車両用シートの表皮固定構造、車両用シートの操作レバー装置及び車両用シート

申请号 JP2015032574 申请日 2015-02-23 公开(公告)号 JP2016155400A 公开(公告)日 2016-09-01
申请人 株式会社タチエス; 发明人 牧田 直之;
摘要 【課題】構造が簡単であり、作業が簡単であり、コストが安くて済む表皮の固定構造を提供する。 【解決手段】表皮4bを車両用シートの骨格に固定する車両用シートの表皮固定構造である。骨格と一体であるベース部材27と、ベース部材27に嵌め込まれる表皮押え部材28と、表皮4bの端末38に設けられた係止部材39と、ベース部材27に設けられたスリット43とを有する。ベース部材27は表皮4bの裏面に 接触 する端縁である張出し部42を有しており、スリット43はベース部材27の端縁42に沿って線状に延在しており、係止部材39及び表皮の端末38は、表皮4bがベース部材27の端縁42を覆った状態で、スリット43の一方の口へ挿入され、スリット43を通過して他方の口から出て、当該他方の口の近傍のベース部材27に面接触状態で止まっており、表皮押え部材28は表皮4bをベース部材の端縁42に押し付ける。 【選択図】図6
权利要求

表皮を車両用シートの骨格に固定する車両用シートの表皮固定構造において、 前記骨格と一体であるベース部材と、 当該ベース部材に嵌め込まれる表皮押え部材と、 前記表皮の端末に設けられた係止部材と、 前記ベース部材に設けられたスリットと、を有しており、 前記ベース部材は前記表皮の裏面に接触する端縁を有しており、 前記スリットは前記ベース部材の端縁に沿って線状に延在しており、 前記係止部材及び当該係止部材が設けられた部分の前記表皮の端末は、前記表皮が前記ベース部材の端縁を覆った状態で、前記スリットの一方の口へ挿入され、当該スリットを通過して他方の口から出て、当該他方の口の近傍のベース部材に面接触状態で止まっており、 前記表皮押え部材は前記表皮を前記ベース部材の端縁に押し付ける ことを特徴とする車両用シートの表皮固定構造。前記係止部材は縫い付けによって前記表皮の端末に接合されており、その縫い付けの位置は前記係止部材の中心よりも前記表皮の先端縁に近い位置であることを特徴とする請求項1記載の車両用シートの表皮固定構造。前記ベース部材の端縁は外側へ張出す張出し部であり、前記表皮押え部材は前記表皮を前記張出し部に押し付ける ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用シートの表皮固定構造。前記スリットは前記表皮押え部材を挟んで前記ベース部材の両側に設けられており、 前記張出し部は、前記の各スリットに対応した第1の張出し部と、それら第1の張出し部に連続している第2の張出し部とを有しており、 第1の張出し部は前記表皮押え部材の前記ベース部材への嵌め込み方向を横切る方向へ延在しており、 前記第2の張出し部は前記表皮押え部材の前記ベース部材への嵌め込み方向とほぼ平行の方向へ延在しており、 前記表皮押え部材は表皮を前記第1の張出し部及び前記第2の張出し部の各々に押し付ける ことを特徴とする請求項3記載の車両用シートの表皮固定構造。前記ベース部材は、前記骨格そのもの又は前記骨格に固定された部材であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両用シートの表皮固定構造。前記ベース部材は車両用シートの骨格とは別部材であって当該骨格に固定された部材であり、前記骨格は炭素繊維強化プラスチックによってシェル形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両用シートの表皮固定構造。表皮に開けられた開口に設けられた操作レバーと、 前記表皮の外側において前記操作レバーの周囲に設けられた枠部材と、 前記表皮を車両用シートの骨格に固定する表皮固定構造と、 を有する車両用シートの操作レバー装置において、 前記表皮固定構造は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の車両用シートの表皮固定構造であり、 前記枠部材は前記表皮押え部材の一部分であり、当該枠部材が前記表皮を前記ベース部材の端縁に押し付ける ことを特徴とする車両用シートの操作レバー装置。着座者の臀部が乗るシートクッションと、着座者の背中を受けるシートバックとを有しており、 前記シートバックは、シートバック骨格と、当該シートバック骨格に装着されたパッドと、当該パッドを覆っている表皮と、当該表皮を前記シートバック骨格に固定する表皮固定構造とを有しており、 前記表皮固定構造は請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の車両用シートの表皮固定構造である ことを特徴とする車両用シート。前記シートバック骨格は合成樹脂によってシェル形状に形成されていることを特徴とする請求項8記載の車両用シート。

