまた、第2の金属元素の存在において混合型であってもよい。

合金は好ましくは、原子力セクター内および/または放射線下で使用できるものである。

次に、本発明の他の主題、特徴および利点を、本発明の方法の特定の実施形態の以下の説明において明記し、限定することなく一例として、添付の図面を参照しながら示す。

図1は、本発明の製造方法によりアモルファス炭化クロム層でカバーされたジルカロイ−4薄板の、周囲空気への曝露後の、グロー放電発光分析(GDS)によって得られた深さの関数としての種々の化学元素の質量パーセンテージを示す。

図2A(全体図)は、GDS分析を図1に示した薄板の断面を示す透過型電子顕微鏡法(TEM)画像である。

図2B(酸化物基材の拡大図)は、GDS分析を図1に示した薄板の断面を示す透過型電子顕微鏡法(TEM)画像である。

図3Aは、それぞれ、種々の厚さのアモルファスCrC保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、温度の関数としての質量増分を示す。

図3Bは、それぞれ、種々の厚さのアモルファスCrC保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、温度の関数としての質量増分を示す。

図3Cは、それぞれ、種々の厚さのアモルファスCrC保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、時間の関数としての1200℃における質量増分を示す。

図3Dは、それぞれ、種々の厚さのアモルファスCrC保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、時間の関数としての1200℃における質量増分を示す。

図4Aは、それぞれ、種々の厚さのアモルファスCrC保護層でカバーされたモリブデン薄板およびそのままのモリブデン薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、温度の関数としての質量増分を示す。

図4Bは、それぞれ、種々の厚さのアモルファスCrC保護層でカバーされたモリブデン薄板およびそのままのモリブデン薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、温度の関数としての質量増分を示す。

図5Aは、それぞれ、種々の厚さの部分的準安定クロム保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、温度の関数としての質量増分を示す。

図5Bは、それぞれ、種々の厚さの部分的準安定クロム保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、温度の関数としての質量増分を示す。

図5Cは、それぞれ、種々の厚さの部分的準安定クロム保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、時間の関数としての1200℃における質量増分を示す。

図5Dは、それぞれ、種々の厚さの部分的準安定クロム保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気および湿潤空気への曝露後の、時間の関数としての1200℃における質量増分を示す。

図6Aは、それぞれ、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物Cr

xSi

yC

z保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気中および湿潤空気中における、温度の関数としての、および時間の関数としての1200℃における質量増分を示す。

図6Bは、それぞれ、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物Cr

xSi

yC

z保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板およびそのままのジルカロイ−4薄板の、乾燥空気中および湿潤空気中における、温度の関数としての、および時間の関数としての1200℃における質量増分を示す。

図7A(薄板の一側面から見ている)は、1100℃での酸化後、水での急冷に供された、本発明の製造方法により堆積されたアモルファスCrC保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板の断面を示す走査型電子顕微鏡法(SEM)画像である。

図7B(特に、薄板のの1つに焦点を当てている)は、1100℃での酸化後、水での急冷に供された、本発明の製造方法により堆積されたアモルファスCrC保護層でカバーされたジルカロイ−4薄板の断面を示す走査型電子顕微鏡法(SEM)画像である。

図7Cは、各々が種々の厚さの保護層でカバーされた薄板をグループ分けした、図7Aに対応するSEM画像である(左側の画像:9μmの厚さ、真ん中の画像:5〜6μmの厚さ、右側の画像:2〜3μmの厚さ)。

図7Dは、9μmの厚さを有する薄板のGDS分析を示す。

図8Aは、ケイ素基材上に漸増速度で堆積された部分的準安定クロムの単層被覆(8A)の微構造を示すSEM画像を示す。

図8Bは、ケイ素基材上に漸増速度で堆積された部分的準安定クロムの単層被覆(8B)の微構造を示すSEM画像を示す。

図8Cは、ケイ素基材上に漸増速度で堆積された部分的準安定クロムの多層被覆(8C)の微構造を示すSEM画像を示す。

図9Aは、本発明の製造方法によって得られた管形核燃料被覆管の幾何構造の一例の断面の模式図を示す。

図9Bは、本発明の製造方法によって得られた管形核燃料被覆管の幾何構造の一例の断面の模式図を示す。

図9Cは、本発明の製造方法によって得られた管形核燃料被覆管の幾何構造の一例の断面の模式図を示す。

図9Dは、本発明の製造方法によって得られた管形核燃料被覆管の幾何構造の一例の断面の模式図を示す。

具体的な実施形態の説明 以下の、基材上への被覆の堆積の実施例は、管状炉(Carbolite社によって販売されているモデル)内に配置した化学気相蒸着反応器内で行う。この反応器は石英管で構成されている:これを、ガス状排出液供給口およびエバキュエーションシステムに密封接続によって、ならびに母液にインジェクター(Kemstream社によって販売されているVapboxモデル)によって接続する。

以下の実施例において、基材は介在層で被覆されていない。しかしながら、これらの実施例は、基材が、介在層で被覆された基材で形成されている場合に転用され得る。

1.ケイ素基材上の被覆 予備実験として、本発明の製造方法をケイ素基材に転用し、正方形のケイ素薄板(一辺の長さが1cmで300μm厚)を反応器内に、以下の化合物を用いて炭化クロム(CrC)、クロム(Cr)またはクロムケイ素混合炭化物(CrxSiyCz,CrSiCと表示)の保護層でカバーされるように配置する: − クロム前駆物質:ビス(エチルベンゼン)クロム、BEBCとして知られている(Cr(C6H5Et)2)、 − ケイ素前駆物質:ビス(フェニル)シラン(H2Si(C6H5)2)、 − 抑制剤:チオフェノール(C6H5SH)、 − 溶剤:トルエン、 − キャリアガス:標準状態で500sccm、すなわち500cm3/分の流速N2、 − 蒸発部の温度:200℃、 − 蒸着時間:20分間。

