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Raman spectroscopic device and method for airway gas

阅读:196发布:2021-12-22

专利汇可以提供Raman spectroscopic device and method for airway gas专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE: To provide a device and a method for measuring the composition and the density of the airway gas of a patient in the Raman spectroscopic technique.
CONSTITUTION: A laser beam 15 is transmitted along the longitudinal axis of a photowaveguide 13 in which a gas sample 14 is flowed, to generate Raman scattering throughout the guide. The Raman scattered light 16 is radiated from both ends of the guide 13, and is guided to a spectrometer 25 through a laser beam excluding filter 19, a lens 21, and a slit 23, as parallel rays formed by the lens 17. The spectrometer 25 comprises a grating spectrograph 27, and the spectral line guided from the slit 23, is Raman-shifted by the grating spectrograph 27. The Raman shift light 28 is dispersed to an optical sensor array 29. The optical sensor array 29 simultaneously measures the whole spetral of the Raman scattering from the mixture gas. The result of the measurement is sent to a computing means 30 to determine the relative or absolute density of the gas 14.
COPYRIGHT: (C)1994,JPO,下面是Raman spectroscopic device and method for airway gas专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 一つの測定において患者の気道に存在する所定ガスN(N>1)の各々の濃度を決定するための装置であって、 患者の気道に存在する所定ガス群の少なくとも一つにラマン散乱を促進するよう選択された、所定ビーム軸に沿った、所定波長λ の入射光ビームと、 患者の気道からガスを受取って一時的に保持するサンプルセルであって、ビーム軸に沿って波長λ の光に対して比較的透明であり、セル内ガスが光ビームにより照明されるように光ビームを受けるように設置されており、
    かつセル内の一つのガスによりラマン散乱を受ける所定波長の光の出口領域を持つサンプルセルと、 ビーム入口と波長分散手段を持ち、ビーム入口で受けた光ビームを、各々の光線束が異なる光波長間隔を有する光線からなる複数の光線束に分散するための波長分散手段に向ける分光器手段と、 サンプルセル内の一つ以上のガスによりラマン散乱を受ける光ビームの部分を受け、光ビームのこれらの部分を分光器手段のビーム入口に向ける集光手段と、 各々の光検出器が、分光器手段からの狭い波長領域を有する複数の波長分散光線束の一つを受光し、受光したラマン散乱光の量を表す光検出器出力信号を発する光検出器のアレイと、 二つ以上の光検出器からの光検出器出力信号を受け、各光検出器により受光されたラマン散乱光の相対量または絶対量を出力信号として決定し発するための波長配分手段と、 波長配分手段出力信号を受け、未知濃度パラメータc
    における線形等式の系として、既知のラマン散乱光スペクトルを持つ所定ガスNの未知濃度c (i=1,2・
    ・・,N)値を表し、かつ未知濃度c を決定するための計算手段と、からなることを特徴とするラマン分光装置。
  • 【請求項2】 一つの測定において患者の気道に存在する所定ガスN(N>1)の各々の濃度を決定するための方法であって、 患者の気道ガスのサンプルを、少なくとも一つのサンプルセル壁が波長λ=λ (ここで、λ は、500nm
    ≦λ ≦850nmの範囲内にある所定の波長)近傍の入射光に対して透明なサンプルセル内に置くステップと、 サンプルセルを通過する波長λ の大略単色光ビームであって、選択された波長λ のラマン散乱光を生じるサンプルセル内のサンプルガスによってラマン散乱を受ける単色光ビームを方向付けるステップと、 ラマン散乱光をサンプルセルの外側に集め、この光を複数の波長−分散光線束に分散するステップと、 各々が、複数の波長−分散光線束の一つを受光し、受光したラマン散乱光の表示量の光検出器出力信号を発する、光検出器のアレイを供給するステップと、 各々の光検出器によって受光されたラマン散乱光の相対量または絶対量を、光検出器アレイ出力信号として決定し発するステップと、 各々が既知のラマン散乱光スペクトルを持つ所定ガスN
    の未知濃度c (i=1,2・・・,N)値を、未知濃度パラメータc における線形等式の系として表し、未知濃度c 値を、等式の線形系に対する強制関数として働く光検出器アレイ出力信号の値において、特異値分解法によって決定するステップと、からなることを特徴とするラマン分光方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、患者の気道(airw
    ay)内の任意の混合ガスの組成および濃度の測定に関するものであり、更に詳細には、ラマン分光法によるそのような測定に関する。

    【0002】

    【技術背景】混合ガスの組成の測定は、補助呼吸器に接続されている個人の気道では特に重要である。 例としては、病院の集中治療病棟および心臓治療病棟で呼吸を補助する換気機、および病院の手術室(「OR」)での麻酔機がある。 これら患者は、しばしば、呼吸ガス交換を含めて、その生存徴候が厳密に監視される。

    【0003】手術室では、麻酔専門医が、患者の呼吸を援助すると共に、特別なガス状薬剤を使用して患者の麻酔の深さをも制御する。 患者の気道には、酸素(O )、二酸化炭素(CO )、および蒸気(H
    O)のような通常の呼吸ガス、または亜酸化窒素(N
    O)および一つ以上のハロゲン化麻酔剤(「HA」、通常、ハロタン、エンフルラン、イソフルラン、デスフルラン、またはセボフルラン)の混合物が入っている。 時々、室内空気からの窒素(N )が系に入り込む。 各種代謝生成物および、例えば機能を測定する、特殊ガスが存在することもある。 また、エタノールおよびイソプロパノールのような外部から入ってくるガスからの妨害物が存在することもある。 苛酷な傷害が不適格なガス混合体を使用することから生ずる可能性があるから、麻酔専門医は、患者の呼吸混合物の組成を測定したいと思っている。 混合物の各成分は重要である。 酸素濃度の測定は、低酸素症を防止するのに役立つ。 CO 波形が存在することは、ガス交換が健全なことを示している。 各種麻酔剤の形式および濃度の測定は、麻酔の正しい深さを制御し調節するのに役立つ。 他のガスが存在することは、漏れやシステムの動作不良が生じていそうなことを示している可能性がある。