说明书全文

本発明は、車両用シートで用いられる表皮を車両用シートの骨格に直接的又は間接的に固定するための表皮固定構造に関する。また、本発明は、車両用シートで用いられる操作レバー装置に関する。また、本発明は、上記の表皮固定構造を用いた車両用シートに関する。

(特許文献1) 従来、表皮固定構造として特許文献1に開示されたものが知られている。この表皮固定構造においては、本願の図8(a)に示すように、被着体であるフレーム101の先端に突起である支持片102が形成されている。フレーム101の周囲にパッド103が設けられている。パッド103は表皮104で覆われている。表皮104の端末に係止部材である係止プレート105が縫い付けNによって接合されている。係止プレート105が接合された表皮104の端末は支持片102に引っ掛かっている。カップホルダ106がネジ107によってフレーム101に取り付けられている。支持片102に引っ掛けられた表皮104はフレーム101に取り付けられたカップホルダ106の周端部によって押し付けられて外部へ外れないようになっている。

この従来の表皮固定構造においては、表皮104が押付け用の部品であるカップホルダ106によって押え付けられることによって固定されるため、カップホルダ106が組付けられるまでは表皮104が被着体であるフレーム101から外れ易い、という問題がある。

(特許文献2) また、表皮固定構造として、従来、特許文献2に開示されたものが知られている。この表皮固定構造においては、本願の図8(b)に示すように、被着体である表皮材張設部108に突起である係合ボス部109が設けられている。この係合ボス部109に表皮104の端末部が引っ掛けられている。そして、車両のドアに設けられるプルハンドルの一部110が係合ボス部109に組付けられている。係合ボス部109に組付けられたプルハンドル110が表皮104の端末部を押し付けることにより、表皮104が被着体である表皮材張設部108から外れないように固定されている。

この従来の表皮固定構造においては、表皮104が押付け用の部品であるプルハンドル110によって押え付けられることによって固定されるため、プルハンドル110が組付けられるまでは表皮104が被着体である表皮材張設部108から外れ易い、という問題がある。

(特許文献3) 次に、表皮固定構造として、従来、特許文献3に開示されたものが知られている。この表皮固定構造においては、本願の図9に示すように、被着体である芯材111を表皮104によって覆うことによって、車両用ドアに装備されるアームレストパッド112が形成されている。

アームレストパッド112は、車両用ドアの内装ボードに装備されている膨出棚部113に取り付けられる。膨出棚部113の表面には係止片部114と引張り係合片115とが設けられている。引張り係合片115は係止片部114の手前側と係止片部114の奥側とに1つずつ設けられている。これらの引張り係合片115が係止片部114を挟んでいる。

表皮104の端末部に係合孔116が設けられている。一方、芯材111に挟着片部117及び係合突起118が設けられている。係合突起118は、基部118b、薄肉部118a、傾斜面部118c及び鈎状片部118dを有している。係合突起118が表皮104の係合孔116に挿入されている。

アームレストパッド112を車両用ドアの内装ボードに取付けると、引張り係合片115によって係合突起118が押し広げられ、そして係合突起118の鈎状片部118dがドア側の係止片部114に引っ掛かる。係合突起118に設けられた基部118b、薄肉部118a、傾斜面部118c及び鈎状片部118dの各部分は、表皮104が被着部材である芯材111から外れることを防止する。

特許文献3に開示された表皮固定構造は構造が複雑であり、コストが高くなり、大きな設置空間を必要とする等といった問題がある。

(特許文献4) 次に、表皮固定構造として、従来、特許文献4に開示されたものがある。この表皮固定構造においては、本願の図10に示すように、被着体であるバックボード119に表皮104が固定されている。バックボード119は車両用シートを構成するシートバックの背面に取付けられる車両用品である。バックボード119の表面にはカーペット125が装着されている。

表皮104の端末部には、固定具120が縫い付けNによって取付けられている。バックボード119には溝部121が設けられている。バックボード119は溝部121の内部へ突出する突起である支持爪122を有している。また、バックボード119の周辺部に回転防止壁123が設けられている。

表皮104をバックボード119に装着する際には、表皮104の端末に取付けた固定具120の先端部をバックボード119の溝部121に差し込む。差し込まれた固定具120の先端の係止部124が支持爪122の底面に引っ掛かって止められる。また、固定具120の頭部の左側の先端が回転防止壁123に当接することにより、固定具120の回転が防止される。

特許文献4に開示された従来の表皮固定構造においては、表皮104の端末部に取付けた固定具120が、被着体であるバックボード119の溝部121の内部において支持爪122及び回転防止壁123と係合することにより、表皮104がバックボード119から外れることが防止される。