外側被覆を構成する保護被覆の堆積のためのその他の条件、特に、インジェクターのオープン(open)時間と周波数および化学気相蒸着反応器内の温度と圧力を表1に示す。

噴射パラメータ(オープン時間と周波数)は、蒸着時間が変更されることにより、本質的に堆積速度に、したがって堆積物の厚さに影響する。オープン周波数は、例えば1Hz〜10Hz、典型的には10Hzである。

堆積物の物理化学的および構造的特徴に影響するパラメータは本質的に、蒸着温度(特に、構造:アモルファスか結晶性か;緻密か多孔性か;等軸晶か柱状かに影響する)および噴射する溶液の組成である。

慣用的に、被覆番号Nでカバーされたケイ素基材を表1においてサンプルNと示す:したがって、サンプル1は、被覆1でカバーされたケイ素基材を表す。

表2に、これらの被覆の構造解析の結果、また、以下の実施例に詳述した耐熱性試験の結果(熱安定性:アルゴン下、インサイチュXRDにおいて、その温度以上で結晶相が出現するという温度)も一覧にする。原子百分率で表示した原子組成は、Castaingマイクロプローブ(“Electron Probe Microanalysis(電子プローブ微小分析)”の英語の頭文字によりEPMAとして知られている)を用いて測定する。噴射パラメータのバリエーションによっていくつかの被覆厚が得られ、これは一般的に0.5μm〜10μmである:以下の酸化試験に選択した厚さを表2に示す。

これらの構造に関して、表2は、CrC被覆およびCrSiC被覆はアモルファスである(結晶性構造がない)が、CrC被覆は、それにもかかわらず、550℃の蒸着温度では多結晶性であることを示す。Cr被覆に関して、これは、DLI−MOCVD蒸着温度が450℃以下である場合、2つの結晶相:Im−3m空間群の体心立方(bcc)クロム結晶(格子パラメータa=2.88Å)で構成されている主相と、Pm−3n空間群の体心立方晶構造のクロム結晶(格子パラメータa=4.59Å)で構成されている非常に微量の割合の相を含む。

2.耐熱性の評価 これらの被覆は、酸化雰囲気下の温度に耐えて拡散障壁としての機能を果たすものでなければならない。

これらの不活性雰囲気下での耐熱性をまず、インサイチュXRDにより温度の関数としてAr下で試験する。構造の変化が現れる(結晶化、相変態)温度を測定する。かかる構造の変化は、粒子接合または微小割れにより、被覆を通って基材への酸素の拡散を加速させる傾向にある。したがって、被覆は、可能な限り最高の温度において、その構造的完全性を維持できるものでなければならない。

先の実施例で被覆した薄板について得られた耐熱性の結果を表2に一覧にする。

2.1.不活性雰囲気下でのアモルファスSi/CrC薄板の耐熱性 アモルファス窒化ケイ素(一般的に、Si3N4)で構成された数百ナノメートルの層で不動態化したケイ素基材(これは市販されている)を、その表面上に堆積された保護層による拡散(あれば)を回避するために使用する。

あるいはまた、そのままのケイ素基材を、混合物(SiH4+NH3)を用いる熱CVDまたはNH3を用いるプラズマ(PECVD)によって不動態化してもよい。

次いで、この不動態化ケイ素基材をアモルファス炭化クロムで、表1の条件に従って被覆する(具体的な条件:10Hz,蒸着温度=500℃,蒸着圧力=6700Paで噴射)。

酸素の混入(あれば)を制限またはさらには防止するためにアルゴン流をフラッシングしたチャンバ内で、このサンプルを30℃から800℃まで5℃/分の温度上昇速度で加熱するとともに、並行してX線回折(XRD)で解析する。30℃まで自然冷却後、最後のX線スペクトルを記録する。

得られたX線スペクトルの解析は、このサンプルがアモルファス構造を570℃まで維持していることを示す。次いで、これは約580℃でCr7C3、次いで約590℃でCr3C2の形態に結晶化し、最終的に約610℃で、反応器の気密性の欠陥のため存在する微量の酸素のためCr2O3に酸化された状態になる:これらの3つの相は800℃まで残存し、Cr2O3の割合は温度とともに増加する。

このような結果は、アモルファス炭化クロム被覆がアルゴン不活性雰囲気下において、その物理的完全性を800℃まで保持していることを示す。

2.2.不活性雰囲気下での部分的準安定Si/Cr薄板の耐熱性 先のようにして不動態化したケイ素基材を部分的準安定クロムで、表1の条件に従って被覆する(具体的な条件:蒸着温度=400℃,蒸着圧力=6700Pa)。

次いで、これを、アルゴン流をフラッシングした反応器内に入れ、30℃から600℃まで1℃/秒の温度上昇速度で徐々に加熱する。並行して、XRDによって解析する(30℃で、および350℃から50℃毎に35分間ずつ取得)。

