車両用シート

申请号 JP2013087170 申请日 2013-04-18 公开(公告)号 JP2014210475A 公开(公告)日 2014-11-13
申请人 テイ・エス テック株式会社; Ts Tech Co Ltd; テイ・エス テック株式会社; 发明人 TANABE JINICHI;
摘要 【課題】サイドエアバッグの展開方向を案内する案内部材が表皮カバーのマチ部に縫合された車両用シートであって、案内部材の縫合部が、表皮カバーを通して外観に影響を及ぼすことが抑制された車両用シートを提供する。【解決手段】車両用シートにおいて、エアバッグの展開方向を案内する案内部材32を有し、一対の表皮材41,42の端末と、一対の端末のうち一方41に固定された案内部材32の端部とが相互に取付けられ、エアバッグの展開時に表皮材の破断の起点となると共にクッションパッド5に対向する破断部40cを備える。破断部40cにおいて表皮材41,42及び案内部材32からクッションパッド5が受ける面圧は、案内部材が固定されていない端末側よりも、案内部材32が固定された端末側の方が低い。【選択図】図7
权利要求
  • シートフレームと、
    該シートフレームに支持されるクッションパッドと、
    前記シートフレームに固定され、エアバッグを格納するエアバッグモジュールと、
    該エアバッグモジュール及び前記クッションパッドを覆う表皮材と、を備えた車両用シートであって、
    前記エアバッグの展開方向を案内する案内部材を有し、
    一対の前記表皮材の端末と、該一対の端末のうち一方に固定された前記案内部材の端部とが相互に取付けられ、前記エアバッグの展開時に前記表皮材の破断の起点となると共に前記クッションパッドに対向する破断部を備え、
    該破断部において前記表皮材及び前記案内部材から前記クッションパッドが受ける面圧は、前記案内部材が固定されていない前記端末側よりも、前記案内部材が固定された前記端末側の方が低いことを特徴とする車両用シート。
  • 前記クッションパッドは、前記破断部に対向する凹部を備え、
    該凹部のうち、前記案内部材が固定されていない前記端末側が対向する領域よりも、前記案内部材が固定された前記端末側が対向する領域の方が、深いことを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
  • 前記クッションパッドのうち、前記案内部材が固定されていない前記端末側が対向する領域よりも、前記案内部材が固定された前記端末側が対向する領域の方が、硬度が低いことを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
  • 前記クッションパッドは、前記破断部に対向する凹部を備え、
    該凹部の中心は、前記破断部の中心よりも、前記案内部材が固定された前記端末側の位置に、対向していることを特徴とする請求項1記載の車両用シート。
  • 前記シートフレームは、着座者の背面を支持するシートバックのフレームであって、
    前記クッションパッドは、シート幅方向の両端側に、前記シート幅方向の外側の端部側が前方に張り出す側部を備え、
    前記クッションパッドのうち、少なくとも左右の前記側部は、前記シートの幅方向中央を中心とした左右対称の位置に、前記凹部を備えた左右対称の形状からなることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の車両用シート。
  • 前記案内部材は、前記エアバッグモジュールの前方を通って前記エアバッグモジュールの前記シート幅方向の内側に引き込まれるインナー案内部材であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の車両用シート。
  • 前記凹部は、前記一対の表皮材の端末に沿って、連続して設けられた溝からなることを特徴とする請求項2,4,5及び6いずれか記載の車両用シート。
  • 前記溝は、該溝の端部と前記溝の最も深い底部との間で、なだらかに深さが変化し、前記一対の表皮材の端末に沿って延びる傾斜面を備え、該傾斜面に、前記案内部材の端部が当接することを特徴とする請求項7記載の車両用シート。
  • 前記溝は、前記案内部材に対向する領域において、最も深く形成されていることを特徴とする請求項7又は8記載の車両用シート。
  • 说明书全文

