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触媒及びその製造方法

阅读:2发布:2021-03-30

专利汇可以提供触媒及びその製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且 製造コストが低い安価な触媒であって、かつ所望の金属を強誘電体の表面に担持させて成る触媒、及びその製造方法を提供する。 粉末状とした強誘電体の表面に金属を担持させて成る触媒において、前記金属は、前記強誘電体の表面から前記金属表面までの距離を10nm以下とする。この触媒は、粉末状とした強誘電体と粉末状とした金属とを混合して混合物を作製する混合工程と、得られた混合物を撹拌しながら焼成する焼成工程とにより強誘電体の表面に金属を担持させて作製する。焼成工程の後、強誘電体に担持されなかった金属は、洗浄工程で酸性溶液またはアルカリ性溶液に溶解させて除去する。また、洗浄工程で、強誘電体に担持された金属の一部をエッチングする。,下面是触媒及びその製造方法专利的具体信息内容。

  • 粉末状とした強誘電体の表面に金属を担持させて成る触媒において、
    前記金属は、前記強誘電体の表面から前記金属表面までの距離を10nm以下としている触媒。
  • 粉末状とした強誘電体の表面に金属を担持させて成る触媒の製造方法であって、
    粉末状とした強誘電体と粉末状とした金属とを混合して混合物を作製する混合工程と、
    前記混合物を撹拌しながら焼成する焼成工程とにより、前記強誘電体の表面に前記金属を、前記強誘電体の表面から前記金属表面までの距離を10nm以下として担持させる触媒の製造方法。
  • 前記焼成工程の後、前記強誘電体に担持されなかった金属を酸性溶液またはアルカリ性溶液に溶解させる洗浄工程を有する請求項2に記載の触媒の製造方法。
  • 前記洗浄工程で、前記強誘電体に担持された金属の一部をエッチングしている請求項3に記載の触媒の製造方法。
  • 前記強誘電体が、ペロブスカイト型の酸素八面体構造を有する酸化物またはその固溶体である請求項2~4のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
  • 前記強誘電体が、(RMbO 3-δ ) n (MaO) m (Rは、In,Sc,Y,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ti,Ca,Sr,Ce,Sn,Hfから選ばれる少なくとも1種類の元素、Ma,Mbは、Ti,Mn,Fe,Co,Cu,Ga,Zn,Al,Mg,Cdから重複を許して選ばれる少なくとも1種類の元素、nは1以上の整数、mは0以上の整数、δは0以上0.2以下の実数)と表される酸化物またはその固溶体である請求項2~4のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
  • 说明书全文

    触媒及びその製造方法

    本発明は、触媒及びその製造方法に関するものであり、特に、表面に金属を担持させた粉末状の強誘電体から成る触媒及びその製造方法に関するものである。

    本発明者のうちの一人は、以前、強誘電体であるチタン酸鉛((Pb x Sr 1-x )TiO 3 )の表面に析出した鉛(Pb)が酸化せず、金属鉛の状態となっていることを発見した。 そして、この金属鉛が触媒として機能する可能性があることから、新規な触媒としての提案を行った(例えば、特許文献1~3参照。)。

    チタン酸鉛((Pb x Sr 1-x )TiO 3 )は、以下のようにして作製している。 まず、エタノールにシュウ酸を溶解させた第1溶液と、エタノールにチタニウムテトラブトキシド、チタニウムイソプロポキシドを溶解させた第2溶液と、硝酸鉛と硝酸ストロンチウムを溶解させた第3溶液を作製する。 次に、第1溶液に第2溶液を混合してオキサルチタン酸溶液を作製し、このオキサルチタン酸溶液に第3溶液を混合して、有機物を気化させた後に焼結させることにより作製している。 すなわち、チタン酸鉛((Pb x Sr 1-x )TiO 3 )は、共沈法により作製している。 ここで、第3溶液では、硝酸鉛:硝酸ストロンチウム=x:1-xとしている。

