【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、放射線硬化により被膜及び成形体を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ラジカル又はカチオン重合可能な化合物の放射線硬化は、広く知られている。 アクリレート化合物の放射線硬化は、特に工業的に重要性を獲得しているが、アクリレート化合物を用いると、光重合が酸素により抑制される重要な問題が存在する。 【0003】カチオン光重合を用いると、酸素抑制の問題は起こらないので、カチオン重合可能な化合物を、ラジカル重合可能な化合物に代えることができればよい。 しかしながら、前記ラジカル重合可能な化合物を用いて得られると同様に良好な生成被膜又は成形体の使用特性を有して、ラジカル重合可能な化合物、殊にアクリレート化合物の硬化速度に匹敵する硬化速度であることが要求される。 【0004】欧州特許(EP−A)123912号明細書は、放射線硬化のためのカチオン重合可能な環状ビニルエーテルとしてジヒドロフランを記載している。 しかしながら、その硬化速度、即ち放射線硬化の過程における反応性は全く不充分である。 【0005】ジヒドロフラン及びその熱的なカチオン重合は、例えばPolymer Bulletin 28 (1992)117〜122から自体公知である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の一つの目的は、酸素阻害が全く又は殆ど起こらず、使用された化合物の反応性ができるだけ高く、生じる被膜及び成形体の使用特性が満足できる方法で、放射線硬化により被膜又は成形体を製造する方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】この目的は、少なくとも1個のカチオン重合可能な2,3−ジヒドロフラン基本構造を有する化合物A)を、カチオン重合可能な及び場合によってはラジカル重合可能な化合物の全量に対して1〜100重量%の量で含有する放射線硬化可能な組成物を照射するために、高エネルギー光を使用することよりなる、放射線硬化により被膜又は成形体を製造する方法により達成されることが判明した。 【0008】このような方法に好適な放射線硬化可能な組成物も見つけた。 【0009】化合物A)は、有利に1〜6個のカチオン重合可能な2,3−ジヒドロフラン基本構造を有する化合物である。 この化合物A)の分子量は、有利に500 0g/モル以下、特に有利に1000g/モル以下である。 【0010】比較的高分子量の化合物A)は、特に、ポリマー類似反応を用いて、2,3−ジヒドロフラン又はその誘導体をポリマーに結合させることにより得ることができる。 【0011】特に好適な化合物Aには、少なくとも1個の次の基を有するものが包含される: 【0012】 【化1】 【0013】[式中、R'はH、炭素数1〜20の有機基、特にC 1 〜C 20 −脂肪族基又はC 5 〜C 20 −アリール、−アルカリール又は−アラルキルである]。 【0014】1個のジヒドロフラン基本構造を有する好適な化合物A)の例は、式(I): 【0015】 【化2】 【0016】[式中、相互に独立して、R 1及びR 2は、 【0017】 【化3】 【0018】1個以上のカルボニル又はエーテル基を有し又は有さず、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてよい炭素数1〜20の芳香族又は脂肪族炭化水素基、又はSiR' 3であり、R 3は、H、C 1 〜C 20 −アルキル又はC 1 〜C 20 −アルコキシであり、R 4 は、H、C 1 〜C 20 −アルキル又はC 5 〜C 20 −アリール、−アラルキル又は−アルカリール又はC 1 〜C 20 −ヒドロキシアルキルであるか、又は、R 3とR 4 又はR 1とR 2は、それぞれ対として一緒になって、合計4〜5個の炭素を有する環(ジヒドロフラン基本構造の環原子を包含する)を形成し、これは、エーテル基を含有してよく、ヒドロキシル、カルボキシル又はアミノで置換されていてもよい]のものである。 【0019】式Iの有利な化合物は、式中のR 1 、R 2 が 【0020】 【化4】 【0021】C 1 〜C 20 −ヒドロキシアルキル、C 1 〜C 20 −アルキル又はC 5 〜C 10 −アリールであり、R 3がHであり、R 4がH、C 1 〜C 20 −アルキル又はC 1 〜C 20 −ヒドロキシアルキルであるものである。 