着座者の閾下運動を生じさせるための事務用、作業用、及びレジャー用椅子、及び椅子又は座部面用後付けキット

申请号 JP2017542496 申请日 2015-10-28 公开(公告)号 JP2017533069A 公开(公告)日 2017-11-09
申请人 イーイーイー・ソリューションズ・ゲーエムベーハー; 发明人 ラインハルト,アンドレアス;
摘要 事務用、作業用、及びレジャー用椅子が、その上の着座者の閾下運動を生じさせる働きをする。それは、十字形基部(1)及び関節運動自在ローラー(4)と、ガスばね支持体(2)及びその上に載っている、背もたれ部(22)付き境界パネル(5)と、境界パネル(5)上に取り付けられている基部パネル(28)と、から成る。揺動能 力 のために必要なものは何もかもが当該基部パネル上に取り付けられている。基部パネル(28)より上方にはカバーパネル(27)が複数のばね要素(7)上に載っていて、それらばね要素(7)は、基部パネル(28)の中心から半径方向に又は半径方向に対して斜めに又は螺旋状に、どの場合も基部パネル(28)の周辺の方向に、変位できるように取り付けられている。当該ばね要素(7)は、プッシュプルケーブルによって又は少なくとも1つのボーデンケーブルによって、ばね力に対抗して外方又は内方に変位させることができるので、座部カバー(19)が揺動する距離及び揺動作用のために要求される力及び/又は重量を変えることが可能である。【選択図】図1
权利要求

着座者の閾下運動を生じさせるための事務用、作業用、及びレジャー用椅子であって、十字形基部(1)及び関節運動自在のローラー(4)と、ガス−ばね支持体(2)及びその上に載っている、支持体パネルとしての境界パネル(5)及びその上に取り付けられている基部パネル(28)であって座部面を有する座部カバー(19)を支承している基部パネル(28)と、背もたれ部(22)と、を備える事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、前記座部カバー(19)は、それが、前記基部パネル(28)の中心から半径方向に又は半径方向に対して斜めに又は螺旋状に当該基部パネル(28)の周辺の方へ変位可能である複数のばね要素(7)上にカバーパネル(28)を介して載っていることから揺動能を有するような具合に支承されているものであり、前記座部カバー(19)の当該揺動距離及び当該揺動運動の減衰が可変になるように、前記ばね要素は機械式、油圧式、空気圧式、又は電気式に位置を外方又は内方に変位可能である、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。請求項1に記載の事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、前記ばね要素(7)は、それらが各々、2つのローラー(10)を自身を越えて下方へ突出させている下部パネル(14)及び2つのローラー(9)を自身を越えて上方へ突出させている上部パネル(13)を有する台車を形成していて、前記パネル(13、14)の間には圧力ばね(15)が組み入れられていることから、及び前記基部パネル(28)とその上方に横たわる前記カバープレート(27)にはこれらの台車のための走行溝として溝(11)が組み入れられていて、それらはプッシュプルケーブル(31、32)又はボーデンケーブル(12)によって前記溝(11)に沿って転動可能になっていることから、変位可能な方式に支承されているものであり、当該ケーブルの操作レバー(26)は当該事務用、作業用、又はレジャー用椅子に座っているときに操作可能である、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。請求項2に記載の事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、前記圧力ばねは、少なくとも1つの鋼圧力ばね(15)、又は少なくとも1つの空気蛇腹体(16)、又は少なくとも1つの重ね板ばねパッケージ(17)、によって形成されている、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。請求項1に記載の事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、前記基部パネル(28)には溝(11)が設けられており、前記ばね要素(7)は各々が前記基部パネル(28)の溝(11)内を転動する少なくとも1つの弾性エラストマーローラー(18)で形成されており、その上に変位パネル(30)が横たわり、当該変位パネル(30)はそれが前記エラストマーローラー(18)上を転動するようにプッシュプルケーブルのケーブル(31、32)によって両方向に変位させることができる、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。請求項1に記載の事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、前記基部パネル(28)及びその上方に横たわる前記カバープレート(27)には溝(11)が形成されており、当該溝(11)内には、圧力ばね内蔵の滑動要素がスライドレール上に変位可能に支承され、少なくとも1つのプッシュプルケーブル(31、32)又はボーデンケーブルによって変位可能になっており、当該ケーブルの操作レバーは、当該事務用、作業用、及びレジャー用椅子に座りながらに起動させることができる、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。請求項1から5の何れか一項に記載の事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、プッシュププルケーブル(31、32)又はばね荷重式ボーデンケーブル(12)によって、次の要素を操作することができ、即ち、 a.前記ガスばね支持体及びひいては前記座部面(19)の高さ調節、 b.ばねの力に逆らって調節可能な前記背もたれ部(22)の傾き、 c.前記境界パネル(5)上の前記基部パネル(28)の、又は当該境界パネル(5)の、当該事務用、作業用、及びレジャー用椅子に対する前方及び後方変位、 を操作することができ、関連付けられる操作レバー(26)は前記座部面より上方の肘掛け部(24)又は肘掛け部支持体(23)上に配列されている、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。請求項1から6の何れか一項に記載の事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、その揺動可能な座部カバー(19)又はカバーパネル(27)は、この事務用、作業用、及びレジャー用椅子に関連するアプリであって当該後付けキット上の着座者の着座挙動を記録するためのアプリを有するスマートフォンの平挿入のための受け入れスロットを有しており、その場合、当該揺動運動は前記スマートフォンによって経時的に記録でき、前記アプリに評価させ、表示させ、無線式に出力させることができる、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。請求項1から7の何れか一項に記載の事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、前記座部カバー(19)は、二層又は多層の積層体様の層構造を備えていて、それの下側の支持層(64)は軟質弾性設計であり上側の支持層(20)は硬質である、ということ、及び前記上側のカバーパネル(27)を前記下側のカバーパネル(28)に対して旋回させることができ、前記ばね要素(7)の上端を下端に対して旋回させることができる、ということ、及び前記ばね要素(7)のための前記溝(11)のコースは前記カバーパネル(27、28)同士の互いに対する旋回が前記溝(11)内での前記ばね要素(7)の変位を生じさせるようになっているので、前記座部カバー(19)を旋回させるだけで前記椅子の当該揺動特性は変更可能である、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子。従来式の椅子の非揺動可能な座部面又は任意の座部面上へ取り付け又は設置してその上の着座者の閾下運動を生じさせるための後付けキットであって、当該後付けキットは、基部パネル(28)の中心から半径方向に又は半径方向に対して斜めに又は螺旋状に当該基部パネル(28)の周辺の方へ変位可能となるように各々が支承されている複数のばね要素(7)上に載っているカバーパネル(27)上に着座していることから揺動が可能である座部カバー(19)を備えており、前記座部カバー(19)の当該揺動距離及び当該揺動運動の減衰を変更できるように、前記ばね要素(7)は、機械式、油圧式、空気圧式、又は電気式に位置を外方又は内方に変位可能である、ということを特徴とする後付けキット。請求項11に記載の後付けキットにおいて、前記ばね要素(7)は、それらが各々、2つのローラー(10)を自身を越えて下方へ突出させている下部パネル(14)及び2つのローラー(9)を自身を越えて上方へ突出させている上部パネル(13)を有する台車を形成していて、前記パネル(13、14)の間には圧力ばね(15)が組み入れられていることから、及び前記基部パネル(28)とその上方に横たわる前記カバープレート(27)にはこれらの台車のための走行溝として溝(11)が組み入れられていて、それらはプッシュプルケーブル(31、32)又はボーデンケーブル(12)によって前記溝(11)に沿って転動可能になっていることから、変位可能な方式に支承されているものであり、当該ケーブルの操作レバー(26)は当該事務用、作業用、又はレジャー用椅子に座っているときに操作可能である、ということを特徴とする後付けキット。請求項10に記載の後付けキットにおいて、前記圧力ばねは、少なくとも1つの鋼圧力ばね(15)、又は少なくとも1つの空気蛇腹体(16)、又は少なくとも1つの重ね板ばねパッケージ(17)、によって形成されている、ということを特徴とする後付けキット。請求項9に記載の後付けキットにおいて、前記基部パネル(28)には溝(11)が設けられており、前記ばね要素(7)は各々が前記基部パネル(28)の1つの溝(11)内を転動する少なくとも1つの弾性エラストマーローラー(18)で形成されており、その上に変位パネル(30)が横たわり、当該変位パネル(30)はそれが前記エラストマーローラー(18)上を転動するようにプッシュプルケーブルのケーブル(31、32)によって両方向に変位させることができる、ということを特徴とする後付けキット。請求項9に記載の後付けキットにおいて、前記基部パネル(28)及びその上方に横たわる前記カバーパネル(27)には溝(11)が形成されており、当該溝(11)内には、圧力ばね内蔵の滑動要素がスライドレール上に変位可能な方式に支承され、少なくとも1つのプッシュプルケーブル又はボーデンケーブルによって変位可能になっており、当該ケーブルの操作レバー(26)は、当該事務用、作業用、及びレジャー用椅子に座りながらに操作可能である、ということを特徴とする後付けキット。請求項9に記載の後付けキットにおいて、前記上側のカバーパネル(27)は前記下側のカバーパネル(28)に対して捻転可能であり、前記ばね要素(7)の上端は下端に対して捻転可能である、ということ、及び前記ばね要素(7)のための前記溝(11)のコースは前記カバーパネル(27、28)同士の互いに対する捻転が前記溝(11)内での前記ばね要素(7)の変位を生じさせるようになっているので、前記座部カバー(19)を旋回させるだけで前記椅子の当該揺動特性は変更可能である、ということを特徴とする後付けキット。請求項9から請求項14の何れか一項に記載の後付けキットにおいて、その下面側では、前記基部パネル(28)が周方向の下方に張り出すエプロン様のフレームを有しており、当該エプロンの内部は、従来式の事務用、作業用、及びレジャー用椅子の座部面の座部面輪郭にぴったり沿わせて適合させるために熱の供給を通して硬化させることのできる発泡体の塊を充填されている、ということを特徴とする後付けキット。請求項9から請求項15の何れか一項に記載の後付けキットにおいて、その座部カバー(19)又はカバーパネル(27)は、この後付けキットに関連するアプリであって当該後付けキット上の着座者の着座挙動を記録するためのアプリを有するスマートフォンの水平挿入のための受け入れスロットを有しており、その場合、当該揺動運動は前記スマートフォンによって経時的に記録でき、前記アプリに評価させ、表示させ、無線式に出力させることができる、ということを特徴とする後付けキット。請求項9から請求項16の何れか一項に記載の後付けキットにおいて、前記座部カバー(19)は、一層又は多層の積層体様の層構造を備えていて、それの下側の支持層は軟質弾性設計であり上側の支持層は硬質である、ということを特徴とする後付けキット。