このスペクトルの解析は、部分的準安定クロムが多結晶性である:安定相(Im−3m)と準安定相(Pm−3n)を含むことを示す。

準安定相(Pm−3n)は450℃以降、消失する。並行して、安定相(Im−3m)は熱処理中、全体を通して残存し、その結晶性の改善のおかげで、対応するXRDピークはより狭く、より強くなる。

550℃より上では、インサイチュ分析チャンバ内に微量の酸素が存在している結果として酸化クロムCr2O3が出現する。

温度サイクルの最後に、サンプルを30℃まで自然冷却させると:不可逆的変態が起こったため、準安定相はもはや存在しなくなる。安定相のみが、少量割合の酸化クロムとともに残存する。

このような結果は、クロム金属被覆は、不活性雰囲気下では、標準状態で安定な体心立方(bcc)構造の通常のクロムにより耐熱性を有することを示す。

さらに、副相の準安定クロムは約450℃で変態して安定クロムの主相を形成することが観察される:これは、準安定クロムは450℃以降で安定クロムに変態することが記載されている文献と整合する。

2.3.不活性雰囲気下でのアモルファスSi/CrSiCおよびスチール/CrSiC薄板の耐熱性 不動態化したケイ素基材をアモルファスのクロムケイ素混合炭化物で、表1の条件に従って被覆し(具体的な条件:BEBCに対するジフェニルシランモル比=15%,蒸着温度450℃)、次いで、アルゴン流をフラッシングした反応器内に入れる。このサンプルを30℃から750℃まで1℃/秒の温度上昇速度で加熱するとともに、並行してXRDによって解析する(400℃から50℃毎に取得)。

また、この操作条件と同様の様式で、500℃の蒸着温度にてアモルファスのクロムケイ素混合炭化物で被覆した304Lステンレススチール基材も、30℃から1100℃までの加熱中にXRDによって解析する(600℃から50℃毎に取得)。

これらの2つのサンプルのXRDスペクトルの比較分析は同様の挙動を示す:アモルファスの性質は約750℃で、炭化クロムCr7C3および化合物CrSi2の結晶化によって消失する。さらに、それは、CrSi2がこの2つの基材上に出現し、この化合物は、基材ではなく被覆のケイ素と形成され、ケイ素基材の表面に先に適用した窒化ケイ素不動態化層が拡散障壁を構成しているためであることを示す。

750℃より上では、他の結晶相:850℃以降ではCr2O3および1000℃以降ではCr3C2が出現する。したがって、炭化クロム被覆へのSiの付加により高温(580℃ではなく750℃)に向かって結晶化が遅いことが注目される。

3.空気中での酸化の評価 3.1.25℃の空気中での酸化に対するアモルファスZr/CrC薄板の抵抗性 室温での穏やかな酸化に対する抵抗性を評価するため、ジルコニウム合金ベースの薄板ジルカロイ−4(寸法:45mm×14mm×1mm)をアモルファス炭化クロムの一層の4μm保護層で、被覆1について表1に示した蒸着条件に従って被覆する(蒸着温度=450℃,蒸着圧力=6700Pa)。これを室温の空気中に数日間置き、これにより、周囲空気中に通されることによって、大部分の金属および合金の場合のように炭化クロム被覆の非常に穏やかな表面酸化がもたらされる。

次いで、このサンプルの深さ方向の元素組成(質量基準)を、元素ジルコニウム、クロム、酸素および炭素についてグロー放電発光分析(GDS)によって調べる。これを図1に示し、基材と被覆間の境界面にゼロでない酸素含有量の存在が示されている。

この手法でわかった平均被覆組成値は、マイクロプローブ(EPMA,Electron Probe Micro−Analyzer)で測定されたものと整合している:薄板の総質量に対する重量パーセンテージとして、90%のCr、10%よりわずかに少ないCおよび数%のO、これは原子百分率でCr7C3に近い組成に相当する。

図2Aおよび2Bに示した透過型電子顕微鏡法(TEM)画像は、200kVで操作される電界放出銃を備えた顕微鏡(Jeol社によって販売されているJEM 2100)を用いて取得したものである:これらの画像上に画定されたゾーンにより、図1のプロフィールのこの結果、とりわけ、非酸化基材(ゾーンa)と被覆(ゾーンc)の間の境界面における400nm未満の厚さを有する酸化ジルコニウムZrO2(ゾーンb)の層の存在が確認される。

このような結果は、原子百分率で、基材の酸化された界面ゾーンでは約40%のOと60%のZrに対して非酸化ゾーンでは5%のOと95%のZrの組成を示すエネルギー分散型分光法(EDS)による補足解析によって確認される。

ジルカロイ−4の表面における不動態化層の形成は、特定の表面ストリッピングをしない場合は普通である。この層は、場合によっては、酸化および温度上昇実験の過程で消失する場合があり得る。

ジルカロイ−4基材は、受け取った時点で既に表面酸化されていた。炭化クロム保護層の堆積時間中、他の酸化源は特定することができなかった。かくして被覆されたサンプルは、周囲温度条件下で空気中での保存の最後にさらなる酸化を受けなかった。

3.2.800℃の空気中での酸化に対するアモルファスSi/CrC薄板の抵抗性 実施例2.1の条件に従って製造したアモルファスCrCでカバーされたケイ素薄板を、15、30、45、60、90、120および180分間の漸増時間で800℃の空気中での老化に供する。各温度でサンプルを自然冷却させ、次いで室温でXRDによって解析する。

