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電解質蓄電デバイス用セパレータ、非水電解質蓄電デバイス及びそれらの製造方法

阅读:714发布:2024-02-26

专利汇可以提供電解質蓄電デバイス用セパレータ、非水電解質蓄電デバイス及びそれらの製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】非 水 電解質蓄電デバイスの性能の向上に寄与できるエポキシ樹脂組成物を用いた非水電解質蓄電デバイス用セパレータを提供することを目的とする。 【解決手段】膜厚が5〜50μmの範囲にある非水電解質蓄電デバイス用セパレータを製造する方法であって、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂、エポキシ基を3個以上有するとともにエポキシ当量が160g/eq.以下であるエポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、エポキシ樹脂シートが得られるように、エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する又はエポキシ樹脂組成物のシート状成形体を硬化させる工程と、エポキシ樹脂シートからポロゲンを除去する工程と、を含む、非水電解質蓄電デバイス用セパレータの製造方法を提供する。 【選択図】図1,下面是電解質蓄電デバイス用セパレータ、非水電解質蓄電デバイス及びそれらの製造方法专利的具体信息内容。

膜厚が5〜50μmの範囲にある非電解質蓄電デバイス用セパレータを製造する方法であって、 エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂A、エポキシ基を3個以上有するとともにエポキシ当量が160g/eq.以下であるエポキシ樹脂B、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、 エポキシ樹脂シートが得られるように、前記エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する又は前記エポキシ樹脂組成物のシート状成形体を硬化させる工程と、 前記エポキシ樹脂シートから前記ポロゲンを除去する工程と、 を含む、 非水電解質蓄電デバイス用セパレータの製造方法。前記エポキシ樹脂Aが、エポキシ当量が170〜210g/eq.の範囲にあるエポキシ樹脂A1とエポキシ当量が210g/eq.を超えるエポキシ樹脂A2とを含む、 請求項1に記載の非水電解質蓄電デバイス用セパレータの製造方法。前記エポキシ樹脂Aと前記エポキシ樹脂Bの重量比が95:5〜30:70の範囲にある、請求項1又は2に記載の非水電解質蓄電デバイス用セパレータの製造方法。請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質蓄電デバイス用セパレータの製造方法により得られた、非水電解質蓄電デバイス用セパレータ。カソード、アノード及び膜厚が5〜50μmの範囲にあるセパレータを準備する工程と、 前記カソード、前記アノード及び前記セパレータを用いて電極群を組み立てる工程と、 を含み、 前記セパレータを準備する工程が、 (i)エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂A、エポキシ基を3個以上有するとともにエポキシ当量が160g/eq.以下であるエポキシ樹脂B、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、 (ii)エポキシ樹脂シートが得られるように、前記エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する又は前記エポキシ樹脂組成物のシート状成形体を硬化させる工程と、 (iii)ハロゲンフリーの溶剤を用いて前記エポキシ樹脂シートから前記ポロゲンを除 去する工程と、 を含む、 非水電解質蓄電デバイスの製造方法。カソードと、 アノードと、 前記カソードと前記アノードとの間に配置された、請求項4に記載のセパレータと、 イオン伝導性を有する電解質と、 を備えた、非水電解質蓄電デバイス。

说明书全文

本発明は、電解質蓄電デバイス用セパレータ、非水電解質蓄電デバイス及びそれらの製造方法に関する。

リチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタ等に代表される非水電解質蓄電デバイスは、様々な分野で使用されている。非水電解質蓄電デバイスに用いるセパレータとしては、ポリオレフィン多孔質膜が使用されているが、エポキシ樹脂組成物を用いたセパレータも検討されている(特許文献1参照)。

特開2013−020946号公報

非水電解質蓄電デバイスについては更なる高性能化が望まれている。このため、セパレータに対しても非水電解質蓄電デバイスの性能の向上に寄与することが求められている。

したがって、本発明では、非水電解質蓄電デバイスの性能の向上に寄与できるエポキシ樹脂組成物を用いた非水電解質蓄電デバイス用セパレータを提供することを目的とする。

本発明は、 膜厚が5〜50μmの範囲にある非水電解質蓄電デバイス用セパレータを製造する方法であって、 エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂A、エポキシ基を3個以上有するとともにエポキシ当量が160g/eq.以下であるエポキシ樹脂B、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、 エポキシ樹脂シートが得られるように、前記エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する又は前記エポキシ樹脂組成物のシート状成形体を硬化させる工程と、 前記エポキシ樹脂シートから前記ポロゲンを除去する工程と、 を含む、非水電解質蓄電デバイス用セパレータの製造方法、を提供する。