この従来の表皮固定構造においては、表皮104の端末部に取付けられる固定具120に複雑な形状を付けなければならず、固定具120を固定するために被着体であるバックボード119の溝部121の内部にも複雑な形状を設けなければならず、部品コストが非常に高くなる、という問題がある。

特開2001−300161号公報

特開2009−214702号公報

特開平11−034713号公報

特開2013−102855号公報

本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、構造が簡単であり、表皮を固定するための作業を簡単に行うことができ、コストが安くて済む表皮固定構造を提供することを目的とする。

本発明に係る車両用シートの表皮固定構造は、表皮を車両用シートの骨格に固定する車両用シートの表皮固定構造において、前記骨格と一体であるベース部材と、当該ベース部材に嵌め込まれる表皮押え部材と、前記表皮の端末に設けられた係止部材と、前記ベース部材に設けられたスリットと、を有しており、前記ベース部材は前記表皮の裏面に接触する端縁を有しており、前記スリットは前記ベース部材の端縁に沿って線状に延在しており、前記係止部材及び当該係止部材が設けられた部分の前記表皮の端末は、前記表皮が前記ベース部材の端縁を覆った状態で、前記スリットの一方の口へ挿入され、当該スリットを通過して他方の口から出て、当該他方の口の近傍のベース部材に面接触状態で止まっており、前記表皮押え部材は前記表皮を前記ベース部材の端縁に押し付けることを特徴とする。

ベース部材が骨格と「一体」であるというのは、例えば、骨格とは別部材であるベース部材が骨格にネジ固定や接着によって固定されたり、ベース部材が骨格と一緒に合成樹脂によって一体成形されたりすることである。

本発明によれば、係止部材をスリットへ挿入することによって表皮をベース部材に固定した上で、さらに表皮押え部材によって表皮をベース部材へ押し付けることにしたので、表皮をベース部材、従って骨格にしっかりと固定できるようになった。

また、係止部材がスリットへ挿入されることによって表皮がベース部材に予め固定されるので、表皮押え部材によって表皮をベース部材へ押し付ける作業が非常に楽になった。この結果、表皮を固定するための作業が楽になった。

また、本発明の表皮固定構造は、係止部材、スリット及び表皮押え部材によって簡単に形成されているので、コストが非常に安い。

本発明に係る車両用シートの表皮固定構造の1つの発明態様において、前記係止部材は縫い付けによって前記表皮の端末に接合されており、その縫い付けの位置は前記係止部材の中心よりも前記表皮の端縁に近い位置である。

この発明態様によれば、係止部材が接合されている表皮の先端部をスリットへ挿入した後に、係止部材をベース部材の裏面に面接触させる処理を行い易くできる。

本発明に係る車両用シートの表皮固定構造の他の発明態様において、前記ベース部材の端縁は外側へ張出す張出し部であり、前記表皮押え部材は前記表皮を前記張出し部に押し付ける

この発明態様によれば、表皮の先端をスリットへ挿入することによって表皮をベース部材へ固定する作業を安定して楽に行えるようになる。

本発明に係る車両用シートの表皮固定構造のさらに他の発明態様において、前記スリットは前記表皮押え部材を挟んで前記ベース部材の両側に設けられており、前記張出し部は、前記の各スリットに対応した第1の張出し部と、それら第1の張出し部に連続している第2の張出し部とを有しており、第1の張出し部は前記表皮押え部材の前記ベース部材への嵌め込み方向を横切る方向へ延在しており、前記第2の張出し部は前記表皮押え部材の前記ベース部材への嵌め込み方向とほぼ平行の方向へ延在しており、前記表皮押え部材は表皮を前記第1の張出し部及び前記第2の張出し部の各々に押し付ける。

この発明態様によれば、ベース部材と表皮押え部材とによって表皮をしっかりと固定できる。

本発明に係る車両用シートの表皮固定構造のさらに他の発明態様において、前記ベース部材は、前記骨格そのもの又は前記骨格に固定された部材である。

ベース部材が骨格そのものであれば、部品点数を減らすことができる。他方、骨格とは別部品のベース部材を骨格に固定して一体化することにすれば、骨格に孔等の加工を加えなくて済むので、骨格の強度を低下させることが無くなる。

本発明に係る車両用シートの表皮固定構造のさらに他の発明態様において、前記ベース部材は車両用シートの骨格とは別部材であって当該骨格に固定された部材であり、前記骨格はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)によってシェル形状に形成されている。シェル形状とは、1枚の板状部材によって形成された形状であって、人体等といった対象物の輪郭(例えば、人の背中の輪郭)に対応するように形成された立体的な形状のことである。

