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触覚提示パネル、触覚提示タッチパネル、および触覚提示タッチディスプレイ

阅读:971发布:2024-02-29

专利汇可以提供触覚提示パネル、触覚提示タッチパネル、および触覚提示タッチディスプレイ专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且触覚電極(102)は、透明絶縁 基板 (101)上に間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極(102a)および複数の第2電極(102b)を含む。誘電体層(106)は複数の触覚電極(102)を覆っている。電圧供給回路(110)は、複数の第1電極(102a)のうち透明絶縁基板(101)の少なくとも一部の領域上に 位置 するものへ第1周 波数 を有する電圧 信号 を印加し、かつ第2電極(102b)のうち透明絶縁基板(101)の少なくとも一部の領域上に位置するものへ第1周波数と異なる第2周波数を有する電圧信号を印加する。,下面是触覚提示パネル、触覚提示タッチパネル、および触覚提示タッチディスプレイ专利的具体信息内容。

透明絶縁基板(101)と、 前記透明絶縁基板上に間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極(102a,102aC,102aH,102aR,102aX,102aY,102aZ)および複数の第2電極(102b,102bC,102bH,102bR,102bX,102bY,102bZ)を含む触覚電極(102,102C,102L,102H,102R,102S,102T,102X,102Y,102Z)と、 前記複数の触覚電極を覆う誘電体層(106)と、 前記複数の第1電極のうち前記透明絶縁基板の少なくとも一部の領域上に位置するものへ第1周波数を有する電圧信号を印加し、かつ前記第2電極のうち前記透明絶縁基板の前記少なくとも一部の領域上に位置するものへ前記第1周波数と異なる第2周波数を有する電圧信号を印加する電圧供給回路(110,110A,110E)と、 を備える、触覚提示パネル(100)。前記複数の触覚電極は7mm以下のピッチ(PE)で配置されている、請求項1に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極は0.1mm以下の電極間距離(SE)を有している、請求項1または2記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極(102R,102Z)の各々は、曲がった部分を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極の各々は複数の曲がった箇所(102H,102X,102Y)を有しており、前記曲がった箇所の間隔(SK)は1mm以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極(102R)の各々は、前記透明絶縁基板上において全方位にわたる延在方向を有している、請求項4または5に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極(102C)の各々は、一の方向に延在する延在部分と、前記一の方向とは異なる方向に向かって前記延在部分から突出する複数の突出部分とを有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記透明絶縁基板上に配置され前記複数の触覚電極に接続された引き出し配線層をさらに備え、前記引き出し配線層は、金属単層膜、および、金属単層と非金属単層との積層膜のいずれかから構成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記透明絶縁基板上に配置され前記複数の触覚電極に接続された引き出し配線層(105T)をさらに備え、前記引き出し配線層は透明である、請求項1から7のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記誘電体層は、10以上の比誘電率を有する膜を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記電圧供給回路は、前記触覚電極の前記複数の第1電極のすべてのものへ前記第1周波数を有する電圧信号を同時に印加し、かつ前記触覚電極の前記第2電極のすべてのものへ前記第2周波数を有する電圧信号を同時に印加する、請求項1から10のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記透明絶縁基板は複数の分割領域(101a,101b)を含み、 前記複数の触覚電極は、前記複数の分割領域のそれぞれの上に配置された複数の電極群に分類されており、前記複数の電極群の各々には前記複数の第1電極のうちの複数と前記第2電極のうちの複数とが含まれており、 前記電圧供給回路は、前記複数の電極群のうちどの群へ電圧信号を印加するか選択可能に構成されている、 請求項1から10のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記電圧供給回路(110E)は、前記複数の触覚電極の各々へ電圧信号を印加するか否か選択可能に構成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。請求項1から13のいずれか1項に記載の触覚提示パネルと、前記透明絶縁基板上のタッチされた位置を検出するためのタッチ検出回路(210)とを備え、前記電圧供給回路は、前記タッチ検出回路によって検出された情報を参照する、触覚提示タッチパネル(400)。請求項14に記載の触覚提示タッチパネルと、前記触覚提示タッチパネルが取り付けられた表示パネル(300)とを備える、触覚提示タッチディスプレイ(1)。請求項1から13のいずれか1項に記載の触覚提示パネルを備え、前記触覚提示パネルは、指示体(2)に加わる静電気を制御することによって前記指示体に加わる摩擦力を変化させることにより触感を生成するものであり、さらに 前記触覚提示パネルが取り付けられた表示パネル(300)を備える、 触覚提示タッチディスプレイ(1)。

透明絶縁基板と、 前記透明絶縁基板上に間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極および複数の第2電極を含む触覚電極と、 前記複数の触覚電極を覆い10以上の比誘電率を有する膜を含む誘電体層と、 前記複数の第1電極のうち前記透明絶縁基板の少なくとも一部の領域上に位置するものへ第1周波数を有する電圧信号を印加し、かつ前記第2電極のうち前記透明絶縁基板の前記少なくとも一部の領域上に位置するものへ前記第1周波数と異なる第2周波数を有する電圧信号を印加する電圧供給回路と、 を備え、隣り合う前記第1電極と前記第2電極の間のピッチが7mm以下となるように配置される 触覚提示パネル。透明絶縁基板と、 前記透明絶縁基板上に間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極および複数の第2電極を含む触覚電極と、 前記複数の触覚電極を覆う誘電体層と、 前記複数の第1電極のうち前記透明絶縁基板の少なくとも一部の領域上に位置するものへ第1周波数を有する電圧信号を印加し、かつ前記第2電極のうち前記透明絶縁基板の前記少なくとも一部の領域上に位置するものへ前記第1周波数と異なる第2周波数を有する電圧信号を印加する電圧供給回路と、 前記透明絶縁基板の一つの辺に沿って前記辺の一部に前記誘電体層から露出して配置され、前記電圧供給回路に接続された触覚提示パネル端子部と、 前記透明絶縁基板上に配置され、前記触覚電極の延在方向における一方端及び他方端の各々と前記触覚提示パネル端子部とに接続された引き出し配線層と、 を備える、 触覚提示パネル。前記引き出し配線層は、前記触覚提示パネル端子部の配列の中央に近いものから、順次、前記触覚提示パネル端子部と対応する前記触覚電極の間の距離が最短となるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極は0.1mm以下の電極間距離を有している、請求項1に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極の各々は、曲がった部分を有している、請求項1または4に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極の各々は複数の曲がった箇所を有しており、前記曲がった箇所の間隔は1mm以下である、請求項1、4または5のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極の各々は、前記透明絶縁基板上において全方位にわたる延在方向を有している、請求項5または6に記載の触覚提示パネル。前記複数の触覚電極の各々は、一の方向に延在する延在部分と、前記一の方向とは異なる方向に向かって前記延在部分から突出する複数の突出部分とを有している、請求項1または4に記載の触覚提示パネル。前記透明絶縁基板上に配置され前記複数の触覚電極に接続された引き出し配線層をさらに備え、前記引き出し配線層は、透明導電膜よりも抵抗が低い、金属単層膜、および、金属単層と非金属単層との積層膜のいずれかから構成されている、請求項1、4から8のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記透明絶縁基板上に配置され前記複数の触覚電極に接続された引き出し配線層をさらに備え、前記触覚電極および前記引き出し配線層は、透明導電膜よりも抵抗が低い、金属単層膜、および、金属単層と非金属単層との積層膜のいずれかから構成されている、請求項1、4から7のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記透明絶縁基板上に配置され前記複数の触覚電極に接続された引き出し配線層をさらに備え、前記引き出し配線層は透明である、請求項1、4から8のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記電圧供給回路は、前記触覚電極の前記複数の第1電極のすべてのものへ前記第1周波数を有する電圧信号を同時に印加し、かつ前記触覚電極の前記第2電極のすべてのものへ前記第2周波数を有する電圧信号を同時に印加する、請求項1から11のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記透明絶縁基板は複数の分割領域を含み、前記複数の触覚電極は、前記複数の分割領域のそれぞれの上に配置された複数の電極群に分類されており、前記複数の電極群の各々には前記複数の第1電極のうちの複数と前記第2電極のうちの複数とが含まれており、前記電圧供給回路は、前記複数の電極群のうちどの群へ電圧信号を印加するか選択可能に構成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。前記電圧供給回路は、前記複数の触覚電極の各々へ電圧信号を印加するか否か選択可能に構成されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の触覚提示パネル。請求項1から14のいずれか1項に記載の触覚提示パネルと、前記透明絶縁基板上のタッチされた位置を検出するためのタッチ検出回路とを備え、前記電圧供給回路は、前記タッチ検出回路によって検出された情報を参照する、触覚提示タッチパネル。請求項15に記載の触覚提示タッチパネルと、透明導電膜からなる行方向配線層および列方向配線層を有するタッチスクリーンと、前記触覚提示タッチパネルおよび前記タッチスクリーンが取り付けられた表示パネルとを備え、 前記触感電極は、前記透明導電膜よりも低い抵抗を有する、金属単層膜、および、金属単層と非金属単層との積層膜のいずれかから構成されている、触覚提示タッチディスプレイ。請求項1から14のいずれか1項に記載の触覚提示パネルを備え、前記触覚提示パネルは、指示体に加わる静電気力を制御することによって前記指示体に加わる摩擦力を変化させることにより触感を生成するものであり、さらに前記触覚提示パネルが取り付けられた表示パネルを備える、触覚提示タッチディスプレイ。

说明书全文

本発明は、触覚提示パネル、触覚提示タッチパネル、および触覚提示タッチディスプレイに関するものである。

タッチスクリーン上において使用者の指またはペンなどの指示体によって指示された位置(以下「タッチ位置」という場合がある)を検出して出する装置として、タッチパネルが広く知られている。タッチパネルがタッチ位置を検出する方式の一つとして静電容量方式がある。この方式を用いたタッチパネルの一つとして、投影型静電容量方式タッチパネル(PCAP:Projected Capacitive Touch Panel)がある。PCAPは、タッチスクリーンの使用者側の面(以下「表側面」という場合がある)が厚さ数mm程度のガラス板などの保護板で覆われている場合であっても、タッチ位置を検出することができる。このようにPCAPは表側面に保護板を配置できるので堅牢性に優れている。またPCAPは可動部を有しないので長寿命である。PCAPのタッチスクリーンは、行方向におけるタッチ位置の座標を検出する検出用行方向配線層と、列方向におけるタッチ位置の座標を検出する検出用列方向配線層とを有している。以下の説明では、検出用行方向配線層と検出用列方向配線層とを総称して「検出用配線層」という場合がある。また検出用配線層が配置された部材を「タッチスクリーン」といい、タッチスクリーンに検出用回路が接続された装置を「タッチパネル」という。また、タッチスクリーンにおいてタッチ位置を検出可能な領域を「検出可能エリア」という。

国際公開第95/27334号(特許文献1)は、タッチパネルに相当するタッチパッドシステムを開示している。タッチパッドシステムは、静電容量(以下、単に「容量」という場合がある)を検出するための検出用配線層として、薄い誘電膜上に形成された第1シリーズの導体エレメントと、第1シリーズの導体エレメント上に絶縁膜を隔てて形成された第2シリーズの導体エレメントとを有している。表側面の法線方向から見て、第1シリーズの導体エレメントと、第2シリーズの導体エレメントとは、電気的接触なしに交差している。タッチ位置の座標は、指などの指示体と、検出用配線層である導体エレメントとの間に形成される容量(以下「タッチ容量」という場合がある)を検出回路で検出することによって特定される。また、1つよりも多い導体エレメントの検出容量の相対値によって、導体エレメント間のタッチ位置を補間することができる。

近年、機械的スイッチに代わってタッチパネルが身の回りの多くの機器に用いられるようになっている。タッチパネルには機械的スイッチが有するような凹凸がなく手触りが均一であり、操作によってその表面形状は変形しない。そのため、機械的スイッチの場合と異なり、タッチパネル上のスイッチを操作する場合は、タッチパネル上に表示されているスイッチの位置を確認してからその操作を完了するまでの全過程を、視覚に頼って行わなければならない。言い換えれば、ブラインドタッチを行うことが困難である。このため、自動車の運転中の音響等の操作などといた他の作業と並行して行われる操作、および、視覚障害者による操作が困難である。しかしながら、たとえば車載機器においてはデザイン性の観点からタッチパネルが広く用いられるようになってきており、よって運転中のブラインドタッチが困難となってきている。また民生機器においても、家電および電子機器の多くに操作パネルとしてタッチパネルが用いられるようになってきている。上述したようにタッチパネルの表面は平滑であるため、手触りでスイッチの位置を確認することはできない。保護ガラス面上のスイッチ位置に凹凸加工を施す対処は、特にPCAPの場合、デザイン性の観点で採用しにくい。操作の受付開始および完了を音声機能で知らせる対処は、プライバシーまたは騒音の観点で、適用可能な環境が限定され、汎用的に適用することはできない。よってこれらの対処では、ユニバーサルデザインへの対応が困難である。

