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インサイチュゲル形成医薬組成物および副鼻腔疾患のためのその使用

阅读:362发布:2020-05-11

专利汇可以提供インサイチュゲル形成医薬組成物および副鼻腔疾患のためのその使用专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、消毒剤およびステロイドを含む、患者の気道(例えば、鼻、 肺 、および副鼻腔)の臨床症状の治療に有用な医薬組成物であって、当該組成物を被験体の体腔内に点滴注入すると消毒剤を含有するゲルがインサイチュで形成される、医薬組成物、並びに当該組成物を使用する方法、を提供する。 【選択図】 なし,下面是インサイチュゲル形成医薬組成物および副鼻腔疾患のためのその使用专利的具体信息内容。

消毒剤、ステロイド、および生体適合性多糖を含む性医薬組成物であって、それを必要とする被験体の副鼻腔内に点滴注入するとインサイチュでゲルを形成できる、水性医薬組成物。前記消毒剤が、ポビドンヨード(PVP−I)またはクロルヘキシジンを含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記消毒剤が、0.1%〜5.0%(重量/重量または重量/体積)の濃度で前記組成物中に含有される、請求項1または2に記載の水性医薬組成物。前記消毒剤が、0.2%〜1.0%(重量/重量または重量/体積)の濃度で前記組成物中に含有される、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。前記消毒剤が、ポビドンヨード(PVP−I)を含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記ステロイドが、モメタゾン、フルチカゾン、若しくはブデソニド、またはそれらの塩、エステル、若しくは任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記ステロイドが、フルチカゾン若しくはブデソニド、またはそれらの塩、エステル、若しくは任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記多糖が、脱アセチル化ジェランガム(DGG)、キサンタン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、またはそれらの任意の混合物を含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記多糖が、0.1%〜2.0%(重量/重量または重量/体積)の濃度で前記組成物中に含有される、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記多糖が、0.1%〜0.5%(重量/重量)の濃度で前記組成物中に含有される、請求項1または9に記載の水性医薬組成物。前記多糖が、脱アセチル化ジェランガム(DGG)を含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。浸透圧調整剤、界面活性剤、粘度上昇剤、pH調整剤、または冷却剤を更に含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記浸透圧調整剤が、塩化ナトリウム、グリセロール、ポリエチレングリコール400(PEG400)、マンニトールまたはホウ酸を含む、請求項12に記載の水性医薬組成物。前記浸透圧調整剤が、0.1%〜0.5%(重量/体積)の濃度で前記組成物中に含有される、請求項13に記載の水性医薬組成物。前記界面活性剤が、ポリソルベート−20、ポリソルベート−60、ポリソルベート−80、ポリオキシエチレン界面活性剤、ポリオキシプロピレン界面活性剤、シクロデキストリン、チロキサポール、PEG35ヒマシ油、グリセリン、またはステアリン酸ポリオキシル40を含む、請求項12に記載の水性医薬組成物。前記界面活性剤が、0.01%〜2%(重量/重量)の濃度で前記組成物中に含有される、請求項15に記載の水性医薬組成物。前記粘度上昇剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはデキストロース無水物を含む、請求項12に記載の水性医薬組成物。前記粘度剤が、0.01%〜2%(重量/重量)の濃度で前記組成物中に含有される、請求項17に記載の水性医薬組成物。前記冷却が、メントール、メトングリセリンアセチル、メンチルエステル、カルボキサミド、メンタングリセロールケタール、アルキル置換尿素、スルホンアミド、テルペン類似体フラノン、ホスフィンオキシド、その誘導体、ショウノウ、またはボルネオ—ル(bonel)を含む、請求項12に記載の水性医薬組成物。前記pH調整剤が、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、リン酸、またはそれらの任意の混合物を含む、請求項12に記載の水性医薬組成物。前記組成物が、4.0〜7.0の範囲のpH値を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。前記組成物が、4.0〜6.0の範囲のpH値を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の水性医薬組成物。麻酔剤を更に含む、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記組成物が、溶液、懸濁液、または乳濁液の形態である、請求項1に記載の水性医薬組成物。前記溶液が、ゲル形成水溶液、またはゲル形成懸濁液である、請求項24に記載の水性医薬組成物。水が添加されて、前記被験体の前記副鼻腔内への灌注または噴霧に使用できる状態の溶液を形成する、請求項1に記載の水性医薬組成物。それを必要とする被験体の気道の臨床的副鼻腔症状を治療する方法であって、消毒剤、ステロイド、および生体適合性多糖を含む水性医薬組成物を患者の副鼻腔に投与することを含み、前記組成物が、前記副鼻腔に点滴注入されるとインサイチュでゲルを形成し得る、方法。前記副鼻腔症状が、炎症、感染、バイオフィルムの形成、鼻副鼻腔炎、鬱血、疼痛、圧、疲労、または濃厚な鼻汁である、請求項27に記載の方法。前記気道が、副鼻腔、鼻、またはである、請求項27に記載の方法。前記医薬組成物が、洗浄ボトル、定量、手動ポンプスプレー、計量、または霧化スプレーポンプによって前記被験者に投与される、請求項27に記載の方法。前記消毒剤がポビドンヨードを含み、前記ステロイドがブデソニド、微紛化プロピオン酸フルチカゾン、または微紛化モメタゾンを含む、請求項27に記載の方法。前記被験体に投与される前記消毒剤の用量が、約10mcg〜約300mcg/日、約20mcg〜約200mcg/日、約30mcg〜約100mcg/日、または約50mcg/日で、1日に1つの鼻孔につき2回の噴霧である、請求項27に記載の方法。嚢胞性線維症患者の肺状態を改善する方法であって、消毒剤、ステロイド、および生体適合性多糖を含む水性医薬組成物で前記患者の副鼻腔を洗浄することを含み、前記組成物が、前記副鼻腔に点滴注入されるとインサイチュでゲルを形成し得る、方法。前記消毒剤が、ポビドンヨード(PVP−I)を含む、請求項33に記載の方法。前記ステロイドが、微紛化ブデソニド、微紛化プロピオン酸フルチカゾン、または微紛化モメタゾンを含む、請求項33に記載の方法。

说明书全文

関連出願の相互参照 本出願は、2017年9月2日に出願された米国特許仮出願第62/553,806号の優先権を主張するものであり、その内容全体を参照により本明細書に援用する。

慢性鼻副鼻腔炎(CRS)は、多くの場合、鼻および副鼻腔に同時に影響する炎症・感染症混合プロセスの結果である。CRSは、重大な身体症状および実質的機能障害を招き得る衰弱性疾患である。CRSの状態は、一連の症状および長期的な臨床経過によって定義され、年間3000万人もの米国成人が罹患する。例えば、非特許文献1参照。持続性感染は、慢性粘膜炎症、副鼻腔線毛機能の改変、および鼻ポリープ形成を招く可能性がある。多剤耐性副鼻腔炎の治療は、ほとんど効果がない状態が続いている。例えば、非特許文献2参照。CRSのような慢性疾患における細菌バイオフィルムの確立された役割およびその従来の医学および外科療法に対する恐るべき耐性は、治療する医師にとって大きな問題を呈する。例えば、非特許文献3参照。