XRDスペクトルの解析は、800℃の空気では: − 15分間の処理後、先に見られたものと同じ3つの相:Cr7C3、Cr3C2およびCr2O3が出現する。アモルファス相は、広く広がった部分(lump)が2θ=約30°において視認できないため消失したようである; − 800℃で90分後、あたかも酸素がすべて、炭化物中のクロムを消耗したかのごとく、Cr2O3はもはや実質的に存在しない。Cr3C2に特徴的な残存ピークは、800℃で180分後であってもなお存在している ことを示す。

このような結果は、アモルファス炭化クロム被覆が800℃の空気中での酸化に少なくとも15分間耐えることを示す。この条件を超えると酸化されて結晶化し始める。

3.3.そのまままたは被覆したZrまたはMo薄板の乾燥空気中または湿潤空気中における温度の関数としての酸化に対する抵抗性 乾燥空気中または湿潤空気中における温度の関数としての酸化に対する抵抗性を試験するため、熱重量分析(TGA)を、本発明の製造方法によって種々の組成(アモルファスCrC、部分的準安定CrまたはアモルファスCrxSiyCz)および種々の厚さ(9μm、5μm〜6μmまたは2μm〜3μm)の保護層で被覆したジルカロイ−4またはモリブデンのTGA用薄板(寸法:6mm×4mm×1mm、直径1mmの孔を開け、次いでTGA天秤ビーム上に吊るした薄板)に対して行う。

蒸着条件は、薄板の全面をカバーしている対応する保護層の表1のものである。この条件は以下の具体的なパラメータによって完全になる: − アモルファスCrC:T=450℃〜P=6700Pa; − 部分的準安定Cr:T=400℃; − アモルファスCrxSizCy:T=500℃。

この解析は、各サンプルを25℃から1200℃まで40℃/分の温度上昇速度で徐々に加熱し、次いで1200℃の温度を維持することを本質とする。

解析は、乾燥空気または湿潤空気(27.5%の相対湿度)を用いて行う。

各サンプルの酸化の進行を、その質量増分(酸化物の形成によるもの)を測定することにより評価する。

比較目的のため、各分析を保護層なしの薄板で繰り返す。

3.3.1.アモルファスZr/CrC薄板での結果 各々アモルファスCrC保護層でカバーされた種々の厚さ(2μm、5μmまたは9μm)のジルカロイ−4薄板を25℃〜1200℃の空気中でのTGA分析に供する。比較目的のため、被覆されていないジルカロイ−4薄板も同じ解析に供する。

図3A(乾燥空気)および3B(湿潤空気)に示されているように、25℃から1200℃までの温度上昇中、アモルファスCrCで被覆されたジルカロイ−4基材上では、質量増分は、乾燥空気中または湿潤空気中において保護層の厚さに関係なく等価な様式で変化している。

他方で、比較において、そのままの基材では酸化の程度これよりずっと少ない:被覆基材は質量が約0.15%だけ増加しているのに対して、そのままの基材では質量が約3%増加している、すなわち20倍より大きい。

1200℃の温度段階の際では、アモルファスCrCで被覆されたこの3つのジルカロイ−4基材は経時的に緩徐に酸化状態になる。基材が崩壊する以降での破滅的酸化におけるこの低速化は、より酸化性である湿潤空気雰囲気(図3D)では乾燥空気(図3C)と比べて小さいが、好都合には保護層の厚さとともに大きくなる。

XRD解析は、被覆内に3つの結晶相:結晶性Cr2O3、アモルファス酸化クロムおよびアモルファス炭化クロムCrCが共存していることを示しているようである。

比較において、そのままの基材はZrO2に即座に酸化状態になる。

したがって、酸素透過は、そのままの基材では全体的(total)であるが、これは900℃までブロックされるかまたは大きく制限される。この温度より上では、これは、アモルファスCrC被覆が酸化速度論を低速化させるため被覆基材において部分的および緩徐になる。

したがって、アモルファスCrC被覆は実際に、25℃から1200℃までの加熱中、湿潤空気中であってもジルカロイ−4基材を酸化から保護する、および/または酸化を遅らせる。この有益な効果は被覆の厚さとともに高まる。

3.3.2.アモルファスMo/CrC薄板での結果 各々アモルファスCrC保護層でカバーされた種々の厚さ(2μmまたは5μm)のモリブデン薄板を25℃〜1200℃の空気中でのTGA分析に供する。比較目的のため、被覆されていないモリブデン薄板も同じ解析に供する。

図4A(乾燥空気)および4B(湿潤空気)に示されているように、25℃から1200℃までの温度上昇中、アモルファスCrCで被覆されたモリブデン基材上では、質量増分の変化が、より酸化雰囲気である湿潤空気中よりも乾燥空気中の方が急速でない。さらに、アモルファスCrC被覆が厚いほど、サンプルが酸化状態になるのが遅く、より高温に耐えることができる:2μm被覆では約1000℃まで、またはさらには、5μm被覆では1100℃より高くまで。

より厚みのあるアモルファスCrC被覆の酸化に対する抵抗性は試験することができなかった:それでもなお、これは有利に変化するはずである。

比較において、そのままのモリブデン基材は、乾燥空気中または湿潤空気中で即座に酸化状態になる:酸化モリブデンの形成による質量増分後、600℃より上では、そのままの基材はその後、揮発性酸化物の形成によって全体的に破壊され、これにより急速でマイナスの質量減少がもたらされる。