说明书全文

[0001]本発明は、事務用、作業用、又はレジャー用の椅子において、関数的でユーザー定義の空気圧起動式の機構を用いることによって椅子が着座者の閾下運動(subliminal movements)を生じさせることで実質的に改善された着座快適性を、特に長い着座期間に亘って、提供する事務用、作業用、又はレジャー用の椅子に関する。本発明は、更に、着座者の閾下運動を発生させるために、既存の椅子又は任意の椅子表面又は区域へ装着するための後付けキットに関する。

[0002]人つまり勤労者にとって、座ることは、比較的近年の現象であり、本質的にはサービス提供社会の成長及びコンピュータの導入に伴って初めて広く行き渡るようになってきたという事実に照らせば、身体姿勢としての座りが重要性を増しつつあり、今日では勤労日を着座して過ごすという膨大な数の人々を通じて座りは公衆衛生に相応の影響を及ぼす。ドイツでは、大凡8000万の人口に対し合計40億脚の椅子が存在しており、即ち各人に大凡50脚の椅子が存在することになる。製品としての椅子は、この様に誰にとっても馴染みのある重要な物であり、それが極めて広範囲に使用されていることだけをとっても、椅子は人の幸福と身体的健康の最大限の快適性と支援を提供するべきである。

[0003]アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(American Journal of Physiology)に発表されているテルアビブ大学の科学研究は、ヒトの身体は恒常的に圧及び/又は張力に曝されている箇所により多くまたより速く脂肪を肥厚化させることを示している。研究所の試験では、長時間に亘る座りをシミュレートするためにアジポサイト(脂肪細胞)が機械的緊張に曝された。最先端の顕微鏡検査を用いて、どの様にアジポサイトが機械的圧力で変化するかが調べられた。脂質の液滴が一体に集塊化し、より大きくより堅くなっていった。このことから、長期間の着座中は静的圧力が臀部及び大腿の脂質蓄積を助長すると結論付けることができる。これとは対照的に、アジポサイトは周期的な引き伸ばしを通じてサイズを縮小させることもできるのではないだろうか。

