車両用座席シート芯材

申请号 JP2017004120 申请日 2017-02-03 公开(公告)号 JPWO2017135456A1 公开(公告)日 2018-12-13
申请人 株式会社ジェイエスピー; 发明人 久松 功昇; 高山 敦夫; 橋本 圭一;
摘要 熱可塑性樹脂発泡粒子成形体とフレーム部材との一体性に優れるとともに寸法 精度 の優れた車両用座席シート芯材を提供する。 車両用座席シート芯材(100)は、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(10)とフレーム部材(20)との一体成形物として構成され、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(10)が、貫通孔(32)を有する熱可塑性樹脂発泡粒子(30)により構成されており、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(10)の 空隙率 が10体積%以上40体積%以下である。 【選択図】図1
权利要求

熱可塑性樹脂発泡粒子成形体とフレーム部材との一体成形物である車両用座席シート芯材であって、 前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体が、貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子が相互に融着している発泡粒子成形体からなり、前記発泡粒子成形体が空隙を有しており、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の空隙率が10体積%以上40体積%以下であることを特徴とする車両用座席シート芯材。前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の見かけ密度が、10kg/m3以上90kg/m3である請求項1に記載の車両用座席シート芯材。前記フレーム部材が、金属部材を含む請求項1または2に記載の車両用座席シート芯材。前記フレーム部材が、直径2mm以上8mm以下であり、引張強さ200N/mm2以上の部材により構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。前記フレーム部材が、環状の外形フレーム部を備えており、前記外形フレーム部が熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の平面視における外縁に沿って前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体に埋設されている請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を構成する熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。前記熱可塑性樹脂発泡粒子が、筒状のポリオレフィン系樹脂発泡芯層と、前記ポリオレフィン系樹脂発泡芯層を被覆するポリオレフィン系樹脂被覆層とを有する多層発泡粒子であり、 前記ポリオレフィン系樹脂被覆層を構成する樹脂の融点が、前記ポリオレフィン系樹脂発泡芯層を構成する樹脂の融点よりも低い請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。前記ポリオレフィン系樹脂被覆層を構成する樹脂の融点Ts(℃)が前記ポリオレフィン系樹脂発泡芯層を構成する樹脂の融点Tc(℃)よりも15℃以上低い請求項7に記載の車両用座席シート芯材。

说明书全文

本発明は、車両用座席シート芯材に関する。

近年、自動車等の車両用座席シート芯材(以下、「シート芯材」ともいう)として、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(以下、「発泡粒子成形体」ともいう)の内部に金属等からなるフレーム部材が配置されてなるシート芯材が用いられている。フレーム部材には、座席シートを車両本体に取り付け固定するための掛け止め具が設けられる場合もある。

このような、発泡粒子成形体とフレーム部材等とを備える部材(シート芯材)としては、たとえば、特許文献1に、クッション材を補強するフレーム部材を発泡粒子成形体に取り付けた部材や、フレーム部材の一部を発泡粒子成形体に埋め込むようにして取り付けた部材(以下、「従来技術1」ともいう)が提案されている。

特開2011−016458号公報

従来技術1において、発泡粒子成形体に対し後加工によりフレーム部材を取り付けたものは、発泡粒子成形体とフレーム部材との一体性に欠くものであった。 一方、発泡粒子成形体を型内成形するための金型内にフレーム部材を配置した状態で発泡粒子を金型に充填して型内成形すること(以下、「インサート成形」ともいう)によれば、発泡粒子成形体とフレーム部材との一体性を高めることができる。しかしながら、従来の上記インサート成形は、発泡粒子成形体とフレーム部材との成形収縮率の違いにより、成形後にシート芯材が湾曲して寸法誤差が生じる問題があった。

具体的には、一般に、フレーム部材としては、発泡粒子成形体よりも成形収縮率の低い材質のものが用いられている。しかしながら、発泡粒子成形体に埋設されて一体成形されたフレーム部材は、インサート成形後の発泡粒子成形体の成形収縮により発揮される外により湾曲する場合があった。そのため、シート芯材自体が湾曲し、シート芯材の寸法精度が低下するという問題があった。

特に、シート芯材が発泡粒子成形体の外縁に沿った環状のフレーム部材を備えるような態様は、発泡粒子成形体の成形収縮による成形後のシート芯材の湾曲が大きくなる。そのため上記態様では、車両の所定の箇所にシート芯材を設置することが困難となる問題、またはフレーム部材に設けられた掛け止め具が予定の位置よりずれてしまい車両の所定の箇所にシート芯材を掛け止めることが困難となる問題等があった。

本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、発泡粒子成形体とフレーム部材との一体性に優れるとともに寸法精度に優れた車両用座席シート芯材を提供するものである。

本発明の車両用座席シート芯材は、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体とフレーム部材との一体成形物である車両用座席シート芯材であって、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体が、貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子が相互に融着している発泡粒子成形体であり、上記発泡粒子成形体が空隙を有しており、上記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の空隙率が10体積%以上40体積%以下であることを特徴とする。

本発明の車両用座席シート芯材は、貫通孔を有する発泡粒子が相互に融着している、空隙を有する発泡粒子成形体とフレーム部材との一体成形物である。そのため、本発明のシート芯材は、両者(即ち、発泡粒子成形体およびフレーム部材)の一体性に優れるとともに、発泡粒子成形体の成形後の収縮によるフレーム部材の湾曲が抑制されるため寸法精度に優れる。

本発明の車両用座席シート芯材の第一実施形態を示す斜視略図である。

図2Aおよび図2Bは、本発明に用いられる貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子の例を示す斜視図である。

図3Aは、図1に示す車両用座席シート芯材に用いられたフレーム部材の斜視略図であり、図3Bは、図3Aに示すフレーム部材の変形例を示す部分平面略図である。

本発明の車両用座席シート芯材の第二実施形態を示す斜視略図である。

(第一実施形態) 以下に、本発明の車両用座席シート芯材の第一実施形態について、図1から図3Bを用いて説明する。図1は、本発明の車両用座席シート芯材100(以下、単に「シート芯材100」ともいう)の第一実施形態を示す斜視略図である。図2Aは本発明に用いられる貫通孔32を有する熱可塑性樹脂発泡粒子30(以下、単に「発泡粒子30」ともいう)の一例を示す斜視図であり、および図2Bは本発明に用いられる他の発泡粒子(多層発泡粒子31)の一例を示す斜視図である。図3Aは、図1に示すシート芯材100に用いられたフレーム部材20の斜視略図であり、図3Bは、図3Aに示すフレーム部材20の変形例を示す部分斜視略図である。

尚、以下の説明において、適宜、本発明の好ましい数値範囲を示す場合がある。この場合に、数値範囲の上限および下限に関する好ましい範囲、より好ましい範囲、特に好ましい範囲は、上限および下限のすべての組み合わせから決定することができる。また、本明細書において特段の断りがない場合には、シート芯材の前後方向、左右方向、および上下方向は、シート芯材が車両に設置された際における車両の前後方向、左右方向、および上下方向と同様である。また、本明細書において特段の断りなく収縮という場合には、発泡粒子成形体の成形後に生じる成形収縮を意味する。