CFRPは繊維を含ませることによって高い強度を保持するようにした材料である。しかしながら、このCFRPにスリットを形成すると、そのスリットの部分においてCFRP内部の繊維が切断されることにより、強度低下が発生する。これに対し、本発明態様によれば、骨格それ自身にはスリットは形成されないので、CFRPの強度を維持できる。

次に、本発明に係る車両用シートの操作レバー装置は、表皮に開けられた開口に設けられた操作レバーと、前記表皮の外側において前記操作レバーの周囲に設けられた枠部材と、前記表皮を車両用シートの骨格に固定する表皮固定構造と、を有する車両用シートの操作レバー装置において、前記表皮固定構造は、上記の各発明態様の車両用シートの表皮固定構造であり、前記枠部材は前記表皮押え部材の一部分であり、当該枠部材が前記表皮を前記ベース部材の端縁に押し付ける。

この操作レバー装置によれば、本発明に係る表皮固定構造と同じ効果を得ることができる。

次に、本発明に係る車両用シートは、着座者の臀部が乗るシートクッションと、着座者の背中を受けるシートバックとを有しており、前記シートバックは、シートバック骨格と、当該シートバック骨格に装着されたパッドと、当該パッドを覆っている表皮と、当該表皮を前記シートバック骨格に固定する表皮固定構造とを有しており、前記表皮固定構造は、上記の各発明態様の車両用シートの表皮固定構造である。この車両用シートによれば、本発明に係る表皮固定構造と同じ効果を得ることができる。

本発明に係る車両用シートの1つの発明態様において、前記シートバック骨格は合成樹脂によってシェル形状に形成されている。

本発明の表皮固定構造、操作レバー装置及び車両用シートによれば、係止部材をスリットへ挿入することによって表皮をベース部材に固定した上で、さらに表皮押え部材によって表皮をベース部材へ押し付けることにしたので、表皮をベース部材、従って骨格にしっかりと固定できるようになった。

また、係止部材がスリットへ挿入されることによって表皮がベース部材に予め固定されるので、表皮押え部材によって表皮をベース部材へ押し付ける作業が非常に楽になった。この結果、表皮を固定するための作業が楽になった。

また、本発明の表皮固定構造は、係止部材、スリット及び表皮押え部材によって簡単に形成されているので、コストが非常に安い。

本発明に係る車両用シート及び操作レバー装置の一実施形態を示す斜視図である。

図1の車両用シートで用いられる骨格構造の一実施形態を示す斜視図である。

図2の主要部である操作レバー装置を拡大して示す斜視図である。

図1のA−A線に従ったシートバックの平面断面図である。

図1の矢印Cに従ったシートバックの一部の側面図である。

(a)は図5のE−E線に従った操作レバー部の断面図であり、(b)は図6(a)において矢印Fで示す部分の拡大図である。

図6(b)では曲がっている表皮を延ばした状態を示す断面図である。

(a)は従来の表皮固定構造の一例を示す断面図である。(b)は従来の表皮固定構造の他の一例を示す断面図である。

従来の表皮固定構造のさらに他の一例を示す断面図である。

従来の表皮固定構造のさらに他の一例を示す断面図である。

以下、本発明に係る車両用シートの表皮固定構造、車両用シートの操作レバー装置、及び車両用シートを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。

(車両用シート) 図1は、本発明に係る車両用シートの一実施形態を示している。この車両用シート1は、着座者の臀部が乗るシートクッション2と、着座者の背中を受けるシートバック3とを有している。シートクッション2の表面は表皮4aで覆われている。シートバック3の表面は表皮4bで覆われている。

(骨格構造) 図2は、図1の車両用シート1の内部に設けられている骨格構造を示している。この骨格構造7は、下部のシートクッション骨格8と上部のシートバック骨格9とを有している。シートクッション骨格8は図1のシートクッション2のための骨格構造である。図2のシートバック骨格9は図1のシートバック3のための骨格構造である。

シートクッション骨格8は、着座者にとって右側に位置するサイド骨格部材10aと、着座者にとって左側に位置するサイド骨格部材10bと、サイド骨格部材10a、10bの間に設けられたセンター骨格部材11とを有している。シートクッション骨格8には、サイド骨格部材10a,10b及びセンター骨格部材11以外に必要に応じて種々の機能部品が含まれるが図2ではそれらの機能部品の図示を省略している。サイド骨格部材10a,10b及びセンター骨格部材11は、鋼材や、硬質の合成樹脂によって形成されている。