さらに、本発明は、本発明の製造方法により得られた非水電解質蓄電デバイス用セパレータを提供する。

別の側面から、本発明は、 カソード、アノード及び膜厚が5〜50μmの範囲にあるセパレータを準備する工程と、 前記カソード、前記アノード及び前記セパレータを用いて電極群を組み立てる工程と、 を含み、 前記セパレータを準備する工程が、 (i)エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂A、エポキシ基を3個以上有するとともにエポキシ当量が160g/eq.以下であるエポキシ樹脂B、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、 (ii)エポキシ樹脂シートが得られるように、前記エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する又は前記エポキシ樹脂組成物のシート状成形体を硬化させる工程と、 (iii)ハロゲンフリーの溶剤を用いて前記エポキシ樹脂シートから前記ポロゲンを除 去する工程と、 を含む、 非水電解質蓄電デバイスの製造方法、を提供する。

さらに別の側面において、本発明は、 カソードと、 アノードと、 前記カソードと前記アノードとの間に配置された、本発明のセパレータと、 イオン伝導性を有する電解質と、 を備えた、非水電解質蓄電デバイス、を提供する。

本発明によれば、非水電解質蓄電デバイスの性能の向上に寄与できるエポキシ樹脂組成物を用いた非水電解質デバイス用セパレータを提供することができる。

本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電デバイスの概略断面図

以下は本発明の実施形態を例示する説明であって、本発明を以下の実施形態に制限する趣旨ではない。なお、当業者には自明の範囲にあるが、本明細書における用語の意味を説明しておく。「エポキシ基を有する樹脂」とは、エポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という)からなる樹脂材料を意味する。したがって、例えば、「エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂」とは、エポキシ基を2個有するエポキシ基含有化合物からなる樹脂材料を意味する。「エポキシ当量」とは、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量を意味する。また、以下において、常温とは、5℃〜35℃の温度範囲を意味する。

以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を説明する。

図1に示すように、本実施形態に係る非水電解質蓄電デバイス100は、カソード2、アノード3、セパレータ4及びケース5を備えている。セパレータ4は、カソード2とアノード3との間に配置されている。カソード2、アノード3及びセパレータ4は、一体的に巻回されて発電要素としての電極群10を構成している。電極群10は、底部を有するケース5に収容されている。蓄電デバイス100は、典型的には、リチウムイオン二次電池である。

本実施形態において、ケース5は円筒の形状を有している。すなわち、蓄電デバイス100は円筒の形状を有している。しかし、蓄電デバイス100の形状は特に限定されない。蓄電デバイス100は、例えば、扁平な型の形状を有していてもよい。また、電極群10は巻回構造を必須としない。カソード2、セパレータ4及びアノード3が単に積層されることによって、板状の電極群が形成されていてもよい。ケース5は、ステンレス、アルミニウム等の金属で作られている。さらに、電極群10が可撓性を有する材料で作られたケースに入れられていてもよい。可撓性を有する材料は、例えば、アルミニウム箔と、アルミニウム箔の両面に貼り合わされた樹脂フィルムとで構成されている。

蓄電デバイス100は、さらに、カソードリード2a、アノードリード3a、蓋体6、パッキン9及び2つの絶縁板8を備えている。蓋体6は、パッキン9を介してケース5の開口部に固定されている。2つの絶縁板8は、電極群10の上部と下部とにそれぞれ配置されている。カソードリード2aは、カソード2に電気的に接続された一端と、蓋体6に電気的に接続された他端とを有する。アノードリード3aは、アノード3に電気的に接続された一端と、ケース5の底部に電気的に接続された他端とを有する。蓄電デバイス100の内部にはイオン伝導性を有する非水電解質(典型的には非水電解液)が充填されている。非水電解質は、電極群10に含浸されている。これにより、セパレータ4を通じて、カソード2とアノード3との間でイオン(典型的にはリチウムイオン)の移動が可能となっている。

カソード2は、例えば、リチウムイオンを吸蔵及び放出しうるカソード活物質と、バインダーと、集電体とで構成されうる。例えば、バインダーを含む溶液にカソード活物質を混合して合剤を調製し、この合剤をカソード集電体に塗布及び乾燥させることによってカソード2を作製できる。

カソード活物質としては、例えば、リチウムイオン二次電池のカソード活物質として用いられている公知の材料を使用できる。具体的には、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化物、カルコゲン化合物等をカソード活物質として使用できる。リチウム含有遷移金属酸化物としては、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、それらの遷移金属の一部が他の金属で置換された化合物が挙げられる。リチウム含有遷移金属リン酸化物としては、LiFePO4、LiFePO4の遷移金属(Fe)の一部が他の金属で置換された化合物が挙げられる。カルコゲン化合物としては、二硫化チタン、二硫化モリブデンが挙げられる。