[0004]先行技術は、数多くの椅子設計、より具体的には数多くの事務用、作業用、及びレジャー用椅子の設計を含んでおり、それらはどれも座りの快適性を最適化し且つ同時に健康的な座りを可能にしようと努めている。典型的な事務用、作業用、及びレジャー用椅子は、十字形基部として、支持体から星の様な様式で半径方向に張り出す数本の脚と一体の基部台座又は平リングを有しており、当該基部台座又は水平リングには追加の垂直軸周りに回転するローラーが配列されていて、基本的に椅子を全ての方向に転がすことができるようにしている。典型的な事務用、作業用、及びレジャー用椅子は、更に、垂直軸周りに回転可能な様式で基部台座上に支承されていて高さ調節可能になってはいるがそれ自体は静止である安定した座部面を有している。その様な椅子の上では着座者の臀部及び背部が動かされることは殆どなく、それは血液循環にとって有害であり、また最後になったが同じく重要なこととして健康上も有害である。事務用椅子には背もたれ部が設けられていることもあり、また多くの場合、肘掛け部も設けられている。座部の高さ、背もたれ部の勾配、肘掛け部の高さ、などを調節するための操作要素は、大抵はどれも座部面の下に配置されていて、椅子に腰かけているときは対応するレバーが見えない。

[0005]人間工学的な事務用、作業用、及びレジャー用椅子のモデルが、例えばドイツ特許第102005033052A1号に開示されている。それは、座部面が傾け装置上に横たわっている座るための或る家具を示している。この傾け装置には、環状管空気クッションの形態をしている停止装置が割り当てられていて、当該空気クッションを介して傾け運動の傾き度を調節できるようになっている。1つの実施可能な具現化は、傾け運動の不活動化を制限する目的で個別に空気を入れることのできる数個の空気クッションに関している。座部面の下に配列されている手動レバーという方途により、着座者は空気クッションを空気ポンプを介して膨らませることができ、又は中に入っている空気を脱気弁を通して座部面の下に流出させることもできる。

[0006]類似のものは米国特許第2008/0079301A1号の療法用座部装置からも知られている。これは、身体運動の知覚また更には健康を高めるための装置、より具体的には脳性麻痺又は脊柱側弯症の様な神経筋肉系病態を有する人たちのための装置を示している。システムの方法は、段落[0005]のものと類似の方式で、支持構造、運動制御ユニット、及び座部基板と一体に設計されている。装置の構造は、結果的に互いに関して垂直に立つ2つの軸をもたらし、当該軸周りを回転可能に座部基板が支承されている。これらの運動を緩衝するために、環状で膨らませることのできる要素を備えた減衰用の装置が提供されている。中に入っている空気の体積は、座部より下方のポンプ及び脱気弁によって調整できる。但し、この装置は、椅子に腰かけている人の可変に減衰された傾け運動をもたらすための多数の個別構成要素を有する非常に複雑な構造を有している。

[0007]加えて、或る装置が国際公開第2007/105960A1号から知られており、当該公開は中心を支承されている座部基板を有する着座装置を開示している。この座部カバーの下には、2つか又は4つのどちらかの空気クッションが中心軸受周りに互いに反対に又は直交に配列されていて、回転の軸に沿った減衰の定義可能な調節のためにそれらクッション間で空気を交流させることができるようなやり方で互いへ接続されている。

[0008]上述の文献は、本質的には、着座中の運動性をもたらすことに関係する先行技術を形成している。掻い摘んで言うと、その様な着座装置上で、人は、2つの軸周りに重ね合わされていて空気クッションを介して減衰させることのできる傾け運動を行うことができるわけである。問題の当人は、手動で、座部カバー下で操作できるポンプと弁により空気体積又は圧力を調整することができる。但し、実際のところ、これらの解は満足のゆく座り姿勢に帰着しない。長い時間の期間に亘って座っている人々は極めて不精で自分たちの座り位置を変えることが殆どないことを多くの研究が裏付けている。実際、その様な人は以上の文献に開示されている空気クッションの減衰度を1回だけ調節したら、対応する傾き度に慣れてしまう。当人が椅子の上に腰かけた後ほどなく、彼/彼女の運動の活動性はかなり下がってゆき、又は完全に止んでしまうことすらある。身体は傾け運動を避けようとするものであり、座っている人がこのことに直接気付いていなくても自然とそうなる。彼/彼女が不必要な運動をすることを自らが阻止するということは人間の生来的な惰性である。また、会社に雇用されている人で事務用、作業用、及びレジャー用椅子の上で終日働く人は、椅子への系統的調節を殆ど行いそうもない。彼又は彼女は、自分で快適であると見極めた位置に座ってしまえば、この位置をより悪い座り心地に変える危険を冒そうとはしないであろう。加えて、彼/彼女の勤務中はその様な考えが彼/彼女の頭に浮かぶことすらないであろう。自発性が必然的に欠けているのであるから、可変微調節を多種多様に取り揃えたところで、この無活動を防ぐことはできないだろう。

ドイツ特許第102005033052A1号

米国特許第2008/0079301A1号

国際公開第2007/105960A1号

[0009]本発明の目的は、従って、段落[0001]の目的を実現することに新たな道筋をつけることになる閾下運動を促す事務用、作業用、及びレジャー用椅子であって、特に長時間の健康的な座りのための機械的及び生物学的な刺激の事務用、作業用、及びレジャー用椅子を提供することである。本椅子は、不活動性の座りから脱して、臀部、背部、及び大腿部の血管の循環を促進しもする須要的に動的で刺激性の座りの方向に向かって全く新たなレベルへ座りを引き上げようとするものである。現在入手可能な事務用椅子によって生じる骨盤領域の不活動性は、臀部及び骨盤の区域及び間接的には背部の筋肉全てを活性に保つための自然であって須要的又は必定的にもたらされる骨盤運動に取って替わられることになる。この骨盤運動は結果的に捻転力及び屈曲力が脊椎に作用する、特に腰部領域の脊椎に作用するという点で、脊椎の連動動作をもたらすことになる。

[0010]適応性荷重依存運動学という方途により、事務用、作業用、及びレジャー用椅子は、閾下運動を須要的に誘導するので、着座者は、殆どの場合に又は随意的にも、それら運動を自覚的に感じることはなく、彼/彼女の集中力は低下しない。着座者は、従って、必定的に絶えず閾下運動を行うことになる。不可避的な閾下的に活動性の座りを通して、仕事の集中力は平均よりいっそう高まるはずである。従ってこれらの軽微運動の誘導は、着座者の仕事の遂行性又は他の精神的緊張の観点で失敗しない高信頼度の手段によって確約されなくてはならない。それにより上記の狙いは常に堅牢に確約される。

[0011]随意的には、事務用、作業用、及びレジャー用椅子は、個別化可能なユーザープロファイルに整合していて、ユーザープロファイルの調節可能性は実際に定期的に使用できるようになっているのがよい。事務用、作業用、及びレジャー用椅子は、間接的に活動性の椅子ではなくてはならず、静止したエンティティであってはならないが、とはいえ、個別の実施形態では、それは人工のエネルギー源からほぼ完全に自律していて、従ってどこでも使用可能であるのがよい。