本発明のシート芯材100は、図1に示すとおり、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体10(以下、単に「発泡粒子成形体10」ともいう)とフレーム部材20との一体成形物である。発泡粒子成形体10は、貫通孔32を有する発泡粒子30(図2A参照)が相互に融着している発泡粒子成形体であり、前記発泡粒子成形体が空隙を有している。シート芯材100を構成する発泡粒子成形体10は、空隙率が10体積%以上40体積%以下となるよう調整されている。 上記構成を有するシート芯材100は、貫通孔32を有する発泡粒子30の使用により、発泡粒子成形体10の機械的強度を損なうことなく成形体全体にわたって所定範囲の空隙を設けることができる。本発明者らは、かかる空隙の存在により、発泡粒子成形体10の成形収縮によるシート芯材100の湾曲が抑制され、シート芯材100の寸法精度が改善されることを見出した。

シート芯材100は、上記インサート成形により得られる発泡粒子成形体10とフレーム部材20との一体成形物である。即ち、シート芯材100は、発泡粒子成形体10を型内成形するための金型内にフレーム部材20を配置した状態で発泡粒子30を上記金型に充填して型内成形することで得られる。発泡粒子成形体の内部にフレーム部材が埋設されることで、シート芯材100は、両者(即ち、発泡粒子成形体10およびフレーム部材20)の一体性に優れたものとなる。発泡粒子成形体成形用の上記金型内に配置可能な範囲で、フレーム部材20は、屈曲部、湾曲部、または交差部などを有する構造とすることができる。本発明によれば、クラッキング成形方法や加圧成形方法等、一般的な発泡粒子成形体の製造方法に倣い、容易に寸法精度の高いシート芯材100を提供することができる。

本実施形態において、一体成形物とは、発泡粒子成形体10の型内成形時に発泡粒子成形体10の内部にフレーム部材20が埋設されることで両者が一体化された成形物を意味する。上記一体成形物は、予め成形された発泡粒子成形体にフレーム部材が取り付けられるなどして製造された製造物と区別される。

発泡粒子成形体10の空隙率は、10体積%以上40体積%以下である。空隙率が低すぎると、発泡粒子成形体10の成形収縮によるフレーム部材20の湾曲の抑制効果が発揮されないおそれがある。かかる観点からは、空隙率の所定の範囲の下限は、12体積%以上であることが好ましく、14体積%以上であることがより好ましく、16体積%以上であることがさらに好ましい。また、空隙率が高すぎると、シート芯材の機械的強度が不十分となるおそれがある。かかる観点からは、空隙率の所定の範囲の上限は、35体積%以下であることが好ましく、30体積%以下であることがより好ましい。 なお、発泡粒子成形体10に形成される空隙としては、発泡粒子成形体10を構成する発泡粒子間に存在する空隙と、発泡粒子自体に貫通孔等として形成される空隙とが挙げられる。

本実施形態における発泡粒子成形体10の空隙率は、発泡粒子成形体10の外形寸法から求められる体積Hと、発泡粒子成形体10の空隙部を除いた体積I(cm3)から、下記(式1)により体積比率(体積%)として算出する。 (数1)空隙率(体積%)=[(H−I)/H]×100 ・・・(式1) 具体的には以下のとおり測定することができる。 成形収縮が収まった後の発泡粒子成形体10から、測定対象箇所を無作為に10箇所以上選択し、各測定対象箇所から25mm×25mm×100mmの寸法を有する直方体形状のカットサンプルを切り出す。上記カットサンプルは、スキン面を有しないよう切り出される。該カットサンプルのそれぞれについて、カットサンプル外形寸法から体積H(cm3)を算出するとともに、カットサンプルの空隙部を除いた体積I(cm3)を測定する。体積Iは、カットサンプルをアルコール中に沈めた時の、アルコールとカットサンプルとの合計体積から、カットサンプルをアルコール中に沈める前のアルコールの体積を減ずることで求めることができる。このとき、アルコールとしては、例えばエタノールなどを用いることができる。そして、体積Hの値および体積Iの値に基づき、上記(式1)により空隙率を体積比率として算出する。それぞれのカットサンプルについて算出された空隙率の値を算術平均し、それを空隙率(体積%)とする。

以下に本発明の車両用座席シート芯材100の実施形態について詳細に説明する。 図1はシート芯材100の一例を示している。シート芯材100は、発泡粒子成形体10の内部にフレーム部材20が埋設されて構成されている。シート芯材100は、自動車の座席となる箇所に設置される。一般的には、シート芯材100の上面にウレタンフォーム等のクッション材が積層された後、表面に布製や革製のファブリックが被覆されることで、車両用座席シートが形成される。本実施形態における発泡粒子成形体10は、自動車の座席の設計に合わせ後方端12近傍および前方端14近傍に肉厚領域が設けられている。これら肉厚領域にはそれぞれフレーム部材20の一部が埋設され左右方向に延在している。後方端12と前方端14との間である中間部16は、発泡粒子成形体10の厚みが最小となっている。

本実施形態における発泡粒子成形体10は、凹部120の左方及び右方にそれぞれ1箇所ずつ座部18を有している。凹部120は、平面視上、後方端12側から前方端14側に向けて発泡粒子成形体10を有しない凹状に形成されたスペースである。座部18の中央には、上下方向に貫通する穴部110が設けられている。凹部120や穴部110は、設置される車両の構造に合わせて適宜設計することができる。

発泡粒子成形体10は、貫通孔32を有する発泡粒子30(図2A参照)により構成されている。発泡粒子30を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、若しくはポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、またはポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂として、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との複合樹脂、上記の樹脂の2種以上の混合物などを用いることもできる。

発泡粒子30を構成する熱可塑性樹脂(即ち、発泡粒子成形体10を構成する熱可塑性樹脂)としては、ポリオレフィン系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との複合樹脂等の結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂が好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、またはポリプロピレン系樹脂が好ましく、中でも強度や耐衝撃性の観点からは、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のコモノマーとの共重合体、またはこれらの混合物が挙げられる。プロピレンと他のコモノマーとの共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、またはプロピレン−エチレン−ブテン共重合体などが例示される。このようなプロピレン系樹脂は、樹脂中のプロピレン成分単位が概ね50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。

ポリオレフィン系樹脂などの結晶性樹脂を含む発泡粒子30から構成される発泡粒子成形体10は、非晶性樹脂を用いた場合に比べ、収縮率がより大きくなる。これに対し、貫通孔32を有する発泡粒子30により構成された所定の空隙率を有するシート芯材100によれば、結晶性樹脂を用いた場合にもフレーム部20の湾曲が良好に抑制される。

発泡粒子30は、貫通孔32を有して形成されている。本実施形態における発泡粒子30は断面円形状の貫通孔32を有して、円筒形状に形成されている。ただし、このことは、発泡粒子30の形状を限定するものではない。例えば、発泡粒子30が、円柱、楕円柱、または柱等の柱状で、当該柱を貫通する貫通孔を少なくとも有する形状の発泡粒子であってもよい。 貫通孔を有する発泡粒子が相互に融着している発泡粒子成形体において、発泡粒子成形体を形成している発泡粒子の貫通孔の部分は空隙となる。よって、発泡粒子成形体には成形体全体にわたって均質に空隙が形成されることとなる。これにより、発泡粒子成形体の機械的強度を大きく低下させることなく、成形収縮の影響を効果的に低減することができるものと考えられる。