    本発明は、エアバッグの展開方向を案内する案内部材の一端がサイドフレーム側に取付けられ、他端が表皮端末に縫合された車両用シートに関する。

    従来、サイドエアバッグモジュールを装備する車両用シートとして、シートバックフレームにサイドフレームを固着すると共に、該サイドフレームにエアバッグモジュールを取付け、且つシートバックをサイドフレームに対応するマチ部を有する表皮カバーで覆うと共に、マチ部の内側に補強布を設けて、マチ部の前端の縫製部のみがエアバッグモジュールから前方へ展開するエアバッグにより押し破られる構造になっているものが広く用いられている。
    そして、一般的な車両の前部座席用シートでは、サイドフレームに対応するマチ部が、左右両側に一対設けられ、マチ部の前端の縫製部も、左右一対設けられるのに対し、サイドエアバッグモジュール及び補強布は、車両ドア側のみに設けられる。
    マチ部の前端の縫製部には、縫製部で縫合される一対の端部のうち一方に、補強布が共縫いされ、この縫製部がパッド材に対向する。
    このような車両用シートとして、補強布の前端をマチ部の前端に縫合し、後端に上下に取付孔を有する金具を取付けると共に、シートバックフレームに前記取付孔に対応する取付孔を有したパネルブラケットを固着し、両取付孔同士を締結手段により取付けたものが提案されている(例えば特許文献1)。

    特許文献1では、補強布の後端を金具を介してシートバックフレームのパネルブラケットに取付けるため、補強布の後端をワイヤやフックでシートバックフレームに引っ掛ける場合等のように、マチ部の前端の縫製部が蛇行することはなく、見映えの点で優れたものが達成できる。

    特開平10−181502号公報

    しかし、特許文献1の発明では、エアバッグモジュールを備える側,つまり補強布が共縫いされた側の縫製部は、他方の縫製部よりも、補強布の分だけ、縫合される布状体の枚数が多くなるため、パッド材との間の圧により、他方よりも盛り上がって見えていた。 従って、一方のサイドフレームのみにサイドエアバッグモジュール及び補強布が設けられた車両用シートにおいて、左右のマチ部の外観に不一致のないものの開発が要望されていた。

    本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、サイドエアバッグの展開方向を案内する案内部材が表皮材のマチ部に縫合された車両用シートであって、案内部材の縫合部が、表皮材を通して外観に影響を及ぼすことが抑制された車両用シートを提供することにある。
    本発明の他の目的は、左右一対のサイド部の一方のみにサイドエアバッグを備えた車両用シートであって、マチ部の外観が、エアバッグの展開方向を案内する案内部材が縫合された側とされない側とで、左右非対称となることが抑制された車両用シートを提供することにある。

    前記課題は、請求項1の車両用シートによれば、シートフレームと、該シートフレームに支持されるクッションパッドと、前記シートフレームに固定され、エアバッグを格納するエアバッグモジュールと、該エアバッグモジュール及び前記クッションパッドを覆う表皮材と、を備えた車両用シートであって、前記エアバッグの展開方向を案内する案内部材を有し、一対の前記表皮材の端末と、該一対の端末のうち一方に固定された前記案内部材の端部とが相互に取付けられ、前記エアバッグの展開時に前記表皮材の破断の起点となると共に前記クッションパッドに対向する破断部を備え、該破断部において前記表皮材及び前記案内部材から前記クッションパッドが受ける面圧は、前記案内部材が固定されていない前記端末側よりも、前記案内部材が固定された前記端末側の方が低いこと、により解決される。

    一対の表皮材の端末のうち一方にのみ案内部材の端部が固定されている場合であっても、このように、破断部において表皮材及び案内部材からクッションパッドが受ける面圧は、案内部材が固定されていない端末側よりも、案内部材が固定された端末側の方が低いため、案内部材が固定された側の破断部が、案内部材の分だけ、表皮材の表側に張り出して見えることがない。 その結果、エアバッグモジュールを備える側と備えない側とで、一対の表皮材の縫合部の外観に相違が生じることを抑制し、左右の外観に不一致が生じることを抑制できる。

    このとき、請求項2のように、前記クッションパッドは、前記破断部に対向する凹部を備え、該凹部のうち、前記案内部材が固定されていない前記端末側が対向する領域よりも、前記案内部材が固定された前記端末側が対向する領域の方が、深いと好適である。
    このように構成しているため、破断部側からクッションパッドが受ける面圧を、凹部の深さで調整できるので、破断部において表皮及び案内部材からクッションパッドが受ける面圧を、案内部材が固定されていない端末側よりも、案内部材が固定された端末側の方が低くなるように、容易に調整できる。

