【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、重ね回収される椅子の前脚パイプ及び後脚パイプ間を連結している底辺パイプに下方から固定され、かつ表面に底辺パイプの下側半分に対応した形状の溝を有する直方体状パッドより形成された脚端具ロアと、裏面に底辺パイプの上側半分に対応した形状の溝を有する直方体状パッドより形成された脚端具アッパとより構成され、床に対する緩衝作用及び回収時の重ねピッチを2種類に設定させる椅子の脚端具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この種の脚端具は、実開平4−1383 46号公報により周知であり、脚端具ロアのみを底辺パイプの下側半分に固定すると、重ね時には隣合う椅子の脚端具ロアが底辺パイプの上面に当接した状態で、脚端具ロア底面及び底辺パイプ上面間の距離に相当する重ねピッチが保証される。 着座部が厚手の場合、脚端具アッパを脚端具ロアの上方から底辺パイプを抱持させて装着し、隣合う椅子の脚端具ロアが脚端具アッパの上面に当接した状態で、脚端具ロア底面及び脚端具アッパ上面間の距離に相当するより大きな重ねピッチが保証される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】この場合、脚端具アッパの装着は、その前後端に突設されて下方へ開口する爪で脚端具ロアの前後端面を挟んで前後位置を揃えて底辺パイプを抱持させていた。 つまり、脚端具アッパはその前後のパイプ抱持式の爪により脚端具ロアに揃えられると共に、爪の底辺パイプに対する係合力で装着させていた。 【0004】本発明は、このような点に鑑みて、脚端具アッパを一層確実に装着させ得る冒頭に述べた類の2種類の重ねピッチに即応できる椅子の脚端具を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、重ね回収される椅子の前脚パイプ及び後脚パイプ間を連結している底辺パイプに下方から固定されて着座部の薄手仕様に対応した重ねピッチを設定する脚端具ロアと、この脚端具ロアに対する対向位置で底辺パイプに装着されて着座部の厚手仕様に対応した重ねピッチを設定する脚端具アッパとより構成され、脚端具ロアは表面に底辺パイプの下側半分に対応した形状の溝を有する直方体状パッドより形成され、脚端具アッパは長さが脚端具ロアの長さに相当し、かつ裏面に底辺パイプの上側半分に対応した形状の溝を有する直方体状パッドより形成された椅子の脚端具において、脚端具アッパの横方向両側の側壁に、この側壁の底面から下方へ延びて横方向へ曲げ弾性を呈する脚部及びこの脚部の下端部から横外方へ突出する係合突起を有する爪を一体に形成し、一方、脚端具ロアの横方向両側の側壁に、脚端具アッパを上方から脚端具ロアに重ねた状態で、係合突起を係入させる係合溝を有する爪係合部を形成したことを特徴とする。 【0006】 【作用】着座部が薄手の場合、脚端具ロアのみを底辺パイプの下側半分に固定する。 重ね時には、隣合う椅子の脚端具ロアが底辺パイプの上面に当接した状態で、脚端具ロア底面及び底辺パイプ上面間の距離に相当する重ねピッチが保証される。 着座部が厚手の場合、脚端具アッパを上方から底辺パイプを挟んで脚端具アッパの爪を脚端具ロアの爪係合部に係合させる。 重ね時には、隣合う椅子の脚端具ロアが脚端具アッパの上面に当接した状態で、脚端具ロア底面及び脚端具アッパ上面間の距離に相当するより大きな重ねピッチが保証される。 脚端具アッパの爪の係合突起が脚端具ロアの爪係合部の係合溝に係合した状態で、底辺パイプにより爪の脚部の内側への撓みが拘束される。 【0007】 【実施例】図1〜図5を基に本発明の一実施例による椅子の脚端具を説明する。 脚端具9は、図3に示すように、パイプ椅子1の左右両側の前脚パイプ1a及び後脚パイプ1b間をそれぞれ連結している底辺パイプ1cの前後2個所に装着されている。 また、着座部は、着座パイプ1d間の板2(図4参照)にクッション2aが載置されて構成されている。 また、脚パイプ1a、1bは下広がりとなり、着座部同志が近接状態で重ねられるようになっている。 【0008】脚端具9は、図1に示すように、底辺パイプ1cに下方からねじ止めされる脚端具ロア10と、その上方の対向位置に装着される脚端具アッパ20とより構成される。 脚端具ロア10は、横幅が円形の底辺パイプ1cの外径よりも大きめで、高さがその半分よりも高めで、長さが例えば5cm程度の僅かに弾性を呈する合成樹脂製の直方体状パッド11の表面に、底辺パイプ1 cの下側半分に対応した半円筒状の溝12が形成され、 中央部にねじ貫通孔13を形成して構成されている。 半円筒状の溝12は、パッド11の表面側に突設され、かつ半円状に切欠かれた5枚のリブ12a及びこれらのリブを連結する縦方向のリブ12bで形成されている。 図2に示すように、脚端具ロア10は、ねじ19がそのねじ貫通孔13を通して底辺パイプ1cにねじ止めされることにより、その下側半分に固定される。 【0009】脚端具アッパ20は、横幅が底辺パイプ1 cの外径よりも大きめで、高さがその半分よりも高めで、かつクッション2aの厚手仕様に対応し、さらに長さが脚端具ロア10の長さに相当する直方体状パッド2 1の裏面に、底辺パイプ1cの上側半分に対応した半円筒状の溝22が形成されている。 