CRS患者のうち特に困難な集団は、嚢胞性線維症(CF)にも罹患している。この遺伝性疾患は、CFTRと呼ばれる特異な遺伝子の異常によって引き起こされ、数は少ないが(約30,000人)きわめて重い症状で米国の子供に作用している。CFは、感染症と闘って感染症を除去する能を身体から損なうことから、CFの子供は、症状がより重く、より長くなる。CFにおいて、慢性副鼻腔炎は、熱、鼻、顔面痛、頭痛、副鼻腔粘膜の炎症性変化による鼻気道閉塞および鬱血などの複数の症状を引き起こし得る。嚢胞性線維症の治療法はないことから、上気道の機能を維持するため、および感染再発による反応性気道疾患の症状悪化を最小限に抑えるための努力が必要である。最近の研究で、嚢胞性線維症の患者の副鼻腔および気管支胞洗浄液から培養した生物の間に有意な相関関係があることが明らかになった。生物は主に、シュードモナス属およびブドウ球菌の2種類であると考えられる。更に、これらの2種類の生物は、副鼻腔内で慢性の難治性バイオフィルム感染を生じ、持続性の再発性肺感染症のリザーバとなると考えられる。嚢胞性線維症を有する多数の子供は、最終的に、複数回の副鼻腔手術、それに続く肺移植を必要とする。これらの慢性疾患小児症例におけるプランクトン様感染及バイオフィルム感染の両方を排除することは、移植した肺の安全性を高め、寿命を延ばしながら、副鼻腔手術の繰り返しを防止する1つの方法となり得る。

嚢胞性線維症を有する患者の治療には、微生物バイオフィルムのリザーバを根絶すること、副鼻腔の炎症性変化を低減すること、および再発性副鼻腔感染を排除することなどがある。嚢胞性線維症を有する子供のほぼ全員が、生涯にわたる慢性感染、長期間の抗生物質、低い呼吸機能および慢性副鼻腔炎に苦しんでいる。慢性副鼻腔炎およびその結果生じる細菌播種を排除できれば、これらの患者の予後を大幅に改善できる。

しばらく前から、疾患過程の異なる側面に対処できる様々なアプローチが知られている。例えば、灌注および洗浄は鬱血を緩和することができ、抗生物質および抗真菌剤は、刺激性病原体を除去することができ、抗炎症剤は炎症カスケードを軽減できる。しかし、これらの現在知られている治療アプローチの各々に関して制限が存在し、そのため個別に考えたときに各々が不十分となる。生理食塩水灌注は、CRSの多数の症例で成果を挙げているが、抗微生物効力が限られており、比較的重篤な感染症例ではほとんどまたはまったく効果がないという問題がある。生理食塩水灌注のみでは、高浸透圧製剤および低浸透圧製剤の両方を含め、病原体コロニー形成の長期的削減またはバイオフィルム形成の防止に効果はない。抗生物質および抗真菌剤は、静脈内(IV)注射、経口剤および灌注添加剤として使用され、CRSにおける成果は様々である。特異な抗生物質療法は、いかなる形態でも、疾患の慢性的性質から長期治療を必要とし、失敗となる。上記の2つの要因は、従来の細菌耐性の開発に寄与している。さらに、バイオフィルムの形成を促進する生理的条件も生じ、刺激性生物を根絶する能力を更に制限する。最後に、ステロイド全般および特に「鼻用ステロイド」は、慢性感染を複雑にするステロイド反応性炎症の制御にとって重要なツールである。病原性要因のすべてに対処するのに十分な単一療法はなく、多くの困難な症例において、既知の最善の併用療法でも効果がない。

更に、鼻用薬開発の大きな課題は、永久的な組織損傷を引き起こすことなく鼻腔の保護障壁を克服することである。点鼻液につきまとう大きな問題は、鼻腔から素早く排除されることである。粘膜付着性ではない液体製剤および粉末製剤のいずれも、クリアランスの半減期は15〜20分のオーダーである。例えば、非特許文献4参照。

したがって、本発明者は、粘膜線毛クリアランスを粘膜付着性ゲル製剤の使用によって低減し、鼻吸収部位における滞留時間を延長し、それによって薬剤の取り込みを促進するための戦略を構想および検証した。ヒトの鼻粘膜は、約0.1mLの粘液で覆われ、粘液は、ナトリウム、カリウムおよびカルシウムイオンからなり、イオン感受性ゲル製剤では溶液−ゲル相転移が起こる。

したがって、本発明は、多糖ゲルマトリックスを使用することによって、消毒剤(特にポビドンヨード)およびコルチコステロイドを含有するインサイチュゲル形成製剤を提供し、ここで、消毒剤およびコルチコステロイド(すなわち、溶液薬剤物質)の有効濃度は、溶液薬剤物質とゲル拘束成分との間の平衡によって維持される。この治療戦略は、嚢胞性線維症患者における長期的な経口抗生物質への依存を著しく削減し、より良好な肺移植予後を可能にし、患者の生活の質を大幅に改善する可能性がある。

種々の薬剤が、抗バイオフィルム研究で有望性を示しているが、原因物質を根絶し、ほとんどの慢性副鼻腔感染に伴う随伴性炎症応答を治療するために必要と思われる抗菌性、抗真菌性および抗炎症性を兼ね備える薬剤はまだ開発されていない。例えば、非特許文献5参照。この問題に対処するためのアプローチは、過去に本発明者が発表したもので、一般的な消毒剤ポビドンヨードの非毒性希釈物を懸濁ブデソニドと共に鼻灌注懸濁液に使用する。この製剤は、既に、少数の一連の難治性CRS患者に使用して、症状スコアの低下に成功している。例えば、特許文献1参照。この臨床的に成功した治療法の抗バイオフィルム効果について、ヒトCRS感染においてバイオフィルムを形成することが知られている生物に対する効果を更に特性評価するために、インビトロアッセイも実施した(上記)。インサイチュゲル化持続放出性製剤の最適化により、持続性があり毒性の少ない薬理学的効果が得られ、一方で、ブデソニド懸濁液の沈降を減少し、より有効なCRS治療のためのより均一な薬剤形成が得られた。

国際公開第2012/177251号

米国特許第2,706,701号明細書

米国特許第2,826,532号明細書

米国特許第3,039,916号明細書

米国特許第2,860,080号明細書

米国特許第2,840,510号明細書

米国特許第2,759,869号明細書

米国特許第5,126,127号明細書

米国特許出願公開第2007/0219170号明細書

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本発明者の目標は、微生物(例えば、細菌、真菌、バイオフィルムなど)による感染、粘膜浮腫を招く宿主炎症応答、並びにより優れた効力および患者のコンプライアンスが得られる長期作用など、疾患のあらゆる面についてCRSの一般的特徴に対処するための治療プログラムを開発することである。その課題は依然として、(1)バイオフィルムを含む感染を排除でき、(2)気道炎症を軽減でき、かつ(3)服用頻度の低下および毒性を最小限に抑えた服用量の削減につながる長時間持続性製剤を作製できる、非外科的薬剤を発見することである。

驚くべきことに、この療法の課題は、消毒剤および抗炎症剤を、持続放出性インサイチュゲル形成薬剤送達技術と組み合わせることによって、対処できることが発見された。この戦略は、基礎となるプランクトン由来およびバイオフィルム由来の両方の感染病理に対処し、随伴性炎症応答を軽減することができ、より長い治療効果が得られる。この慢性副鼻腔疾患への3方向からのアプローチは、すべての原因経路を扱い、長期疾患の原因となる宿主免疫応答を化学的に低減する。

本発明は、消毒剤、ステロイド、および生体適合性多糖をそれぞれ含む水性医薬組成物を提供し、当該組成物は、副鼻腔症状を治療するため、それを必要とする被験体の副鼻腔内に点滴注入されるとインサイチュでゲルを形成することができる組成物である。