    このとき、請求項3のように、前記クッションパッドのうち、前記案内部材が固定されていない前記端末側が対向する領域よりも、前記案内部材が固定された前記端末側が対向する領域の方が、硬度が低いと好適である。
    このように構成しているため、破断部において表皮材及び案内部材からクッションパッドが受ける面圧を、案内部材が固定されていない端末側よりも、案内部材が固定された端末側の方が低くなるように調整でき、その結果、エアバッグモジュールを備える側と備えない側とで、一対の表皮材の縫合部の外観に相違が生じることを抑制し、左右の外観に不一致が生じることを抑制できる。

    このとき、請求項4のように、前記クッションパッドは、前記破断部に対向する凹部を備え、該凹部の中心は、前記破断部の中心よりも、前記案内部材が固定された前記端末側の位置に、対向していると好適である。
    破断部の周辺部のうち、案内部材が固定された表皮材の端末側は、案内部材が固定されていることにより嵩高くなっているため、このように、凹部の中心が、案内部材が固定された端末側の位置に対向していることにより、嵩高い部分を凹部の中心に格納することができる。 その結果、エアバッグモジュールを備える側と備えない側とで、一対の表皮材の縫合部の外観に相違が生じることを効率的に抑制し、左右の外観に不一致が生じることを効率的に抑制できる。

    また、凹部の中心が、案内部材が固定された端末側の位置に対向しているため、凹部の大きさを、小さいものとすることができる。 このように、凹部の大きさを小さくした結果、凹部に対向する縫合部が、案内部材を備えない場合でも、凹部が表皮材を通して外観にまで影響を及ぼすことが抑制されるため、表皮材の端末の縫合部に案内部材を備えない部分にも、共通に使用可能なクッションパッドを構成できる。
    従って、例えば、左右一対のサイド部のうち一方にエアバッグモジュールを装備したシートにおいて、エアバッグモジュール装備側及び非装備側の表皮材の端末の縫合部に対向する位置に、同じ凹部を設けたクッションパッドを、共通で用いることが可能となる。

    このとき、請求項5のように、前記シートフレームは、着座者の背面を支持するシートバックのフレームであって、前記クッションパッドは、シート幅方向の両端側に、前記シート幅方向の外側の端部側が前方に張り出す側部を備え、前記クッションパッドのうち、少なくとも左右の前記側部は、前記シートの幅方向中央を中心とした左右対称の位置に、前記凹部を備えた左右対称の形状からなると好適である。
    このように構成しているため、着座者の背面を支持するシートバックにおいて、左右一対の側部のうち、案内部材装備側と非装備側の双方について、左右対称の形状からなるクッションパッドを用いることができ、例えば、左ハンドルの車両及び右ハンドルの車両であっても、同じ型のクッションパッドを用いることが可能となる。

    このとき、請求項6のように、前記案内部材は、前記エアバッグモジュールの前方を通って前記エアバッグモジュールの前記シート幅方向の内側に引き込まれるインナー案内部材であると好適である。
    このように構成しているため、エアバッグ膨張時にエアバッグの膨張力による影響を抑制する必要性のより高い、エアバッグモジュールの前方側を保護するインナー案内部材を備えつつ、破断部の形状が表皮材の外側の外観にまで影響することを抑制可能となる。

    このとき、請求項7のように、前記凹部は、前記一対の表皮材の端末に沿って、連続して設けられた溝からなると好適である。
    このように構成しているため、溝を、破断部近傍にのみ設ける場合と対比して、表皮材を被せたときの外観に違和感のないものとすることができる。

    このとき、請求項8のように、前記溝は、該溝の端部と前記溝の最も深い底部との間で、なだらかに深さが変化し、前記一対の表皮材の端末に沿って延びる傾斜面を備え、該傾斜面に、前記案内部材の端部が当接すると好適である。
    このように構成しているため、溝の深さ及び大きさを最小限とすることができ、表皮材を被せたときの溝による外観への影響を、少なくすることができる。

    このとき、請求項9のように、前記溝は、前記案内部材に対向する領域において、最も深く形成されていると好適である。
    破断部近傍のうち、案内部材が配置された領域が最も嵩高くなるため、このように、この嵩高い領域において、溝を深く形成することにより、溝の深さ及び大きさを最小限とすることができ、表皮材を被せたときの溝による外観への影響を、少なくすることができる。