種々のサンプルが1200℃の温度で急速に破壊されたため、対応する等温TGA分析は示していない。

したがって、アモルファスCrC被覆は実際に、25℃から1100℃までの加熱中、湿潤空気中であってもモリブデン基材を酸化から保護する、および/または酸化を遅らせる。この有益な効果は被覆の厚さとともに高まる。

3.3.3.部分的準安定Zr/Cr薄板での結果 ジルカロイ−4薄板を各々、部分的準安定Crの9層の保護層で、異なる厚さ(4μmまたは6μm)の多層被覆が形成されるようにカバーする。

9層の保護層の積層体は、母液を15分間噴射し、次いで5分間停止することにより作製する:したがって、この蒸着/休止サイクルを9回繰り返すことにより多層被覆が得られる。

5分間休止後の噴射の再開によって境界面が作出され、これは多層被覆のTEM分析によって可視化され得る。

これにより柱状成長が回避され、被覆が緻密になる。

被覆薄板を25℃〜1200℃の空気中でのTGA分析に供する。比較目的のため、被覆されていないジルカロイ−4薄板も同じ解析に供する。

図5A(乾燥空気)および5B(湿潤空気)に示されているように、25℃から1200℃までの温度上昇中、部分的準安定Crで被覆されたジルカロイ−4基材上では、質量増分は、乾燥空気中または湿潤空気中において保護層の厚さに関係なく等価な様式で変化している。

他方で、比較において、そのままの基材では酸化の程度これよりずっと少ない:部分的準安定Crで被覆された基材は質量が約0.8%だけ増加しているのに対して、そのままの基材では質量が約3%増加しており(すなわち、3.75倍より大きい)、それにもかかわらず、これは、先に0.15%の質量増分を有すると解析されたアモルファスCrC被覆より保護性が低い。

1200℃の温度段階の際では、部分的準安定Crで被覆されたこの2つのジルカロイ−4基材は、図5C(乾燥空気)および5D(湿潤空気)に示されるように経時的に徐々に酸化状態になる。アモルファスZr/CrC薄板(実施例3.3.1)でみられたものと比較すると、部分的準安定Crの多層被覆は、最初の数秒間は、そのままの基材と比べて酸化の遅れを示すが、その後、この酸化は急速に加速される。

そのままの基材と比べて1200℃でのこの好ましくない加速の原因は、まだ完全に解明されていない。現段階では、酸化に対する部分的準安定Cr被覆の保護効果を最適化する目的で、種々の仮説が検討されている。

しかしながら、好都合には、1200℃であっても、部分的準安定Zr/Cr薄板は、そのままのZr薄板より少ない実質的な落屑を示し、これにより、より良好な機械的強度が保証される。

XRD解析は、1200℃の温度段階の最後に、部分的準安定Cr被覆がすべてCr2O3に、および基材がZrO2に酸化されることを示す。

部分的準安定Cr被覆は酸素の透過を約900℃まで大きく抑制または大きく制限し、この温度より上では、この透過は部分的および緩徐になる。

したがって、部分的準安定Cr被覆は実際に、ジルカロイ−4基材を酸化から保護する、および/または酸化を遅らせる。

3.3.4.Zr/CrxSiyCz薄板での結果 アモルファスのクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCzの保護層でカバーされた4μm厚のジルカロイ−4薄板を、1200℃の温度段階を伴う25℃〜1200℃の乾燥空気または湿潤空気中でTGA分析に供する。比較目的のため、被覆されていないジルカロイ−4薄板も同じ解析に供し、乾燥空気中または湿潤空気中での酸化は、この場合、同一の結果が得られる。

図6A(25℃から1200℃まで)に示されているように、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCzで被覆されたジルカロイ−4基材では、質量増分は、乾燥空気中または湿潤空気中で同様に変化する:酸化は、湿潤空気中では700℃まで、および乾燥空気中では800℃までは遅い。そのままの基材との比較において、被覆基材の方が、酸化に対してより良好な抵抗性を示す。

図6B(1200℃の段階)は論理的には、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCzで被覆されたジルカロイ−4基材は湿潤空気中よりも乾燥空気中の方が酸化に対してより良好な抵抗性を示すが、この特性は、そのままの基材と比べて改善はみられない。

しかしながら、好都合には、1200℃であっても、Zr/CrxSiyCz薄板は、そのままのZr薄板より少ない実質的な亀裂発生および膨張を示し、これにより、より良好な機械的強度が保証される。

XRD解析は、1200℃の温度段階の最後に、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCz被覆がすべて酸化され(とりわけクロムがCr2O3に)、基材がZrO2に酸化されることを示す。

したがって、アモルファスのクロムケイ素混合炭化物CrxSiyCz被覆は実際に、ジルカロイ−4基材を酸化から保護する、および/または酸化を遅らせる。酸化に対するその抵抗性およびその機械的強度は、アモルファスCrCおよび部分的準安定Crのものと比べると中間の大きさである。

3.3.5.Zr/CrC薄板を1100℃の後、水での急冷に曝露した後の酸化および水素化に対する抵抗性の評価 各々が実施例3.3.1で使用したようなアモルファスCrC保護層でカバーされた3つの異なる厚さ(2μm〜3μm、5μm〜6μmまたは9μm)のジルカロイ−4薄板(寸法:45mm×14mm×1mm)を乾燥空気中で14分間酸化し、次いで水での急冷に10秒間、供する。

