【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明はシンバルスタンドやドラム用椅子などに好適に用いられる支持脚の先端部構造に関する。 【0002】 【従来の技術】一般的なドラム用椅子を図4に示す。 図示されるように、このドラム用椅子30は座部31と支持脚32とからなる。 この例に示される支持脚32は、 二つの脚部材33,33を並設してなる単一の支持脚部32aが、椅子の支柱34に対して放射状に配されている。 そして、各支持脚部32aの元部は支柱34上部に回動可能に軸着され、先端部は当該支柱34下部にステー部材35を介して回動可能に軸着されている。 この支持脚32の先端構造を図5および図6に示す。 支持脚3 2は、所定形状に屈曲させた二つの細長い板状の脚部材33,33を重ね並べてリベット37などでかしめて一体化、単一の支持脚部32aとし、その先端にゴムなどからなる端末キャップ40が嵌挿されてなる。 ステー部材35は、支持脚32を折り畳み可能としたりあるいは荷重に対する支持脚の安定性を高めるためのもので、本例では、前記ステー部材35の先端に前記リベット37 が挿通可能な孔38を設け、前記二つの脚部材33,3 3の間にステー部材35を挟持する。 そして、前記リベット37をステー部材35を介して二つの脚部材33に貫通してかしめることにより固定される。 符号36は前記脚部材33とステー部材35との間に介装されるカラー部材、39は脚部材33に設けられるリベット用孔である。 【0003】しかしながら、この構造にあっては、支持脚を組み立てるに際し前記脚部材33,33をかしめる場合には、二つの脚部材33のリベット用孔39,39 とステー部材の孔38およびカラー部材36の孔の位置を正確に合わせて連通させないとリベット37を通すことができないため、作業が煩雑となる嫌いがある。 また、脚部材33先端の面積が小さいので、支持脚部32 a先端と接する先端キャップ40の差込部内底面41に荷重が集中して破損しやすくなり、脚部材33の先端が先端キャップ40から突き抜けてしまうことがある。 そのため、前記端末キャップ40の交換を頻繁に行なわなければならず面倒であった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、このような問題点に鑑み提案されたものであって、組立が簡単となるだけでなく、脚部材からの荷重を分散させて端末キャップの破損を防ぎ耐久性を向上させる支持脚の先端部構造を提供しようとするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】すなわち、この発明は、 並設された二つの脚部材によって単一の支持脚が構成され、該支持脚の先端部近傍の前記脚部材の間にステー部材の端部が軸着されかつ該支持脚端末が端末キャップの差込部に嵌挿されてなる構造において、前記支持脚先端部には本体が脚部材の間に挟まれる先端ピースが介設されているとともに、該先端ピースの本体上端側には前記ステー部材の端部を差し込む差込溝および該ステー部材ならびに前記脚部材を軸着する軸着部が形成され、かつ該先端ピース本体の下端側には前記脚部材端縁が当接する脚受け座および脚部材を取り付ける取付部が形成されていて、前記脚受け座外面が前記端末キャップの差込部内底面に当接するように支持脚先端部が端末キャップに嵌挿されていることを特徴とする。 【0006】 【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。 図1はこの発明の支持脚の先端部構造の一例を示す分解斜視図、図2はその組み立てた状態を示す断面図、図3はその3−3線における断面図である。 【0007】この発明の支持脚の先端部構造は、並列された二つの脚部材先端部の間にステー部材の端部が軸着されて、かつ前記支持脚の末端が端末キャップの差込部に嵌挿されており、シンバル用スタンドやドラム用椅子などの支持脚に好適に用いられる。 図1にその構造を分解して示す。 図中の符号10は支持脚、11は脚部材、 12はステー部材、15は端末キャップである。 【0008】脚部材11は、細長い金属板などが所定形状に屈曲されたもので、同一形状あるいは左右対称の二つの脚部材11,11を所定間隔離して並べて結合し、 単一の支持脚として用いられる。 前記脚部材11の端末近傍の所定位置にはリベット挿通孔13,14が設けられている。 リベット挿通孔13は、前記脚部材11と先端ピース20とを固着するリベット26aが、リベット挿通孔14は、脚部材11と先端ピース20とステー部材12とを一体に固着するリベット26bがそれぞれ挿通される。 そして、これら二つの脚部材11,11の間には先端ピース20が介設されている。 【0009】先端ピース20は、支持脚の端末面積を広くして、端末キャップ15の一部分に脚部材11,11 からの荷重を集中させないようにするためのもので、金属や樹脂などからなり、端末キャップ15の差込部16 内に嵌挿可能な外形状に形成されている。 この先端ピース20は、本体21と差込溝22と軸着部23と脚受け座24と取付部25とからなる。 【0010】本体21は、前記脚部材11,11に挟持されて脚部材11,11を所定間隔離して配置するとともに、端末キャップ15の差込部16に嵌挿される部分で、上端側に差込溝22および軸着部23が、下端側に脚受け座24および取付部25が形成されている。 【0011】差込溝22は、ステー部材12の端部が挿入される部分であって、この先端ピース20が前記端末キャップ15に嵌挿された際に、その差込部16から外に突出する。 この差込溝22は、前記ステー部材12が回動可能な深さに形成され、その溝22の両方の側壁に軸着部23が形成されている。 【0012】軸着部23は、前記差込溝22によって挟持されたステー部材12の端部を前記脚部材11,11 とともに挟持して、先端ピース20に回動可能に軸着するためのもので、リベット26bが挿通可能な孔よりなる。 この軸着部23は、先端ピース20を脚部材11, 11で挟持した際に、そのリベット挿通孔14と連通する位置に設けられる。 