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Control system and control method using quantum soft computing

阅读:726发布:2021-02-19

专利汇可以提供Control system and control method using quantum soft computing专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a methodology programming the algorithm for solving a problem by using a quantum logic and to provide the algorithm.
SOLUTION: A quantum logic program can be executed on a quantum computer. This algorithm can be executed on a non-quantum computer by using the non-quantum computer simulating the quantum computer. The principle of the quantum computation of concept, function, superposition, entanglement, quantum interference and others (massive parallelism feasible by these principles) can be utilized at its maximum by the non-quantum computer by using this algorithm without developing the hardware for the quantum computer.
COPYRIGHT: (C)2002,JPO,下面是Control system and control method using quantum soft computing专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 入力関数fをユニタリ行列演算子U Fに符号化するステップと、演算子U Fを量子ゲートGに組み込むステップ(前記のGはユニタリ行列を表す)と、
    前記の量子ゲートGを初期ベクトルに適用して基底ベクトルを作るステップと、前記の基底ベクトルを測定して、適用ならびに測定を行う前記のステップをk回だけ繰り返すステップ(kは0<kを満足する)と、復号化が前記の基底ベクトルを出力ベクトルに変換することを含む前記の基底ベクトルを復号化するステップと、を含む量子ソフトコンピューティングにおける量子アルゴリズム設計の方法。
  • 【請求項2】 前記の符号化が、fの写像表を単写関数Fに変換するステップと、前記の関数Fを前記の演算子U Fの写像表に変換するステップと、前記のU Fの写像表を前記に記載の演算子U Fに変換するステップと、を含む請求項1に記載の方法。
  • 【請求項3】 さらに、請求項1に記載の基底ベクトルのシャノン(Shannon)のエントロピーを最小化するように構成されたものである、請求項1に記載の方法。
  • 【請求項4】 制御された機械装置のエントロピー生成速度を最小化するように構成されたものである適応度関数を使用して、1つ以上の局所解を求めるように構成されたものである遺伝子オプティマイザと、シャノンのエントロピーを最小化するように構成されたものである適応度関数を使用して大域解を求めることを目的として、
    前記の局所解を探索するように構成されたものである量子探索アルゴリズムと、を含むシャノンのエントロピーを最小化するように構成されたものである量子探索アルゴリズムを含む、インテリジェントな制御系。
  • 【請求項5】 前記の大域解がファジーニューラルネットワークの重みを含む請求項4に記載のインテリジェントな制御系。
  • 【請求項6】 前記のファジーニューラルネットワークがファジーコントローラを取り扱うように構成され、前記のファジーコントローラがPIDコントローラの制御用の重みを提供するように構成され、前記のPIDコントローラが前記の制御された機械装置を制御するように構成されたものである請求項4に記載のインテリジェントな制御系。
  • 【請求項7】 シャノンのエントロピーを最小化するように構成されたものである適応度関数を選択するステップを含む量子探索アルゴリズムを展開する方法。
  • 【請求項8】 ハイゼンベルクの不確定性とシャノンのエントロピーを最小化するステップを含む量子探索アルゴリズムを展開する方法。
  • 【請求項9】 もつれ合い演算子を適用して、複数個の入力状態ベクトルから複数個の相関状態ベクトルを生成するステップと、干渉演算子を前記の相関状態ベクトルに適用して、インテリジェントな状態ベクトルが前記の相関状態ベクトルに比べて小さい古典系のエントロピーを有するインテリジェントな状態ベクトルを生成するステップと、を含む量子アルゴリズムを展開する方法。
  • 【請求項10】 1番目の変換を初期状態に適用して基底状態のコヒーレントな重ね合わせを作るステップと、
    可逆変換を使用する2番目の変換を前記のコヒーレントな重ね合わせに適用してコヒーレントな出力状態を作るステップと、3番目の変換を前記のコヒーレントな出力状態に適用して出力状態の干渉を作るステップと、前記の出力状態の干渉から大域解を選択するステップと、を含む部分最適解の特性を改善する大域的最適化の方法。
  • 【請求項11】 前記の1番目の変換がアダマール(Ha
    damard)回転である請求項10に記載の方法。
  • 【請求項12】 前記の各基底状態がキュビットを使用して表される請求項10に記載の方法。
  • 【請求項13】 前記の2番目の変換がシュレーディンガー(Shrodinger)の解であるところの請求項10に記載の方法。
  • 【請求項14】 前記の3番目の変換が量子高速フーリエ変換である請求項10に記載の方法。
  • 【請求項15】 前記の選択ステップが最大確率を求めることを含む請求項10に記載の方法。
  • 【請求項16】 前記の入力状態の重ね合わせが大域的適応度関数の局所解の集まりを含む請求項10に記載の方法。
  • 【請求項17】 入力関数をユニタリ行列演算子に符号化するように構成されたものであるエンコーダモジュールと、前記のユニタリ行列演算子を量子ゲートに組み込むように構成されたものである組み込みモジュールと、
    前記の量子ゲートを初期ベクトルに適用して基底ベクトルを作るように構成されたものである処理モジュールと、前記の基底ベクトルを測定するように構成されたものである測定モジュールと、前記の基底ベクトルを復号化し、前記の基底ベクトルを出力ベクトルに変換するように構成されたものであるデコーダと、を含む量子ソフトコンピューティング用の装置
  • 【請求項18】 前記のエンコーダが、前記の入力関数の写像表を単写関数に変換する1番目の変換モジュールと、前記の単写関数を前記のユニタリ行列演算子の写像表に変換する2番目の変換モジュールと、前記のユニタリ行列演算子の前記の写像表を前記のユニタリ行列演算子に変換する3番目の変換モジュールと、を含むところの請求項17に記載の装置
  • 【請求項19】 さらに前記の基底ベクトルのシャノンのエントロピーを最小化するモジュールを含む請求項1
    7に記載の装置。
  • 【請求項20】 制御された機械装置のエントロピー生成速度を最小化するように構成されたものである適応度関数を使用して複数の局所解を最適化することと、シャノンのエントロピーを最小化する適応度関数を使用して大域解を求めることを目的にして、前記の局所解を探索する量子探索アルゴリズムを使用して検索することと、
    を含むシャノンのエントロピーを最小化するように構成されたものである量子探索アルゴリズムを含むインテリジェントな制御の方法。
  • 【請求項21】 前記の大域解がファジーニューラルネットワークの重みを含む請求項20に記載の方法。
  • 【請求項22】 さらに、ファジーコントローラを取り扱うことと、制御用の重みを前記のファジーコントローラからPIDコントローラに提供することと、前記の制御された機械装置を制御するために前記のPIDコントローラを使用することと、を含む請求項21に記載の方法。
  • 【請求項23】 量子系のエントロピーを計算するモジュールと、古典系のエントロピーを計算するモジュールと、量子系のエントロピーと古典系のエントロピーの両方のエントロピーを減少させる解の解空間を探索するモジュールと、を含む量子探索アルゴリズムを展開する装置。
  • 【請求項24】 複数個の相関状態ベクトルを複数個の入力状態ベクトルから生成するもつれ合い演算子を適用する第1モジュールと、前記の相関状態ベクトルに比べて小さい古典系のエントロピーを有するインテリジェントな状態ベクトルを生成する前記の相関状態ベクトルに干渉演算子を適用する第2モジュールと、を含む量子アルゴリズムを展開する装置。
  • 【請求項25】 部分最適解の特性を改善する大域的オプティマイザであって、前記のオプティマイザには、メモリにロードされるコンピュータソフトウェアを含み、
    前記のソフトウェアには、1番目の変換を初期状態に適用し基底状態のコヒーレントな重ね合わせを作る第1モジュールと、可逆変換を使用する2番目の変換を前記のコヒーレントな重ね合わせに適用し複数のコヒーレントな出力状態を作る第2モジュールと、3番目の変換を前記の複数のコヒーレントな出力状態に適用し出力状態の干渉を作る第3モジュールと、前記の出力状態の干渉から大域解を選択する第4モジュールと、を含む大域的オプティマイザ。
  • 【請求項26】 前記の1番目の変換がアダマール回転である請求項25に記載のオプティマイザ。
  • 【請求項27】 前記の各基底状態がキュビットを使用して表される請求項25に記載のオプティマイザ。
  • 【請求項28】 前記の2番目の変換がシュレーディンガー方程式の解に基づいている請求項25に記載のオプティマイザ。
  • 【請求項29】 前記の3番目の変換が量子高速フーリエ変換である請求項25に記載のオプティマイザ。
  • 【請求項30】 前記の第4モジュールが最大確率を求めるように構成されたものである請求項25に記載のオプティマイザ。
  • 【請求項31】 前記の入力状態の重ね合わせが、大域的適応度関数に対する局所解の集まりを含む請求項25
    に記載のオプティマイザ。
  • 【請求項32】 入力関数fをユニタリ行列演算子U F
    に符号化する手段と、演算子U Fを量子ゲートGに組み込む手段と、前記の量子ゲートGを複数の初期ベクトルに適用して複数の基底ベクトルを作り、前記の基底ベクトルを測定して測定ベクトルを作る手段と、前記の測定ベクトルを出力ベクトルに復号化する手段と、を含む量子ソフトコンピューティングの装置。
  • 【請求項33】 符号化の前記の手段が、fの写像表を単写関数Fに変換し、前記の関数Fを前記の演算子U F
    の写像表に変換し、そして、U Fの前記の写像表を前記の演算子U Fに変換する請求項32に記載の装置。
  • 【請求項34】 さらに前記の基底ベクトルのエントロピーを最小化する手段を含む請求項32に記載の装置。
  • 【請求項35】 制御された機械装置のエントロピー生成速度を最小化するように構成されたものである適応度関数を使用して複数の局所解を最適化する手段と、シャノンのエントロピーを最小化するように構成されたものである適応度関数を使用して大域解を求めることを目的にして前記の局所解を探索する量子の手段と、を含むシャノンのエントロピーを最小化するように構成されたものである量子探索アルゴリズムを含むインテリジェントな制御系。
  • 【請求項36】 前記の大域解がファジーニューラルネットワークの重みを含む請求項35に記載のインテリジェントな制御系。
  • 【請求項37】 さらに、前記の大域解を使用し、PI
    Dコントローラの重みを提供するファジーコントローラを取り扱う手段を含む請求項35に記載のインテリジェントな制御系。
  • 【請求項38】 適応度関数に基づいた遺伝子オプティマイザと、古典系のエントロピーと量子系のエントロピーを最小化する前記の適応度関数を選択する手段と、を含む量子探索アルゴリズムを導き出す装置。
  • 【請求項39】 量子系のエントロピーを最小化する手段と、古典系のエントロピーを最小化する手段と、を含む量子探索アルゴリズムを展開する装置。
  • 【請求項40】 もつれ合い演算子を適用し複数個の相関状態ベクトルを複数個の入力状態ベクトルから作る手段と、干渉演算子を前記の相関状態ベクトルに適用し前記の相関状態ベクトルに比べて小さい古典系のエントロピーを有するインテリジェントな状態ベクトルを生成する手段と、を含む量子アルゴリズムを展開する装置。
  • 【請求項41】 1番目の変換を初期状態に適用して基底状態のコヒーレントな重ね合わせを作る手段と、可逆変換を使用する2番目の変換を前記のコヒーレントな重ね合わせに適用しコヒーレントな出力状態を作る手段と、3番目の変換を前記のコヒーレントな出力状態に適用し出力状態の干渉を作る手段と、前記の出力状態の干渉から大域解を選択する手段と、を含む部分最適解の特性を改善する大域的最適化の装置。
  • 【請求項42】 前記の2番目の変換がシュレーディンガー方程式の解である請求項41に記載の装置。
  • 【請求項43】 前記の3番目の変換が量子高速フーリエ変換である請求項41に記載の装置。
  • 【請求項44】 前記の選択手段が最大確率を求める請求項41に記載の装置。
  • 【請求項45】 前記の入力状態の重ね合わせが大域的適応度関数に対する局所解の集まりを含む請求項41に記載の装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、量子ソフトコンピューティングに基づいた制御系に関し量子計算アルゴリズムのプログラミングと量子計算アルゴリズムの使用に関する。

    【0002】

    【従来の技術】数学と物理学はいつでもお互いに良い影響を与えながら、それぞれの分野で努し発展してきた。 計算法は、ニュートン(Newton)とライプニッツ(Leibniz)が物体の運動の動力学法則を理解し説明する目的で作った。 一般に幾何学と物理学は、長期間、共存関係をうまく保ってきた。 すなわち、古典力学とニュートンの万有引力はユークリッド幾何学に基づいているが、アインシュタイン(Einstein)の一般相対性理論は非ユークリッド幾何学であるリーマン幾何学(数学から物理学に取り込まれた重要な洞察)をその基礎にしている。 物理学と幾何学は今もなお非常に強く結びついているが、今日では情報理論と量子物理学が最も著しく関係しているものの1つになっている。 数学をさらに「物理学的」にしようとしているように思える。

