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昇華転写用インクジェットインク組成物、インクセット、及び染色物の製造方法

阅读:999发布:2024-01-10

专利汇可以提供昇華転写用インクジェットインク組成物、インクセット、及び染色物の製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】所望の色相を得ることができ、その上、吐出安定性や目詰まり回復性に優れる昇華転写用インクジェットインク組成物、該昇華転写用インクジェットインク組成物を含むインクセット、及び前記昇華転写用インクジェットインク組成物を用いた 染色 物の製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】染料Aと染料Bとを含む昇華転写用インクジェットインク組成物であって、前記染料Aが、分子量380以下であり、かつ 水 溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料であり、前記染料Bが、分子量400以上である分散染料であり、前記昇華転写用インクジェットインク組成物中において、前記染料Aの染料 溶解度 が、前記染料Bの染料溶解度より大きい、昇華転写用インクジェットインク組成物。 【選択図】なし,下面是昇華転写用インクジェットインク組成物、インクセット、及び染色物の製造方法专利的具体信息内容。

染料Aと染料Bとを含む昇華転写用インクジェットインク組成物であって、 前記染料Aが、分子量380以下であり、かつ溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料を含み、 前記染料Bが、分子量400以上である分散染料を含み、 前記昇華転写用インクジェットインク組成物中において、前記染料Aの染料溶解度が、前記染料Bの染料溶解度より大きい、昇華転写用インクジェットインク組成物。前記昇華転写用インクジェットインク組成物中において、前記染料Bの染料溶解度が、10-3以下である、請求項1に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。前記染料Bが、アントラキノン骨格を分子内に有する分散染料である、請求項1又は2に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。前記染料Aの前記水溶性基が、アミノ基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。前記染料Bの含有量が、前記染料Aの総量に対して、5質量%以上20質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。インクジェット法を用いて、請求項1〜5のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物を中間転写媒体に付着させるインク付着工程と、 前記中間転写媒体の前記昇華転写用インクジェットインク組成物が付着した面と、被記録媒体の染色面と、を対向させた状態で加熱し、前記昇華転写用インクジェットインク組成物に含まれる分散染料を前記被記録媒体に転写させる転写工程と、を有する、 染色物の製造方法。前記転写工程における加熱温度が、160℃以上220℃以下である、請求項6に記載の染色物の製造方法。第1インク組成物と第2インク組成物とを含むインクセットであって、 前記第1インク組成物が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物を少なくとも1種含み、 前記第2インク組成物が、分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料である染料Aと、分子量400以上である分散染料である染料B及び染料Cからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む昇華転写用インクジェットブラックインク組成物であり、 前記染料Cが、分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有しない分散染料であり、 前記第2インク組成物中において、前記染料Aの染料溶解度が、前記染料B及び前記染料Cの染料溶解度より大きく、前記染料Cの染料溶解度が10-3以下である、インクセット。前記染料Cが、水溶性基を有しないアントラキノン骨格を分子内に有する、請求項8に記載のインクセット。

说明书全文

本発明は、昇華転写用インクジェットインク組成物、インクセット、及び染色物の製造方法に関する。

インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、分散染料を用いたインクジェット記録方法についても種々の検討がなされている。例えば、特許文献1には、分散染料微粒子の粒子径の増大による、目詰まりや沈降の少ない安定性の高いインクジェット捺染インクを得ることを目的として、少なくとも分散染料、分散剤、水溶性有機溶媒を含有するインクジェット捺染インクにおいて、インク中における染料溶解度が10-3以下であるインクジェット捺染インクを開示している。

特開2005−89499号公報

しかしながら、特許文献1に記載のように染料溶解度を10-3以下に限定すると、そのような染料溶解度を満足する染料の種類が限定されるため、所望の色相を得ることが困難となる。一方で、比較的溶解度の高い分散染料は、インク組成物の高温放置などにより結晶化して異物となり、インクジェットノズルの詰まりを発生させる。そのため、比較的色材の種類が限定されずに色相を適切に調整でき、その上、吐出安定性や目詰まり回復性に優れるインク組成物が望まれている。

