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Gold single crystal thin film and its production and application therefor

阅读:41发布:2021-09-19

专利汇可以提供Gold single crystal thin film and its production and application therefor专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE: To produce the gold single crystal thin film usable for the comb-shaped electrodes of a surface acoustic wave element having excellent mechanical migration resistance and oxidation deterioration resistance, a curved crystal for X-ray spectroscopy having an excellent wavelength resolving power and light condensing performance, an adhesive element by the stress relieving of the common electrode of a liquid crystal panel and the coagulation effect utilizing the superplane of the gold thin film, etc.
CONSTITUTION: The gold complex in a gold complex soln. is subjected to a decomposition treatment, by which the gold in the soln. is changed into a supersatd. state. A substrate 1 is brought into contact with this soln. to form the nucleus of the gold on the surface of the substrate 1 and the gold thin film consisting of the gold single crystal or gold single crystal group is grown by self-matching on the surface of the substrate on the basis of such nucleus, by which the gold single crystal thin film 3 is obtd.
COPYRIGHT: (C)1994,JPO&Japio,下面是Gold single crystal thin film and its production and application therefor专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 金錯体溶液中の金錯体を分解処理することで溶液中の金を過飽和状態に移行させ、基板表面に金単結晶又は金単結晶群からなる金薄膜を成長させることによって得られる金単結晶薄膜。
  • 【請求項2】 前記単結晶が、111方位の高い単結晶であることを特徴とする請求項1に記載の金単結晶薄膜。
  • 【請求項3】 前記金錯体が、[AuI 4-を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金単結晶薄膜。
  • 【請求項4】 前記金錯体が、[AuCl 4-を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金単結晶薄膜。
  • 【請求項5】 前記分解処理が、前記金錯体を構成する成分の溶液系からの揮発により行われたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金単結晶薄膜。
  • 【請求項6】 前記分解処理が、還元剤の溶液系への添加により行われたものであることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の金単結晶薄膜。
  • 【請求項7】 金錯体溶液中の金錯体を分解処理することで溶液中の金を過飽和状態に移行させ、基板表面に金単結晶又は金単結晶群からなる金薄膜を成長させることを特徴とする金単結晶薄膜の製造方法。
  • 【請求項8】 前記単結晶が、111方位の高い単結晶であることを特徴とする請求項7に記載の金単結晶薄膜の製造方法。
  • 【請求項9】 前記金錯体が、[AuI 4-を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の金単結晶薄膜の製造方法。
  • 【請求項10】 前記金錯体が、[AuCl 4-を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の金単結晶薄膜の製造方法。
  • 【請求項11】 前記分解処理が、前記金錯体を構成する成分の溶液系からの揮発により行われたものであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の金単結晶薄膜の製造方法。
  • 【請求項12】 前記分解処理が、還元剤の溶液系への添加により行われたものであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の金単結晶薄膜の製造方法。
  • 【請求項13】 圧電基板に設けられた少なくとも一つの櫛型電極により、弾性表面波を発生及び受信させる弾性表面波素子において、櫛型電極を、金単結晶または、
    金単結晶群よりなる薄膜で形成したことを特徴とする弾性表面波素子。
  • 【請求項14】 前記金単結晶または金単結晶群よりなる薄膜が請求項1の薄膜であることを特徴とする請求項13の弾性表面波素子。
  • 【請求項15】 前記金単結晶群よりなる薄膜が、核形成密度の大きい材料からなる面と、核形成密度の小さい材料からなる面とを隣接して配した基板に、金錯体溶液中の金錯体を分解処理することで、溶液中の金を過飽和状態に移行させ、前記核形成密度の大きい材料表面のみに単結晶群からなる金結晶薄膜を形成させたものであることを特徴とする請求項13の弾性表面波素子。
  • 【請求項16】 前記核形成密度の大きい材料からなる面が、単一核が形成される程充分微細な面であることを特徴とする請求項15の弾性表面波素子。
  • 【請求項17】 前記核形成密度の大きい材料が半導体材料であることを特徴とする請求項15または16の弾性表面波素子。
  • 【請求項18】 前記核形成密度の大きい材料が導電性材料であることを特徴とする請求項15または16の弾性表面波素子。
  • 【請求項19】 前記核形成密度の小さい材料が絶縁性材料であることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項の弾性表面波素子。
  • 【請求項20】 X線分光用湾曲結晶において、所望形状の湾曲基板表面に、基板表面と垂直方向で111方位で配向した金単結晶群よりなるX線回折層を形成したことを特徴とする多結晶型X線分光用湾曲結晶。
  • 【請求項21】 前記単結晶群が請求項1の金単結晶薄膜であることを特徴とする請求項20の多結晶型X線分光用湾曲結晶。
  • 【請求項22】 前記金単結晶群の基板表面に対する配向性において、金単結晶群のX線回折方による回折強度曲線でピーク半値幅が10 -2 rad以下であることを特徴とする請求項20の多結晶型X線分光用湾曲結晶。
  • 【請求項23】 液晶光学パネルの電極であって、駆動配線により遮光される部分に遮光されない部分の電極と別の工程で電極部を設けたことを特徴とする電極。
  • 【請求項24】 前記駆動配線により遮光される部分の電極が請求項1の金単結晶薄膜であることを特徴とする請求項23の電極。
  • 【請求項25】 強誘電性液晶を用いた液晶光学パネルに用いられることを特徴とする請求項23または24の電極。
  • 【請求項26】 Si基板上に超平面を有する請求項1
    の金単結晶薄膜を設け、該単結晶薄膜の超平面同士を互いに重ね合わせた後、極めて小さい荷重を印加するだけで接着を可能とする前記金単結晶薄膜からなる接着素子。
  • 【請求項27】 前記荷重の印加が常温で行われることを特徴とする請求項26の接着素子。
  • 【請求項28】 平板状であることを特徴とする請求項26または27の接着素子。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、各種エレクトロニクス技術に有用な装置あるいは素子、特に、弾性表面波素子、X線を分光すると同時に集光あるいは結像する多結晶型X線分光用湾曲結晶、液晶光学パネルの電極、及び金薄膜超平面を利用して凝着作用によって接着を行わせる接着素子に関し、またそれらに用いられる金単結晶または金単結晶群よりなる薄膜及びその製造方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】まず、第1の発明、弾性表面波素子に関する従来技術について説明する。