スイッチの位置、当該スイッチの操作の受付、および当該操作の完了などを触感を用いてフィードバックする機能がタッチパネルに付与されれば、ブラインド操作およびユニバーサルデザイン対応を実現することが可能である。たとえば携帯電話およびスマートフォンには、振動による触覚フィードバック機能が広く搭載されている。このように、使用者の操作に連動した振動によるフィードバック機能が急速に身近なものになってきており、さらなる高度な触覚フィードバックへの需要も高まると予想される。

触感を発生する方式は、振動方式、超音波方式、および電気方式の3つに大別される。振動方式は、PCAPへの適用が容易でありかつ低コストであるが、デバイス全体が十分に振動するように振動子を筐体へ組込むことが難しく、また振動子の出力に限界があることから大面積のデバイスへの適用は特に難しい。超音波方式は、ツルツル感など、他の方式では発生できないような触感を発生させることが可能であるが、振動方式と同様の理由で、筐体への組込みが難しく、また大面積のデバイスへの適用が難しい。電気方式は、高い駆動電圧を必要とするものの、デバイスを振動させる必要がないので、大きなデバイスへも適用が容易である。さらに、任意の箇所に触感を発生させることが可能であり、またマルチタッチへの対応が可能である。電気方式には、指に直接電気刺激を与える電気刺激方式以外に、パネル表面を触った指と触覚電極との間に生じる静電気力によって触感を発生する静電誘導方式がある。以下、この方式について説明する。なお以下において、透明絶縁基板に触覚電極が配置された部材を「触覚提示スクリーン」といい、触覚提示スクリーンに検出用回路が接続された装置を「触覚提示パネル」という。また触覚提示スクリーンにおける触覚提示可能な領域を「触覚提示可能エリア」という。

静電誘導方式に関して、特開2011−248884号公報(特許文献2)によれば、デバイスは、導電面と、導電面上に配置された絶縁面と、導電面に信号を供給するコントローラとを有している。コントローラは、絶縁面に接触する使用者に信号を結合する。これにより、絶縁面上をスライドする使用者の少なくとも1つの指が触感を知覚する。

特開2015−097076号公報(特許文献3)によれば、触覚提示装置は、支持基板上に複数のX電極および複数のY電極を有している。X電極とY電極とはその交差部で絶縁膜を介して交差しており、両者の電気的な絶縁が保たれている。特定のX電極に対して第1周波数の電圧信号が印加され、特定のY電極に対して第2周波数の電圧信号が印加される。第1および第2周波数の差の絶対値によって対象領域に電気的なうなり振動が発生させられる。これにより触覚提示装置と使用者の指との間の摩擦力が変化することで、テクスチャ感が与えられる。

静電誘導方式に関して、特開2014−59833号公報(特許文献4)によれば、触覚刺激発生装置は、座標検出シートの操作面に相当する触覚刺激提示エリアに設けられた透明な絶縁層と、絶縁層の片面に配設され近接または接触した指先に触覚刺激を与える多数の触覚生成電極と、触覚生成電極に対して極性の異なる差動電圧を印加する駆動部とを有している。触覚生成電極は、ギャップを介して配設された、第1触覚電極と第2触覚電極とで構成されている。

静電誘導方式に関して、特開2016−129015号公報(特許文献5)によれば、接触感応素子は、電気活性高分子からなる電気活性層と、電気活性層の一面にのみ配置された第1の電極および第2の電極とを有している。例えば、第1の電極には正の電圧が印加され、第2の電極は接地されて、第1の電極と第2の電極との間の電位差が発生される。この電位差により電気活性層が振動することによって、ユーザは触覚フィードバックを感じることができる。

国際公開第95/27334号

特開2011−248884号公報

特開2015−097076号公報

特開2014−59833号公報

特開2016−129015号公報

上記特開2015−097076号公報によれば、X電極とY電極との交差部においてこれらの電極を絶縁膜が隔てる。交差部においてX電極とY電極との間の耐電圧を十分に確保するためには、絶縁膜は、ある程度の厚さを有する必要がある。この厚さに対応して交差部が盛り上がることに起因して、凹凸が形成される。この凹凸を十分に平坦化するためには、電極を覆う絶縁層の厚さを大きくする必要がある。その結果、触覚提示装置に触った指へ作用する静電気力が弱くなり、よって発生する触覚も弱くなってしまう。また、電極構造が複雑であるために電極面積を大きく確保することが難しいこと、および、電極交差部における電極間容量に起因して電極と指との間の容量が低下することも、発生する触感を弱めてしまう。電極に印加される電圧信号を大きくすれば触感を強めることはできるが、より高い電圧を利用可能とするためには電気回路が複雑となり、また交差部における電気的絶縁の信頼性確保も難しくなる。

一方、上記特開2011−248884号公報によれば、交差部を設ける必要は特になく、よって上述した凹凸を避けることができる。しかしながらこの技術においては、触覚電極に印加された1種類の電圧信号をそのまま反映して指へ静電気力が作用する。このような信号印加方式は、上記特開2015−097076号公報の技術のように2つの電圧信号を組み合わせる方式に比して、高い信号電圧を必要とする。

上記特開2014−59833号公報によれば、平面視において第1触覚電極と第2触覚電極との間にギャップを設けることにより、これらの電極を互いに交差させることなく配置することができる。これにより、交差部に起因しての凹凸を避けることができる。一方、触感を発生させるために、第1触覚電極と第2触覚電極とに対して極性の異なる差動電圧が印加されることによって、第1触覚電極からユーザの指先を通って第2触覚電極への経路で電流(もしくは励起電荷)が流れる。この方法では、人体内部への電流の流入を十分に抑制することが難しく、特に高湿度環境下ではこの問題が顕著となる。

一方、上記特開2016−129015号公報によれば、電気活性層を振動させることによって触感を発生させるために、第1の電極と第2の電極との間の間隔に対応した共振周波数で電気活性層に電圧が印加される。共振周波数は、第1の電極と第2の電極との間の間隔に対応して1種類のみである。このため複数の触感を発生することができない。

以上のように、上記いずれの技術によっても、大きな触感を低い信号電圧で発生させることは困難である。通常、触覚電極用の電圧はタッチ位置検出用の電圧よりもかなり高いので、触覚電極用の電圧を低減することができれば、電気系の構成を大きく簡素化することが可能である。

本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、十分に強い触感をより低い電圧信号を用いて発生させることができる触覚提示パネル、触覚提示タッチパネル、および触覚提示タッチディスプレイを提供することである。

本発明の触覚提示パネルは、透明絶縁基板と、触覚電極と、誘電体層と、電圧供給回路とを有している。触覚電極は、透明絶縁基板上に間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極および複数の第2電極を含む。誘電体層は複数の触覚電極を覆っている。電圧供給回路は、複数の第1電極のうち透明絶縁基板の少なくとも一部の領域上に位置するものへ第1周波数を有する電圧信号を印加し、かつ第2電極のうち透明絶縁基板の少なくとも一部の領域上に位置するものへ第1周波数と異なる第2周波数を有する電圧信号を印加する。

本発明によれば、第1に、第1電極および第2電極が間隔を空けて同一層に配置されているので、交差部が形成されない。これにより、構造が簡易化されるとともに交差部の凹凸を平坦化するために誘電体層の厚さを大きくする必要がない。よって、指示体に作用する静電気力が、厚い誘電体層に起因して弱まることが避けられる。第2に、間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極および複数の第2電極のそれぞれに、第1周波数の電圧信号と、第1周波数と異なる第2周波数の電圧信号とが印加される。これにより、誘電体層を介して第1電極および第2電極にまたがって触れた指示体に対して、両電圧信号が組み合わさって生成される、入力信号よりも増幅された電圧信号による静電気力が作用する。よって、単一の電圧信号が印加される場合に比して、指示体へ強い静電気力を作用させることができる。以上から、十分に強い触感をより低い電圧信号を用いて発生させることができる。

この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。

本発明の実施の形態1における触覚提示タッチディスプレイの構成を概略的に示す分解斜視図である。

図1の触覚提示タッチディスプレイの構成を概略的に示す断面図である。

図2の触覚提示パネルが有する触覚電極と指示体との間での静電容量の形成を説明する模式図である。

図2の触覚提示パネルが有する触覚電極と指示体との間での静電容量の形成を説明する斜視図である。

図2の第1電極に印加される、第1周波数の電圧信号の例を示すグラフ図である。

図2の第2電極に印加される、第2周波数の電圧信号の例を示すグラフ図である。

図5および図6の電圧信号が組み合わさることによって発生する振幅変調信号を示すグラフ図である。

図2のタッチスクリーンの第1例を示す平面図である。

図8の線IXa−IXaおよび線IXb−IXbに沿う部分断面図である。

図2のタッチスクリーンの第2例を示す平面図である。

図10の線XIa−XIaおよび線XIb−XIbに沿う部分断面図である。

図2の触覚提示スクリーンの構成を概略的に示す平面図である。

図2の触覚提示パネルが有する触覚電極と指示体との間での静電容量の形成を説明する模式図である。

図2の触覚提示パネルが有する触覚電極のピッチが接触径よりも大きい場合における、触覚電極と指示体との間での静電容量の形成を説明する模式図である。

図2の触覚提示パネルが有する触覚電極のピッチが接触径よりも小さい場合における、触覚電極と指示体との間での静電容量の形成を説明する模式図である。

図2の触覚提示パネルが有する触覚電極のピッチと、指示体としての指に加わる加速度との関係の例を示すグラフ図である。

触覚電極上を誘電体層を介して指示体がスライド移動した際の指示体の振動(加速度)と、触覚電極の電極間距離との関係の例を示すグラフ図である。

図1の触覚提示タッチパネルの構成を概略的に示すブロック図である。

図1の触覚提示タッチパネルの動作タイミングを概略的に示すタイミングチャートである。

図18のタッチパネルがタッチ位置を検出する際における触覚提示タッチパネル中での静電容量の形成を示す模式図である。

図18の触覚提示パネルが触感を生成する際における触覚提示タッチパネル中での静電容量の形成を示す模式図である。

実施例としてのストライプ構造での触覚電極間の静電容量と、比較例としてのマトリクス構造での触覚電極間の静電容量との各々と、電極密度との関係のシミュレーション結果を示すグラフ図である。

本発明の実施の形態2における触覚電極の構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態3における触覚電極の構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態4における触覚電極の構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態5における触覚提示スクリーンの構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態6における触覚提示スクリーンの構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態7における触覚提示スクリーンの構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態8における触覚提示スクリーンの構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態9における触覚提示スクリーンの構成を指示体と共に示す平面図である。

図30の触覚提示スクリーンを有する触覚提示パネルとタッチパネルとの構成を概略的に示すブロック図である。

本発明の実施の形態10における触覚提示スクリーンの構成を指示体と共に示す平面図である。

図32の触覚提示スクリーンを有する触覚提示パネルとタッチパネルとの構成を概略的に示すブロック図である。

本発明の実施の形態11における触覚電極の構成を概略的に示す平面図である。

触覚電極の各々が一の方向に沿って直線的に延びている場合における指示体のスライドを示す平面図である。

触覚電極の各々が一の方向に沿ってジグザグに延びている場合における指示体のスライドを示す平面図である。

図34の触覚電極が有する局所的箇所での輝点の発生の様子を示す平面図である。

明暗の縞模様が可視であるか不可視であるかを、揮線のピッチと、非触覚電極部の反射率との関係で示すグラフ図である。

本発明の実施の形態12における触覚電極の構成を概略的に示す平面図である。

本発明の実施の形態13における触覚電極の構成を概略的に示す平面図である。

以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。

<実施の形態1> (触覚提示タッチディスプレイ) 図1は、本実施の形態1における触覚提示タッチディスプレイ1の構成を概略的に示す分解斜視図である。図2は、触覚提示タッチディスプレイ1の構成を概略的に示す断面図である。