[0012]この課題は、着座者の閾下運動を生じさせるための事務用、作業用、及びレジャー用椅子であって、十字形基部及び関節運動自在のローラーと、ガス−ばね支持体及びその上に載っている、担持体パネルとしての境界パネル及びその上に取り付けられている基板であって座部面を有する座部カバーを支承している基板と、背もたれ部と、を有する事務用、作業用、及びレジャー用椅子において、当該座部カバーは、それが、基板の中心から半径方向に又は半径方向に対して斜めに又は螺旋状に基板の周辺の方へ各々が変位可能である複数のばね要素上にカバーパネルを介して載っていることから揺動できるような具合に支承されているものであり、座部カバーの揺動距離及び揺動運動の減衰が可変になるように、当該ばね要素は、機械式、油圧式、空気圧式、又は電気式に位置を外方又は内方に変位可能である、ということを特徴とする事務用、作業用、及びレジャー用椅子により解決される。

[0013]加えて、課題は、従来式の椅子の揺動できない座部面又は任意の座部面上に取り付け又は組み付けて着座者の閾下運動を発生させるための後付けキットであって、当該後付けキットは、基板の中心から半径方向に又は半径方向に対して斜めに又は螺旋状に基板の周辺へ向かう方向に各々が変位可能である複数のばね要素上に支持されていることから揺動できるように支承されている座部カバーを有しており、座部カバーの揺動距離及び揺動運動の減衰が可変になるように、当該ばね要素は、機械式、油圧式、空気圧式、又は電気式に位置を外方又は内方に変位可能である、ということを特徴とする後付けキットという方途により解決される。

[0014]事務用、作業用、及びレジャー用椅子並びに後付けキットの他の随意的な実施形態は、他の重要な機能をもたらす。例示として、この椅子及び後付けキットの実施形態を提示し、それらの機能を記述し解説する。

可動式ばね要素のおかげで揺動することのできる座部面を有する事務用、作業用、及びレジャー用椅子の分解図をその必須構造要素と共に示している。

座部面の揺動作用を確実にするための機械式装置の拡大図を示している。

変位可能性のための天面及び底面のローラーと、それらの間のサスペンション用空気蛇腹体と、を有するばね要素を示している。

変位可能性のための天面及び底面のローラーと、サスペンション用の重ね板ばねパッケージと、を有するばね要素を示している。

サスペンションとして弾性的に弾むエラストマーローラー上を転動する変位パネルを有するばね要素を示している。

基部パネルとカバーパネルの間にばね要素を有する事務用、作業用、及びレジャー用椅子の正面図を示している。

肘掛け部及びプッシュプルケーブル又はボーデンケーブル操作用レバーと一体の、組み立てられた状態にある事務用、作業用、及びレジャー用椅子を示している。

ピンチ弁を動作させるためのボーデンケーブル操作用の作り付けレバーを有する肘掛け部を示している。

ボーデンケーブルの各位置をばね荷重式締め付け板によってロックすることに係る肘掛け部のレバーを示している。

座部カバーを旋回させることを通じて揺動特性を調節するための或る変形型を示している。

揺動可能な座部面を運動学的(phoronomic)要素の背もたれ部と組み合わせて有するその様な事務用、作業用、及びレジャー用椅子を示している。

背もたれ部及びその運動学的要素の、背面から見た図を示している。

特に単純で有効な実施形態の運動学的要素と一体の背もたれ部の斜め背面図を示している。

[0015]図1は、この事務用、作業用、及びレジャー用椅子の、着座者の閾下運動を発生させるための構造の分解図を示しており、必須構成要素への識見を提供している。一番下には、十字形基部1とこれの上のガス−ばね支持体2が見られ、当該支持体2はここでは中心に配列されているが側方へ位置をずらされていてもよく、例えば、座部カバー19の真下の区域を空けておくために事務用、作業用、及びレジャー用椅子のまさに後部の背もたれ部22の下に位置をずらされていてもよい。ガスばねにより、ガスばね支持体2の高さは従来方式で調節可能である。十字形基部1は、5つ又はそれ以上の腕部を有し各腕部の端に関節運動自在のローラー4が取り付けられた星形ローラーの形態をしていてもよい。示されている実施例では、十字形基部1は、多数の関節運動自在ローラー4が支承されている円周リング3に終端している。これは、事務用、作業用、及びレジャー用椅子が全方向に極めて容易に且つ最小限の抵抗で転動することを確実にする。十字形基部1のガスばね支持体2の上には、椅子の残りの構造のための担持体パネルとしての境界パネル5が配列されていて、当該パネル5上に、座部面の揺動作用のための構成要素全てが築き上げられている。この境界パネル5には椅子機構も配列され、支持体2上で境界パネル5がこの椅子機構上を前方及び後方へ変位できるようにしている。境界パネル5の上には、揺動作用をもたらすための装置6の基部パネル28が設置されている。

[0016]この装置6は、示されている具現化の実例では、4つの半径方向に延びる溝11の形成された基部パネル28そして更にカバーパネル27を備えており、当該カバーパネル27にもその様な溝11が基部パネル28の溝11と向かい合わせに設けられている。これらの溝11はばね要素7のための走行溝であり、それらばね要素7はローラーでこれらの溝11の中を内方へ基部パネル28及びカバーパネル27の中心に向かって変位可能であり、また同様に外に向かって変位可能である。基部パネル28上のこれらのばね要素7のおかげで、カバーパネル27は揺動運動を遂行することができ、即ち全方向に傾けるわけである。溝11内でのばね要素7の変位又は転動は、事務用、作業用、及びレジャー用椅子の着座者が肘掛け部上のレバー、調節ホイール、又は旋回式ノブを用いて動作させることのできる2本のケーブル31、32を有するプッシュプルケーブルによって起こる。プッシュプルケーブルは、押すこと又は引くことを通して、遠くに在る何かを動作させることができ、各位置をロックすることもできる、という利点を有している。このレバーが座部面より上に配列されているなら都合がよい。但し座部面下の配列も当然ながら実施可能である。2本のケーブル31、32を有するプッシュプルケーブルの代わりにボーデンケーブルを使用することもできる。その際、それのケーブル21がばね要素7を中心に向けて引くのに対し、ばね要素7は、基部パネル28上で中心に配列されている引張ばね8によって、常に外向きに周辺に向かって引かれる。接続ケーブルはばね要素7の外面と引張ばねの間に1つ又はそれ以上の偏向ロール35を介して渡されている。ばね要素7が基部パネル及びカバーパネルの中心に近いほど、カバーパネル27は基部パネル28に対してより容易に揺動し、ばね要素7が周辺に向かってより遠く配置されているほど、揺動し難い。各ばねが個別に変位可能である1つの実施形態では、揺動特性の何れかを調節すれば後ろに向けての揺動が前に向けての揺動より簡単に起こる、など、するようになっていてもよい。この調節の実施可能性に対する或る変形型として、油圧式又は空気圧式の調節が行われていてもよい。油圧式又は空気圧式のパイプラインが、ピストンの押し込みと引き入れを通してばね要素を変位させる小型のシリンダユニットへ通じている。最後に、押しボタンで動作させる電気モーターによってプッシュプルケーブルを動作させることができるようにした電子式変形型も実施可能である。但し、これについてはエネルギー貯蔵部としてバッテリが必要となる。

