【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＷＹＳＩＷＹＧ(W
hat You See Is What You Get)の実現技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】情報処理装置にインストールされたフォントをディスプレイ上に再現する場合にはスクリーンフォントが用いられる。 一方、プリンタ等の他のデバイスに再現する場合には、そのデバイスに内蔵されたデバイスフォントが用いられる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、ディスプレイ上の画面表示とプリンタからの出力とに同じフォントファイルが使用されている訳でないため、ディスプレイ上の表示文字が必ずしも同じ字体でプリンタから出力されるとは限らない。 したがって、実際にプリンタから出力させてみないと、ユーザには、その出力結果が判らない。 そこで、画面上の表示文字を必ず同じ字体でプリントアウトすることができるシステム、いわゆるＷＹＳＩ
ＷＹＧ(What You See Is What You Get)の実現が望まれている。

【０００４】そこで、本発明は、ネットワーク上のプリンタの内蔵フォントを取得することができる情報処理装置を提供することを目的とする。 また、情報処理装置から要求された内蔵フォントを送出することができるプリンタを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、アプリケーションデータが表す文字を、
アプリケーション指定のフォントでディスプレイ上に表示させる情報処理装置であって、前記ディスプレイ上の表示文字の字体を表すフォントデータとフォント名とを対応付けて記憶するための記憶手段と、フォント名を含むフォント転送要求を発行し、当該フォント転送要求の発行先から転送されたフォントデータを取得するフォント取得手段と、前記フォント取得手段が取得したフォントデータを、当該フォントデータの取得に際して用いたフォント名に対応付けて、前記記憶手段に格納するフォント登録手段とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。

【０００６】さらに、本発明は、情報処理装置からの転送データが表す文字を内蔵フォントで印刷するプリンタであって、前記印刷文字の字体を表すフォントデータとフォント名とを対応付けて記憶した記憶手段と、フォント名を含むフォント転送要求を前記情報処理装置から受け付け、当該フォント転送要求に含まれているフォント名に対応するフォントデータを前記記憶手段から取り出し、当該フォントデータを当該フォント転送要求の発行元に転送するフォント送信手段とを備えることを特徴とするプリンタを提供する。

【０００７】本発明に係る情報処理装置によれば、外部にフォント転送要求を発信し、その要求に対する応答としてフォントデータを受け付け、これをフォント管理テーブルに登録することができる。 一方、本発明に係るプリンタによれば、外部からの登録フォント転送要求を受け付け、その発信元に、内蔵フォントのうちの該当フォントを送出することができる。 したがって、これらの情報処理装置およびプリンタとを接続すれば、ＷＹＳＩＷ
ＹＧ(What You See Is What You Get)が達成される。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る実施の一形態について説明する。

【０００９】最初に、本実施の形態に係るネットワークシステムの構成について説明する。

【００１０】図１に示すように、複数(ここでは２台)の情報処理装置１０Ａ,１０Ｂ内蔵のネットワークカードに接続されたケーブル１５、および、プリンタ１２内蔵のネットワークカードに接続されたケーブル１５が、それぞれ、ハブ１１に接続されている。

【００１１】プリンタ１２は、図２(ａ)に示すように、
ＴＣＰ／ＩＰプロトコルを実現するための機能が搭載された前述のネットワークカード２０の他、情報処理装置１０Ａ,１０Ｂからのアプリケーションデータが表す画像を記録紙上に記録する印刷機構２１(例えば、記録ヘッド、記録紙搬送機構等)、記録ヘッドの駆動回路へのデータ入力を制御するビデオインタフェース回路等が搭載された出力インタフェースカード２２、プリンタ全体を制御するコントローラ２３等を備えている。 そして、
コントローラ２３は、図２(ｂ)に示すように、ＣＰＵ２
４、ＲＡＭ２５、後述のデータ転送処理が定義されたプログラム等が格納されているＲＯＭ２６、印刷文字の字体を表すフォントデータが格納されたフォントＲＯＭ２
７、画像メモリ２８、各メモリからのデータ読出し等を制御するメモリコントローラ２９等をバスで接続することによって構成されている。

【００１２】プリンタ１２のコントローラ２３は、このようなハードウエア構成によって、印刷機構の制御処理の他、後述のデータ転送処理を実行する。 そのための機能構成のうち、後述のデータ転送処理を実行するための機能構成だけを図３(ａ)に示す。 具体的には、コントローラ２３は、後述のデータ転送処理を実行するための機能構成として、(１)ネットワーク上から受信したパケットを復号化し、コマンド等を取り出すインターフェースマネージャー３６、(２)インターフェースマネージャー３６から受け付けたコマンドによってフォント転送を実現するコマンド解釈部３０、(３)プリンタフォントのフォントファイルが格納されたフォントデータ記憶部３
２、(４)コマンド解釈部３０の指示にしたがってフォントファイルにアクセスするフォントデータ管理部３１を有している。 なお、プリンタフォントのフォントファイルには、プリンタフォント名を含むヘッダ情報、印刷文字の文字コードおよびそのフォントデータが登録された文字情報テーブル等が格納されている。