    特開2009-207977号公報

    特開2009-207978号公報

    特開2009-207979号公報

    しかしながら、共沈法で強誘電体を作製する場合には、共沈法が利用できる金属の組み合わせでしか強誘電体を作製できないという問題があった。

    しかも、共沈法で強誘電体を作製する場合には、所望の調整を行った原料溶液から得られる強誘電体の量がわずかであるために製造効率が極めて悪く、製造コストの低減が困難であった。

    一方で、本発明者らは、共沈法で製造した強誘電体の物性を詳しく研究することにより、強誘電体の表面に析出した鉛が酸化することなく金属鉛の状態を維持しているメカニズムに関する知見を得た。

    本発明者らは、得られた知見から、共沈法ではない製造方法でも触媒作用を有する強誘電体を製造できる可能性に思い至り、製造コストが低い安価な触媒であって、かつ所望の金属を強誘電体の表面に担持させて成る触媒、及びその製造方法を発明するに至ったものである。

    本発明の触媒は、粉末状とした強誘電体の表面に金属を担持させて成る触媒において、強誘電体に担持させた金属の強誘電体の表面から金属表面までの距離を10nm以下としているものである。

    また、本発明の触媒の製造方法では、粉末状とした強誘電体の表面に金属を担持させて成る触媒の製造方法であって、粉末状とした強誘電体と粉末状とした金属とを混合して混合物を作製する混合工程と、混合物を撹拌しながら焼成する焼成工程とを有するものである。

    さらに、本発明の触媒の製造方法では、以下の点にも特徴を有するものである。
    (1)焼成工程の後、強誘電体に担持されなかった金属を酸性溶液またはアルカリ性溶液に溶解させる洗浄工程を有すること。
    (2)洗浄工程で、強誘電体に担持された金属の一部をエッチングしていること。
    (3)強誘電体が、ペロブスカイト型の酸素八面体構造を有する酸化物またはその固溶体であること。
    (4)強誘電体が、(RMbO 3-δ ) n (MaO) m (Rは、In,Sc,Y,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ti,Ca,Sr,Ce,Sn,Hfから選ばれる少なくとも1種類の元素、Ma,Mbは、Ti,Mn,Fe,Co,Cu,Ga,Zn,Al,Mg,Cdから重複を許して選ばれる少なくとも1種類の元素、nは1以上の整数、mは0以上の整数、δは0以上0.2以下の実数)と表される酸化物またはその固溶体であること。

    本発明の触媒では、粉末状とした所定の強誘電体の表面に所定の金属を担持させて成る触媒において、強誘電体に担持させた金属の強誘電体の表面から金属表面までの距離を10nm以下としていることにより、金属表面に電子-正孔対を供給することができる。 したがって、供給された電子で強誘電体に担持された金属の酸化を抑制するとともに、供給された電子または正孔が触媒反応に用いられることにより、触媒として効果的に機能させることができる。

    また、本発明の触媒の製造方法では、粉末状とした所定の強誘電体と、粉末状とした所定の金属とを混合して焼成するだけでよく、製造効率が高いだけでなく、従来の共沈法の場合と比較して短時間で製造可能であって、製造コストを大きく低減させることができる。

    特に、本発明によれば、強誘電体と強誘電体に担持させる金属との組み合わせを自由自在に調整することができ、所望の特性を有する触媒を作成しやすくすることができる。

    焼成工程で用いた電気炉の説明図である。

    表面に無鉛半田を担持したチタン酸バリウムの電子顕微鏡写真である。

    エタノール水蒸気改質反応を評価する評価装置の説明図である。

    本発明の触媒及びその製造方法は、粉末状とした強誘電体の表面に金属を担持させて成る触媒及びその製造方法であって、強誘電体に担持させた金属は、強誘電体の表面から金属表面までの距離を10nm以下としているものである。 そのために、粉末状とした強誘電体と、粉末状とした金属とを混合して撹拌しながら焼成して作製するものである。