[0017]実際の座部クッションを形成している座部カバー19はカバーパネル27上に不動に取り付けられている。このために、座部カバー19又はその下側の支持体パネル65は底に陥凹を有していて、カバーパネル27上に精密に馴染む方式で取り付けることができ、そこへ下からねじ留めできるようにしている。更に、座部カバー19は、二層又はそれ以上の層の積層式に構築されていて、下から順に、支持体パネル65、それに続いて軟質弾性材料で作られている下部支持体層64を備え、そしてその上に下部支持体層64より硬質の上部支持体層20が横たわっている。それはなおいっそう多くの層で構築されていてもよい。上に向かう方向に見て軟質層の次に硬質層が続いているのが重要であるが、とはいえ軟質層を一番上に存在させることもできる。こうして、説明されている要素の組み立てられた状態では、機械式ばね要素7に因り、カバーパネル27及び座部カバー19と一体の椅子は揺動することができ、特に全方向に揺動することができる。

[0018]図2は揺動作用をもたらすための装置6の拡大図を示している。基部パネル28及びカバーパネル27が確認でき、それらは、各々、中心に穴29を有しており、当該穴29には、ばね要素7を変位させるためのプッシュプルケーブル31、32又はボーデンケーブル12が通っている。基部パネル28とカバーパネル27には、2つの対向する面に、それぞれ、ばね要素7を変位させることのできる走行溝の役目を果たす4つの半径方向溝11が設けられている。この事例では、ばね要素9は転動式の台車である。上部パネル13は、鋼又は硬質プラスチックで作られていて、上向きにそれ自体より上方に突出している2つのローラー9を有しており、下部パネル14はそれ自体を越えて下方に突出している2つのその様なローラー10を有している。これらのローラー9、10と共にばね要素7は、基部パネル28及びカバーパネル27の中心に向かって内方へ及びそれらの周辺に向かって外方へと溝に沿って前後に走行する。溝11は半径方向以外の方式で延びていていてもよい、ということは明白である。それらは半径方向に対し斜めであってもよく、そうすると変位経路がより大きくなることでより細かい調節可能性を実現できるようになる。溝は更に、螺旋状の方式に延びていてもよく、そうするとなおいっそう長い変位経路が実現される。各ばね要素7は、上部パネル13と下部パネル14を備えている。これら2枚のパネル13と14の間には、示されている実施例では圧力ばね15が組み入れられている。これは、線形又は漸進的に弾ませることができ、数センチメートルのばね経路を有している。このばね経路もまた選択でき、ばね要素7は椅子を使用することになる人の体重に適合できるように入れ換え可能である。変位は、台車の前と後ろへ付着されていて台車をどちらの方向にも変位させられるプッシュプルケーブル31、32によって起動させるようになっているか又はボーデンケーブル12によって起動させるようになっているのが望ましく、するとどちらの場合も引張ばね8が必須であり、ボーデンケーブルの場合、引き動作が1方向のみ、つまり基部プレース28及びカバーパネル27の中心に向かって起こるとして、当該引張ばね8は恒常的にばね要素7を外方へ引く。

[0019]図3は、自身のローラー9を有する上部パネル13及び自身のローラー10を有する下部パネル14と一体の台車としての単一のばね要素7を示している。それらパネルの間に圧力ばねとして空気蛇腹体16が在る。その様な空気蛇腹体16はそれ自体が漸進的に機能し、つまり言うなれば、それがより一体的に寄り合って押圧されているほど、それを更に一体的に押圧するにはより多くの力又は体重が必要となる。

[0020]図4は、自身のローラー9を有する上部パネル13及び自身のローラー10を有する下部パネル14と一体の台車の形態をしている単一のばね要素7の別の実施例を示している。それらパネルの間には、サスペンションとして2つの重ね板ばねパッケージ17が在る。このばね要素7の特性は、1つ又はそれ以上の追加の重ね板ばねパッケージを組み入れること、又は異なるばね力を持つその様な重ね板ばねパッケージを組み入れること、を通じて簡単に変えることができる。この様にして、基部プレート28上のカバーパネル27の揺動特性を簡単に変更できる。或る更なる変形型では、ばね要素7は、台車の代わりに滑動体として設計されていて、これらの溝11内のスライドレール上に、従って溝11内で変位可能な方式に、支承されている。

[0021]図5は、調節可能なサスペンションをどの様にもたらすことができるかの更なる実施例を示している。この実施形態によれば、弾性エラストマーローラー18が走行溝11内を転動する。その上に変位可能なパネル30が載っていて、そのパネル30の両端にて、そこへ付着されているケーブル31、32を引くことを通して、両方向に変位させることができる。これらのケーブル31、32は、椅子上のレバーによって動作させることのできるプッシュプルケーブルに属している。この場合もやはりボーデンケーブルを代替として使用することができる。

[0022]図6は、事務用、作業用、及びレジャー用椅子を下側を開放して示しており、基部パネル28及びカバーパネル27をそれらの間のばね要素7と共に見ることができる。座部カバー19はカバーパネル27の上に横たわっている。この椅子は、高さ調節可能な腕部支持体23上に配列されている肘掛け部24を具備している。一方の腕部支持体23には、2本のケーブル31、32を有するプッシュプルケーブル又はボーデンケーブル12を動作させるためのレバー26が配列されている。ケーブル31、32;12は、座部カバー19の揺動特性を変更するために基部パネル28とカバーパネル28の間のばね要素7を計量変位させるように基部パネル28及びカバーパネル28の中心へ通じている。

[0023]図7は、揺動できる座部面19を有する、組み立てられた事務用、作業用、及びレジャー用椅子の正面図を示している。十字形基部1及びガスばね支持体2が見える。事務用、作業用、及びレジャー用椅子では、揺動作用のための機構を含んでいる境界パネル5の全体構造は、カバーパネル27から下へ境界パネル5を少し越えて張り出しているエプロン33によって覆われている。これに因り、座部カバー19の揺動作用のための全体構造は見えなくなっていて、座部カバー10の座部面の最大揺動傾きの場合ですら見えない。エプロン33は、ガスばね支持体の締結具を通せるようにするのに必要であれば、ガスばね支持体2又は境界パネル5上へ作り付けられている背部支持体22に正対して背面に垂直方向のスリットを有している。エプロン33は、例えば、中実又は可撓性の金属又はプラスチックの外套の形態をしていてもよい。それは、装飾的に見えるように織物材料又は他の適した材料で覆われていてもよい。