    【0004】この機能を行う幾つかの麻酔モニタ(「A
    M」)が現在存在している。 四つの異なる技術が現在市場の大部について競争している。

    【0005】(1)赤外線吸収と酸素:AMの一つのクラスは、ハロゲン化麻酔薬、CO およびN Oを測定するのに赤外線吸収を利用している。 この手法は、広く利用されているが、HAはλ=3〜4μmの範囲で測定しなければならない類似のIRスペクトルを有しているため、HAを互いに区別するのが困難であるという欠点がある。 個々の薬剤を区別するには、遠赤外範囲λ>1
    0μmでの測定が必要であるが、これは一層困難である。 赤外(「IR」)スペクトルが無いO を測定するには、常磁性センサまたはポーラログラフセンサを使用して、別々に測定することが必要である。 また、HAおよびCO +N Oの濃度を測定するには、別々のセルが必要である。 その他に、これらの装置は、存在する可能性のある他のガスを検出する手段を備えていない。 このような装置では、測定値に誤差が入り込むことがあり、装置を新しい薬剤の測定に適合させることは容易ではない。

    【0006】(2)質量分析法:質量分析計(「M
    S」)は、極めて正確なガス濃度測定値を示すことができる。 歴史的に、MS装置は、頻繁な校正と保守を必要とする高価で複雑な測定器である。 これらの装置は、デリケートな真空系およびイオン源を使用する必要がある。 典型的には、多数の手術室が一つのMSを共有している。 このため、測定間の応答時間が減り、比較的長いサンプリングラインが必要となり、これがガスサンプルを歪曲させる可能性がある。 加えて、各種ORガスの質量スペクトルは、独特ではない。 亜酸化窒素および二酸化炭素は同じ質量数を持っており、イソフルランとエンフルランとは異性体である。 それ故、システムでこれら分子の分裂を観察し、特別なアルゴリズムを使用して分子を区別しなければならない。 また、システムを、ヘリウムおよび水蒸気を含む他の或るガスから保護する必要もある。 共有システムは、気道濃度の、望ましい、連続的な、呼吸ごとの分析を行うことができない。 少なくとも一つの製造業者が小形の孤立MSを導入し、各ORに一組の専用測定装置を提供している。 この装置は、異なるユーザについて測定を多重化するという問題を排除しており、かつ一層便利な構成を備えてはいるが、やはり汚染物から保護することは必要であり、一度に数種の特定のガスを測定するようにしか構成することができない。 高価格で、かつ異性体間および同質量スペクトル間を区別するという問題は残っている。

    【0007】(3)光音響分光法:これらの装置も、混合ガスの特性を求めるのに赤外線吸収の性質を利用している。 精密なマイクロホンが、ガスサンプルがIRエネルギを吸収するときに発生する圧波を検出する。 上述のIRシステムと同様に、これらの装置は酸素濃度を測定するのに別々のシステムを必要とし、またこの手法は異なるHAを互いに容易に区別することができない。

    【0008】(4)ラマン分光法:ラマン効果による光の散乱は、1928年にC. V. ラマンが最初に提示して以来、科学者達の多大の注意を引いてきた。 簡単に述べれば、単色光が振動分子を照らすと、光は、散乱光の周波数を正確に分子の振動周波数だけ増減する過程で散乱する。 放射線の周波数のシフトは、散乱媒体の特性であり、かつ照明放射線の周波数には無関係である。 したがって、ラマン散乱光の測定を、化学的組成や濃度のような媒体の性質を推測するのに使用することができる。
    ORおよび気道のガスの測定については、この手法には、酸素および多原子分子を含む各ORガスが独自のラマンスペクトルを持つという利点がある。 その他に、ガスのラマンスペクトルは、普通、比較的狭い波長帯の中にあり、このため検出が簡単になる。 したがって、ラマン分光法は、すべての気道ガスの同時測定を一回の測定で、かつあまり複雑でない方法で、行う見込みを与えてくれる。

    【0009】ラマン散乱では、光子の原子または分子との衝突のわずかな部分が非弾性的であり、光子は、その最初のエネルギE のわずかな部分を衝突相手に与えて減少したエネルギE<E の光子として散乱する(ストークス波)か、または衝突相手がその最初のエネルギのわずかな部分を与えて光子が増大したエネルギE>E
    で散乱する(反ストークス波)ようになる。 光子の原子または分子によるレーリー散乱では、対照的に、散乱光子のエネルギは、光子の最初のエネルギに等しい。 これには、吸収されたり、燐光または蛍光のように過程で再発光したりする光が無い。 典型的な散乱状況では、ガスに関するレーリーの強度の最初の光強度に対する比は約10 −9であり、ラマン散乱光の強度の最初の光強度に対する比は約10 −12である。 最初の波長λ =c/
    および散乱光波長λ =c/f のラマン散乱光子に対する波長の変化は、数1の式(1)でで与えられる。

    【0010】

    【数1】

    【0011】ここで、Δλ>0(Δλ<0)は、ストークス波(反ストークス波)の出現に対応する。 実質上、
    最初のエネルギが穏やかな散乱光はすべて、レーリー散乱またはラマン散乱から生ずる。 対称度が穏やかなまたはそれより高い分子については、すべてのモードの分子振動がラマン線を生ずるわけではない。 分子振動のモードの幾つかは、赤外吸収線を生ずるが、ラマン散乱線を生ぜず、幾つかのモードは、ラマン線を生ずるが、赤外吸収線を生ぜず、或るモードは、ラマン線と赤外吸収線とを共に生じ、また或る振動モードは、ラマン線も赤外吸収線も生じない。