    【0003】圧電基板に設けられた少なくとも一つの櫛型電極(IDT)により、弾性表面波を発生及び受信させる弾性表面波素子は、近年盛んに研究され、フィルタ、共振器、コンボルバなどに広く応用されている。 また、圧電基板に設けられた櫛型電極(IDT)に高周波の電気信号を入すると、圧電基板の圧電効果により電気−機械変換が起こり、弾性表面波が発生し、圧電基板上を伝搬することが知られている。 これらの櫛型電極(IDT)はAl,Auなどの導電性材料からなり、通常、フォトリソグラフィー技術を用いて形成される。

    【0004】図19は、このような従来の弾性表面波素子を示す概略図であり、(a)は平面図を(b)は(a)のAA'線での断面図である。 図中、1はニオブ酸リチウム(LiNb 3 )、タンタル酸リチウム(Li
    TaO 3 )、晶(SiO 2 )などの圧電基板、6は圧電基板1の表面上に形成された櫛型電極である。

    【0005】しかしながら、上記例の弾性表面波素子では、櫛型電極は主に蒸着法や、スパッタ法などで成膜された多結晶のAlで形成されているため、弾性表面波応力によって、メカニカルマイグレーションが発生し、櫛型電極指が断線するなどの電極劣化の問題があった。

    【0006】このメカニカルマイグレーションは、多結晶メタル原子が弾性表面波応力によって粒界拡散することにより発生すると考えられる。

    【0007】櫛型電極に加わる弾性表面波応力は、電力と周波数が高くなるほど大きくなるため、高周波の大電力伝送が必要とされる通信用弾性表面波フィルタや、弾性表面波共振器では電極劣化はさらに問題となってくる。

    【0008】特に、800MHz帯で1〜5Wの電力を必要とする自動車電話用弾性表面波素子では櫛型電極の改善が不可欠である。

    【0009】この様なメカニカルマイグレーションによる電極劣化を抑えるために、例えば、AlにCuやNi
    を添加してメタル原子の粒界拡散を抑える方法が検討されているが、更なる高耐久性が必要であり、また電極膜組成のばらつきや変動、電極膜抵抗の増加などの問題があった。

    【0010】次に、第2の発明、多結晶型X線分光用湾曲結晶に関する従来技術について説明する。

    【0011】波長1〜10Å程度の比較的波長の短いX
    線は結晶構造評価や組成分析等に広く利用されている。

    【0012】これらの測定には、所望の波長のみを取り出す必要がしばしば生じる。 この波長域では、フィルター、分光結晶、全反射鏡等が分光作用を持つ。 これらのうち、フィルターと全反射鏡は波長帯域が広く、また帯域の制約も大きい。 このため、狭い波長帯域が必要な場合には分光結晶が使われている。 また、X線光学系では、X線を分光すると同時に、X線を集光する、あるいはX線像を結像するという作用が要求される場合がある。 前記狭い波長帯域でこれらを行う場合には、結晶を所望形状に湾曲させて分光作用と同時に集光作用をもたせた湾曲結晶が多く用いられている。

    【0013】X線を1次元方向のみ集光あるいは結像させる場合には、円筒形状の湾曲結晶が用いられる。 これに対して2次元的にX線を集光あるいは結像させる場合には、楕円面、球面等の3次元的に湾曲させた結晶を用いる。

    【0014】湾曲分光結晶は、結晶材料の塑性変形あるいは弾性変形を利用しており、このため曲率半径が10
    cm程度に小さくなると、加工時の歪みにより結晶に割れが生じてしまう。 このため、集光性能、分光性能が低下し、結像に使用する場合には均質なX線像の結像が得られなかった。 したがって、この様な曲率半径の小さい結晶の作製は困難であり、そのため装置が大型化してしまうという問題があった。 また、楕円面、球面等の3次元曲面への対応も難しかった。

    【0015】これらを解決するために、結晶を薄く切り出し、所望曲面へ貼り付ける等の工夫がなされているが、結晶の割れ、転位等を防ぐことはできず、応力による分解能の低下も生じてしまう。

    【0016】更には、結晶に細かいピッチで切り込みを入れ、所望形状の曲面基板上に接合する方法も試みられている。 しかしながら、この加工は切り込みのピッチが細かく、切り込みが深くなければならないために加工が非常に難しいという問題を抱えている。

    【0017】その他、所望曲面基板上にグラフォエピタキシーや選択核形成の技術を用いて単結晶薄膜を成長させる方法が提案されている。 グラフォエピタキシーは基板表面に微細構造を形成し、結晶核の方位が基板構造に影響される性質を利用して結晶方位の揃った多結晶核を発生させ、これを成長させて連続して単結晶化しようというものである。 また、選択核成長法は、核形成密度の低い基板表面に核形成密度の高い領域を微細に設け、膜形成物質の堆積を行うと、高核形成密度を有する物質上に単一核が形成され、低核形成密度を有する基板表面上まで成長し、多結晶薄膜が形成されるものである。

    【0018】湾曲分光結晶では、X線の回折すべき結晶格子面が所望形状に湾曲していなければならない。 このため、前記方法では所望形状の曲面基板上に平行に結晶格子面を持つような結晶の配向性を制御して成長させ、
    基板曲面に沿った結晶面を持つ多結晶あるいは単結晶薄膜を形成するものである。 現在のところ、グラフォエピタキシー法においても完全な単結晶は得られず、モザイク状の多結晶となるため、実際には個々の結晶が基板面に対して垂直に配向した多結晶薄膜となる。

