軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッド

申请号 JP2016527773 申请日 2015-06-04 公开(公告)号 JPWO2015190392A1 公开(公告)日 2017-04-20
申请人 株式会社ブリヂストン; 发明人 寿充 篠原; 寿充 篠原; 浩介 吉冨; 浩介 吉冨;
摘要 本発明は、着座面(1A)を有し、発泡原液が発泡し成形されることで得られる軟質ポリウレタンフォーム成形品であって、着座面(1A)に直交する縦方向Yの発泡セルの直径に対する、着座面(1A)に沿う横方向Xの発泡セルの直径の比率が、縦方向(Y)に沿って着座面(1A)に向かうに従い、大きくなる構成の軟質ポリウレタンフォーム成形品を提供する。
权利要求

載置面を有し、発泡原液が発泡し成形されることで得られる軟質ポリウレタンフォーム成形品であって、 前記載置面に直交する縦方向の発泡セルの直径に対する、前記載置面に沿う横方向の発泡セルの直径の比率が、前記縦方向に沿って前記載置面に向かうに従い、大きくなる軟質ポリウレタンフォーム成形品。前記発泡原液は、一種類のウレタン発泡材料からなる請求項1に記載の軟質ポリウレタンフォーム成形品。前記載置面側とは反対の裏面側に含まれる発泡セルの前記比率が、0.95〜1.05である請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタンフォーム成形品。前記載置面側に含まれる発泡セルの前記比率が、1.40〜1.60である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム成形品。前記比率の、前記縦方向に沿って前記載置面に向かう増加率が同等になっている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム成形品。車両に取り付けられ着座部として用いられるシート用パッドであって、 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の軟質ポリウレタンフォーム成形品であるシート用パッド。

说明书全文

本発明は、軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッドに関する。 本願は、2014年6月12日に日本に出願された特願2014−121917号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

従来から、載置面を有する例えばシート用パッド等の軟質ポリウレタンフォーム成形品として、例えば下記特許文献1に示されるような、載置面側の表面からその反対側の裏面にかけて漸次硬度が硬くなる構成が知られている。

この軟質ポリウレタンフォーム成形品においては、互いに異なる硬度を発現する2種類の発泡原液を使用し、高い硬度の発現された発泡体および低い硬度の発現された発泡体を一体的に混在させることで、載置面側の硬度が低くなるように、その硬度を軟質ポリウレタンフォーム成形品の厚み方向に沿って連続的に変化させている。

日本国特開2006−149466号公報

しかしながら、従来の軟質ポリウレタンフォーム成形品では、カーブの走行時や車線変更時などで車体に遠心(遠心加速度G)が作用すると、例えば乗員の腰部や載置物等が横方向に傾き、ぐらつく可能性がある。 これに対して、軟質ポリウレタンフォームの粘弾性を高くすることによりぐらつきを抑えることが可能であるが、この場合、クッション性が損なわれる可能性がある。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、着座感を良好に保ちつつ、且つぐらつきを抑えることで安定性を向上させることができる軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッドを提供することを目的とする。

本発明に係る軟質ポリウレタンフォーム成形品は、載置面を有し、発泡原液が発泡し成形されることで得られる軟質ポリウレタンフォーム成形品であって、前記載置面に直交する縦方向の発泡セルの直径に対する、前記載置面に沿う横方向の発泡セルの直径の比率が、前記縦方向に沿って前記載置面に向かうに従い、大きくなる。

本発明に係る軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッドによれば、着座感を良好に保ちつつ、且つぐらつきを抑えることで安定性を向上させることができる。

本発明の実施の形態によるシート用パッドを示す縦断面図である。

シート用パッドの発泡セルのアスペクト比を説明するための図である。

シート用パッドの要部断面図であって、図1に示すA部の拡大図である。

シート用パッドの要部断面図であって、図1に示すB部の拡大図である。

シート用パッドの要部断面図であって、図1に示すC部の拡大図である。

シート用パッドを製造するための成形型の縦断面図である。

作製した軟質ポリウレタンフォームの厚み方向のアスペクト比を示すグラフである。

作製した軟質ポリウレタンフォームの厚み方向の剛性分布を示すグラフである。

以下、本発明による軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッドの実施の形態について、図面を参照して説明する。

