導電性ポリマー組成物 |
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申请号 | JP2014198551 | 申请日 | 2014-09-29 | 公开(公告)号 | JP2015078358A | 公开(公告)日 | 2015-04-23 |
申请人 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー; E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY; | 发明人 | チェ−シュン スー; メン ホン; シェン ユーロン; チェン ミン; | ||||
摘要 | 【課題】改善された物理的および電気的特性を有する導電性ポリマー組成物の提供。 【解決手段】非フッ素化酸ポリマーでドープされた本質的に導電性のポリマーを含むポリマー組成物であって、前記導電性ポリマーが式Iに由来する少なくとも1つのモノマー単位を有する組成物である。 (Q=CR 5 ;X=CR 6 ;Z=NH、S、O、Se、又はTe;好ましくは、R 1 及びR 4 の1つがNH 2 であり、R 2 及びR 3 がHである。) 【選択図】なし | ||||||
权利要求 | 非フッ素化酸ポリマーでドープされた本質的に導電性のポリマーを含むポリマー組成物であって、前記導電性ポリマーが式I: (式中、 Q=CR5であり、 X=CR6であり、 Z=NH、S、O、Se、又はTeであり、 R1〜R4は同じまたは異なるものであり、そしてH、F、Cl、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、アリール、C1〜C10アルコキシ、C1〜C10アルキルセレノ、C1〜C10アルキルチオ、C1〜C10アルキルシリル、NH2、およびC1〜C10ジアルキルアミノからなる群から選択され、ここで、隣接するR基は一緒になって5−または6−員環の脂肪族または芳香族環を形成することができ、ただし、R1〜R4の少なくとも1つはNH2であり、R1〜R6の少なくとも1つはHであり、 R5およびR6は同じまたは異なるものであり、そしてH、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、およびアリールからなる群から選択される) に由来する少なくとも1つのモノマー単位を有する組成物。R1およびR4の1つがNH2であり、R2およびR3がHである、請求項1に記載の組成物。ZがNHおよびSから選択される、請求項1に記載の組成物。Q=X=CHである、請求項1に記載の組成物。前記モノマー単位が式Ia〜If: からなる群から選択されるモノマーに由来する、請求項1に記載の組成物。前記非フッ素化酸ポリマーが、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。フッ素化酸ポリマーをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。前記フッ素化酸ポリマーが、フッ素化オレフィン主鎖と、フッ素化エーテルスルホネート、フッ素化エステルスルホネート、フッ素化エーテルスルホンイミド、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるペンダント基とを有する、請求項7に記載の組成物。前記フッ素化酸ポリマーが、1,1−ジフルオロエチレンと2−(2,2−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマー;エチレンと2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマー;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。前記フッ素化酸ポリマーが式XI: (式中、 R16は、フッ素化アルキルまたはフッ素化アリール基であり; a、b、c、d、およびeはそれぞれ独立して、0または1〜3の整数であり; nは少なくとも4である) を有する、請求項7に記載の組成物。前記フッ素化酸ポリマーがTFE(テトラフルオロエチレン)とPSEPVE(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸)とのコポリマーである、請求項7に記載の組成物。請求項1に記載の組成物の水性分散系。請求項7に記載の組成物の水性分散系。請求項1に記載のポリマー組成物を含む少なくとも1つの緩衝層を含む電子デバイス。請求項7に記載のポリマー組成物を含む少なくとも1つの緩衝層を含む電子デバイス。 |
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说明书全文 | 関連出願の相互参照 本出願は、全体を参照により援用される2008年12月9日出願の米国仮特許出願第61/120,923号明細書の米国特許法第119条(e)項の下での優先権を主張するものである。 本発明は、概して導電性ポリマー組成物、および有機電子デバイスでのそれらの使用に関する。 有機電子デバイスは、活性層を含む製品のカテゴリーを画定する。かかるデバイスは、電気エネルギーを放射線に変換し、電子的プロセスを通して信号を検出し、放射線を電気エネルギーに変換し、または1つ以上の有機半導体層を含む。 有機発光ダイオード(OLED)は、電界発光できる有機層を含む有機電子デバイスである。導電性ポリマーを含有するOLEDは、次の構造: 陽極/緩衝層/EL材料/陰極 を有することができる。 陽極は典型的には、透明でありそして例えば、インジウム/酸化スズ(ITO)などの、EL材料へ正孔を注入する能力を有する任意の材料である。陽極は、ガラスまたはプラスチック基材上に任意選択的に支持されている。EL材料には、蛍光化合物、蛍光およびリン光性金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物が含まれる。陰極は典型的には、EL材料へ電子を注入する能力を有する任意の材料(例えば、CaまたはBaなどの)である。 緩衝層は典型的には導電性ポリマーであり、陽極からEL材料層への正孔の注入を容易にする。緩衝層として用いられる典型的な導電性ポリマーには、ポリアニリンおよびポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)などのポリジオキシチオフェンが含まれる。これらの材料は、例えば、米国特許第5,300,575号明細書に記載されているように、アニリンまたはジオキシチオフェンモノマーを、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)などの、水溶性ポリマー酸の存在下に水性溶液中で重合させることによって製造することができる。 水溶性ポリマースルホン酸で合成された水性の導電性ポリマー分散系は、望ましくない低いpHレベルを有する。低いpHは、かかる緩衝層を含有するELデバイスの応力寿命の低下に関与し、かつ、デバイス内の腐食に関与する。 低い電圧をかけられたときに高電流を運ぶ能力を有する導電性ポリマーはまた、薄膜電界効果トランジスタなどの、電子デバイス用の電極としても実用性を有する。かかるトランジスタでは、電子および/または正孔電荷キャリアに対して高い移動性を有する有機半導性フィルムが電源とドレイン電極との間に存在する。ゲート電極は半導体ポリマー層の反対側にある。電極用途向けに有用であるためには、導電性ポリマーおよび導電性ポリマーを分散させるまたは溶解させるための液体は、導電性ポリマーまたは半導体ポリマーのどちらかの再溶解を避けるために半導体ポリマーおよび半導体ポリマーのための溶媒と相溶性でなければならない。多くの導電性ポリマーは、電極としての使用にとって余りにも低い導電性を有する。 このように、改善された物理的および電気的特性を有する導電性ポリマー組成物が継続的に必要とされている。 非フッ素化酸ポリマーでドープされた本質的に導電性のポリマーを含む導電性ポリマー組成物であって、導電性ポリマーが式I:
(式中、 Q=N、CR5であり、 X=N、CR6であり、 Z=NH、S、O、Se、Teであり、 R1〜R4は同じまたは異なるものであり、そしてH、F、Cl、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、アリール、C1〜C10アルコキシ、C1〜C10アルキルセレノ、C1〜C10アルキルチオ、C1〜C10アルキルシリル、NH2、およびC1〜C10ジアルキルアミノからなる群から選択され、ここで、隣接するR基は一緒になって5−または6−員環の脂肪族または芳香族環を形成することができ、ただし、R1〜R4の少なくとも1つはNH2であり、R1〜R6の少なくとも1つはHであり、 R5およびR6は同じまたは異なるものであり、そしてH、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、およびアリールからなる群から選択される) に由来する少なくとも1つのモノマー単位を有する組成物が提供される。 別の実施形態では、本組成物は、フッ素化酸ポリマーをさらに含む。 別の実施形態では、本新規導電性ポリマー組成物の水性分散系が提供される。 別の実施形態では、本新規導電性ポリマー組成物を含む緩衝層が提供される。 別の実施形態では、本新規導電性ポリマー組成物を含む少なくとも1つの層を含む電子デバイスが提供される。 有機電子デバイスの略図である。
この図は、例として提供され、本発明を限定することを意図されない。 先行する一般的説明および以下の詳細な説明は例示的で、かつ、説明のためであるにすぎず、添付のクレームに画定されるような、本発明を限定するものではない。 一実施形態では、非フッ素化酸ポリマーでドープされた本質的に導電性のポリマーを含む、導電性ポリマー組成物が提供される。 多くの態様および実施形態が上に記載されてきたが、例示的であるにすぎず、限定的なものではない。本明細書を読んだ後に、当業者は、他の態様および実施形態が本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを十分理解する。 実施形態の任意の1つ以上の他の特徴および利益が以下の詳細な説明から、ならびにクレームから明らかであろう。詳細な説明は、先ず用語の定義および明確化、引き続き導電性前駆体モノマー、非導電性前駆体モノマー、非フッ素化酸、ドープされた導電性ポリマーの製造、フッ素化酸ポリマー、複合分散系の製造、緩衝層、電子デバイス、そして最後に実施例を取り組む。 1.用語の定義および明確化 本明細書で用いるところでは、用語「酸ポリマー」は、酸性基を有するポリマーを意味する。 用語「酸性基」は、イオン化して水素イオンをブレンステッド(Brφnsted)塩基に供与することができる基を意味する。 用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素に由来する基を意味し、非置換であっても置換されていてもよい線状、分岐および環状基を含む。用語「ヘテロアルケニル」は、アルケニル基内の炭素原子の1つ以上が、窒素、酸素、硫黄などの、別の原子で置き換えられたアルケニル基を意味することを意図される。用語「アルケニレン」は、結合の2つの点を有するアルケニル基を意味する。 