【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、両側部に手で持つためのハンドルを設けたベッド用マットレスに関する。 【0002】 【従来の技術】ベッドの手入れ、すなわちベッドの清掃をしたり、ベッド用マットレスを長持ちさせるためにこのマットレスを裏返しにしたり向きを逆にしたりする作業は、前記マットレスの側面部に取り付けられた紐状又は帯状のハンドルを手で持って行う。 図6に示すように、従来、このハンドル102は、マットレス100の左右の側部カバーシートにそれぞれ一対ずつ設けられ、 両端部が前記側部カバーシートの布地101に縫着されている。 また、図中の参照符号103は、マットレス1 00の内部空間の通気のために設けられたベンチレータである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記従来技術によれば、ハンドル102がマットレス100の側部カバーシートの布地101に縫着されているため、強度的に問題があり、すなわちマットレス100はある程度の重量を有することから、ハンドル102を手でつかんで引き上げると、図7に示すように、荷重がハンドル102と布地101との縫着部に集中して作用し、このような作業を何度か繰り返すと前記縫着部や布地101が破損してしまうことがある。 このため、ハンドル102は、実際には単なる装飾物でしかないものが多い。 したがって本発明が解決しようとする主な技術的課題は、ベッドの手入れのために前記ハンドルを持ってマットレスを動かす際に、破損することのない構造を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】上述した技術的課題は、 本発明によって有効に解決することができる。 すなわち本発明に係るベッド用マットレスは、マットレス側面の側部カバーシートを形成する外装布地と補強布地との間に介装された金属板と、前記側部カバーシートと金属板を貫通して設けた一対の鳩目金具を介して両端部を前記側部カバーシートの表側から裏側へ通したハンドルと、 このハンドルの両端部を前記金属板の裏側に固定する固定金具とを備えるものである。 この構成によれば、ハンドルの両端部を前記金属板の裏側に固定しているため、 ハンドルをつかんでマットレスを引き上げた時に、このマットレスの重量による荷重は、前記固定金具を介して前記金属板全面に分散され、したがって前記側部カバーシートに局部的に集中して作用することがない。 前記固定金具としては、好ましくはマットレスの内部空間の通気のために設けられたベンチレータを利用し、すなわち鳩目金具から金属板の裏側へ通したハンドルの両端部を、前記側部カバーシートの外装布地、補強布地及び金属板に貫通して取り付けたベンチレータを介して、ハンドルの両端部を前記金属板の裏側に固定することができる。 【0005】また、上述のように固定金具によりハンドルの両端部を前記金属板の裏側に固定する構成に代えて、前記ハンドルの両端部を結束金具を介して金属板の裏側で互いに結束し、あるいは前記ハンドルの両端部を抜け止め金具により前記鳩目金具から抜け止めしても良い。 この場合も、ハンドルを引き上げた時の荷重が金属板全体に分散される。 【0006】 【発明の実施の形態】図1は本発明に係るベッド用マットレスの好ましい第一の実施形態における側部カバーシートの一部を示すもので、(A)はハンドル近傍を表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図であり、 図2は断面図である。 これらの図において、参照符号1 0は多数のコイルスプリング11a(又は各コイルスプリングをそれぞれ袋体に収納したポケットコイル)を林立したコイル列及びその上下に積層配置したウレタンシートやフェルトシート等11bからなる詰め物11を上下のカバーシート12及び側部カバーシート13で被包したマットレス全体を包括的に示している。 このマットレス10の側面を包囲する側部カバーシート13は、表面の外装布地131と、裏側の補強布地(力布)132 との間にスポンジ133を介装した構造を有する。 【0007】マットレス10の左右の側部カバーシート13には、それぞれ一対のハンドル14(図では1個のみ示す)が配置され、前記側部カバーシート13のうち各ハンドル14と対応する位置には、外装布地131と補強布地132との間に例えば鉄板等の金属板15が介在され、その周囲で前記外装布地131、補強布地13 2及びスポンジ133が互いに縫合(キルティング)されている。 金属板15は、側部カバーシート13の長手方向に対して細長い短冊状であって、好ましくは上下両縁が裏側へ向けて屈曲されることにより曲げ強度が向上されている。 【0008】前記ハンドル14と対応する位置には金属製の一対の鳩目金具141が側部カバーシート13の長手方向に並んで設けられ、この鳩目金具141,141 の互いの対向方向と反対側の位置には金属製の一対のベンチレータ16が設けられている。 鳩目金具141は、 側部カバーシート13(外装布地131、補強布地13 2及びスポンジ133)と金属板15を貫通した状態に取り付けられ、ベンチレータ16は前記側部カバーシート13と、金属板15と、ハンドル14の両端部14a を貫通した状態に取り付けられている。 【0009】ハンドル14は布地を紐状又は帯状に縫製したものであって、その両端部14a,14bは、鳩目金具141,141を介して側部カバーシート13の表側から裏側すなわちマットレス10の内部空間へ通され、ベンチレータ16,16を介して金属板15の裏側に固定されている。 ベンチレータ16は、マットレス1 0が荷重を受けてクッション動作をする時にその内部空間の容積変化に伴って空気を流通させる通気孔を形成するために打ち込まれた金具であるが、本発明においてはこのベンチレータ16を、本来の通気手段としてのほかに、ハンドル14の両端部14aを金属板15に固定するための固定金具として利用している。 