本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、所望の色相を得ることができ、その上、吐出安定性や目詰まり回復性に優れる昇華転写用インクジェットインク組成物、該昇華転写用インクジェットインク組成物を含むインクセット、及び前記昇華転写用インクジェットインク組成物を用いた染色物の製造方法を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、分子量の異なる複数種の分散染料を併用することにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。 〔1〕 染料Aと染料Bとを含む昇華転写用インクジェットインク組成物であって、 前記染料Aが、分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料であり、 前記染料Bが、分子量400以上である分散染料であり、 前記昇華転写用インクジェットインク組成物中において、前記染料Aの染料溶解度が、前記染料Bの染料溶解度より大きい、昇華転写用インクジェットインク組成物。 〔2〕 前記昇華転写用インクジェットインク組成物中において、前記染料Bの染料溶解度が、10-3以下である、前項〔1〕に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。 〔3〕 前記染料Bが、アントラキノン骨格を分子内に有する分散染料である、前項〔1〕又は〔2〕に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。 〔4〕 前記染料Aの前記水溶性基が、アミノ基及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。 〔5〕 前記染料Bの含有量が、前記染料Aの総量に対して、5質量%以上20質量%以下である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物。 〔6〕 インクジェット法を用いて、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物を中間転写媒体に付着させるインク付着工程と、 前記中間転写媒体の前記昇華転写用インクジェットインク組成物が付着した面と、被記録媒体の染色面と、を対向させた状態で加熱し、前記昇華転写用インクジェットインク組成物に含まれる分散染料を前記被記録媒体に転写させる転写工程と、を有する、 染色物の製造方法。 〔7〕 前記転写工程における加熱温度が、160℃以上220℃以下である、前項〔6〕に記載の染色物の製造方法。 〔8〕 第1インク組成物と第2インク組成物とを含むインクセットであって、 前記第1インク組成物が、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の昇華転写用インクジェットインク組成物を少なくとも1種含み、 前記第2インク組成物が、分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料である染料Aと、分子量400以上である分散染料である染料B及び染料Cからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む昇華転写用インクジェットブラックインク組成物であり、 前記染料Cが、分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有しない分散染料であり、 前記第2インク組成物中において、前記染料Aの染料溶解度が、前記染料B及び前記染料Cの染料溶解度より大きく、前記染料Cの染料溶解度が10-3以下である、インクセット。 〔9〕 前記染料Cが、水溶性基を有しないアントラキノン骨格を分子内に有する、前項〔8〕に記載のインクセット。

以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。

〔昇華転写用インクジェットインク組成物〕 本実施形態の昇華転写用インクジェットインク組成物は、染料Aと染料Bとを含む昇華転写用インクジェットインク組成物であって、前記染料Aが、分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料であり、前記染料Bが、分子量400以上である分散染料であり、前記昇華転写用インクジェットインク組成物中において、前記染料Aの染料溶解度が、前記染料Bの染料溶解度より大きい。

「分散染料」とは、水に溶解し難い染料の分類である。また、インク組成物である水溶性有機溶剤、界面活性剤、その他添加剤の一部に対しては一定の溶解度があり、インク溶液(色材を含まないインク組成物)の構成比により、分散染料の溶解度を調整することができる。分散染料は、インク溶液中において、基本的には溶解せずに分散しているが、一部は微量に溶解した状態で存在する。このインク溶液に溶解している分散染料は、インク溶液の温度変化、インク溶液の揮発などによる分散染料自身の濃度変化、インク溶液中に溶解している他成分の種類及び濃度の変化などのインク溶液の状態変化の影響により、容易に析出し、インク組成物中に異物として析出する。この異物がノズル詰まりを発生させ、また目詰まり回復性を悪化させる要因となる。

一方で、このような問題を回避するために、インク溶液中に比較的溶解し難い分散染料のみを用いるとすると、染料の種類が限定されるため、分散染料を用いていて表現できる色相が制限されるという問題が生じる。

そこで、本発明のインク組成物は、染料溶解度の異なる複数種の染料を含むことにより、インク溶液の状態変化の影響による異物の発生を抑制するものである。これにより本発明のインク組成物は、比較的色材の種類を限定せずに所望の色相を得ることができ、その上、吐出安定性や目詰まり回復性に優れるものとなる。

〔染料A〕 染料Aは、分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料である。水溶性基としては、特に限定されないが、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。このなかでも、アミノ基、及びヒドロキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有することにより、染料Aは、インク溶液中に比較的溶解しやすい。しかし、後述する染料Bを併用することにより、染料Aを用いた場合でも、吐出安定性や目詰まり回復性に優れるインク組成物となる。

染料Aの分子量は、380以下であり、好ましくは350以下である。また、染料Aの分子量の下限は、特に限定されないが、その分子量は好ましくは270以上である。染料Aの分子量が380以下であることにより、染料Aは昇華性に優れるため、得られる記録物の発色性がより優れる傾向にある。

染料Aの具体例としては、特に限定されないが、例えば、Disperse Red 60、191、Disperse Blue 26、35、56、72、77、91、359、Disperse Violet 28が挙げられる。