    【0019】多結晶薄膜を曲面基板上に形成して分光結晶とする時、最も問題となるのは、個々の結晶面と基板面の平行度である。 この許容値は焦点距離や像分解能、
    エネルギー分解能等によって決まる。 例えば、倍率20
    倍、結晶面と像との距離10cmの結像系で、像分解能10μmを得るためには、結晶のずれは10 -3 rad以下である必要がある。 一般に、単結晶をX線回折法により回折強度曲線を測定した場合、その広がりは10 -4 ra
    d程度であるが、前記グラフォエピタキシーで得られた多結晶薄膜の結晶性は基板と垂直方向、水平方向の配向性ともにかなりのばらつきがあり、今問題となっている垂直方向の配向性に付いては2.5×10 -2 rad程度以上のばらつきがある場合がある。 選択核成長では結晶のずれ角は更に大きい。 このため、これらの方法で作製した多結晶分光結晶では分光性能、集光性能、結像性能が充分に得られないことが問題とされている。

    【0020】また、選択核成長法等では、CVD法で結晶薄膜を形成し、基板温度を数百度以上に上昇させるため、あらかじめ所望形状に研磨等で成形しておいた基板が大幅に変形してしまうことも問題であった。

    【0021】次に、第3の発明、液晶光学パネルの電極に関する従来技術について説明する。

    【0022】エレクトロニクス技術、とりわけ半導体技術の進歩に伴って、取扱い得る情報量は加速度的に増加している。 これに対応して、電子機器と人間との情報交換の大部分が視覚を通して行われていることから、ディスプレーに対する依存度はますます高まってきている。

    【0023】従来の液晶光学パネルをより高階調、高コントラスト、高輝度にするために、あるいは大画面で高画質を実現するためのパネルの大型化、多画素化が盛んに研究開発されている。 このパネルの大型化と高性能化を同時に満足させるためには、今までの液晶パネル製造技術ではあまり問題視されていなかった技術内容に関し要求度が高くなっている。

    【0024】従来、液晶光学パネルは例えば、TFT−
    LCDでアモルファスSiを用いた例があり、図27にその一般的な構成を示す。 同図において、213はアモルファスSi、214はゲート電極、215はゲート絶縁膜、216は画素電極、217は保護膜、218はドレイン電極(V D )、219はソース電極(V COM )、2
    20はブラックマトリクス、221はカラーフィルターを示す。 また203は配向膜、204はガラス基板、2
    07は共通電極(V COM )、209は液晶を示す。 画素電極216に対する共通電極207は図に示されるようにパネル一面にベタで膜形成されているのが一般的である。 通常は、ITO等が透過率が高い電極として用いられており、また、導電性がよく、透過率が良いという2
    つの条件を満たすための成膜法としてはスパッタ法が用いられている。

    【0025】しかしながら、従来の構成では共通電極をスパッタ法ITO等でベタ付けしていたことから、応力によりガラス基板に歪みが生じるという問題点があった。 そのため、3inch〜5inchまたはそれ以上といった液晶パネルを形成する際、パネル中心部と端部での液晶層のギャップを一定に形成するのが非常に難しく、同じ駆動電圧に対して液晶内部電界が一様に生じないために端部での高画質性能の低下、パネルの信頼性の低下を招き、更に強誘電性液晶等で階調表示を行おうとする際に非常に問題であった。

    【0026】特に、従来表示素子として用いられているTN(ツイステッド・ネマティック)液晶に比較し、高速応答性を有するという特徴がある強誘電性液晶の場合には、一般に、配向を規制するためのギャップが1〜2
    μmと極めて薄い。 これに対し、液晶パネルの大型化、
    高階調化に伴いギャップの均一性が益々厳しく要求されるのは必至である。

    【0027】更に、第4の発明、接着素子に関する従来技術について説明する。

    【0028】従来、日本金属学会誌(第46巻第9号、
    1982年、935〜943頁)等に記載されているように、常温圧接(接着)は超高真空中でイオンスパッタリングによって表面皮膜を除去後、接着面間隙を原子オーダーの距離まで近づけるために、辷り線を生ぜしめるための塑性変形を必要としていた。 すなわち、塑性変形を生じさせるために、接着時に外荷重を必要としていた。

    【0029】しかしながら、上記従来例では、金属の接合は主に溶接、拡散あるいは常温圧接のように、高温下での溶融、拡散作用で行うか、あるいは常温下での荷重印加によって塑性変形させながら接着面間隙を原子オーダーの距離にまで近づける作用で行わなければならないために、それぞれに以下のような欠点を有していた。 (1)高温下で行うため、融点間に大きな差のある材料同士の接着は困難である。 (2)高温拡散で行うため、接合時間が長くなり、このため接合界面に金属間化合物を生成させ易くなる。 (3)常温下での接着の場合、外荷重印加によって接着材料の塑性変形を生ぜしめるため、接着の際に大きな外荷重印加を必要とする。

    【0030】

    【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題点を解決することのできる金単結晶薄膜を提供することを目的とする。 また本発明はこの金単結晶薄膜の各種用途を提供するものである。

    【0031】

    【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決す為に鋭意検討した結果、金錯体溶液中の金錯体を分解処理し、溶液中の金を過飽和状態に移行させることによって、基板表面に単結晶及び単結晶群よりなる金結晶薄膜が形成できることを見いだし、本発明を完成させたものである。

    【0032】

    【作用】ここで、本発明の理解を助けるため、金錯体溶液中の金錯体を分解処理することで、溶液中の金を過飽和状態に移行させ基板表面に金単結晶群からなる金薄膜を形成する過程を説明する。

    【0033】例として、LiNbO 3基板上に、金錯体として[AuI 4- 、分解処理手段として揮発処理にて薄膜の形成を行った場合について説明する。

    【0034】まず、蒸留水にヨウ化カリウム及びヨウ素を投入し、ヨウ素水溶液を調製した後、金を投入して[AuI 4-を含有する金錯体溶液を調製する。 この時、溶液中には[AuI 4-の他にI 3 - 、K +が存在するものと考えられる。

    【0035】次いで、LiNbO 3基板の表面を上記の溶液に接した後、溶液を30〜100℃に昇温し、ヨウ素成分の揮発を促進させる。 溶液系内ではI 3 -の状態で存在するヨウ素成分の揮発による平衡状態の維持の為、
    [AuI 4-からのヨウ素成分の解離による分解、または[AuI 4-の形で存在する錯体中のヨウ素成分の直接の揮発による分解が進行すると考えられ、結果として金が過飽和状態となる。