触覚提示タッチディスプレイ1は、触覚提示タッチパネル400と、触覚提示タッチパネル400が取り付けられた表示パネル300とを有している。触覚提示タッチパネル400は、触覚提示パネル100と、タッチパネル200とを有している。触覚提示パネル100は、触覚提示スクリーン150と、電圧供給回路110とを有している。タッチパネル200は、タッチスクリーン250と、タッチ検出回路210とを有している。

本実施の形態においては、触覚提示スクリーン150は、触覚提示タッチディスプレイ1の、使用者に面する側(表側)に配置されており、タッチスクリーン250の、使用者に面する面(表側面)上に、接着材10bによって固定されている。タッチスクリーン250は、表示パネル300の、使用者に面する面(表側面)上に、接着材10aによって固定されている。

触覚提示スクリーン150は、透明絶縁基板101と、触覚電極102と、誘電体層106とを有している。触覚電極102は、透明絶縁基板101上に間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極102aおよび複数の第2電極102bを含む。誘電体層106は複数の触覚電極102を覆っている。触覚提示スクリーン150は電圧供給回路110にFPC(Flexible Print Circuit)108によって電気的に接続されている。

タッチスクリーン250は、透明であって絶縁性を有する基板201と、励起電極202と、検出電極203と、層間絶縁層204と、絶縁層205とを有している。タッチスクリーン250はタッチ検出回路210にFPC108によって電気的に接続されている。タッチ検出回路210は、触覚提示スクリーン150の透明絶縁基板101上のタッチされた位置を検出する。これにより、透明絶縁基板101上において、触覚提示だけでなくタッチ位置検出が可能とされている。タッチ検出回路210は、たとえば、タッチによる静電容量の変化を検出するための検出用IC(Integrated Circuit)とマイクロコンピュータとを有している。タッチスクリーン250の構成の詳細については、具体例を挙げて後述する。

表示パネル300は、対向する2つの透明絶縁基板と、それらの間に挟まれ表示機能を有する表示機能層とを有する。表示パネル300は、典型的には液晶パネルである。表示パネル300は、有機EL(Electro−Luminescence)パネルまたは電子ペーパーパネルであってもよい。タッチパネル200は、典型的にはPCAPである。

(触覚提示パネルの概要) 図3は、触覚提示パネル100が有する触覚電極102と指示体2との間での静電容量CFEの形成を、断面に沿って説明する模式図である。図4は、対応する斜視図である。指示体2、具体的には使用者の指先、が触覚提示スクリーン150の表側面の一部である接触面CTに触れると、接触面CT上の指示体2と触覚電極102との間に誘電体層106を介して静電容量CFEが形成される。なおこれらの図中では、図を見やすくするために電圧供給回路110(図2)に含まれる触覚提示電圧発生回路113のみが示されており、電圧供給回路110(図2)に含まれる他の構成は図示されていない。電圧供給回路110のより具体的な構成については後述する。

電圧供給回路110(図2)に含まれる触覚提示電圧発生回路113は、第1電圧発生回路113aと、第2電圧発生回路113bとを有している。第1電圧発生回路113aは、複数の第1電極102aのうち透明絶縁基板101の少なくとも一部の領域上に位置するものへ電圧信号Vaを印加するものであり、本実施の形態においては複数の第1電極102aのすべてのものへ電圧信号Vaを印加するものである。第2電圧発生回路113bは、複数の第2電極102bのうち透明絶縁基板101の少なくとも一部の領域上に位置するものへ電圧信号Vbを印加するものであり、本実施の形態においては複数の第2電極102bのすべてのものへ電圧信号Vbを印加するものである。

図5および図6のそれぞれは、電圧信号Vaおよび電圧信号Vbの例を示すグラフ図である。第1電圧発生回路113aの電圧信号Vaは第1周波数を有している。第2電圧発生回路113bの電圧信号Vbは、第1周波数と異なる第2周波数を有している。電圧信号Vaの振幅と電圧信号Vbの振幅とは、同じ振幅VLであってよい。図示されている例においては、電圧信号Vaおよび電圧信号Vbとして、周波数の異なる正弦波が用いられている。正弦波に代わって、パルス波、または他の形状を有するものが用いられてもよい。十分に大きな触感を生成するためには、振幅VLは、数十V程度であることが好ましい。

図7は、電圧信号Va(図5)および電圧信号Vb(図6)が組み合わさることによって発生する振幅変調信号VFを示すグラフ図である。第1電極102aへは電圧信号Vaが印加され、かつ第2電極102bへは電圧信号Vbが印加される。その結果、第1電極102aおよび第2電極102bの各々と指示体2との間の静電容量CFE(図4)が形成されている領域では、振幅VLのおおよそ2倍の最大振幅VHを有する振幅変調信号VFに従った充放電が繰り返される。その結果、誘電体層106を介して第1電極102aおよび第2電極102bにまたがって接する指示体2には、最大振幅VHの振幅変調信号VFに対応する静電気力が加わる。振幅変調信号VFは、上記第1周波数と第2周波数との差に対応して、うなりの周波数を有する。よって、指示体2が触覚提示スクリーン150上を移動する際には、指示体2に作用する摩擦力が、上述したうなりの周波数で変化する。その結果、指示体2がうなりの周波数で振動する。指示体2のこの振動を使用者は、触覚提示スクリーン150から得られた触感として知覚する。以上のように、触覚提示パネル100が有する触覚提示スクリーン150は、指示体2に加わる静電気力を制御することによって指示体2に加わる摩擦力を変化させることにより触感を生成するにように構成されている。

上記のように、入力された電圧信号Va(図5)および電圧信号Vb(図6)の各々に比しておおよそ2倍の電圧を有する振幅変調信号VFが生成される。これにより、指示体2に所望の摩擦力を作用させるのに必要な振幅変調信号VFを、そのおおよそ1/2の電圧を有する電圧信号Va(図5)および電圧信号Vb(図6)によって生成することができる。よって、第1電極102aおよび102bに振幅変調信号が直接入力される場合に比して、1/2の電圧で同等の静電気力を生成することができる。よって低電圧駆動が可能となる。

十分に大きな触感を提示するためには、それに対応して最大振幅VHが十分に大きければよく、それに比して振幅VLは小さな値であってよい。よって振幅VLは、それ自体によって十分に大きな触感を生成するほどに大きい必要はない。振幅VLがそのように設定される結果、第1電極102aおよび第2電極102bのいずれか一方のみが指示体2に接触している状態においては、電圧信号Vaおよび電圧信号Vbの周波数がどのように選択されても、使用者は触感をほとんど知覚しない。

指示体2が第1電極102aおよび第2電極102bをまたがるように位置しやすくするには、触覚電極102のピッチPEが接触面CTの直径RFEよりも小さいことが好ましい。この詳細については後述する。

(タッチパネル) 図8は、タッチスクリーン250(図2)の第1例としての、静電容量方式のタッチスクリーン250aを示す平面図である。図9は、図8の線IXa−IXaおよび線IXb−IXbに沿う部分断面図である。

タッチスクリーン250aは、複数の行方向配線層206と複数の列方向配線層207とを有している。行方向配線層206の各々は、電気的に接続された複数の励起電極202(図2)からなり、列方向配線層207の各々は、電気的に接続された複数の検出電極203(図2)からなる。図8および図9においては、このような微細構造を無視して、行方向配線層206および列方向配線層207が図示されている。励起電極202(図2)は、金属の単層膜もしくは多層膜、または、これらのいずれかを含みつつ他の導電材料も用いた多層構造からなる。金属としては、たとえば、アルミニウムまたは銀など低抵抗のものが好ましい。検出電極203(図2)についても同様である。配線材料として金属を用いることによって配線抵抗を低くすることができる。一方で、金属配線は不透明であるので、視認されやすい。視認性を低くしかつタッチスクリーンの透過率を高くするためには、金属配線に細線構造が付与されればよい。細線構造は典型的にはメッシュ状である。

行方向配線層206の各々は行方向(図中x方向)に沿って延在しており、列方向配線層207の各々は列方向(図中y方向)に沿って延在している。複数の行方向配線層206は列方向において間隔を空けて配列されており、複数の列方向配線層207は行方向において間隔を空けて配列されている。平面視(図8)において、行方向配線層206の各々は複数の列方向配線層207と交差しており、列方向配線層207の各々は複数の行方向配線層206と交差している。行方向配線層206と列方向配線層207とは、層間絶縁層204によって絶縁されている。

層間絶縁層204は、有機絶縁膜または無機絶縁膜の単層膜または多層膜からなる。耐湿性の向上には無機絶縁膜が優れており、平坦性の向上には有機絶縁膜が優れている。無機絶縁膜としては、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜などの透明性シリコン系無機絶縁膜、または、アルミナなどの金属酸化物からなる透明性無機絶縁膜が用いられる。有機絶縁膜の材料としては、シリコン酸化物、シリコン窒化膜もしくはシリコン酸化窒化膜からなる主鎖を有し、かつその側鎖もしくは官能基に結合した有機物を有する高分子材料、または、炭素からなる主鎖を有する熱硬化性樹脂を用いることができる。たとえば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、またはオレフィン樹脂が用いられる。

タッチスクリーン250aの行方向配線層206のそれぞれは、引き出し配線層R(1)〜R(m)によってタッチスクリーン端子部208に接続されている。列方向配線層207のそれぞれは、引き出し配線層C(1)〜C(n)によってタッチスクリーン端子部208に接続されている。タッチスクリーン端子部208は基板201の端部に設けられている。

引き出し配線層R(1)〜R(m)は、検出可能エリアの外側に配置されており、タッチスクリーン端子部208の配列の中央に近いものから順に、ほぼ最短距離が得られるように、対応する電極へと延びている。引き出し配線層R(1)〜R(m)は、相互の絶縁を確保しつつ、なるべく密に配置されている。引き出し配線層C(1)〜C(n)についても同様である。このような配置によって、基板201のうち検出可能エリアの外側の部分の面積を抑えることができる。

引き出し配線層R(1)〜R(m)の群と、引き出し配線層C(1)〜C(n)の群との間に、シールド配線層209が設けられてもよい。これにより、一方の群からの影響で他方の群にノイズが発生することが抑制される。また、表示パネル300(図2)から発生する電磁ノイズが引き出し配線層へ及ぼす影響を低減することができる。シールド配線層209は、行方向配線層206または列方向配線層207と同時に同材料で形成されてもよい。

絶縁層205は、タッチスクリーン端子部208が露出されるように基板201上に設けられており、行方向配線層206、列方向配線層207および層間絶縁層204を覆っている。絶縁層205は、層間絶縁層204と同様の材料により形成され得る。表示パネル300が液晶パネルの場合、絶縁層205の、表示のための光が透過する部分の上に、液晶パネル用のアンチグレア処置が施された上部偏光板が貼り付けられてもよい。

図10は、タッチスクリーン250(図2)の第2例としての、静電容量方式のタッチスクリーン250bを示す平面図である。図11は、図10の線XIa−XIaおよび線XIb−XIbに沿う部分断面図である。本例には、いわゆるダイヤモンド構造が採用されている。

行方向配線層206および列方向配線層207は同一レイヤに配置されている。列方向配線層207の各々は、検出電極203としての、互いにつながった複数のダイヤモンド形状の電極を有している。行方向配線層206は、励起電極202としての、互いに離れた複数のダイヤモンド形状の電極と、隣り合うダイヤモンド形状の電極間を電気的に接続するブリッジ206Bとを有している。層間絶縁層204は、ブリッジ206Bと列方向配線層207との間を絶縁するように配置されている。なお行方向配線層ではなく列方向配線層にブリッジ構造が適用されてもよい。ブリッジを形成することにより、配線層の電気的抵抗が高くなる傾向があるので、列方向配線層および行方向配線層のうち短い方にブリッジ構造が適用されることが好ましい。

行方向配線層206および列方向配線層207の材料としては、たとえば、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)などの透明導電膜が用いられる。ITOは透光性を有するので、配線層が使用者に視認される可能性が低くなる。ITOなどの透明導電膜は、比較的高い電気抵抗を有するので、配線抵抗が問題とならない小型のタッチスクリーンへの適用が適している。また、ITOなどの透明導電膜は、他の金属配線との間での腐食によって配線が断線しやすいので、腐食を防止するために、耐湿性および防性への配慮を要する。