バインダーとしては、公知の樹脂を使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフロロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマー等の炭化水素系樹脂、それらの混合物をバインダーとして使用できる。導電助剤として、カーボンブラック等の導電性粉末がカソード2に含まれていてもよい。

カソード集電体としては、耐酸化性に優れた金属材料、例えば箔状又はメッシュ状に加工されたアルミニウムが好適に用いられる。

アノード3は、例えば、リチウムイオンを吸蔵及び放出しうるアノード活物質と、バインダーと、集電体とで構成されうる。アノード3も、カソード2と同様の方法で作製できる。カソード2で用いたバインダーと同様のものをアノード3に使用できる。

アノード活物質としては、例えば、リチウムイオン二次電池のアノード活物質として用いられている公知の材料を使用できる。具体的には、炭素系活物質、リチウムと合金を形成しうる合金系活物質、リチウムチタン複合酸化物(例えばLi4Ti5O12)等をアノード活物質として使用できる。炭素系活物質としては、コークス、ピッチ、フェノール樹脂、ポリイミド、セルロース等の焼成体、人造黒鉛、天然黒鉛等が挙げられる。合金系活物質としては、アルミニウム、スズ、スズ化合物、シリコン、シリコン化合物等が挙げられる。

アノード集電体としては、例えば、還元安定性に優れた金属材料、例えば箔状又はメッシュ状に加工された銅又は銅合金が好適に用いられる。リチウムチタン複合酸化物等の高電位アノード活物質を用いる場合には、箔状又はメッシュ状に加工されたアルミニウムもアノード集電体として使用できる。

非水電解液は、典型的には、非水溶媒及び電解質を含んでいる。具体的には、例えば、リチウム塩(電解質)を非水溶媒に溶解させた電解液を好適に使用できる。また、非水電解液を含むゲル電解質、リチウム塩をポリエチレンオキシド等のポリマーに溶解及び分解させた固体電解質等も非水電解質として使用できる。リチウム塩としては、ホウ四フッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、トリフロロスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)等が挙げられる。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、これらの混合物等が挙げられる。

次に、セパレータ4について詳しく説明する。

本実施形態において、セパレータ4は、三次元網目状骨格と、空孔とを備えたエポキシ樹脂多孔質膜で構成されている。セパレータ4の表面と裏面との間でイオンが移動できるように、つまり、カソード2とアノード3との間をイオンが移動できるように、隣り合う空孔は互いに連通していてもよい。セパレータ4は、例えば、5〜50μmの範囲の厚さを有する。セパレータ4が厚すぎると、カソード2とアノード3との間のイオンの移動が困難となる。5μm未満の厚さのセパレータ4を製造することは不可能ではないが、蓄電デバイス100の信頼性を確保するうえで、5μm以上、特に10μm以上の厚さが好ましい。

セパレータ4は、例えば、20〜80%の範囲の空孔率を有していてもよい。また、0.02〜1μm、特に0.2〜0.4μmの範囲の平均孔径を有してもよい。空孔率及び平均孔径がこのような範囲に調節されていると、セパレータ4は、必要とされる機能を十分に発揮しうる。

空孔率は、実施例の欄で述べる方法により測定することができる。

平均孔径は、水銀圧入法による他、走査型電子顕微鏡でセパレータ4の断面を観察して求めることができる。具体的には、視野幅60μm、かつ表面から所定の深さ(例えば、セパレータ4の厚さの1/5〜1/100)までの範囲内に存在する空孔のそれぞれについて、画像処理を行って孔径を求め、それらの平均値を平均孔径として求めることができる。画像処理は、例えば、フリーソフト「Image J」又はAdobe社製「Photoshop」を使用して行える。

また、セパレータ4は、例えば1〜1000秒/100cm3、特に10〜1000秒/100cm3の範囲の通気度(ガーレー値)を有していてもよい。セパレータ4がこのような範囲に通気度を有していることにより、カソード2とアノード3との間をイオンが容易に移動しうる。通気度は、日本工業規格(JIS)P8117に規定された方法に従って測定できる。

エポキシ樹脂多孔質膜は、例えば、下記(a)(b)及び(c)のいずれかの方法で製造することができる。方法(a)及び(b)は、エポキシ樹脂組成物をシート状に成形した後で硬化工程を実施する点で共通している。方法(c)は、エポキシ樹脂のブロック状の硬化体を作り、その硬化体をシート状に成形することを特徴としている。

方法(a) エポキシ樹脂組成物のシート状成形体が得られるように、エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を基板上に塗布する。その後、エポキシ樹脂組成物のシート状成形体を加熱してエポキシ樹脂を三次元架橋させる。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、得られたエポキシ樹脂シートからポロゲンを洗浄によって除去し、乾燥させることにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。基板の種類は特に限定されず、プラスチック基板、ガラス基板、金属板等を基板として使用できる。

