車両用シート

申请号 JP2014262250 申请日 2014-12-25 公开(公告)号 JP2016120841A 公开(公告)日 2016-07-07
申请人 株式会社タチエス; 发明人 石井 厚; 水野 信一;
摘要 【課題】 本発明の目的は、縫い代部が延設される平面内における二次元曲げが容易で、耐久性があり、人に違和感を与え難い玉縁を備えた車両用シートを提供することにある。 【解決手段】 本発明の車両用シートは、シート1の表面を覆うシートカバー2A,3A,4Aを備え、シートカバー2A,3A,4Aが複数の表皮部材2A1〜4A2と複数の表皮部材2A1〜4A2を縫い合わせた玉縁5A〜5Gとを有し、玉縁5A〜5Gが突条部と突条部の両側に設けられ表皮部材2A1〜4A2を縫い合わせる縫い代部とで構成された車両用シートにおいて、玉縁5A〜5Gは繊維を織り上げた織物で形成されたものである。 【選択図】図2
权利要求

シートの表面を覆うシートカバーを備え、前記シートカバーが複数の表皮部材と前記複数の表皮部材を縫い合わせた玉縁とを有し、前記玉縁が突条部と前記突条部の両側に設けられ前記表皮部材を縫い合わせる縫い代部とで構成された車両用シートにおいて、 前記玉縁は繊維を織り上げた織物で形成されたことを特徴とする車両用シート。請求項1に記載の車両用シートにおいて、 前記玉縁は、前記縫い代部に、外縁から前記突条部に向かって形成されたノッチを有することを特徴とする車両用シート。請求項2に記載の車両用シートにおいて、 前記玉縁は、前記突条部の両側に設けられた前記縫い代部のそれぞれに前記表皮部材を縫い付ける第1の縫い付け部が前記突条部に沿って設けられていることを特徴とする車両用シート。請求項3に記載の車両用シートにおいて、 前記玉縁は、前記ノッチと前記第1の縫い付け部との間に、前記縫い代部に前記表皮部材を縫い付ける第2の縫い付け部が前記突条部に沿って設けられていることを特徴とする車両用シート。請求項4に記載の車両用シートにおいて、 前記表皮部材は、前記第1の縫い付け部よりも前記突条部側で前記縫い代部の外縁に向かって折り返され、 前記第2の縫い付け部は、折り返して二重になった前記表皮部材の上から、前記表皮部材を前記縫い代部に縫い付けていることを特徴とする車両用シート。

说明书全文

本発明は、玉縁を有する車両用シートに関する。

本技術分野の背景技術として、特開平7−8359号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、合成樹脂からなる帯状の玉縁本体と、玉縁本体の裏面側に接合された補強布とから成り、玉縁本体の幅方向中央に形成され断面が略半円弧形状を成す突条部と、突条部の左右両側より幅方向に延設された縫い代部とを有する玉縁が記載されている。この玉縁には、突条部の左右両側の縫い代部に表皮材の端末の折り返し部がそれぞれ補強布と共に縫い付けられる(要約参照)。

特開平7−8359号公報

玉縁にはシートの表皮材が縫い付けられ、玉縁はデザイン上のアクセントとして、シート形状の稜線(高い部分の連なり)に線状突起として設けられる。特許文献1の玉縁は合成樹脂で作られている。合成樹脂製の玉縁は硬く、人がシートに腰掛ける、或いはシートから立ち上がる際に、人と接触することにより、人に違和感を与える。場合によっては、不快に感じる可能性もある。特に、車両用シートにおいては、人はシートクッション(座面)上で向きを変えながら腰掛ける、或いは立ち上がるため、玉縁上をすべりながら移動することになる。このような動作では特に、玉縁が人に違和感を与え易い。また、人が玉縁上をすべりながら移動すると、玉縁が摩耗し、経年劣化が早く起きる。