なお上記においてはタッチスクリーンの構造と表示パネルの構造とが独立している場合について説明したが、これらが不可分に一体化されていてもよい。たとえば、いわゆるオンセルタッチパネルの場合は、タッチスクリーンが、基板201を用いることなしに表示パネル300の基板(典型的にはカラーフィルタ基板)上に直接形成される。いわゆるインセルタッチパネルの場合は、表示パネル300が有する2つの透明絶縁基板(図示せず)の間にタッチスクリーンが形成される。

(触覚提示パネル) 図12は、触覚提示スクリーン150の構成を概略的に示す平面図である。図13は、触覚電極102と指示体2との間での静電容量CFEの形成を説明する模式図である。

前述したように、触覚提示スクリーン150は、透明絶縁基板101と、触覚電極102と、誘電体層106とを有している。さらに、透明絶縁基板101の端部には触覚提示パネル端子部107が設けられており、また透明絶縁基板上には複数の引き出し配線層105が配置されている。誘電体層106は、触覚提示パネル端子部107が露出されるように設けられている。触覚電極102は引き出し配線層105を介して触覚提示パネル端子部107に接続されている。触覚提示パネル端子部107にはFPC108(図1)を介して電圧供給回路110(図2)が接続される。なお引き出し配線層105の詳細については後述する。

触覚電極102の各々は、延在方向(図12における縦方向)に沿って延びている。複数の触覚電極102は、配列方向(図12における横方向)に沿って、間隔を空けて配列されている。図示されている例においては、透明絶縁基板101は、長辺および短辺を有する長方形状を有しており、よって、触覚提示スクリーン150も、対応して、長辺および短辺を有している。図示されている例においれは、配列方向は長辺に沿っている。触覚提示スクリーン150の観察者にとっての水平方向が長辺に沿っている場合、上記配列方向は水平方向に沿っている。

触覚電極102と指示体2との間に形成される静電容量CFEが大きいほど強い触感を提示することが可能である。この観点では触覚電極102の面積は大きいほうが好ましい。触覚電極102の面積の大きさが優先される場合、触覚電極102への微細構造の付与によって触覚電極102を視認されにくくすることは困難となる。触覚電極102の面積を大きくしつつ触覚電極102が視認されにくくするために、触覚電極102は透明導電膜によって形成され得る。透明導電膜の典型的な材料としてITOがある。ITOなどの透明導電膜は、比較的高い電気抵抗を有するので、配線抵抗が問題とならない小型のタッチスクリーンへの適用が適している。また、ITOなどの透明導電膜は、他の金属配線との間での腐食によって配線が断線しやすいので、腐食を防止するために、耐湿性および防水性への配慮を要する。

上記のように透明導電膜を用いる代わりに、触覚電極102は、金属の単層膜もしくは多層膜、または、これらのいずれかを含みつつ他の導電材料も用いた多層構造を有する電極(以下、「金属膜含有電極」ともいう)であってよい。金属としては、たとえば、アルミニウムまたは銀など低抵抗のものが好ましい。金属膜含有電極を用いることによって配線抵抗を低くすることができる。一方で、金属膜は不透明であるので視認されやすい。金属膜を視認されにくくするためには、金属膜含有電極に細線構造が付与されればよい。細線構造は典型的にはメッシュ状である。

誘電体層106は、有機絶縁膜または無機絶縁膜の単層膜または多層膜からなる。多層膜の場合、異なる種類の有機絶縁膜が積層されてもよく、あるいは異なる種類の無機絶縁膜が積層されてもよく、あるいは有機絶縁膜と無機絶縁膜とが積層されてもよい。無機絶縁膜は、高い不透湿性と、高い硬度と、高い耐摩耗性とを有している。誘電体層106上を指示体2がスライドすることから、誘電体層106は高い耐摩耗性を要する。有機絶縁膜は、高い平坦性を得るためには好ましいものの、硬度が低く耐磨耗性が低い。このため、高い平坦性と高い耐摩耗性との両方を得るには、有機絶縁膜上に無機絶縁膜を形成することが好ましい。無機絶縁膜としては、たとえば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜などの透明性シリコン系無機絶縁膜、または、アルミナなどの金属酸化物からなる透明性無機絶縁膜が用いられる。有機絶縁膜の材料としては、シリコン酸化物、シリコン窒化膜もしくはシリコン酸化窒化膜からなる主鎖を有し、かつその側鎖もしくは官能基に結合した有機物を有する高分子材料、または、炭素からなる主鎖を有する熱硬化性樹脂を用いることができる。たとえば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、またはオレフィン樹脂が用いられる。

静電容量CFEは、下記の式 CFE=Q/V=εS/d によって表される。ここで、Qは指示体2および触覚電極102の各々に蓄えられる電荷量、Vは指示体2と触覚電極102との間の電圧、εは誘電体層106の誘電率、Sは誘電体層106を介しての指示体2と触覚電極102との接触面積、dは誘電体層106の厚さである。静電容量CFEは、誘電率εに比例しており、膜厚dに反比例している。

上式から、静電容量CFEを大きくするためには誘電率εが高いことが好ましい。具体的には、誘電体層106が、10以上の比誘電率を有する膜(以下、「高誘電率絶縁膜」とも称する)を含むことが好ましい。高誘電率絶縁膜においては、外部から印加される電場により材料内に正負電荷が変位している状態が生じる(一般的に誘電分極と呼ぶ)。この誘電分極は、電圧が保持されている間は分極によって生じた電荷(一般的に分極電荷と呼ぶ)が維持され、電圧が低下すると分極電荷が減少して誘電分極が低下し、印加電圧をゼロボルトにすると誘電分極も消失する。かつこれら誘電分極の方向は電場によって変化することができる。高誘電率絶縁膜は、単層で用いられてもよく、他の低誘電率の無機絶縁膜もしくは有機絶縁膜、または他の高誘電率絶縁膜と積層されることによって多層膜として用いられてもよい。一般に誘電率が高いほど屈折率も高いことから、高誘電率絶縁膜と低誘電率絶縁膜とを積層することによって、高屈折率膜と低屈折率膜との積層構造が得られる。この積層構造によって、誘電体層106は、反射防止膜としても機能し得る。

また上式から、静電容量CFEを大きくするためには厚さdが小さいことが好ましい。高誘電率絶縁膜と有機絶縁膜とを積層することで、十分な絶縁性を確保しつつ、有機絶縁膜の膜厚を薄くすることができる。これにより誘電体層106の厚さdを小さくすることができる。

触覚電極が、前述した特開2015−097076号公報で示されているようなマトリクス構造(すなわち、互いに交差するX電極およびY電極を有する構造)であったと仮定すると、X電極とY電極との交差部には段差、すなわち凹凸、が生じる。この凹凸は、それを被覆する絶縁層の厚さが大きければ平坦化されるが、静電容量CFEの過度な低下を避けるためには、絶縁層の厚さには限界がある。このため触覚提示スクリーンの表側面に凹凸が生じ得る。この凹凸のテクスチャ感が、触覚電極からの静電気力によってもたらされるテクスチャ感と混合すると、意図されたテクスチャ感を使用者へ与えにくくなる。表面形状の平坦化効果がある有機絶縁膜が誘電体層106として用いられる場合は、上記凹凸の発生は避けられるものの、平坦化のためにはある程度大きな厚さを要するので、静電容量CFEの低下は避けられない。

これに対して本実施の形態によれば、触覚電極102が交差部を有しないので、凹凸の大きさが触覚電極102の厚さ程度に抑えられる。これにより、平坦化効果を有する有機膜の薄膜化、または、平坦化効果の低い高誘電率絶縁膜の適用が可能になる。これにより、静電容量CFEをマトリクス構造の場合よりも大きくすることができる。

また、静電容量CFEが同じであっても、指示体2が誘電体層106上において滑りやすければ、指示体2と触覚電極102との間の静電気力の変化が摩擦力の変化として使用者に知覚されやすくなる。これにより使用者へ、より大きな触感を与えることができる。誘電体層106上において指示体2を滑りやすくするためには、誘電体層106と指示体2との間の密着力を抑制する必要がある。そのために、たとえば、誘電体層106の最表面に、誘電体層106の内部に比して高い撥水性を有する膜が設けられてもよい。

(電極ピッチ) 図14は、触覚電極102のピッチPEが直径RFEよりも大きい場合における、触覚電極102と指示体2との間での静電容量CFEの形成を説明する模式図である。図15は、触覚電極102のピッチPEが直径RFEよりも小さい場合における、触覚電極102と指示体2との間での静電容量CFEの形成を説明する模式図である。

本実施の形態では、前述したように、隣り合う第1電極102aおよび第2電極102bのそれぞれに、周波数の異なる電圧信号Va(図5)および電圧信号Vb(図6)を印加することによって、振幅変調信号VF(図7)に対応する静電気力を発生させる。これにより、誘電体層106と指示体2との間の摩擦力が振幅変調信号VFのうなりの周波数に対応して変化し、この変化を使用者が触覚として知覚する。図14に示された状態においては、指示体2に電圧信号Vaのみが作用し電圧信号Vbが作用しないので、振幅変調信号VFが発生せず、よって触感が生成されない。一方、指示体2が移動することによって第1電極102aと第2電極102bとの境界の上方に位置した時点では、触感が生成される。よって図14の構成においては、触感が使用者にとって不連続的なものとして感じられやすい。これに対して、図15に示された状態においては、指示体2の位置にかかわらず指示体2へ電圧信号Vaおよび電圧信号Vbの両方が作用し、これにより振幅変調信号VFが発生する。よって図15の構成においては、触感が使用者にとって連続的なものとして感じられやすい。

指示体2は、通常、ヒトの指である。指先をタッチパネル等に接触させた際の接触面CTは、一般的に、直径7mm程度の円に相当すると言われており、おおよそこの寸法に対応して、タッチパネルの典型的な業界規格が定められている。よって、複数の触覚電極102が7mm以下のピッチPEで配置されていれば、指示体2としての指は、隣り合う第1電極102aおよび第2電極102bの両方に常に接触することが可能である。

図16は、触覚電極102のピッチPEと、誘電体層106上をスライドする指示体2としての指に加わる加速度との関係の実験結果を示すグラフ図である。ピッチPEについて、0.5mmから6.5mmまでの範囲が検討された。全範囲において有意な加速度が観測された。特に2mm以下において顕著に大きな加速度が観測された。また、少なくともピッチPEが0.5mm以上であれば、顕著に大きな加速度が発生することがわかった。なお0.5mm未満のピッチPEを用いることも可能であると推測される。

実験条件として、縦軸の加速度は、誘電体層106上をスライドする指の爪に取り付けられた加速度センサによって測定された。また、電圧50Vおよび周波数7kHzの電圧信号Vaと、電圧50Vおよび周波数7.2kHzの電圧信号Vbとが用いられた。

なお触覚電極102のピッチPEは、タッチパネル200が有する励起電極202および検出電極203のピッチから独立して選択することができる。よってピッチPEは、触覚電極102とタッチパネル200の電極(励起電極202および検出電極203)との間の光学的干渉に起因してのモアレが抑制されるように選択されてよい。

(電極間距離) 電極の厚さに起因する凹凸が触覚提示パネル100の表面にある場合、指示体2が誘電体層106を介して触覚電極102に接触しながらスライドすると、表面凹凸よって指示体2が振動する。この振動は、触覚電極102に印加される電圧信号とは無関係に、指示体2に感知されてしまう。その結果、当該電圧信号によって得られる触感を指示体2が感じにくくなり得る。言い換えれば、触感感度が低下し得る。

触覚提示パネル100の表面に凹凸があったとしても、それを指示体2が感じやすいか否かは、後述するように触覚電極102の電極間間隔に依存する。より大きな凹凸が許容されるほど、凹凸緩和のために誘電体層106の厚さを大きくする必要性が低くなる。すなわち、誘電体層106の厚さを小さくすることが許容される。これにより、指示体2と触覚電極102との間に形成される容量を大きくすることができる。よって、より強い触感を発生させることができる。

図17は、触覚電極102上を誘電体層106を介して指示体2がスライド移動した際の指示体2の振動(加速度)と、触覚電極102の電極間距離SEとの関係の例を示すグラフ図である。ここで、電極間距離SEは、触覚電極102が有する電極間の最小距離として定義される。本実施の形態1においては、電極間距離SEは、直線状に延びる触覚電極102の延在方向に垂直な方向における電極間の距離に対応する。電極間距離SEが0.2mm程度以上の場合に比して、電極間距離SEが0.1mm以下になると、指示体2の振動が1/3以下に低減する。よって、電極間距離SEを0.1mm以下とすることによって、触感感度を向上させることができる。