この処理で得た薄板の9μmセクションの走査型電子顕微鏡法(SEM)画像を図7Aおよび7B(薄板の角をズーム)に示す:基材は粗仕上げである、すなわち一定の表面粗さを有するが、被覆は一様な厚さのものであり、凸凹をすべて完璧にカバーしている。また、薄板の機械的強度も保持されている。

水での急冷を伴う1100℃でのこの試験の最後にジルカロイ−4の分解がないことは、温度の関数として増大し、1200℃以上でのみ有意であるジルカロイ−4の酸化(実施例3.3.1)と整合している。より低い温度(1100℃)および短時間(14分間)では、酸化は、この場合、被覆に限定され(図7Aおよび7B参照)、これによりジルカロイ−4の良好な保護が保証される。

GDSプロフィール(本明細書に示していない)に従い、異なる化学組成の3つの主要層が図7Aおよび7BのSEM画像上で確認され得る。すなわち、外側媒体(medium)からジルカロイ−4基材に向かって: − 2μmの表面酸化クロム(Cr2O3)のゾーンAと2μmの部分的酸化被覆(温度上昇中にアモルファスCrCの再結晶化によって生じたCr3C2+Cr2O3)のゾーンBを含む約4μm厚の酸化被覆の外側層; − 外側被覆と、クロムおよび炭素(ジルカロイ−4中に拡散され、これとともに境界面に存在する)(特に、最も薄い2μm〜3μmの被覆では、約4.7Åの格子パラメータを有する立方晶の炭化ジルコニウムZrCが形成される可能性がある)で形成されたゾーンDとの境界面に非酸化被覆(アモルファスCrC)のゾーンCを含む中間層; − ジルカロイ−4から形成された層(ゾーンE)。

したがって、この3つの薄板についてZrO2の形成が検出されないため、アモルファスCrC被覆はジルカロイ−4基材を酸化から保護する。被覆のみが部分的にCr2O3に酸化される。

表3に、3つのZr/CrC薄板のゾーンA、B、CおよびDのGDSによって評価された厚さを、また、対応する全質量増分も一覧にする。

表3は、酸化被覆の総厚さが最初の保護被覆の厚さより厚いことを考えると、3つの薄板の各々の断面のSEM画像をグループ分けした図7Cによって完全になる。5μm〜6μm厚の薄板のSEM画像は、最初の被覆の偶発的な破断によって生じた亀裂を示す。

表3および図7Cは、最初のCrC被覆の厚さが厚いほど、非酸化被覆(ゾーンC)が厚くなり、また、基材内の非酸化被覆の拡散ゾーン(ゾーンD)も厚くなることを示す。他方で、酸化被覆(ゾーンA)の厚さは変化しない:約2μmのCr2O3および2μmの部分的酸化移行ゾーン(オキシ炭化クロム)(ゾーンB)。酸化現象は表面上におけるものであるため、および酸化条件は同じであるため、CrC被覆がすべて消耗されない限りCr2O3および移行ゾーンの厚さは同一のはずであることは筋がとおっている。酸化は厚さに応じて部分的である:最も薄い被覆(2μm〜3μm)では被覆の総厚さの半分未満が、最も厚い(9μm)場合では4分の1が酸化される。

質量増分は、9μm厚の保護層を有する薄板の方が大きく、これは、被覆内での酸化の進行がより多いことを示す図7Cによっても示されている。9μmの被覆を有する薄板と2〜3μmの被覆を有する薄板の質量増分の比は酸化被覆厚の比と同等である:1.44対1.59。

補足解析は、各薄板について、被覆の元素組成が酸化ゾーンと非酸化ゾーンで同等であることを示し、曲線は同じ質量パーセンテージに達し、同じ傾向に従っている。特に、クロムと炭素の拡散がジルカロイ−4基材内に、とりわけZrCの形態で観察され、好都合には、これにより基材に対する被覆の密着性が強化される。

さらに、非酸化被覆ゾーンC(アモルファスCrC)は、サブミクロンサイズの結晶性炭化クロムの小粒子で形成された非常に緻密な微構造を維持している。

水素化に対する抵抗性に関して、図7Dに示した9μm厚の薄板のGDS分析は、水素の質量パーセンテージが10ppmであることを示し、これは、1100℃での酸化後、水での急冷の後のジルカロイ−4基材では有意ではなく、アモルファス炭化クロム被覆の水素浸透の障壁特性が確認される。

1100℃での酸化条件後、急冷下であっても、本発明の製造方法によって得られる原子炉コンポーネントは一定度合いの機械的完全性を維持することができ、酸化/水素化に対する抵抗性の充分な(comfortable)残留余裕(margin)を有する。

3.3.6.結論 予期せずに、本発明者らは、本発明の製造方法によって得られる原子炉コンポーネントは、特に高温および超高温で、とりわけ水蒸気の存在下で酸化および/または水素化に対する改善された抵抗性を有することを見出した。

かかる特性は、原子力用途に使用されるジルコニウムおよびジルコニウム合金の化学的および冶金学的特定性(specificity)に関して、とりわけ、被覆の品質および挙動に対して影響を有する傾向にある特性であるその化学組成、表面状態、結晶の集合組織、最終的な冶金学的状態(加工硬化するか、またはいくぶん再結晶化する)に関して予想し得ないことである。