いくつかの実施形態では、消毒剤は、ヨウ素含有化合物を含む。このようなヨウ素含有化合物は、可溶化剤と複合体化されたヨウ素を含むヨードフォアであることができる。好適な可溶化剤の例は、有機ポリマー、アルコール、ポリオール、界面活性剤、表面活性アニオン、カチオンまたは洗剤を含む。ヨウ素含有化合物の一例は、ポビドンヨード複合体(PVP−I)である。

いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物の完全に構成された水溶液(これは、溶液が、例えば患者の鼻腔内への灌注または噴霧によって、本発明の目的に使用できる状態であることを意味する)中のポビドンヨード複合体(PVP−I)の濃度は、0.01〜10重量/重量%または重量/体積%、0.1〜2.5重量/重量%または重量/体積%、0.15〜1.5重量/重量%または重量/体積%、0.2〜1.0重量/重量%または重量/体積%、または0.2重量/重量%または重量/体積%の範囲である。

一実施形態では、本発明の水性医薬組成物中のPVP−Iの濃度は、包装された調剤の全固体重量を基準とした重量/重量ベースで測定される。別の実施形態では、本発明の水性医薬組成物中のPVP−Iの濃度は、水と化合したときの全調剤を基準とした重量/体積%ベースで測定される。

いくつかの実施形態では、本発明の水性医薬組成物中の好適なステロイドは、モメタゾン、フルチカゾン、またはブデソニド、またはそれらの塩、エステル、若しくは任意の組み合わせを含む。

いくつかの実施形態では、本発明の水性医薬組成物中の多糖は、脱アセチル化ジェランガム(DGG)、キサンタン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、またはそれらの任意の混合物を含む。多糖は、本発明の医薬組成物に、0.1%〜2.0%(重量/重量または重量/体積)、または0.1%〜0.5%(重量/重量または重量/体積)の範囲の濃度で含有されてもよい。

一実施形態では、多糖は、脱アセチル化ジェランガム(DGG)である。脱アセチル化ジェランガム(微生物由来の細胞外多糖、Gelrite(登録商標)として市販されている)は、ヒトに非常によく機能すると考えられる興味深いインサイチュゲル化ポリマーである。非特許文献6;非特許文献7;および非特許文献8。脱アセチル化ジェランガム(Gelrite(登録商標))は、複数の四糖単位で構成されるアニオン性線状多糖である。ヒトの鼻粘膜は、約0.1mLの粘液で覆われ、当該粘液は、ナトリウム、カリウムおよびカルシウムイオンを含み、イオン感受性ゲル製剤では溶液−ゲル相転移が予想される。

いくつかのその他の実施形態では、本発明の水性医薬組成物は、浸透圧調整剤、界面活性剤、粘度上昇剤、pH調整剤、または冷却剤を更に含んでもよい。好適な浸透圧調整剤の例としては、塩化ナトリウム、グリセロール、ポリエチレングリコール400(PEG400)、マンニトール、およびホウ酸が挙げられる。浸透圧調整剤は、水性医薬組成物中に、0.1%〜0.5%(w/wまたはw/v)の範囲の濃度で含有されてもよい。好適な界面活性剤の例としては、ポリソルベート−20、ポリソルベート−60、ポリソルベート−80、ポリオキシエチレン界面活性剤、ポリオキシプロピレン(polyxoypropylene)界面活性剤、グリセリン、シクロデキストリン、チロキサポール、PEG35ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル40、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。水性医薬組成物中の界面活性剤は、0.01重量%〜2重量%の範囲の濃度を有し得る。好適な粘度上昇剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース無水物、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。粘度剤の濃度は、0.01重量%〜2重量%の範囲であることができる。好適な生体接着剤の例としては、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アカシアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ゼラチン、カルボマー、ポリビニルアルコール、ジェランガム、トラガカント、アカシア、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な冷却剤の例としては、メントール、メトングリセリンアセチル、メンチルエステル、カルボキサミド、メンタングリセロールケタール、アルキル置換尿素、スルホンアミド、テルペン類似体フラノン、ホスフィンオキシド、その誘導体、ショウノウ、ボルネオ—ル(bonel)およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。

いくつかのその他の実施形態では、医薬組成物は、溶液(例えば、水溶液)、懸濁液、乳濁液、乾燥滅菌粉末、制御放出ビヒクル、または持続放出性ビヒクルの形態であることができる。医薬組成物は、直接投与されてもよく、または必要な場合にインサイチュで、低ヨウ素濃度を得るために純水若しくは生理食塩水で希釈または構成されて、その後それを必要とする患者に、例えば患者の副鼻腔の洗浄は灌注によって、または副鼻腔内への噴霧によって、投与されてもよい。

ヨウ素は、ステロイドと容易に反応することが周知であるが、本発明の水性医薬組成物は、含有されるステロイド(例えば、モメタゾン、フルチカゾン、ブデソニド、またはそれらの塩若しくは付加物)がヨウ素化、ヨウ素酸化およびヨウ素触媒付加反応に耐えることができることから、溶液、懸濁液または乾燥粉末状態のいずれかにかかわらず、意外かつ予想外に安定している。本発明の組成物に好適なヨウ素化合物の例としては、ヨードフォア(例えば、ポピドン、有機ポリマー、アルコール、ポリオール、界面活性剤、表面活性アニオンおよびカチオン、洗剤、または当該技術分野において既知のその他のものとの複合体)が挙げられる。例えば、特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;および特許文献7参照。

高毒性のヨウ素および抗炎症性ステロイドを含有する、このような驚くほど安定な医薬組成物は、副鼻腔組織の毒性炎症反応を引き起こすことなく、副鼻腔症状を相乗的に治療し、バイオフィルムを阻害または排除さえもできる。更に、これらの組成物は、消毒剤ヨウ素を安全に送達し、副鼻腔ステロイドの吸収がきわめて少ないことから、炎症カスケードを制限し、微生物の炎症活性化を排除することができる。

ヨウ素およびステロイドは、いずれも鼻の症状および疾患の治療に使用されてきた。ポビドンヨードのようなヨードフォア薬剤を除くほとんどのヨウ素製剤は、有用な濃度で毒性である。ブデソニドは、認可吸入ステロイド製剤のPulmicort中に存在する同一活性成分であり、副鼻腔疾患専門家によって副鼻腔内への懸濁液灌注用薬剤として用いられている、広く使用され、安全かつ有効な介入である。例えば、非特許文献9参照。

ポビドンヨードは、広く使用されている術前消毒剤で、粘膜および皮膚表面感染の予防および治療用の種々の製剤において安全かつ有効であることが知られている。眼科学、科学、鼻科学および皮膚科学において、種々の局所適用におけるPVP−Iの安全性を実証する臨床研究は無数に存在する。例えば、Bhagwatらの特許文献8;Liangらの特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;および非特許文献13参照。

非毒性の高殺菌性消毒剤を強力な鼻用ステロイドと共に用いることによって、本発明者は、慢性副鼻腔炎(CRS)の感染および炎症の両方の側面を制御することができた。本発明者は、自らが特許権を所有する懸濁液製剤において、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の両方の確立されたバイオフィルム並びに真菌類(C.albicans)の確立されたバイオフィルムを排除できることを明らかにした。