用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素に由来する基を意味し、非置換であっても置換されていてもよい線状、分岐および環状基を含む。用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基内の炭素原子の1つ以上が、窒素、酸素、硫黄などの、別の原子で置き換えられたアルキル基を意味することを意図される。用語「アルキレン」は、結合の2つの点を有するアルキル基を意味する。 用語「アルコキシ」は、Rがアルキルである、基RO−を意味する。 用語「アルキルセレノ」は、Rがアルキルである、基RSe−を意味する。 用語「アルキルシリル」は、Rがアルキルである、基R3Si−を意味する。 用語「アルキルチオ」は、Rがアルキルである、基RS−を意味する。 用語「水性の」は、かなりの部分の水を有する液体を意味し、一実施形態では、それは少なくとも約40重量%水;幾つかの実施形態では、少なくとも約60重量%水である。 用語「アリール」は、芳香族炭化水素に由来する基を意味する。用語「芳香族化合物」は、非局在化パイ電子を有する少なくとも1つの不飽和環状基を含む有機化合物を意味することを意図される。この用語は、炭素および水素原子のみを有する芳香族化合物、ならびに環状基内の炭素原子の1つ以上が、窒素、酸素、硫黄などの、別の原子で置き換えられたヘテロ芳香族化合物の両方を包含することを意図される。 用語「緩衝層」または「緩衝材料」は、下位層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、ならびに有機電子デバイスの性能を促進するためのまたは向上させるための他の態様を含むがそれらに限定されない、1つ以上の機能を有機電子デバイスにおいて有する可能性がある導電性または半導性層または材料を意味することを意図される。 用語「電荷輸送」は、層、材料、部材、または構造体に言及するとき、かかる層、材料、部材、または構造体が、比較的効率よくおよび電荷の小さい損失で、かかる層、材料、部材、または構造体の厚さを通しての電荷の移動を容易にすることを意味することを意図される。「正孔輸送」は正電荷の移動を意味する。「電子輸送」は負電荷の移動を意味する。発光材料はまた幾らかの電荷輸送特性を有する可能性があるが、用語「電荷輸送」、「正孔輸送」、および「電子輸送」は、それらの主要機能が発光である層、材料、部材、または構造体を含むことを意図されない。 用語「ドープされた」は、それが導電性ポリマーに関するところでは、導電性ポリマーが導電性ポリマー上の電荷と釣り合うためのポリマー対イオンを有することを意味することを意図される。 用語「ドープされた導電性ポリマー」は、導電性ポリマーおよびそれと会合しているポリアー対イオンを意味することを意図される。 用語「導電性の」は、それが材料に関するところでは、カーボンブラックまたは導電性金属粒子の添加なしに本来または本質的に導電性であることができる材料を意味することを意図される。 用語「フッ素化酸ポリマー」は、酸性プロトンを持った基を有し、かつここで、ポリマー中の炭素に結合した水素の少なくとも1つがフッ素で置き換えられたポリマーを意味する。 用語「完全フッ素化」および「過フッ素化」は同じ意味で用いられ、炭素に結合した利用可能な水素の全てがフッ素で置き換えられた化合物を意味する。 用語「層」は、用語「フィルム」と同じ意味で用いられ、所望のエリアをカバーするコーティングを意味する。この用語はサイズによって限定されない。このエリアは、全体デバイスほどに大きいものもしくは実視覚ディスプレイなどの特有の機能エリアほどに小さいもの、または単一サブピクセルほどに小さいものであることができる。特に明記しない限り、層およびフィルムは、蒸着、液体堆積(連続および不連続技法)、ならびに熱転写を含む、任意の従来の堆積技法によって形成することができる。連続堆積技法には、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロット−ダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが含まれるが、それらに限定されない。不連続堆積技法には、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が含まれるが、それらに限定されない。 用語「有機電子デバイス」は、1つ以上の半導体層または材料を含むデバイスを意味することを意図される。有機電子デバイスには、(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、または照明パネル)、(2)電子的プロセスを通して信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、フォトチューブ、赤外線(「IR」)検出器、またはバイオセンサ)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電装置または太陽電池)、および(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)が含まれるが、それらに限定されない。 用語「ポリマー」は、少なくとも3つの繰り返し単位を有するポリマーまたはオリゴマーを意味する。この用語は、たった1種類、または種のモノマー単位を有するホモポリマー、および異なる種のモノマー単位から形成されたコポリマーを含む、2つ以上の異なるモノマー単位を有するコポリマーを含む。用語「本質的に導電性の」は、カーボンブラックまたは導電性金属粒子の添加なしに導電性であることができる材料を意味する。 特に明記しない限り、全ての基は、非置換であるかまたは置換されていることができる。特に明記しない限り、全ての基は、可能な場合、線状、分岐または環状であることができる。幾つかの実施形態では、置換基は、ハライド、アルキル、アルコキシ、アリール、およびシアノからなる群から選択される。 本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストされないか、またはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を包含してもよい。さらに、それとは反対と明らかに述べられない限り、「または(or)」は、包括的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。例えば、条件AまたはBは次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(または存在しない);Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する);ならびにAおよびBの両方とも真である(または存在する)。 また、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載される要素および成分を記載するために用いられる。これは、便宜上および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、単数形はまた、それが別なふうに意味されることが明らかではない限り、複数形を包含する。 元素の周期表内の列に相当する族数は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、第81版(2000−2001)に見られるような「新表記法」慣習を用いる。 特に定義しない限り、本明細書に用いられる専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。式において、文字Q、R、X、およびZは、その中で定義される原子または基を指定するために用いられる。全ての他の文字は、通常の原子記号を指定するために用いられる。元素の周期表内の列に相当する族数は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、81st Eidtion(2000)に見られるような「新表記法」規約を用いる。 本明細書に記載されない範囲で、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は、慣習的なものであり、そして有機発光ダイオードディスプレイ、照明源、光検出器、光起電、および半導体部材技術分野内の教科書および他の出典に見いだすことができる。 2.導電性前駆体モノマー 本新規組成物に好適な導電性ポリマーは、式I:
(式中、 Q=N、CR5であり、 X=N、CR6であり、 Z=NH、S、O、Se、Teであり、 R1〜R4は同じまたは異なるものであり、そしてH、F、Cl、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、アリール、C1〜C10アルコキシ、C1〜C10アルキルセレノ、C1〜C10アルキルチオ、C1〜C10アルキルシリル、NH2、およびC1〜C10ジアルキルアミノからなる群から選択され、ここで、隣接するR基は一緒になって5−または6−員環の脂肪族または芳香族環を形成することができ、ただし、R1〜R4の少なくとも1つはNH2であり、R1〜R6の少なくとも1つはHであり、 R5およびR6は同じまたは異なるものであり、そしてH、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、およびアリールからなる群から選択される) を有する少なくとも1つのモノマーから製造される。 幾つかの実施形態では、R1およびR4の1つはNH2であり、R2およびR3はHである。 幾つかの実施形態では、ZはNHおよびSから選択される。幾つかの実施形態では、Q=X=CHである。 幾つかの実施形態では、モノマーは、式Ia〜If:
からなる群から選択される。 幾つかの実施形態では、式Ia〜Ifの1つを有するモノマーのホモポリマーは、下に示されるポリマー構造