    請求項1の発明によれば、一対の表皮材の端末のうち一方にのみ案内部材の端部が固定されている場合であっても、このように、破断部において表皮材及び案内部材からクッションパッドが受ける面圧は、案内部材が固定されていない端末側よりも、案内部材が固定された端末側の方が低いため、案内部材が固定された側の破断部が、案内部材の分だけ、表皮材の表側に張り出して見えることがない。 その結果、エアバッグモジュールを備える側と備えない側とで、一対の表皮材の縫合部の外観に相違が生じることを抑制し、左右の外観に不一致が生じることを抑制できる。

    請求項2の発明によれば、破断部側からクッションパッドが受ける面圧を、凹部の深さで調整できるので、破断部において表皮及び案内部材からクッションパッドが受ける面圧を、案内部材が固定されていない端末側よりも、案内部材が固定された端末側の方が低くなるように、容易に調整できる。

    請求項3の発明によれば、破断部において表皮材及び案内部材からクッションパッドが受ける面圧を、案内部材が固定されていない端末側よりも、案内部材が固定された端末側の方が低くなるように調整でき、その結果、エアバッグモジュールを備える側と備えない側とで、一対の表皮材の縫合部の外観に相違が生じることを抑制し、左右の外観に不一致が生じることを抑制できる。

    破断部の周辺部のうち、案内部材が固定された表皮材の端末側は、案内部材が固定されていることにより嵩高くなっているため、請求項4の発明のように、凹部の中心が、案内部材が固定された端末側の位置に対向していることにより、嵩高い部分を凹部の中心に格納することができる。 その結果、エアバッグモジュールを備える側と備えない側とで、一対の表皮材の縫合部の外観に相違が生じることを効率的に抑制し、左右の外観に不一致が生じることを効率的に抑制できる。

    また、凹部の中心が、案内部材が固定された端末側の位置に対向しているため、凹部の大きさを、小さいものとすることができる。 このように、凹部の大きさを小さくした結果、凹部に対向する縫合部が、案内部材を備えない場合でも、凹部が表皮材を通して外観にまで影響を及ぼすことが抑制されるため、表皮材の端末の縫合部に案内部材を備えない部分にも、共通に使用可能なクッションパッドを構成できる。
    従って、例えば、左右一対のサイド部のうち一方にエアバッグモジュールを装備したシートにおいて、エアバッグモジュール装備側及び非装備側の表皮材の端末の縫合部に対向する位置に、同じ凹部を設けたクッションパッドを、共通で用いることが可能となる。

    請求項5の発明によれば、着座者の背面を支持するシートバックにおいて、左右一対の側部のうち、案内部材装備側と非装備側の双方について、左右対称の形状からなるクッションパッドを用いることができ、例えば、左ハンドルの車両及び右ハンドルの車両であっても、同じ型のクッションパッドを用いることが可能となる。

    請求項6の発明によれば、エアバッグ膨張時にエアバッグの膨張力による影響を抑制する必要性のより高い、エアバッグモジュールの前方側を保護するインナー案内部材を備えつつ、破断部の形状が表皮材の外側の外観にまで影響することを抑制可能となる。

    請求項7の発明によれば、溝を、破断部近傍にのみ設ける場合と対比して、表皮材を被せたときの外観に違和感のないものとすることができる。
    請求項8の発明によれば、溝の深さ及び大きさを最小限とすることができ、表皮材を被せたときの溝による外観への影響を、少なくすることができる。

    破断部近傍のうち、案内部材が配置された領域が最も嵩高くなるため、請求項9の発明のように、この嵩高い領域において、溝を深く形成することにより、溝の深さ及び大きさを最小限とすることができ、表皮材を被せたときの溝による外観への影響を、少なくすることができる。

    本発明の一実施形態に係る車両用シートの外観図である。

    本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートフレームの斜視図である。

    図1のA−A断面図である。

    本発明の一実施形態に係るトリムカバーと力布を破断部で共縫いした状態を示す説明図である。

    本発明の一実施形態に係る案内部材をサイドフレームに取付けるための取付部材の斜視図である。

    本発明の一実施形態に係る案内部材をサイドフレームに取付けるための取付部材の平面図である。

    本発明の一実施形態に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。

    本発明の変形例に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。

    本発明の他の変形例に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。

    本発明の更に他の変形例に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。

    以下、本発明の実施形態に係る車両用シートについて、図1〜図10を参照しながら説明する。
    図1は、本発明の一実施形態に係る車両用シートの外観図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る車両用シートのシートフレームの斜視図である。 図3は、図1のA−A断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るトリムカバーと力布を破断部で共縫いした状態を示す説明図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る案内部材をサイドフレームに取付けるための取付部材の斜視図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る案内部材をサイドフレームに取付けるための取付部材の平面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。 図8は、本発明の変形例に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。 図9は、本発明の他の変形例に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。 図10は、本発明の更に他の変形例に係る溝と破断部との位置関係を示す断面説明図である。