特許文献1の玉縁では、突条部の左右両側より幅方向に縫い代部が延設された帯状の構造である。このような構造を有し、合成樹脂からなる玉縁では、その形状及び硬さにより、縫い代部が延設される平面内における二次元曲げ(以下、平面二次元曲げという)の加工を行うことが難しい。特に、車両用シートにおいては、曲率の大きい、或いは屈曲若しくは屈曲に近い平面二次元曲げを必要とする場合がある。上述した構造を有する合成樹脂製の玉縁では、曲率の大きい、或いは屈曲若しくは屈曲に近い平面二次元曲げへの対応が困難になる。

本発明の目的は、縫い代部が延設される平面内における二次元曲げが容易で、耐久性があり、人に違和感を与え難い玉縁を備えた車両用シートを提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明の車両用シートは、シートの表面を覆うシートカバーを備え、前記シートカバーが複数の表皮部材と前記複数の表皮部材を縫い合わせた玉縁とを有し、前記玉縁が突条部と前記突条部の両側に設けられ前記表皮部材を縫い合わせる縫い代部とで構成された車両用シートにおいて、前記玉縁を、繊維を織り上げた織物で形成したものである。

本発明によれば、玉縁を、繊維を織り上げた織物で形成したことにより、玉縁が様々な曲線に追従し易くなり、平面二次元曲げの加工が容易になる。また、人が触れた際には人の体形に合わせて容易に変形することにより、玉縁に大きな摩擦が作用し難くなる。これにより、耐久性があり、人に違和感を与え難い玉縁を備えた車両用シートを提供することができる。

本発明の一実施例に係る車両用シートの斜視図である。

本発明の一実施例に係る車両用シートに用いられる玉縁を示す図であり、平面二次元曲げ加工を施した状態を示す平面図である。

図2に示す玉縁のIII−III断面において、表皮材が縫い付けられた状態を示す断面図である。

合成樹脂製の玉縁の一例を示す平面図である。

合成樹脂製の玉縁に加工される平面二次元曲げを示す図である。

合成樹脂製の玉縁において加工し易い曲げの形態を示す図である。

以下、本発明に係る実施例を説明する。

図1は、本発明の一実施例に係る車両用シートの斜視図である。

図1に示すように、車両用シート1は、人が着座するシートクッション2と、シートクッションの後端に立設されたシートバック3と、シートバック3の上端部に設けられたヘッドレスト4とを備えている。シートクッション2は、車両の床に、前後方向に位置を調節可能な状態で、取り付けられている。シートバック3は、下端部を中心として回動可能な状態で、シートクッション2に連結されている。ヘッドレスト4は、高さ位置を調節可能な状態で、シートバック3に取り付けられている。シートクッション2、シートバック3及びヘッドレスト4は、内部に骨格部材となるシートフレームと発泡樹脂などからなるクッション材とが設けられ、クッション材の表面をカバーで覆う構成である。図1では、シートフレーム及びクッション材がカバーに覆われた状態を示しており、シートフレーム及びクッション材は図示されていない。

本実施例の車両用シートでは、シートクッション2はシートクッションカバー2Aで覆われ、シートバック3はシートバックカバー3Aで覆われ、ヘッドレスト4はヘッドレストカバー4Aで覆われている。シートクッションカバー2A、シートバックカバー3A及びヘッドレストカバー4Aをそれぞれ単体で、或いはシートクッションカバー2A、シートバックカバー3A及びヘッドレストカバー4Aをまとめてシートカバーと呼ぶ。

シートクッションカバー2Aは、座面の中央前側を覆う中央前側表皮部材(中央前側トリムカバー部材)2A1と、座面の中央後側を覆う中央後側表皮部材(中央後側トリムカバー部材)2A2と、座面の側部外側を覆う側部外側表皮部材(側部外側トリムカバー部材)2A3と、座面の側部内側を覆う側部内側表皮部材(側部内側トリムカバー部材)2A4と、座面の前側外周を覆う前側外周表皮部材(前側外周トリムカバー部材)2A5と、座面の側部外周を覆う側部外周表皮部材(側部外周トリムカバー部材)2A6と、が縫い合わされて、形成されている。