シートバック骨格9は、着座者の背中及び着座者の頭部に対応する部分である主体部14と、その主体部14の周縁部に設けられた起立部である周壁部15とを有している。主体部14は、厚さが一様で湾曲していない平らな1枚の板状部材であったり、又は、厚さが一様で人の背部に沿うように緩やかに湾曲する1枚の板状部材である。周壁部15は操作レバー部16が取付けられる部分を除いて主体部14の周縁の全域に設けられている。周壁部15は、シートクッション骨格8に近い下部の高さが高く、シートクッション骨格8から離れている上部の高さが低くなっている。操作レバー部16は、図3に示すように、ベース部材27と、表皮押え部材28と、操作レバー25とを有している。表皮押え部材28は外側へ張出す張出し部である枠部材26を有している。

以上の構成により、本実施形態のシートバック骨格9は、枠状の骨格ではなく、着座者の背中に対応する部分が板状部材となっているパネル形状のシートバック骨格となっている。パネル形状のシートバック骨格はシェル形状のシートバック骨格と呼ばれることもある。シェル形状とは、1枚の板状部材によって形成された形状であって、人体等といった対象物の輪郭(例えば、人の背中の輪郭)に対応するように形成された立体的な形状のことである。

主体部14及び周壁部15を有しているシェル形状のシートバック骨格9は繊維を含んだ合成樹脂であるCFRP(carbon fiber reinforced plastic/炭素繊維強化プラスチック)を用いて樹脂成形加工よって形成されている。シェル形状の構造物はその全体が1枚の板状部材によって形成されるので、強度が低くなる傾向にあるが、これをCFRPによって形成すれば強度を高めることができる。しかも、シェル形状の構造物は薄く形成することができる。

CFRPには炭素繊維が1つの方向に揃って並んでいるものや、延在方向が異なっている炭素繊維を含む複数の層を積層することにより結果的に炭素繊維がランダムにばらついて延在しているものや、炭素繊維が連続的につながった状態でランダムな方向へ延びているもの、等があるが、本実施形態では任意の構成のCFRPを用いることができる。

以上のように、本実施形態では、図2のシートバック骨格9をCFRPを用いた樹脂成形によって形成したので、シートバック骨格9を、周壁部が高くて薄い板形状であるシェル形状であって、軽くてしかも高強度の形状に形成できた。このようなシェル型のシートバック骨格はバケット型のシート(すなわち、左右のへり部を高くして着座者の尻や肩を深く包むことで着座者の固定機能を高めたシート)に好適に使用できる。

図4は、図1のA−A線に従ってシートバック3の平面断面部の断面構造を示している。図示のように、シートバック3は、シートバック骨格9の前方側(すなわち、着座者に対面する側、図4の下側)に弾性部材であるパッド17を装着し、さらにパッド17の表面を表皮4b(図1参照)で覆うことによって形成されている。パッド17は、例えば、弾性部材であるウレタンの発泡材によって形成されている。また、表皮4bは、例えば、織物、編物等といったファブリックや、革や、合成皮革、等によって形成されている。

シートバック骨格9の周壁部15の先端には折返し部15aが設けられている。表皮4bの端末部にはフック部材18が、例えば縫付け、接着によって固着されている。フック部材18は、合成樹脂、金属等といった硬質材料によって形成されている。表皮4bは、フック部材18をシートバック骨格9の周壁部15の折返し部15aの先端に引っ掛けることによって、シートバック骨格9に取付けられて、パッド17を覆っている。

図1のシートクッション2もシートバック3と同様に、図2のシートクッション骨格8の周囲にパッドを装着し、そのパッドを図1の表皮4aで覆うことによって形成されている。

(シートバックの傾斜移動構造) 図2において、シートバック骨格9の周壁部15の左右の下部の内面にブラケット21a,21bが、例えばネジ止め、接着等によって固定されている。ブラケット21a,21bは、例えば金属又は硬質の合成樹脂によって形成されている。そして、それらのブラケット21a,21bが傾斜移動機構22a,22bを介して、シートクッション骨格8のサイド骨格部材10a,10bの後ろ側の端部に接合されている。こうして、シートバック骨格9がシートクッション骨格8に連結されている。ブラケット21aとブラケット21bは同様の機能を果たす部材であるが、それらの形状は左右対称の形状となっている。

より詳しく説明すれば、図2において、ブラケット21a,21bの下部に傾斜移動機構22a,22bの一方の側面が取付けられている。また、傾斜移動機構22a,22bの他方の側面に第2のブラケット23a,23bが取付けられている。つまり、傾斜移動機構22a,22bは第1のブラケット21a,21bと第2のブラケット23a,23bとによって挟持されている。そして、第2のブラケット23a,23bがシートクッション骨格8のサイド骨格部材10a,10bの後ろ側の端部に接合されている。こうして、シートバック骨格9がシートクッション骨格8に連結されている。このように、本実施形態では、シートクッション骨格8とシートバック骨格9とを連結するための連結手段19a,19bが、第1のブラケット21a,12b、傾斜移動機構22a,22b及び第2のブラケット23a,23bによって構成されている。