発泡粒子成形体10において観察される発泡粒子30の貫通孔32の直径は、1mm以上7mm以下であることが好ましい。貫通孔32の直径の測定は、まず、発泡粒子成形体10の断面写真において観察される発泡粒子30の貫通孔32の断面積を50点以上測定する。そして、測定した各断面積を円の面積とした時の直径に換算し、これらを算術平均することで、貫通孔32の直径を求めることができる。貫通孔32の直径が上記範囲内であれば、発泡粒子成形体10の空隙を所定の範囲に容易に調整することができる。かかる観点から、貫通孔32の直径は、1mm以上5mm以下の範囲にあることがより好ましい。

また発泡粒子30は、実質的に一層で構成されているが、これに限定されず、多層構造であってもよい。多層構造である多層発泡粒子31の各層を構成する樹脂は、互いに同種の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。たとえば図2Bに示す多層発泡粒子31のように、二層構造の発泡粒子とすることもできる。

図2Bに示すように、貫通孔32を有する多層発泡粒子31は、筒状の熱可塑性樹脂発泡芯層34(以下、単に「芯層34」という場合がある)と、芯層34を被覆する熱可塑性樹脂被覆層36(以下、単に「被覆層36」という場合がある。)と、を有する多層構造を有するものであることが好ましい。図示する多層発泡粒子31は、二層構造であるが、芯層34と被覆層36との間に任意の中間層がさらに設けられていてもよい。 多層発泡粒子31の芯層34は発泡状態の樹脂よりなる発泡層であるのに対し、多層発泡粒子31の被覆層36は実質的に非発泡状態の樹脂よりなる樹脂層であってもよい。ここで、実質的に非発泡とは、被覆層36に気泡が全く存在しないもの(発泡粒子を発泡させる際に一旦形成された気泡が溶融破壊されて気泡が消滅したものも包含する)のみならず、ごく微小な気泡が僅かに存在するものも包含される。

芯層34を構成する樹脂と被覆層36を構成する樹脂は熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、融点の異なる樹脂であることが好ましい。特に、多層発泡粒子31の被覆層36を構成する樹脂は、芯層34を構成する樹脂よりも融点が低い樹脂であることが好適である。さらに、被覆層36を構成する樹脂の融点Ts(℃)が芯層34を構成する樹脂の融点Tc(℃)よりも15℃以上低い(Tc−15≧Ts)ことがより好ましく、被覆層36を構成する樹脂の融点Ts(℃)が芯層34を構成する樹脂の融点Tc(℃)よりも30℃以上低い(Tc−30≧Ts)ことがさらに好ましい。前記被覆層36を構成する樹脂と芯層34を構成する樹脂との融点差を前記範囲とすることで、低い成形蒸気圧で型内成形を行なっても、融着が良好な発泡粒子成形体を得ることができる。また、低い成形蒸気圧での型内成形が可能となることで、型内成形による発泡粒子成形体の収縮をさらに抑制することができる。なお、前記TsとTcとの融点差(Tc−Ts)が大きいほど、発泡粒子同士の融着が可能となる温度を低くすることができ、型内成形時の成形蒸気圧をより低くすることが可能となる。 前記TsとTcとの融点差(Tc−Ts)は、概ね70℃以下(Tc−70≦Ts)であることが好ましく、60℃以下(Tc−60≦Ts)であることがより好ましい。 芯層34、および被覆層36の基材樹脂は、上述する発泡粒子30と同様の樹脂を用いることができる。中でも、芯層34をポリオレフィン系樹脂、被覆層36をポリオレフィン系樹脂とすることが好ましく、芯層34をポリプロピレン系樹脂、被覆層36をポリプロピレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂とすることがより好ましく、芯層34をポリプロピレン系樹脂、被覆層36をポリエチレン系樹脂とすることがさらに好ましい。 また、被覆層を構成するポリエチレン系樹脂は、樹脂中のエチレン成分単位が概ね50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。 ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、又はエチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンとの共重合体が好ましく用いられる。より具体的には、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、さらにこれらの2種以上の混合樹脂が挙げられる。

本実施形態に用いられる発泡粒子が芯層34と、芯層34を被覆する被覆層36とを有する多層発泡粒子31であって、被覆層36を構成する樹脂の融点が、芯層34を構成する樹脂の融点よりも低い態様は、本発明の好ましい態様の一つである。かかる態様によれば、発泡粒子成形体10の型内成形時、芯層34よりも先に被覆層36を融解せしめ、多層発泡粒子31同士をより確実に融着させつつ、貫通孔32による空隙が維持された発泡粒子成形体10を成形することができる。そのため、発泡粒子成形体10の空隙率を所定の範囲に制御することが容易となり、シート芯材100の寸法精度をさらに向上させることができる。 また、多層発泡粒子31の芯層34の融点は、概ね120℃以上165℃以下であることが好ましく、より好ましくは130℃以上165℃以下であり、さらに好ましくは140℃以上165℃以下であり、特に好ましくは145℃以上165℃以下である。一方、被覆層36の融点は、概ね90℃以上130℃以下であることが好ましく、より好ましくは95℃以上125℃以下である。

上記樹脂の融点は、JIS K7121(1987)に記載の「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」を採用し(試験片の状態調節における加熱速度及び冷却速度はいずれも10℃/分とする。)、DSC装置により加熱速度10℃/分で昇温してDSC曲線を描かせた際に、該DSC曲線上の樹脂の融解に伴う吸熱ピークの頂点温度として求められる値である。なお、DSC曲線上に複数の吸熱ピークが存在する場合には、吸熱ピークの面積が最も大きい吸熱ピークの頂点を融点とする。測定装置としては、例えば、ティー・エイ・インスツルメント社製DSCQ1000などを使用することができる。

上記態様では、本実施形態において、芯層34と被覆層36との質量比率は特に限定されない。たとえば、上述のとおり芯層34と被覆層36とで融点に差のある態様では、概ね、芯層34の質量:被覆層36の質量=99:1〜75:25であることが好ましく、より好ましくは芯層34の質量:被覆層36の質量=98:2〜80:20である。なお、上記質量比率は、各々の層を構成する樹脂の密度と、各々の層の樹脂体積との積から、各々の層の質量を求めることにより算出できる。

ところで、一般的に、貫通孔32を有する発泡粒子30または多層発泡粒子31(以下、「発泡粒子30等」ともいう)は、図示省略する貫通孔を有しない発泡粒子を用いてなる発泡粒子成形体(以下、「従来発泡粒子成形体」ともいう)よりも成形後の収縮率が高く、収縮量が大きい。したがって、成形収縮の影響によりフレーム部材20が湾曲することが課題であるシート芯材100において、発泡粒子30等からなる発泡粒子成形体10は、不適であると思われていた。しかし本発明者らは、鋭意検討により、発泡粒子30等を用いることによって、むしろシート芯材100の寸法精度を向上させることができることを見出した。発泡粒子30等がシート芯材100の構成材料として適している理由は、明らかではないが、以下のように考えられる。