【0022】R 1 、R 3およびR 4がHであり、R 2が前記のように定義され、特にH、CH 2 OH、C 1 〜C 20 −アルキル又はフェニルであるものが特に有利である。 【0023】式Iの化合物の例は、次の構造式で表される: 【0024】 【化5】 【0025】特に次式の化合物Iも挙げられる: 【0026】 【化6】 【0027】[式中、R”は、炭素数20までの炭化水素基、殊にC 1 〜C 10 −アルキル、フェニル又はベンジルである]。 【0028】2個以上の2,3−ジヒドロフラン基本構造を有する好適な化合物A)の例は、次式: 【0029】 【化7】 【0030】[式中、Xは単結合又は 【0031】 【化8】 【0032】から選択された2価の基であり、ここで、 Zは単結合、C 1 〜C 10 −アルキレン又はフェニレンである]のものである。 【0033】R 1 〜R 4及びR'は、前記のように定義されるが、R 1 〜R 4の1個は、排除されて(2個以上の2,3−ジヒドロフラン基本構造を有する化合物中では、R 2が排除されているのが有利である)、Z又はX で代えられている。 【0034】最も簡単な場合には、例えばX及びZは単結合であり、R 1 、R 3及びR 4はHであり、R 2は排除されていて次の構造式を生じる: 【0035】 【化9】 【0036】2個以上の2,3−ジヒドロフラン基本構造を有する他の好適な化合物は、式: 【0037】 【化10】 【0038】[式中、R 1 、R 2 、R 3 、R 4及びXは前記のように定義され、R 1 〜R 4の1個は排除されてX又はZへの結合で代えられており、nは2〜20、有利に2〜6、特に有利に2又は3であり、R 5は相応して、炭素原子数1〜20の多価の炭化水素基、殊にエーテル又はエステル基を有するか又は有しないC 1 〜C 20 −アルキル又はC 5 〜C 20 −アリール、アルカリール又はアラルキルである]のものである。 【0039】2個以上の2,3−ジヒドロフラン基本構造を有する化合物は、例えば、ヒドロキシ−官能化された2,3−ジヒドロフランと多官能性のカルボン酸、イソシアネート、エポキシド、グリシジルエーテル及び/ 又はクロロホルメートとの反応により、又はカルボキシ官能化された2,3−ジヒドロフランと多官能性のアルコール、アミン、エポキシド、グリシジルエーテル及び/又はヒドラジンとの反応により得ることができる。 【0040】式中のn=2である式IIIaの有利な化合物は、例えば相応するヒドロキシ−置換された2,3 −ジヒドロフランをジカルボン酸、ジカルボン酸エステル又はジカルボニルクロリドでエステル化することにより得られる 【0041】 【化11】 【0042】相応するカルボキシ置換された2,3−ジヒドロフランをジオールでエステル化することにより得られる 【0043】 【化12】 【0044】相応するヒドロキシル置換された2,3− ジヒドロフランとジイソシアネートとの反応により得られる 【0045】 【化13】 【0046】相応するヒドロキシル置換された2,3− ジヒドロフランとジオールのクロロホルミックエステルとの反応により得られる 【0047】 【化14】 【0048】相応するカルボキシル−置換された2,3 −ジヒドロフラン誘導体とジアミン化合物との反応により得られる 【0049】 【化15】 【0050】相応するヒドロキシル−置換された2,3 −ジヒドロフランと多官能性のグリシジルエーテルとの反応により得られる 【0051】 【化16】 【0052】相応するカルボキシル−置換された2,3 −ジヒドロフランと多官能性グリシジルエーテルとの反応により得られる 【0053】 【化17】 【0054】相応するヒドロキシル−置換された2,3 −ジヒドロフランと多官能性エポキシドとの反応により得られる 【0055】 【化18】 【0056】(ここで、R”'=R')及び相応するカルボキシル−置換された2,3−ジヒドロフランと多官能性エポキシドとの反応により得られる 【0057】 【化19】 【0058】である。 【0059】式IIIbの有利な化合物は、 【0060】 【化20】 【0061】である。 【0062】式中のnが>2である式IIIの有利な化合物は、例えばグリセロール、トリメチロールエタン又はトリメチロールプロパンと 【0063】 【化21】 【0064】との反応により得られる 【0065】 【化22】 【0066】(ここで、R””=H、CH 3 、CH 2 C H 3 )、ペンタエリスリットと 【0067】 【化23】 【0068】との反応により得られる 【0069】 【化24】 【0070】n=6:ソルビット(Chemical Abstructs Registry Number 50−70−4)又はジペンタエリスリトールと 【0071】 【化25】 【0072】とのエステル化生成物、n>6:ポリビニルアルコールと 【0073】 【化26】 【0074】とのエステル化生成物である。 