方法(b) エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を基板上に塗布する。その後、塗布したエポキシ樹脂組成物の上に別の基板を被せてサンドイッチ構造体を作製する。なお、基板と基板との間に一定の間隔を確保するために、基板の四隅にスペーサー(例えば、両面テープ)を設けてもよい。次に、サンドイッチ構造体を加熱してエポキシ樹脂を三次元架橋させる。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、得られたエポキシ樹脂シートを取り出し、ポロゲンを洗浄によって除去し、乾燥させることにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。基板の種類は特に制限されず、プラスチック基板、ガラス基板、金属板等を基板として使用できる。特に、ガラス基板を好適に使用できる。

方法(c) エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を所定形状の容器内に充填する。その後、エポキシ樹脂を三次元架橋させることによって、円筒状又は円柱状のエポキシ樹脂組成物の硬化体を作製する。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、エポキシ樹脂組成物の硬化体を円筒軸又は円柱軸を中心に回転させながら、硬化体の表層部を所定の厚さに切削して長尺状のエポキシ樹脂シートを作製する。そして、エポキシ樹脂シートに含まれたポロゲンを洗浄によって除去し、乾燥させることにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。

以下、方法(c)を例として取り上げつつ、エポキシ樹脂多孔質膜の製造方法についてさらに詳細に説明する。なお、エポキシ樹脂組成物を調製する工程、エポキシ樹脂を硬化させる工程、ポロゲンを除去する工程等は、各方法に共通している。また、使用できる材料も各方法に共通である。

方法(c)によれば、エポキシ樹脂多孔質膜は以下の主要な工程を経て製造されうる。 工程(i):エポキシ樹脂組成物を調製する。 工程(ii):エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する。 工程(iii):エポキシ樹脂シートからポロゲンを除去する。

まず、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂A、エポキシ基を3個以上有するとともにエポキシ当量が160g/eq.以下であるエポキシ樹脂B、硬化剤及びポロゲン(細孔形成剤)を含むエポキシ樹脂組成物を調製する。具体的には、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B及び硬化剤をポロゲンに溶解させて均一な溶液を調製する。

エポキシ樹脂Aとしては、芳香族エポキシ樹脂及び非芳香族エポキシ樹脂のいずれも使用可能である。芳香族エポキシ樹脂としては、ポリフェニルベースエポキシ樹脂、フルオレン環を含むエポキシ樹脂、複素芳香環(例えば、トリアジン環)を含むエポキシ樹脂等が挙げられる。ポリフェニルベースエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンベースエポキシ樹脂等が挙げられる。非芳香族エポキシ樹脂としては、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

これらの中でも、エポキシ樹脂Aとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フルオレン環を含むエポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。

エポキシ樹脂Aのエポキシ当量は、特に制限されないが、例えば170g/eq.以上、特に170〜10000g/eq.、さらに170〜1000g/eq.である。エポキシ樹脂組成物中にこれらのエポキシ樹脂Aが含まれることによって、均一な三次元網目状骨格及び均一な空孔を有するエポキシ樹脂多孔質膜を形成することが容易になる。

エポキシ樹脂Bは、エポキシ基を3個以上、好ましくは3〜4個有している。エポキシ樹脂Bのエポキシ当量は160g/eq.以下であり、好ましくは80〜140g/eq.である。このようなエポキシ樹脂Bをエポキシ樹脂Aと共に用いると、三次元的な架橋部位が増加し、架橋密度が上がるため、より形状安定性の高い多孔質膜を得ることができる。

エポキシ樹脂Bとしては、芳香族エポキシ樹脂及び非芳香族エポキシ樹脂のいずれも使用可能である。芳香族エポキシ樹脂としては、芳香環を含むグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリフェニルベースエポキシ樹脂、フルオレン環を含むエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートを含むエポキシ樹脂、複素芳香環(例えば、トリアジン環)を含むエポキシ樹脂等が挙げられる。非芳香族エポキシ樹脂としては、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

これらの中でも、エポキシ樹脂Bとしては、芳香環を含むグリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートを含むエポキシ樹脂、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンベースエポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルアミン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。

エポキシ樹脂Bの具体例としては、下記式(1)により示される構造式が挙げられる。ただし、−R1−の例としては、下記式(2)により示される構造が挙げられ、−R4−は単結合、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−により示されるいずれかの基を示す。−R2の例としては下記式(3)により示される構造が挙げられ、−R3は−H、炭素数1〜3の飽和アルキル基又は下記式(4)により示される構造が挙げられる。なお、構造式中、飽和炭化水素環又は芳香環の内部にまで伸びる結合手は、それぞれ飽和炭化水素環又は芳香環を形成するいずれか1つの炭素に結合している(以下同様)。