    強誘電体とは、一般的には、外部に電場がなくても電気双極子が整列しており、かつ電気双極子の方向が電場によって変化できる物質である。

    より具体的には、強誘電体とは、一般的に、ペロブスカイト型の酸素八面体構造を有する酸化物またはその固溶体、あるいは(RMbO 3-δ ) n (MaO) m (Rは、In,Sc,Y,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Ti,Ca,Sr,Ce,Sn,Hfから選ばれる少なくとも1種類の元素、Ma,Mbは、Ti,Mn,Fe,Co,Cu,Ga,Zn,Al,Mg,Cdから重複を許して選ばれる少なくとも1種類の元素、nは1以上の整数、mは0以上の整数、δは0以上0.2以下の実数)と表される酸化物またはその固溶体等が知られている。

    ペロブスカイト型の酸素八面体構造を有する酸化物から成る強誘電体とは、具体的には、ABO 3 (Aは、Ba,Pb,Sr,Cd,Na,K,Bi,Ag,Dy,Ho,Yb,Lu,Pr,Y,Tl,Er,Tm,Li,Caから選ばれる少なくとも1種類の元素、Bは、Ti,Nb,Ta,Fe,I,Cr,Co,W,Sc,Fe,In,Ni,Mg,Zn,Cu,Mo,Li,Y,Tb,Ho,Zr,Mnから選ばれる少なくとも1種類の元素)と表わされる酸化物またはその固溶体等が知られている。 なお、ABO 3のOの一部がF,Clなどの陰イオンに置換されたものも知られている。

    また、ペロブスカイト型の酸素八面体構造を有する酸化物ではないが、強誘電体としては、上記した(RMbO 3-δ ) n (MaO) mと表される酸化物以外にも、(Bi 2 O 2 ) 2+ (A m-1 B m O 3m+1 ) 2- (Aは、Sr,Bi,Pb,Ba,La,Ho,Pr,Caから選ばれる少なくとも1種類の元素、BはTi,Ta,W,Nb,Feから選ばれる少なくとも1種類の元素)と表わされるAurivillius層状ペロブスカイト(例えば、Bi 4 Ti 3 O 12 ,SrBi 2 Ti 4 O 15 )、タングステンブロンズ型酸化物(例えば、Ba 2 NaNb 5 O 15 ,PbNb 2 O 6 ,K 2 BiNb 5 O 15 )、パイロクロア型酸化物(例えば、Cd 2 Nb 2 O 7 )、硫安系(例えば、(NH 4 ) 2 SO 4 ,K 2 SeO 4 ,Rb 2 ZnCl 4 )、水素結合型(例えば、KH 2 PO 4 ,(NH 4 )H 2 PO 4 )、有機導体BEDT-TTF、等が知られている。

    さらには、一般的には強誘電体ではなく焦電体として知られるトルマリンや、圧電体と知られる水晶であってもよい。

    すなわち、本発明において強誘電体とは、後述するように分極揺らぎが生じる物質であればよい。 特に、全体としては誘電率が零であっても、金属を担持している数nmから数十nm程度の領域において分極揺らぎが生じている物質であればよい。 また、触媒として使用する際の温度域でのみ分極揺らぎが生じる物質であってよい。 説明の便宜上、それらも含めて本発明では「強誘電体」と呼ぶこととする。

    粉末状とした強誘電体の大きさは、粒径が10nm~0.5mm程度であればよい。 粉末状とした強誘電体は、できるだけ小さい方が比表面積を大きくすることができ、触媒としての効果を高めることができる。

    ただし、粉末状とした強誘電体は、ある一定の粒径より小さくなると、誘電率が急激に小さくなるというサイズ効果が存在することが知られている。 例えばチタン酸バリウム(BaTiO 3 )では、粒径が200nm程度より大きい範囲では誘電率が1500程度であるが、粒径が100nm付近で誘電率が急激に上昇して5000程度となるものの、粒径が小さくなるにつれて誘電率が急激に低下して、粒径が10nm程度では誘電率が数100程度となることが知られている。

    このことから、粉末状とした強誘電体は、少なくとも粒径が10nm以上であることが望ましく、また、触媒としての効率の関係上、粒径が0.5mm以下であることが望ましい。