    本実施の形態に係るエアバッグモジュール装備シートとしての車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されている。
    シートバックS1は、着座者の背面が当接する前部S1aと、前部S1aの左右両端からシート側方前側に向かって張出し、着座者の側部を側方から支持する一対の側部S1bと、前部S1a及び一対の側部S1bの上方に位置し、シートバックS1の上端を構成する上部S1cと、前部S1a及び一対の側部S1bの下方に位置し、シートバックS1の下端を構成する下部S1dと、シートバックS1の背面側の背部と、から構成される。

    車両用シートSの中には、図2に示すようなシートフレームFが設けられている。 シートフレームFは、シートバックS1のフレームであるシートバックフレーム1と、着座部S2のフレームである着座フレーム2とから構成されている。 着座フレーム2とシートバックフレーム1は、リクライニング機構3を介して連結されている。 シートバックフレーム1および着座フレーム2の外側には、クッションおよびトリムカバーが設けられることで、シートバックS1および着座部S2が構成される。

    シートバックS1は、図1乃至図3に示すように、シートバックフレーム1と、シートバックフレーム1上に載置されるクッションパッド5と、シートバックフレーム1及びクッションパッド5,5aを覆う表皮材としてのトリムカバー4と、トリムカバー4の破断部40に一端が縫い付けられた案内部材としての力布32を主要構成要素とする。
    シートバックフレーム1は、図1,図2に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在するサイドフレーム10と、このサイドフレーム10の上端部を連結する上部フレーム21と、下端部を連結する下部フレーム22とにより枠状に構成されている。
    上部フレーム21には、ピラー支持部23が設けられ、ピラー支持部23には、不図示のヘッドレストフレームが設けられる。 ヘッドレストフレームの外側にクッション部材を設けることでヘッドレストS3が構成される。

    サイドフレーム10は、板金をプレス加工して成形され、上方よりも下方の幅が広くなった略板体からなる。 図2に示すように、ほぼ平板状の側板11と、この側板11の前端部を内側にU字状に折り返してなる前縁部12と、後端部をL字型に内側に屈曲させた後縁部13とを有している。
    サイドフレーム10には、乗員を後方から支持するSバネからなる一対の乗員支持部材としての架設部材25の両端が係止される係止孔を備えた係止部15と、取付部材50を取付けるための一対の取付孔16とが設けられている。
    取付孔16は、側板11の前縁部12に近い部分に、前縁部12の傾斜に沿った縦長の長方形の孔として設けられている。
    なお、本実施形態では、サイドフレーム10の前縁部12に近い位置のみに、インナー側の力布32取付用の取付孔16を備えているが、インナー側の力布32と不図示のアウター側の力布の双方を取付部材50を用いてサイドフレーム10に取付ける場合には、後縁部13に近い位置にも、不図示のアウター側の力布取付用の取付孔16を設けるとよい。
    サイドフレーム10には、図3に示すように、シート外側の面に、エアバッグモジュール6が固定されている。

    本実施形態のエアバッグモジュール6は、モジュールケースを有しないケースレスエアバッグモジュールからなる。 エアバッグモジュール6は、図3に示すように、インフレータ6aと、折り畳まれたエアバッグ6bと、インフレータ6aを保持するリテーナ6cと、エアバッグ6bを包むラップ材6dを備えている。
    インフレータ6aの外周部は、シートS内側に向かって立設されたボルト18により、リテーナ6c及びサイドフレーム10に固定されている。 なお、インフレータ6aは、ボルト以外のインフレータ取付部材によりサイドフレーム10に固定されていてもよい。

    インフレータ6aは、エアバッグ6b内に配設され、エアバッグ6bは、インフレータ6aから噴出されるガスによってシートS前方に展開するようになっている。
    エアバッグ6bは、布袋等からなるラップ材6dによって折り畳み状態に保持されており、このラップ材6dは、エアバッグ6bが展開する場合に、容易に破けるようになっている。
    なお、本実施形態では、エアバッグモジュール6を、ケースレスのものから構成しているが、これに限定されるものでなく、モジュールケースを備えたものとして構成してもよい。