【００１３】一方、情報処理装置１０Ａ,１０Ｂは、図４に示すように、前述のネットワークカード４０の他、
キーボード等の入力装置(不図示)、ＣＲＴ１４Ａ,１４
Ｂへのデータ出力を制御するディスプレイコントローラ４２、後述のデータ取得処理が定義された通信プログラムやフォントデータ等が格納されているハードディスク４３、ハードディスクからのデータ読出しおよびハードディスクへのデータ書込みを制御するディスクコントローラ４４、ＣＰＵ４５、ＲＡＭ４１、ＲＯＭ４６、各メモリからのデータ読出し等を制御するメモリコントローラ(不図示)、フロッピディスク等の記憶媒体を取り付けるためのディスクドライブ(不図示)等を備えている。

【００１４】各情報処理装置１０Ａ,１０Ｂは、このようなハードウエア構成によって、文書作成処理等の他、
後述のデータ取得処理を実行する。 そのための機能構成のうち、後述のデータ取得処理を実行するための機能構成だけを図３(ｂ)に示す。

【００１５】具体的には、各情報処理装置１０Ａ,１０
Ｂは、後述のデータ取得処理を実行するための機能構成として、(１)ネットワーク上から受信したパケットを復号化し、コマンド等を取り出すインターフェースマネージャー３７、(２)インターフェースマネージャー３７から受け付けたコマンドによってフォント転送を実現するコマンド解釈部３３、(３)各フォントごとの文字情報ファイルと、それらの文字情報ファイルを管理するためのフォント管理テーブルとが格納されたフォントデータ記憶部３５、(４)コマンド解釈部３３の指示にしたがってフォントファイルへのアクセス等を行うフォントデータ管理部３４を有している。 なお、各フォントの文字情報ファイルには、それぞれ、各印刷文字の文字コードおよびそのフォントデータ等が登録された文字情報テーブルが格納されており、フォント管理テーブルには、各フォントごとに、フォント名等を含むヘッダ情報と、文字情報ファイル名とがそれぞれ登録されている。 したがって、図５に示したように、各フォントのヘッダ情報は、
それぞれ、そのフォントの文字情報ファイルに対応付けられる。

【００１６】つぎに、図６により、情報処理装置１０
Ａ,１０Ｂが実行するデータ取得処理について説明する。 ただし、各情報処理装置１０Ａ,１０Ｂには、すでに、プリンタ１２のネットワークカードのアドレスが登録されているものとする。

【００１７】情報処理装置(ここでは、１０Ａとする)
は、起動時等に、ネットワーク上の起動されている全機器を認識した後、登録済みのネットワークカードアドレスを検索し(Ｓ５０)、それらのアドレス宛にコネクション要求コマンドを送信し、このコネクション要求コマンドに対するレスポンスがなければ、そのまま処理を終了する(Ｓ５１)。 一方、プリンタ１２からレスポンスがあったら、以下の処理Ｓ５２〜Ｓ５６を実行する。

【００１８】情報処理装置１０Ａのコマンド解釈部３３
およびインターフェースマネージャー３７は、ヘッダ転送要求コマンドを含むパケットを、インターフェースカード４０を介してプリンタ１２に送信する(Ｓ５２)。 この伝送パケットを受け付けたプリンタ１２は、後述のデータ転送処理を実行することにより、プリンタフォントのヘッダ情報を含むデータパケットをコマンド送信元の情報処理装置１０Ａに送信する。

【００１９】この伝送パケットを受信した情報処理装置１０Ａでは、インターフェースマネージャー３が、そのパケットからヘッダ情報(以下、受信ヘッダ情報と呼ぶ)
を取り出す。 コマンド解釈部３３は、受信ヘッダ情報と同じヘッダ情報を含んでいるフォントファイルの検索をフォントデータ管理部３４に指示する(Ｓ５３)。 フォントデータ記憶部３５のフォントファイルのなかに該当フォントファイルが見つからなければ、コマンド解釈部３
３は、受信ヘッダ情報を含んでいるフォントファイルが必要なものと判断し(Ｓ５４)、フォント転送要求コマンドを発行する。 インターフェースマネージャー３６は、
このフォント転送要求コマンドを含むパケットを組み立て、これを、インターフェースカード４０を介してプリンタ１２に送信する(Ｓ５５)。 一方、フォントデータ記憶部３５のフォントファイルのなかに該当フォントファイルが見つかれば、コマンド解釈部３３は、受信ヘッダ情報を含んでいるフォントファイルが不要なものと判断し(Ｓ５４)、プリンタ１２との間に確立されたコネクションをクローズする。