    【0036】金錯体の種類、分解の手法は異なるものの、この様な金錯体の分解による溶液内の金過飽和現象を利用して、導電性金ペースト用の金粉末を系内に浮遊状態で析出させる技術は、特開昭56−38406号及び特開昭55−54509号公報に開示されている。 本発明者らは、溶液中でこの様に過飽和状態となった金が基板表面にランダムに核として析出し、この後、核の形成はしばらく続くが、ある程度の数の核が形成されると、核の増加が止まり、核が自己整合的に単結晶成長し、成長を継続させることで、各々の単結晶同士の衝突により粒界が形成されることを突き止めた。

    【0037】本発明に用いられる金錯体としては、[A
    uI 4- 、[AuCl 4- 、[Au(CN) 2- 、[A
    u(CN) 3-等を含有する金錯体が挙げられる。

    【0038】本発明における金錯体の分解処理手段としては、加熱により錯体中のヨウ素成分などの揮発し易い成分を揮発させ、金を過飽和状態に移行させる方法や、
    還元剤の添加による金原子への還元などの方法が挙げられる。

    【0039】加熱温度としては、30〜100℃程度が好ましい。

    【0040】還元剤としては、例えばハイドロキノン、
    ピロガロール、パイロカキテン、グクシン、メトールハイドロキノン、アミドール、メトール、亜硫酸ソーダ、
    チオ硫酸ナトリウムなどの他、溶液中で還元作用を有する物質が用いられる。

    【0041】本発明では、上記の金錯体を含有する溶液に、金単結晶薄膜を形成すべき基板を接触あるいは浸漬させ、加熱あるいは還元剤を添加を開始することによりより、基板上に金単結晶薄膜が形成されるものである。
    この金単結晶薄膜の形成過程を図1に示す。 まず、基板1の表面上2に核が発生し(図1(A))、この核を中心として基板の面方向に自己整合的に単結晶が成長し(図1(B))、やがて単結晶同士が衝突して粒界4が形成され結晶成長が止まる(図1(C))。 得られた金単結晶群の薄膜は図2に示されるようにランダムに成長した金単結晶3同士が粒界4を形成している。

    【0042】以上の方法により形成される金結晶薄膜は、各々の結晶が欠陥のない単結晶であり、基板と垂直方向に111方位を有している。 また、結晶表面は極めて平滑である。

    【0043】また、分光結晶として使用する場合に重要となる結晶の配向性は極めて高く、Si単結晶より若干劣る程度である。 X線回折法により回折強度曲線を測定した場合、回折ピークの角度広がりはほとんど10 -3 ra
    d以下であり、10 -2 radを越えることはない。 従って、
    所望形状の曲面基板上に以上述べた金結晶薄膜をX線回折層として形成し、X線分光用湾曲結晶とすれば、曲率半径の小さな湾曲結晶の作成が可能となり、さらにはグラフォエピタキシーや選択核成長法によってX線回折層を形成した場合に比べ、分光性能、集光性能が高く、結像に用いた場合には高い像分解能と均質な画像が得られる。 また、表面が極めて平滑であるため、表面の2次加工が必要ないばかりではなく、散乱光を極めて少なくすることができる。

    【0044】さらには、本方法では、ほとんど常温常圧で結晶薄膜が形成できるために、成膜後の基板の変形が極めて少なく、基板形状を保持できることも特徴である。

    【0045】

    【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

    【0046】実施例1 核形成密度の大きい材料からなる面として、Tiからなる面、核形成密度の小さい面としてLiNbO 3 、金錯体として[AuI 4- 、分解処理手段として揮発を用いることで弾性表面波素子用櫛型電極を作製する例について説明する。

    【0047】まず、LiNbO 3ウエハ1上にTiを全面に蒸着した後、レジストを用いたエッチングにより、
    図3(a)、(b)のごとくLiNbO 3ウエハ上に3
    ×3μm角のTi薄膜2が櫛型電極形成領域ほぼ中央に形成された基板を得た。

    【0048】本発明においては、核形成密度の大きい材料からなる面を充分微小な面積にすることで、単一核のみの核発生を行わせることができ、その大きさとしては、好ましくは、10μm以下、より好ましくは5μm
    以下である。

    【0049】次に、蒸留水にヨウ化カリウム及びヨウ素を投入してヨウ素水溶液を形成した後、金を投入し攪拌溶解させ、[AuI 4-を含有する金錯体溶液を調製する。 この時、溶液中には、金錯体[AuI 4-の他、I
    3 - 、K +が存在するものと考えられる。

    【0050】ヨウ素水溶液は、ヨウ化カリウム以外のヨウ化化合物、例えばヨウ化アンモニウムを溶解することでも調製できる。 また、アルコールを溶媒として用いたヨウ素アルコール溶液やアルコールと水の混合物を溶媒として用いたヨウ素アルコール水溶液も本発明に用いることができる。 溶液中のヨウ素、ヨウ化化合物の濃度は、溶解することのできる金の量を規定する。

    【0051】次いで、前述の基板の表面を溶液に接した後、溶液を30〜100℃に昇温し、ヨウ素成分の揮発を促進させる。

    【0052】溶液系内では、I 3 -の状態で存在するヨウ素成分の揮発による溶液系内の平衡状態の維持の為、
    [AuI 4-からのヨウ素成分の解離による分解、または[AuI 4-の形で存在する錯体中のヨウ素成分の直接の揮発による分解が進行すると考えられ、結果として金が過飽和状態となる。 溶液中で過飽和状態となった金3は、核形成密度の高いTi薄膜2表面のみに単一核として析出する。 この時、核形成密度の小さいLiNbO
    3ウエハ面5には、核の発生は見られなかった(図4
    (a)、(b))。

    【0053】解析の結果、形成された結晶は、欠陥のない単結晶であり、111方位を有していた。 また、成長レートについて観察した結果、縦方向:横方向が1:1
    00〜200の割合で成長していることが分かった。