一般に、フレーム部材としては、発泡粒子成形体よりも成形収縮率の低い材質のものが用いられている。このようなフレーム部材と貫通孔を有しない発泡粒子を用いてインサート成形を行うと、フレーム部材によりその周辺部分の発泡粒子成形体の収縮が妨げられる一方、フレーム部材周辺以外では一体成形物が収縮しようとする。そのため、フレーム部材周辺以外の部分の発泡粒子成形体の収縮力がフレーム部材の剛性を大きく上回ることにより、成形後にシート芯材が湾曲してシート芯材の寸法精度が低下すると考えられる。 一方、本発明では、貫通孔32を有する発泡粒子30等を用いてインサート成形を行う。この場合、発泡粒子成形体に所定の空隙が存在することにより、フレーム部材周辺以外の発泡粒子成形体に生じる収縮力が相対的に小さくなる。そのため、フレーム部材に働く外力が低減されて一体成形物が湾曲しにくくなると考えられる。

貫通孔32を有する発泡粒子30は、公知の製造方法を適宜選択して製造することができる。たとえば、まず、ポリオレフィン系樹脂などの基材樹脂を押出機で溶融混練した後、筒状のストランド状に押し出す。そして上述のとおり押し出された押出し物を、冷却した後に適宜の長さに切断する、あるいは適宜の長さに切断した後に冷却することによって、貫通孔32を有する樹脂粒子を得る。この際、押出機の溶融樹脂出口に特定形状のスリットを設けることで、樹脂粒子に所望の貫通孔を形成することができる。次に、密閉容器内で得られた樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。その後、発泡剤を含有する樹脂粒子を密閉容器から発泡適正温度で放出し、樹脂粒子を発泡させる。これにより、貫通孔を有する発泡粒子30を製造することができる。

また多層発泡粒子31は、たとえば以下のとおり製造することができる。ここでは、ポリオレフィン系樹脂で構成される発泡した芯層34と、その芯層34を構成するポリオレフィン系樹脂の融点Tc(℃)より低い融点Ts(℃)のポリオレフィン系樹脂で構成される非発泡状態の被覆層36とを備える多層発泡粒子31の製造方法を一例として説明する。尚、他の製造方法、または以下に示す製造方法の一部が変更された製造方法により多層発泡粒子31を得てもよい。

まず、非発泡状態の芯層と、非発泡状態の被覆層を備える多層樹脂粒子を以下のとおり製造する。 芯層形成用押出機と被覆層形成用押出機の2台の押出機を共押出ダイに連結し、芯層形成用押出機には、芯層形成用のポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて添加される添加剤とを供給して溶融混練する。一方の被覆層形成用押出機には、被覆層形成用のポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて添加される添加剤とを供給して溶融混練する。さらに、それぞれの溶融混練物を上記共押出ダイ内で合流させ、非発泡状態の筒状の芯層と、芯層の外側表面を被覆する非発泡状態の被覆層とからなる鞘芯型の複合体を形成する。そして、押出機先端に付設された口金の細孔から該複合体を押出し、所定の質量となるように切断する。以上により、筒状のポリオレフィン系樹脂からなる芯層とこれを被覆するポリオレフィン系樹脂からなる被覆層とからなる多層樹脂粒子を得ることができる。

次に、上述のとおり得た多層樹脂粒子をオートクレーブ等の密閉容器内において分散媒に分散させ、芯層を構成するポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度に加熱する。そして、密閉容器内に発泡剤を圧入して多層樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。そして、密閉容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら密閉容器内の一端を開放し、多層樹脂粒子と分散媒とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気下に放出する。このとき、多層樹脂粒子が発泡する。発泡により、少なくとも芯層が発泡状態となって発泡芯層(芯層34)をなす。このような発泡方法をここでは、分散媒放出発泡方法という。こうして、多層発泡粒子31を得ることができる。なお、分散媒放出発泡方法においては、通常、分散媒として系媒体が使用される。 上記分散媒放出発泡方法では、容器内で加熱された多層発泡粒子31同士が互いに融着しないように、分散媒体中に分散剤を添加することが好ましい。分散剤は、多層発泡粒子31;100質量部当り、たとえば0.001質量部以上5質量部以下の範囲で使用されることが好ましい。

上記発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、若しくはヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、若しくはシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,2−ジフロロエタン、1,2,2,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、若しくはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素などの有機系物理発泡剤、または窒素、酸素、空気、二酸化炭素、若しくは水といったいわゆる無機系物理発泡剤が例示される。また有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤とを併用することもできる。こうした各種物理発泡剤の中でも、窒素、酸素、空気、二酸化炭素、および水からなる群から選択される1又は2以上の無機系物理発泡剤を主成分とするものが好適である。分散媒放出発泡方法における発泡剤の容器内への添加量は、使用する発泡剤の種類と発泡温度と得ようとする発泡粒子の見かけ密度に応じて適宜選択される。具体的には、例えば発泡剤として二酸化炭素を使用し、分散媒体として水を使用した場合、発泡開始直前の安定した状態にある密閉容器内の圧力(すなわち密閉容器内空間部の圧力(ゲージ圧))が、0.6MPa(G)以上6MPa(G)以下となるように発泡剤を添加することが好ましい。なお、一般的に、目的とする発泡粒子の見かけ密度が小さいほど密閉容器内空間部の圧力を高い値に調整することが望ましい。また一般的に、目的とする発泡粒子の見かけ密度が大きいほど密閉容器内空間部の圧力を低い値に調整することが望ましい。

上記分散媒放出発泡方法において、公知の方法を適宜選択して被覆層36を実質的に非発泡状態とすることができる。たとえば具体的には、芯層34を構成する樹脂に適量の気泡調整剤(たとえばホウ酸亜鉛)を予め添加するとともに、被覆層36を構成する樹脂に気泡調整剤を添加しないか、または気泡調整剤の添加量を少なくして多層樹脂粒子を作製する。この多層樹脂粒子を上記分散媒放出発泡方法により発泡させることで、発泡した芯層34と実質的に非発泡状態である被覆層36を備える多層発泡粒子31が製造され得る。

シート芯材100が、強度および耐衝撃性に優れるとともに、適度な弾性を備えるという観点からは、発泡粒子成形体10の見かけ密度は、10kg/m3以上90kg/m3以下であることが好ましい。特に発泡粒子成形体10がポリオレフィン系樹脂よりなる場合には上記見かけ密度は、20kg/m3以上60kg/m3以下であることがより好ましい。尚、異なる見かけ密度を有する発泡粒子成形体を複数組み合わせて、一つの発泡粒子成形体10とすることもできる。この場合には、異なる見かけ密度を有する発泡粒子成形体10のそれぞれの見かけ密度が上記の数値範囲内にあればよい。

上記見かけ密度は、次のように測定することができる。 発泡粒子成形体10から無作為に選択された5か所以上において、所定寸法のカットサンプルを切り出し、そのカットサンプルの体積V(cm3)を算出するとともに、カットサンプルの質量(g)を測定する。そして、カットサンプルの体積V(cm3)でカットサンプルの質量M(g)を除することによりM/Vを算出する。カットサンプルごとに算出されたM/Vの値を算術平均し、発泡粒子成形体10の見かけ密度とすることができる。