    【0012】ラマン散乱断面は極めて小さく、上に記したように、散乱光の強度は、特に分子数密度も比較的小さい(液体および固体と比較して)ガスにおいて、非常に弱く、したがって正確に測定するのは困難である。 一成分ガスにおける微分径路長dzに沿って微分立体
    Ωの中に散乱するラマン散乱光の微分強度は、数2の公式(2)で与えられる。

    【0013】

    【数2】

    【0014】ここで、P は入射光の強度であり、n
    は散乱分子の数密度であり、(dσ/dΩ)は所定方向の微分散乱断面である。 散乱の方向は、入射光の偏りによっても変わる。 ガスが二つ以上の成分を含んでおり、
    それらの成分が互いに目立つ程相互に反応しなければ、
    ガス成分の各ラマン線の強度はその成分の濃度に比例するので、上の方程式(2)はわずかな修正を施して他の成分の存在を考慮するのに使用することができる。

    【0015】入射放射線の所定強度およびサンプル濃度については、ラマン信号の測定値の大きさを集光光学系の立体角を大きくすることによってのみ、または観測径路長を長くすることによって(すなわち、より大きい散乱体積を使用して)最大にすることができる。 何故なら、サンプルの分子的性質は可変ではないからである。
    ラマン散乱光を観測する従来のシステムでは、レーザビームを注目媒体内で焦点を結ばせ、電界が比較的強い微小領域を作り、これでラマン効果を励起している。 この領域から散乱する光は、光学系で、典型的には散乱領域を適切な光学フィルタおよび検出器に結像する単純レンズで、集められる。 この簡単な構成を改善することが困難であることは、エテンデュー(etendue)(集光面積と集光立体角との積と定義される)がどんな光学系によっても保存されるということを見れば明らかである。 したがって、集光の立体角を増やせば(f数の低い光学系にすれば)、観測可能な面積(したがって径路長)が減少する。 各実験装置は、これらパラメータを、
    それ自身の制約に対して最適にしなければならない。 或るラマンシステムは、観測体積を通る入射光ビームのパスを複数にして径路長を効果的に長くすることにより、
    または観測体積を光学的に共振する空洞の内部に置いて入射強度P を効果的に増大することにより、信号強度を更に改善している。

    【0016】ラマン散乱光の分析は、サンプル内に存在する各成分のラマンスペクトルが比較的簡単な線パターンであり、かつ異なる成分のラマン線が互いに一致したりまたは密接したりしていない場合に特に有用である。
    振動周波数の完全な範囲は一つの監視測定器で受持つことができ、サンプル容器はガラスまたは他の多数の比較的透明な材料のものとすることができる。 水が存在してもよい。 水のラマンスペクトルは弱く、200〜330
    0cm −1の帯域で拡散するが、スペクトルは3652
    cm −1を中心として強く広いピークを有する。 成分濃度とラマン散乱光強度との間の関係がほぼ直線的であるため、濃度の計算が簡単になる。 所定の線の強度を決定するラマンスペクトルの一部を横断する積分も簡単である。 ただし、サンプルは非蛍光性であるべきであり、分析しようとするサンプルは、関係する波長で吸収がほとんどまたは全く無くて、比較的透明であるべきであり、
    微粒子は皆無であるべきである。 ラマン散乱を非常に濃度の低いサンプルに適用することは、個々のラマン線の強度が弱いため、しばしば困難である。

    【0017】患者の気道の中の組成を測定するラマンシステムは、成分ガスすべてを区別するためには、複数のスペクトル線を測定しなければならない。 初期の特許の幾つかは複数のガスを測定する手法を記述している。

    【0018】Albrechtは、ドイツ特許DE27
    23939C2で、焦点の周りの赤道面内に設置した6
    個の検出器からなるシステムについて述べている。 焦点領域には共焦点空洞があり、そこで励起レーザビームがサンプルを通して複数のパスをつくる。 このシステムには、各々が、関連集光光学系、レーザ線排除フィルタ、
    ラマン線フィルタ、および別個の検出器を備えている6
    個の別々の検出チャンネルが必要である。 構成は、6個のチャンネルに限定され、非偏光レーザビームを使用している。 注目するORガスすべてを測定するには、更に多数のチャンネルが必要になる。 その他、共焦点空洞および各集光光学系には、焦点領域を検出器上に確実に正しく結像するための微妙な調節が必要である。

    【0019】米国特許第3,704,951号では、C
    huppが、セル内に入っているガスサンプルからラマン散乱する光の強度レベルを増すのに複数パスガスセルを使用することを開示している。 ラマン散乱光は、セルからセルの大きい側面窓を通して出る。

    【0020】Leonardは、米国特許第3,72
    3,007号で、ラマン散乱分析用の透明側面窓を有するガスセルを開示し、二つ以上のサンプル分子ガスが明確なラマンシフトスペクトルを有することがあることを記している。

    【0021】既知ガスサンプルからラマン散乱する光を、未知のガスサンプルからラマン散乱する光と比較する分光光度系が、米国特許第4,630,932号で、
    Tans等により開示されている。 既知および未知のガスサンプルからのラマン散乱光は、検出器により交互に受けられて、未知のガスサンプルに存在する二つのガスの濃度比が決定される。

    【0022】Benner等が米国特許第4,648,
    714号で開示しているガス監視システムは、適切な向きの偏光レーザビームで照明された一つの焦点領域からの光を集める。 一組の集光光学系が、散乱光を一つの検出器に結像する。 別のミラーが、集光光学系と反対に設置され、ラマン散乱光を焦点領域におよび集光光学系に逆反射して、信号を更に強調する。 サンプルセルを励起レーザの共振空洞の内側に設置して、信号を更に一層大きくすることができる。 このシステムは、異なるラマン線を順次測定するように、検出器の前に異なるラマン線フィルタを通過させる回転フィルタ輪を採用している。
    このシステムは、(更に多数のフィルタを追加することにより)多数のラマンスペクトル線を測定することができるが、サンプルは同じガスサンプルから同時には得られない。 このため、気道組成の呼吸ごとの分析をしたいことに応じて、急速に応答するというシステムの能力が減少している。