    【0003】情報処理の観点から計算の成り立ちを考えると、古典物理学の法則を元にした計算と量子力学を元にした計算(最初にファインマン(Feymann)とドイッチェ(Deutsch)が行った)は、まったく別物になる。
    計算は、安価になるに従って、永遠に、それでいて急激に素晴らしくなる最適の品物(たとえば、速さ)のように思える。 ここ2、30年間に、情報処理能力は、生命が地球上に誕生してから40億年間に達成したヒトの神経系の情報処理能力に比べて、1,000万倍の速さで成長した。 しかし、計算の理論と技術は、計算のチューリング機械モデルの上で50年以上も停滞したままであった。 そして、チューリング機械モデルは、今でも解決できない多数の難解な問題や、決定できない問題を抱えている。

    【0004】量子コンピュータを使用すれば、このような難解な問題を解くことができる。 しかし、残念ながら、現在は、量子コンピュータを「プログラミング」するアルゴリズムが存在しない。 量子コンピュータの算術計算は、従来のコンピュータの算術計算と同様に、量子ハードウェア(計算機自身を物理的に実現するもの、たとえば量子ゲートとその類似品)と量子ソフトウェア(計算を行うためにハードウェアが実現する計算アルゴリズム)が結びついたものとして説明できる。 量子コンピュータ上で問題を解く場合に使用する量子ソフトウェアアルゴリズムは、現在まで一切、実際の構造やプログラミング方法論を使用せずその場限りの方法で開発された。 たとえばショア(Shor)のアルゴリズムがその代表である。

    【0005】この方法は、カルノー図を使用せずに、従来の論理回路を設計する場合に多少似ている。 論理回路設計者は、入力と、入力に対応する出力を設定された場合に、カルノー図を使わないでも、NANDゲートを使用した複雑な論理回路を設計できるかもしれない。 しかし、残念なことに、設計者は、多かれ少なかれ直観と試行錯誤で論理回路を設計せざるを得ないだろう。 カルノー図によって、論理演算(AND、ORなど)を行う構造とアルゴリズムがはっきりとするために、目指す論理計算を実行する論理回路をすばやく設計できる。

    【0006】量子コンピュータをプログラミングしたり設計したりする方法論が欠如しているために、量子コンピュータの有用性が大きく損なわれている。 また、これは、量子計算に使用される量子論理の基になっている量子原理、たとえば、重ね合わせ、もつれ合い及び干渉の有用性も制約している。 これらの量子原理は、従来のコンピュータでは使用されない問題解決法に適している。

    【0007】これらの量子原理は、現在、遺伝子オプティマイザに使用している進化の遺伝子原理とほぼ同じ方法で、従来のコンピュータ上で使用できる。 自然は、進化の過程で、大規模線形系を最適化する有効な方法を考案した。 コンピュータ上で実行する遺伝子オプティマイザは、自然な進化の過程をシミュレーションして、以前には困難であった多数の最適化問題を、効率的に解く。
    また、自然は、量子力学の原理を使用して、最適化問題、探索型問題、参照選択型問題などをはじめとする問題を、量子論理で解く。 しかし、量子原理と量子論理は、量子論理を使用したアルゴリズムをプログラミングする方法が存在しなかったために、従来のコンピュータでは使用できなかった。

    【0008】発明の概要本発明は、量子論理を使用して問題を解決するためのアルゴリズムをプログラミングする方法論とアルゴリズムを提供することによって、これらの問題とその他の問題を解く。 量子論理プログラムは、量子コンピュータ上で「実行」できる。 また、このアルゴリズムは、量子コンピュータをシミュレーションする非量子コンピュータを使用して、非量子コンピュータ上で「実行」できる。 このアルゴリズムを使用すれば、量子計算の概念、機能及び重ね合わせ、もつれ合い、量子干渉など(そして、これらの原理によって可能になる塊状の量子並列性)の原理が、量子コンピュータのハードウェアを開発しないでも、非量子コンピュータの利点を生かして使用できる。

    【0009】1実施例において、量子プログラミング法は、制御系の遺伝子探索アルゴリズムと共に使用される。 従来の遺伝子探索アルゴリズムは、単一の空間で最適解を探索する。 量子探索アルゴリズムは、多空間の最適解の大域的探索を提供する。 1実施例において、量子ソフトコンピューティングのアルゴリズム設計は、入力関数fをユニタリ行列演算子U Fに符号化して行う。 次に、演算子U Fを量子ゲートGに組み込む。 ここで、G
    はユニタリ行列になっている。 ゲートGを最初の正準基底ベクトルに適用し、基底ベクトルを生成する。 その後、基底ベクトルを測定する。 これらのステップを必要なだけ何度も繰り返して、測定された基底ベクトルの集合を生成する。 測定された基底ベクトルを復号化して、
    出力ベクトルに変換する。

    【0010】1実施例において、U Fへの符号化には、
    fの写像表を単写関数F、Fの写像表をU Fの写像表、
    そしてU Fの写像表をU Fに変換することが含まれる。 1
    実施例において、基底ベクトルのシャノン(Shannon)
    のエントロピが最小化される。 1実施例において、シャノンのエントロピーを減少させる量子探索アルゴリズムを有するインテリジェントな制御系には、制御された機械装置のエントロピー生成の速度を最小化するように構成されたものである適応度関数を使用して局所解を求める、遺伝子オプティマイザが含まれる。 量子探索アルゴリズムは、シャノンのエントロピを最小化するように構成されたものである適応度関数を使用して大域解を求めることを目的として、局所解を探索するために使用される。

    【0011】1実施例において、大域解には、ファジーニューラルネットワークの重みが含まれている。 1実施例において、ファジーニューラルネットワークは、ファジーコントローラを取り扱うために構成されたものであり、ファジーコントローラは、機械装置を制御するPI
    Dコントローラに制御用の重みを提供する。 1実施例において、量子探索アルゴリズムは、シャノンのエントロピを最小化するように選択された適応度関数に従って展開される。

    【0012】1実施例において、量子探索アルゴリズムは、ハイゼンベルク(Heisenberg)の不確定性を最小化し、シャノンのエントロピを最小化することで展開される。 1実施例において、量子探索アルゴリズムは、もつれ合い演算子を適用して複数個の入力状態ベクトルから複数個の相関状態ベクトルを生成し、相関状態ベクトルに干渉演算子を適用してインテリジェントな状態ベクトルを生成することで展開される。 ここで、インテリジェントな状態ベクトルは、相関状態ベクトルに比べて小さい古典系のエントロピーを有している。

    【0013】1実施例において、部分的な最適解の特性を改善するために、1番目の変換を初期状態に適用し、
    基底状態のコヒーレントな重ね合わせを作り出すことによって大域的な最適化を行う。 可逆変換を使用する2番目の変換をコヒーレントな重ね合わせに適用し、コヒーレントな出力状態を作り出す。 3番目の変換をコヒーレントな出力状態に適用し、出力状態の干渉を作り出す。
    そして、大域解が出力状態の干渉から選択される。 1実施例において、最初の変換はアダマール回転になる。 1
    実施例において、各基底状態はキュビットで表せる。 1
    実施例において、2番目の変換は、シュレーディンガー方程式の解になる。 1実施例において、3番目の変換は、量子高速フーリエ変換になる。 1実施例において、
    選択は、最大確率を求めるために行われる。 1実施例において、入力状態の重ね合わせは、大域的な適応度関数の局所解の集まりを含んでいる。

    【0014】詳細な説明 緒言 古典的制御理論では、すべての機械装置は、線形システムで制御されると仮定する。 残念なことに、現実の世界で、この仮定はまれにしか成立しない。 ほとんどの機械装置は、高度に非線形であり、ほとんどの場合、単純なアルゴリズムでは制御できない。 現在開発されている制御系は、ソフトコンピューティングの概念たとえば、遺伝子アナライザ、ファジーニューラルネットワークなどを使用して非線形制御を行う。 制御系は、長い時間をかけて徐々に発展し、機械装置や動作環境あるいはその両方の変化に適合してきた。

    【0015】図1Aは、ソフトコンピューティングによって機械装置104を制御する制御系100を示している。 エントロピー生成計算器106は、機械装置104
    のエントロピーの生産速度を計算する。 エントロピー生成計算器106の出力は、遺伝子アナライザ(GA)1
    07(GAは遺伝子オプティマイザとも言う)に渡される。 GA107は、最小のエントロピー生成を行う制御用の重みの集合を探索する。 重みはファジーニューラルネットワーク(FNN)108に渡される。 FNNの出力は、ファジーコントローラ109に渡される。 ファジーコントローラ109の出力は、機械装置104を制御する在来型のPIDコントローラ103のゲインスケジュールの集合になる。

    【0016】遺伝子アナライザ(GA)に基づくソフトコンピューティングシステムでは、ほとんどの場合、古典的な制御と同じ意味合いの制御法則は実際に存在しない。 制御は、最小のエントロピー生成などの物理的な制御法則に基づいて行われる。 フィードバックと併用することによりGA107の安定性が保証されるために、この物理的な制御法則を使用してロバスト制御が可能になる。 しかし、ロバスト制御は必ずしも最適制御とはいえない。

    【0017】GA107は、対象としている解空間の大域的な最適解を求めようとする。 機械装置の確率的攪乱要因はGA107を別の解空間に「飛ばす」ことができる。 たとえば、自動車の車体懸架装置を制御する場合、
    道路条件の変更は、GA107を別の解空間に強制的に変更する。 遺伝子アルゴリズムは、自然遺伝子と自然淘汰の仕組みに基づいた大域的な探索アルゴリズムである。 遺伝子探索で各設計変数は有限な長さのビット列で表され、これらの有限なビット列は連結されて1つのビット列になる。 可能な解は、コード化されてビット列の集団になる。 続けて、生物学的な複製と進化に類似している遺伝子変換が使用され、符号化された解が改善され変更される。 通常3つの主要な演算子、すなわち、複製、交叉及び突然変異が、遺伝子探索に使用される。

    【0018】複製は、より適合するメンバーを生成し、
    適合しないメンバーを排除させる方向に検索を偏らせる過程である。 まず、個体の適応度を集団の各文字列に割り当てる。 その適合度に基づいて各メンバーに選択の確率を割り当て、複製を行う初期集団のメンバーを選択するのが簡単な手法である。 次に、平均適合度の高いメンバーを使用して、元の大きさと同じ大きさの新しい集団プールを生成する。

    【0019】複製過程では、単純に、優性設計された複数のコピーが集団に含まれるようになる。 交叉過程では、集団プールのメンバー間の設計特性を交換して、次世代の適合度を高める。 交叉は、交配する2個の親の文字列を選択し、文字列上の2つの位置をランダムに選択し、これらの選択された位置の0と1の文字列を交換することで行われる。

    【0020】突然変異は、複製及び交叉の途中で貴重な遺伝物質を損失してしまうことから、遺伝子探索の過程を保護する。 突然変異の過程では、単純に、突然変異の確率に従って集団プールから数メンバを選択し、選択された文字列のランダムに選択された突然変異の位置で、
    0を1に変更するか、あるいはその逆にする。 GA10
    7が使用する遺伝子探索の過程の概略を、図1Bに示す。 まず、文字列の集団が10進コードに変換され、次に適合度の過程160に送られて、文字列すべての適応度を計算する。 偏ったルーレット106(ここで各文字列は、その適応度に比例した大きさのルーレットスロットになっている)が作成される。 重み付けされたルーレットの回転が、複製の候補を作る。 この方法により、適合度の高い文字列が後継世代で多数の子孫を持つことになる。 複製する文字列が選択されたあと、文字列の複製が適応度に基づいて作成される。 そして、次の遺伝子操作のために交配プール162に入力される。 複製後、新しい文字列の集団が、交叉163と突然変異164の進化の過程を使用して生成される。 最後に、上記で説明したように、最適解が見つかるまで、すべての遺伝子過程が反復して行われる。

    【0021】前述の説明のように、遺伝子探索の仕組みは単純であるが、従来の方法とはいくつか重要な違いがあり、この違いが本発明の手法の長所になっている。 遺伝子アルゴリズムは、関数の評価だけを行い、導関数を必要としていない。 導関数が最適値への高速な収束に貢献するのに対して、関数評価は局所的最適点への検索も導く。 さらに、探索が1点からもう1つの別の点に対して続けられる従来の方式とは異なって、探索が設計空間の複数の点から別の設計点の集合に対して続けられるので、この方法は大域的最小を示す良好な確率になる。 また、遺伝子アルゴリズムは、変数自身ではなく、符号化する設計変数に働く。 これは、連続型、離散、整数変数の混合から構成される設計空間に対する遺伝子アルゴリズムの拡張を考慮している。