次に、フレーム部材20について説明する。フレーム部材20は発泡粒子成形体10の内部に埋め込まれ、発泡粒子成形体10を補強する。また、フレーム部材20は後方掛け止め部60、前方掛け止め部62などのシート芯材100に設けられる他の部材を支持する。 本実施形態におけるフレーム部材20は、環状の外形フレーム部50を備えており、外形フレーム部50が発泡粒子成形体10の平面視における外縁に沿って発泡粒子成形体10に埋設されている。より具体的には、フレーム部材20は、図3Aに示すとおり、外縁部40を含む外形フレーム部50と、中央フレーム部22とを備える。外形フレーム部50の所定の箇所には、後方掛け止め部60および前方掛け止め部62が溶接されている。 なお、後方掛け止め部60および前方掛け止め部62の設置箇所は本実施形態に限定されるものではなく、適宜設けることができる。

外形フレーム部50は、図1から理解されるとおり、発泡粒子成形体10の平面視における外縁に沿って延在する外縁部40を含む環状部である。本実施形態では、外形フレーム部50は、外縁部40と、発泡粒子成形体10から露出する露出部42を備える略四方形状のフレームである。外縁部40は、後方外縁部40a、前方外縁部40b、および側方外縁部40cを備える。図示省略する外形フレーム50の変形例としては、例えば、露出部42を備えず、図1に示す凹部120の外縁に沿った外縁部40を有し、実質的に外形フレーム50の全体が発泡粒子成形体10に埋設される形状(たとえば平面視における発泡粒子成形体10の外縁の略相似形)が挙げられる。

即ち、本実施形態におけるフレーム部材20は、発泡粒子成形体10の平面視における外縁に沿って延在する外縁部40を含む環状の外形フレーム部50を備えており、前記外形フレーム部50が発泡粒子成形体10に埋設されている。ここで外形フレーム部50が環状であるとは、外形フレーム部50を構成するフレーム部材が、切れ目なく環状に構成されている態様、および外形フレーム部50を構成するフレーム部材が他の部材を介して環状に構成されている態様のいずれも含む。切れ目のないフレーム部材とは、一本の連続したフレーム部材だけでなく、所定の箇所で溶接などにより互いに接合された2以上のフレーム部材の連続体を含む。上記他の部材の例としては、たとえば図3Bに示す台座64等が挙げられるが、これに限定されない。これにより、シート芯材100の外形形状が補強される。このように環状部を含むフレーム部材20をシート芯材100の内部に配置するためには、インサート成形が採用され、発泡粒子成形体10とフレーム部材20とが一体成形されることが好ましい。尚、従来において、外縁部40を含む環状の外形フレーム部50は、特に発泡粒子成形体10の成形収縮の影響を受けて湾曲し易かった。これに対し、貫通孔を有する発泡粒子30等を用いる本発明であれば、フレーム部材20に対する収縮の影響を従来のシート芯材に比べて軽減可能であるため、外形フレーム部50の湾曲を良好に抑制することができる。

後方外縁部40aの所定の箇所には、U字状の後方掛け止め部60の両端部が溶接されて支持されている。図1に示すように、後方掛け止め部60は、一部が発泡粒子成形体10の外部に露出しており、シート芯材100が配置される車両の所定の箇所に掛け止めされることとなる。後方掛け止め部60は、シート芯材100の後方向に向かって延在している。同様に、前方外縁部40bの所定の箇所にもU字状の前方掛け止め部62の両端部が溶接されて支持されている。前方掛け止め部62は、シート芯材100の下方に向かって延在しており、U字部分が発泡粒子成形体10の外部に露出している。このように、後方掛け止め部60および/または前方掛け止め部62を備えることで、シート芯材100を車両の所定の箇所に容易に設置して固定することができる。 フレーム部材20が湾曲すると、シート芯材100を車両に設置したときに、後方掛け止め部60および/または前方掛け止め部62の位置が予定された位置からずれる。これにより、シート芯材100を車両の所定箇所に掛け止めすることが困難になる場合があった。特に、後方外縁部40aおよび前方外縁部40bは、上述したとおり発泡粒子成形体10の肉厚部に埋設されることが一般的である。そのため、これらは発泡粒子成形体10の収縮による影響を受けやすく、湾曲の問題が生じやすかった。しかし本発明では、フレーム部材20の湾曲が抑制されるため、車両の所定の箇所に対する後方掛け止め部60および/または前方掛け止め部62の係止を確実に行うことができる。肉厚部におけるフレーム部材20の湾曲の抑制は、発泡粒子成形体10のデザインの自由度を高めることにも貢献する。尚、本明細書において肉厚とは、発泡粒子成形体10の上下方向の厚みが相対的に大きいことを指す。

尚、変形例として、図3Bに示すとおり、後方外縁部40aの径より幅広の台座部64を用い、台座部64の面に対し、後方掛け止め部60の両端および後方外縁部40aを溶接することで、後方掛け止め部60をより安定に支持することもできる。台座部64は、たとえば略四角形状の板状体である。外形フレーム部50は、このように外縁部40間の任意の箇所が補助部材(たとえば台座部64)によって連結されることで環状に構成されてもよい。台座部64を構成する材料は特に限定されないが、たとえば、金属部材または樹脂部材などが挙げられる。

本実施形態におけるフレーム部材20は、外形フレーム部50の環の内側に配置され、フレームの両端が外形フレーム部50の所定の位置に溶接された中央フレーム22を備える。中央フレーム22は、たとえば、シート芯材100の前後方向に延在する。

また、発泡粒子成形体10の収縮によるシート芯材100の湾曲をより良好に抑制するために、発泡粒子成形体10に埋設されたフレーム部材20に隣接して図示省略するスリットや切り込み等の空間を発泡粒子成形体10に適宜設けることができる。この空間は、発泡粒子成形体10の収縮の方向や移動量を予測して、例えば、発泡粒子成形体10のフレーム部材20を挟んで発泡粒子成形体10の収縮方向側とは反対側に形成することができる。

フレーム部材20は、例えば鉄、アルミニウム、もしくは銅などの金属部材、樹脂部材、またはセラミックスなどの部材よりなるものが一般的である。中でも、耐久性、強度、および発泡粒子成形体の成型時における熱に対する耐熱性などの観点から、フレーム部材20は、金属部材を含むものが好ましい。中でもフレーム部材20は、実質的に金属部材よりなるものがより好ましい。上記金属部材としては特に鋼材が好ましい。フレーム部材20は、これらの部材を溶接することや曲げ加工することにより形成することができる。

フレーム部材20は、直径2mm以上8mm以下の長尺部材から構成されることが好ましく、3mm以上7mm以下であることがより好ましく、3.5mm以上6mm以下であることが特に好ましい。また上記長尺部材の引張強さは、200N/mm2以上であることが好ましい。シート芯材100の強度を向上させるという観点からは、上記引張強さは250N/mm2以上1300N/mm2以下であることがより好ましい。また、長尺部材の降伏点は、400N/mm2以上であることが好ましく、440N/mm2以上であることがより好ましい。上記数値範囲である直径および引張強さを有する長尺部材は、所定の形状に成形し易く、またシート芯材100の適度な強度および軽量性を保つことが可能である。このような細径の長尺部材をフレーム部材20に用いる場合、従来は成形収縮時の湾曲が起こり易かった。これに対し本発明では、貫通孔32を備える発泡粒子30等を用いることで、このような細径の長尺部材を用い、軽量性を保ちつつフレーム部材20の湾曲を良好に抑制することができる。 尚、長尺部材の引張強さは、JIS G3532 SWM−Bに示される測定方法に準じて測定することができる。