特に、低温では、ジルコニウム合金のα相(“Zr−α”と表示、稠密六方晶構造)は、典型的には700℃を超えて1000℃までの温度範囲でβ相(“Zr−β”と表示、体心立方晶構造)に変態する。Zr−α構造からZr−β立方晶構造への移行時、合金は局所的な寸法変動を受ける。このような変動は原理的には、とりわけ膨張係数の不適合のため、ジルコニウムベースの内側層をカバーし得る外側層の機械的強度に好ましくない。このような密着性の差は、拡散機構がZr−α相よりZr−β相の方が速い化学種では際立ち、基材とその被覆間の境界面が改質され得る。ここに、本発明の製造方法により堆積される種々の保護層では、極端な条件下であってもジルコニウムベース基材に対して非常に良好な密着性が示されている。

4.部分的準安定Si/Cr単層被覆または多層被覆の微構造 不動態化ケイ素基材に、実施例2.2の条件に従う部分的準安定クロム単層被覆、または厚さと化学組成は同様であるが多層被覆の9層の構成層の各々の蒸着間に5分間の待機時間をさらに確保する多層被覆を設ける。

これらの被覆の微構造を: − 図8A:5μm/時の堆積速度で得た単層被覆; − 図8B:3μm/時の堆積速度で得た単層被覆; − 図8C:1μm/時の堆積速度で得た多層被覆 であるSEM画像によって示す。

これらの画像は、単層被覆がこの場合、柱状微構造を有するが、多層被覆は等軸晶微構造を有することを示す。図8Cは特に、多層被覆内に個々に視認される9つの各層間に存在する境界面を示す。

さらに、噴射の頻度と時間の低減により、被覆の密度は徐々に高まるが部分的準安定クロムの堆積速度は遅くなる。多層被覆の密度は、RBS(「ラザフォード後方散乱分光」)分析により7.7±0.6g.cm−3であると推定される:したがって、不確定要素を考慮すると、安定な固体クロムの最適密度7.2g.cm−3と同じ規模である。

したがって、蒸着条件は、被覆の微構造および密度に対して影響を有する。一般に、被覆の品質は、堆積速度の低減によって多孔性の柱状成長から緻密な等軸晶成長が得られる展開によって示されるように、その堆積速度に反比例する。堆積速度の低減は、蒸着温度を下げること、または蒸着圧力もしくはCVD蒸着反応器内に噴射する母液の前駆物質濃度を上げることにより得られ得る。

5.被覆の硬度 先で得られた、または同様の条件下で得られる被覆の硬度を測定するため、ナノ押し込み実験を行う。アモルファスCrC被覆では、硬度の測定は、新鮮前駆物質(3.5μm厚)または実施例6に示したものと同様の条件下で再利用した前駆物質(1μm厚)で得られた被覆において行う。

ナノ押し込み機は、バーコビッチ型圧子(底面が三角形の四角錐、四角錐の垂線と面の1つの高さの角度が65.27°)を備えている。測定は、10分の1則に従って行う:圧子を押し込むのは被覆の厚さの10分の1未満までである。測定サイクルは3段階で行う: − 負荷を30秒間で最大負荷まで上げる; − 最大負荷を30秒間維持; − 30秒間の負荷解放。

測定および解析ソフトウェアによって行う計算では、被覆のピアソン係数0.2を考慮する。

結果を表4に一覧にする。

パラメータ“H”および“E”は硬度およびヤング率である。

パラメータ“H/E”および“H3/E2”により被覆の耐久性を評価する: − H/E:異なる被覆間の弾性破断強さまたは耐摩耗性を比較する。 − H3/E2:材料の弾性挙動を特性評価するものであり、負荷下での透過に対する抵抗性および塑性変形に比例する。

種々の被覆について、このような結果は: − 部分的準安定Cr:この被覆は約17GPaという高い硬度を有する。この硬度は、市販の電解硬質クロムの2倍高い。これは、製造方法にもよるが一般的に6GPa〜25GPaを含む固体金属クロムの高硬度範囲である − アモルファス炭化クロムCrC:この被覆は、22GPa〜29GPaを含むかなり高い硬度を有する。本発明の製造方法の最後で消耗されていない前駆物質を再利用した場合、最良の硬度が得られる ことを示す。

比較において、先行技術の炭化クロムの硬度範囲は、使用される方法および蒸着条件にもよるが一般的に5GPa〜24GPaの範囲である。

本発明の製造方法によって得られるアモルファス炭化クロム被覆の高い硬度範囲は予想外である:一般的に、炭化クロムはアモルファス形態では結晶性形態よりずっと硬度が低い、またはさらには、炭素の存在はクロムベース被覆を軟化させる可能性があると認識されている。 − アモルファスCrSiC:アモルファスCrC被覆との比較において、この被覆は約20GPaの硬度を有し、これは低いが、好都合には、そのヤング率はずっと低い180GPaである。したがって、アモルファスCrSiC被覆は非常に高い耐久性(H/E=11.1×10−2、特にH3/E2=4.6×10−1GPa)を有し、これは、この目的のために特別に設計される高耐久性被覆に匹敵する。

6.前駆物質の再利用 以下の再利用を伴う蒸着法の実施例は、特許出願FR1562862(参考文献[11])から選んだものである。これは、ケイ素基材上へのアモルファス炭化クロム被覆の堆積に関するものであり、類推により、本発明の製造方法の最後に残存する前駆物質またはその誘導体のうちの1種類以上の再利用の可能性を示す。再利用は、極低温トラップを用いて行われる。