傾斜移動機構22a,22bは、弾性部材であるバネ(例えば、渦巻きバネ)によってシートバック骨格9を矢印Bに示すように前方へ向けて回動(すなわち、傾斜移動)するように付勢する機能を有している。また、傾斜移動機構22a,22bは、シートバック骨格9がシートクッション骨格8に対して傾斜移動できるようにするロック解除状態をとることができる。この傾斜移動機構22a,22bの具体的な構造は、例えば従来からリLクライニング機構として知られている構造によって構築できる。

傾斜移動機構22a,22bがロック解除状態にセットされると、シートバック骨格9は傾斜移動機構22a,22bが持っている弾性付勢機能の働きによって矢印Bに示すように前方向へ傾斜移動する。これにより、図1においてシートバック3をシートクッション2へ向かう方向(すなわち前方向)へ傾斜移動させることができる。傾斜移動範囲は傾斜移動機構22a,22bにより範囲が規制されている。この傾斜移動範囲内において傾斜移動機構22a,22bをロック状態に切り替えることにより、着座者に適した位置にシートバックの位置を固定(すなわちロック)できる。

図1において、着座者の右肩の上部であって着座者の頭部の右部に相当するシートバック3の部分に、操作レバー部16が設けられている。図2において、操作レバー部16は、ベース部27、表皮押え部28及び操作レバー25を有している。図3に示すように、ベース部材27はシートバック骨格9の周辺部15に固定されて、シートバック骨格9と一体になっている。この固定は、ネジ固定、接着、その他任意の手法によって達成できる。ベース部材27は樹脂成形加工によってシートバック骨格9と一体に形成することも可能である。

ベース部材27は内部が空間である概ね筒形状の部材である。内部空間は、図3の左上から右下方向へ向けてベース部材27を貫通している。表皮押え部材28は矢印Jで示すようにベース部材27のその内部空間へ嵌め込まれる。ベース部材27の端縁は外側へ張出す張出し部42となっている。この張出し部42は第1の張出し部42a,42bと、第2の張出し部42cとを有している。第1の張出し部42a,42bは、表皮押え部材28のベース部材27への嵌め込み方向Jを横切る方向(例えば、方向Jに対して直角方向)へ延在している。第2の張出し部42cは、表皮押え部材28のベース部材27への嵌め込み方向Jとほぼ平行の方向へ延在している。

第2の張出し部42cは、その一方の端部が一方の第1の張出し部42aに連続し、他方の端部が他方の第1の張出し部42bに連続している。つまり、第2の張出し部42cは一対の第1の張出し部42a及び42bをつなぐ状態に配置されている。なお、ベース部材27の端縁は、必ずしも張出し部として形成しなくても良く、角筒形状のベース部材27の板厚そのものを端縁としても良い。

図5は、図1の矢印Cに従ってシートバック3の側面の一部分を示している。図5に示すように、操作レバー部16の枠部材26は操作レバー25の頂部を囲むように設けられている。こうして、枠部材26はエスカション(Escutcheon)、すなわち装飾補強用枠部材、すなわち縁飾りカバーとして機能する。

図2において、操作レバー部16と傾斜移動機構22a,22bとの間にワイヤケーブル29が設けられている。ワイヤケーブル29は、細長い中実の線材であるインナケーブル30を細長い中空のチューブ(すなわち、管状部材)であるアウタケーブル31で包囲することによって形成されている。ワイヤケーブル29はその上部において分配器32によって2つのワイヤケーブル29a及び29bへと分岐されている。

ワイヤケーブル29のインナケーブル30の上端30aは操作レバー部16の操作レバー25に接続される。また、2つに分岐したワイヤケーブル29a,29bの下端から延び出ているインナケーブル30の下端30b1,30b2は、傾斜移動機構22a,22bから延び出ているピン35a,35bに連結されている。

操作レバー25の裏側には人の指を引っ掛けることができる指引掛け部分が設けられている。人がこの指引掛け部分に指を引掛けて、さらに操作レバー25を矢印D−D’で示すように前後方向へ適宜の角度だけ回動させると、ワイヤケーブル29のインナケーブル30がアウタケーブル31の中でインナケーブル30自身の軸方向に沿って進退移動する。操作レバー部16の内部には、予め、操作レバー25を矢印D’方向(後ろ方向)へ付勢している弾性部材、例えばバネが設けられている。従って、自然状態において操作レバー25は矢印D’側にセットされている。