この半円筒状の溝は、 パッド21の裏面側に突設され、かつ半円状に切欠かれた3枚のリブ22a及びこれらのリブを連結する縦方向のリブ22bで形成されている。 【0010】脚端具アッパ20の横方向両側の側壁23 には、この側壁の底面から下方へ延びて横方向へ曲げ弾性を呈する脚部24aと、この脚部の下端部から横外方へ突出する係合突起24bとを有する爪24がそれぞれ一体に形成されている。 脚部24aは側壁23の外側面から後退して形成されることにより、側壁23の底面及び係合突起24bには、凹部24cが形成されている。 【0011】一方、脚端具ロア10の横方向両側の側壁15には、脚端具アッパ20を上方から脚端具ロア10 に重ねた状態で凹部24cに係合する対応厚みの係合部16aと、この係合部の裏側を底面まで切欠いて形成され、かつ係合突起24bを係入させる係合溝16bとを有する爪係合部16が形成されている。 【0012】脚端具ロア10の一方の側壁15には、横方向に隣合う脚端具ロア10と連結させる横列用又は縦列用連結具として、横方向へ向けて突出するのに伴って前後方向の幅が広くなる突起17と、前後を反転された脚端具ロア10の突起17が上下方向から形状相補式に互に係合するように、この突起形状に対応した係合溝1 8とが形成されている。 尚、脚端具ロア10に、このような連結機能を持たせない場合には、突起17及び係合溝18を備えない単なる直方体パッドから構成することができる。 【0013】着座部が薄手の場合、図4Aに示すように、脚端具ロア10のみを前述の方法により底辺パイプ1cの下側半分のみに固定し、その上面から脚端具ロア10の底面間の距離をP1とすると、重ね時に隣合うパイプ椅子1の脚端具ロア10が底辺パイプ1cの上面に当接した状態で重ねピッチP1が確保され、クッション2aの表面と対面する板2との間に隙間Sを保証する。 【0014】重ねピッチP1を越える厚手のクッション2aの椅子に対しては、図4Bに示すように、底辺パイプ1cを挟んでその爪24を脚端具ロア10の爪係合部16に係合させて互に対向した位置に脚端具アッパ20 を装着させる。 この際、係合突起24bの傾斜面24d が係合部16aのエッジに当って後退した後、溝16b へ係合し、凹部24cに係合部16aが形状相補的に係合し、この係合状態において、底辺パイプ1cにより脚部24aの内側への撓みが拘束されるために、脚端具アッパ20は脚端具ロア10に確実に装着される。 これにより、脚端具アッパ20は脚端具ロア10と対向した位置において底辺パイプ1cを包囲し、隣り合う脚端具ロア10の当接位置が脚端具アッパ20の厚みに対応して距離P2と高くなる。 重ね時には、図4Bに示すように、その追加寸法に対応したより大きな重ねピッチP2 が保証されることにより、同様に厚手に対しても隙間S が確保される。 【0015】図5に示すように、横方向へ隣りのパイプ椅子1と、底辺パイプ同志を連結させる場合、隣りの脚端具ロア10を互に前後を反転させて底辺パイプ1cにねじ止めしておくことにより、互の突起17を互の係合溝18に係合させる。 さらに、縦方向へ連結する場合には、パイプ29の両端に同様に互に形状相補的に係合可能な方向に脚端具ロア10をねじ止めしておくことにより、縦方向へ隣合う両側のパイプ椅子1をパイプ29により連結可能となる。 そして、連結状態で積重ねることもできる。 【0016】尚、前述の実施例において、脚端具の底辺パイプ1cを装着させる溝12、22は、前述の成形時の熱収縮による変形を考慮したリブ式でなく、場合によっては中実状に形成しても良い。 脚端具ロア10の底辺パイプ1cへの取付けはねじでなく、溝12に突設した係合片を底辺パイプ1cに形成した穴に係入させることにより固定することも考えられる。 また、本発明は、上方への積み重ね式だけでなく、前倒状態で水平方向に重ねられる椅子の脚端具にも適用される。 【0017】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、脚端具ロアを共通にし、かつ脚端具アッパをワンタッチで取付けできる簡単な構造の脚端具により、着座部の薄手及び厚手仕様に対応した2種類の重ねピッチを設定でき、コスト上有利となる。 脚端具アッパの爪が脚端具ロアの対応位置の爪係合部に係合することにより、双方の脚端具が揃った位置に装着され、見掛け上も一体に見えると共に、爪の係合状態で脚部の係脱方向の撓みが底辺パイプにより拘束されるために、脚端具アッパが確実に装着され、外れることがなくなる。 請求項2の発明によれば、脚端具ロアを利用して椅子の横方向又は縦方向の連結が可能となる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施例による椅子の脚端具の分解斜視図である。 【図2】同脚端具の取付け状態を示すもので、同図Aは側面図、同図BはそのA−A線断面図である。 【図3】同脚端具を取付けられた椅子を示す側面図である。 【図4】同脚端具の2種類の重ね状態を示すもので、同図Aは薄手の場合の着座部の断面図及び脚部の側面図、 同図Bは厚手の場合の着座部の断面図及び脚部の側面図である。 【図5】同脚端具の連結機能の利用例を示す説明図である。 【符号の説明】 1a 前脚パイプ 1b 後脚パイプ 1c 底辺パイプ 1d 着座パイプ 9 脚端具 10 脚端具ロア 16 爪係合部 16b 係合溝 20 脚端具アッパ 24 爪 24a 爪の脚部 24b 爪の係合突起 |