指示体2としての指の表面には、微細な凸部および凹部を有する指紋が存在し、凸部は稜線、凹部は谷線と呼ばれる。指紋の稜線が触覚提示パネル100の表面の凹部に入り込むことによって接触反力の極大値が生じる。これにより稜線近傍の皮膚に生じる応力集中に対応して、インパルスと呼ばれる刺激を触覚受容器が発射する。この刺激が脳へ伝わることにより、触感が感知される。電極間距離SEが指紋の谷線幅よりも狭いと、触覚提示パネル100の表面の凹部に指紋の稜線が入り込みにくくなることによって、指示体2の振動への指紋の影響が小さくなると考えられる。一般的に、平均的な指紋の凹凸高さは0.05mm〜0.1mm程度、稜線の間隔は約0.3mm〜0.5mm程度、谷線幅は0.1mm程度と言われている。上述したように電極間距離SEが0.1mm以下の場合に指に加わる加速度が顕著に低下しているのは、電極間距離SEが指紋の谷線幅約0.1mmよりも小さいためと考えられる。

(触覚提示タッチパネルの詳細構成) 図18は、触覚提示タッチパネル400の構成を概略的に示すブロック図である。ここでは、複数の励起電極202として励起電極Ty(1)〜Ty(m)が設けられ、複数の検出電極203として検出電極Tx(1)〜Tx(n)が設けられ、複数の触覚電極102として触覚電極H(1)〜H(j)が設けられているとする。触覚電極H(1)〜H(n)は、括弧内の数字に従って順に並んでおり、数字が奇数の場合に第1電極102aに対応しており、数字が偶数の場合に第2電極102bに対応している。また説明を簡略化するために、1つの励起電極202によって1つの行方向配線層206(図8または図10)が構成され、かつ1つの検出電極203によって1つの列方向配線層207(図8または図10)が構成されているものとする。

前述したように、触覚提示タッチパネル400は、タッチパネル200と、触覚提示パネル100とを有している。またタッチパネル200は、タッチスクリーン250と、タッチ検出回路210とを有している。また触覚提示パネル100は、触覚提示スクリーン150と、電圧供給回路110とを有している。

タッチ検出回路210は、励起パルス発生回路215と、電荷検出回路212と、タッチ座標算出回路214と、タッチ検出制御回路213とを有している。タッチ検出制御回路213は、励起パルス発生回路215、電荷検出回路212、およびタッチ座標算出回路214の動作を制御する。励起パルス発生回路215は、励起電極Ty(1)〜Ty(m)へ、順次、励起パルス信号を印加する。電荷検出回路212は、検出電極Tx(1)〜Tx(n)の各々から得られる信号を測定する。これにより電荷検出回路212は、検出電極Tx(1)〜Tx(n)の各々の電荷量を検出する。電荷検出結果の情報は、kを1以上m以下の整数として、励起電極Ty(k)に励起パルス信号が付与されたときの励起電極Ty(k)と検出電極Tx(1)〜Tx(n)の各々との相互容量に対応した値を表す。なお、電荷検出回路212は、タッチ検出制御回路213からの制御信号によって、励起電極Ty(1)〜Ty(m)のうちのどれに励起パルス信号が印加されているかを認識することができる。タッチ座標算出回路214は、上記電荷検出結果に基づいて、指示体2がタッチした座標のデータ(以下、「タッチ座標データ」という)を得る。タッチ座標データは、触覚提示タッチパネル400の外部へ出力されるとともに、触覚提示パネル100の電圧供給回路110へも出力される。

電圧供給回路110は、スイッチ回路112と、触覚提示電圧発生回路113と、触覚提示制御回路114とを有している。触覚提示電圧発生回路113は、スイッチ回路112を介して、触覚電極H(1)〜H(j)のうち第1電極102aに対応するものへ電圧信号Vaを印加し第2電極102bに対応するものへ電圧信号Vbを印加する。言い換えれば、一の方向(図中、横方向)に並んだ触覚電極H(1)〜H(j)に対して、電圧信号Vaおよび電圧信号Vbが交互に印加される。スイッチ回路112は、触覚提示電圧発生回路113からの指令に基づいてオン状態またはオフ状態を取るものである。スイッチ回路112は、オン状態において触覚電極102を触覚提示電圧発生回路113へ接続し、オフ状態において触覚電極102をフローティング状態とする。本実施の形態においては、スイッチ回路112は2つのスイッチ40を有しており、一方がすべての第1電極102aへの電気的経路のスイッチングを行い、他方がすべての第2電極102bへの電気的経路のスイッチングを行う。これら2つのスイッチ40は連動して制御されてよい。

触覚提示制御回路114は、タッチ検出回路210によって検出されたタッチ座標データの情報を参照する。触覚提示制御回路114は、この情報に基づいて触覚提示電圧発生回路113の動作を制御し得る。

(触覚提示タッチパネルの動作) 図19は、触覚提示タッチパネル400(図18)の動作タイミングを概略的に示すタイミングチャートである。

まず、タッチ検出期間P1において、タッチ検出制御回路213から励起パルス発生回路215へ、第1の変換タイミングを表す制御信号が出力される。この制御信号を受けて励起パルス発生回路215は励起電極Ty(1)へ励起パルス信号(充電パルス信号)を与える。これにより、励起電極Ty(1)と、それに平面視において交差する検出電極Tx(1)〜Tx(n)の各々との間の電極間容量(相互容量)が充電される。電荷検出回路212は、検出電極Tx(1)〜Tx(n)を用いて上記充電による電荷量を検出する。そして電荷検出回路212は、その検出結果に対してアナログ/デジタル変換(A/D変換)を施し、それによって得られたデジタル情報を、励起電極Ty(1)に対応する相互容量の電荷検出結果として、タッチ座標算出回路214へ出力する。同様にして、タッチ検出制御回路213から励起パルス発生回路215へ、第2〜第mの変換タイミングを表す制御信号が順に出力される。第2〜第mの変換タイミングのそれぞれに対応して、励起電極Ty(2)〜Ty(m)に対応する相互容量の電荷検出結果がタッチ座標算出回路214へ出力される。

タッチ検出制御回路213は上記制御信号を触覚提示電圧発生回路113にも出力する。この制御信号に基づいて、触覚提示電圧発生回路113はタッチ検出期間P1を認識することができる。タッチ検出期間P1において、触覚提示電圧発生回路113はスイッチ回路112のスイッチ40を遮断する。これにより触覚提示電圧発生回路113とすべての触覚電極102との間の電気的接続が遮断される。その結果、すべての触覚電極102の電位がフローティング状態となる。

次に、タッチ座標算出期間P2において、タッチ座標算出回路214は、電荷検出回路212から入力され保持された、励起電極Ty(1)〜Ty(m)の各々に対応する相互容量の電荷検出結果、言い換えれば励起電極Ty(1)〜Ty(m)と検出電極Tx(1)〜Tx(n)とによって形成されるすべての交差部の容量の電荷検出結果、に基づいて、指示体2によるタッチがあるかどうかを判定する。指などの指示体2の近接または接触によって励起電極202と検出電極203との間の電界結合が緩和される結果、相互容量における充電電荷が低下する。この低下の度合いに基づいてタッチ座標算出回路214はタッチの有無を判定することができる。タッチがあると判定された場合は、タッチ座標算出回路214は、上記電荷検出結果に基づいて、タッチ座標データの算出を開始する。具体的にはタッチ座標算出回路214は、充電電荷の低下度合いが最も大きい交差部とその周辺の交差部とについての検出結果に対して、たとえば重心演算等の演算処理を行うことによって、タッチ座標データを算出することができる。タッチがないと判定された場合は、タッチ座標データの算出は行われず、処理がタッチ検出期間P1に戻る。このような処理を可能とするために、タッチ座標算出回路214はタッチの有無の判定結果を表す信号をタッチ検出制御回路213に付与する。

次に、タッチ座標送出期間P3において、タッチ検出制御回路213からのタッチ座標データ送出タイミングに従って、タッチ座標算出回路214はタッチ座標データを、触覚提示タッチパネル400の外部と、触覚提示パネル100の電圧供給回路110との各々へ出力する。

次に、判定期間P4において、触覚提示制御回路114は、タッチ座標データが触覚提示座標範囲に含まれるか否かを判定する。「触覚提示座標範囲」は、典型的には、上記判定の前に予め設定されている座標であり、触覚提示制御回路114の内部または外部に記憶されている。

タッチ座標データが触覚提示座標範囲に含まれる場合、触覚提示制御回路114はタッチ座標に対応する触覚提示信号波形を選択する。この「触覚提示信号波形」は、電圧信号Vaおよび電圧信号Vbの各々の波形を定義するものである。なお電圧信号Vaと電圧信号Vbとの間での波形の相異は、典型的には、周波数の相異である。触覚提示信号波形は、触覚提示制御回路114の内部または外部において設定されている。触覚提示信号波形の種類は、1つであってもよく、1つより多くてもよい。触覚提示信号波形の種類が1つしか存在しない場合、触覚提示信号波形を選択する処理は必要ない。触覚提示信号波形の種類が1つより多い場合は、典型的には、それぞれの種類に対応した複数の触覚提示座標領域が予め設定されており、タッチ座標がいずれの領域に含まれるかに応じて触覚提示信号波形の種類が選択される。

次に、触覚提示信号印加期間P5において、触覚提示制御回路114は、上記触覚提示信号波形での触覚提示信号を発生する。また、スイッチ回路112のスイッチ40がオン状態とされる。これにより触覚電極102へ信号が印加され、よって触感が提示される。図19の例においては、触覚電極102へ、Hレベル(高レベル)およびLレベル(低レベル)を有するパルス信号が印加される。触覚電極102は、Hレベルの期間において、高電圧、典型的には数十ボルト、で充電され、Lレベルの期間において放電される。パルス信号の発生周期および発生期間は、付与したい触覚に応じて、適宜設定され得る。

上記触覚提示信号印加期間P5の後、処理はタッチ検出期間P1へ戻る。それによって、上述した動作が繰り返される。これにより、触覚提示タッチパネル400は、タッチ位置検出と、タッチ位置に応じた触覚提示とを行うことができる。

図20は、タッチ検出期間P1(図19)における触覚提示タッチパネル400中での静電容量の形成を示す模式図である。タッチ検出期間P1においては、指示体2と検出電極203との間の静電容量CFDが形成される。この期間において、すべての触覚電極102の電位がフローティング状態とされる。これにより、触覚電極102がシールドとして機能してしまうことが避けられる。よってタッチ検出の感度を高めることができる。

図21は、触覚提示信号印加期間P5(図19)における触覚提示タッチディスプレイ1中での静電容量の形成を示す模式図である。触覚提示信号印加期間P5においては、タッチパネル200の励起電極202および検出電極203の電位がフローティング状態とされてよい。これにより、励起電極202および検出電極203による容量形成が静電容量CFEへ及ぼす影響を抑えることができる。代わりに、タッチパネル200の励起電極202および検出電極203の電位が実質的に定電位とされてもよく、たとえば、励起電極202および検出電極203がグラウンド電位へ低インピーダンスで接続されていてもよい。これにより、励起電極202および検出電極203が、触覚電極102と表示パネル300との間のシールドとして機能し得る。よって、触覚電極102に印加される高電圧信号に起因して表示パネル300においてノイズが発生することが抑制される。よって、ノイズに起因しての表示不良を防止することができる。また逆に、表示パネル300に起因して触覚電極102にノイズが発生することが抑制される。

なおフローティング状態が用いられる場合、励起電極202および検出電極203の両方がフローティング状態とされてもよく、あるいは一方がフローティング状態とされてもよい。また定電位が用いられる場合、励起電極202および検出電極203の両方が定電位とされてもよく、あるいは一方が定電位とされてもよい。励起電極202および検出電極203の一方がフローティング状態とされ、他方が定電位とされてもよい。励起電極202および検出電極203の各々と触覚電極102との距離が異なる場合、励起電極202および検出電極203のうち触覚電極102により近い方がフローティング状態とされ、かつ、より遠い方が定電位とされてもよい。