    【0054】さらに成長を続けさせると、粒径約100
    0μmの単結晶からなる金結晶薄膜が形成できた(図5
    (a)、(b))。

    【0055】この様に、本発明による金単結晶薄膜は、
    その形成位置(結晶の位置及び粒界位置)を設計的に決めることができる。

    【0056】この実施例では、極めて平滑な表面を有する金単結晶を形成できるという効果が示されている。 このことは、溶液中に存在するヨウ素イオンが、その金溶解作用により、成長中の金結晶上へのさらに新たなる核発生を抑制するためであると考えられる。

    【0057】この後、通常のフォトリソ技術を用いて金単結晶薄膜上に、所望の櫛型電極パターンと同じレジストパターン7を形成し(図6(a)、(b))、次いでエッチング法によって、レジストパターンが形成されていない部分の金を除去することで、櫛型電極6を形成した(図7(a)、(b))。

    【0058】実施例2 次に、分解処理手段として還元剤を用いて櫛型電極を作製する例について説明する。

    【0059】実施例1と同様にしてLiNbO 3ウエハ上に3×3μm角のTi薄膜が櫛型電極形成領域ほぼ中央に形成された基板を得た。 次いで、基板を実施例1と同様の金錯体溶液に接触させた。 次に還元剤としてハイドロキノン水溶液をゆっくりと金錯体溶液に滴下して結晶成長を行わせた。 さらに成長させ、平均粒径100μ
    mの単結晶が選択的に形成できた。

    【0060】この後、通常のフォトリソ技術を用いて金単結晶薄膜上に、所望の櫛型電極パターンと同じレジストパターンを形成し、次いでエッチング法によって、レジストパターンが形成されていない部分の金を除去することで、櫛型電極を形成した。

    【0061】実施例3 実施例1と同様に、LiNbO 3ウエハ上にTiを全面に蒸着した後、レジストを用いたエッチングにより、図8(a)、(b)のごとくLiNbO 3ウエハ1上に3
    ×3μm角のTi薄膜2が100μm感覚でマトリクスに形成された基板を得た。

    【0062】核形成面の間隔は、核形成密度の小さい材料上の核形成を抑制するため、長距離秩序によって核が形成されない範囲、すなわち同じ条件下で全面に薄膜形成した際の平均粒径以下の範囲が好ましい。

    【0063】次に実施例1と同様にして金結晶の析出を行った。 溶液中で過飽和状態となった金は、核形成密度の大きいTi薄膜2表面のみに単一核として析出し、核形成密度の小さい材料からなる面5の上には核の発生は見られなかった(図9(a)、(b))。

    【0064】更に結晶成長を続けさせると、結晶同士が衝突し、各々の核形成密度の大きい材料からなる面のほぼ中間に粒界が形成され、核形成密度の小さい材料からなる面を多い、粒径約50μmの単結晶群からなる金結晶薄膜3が図10(a)、(b)に示すように、櫛型電極形成領域に形成できた。

    【0065】この様に本発明の金単結晶は、その形成位置(結晶の位置及び粒界位置)を設計的に知ることができる。

    【0066】この後、図11(a)、(b)に示すように通常のフォトリソ技術を用いて金単結晶薄膜上に、所望の櫛型電極パターンと同じレジストパターンを形成し、次いでエッチング法によって、レジストパターンが形成されていない部分の金を除去することで、櫛型電極を形成した(図12(a)、(b))。

    【0067】実施例4 まず、LiNbO 3ウエハ上に通常のフォトリソ技術を用いて櫛型電極のネガのレジストパターンを形成した(図13(a)、(b))。 次に、蒸留水にヨウ化カリウム及びヨウ素を投入してヨウ素水溶液を形成した後、金を投入し攪拌溶解させ、[AuI 4-を含有する金錯体溶液を調製する。 次いで、前述の基板の表面を溶液に接した後、溶液を30〜100℃に昇温し、ヨウ素成分の揮発を促進させる。 溶液中で過飽和状態となった金は、LiNbO 3基板及びレジスト上にランダムな核として析出する。 この時、核形成密度の小さい状態のまま核が自己整合的に成長する。

    【0068】更に成長を続けると、結晶同士が衝突し、
    粒界が形成される。 また、LiNbO 3基板上で、レジストに衝突した結晶は成長が止まり、基板上の櫛型電極パターン領域面を覆い、粒径約50μmの単結晶群からなる金結晶薄膜パターンが形成できた(図14(a)、
    (b))。 この後、レジスト及びレジスト上の金薄膜を除去し、櫛型電極を得た(図15(a)、(b))。

    【0069】実施例5 第5の実施態様例として、核形成密度の大きい材料からなる面としてCrからなる面、核形成密度の小さい材料からなる面としてレジストを用いて櫛型電極を作製する例について説明する。

    【0070】LiNbO 3ウエハ上の櫛型電極形成領域にCr面2を蒸着後、櫛型電極のネガのレジストパターン7を形成した(図16(a)、(b))。

    【0071】次に実施例1と同様にして金結晶の析出を行うことにより、図17の如く、金単結晶群3がLiN
    bO 3基板上のレジストパターンの形成されていない領域を埋めつくした。 この後、レジスト及びCrを除去し、櫛型電極6を得た(図18(a)、(b))。

    【0072】この様に、金薄膜とLiNbO 3基板間にCrを形成することで、金薄膜の密着性を向上させることができる。

    【0073】本発明において、核形成密度が小さい材料からなる面と核形成密度が大きい材料からなる面は限定されるものではなく、結局、相対的に核形成密度の差があって、且つ核形成密度が大きい材料が単一核が形成されるほど充分微細な面であれば良い。

    【0074】核形成密度が小さい材料からなる面と核形成密度が大きい材料からなる面を配置する際の最大間隔は、核形成密度が小さい材料からなる面に同じ条件で全面に形成した際の平均粒径以内であることが好ましい。
    換言するならば、配置する最大間隔を大きくするためには、核形成密度の特に小さいLiNbO 3 、LiTa
    3 、SiO 2 、Al 23 、等の絶縁材料を用いることが好ましい。

    【0075】核形成密度の大きい材料としては、Au,
    Ti,Cr,Cu,W,WSi,MoSi,Fe,S
    i,Ge等の導電、及び半導体材料を用いることができる。