(式中、Q’はNH、O、およびSから選択される) の1つ、またはそれらの組み合わせを有する。 単独で重合されたときに、本質的に導電性であるホモポリマーを形成するモノマーは、「導電性前駆体モノマー」と言われる。単独で重合されたときに、本質的に導電性でないホモポリマーを形成するモノマーは、「非導電性前駆体モノマー」と言われる。本新規組成物に好適な導電性ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであることができる。コポリマーは、2つ以上の導電性前駆体モノマーからまたは1つ以上の導電性前駆体モノマーと1つ以上の非導電性前駆体モノマーとの組み合わせから製造することができる。用語「2つ以上のモノマー」は、直接一緒に重合させることができる2つ以上の別個のモノマーを、および反応して単一の中間モノマーを形成し、そして次に重合される2つ以上の異なるモノマーを意味する。幾つかの実施形態では、本質的に導電性のポリマーは、少なくとも10-6S/cmの導電率を有するフィルムを形成するであろう。 一実施形態では、本質的に導電性のポリマーは、式Iを有するモノマーのホモポリマーである。 一実施形態では、本質的に導電性のポリマーは、式Iを有する少なくとも1つの第1導電性前駆体モノマーと、第1導電性前駆体モノマーとは異なる少なくとも1つの第2導電性前駆体モノマーとのコポリマーである。一実施形態では、本質的に導電性のポリマーは、1つ以上の導電性前駆体モノマーの酸化的重合によって製造される。 幾つかの実施形態では、本質的に導電性のポリマーは、式Iを有する第1導電性前駆体モノマーと、第1導電性前駆体モノマーとは異なる、少なくとも1つの第2導電性前駆体モノマーとのコポリマーである。幾つかの実施形態では、第2導電性前駆体モノマーは式Iを有する。幾つかの実施形態では、第2導電性前駆体モノマーは、チオフェン類、セレノフェン類、テルロフェン類、ピロール類、アニリン類、および多環式芳香族化合物からなる群から選択される。用語「多環式芳香族化合物」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。環は1つ以上の結合で結合していてもよいし、またはそれらは一緒に縮合していてもよい。用語「芳香環」は、複素芳香環を含むことを意図される。「多環式複素芳香族」化合物は、少なくとも1つの複素芳香環を有する。 3.非導電性前駆体モノマー 一実施形態では、本質的に導電性のポリマーは、上に記載されたような、式Iを有する少なくとも1つの導電性前駆体モノマーと、少なくとも1つの非導電性前駆体モノマーとのコポリマーである。任意のタイプの非導電性前駆体モノマーを、それがコポリマーの所望の特性にひどい悪影響を及ぼさない限り使用することができる。一実施形態では、非導電性前駆体モノマーは、モノマー単位の総数を基準として、50%以下を占める。一実施形態では、非導電性前駆体モノマーは、モノマー単位の総数を基準として、30%以下を占める。一実施形態では、非導電性前駆体モノマーは、モノマー単位の総数を基準として、10%以下を占める。 例示的なタイプの非導電性前駆体モノマーには、アルケニル、アルキニル、アリーレン、およびヘテロアリーレンが含まれるが、それらに限定されない。非導電性モノマーの例には、それらの全てがさらに置換されていてもよい、フルオレン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、ピリジン、ジアジン、およびトリアジンが挙げられるが、それらに限定されない。 一実施形態では、コポリマーは、構造A−B−C(ここで、AおよびCは、同じまたは異なるものであることができる、導電性前駆体モノマーを表し、Bは非導電性前駆体モノマーを表す)を有する中間前駆体モノマーを先ず形成することによって製造される。A−B−C中間前駆体モノマーは、Yamamoto、Stille、Grignardメタセシシス、鈴木、および根岸カップリングなどの、標準合成有機技法を用いて製造することができる。コポリマーは次に、中間前駆体モノマー単独の、または1つ以上の追加の導電性前駆体モノマーとの酸化的重合によって形成される。 4.非フッ素化ポリマー酸 導電性ポリマーをドープすることができる、任意の非フッ素化ポリマー酸を使用することができる。 ポリチオフェン、ポリアニリンおよびポリピロールなどの導電性ポリマーでのかかる酸の使用は、当該技術分野でよく知られている。酸性基の例には、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。酸性基は全て同じものであることができるか、またはポリマーは2つ以上のタイプの酸性基を有してもよい。 一実施形態では、この酸は非フッ素化ポリマースルホン酸である。酸の幾つかの非限定的な例は、ポリ(スチレンスルホン酸)(「PSSA」)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(「PAAMPSA」)、およびそれらの混合物である。 存在する非フッ素化ポリマー酸の量は一般に、導電性ポリマー上の電荷と釣り合うために必要とされるものを超える。幾つかの実施形態では、非フッ素化ポリマー酸の酸当量対導電性ポリマーのモル当量の比は、1〜5の範囲にある。 5.ドープされた導電性ポリマーの製造 本新規導電性ポリマー組成物は、分散系を形成するための非フッ素化酸ポリマーの存在下での前駆体モノマーの化学重合によって製造される。任意選択的に、分散系のpHを調整することができる。 あるいはまた、基材上の導電性ポリマーのフィルムは、非フッ素化酸ポリマーの存在下での前駆体モノマーの電気化学重合によって形成することができる。 (i)化学重合 一実施形態では、導電性ポリマー組成物は、非フッ素化酸ポリマーの存在下での前駆体モノマーの酸化的重合によって形成される。一実施形態では、前駆体モノマーは1タイプの導電性前駆体モノマーを含む。一実施形態では、前駆体モノマーは2つ以上の異なる導電性前駆体モノマーを含む。一実施形態では、モノマーは、構造A−B−C(ここで、AおよびCは、同じまたは異なるものであることができる、導電性前駆体モノマーを表し、Bは非導電性前駆体モノマーを表す)を有する中間前駆体モノマーを含む。一実施形態では、中間前駆体モノマーは1つ以上の導電性前駆体モノマーと重合される。 一実施形態では、酸化的重合は均質な水性溶液で実施される。別の実施形態では、酸化的重合は水および有機溶媒のエマルジョンで実施される。一般に、幾らかの水が、酸化剤および/または触媒の十分な溶解度を得るために存在する。過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの酸化剤を使用することができる。塩化第二鉄、または硫酸第二鉄などの、触媒がまた存在してもよい。生じた重合生成物は、フッ素化酸ポリマーでドープされた導電性ポリマーの溶液、分散系、またはエマルジョンであろう。一実施形態では、本質的に導電性のポリマーは正に帯電しており、電荷は、非フッ素化酸ポリマーアニオンによって釣り合っている。 一実施形態では、重合は、水と混和する共分散性液体の存在下に実施される。好適な共分散性液体の例には、エーテル、アルコール、アルコールエーテル、環状エーテル、ケトン、ニトリル、スルホキシド、アミド、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、共分散性液体はアルコールである。一実施形態では、共分散性液体は、n-プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、およびそれらの混合物から選択される有機溶媒である。一般に、共分散性液体の量は約60容量%未満であるべきである。一実施形態では、共分散性液体の量は約30容量%未満である。一実施形態では、共分散性液体の量は5〜50容量%である。重合での共分散性液体の使用は、粒径を著しく低下させ、分散系の濾過性を向上させる。加えて、この方法によって得られる緩衝材料は粘度の増加を示し、これらの分散系から製造されるフィルムは高品質のものである。 共分散性液体は、本方法の任意の時点で反応混合物に加えることができる。 一実施形態では、重合は、ブレンステッド酸である共酸の存在下に実施される。この酸は、HCl、硫酸などの無機酸、または酢酸もしくはp−トルエンスルホン酸などの、有機酸であることができる。あるいはまた、この酸は、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)などの水溶性ポリマー酸、または、上に記載されたような、第2フッ素化酸ポリマーであることができる。酸の組み合わせを使用することができる。 共酸は、どちらが最後に加えられるにしても、酸化剤または前駆体モノマーのどちらかの添加の前に本方法の任意の時点で反応混合物に加えることができる。一実施形態では、共酸は、前駆体モノマーおよび非フッ素化酸ポリマーの両方の前に加えられ、酸化剤が最後に加えられる。一実施形態では、共酸は、前駆体モノマーの添加の前に加えられ、非フッ素化酸ポリマーの添加がこれに続き、酸化剤が最後に加えられる。 一実施形態では、重合は、共分散性液体および共酸の両方の存在下に実施される。 一実施形態では、反応容器は、水、アルコール共分散剤、および無機共酸の混合物を先ず装入される。これに、順に、前駆体モノマー、非フッ素化酸ポリマーの水性溶液または分散系、および酸化剤が加えられる。酸化剤は、混合物を不安定化させ得る高いイオン濃度の局部的エリアの形成を防ぐためにゆっくりとおよび滴々加えられる。別の実施形態では、酸化剤および前駆体モノマーは、制御された速度で別々におよび同時に反応混合物へ注入される。混合物は撹拌され、反応は次に制御された温度で進行させられる。重合が完了したとき、反応混合物は、強酸性カチオン樹脂で処理され、撹拌され、そして濾過され;次に塩基性アニオン交換樹脂で処理され、撹拌され、そして濾過される。上に議論されたように、添加の代わりの順番を用いることができる。 本導電性ポリマーの製造方法において、酸化剤対全前駆体モノマーのモル比は、一般に0.1〜2.0の範囲にあり;一実施形態では0.4〜1.5である。非フッ素化酸ポリマー対全前駆体モノマーのモル比は、一般に0.2〜5の範囲にある。一実施形態では、この比は1〜4の範囲にある。全体固形分は、重量百分率で一般に約1.0%〜10%の;一実施形態では約2%〜4.5%の範囲にある。反応温度は、一般に約4℃〜50℃;一実施形態では約20℃〜35℃の範囲にある。随意の共酸対前駆体モノマーのモル比は約0.05〜4である。酸化剤の添加時間は、粒径および粘度に影響を及ぼす可能性がある。幾つかの実施形態では、粒径は、添加速度を落とすことによって下げることができる。平行して、粘度もまた、添加速度を落とすことによって下げられる。幾つかの実施形態では、反応時間は約10分〜約30時間の範囲にある。 (ii)pH調整 合成されたままの、ドープされた導電性ポリマーの水性分散系は、非常に低いpHを一般に有する。一実施形態では、pHは、デバイスの特性に悪影響を及ぼすことなく、より高い値に調整される。一実施形態では、分散系のpHは約1.5〜約4に調整される。一実施形態では、pHは3〜4に調整される。pHは公知の技法、例えば、イオン交換を用いてまたは水性の塩基性溶液での滴定によって調整できることが分かった。 一実施形態では、重合反応の完了後に、合成されたままの水性分散系は、分解した化学種、副反応生成物、および未反応モノマーを除去するために、およびpHを調整するために好適な条件下に少なくとも1つのイオン交換樹脂と接触させられ、こうして所望のpHの安定な水性分散系を生成する。一実施形態では、合成されたままの水性分散系は、任意の順に、第1イオン交換樹脂および第2イオン交換樹脂と接触させられる。合成されたままの水性分散系は、同時に第1および第2イオン交換樹脂の両方で処理することができるか、またはそれは一方で、次に他方で順次処理することができる。 イオン交換は、流体媒体(水性分散系などの)中のイオンが流体媒体に不溶性である固定固体粒子に結合した同じ電荷を持つイオンと交換される可逆的な化学反応である。用語「イオン交換樹脂」は、全てのかかる物質を意味するために本明細書では用いられる。樹脂は、イオン交換基が結合しているポリマー担体の架橋本質のために不溶性にされている。イオン交換樹脂は、カチオン交換体またはアニオン交換体として分類される。カチオン交換体は、交換に利用可能な正に帯電した移動できるイオン、典型的にはプロトンまたはナトリウムイオンなどの金属イオンを有する。アニオン交換体は、負に帯電している交換可能なイオン、典型的には水酸化イオンを有する。幾つかの実施形態では、弱塩基性イオン交換樹脂を使用することができる。 一実施形態では、第1イオン交換樹脂は、プロトン形であることができる、カチオン、酸性交換樹脂である。第2イオン交換樹脂は塩基性の、アニオン交換樹脂である。