中央前側表皮部材2A1と前側外周表皮部材2A5とは、それぞれが玉縁5Aに縫い付けられており、玉縁5Aを介して連結されている。側部外側表皮部材2A3と側部外周表皮部材2A6とは、それぞれが玉縁5Bに縫い付けられており、玉縁5Bを介して連結されている。側部外側表皮部材2A3と側部内側表皮部材2A4とは、それぞれが玉縁5Cに縫い付けられており、玉縁5Cを介して連結されている。

なお、側部外側表皮部材2A3、側部内側表皮部材2A4、側部外周表皮部材2A6、玉縁5B及び玉縁5Cは、車両用シート1の幅方向の両側(左右側方)に対を成すようにして、それぞれが一対ずつ設けられている。

表皮部材2A1〜2A6の裁断形状及び分割数と玉縁5A〜5Cの配置とは、デザイン的な観点から決定すればよく、上述した構成に限定されるものではない。例えば、側部外側表皮部材2A3と側部内側表皮部材2A4とを一枚の表皮部材とし、玉縁5Cを設けない構成にしてもよい。

シートバックカバー3Aは、シートバック3の中央上部を覆う中央上部表皮部材(中央上部トリムカバー部材)3A1と、シートバック3の中央下部を覆う中央下部表皮部材(中央下部トリムカバー部材)3A2と、シートバック3の側部外側を覆う側部外側表皮部材(側部外側トリムカバー部材)3A3と、シートバック3の側部内側を覆う側部内側表皮部材(側部内側トリムカバー部材)3A4と、シートバック3の上部外周を覆う上部外周表皮部材(上部外周トリムカバー部材)3A5と、シートバック3の側部外周を覆う側部外周表皮部材(側部外周トリムカバー部材)3A6と、が縫い合わされて、形成されている。

中央上部表皮部材3A1と上部外周表皮部材3A5とは、それぞれが玉縁5Dに縫い付けられており、玉縁5Dを介して連結されている。側部外側表皮部材3A3と側部外周表皮部材3A6とは、それぞれが玉縁5Eに縫い付けられており、玉縁5Eを介して連結されている。側部外側表皮部材3A3と側部内側表皮部材3A4とは、それぞれが玉縁5Fに縫い付けられており、玉縁5Fを介して連結されている。

なお、側部外側表皮部材3A3、側部内側表皮部材3A4、側部外周表皮部材3A6、玉縁5E及び玉縁5Fは、車両用シート1の幅方向の両側(左右側方)に対を成すようにして、それぞれが一対ずつ設けられている。

表皮部材3A1〜3A6の裁断形状及び分割数と玉縁5D〜5Fの配置とは、デザイン的な観点から決定すればよく、上述した構成に限定されるものではない。例えば、側部外側表皮部材3A3と側部内側表皮部材3A4とを一枚の表皮部材とし、玉縁5Fを設けない構成にしてもよい。

ヘッドレストカバー4Aは、ヘッドレスト4の前面を覆う前面表皮部材(前面トリムカバー部材)4A1と、ヘッドレスト4の背面を覆う背面表皮部材(背面トリムカバー部材)4A2と、が縫い合わされて、形成されている。前面表皮部材4A1と背面表皮部材4A2とは、それぞれが玉縁5Gに縫い付けられており、玉縁5Gを介して連結されている。表皮部材4A1,4A2の裁断形状及び分割数と玉縁5Gの配置とは、デザイン的な観点から決定すればよく、上述した構成に限定されるものではない。

次に、図2及び図3を用いて、玉縁5について説明する。図2は、本発明の一実施例に係る車両用シートに用いられる玉縁を示す図であり、平面二次元曲げ加工を施した状態を示す平面図である。図3は、図2に示す玉縁のIII−III断面において、表皮材が縫い付けられた状態を示す断面図である。上述した玉縁5A〜5Gは、以下で説明する玉縁5と同じ構成である。