最も重要なことには、本発明者は、ポビドンヨード/ブデソニド懸濁液を、患者に嚢胞性線維症に続いて生じた副鼻腔炎に安全に使用できること、および希釈PVP−I/ブデソニド懸濁液を用いた副鼻腔灌注で処置された患者が、主観的および客観的な改善の証拠を有することを明らかにした。Liangらの特許文献1参照。希釈ポビドンヨードとブデソニドの組み合わせは、コネチカット・サイナス・インスティテュート(Connecticut Sinus Institute)で、副鼻腔灌注による慢性難治性鼻副鼻腔炎の治療に用いられている。この治療法の臨床経験の遡及的レビューを実施し、この療法の耐容性および効力を評価した。合計で5名の患者を特定し、この遡及研究に含めた。不耐性が理由で使用を中止した者はいなかった。副作用の報告はなかった。バリデーション済みの副鼻腔転帰試験で評点によって測定したときの、自覚症状の治療後改善の平均値は31であった。治療前培養は、MRSA、腸球菌(Enterococcus)、アシネトバクター(Acenitobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、プロピオニバクテリウム(Propionobacterium)、緑色レンサ球菌(S.viridans)、クレブシェラ(Klebsiella)およびセラチア(Serratia)などの多剤耐性種について、5/5名の患者で陽性であった。治療後培養は、黄色ブドウ球菌、シュードモナスおよび腸球菌についいてのみ、2/5名の患者が陽性であった。

十分に説明されている鼻用ステロイドおよび強力な非毒性多抗菌剤の両方を用いることで、本発明者らが特許権を所有する持続放出性インサイチュゲル形成技術により、症状スコア[検証済み評価ビヒクルの副鼻腔転帰試験−22(Sino−Nasal Outcome Test−22)[SNOT−22]質問票(非特許文献14)によって評価]および細菌学的パラメータ(治療前および治療後培養によって評価)の両方で、CRS罹患患者の改善の長期効果を達成した。

多糖をゲル形成マトリックスとして用いると、本発明の水性医薬組成物は、ポビドンヨードおよびステロイドの両方を持続的に放出する、予想外かつ驚くべき能力を、溶解モデルにおいて示した。予想外かつ驚くべきことに、ポビドンヨードおよび多糖類は、インサイチュゲル形成マトリックスを形成することができ、これは、医薬組成物中のステロイドの安定性を大幅に高め、長期間保存後に沈殿を生じないことも発見された。

驚くべきことに、ステロイドは、本発明の水性医薬組成物への溶解度が予想外に増大することも発見され、これは患者の体内におけるステロイドの生物学的利用度を潜在的に増大する。

本発明のインサイチュゲル形成組成物(ポビドンヨードおよびステロイドを含有する)の最適化により、疑似生理的鼻腔条件下で、感熱性およびイオン感受性のゾル−ゲル転移機構を通じて、インサイチュゲル形成特性を有する予想外に安定な製剤系が得られた。

さらに、本発明の水性製剤は、例えば抗感染性化合物の眼構造体への滴下および浸透増強に関連する疼痛の排除のために、希薄局所麻酔薬の添加によって、より有効になり得る。したがって、本発明の水性製剤は、術後患者における感染および/または炎症の予防においても有効である。

本明細書で使用するとき、「水性医薬組成物」という用語は、当該組成物が、媒体として主に(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%(体積/体積)の)水を含有するが、エタノールのようなその他の薬学的に許容可能な溶媒を含んでも含まなくてもよく、かつ当該組成物は、疾患の臨床症状を低減または排除することによって治療効果を誘発することを意図する。

本明細書で使用するとき、「被験体」という用語は、哺乳動物を意味し、ヒトおよび非ヒトを含む。

本明細書で使用するとき、「ゲル」という用語は、軟性で脆弱なものから硬質で頑丈なものまでにわたる特性を有することができ、定常状態では流動を示さない半固体または固体ゼリー状材料を指す。

本明細書で使用するとき、「消毒剤」という用語は、感染症状を排除または低減する効果を有する治療剤を指す。

本明細書で使用するとき、「多糖」という用語は、グリコシド結合によって一緒に結合された単糖単位の長い鎖から成り、加水分解により構成単糖またはオリゴ糖を与えるポリマー炭水化物分子を指す。多糖は、天然でも合成でもあり得、構造は線状から高度分岐まで及ぶ。例としては、デンプンおよびグリコーゲンなどの貯蔵多糖類、並びにセルロースおよびキチンなどの構造多糖類が挙げられる。

本明細書で使用するとき、「生体適合性」という用語は、温度、またはイオン強度などの特定の状況において適切な宿主応答で機能する材料の能力を指す。

本明細書で使用するとき、「1つの」(「a」または「an」)という語は、そのような解釈が反対または無効の意味を生じない限り、複数形の名詞を導入すると解釈することができる。さらに、「1つの」(「a」または「an」)という語は、「任意の」を意味すると解釈することができる。

本明細書で使用するとき、「または」という語(work)は、そのような解釈が反対または無効の意味を生じない限り、「および」も意味するものとする。

異なる組成物の粘度を示す。

異なる組成物のゲル形成状態を示す。

0.8%のPVP−Iを含有する組成物の物理的状態を示す。

0.5%のPVP−Iを含有し、NaCl濃度が異なる組成物の粘度を示す。

0.8%のPVP−Iを含有し、NaCl濃度が異なる組成物の粘度を示す。

0.1%のNaClと混合する前の、ある時間にわたる組成物1の粘度を示す。

0.15%のNaClと混合する前の、ある時間にわたる組成物2の粘度を示す。

0.2%のNaClと混合する前の、ある時間にわたる組成物3の粘度を示す。

0.1%のNaClと混合した後の、ある時間にわたる組成物1の粘度を示す。

0.15%のNaClと混合した後の、ある時間にわたる組成物2の粘度を示す。

0.2%のNaClと混合した後の、ある時間にわたる組成物3の粘度を示す。

異なる組成物の鼻腔残留率の分布−時間曲線を示す。

各種のガンマカメラ分布結果を示す。

累積放出曲線を示す。

本発明は、患者の副鼻腔症状を治療するための、消毒剤、ステロイド、および生体適合性(および環境感受性)多糖を含む水性医薬組成物を提供し、当該組成物は、被験者の副鼻腔内に点滴注入されるとインサイチュでゲルを形成(またはゲルに変換)する。

本発明の組成物に含有される消毒剤は、PVP−Iまたはクロルヘキシジンであってもよい。消毒剤(例えば、PVP−Iまたはクロルヘキシジン)の濃度は、0.1%〜5%(w/wまたはw/v)、0.3%〜1%(w/wまたはw/v)、または0.2%〜0.6%(w/wまたはw/v)の範囲であってもよい。本発明に好適なクロルヘキシジンの例は、クロルヘキシジンジグルコン酸塩であり、その組成物中の濃度は、0.02%〜2%(w/wまたはw/v)、0.02%〜0.5%(w/wまたはw/v)、または0.02%〜0.2%(w/wまたはw/v)の範囲である。

本発明の組成物に含有されるステロイドとしては、モメタゾン、フルチカゾン、若しくはブデソニド、またはそれらの塩、エステル、若しくは任意の組み合わせが挙げられる。本発明の組成物に好適なステロイドの例としては、微紛化ブデソニド、微紛化プロピオン酸フルチカゾン、または微紛化モメタゾンが挙げられ、その組成物中の濃度は0.02%〜0.1%(w/wまたはw/v)の範囲である。