    【0022】上記で説明したように、GA107は単一の解空間の大域的最適を探索する。 しかし、多重解空間の大域的最適を探索して「普遍」的な最適解を求めることが望ましい。 量子探索アルゴリズムでは(以下に説明するように)、同時に多重空間を探索できる。 図2は、量子探索アルゴリズム(QSA)202をGA107とF
    NN108の間に配置して、制御系を修正したものを表している。 QSA108は、同時に複数の解空間を探索し普遍的な最適解、すなわち、解空間のすべてを考慮した1つの最適解を求める。

    【0023】量子アルゴリズムは、量子力学の原理、法則及び量子効果に基づいた大域的なランダム探索アルゴリズムである。 量子探索で各設計変数は、古典的な初期状態を線形かつ有限に重ね合わせて表される。 この初期状態は、系の最終状態の測定が正しく出力されるように、初期量子状態|i>(入力)を操作する一連の基本的なユニタリステップになっている。 基本的な古典的前処理で始まり、次の量子実験を適用する。 すなわち、最初に可能な状態をすべて重ね合わせ、古典的な関数を計算し、量子フーリエ変換を適用し、最後に測定を実行する。 得られる結果によって、同様な量子実験を繰り返して実行するか、古典的な後処理計算で処理を完了するか、選択する。 通常、量子探索アルゴリズムでは3つの重要な演算子が使用される。 これらの演算子は、線形な重ね合わせ(コヒーレント状態)、もつれ合い及び干渉である。

    【0024】線形な重ね合わせは、よく知られているベクトルの線形結合の数学的原理に密接に関連している。
    量子系は、ヒルベルト空間の波動関数ψによって表せる。 ヒルベルト空間は基底状態|φ i >で表せ、系は量子状態

    【0025】

    【数1】

    【0026】で表せる。 |ψ>は基底状態|φ i >の線形な重ね合わせと言われ、一般的に係数c iは複素数である。 ここでは、ディラック(Dirac)のブラケットの記号を使用している。 ケット|>は、列ベクトルに類似しており、ブラ<|は、ケットの複素共役転置に類似している。 量子力学で、ヒルベルト空間とその基底は物理的に説明されているが、この説明は明らかに最も直観に反した理論になっているかもしれない。 直観には反するが、系の状態は、微視的なレベルでは波動関数、すなわち、すべての基底状態の線形な重ね合わせとして表される(すなわち、ある意味で、系は同時にすべての基底状態になっている)。 しかし、巨視的なレベルや古典的なレベルでは、系は単一の基底状態だけで構成される。 たとえば、量子レベルでは、1個の電子は、多数の異なったエネルギーの重ね合わせになっている。 しかし、これは古典的な領域ではありえない。 これは、コイン投げでコインが空中にある間は、コインは、その基底状態の両方(表と裏)の重ね合わせになっているのと類似している。 コインが着地すると、波動関数は、表か裏かのどちらかの古典的な状態の1つに「落ち着く」。 コインが空中にある間は、だれも表になるか裏になるか当てられず、その確率だけが計算できる。 量子力学の波動関数ψ
    も同様で、系がその各基底状態に「落ち着く」確率になっている。

    【0027】コーヒーレンスとデコヒーレンスは、線形な重ね合わせの考え方と密接に関連している。 量子系がその基底状態の線形な重ね合わせになっている場合、量子系はコヒーレントであると言われる。 系がその環境と相互作用する状態の線形な重ね合わせになっている場合、量子力学の結論では、重ね合わせが破壊される。 コヒーレンスの低下は、デコヒーレンスと言われ、波動関数によって決定される。 係数c iは確率振幅と言われる。 |c i | 2は、状態|φ i >に収縮する|ψ>の確率であり、デコヒーレンスの原因となっている環境(すなわち、測定)との相互作用が発生する確率になっている。
    波動関数は、正確に1つの基底状態に収縮しなければならない現実の物理系を表している。 従って、振幅c iによって決まる確率の和は1にならなければならない。 この欠くことのできない制約は、ユニタリ条件

    【0028】

    【数2】

    【0029】と言われる。 量子状態が固有状態(基底状態)に縮退する確率は、ディラックの記法を使用すると
    |<φ i |ψ>| 2で表せ、2つのベクトルのドット積(射影)に類似している。 たとえば、スピンと言われる離散物理変数を考えてみる。 最も簡単なスピンシステムは、
    スピン1/2系と言われる2状態のシステムである。 その基底状態は、スピンアップとスピンダウンで表される。 この最も単純なシステムで、波動関数は2つの値(アップとダウン)の分布となり、コヒーレント状態は、スピンアップとスピンダウンの線形な重ね合わせとなっている。 システムがその量子コヒーレンスを保持している間、システムはスピンアップまたはスピンダウンのどちらとも言えない。 ある意味では、同時にスピンアップとスピンダウンの両方の状態になっている。 当然、
    古典的にはどちらかの状態でなければならないし、このシステムがデコヒーレンスになった場合、スピンアップまたはスピンダウンのどちらかの結果になる。

    【0030】ヒルベルト空間の演算子は、波動関数を別の波動関数に変化させる方法を表している。 演算子は、
    通常、ベクトルに作用する行列で表す。 演算子を使用すると、固有値方程式は、

    【0031】

    【数3】

    【0032】で表せる。 この式でa iは、演算子Aの固有値を表している。 このような方程式の解は、固有状態と言われ、ヒルベルト空間の基底を構成するために使用される。 量子形式主義では、性質が演算子ですべて表せる。 演算子の固有状態は、その性質と関係するヒルベルト空間の基底を示している。 また、固有値は、その性質の値になっている量子を示している。 量子力学の演算子が線形演算子であり、さらにA*A=AA*=Iを満足するユニタリになっていることは重要である。 ここで、Iは恒等演算子であり、A*はAの複素共役転置(または共役作用素と言われる)である。

    【0033】干渉はよく知られている波動現象である。
    位相の波のピークは強め合い、一方、位相が一致しない場合は弱め合う。 これはから光までのすべての波動力学に共通する現象である。 また、よく知られている2スリット実験は、経験的に、干渉が量子レベルで量子力学の確率波に当たることを表している。 もつれ合いは、古典的には説明できない相関を表す量子状態のポテンシャルである。 計算的な観点からすれば、もつれ合いは十分に直観的に見える。 相関が異なった量子系(たとえば、
    異なった粒子)に存在できることは簡単に説明できる。
    たとえば、1個の粒子がスピンアップ状態にあれば、もう1個の粒子はスピンダウン状態にある。 1個の粒子が両方の状態になっているのは、量子状態が重ね合わせとして存在するので、同様にこれらの相関も重ね合わせになっているからである。 重ね合わせが壊れると、適切な相関が粒子間で瞬時に行われる。 もつれ合いではこの通信が重要である。 通信は、粒子が相当の距離に離れていても、瞬時に行われる。 アインシュタイン(Einstein)
    は、これを「幽霊のように気味の悪い遠隔作用」と言った。

    【0034】計算の観点からは、ハミング(Hamming)
    の距離に関して最大限に遠く隔たっている基底状態だけの重ね合わせになっている量子状態は、巨大なもつれ合いを有している。 さらに、干渉が古典的に類似したものがある量子の性質を有しているかぎりは、もつれ合いは古典的には類似したものがない完全な量子現象になっている。

    【0035】量子ネットワークは、量子計算の複数のモデルの1つである。 他には、量子チューリング機械や量子セリューラオートマトンがある。 量子ネットワークモデルで、各ユニタリ演算子は、複数の量子ビット(キュビット)に影響する量子論理ゲートとしてモデル化されている。 キュビットは、状態の重ね合わせの中に存在する。 従って、量子論理ゲートは、重ね合わせの状態すべてに同時に作用し、キュビットに作用する。 これが量子の並列性である。 (量子論理ゲートという用語は、量子系の時間的な発展を表す完全に概略的な方法の意味で使用されている。「ゲート」という用語は、量子計算が古典的な論理ネットワークと類似した方法で物理的に実現できることを意味していない。)粒子間のもつれ合い(量子相関)のために、各粒子の状態の記述では系の状態をまったく表せない。 代わりに、粒子の状態は2 n個の基底状態のすべての複雑な重ね合わせになっている。 従って、記述には2 n個の複素係数が必要になる。 ヒルベルト空間の指数的な大きさは量子計算の要素になっている。 指数的な並列性が指数的な計算力を意味していることは魅力的である。 しかし、ここでは説明しない。 すなわち、古典的な計算でも同様に、指数的な並列性を見ることができる。 問題は、どうやってシステム外に指数的な情報を抽出するかにある。 量子計算では、量子情報を抽出するために、システムを観測しなければならない。
    測定処理は、有名な波動関数の崩壊の原因になる。 きわめて簡単に言えば、指数的な数だけ存在する可能な状態が、測定後に1つに状態に写像されることを意味している。 従って、指数的な量の計算情報が失われる。

    【0036】指数的な並列性を利用するには、干渉と組み合わせる必要がある。 干渉を使用すると、並列状態にある指数的な数の計算がちょうど波や光の干渉による弱め合いのようにお互いに打ち消される。 関係する計算だけを残して、残りの計算を相殺するように消去を行いたい。 指数的な並列性と干渉の組み合わせは、量子計算を強力にし、量子アルゴリズムで重要な役割を果たしている。 実際にフーリエ変換は、干渉と指数性を表している。

    【0037】古典的な計算とデジタルエレクトロニクスでは、一連の基本的な操作(たとえば、ANDS、OR
    及びNOTのような操作)を行う。 これらの操作は、古典的なビット配列の操作に使用される。 操作は数ビット(1または2ビット)にだけ同時に作用するという意味で基本的である。 操作は、まとまった結果及び演算子、
    行列、命令、ステップまたはゲートの操作として参照するのが便利な場合がある。 また、量子計算では、一連の基本的な操作(たとえば、制御NOTとキュビット回転)
    を処理するが、その処理では古典的なビットの代わりにキュビットを操作する。 量子的な一連の基本的な操作は、大部分がキュビット回路で図示できる。 量子計算では、ほとんどの場合、キュビット配列の展開を表すユニタリ演算子Uが分かっている。

    【0038】量子系に固有である指数的な並列性を利用した量子探索アルゴリズムを使用すると、制御系の意思決定処理が行える。 図3では、GAとQSAアルゴリズムの構造を比較している。 図3に示すようにGA探索では、解空間301が最初の位置(入力)302に導かれる。 最初の位置302が、2進符号化方式310を使用して、ビット列に符号化される。 GA演算子、たとえば、選択303、交叉304及び突然変異305が符号化された文字列に適用されて、集団を生成する。 適応度関数306(たとえば、最小のエントロピ生成やその他の望ましい性質に基づいた適応度関数)を使用し、空間301の大域的最適条件を求める。

    【0039】図3に対比して示しているQSAでは、グループ化したN個の解空間350が使用され、最初の位置(入力)351を作っている。 重ね合わせ352、もつれ合い353及び干渉354などの量子演算子が最初の位置に作用し、測定を作る。 重ね合わせがアダマール変換361(1ビット操作)使用して生成される。 制御NOT操作362(2ビット操作)を使用し、もつれ合いが生成される。 量子フーリエ変換(QFT)363を使用し、干渉が生成される。 量子演算子を使用して、グループ350の全空間を満足する普遍的な最適条件が求まる。

    【0040】このように、古典的な選択処理が、ほぼ、
    量子処理の重ね合わせの生成に類似している。 また、古典的な交叉処理が、ほぼ、量子処理のもつれ合いに類似している。 さらに、古典的な突然変異処理が、ほぼ、量子処理の干渉に類似している。 図4は、QSA(たとえば、QSA202)の一般的な構造を示している。 概念層を400、構造層を401、ハードウェア層を40
    2、そして、ソフトウェア層を403で表している。 概念層400では、初期状態410が状態の重ね合わせを生成する処理部420に渡される。 状態の重ね合わせが、重ね合わせにユニタリ演算子U fを提供する処理部430に渡される。 その処理部430の出力が、解の干渉を計算する解部440に渡される。 その解部440の出力が観察/測定部460に渡される。

    【0041】構造層で入力は、初期状態(たとえば、論理的に零の状態)になっている連続した量子ビット(キュビット)として符号化されている。 入力が、アダマール変換行列421に渡され、重ね合わせを生成する。 行列421の重ね合わせが、演算子U fに渡される。 ここで、U fは処理部431のシュレーディンガー方程式の解になっている。 シュレーディンガー方程式の解である処理部の出力が、干渉を行う量子高速フーリエ変換(Q
    FFT)441に渡される。 QFFT441の出力が、
    変換行列451に渡される。 変換行列451の出力が、
    最大確率振幅461の解になっている。