染料Aの含有量は、特に限定されないが、昇華転写用インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは3.0質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは5.0質量%以上8.0質量%以下である。染料Aの含有量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の発色性がより優れる傾向にある。また、染料Aは実質的に単一種類で用いられることが好ましいが、不可避的に混合される程度の含有量(例えば0.1質量%未満)であれば複数種の染料であってもよい。

〔染料B〕 染料Bは、分子量400以上である分散染料である。このような分散染料は、加熱による昇華性が乏しく、昇華転写用インクジェットインク組成物を用いて昇華転写した場合の記録物の色彩に染料Aが寄与しやすくなる傾向にある。

このような分散染料としては、置換基を有してもよいアントラキノン骨格を有する分散染料、置換基を有してもよいアゾ骨格を有する分散染料が挙げられる。このなかでも、置換基を有してもよいアントラキノン骨格を有する分散染料が好ましい。染料Bがアントラキノン骨格を有する分散染料であることにより、ノズル内壁などの記録装置に対するインク組成物の濡れ性がより向上し、吐出安定性がより向上する傾向にある。置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン基、ヒドロキシルキ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基が挙げられる。

染料Bの分子量は、400以上であり、好ましくは500以上である。また、染料Bの分子量の上限は、特に限定されないが、その分子量は好ましくは550以下である。

染料Bの具体例としては、特に限定されないが、例えば、Solvent Blue 97、104、Disperse Violet 26、Disperse Yellow 114、163、Disperse Red 92、Disperse Blue 165、354が挙げられる。

なお、染料Bは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。

また、染料Bの含有量は、特に限定されないが、染料Aの含有量に対して、好ましくは3質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。染料Bの含有量が上記範囲内であることにより、異物の発生を抑制しつつ、かつ昇華転写用インクジェットインク組成物を用いて昇華転写した場合の記録物の色彩に染料Aが寄与しやすくなる傾向にある。

〔染料溶解度〕 昇華転写用インクジェットインク組成物中において、染料Aの染料溶解度は、染料Bの染料溶解度より大きい。染料Aの染料溶解度よりも染料溶解度の小さい染料Bを併用することにより、染料Aに由来する異物発生を抑制でき、吐出安定性及び目詰まり回復性に優れる。インク組成物が染料Bを複数種含む場合、上記と同様の観点から、染料Aの染料溶解度は全ての染料Bの染料溶解度の総和より大きい。なお、染料A及び染料Bの染料溶解度は、実施例に記載の方法により測定することができる。

染料Bの染料溶解度は、特に限定されないが、好ましくは10-3以下であり、より好ましくは10-4以下であり、さらに好ましくは10-5以下である。また、染料Bの染料溶解度の下限は、特に限定されない。染料Bの染料溶解度が10-3以下であることにより、染料Aに由来する異物発生を抑制でき、吐出安定性及び目詰まり回復性に優れる傾向にある。

(水) 昇華転写用インクジェットインク組成物は、水を含んでもよい。水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生がより防止される傾向にある。

昇華転写用インクジェットインク組成物が水を含むことにより、昇華転写用インクの粘度、表面張が、好ましい範囲に含まれるように好適に調整することができ、昇華転写用インクのインクジェット方式による吐出性を優れたものとすることができる。また、水は、インクジェット方式による吐出後に容易に除去することのできる成分であるため、染色物の生産性を高めるうえでも重要である。また、水は、人体等に対する安全性が極めて高い物質であるため、染色物の製造において、作業者の安全を確保する上でも重要である。

水の含有量は、昇華転写用インクジェットインク組成物の総量に対して、50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。

(分散剤) 昇華転写用インクジェットインク組成物は分散剤を含むことができる。昇華転写用インクジェットインク組成物が分散剤を含むことにより、昇華転写用インクジェットインク組成物における染料の分散安定性がより優れる傾向にあり、昇華転写用インクジェットインク組成物の保存安定性、昇華転写用インクの長期にわたる吐出安定性等がより優れる傾向にある。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、高分子分散剤が挙げられる。

アニオン系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族スルホン酸の塩(例えばナトリウム塩。以下同様。)若しくはホルマリン縮合物、β−ナフタレンスルホン酸の塩若しくはホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸の塩若しくはホルマリン縮合物、及び、クレオソート油スルホン酸の塩若しくはホルマリン縮合物が挙げられる。

上記芳香族スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、クレオソート油スルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、β−ナフトールスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸との混合物、クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸との混合物、リグニンスルホン酸等が挙げられる。

ノニオン系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物、コレスタノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。