図2に示すように、玉縁5は突条部51と縫い代部(延設部)52A,52Bとを有する。突条部51は玉縁5の長手方向に沿って線状に形成されている。このため、突条部51を線状突条部と呼ぶ場合もある。玉縁5は、突条部51に対して、玉縁5の幅方向の両側に、縫い代部52A,52Bを有する。

玉縁5が直線状を成す状態においては、突条部51と縫い代部52A,52Bとは、一つの平面上に存在する。玉縁5の幅方向は、この平面上において、玉縁5の長手方向に直交する方向である。そして、縫い代部52A,52Bは、この平面上において、突条部51から玉縁5の幅方向に延設されている。また、突条部51は、この平面から突出するように形成されている。

なお、図2では、この平面(縫い代部52A,52Bが延設される平面)内において、玉縁5が長手方向の2箇所II−1,II−2で二次元曲げ(以下、平面二次元曲げという)の加工を施された状態を示している。

玉縁5は、繊維からなるファブリック(fabric)製である。すなわち、玉縁5は、細い糸状の部材(繊維)を織り上げて製作された布或いは織物でできている。本実施例では、玉縁5は、突条部51と縫い代部52A,52Bとが一体に織り上げられている。繊維の種類としては、植物繊維、動物繊維等を含む天然繊維、或いは合成繊維等を含む化学繊維等を使用することができる。繊維の種類については、特に限定される訳ではない。出来上がった玉縁5が、後述する、縫い代部52A,52Bの面外方向における柔軟性を有していればよい。

本実施例では、上述したように、玉縁5の突条部51と縫い代部52A,52Bとを一体に織り上げているが、突条部51と縫い代部52A,52Bとを別々に織り上げ、縫い合わせてもよい。

玉縁5は、平面二次元曲げ部II−1,II−2の縫い代部52A,52Bにノッチ53A,53Bが形成されている。ノッチ53A,53Bは、縫い代部52A,52Bの外縁から突条部51側に向かって加工された切り込みである。本実施例では、ノッチ53A,53BはV字状(楔状)に切り込まれて形成されている。

ノッチ53A,53Bは、平面二次元曲げ部II−1,II−2における曲げ加工を容易にする。特に平面二次元曲げ部II−1の外周側では、縫い代部52Aが曲げ加工に対して抵抗力を発揮する。縫い代部52Aのノッチ53Aは、曲げ加工時に開くことにより、縫い代部52Aによる抵抗力を排除する。玉縁5の少なくとも縫い代部52A,52Bを、伸縮性を有する状態のファブリック素材とすることにより、平面二次元曲げ部II−1の外周側におけるノッチ53Aを省略することが可能である。

縫い代部52A,52Bはファブリック素材で形成されているため、平面二次元曲げ部II−1の内周側では、縫い代部52Bの存在が曲げ加工の容易性において外周側ほど問題にならない。すなわち、ファブリック製の縫い代部52Bを折り畳む或いは折り曲げることにより、平面二次元曲げの加工は可能である。しかし、縫い代部52Bを折り畳む或いは折り曲げた部分が、外観的な美しさを損ねる、或いは人に違和感を与える等の課題を生じる場合がある。このような課題が生じる場合は、平面二次元曲げ部II−1の内周側の縫い代部52Bにも、ノッチ53Bを設けることが好ましい。

車両用シートでは、図1のI部に示すように、玉縁5(5B)に曲率の大きい、或いは屈曲若しくは屈曲に近い平面二次元曲げ加工を必要とする箇所がある。本実施例の玉縁5は、全体がファブリック素材で形成されているので、曲率の大きい、或いは屈曲若しくは屈曲に近い平面二次元曲げ加工を容易に実施することができる。玉縁5にはノッチ53A,53Bが設けられていることにより、曲率の大きい、或いは屈曲若しくは屈曲に近い平面二次元曲げ加工をさらに容易に実施することができる。