操作レバー25を矢印D方向(前方向)へ回動させると、ワイヤケーブル29のインナケーブル30がアウタケーブル31の中で上方へ引っ張られる。インナケーブル30が上方へ引っ張られると、インナケーブル30の下端30b1,30b2が上方へ移動し、これにより傾斜移動機構22a,22bがロック解除状態にセットされる。

傾斜移動機構22a,22bがロック解除状態にセットされると、シートバック骨格9は傾斜移動機構22a,22bが持っている弾性付勢機能の働きによって矢印Bに示すように前方向へ傾斜移動する。これにより、図1においてシートバック3をシートクッション2へ向かう方向(すなわち前方向)へ傾斜移動させることができる。このシートバック3の傾斜移動により、着座者の姿勢を適正位置に移動できる。シートバック3をロック状態にするには、ロック解除後にシートバック3を後ろへ倒す。シートバック3が後ろ方向の規定位置に達するとシートバック3がロック状態に設定される。

(表皮固定構造) 図6(a)は、図5のE−E線(すなわち、図3のE−E線)に従って操作レバー部16の断面構造を示している。図6(b)は図6(a)の矢印Fで示す部分の拡大図である。図6(a)に示すように、表皮4bは第1層36と第2層37とによって構成されている。第1層36は弾性材料であり、第2層37は織物、編物等といったファブリックや、革や、合成皮革、等である。

操作レバー部16は表皮4bに開けられた開口Kの内部に設けられている。また、操作レバー部16はパッド17の内部に設けられている。図6(b)に示すように、表皮4bの端末38は第2層37だけによって構成されている。この端末38の先端部に板状の係止部材39が縫い付けNによって接合されている。係止部材39は金属、硬質の合成樹脂、等によって形成されている。

図7は、表皮4bの端末38を図6(b)に示す折り曲げ状態とする前の、当該端末38が延びた状態を示している。図7において、表皮4bの端末38は紙面を貫通する方向に延びている。また、係止部材39を縫い付けNによって表皮4bの第2層37へ接合する位置は、係止部材39の中心X0よりも表皮4bの第2層37の先端縁37aに近い位置である。

ベース部材27の端縁42である第1の張出し部42aは、本実施形態では既述の通り外側へ張出している。この第1の張出し部42aは表皮4bを受ける働きをする。第1の張出し部42aの表面から適宜の間隔Gの所のベース部材27の側壁にスリット43が設けられている。スリット43は細長い開口である。スリット43は表皮4bの端末38の延在方向(図7の紙面を貫通する方向)に沿って延在している。スリット43の延在方向(図7の紙面を貫通する方向)と直角方向の幅Wは、表皮4bの端末38の厚さと係止部材39の厚さを足し合わせた厚さTよりもわずかに大きくなっている。これにより、端末38及び係止部材39を矢印Hで示すように折り曲げてスリット43の中へ挿入することができる。そして、挿入した後は、係止部材39を端末38の先端部を介してベース部材27の側壁の裏面に図6(b)に示すように面接触させることができる。

図7において、表皮4bをベース部材27に固定する際、すなわち、表皮4bを図2のシートバック骨格9に固定する際には、まず、表皮4bの端末38はベース部材27の裏面側(図7においてベース部材27の上側)からベース部材27の側壁の表面側へ引っ張り出される。次に、端末38は、ベース部材27の先端である第1の張出し部42aの所で曲げられてベース部材27の側壁の表面へ達する。次に、端末38はスリット43の所で曲げられて、係止部材39が接合された先端部がスリット43へ挿入さる。そしてさらに、図6(b)に示すように係止部材39が接合された表皮4bの先端部がベース部材27の側壁の裏面側へ入り込み、さらに、係止部材39が表皮4bの先端部を介してベース部材27の側壁の裏面に面接触する。以上により、表皮4bの端末38がベース部材27、従ってシートバック骨格9に固定される。

なお、図6(b)及び図7ではベース部材27の一方の側壁に関する表皮固定構造を説明したが、図6(a)においてベース部材27の一方の側壁に対向するもう一方の側壁に対しても同様の表皮固定構造が適用されている。

以上のように、本実施形態の表皮4bの固定構造は構造が簡単である。また、本実施形態の表皮4bの固定構造を用いて行われる表皮4bを固定するための作業は、非常に簡単である。さらに、本実施形態の表皮4bの固定構造は構造が簡単であるので、コストが安くて済む。

(操作レバー部の組付け) 図2の操作レバー部16を図1に示すようにシートバック3へ組み付ける際には、まず、図2において、操作レバー25を表皮押え部材28に組み付ける。具体的には、図6(a)に示すように、操作レバー25の端部を回転支持部44a,44bにおいて表皮押え部材28の側壁に回転可能に組み付ける。