高分子分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物等が挙げられる。

なお、分散剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。

昇華転写用インクジェットインク組成物に含まれる染料の総量に対する、分散剤の含有量は、1質量%〜200質量%であり、より好ましくは50質量%〜150質量%である。分散剤の含有量が上記範囲であることにより、染料の分散安定性がより向上する傾向にある。

(水溶性有機溶剤) 昇華転写用インクジェットインク組成物は、水溶性有機溶剤をさらに含んでもよい。水溶性有機溶剤を含むことにより、長期放置時によるヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制しつつ、中間記録媒体への濡れ性を高めて昇華転写用インクジェットインク組成物の浸透性がより向上し、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上する傾向にある。そのような水溶性有機溶剤としては、通常のインクに水溶性有機溶剤として使用されている化合物を用いることができ、ポリオール化合物、グリコールエーテル、糖類、ベタイン化合物等が挙げられる。

ポリオール化合物としては、例えば、分子内の炭素数が2以上6以下であり、かつ、分子内にエーテル結合を1つ有してもよいポリオール化合物(好ましくはジオール化合物)等が挙げられる。具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6− ヘキサンジオール等が挙げられる。

グリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールから選択されるグリコールのモノアルキルエーテルが好ましい。より具体的には、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましく例示できる。

糖類とは単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類をいうものとする。糖類としては、例えば、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、イソトレハロース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、ソホロース、イソサッカロース、グルカン、フルクタン、マンナン、キシラン、ガラクツロナン、マンヌロナン、N−アセチルグルコサミン重合体などのホモグリカン、ジヘテログリカン、トリへテログリカンなどのヘテログリカン、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、マルトテトラオース、マルトペンタオース等が挙げられ、好ましくは、トレハロース等が例示できる。

ベタイン化合物とは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷をもつ原子には解離しうる水素原子が結合しておらず、分子全体としては電荷を持たない化合物(分子内塩)である。好ましいベタイン化合物としては、アミノ酸のN−アルキル置換体であり、より好ましくはアミノ酸のN−トリアルキル置換体である。ベタイン化合物としては、例えば、トリメチルグリシン(「グリシンベタイン」ともいう。)、γ−ブチロベタイン、ホマリン、トリゴネリン、カルニチン、ホモセリンベタイン、バリンベタイン、リジンベタイン、オルニチンベタイン、アラニンベタイン、スタキドリンおよびグルタミン酸ベタイン等が挙げられ、好ましくは、トリメチルグリシン等が例示できる。

水溶性有機溶剤の含有量は、昇華転写用インクジェットインク組成物の総量に対して、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。水溶性有機溶剤の含有量が上記範囲内であることにより、長期放置時によるヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制しつつ、中間転写媒体への濡れ性を高めて昇華転写用インクジェットインク組成物の浸透性がより優れ、吐出安定性及び目詰まり回復性もより向上する傾向にある。

(その他の添加剤) 昇華転写用インクジェットインク組成物は、さらに必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン、アジピン酸、水酸化カリウム)、又は溶解助剤、その他、通常のインクにおいて用いることができる各種添加剤を含んでもよい。なお、各種添加剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。

防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えば、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド等が挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。

昇華転写用インクジェットインク組成物がpH調整剤を含むことにより、昇華転写用インクジェットインク組成物の保存安定性等を特に優れたものとすることができる。また、昇華転写用インクジェットインク組成物を用いて製造される染色物の信頼性を特に優れたものとすることができる。

pH調整剤としては、例えば、昇華転写用インクジェットインク組成物のpHを6.0以上11.0以下の範囲に制御できるものを好適に用いることができる。このようなpH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸等が挙げられる。

キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。

防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。

紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、いわゆる蛍光増白剤(ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物)等が挙げられる。

消泡剤としては、例えば、高酸化油系化合物、グリセリン脂肪酸エステル系化合物、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、アセチレン系化合物等が挙げられる。

表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。

アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。

両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。

カチオン系界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。

ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系界面活性剤等が挙げられる。

昇華転写用インクジェットインク組成物がポリシロキサン化合物を含むことにより、インクジェット方式による液滴吐出の吐出応答性を向上させることができる。ポリシロキサン化合物としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。

〔染色物の製造方法〕 本実施形態の染色物の製造方法は、インクジェット法を用いて、上記昇華転写用インクジェットインク組成物を中間転写媒体に付着するインク付着工程と、前記中間転写媒体の前記昇華転写用インクジェットインク組成物が付着された面と、被記録媒体の染色面と、を対向させた状態で加熱し、前記昇華転写用インクジェットインク組成物に含まれる分散染料を前記被記録媒体に転写させる転写工程と、を有する。