一実施形態では、第1イオン交換樹脂は塩基性の、アニオン交換樹脂であり、第2イオン交換樹脂は、プロトン形または金属イオン、典型的にはナトリウムイオン形にあることができる、カチオン、酸性交換樹脂である。 酸性の、プロトンを含むカチオン交換樹脂および塩基性の、アニオン交換樹脂の両方が本発明の実施での使用について考えられる。一実施形態では、酸性の、カチオン交換樹脂は、スルホン酸カチオン交換樹脂などの、無機酸、カチオン交換樹脂である。本発明の実施での使用について考えられるスルホン酸カチオン交換樹脂には、例えば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、およびそれらの混合物が含まれる。別の実施形態では、酸性の、カチオン交換樹脂は、カルボン酸、アクリルまたはリンカチオン交換樹脂などの、有機酸、カチオン交換樹脂である。加えて、異なるカチオン交換樹脂の混合物を使用することができる。 別の実施形態では、塩基性の、アニオン性交換樹脂は3級アミンアニオン交換樹脂である。本発明の実施での使用について考えられる3級アミンアニオン交換樹脂には、例えば、3級アミン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、3級アミン化架橋スチレンポリマー、3級アミン化フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、3級アミン化ベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの混合物が含まれる。さらなる実施形態では、塩基性の、アニオン性交換樹脂は、第四級アミンアニオン交換樹脂、またはこれらと他の交換樹脂との混合物である。 第1および第2イオン交換樹脂は、同時に、または引き続いてのどちらかで、合成されたままの水性分散系と接触してもよい。例えば、一実施形態では、両樹脂が、導電性ポリマーの合成されたままの水性分散系に同時に加えられ、少なくとも約1時間、例えば、約2時間〜約20時間分散系と接触したままにされる。イオン交換樹脂は次に、濾過によって分散系から除去することができる。フィルターのサイズは、比較的大きいイオン交換樹脂粒子が除去されるが、より小さい分散系粒子は通過するであろうように選択される。理論に制約されることなく、イオン交換樹脂は重合をクエンチし、そしてイオン性および非イオン性不純物ならびに未反応モノマーの大部分を、合成されたままの水性分散系から効果的に除去すると考えられる。さらに、塩基性の、アニオン交換樹脂および/または酸性の、カチオン交換樹脂は、酸性部位をより塩基性にし、分散系のpHの増加をもたらす。一般に、約1〜5グラムのイオン交換樹脂が、新規導電性ポリマー組成物の1グラム当たり使用される。 多くの場合に、pHを所望のレベルに調整するために塩基性イオン交換樹脂を使用することができる。幾つかの場合には、pHは、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの溶液などの水性の塩基性溶液でさらに調整することができる。 別の実施形態では、より導電性の分散系は、新規導電性ポリマー組成物の水性分散系への高導電性添加剤の添加によって形成される。比較的高いpHの分散系を形成することができるので、導電性添加剤、とりわけ金属添加剤は、分散系中の酸によって攻撃されない。好適な導電性添加剤の例には、金属粒子およびナノ粒子、ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラファイト繊維または粒子、カーボン粒子、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。 (iii)電気化学重合 導電性ポリマーを形成するための電解重合技法は、当該技術分野でよく知られている。典型的には、反応溶媒、ポリマー支持電解質およびモノマーを含有する一区画電解槽が用いられるであろう。非フッ素化酸ポリマーは支持電解質として働く。通常の装置は作用電極および対電極を含む。幾つかの場合には、参照電極もまた存在する。好適な作用電極材料には、白金、金金属シート、ガラス上の酸化スズ、ガラス上の酸化インジウムスズ、またはポリマーを蓄積させるおよび接着させるであろう、かつ、電解重合条件下に電気化学的に腐食されないまたは損傷を受けないであろう他の電極材料が含まれる。作用電極は、平面電極がその上へのポリマーフィルムの生成のために好ましいであろうが、形状および立体配置が変わることができる。対電極は、白金、ステンレススチール、または他の好適な材料であることができる。参照電極は、水性飽和カロメル電極または銀/硝酸銀参照電極であることができる。電解重合は、作用電極と対電極との間に電位差をかけることによって開始することができる。幾つかの実施形態では、電位差は1〜5ボルトである。 6.フッ素化酸ポリマー 幾つかの実施形態では、導電性ポリマー組成物は、フッ素化酸ポリマーをさらに含む。フッ素化酸ポリマーは、フッ素化されており、そして酸性プロトンの基を有する任意のポリマーであることができる。本明細書で用いるところでは、用語「フッ素化」は、炭素に結合した少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたことを意味する。この用語は、部分および完全フッ素化材料を含む。一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは高度にフッ素化されている。用語「高度にフッ素化されている」は、炭素に結合した利用可能な水素の少なくとも50%がフッ素で置き換えられたことを意味する。酸性プロトンを有する基は、本明細書では以下「酸性基」と言われる。一実施形態では、酸性基は3未満のpKaを有する。一実施形態では、酸性基は0未満のpKaを有する。一実施形態では、酸性基は−5未満のpKaを有する。酸性基は、ポリマー主鎖に直接結合させることができるか、またはそれはポリマー主鎖上の側鎖に結合させることができる。酸性基の例には、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。酸性基は全て、同じものであることができるか、またはポリマーは2つ以上のタイプの酸性基を有してもよい。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは水溶性である。一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは水に分散性である。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは有機溶媒湿潤可能である。用語「有機溶媒湿潤可能」は、フィルムに成形されたときに、有機溶媒によって湿潤可能である材料に関する。この用語はまた、単独ではフィルムを形成しないが、湿潤可能である導電性ポリマー組成物を形成するポリマー酸を含む。一実施形態では、湿潤可能な材料は、40°以下の接触角でフェニルヘキサンによって湿潤可能であるフィルムを形成する。接触角の測定方法はよく知られている。 一実施形態では、ポリマー主鎖はフッ素化されている。好適なポリマー主鎖の例には、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、およびそれらのコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態では、ポリマー主鎖は高フッ素化されている。一実施形態では、ポリマー主鎖は完全にフッ素化されている。 一実施形態では、酸性基は、スルホン酸基およびスルホンイミド基から選択される。スルホンイミド基は式: −SO2−NH−SO2−R (式中、Rはアルキル基である) を有する。 一実施形態では、酸性基はフッ素化側鎖上にある。一実施形態では、フッ素化側鎖は、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびそれらの組み合わせから選択される。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、ペンダントフッ素化エーテルスルホネート、フッ素化エステルスルホネート、またはフッ素化エーテルスルホンイミド基を持ったフッ素化オレフィン主鎖を有する。一実施形態では、ポリマーは、1,1−ジフルオロエチレンと2−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチル)アリルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。一実施形態では、ポリマーは、エチレンと2−(2−(1,2,2−トリフルオロビニルオキシ)−1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸とのコポリマーである。これらのコポリマーは、相当するスルホニルフルオリドポリマーとして製造することができ、次にスルホン酸形に変換することができる。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、フッ素化および部分スルホン化ポリ(アリーレンエーテルスルホン)のホモポリマーまたはコポリマーである。コポリマーはブロックコポリマーであることができる。コモノマーの例には、ブタジエン、ブチレン、イソブチレン、スチレン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、式VII:
(式中、 bは、1〜5の整数であり、 R13は、OHまたはNHR14であり、 R14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである) を有するモノマーのホモポリマーまたはコポリマーである。 一実施形態では、モノマーは、下に示される「SFS」または「SFSI」:
である。 重合後に、ポリマーは酸形に変換することができる。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、酸性基を有するトリフルオロスチレンのホモポリマーまたはコポリマーである。一実施形態では、トリフルオロスチレンモノマーは式VIII:
(式中、 Wは、(CF2)b、O(CF2)b、S(CF2)b、(CF2)bO(CF2)bから選択され、 bは独立して、1〜5の整数であり、 R13は、OHまたはNHR14であり、 R14は、アルキル、フルオロアルキル、スルホニルアルキル、またはスルホニルフルオロアルキルである) を有する。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、式IX:
(式中、 Rfは、フッ素化アルキレン、フッ素化ヘテロアルキレン、フッ素化アリーレン、およびフッ素化ヘテロアリーレンから選択され; nは少なくとも4である) を有するスルホンイミドポリマーである。 式IXの一実施形態では、Rfはパーフルオロアルキレン基である。一実施形態では、Rfはパーフルオロブチル基である。一実施形態では、Rfはエーテル酸素を含有する。一実施形態では、nは10より大きい。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、フッ素化ポリマー主鎖と式X:
(式中、 R15は、フッ素化アルキレン基またはフッ素化ヘテロアルキレン基であり; R16は、フッ素化アルキルまたはフッ素化アリール基であり; aは0または1〜4の整数である) を有する側鎖とを含む。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、式XI:
(式中、 R16は、フッ素化アルキルまたはフッ素化アリール基であり; cは独立して、0または1〜3の整数であり; nは少なくとも4である) を有する。 フッ素化酸ポリマーの合成は、例えば、A.Feiring et al.,J.Fluorine Chemistry 2000,105,129−135;A.Feiring et al.,Macromolecules 2000,33,9262−9271;D.D.Desmarteau,J.Fluorine Chem.1995,72,203−208;A.J.Appleby et al.,J.Electrochem.Soc.1993,140(1),109−111;およびDesmarteau、米国特許第5,463,005号明細書に記載されてきた。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、構造(XII):
(式中、dは、0、1、または2であり; R17〜R20は独立して、H、ハロゲン、1〜10個の炭素原子のアルキルもしくはアルコキシ、Y、C(Rf’)(Rf’)OR21、R4YまたはOR4Yであり; Yは、COE2、SO2E2、またはスルホンイミドであり; R21は、水素または酸に不安定な保護基であり; Rf’は、それぞれ同じまたは異なるものであり、そして1〜10個の炭素原子のフルオロアルキル基であるか、または一緒になってeが2〜10である(CF2)eであり; R4はアルキレン基であり; E2は、OH、ハロゲン、またはOR5であり; R5はアルキル基である; ただし、R17〜R20の少なくとも1つは、Y、R4YまたはOR4Yであり; R4、R5、およびR17〜R20は任意選択的に、ハロゲンまたはエーテル酸素で置換されていてもよい) を有するエチレン系不飽和化合物に由来する少なくとも1つの繰り返し単位を含む。 構造(XII)の代表的なモノマーの幾つかの例示的な、しかし非限定的な例が下:
(式中、R21は、三級カチオンを形成するまたはそれに転位することができる基、より典型的には1〜20個の炭素原子のアルキル基、最も典型的にはt−ブチルである) に示される。 d=0である構造(XII)、構造(XII−a)の化合物は、下の式に示されるように構造(XIII)の不飽和化合物とクアドリシクラン(テトラシクロ[2.2.1.02,603,5]ヘプタン)との付加環化反応によって製造されてもよい。
この反応は、ジエチルエーテルなどの不活性溶媒の不存在または存在下に約0℃〜約200℃、より典型的には約30℃〜約150℃の範囲の温度で行われてもよい。試薬または溶媒の1つ以上の沸点でまたはそれより上で行われる反応については、揮発性成分の損失を回避するために閉じた反応器が典型的には用いられる。より高い値のd(すなわち、d=1または2)の構造(XII)の化合物は、当該技術分野で知られているように、d=0の構造(XII)の化合物とシクロペンタジエンとの反応によって製造されてもよい。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーはまた、エチレン系不飽和炭素に結合した少なくとも1つのフッ素原子を含有する少なくとも1つのエチレン系不飽和化合物に由来する繰り返し単位を含む。このフルオロオレフィンは2〜20個の炭素原子を含む。代表的なフルオロオレフィンには、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、CF2=CFO(CF2)tCF=CF2(式中、tは1または2である)、およびRf”OCF=CF2(式中、Rf”は、1〜約10個の炭素原子の飽和フルオロアルキル基である)が含まれるが、それらに限定されない。一実施形態では、コモノマーはテトラフルオロエチレンである。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、シロキサンスルホン酸を含むペンダント基を有するポリマー鎖を含む。一実施形態では、シロキサンペンダント基は下式;
(式中 aは1〜bであり; bは1〜3であり; R22は、アルキル、アリール、およびアリールアルキルからなる群から独立して選択される加水分解できない基であり; R23は、1つ以上のエーテル酸素原子で置換されていてもよい、二座アルキレンラジカルであり、ただし、R23は、SiとRfとの間に線状に配置された少なくとも2個の炭素原子を有し; Rfは、1つ以上のエーテル酸素原子で置換されていてもよい、パーフルオロアルキレンラジカルである) を有する。 一実施形態では、ペンダントシロキサン基を有するフッ素化酸ポリマーは、フッ素化主鎖を有する。一実施形態では、主鎖は過フッ素化されている。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは、フッ素化主鎖と式(XIV):
(式中、Rf2は、Fまたは非置換であるもしくは1つ以上のエーテル酸素原子で置換されている1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルラジカルであり、h=0または1、i=0〜3、およびg=0または1である) で表されるペンダント基とを有する。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーは式(XV):
(式中、j≧0、k≧0および4≦(j+k)≦199であり、Q1およびQ2はFまたはHであり、Rf2は、Fまたは非置換であるもしくは1つ以上のエーテル酸素原子で置換されている1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルラジカルであり、h=0または1、i=0〜3、g=0または1である) を有する。一実施形態では、Rf2は−CF3であり、g=1、h=1、およびi=1である。一実施形態では、ペンダント基は3〜10モル%の濃度で存在する。 一実施形態では、Connollyら、米国特許第3,282,875号明細書の教示に従って合成されてもよい、Q1はHであり、k≧0であり、Q2はFである。別の好ましい実施形態では、同時係属特許出願第60/105,662号明細書の教示に従って合成されてもよい、Q1はHであり、Q2はHであり、g=0であり、Rf2はFであり、h=1、およびi=1である。さらに他の実施形態は、Drysdaleら、国際公開第98/31716(A1)号パンフレット、および同時係属米国特許出願、Choiら、国際公開第99/52954(A1)号パンフレット、および同第60/176,881号明細書での様々な教示に従って合成されてもよい。 一実施形態では、フッ素化酸ポリマーはコロイド形成ポリマー酸である。本明細書で用いるところでは、用語「コロイド形成」は、水に不溶性であり、そして水性媒体へ分散されたときにコロイドを形成する材料を意味する。コロイド形成ポリマー酸は典型的には、約10,000〜約4,000,000の範囲の分子量を有する。一実施形態では、ポリマー酸は、約100,000〜約2,000,000の分子量を有する。コロイド粒径は典型的には2ナノメートル(nm)〜約140nmの範囲である。一実施形態では、コロイドは2nm〜約30nmの粒径を有する。酸性プロトンを有する任意のコロイド形成ポリマー材料を使用することができる。一実施形態では、コロイド形成フッ素化ポリマー酸は、カルボン酸基、スルホン酸機、およびスルホンイミド基から選択される酸性基を有する。一実施形態では、コロイド形成フッ素化ポリマー酸はポリマースルホン酸である。一実施形態では、コロイド形成ポリマースルホン酸は過フッ素化されている。一実施形態では、コロイド形成ポリマースルホン酸はパーフルオロアルキレンスルホン酸である。 一実施形態では、コロイド形成ポリマー酸は高フッ素化スルホン酸ポリマー(「FSAポリマー」)である。「高フッ素化」は、ポリマー中のハロゲンおよび水素原子の総数の少なくとも約50%、一実施形態では少なくとも約75%、別の実施形態では少なくとも約90%がフッ素原子であることを意味する。一実施形態では、このポリマーは過フッ素化されている。用語「スルホネート官能基」(または簡単に「スルホネート」)は、スルホン酸基またはスルホン酸基の塩のどちらか、一実施形態ではアルカリ金属またはアンモニウム塩を意味する。この官能基は、式−SO3E5(ここで、E5は、「対イオン」としても知られるカチオンである)で表される。E5は、H、Li、Na、KまたはN(R1)(R2)(R3)(R4)であってもよく、R1、R2、R3、およびR4は、同じまたは異なるものであり、一実施形態ではH、CH3またはC2H5である。別の実施形態では、E5はHであり、その場合ポリマーは「酸形」にあると言われる。E5はまた、Ca++、およびAl+++のようなイオンで表されるように、多価であってもよい。Mx+として一般に表される、多価対イオンの場合には、1つの対イオン当たりのスルホネート官能基の数は原子価「x」に等しいであろうことは当業者には明らかである。 一実施形態では、FSAポリマーは、繰り返し側鎖が主鎖に結合したポリマー主鎖を含み、側鎖はカチオン交換基を持っている。ポリマーには、ホモポリマーまたは2つ以上のモノマーのコポリマーが含まれる。コポリマーは典型的には、非官能性モノマーとカチオン交換基またはその前駆体、例えば、スルホネート官能基へその後加水分解することができる、スルホニルフルオリド基(−SO2F)を持っている第2モノマーとから形成される。例えば、スルホニルフルオリド基(−SO2F)を有する第2フッ素化ビニルモノマーとの第1フッ素化ビニルモノマーのコポリマーを使用することができる。可能な第1モノマーには、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、およびそれらの組み合わせが含まれる。TFEが好ましい第1モノマーである。 他の実施形態では、可能な第2モノマーには、ポリマーで所望の側鎖を提供することができるスルホネート官能基または前駆体基を持ったフッ素化ビニルエーテルが含まれる。エチレン、プロピレン、およびR−CH=CH2(ここで、Rは、1〜10個の炭素原子の過フッ素化アルキル基である)を含む、追加のモノマーを、必要ならば、これらのポリマーへ組み込むことができる。ポリマーは、本明細書でランダムコポリマーと言われるタイプのもの、すなわち、ポリマー鎖に沿ったモノマー単位の分布がそれらの相対濃度および相対反応性に従っているように、コモノマーの相対濃度ができるだけ一定に保たれる重合によって製造されたコポリマーであってもよい。重合の経過中にモノマーの相対濃度を変えることによって製造された、それほどランダムでないコポリマーもまた使用されてもよい。欧州特許出願公開第1 026 152 A1号明細書に開示されているものなどの、ブロックコポリマーと呼ばれるタイプのポリマーもまた使用されてもよい。 一実施形態では、FSAポリマーは、高フッ素化された、一実施形態では過フッ素化された炭素主鎖と式 −(O−CF2CFRf3)a−O−CF2CFRf4SO3E5 (式中、Rf3およびRf4は独立して、F、Clまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から選択され、a=0、1または2であり、E5は、H、Li、Na、KまたはN(R1)(R2)(R3)(R4)であり、R1、R2、R3、およびR4は同じまたは異なるものであり、一実施形態ではH、CH3またはC2H5である) で表される側鎖とを含む。