    【0042】ハードウェア層で重ね合わせ420は、回転ゲート422によって作られる。 演算子U fは、一連の基本ゲート操作432として実現されている。 QFF
    T441は、一連のアダマールと置き換え(P)演算子ゲートとして実現されている。 そして、変換行列451
    は、回転ゲート452を使用して実現されている。 図5
    に、初期状態から重ね合わせの生成までの一連の過程を含むQSAのアーキテクチュアを示す。 からみ合いは、
    からみ合い状態になっているコヒーレントな量子系に固有な量子の並列性を使用して、重ね合わせに適用される。 干渉が導入されてQFFTを使用した解の重ね合わせが行われると、並列性が失われる。 図5では、古典的な2スリット実験、論理的な量子操作、量子探索操作の3つの操作におけるこれらの過程を比較して示している。

    【0043】古典的な2スリット実験で、光源501
    は、最初に、重ね合わせ状態の粒子を生成する。 これは、アダマール(回転ゲート)を、固有状態に初期化されたキュビットに適用する量子アルゴリズム操作に似ている。 2スリット実験では、もつれ合いがスリット50
    2を通過する粒子を使用して生成される。 これはユニタリ演算子U fを使用する重ね合わせ操作の過程に対応している。

    【0044】2スリット実験では、もつれ合わせられた粒子が干渉縞(解の重ね合わせ)を作るスリットの後ろに配置された写真フィルムに達する場合に、干渉が作られる。 これがQFFTに対応する。 最後に、目的の解の選択は、QFFTから最大の確率(すなわち、フィルム上に作られる最も明るい線)を選ぶことに対応する。

    【0045】図6は、GA605と関連するQSAの使用を示している。 図6で初期状態604のゼネレータは、GA605と関連して働き、初期状態の集合を作る。 また、場合によっては、ファジーニューラルネットワーク603と関連して働き、初期状態の集合を作る。
    初期状態がアダマール変換602に渡されて、古典的な状態601の重ね合わせを作る。 古典的な状態の重ね合わせが制御NOTなどの演算子を使用し、もつれ合いを行う処理部606に渡される。 処理部606の出力がQ
    FFTを使用してもつれ合った状態の干渉を計算する干渉部607に渡される。 干渉部607の出力が測定/観察部608に渡される。 測定/観察部608では、干渉部607が計算した解の重ね合わせから目的の解を選択する。

    【0046】観察/測定部608の出力が、決定部60
    9に渡される。 決定部609は、たとえば初期状態60
    4のゼネレータの入力を決定する。 また、場合によっては、GA605の新しい適応度関数を決定する。 また、
    決定部609は、データを復号部610に提供し、復号部610から受け取る。 復号部610は、センサー、その他の制御系、ユーザーなどと通信できる。

    【0047】量子計算の基本は、量子情報理論から得られる。 量子情報理論では、情報は物理系の状態に符号化されるものであり、計算は実際に物理的に実現可能な装置上で実行されるものである。 量子的な制約の付いた、
    物理的な対象物の正当性モデルの開発手法の効果を表している2つの例を示す。 最初の例では、シャノンの古典的なデータ伝送チャネルC c

    【0048】

    【数4】

    【0049】と量子データ伝送チャネルC q

    【0050】

    【数5】

    【0051】とを比較する。 ここで、Pは、チャネルの入力信号の強さ、Nは雑音の強さである。 N→0の場合、limC c →∞、limC q →lnPとなって、雑音のある情報伝送チャネルの正当性モデルが得られる。 2
    番目の例では、量子的な制約条件の付いた制御対象の数学的モデルの識別を検討する。 古典的な制御対象では、
    〔x,y〕=0(交換可能な場合)となり、次式

    【0052】

    【数6】

    【0053】となる。 これに対して、モデル識別の量子相関に基づいた制御対象の場合、[x,y]=ih(交換不可能な場合)となり、次式

    【0054】

    【数7】

    【0055】となる。 量子の場合、1次フレッドフォルム型積分方程式の非正当性が、2次フレッドフォルム型積分方程式の正当性に写像する。 これは、入力信号x
    (t)または僅かな誤差のある力学系k(t)の構造の正当性識別を行う式(2.2)の出力信号y(t)の測定で、僅かな誤差が生じることを意味している。 古典的な式(2.1)の場合、非正当性モデル識別ならびに出力信号の測定の僅かな誤差は、識別信号で大きな誤差になる。

    【0056】量子計算は、量子の重ね合わせ、干渉及びもつれ合いの原理に基づいている。 量子状態は、常に、
    古典的に可能な状態の一部か、あるいは、すべてに対応する成分を有している。 この量子効果を重ね合わせ状態と言っている。 量子規則に従うコンピュータは、塊状の並列性を使用して異なった入力を処理でき、出力の重ね合わせを生成する。 この場合、量子コンピュータは、物理的な機械であり、多数の可能で異なった入力のコヒーレントな重ね合わせを表す入力状態を受理できる。 そして、受理した後に、それらの入力状態を対応する出力の重ね合わせに展開できる。 量子のもつれ合いを使用して、事前に用意した複数の基底状態の自明でない多粒子の重ね合わせにデータを符号化できる。 そして、量子干渉(動的過程)を使用してあらかじめ決まった方法で中間の多粒子の重ね合わせを変更し、初期量子状態(入力)を最終状態(出力)に展開できる。 量子コンピュータは、異なった計算経路の量子干渉を使用して、正しい結果を向上させ、誤った計算結果を抑制する。 量子計算を多粒子干渉として見た場合に、量子アルゴリズムを実証する共通の傾向が識別できる。 多粒子干渉は、(単一粒子の干渉とは違って)類似するものが古典的な干渉に存在しないので、本質的に量子過程と言える。

    【0057】古典的コンピュータは、量子物理学に基づいているが、完全に量子的であるわけではない。 古典的コンピュータは、情報理論レベルで実際に問題になっている物質の「量子性」を使用していない。 すなわち、古典的なコンピュータで情報は、巨視的には2つのレベルの系で記録される。 コンピュータ内で電流を伝えている電線は、2つの基本的な状態になっている。 1つは電流が流れていない状態、すなわち、論理的に「0」の状態、
    もう1つは電流が流れている状態、すなわち、論理的に「1」の状態になっている。 これらの2つの状態が、ビット情報を表している。 計算はすべて、これらのビットを表す電線に作用する論理ゲートを使用するビットの論理的な操作に基づいている。 しかし、ここで説明するように、量子コンピュータは、古典的コンピュータ上でシミュレーションできる。

    【0058】電線と電流の代わりに、量子コンピュータは、たとえば、原子の電子的な状態を使用して、情報を記録する。 たとえば、2つの量子状態が、基底状態|0
    >と励起状態|1>(ディラックの記法を使用)を使用して記録される。 原子は量子力学の法則に従うので、最も一般的な電子状態は、この基本的な2つの状態の重ね合わせになり、|ψ 1 >=c 1 |0>+c 2 |1>で表される。 この電子状態は、略して量子ビット、すなわち、
    キュビットと言われる。 0と1の状態の他に、キュビットは、まるで、「その間」のすべての状態になっている。
    2つの古典的ビットの場合、00,01,10,11の4つの場合がありえる。 これは一般的に、|ψ 1 >=c 1
    |00>+c 2 |01>+c 3 |10>+c 4 |11>で表せる状態になっている2個のキュビットと対比される。 たとえば、

    【0059】

    【数8】

    【0060】の場合、有名なアインシュタイン−ボドルスキー−ローゼン(Einstein-Podolski-Rosen(EP
    R))状態

    【0061】

    【数9】

    【0062】が得られる。 この状態の2つのキュビットは、古典物理学では不可能な相関度を表している。 従って、すべての局所的(すなわち、古典的な)状態が満足するベル(Bell)の不等式が成立しない。 この現象はもつれ合いと言われ、正確な量子計算の根幹になっている。 多数のもつれ合ったキュビットを局所的に利用することにより、古典コンピュータの計算速度に比べて量子コンピュータの計算速度を著しく向上できる。 このように、古典計算と量子計算は、情報を符号化し、操作する方法に違いがある。 すなわち、古典的な論理(ブール論理)または量子的な論理のどちらの論理が基本になっているかが重要な役割を果たしている。

    【0063】量子コンピュータは、因数分解やデータベース検索などの問題を効率よく解くことができる。 量子探索アルゴリズム(QSA)は、古典的なアルゴリズムでは解けない問題の解法に使用できる。 1実施例において、量子力学アルゴリズムは、データベースの特別な性質を利用する効率的なデータベースアルゴリズムと組み合わせる。

    【0064】量子アルゴリズムの一般的な構造 1実施例において、量子回路で表された量子アルゴリズムは、対応するプログラム可能な量子ゲートに変換される。 このゲートは行列演算子で表せ、量子レジスタの入力状態のベクトル表示に適用した場合、生成される結果は図7に示しているような量子レジスタの出力状態のベクトル表示になる。

    【0065】量子計算は、量子コヒーレント状態に作用する3つの演算子に基づいている。 これらの演算子は、
    重ね合わせ、もつれ合い及び干渉である。 コヒーレント状態は、最小不確定性の展開状態(ハイゼンベルクに従うと、「最大の古典的性質」の量子状態である)を表す、
    対応するシュレーディンガーの方程式の解として表せる。 アダマール変換は、古典的な状態から重ね合わせを生成する。 量子演算子、たとえばCNOTは強固な重ね合わせ状態を作る。 量子高速フーリエ変換は、干渉を提供する。 量子計算の多数の操作は、重ね合わせ振幅の制御された位相調整、置き換え、変換の近似及びブロック行列変換に対する位相調整の一般化によって効率的に実現される。 これらの操作は、古典的コンピュータ上で実現される量子探索アルゴリズム内で使用される演算子を一般化する。 次に、ドイッチェ−ヨーザ(Deutsch-Jozs
    a)のアルゴリズムとグローバー(Grover)のアルゴリズムに基づいた例に従って、古典的コンピュータ上でシミュレーションする一般的な場合のこの手法の利用について説明する。

    【0066】量子アルゴリズムで解く問題を 関数f:[0,1] n →[0,1] mが与えられた場合に、f
    の性質を求める。 と、する。 量子アルゴリズムの構造を高レベル表示で図8に示す。 図8では、関数fで示されている入力801が、エンコーダ802に渡される。 エンコーダ802の出力は、演算子U f 803になる。 演算子803は、量子部804に渡される。 量子部の出力804は、基底ベクトル805の集合になる。 基底ベクトル805は、デコーダ806に渡される。 答え807
    が、デコーダ806の出力である。 入力801と出力8
    07は、ビット列層を作る。 エンコーダ802とデコーダ806は、写像表と解釈空間層を作る。 演算子80
    3、量子部804及び基底ベクトル805は、複素ヒルベルト空間内に存在する。

    【0067】量子アルゴリズムの入力は、ビット列をビット列に写像する関数fである。 この関数は、すべての文字列の写像を定義している写像表で表せる。 関数f
    は、まず最初に、fの性質に依存するユニタリ行列演算子U Fに符号化される。 ある意味で、ユニタリ演算子U F
    は、その入力と出力文字列が複素ヒルベルト空間の正準基底ベクトルに符号化された場合のfを計算することである。 U Fは、fを使用してすべての文字列のベクトル符号をその像のベクトル符号に写像する。 その逆行列が共役転置U F -1 =U Fと一致する場合かつその場合に限り、複素体の正方行列U Fはユニタリである。 ユニタリ行列は、常に可逆であり、ベクトルのノルムを保持する。

    【0068】行列演算子U Fが生成された後に、U Fが、
    ユニタリ行列である量子ゲートGに組み込まれる。 ユニタリ行列の構造は、行列U Fの形式と解答する問題に依存している。 量子ゲートは、量子アルゴリズムの中心になっている。 量子ゲートは、最初の正準基底ベクトルに作用して、基底ベクトルの複素線形結合(重ね合わせ)
    の出力を生成する。 この重ね合わせには、最初の問題の解答に必要な情報がすべて含まれている。

    【0069】この重ね合わせが生成された後に、測定を行い、情報を抽出する。 量子力学で測定は、入力されている重ね合わせの基底ベクトルのただ1つだけを出力として生成する非決定的な操作である。 測定の出力になっているすベての基底ベクトルの確率は、入力されている複素線形結合の複素係数(確率振幅)に依存する。 量子ゲートと測定の部分的な作用が量子部804に渡される。 量子部804をk回繰り返して、k個の基底ベクトルの集まりを作る。 測定は非決定的な操作であるので、
    これらの基底ベクトルは同一である必要がない。 そして、問題の解答に必要な情報の1つを符号化する。