−R1−の具体的な例としては、下記式(5)により示される構造が挙げられる。

このようなエポキシ樹脂Bの具体例としては、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学株式会社から商品名「TETRAD(登録商標)−C」として市販されている)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社から商品名「TETRAD(登録商標)−X」として市販されている)、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(日産化学工業株式会社から商品名「TEPIC(登録商標)」として市販されている)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社から、商品名「デナコール(登録商標)EX-512」、「デナコール(登録商標)EX-521」等として市販されている)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(株式会社ダイセルから商品名「EHPE(登録商標)3150」として市販されている)等が挙げられる。

硬化剤としては、芳香族硬化剤及び非芳香族硬化剤のいずれも使用可能である。芳香族 硬化剤としては、芳香族アミン(例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルベンゼン)、芳香族酸無水物(例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸)、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、複素芳香環を含むアミン(例えば、トリアジン環を含むアミン)等が挙げられる。非芳香族硬化剤としては、脂肪族アミン類(例えば、エチレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、ポリメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン)、脂環族アミン類(例えば、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、これらの変性品)、ポリアミン類とダイマー酸とを含む脂肪族ポリアミドアミン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

これらの中でも、分子内に一級アミンを2個以上有する硬化剤を好適に使用できる。具体的には、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、からなる群より選ばれる少なくとも1つを好適に使用できる。これらの硬化剤を使用すると、均一な三次元網目状骨格及び均一な空孔を形成できるとともに、エポキシ樹脂多孔質膜に高い強度を付与できる。得られるエポキシ樹脂多孔質膜の架橋密度の高さ、より高い化学的安定性、並びに入手及び取り扱いの容易さから1,6−ヘキサンジアミンが好ましい。

エポキシ樹脂と硬化剤との組み合わせとしては、芳香族エポキシ樹脂と脂肪族アミン硬化剤との組み合わせ、芳香族エポキシ樹脂と脂環族アミン硬化剤との組み合わせ、又は脂環族エポキシ樹脂と芳香族アミン硬化剤との組み合わせが好ましい。これらの組み合わせにより、エポキシ樹脂多孔質膜に優れた耐熱性を付与できる。

ポロゲンは、エポキシ樹脂及び硬化剤を溶かすことができる溶剤でありうる。ポロゲンは、また、エポキシ樹脂と硬化剤とが重合した後、反応誘起相分離を生じさせることができる溶剤として使用される。具体的には、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル等のエーテル類をポロゲンとして使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

これらの中でも、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、分子量600以下のポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル及びポリオキシエチレンジメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1つを好適に使用できる。特に、分子量200以下のポリエチレングリコール、分子量500以下のポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群より選ばれる少なくとも1つを好適に使用できる。これらのポロゲンを使用すると、均一な三次元網目状骨格及び均一な空孔を形成できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

また、個々のエポキシ樹脂又は硬化剤と常温で不溶又は難溶であっても、エポキシ樹脂と硬化剤との反応物が可溶となる溶剤についてはポロゲンとして使用可能である。このようなポロゲンとしては、例えば、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート5058」)が挙げられる。

エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂Aとエポキシ樹脂Bの好ましい配合比率は、例えば、エポキシ樹脂Aとエポキシ樹脂Bの重量比が95:5〜30:70、特に95:5〜65:35の範囲である。エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂Aとエポキシ樹脂Bの配合比率を変えると、このエポキシ樹脂組成物から形成されるエポキシ樹脂多孔質膜の平均孔径等を調整できる。

エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合比率は、エポキシ基1当量に対して硬化剤中のアミノ基の当量が例えば、0.6〜1.5である。硬化剤を上記割合で配合することによって、エポキシ樹脂多孔質膜の耐熱性、化学的耐久性、学特性等の特性の向上に寄与する。

硬化剤の他に、目的とする多孔質構造を得るために、溶液中に硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の3級アミン、2−フェノール−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェノール−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。

エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンの総重量に対して、一般には、40〜80重量%のポロゲンを使用することができる。適切な量のポロゲンを使用することにより、所望の空孔率、平均孔径及び通気度を有するエポキシ樹脂多孔質膜を形成しうる。

次に、エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含む溶液からエポキシ樹脂組成物の硬化体を作製する。具体的には、溶液を容器に充填し、必要に応じて加熱する。エポキシ樹脂を三次元架橋させることによって、所定の形状を有する硬化体が得られる。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとが相分離することにより、共連続構造が形成される。