縫い代部52A,52Bのノッチ53A,53Bは、上述したように、必ずしも設ける必要はない。縫い代部52A,52Bがファブリック素材で形成されているため、玉縁5を製作した後で、必要に応じて形成することが可能である。例えば、表皮部材と玉縁5とを縫製する際に、必要になった時点でノッチ53A,53Bを加工することができる。予めノッチ53A,53Bの必要な箇所が分かっている場合は、予めノッチ53A,53Bを設けて玉縁5を織り上げてもよい。ノッチ53A,53Bは、ハサミ等で縫い代部52A,52Bに切れ込みを入れることで、形成することができる。

図3に示すように、玉縁5の突条部51は、断面が円形状に形成されている。突条部51の断面形状は、円形状に限定される訳ではなく、楕円形状、半円形状或いはその他の形状であってもよい。

表皮部材30A,30Bと玉縁5とを縫い合わせる場合、表皮部材30A,30Bの端部30A1,30B1と玉縁5の縫い代部52A,52Bの端部52A1,52B1とを揃えて位置合わせする。この位置合わせをした状態で、突条部51の近傍で表皮部材30A,30Bと縫い代部52A,52Bとを縫い合わせる(33A,33B)。縫い合わせ部(第1の縫い合わせ部或いは第1の縫い付け部)33A,33Bよりも突条部51寄りの部分で表皮部材30A,30Bを折り返す。さらに、縫い合わせ部33A,33Bよりも縫い代部52A,52Bの端部52A1,52B1よりの部分で、折り返した表皮部材30A,30Bの上から、表皮部材30A,30Bと縫い代部52A,52Bとを縫い合わせる(34A,34B)。縫い合わせ部(第2の縫い合わせ部或いは第2の縫い付け部)34A,34Bでは、表皮部材30A,30Bは二重に重ねられた状態である。

第2の縫い合わせ部34A,34Bは、第1の縫い合わせ部33A,33Bよりも玉縁5の外縁52A1,52B1側にあり、ノッチ53A,53Bよりも突条部51側にある。玉縁5には、幅方向におけるノッチノッチ53A,53Bと第1の縫い付け部33A,33Bとの間に、表皮部材30A,30Bを縫い付ける第2の縫い付け部34A,34Bが突条部51に沿って設けられていることになる。これにより、第2の縫い合わせ部34A,34Bは、ノッチ53A,53Bを切り込んで形成したことによるファブリック素材のほつれを防止するほつれ止めとしても機能している。

第1の縫い合わせ部33A,33B及び第2の縫い合わせ部34A,34Bの縫製工程(縫製作業)においては、ミシンのガイド部材(ガイド鋼)31と玉縁5の突条部51との位置合わせを行う。これにより、ガイド部材31に対して所定の位置に配置された針32を、突条部51から一定の距離だけ離れた部分に位置決めすることができる。そして、ミシンのガイド部材31を突条部51に沿って移動させることにより、突条部51から一定の距離だけ離れた部分で、表皮部材30A,30Bと玉縁5とを縫い合わせることができる。

ここで、図4〜図6を用いて、合成樹脂製の玉縁500について説明する。図4は、合成樹脂製の玉縁の一例を示す平面図である。図5は、合成樹脂製の玉縁に加工される平面二次元曲げを示す図である。図6は、合成樹脂製の玉縁において加工し易い曲げの形態を示す図である。

玉縁500は、突条部510と縫い代部520A,520Bとを有する。縫い代部520A,520Bには、波形状部539A,530Bが形成されている。玉縁500では、突条部510と縫い代部520A,520Bとが合成樹脂材で形成されている。波形状部539A,530Bは、突条部510と縫い代部520A,520Bとを形成する際に、突条部510及び縫い代部520A,520Bと共に、一体成形される。

合成樹脂材で形成された玉縁500では、図5に示すような平面二次元曲げ加工を行う場合、樹脂の剛性により、曲率の大きい、或いは屈曲若しくは屈曲に近い平面二次元曲げ部を加工することが困難である。すなわち、図6において、z軸方向に直線状を成して形成された帯状の玉縁500は、y軸方向に向けて曲げる際には、曲がり易く、曲線形状に追従し易い。これに対して、x軸方向に向けて曲げる場合には、曲率の大きな曲線に追従することが困難になる。合成樹脂材で形成された玉縁500は、このような性質があるため、車両用シートにおいてシート形状の稜線(高い部分の連なり)に使用する際には、捻りを加えながら形に合わせる等、縫製作業が複雑になる。