[0024]境界パネル5の側面又は支持体2へは高さ調節可能な腕部支持体24が付着されている。特別な特徴として、腕部支持体24には数個のグリップレバー26が配列されている。これらは、この特別な椅子の様々な機能を調節及び設定するためのものである。座部面19より上方の矢印で指示されている様に、これは指示方向への揺動運動又は全方向への重ね合わされた揺動運動を可能にさせる。揺動能力、その軟らかさ又は硬さ、並びに揺動経路は、調節できる。体重45kgの女性から優に150kg又はそれ以上の体重の男性に及ぶ体重の個人差が大きい人たちが椅子を使用できるようにしなくてはならないという事実だけからしても、これは重要である。体重の重い人については、体重の軽い人より硬いばねが使用される。様々なプッシュプルケーブル又はボーデンケーブルを動作させることにより、ここでは破線で指示されている関連付けられるケーブル12又はケーブル対を張力又は圧力に曝し、それにより基部パネルとカバーパネルの間のばね要素7を変位させることができ、また支持体2の高さ調節並びに背もたれ部22の傾きの調節も可能になる。背もたれ部22は、従来式に、境界パネル5上又は支持体2上にばね荷重式の枢動方式で締結されている。全体として見ると、プッシュプルケーブル31、32又はボーデンケーブル12を用いて請け負うことのできる調節又は設定、又は更に油圧式、空気圧式、又は電気式の手段を用いて請け負うことのできる調節又は設定は、以下の通りであり、即ち、 ・基部パネル28上のばね要素7の集合的又は個別の変位 ・座部面19の高さの調節 ・背もたれ部22の傾きの調節 ・境界パネル5上の座部カバー19の前方又は後方への調節 ・脊椎支持体の側での運動学的要素の調節(後述) を請け負うことができる。

[0025]図8は、事務用、作業用、及びレジャー用椅子の腕部支持体24を、当該腕部支持体24の下に付着されている、基部パネルとカバーパネルの間のばね要素7の変位のためのプッシュプルケーブル又はボーデンケーブル12を動作させるためのレバー26と共に示している。両腕部支持体24は、各々、高さ調節可能な肘掛け部支持体23に載っており、肘掛け部支持体23は椅子の下部構造又は境界パネル5上に取り付けられている。或る実施例では、示されている様に、自転車又はオートバイのブレーキレバーと類似のグリップレバー26が肘掛け部支持体23上へ作り付けられている。レバーの代わりに回転ホイール又は回転ノブを使用することもできるのではないだろうか。このレバー又は回転ホイール又は回転ノブは、動作させられると、既に説明されている様にばね要素7を変位させるプッシュプルケーブルシステムのケーブル又はボーデンケーブル12を引く。グリップレバー26は、基部46内に枢動式に保持されていて、この基部46が肘掛け部支持体23へ接続されている。レバー運動が十分な調節経路を現出させるために、当該ボーデンケーブルのケーブルは座部カバーの下にプーリーブロックを反転式に形成していてもよいし、又はより大きい経路を実現するようにプッシュプルケーブルシステムを変速させるようにすることもできる。

[0026]図9は、肘掛け部支持体23上のレバー26であって、横軸59周りに枢動させることのできるばね荷重式締め付け板50によってボーデンケーブル12のワイヤケーブルをどの位置にもロックするための装置と一体のレバー26を示している。ケーブル31、32;12は、端区域を、鋼円筒体49に包封され、それへ堅く接続されている。その端は、グリップレバー基部46内の取り付け部55に着座するヘッド54を有している。グリップレバー26は、基部パネルとカバーパネルの間のばね要素7を恒常的に外方に張力の掛けられた状態に保持するばね8の力に逆らって軸47周りに枢動する。ケーブル31、32;12をどの引張位置にも、而してばね要素9のどの位置にも、ロックできるようにするため、枢動可能な締め付け板50が、他方側を支持面48に沿って支持されている鋼円筒体49へ90°より僅かに小さい極めて急な角度で作用する。締め付け板50は、鋼ばね53によるばね荷重式であり、従って恒常的に鋼円筒体49に当接に旋回される。グリップレバー26を操作し、ここでは時計回りに回すと、ワイヤケーブル31、32;12が上向きに引かれ、それと共にケーブル31、32;12を包封している鋼円筒体49が引き上げられ、締め付け板50の前縁を過ぎ越して滑ってゆく。グリップレバー26が解放されるとすぐさま、引張ばね8(図2)がケーブル31、32;12を下へ引き戻すような具合に作用し、締め付け板50による鋼円筒体49の即座の締め付けが引き起こされる。締め付け板50をばね53の力に逆らって上向きに時計回りに枢動させ、鋼円筒体49を変位するよう解放すれば、ケーブル31、32;12及びその鋼円筒体49は下向きに動くことしかできない。締め付け板50のこのロック掛けは、鋼ばね53によってばね荷重の掛けられている押しボタン51を下から押すことによって解除することができる。

[0027]この事務用、作業用、及びレジャー用椅子並びにその構成要素を示し説明してきたが、以下ではその機能及び椅子を使用する人への影響を解説する。事務用、作業用、及びレジャー用椅子及びその座部面の高さは、この目的のためのガス圧力ばねを収容している高さ調節可能な支持体2を通じて従来式に調節することができる。但し、プッシュプルケーブルシステム又はボーデンケーブルを方途として動作が起こるということ、そして関連付けられるレバー26は座部面19より上方の肘掛け部に設置されているという事実に重大な相違点が在る。これは、座部面下のレバーを手で盲目的に探すことを余儀なくされるより遥かに使い勝手が良い。座りながらにレバー26を用いれば、ボーデンケーブルがロックを解除して、支持体2がガスばねの力に逆らって長さを望遠鏡式に縮められることで椅子の高さを減少させることができる。座部面19をせり上げるためには、ガスばね支持体2を用いての事務用椅子の従来通りの高さ調節と同様に、座部面19から押圧を取り除かなくてはならない。

[0028]座部面は、それが揺動可能なカバーパネル27に載っていて、カバーパネル27はというと自身と基部パネル28の間のばね要素7に載っている、ということから全方向に揺動できるわけである。ばね要素7が基部パネル及びカバーパネルの周辺により近く設置されるほど、椅子の着座者が一方の側に又は前方又は後方へ寄りかかった場合の揺動運動はより硬くより拘束されたものとなる。揺動能力の硬設定から始めて、ばね要素7を中央により接近させてゆけばよい。すると座部面19はより大きな傾き角度で且つより少ない力又は体重で揺動することができる。グリップレバー26を操作すれば、プッシュプルケーブル又はボーデンケーブルが起動され、ばね要素7は内方又は外方へ変位される。これらがそれぞれ各自のプッシュプルケーブル又はボーデンケーブルを有している実施形態では、それらを個別に変位させることができる。このやり方では、揺動運動を所望通りに調節することができる。着座者は知らず知らずに座面を常にバランスの取れた状態に保とうとし、そのため彼/彼女の骨盤筋は絶えず閾下的に活動的になる。