図1に示すように、本実施の形態のシート用パッド1は、例えば自動車(車両)に取り付けられる座席(着座部)などに採用され、着座面1A(載置面)を有し、発泡原液2が発泡し成形されることで得られる軟質ポリウレタンフォーム成形品である。

シート用パッド1に含まれる多数の発泡セル21は、図1、図2、図3A、図3B及び図3Cに示すように、着座面1Aに直交する縦方向Yの直径Ryに対する、着座面1Aに沿う横方向Xの直径Rxの比率(以下、アスペクト比という)が縦方向Yに沿って着座面1A側に位置するものほど大きくなっている。さらに、本シート用パッド1におけるアスペクト比の縦方向Yに沿って着座面1Aに向かう増加率は、同等となっている。なお、同等とは、全く一定であっても良いし、前記縦方向Yで多少異なることも含む。 また、シート用パッド1の発泡セル21は、軟質発泡樹脂の気孔である。 ここで、縦方向Yに沿って着座面1Aとは反対側を裏面1Bという。

シート用パッド1の発泡原液として、例えば、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームを使用することができる。 このような発泡原液2では、1液(1配合)で発泡の挙動をコントロールさせることで、アスペクト比を変化させて硬さのグラデーションを発現させてもよいし、1液に限定されることはなく、2液(2配合)以上を混合して発現させることも可能である。

アスペクト比は、図2に示すように、発泡セル21における横方向Xの直径Rxを縦方向Yの直径Ryで割った値であって、シート用パッド1のセル形状を規定している。

シート用パッド1は、図1に示す着座面1A側のA領域では、図3Aに示すように、アスペクト比が1より大きく、横方向Xの直径Rxが縦方向Yの直径Ryよりも大きく、発泡セル21Aが横方向Xに長い扁平形状となっている。つまり、このA領域の発泡セル21Aにおいては、縦方向Yにたわみ易く、横方向Xに変形し難くなっている。そのため、縦方向Yのクッション性として柔らかく感じられる。 ここで、着座面1A側に含まれる発泡セル21Aのアスペクト比として、1.4〜1.6の範囲に設定されることが好ましい。なお、この数値は、着座面1A側に含まれる発泡セル21Aのうち、後述するキャビティCの内面に当接する又は近接する部分で形成され、発泡が抑えられた部分を除く部分を対象としている。

また、図1に示すシート用パッド1の縦方向Yに沿う中央部分のB領域では、図3Bに示すように、アスペクト比が1より大きく、且つ前記A領域のアスペクト比よりも小さい値である。そのため、横方向Xの直径Rxが縦方向Yの直径Ryよりもわずかに大きく、円形に対してやや横長に扁平した形状となっている。つまり、B領域の発泡セル21Bにおいては、前述のA領域の発泡セル21Aに比べて、縦方向Yにたわみ難く、縦方向Yのクッション性としてやや硬く感じられる。

また、図1に示す裏面1B側のC領域では、図3Cに示すように、アスペクト比がほぼ1に近い値であり、横方向Xの直径Rxと縦方向Yの直径Ryとがほぼ同等となる円形状となっている。具体的には、B領域の発泡セル21Bよりも扁平の度合いが小さい横長の楕円から縦方向Yにつまり、C領域の発泡セル21Cにおいては、前述のA領域及びB領域の発泡セル21A、21Bに比べて、どの方向からの力に対しても同等の硬さで変形し難く、硬く感じられるようになっている。 ここで、上述したC領域に含まれる発泡セル21Cのアスペクト比として、0.95〜1.05の範囲に設定されることが好ましい。なお、この数値は、裏面1B側に含まれる発泡セル21Cのうち、後述するキャビティCの内面に当接する又は近接する部分で形成され、発泡が抑えられた部分を除く部分を対象としている。

また、発泡セル21の形状として、上述したように着座面1Aから裏面1Bに向かうに従い漸次横長形状から略円形状に変化している。このときの発泡セル21の大きさ(体積)は、縦方向Yで着座面1A側(前記A領域の発泡セル21A)及び裏面1B側(前記C領域の発泡セル21C)がこれらの間に位置する中央部分(前記B領域の発泡セル21B)よりも小さくなっている。