別の実施形態ではE5はHである。上述のように、E5はまた多価であってもよい。 一実施形態では、FSAポリマーは、例えば、米国特許第3,282,875号明細書にならびに米国特許第4,358,545号明細書および同第4,940,525号明細書に開示されているポリマーを含む。好ましいFSAポリマーの例は、パーフルオロカーボン主鎖と式 −O−CF2CF(CF3)−O−CF2CF2SO3E5 (式中、Xは上に定義された通りである) で表される側鎖とを含む。このタイプのFSAポリマーは米国特許第3,282,875号明細書に開示されており、テトラフルオロエチレン(TFE)と過フッ素化ビニルエーテルCF2=CF−O−CF2CF(CF3)−O−CF2CF2SO2F、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリド)(PDMOF)との共重合、引き続きスルホニルフルオリド基の加水分解によるスルホネート基への変換および必要に応じてそれらを所望のイオン形に変換するためのイオン交換によって製造することができる。米国特許第4,358,545号明細書および同第4,940,525号明細書に開示されているタイプのポリマーの例は、側鎖−O−CF2CF2SO3E5(式中、E5は上に定義された通りである)を有する。このポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)と過フッ素化ビニルエーテルCF2=CF−O−CF2CF2SO2F、パーフルオロ(3−オキサ−4−ペンテンスルホニルフルオリド)(POPF)との共重合、引き続き加水分解および必要に応じてさらなるイオン交換によって製造することができる。 一実施形態では、FSAポリマーは、約33未満のイオン交換比を有する。本出願では、「イオン交換比」または「IXR」は、カチオン交換基に対するポリマー主鎖中の炭素原子の数と定義される。約33未満の範囲内で、IXRは、特定の用途向けに要望通り変えることができる。一実施形態では、IXRは約3〜約33、別の実施形態では約8〜約23である。 ポリマーのカチオン交換容量は、当量(EW)を単位として多くの場合表される。本出願の目的のためには、当量(EW)は、1当量の水酸化ナトリウムを中和するために必要とされる酸形のポリマーの重量であると定義される。ポリマーがパーフルオロカーボン主鎖を有し、そして側鎖が−O−CF2−CF(CF3)−O−CF2−CF2−SO3H(またはそれの塩)であるスルホネートポリマーの場合には、約8〜約23のIXRに相当する当量範囲は約750EW〜約1500EWである。このポリマーについてのIXRは、式:50IXR+344=EWを用いて当量と関係付けることができる。同じIXR範囲が米国特許第4,358,545号明細書および同第4,940,525号明細書に開示されているスルホネートポリマー、例えば、側鎖−O−CF2CF2SO3H(またはそれの塩)を有するポリマーに対して用いられるが、当量は、カチオン交換基を含有するモノマー単位のより低い分子量のために幾分より低い。約8〜約23の好ましいIXR範囲について、相当する当量範囲は、約575EW〜約1325EWである。このポリマーについてのIXRは、式:50IXR+178=EWを用いて当量と関係付けることができる。 FSAポリマーは、コロイド状の水性分散系として製造することができる。それらはまた、他の媒体中の分散系の形にあってもよく、他の媒体の例には、アルコール、テトラヒドロフランなどの、水溶性エーテル、水溶性エーテルの混合物、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。分散系の製造において、ポリマーは酸形で使用することができる。米国特許第4,433,082号明細書、同第6,150,426号明細書および国際公開第03/006537号パンフレットは、水性アルコール性分散系の製造方法を開示している。分散系が製造された後で、濃度および分散液組成は、当該技術分野で公知の方法によって調整することができる。 FSAポリマーを含む、コロイド形成ポリマー酸の水性分散系は、安定なコロイドが形成される限り、できるだけ小さい粒径およびできる限り小さいEWを典型的には有する。 FSAポリマーの水性分散系は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から、Nafion(登録商標)分散系として商業的に入手可能である。 本明細書で上に記載されたポリマーの幾つかは、例えば、塩、エステル、またはスルホニルフルオリドのような、非酸形で形成されてもよい。それらは、下に記載される、導電性組成物の製造のための酸形に変換されるであろう。 7.複合分散系の製造 非フッ素化ポリマー酸およびフッ素化酸ポリマー(「FAP」)でドープされた導電性ポリマーの水性分散系は、本明細書では新規導電性ポリマーの複合分散系と言われる。 複合分散系は、先ずドープされた導電性ポリマーを形成し、次にFAPを加えることによって製造される。FAPは先ず、水性液に溶解させるまたは分散させることができる。 FAPは、FAP対非フッ素化ポリマー酸の酸当量比が少なくとも0.2であるような量で存在する。幾つかの実施形態では、この比は2.0以下である。 幾つかの実施形態では、pHはFAPの添加後に上げられる。pHは、添加剤添加前のカチオン交換樹脂および/または塩基性樹脂での処理によって調整することができる。幾つかの実施形態では、pHは水性塩基溶液の添加によって調整される。塩基のためのカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびアルキルアンモニウムであることができるが、それらに限定されない。幾つかの実施形態では、アルカリ金属がアルカリ土類金属カチオンよりも好ましい。 幾つかの実施形態では、ドープされた導電性ポリマーとFAPとの分散系は、他の水溶性または分散性材料とブレンドされる。加えることができるタイプの材料の例には、ポリマー、染料、コーティング助剤、有機および無機導電性インクおよびペースト、電荷輸送材料、架橋剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。他の水溶性または分散性材料は、簡単な分子またはポリマーであることができる。 本明細書に記載される複合水性分散系は、フィルムへ成形することができる。フィルムは、連続および不連続技法を含む、任意の液体堆積技法を用いて製造することができる。連続堆積技法には、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロット−ダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが含まれるが、それらに限定されない。不連続堆積技法には、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が含まれるが、それらに限定されない。 8.緩衝層 本発明の別の実施形態では、本明細書に記載される新規導電性ポリマー組成物を含む緩衝層が提供される。幾つかの実施形態では、緩衝層は、式Iに由来する少なくとも1つのモノマー単位を有し、そして非フッ素化酸ポリマーでドープされた導電性ポリマーから本質的になる。幾つかの実施形態では、緩衝層は、(a)式Iに由来する少なくとも1つのモノマー単位を有し、そして非フッ素化酸ポリマーでドープされた導電性ポリマーと、(b)フッ素化酸ポリマーとから本質的になる。 新規導電性ポリマー組成物の水性分散系から製造された乾燥フィルムは、一般に水へ再分散できない。従って、緩衝層は、多層薄膜として形成することができる。加えて、緩衝層は、損傷を受けることなく、異なる水溶性または水分散性材料の層でオーバーコートすることができる。 別の実施形態では、他の水溶性または分散性材料とブレンドされた新規導電性ポリマー組成物を含む水性分散系から堆積された緩衝層が提供される。加えることができるタイプの材料の例には、ポリマー、染料、コーティング助剤、有機および無機導電性インクおよびペースト、電荷輸送材料、架橋剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。他の水溶性または分散性材料は、簡単な分子またはポリマーであることができる。 9.電子デバイス 本発明の別の実施形態では、2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの電気活性層を含む電子デバイスであって、新規緩衝層をさらに含む電子デバイスが提供される。用語「電気活性な」は、層または材料に言及されるとき、電子特性、または電気−放射特性を示す層または材料を意味することを意図される。電気活性層材料は、放射線を発してもまたは放射線を受け取るときに電子−正孔ペアの濃度に変化を示してもよい。 図1に示されるように、典型的なデバイス、100は、陽極層110、緩衝層120、電気活性層130、および陰極層150を有する。随意の電子−注入/輸送層140が陰極層150に隣接する。 デバイスは、陽極層110または陰極層150に隣接することができる支持体または基材(示されていない)を含んでもよい。最も頻繁には、支持体は陽極層110に隣接する。支持体は、可撓性または剛性の、有機または無機であることができる。支持体材料の例には、ガラス、セラミック、金属、およびプラスチックフィルムが挙げられるが、それらに限定されない。 陽極層110は、陰極層150と比較して正孔を注入するためにより効率的である電極である。陽極は、金属、混合金属、合金、金属酸化物または混合酸化物を含有する材料を含むことができる。好適な材料には、2族元素(すなわち、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、11族元素、4、5、および6族の元素、ならびに8〜10族遷移元素の混合酸化物が含まれる。陽極層110が光を伝達するべきである場合、インジウム−スズ−酸化物などの、12、13および14族元素の混合酸化物が使用されてもよい。本明細書で用いるところでは、語句「混合酸化物」は、2族元素または12、13、または14族元素から選択される2つ以上の異なるカチオンを有する酸化物を意味する。陽極層110用の材料の幾つかの非限定的な、具体的な例には、インジウム−スズ−酸化物(「ITO」)、インジウム−亜鉛酸化物、アルミニウム−スズ酸化物、金、銀、銅、およびニッケルが挙げられるが、それらに限定されない。陽極はまた、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature vol.357、pp 477−479(1992年6月11日)に記載されているような例示的な材料を含む、有機材料、とりわけポリアニリンなどの導電性ポリマーを含んでもよい。陽極および陰極の少なくとも1つは、発生した光が観察されるようにするために少なくとも部分的に透明であるべきである。 陽極層110は、化学もしくは物理蒸着法またはスピンコート法によって形成されてもよい。化学蒸着は、プラズマ化学蒸着(「PECVD」)または金属有機化学蒸着(「MOCVD」)として行われてもよい。