【0075】前記の式IIa、IIb、IIIa及びI IIb中で、基R 2は排除されてX又はZへの結合で代えられているのが有利である。 【0076】R 1 、R 3及びR 4はHであるのが有利である。 【0077】Xは、 【0078】 【化27】 【0079】であるのが有利である。 【0080】Zは、単結合(従って排除されている)であるか又はメチレン基であるのが有利である。 【0081】R 5は、−(CH 2 ) m −(ここで、m= 1〜6)又は 【0082】 【化28】 【0083】が有利である。 【0084】2,3−ジヒドロフラン又はその誘導体(ここでn=1)の合成は、当業者に公知であり、例えばP. Dimroth,H. Pasedach,Ang ew. Chemie 72(1960)865又はM. A. Gianturco,P. Friedel,V. F lanagan,Tetrahedron Lett. 23(1965)1847に記載されている。 【0085】この新規方法で使用される放射線硬化可能な組成物は、カチオン重合可能な及び場合によって存在するラジカル重合可能な化合物に対して1〜100重量%、有利に5〜100重量%、特に有利に10〜100 重量%の化合物A)を含有する。 【0086】しかしながら、特に、カチオン重合可能な及び場合により存在するラジカル重合可能な化合物の5 0重量%より多くが化合物A)であってよいか、又は重合可能な化合物はもっぱら化合物A)であってよい。 【0087】化合物A)に加えて、他の好適なカチオン重合可能な化合物の例は、特に線状又は環状ビニルエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルオクタデシルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル及びα− メチルビニルアルキルエーテルである。 【0088】化合物A)に加えて、他の好適なカチオン重合可能な化合物は、エポキシド類、例えばシクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エポキシド化されたポリブタジエン、エポキシド化された大豆油、デガクレ(Degacure)K126又はグリシジルエーテル、例えばブタンジオールジグリシジルエーテル、 ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル及びペンタエリスリットジグリシジルエーテルである。 【0089】加えて、カチオン重合可能なモノマー、例えば不飽和アルデヒド及びケトン、ジエン、例えばブタジエン、芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、N−置換ビニルアミン、例えばビニルカルバゾール又は環状エーテル、例えばテトラヒドロフランを使用することができる。 【0090】カチオン重合可能な化合物に加えて、付加的にラジカル重合可能な化合物又はラジカル及びカチオン重合可能な化合物の双方を使用することもできる。 その例は、20までの炭素数を有する芳香族ビニル化合物、20までの炭素数を有するカルボン酸のビニルエステル、特に、例えばR. Holman,U. V. 及びE. B. Curing Formulations f or PrintingInks and Paint s,London 1984に記載のような(メタ)アクリレート化合物である。 【0091】モノアクリレートに加えて、例えばC 1 〜 C 20 −アルキル(メタ)アクリレート、2個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物も特に好適である。 【0092】挙げられる例は、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート又はポリエステル、ポリエーテル、エポキシ又はウレタンアクリレートである。 【0093】2〜6、殊に2〜4個の(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレート化合物が有利である。 このアクリレート化合物の分子量は、有利に5000g /モル以下、特に有利に3000g/モル以下である。 