    【0070】アルゴリズムの最後で、集められた基底ベクトルの解釈を行い、特定の確率を示している最初の問題の解答を得る。 エンコーダ部802の動作を図9に示す。 図9に示すように関数fが、3段階のステップで行列U Fに符号化される。 まず、関数f:[0,1] n
    [0,1] mの写像表が単写関数F:[0,1] n+m →[0,
    1] n+mの写像表に変換される。 ただし、単写関数Fは、

    【0071】

    【数10】

    【0072】を満足している。 単写関数は、U Fがユニタリであるという要件から導かれる。 ユニタリ演算子は可逆であるので、2個の異なった入力を同じ出力に写像できない。 U Fは、Fを行列で表したものであるので、
    Fは単写的であると仮定される。 fは非単写的であり得るので、関数fの行列表現を直接使用すると、非ユニタリ行列になってしまう。 従って、単写性はビット数を増加させて、関数fの代わりに関数Fを考慮することで満足される。 関数fは、入力文字列内で(y0,...,y
    m-1 )=(0,...,0)とし、最後の出力文字列のm
    個の値を読むことで、常にFから計算される。

    【0073】図9の2番目のステップで関数Fの写像表は、次式の制約条件

    【0074】

    【数11】

    【0075】に従って、U Fの写像表に変換される。 符号写像

    【0076】

    【数12】

    【0077】は対象とする複素ヒルベルト空間を表す)
    は、次式

    【0078】

    【数13】

    【0079】を満足する。 符号τは、ビット値をC 2の標準基に属する2次元の複素ベクトルに写像する。 テンソル積を使用して、τは、一般的な状態のn次元のビット列を2 n次元のベクトルに写像し、この状態をレジスタを構成するnビットの結合状態に変える。 すべてのビット状態は、対応する2次元の基底ベクトルに変換される。 次に、文字列の状態が、テンソル積を使用してビットベクトルをすべて組み立てることにより、対応する2
    n次元の基底ベクトルに写像される。 このことより、テンソル積は、状態結合のベクトルに対応するものである。

    【0080】最後に、図9の第3ステップで、U Fの写像表が、次式で示す変換規則

    【0081】

    【数14】

    【0082】を使用してU Fに変換される。 この規則は、ベクトル|i>と|j>を列ベクトルと考えることで理解できる。 これらのベクトルを標準基と関連させると、U Fは単位行列の行の置き換え写像を定義している。 一般的には、行|j>が行|i>に写像される。 図10に、量子部804の操作を示す。 量子部804の中心は量子ゲート1002である。 量子ゲートは、行列U
    Fの性質に依存する。

    【0083】行列演算子U Fは、エンコーダ部802の出力であり、量子部804の入力になっている。 量子部804で、行列演算子U Fは、まず、さらに複雑なゲートである量子ゲートGに組み込まれる。 ユニタリ行列G
    は、2 n+m次元の最初の正準基底ベクトル|i>にk回適用される。 毎回、得られた基底ベクトルの複雑な重ね合わせG|0. . 01. . 1>が測定され、その結果、
    1つの基底ベクトル|x i >が作られる。 測定された基底ベクトル{|x 1 >,..,|x k >}が一緒に集められる。 この集まりは、量子部804の出力になっている。
    このアルゴリズムの「知性」は、fに要求される性質を求めるために必要な情報が抽出でき、それを出力ベクトルの集まりに保存できる、量子ゲートを組み立てる能力にある。

    【0084】量子ゲートを表すには、量子回路と言われる図を使用するのが便利である。 量子回路の例を図11
    に示す。 各長方形はn×nの行列と関係している。 ここでnは長方形に入線及び出線する線の数になる。 たとえば、U Fの長方形は行列U Fに関係している。 量子回路は、ゲートを高レベルで表示したものである。 量子回路は、変換規則を使用すると、対応するゲート行列にまとめることができる。 これらの変換規則を図12A−12
    Fに示す。

    【0085】デコーダ部806は、量子部804の実行を繰り返した後に集めた基底ベクトルを解釈する。 基底ベクトルの復号化は、基底ベクトルをビット列に再変換することを意味している。 そして、基底ベクトルがすでに開始した問題の答えを含んでいる場合には、ビット列を直接解釈する。 すなわち、ある方程式系の係数ベクトルとしてビット列を使用し、探索される解を得る。

    【0086】上記のアルゴリズムの例として、ドイッチェ−ヨーザ(DJ)のアルゴリズムの量子ゲート表現を展開するのが都合が良い。 このゲートは、行列演算子U
    Fの構造を表している図8に関連して展開された手法に従って実現される。 DJアルゴリズムは次のように説明される。 定値または平衡関数f:{0,1} n →{0,
    1}が与えられた場合に、fが定値または平衡しているかどうかを決定する(この問題は、ドイッチェの問題と非常によく類似しているが、ドイッチェの問題はn>1
    の場合に一般化されていた)。

    【0087】A. まず、n=2の特別な場合のDJアルゴリズムのエンコーダを考える。 従って、

    【0088】

    【数15】

    【0089】の場合を考える。 この場合、Fの写像表は、

    【0090】

    【表1】

    【0091】で与えられる。 fの写像表をエンコーダ部に入力して、それを行列演算子U Fに符号化する。 U Fは複素ヒルベルト空間の中に作用する。 関数fを、次式

    【0092】

    【数16】

    【0093】に従った単写関数Fに符号化する。 従って、Fの写像表

    【0094】

    【表2】

    【0095】が得られる。 Fの写像表を、規則

    【0096】

    【数17】

    【0097】を使用して、U Fの写像表に符号化する。
    ここで、τは上記で定義された符号写像である。 従って、U Fの写像表は、

    【0098】

    【表3】

    【0099】となる。 U Fの写像表を元に、対応する行列演算子を計算する。 この行列は、規則

    【0100】

    【数18】

    【0101】を使用して得られる。 従って、U Fは、

    【0102】

    【表4】

    【0103】の行列になる。 行列のテンソル積を使用すると、U Fは、次式

    【0104】

    【数19】

    【0105】で表せる。 ここで、

    【0106】

    【数20】

    【0107】はテンソル積、Iは2次の単位行列、C
    は、

    【0108】

    【数21】

    【0109】で定義されるNOT行列を表している。 行列Cは、基底ベクトルを反転する。 すなわち、この行列は、ベクトル|0>を|1>に、|1>を|0>に変換する。 行列U Fを3個の2次元ベクトルのテンソル積に適用する場合に得られるベクトルは、行列Iを入力ベクトルの最初の2つのベクトルにそれぞれ適用し、行列C
    を入力ベクトルの3番目のベクトルに適用して得られる、3個のベクトルのテンソル積になる。 すなわち、U
    Fは、入力ベクトルのテンソル積を作っている最初の2
    つのベクトルはそのまま保存し、3番目のベクトルは反転(Cの作用)させる。 この作用は、U Fの写像表に示されている制約条件に対応している。

    【0110】B. 次に、

    【0111】

    【数22】

    【0112】の場合を考える。 この場合、fの写像表は、

    【0113】

    【表5】

    【0114】で与えられる。 Fの写像表

    【0115】

    【表6】

    【0116】が得られる。 Fの写像表をU Fの写像表に符号化して、U Fの写像表

    【0117】

    【表7】

    【0118】を得る。 この写像表は、簡単に行列に変換できる。 ベクトルのすべてが保存され、対応する行列は2 3次元の単位行列になる。 すなわち、U Fに対応する行列

    【0119】

    【表8】

    【0120】が得られる。 この行列は、行列のテンソル積を使用すると、

    【0121】

    【数23】

    【0122】で表せる。 U Fは、入力ベクトルのテンソル積を作っている2次元の基底ベクトルをすべて独立して展開させる。 どのベクトルも他のベクトルに影響を与えない。 たとえば、平衡関数

    【0123】

    【数24】

    【0124】を考える。 この場合、fの写像表は次の

    【0125】

    【表9】

    【0126】となる。 上記で説明したような計算を行うと、次の写像表

    【0127】

    【表10】

    【0128】は、単写関数F(ただし、fは符号化されている)を表している。 次に、Fの写像表をU Fの写像表に符号化して、U Fの写像表

    【0129】

    【表11】

    【0130】を得る。 従って、U Fに対応する行列

    【0131】

    【表12】

    【0132】を得る。 この行列は小行列のテンソル積では表せない。 すなわち、ブロック行列で表すと、

    【0133】

    【表13】

    【0134】となる。 入力ベクトルのテンソル積を作っている3番目のベクトルに作用する行列演算子は、最初の2つのベクトルの値に依存していることが分かる。 たとえば、最初の2つのベクトルが|0>と|0>の場合、3番目のベクトルに作用する演算子は単位行列になる。 また、最初の2つのベクトルが|0>と|1>の場合、3番目の展開は行列Cが決定する。 従って、この演算子はもつれ合い、すなわち、テンソル積のベクトルの相関を作っている。

    【0135】C. n=2の一般的な関数を考える。 この一般的な場合、fの写像表は、

    【0136】

    【表14】

    【0137】で与えられる。 ただし、f i ∈{0,
    1},i=00、01、10、11とする。 fが定数の場合、

    【0138】

    【数25】

    【0139】が成り立つ。 fが平衡している場合、|
    {f i :f i =0}|=|{f i :f i =1}|が成り立つ。
    単写関数F(ここで、fは符号化されている)は次の写像表

    【0140】

    【表15】

    【0141】で表せる。 次に、Fの写像表をU Fの写像表に符号化して、U Fの写像表

    【0142】

    【表16】

    【0143】を得る。 U Fに対応する行列は、ブロック行列を使用して次の一般形式

    【0144】

    【表17】

    【0145】で表せる。 ここで、f i =0の場合M i =I、
    i =l,の場合M i =Cとなる。 ただし、i=00,0
    1,10,11である。 この行列は、入力ベクトルの最初の2個のベクトルを他のベクトルに写像する場合、零の演算子を入力ベクトルの3番目のベクトルに適用して変換し零の確率振幅を生成する。 従って、最初の2個のベクトルは常に変らない。 また、入力ベクトルの最初の2個のベクトルを自分自身に写像する場合、これとは逆に、演算子はM i ∈{I,C}が成り立つ集合に属し、その演算子が3番目のベクトルに適用される。 M iのすべてが一致する場合、演算子U Fは定値関数を符号化する。 それ以外の場合、演算子U Fは非定値関数を符号化し、さらに、|[M i :M i =I]|=|[M i :M i =C]|の場合、fは平衡している。

    【0146】D.n>0の一般的な場合、入力関数fの写像表は、

    【0147】

    【表18】

    【0148】で与えられる。 ただし、f i ∈{0,1},
    i∈(0,1) nが成り立つ。 fが定数の場合は

    【0149】

    【数26】

    【0150】となる。 fが平衡している場合は|[f i
    i =0]|=|[f i :f i =1]|となる。 対応する単写関数Fの写像表は

    【0151】

    【表19】

    【0152】になる。 次に、Fの写像表をU Fの写像表に符号化して、U Fの写像表

    【0153】

    【表20】

    【0154】を得る。 U Fに対応する行列は、ブロック行列を使用して次の一般形式

    【0155】

    【表21】

    【0156】で表せる。 ここで、f i =0の場合M i
    I、またf i =lの場合M i =Cとなる。 ただし、i∈
    {0,1} nとする。 この行列は、最初のn個のベクトルをそのまま残し、演算子M i ∈{I,C}を最後のベクトルに適用する。 M iのすべてがIまたはCと一致する場合、行列は定値関数を符号化して

    【0157】

    【数27】

    【0158】で表せる。 この場合、もつれ合いは生成されない。 それ以外の場合で条件|{M i :M i =I}|=
    |{M i :M i =C}|が満足される場合、fは平衡しており、演算子がベクトルの相関を作る。 次に、エンコーダの出力である行列U Fが、DJアルゴリズムの量子ゲートに組み込まれる。 このゲートは、図13に示されている量子回路を使用して表される。 図12Cの同一性の規則を使用して、図13の回路が、図14に示されている回路にまとめられる。

    【0159】fが定数でその値が1の場合、行列演算子U F

    【0160】

    【数28】

    【0161】で表される。 従って、図12Aで示されているように、U Fは、入力ベクトルのテンソル積を作っているn+1個の2次元ベクトルに同時に作用する、n
    +1個の小演算子に分解される。 得られる回路を図15
    に示す。 図12Bを使用して入力のすべての2次元ベクトルに作用している部分ゲートを求めると、図16が得られる。 入力ベクトルがすべて独立して展開する。 これは、演算子U Fがどのような相関も作らないためである。 従って、入力ベクトルのすべての展開を別々に分析できる。 この回路はM・I=Mであるので、図17で示すように簡単に表せる。 H 2 =Iであるので、回路は図18となる。