すなわち、ベンチレータ16の裏側端部(マットレス10の内部空間側の端部)は、ハンドル14の両端部14a,14bを貫通すると共に、前記裏側端部に形成された鍔部16aによって、側部カバーシート13の裏面(補強布地13 2)を介して金属板15の裏側に押し付けられるように固定されている。 【0010】上述の第一の実施形態によれば、ハンドル14をつかんでマットレス10を持ち上げた時に、このマットレス10の重量によるハンドル14からの引っ張り荷重は、ベンチレータ16から金属板15の全面に分散され、この金属板15を介して側部カバーシート13 に伝達される。 このため、前記荷重が側部カバーシート13に局部的に集中して作用することによる破損が有効に防止される。 しかも通気用のベンチレータ16をハンドル14の固定手段として用いているので、固定用の金具等を別途に設ける必要がなく、工程が削減される。 【0011】次に、図3は本発明に係るベッド用マットレスの好ましい第二の実施形態における側部カバーシート13の一部を裏側から見た斜視図である。 この実施形態において上述の第一の実施形態と異なる点は、側部カバーシート13の長手方向に並んで設けられた鳩目金具141,141を介して前記側部カバーシート13の裏側へ通されたハンドル14の両端部14a,14bが、 波型の結束金具17によって互いに結束されているところにある。 この結束金具17は中空であって、その中空部の両側からハンドル14の両端部14a,14bを通した後で波型を呈する形状に潰すことによって、前記両端部14a,14bを互いに圧着した状態で結束するものである。 また、側部カバーシート13には通気用の所要数のベンチレータ(図示省略)が設けられるが、このベンチレータは第一の実施形態のようなハンドル14の固定手段としての機能を備えるものではない。 【0012】この第二の実施形態によれば、ハンドル1 4が側部カバーシート13と金属板15を貫通して設けられた鳩目金具141,141を通って環状に結合されているため、ハンドル14をつかんでマットレス10を持ち上げた時に、ハンドル14からの引っ張り荷重は、 鳩目金具141,141の間の部分で側部カバーシート13の裏面すなわち補強布地132から金属板15の全面に分散され、この金属板15を介して側部カバーシート13に伝達される。 したがって、この場合も、前記荷重が側部カバーシート13に局部的に集中して作用することがなく、破損が有効に防止される。 【0013】次に、図4は本発明に係るベッド用マットレスの好ましい第三の実施形態における側部カバーシート13の一部を裏側から見た斜視図である。 この実施形態において上述の第一及び第二の実施形態と異なる点は、側部カバーシート13の長手方向に並んで設けられた鳩目金具141,141を介して前記側部カバーシート13の裏側へ通されたハンドル14の両端部14a, 14bに、棒状の抜け止め金具18が挿通され、この抜け止め金具18によって前記鳩目金具141,141からの抜け止めが施されているところにある。 抜け止め金具18は両端が屈曲されており、これによって前記ハンドル14の両端部14a,14bからの脱落が防止されている。 また、側部カバーシート13には第二の実施形態と同様、通気用の所要数のベンチレータ(図示省略) が設けられる。 【0014】この実施形態においては、ハンドル14が鳩目金具141,141から抜け止めされており、言い換えれば金属板15に対して抜け止めされているので、 前記ハンドル14からの引っ張り荷重は、側部カバーシート13の裏面すなわち補強布地132から金属板15 を介して側部カバーシート13に伝達され、側部カバーシート13の局部的な荷重の集中による破損が有効に防止される。 【0015】なお、本発明は、上述の実施形態によって限定的に解釈されるものではない。 例えば、図3に示す第二の実施形態における結束金具17は、綴じ針(ステープル)やその他の金具に代えることができる。 また、 図4に示す第三の実施形態における抜け止め金具18は必ずしも棒状である必要はなく、例えばハンドル14の両端部14a,14bに個別に取り付けられて抜け止めするものであっても良い。 また、ハンドル14は、布地を紐状又は帯状に縫製したものに限らず、上述のベンチレータ16、結束金具17あるいは抜け止め金具18による固定あるいは結束等が可能な素材であれば良く、例えば図5に示すように、プラスチック製の中空の把手部材142に通すことによって持ちやすくすることも好ましい。 【0016】 【発明の効果】本発明のベッド用マットレスによると、 ハンドルを持ってマットレスを引き上げた時に、このマットレスの重量によってハンドルの両端から作用する引っ張り荷重が、側部カバーシートに介装した金属板全面に分散されるので、側部カバーシートに前記荷重が局部的に集中することがなく、したがって、ベッドの手入れのために前記ハンドルを利用してマットレスを裏返しにしたり向きを逆にしたりする際の破損を有効に防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るベッド用マットレスの好ましい第一の実施形態における側部カバーシートの一部を示すもので、(A)はハンドル近傍を表側から見た斜視図、 (B)は裏側から見た斜視図である。 【図2】上記実施形態の要部断面図である。 【図3】本発明に係るベッド用マットレスの好ましい第二の実施形態における側部カバーシートの一部を裏側から見た斜視図である。 【図4】本発明に係るベッド用マットレスの好ましい第三の実施形態における側部カバーシートの一部を裏側から見た斜視図である。 【図5】本発明に係るベッド用マットレスにおけるハンドルの好ましい第三の実施形態における側部カバ 【図6】従来例としてベッド全体を示す斜視図である。 【図7】従来例のマットレスをハンドルをつかんで動かす場合を示す説明図である。 【符号の説明】 10 マットレス 13 側部カバーシート 131 外装布地 132 補強布地 14 ハンドル 141 鳩目金具 15 金属板 16 ベンチレータ 17 結束金具 18 抜け止め金具 |