上記長尺部材は、特段の縦横比率が限定された部材ではなく、たとえば、上述する材料からなる線状体、棒状体、線状体を複数より集めて形成されたワイヤーまたは管状体の部材である。

以上に説明する発泡粒子30等およびフレーム部材20を用いた一体成形物であるシート芯材100は、たとえば以下のような型内成形方法により製造される。 具体的には、車両用座席シート芯材成形用の金型内の所定の位置に、フレーム部材20を配置するとともに、発泡粒子30等を当該金型内に充填する。その後、加熱スチームを金型内に導入して発泡粒子30等を加熱して二次発泡させ、発泡粒子30等を相互に融着させる。これによりフレーム部材20を埋設する発泡粒子成形体10を備えるシート芯材100が製造される。このように製造されたシート芯材100は、発泡粒子成形体10とフレーム部材20との一体成形物であり、両者の一体性に優れる。

(第二実施形態) 以下に、本発明の車両用座席シート芯材の第二実施形態について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態の車両用座席シート芯材200(以下、「シート芯材200」ともいう)を示す斜視略図である。シート芯材200は、発泡粒子成形体10およびフレーム部材20の形状が上述したシート芯材100とは異なる例であるが、第一実施形態と同様に、発泡粒子成形体10とフレーム部材20との一体成形物である。シート芯材200における発泡粒子成形体10およびフレーム部材20に関する構成材料、物性、および製造方法等についての説明は、第一実施形態に関する説明を参照することができるため、ここでは適宜割愛する。

本実施形態における発泡粒子成形体10は、平面視略中央に、上下方向に貫通する穴部110が設けられている。穴部110の左方及び右方にそれぞれ1箇所ずつ座部18が設けられている。また、穴部110付近も座部18となる。本実施形態における外形フレーム50は、露出部42を有しておらず外縁部40から構成されており、全体が発泡粒子成形体10に埋設されている。

本実施形態におけるフレーム部20は、環状(略四方形状)の外縁部40を有している。外縁部40は、後方外縁部40a、前方外縁部40bおよび2本の側方外縁部40cを備える。後方外縁部40aおよび前方外縁部40bは、略平行に配置された長尺部材である。また、2本の側方外縁部40cも、略平行に配置された長尺部材である。前方外縁部40bの両端部近傍には、板状体の台座64が備えられている。

シート芯材200は、前方側に、U字状の前方掛け止め部62が設けられており、また後方側に、U字状の後方掛け止め部60が設けられている。 前方掛け止め部62は、上下方向に延在するU字部62aと、U字部62aに対して屈曲した屈曲部62bを有している。後方掛け止め部60は、U字部60aと、U字部60aに対して屈曲した屈曲部60bを有している。屈曲部62bおよび屈曲部60bは、少なくとも一部が発泡粒子成形体10に埋設されている。U字部62aおよびU字部60aは、少なくとも一部が発泡粒子成形体10の外部に露出しており、車両の所定の箇所に掛け止め可能に構成されている。

本実施形態では、図4に示すとおり、前方外縁部40bおよび屈曲部62bは、台座64の一方面側(たとえば下面側)に溶接されている。即ち、前方掛け止め部62は、その一部(即ち屈曲部62b)が台座64に固定されている。また、前方掛け止め部62は、台座64を介してフレーム部20に固定されている。

後方掛け止め部60の屈曲部60bは、フレーム部20の所定の箇所に直接に溶接されている。発泡粒子成形体10の外部に露出するU字部60aは、後方向に対して上方向に傾斜している。

貫通孔を有する発泡粒子を用いた実施例および貫通孔を有しない発泡粒子を用いた比較例を以下のとおり実施した。

<第一実施形態> 実施例1に用いる多層発泡粒子を以下のとおり作製した。 内径65mmの芯層形成用押出機および内径30mmの外側被覆層形成用押出機の出口側に多層ストランド形成用ダイが取付けられた押出機を準備した。上記押出機を用い、芯層を形成するためのポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、融点:142℃)、及び被覆層を形成するためのポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂、融点:125℃)を、それぞれの押出機に供給し、それぞれ溶融混練して溶融混練物とした。尚、芯層を構成する樹脂には、気泡調整剤としてホウ酸亜鉛を添加し、芯層を構成する樹脂を基材樹脂としたマスターバッチを調製して芯層形成用押出機に供給した。ホウ酸亜鉛の含有量は、1000質量ppmとなるよう調整した。 上述のとおり得た2種の溶融混練物を、多層ストランド形成用ダイに導入し、ダイ内で合流させてダイ先端に取付けた口金の小孔から、円筒形状のストランドとして押出した(芯層の質量%:被覆層の質量%=95:5)。押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーで切断して乾燥して円筒形状の多層樹脂粒子を得た。多層樹脂粒子は、被覆層と非発泡状態の芯層とが積層された構造(鞘芯形状)を有しており、芯層に貫通孔を有する。

上述のとおり調製した多層樹脂粒子800gと分散媒である水3Lとを、容量5Lの密閉容器内に仕込んだ。このとき、多層樹脂粒子100質量部に対し、分散剤としてカオリン0.3質量部、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名:ネオゲン(商標)、第一工業製薬株式会社製)0.4質量部(有効成分として)、および硫酸アルミニウム0.01質量部を、それぞれ密閉容器内に添加した。次いで、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素(3.4MPa)を圧入し、密閉容器内の内容物を撹拌しながら発泡温度(146.5℃)より5℃低い温度まで加熱昇温して、その温度を15分間保持して高温ピーク熱量を調整した。 その後、さらに上記発泡温度まで加熱昇温して再度15分間保持し、平衡蒸気圧を3.6MPaに調整した。しかる後、密閉容器内の内容物を大気圧下に水とともに放出した。このとき芯層が発泡し、発泡芯層が形成された。また、発泡芯層を被覆する実質的に非発泡状態の被覆層が形成された。こうして貫通孔を有する多層発泡粒子を得た。 得られた多層発泡粒子は、嵩密度25.0kg/m3、平均粒子質量1.5mg、貫通孔平均径1.9mm、平均L/D=0.8であった。

[実施例1] 図3に示すフレーム部材20と同様の構成のフレーム部材を、引張強さ(JIS G3532 SWM−B)500N/mm2の鉄製棒状体により作製した。前方側3か所の前方掛け止め部を構成する鉄製棒状体には、直径5mmのものを用い、その他の箇所の鉄製棒状体には、直径4.5mmのものを用いた。なお、フレーム部材20を構成する鉄製棒状体の交差箇所は溶接により接合した。