〔付着工程〕 付着工程は、インクジェット法を用いて、上記昇華転写用インクジェットインク組成物を中間転写媒体に付着させる工程である。インクジェット方式による昇華転写用インクジェットインク組成物の吐出は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。このなかでも、昇華転写用インクジェットインク組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。

インク付着工程では、本実施形態の昇華転写用インクジェットインク組成物以外のインク組成物を用いてもよい。これにより、例えば、表現することのできる色域をより広いものとすることができる。

(中間転写媒体) 中間転写媒体としては、特に限定されないが、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた被記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができる。このなかでも、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が設けられた紙が好ましい。これにより、中間転写媒体に付着した昇華転写用インクジェットインク組成物が乾燥する過程で、滲み等が抑制された中間転写媒体を得ることができ、また、後の転写工程において、分散染料の昇華がより円滑に進行する傾向にある。

〔転写工程〕 転写工程は、中間転写媒体の昇華転写用インクジェットインク組成物が付着した面と、被記録媒体の染色面と、を対向させた状態で加熱し、昇華転写用インクジェットインク組成物に含まれる分散染料を被記録媒体に転写させる工程である。

転写工程における加熱温度は、特に限定されないが、好ましくは160℃以上220℃以下であり、より好ましくは170℃以上200℃以下である。加熱温度が上記範囲内であることにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性により優れる傾向にある。また、得られる記録物の発色性がより優れる傾向にある。

本工程での加熱時間は、加熱温度にもよるが、30秒以上90秒以下が好ましく、45秒以上60秒以下がより好ましい。加熱時間が上記範囲内であることにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性により優れる傾向にある。また、得られる記録物の発色性がより優れる傾向にある。

また、本工程は、昇華転写用インクジェットインク組成物が付着された中間転写媒体の表面を、被記録媒体と一定間隔で離間して対向させた状態で加熱することにより行うことも、中間転写媒体と被記録媒体とを密着させた状態で加熱することにより行うこともできる。このなかでも、中間転写媒体と被記録媒体とを密着させた状態で加熱することにより行うことが好ましい。これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性により優れる傾向にある。また、本工程における被記録媒体と中間転写媒体の位置ずれがより生じにくくなるため、染料を所望の位置により正確に転写した記録物が得られる上、得られる記録物の発色性がより向上する傾向にある。

(被記録媒体) 被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム、紙、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。また、被記録媒体としては、シート状、球状又は直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。

被記録媒体が布帛である場合に、布帛を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維及びこれらの繊維を2種以上用いた混紡品等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。

また、被記録媒体が樹脂(プラスチック)フィルムである場合、用い得る樹脂(プラスチック)フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。樹脂(プラスチック)フィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。

(他の工程) 本実施形態の染色物の製造方法は、上述したような工程に加え、さらに他の工程(前処理工程、中間処理工程、後処理工程)を有するものであってもよい。 前処理工程としては、特に限定されないが、例えば、被記録媒体にコート層を塗布する工程が挙げられる。 中間処理工程としては、特に限定されないが、例えば、中間転写工程の前又は転写工程の前に被記録媒体を予備加熱する工程が挙げられる。 後処理工程としては、特に限定されないが、例えば、被記録媒体を洗浄する工程が挙げられる。

また、本実施形態の昇華転写用インクジェットインク組成物は、中間転写媒体を用いない昇華転写においても好適に使用できる。中間転写媒体を用いない昇華転写は、特に限定されないが、例えば、剥離可能なインク受容層が設けられた被記録媒体(フィルム製品等)のインク受容層に、インクジェット方式により本実施形態の昇華転写用インクジェットインク組成物を付着させる工程と、昇華転写用インクジェットインク組成物が付着されたインク受容層が設けられた被記録媒体をそのまま加熱して、インク受容層から、その下層側の被記録媒体に昇華拡散染色する工程と、インク受容層を被記録媒体から剥離して記録物を得る工程とを有する方法が挙げられる。

〔インクセット〕 本実施形態のインクセットは、第1インク組成物と第2インク組成物とを含むインクセットであって、前記第1インク組成物が、上記昇華転写用インクジェットインク組成物であり、前記第2インク組成物が、前記染料Aと、前記染料B及び染料Cからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む昇華転写用インクジェットブラックインク組成物であり、前記染料Cが、分子量380以下であり、かつ分子内に水溶性基を有するアントラキノン骨格を有しない分散染料であり、前記第2インク組成物中において、前記染料Aの染料溶解度が、前記染料Cの染料溶解度より大きく、前記染料Cの染料溶解度が10-3以下である。