    【0023】米国特許第4,676,639号で、Va
    n Wagenenは、透明端および側面窓を備えたラマン散乱分析用ガスセルの使用を開示している。 側面窓は、ガスセルの外側で検出するためのラマン散乱光の通路として、狭帯域反射防止被膜で被覆することができる。

    【0024】Van Wagenen等は、米国特許第4,784,486号で、各々が集光光学系(レンズおよび背面反射鏡)、レーザ線排除フィルタ、ラマン線フィルタ、および検出器を備えている複数の検出ユニットを使用する他のシステムを記している。 各検出ユニットは、ラマン散乱光を別々の焦点領域から同時に集める。
    このシステムは、Bennerのシステムと同様であるが、異なるフィルタを直列に挿入するのではなく、各ラマン線について完全に別々の検出ユニットを採用している。 この構成には、すべてのチャンネルが、測定値を同時に得ることができるという利点がある。 しかし、測定値は、異なるサンプル体積から、したがって、異なるガス分子から発生している。 サンプルガスは、場所から場所へ流れなければならず、流量は、すべてのユニットが実質上同じ組成の混合物を見るようになっていなければならない。 したがって、所定の流量およびサンプルセルの大きさに対して、検出器ユニットの実用的な数は、各システムの必要な時間応答により制限される。 このため、患者の気道から可能な限り小さい体積をサンプルしたいのであるから、限界が生ずる。 検出器ユニットの数が増えれば、比例してユニットの費用が増大する。 各ユニットも、各々の位置合わせおよび調節を必要とし、システムの複雑さおよびコストが増大する。

    【0025】上に説明したシステムの多くは、個別狭帯域フィルタの組合わせを採用している。 各個別フィルタは、単一スペクトル線または小さなスペクトル領域だけを検査する。 このため、システムは、注目する各分子スペクトルのピークについて少なくとも一つのフィルタを使用することが必要である。 複数のチャンネルおよびフィルタの費用を許容するならば、これらのシステムは、
    各ガスのラマンスペクトルが一つのピークまたは良く分離したピークを備えている場合、およびこれらスペクトルのピークが混合物の各ガスについて独特で、スペクトル線の重なりがない場合、混合ガスの測定に適している。 この場合には、各フィルタは、各ガスを、別々に、
    かつ完全に、測定することができる。 注目ガスが、他の独特のピークを備えていれば、スペクトル線の重なりを無視することができる。 これは、N 、O 、CO
    およびN Oの各ガスについて真実である。 これらガスの主スペクトル線を、レーザビームのような照明源の周波数からの周波数シフトとして表1に掲げる。 CO およびN Oには、1285cm −1に重なり線が無いことに注目。

    【0026】

    【表1】 N 、窒素:2331cm −1 、酸素:1555cm −1 CO 、二酸化炭素:1285cm −1および1388
    cm −1 O、亜酸化窒素:1285cm −1および2224
    cm −1

    【0027】別々のフィルタを使用するこれら形式のシステムの限界は、注目する一つの分子のラマンスペクトルが複雑になるとき、ハロゲン化麻酔薬のように、更に大きいスペクトル帯域を包含するかまたは多数の散乱ピークを備えているとき、生ずる。 これらのスペクトルは、1本の線によってではなく、それらの全体のスペクトルによって最も良く特徴づけられる。 HAからのラマンスペクトルには互いにかなりなスペクトルの重なりがあり、広帯域発光が呼吸ガスおよびN Oの信号に対する誤差に寄与する可能性がある。 呼吸ガスと麻酔ガスとの代表的混合物は、個々のスペクトルすべての混ざり合ったスペクトル全体にわたる放射およびスペクトル線を有する複雑な信号を発生する。 それ故、単一スペクトル線の測定では、集める信号および情報は混合物または単一成分のスペクトル特徴全体を集める手法より少ない。
    単一フィルタシステムは、このようなシステムはラマン放射の一部しか測定しないから、利用可能な全信号の少量しか使用しない。 HAの場合、単一線の測定は全信号の大部分を無視する。 単一フィルタシステムは、ラマンスペクトルに関する重要な信号をも無視する。 各HAをその全体のスペクトルの検査から区別することは、1本の可能な弱い線により区別するよりはるかに容易である。

    【0028】単一フィルタシステムの更に他の制限は、
    新しいフィルタを備えた新しい検出ユニットを追加しなければ、新しいまたは別のガスを測定することができないということである。 現存するガスと実質上スペクトルが重なる新しいガスは、フィルタを追加しても、測定するのは非常に難しい。

    【0029】また、ラマンスペクトルに互いに区別しなければならない密接した線があれば、近接線を区別するには、または不要の線をぼかすには、個々のフィルタのスペクトル帯域幅を充分狭くしなければならない。 これにより、レーザ源のスペクトル帯域幅に、ラマン線フィルタの帯域幅と少なくとも同じ狭さにしなければならず、かつレーザの波長はドリフトしてはならないという制約が加わる。 この制約により検出能力も減少する。 更に、フィルタは年が経過するにつれてドリフトする可能性がある。 フィルタの帯域幅が1nmであり、かつレーザの波長が800nmから803nmまでドリフトすれば、注目のラマン線がフィルタの帯域外に移動し、測定不能になる。 これらの理由で、現存するフィルタ基準のラマンシステムは、狭い一定の線を備え、かつ高い入力パワーを必要とする、アルゴンイオンのような、ガスレーザを使用することが非常に多い。 固体レーザは、更に広い線幅(>1nm)を有し、しばしば特殊な波長安定化を必要とする。 半導体レーザは、現在のところ低い入力パワーを必要とし、更に広い線幅を生ずる。