    【0162】次に、ベクトルのすべてに作用する演算子の効果

    【0163】

    【数29】

    【0164】を考える。 図12Dと12Cに示されている操作と関連するこれらの演算子の結果を使用して、図19に示されているような回路表現が得られる。 このように、fが値1の定数の場合、最初のn個のベクトルが保存される。 同様な分析を値0の定値関数に対して行う。 この場合、U F

    【0165】

    【数30】

    【0166】で表される。 また、最後の回路を図20に示す。 この場合も、最初のn個の入力ベクトルが保持される。 従って、量子ゲートが作用した後の最初のn個の入力ベクトルの出力値は、そのまま|0>になっている。 図14の回路を操作すると、図21に示すDJアルゴリズムを一般的に実現するゲートが得られる。 図21
    に示す回路は、図22に示す最終回路に展開される。

    【0167】n=2の場合、U F

    【0168】

    【表22】

    【0169】の形式になる。 ここで、M i ∈{I,C}である。 ただし、i=00,01,10,11である。 量子ゲートを

    【0170】

    【数31】

    【0171】とすると、

    【0172】

    【表23】

    【0173】

    【表24】

    【0174】が得られるn>0の一般的な場合に、U F
    は、

    【0175】

    【表25】

    【0176】の形式になる。 ここで、M i ∈{I,C}である。 ただし、i∈{0,1} nである。 量子ゲートを

    【0177】

    【数32】

    【0178】とすると、

    【0179】

    【表26】

    【0180】が得られる。 この表では、ビット列演算子「 . 」を使用している。 この演算子は2つの文字列のビットごとにANDを取ったビットのパリティを表している。 この演算子は、長さnの2個のビット列xとyが与えられた場合に、次式

    【0181】

    【数33】

    【0182】で定義される。 ここで、2つのビット間で使われている記号「・」は論理演算子のANDを表している。 行列n+1 Hが実際に上表で得られることを明らかにするには、次式

    【0183】

    【数34】

    【0184】が成り立つことを証明すればよい。 証明は帰納法により行う。 n=1の場合、次式

    【0185】

    【数35】

    【0186】が成り立つ。 n>1の場合、次式

    【0187】

    【数36】

    【0188】が得られる。 行列n+1 Hがテンソル積によってn Hから得られる。 同様にして、行列

    【0189】

    【数37】

    【0190】が計算され、

    【0191】

    【表27】

    【0192】

    【表28】

    【0193】が得られる。 この演算子は排他的に入力ベクトル|0. . 01>に適用されるので、ゲートGの最初の列だけを計算する。 従って、計算結果を表す次表には、最初の列だけが示されている。

    【0194】

    【表29】

    【0195】fが定数の場合、行列M iのすべてが同一になることが分かる。 これは、次式

    【0196】

    【数38】

    【0197】となる。 これは、この和で+1の数が−1
    の数に等しいためである。 従って、入力ベクトル|
    0. . 01>はベクトル|0. . 00>と|0. . 01
    >の重ね合わせに写像される。 fが平衡している場合、
    i =Iの数はM i =Cの数に等しい。 これは、

    【0198】

    【数39】

    【0199】となる。 従って、次式

    【0200】

    【数40】

    【0201】となる。 平衡関数の場合、入力ベクトル|
    0. . 01>は、量子ゲートによってベクトル|0. .
    00>または|0. . 01>を含む重ね合わせに写像できないことが分かる。 量子部は測定で終了する。 測定の可能な出力とその確率を決定できる。 結果を次表に示す。

    【0202】

    【表30】

    【0203】A−Bの集合は、Aのすべての要素が属し、Bの要素が属していない。 この集合はA/Bと表される場合がある。 量子部はドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムでは1回だけ繰り返される。 従って、最後の収集は1個のベクトルだけで行われる。 ドイッチェのアルゴリズムでは、最後の基底ベクトルが測定された場合に、
    その基底ベクトルを解釈してfが定数であるか、平衡しているか決定することが必要になる。 得られたベクトルが、|0. . 0>の場合に関数は定数であり、そうでない場合関数は平衡している。 すなわち、fが定数の場合に、ゲートGは、測定した基底ベクトル|0. . 00>
    と|0. . 01>だけが非零の確率振幅を排他的に持つようなベクトルを作る。 また、fが平衡している場合に、ゲートGはこれらの2つのベクトルが基底ベクトルの線形結合に零の係数をもつようなベクトルを作る。 この方法で、得られたベクトルが復号化され、ドイッチェ−ヨーザの問題に対する以下の解が得られる。

    【0204】

    【表31】

    【0205】次に説明するグローバーのアルゴリズムは、ドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムの変形である。
    グローバーのアルゴリズムは、

    【0206】

    【表32】

    【0207】で表せる。 ドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムは、入力関数を2種類に分類し、問題が入力関数がどの分類に属しているか決定する。 グローバーのアルゴリズムでは2 n個の分類の入力関数を取り扱うが、このような難しい問題の場合でも問題の形が類似している(説明されている種類の各関数は分類と考える)。 以下では、すっきりとした説明を行うために、まずn=2の特別な関数を考える。 次に、n=2の一般的な場合について説明する。 そして、最後に、n>0の一般的な場合について説明する。

    【0208】まず、 n=2 f(01)=1 の場合を考える。 この場合、fの写像表は、

    【0209】

    【表33】

    【0210】で定義される。 関数fは、図8に関連して説明されているように作成された単写関数Fに符号化される。 関数fを、次式

    【0211】

    【数41】

    【0212】に従った単写関数Fに符号化する。 次に、
    Fの写像表は、

    【0213】

    【表34】

    【0214】になる。 次に、Fの写像表を規則

    【0215】

    【数42】

    【0216】を使用してU Fの写像表に符号化する。 ただし、τは、図8に関連して説明されている符号写像である。 従って、U Fの写像表は、

    【0217】

    【表35】

    【0218】となる。 U Fの写像表から、対応する行列演算子を計算する。 この行列は、規則

    【0219】

    【数43】

    【0220】を使用して得られる。 その結果、対応する行列演算子

    【0221】

    【表36】

    【0222】が得られる。 この行列は、最初のベクトルが|0>で2番目のベクトルが|1>の場合に、入力ベクトルのテンソル積を作っている最初と2番目の入力基底ベクトルはそのままにし、3番目の入力基底ベクトルを反転する。 これは、上記で説明したU Fの制約条件に一致している。

    【0223】次に、さらに一般的な場合である次式

    【0224】

    【数44】

    【0225】を考える。 対応する行列演算子は、

    【0226】

    【表37】

    【0227】である。 n=2の場合からn>1の場合に演算子U Fを一般化するのが近道である。 ブロック行列の主対上の演算子Cは、ベクトル|x>によって名前付けされているセルの対応に基づいている。 ここで、x
    は、fによってベクトル|x>を写像したビット列である。 従って、

    【0228】

    【表38】

    【0229】となる。 エンコーダの出力である行列U F
    が量子ゲートに組み込まれる。 このゲートは、図23の量子回路に示されている。 演算子D nはn次の拡散行列と言われており、このアルゴリズムで干渉の役割を果たしている。 ショアのアルゴリズムのQFT nならびにドイッチェ−ヨーザのアルゴリズム及びサイモン(Simo
    n)のアルゴリズムのn Hと同じ役割を果たしている。 この行列は、

    【0230】

    【表39】

    【0231】で定義される。 図12Cに示されている変換を使用して、図23の回路が図24の回路にまとめられる。 たとえば、U Fが、

    【0232】

    【表40】

    【0233】の場合を考える。 次に、量子ゲートを

    【0234】

    【数45】

    【0235】とした場合を計算する。 この場合、式の各項は、

    【0236】

    【表41】

    【0237】で得られる。 h=1とすると、

    【0238】

    【表42】

    【0239】が得られる。 1つの例で、演算子3 Hは、
    最初の正準基底ベクトル|001>を絶対値が同じ(実)係数の基底ベクトルのすべての重ね合わせにする。 しかし、この係数は最後のベクトルが|0>の場合正の符号、そうでない場合は負の符号をもつ。 演算子U
    Fは相関を作る。 すなわち、演算子U Fは、最初の2つのベクトルが|0>と|1>の場合、3番目のベクトルを反転する。 最終的に、

    【0240】

    【数46】

    【0241】は干渉を作る。 すなわち、すべての基底ベクトル

    【0242】

    【数47】

    【0243】に対して、演算子U Fは、その最初の確率振幅α' x0x1y0の符号を反転し、

    【0244】

    【数48】

    【0245】の形式のベクトルのすべての確率振幅の平均

    【0246】

    【数49】

    【0247】の2倍を加えて、その出力確率振幅α'
    x0x1y0を計算する。 例では

    【0248】

    【数50】

    【0249】となる。 たとえば、基底ベクトルを|00
    0>とすると、

    【0250】

    【数51】

    【0251】となる。 一般に、n=2の場合、U Fは、

    【0252】

    【表43】

    【0253】となる。 この一般的な場合の量子ゲート

    【0254】

    【数52】

    【0255】は、

    【0256】

    【表44】

    【0257】となる。 次に、Gをベクトル|001>に適用した場合、

    【0258】

    【数53】

    【0259】を考える。 出力ベクトルを測定し、得られたテンソル積の、最初の2つの2次元基底ベクトルを復号化した場合に、

    【0260】

    【表45】

    【0261】結果確率の結果が得られる。 n>0の一般的な場合に、U Fは、

    【0262】

    【表46】

    【0263】の形式になる。 量子ゲート

    【0264】

    【数54】

    【0265】は、

    【0266】

    【表47】

    【0267】となる。 たとえば、h=1の場合、

    【0268】

    【表48】

    【0269】となる。

    【0270】

    【数55】

    【0271】であるので、この列は、

    【0272】

    【表49】

    【0273】となる。 従って、

    【0274】

    【表50】

    【0275】が得られる。 次に、ベクトル|1>に行列演算子{〔−l+(2 n −1)/2 n-1 〕I+C/
    n-1 }H/2 n/2と行列演算子{〔(2 n −1)/2 n-1
    I+[−1+1/2 n-1 ]C〕H/2 n/2を適用すると、
    それぞれ、次式

    【0276】

    【数56】

    【0277】が得られる。 従って、次式

    【0278】

    【数57】

    【0279】が得られる。 この式をブロックベクトルで表すと、

    【0280】

    【表51】

    【0281】が得られる。 この形式のベクトルに演算子

    【0282】

    【数58】

    【0283】を適用する。 この形式のベクトルを、

    【0284】

    【表52】

    【0285】とする。 ここで、αとβは、〔2 n −1〕
    α 22 =1を満足する実数である。 演算子を適用した結果は、

    【0286】

    【表53】

    【0287】となる。 この形式のベクトルG h=1
    0. . 01>から始めて、h回演算子

    【0288】

    【数59】

    【0289】を適用すると、t回目の係数は

    【0290】

    【数60】

    【0291】になる。 従って、βが増加すると、αは減少する。 ドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムのようにグローバーの量子ゲートからの出力ベクトルが測定された場合に、出力を解釈して

    【0292】

    【数61】

    【0293】を求める。 このステップは比較的簡単である。 すなわち、大きなhを選択して、1に近い確率の探索されたベクトル

    【0294】

    【数62】

    【0295】を求めれば十分である。 ベクトルを求めた後、得られたテンソル積の最初のn個の基底ベクトルを2進値に復号化し、最終解として文字列

    【0296】

    【数63】

    【0297】が得られる。 情報理論 次に、情報理論から見た量子アルゴリズムの展開について説明する。 ここでは、量子ゲートに入力する複素ベクトルを古典レベルと量子レベルの両方の情報源として考える。 シャノンのエントロピーH shは古典的な情報単位である。 ヒルベルト空間

    【0298】

    【数64】

    【0299】の絶対値1の複素ベクトルを考える。 ただし、Hil Qkはkのすべてに対して2次元であり、基底ベクトルの複素線形結合

    【0300】

    【数65】

    【0301】で表せる。 次に、基底

    【0302】

    【数66】

    【0303】についての状態|ψ>のシャノンのエントロピーを

    【0304】

    【数67】

    【0305】で定義する。 ここで、

    【0306】

    【数68】

    【0307】はベクトル|i 1 ,i 2 …i n >を測定する確率と考える。 フォンノイマン(Von Neumann)のエントロピーが量子相関に保存される情報の測定に使用される。 ρ=|ψ><ψ|を状態|ψ>に関連する密度行列とし、

