【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ソフトウェアの販売方式に関し、特に汎用アプリケーションソフトウェアのユーザへの配付と課金の方式に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、汎用アプリケーションソフトウェアは、フロッピーディスクやＣＤ−ＲＯＭ等の記憶媒体に収録され、問屋や小売店等を経由し、店頭での記憶媒体の受け渡し時に代金と引き換えるという形で、ソフトウェアのライセンスをユーザに販売していた。

【０００３】また、例えば特開平４−１２７３９７号公報の従来技術の欄には、アプリケーションソフトウェアの収録された媒体を流通する代わりに、アプリケーションソフトウェアをネットワークを通じてソフトウェア販売機に伝送し、このソフトウェア販売機でアプリケーションソフトウェアを記憶媒体に収録してユーザに販売するソフトウェア販売システムが記載されている。

【０００４】このように、従来の汎用アプリケーションソフトウェアの配付及び課金のシステムにおいては、ユーザ自らが、ソフトウェアライセンスを事前に購入し、
ローカルコンピュータにインストールし、ローカルコンピュータ上でアプリケーションソフトウェアの変更・アップデートに対応した管理・保守作業を行う必要がある。 また、上記特開平４−１２７３９７号公報記載のソフトウェア販売システムにおいても、ユーザが得ることができるのはソフトウェアの収録された媒体であり、ユーザ自らが、ソフトウェアライセンスを事前に購入し、
インストールや管理・保守作業を行う必要があることには変わりがない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のアプリケーションソフトウェアの配付及び課金のシステムにおいては、ユーザがアプリケーションソフトウェアの各種の機能を実際に使おうとする時点より相当前の時期にアプリケーションソフトウェアを購入し、ローカルコンピュータに事前にインストール及びセットアップしておく必要があるため、ユーザはソフトウェアを購入する時点では実際に利用するかどうかわからない機能も含む、例えばワードプロセッサやドローイングソフトウェアといった、非常に多種多様な機能を含んだ大きな汎用アプリケーションソフトウェアの単位でライセンスを購入する必要がある。

【０００６】また、このように大きなソフトウェアの単位で汎用アプリケーションソフトウェアが販売されているため、ユーザが利用しない機能のプログラムがローカルコンピュータの記憶媒体を無駄に長期間占有してしまうという問題がある。

【０００７】更に、汎用アプリケーションソフトウェアのある機能を利用する以前に、ローカルコンピュータ上にこの機能を含んだソフトウェアのインストール及びセットアップが完了している必要があるため、ローカルコンピュータの記憶媒体上の汎用アプリケーションソフトウェアをユーザ自身で保守・管理する必要があり、例えば汎用アプリケーションソフトウェアの変更やアップデートがあった場合には、ユーザは、その都度アップデートされた汎用アプリケーションソフトウェアを入手し、
自ら保守作業を行う必要があり、ユーザへの負担は大きなものである。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、汎用アプリケーションソフトウェアのある機能を必要とするユーザが、この機能が必要になった時点で、必要最低限の機能のみ、必要とする機能に見合った最小限の金額で購入し利用することのできるシステムを提供することを目的とする。

【０００９】また、本発明の他の目的は、ローカルコンピュータにおいて、ユーザが記憶媒体に汎用アプリケーションソフトウェアをインストール、保守、及び管理するための工数を大幅に削減することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、汎用アプリケーションソフトウェアの購入者が該汎用アプリケーションソフトウェアを利用するまで、該汎用アプリケーションソフトウェアの開発又は販売者がサーバコンピュータ上で該汎用アプリケーションソフトウェアの管理及び保守を行い、ネットワークを通じて、購入者が所望する汎用アプリケーションソフトウェアのうちの所望の機能のみを購入可能としたことを特徴とする汎用アプリケーションの配付方式を提供する。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明に係る汎用アプリケーションの配付と課金の方式によれば、販売される汎用アプリケーションを、開発者又は販売者側がサーバコンピュータ（図１の１０１）上で管理・保守を行い、購入者は、
ネットワーク（図１の１０６）を通じて汎用アプリケーションを転送し、ローカルコンピュータ（図１の１０
７）上で利用することができる。

【００１２】汎用アプリケーションソフトウェア（以下「汎用アプリケーション」という）は、サーバコンピュータ上において小さな機能単位（図１の１０３）に分割されて記憶されており、購入者は、自分の必要とする機能のみサーバコンピュータ（図１の１０１）から転送を受け、利用することができる。

【００１３】サーバコンピュータは、購入者を認証し、
購入者が実際に利用した機能に応じた料金を課金する手段（図１の１０４）を有する。

【００１４】本発明の実施の形態によれば、汎用アプリケーションの購入者は、自分の利用する汎用アプリケーションを保守管理する必要が全くなくなると共に、自分の必要とする最低限の機能を適切な価格で、必要となった時点で購入して利用することが可能となる。

【００１５】

【実施例】次に、本発明の実施の形態を更に詳細にすべく、本発明の実施の形態の実施例について図面を参照して詳細に説明する。 図１は、本発明の実施例の構成を説明するための図である。