    【0030】

    【発明の目的】必要なのは、(1)複数成分ガスの成分の濃度を同時に決定することができ、(2)非常に効率が良く、スペクトルの検査に可能な限り多くの利用可能な全信号を使用し、(3)小さい単一サンプルの単一測定で広いスペクトルの検査が可能であり、(4)存在する可能性のあるガス成分を比較的容易に区別することができ、(5)サンプル容器およびサンプル濃度の選択にかなりな自由があり、(6)システムが、システムの修正を最小限にして、異なる化合物を監視し、識別することができ、(7)低パワー光源および比較的低価格の検出器を使用することができる、ガス監視システムである。

    【0031】本発明は、これらの必要性を満足させる気道ガスのラマン分光装置およびラマン分光方法を提供することを目的とする。

    【0032】

    【発明の概要】前述の必要性は、一実施例において、患者の気道に存在する所定ガス群の少なくとも一つにラマン散乱を促進するよう選択された所定波長λ (所定波長λ=λ は、500≦λ≦850nmの範囲にある)
    の光ビームと、患者の気道からガスを受取って一時的に保持するサンプルセルとを備え、該セルは、ビーム軸に沿って波長λ の光に対して比較的透明であり、サンプルセル内のガスが光ビームにより照明されるように光ビームを受けるように設置されている、本発明により満たされる。 本発明は、また、ビーム入口および波長分散手段を備え、散乱光ビームをビーム入口で受け、分散され受光された光ビームを、この光ビームを各光線が異なる光波長間隔を有する複数の光線に分散する波長分散手段に向ける、分光写真器手段をも提供する。 集光手段も設けられ、サンプルセル内の一つ以上のガスによりラマン散乱を受ける光ビームの部分を集光し、光ビームのこれらの部分を分光写真器手段のビーム入口に向ける。 本発明は、更に光検出器のアレイを備えており、その各々が分光写真器手段からの複数の波長分散光線の一つを受け、その光検出器が受取ったラマン散乱光の量を表す光検出器出力信号を発する。 最後に、本発明は、M個の光検出器(M>試験しようとするガスの数)の各々から光検出器出力信号を受け、このような各光検出器が受取ったラマン散乱光の相対量または絶対量を計算する計算手段を備えている。

    【0033】本発明は、混合ガスの完全なラマンスペクトルを測定してその組成を決定する。 本発明は、存在するすべてのガスについての情報を同時に、単一の小さいサンプル体積から集める。 更に、本発明は、集光、スペクトル分離、および信号処理の技法を組合わせて分光計により集められた光の総量を可能な限り大きくし、ラマンスペクトル全体に含まれている情報を利用して混合物の組成を一層正確に予測する。 気道混合ガス内の新しいガスすなわち付加ガスを、基本分光計、サンプルセル、
    または使用するアルゴリズムの構造を変えずに、検出することができる手段を提供するのも本発明の目的である。

    【0034】本発明は、ガス内での光ビームのラマン散乱により発生される光信号を集める効率の良い手段である。

    【0035】本発明の基本は、次の不可欠の構成要素から構成されている。

    【0036】1. 単色照明光源、たとえば、レーザ: 2. ガス状媒体をサンプルし、かつ収納する手段: 3. 集光光学系: 4. ラマン信号を区別する波長選択フィルタ: 5. 光検出器:および 6. 光検出器信号からガス組成を決定する計算手段:

    【0037】初期の発明者達は、価格の高いことおよび光効率が低いことのため、波長選択フィルタとして格子分光計を使用することを避けてきた。 本発明は、これらの制限を減らす幾つかの新しい考え方および技術を組合わせている。 伝統的に、格子分光計は、化合物の分子構造を観測するのに使用されている。 これらシステムは、
    高分解能について最適化されることが多く、光学的スループット(throughput)が低い−入口スリットが狭く、光学系が「低速」である。 これら分光計は、
    しばしば、その構造またはスペクトルが未知であることが多い広範囲の化合物を観測するように設計されている。

    【0038】対照的に、本発明は、気道ガスのような、
    限られた数の既知化合物の、分子構造ではなく、濃度を測定するのに格子分光計を採用している。 本発明は、これらの差異を活用して、分光計光学系、非伝統的入口スリット、およびダイオードアレイ素子の組合わせを、気道ガス濃度の決定について最適化している。 最適化光学システムは、増倍ラマン散乱光源および最適化データ処理法と更に組合わせて、本発明の一部を成している。 本発明の重要な要素は、1)小さなアパーチャ(aper
    ture)からのラマン散乱光の強度を最適化する手段、2)分光計に対して大きなエテンデュー、および3)濃度を決定する最適化データ処理手段、を使用していることである。

    【0039】

    【実施例】図1に示す好適実施例11は、ガスサンプル14が流れる光導波管13を備えている。 レーザビーム15は、導波管13の長手軸に沿って伝わり、導波管長全体に沿ってラマン散乱を生ずる。 レーザビーム15
    は、導波管13を通して好適に導かれ、導波管の内面からのレーザビームの拡散散乱を可能な限り小さくしているが、これは不可欠なことではない。 レーザビーム15
    を発生するレーザは、He−Neまたはアルゴンイオンのようなガスレーザでよいが、好ましくは波長範囲λ=
    500〜800nmの可視または近赤外光を放射する固体レーザダイオードである。 導波管13の一実施例は、
    Carlsen等による「Systemfor Col
    lecting Weekly Scattered
    Electromagnetic Radiation
    (弱く散乱した電磁放射線を集めるシステム)」と題する米国特許出願明細書に述べられている。 導波管13の好適実施例は、その内面が注目のラマンシフト波長で実質上完全に反射性の、たとえば長さが約100mmで内径が1mmと2mmとの間にある銀めっき面の円筒管である。 この様式で、相互作用の有効長(方程式(2)のdz)は、実質的に増大し、これにより全ラマン信号が増大する。 他の好適実施例では、レーザビームは、導波管13により囲まれている光学的共振空洞内を伝播する。