【0094】不飽和ポリエステルもラジカル重合可能な化合物として好適である。 【0095】放射線硬化可能な組成物中のラジカル重合可能な化合物の含有率は、カチオン及びラジカル重合可能な化合物の全量に対して有利に0〜99%、特に有利に0〜70%であり、かつ0〜30%が特別に好適である。 【0096】この放射線硬化可能な組成物は、光重合用の光開始剤を含有するのが有利である。 【0097】光開始剤の全量は、カチオン及び場合によってはラジカル重合可能な化合物の全重量に対して0. 1〜10、特に有利に0.5〜5重量%である。 【0098】カチオン性光重合光開始剤は、UV光で照射される際に、酸を生じ;挙げられるような開始剤の例は、アリールジアゾニウム、アリールヨードニウム又はアリールスルホニウム塩、ジスルホン、ジアゾジスルホン、イミドトリフレート及び次の構造のベンゾイントシレートである: 【0099】 【化29】 【0100】挙げられる更なる例は、p−メトキシベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、トルエンジアゾニウムテトラフルオロアルゼネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルゼネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トルエンスルホニウムヘキサフルオロホスフェート又はデガクレ(De gacure)KI85(ビス[4−ジフェニルスルホニオ−フェニル]スルファイドビスヘキサフルオロホスフェート)、イソキノリニウム塩、フェニルピリジニウム塩又はピコリニウム塩、例えばN−エトキシイソキノリニウムヘキサフルオロホスフェート、N−エトキシ− 4−フェニルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート又はN−エトキシ−2−ピコリニウムヘキサフルオロホスフェートである。 フェロセニウム塩(例えばCiba 社からのIrgacure 261)又はチタノセンも好適である。 【0101】放射線硬化可能な組成物がラジカル重合可能な化合物を含有する場合には、ラジカル重合用の開始剤も有利にこれら化合物の濃度に比例して使用される。 【0102】殊にラジカル重合可能な化合物の割合が重合可能な化合物の全重量の30%より多い場合には、ラジカル重合用のの光開始剤の排他的使用も可能である。 【0103】ラジカル重合のために好適な光開始剤の例は、ベンゾフェノン及びその誘導体、例えばアルキルベンゾフェノン、ハロメチル化されたベンゾフェノン、ミヒラーのケトン、及びベンゾイン及びベンゾインエーテル、例えばエチルベンゾインエーテル;ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、アセトフェノン誘導体、例えば2−ヒドロキシ−1−メチルフェニルプロパン−1−オン及びヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;アントラキノン及びその誘導体、例えばメチルアントラキノン及び特にアシルホスフィンオキサイド、例えばルシリン(Lucirin)TPO(2, 4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)及びビスアシルホスフィンオキサイドである。 【0104】被膜を製造するために、放射線硬化可能な組成物を、例えば木、紙、プラスチック又は金属より成る被覆すべき基板に適用し、又は成形体を製造するために、準備された型中に導入する。 【0105】これらの放射線硬化可能な組成物は、通常特別な用途のための添加物を含有することができる。 【0106】被膜組成物として使用される場合には、これらの添加物は、例えばレベリング剤、強化剤、顔料又は填料であってよい。 【0107】放射線硬化は、UV光を用いて実施するのが有利である。 好適なUV源は、240〜40nmの波長範囲及び50〜240W/cmの出力を有するものである。 【0108】木、プラスチック、紙及び金属上に被膜を製造するのために、この放射線硬化可能な組成物は特に有利であり、これは架橋結合され、即ち電子ビームを用いて又は光反応開始剤の添加に引き続くUV照射により硬化されて、保護又は装飾性被膜の要求に合致する被膜を生じる。 【0109】この放射線硬化可能な組成物は、高い反応性を有し、言い換えると、その放射線硬化での硬化速度は高い。 【0110】得られる被膜又は成形体は、良好な使用技術的特性を有する。 