    【0076】なお、上記の実施例においては、弾性表面波素子の例として、弾性表面波フィルターを示したが、
    弾性表面波共振器、弾性表面波コンボルバなど、櫛型電極を用いる素子であれば同様の効果が得られる。

    【0077】また、基板1はニオブ酸リチウムなどの圧電単結晶に限定されるものではなく、例えば半導体やガラス基板上に圧電膜を付加した構造であっても良い。

    【0078】さらに、上記の実施例における櫛型入力電極はダブル電極(スプリット電極)とする事により、該入力電極における弾性表面波の反射を抑圧でき、素子の特性を一層良好なものにすることができる。

    【0079】上記の実施例において櫛型電極より励振される弾性表面波は、レイリー波はもちろん、ラブ波、セザワ波などの櫛型電極によって送受信できる弾性表面波に適用できることは言うまでもない。

    【0080】実施例6 次に、多結晶型X線分光用湾曲結晶について説明する。

    【0081】図20は、本発明による多結晶型X線分光用湾曲結晶103の構成を示す典型的な図である。 同図において、101は曲面形状に加工した基板であり、1
    02は本方法により形成された金単結晶群からなる結晶薄膜のX線回折層である。

    【0082】以下に、本発明のX線分光用湾曲結晶を結像光学系に用いた場合の一実施例を示す。

    【0083】長径300mm、短径50mmの回転楕円体の一部となるよう凹面研磨加工された炭化珪素を基板10
    1として用いる。 塩酸30mlと硝酸10mlを混合して王水を調製した後、この溶液に金を2g投入して攪拌溶解させる。 溶解後、この溶液から10ml分取して反応容器にいれ、ここに更に蒸留水を100ml加えて攪拌する。
    次に、この溶液中に水酸化ナトリウム(NaOH)を1
    0gを溶解した水溶液を徐々に加える。

    【0084】この溶液中に前記基板の表面が接するようにし、溶液を40℃に保つ。 約1時間後に基板上には粒径100μm程度の金単結晶群からなる金結晶薄膜が形成される。 この金結晶薄膜をX線回折層102として、
    X線分光用湾曲結晶103を形成する。

    【0085】前記分光用湾曲結晶103を用いたX線結像光学系の構成を図21に示す。 104はX線源であり、103は分光用湾曲結晶、105はX線、106は検出器、107は測定すべき物体(試料)、108は検出器106上に結像した物体像、109は入射光カット用アパーチャ、110は回折光カット用アパーチャである。 X線源104として銅ターゲットのX線管球を用い、試料107を照明する。 試料107及び検出器10
    6は分光用湾曲結晶103の回転楕円体の焦点上にそれぞれ配置する。 この時分光用湾曲結晶103へのX線の入出射角は19.09゜である。 従って、試料107より透過散乱したX線105は分光用湾曲結晶103によって反射回折され、検出器106上に物体像108を結像する。 この時異なった波長のX線は分光用湾曲結晶103
    での回折角が異なるため、回折光カット用アパーチャによって所望の波長のX線のみによる物体像を得ることができる。 試料107として窒化シリコンのメンブレン上に金で3μmのメッシュ状パターンを形成したものを、
    検出器106としてX線用フィルムを用いると、X線用フィルム上には約14倍に拡大された試料107のメッシュパターンが明瞭に観察される。 これより分光用湾曲結晶によって銅のKβ線及び連続線が分光され、銅のK
    α線のみによって均一な像が結像されることが分かる。

    【0086】従来、曲率半径50mm程度の湾曲結晶は、
    単結晶の弾性あるいは塑性変形によって作成することは困難であり、選択核成長やグラフォエピタキシーでは充分な分光性能、結像を得ることができなかったが、本発明の方法により曲率半径の小さな分光結晶も作成可能であることが示された。

    【0087】実施例7 次に本発明のX線分光用湾曲結晶を分光及び集光用に使用した場合の一実施例を示す。

    【0088】本実施例で使用する湾曲結晶は以下のようにして作成する。

    【0089】半径80mmの凹球面となるように石英を研磨し、基板101とする。 蒸留水にヨウ化カリウム及びヨウ素を投入してヨウ素水溶液を調製した後、金を投入して攪拌溶解させ、[AuI 4-を含有する金錯体溶液を調製する。 次に基板101の表面を前記溶液に接した後、溶液を70℃に昇温しヨウ素成分の揮発を促進させる。 溶液中で過飽和状態となった金が基板上に析出し、
    粒径約400μm程度の金単結晶群よりなる金結晶薄膜102が形成される。 この金結晶薄膜の各々の金単結晶は基板に対して111配向している。 また金結晶薄膜の膜厚は3μm程度である。 前記金結晶薄膜をX線回折層として使用する。

    【0090】図22に前記分光用湾曲結晶103を電子線励起X線組成分析法に適用した場合の構成について示す。

    【0091】111は電子銃であり、これより発生した電子線112で試料113を照射する。 これによって試料からはその組成に応じた蛍光X線114が発生する。
    蛍光X線は試料表面より広い方位に発生するので、前記分光用湾曲結晶103を用いて集光し、同時にX線の分光を行う。 このために試料113及び及び回折X線カット用アパーチャ115は半径40mmのローランド円上で分光用湾曲結晶へのX線入出射角θが分光すべきX線波長のブラッグ角となるように配置する。 また分光用湾曲結晶103はローランド円の頂点に接するように配置する。 分光用湾曲結晶103及びアパーチャ115とその後方の検出器116の配置をローランド円に沿って移動させ、前記X線の入出射角θを変えることによって、検出すべきX線の波長を変えることができる。

    【0092】試料113としてチタン及びバナジウムを含む金属板を用い、X線の入出射角θを変え、X線のスペクトルを測定すると、チタン及びバナジウムがそれぞれθ=35.7゜と32.1゜で明瞭に分離されて観察された。
    これより本発明によるX線分光用湾曲結晶が、適切な分光性能を有していることが示された。 またローランド円を半径40mmと小さくすることが可能となり、装置全体の小型化が可能となった。

    【0093】実施例9 次に本願の第3の発明である液晶光学パネル用の電極についての実施態様について説明する。 図23は本発明の特徴を最もよく表す図面であり、同図において、201
    はITO等の透明電極、202は応力のない(あるいは極めて小さい)電極部、203は液晶の配向膜である。