    強誘電体に担持させる金属としては何であってもよく、所望の触媒作用を生じる金属を用いることができる。 特に、強誘電体に担持させる金属として卑金属を用いた場合には、卑金属による触媒とすることができ、従来の白金などの貴金属を用いた触媒よりも安価な触媒とすることができる。

    粉末状とした金属は、強誘電体に担持させやすくするためにできるだけ粒径が小さい方が好ましく、具体的には、粒径が100μm以下であることが望ましい。

    また、強誘電体の表面に金属を担持させた際には、担持させた金属は、強誘電体の表面から金属表面までの距離を10nm以下としている。 ここで、強誘電体の表面から金属表面までの距離とは、強誘電体の表面の法線方向における金属の厚みと同じである。 以下において、説明の便宜上、「強誘電体の表面から金属表面までの距離」のことを、単に「金属の厚み」という。

    強誘電体の表面に担持させた金属は、粒径が10nm以下のクラスターとして強誘電体に担持させてもよいし、膜厚が10nm以下の薄膜状として強誘電体に担持させてもよい。 なお、後述するように、強誘電体の表面に担持させた金属は、金属の厚みができるだけ小さい方がよく、望ましくは5nm以下である。

    また、金属を10nm以下の薄膜状として強誘電体に担持させる場合には、少なくとも平均の膜厚が10nm以下であればよく、部分的に10nmより厚い領域が存在していてもよい。

    金属をクラスターまたは薄膜として強誘電体の表面に担持させるために、本発明では、粉末状とした強誘電体と粉末状とした金属とを混合工程で混合することにより混合物とし、この混合物を焼成工程で撹拌しながら焼成している。

    混合工程では、粉末状の強誘電体と粉末状の金属とが十分に混合されていればよく、簡単には乳鉢等を用いてかき混ぜるだけであってもよい。

    なお、混合工程では、混合中の強誘電体粉末や金属粉末の飛散を防止したり、あるいはより効率よく混合させたりするために、エタノールなどの補助剤を添加して湿式混合としてもよい。

    混合物を作成する際には、1種類の強誘電体粉末に対して、1種類の金属粉末を混ぜ合わせるだけでなく、複数種類の金属粉末を混ぜ合わせてもよいし、あらかじめ所望の合金の粉末を作成しておいて混ぜ合わせてもよい。

    さらには、混合物を作成する際には、複数種類の強誘電体粉末と、1種類または複数種類の金属粉末を混ぜ合わせることもできるが、所定の金属を所定の強誘電体に確実に担持させるためには、混合工程では強誘電体粉末を1種類とする方が望ましい。

    混合物を撹拌しながら焼成する焼成工程では、撹拌することで、焼成時の熱によって強誘電体の粒成長が生じることを抑制するとともに、誘電体と金属とを効果的に接触しやすくして、金属を強誘電体に担持させやすくしている。

    なお、焼成工程での「焼成」とは、固体粉末の集合体を融点よりも低い温度で結合させる焼結を生じさせる加熱のことではなく、単なる加熱処理のことであり、本発明では、焼結温度よりも低い温度での加熱処理を行うこととして、便宜上、「焼成」の語を用いている。

    焼成工程での撹拌条件は、強誘電体の材質及び粒径、強誘電体に担持させる金属の材質及び粒径、さらには強誘電体と金属の配合量及び配合比等に応じて最適条件が異なり、強誘電体の粒成長の抑制、及び強誘電体と金属との接触しやすさを考慮しながら適宜の撹拌条件とすることが望ましい。

    なお、焼成工程での撹拌の効果を高めるために、混合物に例えば石英玉のような撹拌の補助体を入れておいたり、あるいは適宜の撹拌翼で撹拌したりするようにしてもよい。

    焼成工程での加熱条件は、強誘電体の表面に金属を担持させることができる温度及び時間であればよく、強誘電体及び金属を粉末状としていることにより、強誘電体の焼結温度や金属の融点よりもはるかに低い温度で強誘電体の表面に金属を担持させることができる。