【００１６】図１を参照して、本発明の実施例は、サーバコンピュータ１０１と、ネットワーク１０６と、複数のローカルコンピュータ１０７と、から構成されている。 なお、図１においては、作図上の都合により、一のローカルコンピュータ１０７のみが図示されている。

【００１７】サーバコンピュータ１０１は、記憶装置１
０２を備え、更にネットワーク１０６を介してローカルコンピュータ１０７と接続されている。

【００１８】サーバコンピュータ１０１には、ローカルコンピュータ１０７との間で、プログラム、データ、及びコマンド等を交換するための通信処理手段１０５と、
ローカルコンピュータ１０７より送付されたソフトウェア購入者（ユーザ）１１２を特定するための情報（例えばＩＤ及びパスワード等）と予め記憶装置等に記憶されたソフトウェア購入者１１２に関する情報とを照合する認証・課金手段１０４と、が備えられており、複数のローカルコンピュータ１０７からの要求に対して、汎用アプリケーションの機能を要求するソフトウェア購入者１
１２を特定し、ソフトウェア購入者１１２からの要求によって転送した機能ｘ（１１１）に対する課金情報を記憶装置１０２に記録する。

【００１９】また、サーバコンピュータ１０１には、ソフトウェア購入者１１２に販売する小さな機能単位に分割された汎用アプリケーションの機能１、２、…、ｎ
（１０３）が備えられている。 なお、これら機能ごとのアプリケーションプログラムは、例えば記憶装置１０２
や、サーバコンピュータ１０１内の記憶装置等、サーバコンピュータ１０１がアクセス可能な部分に蓄えられている。

【００２０】ローカルコンピュータ１０７は、サーバコンピュータ１０１と同様、ネットワーク１０６に接続されており、サーバコンピュータ１０１との間でプログラム、データ、及びコマンド等を交換するための通信処理手段１０８と、ソフトウェア購入者１１２が自身を特定する情報（例えばＩＤ及びパスワード等）を入力し、自身を認証するための認証手段１０９と、を備え、ソフトウェア購入者１１２を特定する情報をサーバコンピュータ１０１の認証・課金手段１０４に送ることができる。

【００２１】また、ローカルコンピュータ１０７には、
インタープリタ１１０が備えられており、サーバコンピュータ１０１に備えられた汎用アプリケーションの機能１、２、…、ｎ（１０３）のうちから要求に応じて送られた汎用アプリケーションの機能ｘ（１１１）を実行することができる。

【００２２】次に、図１、及び図２ないし図４のフローチャートを参照して、本発明の実施例の動作について詳細に説明する。

【００２３】図２を参照して、先ず、汎用アプリケーションの開発者は、汎用アプリケーションを一つの大きなプログラムとしてではなく、機能単位に独立した複数のプログラム１０３として開発し（ステップＳ２０１）、
開発された機能単位のプログラム１０３をサーバコンピュータ１０１に登録する（ステップＳ２０２）。

【００２４】次に、図３を参照して、汎用アプリケーションのある機能を必要とするソフトウェア購入者１１２
は、ローカルコンピュータ１０７よりネットワーク１０
６を経由してサーバコンピュータ１０１と接続する（ステップＳ３０１）。

【００２５】ローカルコンピュータ１０７の認証手段１
０９は、サーバコンピュータ１０１の認証・課金手段１
０４に対してソフトウェア購入者１１２の認証情報を送る。 これに応じてサーバコンピュータ１０１の認証・課金手段１０４は、認証のチェックを行う（ステップＳ３
０２）。

【００２６】認証チェックがＯＫであると、サーバコンピュータ１０１は、汎用アプリケーションの機能１、
２、…、ｎ（１０３）のうちから要求機能ｘのプログラム１１１をローカルコンピュータ１０７に送信する（ステップＳ３０３）。

【００２７】サーバコンピュータ１０１の認証・課金手段１０４は、要求機能に応じたソフトウェア購入者１１
２に対応する課金情報を記憶装置１０２に記録する（ステップＳ３０４）。

【００２８】要求機能ｘ（１１１）は、ローカルコンピュータ１０７上のインタープリタ１１０で実行される（ステップＳ３０５）。

【００２９】実行された要求機能ｘ（１１１）は、ローカルコンピュータ１０７において保守及び記憶されることなく破棄される（ステップＳ３０６）。

【００３０】最後に、ローカルコンピュータ１０７とサーバコンピュータ１０１との接続は解除される（ステップＳ３０７）。

【００３１】一方、ステップＳ３０２における認証チェックがＯＫでない場合には、直ちにＳ３０７に分岐し、
ローカルコンピュータ１０７とサーバコンピュータ１０
１との接続は解除される。

【００３２】図４を参照して、サーバコンピュータ１０
１の認証・課金手段１０４は、サーバコンピュータ１０
１の記憶装置１０２に記憶された課金情報を読み込み（ステップＳ４０１）、認証した各ソフトウェア購入者１１２個人への請求データを作成し（ステップＳ４０
２）、請求書を発行する（ステップＳ４０３）。 ソフトウェア開発者（販売者）は、この請求書に基づき代金の集金を行う（ステップＳ４０４）。