本発明の組成物に含有される多糖としては、脱アセチル化ジェランガム(DGG)、キサンタン、アルギン酸ナトリウム、およびカラギーナン、またはそれらの任意の混合物が挙げられる。脱アセチル化ジェランガムが好ましい場合があり、その濃度は、組成物中に0.1%〜1%(w/w)−例えば、0.3%〜0.5%(w/w)である。

本発明の水性医薬組成物は、浸透圧調整剤、界面活性剤、粘度上昇剤、pH調整剤、冷却剤またはそれらの組み合わせを更に含んでもよい。

本発明の組成物に含有される浸透圧調整剤としては、塩化ナトリウム、グリセロール、ポリエチレングリコール400(PEG400)、マンニトール、またはホウ酸塩が挙げられ、その濃度は0.1〜0.9%(w/v)または0.2〜0.4%(w/v)の範囲である。

本発明の組成物に好適な界面活性剤の例としては、ポリソルベート−20、ポリソルベート−60、ポリソルベート−80、ポリオキシエチレン界面活性剤、ポリオキシプロピレン(polyxoypropylene)界面活性剤、グリセリン、シクロデキストリン、チロキサポール、PEG35ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル40、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。医薬組成物中の界面活性剤は、0.01重量%〜2重量%の範囲の濃度を有し得る。

本発明の組成物に好適な粘度上昇剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース無水物、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。組成物中の粘度上昇剤の濃度は、0.01重量%〜2重量%の範囲であることができる。

本発明の組成物に含有される好適なpH調整剤の例としては、水酸化ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、塩酸(HCl)、またはリン酸が挙げられ、4.0〜7.0の範囲、または4.0〜6.0の範囲のpHが得られる。

本発明の別の態様は、それを必要とする患者の副鼻腔に、本発明の水性医薬組成物を投与することを含む、被験体(患者)の気道の臨床症状を治療するための方法を提供し、当該組成物は、消毒剤化合物、ステロイド、および生体適合性多糖を含み、かつ被験体の副鼻腔内に点滴注入されるとインサイチュでゲルを形成できる。

いくつかの実施形態では、副鼻腔症状は、炎症、感染、バイオフィルムの形成、鼻副鼻腔炎、鬱血、疼痛、圧力、疲労、または濃厚な鼻汁である。

いくつかのその他の実施形態では、気道は、副鼻腔、鼻、または肺である。

更にいくつかの他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、洗浄ボトル、定量、手動ポンプスプレー、計量、または霧化スプレーポンプによって被験者に投与される。

さらに別の態様では、本発明は、嚢胞性線維症患者の肺状態を改善する方法を提供し、当該方法は、患者の副鼻腔を本発明の水性医薬組成物で洗浄することを含み、当該組成物は、消毒剤化合物、ステロイド、および生体適合性多糖を含み、かつ被験体の副鼻腔内に点滴注入されるとインサイチュでゲルを形成できる。

いくつかの実施形態では、患者に投与される医薬組成物の用量は、約10mcg〜約300mcg/日、約20mcg〜約200mcg/日、約30mcg〜約100mcg/日、または噴霧1回につき約50mcgで、1日に1つの鼻孔につき2回の噴霧である。

本発明を、具体的な実施例を用いてさらに説明する。これらの実施例は、発明を記載するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。下記の実施例で特定の条件が示されていない実験方法は、通常、文献の従来条件下で、または賦形剤製造業者が示唆した条件に従って、調製される。特記のない限り、本発明のすべての百分率、比、割合または比率は、重量/重量で計算されている。本発明で特記のない限り、本明細書に使用される専門用語および科学用語は、熟練者に周知であると考えられる意味と同じ意味を有する。さらに、本発明に記録された任意の方法および材料に類似のまたは同等の方法および材料を、本発明に適用することができる。本明細書に記載の好ましい実施形態および材料は、例示のみの目的で使用される。

ポビドンヨードおよびブデソニドを含有する本発明の組成物を、鼻腔内における組成物の滞留時間を延長できる多糖類などのイオン感受性インサイチュゲル形成材料を1種以上用いて製剤化した。25℃で疑似鼻汁(SNF)添加の前後、および疑似鼻汁添加後の生理的条件下(34℃−SNF)において、組成物の粘度とゲルマトリックスの濃度の関係を調べることによって、ポビドンヨードおよびブデソニドを用いて組成を最適化した。ゲル形成マトリックスは、SNFの添加後の34℃における粘度が、SNF添加前の25℃における粘度よりも高いことが必要である。このようなゲルマトリックスのみが、インサイチュでゲルを形成する可能性を持ち得る。

実施例1 製剤中の好適なPVP−I濃度のスクリーニング 0.064%(w/w)のブデソニドおよび0.25%(w/w)のNaClが組成物に含まれ、ジェランガム濃度はそれぞれ0.1%、0.3%、0.5%(w/w)であり、PVP−I濃度はそれぞれ0.2%、0.5%、0.8%、1.0%(w/w)に設定した。異なる濃度のジェランガムおよびPVP−Iを別々に混合して、本発明の組成物の基本特性を調査した。

高剪断速度(100/s)で25℃、および低剪断速度(0.1/s)で34℃において、疑似鼻汁(SNF)と混合する前および後の試料粘度を調べた。これは、試料が鼻腔内に噴霧され、薬剤が疑似鼻汁と接触する前後での粘度の変化をシミュレートするため、並びに試料の噴霧能力および疑似鼻汁と混合されたときのゲル形成能力を比較するために実施した。低剪断速度(0.1/s)、34℃でSNFと混合した後の試料粘度と、高剪断速度(100/s)、25℃の試料粘度との差を、Δη1(Pa・s)と表示し;低剪断速度(0.1/s)、34℃でSNFと混合した後の試料粘度と、低剪断速度(0.1/s)、34℃の資料粘度との差を、Δη2(Pa・s)と表示した。

実験結果を表3および表4に示し、表3のデータに基づいて図1を作成した。具体的には、図1は異なる組成物の粘度を示す。図1、A、B、Cは、それぞれDGG0.1%、DGG0.3%、DGG0.5%の組成物の粘度を示し、A、B、Cにおいて、黒、灰色、および薄灰色は、それぞれ高剪断速度(100/s)で25℃、低剪断速度(0.1/s)で34℃の混合前、および低剪断速度(0.1/s)で34℃の混合後を表す。D、E、Fは、それぞれ、0.1%のDGG、0.3%のDGG、0.5%のDGGを有する組成物の粘度(Δη1値)を示す。

疑似鼻汁(SNF)を添加する前と後の粘度変化および試料特性を比較することで、PVP−Iは、確かに、疑似鼻汁(SNF)との混合の前後で試料粘度を改善したと判断できる。以下の実施例では、組成物中の適切なPVP−I濃度として0.5%および0.8%を選択したが、これらの2種類の組成物の粘度は、疑似鼻汁(SNF)添加後に低下した。したがって試料粘度を最適化するためにNaCl濃度を変更することが必要であった。粘度変化に基づき、斜体で記載された組成物はインサイチュでゲルを形成しないことから除外し、太字の組成物は、潜在的に良好なインサイチュゲル形成組成物であることから、好ましい組成物である。

実施例2 製剤中のDGGおよびNaCl量の配合スクリーニング 秤量した微粉化ブデソニドおよびグリセリンを十分に混合し、2%PVP−I溶液および純水を、ジェランガム重量を除く試料の全量に加えた。1%ジェランガム溶液を、撹拌下で全量に加えた。トロメタミンおよび塩酸を用いて、pHを4〜5.5に調整した。各群の母液を、表5に示す組成に従って(NaClなし)で調製し、異なる濃度のNaCl溶液50μLを、母液2mLに加えて、組成物中のNaClの最終濃度を0%〜0.6%の範囲にした。NaCl濃度が異なる試料溶液を表6に示す。