本実施形態のインクセットを用いることにより、中間記録媒体上でそれぞれのインク組成物を混色して黒色を表現する際に、色材(染料)の持つ転写温度の違いによる色のねじれを防止することができる。ここで、「色のねじれ」とは、表現したい黒色に対し、記録物が、赤味がかったり又は青味がかったりするなど色相が変化することをいい、この現象により、後述する彩度C*が高くなる傾向にある。

〔第1インク組成物〕 第1インク組成物は、上記昇華転写用インクジェットインク組成物である。なお、本実施形態のインクセットは1種類の第1インク組成物を供えても、2種類以上の第1インク組成物を複数備えてもよい。

〔第2インク組成物〕 第2インク組成物は、前記染料Aと、前記染料B及び染料Cからなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含む昇華転写用インクジェットブラックインク組成物である。染料A及び染料Bの種類及び含有量は、上記昇華転写用インクジェットインク組成物(第1インク組成物)におけるものと同様であればよい。

〔染料C〕 染料Cは分子量380以下であり、かつ水溶性基を有するアントラキノン骨格を分子内に有しない分散染料である。このような分散染料を用いることにより、インク溶液の状態変化の影響による染料Cに由来する異物の発生をより抑制することができ、得られる記録物の黒色の発色性がより優れる傾向にある。このような染料Cとしては、特に限定されないが、例えば、水溶性基を有しないアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料、置換基を有してもよいアゾ骨格を有する分散染料が挙げられる。このなかでも、水溶性基を有しないアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料が好ましい。染料Cが水溶性基を有しないアントラキノン骨格を分子内に有する分散染料であることにより、ノズル内壁などの記録装置に対するインク組成物の濡れ性がより向上し、吐出安定性がより向上する傾向にある。

染料Cの分子量は、380以下であり、好ましくは350以下である。また、染料Cの分子量の下限は、特に限定されないが、その分子量は好ましくは270以上である。染料Cの分子量が380以下であることにより、染料Cは昇華性に優れる。すなわち、染料Cを含む昇華転写用インクジェットブラックインク組成物を用いて昇華転写した場合の記録物の色彩には染料Aと染料Cが寄与することにより、得られる記録物の黒色の発色性がより優れる傾向にある。

染料Cの具体例としては、特に限定されないが、例えば、以下に列記する分散染料が挙げられる。

イエロー分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースイエロー3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232等が挙げられる。

オレンジ分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースオレンジ1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142等が挙げられる。

レッド分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328等が挙げられる。

バイオレット分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースバイオレット1、4、8、23、27、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77等が挙げられる。

グリーン分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースグリーン9等が挙げられる。

ブラウン分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブラウン1、2、4、9、13、19等が挙げられる。

ブルー分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブルー3、7、9、14、16、19、20、27、43、44、54、55、58、60、62、64、71、73、75、79、81、82、83、87、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333等が挙げられる。

ブラック分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブラック1、3、10、24等が挙げられる。

なお、染料Cは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。

染料Cの含有量は、第2インク組成物の総量に対して、特に限定されないが、染料Aの含有量に対して、好ましくは3質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。染料Cの含有量が上記範囲内であることにより、得られる記録物の発色性により優れる傾向にある。

第2インク組成物中において、染料Aの染料溶解度は、染料Cの染料溶解度より大きい。染料Aの染料溶解度よりも染料溶解度の小さい染料Cを併用することにより、染料Aに由来する異物発生を抑制でき、吐出安定性及び目詰まり回復性がより向上する傾向にある。インク組成物が染料B及び染料Cを複数種含む場合、上記と同様の観点から、染料Aの染料溶解度が全ての染料B及び染料Cの染料溶解度の総和より大きい。なお、染料Cの染料溶解度は、実施例に記載の方法により測定することができる。

染料Cの染料溶解度は、特に限定されないが、好ましくは10-3以下であり、より好ましくは10-4以下であり、さらに好ましくは10-5以下である。また、染料Cの染料溶解度の下限は、特に限定されない。染料Cの染料溶解度が10-3以下であることにより、染料Aに由来する異物発生を抑制でき、吐出安定性及び目詰まり回復性がより向上する傾向にある。

なお、昇華転写用インクジェットブラックインク組成物に含まれうる他の成分及びその含有量としては、特に限定されず、昇華転写用インクジェットインク組成物(第1インク組成物)において説明したものと同様であればよい。