[0029]全体として見ると、この事務用、作業用、及びレジャー用椅子は、当該事務用、作業用、及びレジャー用椅子自体による能動的な力の投入無しに、その着座者の閾下的な減衰された骨盤運動をもたらす。これらは、ここに示されている揺動可能座部面19の適応性荷重依存運動学という方途によってもたらされる。原則的に、着座者は完全に静止した座部面に座ることは決してないので、彼/彼女の骨盤の気付かれない閾下運動は常に起こっている。その結果、連動する動作が誘導される。筋系のこの活動性は持続する好ましい影響を全身へ及ぼし、着座者の精神行動にも良い影響を及ぼす。

[0030]図10には、椅子上にもまた後付けキット上にも実装できる更なる実施形態が示されている。上側のカバーパネル27は下側のカバーパネル28に対して旋回させることができる。ばね要素7の上端もばね要素の下端に対して旋回可能である。加えて、ばね要素7のための滑走溝又は走行溝としての溝11は、カバーパネル27、28同士を互いに対して旋回させると溝11内のばね要素7の変位が引き起こされるような具合に設計されている。これにより、椅子の揺動特性は座部面19を旋回させるだけで変えることができる。以上に説明されている、ばね要素7を有する実施形態では、ばねが圧力ばねであろうと、重ね板ばねであろうと、空気蛇腹体であろうと、或いは弾性的に変形可能なエラストマーローラーであろうと、全ての実施形態において、ばね要素は更にカバーパネル27の基部パネル28に対する側方に弾む変位を可能にさせる。座部面19は、従って、横方向に僅かに撓ますことができ、それは意図されたものであり、結果的に更に意図的な座部力学がもたらされる。

[0031]更なる実施形態では、着座者の揺動作用の結果として変化するばね要素7の位置及び高さをセンサに記録させ、コンピュータユニットに記憶させることができる。或いは、経時的に揺動運動がスマートフォンによって記録されるようにしてもよい。このために、カバーパネル27又は座部カバー19には、スマートフォンを挿し込むことのできるスリット様ガレージが設けられていて、挿し込むとスマートフォンが揺動運動を全て経験しそれらの規模と方向を記録するというようになっていてもよい。データはその後読み出され、コンピュータユニットに記憶され、更に処理されてもよい。それらは個別のユーザープロファイルを示す。

[0032]揺動可能な座部面を有するその様な事務用、作業用、及びジャー用椅子は、更には、背筋の閾下運動を促すための、図10に側面から見た図に描かれている極めて特別な背もたれ部を具備していてもよい。この事務用、作業用、及びジャー用椅子の当該の更なる特別な特徴は、その背もたれ部及び背筋の閾下運動を誘導するためのその運動学的要素の構造に存する。このために、その様な運動学的背もたれ部70では、座部面19の後ろの背もたれ部22としての2つの柱状条片71、72が、椅子の座部面19上の着座者の脊柱に沿って垂直方向上向きに延びている。これらの条片の各々は、例えばプラスチック、木材、又は金属薄板の平面状の弾性的に変形可能な条片である。後部柱状条片72は、境界板又は支持体2へ付着されていて、ここから、着座者の臀部及び背部の輪郭についてモデル化されている側方輪郭を備えて、最初に後方へ延び、次いで上方に延びている。この柱状条片72の傾きは、座部面より下方のその締結点にて調節することができる。図11に示されているこの事務用、作業用、及びジャー用椅子は、或る特別な特徴として、そのエプロン33の裏にカバーパネルを有しており、その下に座部面19の揺動作用のための要素全てが載っている。そして基部パネルはというと、事務用、作業用、及びジャー用椅子に対して前方及び後方に変位させられるように、支持体2へ取り付けられている境界パネル上に支持されている。このため、例えば滑動式又は転動式のレールが使用されている。変位は、プッシュプルケーブルシステム又はばね荷重式ボーデンケーブルによって引き起こされるようになっていてもよく、関連付けられる操作レバー26は座部面19より上方の肘掛け部24上に配列されている。

[0033]この運動学的背もたれ部70の特別な設計は、特定の実施形態の変形型を詳細に開示している図12に見ることができる。背もたれ部はその背面側を上から斜めに見た斜視図に示されている。中央部運動学的要素70が前部柱状条片71と後部柱状条片72を備えていることが分かるが、それは下部の破線によって指示されている様にその先へ連続している。これら2つの柱状条片71及び柱状条片72は接続筋交い74により互いへ接続されている。これらの接続筋交い74は、ここでは平坦な堅い要素で作られていて、重量を節減するために各々に中央穴が設けられている。これらの接続筋交い74は、両端が関節運動方式に前部柱状条片71及び後部柱状条片72の内面とそれぞれ接続されている。柱状条片71と柱状条片72の間には、それら2つの柱状条片71と72の互いに向けての相対運動を減衰させるために空気クッション80が組み入れられていてもよい。このやり方では、背もたれ部は、それへの圧力が解放されるや、その初期状態へ戻される。空気クッション80からは、空気管が弁を装着されている接続点へ通じているので、ポンプによって、個別に選択される圧力へ膨らませることができ、また柱状条片71、72を個別に付形するために当該弁を介して空気を排出させることができる。当然ながら数個のその様な別々の空気クッション80を接続筋交い74の間に組み入れることもできる。接続筋交い74の長さ、それらの配列及びそれらの数、そして個別空気クッション80の充填圧力、を変化させることによって、前部柱状条片71の輪郭をユーザーの或る特定の背部輪郭に適合させることができる。代わりに、前部柱状条片71と後部柱状条片72の間に、少なくとも1つ又は数個でもよいが、鋼圧力ばねが作り付けられていてもよい。而して、瞬時に明白なことに、前方から前部柱状条片71に掛けられる圧力が後部柱状条片72までの距離を縮め、接続筋交い74の配列の幾何学のせいで前部柱状条片71は上方へ僅かに動く、即ち前部柱状条片は椅子上に堅く取り付けられている後部柱状条片72に対して上方に変位するわけである。前部柱状条片71上には、横向きにリブの様に分岐する運動学的要素76が組み入れられている。これらは、背もたれ部の実際の支持面を形成している。前部柱状条片71が後部柱状条片72に対して上下に動くとき、側方に張り出すリブもまた上下に動くので、椅子上の着座者の背部のための支持面全体が、軽く上下に動かされ、具体的には人があらためて背もたれ部にもたれかかるたびにこれは軽く上方へ撓む。この上方運動の範囲は、接触圧力と、前部柱状条片71と後部柱状条片72の間の接続筋交い74の寸法及び幾何学的配列と、に依存する。リブも運動学的要素76として設計されている。それらは前部横条片77及び後部横条片78によって形成されている。これらの2つの横条片77と横条片78は幾つかの接続筋交い79によって接続されている。示されている実施例では、これらは、両端を関節運動式に横条片77、78の内面へ接続されている弾性的に屈曲可能なS字形接続筋交い79を備えている。この事例では、これは、これらの接続筋交い79が各自の両端に直角に突出するボルト81を有し、それらボルト81を関連付けられるボルト取り付け部82の中へカチャっと入れることができる、ということで実施されている。これらの取り付け部82は、2つの略半円形のボルト取り付け部を形成していて、それらは互いから弾性的に別れて広がることができるようになっているので、接続筋交い79のボルト81をこれらの取り付け部82の中へカチッと入れたら、その後、取り付け部82内で前後に枢動させることができる。このやり方では、接続筋交い79は他の接続筋交いと容易に置き換えることができる。脱着と挿通が工具無しに素早く行える。