【００２０】さて、フォント転送要求コマンドを受け付けたプリンタ１２は、後述のデータ転送処理を実行することにより、文字情報テーブルまたは転送拒否コマンドを含むパケットをコマンド送信元の情報処理装置１０Ａ
に送信する。 この伝送パケットを受信した情報処理装置１０Ａでは、インターフェースマネージャー３７が、そのパケットからデータを取り出す(Ｓ５６)。 コマンド解釈部３３は、それが転送拒否コマンドであれば(Ｓ５
７)、プリンタ１２との間に確立されたコネクションをクローズする。 一方、そのデータに文字情報テーブル
(以下、受信文字情報テーブル)が含まれていたら、コマンド解釈部３３は、その受信文字情報テーブルの書込み処理をフォントデータ管理部３４に指示する(Ｓ５７)。
この指示にしたがい、フォントデータ管理部３４は、受信文字情報テーブルを文字情報ファイルとしてフォントデータ記憶部３５に格納すると共に、この文字情報ファイル名を受信ヘッダ情報に対応付けてフォント管理テーブルに登録する(Ｓ５８)。

【００２１】つぎに、図７により、情報処理装置からの伝送パケットを受信したプリンタ１２のコントローラ２
３が実行するデータ転送処理について説明する。

【００２２】プリンタ１２のインターフェースマネージャー３６は、インターフェースカード２０が受信した伝送パケットを復号化し、そのパケットに含まれていたコマンドを取り出す(Ｓ７０)。 そして、コマンド解釈部３
０は、そのコマンドがヘッダ転送要求コマンドか否かを判断する(Ｓ７１)。 その結果、そのコマンドがヘッダ転送要求コマンドであると判断すれば、コマンド解釈部３
０は、フォントデータ記憶部３２からのヘッダ情報読出し処理をフォントデータ管理部３１に指示する。 この指示に応じて、フォントデータ管理部３１は、フォントデータ記憶部３２に格納されているフォントファイルをオープンし、それに含まれているヘッダ情報を読みだす
(Ｓ５２)。 そして、インターフェースマネージャー３６
は、このヘッダ情報を含むデータパケットを組み立てて、そのデータパケットをヘッダ転送要求コマンド送信元アドレスに送信する(Ｓ７３)。

【００２３】一方、情報処理装置からのコマンドがフォント要求コマンドでないと判断すれば、さらに、そのコマンドがフォント要求コマンドか否かを判断する(Ｓ７
４)。 その結果、そのコマンドがフォント要求コマンドであると判断すれば、コマンド解釈部３０は、フォントデータ記憶部３２からのフォントファイル読出し処理をフォントデータ管理部３１に指示する。 この指示に応じて、フォントデータ管理部３１は、フォントデータ記憶部３２に格納されているフォントファイルから文字情報テーブルを読みだす(Ｓ７５)。 そして、文字情報テーブルが読み出されたら、インターフェースマネージャー３
６は、その文字情報テーブルを含むデータパケットを組み立てて、これを、インターフェースカード２０を介してフォント要求コマンド元アドレスに送信する。 ただし、ライセンス設定等によって文字情報テーブルの読出しが不可能であった場合には、転送拒否コマンドをコマンド送信元アドレスに返信する(Ｓ７６)。

【００２４】以上説明した情報処理装置のフォント取得処理およびプリンタのフォント転送処理によって、情報処理装置にプリンタの内蔵フォントがアップロードされるため、ＷＹＳＩＷＹＧが高速に達成される。

【００２５】

【発明の効果】本発明によれば、プリンタの内蔵フォントを情報処理装置が取得することができるため、ＷＹＳ
ＩＷＹＧが達成される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態に係るネットワークシステムの概略構成を示した図である。

【図２】(ａ)は、本発明の実施の一形態に係るプリンタの概略構成を示した図であり、(ｂ)は、そのコントローラのハードウエア構成を示した図である。

【図３】(ａ)は、プリンタのデータ転送処理を実現するための機能構成を示した図であり、(ｂ)は、情報処理装置のデータ取得処理を実現するための機能構成を示した図である。

【図４】本発明の実施の一形態に係る情報処理装置のハードウエア構成を示した図である。

【図５】本発明の実施の一形態に係る情報処理装置のフォント管理における、文字情報ファイルとヘッダ情報との対応関係を概念的に示した図である。

【図６】本発明の実施の一形態に係る情報処理装置によるデータ取得処理のフローチャートである。

【図７】本発明の実施の一形態に係るプリンタによるデータ転送処理のフローチャートである。

【符号の説明】

１０Ａ,１０Ｂ：情報処理装置 １１：ハブ １２：プリンタ １４Ａ,１４Ｂ：ＣＲＴ １５：ケーブル ２０：ネットワークカード ２１：印刷機構 ２２：出力インタフェースカード ２３：コントローラ ２４：ＣＰＵ ２５：ＲＡＭ ２６：ＲＯＭ ２７：フォントＲＯＭ ２８：画像メモリ ２９：メモリコントローラ ３０：コマンド解釈部 ３１：フォントデータ管理部 ３２：フォントデータ記憶部 ３３：コマンド解釈部 ３４：フォントデータ管理部 ３５：フォントデータ記憶部 ４０：ネットワークカード ４１：ＲＡＭ ４２：ディスプレイコントローラ ４３：ハードディスク ４４：ディスクコントローラ ４５：ＣＰＵ ４６：ＲＯＭ

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