    【0040】散乱光は、導波管または管13で捕らえられ、導波管の両端から中実(solid)光ファイバから放射される光と同じようにして放射される。 管13の小さな直径は、ラマン光16を集光光学系により結像させるための小さなアパーチャとなる。 集光光学系は、好適には、その焦点が導波管のアパーチャの近くにあり、
    かつf数が約1に等しいアパーチャを有するレンズ17
    を備えている。 レンズ17は、ラマン光のビームを実質的に平行光線にし、レーザビーム15の波長のどんな散乱放射線をも阻止するレーザ線排除フィルタ19を通して導く。 第2のレンズ21は、これも集光光学系の一部であるが、ラマン光16を分光計25の入口スリット2
    3を通して結像する。 分光計光学系は、分光計スリット23の位置に、鋭いスリットパターンを発生する他の要素を備えることもできる。 好適な実施例は、分光計25
    の入口に、唯一のスリット23を備えている。 しかし、
    異なる幅および間隔を有する複数のスリットを使用して、分光計25の内部の照明を増大することもできる。

    【0041】分光計25は、好適に回折格子分光計27
    を備えている。 スリット23からのラマン散乱光は、凹回折格子27に導かれるが、この格子は、好適には、注目の波数範囲(レーザビームの波数から約200cm
    −1ないし3300cm −1シフトしている)で高効率回折を生ずるホログラフ素子またはレプリカである。 ラマン光を分散したり結像したりするのにホログラフ格子のレプリカまたはマスタを使用すれば、システムの価格およびシステムの部品数が減るが、非常に良好な性能を発揮する。 格子27は、混合ガスからのすべてのスペクトル線からラマンシフトしたすべての周波数を含んでいるラマンシフト光28を、光センサアレイ29の諸素子にわたって分散する。

    【0042】光センサアレイ29は、好適には、約25
    6個の素子からなるシリコンフォトダイオードアレイであるが、それより大きいまたは小さいピンフォトダイオードアレイ、またはCCDアレイとすることができる。
    アレイ29の各素子は、一つの狭い波長帯域の光に対応する。 したがって、光センサアレイ29は、混合物からのラマン散乱のスペクトル全体を同時に測定する。 アレイ29の各素子に入射する光の量は、その波長帯域のラマン散乱の量に比例し、ガス14の相対または絶対濃度を決定する計算手段30により受取られる。

    【0043】混合ガスの組成は、個々のガスのスペクトルの総和を表す測定スペクトルに各ガス成分の濃度で重み付けしたものを解析することにより、求めることができる。 図解の目的で、ガスN OおよびCO のラマン散乱スペクトルを、それぞれ、図2および図3に、ストークス波に対して0cm −1 ≦Δν′≦3000cm
    −1の範囲にわたり、波数シフトΔν′=ν ′−
    ν ′の関数として示してある。 注目する各ガスは、1
    本または数本の顕著なスペクトル線を備えていることがあり、一方のガスの顕著な線は、他方のガスの顕著な線に隣接していることがある。 注目される他の気道ガスとしては、N 、O 、SF 、ハロタン(CF −CH
    ClBr)、エンフルラン(CHClF−CF −O−
    CHF )、イソフルラン(CF −CHCl−O−C
    HF )、デスフルラン(CF −CHF−O−CHF
    )、セボフルラン(CH(CF O−CH
    F)、メトキシルフルラン(CH −O−CF −C
    HCl )、エタノール(C OH)、イソプロパノール(C OH)、エーテル、シクロプロパン、
    アセトン(O=C(CH )、および水蒸気がある。

    【0044】光センサアレイ29は、実質的に成分ガスの数より多い素子を備えているので、濃度を決定する情報には余剰がある。 決定される解の数は、過剰である。
    数学的には、方程式Ac=bの系にとって最適の解ベクトルcを探す。 ここでAは各個別ガスのスペクトルを表す基礎関数の設計行列であり、cは混合物内の各ガスの未知濃度を表すベクトルであり、bはダイオードアレイからの測定スペクトルを表すベクトルである。 方程式A
    c=bの線形系におけるベクトル成分bは、その値が気道ガスラマン散乱スペクトルの実験測定で決まる強制関数として働く。 この問題を解いて濃度成分を見出す望ましい方法は、行列Aの特異値分解(Singular
    Value Decomposition)(「SV
    D」)を行い、疑似逆行列A を求めることである。 ただしc=A bである。 疑似逆行列を求めるのにこの手法を使用すれば、一つの解は、A =(A tr A) −1
    Aである。 ここでA trは、行列Aの転置行列であり、
    これは必ずしも正方行列ではない。 代わりに、最小二乗(least squares)特異値分解(「SV
    D」)法を使用して、疑似逆行列A を作ることができる。

    【0045】行列Aの最小二乗SVD疑似逆行列の構築については、G. Strang著「Linear Al
    gebra And Its Application
    s」, Academic Press, 1980,
    pp. 137〜145に説明されている。 m×n行列Aについて、方程式Ac=bは、スペクトル測定の数(m)が、その各々がこのようなすべての測定値によりつながっているベクトル空間で線形的に独立なスペクトル測定に対応すると仮定されている明確な分子の仮定数(n)よりしばしば多いので、過剰決定方程式系となることがある。 解c= を最適に選択すると、誤差ベクトルの長さ‖A −b‖が最小になり、解の一つの形は、
    =(A tr A) −1tr bである。 これは、強制関数ベクトルbを、行列Aの列ベクトルでつながれているサブベクトル空間に突出させる。 用語「特異値分解」とは、行列Aを数3で示す形に分解することを言う。

    【0046】

    【数3】A=Q ΣQ (3)