硬化体の形状は特に限定されない。円柱状又は円筒状の容器を使用すれば、円筒又は円柱の形状を有する硬化体を得ることができる。硬化体が円筒又は円柱の形状を有していると切削工程を実施しやすい。

硬化体の寸法は特に限定されない。硬化体が円筒又は円柱の形状を有している場合、エポキシ樹脂多孔質膜の製造効率の観点から、硬化体の直径は、例えば20cm以上であり、好ましくは30〜150cmである。硬化体の長さ(軸方向)も、得るべきエポキシ樹脂多孔質膜の寸法を考慮して適宜設定することができる。硬化体の長さは、例えば20〜200cmであり、取扱いやすさの観点から20〜150cmであることが好ましく、20〜120cmであることがより好ましい。

次に、硬化体をシート状に成形する。円筒又は円柱の形状を有する硬化体は、以下の方法でシート状に成形されうる。具体的には、硬化体をシャフトに取り付け、長尺の形状を有するエポキシ樹脂シートが得られるように、切削刃(スライサー)を用いて、硬化体の側面の表層部を所定の厚さで切削(スライス)する。詳細には、硬化体の円筒軸(又は円柱軸)を中心として、切削刃に対して硬化体を相対的に回転させながら硬化体の表層部を切削する。この方法によれば、効率的にエポキシ樹脂シートを作製することができる。

硬化体を切削するときのライン速度は、例えば2〜70m/minの範囲にある。エポキシ樹脂シートの厚さは、エポキシ樹脂多孔質膜の目標厚さ(5〜50μm、特に10〜50μm)に応じて決定される。ポロゲンを除去して乾燥させると厚さが若干減少するので、エポキシ樹脂シートは、通常、エポキシ樹脂多孔質膜の目標厚さよりも若干厚い。エポキシ樹脂シートの長さは特に限定されないが、エポキシ樹脂シートの製造効率の観点から、例えば100m以上であり、好ましくは1000m以上である。

さらに、エポキシ樹脂シートからポロゲンを抽出し、除去する(多孔化工程)。具体的には、ハロゲンフリーの溶剤にエポキシ樹脂シートを浸漬することによって、エポキシ樹脂シートからポロゲンを除去することが好ましい。これにより、エポキシ樹脂多孔質膜が得られる。

エポキシ樹脂シートからポロゲンを除去するための溶剤として、ハロゲンフリーの溶剤である、水、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)及びTHF(テトラヒドロフラン)からなる群より選ばれる少なくとも1つをポロゲンの種類に応じて使用できる。また、水、二酸化炭素等の超臨界流体もポロゲンを除去するための溶剤として使用できる。エポキシ樹脂シートからポロゲンを積極的に除去するために、超音波洗浄を行ってもよく、また、溶剤を加熱して用いてもよい。

ポロゲンを除去するための洗浄装置も特に限定されず、公知の洗浄装置を使用できる。エポキシ樹脂シートを溶剤に浸漬することによってポロゲンを除去する場合には、洗浄槽を複数備えた多段洗浄装置を好適に使用できる。洗浄の段数としては、3段以上がより好ましい。また、カウンターフローを利用することによって、実質的に多段洗浄を行ってもよい。さらに、各段の洗浄で、溶剤の温度を変えたり、溶剤の種類を変えたりしてもよい。

ポロゲンを除去した後、エポキシ樹脂多孔質膜の乾燥処理を行う。乾燥条件は特に限定されず、温度は通常40〜120℃程度であり、50〜100℃程度が好ましく、乾燥時間は10秒〜5分程度である。乾燥処理には、テンター方式、フローティング方式、ロール方式、ベルト方式等の公知のシート乾燥方法を採用した乾燥装置を使用できる。複数の乾燥方法を組み合わせてもよい。

なお、セパレータ4は、エポキシ樹脂多孔質膜のみで構成されていてもよいし、エポキシ樹脂多孔質膜と他の多孔質材料との積層体で構成されていてもよい。他の多孔質材料としては、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン多孔質膜等のポリオレフィン多孔質膜、セルロース多孔質膜、フッ素樹脂多孔質膜等が挙げられる。他の多孔質材料は、エポキシ樹脂多孔質膜の片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。

同様に、セパレータ4は、エポキシ樹脂多孔質膜と補強材との積層体で構成されていてもよい。補強材としては、織布、不織布等が挙げられる。補強材は、エポキシ樹脂多孔質膜の片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。

本発明の好ましい形態では、エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂A、エポキシ樹脂B、硬化剤及びポロゲンを含み、エポキシ樹脂Aが、エポキシ当量が170〜210g/eq.の範囲にあるエポキシ樹脂A1とエポキシ当量が210g/eq.を超えるエポキシ樹脂A2とを含む。