上記フレーム部材を、自動車の座席シート芯材成形用金型(長手方向1330mm、前後方向600mm、最大厚み225mm)内に設置した。このとき、成形されるシート芯材の後方側に2か所の後方掛け止め部が配置され、前方側に3か所の前方掛け止め部が配置されるとともに、前方外縁部40bが発泡粒子成形体の底面から20mmの高さに埋設されるようにフレーム部材20を配置した。次いで金型を型締めした後、金型内に上述のとおり得た多層発泡粒子を充填し、スチーム加熱して図1に示す形状のシート芯材を成形した。これを実施例1とした。スチームによる加熱等は、具体的には以下の条件で行った。即ち、両方の金型のドレン弁を開放した状態でスチームを4秒間型内に供給して予備加熱(排気工程)を行った。次に、0.14MPa(G)の成形スチーム圧で一方加熱を行った。次に、0.20MPa(G)の成形スチーム圧で逆方向から一方加熱を行った。次に、0.24MPa(G)の成形スチーム圧で両方向から本加熱を行った。加熱終了後、放圧し、1秒間水冷し、20秒間空冷してシート芯材を得た。75℃で12時間養生した後、6時間徐冷したものを実施例1のシート芯材とした。シート芯材における発泡粒子成形体は、見かけ密度が32kg/m3であり、空隙率は20体積%であった。

[比較例1] 発泡粒子として、嵩密度25.3kg/m3、平均粒子質量1.0mg、平均L/D=1.0であって、貫通孔を有しないポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用い、成形条件の一部を下記のとおりにしたこと以外は実施例1と同様の方法でシート芯材を成形した。 比較例1では、スチーム加熱時の成形スチーム圧を、一方加熱:0.16MPa(G)、逆方向からの一方加熱:0.26MPa(G)、本加熱0.30MPa(G)とした。また、水冷時間は120秒、空冷時間は10秒とした。シート芯材における発泡粒子成形体の見かけ密度は、31kg/m3であった。また、成形体は外部と連通する空隙を有していなかった。

(測定方法1) 上述のとおり得た実施例1、および比較例1(以下、「測定サンプル」とも言う。)それぞれについて、寸法誤差量の測定部として、図1に○印で示す複数の箇所(具体的には測定部RH、測定部LH)を選定した。当該測定サンプルにおける測定部と、測定用ゲージにおける当該測定部に対応する箇所との距離の差を移動量として、寸法誤差を測定した。 尚、測定用ゲージは、目的寸法のシート芯材の外形よりも10mm外方(車両の上下方向の上方)であって、測定部を含むシート芯材の前後方向全体にわたる形状をアルミ板からくり抜くことで作製された。

所定の台座の所定位置に測定サンプルを固定するとともに、当該測定用サンプルの外面を上方から覆うように測定用ゲージを固定した。本評価方法では、台座から略垂直に起立する測定サンプル支持部を、シート芯材の前方端側の左右方向両端部付近に1か所ずつと、その中間に1か所の計3か所、シート芯材の後方端側の左右方向両端部付近に1か所ずつと、その中間に1か所の計3か所に設けた。これによって、測定用サンプルを支持した。測定サンプルの測定部と測定用ゲージにおける当該測定部に対応する箇所との間(車両上下方向)に生じた空間の距離を測定することで、目的寸法からの寸法誤差を算出した。具体的には、例えば、測定サンプルと測定用ゲージとの間に生じた空間の距離が10mmであった場合、目的寸法に対する測定用サンプルの寸法誤差は0mmであったと評価することができる。 測定部は、本体の長手方向の中心の前端部分を基準点A(図1参照)とし、この基準点Aから進行方向左側に380mm、進行方向後方側に460mm離れた位置を測定部LH、基準点Aから進行方向右側に380mm、進行方向後方側に460mm離れた位置を測定部RH、とした。なお、いずれの測定点も底部から車両上下方向上方側に65mm離れた位置である。

上記各測定部において寸法誤差量を測定した結果を表1に示す。 測定値は、目的寸法よりも外方(車両上下方向上方)にずれた場合をプラス、目的寸法よりも内方(車両上下方向下方)にずれた場合をマイナスとした。なお、該測定値の測定方法は、実施例2、3および比較例2、3においても同様である。 測定結果から、実施例1は、比較例1よりも寸法誤差量が小さく、目的寸法に対するシート芯材の収縮または湾曲が従来に比べて軽減されたことが確認された。

[実施例2] 実施例2−1、2−2、2−3に用いる多層発泡粒子を実施例1と同様に作製し、図1に示す形状のシート芯材を成形した。

[実施例2−1] シート芯材における発泡粒子成形体の見かけ密度、および空隙率を、表2に示す内容にしたこと以外は、実施例1と同様にシート芯材を製造し、実施例2−1とした。

[実施例2−2] シート芯材における発泡粒子成形体の見かけ密度、および空隙率を、表2に示す内容としたこと以外は、実施例1と同様にシート芯材を製造し、実施例2−2とした。

[実施例2−3] シート芯材における発泡粒子成形体の見かけ密度、および空隙率を、表2に示す内容にしたこと以外は、実施例1と同様にシート芯材を製造し、実施例2−3とした。

[比較例2] シート芯材における発泡粒子成形体の見かけ密度を、表2に示す内容にしたこと以外は、比較例1と同様にシート芯材を製造し、比較例2とした。

(測定方法2) 実施例2および比較例2においては、台座から略垂直に起立する測定サンプル支持部を、シート芯材の前方端側の左右方向両端部付近に1か所ずつと、その中間に1か所の計3か所、シート芯材の後方端側の左右方向両端部付近に1か所ずつの計2か所、シート芯材の左方端側及び右方端側の前後方向中央部付近にそれぞれ1箇所ずつの計2か所設けたこと以外は、測定方法1と同様の方法で、寸法誤差量を測定した。

上記各測定部において寸法誤差量を測定した結果を表2に示す。 実施例2および比較例2おいては、測定用サンプルの支持方法を測定方法1とは異なる条件に変更した。かかる変更においても、実施例2−1、2−2、2−3は、測定部RHおよび測定部LHの寸法誤差量がバランス良く低減されたことが確認された。一方、比較例2の寸法誤差量は、測定部RHにおいて3mmを有意に上回る量であった。

<第二実施形態> [実施例3] 多層発泡粒子の製造条件を以下のとおり変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に用いる多層樹脂粒子を作製した。 内径50mmの芯層形成用押出機および内径30mmの外側被覆層形成用押出機の出口側に多層ストランド形成用ダイが取付けられた押出機を用いた。芯層を形成するためのポリオレフィン系樹脂として融点が153℃のポリプロピレン系樹脂を用い、被覆層を形成するためのポリオレフィン系樹脂として融点が102℃のポリエチレン系樹脂を用いた。