    後述するように、強誘電体に担持させた金属では酸化が生じないため、焼成工程での焼成は大気雰囲気で行ってもよいが、必要に応じて適宜の雰囲気としながら焼成を行ってもよい。

    上記したように、焼成工程では、撹拌しながら焼成する必要があるために、ロータリキルン等を用いることにより、効率よく焼成することができる。

    粉末状とした強誘電体と粉末状とした金属の配合量を予め適正に調整しておくことにより、焼成工程において、混合物中の全ての金属を強誘電体に担持させることができる。 しかしながら、焼成工程において、必ずしも混合物中の全ての金属が強誘電体に担持されるとは限らず、強誘電体に担持されなかった金属が残留することがある。

    そこで、この残留金属は、焼成工程後の混合物を酸性溶液またはアルカリ性溶液で洗浄することにより、酸性溶液またはアルカリ性溶液に溶解させて除去することができる。 この酸性溶液またはアルカリ性溶液を用いた洗浄によって残留金属を除去する工程が、洗浄工程である。

    特に、洗浄工程では、残留金属を溶解して除去するだけでなく、強誘電体に担持された金属の一部をエッチングしてもよい。

    すなわち、例えば焼成工程では、強誘電体の表面に金属の厚みを10nm以上として金属を一旦担持させておき、洗浄工程で金属をエッチングすることにより金属の厚みを10nm以下としてもよい。

    また、洗浄工程では、1種類の酸性溶液またはアルカリ性溶液の洗浄溶液を用いるだけでなく、複数種類の洗浄溶液を用いてもよい。 すなわち、洗浄溶液ごとの金属の溶解性の差を利用して、複数種類の金属を担持させた強誘電体から、所定の金属だけを除去したり、あるいは担持している比率を調整したりしてもよい。

    以下において、説明の便宜上、金属が担持された強誘電体であって、上記した混合工程と焼成工程、さらに必要に応じて用いられた洗浄工程を経て作製された強誘電体を「撹拌焼成体」と呼ぶこととする。 また、金属が担持された強誘電体であって、従来の共沈法で作成された強誘電体を「共沈焼成体」と呼ぶこととする。

    なお、撹拌焼成体では、強誘電体の表面に金属を担持させているために、担持させた金属のほとんどは強誘電体の表面に分布しているのに対して、共沈焼成体では金属が強誘電体の中にも均一に分布している。

    すなわち、強誘電体に担持させた金属の分布状態を観察することで、撹拌焼成体と共沈焼成体とを区別することができ、粉末状となっている強誘電体の中心部にも強誘電体に担持させた金属が存在しているようであれば、それは共沈焼成体である可能性が高い。

    以下において、推定の範囲ではあるが、従来の共沈焼成体において、強誘電体に担持させた金属が酸化しないメカニズムについて説明する。

    共沈焼成体の基体となっている強誘電体には、電荷の分布が変化することによって正または負に帯電した微小領域が生じ、1組の正に帯電した微小領域と負に帯電した微小領域とで電気双極子モーメントを生じさせることとなっている。

    この電気双極子モーメントは、外部に電場が存在すれば、その電場の向きに整列する一方で、外部に電場が存在しなければエネルギー的に安定する任意の向きを向くものである。 ここで、任意の方向を向いた電気双極子モーメントは、常に一定の向きを向いているのではなく、熱エネルギー等に起因した強誘電体における電荷の分布の変動によって、電気双極子モーメントの向き、及び電気双極子モーメントの大きさは揺らいでいる。

    この電気双極子モーメントの配向の時空間的な揺らぎは「分極揺らぎ」とも呼ばれている。 この分極揺らぎがピコ秒単位の変動となっていることにより、分極揺らぎに起因して強誘電体の表面にピコ秒単位で電子-正孔対を出現させることとなっている。

    一方、強誘電体の表面に担持させることによって接合させた金属は、強誘電体とショットキー接合された状態となっており、分極揺らぎによって生じた電子-正孔対を金属に連続的に供給することが可能となっている。