物理蒸着は、イオンビームスパッタリングを含む、スパッタリング、ならびにe−ビーム蒸発および抵抗蒸発の全ての形態を含むことができる。物理蒸着の具体的な形態には、rfマグネトロンスパッタリングおよび誘導結合プラズマ物理蒸着(「IMP−PVD」)が含まれる。これらの蒸着技法は、半導体製造技術分野内でよく知られている。 一実施形態では、陽極層110は、リソグラフ操作中にパターン化される。パターンは要望に応じて変わってもよい。層は、例えば、第1電気接触層材料を適用する前にパターン化マスクまたはレジストを第1可撓性複合バリア構造上に配置することによってパターンで形成することができる。あるいはまた、全体層(ブランケット被覆とも呼ばれる)として適用し、その後、例えば、パターン化レジスト層および湿式化学または乾式エッチング技法を用いてパターン化することができる。当該技術分野でよく知られている他のパターン化法をまた用いることができる。 緩衝層120は、本明細書に記載される新規導電性ポリマー組成物を含む。幾つかの実施形態では、緩衝層は、本明細書に記載される新規導電性ポリマー組成物から本質的になる。この層は、当業者に周知の様々な技法を用いて形成することができる。幾つかの実施形態では、この層は、上に記載された液体堆積技法のいずれかを用いる、本明細書に記載されるような、新規導電性ポリマー組成物の水性分散系の堆積によって形成される。 示されていない、随意の層が、緩衝層120と電気活性層130との間に存在してもよい。この層は、正孔輸送材料を含んでもよい。 正孔輸送材料の例は、例えば、Y.Wangによって、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Vol.18,p.837−860、1996にまとめられている。正孔輸送分子およびポリマーの両方を使用することができる。一般に使用される正孔輸送分子には、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);および銅フタロシアニンなどの、ポルフィリン系化合物が含まれるが、それらに限定されない。一般に使用される正孔輸送ポリマーには、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが含まれるが、それらに限定されない。上述のものなどの正孔輸送分子を、ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマーへドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることもまた可能である。幾つかの場合には、トリアリールアミンポリマー、とりわけトリアリールアミン−フルオレンコポリマーが使用される。幾つかの場合には、ポリマーおよびコポリマーは架橋可能である。架橋可能な正孔輸送ポリマーの例は、例えば、米国特許出願公開第2005−0184287号明細書および公開PCT出願国際公開第2005/052027号パンフレットに見いだすことができる。幾つかの実施形態では、正孔輸送層は、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンおよびペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸−3,4,9,10−二酸無水物などの、p−ドーパントでドープされる。 デバイスの用途に依存して、電気活性層130は、印可電圧によって活性化される発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学セルにおけるなど)、印可バイアス電圧ありまたはなしで放射エネルギーに応答しそして信号を発生させる材料の層(光検出器におけるなどの)であることができる。一実施形態では、電気活性材料は、有機エレクトロルミネセント(「EL」)材料である。小分子有機蛍光化合物、蛍光およびリン光性金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない、任意のEL材料をデバイスに使用することができる。蛍光化合物の例には、ナフタレン、アントラセン、クリセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ルブレン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。金属錯体の例には、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの、金属キレートオキシノイド化合物;Petrovら、米国特許第6,670,645号明細書ならびに公開PCT出願国際公開第03/063555号パンフレットおよび同第2004/016710号パンフレットに開示されているようなイリジウムとフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジン配位子との錯体などの、シクロメタル化イリジウムおよび白金エレクトロルミネセント化合物、ならびに、例えば、公開PCT出願国際公開第03/008424号パンフレット、同第03/091688号パンフレット、および同第03/040257号パンフレットに記載されている有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。電荷を運ぶホスト材料および金属錯体を含むエレクトロルミネセント発光層は、米国特許第6,303,238号明細書に、Thompsonらによって、ならびに公開PCT出願国際公開第00/70655号パンフレットおよび同第01/41512号パンフレットにBurrowsおよびThompsonによって記載されている。共役ポリマーの例には、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。 随意の層140は電子輸送層である。随意の電子輸送層140に使用することができる電子輸送材料の例には、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(AlQ)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、テトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ハフニウム(HfQ)およびテトラキス−(8−ヒドロキシキノラト)ジルコニウム(ZrQ)などの金属キレートオキシノイド化合物;ならびに2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン;ならびにそれらの混合物挙げられる。電子輸送層はまた、Csまたは他のアルカリ金属などの、n−ドーパントでドープされてもよい。 陰極150は、電子または負電荷キャリアを注入するために特に効率的である電極である。陰極は、陽極より低い仕事関数を有する任意の金属または非金属であることができる。陰極用の材料は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、希土類元素およびランタニドを含む、12族金属、ならびにアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウム、ならびに組み合わせなどの材料を使用することができる。作動電圧を下げるためにLiF、Li2OまたはCsFなどのLi−またはCs−含有有機金属化合物をまた、有機層と陰極層との間に堆積させることができる。この層は、電子注入層と言われてもよい。 各機能性層は2つ以上の層から構成できることが理解される。 幾つかの実施形態では、封入層(示されていない)が、水および酸素などの、望ましくない成分のデバイス100への侵入を防ぐために接触層150上に堆積される。かかる成分は、有機層130に有害な影響を及ぼし得る。一実施形態では、封入層は、バリア層またはフィルムである。一実施形態では、封入層はガラス蓋である。 描かれていないが、デバイス100が追加の層を含んでもよいことは理解される。当該技術分野でまたはそれ以外で公知である他の層が使用されてもよい。加えて、上記の層のいずれかが2つ以上のサブ層を含んでもよいしまたは薄層状構造を形成してもよい。あるいはまた、陽極層110、正孔輸送層120、電子輸送層140、陰極層150、および他の層の幾つかまたは全てが、デバイスの電荷キャリア輸送効率または他の物理的特性を高めるために、処理されても、とりわけ表面処理されてもよい。構成要素層のそれぞれ用の材料の選択は、デバイスに高デバイス効率を提供するという目標と、デバイス運転寿命留意事項、製造時間および複雑性因子ならびに当業者によって十分理解されている他の留意事項とを比較検討することによって好ましくは決定される。最適構成要素、構成要素配置、および組成独自性の決定は当業者には日常的であることが十分理解されるであろう。 一実施形態では、異なる層は、以下の範囲の厚さを有する:陽極110、500〜5000Å、一実施形態では1000〜2000Å;緩衝層120、50〜2000Å、一実施形態では200〜1000Å;光活性層130、10〜2000Å、一実施形態では100〜1000Å;随意の電子輸送層140、50〜2000Å、一実施形態では100〜1000Å;陰極150、200〜10000Å、一実施形態では300〜5000Å。デバイスでの電子−正孔再結合ゾーンの位置、従ってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対的な厚さによって影響を受け得る。従って、電子輸送層の厚さは、電子−正孔再結合ゾーンが発光層中にあるように選択されるべきである。層厚さの所望の比は、使用される材料の正確な本質に依存するであろう。 操作中に、適切な電力供給(描かれていない)からの電圧がデバイス100にかけられる。それ故電流はデバイス100の層を通過する。電子は有機ポリマー層に入り、光子を放出する。活性マトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる、幾つかのOLEDでは、光活性有機フィルムの個々の堆積物が独立して、電流の通過によって励起される可能性があり、発光の個々のピクセルにつながる。不活性マトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる、幾つかのOLEDでは、光活性有機フィルムの堆積物は、電気接触層の行および列によって励起される可能性がある。 本明細書で用いるところでは、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、もしくは装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストされないか、またはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を包含してもよい。さらに、それとは反対と明らかに述べられない限り、「または(or)」は、包括的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。例えば、条件AまたはBは次のいずれか1つで満たされる:Aは真であり(または存在し)かつBは偽である(存在しない)、Aは偽であり(または存在せず)かつBは真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方とも真である(または存在する)。 