    クッションパッド5は、公知の車両用シート用素材である発泡ウレタンからなる。 クッションパッド5は、シートバックフレーム1の側面の後方及び背面以外の部分,すなわち着座者の背面が当接する前部S1a,着座者の側部が位置する側部S1bの前方部分,シートバックS1の上部S1c及び下部S1dと、からなる座面の形状を構成するように、発泡樹脂の一体成形により形成されている。

    クッションパッド5の側部S1bには、図3に示すように、エアバッグモジュール6を格納するための開口8が形成され、この開口8により、空間7が形成されている。
    クッションパッド5は、図3,図5に示すように、シートバックS1の側部S1bのシート側端より若干内側の位置に、溝9を備えている。
    溝9は、トリムカバー4をかぶせたときに、縫合部44の延長方向に沿う位置に、側部S1bのシート側端より若干シート内側の位置において、シート上下方向に連続して形成されている。 溝9は、縫合部44に対向する部分のうち、力布32が縫合された部分に対向する部分のみ、深く形成されている。
    図3では、空間7にエアバッグモジュール6が配置されている状態を示しているが、一対の側部S1bのうち、エアバッグモジュール6が配置されない側には、空間7の形状に形成された不図示のクッション材が嵌め込まれている。
    クッションパッド5は、溝9も含め、シート幅方向の中心を通る縦断面を中心として左右対称の外形を備えている。 このように構成することにより、左右ハンドルいずれの車両でも同じクッションパッド5を用いることができる。

    トリムカバー4は、公知の材料からなり、不図示の表皮と、ポリウレタンフォーム等からなる発泡材と、バリア層としてのフィルムと、の三層が積層されて相互に接着されることにより、一体の布状体として構成されている。 トリムカバー4は、図3,図4に示すように、座面中央から左右の土手面を被包する前面マチ部41と周側面から背面に至る側面マチ部42とを縫合部44で縫い合わせ、更に、側面マチ部42の前面マチ部41逆側の端部に不図示の後面マチ部を縫い合わせることにより袋状に縫製されている。
    前面マチ部41と側面マチ部42との土手部において膨出した頂点には、縫合部44が形成され、そのシート上下方向の一部には、破断部40が形成されている。 破断部40は、前面マチ部41と側面マチ部42の端部を、通常の使い勝手に耐えられる強度を保ちつつ、エアバッグの膨張による引張力で裂断可能なように、相互に縫製されている。

    図4に示すように、破断部40には、力布32が共縫いされている。
    力布32は、伸縮性の小さい布状素材からなる。 力布32は、破断部40からエアバッグモジュール6の前方を経てエアバッグモジュール6のシート内側へ引き込まれるインナー側の力布であって、エアバッグの膨張による応力を破断部40に伝達すると共に、エアバッグモジュール6のシート前方及び内側に配置されたクッションパッド5を保護する役割を果たす。 力布32は、特許請求の範囲の案内部材に対応する。

    力布32は、図4に示すように、略矩形の布からなる。 破断部40に対向する辺35には、両端に、矩形状に突出したトリムプレート37取付用の取付部36が、それぞれ複数設けられている。
    トリムプレート37は、硬質樹脂製からなる矩形の板体である。 トリムプレート37は、力布32の取付部36の端末の形状を保持するために用いられる。

    力布32は、図3に示すように、破断部40より空間7へ引き込まれている。 力布32の取付部36に固定されたトリムプレート37は、取付部材50を介してサイドフレーム10の取付孔16に係止されている。
    本実施形態では、アウター側の力布を備えておらず、インナー側の力布32のみを備えているため、破断部40で縫合されて形成された縫合部分の大きさが小さくなり、溝9をより幅狭で浅いものにすることが可能となる。 その結果、トリムカバー4の外観に、溝9及び破断部40の形状が影響を及ぼすことを抑制できる。

    取付部材50は、硬質樹脂から一体成形されてなり、図5に示すように、中空直方体の一辺の周囲が切り欠かれた形状からなる保持部51と、保持部51の切欠かれた一辺の逆側から連続して、四方に向かって張り出した板状のフランジ部52と、を備えている。
    保持部51は、前壁53,平壁54,後壁55,水平壁56と、前壁53のフランジ部52逆側の端部から後方に向かって垂直に立設する天壁57と、水平壁54と水平壁56を架橋し、前壁53及び後壁55に平行な仕切壁58と、を備えている。