上述のとおり調製した多層樹脂粒子5000gと分散媒である水325Lとを、容量400Lの密閉容器内に仕込んだ。このとき、多層樹脂粒子100質量部に対し、分散剤としてカオリン0.06質量部、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名:ネオゲン(商標)、第一工業製薬株式会社製)0.01質量部(有効成分として)、および硫酸アルミニウム0.0002質量部を、それぞれ密閉容器内に添加した。次いで、密閉容器内に発泡剤として二酸化炭素(2.4MPa)を圧入し、密閉容器内の内容物を撹拌しながら発泡温度(157.0℃)より0.5℃低い温度まで加熱昇温して、その温度を6分間保持して高温ピーク熱量を調整した。 その後、さらに上記発泡温度まで加熱昇温して再度6分間保持し、平衡蒸気圧を3.6MPaに調整した。しかる後、密閉容器内の内容物を大気圧下に水とともに放出した。このとき芯層が発泡し、発泡芯層が形成された。また、発泡芯層を被覆する実質的に非発泡状態の被覆層が形成された。こうして貫通孔を有する多層発泡粒子を得た。 得られた多層発泡粒子は、嵩密度27.0kg/m3、平均粒子質量1.5mg、貫通孔平均径2.3mm、平均L/D=1.0であった。

図4に示すフレーム部材20と同様の構成のフレーム部材を、引張強さ(JIS G3532 SWM−B)500N/mm2の鉄製棒状体により作製した。前方側2か所の前方掛け止め部を構成する鉄製棒状体には、直径5mmのものを用い、その他の箇所の鉄製棒状体には、直径4.5mmのものを用いた。なお、フレーム部材20を構成する鉄製棒状体の交差箇所は溶接により接合した。

上記フレーム部材を、自動車の座席シート芯材成形用金型(長手方向1200mm、前後方向600mm、最大厚み280mm)内に設置した。このとき、成形されるシート芯材の後方側に2か所の後方掛け止め部が配置され、前方側に2か所の前方掛け止め部が配置されるとともに、前方外縁部40bが発泡粒子成形体の底面から20mmの高さに埋設されるようにフレーム部材20を配置した。次いで金型を型締めした後、金型内に上述のとおり得た多層発泡粒子を充填し、スチーム加熱して図4に示す形状のシート芯材を成形した。これを実施例3とした。スチームによる加熱等は、具体的には以下の条件で行った。即ち、両方の金型のドレン弁を開放した状態でスチームを4秒間型内に供給して予備加熱(排気工程)を行った。次に、0.07MPa(G)の成形スチーム圧で一方加熱を行った。次に、0.11MPa(G)の成形スチーム圧で逆方向から一方加熱を行った。次に、0.15MPa(G)の成形スチーム圧で両方向から本加熱を行った。加熱終了後、放圧し、60秒間水冷し、15秒間空冷してシート芯材を得た。75℃で12時間養生した後、6時間徐冷したものを実施例3のシート芯材とした。シート芯材における発泡粒子成形体は、見かけ密度が27kg/m3であり、空隙率は25体積%であった。

[比較例3] 発泡粒子として、比較例1のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用い、成形条件の一部を下記のとおりにしたこと以外は実施例3と同様の方法でシート芯材を成形した。 比較例1では、スチーム加熱時の成形スチーム圧を、一方加熱:0.14MPa(G)、逆方向からの一方加熱:0.24MPa(G)、本加熱0.30MPa(G)とした。また、水冷時間は120秒、空冷時間は10秒とした。シート芯材における発泡粒子成形体の見かけ密度は28kg/m3であった。また、成形体は外部と連通する空隙を有していなかった。

(測定方法3) 実施例3および比較例3においては、台座から略垂直に起立する測定サンプル支持部を、シート芯材の前方端側の左右方向両端部付近に1か所ずつと、その中間に1か所の計3か所、シート芯材の後方端側の左右方向両端部付近に1か所ずつと、その中間に1か所の計3か所に設けた。また、測定部は、本体の長手方向の中心の前端部分を基準点A(図4参照)とし、この基準点Aから進行方向後方側に500mm離れた位置を測定部WOとした。また、測定部WOから進行方向左側に350mm離れた位置を測定部LHとし、測定部WOから進行方向右側に350mm離れた位置を測定部RHとした。なお、いずれの測定点も底部から車両上下方向上方側に100mm離れた位置である。上記以外の測定条件は、測定方法1と同様とし、実施例3および比較例3の寸法誤差量を測定した。

実施例3および比較例3に関し、上記各測定部において寸法誤差量を測定した結果を表3に示す。 実施例3および比較例3は、シート芯材の形状を実施例1、2および比較例1、2の第一実施形態から変更した。かかる変更においても、実施例3は、比較例3に対し、有意に寸法誤差量が抑制されたことが確認された。

以上の測定結果から、実施例はいずれも、測定部LHおよび測定部RH(実施例3についてはさらに測定部WO)において、比較例に対してバランスよく寸法誤差量が抑制されていた。

上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。 (1)熱可塑性樹脂発泡粒子成形体とフレーム部材との一体成形物である車両用座席シート芯材であって、 前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体が、貫通孔を有する熱可塑性樹脂発泡粒子が相互に融着している発泡粒子成形体からなり、前記発泡粒子成形体が空隙を有しており、前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の空隙率が10体積%以上40体積%以下であることを特徴とする車両用座席シート芯材。 (2)前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の見かけ密度が、10kg/m3以上90kg/m3である上記(1)に記載の車両用座席シート芯材。 (3)前記フレーム部材が、金属部材を含む上記(1)または(2)に記載の車両用座席シート芯材。 (4)前記フレーム部材が、直径2mm以上8mm以下であり、引張強さ200N/mm2以上の部材により構成されている上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。 (5)前記フレーム部材が、環状の外形フレーム部を備えており、前記外形フレーム部が 前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の平面視における外縁に沿って前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体に埋設されている上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。 (6)前記熱可塑性樹脂発泡粒子成形体を構成する熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂を含む上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。 (7)前記熱可塑性樹脂発泡粒子が、筒状のポリオレフィン系樹脂発泡芯層と、前記ポリオレフィン系樹脂発泡芯層を被覆するポリオレフィン系樹脂被覆層とを有する多層発泡粒子であり、 前記ポリオレフィン系樹脂被覆層を構成する樹脂の融点が、前記ポリオレフィン系樹脂発泡芯層を構成する樹脂の融点よりも低い上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の車両用座席シート芯材。 (8)前記ポリオレフィン系樹脂被覆層を構成する樹脂の融点Ts(℃)が前記ポリオレフィン系樹脂発泡芯層を構成する樹脂の融点Tc(℃)よりも15℃以上低い上記(7)に記載の車両用座席シート芯材。

この出願は、2016年2月4日に出願された日本出願特許2016−020035号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

10・・・熱可塑性樹脂発泡粒子成形体 12・・・後方端 14・・・前方端 16・・・中間部 18・・・座部 20・・・フレーム部材 22・・・中央フレーム部 30・・・熱可塑性樹脂発泡粒子 31・・・多層発泡粒子 32・・・貫通孔 34・・・熱可塑性樹脂発泡芯層 36・・・熱可塑性樹脂被覆層 40・・・外縁部 40a・・・後方外縁部 40b・・・前方外縁部 40c・・・側方外縁部 42・・・露出部 50・・・外形フレーム部 60・・・後方掛け止め部 60a、62a・・・U字部 60b、62b・・・屈曲部 62・・・前方掛け止め部 64・・・台座部 100、200・・・車両用座席シート芯材 110・・・穴部 120・・・凹部 A、WO・・・基準点 RH、LH、WO・・・測定部

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