なお図18に示された例においてはタッチ検出回路210から電圧供給回路110へタッチ座標データが送られるが、変形例として、電荷検出回路212から電圧供給回路110へ電荷検出結果の情報が送られてもよい。この場合、電荷検出結果の情報を用いて触覚提示制御回路114が、タッチの有無の判定、および、タッチ座標の算出を行う。

(触覚提示スクリーンの電極構造とタッチスクリーンの電極構造との相異) 触覚電極102の好適な条件として、第1に、指示体2が触覚電極102に誘電体層106以外の部材を介することなく接することができる構成が望まれる。よって、誘電体層106に被覆された触覚電極102は、触覚提示タッチパネル400の最表面に配置されることが好ましい。

第2に、指示体2と触覚電極102との間の距離が近いほど、大きな触感を発生することができる。この観点では、誘電体層106の厚さは小さいことが好ましく、また誘電体層106の誘電率は大きいことが好ましい。

第3に、触感の生成時には静電容量CFE(図21)を大きくするために触覚電極102が密に存在することが望まれる一方で、タッチ位置の検出時(図20)には、静電容量CFDの形成を阻害しないよう、触覚電極102間の静電容量CE、すなわち電極間容量、は小さいことが好ましい。この点について、以下に詳しく説明する。図22は、実施例としてのストライプ構造での触覚電極102間の静電容量と、比較例としてのマトリクス構造での触覚電極間の静電容量の各々と、電極密度との関係のシミュレーション結果を示すグラフ図である。ストライプ構造においては、図3に示すように、触覚電極102がストライプ状に設けられる。これに対してマトリクス構造においては、前述した特開2015−097076号公報の技術のように、互いに交差する触覚電極が設けられる。なお電極密度は、単位面積あたりに触覚電極が設けられている割合を表しており、隣り合う電極間の間隔を変化させることによって調整されている。マトリクス構造に比してストライプ構造においては、電極密度の選択によらず電極間容量が抑制される。

第4に、マルチタッチ時の複数のタッチ位置のいずれかへ選択的に触感を提示する必要がない限り、触覚提示のための電圧印加は、触覚提示スクリーン150上の特定の位置だけで行われる必要はなく、指示体2が接している箇所を含む領域で行われればよい。最も簡素な構成としては、当該領域が触覚提示スクリーン150の触覚提示可能エリア全体とされてよい。本実施の形態ではそのような構成が採用されている。具体的には、電圧供給回路110(図18)は、触覚電極102の複数の第1電極102aのすべてのものへ電圧信号Vaを同時に印加し、かつ触覚電極102の第2電極102bのすべてのものへ電圧信号Vbを同時に印加する。よって、複数の第1電極102aの一部に選択的に電圧信号を印加するための構成、および複数の第2電極102bの一部に選択的に電圧信号を印加するための構成が必要ない。

励起電極202および検出電極203の好適な条件として、第1に、タッチ位置検出の感度およびリニアリティを確保するには、タッチ位置を正確に識別することができるマトリクス構造が必要である。第2に、指示体2と検出電極203とが触覚提示スクリーン150を介して形成した静電容量CFDによってタッチ位置を検知するため、横方向に電界が広がるように励起電極202と検出電極203との間に所定の距離(数百μm以上、数mm以下)を設ける必要がある。

上記のように、触覚電極102の好適な条件と、励起電極202および検出電極203の好適な条件とでは相違がある。両条件を最適化するためには、それらに対して同様の構造を適用することは望ましくない。

(引き出し配線層の詳細) 触覚提示スクリーン150の引き出し配線層105(図12)は、具体的には、引き出し配線層Ld(1)〜Ld(j)および引き出し配線層Lu(1)〜Lu(j)を有している。番号1からjまでのいずれかの整数をkとして、引き出し配線層Ld(k)およびLu(k)の各々は、k番目の触覚電極102に接続されている。引き出し配線層Ld(k)およびLu(k)のそれぞれは、一の触覚電極102の延在方向における一方端および他方端に接続されている。

触覚提示スクリーン150に設けられた触覚電極102の各々の配線抵抗は、タッチスクリーン250によるタッチ検出を阻害しないようにする観点では、高抵抗である方が望ましく、たとえば104Ω以上にするのが望ましい。このように配線抵抗が高い場合、配線層内での電圧信号の伝播遅延が生じやすくなる。上述したように触覚電極102の一方端および他方端の各々に引き出し配線層105が接続されることによって、伝播遅延を抑えることができる。

引き出し配線層Ld(1)〜Ld(j)は、触覚提示可能エリアの外側に配置されており、触覚提示パネル端子部107の配列の中央に近いものから順に、対応する電極へ触覚提示パネル端子部107からほぼ最短距離が得られるように延びている。触覚提示パネル端子部107は、透明絶縁基板101の長辺に沿って、長辺の中央近傍に配置されている。引き出し配線層Ld(1)〜Ld(j)は、相互の絶縁を確保しつつ、なるべく密に配置されている。引き出し配線層Lu(1)〜Lu(j)は、引き出し配線層Ld(1)〜Ld(j)によって占められた領域の外側において、同様に配置されている。このような配置によって、透明絶縁基板101のうち触覚提示可能エリアの外側の部分の面積を抑えることができる。

引き出し配線層105、具体的には引き出し配線層Ld(1)〜Ld(j)および引き出し配線層Lu(1)〜Lu(j)、は、金属単層膜、および、金属単層と非金属単層との積層膜のいずれかから構成されていることが好ましい。積層膜が下層とそれを覆う上層とを有する場合、上層は下層の保護層としての機能を有し得る。たとえば、保護層としての上層が、触覚提示スクリーン150の製造に用いられるエッチング工程において、下層をエッチャントから保護してもよい。あるいは、上層が、触覚提示スクリーン150の製造時または使用時において、下層の腐食を防止するキャップ層として機能してもよい。下層の材料が、上層の材料よりも透明絶縁基板101との密着性に優れた材料とされれば、引き出し配線層105の剥離の発生を抑制することができる。

(効果のまとめ) 本実施の形態によれば、第1に、第1電極102aおよび第2電極102bが同一層上に間隔を空けて配置されているので(図3参照)、構造が簡易化されるとともに第1電極102aおよび第2電極102bは交差部を形成しない。これにより、交差部の凹凸を平坦化するために誘電体層106の厚さを大きくする必要がない。よって、指示体2に作用する静電気力が、厚い誘電体層106に起因して弱まることが避けられる。第2に、間隔を空けて交互に配置された複数の第1電極102aおよび複数の第2電極102bのそれぞれに、第1周波数の電圧信号Vaと第2周波数の電圧信号Vbとが印加される。これにより、誘電体層106を介して第1電極102aおよび第2電極102bにまたがって触れた指示体2に対して、両電圧信号が組み合わさって生成される、入力信号よりも増幅された変調信号により生成される静電気力が作用する。よって、単一の電圧信号が印加される場合に比して、指示体2へ強い静電気力を作用させることができる。以上から、十分に強い触感をより低い電圧信号を用いて発生させることができる。

触覚電極102のピッチPEが7mm以下である場合(図15)は、そうでない場合(図14)に比して、触覚提示パネル100上を移動する指示体2としての指が、常に第1電極102aと第2電極102bとにまたがって位置しやすい。これにより、指示体2に対して連続的に触感を与えることができる。

引き出し配線層105(図12)が、金属単層膜、および、金属単層と非金属単層との積層膜のいずれかから構成されている場合、引き出し配線層の断面積をあまり大きくすることなく配線抵抗を十分に抑えることができるので、引き出し配線層を配置するために要する面積を抑えることができる。あるいは、引き出し配線層105がある程度長くても配線抵抗を十分に抑えることができるので、引き出し配線層105の設計の自由度を向上させることができる。

誘電体層106が、10以上の比誘電率を有する膜を含む場合は、低い比誘電率を有する材料しか用いられない場合に比して、指示体2に加わる静電気力を顕著に大きくすることができる。

電圧供給回路110(図18)は、触覚電極102の複数の第1電極102aのすべてのものへ電圧信号Vaを同時に印加し、かつ触覚電極102の第2電極102bのすべてのものへ電圧信号Vbを同時に印加する動作を行う。その場合、複数の第1電極102aのうちの特定の一部、または、複数の第2電極102bのうちの特定の一部に対して選択的に電圧信号を印加する必要がない。よって電圧供給回路110の構成を簡素化することができる。

電圧供給回路110(図18)は、タッチ検出回路210によって検出された情報を参照してよい。これにより触覚提示タッチパネル400は、タッチについての情報を参照して触感を発生させることができる。なおタッチ検出回路210によって検出された情報は、直接参照されてもよく、タッチ座標算出回路214を介して間接的に参照されてもよい。

<実施の形態2> 図23は、本実施の形態において触覚電極102(図12:実施の形態1)の代わりに用いられている触覚電極102Zの構成を概略的に示す平面図である。触覚電極102Zは、第1電極102aおよび第2電極102bに代わって、第1電極102aZおよび第2電極102bZを有している。触覚電極102の各々は直線状に延びているが、触覚電極102Zの各々は、曲がった部分を有している。

実施の形態1のように触覚電極102の各々が一方向に沿って直線的に延びている場合は、生成される触感の強さが、当該一の方向と指示体2のスライド方向との関係に強く依存する。具体的には、図12を参照して、実施の形態1の触覚電極102上において指示体2が、図中の縦方向にスライドする場合、触感が生成されにくくなる。これに対して本実施の形態によれば、触覚電極102Zが曲がった部分を有することによって、このような方向依存性を抑えることができる。

<実施の形態3> 図24は、本実施の形態において触覚電極102(図12:実施の形態1)の代わりに用いられている触覚電極102Rの構成を概略的に示す平面図である。触覚電極102Rは、第1電極102aおよび第2電極102bに代わって、第1電極102aRおよび第2電極102bRを有している。触覚電極102の各々は直線状に延びているが、触覚電極102Rの各々は、実施の形態2と同様に、曲がった部分を有している、触覚電極102Rの各々はさらに、透明絶縁基板101上において全方位にわたる延在方向を有している。具体的には、触覚電極102Rの各々は、巨視的には、図中、縦方向に延びているが、微視的にみれば、図中、縦方向、斜め方向および横方向に延びている部分を有しており、その結果、全方位にわたる延在方向を有している。

本実施の形態によれば、触覚電極102Rが全方位にわたる延在方向を有している。これにより、実施の形態2に比して、より広いスライド方向に対応して、触感を発生することができる。

<実施の形態4> 図25は、本実施の形態において触覚電極102(図12:実施の形態1)の代わりに用いられている触覚電極102Cの構成を概略的に示す平面図である。触覚電極102Cは、第1電極102aおよび第2電極102bに代わって、第1電極102aCおよび第2電極102bCを有している。触覚電極102Cの各々は、一の方向(図中、縦方向)に直線的に延在する延在部分と、一の方向とは異なる方向(図中、横方向)に向かって上記延在部分から突出する複数の突出部分とを有している。第1電極102aの互いに隣り合う突出部分の間に、第2電極102bの突出部分が侵入している。また、第2電極102bの互いに隣り合う突出部分の間に、第1電極102aの突出部分が侵入している。これにより、触覚電極102Cは、いわゆる櫛歯電極構造を有している。

本実施の形態によれば、触覚電極102が上記延在部分を有することによって、配線長を実施の形態1と同程度に短くすることができ、これにより配線抵抗を、ある程度低く維持することができる。さらに、触覚電極102が上記突出部分を有することによって、触覚電極102の外縁が様々な方向に沿って延びる。これにより、実施の形態2と同様に、触感強度の、指示体2のスライド方向への依存性を、抑制することができる。

<実施の形態5> 図26は、本実施の形態における触覚提示スクリーン150Tの構成を概略的に示す平面図である。触覚提示スクリーン150Tにおいては触覚電極102(図12)として、透明な触覚電極102Tが用いられている。また引き出し配線層105(図12)として、透明な引き出し配線層105Tが用いられている。また、触覚提示パネル端子部107(図12)として、透明な触覚提示パネル端子部107Tが用いられていてよい。なお触覚電極102Tの形状としては、実施の形態1〜4のいずれの触覚電極の形状が適用されてもよい。

本実施の形態によれば、透明な触覚電極102Tを設けつつ、触覚電極102Tの材料と、引き出し配線層105Tの材料とを共通化することができる。これにより、工程を簡素化することができる。

なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜4のいずれかの構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。