昇華転写用インクジェットブラックインク組成物を用いて昇華転写した後の記録物において、転写部分のLab表示系における彩度C*は、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。彩度C*の下限は特に制限されず低いほど好ましく、より好ましくは0である。彩度C*が10以下であることにより、転写部分が黒くなる傾向にある。彩度C*は、分散染料の種類、混合割合を適宜変更することにより制御することができる。ここで、彩度C*の測定方法に用いる測定サンプルとしては、白色被記録媒体に、200℃で60秒の条件で転写工程を行って得られる記録物を用いる。なお、本明細書において「白色」とはL*が70以上、a*値およびb*値がともに−10以上10以下の範囲内であることを意味する。 [前記彩度C*は、C*=〔(a*)2+(b*)2〕1/2により求められる。a*、b*およびL*は、CIELAB色空間において定義される知覚色度指数を表わす。]

以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。

[1.インク組成物用の材料] 下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。 〔色材〕 (染料A) DR60(Disperse Red60、アミノ基及びヒロドキシル基を有するアントラキノン骨格を有する。) DR191(Disperse Red191、アミノ基及びヒドロキシル基を有するアントラキノン骨格を有する。) DB359(Disperse Blue359、アミノ基を有するアントラキノン骨格を有する。) DB72(Disperse Blue72、ヒドロキシル基を有するアントラキノン骨格を有する。) (染料B) DY163(Disperse Yellow163、アゾ骨格を有する。) SB97(Solvent Blue97、水溶性基を有しないアントラキノン骨格を有する。) DB165(Disperse Blue165、アゾ骨格を有する。) (染料C) DY54(Disperse Yellow54、キノリル骨格を有する。) DO25(Disperse Orange25、アゾ骨格を有する。) DB14(Disperse Blue14、水溶性基を有しないアントラキノン骨格を有する。) DB360(Disperse Blue360、アゾ骨格を有する。) 〔界面活性剤〕 BYK−348(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン社製) 〔分散剤〕 NS(β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(アニオン系分散剤)) 〔水溶性有機溶剤〕 グリセリン プロピレングリコール

[インク組成物の調製] 各材料を下記の表1に示す組成(質量%)で混合し、各インク組成物を得た。

(染料溶解度の測定方法) 染料を添加しないこと以外はインク組成物と全く同じ組成で、溶解度測定液を作製した。この溶解度測定液を25℃に保ち、染料A,B,及びCの染料粉体を0.1%添加し、5時間攪拌を行った。攪拌終了後、遠心分離器により未溶解の染料をすべて沈降させ、上澄の溶解部分を分取した。この染料が溶解した上澄部分に存在する染料の濃度をHPLCにて定量した。溶解度は通常用いられる様に、溶液100gあたりの溶質量(g)とした。

[昇華転写用インクジェットインク組成物の評価:実施例1〜12、比較例1〜17] [染色物の製造] 上記で得られた各インク組成物をインクジェットプリンタ(PX−G930、セイコーエプソン社製)にそれぞれ充填した。その後、プリンタのヘッドに昇華転写用インクを充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。このインクジェットプリンタを用いて、上記各昇華転写用インクを吐出し、中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社)に、記録解像度1440×720dpiで10階調のグラデーションパターンを付着させた。尚、プリンタの動作環境は25℃とした。

〔色相(CIELAB色空間において定義される色相)〕 その後、中間転写媒体の昇華転写用インク付着側を白色記録媒体である布帛(ポリエステル100%、アミーナ、東レ社製)と密着させ、この状態で、ヒートプレス機(TP−608M、太陽精機社製)を用いて200℃で60秒の条件で加熱し、昇華転写を行い、各記録物を得た。 上記で製造された染色物について、中間転写媒体と対向していた側の面の染色部の各階調部のCIELAB色空間において定義されるa*、b*を、測色器(Gretag Macbeth Spectrolino、X−Rite社製)を用いて測定し、色相角∠H°をそれぞれ求め、以下の基準に従い評価した。 [前記色相角∠H°は、∠H°=tan-1(b*/a*+180(a*<0の場合)、または∠H°=tan-1(b*/a*)+360(a*>0の場合)により求められる。] (マゼンタ) A:色相角∠H°が−10°以上30°以下であった。 B:色相角∠H°が−15°以上−10°未満、又は30°を超え35°以下であった。 C:色相角∠H°が−20°以上−15°未満、又は35°を超え40°以下であった。 (シアン) A:色相角∠H°が240°以上280°以下であった。 B:色相角∠H°が235°以上240°未満、又は280°を超え285°以下であった。 C:色相角∠H°が230°以上235°未満、又は285°を超え290°以下であった。