    【0047】ここで、Q およびQ は、それぞれm×
    mおよびn×n直交行列であり、Σは、一連の正の対角エントリの後に一連の0値対角エントリが続いているものを有するm×n対角行列である。 行列Σの対角エントリを、A tr Aに適用された固有値問題を解くことにより求め、次いで行列Q およびQ を、グラム−シュミット(Gram−Schmidt)の正規直交化法によって求める。 SVDのプロセスは既知であるが、これをスペクトル測定対濃度問題に適用することは新規であると思われる。

    【0048】この実施例の長所には、以下のことが挙げられる。

    【0049】1. 混合ガスの成分のすべての濃度が一度に、同じガスサンプルから決定される。

    【0050】2. サンプル体積を極めて小さくできる可能性があり、その体積は、導波管、共振空洞、または共焦点空洞で決まる。

    【0051】3. システムは、少数の部品で、かつ動く部分が無い−一組の結像光学系、一つの回折格子、および一つのフォトダイオードアレイから成る。

    【0052】4. 導波管または空洞のアパーチャは、小さく、かつ複数のスリットを使用することにより分光計の照明が増大する。

    【0053】5. 混合物のスペクトル全体を測定するので、全光信号が増大し、信号とノイズの比が良くなり、
    余分の情報が得られて濃度の計算が一層正確になる。

    【0054】6. 解法に使用するアルゴリズムは健全であり、また成分の混合体を表し、しかも幾らかのノイズや他の背景信号を含んでいることさえある基礎関数から疑似逆行列を構築することができる。

    【0055】図4に示す他の実施例31は、上述と同じ集光光学系17および格子分光計27を使用しているが、導波管(図1の13)を第1の放物面鏡17の焦点に設置された小さなサンプルセル33で置き換えている。 レーザビーム34は、分光器25と集光光学系17
    との平面に垂直な方向にサンプルセル33を通過するが、レーザビーム34の偏光方向は、放物面鏡の中心と焦点とを結ぶ線に垂直である。 サンプルセル33の二つの対向端は、図4に示すように、レーザ39の光学共振空洞の一部を形成するミラー35および37とすることができる。

    【0056】サンプルセルの二つの対向端は、図5に示すように、レーザビームが小さな焦点領域を通して複数の反射を行う非共振空洞41の一部を形成するミラーとすることもできる。 これら実施例は、図4に示す実施例の長所をすべて備えているが、相互作用長が長くなっていること、および分光計のスリットに正確に結像する潜在的に狭い直線状の散乱領域を備えていることが異なる。 また、この構成は、分光計に入る不要な散乱光の量を減らすことができる。

    【0057】上記実施例は、いずれも分光計への入口に、複数のスリットを使用することができる。 複数のスリットは、ダイオードアレイ上に、複数のスペクトル像を出現させる。 この像は、実質上同一であるが、アレイ上で、スリットの間隔で決まる距離だけ平行に移動している。 像は、アレイ上で共に加え合わされた新しい混合信号を生ずる。 たとえば、スペクトルに1本のラマン線があれば、二つのスリットが、検出器アレイ上に、離れた二つの線像を生ずる。 これら「複数スリットスペクトル」は、やはり独特であるから、それらは、各ガス成分を記述する有用な基礎関数である。 SVDおよび疑似逆行列を、これら新しい複数スリット基礎関数について、
    決定することができ、存在するサンプルガスの濃度を計算するのに使用することができる。 この手法の一つの長所は、複数のスリットが分光計に一層多量の光を導き、
    これによりシステムの光学的効率が増大するということである。 使用し得るスリットの最大数は、分光計の分解能およびスペクトル線のパターンによって決まる。 異なる幅のスリットを組合わせることができ、スリット間の間隔を可変にすることができる。

    【0058】図6に示す他の実施例は、格子分光計25
    を光センサアレイ53の上に置くか、または隣接して設置された可変波長フィルタ(「VWF」)51で置き換えている。 集光光学系17は、ラマン散乱光を波長分散および検知のためVWFと光センサアレイとの結合体に導く。 VWFは、Kent Vincentによる米国特許出願明細書(U.S.S.N.07/480,17
    2)に開示されている。 VWF51は、フィルタの狭い通過帯域の中心波長がVWFの長さに沿って直線的にまたは厳密に単調に変わるように構成されている。 光センサアレイの各素子は、透過光または反射光がVWF51
    から発する位置によって決まる狭い帯域の波長だけを検出する。 このようなVWFは、現在、中心波長の約0.
    5〜1.0%の帯域通過間隔で作ることができる。 VW
    F51は、図4に示したようにタンデムに設置された、
    狭帯域波長フィルタ51aおよび広帯域波長フィルタ5
    1bを備えることができる。 狭帯域フィルタ51aによりこのフィルタの或る点で発生される(透過されるまたは反射される)光波長群は、2nmもの狭さで、極めて狭く、この通過帯域の中心周波数は、点の位置がフィルタに沿って所定の座標方向(x)に変位するにつれて、
    連続的にまたは不連続的に、単調に増加する。 広帯域フィルタ51bは、このフィルタのどんな点においても幾分広い波長通過帯域を備えている。 この広帯域フィルタの中心周波数は、狭帯域フィルタ51aの中心周波数と、これら二つのフィルタに対して対応するどんな座標xにおいても、ほぼ一致する。 広帯域フィルタの通過帯域は、狭帯域フィルタ51aが不要の側波帯放射を明示するすべての光波長を遮断するので、狭帯域光フィルタ51aと広帯域光フィルタ51bとの結合体は、側波帯放射の無い狭波長帯域の光を発生し、この狭帯域の中心周波数は、座標xの増加と共に単調に増大(または減少)する。