【0013】脚受け座24は、脚部材11,11を所定間隔離して配置するとともに、前記両方の脚部材11, 11の先端端縁を当接させてその荷重を支持しかつ分散させる部分で、前記本体21の下端に当該本体21よりも外側に張り出した形状に形成されている。 前記脚受け座24の下側外面には、端末キャップ15の差込部16 内底面およびその近傍に密着する平面部27を有している。 この脚受け座24は、前記平面部27が端末キャップ15の差込部16内底面に当接することによって、支持脚の先端から端末キャップに加わる荷重を分散させることができる。 それにより、支持脚10によって支持される物が重くても、その荷重が端末キャップの一点に集中しないので、端末キャップの破れを抑え耐久性を高めることができる。 【0014】取付部25は、先端ピース20を脚部材1 1,11に固定する部分であって、リベット26aが挿通可能な孔よりなる。 この取付部25も、前記軸着部2 3と同様に、先端ピース20を脚部材11,11で挟持した際に、そのリベット挿通孔13と合致し連通する位置に設けられる。 【0015】このような構成よりなる先端ピース20は次のようにして脚部材11に取り付けられる。 すなわち、脚部材11,11の先端部近傍により先端ピース2 0を挟み、それぞれの先端端縁を先端ピース20の脚受け座24に当接させる。 そして、前記先端ピース20の取付部25と脚部材11のリベット挿通孔13,13とを連通させ、リベット26aにより一体にかしめる。 【0016】そして、前記脚部材11,11の間に挟まれた先端ピース本体21の差込溝22にステー部材12 の端部が挿入される。 このステー部材12は、前記したように、支持脚10どうしを連結して、折り畳み可能としたりあるいは支持脚10の安定性を高めるためのもので、前記脚部材11と同様の細長い金属板などからなる。 そして、このステー部材12の端部は、前記先端ピース20の軸着部23を介して当該脚部材11,11端部近傍に挟持される。 しかる後、脚部材11,11のリベット挿通孔14と前記先端ピース20の軸着部23とステー部材12の取付孔17とを連通させリベット26 bを挿通し一体にかしめる。 【0017】ところで、前記リベット挿通孔14と軸着部23とステー部材の取付孔17とを速やかに連通させるのには手間がかかることがある。 そのため、本実施例では、脚部材11によって挟まれる先端ピース20の両側面に脚収納凹部28が形成されている。 この脚収納凹部28は脚部材11の先端外形状に合わせてその厚みとほぼ同じ深さに窪ませてあり、前記軸着部23および取付部25が、リベット挿通孔13,14の位置に合わせて凹部28内に設けられている。 この脚収納凹部28によれば、脚部材11を凹部に嵌めるだけで、先端ピース20に対して脚部材11,11を正しい位置に速やかに配置することができ、その後の位置のずれなどがない。 そのため、先端ピース20の軸着部23と取付部25 と、脚部材11のリベット挿通孔13,14とを速やかに連通させることができ、リベット26a,26bによるかしめ作業を速やかに行なうことができる。 また、前記脚部材11にステー部材12を取り付ける場合でも、 前記脚部材11のリベット挿通孔13と先端ピース20 の軸着部23とはすでに連通しているので、ステー部材12の取付孔17を合わせるだけでよく作業が簡単になる。 【0018】続いて、脚部材11,11の間に先端ピース20が介設された支持脚の端末に端末キャップ15が取り付けられる。 この端末キャップ15は、ゴムなど滑りにくい材質よりなり、所定の脚先形状に形成され前記脚部材11,11が先端ピース20とともに嵌挿可能な凹部よりなる差込部16を有している。 この端末キャップ15の外下面側には凹凸18が形成されている。 この凹凸18は、端末キャップ15と床面との摩擦を大として支持脚10を滑りにくくする。 【0019】脚部材11は、その先端部に先端ピース2 0の本体21を挟持した状態で端末キャップ15の差込部16内に挿入される。 先端ピース20には、脚部材1 1の先端部端縁に下から当接する脚受け座24が設けられており、この脚受け座24外面が前記差込部16内底面に当接する形状に形成されている。 したがって、脚部材11から受ける荷重が脚受け座24の面全体に分散されるので、脚部材11先端が端末キャップ15の差込部16内底面に食い込んで当該端末キャップ15が破れるのを抑え耐久性を向上させることができる。 【0020】 【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の支持脚の先端部構造によれば、二つの脚部材の間には、 支持脚からの荷重を分散する脚受け座を有する先端ピースが介設されているので、端末キャップのある一点に荷重が集中することがなく、支持脚が重さで貫通することによる端末キャップの破損や破壊を防ぐ。 そのため、当該端末キャップの耐久性を高めることができ、前記端末キャップの交換頻度を少なくすることができる。 【0021】また、請求項2に示される構造にあっては、先端ピースに対する二つの脚部材の正しい位置が速やかに確定されるので、かかる脚部材にステー部材を取り付ける場合には、脚部材の取付孔にステー部材の取付孔の位置を合わせるだけで脚部材とステー部材とを容易に連結することができ、作業がやりやすくなる。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の支持脚の先端部構造の一例を示す分解斜視図である。 【図2】その組み立てた状態を示す断面図である。 【図3】その3−3線における断面図である。 【図4】一般的な支持脚を有するドラム椅子の一例を示す正面図である。 【図5】その支持脚先端部分を拡大した断面図である。 【図6】その6−6線における断面図である。 【符号の説明】 10 支持脚 11 脚部材 12 ステー部材 15 端末キャップ 16 差込部 20 先端ピース 21 本体 22 差込溝 23 軸着部 24 脚受け座 25 取付部 |