    前壁53,水平壁54,後壁55,水平壁56,天壁57に囲まれた空間が、トリムプレート37を内部に係止する保持空間59となっている。 保持空間59は、仕切壁58によって、前側空間59aと、後側空間59bに分割されている。
    また、取付部材50がシートSの右側のサイドフレーム10に取付けられる場合には、水平壁54が上方、水平壁56が下方に位置し、取付部材50がシートSの左側のサイドフレーム10に取付けられる場合には、水平壁54が下方、水平壁56が上方に位置する。

    後壁55の上下方向の中央には、スリット55sが形成されている。 このスリット55sは、フランジ部52の後方部分の中央に設けられたスリット52sに連続しており、このスリット55s,52sにより、後壁55とフランジ部52の後方部分が中央で二つに分割されている。 スリット55s,52sは、力布32を保持空間59に挿入するために用いられる。
    後壁55のシート後側の外面には、図5に示すように、スリット55sを挟んだ両側に、それぞれ突起60が形成され、突起60とフランジ部52との間に、取付孔16の縁部を挟持して、取付孔16から取付部材50が抜けることを抑制可能となっている。

    仕切壁58と前壁53は、図6のように、シート外側の端部で、架橋部61により連結されている。 架橋部61は、保持空間59に挿入されたトリムプレート37及び力布32の端部が保持空間59から抜け出ることを防止する抜け止めとしての役割を果たす。
    天壁57の内面の後壁55側先端には、前側空間59aに向かって突出する突起57aが設けられている。 この突起57aは、前側空間59aに挿入されたトリムプレート37が、エアバッグ6b膨張時に、力布32を介して前側空間59a外に引き出す力を受けたときに、前側空間59a外に引き出されることを抑制する抜け止めとしての機能を果たす。

    力布32の端部を取付部材50を介してサイドフレーム10の側板11に取付けた状態の横断面図は、図3の通りである。
    取付部材50は、フランジ部52の長く形成された部分を前方にして、保持部51のフランジ部52側の端部の外面をサイドフレーム10の取付孔16の内面に当接させて、取付孔16に挿通されている。 このとき、取付孔16の後方部分の縁が、フランジ部52と突起60により挟持されている。
    トリムプレート37は、力布32の端部に縫合された状態で、トリムプレート37を仕切壁58の前側の面に対向させて、前側空間59aに保持されている。 トリムプレート37及び力布32の端部は、架橋部61のシート内側の面に当接している。
    力布32は、仕切壁58と天壁57との間を通って、後側空間59bに入り、後側空間59bのフランジ部52側の開口を通って、取付部材50の外側に導出されている。

    シートバックS1が組付けられた状態におけるクッションパッド5の溝9と破断部40との位置関係は、図7に示す通りである。
    図7は、溝9の延長方向に垂直な面における断面を示している。 溝9は、延長方向に垂直な方向において最も深くなった底部9aと、底部9aよりもシート幅方向内側に形成され、底部9aと、溝9のシート幅方向内側の端部9bとの間をつなぐようになだらかに連続して傾斜した傾斜面としての斜面9cと、溝9のシート幅方向外側の端部9dとの間をつなぐようになだらかに連続して傾斜した傾斜面としての斜面9eと、を備えている。
    底部9aは、図7に示すように、溝9の延長方向に垂直に延びる平らな部分からなる。
    溝9は、力布32が縫合された部分に対向する領域のみが深く形成されているため、力布32が縫合された部分に対向する領域以外の部分は、底部9aが浅くなっている。

    シートバックS1が組付けられた状態においては、前面マチ部41と側面マチ部42とが縫合により当接した箇所を破断部40の中心40cとすると、中心40cは、溝9の中心である底部9aに対向する位置よりも、力布が取付けられていない側であるシート幅方向外側にずれており、斜面9eに対向している。 従って、力布32の端部と、力布32が縫合された前面マチ部41の端部側とが、底部9aに対向している。
    なお、溝9は、力布32が取付けられた側が対向する斜面9cが、平面状でなく、クッションパッド5の表面逆側に凸となった湾曲形状から形成されていてもよい。 また、溝9は、力布32が取付けられた側が対向する斜面9cが、他方の斜面9eよりも長く形成されていてもよい。