<実施の形態6> 図27は、本実施の形態における触覚提示スクリーン150Fの構成を概略的に示す平面図である。触覚提示スクリーン150Fにおいては、引き出し配線層105(図12)に代わり、1対のFPCであるFPC108dおよびFPC108uが設けられている。FPC108dおよびFPC108uのそれぞれは、各触覚電極102の延在方向における一方端および他方端に接続されている。

本実施の形態によれば、引き出し配線層105(図12)の一部または全部を省略することができる。これにより、透明絶縁基板101に占める触覚提示可能エリアの割合を高めることができる。

なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜5のいずれかの構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。

<実施の形態7> 図28は、本実施の形態における触覚提示スクリーン150Lの構成を概略的に示す平面図である。触覚提示スクリーン150Lにおいては、触覚電極102(図12)に代わり、触覚電極102Lが用いられている。触覚電極102Lの各々は、延在方向(図28における横方向)に沿って延びている。複数の触覚電極102Lは、配列方向(図28における縦方向)に沿って、間隔を空けて配列されている。具体的には、複数の触覚電極102Lとして、触覚電極H(1)〜H(j)が順に配列されている。図示されている例においては、透明絶縁基板101は、長辺および短辺を有する長方形状を有しており、よって、触覚提示スクリーン150Lも、対応して、長辺および短辺を有している。また図示されている例においては、配列方向は短辺に沿っている。触覚提示スクリーン150の観察者にとっての垂直方向が短辺に沿っている場合、上記配列方向は垂直方向に沿っている。

触覚提示スクリーン150(図12)には、引き出し配線層Ll(1)〜Ll(j)と、引き出し配線層Lr(1)〜Lr(j)とが設けられている。番号1からjまでのいずれかの整数をkとして、引き出し配線層Ll(k)およびLr(k)の各々は触覚電極H(k)に接続されている。引き出し配線層Ll(k)およびLr(k)のそれぞれは、触覚提示パネル端子部107から、触覚電極H(k)の延在方向における一方端および他方端に接続されている。触覚提示パネル端子部107は、透明絶縁基板101の長辺に沿って長辺の中央近傍に配置されている。

本実施の形態によれば、触覚電極102Lが観察者の垂直方向に沿って配列されている。これにより、指示体2(図2)のスライド方向が垂直方向または垂直方向に近い場合に、使用者に対して、より連続的に触感を知覚させることができる。よって、たとえばエレベータかご用の操作盤のように、垂直方向に沿ったスライドが多用される場合、本実施の形態のように、触覚電極102Lが観察者の垂直方向に沿って配列されていることが好ましい。逆に水平方向に沿ったスライドが多用される場合は、触覚電極が観察者の水平方向に沿って配列されていることが好ましい。このように、触覚電極の配列方向は、触覚提示タッチディスプレイ(図2)の用途に応じて定められることが好ましい。

なお図28においては触覚電極102Lの各々が延在方向に沿って直線状に延びているが、実施の形態2〜4で説明されている微細構造が適用されてもよい。これにより、スライド方向が垂直方向からずれた場合の悪影響を抑制することができる。また、上述した実施の形態5または6の少なくともいずれかの構成が適用されてもよい。

<実施の形態8> 図29は、本実施の形態における触覚提示スクリーン150Sの構成を概略的に示す平面図である。触覚提示スクリーン150Sにおいては、触覚電極102(図12)に代わり、触覚電極102Sが用いられている。触覚電極102Sの各々は、延在方向(図29における、左下から右上への斜め方向)に沿って延びている。複数の触覚電極102Sは、配列方向(図29における、左上から右下への斜め方向)に沿って、間隔を空けて配列されている。図示されている例においては、透明絶縁基板101は、長辺および短辺を有する長方形状を有しており、よって、触覚提示スクリーン150Lも、対応して、長辺および短辺を有している。また図示されている例においては、配列方向は短辺および長辺の各々から傾いている。触覚提示スクリーン150の観察者にとっての水平方向および垂直方向のそれぞれが長辺および短辺に沿っている場合、上記配列方向は、水平方向および垂直方向の各々から傾いている。

本実施の形態によれば、触覚電極102Sの配列方向が観察者の水平方向および垂直方向の各々から傾いている。これにより、指示体2(図2)のスライド方向が水平方向および垂直方向のいずれであっても、スライド方向と配列方向とが直交することが避けられる。よって、指示体2が主に水平方向または垂直方向に沿ってスライドすることが想定される用途において、スライド方向と配列方向とが直交することに起因して触感が発生しにくくなることが避けられる。このような用途においては、図29に示されているように各々が単純に直線的に延在している触覚電極102S、言い換えれば単純なストライプ上に配列されている複数の触覚電極102S、であっても、ほぼ常に十分な触感を発生させることができ、かつ、触覚提示スクリーンの構成を簡素なものとすることができる。

なお用途によっては、実施の形態2〜4で説明されている微細構造が適用されてもよい。これにより、スライド方向が配列方向からずれた場合の悪影響を抑制することができる。また、上述した実施の形態5または6の少なくともいずれかの構成が適用されてもよい。

<実施の形態9> 図30は、本実施の形態における触覚提示スクリーン150Aの構成を指示体2と共に示す平面図である。図31は、触覚提示スクリーン150Aを有する触覚提示パネル100とタッチパネル200との構成を概略的に示すブロック図である。

触覚電極102に含まれる、第1電極102aおよび第2電極102bは、触覚提示可能エリアの全体において、交互に配置されている。本実施の形態においては、透明絶縁基板101は複数の分割領域101aおよび101bを含む。複数の触覚電極102は、分割領域101aおよび101bのそれぞれの上に配置された複数の電極群に分類されている。複数の電極群の各々には複数の第1電極102aのうちの複数の電極と第2電極102bのうちの複数の電極とが含まれている。図示されている例においては、複数の触覚電極102が、触覚電極H(1)〜H(k)を有する電極群と、触覚電極H(k+1)〜H(j)を有する電極群とに分類されている。なお群の数は、2以上の任意の数である。

電圧供給回路110Aは、複数の電極群のうちどの群へ電圧信号を印加するか選択可能に構成されている。言い換えれば、電圧供給回路110Aは、複数の電極群のうち特定の群へのみ電圧信号を印加しつつ他の群へは電圧信号を印加しないようにすることができる。この特定の群は、指示体2が分割領域101aおよび101bのうちどの分割領域上に位置しているかに基づいて選択される。指示体2が位置している分割領域に対応する電極群に対して、電圧信号が印加される。

上記動作を行うため、触覚提示電圧発生回路113Aは、指示体2が分割領域101aおよび101bのうちどの分割領域上に位置しているか特定することができる情報を、触覚提示制御回路114から受け取る。この情報は、タッチ座標データであってもよく、あるいは特定の分割領域を直接表すデータであってもよい。

スイッチ回路112Aは、分割領域101aおよび101bのそれぞれに対応して、1対のスイッチ40aおよび1対のスイッチ40bを有している。より一般的に言えば、複数の分割領域のそれぞれに対応して、複数対のスイッチが設けられている。分割領域101aに対応する電極群に電圧信号が印加される場合、触覚提示電圧発生回路113Aからの指令に基づいて、1対のスイッチ40aがオン状態とされ、かつ1対のスイッチ40bがオフ状態とされる。

1対のスイッチ40aは連動して制御されてよい。2つのスイッチ40aの一方および他方のそれぞれは、第1周波数の電圧信号Vaおよび第2周波数のVbの供給を制御するものである。2つのスイッチ40aの一方および他方のそれぞれは、触覚電極H(1)〜H(k)のうち奇数番のものおよび偶数番のものに接続されている。同様に、1対のスイッチ40bは連動して制御されてよい。2つのスイッチ40bの一方および他方のそれぞれは、第1周波数の電圧信号Vaおよび第2周波数のVbの供給を制御するものである。2つのスイッチ40bの一方および他方のそれぞれは、触覚電極H(k+1)〜H(j)のうち奇数番のものおよび偶数番のものに接続されている。

なお、指示体2の位置が分割領域101aと101bとの境界近傍にある場合は、指示体2が境界を横切る可能性を考慮して、分割領域101aに対応する電極群と分割領域101bに対応する電極群との両方に電圧信号が印加されてもよい。

なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜8のいずれかの構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。

本実施の形態によれば、電圧供給回路110Aは、複数の電極群のうちどの群へ電圧信号を印加するか選択可能に構成されている。これにより消費電力を低減することができる。また本実施の形態によれば、複数の電極群の各々には、複数の第1電極102aのうちの複数の電極と、第2電極102bのうちの複数の電極とが含まれている。このような電極群を単位として電圧信号が印加されることによって、各電極が完全に独立して制御される場合に比して、回路構成が過度に複雑化することを避けることができる。

<実施の形態10> 図32は、本実施の形態における触覚提示スクリーン150Eの構成を指示体2と共に示す平面図である。図33は、触覚提示スクリーン150Eを有する触覚提示パネル100とタッチパネル200との構成を概略的に示すブロック図である。

電圧供給回路110Eは、複数の触覚電極102の各々へ電圧信号を印加するか否か選択可能に構成されている。具体的には、電圧供給回路110Eは、複数の触覚電極102のうち、透明絶縁基板101上の特定の部分領域101T上に位置する電極へのみ電圧信号を印加しつつ、他の電極へは電圧信号を印加しないようにすることができる。この部分領域101Tは、指示体2によってタッチされている箇所を含む領域であり、当該箇所を中心に予め定められた範囲となるよう設定されてもよい。

上記動作を行うため、触覚提示電圧発生回路113Eは、指示体2が透明絶縁基板101上のどの部分に接触しているかを特定することができる情報を触覚提示制御回路114から受け取る。この情報として、本実施の形態においては、タッチ位置座標と、接触面CT(図3)のサイズ(以下、「タッチサイズ」という)とを用いる。タッチ位置座標およびタッチサイズは、タッチ座標算出回路214Aによって算出される。タッチサイズは、検出電極203の電荷量の低下度合の分布から算出することができる。触覚提示電圧発生回路113Eは、タッチ位置座標およびタッチサイズの情報に基づいて、部分領域101Tを判定する。触覚電極H(1)〜H(j)のうち、誘電体層106(図3)を介して指示体2に少なくとも部分的に接しているものが配置された領域は、部分領域101Tに含まれるものと判定される。またこの判定によって設定された領域を中心に、予め定められた範囲が追加されてもよい。あるいは、部分領域101Tのサイズが予め定められてもよい。

図32に示された例においては、指示体2が接触している触覚電極H(k+1)およびH(k+2)が配置された領域が部分領域101Tに含まれており、それを中心にしてさらに、触覚電極H(k)が配置された領域と、触覚電極H(k+3)が配置された領域とが部分領域101Tに含まれている。この状態は、図33に示された部分領域101Tがt=3によって定められている状態に対応している。図33に示されているように、順に配列された触覚電極H(1)〜H(j)のうち、順に配列された2つ以上の触覚電極H(k)〜H(k+t)に対して、電圧信号が印加される。

スイッチ回路112Eは、触覚電極H(1)〜H(j)のそれぞれに接続された複数のスイッチ40を有している。これら複数のスイッチ40の各々は、触覚提示電圧発生回路113Eからの指令に基づいて、独立して動作可能である。あるスイッチ40がオン状態とされることによって、触覚電極H(1)〜H(j)のうち対応するものに電圧信号が印加される。触覚電極H(1)〜H(j)のうち、奇数番のものに接続されているスイッチ40は第1周波数の電圧信号Vaの供給を制御するものであり、偶数番のものに接続されているスイッチ40は第2周波数のVbの供給を制御するものである。

なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1〜8のいずれかの構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。

本実施の形態によれば、電圧供給回路110Eは、複数の触覚電極102の各々へ電圧信号を印加するか否か選択可能に構成されている。これにより、各時点において電圧信号を、触感の発生に寄与すると推定される触覚電極102のみへ印加することができる。よって消費電力を大幅に低減することができる。

<実施の形態11> (電極形状) 図34は、本実施の形態において触覚電極102(図12:実施の形態1)の代わりに用いられている触覚電極102Hの構成を概略的に示す平面図である。触覚電極102Hは、第1電極102aおよび第2電極102b(図12)に代わって、第1電極102aHおよび第2電極102bHを有している。触覚電極102の各々は直線状に延びているが、触覚電極102Hの各々は、曲がった部分を有している。これにより、より長い触覚電極を配置することができ、触覚電極と指示体2との接触面積を大きくすることができる。よって、指示体2と触覚電極との間に形成される容量をより大きくすることで、より強い触感を得ることができる。