【００３３】次に、本発明の実施例をさらに具体的に説明すべく、汎用アプリケーションの一例としてワードプロセッサーの配付及び課金を行う場合を図面を参照して説明する。

【００３４】図１に示したサーバコンピュータ１０１上には、機能１、２、…、ｎ（１０３）として、「文字入力・編集機能」、「ファイルへの書き込み・読みとり機能」、「印刷機能」、「スペルチェック機能」がそれぞれ登録されている。 また、ネットワーク１０６としては、インターネットが利用できる。

【００３５】図２の流れ図を参照して、ワードプロセッサーの開発者は「文字入力・編集機能」、「ファイルへの書き込み・読みとり機能」、「印刷機能」、及び「スペルチェック機能」といった機能単位に独立したプログラムを汎用インタープリタ言語で開発する。

【００３６】次に、開発された各機能をサーバコンピユータ１０１にそれぞれ登録する。

【００３７】図３の流れ図を参照して、ワードプロセッサーを購入し、既存の文章を訂正したいソフトウェア購入者１１２は、ローカルコンピュータ１０７よりサーバコンピュータ１０１に接続し、ソフトウェア購入者１１
２個人のＩＤ・パスワードを認証のために送付する（ステップＳ３０１）。

【００３８】次に、認証チェックがＯＫとなると、「ファイルへの書き込み・読み込み機能」を要求し、サーバコンピュータ１０１より送付を受ける（ステップＳ３０
２、Ｓ３０３）。 ここで、サーバコンピュータ１０１
は、課金情報を記録する（ステップＳ３０４）。

【００３９】次に、ローカルコンピュータ１０７のインタープリタ１１０により、「ファイルへの書き込み・読み込み機能」を使い既存の文章を読み込む（ステップＳ
３０５）。 「ファイルへの書き込み・読み込み機能」
は、プログラムの実行が終了すると、ローカルコンピュータ１０７上から破棄される（ステップＳ３０６）と共に、サーバコンピュータ１０１との接続が解除される（ステップＳ３０７）。

【００４０】次に、ソフトウェア購入者１１２は、「文字入力・編集機能」を、上記した「ファイルへの書き込み・読み込み機能」の要求・実行と同様にして、図３のフローに従ってローカルコンピュータ１０７上で実行し、文字の編集作業を行う。

【００４１】次に、「スペルチェック機能」を図３のフローに従ってローカルコンピュータ１０７上で実行し、
スペルチェックを行う。

【００４２】次に、「印刷機能」を図３のフローに従ってローカルコンピュータ１０７上で実行し、印刷を行う。

【００４３】次に、「ファイルへの書き込み・読みとり機能」を図３のフローに従ってローカルコンピュータ１
０７上で実行し、修正された文章のファイルへの書き込みを行う。

【００４４】このようにして、汎用アプリケーションを購入し実行するソフトウェア購入者１１２は、図３のフローを必要な機能について必要な回数だけ繰り返すことによって、自分が実際に使う機能のみライセンス購入し、利用することが可能となる。

【００４５】また、汎用アプリケーションの販売者は、
図４のフローに従って、蓄積された課金データを元に各ソフトウェア購入者１１２より代金を集金する。

【００４６】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明においては、
下記記載の各種の効果が得られる。

【００４７】第１の効果として、最新の汎用アプリケーションの最小の機能単位がソフトウェアの開発者によって常にサーバコンピュータ上で管理されているため、汎用アプリケーションの購入者は、自分の必要とする機能を実際に使う時点で、最新のものを最低限の価格で購入することができる。

【００４８】第２の効果として、汎用アプリケーションの開発者は、実際に使われる機能とその利用回数に応じて柔軟性のある価格の設定が可能となる上に、リアルタイムに開発した汎用アプリケーションが誰にどの様に使われているかを把握することができる。

【００４９】第３の効果として、最新の汎用アプリケーションがソフトウェアの開発者によって常にサーバコンピュータ上で管理されており、ローカルコンピュータに転送されて実行された後は破棄されてしまうため、購入者は、ローカルコンピュータ上にインストールされた汎用アプリケーションを保守・管理する必要がない。

【００５０】第４の効果として、汎用アプリケーションは実行の毎にサーバコンピュータから送られ、実行後は破棄されるため、ローカルコンピュータには、大容量の二次記憶装置は必要とされない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を説明するためのブロック図である。

【図２】本発明の実施例を説明するためのフローチャートである。

【図３】本発明の実施例を説明するためのフローチャートである。

【図４】本発明の実施例を説明するためのフローチャートである。

【符号の説明】

１０１ サーバコンピュータ １０２ 記憶装置 １０３ 機能１、…、ｎ １０４ 認証・課金手段 １０５ 通信処理手段 １０６ ネットワーク １０７ ローカルコンピュータ １０８ 通信処理手段 １０９ 認証手段 １１０ インタープリタ １１１ 機能ｘ １１２ ソフトウェア購入者