    【0308】

    【数69】

    【0309】とする。 次に、

    【0310】

    【数70】

    【0311】と定義する。 ここで、Tr〔 1,,n
    -T (…)は部分トレース演算子である。 |ψ>のキュビットjのフォンノイマンのエントロピーは、次式

    【0312】

    【数71】

    【0313】で定義される。 また、次式

    【0314】

    【数72】

    【0315】の定義も使用する。 これらの量を、ウェン(Wenn)のダイアグラムを使用して図25に示す。 エントロピーの測度は、大多数の物理量の測度とは異なる。
    量子力学では、観測量と状態を区別しなければならない。 観測量(位置、運動量など)は、数学的にはヒルベルト空間の自己共役演算子で記述される。 状態(一般的には混在している)は、密度行列ρ(0、すなわち、トレースTr(ρ)=1のエルミート演算子によって表される。状態ρの観測量Aの期待値は<A>=Tr(ρ
    A)である。 エントロピーは観測量ではない。 このように、ある状態のその期待値が、そのエントロピーであるような性質をもつ演算子は存在しない。 正確には、演算子は状態の関数になる。 ボルツマン(Boltzmann)の定数k Bを使用した情報理論的なエントロピーと物理的なエントロピー間のジャニス(Jaynes)の関係により、物理的なエントロピー

    【0316】

    【数73】

    【0317】の特定の値を量子物体に関係付けられる。 エントロピー式の古典的な極限

    【0318】

    【数74】

    【0319】は、コヒーレント状態を数学的に表せる。
    ここでは、古典的な値を中心にした最小不確定状態、すなわち、コヒーレント状態の粒子を見いだす確率の測定だけが可能である。

    【0320】

    【数75】

    【0321】の一般的な場合に、観測結果が

    【0322】

    【数76】

    【0323】のとき|z>=W(z)|0>をコヒーレント状態とし、q、pはそれぞれ位置、または運動量の期待値とする。 配位空間で|0>は、明らかに波動関数

    【0324】

    【数77】

    【0325】で与えられる。 W(z)は、ユニタリ演算子

    【0326】

    【数78】

    【0327】であり、Q,Pはそれぞれ位置または運動量の演算子を表している。 次に、密度行列ρに対応する古典的な密度分布を、ρ(Z):=<z|ρ|z>で定義する。 すべての関数f(z)に対して、

    【0328】

    【数79】

    【0329】が成り立つ多くても1個の密度行列ρが存在する。 凹性によるs(x):={−xlnx(x>
    0);0(x=0)}に対して、S(<z|ρ|z>)
    (<z|ρ|z>となり、従って、

    【0330】

    【数80】

    【0331】が成り立つので、

    【0332】

    【数81】

    【0333】の関係は真になる。 更に一般的には、任意の凸(凹)関数fに対して、

    【0334】

    【数82】

    【0335】が成り立つ。 ρ(z)の連続性によって

    【0336】

    【数83】

    【0337】とすると、すべてのzに対してS(<z|
    ρ|z>)=(<z|S(ρ)|z>)となる。 すると、S
    (・)の狭義の凹性に関してすべての|z>はρの固有ベクトルでなければならなくなる。 しかし、それは不可能であるので、従って、

    【0338】

    【数84】

    【0339】が成り立つ。 古典系のエントロピーは、すべてのユニタリ変換で不変数ではない。 すなわち、すべてのUに対して

    【0340】

    【数85】

    【0341】とは言えない。 しかし、この関係は制限されたクラスにだけは当てはまる。 たとえば、U=W(z
    0 )の場合、次式

    【0342】

    【数86】

    【0343】が成り立つ。 また、この議論は、dz=d
    z'(正準変換)の場合、位相因子の時間を決めるUW
    (z)=W(z')が成り立つユニタリUのすべてに対して作用する。 |ψ>が純粋状態(単位ベクトル)でρ=
    |ψ><ψ|の場合、ρ(z)=|<ψ|z>| 2であり、

    【0344】

    【数87】

    【0345】が成り立つ。 |ψ>=|z 0 >を代入すると、

    【0346】

    【数88】

    【0347】が得られる。 一方、任意の高い古典系のエントロピーの純粋状態が存在する。 これは、ε>0の場合に、すべてのzに対して<ψ|z><εを満足する単位ベクトル|ψ>を求められることを示せば良い。 純粋状態では、よく知られた不等式

    【0348】

    【数89】

    【0349】が成り立つ。 古典系の最小エントロピー状態は、正確に密度行列|z><z|によって表せ、その結果が

    【0350】

    【数90】

    【0351】となると考えられる。

    【0352】

    【数91】

    【0353】を小さくするためには、Sup|ρ(z)|
    が1に近づかなければならない。 さもなければ、前述の不等式は古典系のエントロピーに対して非常に大きな値になる。 次に、Sup|ρ(z)|が正確に1に等しい場合、連続性によってρ(z 0 )=1、すなわち、<z 0
    |ρ|z 0 >=1を満足するz 0が存在することになる。

    【0354】

    【数92】

    【0355】であるので、これは

    【0356】

    【数93】

    【0357】であることを示している。 一方、Tr
    (ρ)=1であり、ρのその他の固有値は0でなければならないので、ρ=|z 0 ><z 0 |が成り立つ。 調和振動子のポテンシャルの最小不確定なコヒーレント状態は、基底状態が集合のメンバーになっているという制約条件を追加すれば、ハイゼンベルクの不確定性関係を最小化する(不確定性関係の等式になる)コヒーレント状態として定義できる。 最小不確定なコヒーレント状態は、古典的な状態にできるだけ近づくことと考えられる。 調和振動子系の限度を超えた場合、コヒーレント状態は、一般的なポテンシャルの量子(シュレーディンガー)系と一般的なリー(Lie)対称に対して展開できる。 これらのコヒーレント状態は(一般的な)最小不確定なコヒーレント状態と(一般的な)距離作用素のコヒーレント状態と言われる。 また、調和振動子系のコヒーレント状態には、これとは異なる一般化が存在する。 これは、「スクイーズド状態」の概念である。 (スクイージングは、真空と関連するレベル以下の直交ゆらぎの収縮である。) 1モード調和振動子(シュレーディンガーの猫の状態)
    の偶コヒーレント状態と奇コヒーレント状態は、非古典的な状態の代表である。 シュレーディンガーの猫の状態は、スクイーズド状態に類似した性質を持っている。 すなわち、スクイーズド真空状態と偶コヒーレント状態は、偶数フォトンのフォック(Fock)の状態を含んでいる。

    【0358】量子力学で2個の非可換な観測量は、同時に、任意の精度で測定できない。 よくハイゼンベルグの不確定性原理と言われるこの事実は基本的な制約であり、既存の実在する測定装置の欠陥または観測結果の実験誤差のどちらにも関係していない。 それは、どちらかと言えば、量子状態自身に固有の性質である。 不確定性原理は、(逆説的には十分に)多解釈問題を回避する唯一の方法を提供している。 与えられた観測量のペアに対して指定された不確定性原理は、不確定性関係としてその数学的明示を表している。 基本的に非可換な観測量(すなわち、位置と運動量に対して

    【0359】

    【数94】

    【0360】が成り立つ)の不確定性関係の厳密な一次微分は、不等式、すなわち、

    【0361】

    【数95】

    【0362】が成り立つ。 これは、位置と運動量の表示において、系の波動関数を結び付けているフーリエ変換の性質の結果である。 エントロピー、すなわち、情報(「エントロピーUR」−EUR)の項で量子の不確定性関係(UR)を表せば、この点で役立つ。 (標準偏差の)通常の「標準UR」は、次式

    【0363】

    【数96】

    【0364】である。 (この不等式の第2項は、観測量AとBの共分散、すなわち、相関

    【0365】

    【数97】

    【0366】を表していることに注意する。 AとBは、
    エントロピー形式の不等式

    【0367】

    【数98】

    【0368】として表される状態|ψ>の観測量であり、不確定性原理を更に適切に表した情報形式

    【0369】

    【数99】

    【0370】で表せる。 2個の非可換な観測量が与えられると、その不確定性関係を導ける。 不等式の等号を満足する状態は、インテリジェントな状態と言われる。 )
    たとえば、パラメトリックな展開のゼネレータである任意の連続パラメータλと任意のエルミート観測量A
    (λ)を考える。 その場合、URは

    【0371】

    【数100】

    【0372】となる。 ここで、

    【0373】

    【数101】

    【0374】は、観測量の不確定性のパラメータの平均であり、

    【0375】

    【数102】

    【0376】は、Aの共役変数空間の測定された距離である。 URを一般化したこの式は、位置−運動量、位相−個数または任意の組み合わせに対して成り立つであろう。 初期状態と最終状態が直交する場合、

    【0377】

    【数103】

    【0378】で表せるすべての状態は、等式

    【0379】

    【数104】

    【0380】を満足するインテリジェントな状態だけであることが分かっている。 しかし、初期状態と最終状態が直交しない場合に、その状態はこの等式を満足しない。 この場合に、パラメトリックな展開のゼネレータA
    が、A 0 +A lの2つの部分に分けられる場合に、次式

    【0381】

    【数105】

    【0382】で表せる状態のすべてが、非直交の初期状態と最終状態のインテリジェントな状態である。 ただし、A 0は量子数の集合Iのスペクトル{a 0 }を退化する正規化された固有ベクトル

    【0383】

    【数106】

    【0384】の複素基底になっている、そしてA 1が行列要素(A 1ii =0=(A 1jjと(A 1ij =(A 1
    ji =a 1を持っている。 「最大情報」のいろいろな特徴を比較し、「最小不確定」との関連性を示せば役立つ。 以下の説明は、分かりやすくするために主に「単純な場合の」観測量(最小の自明でないブール代数

    【0385】

    【数107】

    【0386】で定義される)に限られるが、一般性は失っていない。 問題の量は、1つの効果であるE:Iψ
    (E)=Eψln(Eψ)+E'ψln(E'ψ),E
    '=I−Eについての情報である。 (不明な)性質EとFの非交換性すなわち不一致は、一般に、同時にそれらの両方を測定または準備する確率を許さない。 特に、E
    =E Q (X)、F=F P (Y)が有界な可測集合X,Yと関係する位置と運動量のスペクトル射影の場合、

    【0387】

    【数108】

    【0388】が成り立ち、次式

    【0389】

    【数109】

    【0390】と等価になる。 従って、「特定の」位置と運動量の決定は互いに排除し合い、位置と運動量が同時にどの程度の「不確定性度」で分かるかという問題が生じる。 最大の結合知識、すなわち、結合情報の何らかの合理的な特性について考える。 この場合、上記の式が等価な形式の次式

    【0391】

    【数110】

    【0392】になる。 「最大情報の状態」を3種類の値を使用して定義できる。 最初に、式Eψ+Fψの最大値を扱い、対応する「最大情報の状態」について以下に系統だてて説明する。 任意の効果のペアE、及び、FのE
    ψ+Fψだけではなく、Eψ・Fψ、及び、Iψ(E)
    +Iψ(F)についても同様に、最大値の問題について説明する。 特に、URの最小不確定積になる状態が存在する場合にだけ、各量が最大になることができることを示す。 さらに、Iψ(E)+Iψ(F)の最大値の射影は、(存在する場合だけ)

    【0393】

    【数111】

    【0394】の量の最大値の射影と一致する。 Eψ+F
    ψの最大値に対して、<ψ|E|ψ>+<ψ|F|ψ>
    −λ<ψ|ψ>の変分が零にならなければならないので、次の方程式、(E+F)|ψ>=(Eψ+Fψ)|
    ψ>が成り立つ。 EまたはFについての増分を取り、その期待値を計算すると、次式

    【0395】

    【数112】

    【0396】になる。

    【0397】

    【数113】

    【0398】が、最小のURになる。 同様に、積Eψ・
    Fψの最大値を求めると、(FψE+EψF)|ψ>=
    2Eψ・Fψ|ψ>となり、

    【0399】

    【数114】

    【0400】の場合に、

    【0401】

    【数115】

    【0402】が再び最小のURになる。 最後に、最大情報の和Iψ(E)+Iψ(F)が

    【0403】

    【数116】

    【0404】を満足する状態で実現されるようになる。
    一般に、この方程式はすべての定常点、たとえば、最小

    【0405】

    【数117】

    【0406】、すなわち結合固有状態を含んでいる。 ここでの目的の1つはE,Fの正の結果についての最大情報の状態を求めることであるので、

    【0407】

    【数118】

    【0408】と仮定する。 次に、この方程式は

    【0409】

    【数119】

    【0410】となり、

    【0411】

    【数120】

    【0412】が、再度URの最小不確定積になる。 最大情報の3種類の概念は、それらが最小不確定積を示す限り不変である。 たとえば、E,Fをそれぞれ位置と運動量のスペクトル射影とすると、E=E Q (X)、F=F P
    (Y)となる。 確率の和、Eψ+Fψは、XとYが有界な可測集合であるとすると、

    【0413】

    【数121】

    【0414】が成り立つψ=ψ minの状態の場合に、最大となることを示した。 ここで

    【0415】

    【数122】

    【0416】は、コンパクト演算子(FEF)の最大固有値であり、g 0は対応する

    【0417】

    【数123】

    【0418】を満足する固有ベクトルである。 上記の説明から、ψ minが(E+F)の固有状態でなければならないことは明らかである。 また、これは次の方法で直接分かる。