【0111】 【実施例】 例1 2,3−ジヒドロフラン、及び光開始剤としてのイルガクレ(Irgacure;登録商標)261を塩化メチレン中に溶かした。 モノマーの濃度は3モル/lであり、開始剤のそれは10ミリモル/lであった。 この反応溶液を室温で、水銀/キセノン蒸気ランプを用いて照射し、次いで、アンモニアアルカリ性メタノール溶液中で沈殿させた。 この反応は非常に発熱性であった。 15 秒後の変換率は15%であり、120秒以内に完全な変換率が得られる。 【0112】得られたポリマーは、無色透明であり; 1.8の多分散性Mw/Mnでの平均重合度Pnは、2 20であった。 【0113】例2 ベンゾ(b)フラン及びイルガクレ261を塩化メチレン中に溶かした。 モノマーの濃度は、3モル/lであり、開始剤のそれは、10ミリモル/lであった。 ガスクロマトグラフィのために使用した内部標準はトルエンであった。 反応溶液を、室温で、水銀/キセノン蒸気ランプを用いて照射し、次いでアンモニアアルカリ性メタノール溶液中で沈殿させた。 5分後の変換率は、76% であり、ポリマーは暗色の非晶質粉末として得られる。 【0114】例3 2,3−ジヒドロフラン、アクリル酸エチル及びルシリン(Lucirin)TPOを、トルエン中に溶かした。 各々のモノマーの濃度は、1.5モル/lであり、 開始剤のそれは、10ミリモル/lであった。 反応溶液を室温で、水銀/キセノン蒸気ランプを用いて照射し、 次いで、メタノール中で沈殿させた。 得られたポリマーは、ガラス−澄明、無色及び高粘凋性を有する。 コポリマー中のアクリレートに対するビニルエーテルの割合は1.3であった。 平均重合度Pnは、23であった。 【0115】例4 2,3−ジヒドロフランとベンゼン−1,4−ジメチル((2,3−ジヒドロフラン−3−イル)−2−エチル)エーテルとの重合 2,3−ジヒドロフラン741mg(5.714モル/ l)、ベンゼン−1,4−ジメチル((2,3−ジヒドロフラン−3−イル)−2−エチル)エーテル160m g(0.286モル/l)(合計濃度6モル/l)及びN−エトキシ−2−ピコリニウムヘキサフルオロホスフェート5.2mg(10ミリモル/l)を塩化エチレンで1.85mlとし、溶解させる。 【0116】この混合物を15分間照射し、交叉結合された生成物を60℃で減圧下に48時間乾燥させる。 【0117】IR(KBr デイスク;cm −1 ):2 942、2865、1452、1362、1214、1 072、842、698。 【0118】比較例1 3,4−ジヒドロ−2H−ピラン及びイルガクレ261 を塩化メチレン中に溶かした。 モノマーの濃度は3モル/l、開始剤のそれは10ミリモル/lであった。 この反応溶液を、室温で水銀/キセノン蒸気ランプを用いて照射し、次いで、アンモニアアルカリ性メタノール溶液中で沈殿させた。 5分後の変換率は9%であり、6.5 分後には44%、1時間後には93%であった。 得られたポリマーは無色透明であり、1.5の多分散性M W / M Nでの平均重合度Pnは24であった。 【0119】比較例2 アクリル酸エチルのみを用い、カチオン重合可能な化合物を用いずに、例1を繰り返した。 【0120】使用した開始剤は、ルシリンTPOであった。 溶剤は塩化メチレンではなくトルエンであった。 変換率は、15分後に80%であった。 【0121】被覆例 カチオン性硬化: A)環状脂肪族ジエポキシド(Degacure K1 26、Degussa)5.5部、ポリカプロラクタム(Capa 305、Solvey Interoxから、OH価310)2.5部、ブタンジオールジグリシジルエーテル(Araldit DY 026 Sp、 Ciba Geigy)2.0部及びプロピレンカーボネート中のビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルファイドビスヘキサフルオロホスフェートの3 3%濃度溶液(DegacureKI 85、Degu ssa)0.3部の混合物を、ナイフコーテイングにより100μmの厚さの層(湿潤)で適用し、ベルト速度15m/minで、UV光(2×80W/cm)で照射し、次いで160℃で10分間後−硬化させた。 【0122】B) A)と同様であるが、2,3−ジヒドロフラン0.2部を添加。 【0123】C) A)と同様であるが、3,5−ジヒドロ−2H−ピラン2.0部を添加。 【0124】使用技術的テスト:DIN53157に従い振子硬度を測定し、これは被膜の硬度の尺度である。 記載の値は秒(s)であり、値が高いほど硬度が高い。 