    【0094】図23に示す電極203は、例えば、図2
    4に示すような工程で形成することができる。 すなわち、まずガラス基板204上に液晶パネル駆動用配線2
    05(単純マトリクス、アクティブマトリクスTFTいずれの場合も同様)により遮光される部分と同じかそれより狭い領域に、通常のフォトリソグラフィ技術を用いてレジストパターン210を形成する。 この時、後の工程でレジストを除去し易いように、感光性PI(ポジ型)、OMR−83(ネガ型)等のレジストを用いると良い。 また、露光は紫外光や遠紫外光を用いて行うことができる。 以上のようにして、レジストパターンを形成した基板面に金単結晶薄膜202'を形成する。

    【0095】金単結晶薄膜を形成する方法としては、前記各実施例に示される、金錯体を分解処理して溶液中の金を過飽和状態に移行させ、基板表面に単結晶群からなる金結晶薄膜を形成する方法を適宜選択して使用することができる。

    【0096】溶液中で過飽和状態となった金は、基板表面にランダムに核として析出する。 この後、核の形成はしばらく続くが、ある程度の数の核が形成されると核の増加が止まり、核が自己整合的に単結晶成長する。 その後、成長を続けることで各々の単結晶同士が衝突し粒界が形成される。 さらに成長を続けると、結晶同士が衝突し、各々の核形成密度の大きい材料からなる面のほぼ中間に粒界が形成され、基板表面を覆い、金結晶薄膜が形成できる。 この膜は、無欠陥、低応力で、完全な配向性を有し、導電性、熱導電性にも非常に優れている。

    【0097】以上のようにしてレジストパターンの形成されていない部分に所望の膜厚の金単結晶薄膜を形成した後、通常のレジスト除去剤で、レジストパターンとレジスト上に形成された金単結晶薄膜とを同時に除去する。

    【0098】従来、透明電極として用いられているIT
    Oは充分な導電性が確保できる膜厚として、1000〜
    3000Å程度要求されている。 例えば、前記金単結晶膜をITOの膜厚と同程度形成すれば、紫外光、遠紫外光を充分遮光することを利用し、前記金単結晶パターンを覆うレジストを次のように形成する。 すなわち、図2
    4(e),(f)に示されるように、金パターン形成面にレジストを塗布し、ガラス基板面側から紫外光、または遠紫外光を照射してレジストを露光し、その後現像することで、金パターン上のみにレジストを形成できる。

    【0099】所望の膜厚のITOをスパッタ法で形成し(同図(g))、レジストを除去すると同図(h)のような一部金単結晶膜である電極面を形成することができる。

    【0100】このプロセスを用い、図25に示すような、液晶駆動配線部分に遮光される部分208に金単結晶パターン202が納まるような電極板を作成することができる。 但し、212は開口部(非遮光部)を表す。

    【0101】以上のようにして作製した電極は、ITO
    による応力によって、基板が歪み、液晶パネルのギャップがパネル中心部と端部で異なるといった問題点が解消される。 これによって、液晶の配向性もパネル全域にわたって一様になり、高精細な表示が可能となる。 また、
    各画素のギャップが一様に所望の値を保持できることから、トランジスタ等により供給される電力を最大限に活用し、階調性に優れた液晶パネルを提供することができる。

    【0102】さらに、上記の金単結晶膜作製方法によれば、30〜100℃程度の溶液中で膜形成を行うので、
    他の膜形成に比較して、低温プロセスであると同時に大面積に膜形成できるといった利点を有している。

    【0103】なお、駆動配線部により遮光される全部の部分に応力の低い部分を設ける必要はなく、透明電極を膜形成する際のプロセスの特性により発生する応力と方向と大きさによって必要充分量の低応力部を設ければよく、例えば図26に示すようなパターンに形成することもできる。 これにより、3〜5inchといった比較的大きい液晶パネルの中心部と端部のギャップを均一にし、高精細な表示が行えるようになる。

    【0104】実施例10 図28に本発明による金単結晶薄膜を接着素子に用いた例を示す。 同図において、301、302、303はS
    i基板、304はSi基板からなる重り部、305は重り部304とSi基板303との間を接着によって力学的に連結しているSi基板、306はSi基板301上にメッキによる成膜によって表面凹凸約20オングストロームの平滑さを有する厚さ2μm、大きさ500μm
    の金単結晶薄膜であり、307はSi基板302上に形成した上記金単結晶薄膜306と同様な金単結晶薄膜であり、308、309はSi基板303の両面上に形成した上記金単結晶薄膜306、307と同様な金単結晶薄膜である。

    【0105】次に上記構成において、Si基板303の両側からSi基板301、302を荷重Fで互いに押し込むことによって、Si基板301、302、303を一体化することが可能となり、同時にSi基板301と303及びSi基板302と303との間隙を前記金単結晶薄膜306〜309の厚さに制御することができる。 なお、上記荷重Fは極めて小さく、静かに置くだけでSi基板301、302、303は互いに接着した。

    【0106】前記接着素子306〜309を用いたSi
    基板301〜303の接着は、常温、大気中で行ったものであり、本接着素子を用いることによって、図28に示すような加速度センサーの構造体を容易に作製することが可能となった。

    【0107】この接着素子である金単結晶薄膜は、以下のようにして成膜した。

    【0108】蒸留水500mlにヨウ化カリウム4g及びヨウ素6gを投入し、攪拌溶解後、同溶液中に金3g
    を投入し攪拌溶解させた溶液を100ml分取し、反応器にいれ、この中にさらに蒸留水500mlを加えて攪拌し、次いで得られた溶液中にハイドロキノン100m
    gが溶解した水溶液50mlを徐々に加え、その後、この溶液中にSi基板を3時間室温で浸漬することによって成膜したものである。