具体的には、触覚電極102Hの各々、言い換えれば第1電極102aHおよび第2電極102bHの各々、は、巨視的にみて一の延在方向(図34における縦方向)に延在しつつも、微視的にみれば曲がりを有している。これら曲がった箇所の間隔を、以下、間隔SKと称する。具体的には、触覚電極102Hの各々が微視的に曲がりを有していることによって、触覚電極102Hの縁が上記延在方向にちょうど平行になる局所的箇所が、触覚電極102Hの延在方向に沿って一定の周期で繰り返し存在している。これらの箇所の間隔が間隔SKに対応している。

(指示体2の移動方向による触感差異の電極形状依存性) 触覚電極によって生成される触感は、触覚電極がどのように延びているかに依存する。このことについて、以下に説明する。

図35を参照して、まず、前述した実施の形態1のように、触覚電極102の各々が一の方向(図中、縦方向)に沿って直線的に延びている場合について説明する。この場合、生成される触感は、当該一の方向と、指示体2のスライド方向との関係に大きく依存する。図中、矢印A、BおよびCのそれぞれは、触覚電極の延在方向(図中、下方向)に対するスライド方向が、反時計回りに、0°、+45°および+90°の場合を示している。隣り合う第1電極102aHおよび第2電極102bHは指示体2との間で容量を形成し、この容量に起因して電界が生じる。0°の方向(図中、縦方向)に直線的に延びる触覚電極102の場合、+90°の方向(図中、横方向)に沿う電界が、0°方向に沿って連続的に分布する。指示体2のスライド方向が矢印Aに沿う場合、指示体2は、同じ組の電極によって生成される電界中を移動する。一方、指示体2のスライド方向が矢印BまたはCに沿う場合、指示体2は、異なる組の電極によって生成される電界をまたぎながら移動する。以上から、矢印A、BおよびCの場合の間で、触感に大きな差異がある。

これに対して、本実施の形態11の場合、例えば図36に示されているように、触覚電極102Hは、巨視的には0°方向(図中、縦方向)に沿って延びているものの、微視的には+45°方向および−45°方向に沿ってジグザグに延びている。これにより、±45°方向に沿う電界がジグザグに分布する。その結果、矢印A、BおよびCのいずれの場合であっても、指示体2は、異なる組の電極によって生成される電界をまたぎながら移動する。以上から、矢印A、BおよびCの場合の間での触感の差異が抑制される。言い換えれば、指示体2の移動方向に依存しての触感の差異を抑制することができる。

図36においては、触覚電極の延在方向が+45°および−45°の2つの度成分を有するが、より多くの角度成分を有する場合、上述した方向依存性を、より効果的に抑制することができる。例えば、延在方向が円弧成分を有する触覚電極102R(図24)の場合、方向依存性を顕著に抑制することができる。触覚電極の延在方向の角度成分は、それが設けられる触覚提示タッチディスプレイ上において指示体2がスライドする方向を考慮して最適化されることが好ましい。

(回折光の発生) 図37を参照して、上述したように、触覚電極102Hの各々が微視的に曲がりを有していることによって、触覚電極102Hの縁は、延在方向にちょうど平行になる局所的箇所BPを有している。図中、これら局所的箇所BPが小円で表わされている。局所的箇所BPは、回折光が集光することで、他の箇所よりも明るくなり得る。言い換えれば、局所的箇所BPには輝点が生じやすい。なお、図37においては、触覚電極102Hの各々が、斜め方向に沿って延びる複数の直線的部分を有しており、これら直線的部分の境界が局所的箇所BPに対応しているが、このような直線的部分が存在しない場合であっても、触覚電極が微視的に曲がりを有していれば、触覚電極の縁が延在方向にちょうど平行になる局所的箇所が存在する。

図示されているように、輝点は格子状の配置を有し得る。このような格子状パターン上の反射光は、格子状パターンの透過光におけるフラウンホーファー回折と同様の理論で説明することができる。回折光の光強度分布I1(x)は、以下の式で表される。

一般に、光軸に沿って直進してきた光に相当する光(0次回折光)の次に光強度の強い回折光が±1次回折光と呼ばれる。上式によれば、±1次回折光強度は、0次回折光強度の約4%である。図37に示すように局所的箇所BPが規則正しく配置されている場合、肉眼では、輝点が連なって1本の輝線として視認される。具体的には、図37に示すように輝点間のX方向における間隔がY方向における間隔よりも小さい場合は、X方向に配列する輝点が連なることによって、X方向に延在する1本の輝線として視認される。複数の上記配列がY方向に等ピッチで存在することから、複数の輝線がY方向に等ピッチで配列しているように視認される。すなわち、明暗の縞模様が視認される。なお、観察者への輝線の見え方は、輝点の明るさ、局所的箇所BPの配置、および視距離(ディスプレイと観察者との間の距離)などによって決まる。

図38は、視距離500mmのときに明暗の縞模様が可視であるか不可視であるかを、揮線のピッチと、非触覚電極部の反射率(言い換えれば、触覚電極が存在しない部分での反射率)との関係で示すグラフ図である。よって、可視領域と不可視領域との境界線が、視認限界のピッチに対応する。視認限界ピッチは、以下の式で表される(文献:Electronic Journal R&D Review of Toyota CRDL. Vol. 35 No. 2)。

視認限界ピッチよりも狭いピッチの縞模様は視認されず、視認限界ピッチよりも広いピッチの縞模様は視認される。なお、図38のグラフの計算条件に用いられている視距離500mmは、車両内に配置されたディスプレイをドライバが指でタッチ操作する状況を想定して選択されているものである。ドライバと車載ディスプレイとの間の代表的な距離は750mmであるが、この距離はタッチ操作時は小さくなると考えられるため、500mmの値が選択されている。触覚電極が配置されていない部分(非触覚電極部)の反射率は、本実施の形態における典型例としては約4%であり、図38のグラフによれば、そのときの輝線の視認限界ピッチは1mmである。よって、輝線のピッチが1mm以下であれば、観察者に視認される可能性を十分に抑えることができる。視距離500mmの条件下、間隔SKに対応するピッチを有する揮線が視認されるか否かを検討した結果を、以下の表に示す。

上記表に示すように、ピッチ、すなわち間隔SK、が1mm以下の場合、輝線が視認されず、1mmより大きいと揮線が視認された。なお、触覚電極と透明絶縁基板との間に、屈折率を調整するインデックスマッチング(IM)層が形成されてもよい。IM層が反射光を低減することにより、輝線の明度も低減する。よってこの場合は、輝線のピッチが1mm以上であっても視認されなくなる。また、視距離が500mmよりも遠くなればなるほど、輝線ピッチが1mm以上あっても視認され難くなる。

(効果のまとめ) 本実施の形態によれば、触覚電極102Hの各々は、曲がった箇所を有している。これにより、指示体2の移動方向に依存しての触感の差異を抑制することができる。また、これにより電極長が長くなることによって、指と電極との間に、より大きな容量が形成される。よって、十分に強い触感をより低い電圧信号を用いて発生させることができる。

曲がった箇所の間隔である間隔SKが1mm以下とされることによって、回折光による複数の輝点からなる輝線の視認性が抑制される。これにより、本来の画像とは無関係な、触覚電極の配置に起因しての縞模様が、観察者に視認されにくくなる。

<実施の形態12> 図39は、本実施の形態において触覚電極102(図12:実施の形態1)の代わりに用いられている触覚電極102Xの構成を概略的に示す平面図である。触覚電極102Xは、第1電極102aおよび第2電極102b(図12)に代わって、第1電極102aXおよび第2電極102bXを有している。触覚電極102の各々は直線状に延び矩形形状を有しているが、触覚電極102Xの各々は、複数の菱形が連なった形状を有しており、よって曲がった箇所を有している。図示された構成においては、菱形部の間に、当該菱形部の幅よりも小さい幅で直線状に延在する矩形部が配置されている。また、第1電極102aXおよび第2電極102bXは、上述した菱形部の周期的配列に関して、半周期のずれで配置されている。また第1電極102aXの縁と第2電極102bXの縁とが間隔を空けて平行に延びており、これらの縁に垂直な方向における両者の間の間隔が電極間距離SEに対応している。

本実施の形態によれば、触覚電極の各々が曲がった箇所を有することにより、実施の形態11とほぼ同様に、指示体2の移動方向に依存しての触感の差異を抑制することができる。さらに、本実施の形態によれば、触覚電極102Xの各々が菱形部を有していることから、触覚電極の各々の一方の縁および他方の縁(図39における菱形の右辺および左辺)は、異なる方向に延びることができる。これにより、触覚電極が生成する電界の方向の多様性を増大させることができる。よって、指示体2の移動方向に依存しての触感の差異を抑制する効果がさらに高められる。

なお図39においては電極間距離SEが一定であるが、電極間距離SEは必ずしも一定でなくてもよい。また、好適な電極間距離SEの大きさは、実施の形態1と同様である。

また、図39では、曲がった箇所がXY方向に等ピッチにならんでいるが、曲がった箇所は不均一に配置されてもよい。それにより、輝点の集合が揮線として視認されにくくなる。よって、本来の画像とは無関係な、触覚電極の配置に起因しての縞模様が、観察者に視認されにくくなる。

<実施の形態13> 図40は、本実施の形態において触覚電極102(図12:実施の形態1)の代わりに用いられている触覚電極102Yの構成を概略的に示す平面図である。触覚電極102Yは、第1電極102aおよび第2電極102b(図12)に代わって、第1電極102aYおよび第2電極102bYを有している。第1電極102aYの各々は、複数の楕円が連なった形状を有しており、これにより、曲がった箇所を有している。図示された構成においては、楕円部の間に、当該楕円部の幅よりも小さい幅で直線状に延在する矩形部が配置されている。なお楕円は円であってもよい。第2電極102bYの各々は、上記複数の楕円部のそれぞれに間隔を空けて対向する縁を有する複数の凹状部が連なった形状を有しており、これにより、曲がった箇所を有している。図示された構成においては、凹状部の間に、当該凹状部の最大幅で直線状に延在する矩形部が配置されている。また第1電極102aYの縁と第2電極102bYの縁とが間隔を空けて平行に延びており、これらの縁に垂直な方向における両者の間の間隔が電極間距離SEに対応している。

本実施の形態によれば、実施の形態12とほぼ同様の効果が得られる。

さらに、本実施の形態によれば、第1電極102aYの各々が楕円部を有している。楕円部の縁の延在方向は、全体として見れば、ほぼ全方位にわたる。また、第2電極102bYの各々が凹状部を有している。凹状部の縁の延在方向は、全体として見れば、ほぼ全方位にわたる。これにより、触覚電極が生成する電界の方向の多様性を顕著に増大させることができる。よって、指示体2の移動方向に依存しての触感の差異を抑制する効果が顕著に高められる。

なお図40においては電極間距離SEが一定であるが、電極間距離SEは必ずしも一定でなくてもよい。また、好適な電極間距離SEの大きさは、実施の形態1と同様である。

なお本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。

102,102C,102L,102H,102R,102S,102T,102X,102Y,102Z 触覚電極、105,105T 引き出し配線層、203 検出電極、1 触覚提示タッチディスプレイ、2 指示体、106 誘電体層、10a,10b 接着材、40,40a,40b スイッチ、100 触覚提示パネル、101 透明絶縁基板、101T 部分領域、101a,101b 分割領域、102a,102aC,102aH,102aR,102aX,102aY,102aZ 第1電極、102b,102bC,102bH,102bR,102bX,102bY,102bZ 第2電極、107,107T 触覚提示パネル端子部、108,108d,108u FPC、110,110A,110E 電圧供給回路、112,112A,112E スイッチ回路、113,113A,113E 触覚提示電圧発生回路、113a 第1電圧発生回路、113b 第2電圧発生回路、114 触覚提示制御回路、150,150A,150E,150F,150L,150S,150T 触覚提示スクリーン、200 タッチパネル、201 基板、204 層間絶縁層、205 絶縁層、206 行方向配線層、206B ブリッジ、207 列方向配線層、208 タッチスクリーン端子部、209 シールド配線層、210 タッチ検出回路、212 電荷検出回路、213 タッチ検出制御回路、214,214A タッチ座標算出回路、215 励起パルス発生回路、250,250a,250b タッチスクリーン、300 表示パネル、400 触覚提示タッチパネル。

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