    特に、本発明では、金属の厚みを10nm以下としているために、金属の厚みが金属中の電子の平均自由行程よりも1桁程度短いこととなっているので、たとえ触媒活性が生じるような高温の状態下であっても、強誘電体の表面で発生した電子及び正孔を、散乱されることなく金属の表面まで移動させることが可能となっている。

    そして、金属の表面に達した電子が、金属の酸化反応を抑制しているものと考えられる。

    さらに、分極揺らぎに起因して出現した電子-正孔対は、強誘電体に担持された金属の酸化反応を抑制するだけでなく、触媒反応にも利用されていると考えられる。

    すなわち、例えば、気化させたエタノールなどの炭化水素ガスを共沈焼成体に接触させると、共沈焼成体の金属の表面に移動してきた正孔がエタノールの電子を奪ってアセトアルデヒドとプロトン(H + )を生じさせる一方、共沈焼成体の金属の表面に移動してきた電子がプロトン(H + )と結びついて水素ガスを生じさせることとなり、炭化水素ガスの水素脱離反応を促進させる触媒として機能していると考えられる。

    このことは、分極揺らぎが生じる強誘電体の表面に金属を接合させた物体が触媒となり得ることを示している。 ただし、強誘電体の表面に担持させる金属は、金属の厚みを10nm以下として、金属中の電子の平均自由行程よりも短くしておく必要があり、好適には、金属の厚みは5nm以下である。

    なお、金属の厚みと触媒活性との相関性については、現在でも検証中であり、金属の厚みが10nmを越える場合であっても触媒活性を有する強誘電体と金属との組み合わせが存在する可能性はある。

    本発明者らは、このような知見に基づいて、強誘電体の表面に微少量の金属を担持させるだけで触媒となるのであれば、共沈法に依らずとも触媒を作製できると考えた。 そこで、強誘電体の表面への微少量の金属の新たな担持方法として、上記したように、粉末状とした強誘電体と粉末状とした金属とを撹拌させながら焼成することとした。

    粉末状とした強誘電体と粉末状とした金属とを撹拌させながら焼成して形成した撹拌焼成体は、後述する実施例に示すとおり、触媒活性を有していることが確認できており、触媒として利用可能となっている。

    したがって、上述した共沈焼成体が触媒として機能するメカニズム、及び撹拌焼成体が触媒として機能するメカニズムは正しいと思われるが、現在も検証中である。

    以下において、強誘電体としてチタン酸バリウム(BaTiO 3 )を用い、強誘電体に担持させる金属として無鉛半田(Sn-Zn)を用いた場合について説明する。

    チタン酸バリウムは、市販品であって、粒径が約100nmとなっているものを用いた。 無鉛半田は、市販品であって、粒径が10~50μmとなっているものを用いた。

    混合工程では、1.0gのチタン酸バリウムと、0.02gの無鉛半田を乳鉢に投入し、エタノールを加えながら約10分間の撹拌を行って、混合物を作製した。

    焼成工程は、図1に模式的に示した電気炉10を用いて行った。 この電気炉10の内部には、回転軸を水平方向に向けた円筒状の回転シリンダ11を設けており、電気炉10内を加熱しながら回転シリンダ11を回転させることにより、回転シリンダ11内の被処理物の撹拌を行うこととしている。

    混合工程で作製した混合物12は石英管13に入れ、この石英管13を回転シリンダ11内に入れ、回転シリンダ11を回転させることによって石英管13を転動させて、石英管13内の混合物12を撹拌することとしている。

    本実施例の焼成工程では、200℃まで約30分かけて加熱し、200℃の状態を2時間維持して焼成を行った。 このとき、回転シリンダ11は約300rpmで回転させた。 また、電気炉10内の雰囲気は大気のままとした。 200℃-2時間の焼成を行った後は、自然冷却とした。

    回転シリンダ11の回転速度は、石英管13内の混合物の強誘電体どうしが結合することを抑制できる程度であればよく、石英管13の回転にともなって混合物が流動する状態であることが望ましい。