エポキシ樹脂A1及びA2としては、芳香族エポキシ樹脂及び非芳香族エポキシ樹脂のいずれも使用可能であり、エポキシ樹脂Aとして例示した化合物を用いることができる。

エポキシ樹脂A2のエポキシ当量は、210g/eq.を超え、特に220〜1000g/eq.が好ましい。

エポキシ樹脂A1、エポキシ樹脂A2、エポキシ樹脂Bの含有量は、エポキシ樹脂の全重量に対し、例えばエポキシ樹脂A1が20〜90重量%、エポキシ樹脂A2が5〜50重量%、エポキシ樹脂Bが5〜70重量%であり、特にエポキシ樹脂A1が25〜65重量%、エポキシ樹脂A2が15〜40重量%、エポキシ樹脂Bが15〜55重量%である。

エポキシ樹脂Aとして、このようなエポキシ樹脂A1及びA2を用いると、エポキシ樹脂A1のみ、またはエポキシ樹脂A2のみを用いる場合と比較して、エポキシ樹脂多孔質膜の強度が向上する。また、エポキシ樹脂A1、エポキシ樹脂A2、エポキシ樹脂Bの配合比率を変えることによって、エポキシ樹脂多孔質膜の強度と平均孔径の調整が可能になる。

以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、RO水は逆浸透膜を用いて処理して得た純水を意味する。各物性は以下のようにして測定した。

[通気度] 日本工業規格(JIS)P8117で規定された方法に従って、実施例及び比較例で得られたエポキシ樹脂多孔質膜の通気度(ガーレー値)を測定した。

[針強度] カトーテック株式会社製圧縮試験機KES−G5を使用してエポキシ樹脂多孔質膜の斜突き刺し試験を行った。測定により得られた荷重変位曲線より最大荷重を読みとって針強度値とした。針は直径1mm、先端曲率半径0.5mmを用い、2mm/秒の速度で行った。

[平均孔径] エポキシ樹脂多孔質膜の平均孔径は、エポキシ樹脂多孔質膜の赤外吸収スペクトルから算出した。具体的には、水銀圧入法から算出された「モード径(nm)」と赤外吸収スペクトルにおける1607cm-1に存在する吸収ピークの吸光度に対する4000cm-1における吸光度の比、すなわち(4000cm-1における吸光度)/(1607cm-1に存在する吸収ピークの吸光度)とに基づいて作成した検量線を用いて、エポキシ樹脂多孔質膜の平均孔径(モード径)を求めた。

[6C/0.2C放電容量維持率] 各電池を、25℃の温度の恒温槽に保持し、まず4.2Vに到達するまでは、0.2CmAに相当する定電流で充電し、4.2Vに到達した後は、4.2V定電圧で電流値が0.2CmA相当の5%に減衰するまで充電を行って、これを0.2C充電とし、次いで0.2CmAに相当する電流値で電圧が2.75Vに到達するまで放電を行い、これを0.2C放電とした。0.2C充電、0.2C放電を3回繰り返した後、0.2C充電、6C放電を行った。3回目の0.2C放電時の放電容量に対する、6C放電容量の割合を6C/0.2C放電容量維持率とした。

(実施例1) 3Lの円筒形のポリ容器にエポキシ樹脂A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)828、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部とエポキシ樹脂B(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、TETRAD(登録商標)−C、エポキシ当量95〜110g/eq.)11.1重量部を、ポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)186.2重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン18.3重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、遊星撹拌装置(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用い、約0.7kPaで真空脱泡すると同時に自/公転比率3/4の条件下、公転800rpmの比率で10分間撹拌する手順を2回繰り返した。

その後、数日間自然冷却させ、ポリ容器からエポキシ樹脂ブロックを取り出し、切削旋盤装置を用いて20μmの厚みで連続的にスライスしてエポキシ樹脂シートを得た。該エポキシ樹脂シートをRO水/DMF=1/1(v/v)混合液中で10分間超音波洗浄した後、RO水のみで10分間超音波洗浄し、RO水中12時間浸漬させてポリプロピレングリコールを除去した。その後、80℃での乾燥を2時間行って、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。

(実施例2) 3Lの円筒形のポリ容器にエポキシ樹脂A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)828、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部とエポキシ樹脂B(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、TETRAD(登録商標)−C、エポキシ当量95〜110g/eq)25.0重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)211.9重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン22.3重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は実施例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。

(実施例3) 3Lの円筒形のポリ容器にエポキシ樹脂A1(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)828、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部、エポキシ樹脂A2(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)834、エポキシ当量230〜270g/eq.)75重量部とエポキシ樹脂B(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、TETRAD(登録商標)−C、エポキシ当量95〜110g/eq.)75重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)424.8重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン45.2重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は実施例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。