他方、図3において、表皮4bの端末38に接合された一対の係止部材39を、それぞれ、図7の矢印Hで示すように、ベース部材27の側壁のスリット43の一方の口へ挿入し、さらに図6(b)に示すように、スリット43の他方の口からベース部材27の側壁の裏面へ押し出し、さらに係止部材39及びそれが接合している表皮の端末38を図6(b)に示すようにベース部材27の側壁の裏面に面接触状態で止める。これにより、図3において、表皮4bがベース部材27の側壁に固定される。

その後、図2において、表皮押え部材28に組み付けられた操作レバー25の下端にワイヤケーブル29のインナケーブル30の上端30aを連結する。そして、その後、操作レバー25と表皮押え部材28の組立体を図3の矢印Jで示すように表皮4bの開口Kへ挿入し、さらに表皮押え部材28の張出し部材である枠部材26によって表皮4bをベース部材27の張出し部(すなわち端縁)42a及び42bへ押し付ける(図6(b)参照)。また、図3において、枠部材26の垂下部分26aによって表皮4bがベース部材27の端縁である第2の張出し部42cに押し付けられる。これにより、表皮4bが表皮押え部材28によってベース部材27、従ってシートバック骨格9に固定される。そしてこの結果、操作レバー部16が図1に示すようにシートバック3の所定位置に組み付けられる。また、図5に示すように、枠部材26が操作レバー25の周囲に配置されてエスカッションとして機能する。

以上のように、本実施形態によれば、図3において、係止部材39がスリット43へ挿入されることによって表皮4bがベース部材27に予め固定されるので、表皮押え部材28によって表皮4bをベース部材27へ押し付ける作業が非常に楽になった。この結果、表皮4bを固定するための作業が楽になった。

また、係止部材39をスリット43へ挿入することによって表皮4bをベース部材27に固定した上で、さらに表皮押え部材28の枠部材26によって表皮4bをベース部材27へ押し付けることにしたので、表皮4bをベース部材27、従ってシートバック骨格9へしっかりと固定できるようになった。

また、本実施形態における表皮固定構造は、係止部材39、スリット43及び表皮押え部材28によって簡単に形成されているので、コストが非常に安い。

(その他の実施形態) 以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。

例えば、上記の実施形態では、ベース部材27の端縁42を張出し部42a,42bの形で形成したが、これに代えて、ベース部材27の側壁の板厚部分によって端縁42を形成することも可能である。この場合には端縁42には張出し部が無い。

また、上記の実施形態では図2に示したように、シェル形状のシートバック骨格9を用いたが、これに代えて、細長い棒状部材や細長い板状部材を組み合わせて形成した枠状のシートバック骨格を用いることも可能である。この場合には、図2に示したベース部材27は骨格を形成している膨状部材や板状部材に固定される。

また、上記の実施形態では、図2のシートバック骨格9に表皮固定構造及び操作レバー部を設ける場合を例示した。しかしながら、上記の表皮固定構造と同様の構造及び上記の操作レバー部と同様の構造はシートクッション骨格8に適用することも可能である。

また、上記の実施形態では、図2において、シートバック骨格9とは別部材であるベース部材27をそのシートバック骨格9に固定した。しかしながら、これに代えて、ベース部材27を樹脂の成形加工によってシートバック骨格9と一体に形成することもできる。

1.車両用シート、 2.シートクッション、 3.シートバック、 4a,4b.表皮、 7.骨格構造、 8.シートクッション骨格、 9.シートバック骨格、 10a,10b.サイド骨格部材、 11.センター骨格部材、 14.主体部、 15.周壁部、 15a.折返し部、 16.操作レバー部、 17.パッド、 18.フック部材、 19a,19b.連結手段、 21a,21b.ブラケット、 22a,22b.傾斜移動機構、 23a,23b.第2のブラケット、 25.操作レバー、 26.枠部材、 26a.枠部材の垂下部分、 27.ベース部材、 29,29a,29b.ワイヤケーブル、 30.インナケーブル、 30a.インナケーブルの上端、 30b1,30b2.インナケーブルの下端、 31.アウタケーブル、 32.分配器、 35a,35b.ピン、 36.表皮の第1層、 37.表皮の第2層、 37a.表皮の先端縁、 38.表皮の端末、 39.係止部材、 42.張出し部(ベース部材の端縁)、 42a、42b.第1の張出し部、 42c.第2の張出し部、 43.スリット、 44a,44b.回転支持部、 B.傾斜移動、 D−D’.レバー操作方向、 G.間隔、 H.表皮先端の挿入方向、K.表皮の開口、 N.縫い付け、 T.表皮先端の厚さ、 W.スリットの幅、 X0.係止部材の中心、

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