また、「a」または「an」の使用は、本発明の要素および成分を記載するために用いられる。これは、便宜上および本発明の一般的な意味を与えるために行われるにすぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを包含すると読まれるべきであり、単数形はまた、それが別なふうに意味されることが明らかではない限り、複数形を包含する。 本明細書に記載されるものに類似のまたは等価の方法および材料は本発明の実施または試験で用いることができるが、好適な方法および材料は下に記載される。本明細書に述べられる全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体を参照により援用される。不一致の場合には、定義を含む、本明細書が優先されるであろう。加えて、材料、方法、および実施例は例示的なものであるにすぎず、制限的であることを意図されない。 明確にするために、別個の実施形態との関連で上におよび下に記載される本発明のある種の特徴は、単一実施形態において組み合わせで提供されてもよいことが十分理解されるべきである。反対に、簡潔にするために、単一実施形態との関連で記載される本発明の様々な特徴はまた、別々にまたは任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲で述べられる値の言及は、当該範囲内の各値およびあらゆる値を含む。 本明細書に明記される様々な範囲での数値の使用は、あたかも述べられる範囲内の最小および最大値が両方とも単語「約」に先行されるかのように近似値として述べられる。このように、述べられた範囲の上および下への僅かな変動は、範囲内の値と同じ結果を実質的に達成するために使用することができる。また、これらの範囲の開示は、1つの値の構成要素の幾らかが異なる値のそれらと混合されるときに生じ得る分数値を含む最小および最大平均値の間のあらゆる値を含む連続的な範囲であることを意図される。さらに、より広いおよびより狭い範囲が開示されるとき、一範囲からの最小値を別の範囲からの最大値とマッチさせることは、ならびに逆もまた同様に本発明の考慮内である。 本明細書に記載された概念は以下の実施例でさらに記載され、実施例は、クレームに記載される本発明の範囲を限定しない。 実施例1 本実施例は、前駆体モノマー、4−アミノ−インドールの合成を例示する。
無水DMF(80mL)中の2,6−ジニトロトルエン(18.2g、0.1モル)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(28mL、d=0.89、0.2モル)の混合物溶液を5時間還流させた。混合物を次に蒸発させて赤味がかった黒色オイルへ濃縮した。ランの後にCH2Cl2:MeOH(10:1)を溶出液として使用するフラッシュカラムは、赤色の結晶性固体中間体、2,6−ジニトロ−トランス−β−ジメチルアミノスチレン(20.5g、収率86%)を与えた。 赤色の結晶性固体(11.8g、0.05モル)を酢酸/水(2:1混合物、200mLの)に加熱することによって溶解させた。このオレンジ色の溶液に次に、室温でHCl5〜10%(500mL)中のTiCl315%をゆっくり加えた。生じた茶色混合物を60℃で約2時間加熱した。それを水でクエンチし、出発原料を除去するために塩化メチレンで抽出した。水相を濃NaOHで中和し、クロロホルムの添加がこれに続いた。有機相を飽和NaCl溶液およびH2Oで洗浄し、次に無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒蒸発後に、茶色がかった赤色オイルが得られ、それを、CHCl3を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して3.6gの純粋な淡黄色結晶(59%)を得た。NMR分析は、この生成物を4−アミノインドールと確認した。 実施例2 本実施例は、非フッ素化酸ポリマーを使った4−アミノ−インドールの重合を例示する。 4−アミノインドールを使ったこの重合に使用される非フッ素化酸は、Alfa Aesar製の水中のポリスチレンスルホン酸(PSSA)である。それは、75,000の分子量および30%(w/w)PSSAを有する。実施例1からの0.1317g(1.01ミリモル)の4−アミノ−インドールを先ず、50mL三角フラスコに加えた。9.2211gのイソプロパノール(IPA)を加えてモノマーを溶解させた。磁気攪拌機でコンスタントに撹拌されるモノマー溶液に、0.6773g(1.10ミリモル酸当量)のPSSA溶液、引き続き18.3309gの脱イオン水を加えた。これに次に、0.0367gのHCl溶液(水中36.5%HCl)を加えた。 酸化的重合に進む前に、酸化性溶液を、0.2724g(1.2ミリモル)の過硫酸アンモニウムを2.52gの脱イオン水に溶解させることによって作製した。酸化性溶液を約5分でモノマー溶液にゆっくり加えた。それは、先ず非常に迅速に青−緑色がかった色になり、最後に半時間で緑色になった。重合を一定撹拌しながら6日間進行させた。最初の日と次の5日との間に観察できる差は全くなかったことが指摘されるべきである。重合は最初の24時間で完了した。6日の全体時間中に、重合液は分離の兆候を全く示さなかった。 30.9gの重合液を先ず、それが酸化性溶液の添加前のモノマー溶液より粘稠であったので、15.0gのIPA/水(重量比で30/70)で希釈した。希釈した重合液に次に、7.22gのAmberlyst 15プロトン交換樹脂および7.06gのDowex 550A水酸化物アニオン性交換樹脂を加えた。2つの樹脂は、洗液に色が全く存在しなくなるまで水およびIPAで前もって洗浄した。樹脂含有重合液を次に、Whatman #4濾紙で濾過する前に3.5時間対ローラーで撹拌されるままにした。重合液からキャストされたフィルムは、520〜820nmに幅広い平坦域を示す。吸収平坦域は、約2,000nmまで伸びる幅広いテールを有する。重合液は、モノマー溶液よりはるかに高い粘度を有し、かつ、可視および近赤外領域に強い吸収を有するので、モノマーは、ポリスチレンスルホン酸でドープされたポリ(4−アミノ−インドール)へ転化してしまった。 3.12gのAmberlyst 15およびDowex 550Aで処理された29.8gのポリマー分散系を、3.0gのAmberlyst 15で17時間さらに処理した。2.0のpHおよび0.65の固体%を有する、ポリマー分散系は、分離の兆候を全く示さない安定した状態を保つ。それを、青色発光体で試験するデバイス用の緩衝層として使用した。このデバイスデータを実施例3に示す。 実施例3 本実施例は、ポリ(4−アミノ−インドール)/PSSAを緩衝層として使用する青色発光体のデバイス性能を例示する。 実施例2で製造されたポリ(4−アミノ−インドール)/PSSAを、パターン化されたITO基材(デバイス活性エリア=2.24mm×2.5mm)上にスピン−コートすることによって緩衝層を形成するためにここで使用した。ITO基材を使用前にきれいにし、UV−ゾーンオーブン中で10分間処理した。スピン−コーティングを550rpm/秒加速にセットし、この速度に1分間保った。緩衝層材料を含有する基材を次に、140℃で7分間ベークした。緩衝層の厚さは約50nmである。それらを次にドライボックスに移し、その中で全てのさらなるトップコーティングを不活性室で行った。緩衝層を次に、正孔輸送特性を有するアリールアミン含有コポリマーである、HT−1の0.38%(w/v)トルエン溶液でトップコートして275℃で30分間のベーキング後に20nm厚さを達成した。冷却後に、サンプルを高真空室に入れた。6:1の蛍光ホスト:蛍光ドーパントを含有する32nm厚さの発光層を熱蒸発によって蒸着し、電子輸送層としての10nm厚さの金属キノラト誘導体、電子注入層としてのCsFの0.8nm層、および最後に100nmアルミニウム陰極層が順次これに続いた。デバイスを、ガラス蓋、ゲッターパック、およびUV硬化性エポキシを使用して封入した。 デバイスを次に、初期電流、電圧、輝度および色座標特性について測定した。最後に、デバイスの寿命を、輝度および電圧変化を監視しながらそれらを長期間一定電流にかけることによって調べた。得られたデバイス性能データを表1にリストする。
実施例4 本実施例は、高フッ素化酸ポリマーと混合されたポリ(4−アミノ−インドール)/PSSAの製造を例示する。 本実施例に使用される高フッ素化酸ポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)とPSEPVE(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸)とのコポリマーである。TFE/PSEPVEコポリマーは、光散乱に基づいて約5nmの平均粒径を有する、水性分散液中のナノ粒子として存在する。TFE/PSEPVE分散系は、温度がおおよそ270℃であったことを除いて、米国特許第6,150,426号明細書、実施例1、パート2の手順と類似の手順を用いて製造した。 0.65の固体%を有する、実施例2で製造された5.0052gのポリ(4−アミノ−インドール)/PSSAを、0.3459gのTFE/PSEPVE分散系(10.95%)に加えた。TFE/PSEPVE対PSSAの酸当量比は0.41対1であった。混合物は、分離の兆候が全くない、安定な、むらのない分散系を形成した。分散混合物はまた、顕微鏡スライド上にキャストされた平滑なフィルムを形成した。 実施例5 本実施例は、ITOガラス基材上への4−アミノ−インドールの電解重合による非フッ素化酸ポリマーでドープされた導電性ポリマーの製造を例示する。25mgの4−アミノ−インドール、および水中の0.133mLの30重量%ポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)を4.87mLのH2Oと混合した。Aldrich製のスチレンスルホン酸ナトリウムポリマーは、70,000のMwを有する。混合物を次に、電解重合前に4−アミノ−インドールの透明な分散を確実にするために30秒間超音波処理した。2’×2’ステンレススチール(陰極)および2’×2’ITOガラスプレート(陽極)を、5mLの電解重合溶液を含有する長方形電解槽中の2つの隙間のそれぞれへ平行に挿入した。電解槽の立体配置を図1)に示す。3.0Vの電位差を2つの電極間にかけた。1分後に、電解重合を停止し、ITOプレートを電解槽から取り出し、脱イオン水でリンスし、風乾した。ITO上の電解重合フィルムは、はっきりした緑色を有した。それは、ITO/ガラスバックグランドの控除後に可視/近赤外領域の696nmに幅広い、はっきりした吸収ピークを、および1,215nmに第2の幅広いピークを示した。これらの吸収ピークは、ITO上の層の堆積材料がポリマーであることを明らかに示す。 利益、他の利点、および問題の解決策が、具体的な実施形態に関して上に記載されてきた。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、および任意の利益、利点、または解決策が現れるまたはより顕著になるようにする可能性がある任意の特徴は、クレームのいずれかまたは全ての決定的に重要な、必要とされる、または本質的な特徴と解釈されるべきではない。 |