【0125】エリクセン深度を、DIN53156に従い測定し、これは可撓性及び弾性の尺度である。 値はミリメータ(mm)で与えられ、高い値ほど高い可撓性を示す。 【0126】基板への被膜の接着性を、DIN5315 1に従うクロスハッチテスト(crosshatch test)を用いて測定した。 低い値は良好な接着性を示す。 【0127】 結果 膜 振子硬度 エリクセン深度 クロスハッチ/テサ(接着性テープ) [s] [mm] テストによる接着性(重複して実施) A 176 6.5 1/2 B 140 7.1 1/1 C 120 7.5 1/2 複合ラジカル/カチオン性硬化 D)ポリエステルアクリレート(Laromer Pe 55F(登録商標)、BASF)100部を光開始剤(Irgacure 500、Ciba Geigy) 4部と混合し、この混合物を、ベルト速度6.5m/m inで、UV光(2×80W/cm)で照射する。 【0128】E) D)と同様であるが、2,3−ジヒドロフラン20部及びDegacure KI 85 (Degussa)2部を使用。 【0129】F) D)と同様であるが、3,5−ジヒドロ−2H−ピラン20部及びDegacure KI 85(Degussa)2部を添加。 【0130】 結果 膜 振子硬度 エリクセン深度 クロスハッチ/テサ(接着性テープ) [s] [mm] テストによる接着性 D 125 5.6 1/2−3 E 117 5.8 0/1 F 95 5.7 0/0 バッチEは、最良の特性値を有し、高い可撓性及び非常に良好な接着性と結びついた良好な硬度を有する。 【0131】合成例 S1:3−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジヒドロフランの合成 a) 先ず、3−フランカルボン酸のバーチ還元(Bi rch reduction)を行い、次いで臭化ベンジルを用いるエステル化により、2,3−ジヒドロフラン−3−カルボン酸ベンジルを形成させる合成を行う(G.Lowe,St.Swain;J.Chem.S oc. Perkin Trans I(1985)、3 91に従う) 【0132】 【化30】 【0133】b) a)の最終生成物を水素化リチウムアルミニウムを用いて還元して3−ヒドロキシメチル− 2,3−ジヒドロフランを生じさせる。 【0134】方法:水素化リチウムアルミニウム1.5 ミリモルを無水ジエチルエーテル5ml中に入れ、2, 3−ジヒドロフラン−3−カルボン酸ベンジル2.65 ミリモルの溶液を滴加する。 この混合物を室温で4時間撹拌し、次いで水を注意深く滴加する。 有機相をデカンテーシヨンし、水性残分をエーテルでの洗浄により抽出する。 集めた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶剤を回転蒸発器上での蒸留により除去する。 【0135】粗生成物をカラムクロマトグラフィ(溶離液:ジエチルエーテル)により精製する。 【0136】収量:理論量の76% 。 【0137】 【外1】 【0138】S2:ベンゼン−1,4−ジメチル((2,3−ジヒドロキシフラン−3−イル)−2−エチル)エーテルの合成 融点:58.5℃ 【0139】 【外2】 【0140】3−ヒドロキシメチル−2,3−ジヒドロフラン22.9ミリモル及び1,4−ジブロモメチルベンゼン7.6ミリモルを0℃で導入し、50%濃度の水酸化カリウム溶液3.9g及びテトラブチルアンモニウムブロミド80mgを吸引下に添加する。 【0141】ペースト状の白色物質が形成されるから、 これを室温で1日撹拌する。 エマルジヨンをエーテルで抽出し、有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。 溶剤を回転蒸発器上での蒸留により除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィ(溶離液:酢酸エチル/n−ヘキサン1/10)により精製する。 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 エーリッヒ ベック ドイツ連邦共和国 ラーデンブルク シラ ーシュトラーセ 1 (72)発明者 ルーカス ホイスリング ドイツ連邦共和国 バート デュルクハイ ム ヴェルスリング 32 (72)発明者 オスカル ヌイケン ドイツ連邦共和国 ミュンヘン イグナッ ツ−ギュンター−シュトラーセ 12 (72)発明者 ロマーン−ベネディクト レーター ドイツ連邦共和国 ミュンヘン ヴェルナ ー−フリートマン−ボーゲン 34 |