高剪断速度(100/s)で25℃および低剪断速度(0.1/s)で34℃においてSNFと混合する前および後の試料粘度を求めた。これは、試料が鼻腔内に噴霧される前後の粘度の変化をシミュレートするため、並び試料噴霧能力およびSNFと接触したときのゲル形成能力を比較するために実施した。低剪断速度(0.1/s)、34℃でSNFと混合した後の試料粘度と、高剪断速度(100/s)、25℃の試料粘度との差を、Δη1(Pa・s)と表示し;低剪断速度(0.1/s)、34℃でSNFと混合した後の試料粘度と、低剪断速度(0.1/s)、34℃の資料粘度との差を、Δη2(Pa・s)と表示した。50μLの試料(SNFと混合する前および後)が、垂直に置いた15mL遠心管の12mLの目盛線から1.5mLの目盛線まで流れる時間を測定した。(太字の組成物は、より好適な製剤を示す)

図2は、DGGの濃度が異なる各種組成物(すべて0.8%のPVP−Iを含有)の、SNFと混合する前および後のゲル形成状態を示す。0.1%のDGGおよび0.3%のDGGを含有する組成物については、図は、左から右へ、0.1%〜0.6%のNaClの結果を示す。0.5%のDGGを含有する組成物については、図は、左から右へ、0.0125〜0.3%のNaClの結果を示す。

図3は、0.8%のPVP−Iを含有する組成物の振とう後の物理的状態を示す(A:DGG0.3%、B:DGG0.5%)。

図4は、0.5%のPVP−Iを含有し、NaCl濃度が異なる組成物の粘度を示す(1は、25℃および100s-1における粘度測定を表し;2は34℃および0.1s-1における粘度測定を表し;3は、SNFと混合した後の、34℃、0.1s-1における粘度測定を表す)。

図5は、0.8%のPVP−Iを含有し、NaCl濃度が異なる組成物の粘度を示す(1は、25℃および100s-1における粘度測定を表し;2は34℃および0.1s-1における粘度測定を表し;3は、SNFと混合した後の、34℃、0.1s-1における粘度測定を表す)。

疑似鼻汁(SNF)と混合する前後の粘度変化および組成物特性を比較することによって、組成物を、表11に記載の配合に従って最適化した。粘度は疑似鼻汁(SNF)の添加後に上昇し、粘度は混合前に適切である。分布実験を行う2つの群を選択する。(太字で標識)

実施例3 組成物−粘度曲線の調査

この研究の目的は、製剤中のNaCl濃度の差が試料のゲル化特性をいかに変えるかを調べることである。

プロセス

1)溶液調製

溶液1(1.0%DGG溶液): 29.7gの超純水を、50mLビーカーに入れた;次いで、0.3gのDGGを、撹拌下のビーカーにゆっくりと添加して、分散させた。次いで、溶液を90℃の水浴に入れ、1時間撹拌して、ジェランガム溶液を十分に膨潤させた。1時間後、撹拌を停止し、ビーカーを水浴から取り出して、撹拌を続けて溶液を室温(25℃)まで冷却した後、撹拌を停止した。この溶液を、溶液1と表示した。

溶液2(2%ポビドンヨード水溶液): 溶液1の冷却を開始したときに、2%ポビドンヨード水溶液を調製する必要がある。

39.2gの超純水を50mLビーカーに入れ、ビーカーを磁気撹拌機の上に置いて、一定速度で撹拌を開始した。更に、0.8gのポビドンヨードを撹拌下のビーカーにゆっくりと添加し、一定速度で約10分間撹拌した。この溶液を、溶液2と表示した。

溶液3 微粉化ブデソニド0.064g、グリセリン2.3gおよび塩化ナトリウム0.1gまたは0.15gまたは0.20gを、すべて100mLビーカーに入れ、十分に撹拌して溶液3を得た。

溶液4 溶液2を、撹拌下で溶液3にゆっくりと添加した。均一に分散した後、25gの超純水を加え、十分に混合されるまで撹拌した。次に、冷却した溶液1を加え、十分に混合されるまで撹拌した。次に、0.5M Tris水溶液を用いてpHを4〜5.5に調整し、十分に混合し、総重量が100gになるまで超純水を加えて、最終溶液として使用する。

試験方法: 1.1試験条件: 1.1.1 SNFと混合する前の試験条件:初期温度:25℃、昇温速度:2℃/分、最終温度:34℃;剪断速度:0.1/s;ギャップ:1000μm 1.1.2 SNFと混合した後の試験条件:一定温度:34℃;剪断速度:0.1/s;ギャップ:1000μm

結果: 下の表13の結果のまとめに加えて、図6〜11にも、様々な組成物の、NaCl溶液と混合する前または後の、ある時間にわたる粘度変化を示す。具体的には、図6は、0.1%のNaClと混合する前の、ある時間にわたる組成物1の粘度を示し;図7は、0.15%のNaClと混合する前の、ある時間にわたる組成物2の粘度を示し;図8は、0.2%のNaClと混合する前の、ある時間にわたる組成物3の粘度を示し;図9は、0.1%のNaClと混合した後の、ある時間にわたる組成物1の粘度を示し;図10は、0.15%のNaClと混合した後の、ある時間にわたる組成物2の粘度を示し;図11は、0.2%のNaClと混合した後の、ある時間にわたる組成物3の粘度を示す。

結論 0.1%NaClおよび0.15%NaClを用いた組成物は、混合前の溶液粘度曲線で、ゆっくりと低下する傾向を示した。この現象は、DGGの特性と一致し、温度上昇につれて粘度が低下する。0.2%NaClを用いた組成物はこの現象を示さず、温度上昇につれて粘度も上昇する。したがって、0.2%NaClを用いた組成物は、インサイチュゲル形成組成物として本特許発明の1つとみなすことができる。驚くべきことに、組成物は、イオン感受性および温度感受性のいずれでもあることも発見された。

0.15%のNaClを含有する組成物の混合前(約34℃)および混合後の粘度データは、2.55655Pa.sから12.3283Pa.sへの突然の粘度上昇を示し、これはゲル形成の可能性を意味する。0.2%NaCl組成物の混合前(約34℃)および混合後の粘度データは、8.73697Pa.sから9.85096へのわずかな粘度上昇を示す。換言すれば、混合後に、0.15%のNaClを含有する組成物の最終粘度は、0.2%NaCl製剤の最終粘度よりもわずかに高かった。しかし、これら2種類の製剤の最終粘度は、比較的高く、持続放出要件に適合し得る。

実施例4:PVP−I、プロピオン酸フルチカゾン懸濁液、1.0mgの調製 PVP−I濃度が約0.8重量%以上の範囲のブデソニド懸濁液を、本明細書に記載のように調製した。非限定例として、組成物を、約0.8%のPVP−Iを用いて調製し、微粉化プロピオン酸フルチカゾン(0.064%)、グリセリン(2.3%)、DGG(0.25%)、塩化ナトリウム(0.2%)、および純水と合わせ;トロメタミン/HClを添加して、pHを標的である4〜6の範囲に調整した。この等張混合物を、1日で完全に投与する場合、1.0mgのプロピオン酸フルチカゾンを全日間用量として、副鼻腔スプレーにより送達した。