    なお、本実施形態では、クッションパッド5の表面の破断部40に対向する位置に溝9を設けているが、溝9を設ける代わりに、クッションパッド5の表面のうち、側面マチ部42の端部が対向する部分の硬度よりも、前面マチ部41の端部及び力布32の端部が対向する部分の硬度が低くなるようにすることにより、破断部40において側面マチ部42の端部からクッションパッド5が受ける面圧が、前面マチ部41の端部及び力布32の端部からクッションパッド5が受ける面圧よりも低くなるようにしてもよい。 具体的には、クッションパッド5の表面のうち、前面マチ部41の端部及び力布32の端部が対向する部分に、硬度の低いクッションパッドを設けてもよい。

    本実施形態では、前面マチ部41側のみに、インナー側の力布32を備えているが、変形例として、図8に示すように、インナー側の力布32と、インナー側の力布32よりも薄いアウター側の力布31とを備えていてもよい。
    本例のアウター側の力布31は、破断部40において、側面マチ部42の端部側の前面マチ部41逆側の面に縫合されている。 力布31の破断部40逆側の端部には、サイドフレーム10の後縁部13に係止するための不図示のJフックが固定されている。
    力布31は、破断部40から、クッションパッド5と側面マチ部42との間を通って空間7に引き込まれ、エアバッグモジュール6とクッションパッド5aとの間を通って、サイドフレーム10の後縁部13に、不図示のJフックが係止されることにより固定されている。

    シートバックS1が組付けられた状態においては、破断部40の中心40cは、溝9の中心である底部9aに対向する位置よりも、薄い方の力布31が縫合された側面マチ部42側であるシート幅方向外側にずれており、斜面9eに対向している。 従って、厚い方の力布32の端部と、力布32が縫合された前面マチ部41の端部側とが、底部9aに対向している。

    本発明の他の変形例として、図9に示すように、インナー側の力布を備えず、アウター側の力布31´のみを備えていてもよい。
    本例のアウター側の力布31´は、図8の力布31よりも厚く構成されていることを除いては、図8の力布31と同様の構成からなる。

    シートバックS1が組付けられた状態においては、破断部40の中心40cは、溝9の中心である底部9aに対向する位置よりも、力布が取付けられていない側であるシート幅方向内側にずれており、斜面9cに対向している。 従って、力布31´の端部と、力布31´が縫合された側面マチ部42の端部側とが、底部9aに対向している。

    本発明の更に他の変形例として、図10に示すように、アウター側の力布31´と、アウター側の力布31´よりも薄いインナー側の力布32´とを備えていてもよい。
    本例のアウター側の力布31´は、図9の力布31´と同様の構成からなる。 また、本例のインナー側の力布32´は、力布32よりも薄く構成されていることを除いては、図8の力布32と同様の構成からなる。

    シートバックS1が組付けられた状態においては、破断部40の中心40cは、溝9の中心である底部9aに対向する位置よりも、薄い方の力布32´が縫合された前面マチ部41側であるシート幅方向内側にずれており、斜面9cに対向している。 従って、厚い方の力布31´の端部と、力布31´が縫合された側面マチ部42の端部側とが、底部9aに対向している。

    S 車両用シートS1 シートバックS1a 前部S1b 側部S1c 上部S1d 下部S2 着座部S3 ヘッドレストF シートフレーム1 シートバックフレーム2 着座フレーム3 リクライニング機構4 トリムカバー5,5a クッションパッド6 エアバッグモジュール6a インフレータ6b エアバッグ6c リテーナ6d ラップ材7 空間8 開口9 溝9a 底部9b,9d 端部9c,9e 斜面10 サイドフレーム11 側板12 前縁部13 後縁部15 係止部16 取付孔18 ボルト21 上部フレーム22 下部フレーム23 ピラー支持部25 架設部材31,31´,32,32´ 力布35 辺36 取付部37 トリムプレート40 破断部40c 中心41 前面マチ部42 側面マチ部44 縫合部50 取付部材51 保持部52 フランジ部52s,55s スリット53 前壁54 水平壁55 後壁56 水平壁57 天壁57a,60 突起58 仕切壁59 保持空間59a 前側空間59b 後側空間61 架橋部

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