    【0419】

    【数124】

    【0420】とすると、

    【0421】

    【数125】

    【0422】となる。 ψ minは、対称形の次式

    【0423】

    【数126】

    【0424】で表すことができる。 ψ minの値は、3つの量(Eψ・Fψ)、(Eψ+Fψ)及び(Iψ(E)
    +Iψ(F))のすべてを最大化する。 そして、ψ
    minは、不確定積△ψE・△ψFを最小化する。 従って、最大情報(最小エントロピー)と最小不確定性は、
    インテリジェントなコヒーレント状態で成り立ち、そして、再び一致するだろう。 次の新しい発表は、情報データフロー処理として量子アルゴリズムのエントロピー変更の役割ならびに古典系と量子系の情報量が量子アルゴリズムの変動を変える方法について説明している。 次に、量子アルゴリズムの情報の流れの変動の発展の質的な公理の説明が提供される。

    【0425】(1)量子アルゴリズムが実行されている間に、成功した結果の情報量(情報内容)は増大する。 (2)情報量は、成功した結果の認識に対する適応度関数になる。 そして、成功した結果の精度の測度を導く。
    この場合、古典系/量子系のエントロピーの最小の原理が、量子アルゴリズム計算のインテリジェントな出力状態の成功した認識に対応する。

    【0426】(3)出力ベクトルの古典系のエントロピーが小さい場合、この出力情報の規則度、秩序は比較的大きくなり、量子アルゴリズムのインテリジェントな状態の測定過程の出力が必要な情報を与え、首尾よく最初の問題を解く。 これら3つの情報公理は、アルゴリズムが必要な精度に対して自動的に情報量の収束を保証できることを意味している。 これは、フォールトトレラントな計算に対して、信頼性の高い安定した結果を提供するために使用される。

    【0427】量子アルゴリズムを使用したエントロピーの使用例として、n=3のドイッチェ−ヨーザ(DJ)
    アルゴリズムの次の例を考える。 図27、28及び29
    の3個の入力関数は、次の演算子でそれぞれ符号化されている。 図27で使用されている演算子は、

    【0428】

    【数127】

    【0429】である。 図28で使用されている演算子は、

    【0430】

    【数128】

    【0431】である。 図29で使用されている演算子は、U F4 Iである。 図28から29に、DJのアルゴリズムの変動を示す。 各ステップでシャノンとフォンノイマンのエントロピーの値を観察している。 ステップは、すべて、図26の一般的な回路図に従い、対応する量子演算子を適用している。 図28から29を調べると、重ね合わせ、もつれ合い及び干渉が起こった後に古典系と量子系のエントロピーが次に示すように変化している。

    【0432】入力ベクトルは基底ベクトルであり、この状態の古典的な情報は0になっている。 入力ベクトルは、2次元の基底ベクトルのn個のテンソル積になっている。 従って、基底ベクトルを構成するキュビットのフォンノイマンのエントロピーも、すべて、0になっている。 重ね合わせ演算子4 Hは、古典的なシャノンのエントロピーを最小値0から最大値4に増加させる。 しかし、量子系のフォンノイマンのエントロピーから見ると、エントロピーは変化していない。

    【0433】もつれ合い演算子は、古典的なユニタリ演算子であり、系の古典的な情報を変化することなく基底ベクトルを異なった基底ベクトルに写像する。 しかし、
    もつれ合い演算子は、系の状態を記述しているテンソル積の異なった2進ベクトルの相関を作る。 そして、この相関は、系の異なった部分のフォンノイマンのエントロピーによって記述される。 もつれ合い演算子が相関を作っている場合も、それを表すベクトルが純粋状態であるので、全システムの量子情報は常に0である。 それに反して、相互情報量と条件付きエントロピーの内部値は正か負になる。 すなわち、内部値は、演算子U Fに対して求められている性質を復号化するために必要な量子情報を、符号化する。 もつれ合い演算子が作用する前と後のシステムの状態は、古典系の情報から見ると、シャノンのエントロピーが変化していないために区別できない。
    量子情報的手法を使用した場合にだけ、これらの2つの状態の違いを明らかにできる。

    【0434】干渉演算子は、定値または平衡演算子としてU Fを識別するために使用される符号化された情報を維持しているので、量子情報の状況を変更しない。 これとは逆に、干渉演算子は、量子情報を利用できるようにしている古典系のエントロピーを減少させる。 そして、
    干渉作用によって、ベクトルは、古典系のエントロピーの最小化を得る。 すなわち、定義に従うと、このようなベクトルはインテリジェントな状態である。 これは、ベクトルが、成功した結果として最小エントロピーの不確定性関係(EUR)を使用したQA計算のコヒーレントな出力状態を表しているからである。

    【0435】図27と28を比較すると、図27では、
    もつれ合い演算子が系の異なった部分の量子的な相関を効果的に作っていることが分かる。 これに反して、図2
    8では、一般的な状態が基底ベクトルのテンソル積で表されている。 従って、量子的な相関は含まれていない。
    図27の干渉演算子は、1ビットだけ古典系のエントロピーを減少させる。 これに反して、図28の干渉演算子は3ビットだけ古典系のエントロピーを減少させる。

    【0436】量子的な相関の存在が、系の抵抗度(免疫性)として示され、古典系のエントロピーを変更し、量子アルゴリズムの内部的なインテリジェント可能度を定義する。 図29の結果は、図28の結果に類似している。 図29のもつれ合い演算子は、相関を作らない。 これは、図30に示されているように、任意の2進定数k
    に対してf(x)=k・xまたはf(x)=¬(k・
    x)が成り立つ関数f:{0,1} n →{0,1} mを実現する線形演算子U Fのすべてに共通している。 平衡と定値の入力集合のこれらの関数は、図27から31のウェンのダイアグラムに示している最高と最低の情報値間の「格差」を最小化して0にする。

    【0437】干渉作用は、U Fのこの性質の写像を、性質が明らかなインテリジェントな状態にする。 対照的に、他の平衡関数は、より低いインテリジェントな状態に写像される。 このインテリジェントな状態は、古典系の高いエントロピーベクトルを持っている。 これは、図31に示しているように、それが成功していない結果であることを意味している。 ドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムは、量子情報理論から見ると、関数の入力集合の特別な構造になっている。 この構造を図32に示す。

    【0438】次の例として、ショアのアルゴリズムを情報理論から取り扱う。 それぞれ周期2と4の2つの入力関数を実現している演算子は、次になっている。 図34
    で使用されている演算子は、

    【0439】

    【数129】

    【0440】(n=3)である。 また、図35で使用されている演算子は、

    【0441】

    【数130】

    【0442】(n=2)である。 図34と35に、これらの演算子を適用した場合の量子アルゴリズムの展開を示す。 図34でもつれ合い演算子は、ベクトル3、4及び5の量子的な相関を作っている。 すなわち、この相関は入力関数の周期を識別する。 干渉演算子は、量子的な相関を保存するが、相関をベクトル(3、4及び5)からベクトル(1、4及び5)に移す。 この移動は、符号化された入力関数の周期を維持している。 しかし、インテリジェントな状態、すなわち、必要な量子情報をすべて含んでいる状態を生成する周期情報へのアクセスを可能にしているので、移動は3ビットから2ビットに古典系のエントロピーを減少させている。 しかし、自由エネルギーの質的な測度として、古典系の最小エントロピーは保たれている。

    【0443】図35でもつれ合い演算子は、ベクトル1、2、3及び4の強い相関を作る。 すなわち、この相関は、最大周期(従って、最大のもつれ合い)の入力関数を識別する。 干渉演算子は、相関を保存するが、もつれ合いがあまりに大きい(抵抗度が非常に高い)ために、古典系のエントロピーを減少させない。 図33に示されているように、ショアのアルゴリズムは、入力空間、すなわち周期関数の特別な構造になっている。 すべての関数は、その容量によって表され、量子のもつれ合いを作る。 量子のもつれ合いはその周期に依存する。 この構造を図33に示す。

    【0444】図36から38にグローバーのアルゴリズムの情報分析を示す。 入力関数を符号化する演算子は、
    次式

    【0445】

    【数131】

    【0446】である。 図36は、グローバーのアルゴリズムの情報分析の一般的な繰り返しアルゴリズムを示している。 図37と38は、このアルゴリズムの2回の繰り返しを示している。 図37と38に示されているように、各繰り返しのもつれ合い演算子は、異なるキュビットの相関を増加させる。 各繰り返しの干渉演算子は古典系のエントロピーを減少させるが、副次的な作用として干渉演算子がフォンノイマンのエントロピーによって測定された量子的な相関の一部を破壊する。

    【0447】グローバーのアルゴリズムを複数回繰り返すと、インテリジェントな状態が作られる。 すべての繰り返しでは、最初に検索された関数をもつれ合いによって符号化するが、干渉演算子によって符号化された情報を多少破壊するので、符号化された情報を持つ必要性とその情報にアクセスする必要性を隠すために、複数回の繰り返しが必要になる。

    【0448】ドイッチェとドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムは決定アルゴリズムである。 サイモン、ショア及びグローバーのアルゴリズムは探索アルゴリズムである。 量子アルゴリズムの出力の古典系(量子系)エントロピー最小の原理はインテリジェントな出力状態により提供されることを意味している。 決定アルゴリズムは、
    量子探索アルゴリズムの状態に対応するものよりも小さいまたは大きい古典系のエントロピーをもったインテリジェントな出力状態の認識を提供する。 量子探索アルゴリズムは、古典系の最小エントロピーと量子系の最小エントロピー量を組み合わせて比較することに基づいている。 これらの値を組み合わせる能力は、量子探索アルゴリズムの知性を特徴づけている

    【図面の簡単な説明】

    【図1A】ソフトコンピューティングと遺伝子探索アルゴリズムを組み合わせた制御系を示すブロック図である。

    【図1B】遺伝子探索の処理を示すブロック図である。

    【図2】ソフトコンピューティングと量子探索アルゴリズムを組み合わせた制御系を表すブロック図である。

    【図3】古典的遺伝子アルゴリズムの構造と大域的な最適化の量子探索アルゴリズムを表すブロック図である。

    【図4】量子探索アルゴリズムの一般的な構造を表すブロックである。

    【図5】量子探索アルゴリズムの量子ネットワークを表すブロックである。

    【図6】量子探索アルゴリズムのブロック図である。

    【図7】古典的コンピュータを使用した量子アルゴリズムをシミュレーションするゲート手法を表している。

    【図8】量子アルゴリズムのプログラミング図を表している。

    【図9】図8に示されている量子エンコーダの構造を表している。

    【図10】図8に示されている量子部の構造を表している。

    【図11】量子回路の例を表している。

    【図12A】テンソル積変換の量子回路を表している。

    【図12B】ドット積変換の量子回路を表している。

    【図12C】恒等変換の量子回路を表している。

    【図12D】伝播の量子回路を表している。

    【図12E】繰り返しの量子回路を表している。

    【図12F】入力/出力の量子回路を表している。

    【図13】ドイッチェ−ヨーザの量子ゲートの量子回路の第1表示を表している。

    【図14】ドイッチェ−ヨーザの量子ゲートの量子回路の第2表示を表している。

    【図15】値1の定値関数の回路−第1回路を表している。

    【図16】値1の定値関数の回路−第2回路を表している。

    【図17】値1の定値関数の回路−第3回路を表している。

    【図18】値1の定値関数の回路−第4回路を表している。

    【図19】値1の定値関数の回路−第5回路を表している。

    【図20】値0の定値関数を表している。

    【図21】DJの量子ゲートの展開を表している。

    【図22】最終的なDJの量子ゲートを表している。

    【図23】グローバーの量子ゲートの量子回路を表している。

    【図24】グローバーの量子ゲートの最終回路を表している。

    【図25】量子系のエントロピーと相互情報量を表すウェンのダイアグラムである。

    【図26】量子部の一般的な回路図である。

    【図27】第1演算子U Fのドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図28】第2演算子U Fのドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図29】第3演算子U Fのドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図30】線形関数のドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図31】非線形平衡関数のドイッチェ−ヨーザのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図32】ドイッチェ−ヨーザの入力空間の量子情報構造を表している。

    【図33】ショアの入力空間の量子情報構造を表している。

    【図34】第1演算子U Fのショアのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図35】第2演算子U Fのショアのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図36】一般的な繰り返しのグローバーのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図37】1回目の繰り返しのグローバーのアルゴリズムの情報分析を表している。

    【図38】2回目の繰り返しのグローバーのアルゴリズムの情報分析を表している。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 9/44 550 G06F 9/44 550C 17/10 17/10 Z

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