[0034]接続筋交い74、79の関節運動式の接続は、柱状条片71、72又は横条片77、78への筋交いの少なくとも一方の締結面又は更に両方の締結面にて、条片の方向に変位可能であるように設計されている。例えば、ボルト取り付け部82は、横条片77、78の内面側で長手方向に変位可能であってもよい。この変位がプッシュプルケーブルシステム又はボーデンケーブルによって調節可能になっており、ワイヤが横条片77、78の端領域の1つ又はそれ以上の偏向ローラーを周って案内される、またボーデンケーブルの場合には引張ばねによって張力が掛けられる、というようになっていてもよい。ケーブルが引かれると、ボルト取り付け部82もまた背もたれ部の中央に向かって引き寄せられるか又は外方に押される。背もたれ部構造の内部の偏向ローラーを介しケーブルが肘掛け部上の調節ホイールへ通じていて、調節ホイールは着座位置から容易に手が届き、また容易に異なる回転位置へ入れ各位置にロックすることができる。

[0035]重量を節減するために、前部横条片77は、ここでは穴が設けられていて、それらの前面には軟質の弾性パッド83が装着されている。圧力が前方から前部横条片77に掛かると、ここではS字形状である接続筋交い79は容易に弾性変形し、接続筋交いの幾何学形状及び配列のせいで前部横条片77の後部横条片78に対する僅かな変位が起こり、これについて後部横条片78は、結果としての力の有効方向に依存して、僅かばかり更に伸展するか又は更に屈曲し、前部横条片77はそれらの端が前方又は後方に更に屈曲する。総じて、前部横条片77は、椅子ユーザーの接触している背部の輪郭に具合よく納まる。接触圧力によって誘導される前部横条片77の内方又は外方への相対運動を通して、背筋もまたこの方向に、極めて閾下式でしかないが、マッサージされる。背もたれ部はあらためてもたれかかられるたびに僅かに上方に動き、直角に張り出す横条片77は、各々、外方又は内方に僅かに変位する。総じて、低閾値の、実際には閾下の、ほとんど知覚され得ないがなおも極めて有効な背筋マッサージが実現され、残りの身体部分に好ましい影響を与える。

[0036]図13は、特に好都合で構造的に単純な実施形態を示している。後部柱状条片72は、より頑丈でより硬い設計であり、少なくとも3つの関節運動式筋交い74を介して、より脆弱でより屈曲性の前部柱状条片71と接続されている。この前部横条片77へは、分岐する運動学的要素76が付着されていて、それら運動学的要素76はというと各々が前部横条片77及び後部横条片78を備えている。これらの間には、幾つかのS字形接続筋交い79が組み入れられている。この背もたれ部設計は、背もたれ部にもたれかかる椅子ユーザーにとって極めて動的で並外れて快適である。もたれかかっている間中、全要素が調和的に相互作用し、閾下運動をもたらしながら背筋にぴったり沿うものであり、ユーザーの脊柱の真後ろの領域は空いたままになっている。

[0037]以上に詳細に説明されている揺動可能な座部面を有する椅子は、任意の椅子上に取り付けることのできる後付けキットによって実現させることもできる。非揺動可能な座部面上に取り付けるためのこの後付けキットは、座部面の揺動能力のための上述の構成要素全てを備えている。完全体としての事務用、作業用、及びジャー用椅子とは対照的に、座部面の揺動能力のための当該組立体は、後付けのための装置6の形態をしており、この装置6は図2に関連付けて既に詳細に説明されている。基部パネル28はその下面に、その縁を周って走っていて下方に張り出しているフレームを備えており、当該フレームの内部は、後付けされることになっている従来式の椅子の座部面の座部面輪郭へぴったり沿わせて適合させるために、熱風の供給を通して硬化させることのできる発泡体の塊を充填されている。この装置6は、事務用、作業用、及びジャー用椅子の座部面はもとより、スツールの様な単純な座部にも上から被せることができる。そうすればその先、活動的で健康な座りにとって、揺動可能な座部面が利用可能になる。或る変形型として、後付けキットは、屋内屋外を問わず任意の型式の座部上に設置することができ、例えば、壁、ベンチ、又は競技場の座席や劇場、映画館、又は会議場の座席、など、へ設置することもでき、そうすれば揺動可能な座部面が即座に利用可能になる。

1 十字形基部 2 ガス−ばね支持体 3 円周リング 4 関節運動自在のローラー 5 境界パネル 6 揺動作用を生じさせるための装置 7 ばね要素 8 引張ばね 9、10 ローラー 11 半径方向に延びる溝 12 ボーデンケーブル 13 上部パネル 14 下部パネル 15 圧力ばね 16 空気蛇腹体 17 重ね板バネパッケージ 18 弾性エラストマーローラー 19 座部カバー、座部面 20 上部支持体層 22 背部支持体、背もたれ部 23 腕部支持体 24 肘掛け部 26 レバー 27 カバーパネル、カバープレート 28 基部パネル 29 穴 30 変位可能なパネル 31、32 プッシュプルケーブル 33 エプロン 35 ロール 46 レバー基部 47 枢動軸 48 支持面 49 鋼円筒体 50 ばね荷重式締め付け板 51 押しボタン 53 鋼ばね 54 ヘッド 55 レバー基部内の取り付け部 59 横軸 64 下部支持体層 65 支持体パネル 70 運動学的背もたれ部、中央部運動学的要素 71 前部柱状条片 72 後部柱状条片 74 接続筋交い 76 運動学的要素 77 前部横条片 78 後部横条片 79 接続筋交い 80 空気クッション 81 ボルト 82 ボルト取り付け部 83 軟質弾性パッド

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