    【0109】実施例11 図29〜31は、接着素子の第2の実施態様を説明するためのものであり、同図において、301、302、3
    06、307は図28と同じものを示し、310はSi
    基板301と陽極接合によって力学的に連結されているガラス棒、311は接着素子306、307に接着時に過多な荷重を生じさせないように、すなわち微小荷重を生ぜしめるための弾性係数の小さいバネ(板状)であり、312は接着素子306をX−Y−Z方向に自由に移動させることが可能なマイクロメータであり、313
    はステージ、314はSi基板302と陽極接合させるための耐熱ガラス(商品名:パイレックス)、315はヒーターである。

    【0110】次に上記構成において、マイクロメータ3
    12を操作することによって接着素子306と接着素子307とが軽く接した時点で、上方に引き上げる(図3
    0)。 すなわち、Si基板302も同時に引き上げられる。 次の段階で、同マイクロメータ312の操作によってヒーター315上の耐熱ガラス314の上に上記Si
    基板302を載せ、同耐熱ガラス314をSi基板30
    2に陽極接合した後、矢印方向(図31)にゆっくりと接着素子306を移動させる。 この手法により、従来のピンセットによるパーティクル等の汚れを防止することが可能となり、接着面間のパーティクルフリーあるいはダストフリーの状態でのSi基板302と耐熱ガラス3
    14との陽極接合が可能となった。

    【0111】なお、本実施例において使用した接着素子である金単結晶薄膜も、実施例10と同様にしてSi基板上に成膜したものである。

    【0112】

    【発明の効果】以上説明したように、本発明は金錯体を含有する溶液中の金を過飽和状態に移行することにより、特別な装置を一切必要とせず、しかも、常圧、常温に近い温度で金単結晶及び金単結晶群からなる薄膜を選択的に形成することができる。 本発明で得られる金単結晶薄膜は、基板と垂直方向に対して高い精度で111配向した結晶面を有しており、且つ極めて平滑な面を形成することができる。

    【0113】この金単結晶及び金単結晶群からなる薄膜を用いて、耐メカニカルマイグレーション、耐酸化劣化性に優れ、電気抵抗の小さい櫛型電極を備えた弾性表面波素子を作製することができる。 また、所望形状の曲面基板上に金単結晶群からなる薄膜を形成することにより、曲率半径が小さく、且つ高い波長分解能、集光性能を有し、さらに均一な結像が得られる多結晶型X線分光用湾曲結晶が得られる。

    【0114】液晶光学パネルの駆動配線部分により遮光される部分に対抗全面電極の応力を緩和する部分として本発明の金薄膜を設けることにより、パネルの端部と中心部とのギャップの均一性が向上し、またギャップが均一となることで、注入液晶の配向性が向上し、高精細な液晶表示を3〜5インチといった比較的大きな液晶パネルにおいても行うことが可能となる。

    【0115】さらにSi基板上に本発明の金単結晶薄膜からなる接着素子を形成することにより、マイクロマシーンのような小さく且つ複雑なSi基板からなる構造体を製作するに際し、常温で且つ微小荷重の印加のみでS
    i基板同士の結合を可能にし、且つSi基板のハンドリングの際に、パーティクルフリー、ダストフリーなピンセットとしての効果がある。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の金単結晶薄膜の製造工程を示す模式的断面図である。

    【図2】得られた金単結晶薄膜の模式的平面図である。

    【図3】本発明の実施例1で用いる基板を説明するものであり、(a)は平面図を(b)は(a)のAA'線における断面図を示す(以下、図19まで同様)。

    【図4】図3の基板上に金の核が形成された状態を示す図である。

    【図5】図4の金核を中心として金単結晶薄膜が形成された状態を示す図である。

    【図6】図5の形成された金単結晶薄膜上にレジストパターンを形成した状態を示す図である。

    【図7】得られた櫛型電極を示す図である。

    【図8】本発明の実施例3で用いるTi膜がマトリックス状に形成された基板を示す図である。

    【図9】図8の基板上に金の核が形成された状態を示す図である。

    【図10】図9の金核を中心として金単結晶薄膜が形成された状態を示す図である。

    【図11】図10の形成された金単結晶薄膜上にレジストパターンを形成した状態を示す図である。

    【図12】得られた櫛型電極を示す図である。

    【図13】本発明の実施例4で基板上にネガレジストパターンが形成された状態を示す図である。

    【図14】図13の基板上のレジストが形成されていない部分に金単結晶薄膜が形成された状態を示す図である。

    【図15】得られた櫛型電極を示す図である。

    【図16】本発明の実施例5でCr膜上にネガレジストパターンが形成された状態を示す図である。

    【図17】図16の基板上のレジストが形成されていない部分に金単結晶薄膜が形成された状態を示す図である。

    【図18】得られた櫛型電極を示す図である。

    【図19】櫛型電極を示す図である。

    【図20】本発明による多結晶型X線分光用湾曲結晶の模式図である。

    【図21】実施例6で説明した光学系の断面模式図である。

    【図22】実施例7で説明したシステムの模式図である。

    【図23】本発明を実施した液晶パネルの断面図である。

    【図24】図23に示した液晶パネルの共通電極を作製する工程を説明する図である。

    【図25】液晶パネルの共通電極板の一例を示す平面図である。

    【図26】液晶パネルの共通電極板の他の一例を示す平面図である。

    【図27】従来のTFT−LCDの一般的構成を示す断面図である。

    【図28】本発明の金単結晶薄膜からなる接着素子を用いた加速度センサーの構造を示す模式的断面図である。

    【図29】本発明の金単結晶薄膜からなる接着素子を用いる他の例の構成を示す模式図である。

    【図30】図29において、接着素子同士を接着してS
    i基板を引き上げた状態を示す模式図である。

    【図31】図29において引き上げたし基板に耐熱ガラスを陽極接合し、接着素子を引き離した状態を示す模式図である。

    【符号の説明】

    1 基板 2 核形成面 3 金単結晶膜 4 粒界 6 櫛型電極 7 レジスト 101 基板 102 金単結晶薄膜 103 湾曲結晶 201 ITO透明電極 202 低応力電極部(金単結晶薄膜) 207 共通電極 301、302、303 Si基板 306〜309 接着素子(金単結晶薄膜)

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 5識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03H 9/145 Z 7259−5J (72)発明者 丸山 朋子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 林田 雅美 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 福田 恵明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

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