    本実施例で得られた撹拌焼成体は、チタン酸バリウムに対して無鉛半田を少量としているために、チタン酸バリウムに担持されない無鉛半田の残留がなく、酸性溶液を用いた洗浄工程は行わなかった。

    なお、チタン酸バリウムに対する無鉛半田の配合量を本実施例よりも多くした場合には、無鉛半田がチタン酸バリウムに皮膜状に接合することがあり、そのような場合には、塩酸水溶液などの酸性溶液を用いた酸洗浄によって無鉛半田の一部をエッチングすることが好ましい。

    図2は、本実施例の撹拌焼成体の電子顕微鏡写真である。 撹拌焼成体では、粒径が100nm程度の粒子状となっているチタン酸バリウムの表面に、粒径が数nm程度の無鉛半田がシュガーコーティングしたように担持されていることがわかる。

    次いで、上記したようにして得られた撹拌焼成体の触媒活性の評価試験について説明する。 本実施例では、エタノール水蒸気の改質反応で評価を行った。

    評価装置は、図3の概略模式図に示すように、エタノール水を貯留した貯留タンク21と、貯留タンク21内のエタノール水を下流側に送給する送液ポンプ22と、送液ポンプ22の下流側の配管に接続してエタノール水にキャリアガスを供給するキャリアガス供給器23と、キャリアガスが混合されたエタノール水を気化させる気化器24と、気化器24で生成したエタノール水蒸気を改質する反応器25と、反応器25で生成されたガスを検出する検出器26とで構成している。

    本実施例では、送液ポンプ22は、エタノール水を145~150μl/minで定量送液することとした。 また、キャリアガス供給器23はキャリアガスとしてアルゴンガスを供給することとし、5ml/minで供給することとした。 また、気化器24では、アルゴンガスが混合されたエタノール水を150℃に加熱して気化させることとした。 検出器26には、ガスクロマトグラフィを用いた。

    反応器25では、気化器24で気化されたエタノール水蒸気が送給されるカラム25a内にガラスウールを詰めて形成した支持体25bを設け、この支持体25bに粉末状の撹拌焼成体25cを振りかけることにより、カラム25a内に撹拌焼成体25cを配置した。 本実施例では、カラム25aは直径1/4インチの円筒形であって、約0.1gの撹拌焼成体25cをできるだけ均等に支持体25bに振りかけた。

    反応器25は電気炉となっており、本実施例の撹拌焼成体25cの場合には、炉内を約500℃に加熱して、エタノール水蒸気の改質反応を生じさせた。

    下表に評価結果を示す。 最下行が本実施例の撹拌焼成体25cの評価結果である。 比較用として、貴金属触媒の代表である白金(Pt)をSiO 2に担持させた触媒、及び白金にニオブ(Nb)をドーピングしてSiO 2に担持させた触媒、さらに、チタン酸鉛(PbSrTiO 3 )を担持基体とする共沈焼成体から成る触媒の評価結果を合わせて示す。

    なお、白金及びニオブをドーピングした白金から成る触媒では、エタノール水の流速が3μl/minであって、撹拌焼成体及び共沈焼成体の場合の約1/50となっている。

    上記の評価結果から、撹拌焼成体は白金と同等の触媒能があることがわかる。 撹拌焼成体は、白金と比較して極めて安価な材料で形成できることから、触媒の低コスト化を図ることができる。

    また、撹拌焼成体を用いた場合に、エタノール水から熱分解されたガスは水素とアセトアルデヒドであり、他の炭化水素の発生量は水素の1/100以下であった。 すなわち、撹拌焼成体は、極めて選択性の高い触媒であり、特に、沸点が22℃と低いアセトアルデヒドの分離が容易であることから、撹拌焼成体は水素生成用触媒として用いることができる。

    本発明の触媒及びその製造方法によって、貴金属を用いない安価な触媒を提供可能とすることができるだけでなく、新規な触媒の提供を可能とすることができる。

    10 電気炉 11 回転シリンダ 12 混合物 13 石英管

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