〔高温放置後の目詰まり回復性〕 上記で得られた各インク組成物をインクジェットプリンタ(PX−G930、セイコーエプソン社製)にそれぞれ充填した。その後、プリンタのヘッドに昇華転写用インクを充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。その後、ホームポジション外の位置(ヘッドがプリンタに備えたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態)で40℃、20RH%の環境下に48時間放置した。放置後、再び全ノズルよりインク組成物を吐出し、初期と同等の印刷が可能となるまでに必要とされたクリーニングの回数を計測し、結果を以下の基準に基づいて判定した。 A:クリーニング3回以内で全ノズルから吐出可能となる。 B:クリーニング4回以上6回以内で全ノズルから吐出可能となる。 C:クリーニングを7回以上実施しても全ノズルの目詰まりが回復しない。

〔吐出安定性〕 得られたインク組成物をインクジェットプリンタ(SC−F7000、セイコーエプソン社製)にそれぞれ充填した。その後、プリンタのヘッドに昇華転写用インクを充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。尚、プリンタの動作環境は25℃とした。次いで、中間転写媒体である44インチ幅のTransjet Sportline(Cham Paper社)上に、B0+サイズの風景及び人物を含めた自然画パターンを形成し、その後ノズル抜けがないかを確認した。パターンの記録とノズル抜けの確認を繰り返し、以下の評価基準で評価をした。 A:ノズル抜けが発生するまでのパターン記録数が20枚以上 B:ノズル抜けが発生するまでのパターン記録数が10枚以上20枚未満 C:ノズル抜けが発生するまでのパターン記録数が10枚未満

[昇華転写用インクジェットブラックインク組成物及びインクセットの評価:実施例13〜20、比較例18〜19] 〔高温放置後の目詰まり回復性〕 上記で得られた各インク組成物をインクジェットプリンタ(PX−G930、セイコーエプソン社製)にそれぞれ充填した。その後、プリンタのヘッドに昇華転写用インクを充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。その後、ホームポジション外の位置(ヘッドがプリンタに備えたキャップの位置からずれており、ヘッドにキャップがされていない状態)で40℃、20RH%の環境下に48時間放置した。放置後、再び全ノズルよりインク組成物を吐出し、初期と同等の印刷が可能となるまでに必要とされたクリーニングの回数を計測し、結果を以下の基準に基づいて判定した。 A:クリーニング3回以内で全ノズルから吐出可能となる。 B:クリーニング4回以上6回以内で全ノズルから吐出可能となる。 C:クリーニングを7回以上実施しても全ノズルの目詰まりが回復しない。

〔吐出安定性〕 得られたインク組成物をインクジェットプリンタ(SC−F7000、セイコーエプソン社製)にそれぞれ充填した。その後、プリンタのヘッドに各インク組成物を充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。尚、プリンタの動作環境は25℃とした。次いで、中間転写媒体である44インチ幅のTransjet Sportline(Cham Paper社)上に、B0+サイズの風景及び人物を含めた自然画パターンを形成し、その後ノズル抜けがないかを確認した。パターンの記録とノズル抜けの確認を繰り返し、以下の評価基準で評価をした。 A:ノズル抜けが発生するまでのパターン記録数が20枚以上 B:ノズル抜けが発生するまでのパターン記録数が10枚以上20枚未満 C:ノズル抜けが発生するまでのパターン記録数が10枚未満

〔混色時の彩度C*〕 マゼンタ、シアン、ブラックそれぞれの各インク組成物をインクジェットプリンタ(PX−G930、セイコーエプソン社製)に装着した。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンタのヘッドに各インク組成物を充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。

各ノズルより吐出可能な最大打ち込み量を100%とした場合、ブラック、マゼンタ、シアンの打ち込み量がそれぞれ50%、10%、10%の混色の黒色となるよう調整し、中間転写媒体であるTRANSJET Sportline(Cham Paper社)上に、記録解像度1440×720dpiでベタパターンを付着させた。尚、プリンタの動作環境は25℃とした。

その後、中間転写媒体のインク組成物付着側を白色記録媒体である布帛(ポリエステル100%、アミーナ、東レ社製)と密着させ、この状態で、ヒートプレス機(TP−608M、太陽精機社製)を用いて200℃で60秒の条件で加熱し、昇華転写を行い、各記録物を得た。

得られた各記録物について、彩度C*の評価を行った。具体的には、得られた各記録物について、測色機(Gretag Macbeth Spectrolino、X−Rite社製)を用いてa*値b*値の測色を行い、C*を算出し、以下の基準にて評価した。 A:C*が5未満であった。 B:C*が5以上10未満であった。 C:C*が10以上であった。

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