アモルファス炭化クロムCrC被覆の堆積は、以下の条件下で行う: 噴射条件: − インジェクターのオープン時間:0.5ms − 周波数:10Hz 試薬:BEBC(5g) 溶媒:トルエン(50mL) キャリアガス:N2(標準状態で500sccm、すなわち500cm3/分の流速) 蒸着時間:20分間 蒸着温度:450℃;蒸着圧力:6666Pa 蒸発温度:200℃ 極低温トラップの温度:−120℃ 回収する娘液の量:30mL

2つの実験N1およびN2を、BEBC母液を用いて行った。第3の実験において、N1およびN2の最後に得られた2つの娘液を回収して再利用母液を構成し、これを第3の蒸着操作N3用の前駆物質の供給源として使用する。

N1およびN2では、被覆の厚さは典型的には5μmである。N3の最後では約1.5μm厚の被覆が得られる。BEBCの濃度を測定し、N1およびN2での収率を計算する(表5参照)。

補足解析は、被覆の組成およびアモルファス微構造が噴射する溶液の前駆物質濃度に依存しないことを示す。他方で、再利用した前駆物質を含む娘液により、母液の最初の前駆物質を用いて得られるものより高い硬度を有する被覆を堆積させることが可能である。

7.本発明による原子炉コンポーネントの幾何構造 本発明の製造方法によって得られる原子炉コンポーネントを、管形幾何構造の非限定的な具体的な場合の図9A、9B、9C、および9Dを参照しながら断面に関して説明する。

原子炉コンポーネントが固体であるか、またはなんら到達可能な内容積が画定されていない場合、これは一般的に、基材の内側表面上の堆積されるなんらの被覆も備えていない。

本発明の第1の実施形態によれば、図9Aに示した被覆管は、内側表面が、核燃料を受容し得る容積を画定している基材1を備えている。基材1は支持材(この実施形態では介在層で被覆されていない)を構成し、該支持材の上面には、該被覆管の酸化抵抗性を改善する保護材で構成されている保護層2が配置されている。

図9Bに示した第2の実施形態によれば、該被覆管には、基材1と保護層2の間に配置された介在層3がさらに設けられている。この場合、基材1と介在層3の組合せが支持材を構成する。介在層3は、保護層2の保護材が基材1に拡散するのを抑制または制限し得る少なくとも1種類の介在材料で構成されている。

図9Cに示した第3の実施形態によれば、第2の実施形態による被覆管に、該被覆管の内容積と接触しており、この場合、基材1の内面上に配列された内側保護層2Bがさらに設けられている(したがって、この実施形態ではライナーで被覆されていない)。内側保護層2Bは、外側保護層2Aによって付与される保護を完全にする。

図9Dに示した第4の実施形態によれば、第3の実施形態による被覆管に、内側保護層2Bと基材1の間に位置するライナー4がさらに設けられている。ライナー4は拡散障壁を構成する。

言うまでもなく、所望される特性に応じて、各実施形態において介在層3、外側保護層2A、内側保護層2Bおよび/またはライナー4の有無の関数として他の実施形態が可能である。

本発明は、記載および提示した実施形態になんら限定されず、当業者は、自身の一般知識、数多くの異型形態および変形型により、該実施形態をどのようにして組み合わせるか、およびどのようにして利用するかがわかるであろう。

引用した参考文献 [1]F.Maury,A.Douard,S.Delclos,D.Samelor,C.Tendero;Multilayer chromium based coatings grown by atmospheric pressure direct liquid injection CVD;Surface and Coatings Technology,204(2009)983−987. [2]A.Douard,F.Maury;Nanocrystalline chromium−based coatings deposited by DLI−MOCVD under atmospheric pressure from Cr(CO)6;Surface and Coatings Technology,200(2006)6267−6271. [3]WO2008/009714 [4]WO2008/009715 [5]S.Anderbouhr,V.Ghetta,E.Blanquet,C.Chabrol,F.Schuster,C.Bernard,R.Madar;LPCVD and PACVD(Ti,Al)N films:morphology and mechanical properties;Surface and Coatings Technology,Volume 115,Issues 2−3,July 18,1999,pages 103−110. [6]F.Ossola,F.Maury;MOCVD route to chromium carbonitride thin films using Cr(NEt2)4 as single−source precursor:growth and mechanism.,Adv.Mater.Chem.Vap.Deposition,3(1997)137−143. [7]Jin Zhang,Qi Xue and Songxia Li,Microstructure and corrosion behavior of TiC/Ti(CN)/TiN multilayer CVD coatings on high strength steels.Applied Surface Science,2013.280:pages 626−631. [8]A.Weber,C.‐P.Klages,M.E.Gross,R.M.Charatan and W.L.Brown,Formation Mechanism of TiN by Reaction of Tetrakis(dimethylamido)‐Titanium with Plasma‐Activated Nitrogen.Journal of The Electrochemical Society,1995.142(6):pages L79−L82. [9]Y.S.Li,S.Shimada,H.Kiyono and A.Hirose,Synthesis of Ti−Al−Si−N nanocomposite films using liquid injection PECVD from alkoxide precursors.Acta Materialia,2006.54(8):pages 2041−2048. [10]S.Abisset,F.Maury,R.Feurer,M.Ducarroir,M.Nadal and M.Andrieux;Gas and plasma nitriding pretreatment of steel substrates before CVD growth of hard refractory coatings;Thin Solid Films,315(1998)179−185. [11]FR1562862 filed on December 18,2015.

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