実施例5:PVP−I、モメタゾン懸濁液、1.0mgの調製 PVP−I濃度が約0.8重量%以上の範囲のブデソニド懸濁液を、本明細書に記載のように調製した。非限定例として、組成物を、約0.8%のPVP−I製品を用いて調製し、微粉化モメタゾン0.064%、グリセリン2.3%、DGG0.25%、塩化ナトリウム0.2%、および純水と合わせ;トロメタミン/HClを添加して、pHを標的である4〜6に調節した。この等張混合物を、1日で完全に投与する場合、1.0mgのプロピオン酸フルチカゾンを全日間用量として、副鼻腔スプレーにより送達した。

実施例6:PVP−I防腐ステロイド溶液の抗菌活性 非限定例では、PVP−I防腐ステロイド溶液を、実施例1〜5に記載の方法に従って調製した。これらの溶液を、次いで、インビトロ微生物活性について試験した。微生物活性は、例えば、口内に存在する細菌(P.ジンジバリス(P.gingivalis)に対して、またはその他の細菌に対して、試験することができる。別の実施例では、死滅時間試験を、ゲンタマイシン耐性緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、大腸菌(E.coli)、クラミジア・トラコーマなどの一連のグラム陰性およびグラム陽性生物、並びにアデノウイルスおよびライノウイルスなどの選択されたウイルスの対数期培養を用いて実施した。使用した対照は、市販の抗微生物製品のステロイド調剤を含み得る。細菌試料を、30秒、1、2、5、10および15分で採取し、ヨウ素不活性化剤を含有する培地に移した。同様に、ウイルス死滅時間試験は、1分間で試料採取し、不活性化培地に移した。実験試料で得られた結果を、対照試料と比較して、本発明の組成物の抗菌活性レベルを評価した。

実施例7:鼻用ステロイド調剤におけるPVP−Iの抗微生物防腐剤有効性試験 非限定例では、PVP−I防腐ステロイド溶液を、実施例1〜5に記載の方法に従って調製した。次いで、これらの溶液の防腐剤有効性を、米国薬局方(United States Pharmacopeia)、総則(General Chapter)51に記載の標準手順に従って試験した。実施例1〜5で調製したヨードフォア防腐剤を、同じく米国薬局方総則51の記載に従って、防腐剤有効性のすべての要件を満足する方法で用いた。

実施例8:クロルヘキシジン持続放出性インサイチュゲル形成製剤 インサイチュゲル形成クロルヘキシジングルコン酸塩組成物は、1つ以上のイオン活性化インサイチュゲル形成材料を用いて製剤化できる。ポリマーインサイチュゲル形成剤には、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、多糖ゲル、Gelrite(登録商標)、アルギン酸塩、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロースポリマー、およびアクリル酸のポリマーまたはコポリマーなどのカルボキシ含有ポリマー、並びに他のポリマー粘滑剤が含まれ得るが、これらに限定されない。1種以上のインサイチュゲル形成剤を組成物において選択することができる。好ましいポリマーインサイチュゲル形成剤は、脱アセチル化ジェランガム(Gelrite(登録商標))であり得る。

実施例9:放射性分布実験 表13に従って、微粉化ブデソニドおよびグリセリンを十分に混合し、この混合物にジェランガム、次いで純水を添加して、2mLの製剤を調製した。60μLの放射性PVP−I125(2mg/mL)を、90μLのPVP−I非含有試料に加え、ピペット操作により混合して、本発明の放射性組成物を調製した。

SDラット(約160g)に、麻酔のため、2%ペントバルビタール400μLを筋肉注射した。このようにして作製した放射性組成物10μLを、右鼻孔内に投与し、放射性核種I125分布を、投与から0、0.5、1、2、3、4、5、6、8時間後にガンマカメラで撮影し、10μLの試料を用いて較正した。

ガンマカメラ定量的結果:試料群および対照群のI125鼻腔残留率を計算し、結果を表15に示した。図12は、表15のデータから作成したものであり、試料および対照群のI125鼻腔残留率分布−時間曲線を示す(統計的結果:0.1%DGGおよび対照、**、P<0.01;0.3%DGGおよび対照、***、P<0.001)。

図13は、ガンマカメラ分布結果を示し、図中、1,2、および3はそれぞれ、組成物1、2、および3を表す。3群において、第2のラットでは、明らかなシグナルは認められず、これは一部の組成物が噴出すること、および組成物を投与したときに流動性が高すぎて滞留せず、直接飲み込まれることに起因すると考えられる。

遡及的I125鼻腔分布研究は、ラット鼻腔滞留能力は、DGG0.3%の群>DGG0.1%の群>DGGなしの群であったことを示す。この結果は統計的に差があった。したがって、0.3%のDGGを有する組成物は、0.1%のDGGを有する組成物よりも優れており、これを放出実験に使用した。

実施例10:インビトロ溶解実験 4mLの本発明の組成物(0.3%のDGG、0.2%のNaCl、および0.8%のPVP−Iを含有)を、14KDa透析バッグに入れて、34.5℃に予め加温した100mLのSNFに入れた。組成物を水浴振とう器で100rpmで振とうした。特定の時点(0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6時間)で50mLの放出媒体を取り出し、同量の放出媒体(34.5℃に予め加温)を速やかに添加した。チオ硫酸ナトリウム滴定(0.01M)によって利用可能なヨウ素濃度を求め、滴定終点で消費されたチオ硫酸ナトリウム溶液の体積を用いて、その累積放出量を計算した(n=3)。累積放出試験結果を、以下に表16として示す。図14は、表16のデータを累積放出曲線として示す。

結果は、0.3%のDGGを含有する組成物の放出速度は、対照群よりも遅いことを示した。当該組成物は、持続放出効果も有し、6時間継続的に放出した。

組成物の最適化 試料調製プロセス:表16に記載の組成に従い、微粉化ブデソニドおよびグリセリンを十分に混合し、次いで、2%PVP−I溶液およびNaClを当該混合物に添加した後、ジェランガムを含まない混合物に純水を添加した。次いで、1%ジェランガム溶液を撹拌下で混合物に加えた後、組成物のpHをトロメタミンおよび塩酸を用いて4〜5.5の範囲に調整した。表17に、最終組成を示す。

実施例11 安定性研究 上記の調製方法に従って500gの試料溶液を調製し、1本につき10gずつ50本の瓶に分けた。次いで、瓶を、25±2℃、RH60%±5%の恒温恒湿室に置き、安全性試験の時間点として0日、3日、7日および10日を設定した。表18に、試験結果を記載する。

結果は、この試験に使用した組成物には塊があったこと、PVP−Iおよびブデソニドは組成物中で非常に安定であったこと、および組成物は4.60のpHレベルで10日間を超える試験期間にわたって非常に安定であったことを示す。

実施例12:インビトロ抗菌および抗真菌性バイオフィルム研究 黄色ブドウ球菌、緑膿菌、およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の確立されたバイオフィルムに対する本発明の組成物のインビトロ効果を研究するため、これらのバイオフィルムを、別々の円錐管内の固体表面に、所望の生物を接種したトリプシンソイブロスまたはサブローデキストロース寒天から展開させた。インキュベーションの後、バイオフィルムを回収し、計数した。各固体表面バイオフィルムに、次いで、本発明の組成物または滅菌生理食塩水の対照を負荷した。中和後、すべての試料を回収し、計数した。処置したバイオフィルムから回収した緑膿菌および黄色ブドウ球菌の生菌中の滅菌生理食塩水対照に対する平均曝露後対数減少、および処置したバイオフィルムから回収したC.アルビカンスの生菌中の滅菌生理食塩水対照に対する平均曝露後対数減少は、真菌類(C.アルビカンス)並びに黄色ブドウ球菌および緑膿菌のいずれの細菌についても、確立されたバイオフィルムを排除するインビトロ研究において、本発明の組成物で10分後に、少なくとも3logの減少(99.9%超が死滅)が測定された。