(比較例1) 3Lの円筒形のポリ容器にエポキシ樹脂A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)828、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)165.7重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン15.1重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は実施例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。

実施例1〜3及び比較例1で得られた多孔質膜をセパレータとして用い、以下の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。

[リチウムイオン二次電池の特性評価] 89重量部のコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシードC−10)、10重量部のアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)、5重量部のPVDF(呉羽化学工業社製、KFポリマーL#1120)を混合し、固形分濃度が15重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えてカソード用スラリーを得た。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)上に200μmの厚さで塗布した。塗膜を80℃で1時間、120℃で2時間真空乾燥した後、ロールプレスにて加圧した。これにより、100μmの厚さのカソード活物質層を有するカソードを得た。

80重量部のメソカーボンマイクロビーズ(大阪ガスケミカル社製、MCMB6−28)、10重量部のアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)、10重量部のPVDF(呉羽化学工業社製、KFポリマーL#1120)を混合し、固形分濃度が15重量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンを加えてアノード用スラリーを得た。このスラリーを厚さ20μmの銅箔(集電体)上に200μmの厚さで塗布した。塗膜を80℃で1時間、120℃で2時間真空乾燥した後、ロールプレスにて加圧した。これにより、100μmの厚さのアノード活物質層を有するアノードを得た。

次に、カソード、アノード及びセパレータを用いて電極群を組み立てた。具体的には、カソード、エポキシ樹脂多孔質膜(セパレータ)及びアノードを積層し、電極群を得た。電極群をアルミニウムラミネートパッケージに入れた後、パッケージに電解液を注入した。電解液として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:2の体積比で含む溶媒にLiPF6を1.4mol/リットルの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネートを1重量%含むものを用いた。最後に、パッケージを封口して、リチウムイオン二次電池を得た。

以上により得た各リチウムイオン二次電池について、6C/0.2C放電容量維持率を測定した。結果を表1に示す。

表1に示すように、エポキシ樹脂Aとエポキシ樹脂Bから形成されたエポキシ樹脂多孔質膜(実施例1〜3)を用いると、エポキシ樹脂Aから形成されたエポキシ樹脂多孔質膜(比較例1)を用いた場合よりも、6C/0.2C放電容量維持率が改善した。

以下、エポキシ樹脂Aとしてエポキシ樹脂A1及びエポキシ樹脂A2を用いることによるセパレータの強度向上の効果を確認した実験例を示す。

(サンプル1) 3Lの円筒形のポリ容器にエポキシ樹脂A1(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)828、エポキシ当量184〜194g/eq.)100質量部とエポキシ樹脂B(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、TETRAD(登録商標)−C、エポキシ当量95〜110g/eq.)42.9重量部を、ポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)244.9重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン27.3重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は実施例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。

(サンプル2) 3Lの円筒形のポリ容器にエポキシ樹脂A1(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)828、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部、エポキシ樹脂A2(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)834、エポキシ当量230〜270g/eq.)27.3重量部とエポキシ樹脂B(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、TETRAD(登録商標)−C、エポキシ当量95〜110g/eq.)54.5重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)310.3重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン33.8重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は実施例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。

(サンプル3) 3Lの円筒形のポリ容器にエポキシ樹脂A2(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、jER(登録商標)834、エポキシ当量230〜270g/eq.)100重量部とエポキシ樹脂B(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、TETRAD(登録商標)−C、エポキシ当量95〜110g/eq.)100重量部を、ポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)345.5重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン40.1重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は実施例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。

サンプル1〜3で得られたエポキシ樹脂多孔質膜について、平均孔径、通気度、針強度を測定した。結果を表2に示す。

表2に示すように、エポキシ樹脂A1(jER828)、エポキシ樹脂A2(jER834)とエポキシ樹脂B(TETRAD−C)を用いたエポキシ樹脂多孔質膜(サンプル2)は、エポキシ樹脂A1(jER828)とエポキシ樹脂B(TETRAD−C)を用いたエポキシ樹脂多孔質膜(サンプル1)及びエポキシ樹脂A2(jER834)とエポキシ樹脂B(TETRAD−C)を用いたエポキシ樹脂多孔質膜(サンプル3)よりも針強度が向上した。また、エポキシ樹脂の配合比率を変えることにより、平均孔径が変化した。

本発明によって提供されたセパレータは、リチウムイオン二次電池等の非水電解質蓄電デバイスに好適に使用でき、特に、車両、オートバイ、船舶、建設機械、産業機械、住宅用蓄電システム等に必要とされる大容量の二次電池に好適に使用できる。

2 カソード 3 アノード 4 セパレータ 100 非水電解質電池

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