    【0059】前述の実施例においては、図1に示すサンプルセルまたは導波管13は、その内面または外面をラマン散乱光を反射し、分散光を導波管に沿って伝える高い反射性の材料で被覆した長い円筒導波管として図示してある。 図7に示す他の実施例61では、円筒管63が今回もその内面または外面を高反射材料65で被覆されているが、管63の長さの中心に近い位置に小さなアパーチャ67がこの材料に形成されている。 ラマン散乱光は、導波管63の内部から放射され、この放射は、図1
    に示すように、集光光学系、分光計、および光センサアレイにより受取られ、分析される。 導波管63の受光面の残りは、アパーチャ67を除いて、散乱波長λ=λ
    で高度に反射性であるから、図7に示す導波管構成は、
    長手軸LL′の上または隣りで放射された散乱光を、管壁から反射した後、軸LL′に近い領域に繰返し戻すことになる。 これは、光が反射管内を軸に沿って進行する狭い光ビームと一致する相互作用領域から散乱するとき常に行われる。 管軸に近い領域にはすべて、管軸に沿ってまたは隣り合っている光散乱領域の複数の像が入っている。 アパーチャ67を通してこの領域から集められた光ビームは、反射導波管または被覆65が無いところでは、管軸に沿う一点から放射される光より強度が大きい。 アパーチャ67から究極的に放射される光は:
    (1)管軸に隣接しているおよび管軸に沿う領域から散乱される光の直接像、(2)これら直接像の、アパーチャ67に対向する管壁からの反射、および(3)管軸の全長に沿う複数の反射の像からの光、を含んでいる。 導波管63の結像特性は、導波管内を進行する光ビームの最大直径を、導波管の内径に対して、可能な限り小さくすれば改善される。

    【0060】図7に示すアパーチャ67は、アパーチャ領域の反射被覆65を除去するか、または始めから施さないかすることにより形成される。 アパーチャ自身はどんな形状にすることもできるが、アパーチャから放射される光を円形集光光学系で続いて集めるには、円形または楕円形であることが望ましい。 アパーチャの形状および大きさは、外部光学系の要求事項により好適に決定される。 集光光学系を使用する場合には、アパーチャの直径d アパーチャを、d /2<d アパーチャ <d の関係を満足するように、選択することができる。 ただし、
    は、管の内径である。 性能を改善するには、アパーチャ67を、管軸の中心またはそれに隣接して設け、管の長さLを、L/d >20を満足するようにすべきである。

    【0061】図8は、本発明のこの代わりの実施例の、
    小さいアパーチャ67をその中に備えた管63の使用法を示している。 アパーチャ67から発せられた光ビーム69は、集光光学系70により集められ、図1に示すように構成され、かつ動作する分光計25の入口スリット23に焦点を結ぶ。 ビームが分光計入口スリット23を通過してからの光ビーム69の処理は、図1に示す分光計25に関連して説明したように行われる。

    【0062】図9に示す他の実施例71では、図7の小さい一つのアパーチャ67は、導波管73の上の半径方向帯状アパーチャ77で置き換えられており、そこからラマン散乱光ビーム79が放射される。 集光光学系は、
    管73を好適に囲んでおり、半径方向帯状アパーチャ7
    7から放射される実質上すべての光ビーム79を集める。 光ビーム79の処理は、図8の光ビーム69の処理と同じである。

    【0063】図10に示す他の実施例81では、図7の小さいアパーチャ67が、導波管83の上の長手方向を向く狭いアパーチャ87で置き換えられており、そこからラマン散乱光ビーム89が放射される。 集光光学系は、管83を好適に囲んでおり、長手方向アパーチャ8
    7から放射される実質上すべての光ビーム89を集める。 光ビーム89の以後の処理は、図8の光ビーム69
    の処理と同じである。

    【0064】

    【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
    (1)複数成分ガスの成分の濃度を同時に、同一サンプルから決定することができ、(2)非常に効率が良く、
    (3)小さい単一サンプルの単一測定で広いスペクトルの検査が可能であり、(4)存在する可能性のあるガス成分を比較的容易に区別することができ、(5)サンプル容器およびサンプル濃度の選択にかなりな自由があり、(6)システムが、システムの修正を最小限にして、異なる化合物を監視し、識別することができ、
    (7)低パワー光源および比較的低価格の検出器を使用することができる等の効果を奏することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の一実施例を示す説明図である。

    【図2】患者の気道に存在するN Oに近似させたN
    Oのラマン散乱スペクトルを示すグラフである。

    【図3】患者の気道に存在するCO に近似させたCO
    のラマン散乱スペクトルを示すグラフである。

    【図4】本発明の他の実施例におけるサンプルセル内のガスサンプルに対する照射装置を示す図である。

    【図5】本発明の更に他の実施例におけるサンプルセル内のガスサンプルに対する照射装置を示す図である。

    【図6】本発明の種々の波長フィルターの使用態様を示す図である。

    【図7】本発明の更に他の実施例における管状サンプルセルに設けられたアパーチャを示す図である。

    【図8】図7における管状サンプルセルの使用法を示す図である。

    【図9】本発明の更に他の実施例における管状サンプルセルに設けられた半径方向帯状アパーチャを示す図である。

    【図10】図9に示す帯状アパーチャが長手方向に設けられている実施例を示す図である。

    【符号の説明】

    11 ラマン分光装置 13 光導波管 14 ガスサンプル 15 レーザビーム 16 ラマン光 17,21 レンズ 19 レーザ線排除フィルタ 23 入口スリット 25 分光計 27 回折格子分光計 28 ラマンシフト光 29 光センサアレイ 30 計算手段

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジェフリー ペリー アメリカ合衆国カリフォルニア州カペルチ ノ アドリアナ アベニュー 10182 (72)発明者 ジョージ ダブリュー ホプキンズ セカ ンド アメリカ合衆国カリフォルニア州サニーベ イル キャッスルロック テラス 521 エス (72)発明者 ダミアン エフ グレイ アメリカ合衆国カリフォルニア州マウンテ ン ビューラザム ストリート 1590

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