実施例13:抗菌性研究 本発明の組成物、標識薬剤(ブデソニド鼻用スプレー(AstraZeneca plc、バッチ:VAXA)および自作の対照用ブランクマトリックス。 1.試験試料の調製 2.1、本発明の組成物関する実施例3のプロセスに従う。 2.2、自作の対照用の薬剤非含有マトリックス

溶液1(1%DGG溶液): 29.7gの超純水を、50mLビーカーに入れ、次いで、0.3gのDGGを加えた。DGGは、撹拌下のビーカーにゆっくりと添加して、分散させた。次いで、溶液を90℃の水浴に入れ、1時間撹拌して、ジェランガム溶液を十分に膨潤させた。1時間後、撹拌を停止し、ビーカーを水浴から取り出して、撹拌を再開して溶液を室温(25°C)まで冷却した後、撹拌を停止した。この溶液を、溶液1として使用した。

溶液2: 2.3gのグリセリンおよび0.20gの塩化ナトリウムを100mLビーカーに入れ、十分に混合して溶液2を得た。

溶液3: 40gの超純水を、撹拌下でゆっくりと溶液2に添加した。均一に分散した後、更に25gの超純水を添加し、十分に混ざるまで混合物を撹拌した。冷却した溶液1を加え、十分に混ざるまで混合物を撹拌した。特定量の0.5M Tris水溶液を加え、十分に混合した後、最終総重量が100gになるまで超純水を加えた。得られた溶液を、試験の最終溶液として使用した。

3.試験方法および結果

3.1 試験方法 抗菌効力試験は、中国薬局方(Pharmacopoeia of People’s Republic of China)2015年版、第4巻、総則(General Rule)1121に従って実施し、これを参照により本明細書に援用する。試験工程を、下表に記載する:

結果:

黄色ブドウ球菌:上記の本発明の組成物、先発医薬品、および薬剤非含有ブランクマトリックスを接種した後、3つのバイオフィルム試料の初期濃度は、すべて1.06×107cfu/mLであった。抗菌効力試験の2日目に、各群から試料を採取して、上記試験方法に従って検査した。各試料の細菌数は、試験した本発明の組成物で処理した群は10cfu/mL未満であり、先発医薬品で処理した群は60cfu/mLであり、薬剤非含有ブランクマトリックスについては計数不可で、lg減少値は、それぞれ7.0、5.2、および0であった。結果は、試験した本発明の組成物および先発医薬品はいずれも、強力な抗菌効力を有したことから、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が認められることを示すが、試験した本発明の組成物は、先発医薬品よりもはるかに強力かつ有効であり、薬剤非含有ブランクマトリックスは、黄色ブドウ球菌に対して抑制効果がなかった。

表19 黄色ブドウ球菌

緑膿菌:本発明の試験組成物、先発医薬品、および薬剤非含有ブランクマトリックスを接種した後、3つのバイオフィルム試料の初期濃度は、すべて0.74×107cfu/mLであった。抗菌効力試験の2日目に、各バイオフィルムの試料を採取して、上記試験方法に従って検査した。各バイオフィルム試料の細菌数は、組成物で処理した試料は20cfu/mLであり、先発医薬品で処理した試料は10cfu/mLであり、薬剤非含有ブランクマトリックスについては計数不可で、lg減少値は、それぞれ5.6、5.9、および0であった。結果は、本発明の試験組成物および先発医薬品はいずれも、強力な抗菌効力を有したことから、緑濃菌に対する抗菌活性が認められることを示し、本発明の試験組成物の方が抗菌効果が強く、薬剤非含有ブランクマトリックスは、緑膿菌に対して抑制効果がなかった。

実施例14:沈降比試験 1.方法

1)試料溶液調製 実施例3のプロセスを参照

2)対照溶液調製(DGGなし)

溶液1(2%ポビドンヨード水溶液) 39.2gの超純水を50mLビーカーに入れ、ビーカーを磁気撹拌機の上に置いて、一定速度で撹拌した。次いで、0.8gのポビドンヨードを、一定の撹拌速度で約10分間撹拌しながら、ゆっくりとビーカーに加えた。この溶液を、溶液1として使用した。

溶液2: 0.064gの微紛化ブデソニド、2.3gのグリセリンおよび0.20gの塩化ナトリウムをすべて100mLビーカーに入れ、十分に混合して溶液2を得た。

溶液3: 溶液1を溶液2にゆっくりと加え、均一に分散するまで撹拌した。次いで、55gの超純水を混合物に加え、十分に混ざるまで撹拌した。0.5M Tris水溶液を用いてpHを4〜5.5の範囲の標的に調節し、混合物を十分に混合した後、総重量が100gに達するまで超純水を添加した。この溶液を、最終溶液として使用した。

データ: 中国薬局方、2015年版、第4巻、総則0105(これを参照により本願に援用する)に定められた沈降比試験方法を、本明細書の試験に用いた。

沈降比:懸濁点眼液(微粉末を含有する点眼液を除く)を下記の方法によって検査した、沈降比は0.90未満であってはならない。

検査プロトコル:特記のない限り、50mLの試験試料を、密栓された混合シリンダーに回収し、試料を1分間激しく振とうした。懸濁液の出発高さ(HO)を測定し、懸濁液を3時間静置した後、懸濁液の最終高さHを記録した。沈降比(H/HO)は以下のように計算した:

結果および結論

結論:試料バイオフィルム溶液は、24時間後にほとんど沈降を示さなかった。これは、薬局方で規定された限度よりもはるかに長く、系の物理的安定性が非常に良好であったことを示す;DGGを含まないブランク対照は、3時間後にほとんどがシリンダーの底に沈んだ。沈降比は0.90未満であり、薬局方に定められた限度に達しなかった。これは、試料溶液製剤が沈降比の要件に適合し、薬局方に定められた限度よりもはるかに高かったことを示す。安定性サイクルが長いことで、溶液系の物理的安定性が大幅に向上した。

実施例15:その他のゲルマトリックスのスクリーニング 1.実験プロセス 特定量の塩化ナトリウムを、85gの超純水に、撹拌下でゆっくりと、かつ均一に添加し、溶解するまで撹拌した。次いで、ゲル形成剤を、溶液に撹拌下でゆっくりと、かつ均一に添加し、溶解するまで撹拌した。次いで、溶液を90℃の水浴に入れ、1時間撹拌して、十分に膨潤させた。次いで、溶液を室温まで冷却した。溶液を撹拌しながら、ポビドンヨードをゆっくりと添加し、完全に溶解させた。Tris−HCl水溶液(0.5mol/L)を溶液に加えて、pHを約5.5に調整し、次いで溶液を均一に撹拌した後、水を加えて総重量を100gとした。

2.試験結果を下の表に要約する。

アルギン酸ナトリウムの結果

キサンタンの結果

カラギーナンの結果

3.結果および結論 これら3種のゲルマトリックスのうち、相転移特性を示したものはなく、その粘度はあまり増加せず、懸濁液の物理的安定性の改善を満たすことはできなかった。いずれも、ゲル持続放出の効果を達成しなかった。

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