本実施例は、上述したように、柔軟なファブリック素材で玉縁5を形成しているため、平面二次元曲げにおいて曲率の大きな曲線に追従させることが容易である。これにより、カバーの縫製作業が容易になる。

また、合成樹脂製の玉縁500は硬く、人がシートに腰掛ける、或いはシートから立ち上がる際に、人と接触することにより、人に違和感を与え易い。場合によっては、不快に感じる可能性もある。特に、車両用シートにおいては、人はシートクッション(座面)上で向きを変えながら腰掛ける、或いは立ち上がるため、玉縁上をすべりながら移動することになる。このような動作では特に、玉縁が人に違和感を与え易い。また、人が玉縁上をすべりながら移動すると、玉縁が摩耗し、経年劣化が早く起きる。

本実施例の玉縁5では、柔軟なファブリック素材で玉縁5を形成しているため、人が触れた際に人の体形に沿って変形し易い。このため、人に違和感を与え難く、人に与える不快感を軽減する効果がある。また、人が玉縁5上をすべりながら移動する場合に、玉縁に加わる摩擦力が軽減する。このため、玉縁5は、摩耗し難く、経年劣化を起こし難くなる。

ファブリック素材で製作された玉縁5は、伸張性を有するので、人が着座する際に表皮部材30A,30Bに掛かるストレスを緩和することができる。また、このような効果を期待して、玉縁5の伸張性をコントロールすることができる。

合成樹脂製の玉縁500では形状に合わせた型が必要になる。しかし、本実施例の玉縁5では、突条部51及び縫い代部52A,52Bは繊維の織り方を変えることにより、種々の形状にすることができる。このため、設備にかかるコストを低減できる。また、繊維の織り方を変えることで形状の変更が可能であるため、形状の変更に伴う準備時間が短縮され、設計変更が容易になる。

さらに、玉縁5は、色の異なる繊維を複数組み合わせることにより、種々の色彩或いは柄を有する玉縁5にすることができ、車両用シートのデザイン性を高めることができる。

本実施例では車両用シートについて説明した。本実施例の玉縁5は、飛行機やその他の乗り物のシート、或いは家庭や建築物に備えられるシート等でも使用することができる。

1…車両用シート、2…シートクッション、2A…シートクッションカバー、2A1…中央前側表皮部材(中央前側トリムカバー部材)、2A2…中央後側表皮部材(中央後側トリムカバー部材)、2A3…側部外側表皮部材(側部外側トリムカバー部材)、2A4…側部内側表皮部材(側部内側トリムカバー部材)、2A5…前側外周表皮部材(前側外周トリムカバー部材)、2A6…側部外周表皮部材(側部外周トリムカバー部材)、3…シートバック、3A…シートバックカバー、3A1…中央上部表皮部材(中央上部トリムカバー部材)、3A2…中央下部表皮部材(中央下部トリムカバー部材)、3A3…側部外側表皮部材(側部外側トリムカバー部材)、3A4…側部内側表皮部材(側部内側トリムカバー部材)、3A5…上部外周表皮部材(上部外周トリムカバー部材)、3A6…側部外周表皮部材(側部外周トリムカバー部材)、4…ヘッドレスト、4A…ヘッドレストカバー、4A1…前面表皮部材(前面トリムカバー部材)、4A2…背面表皮部材(背面トリムカバー部材)、5A、5B,5C,5D,5E,5F,5G…玉縁、30A,30B…表皮部材、30A1,30B1…表皮部材30A,30Bの端部、31…ガイド部材(ガイド鋼)、32…針、33A,33B…第1の縫い合わせ部、34A,34B…第2の縫い合わせ部、51…突条部、52A,52B…縫い代部(延設部)、52A1,52B1…縫い代部52A,52Bの端部、53A,53B…ノッチ(切り込み部)。

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