なお、前記アスペクト比は、シート用パッド1を前記縦方向Yに複数等分割した各部分ごとでの発泡セル21のアスペクト比が、着座面1A側に位置するものほど裏面1B側に位置するものと比べて大きくなっている。 このアスペクト比は、シート用パッド1を前記縦方向Yに複数等分割した各部分における所定の領域内において、横方向Xに占める発泡セル21と、このセルを画成する骨材と、の比率、及び縦方向Yに占める発泡セル21と、この発泡セル21を画成する骨材と、の比率に基づいて特定できる。具体的には、光学顕微鏡写真を画像処理することで、横方向Xに延びる直線上に位置する発泡セル21と骨材との比率、及び縦方向Yに延びる直線上に位置する発泡セル21と骨材との比率に基づいて特定できる。 なお、シート用パッド1の製造方法では、図4に示す成形型3が用いられる。この成形型3は、下型31と上型32とから箱形状に形成され、その内部空間が、シート用パッド1を形成するキャビティCとなっている。上型32は、下型31の開口を塞ぐ蓋材であって、平面視で外周部に成形型3内のエア抜き孔33が設けられている。

ここで、アスペクト比の測定方法の一例について説明する。 例えば、ヒップポイント直下のシート用パッドを、その厚さ寸法に応じて載置面(表面)から裏面に向かう順に縦20mm×横20mm×高さ20mmの立方体を切り出し、評価サンプルを取得する。例えば、厚さが95mmであれば4つ、75mmであれば3つの評価サンプルを取得する。 そして、各評価サンプルの中央部分を光学顕微鏡で拡大した写真を取得し、写真の中心を通る縦横方向に延びるラインをそれぞれ縦基準線、横基準線とする。さらに縦基準線及び横基準線のそれぞれから2mm間隔で等分割した縦横ラインを設定する。ここで、縦横ラインは、上記の縦基準線及び横基準線も含めたものをいう。縦ラインのうち、縦基準線とその両側の3本の縦ラインを測定対象とする。そして、これら縦ライン毎に横基準線を中心とした6mmの範囲において、発泡セルの骨格と縦ラインとの交点の数を目視によりカウントし、3本の縦ライン毎のカウント値の平均を求め、この平均値を発泡セルの縦方向の直径Ryと仮定する。 また、横方向についても同様に、横ラインのうち、横基準線とその両側の3本の横ラインを測定対象とし、これら横ライン毎に縦基準線を中心とした10mmの範囲において、発泡セルの骨格と横ラインとの交点の数を目視によりカウントし、3本の横ライン毎のカウント値の平均を求める。この平均値を発泡セルの横方向の直径Rxと仮定する。 その後、発泡セルの縦横寸法をRx/Ry(平均値の逆数)により算出し、アスペクト比を測定することができる。 なお、前述の評価サンプル(立方体)の寸法、縦横ラインの間隔、分割数、カウント範囲(長さ)などは、適宜、変更可能である。

上述した測定方法によって、評価サンプル毎にアスペクト比を求めた結果の一例を図5に示す。図5は、横軸に各深さ位置をとり、縦軸にアスペクト比をとったグラフであり、評価サンプルは4つであり、本実施の形態による条件に基づくシート用パッド(実施例1及び2)と、従来の比較例とを示している。なお、実施例1、実施例2及び比較例のシート用パッドの軟質ポリウレタンフォームは、後述する表1に示す配合となっている。実施例1のアスペクト比は、表層側から裏面側に向けて1.45,1.37,1.17,1.05となり、実施例2のアスペクト比は、同じく表層側から裏面側に向けて1.55,1.40,1.20,1.03となり、比較例のアスペクト比は、同じく表層側から裏面側に向けて1.18,1.16,1.12,1.10となっている。 図5のグラフに示されているように、実施例1及び2の軟質ポリウレタンフォームは、表面から裏面へ向けた厚み方向のアスペクト比の低下率が比較例に比べて大きい傾向を示している。図5の結果によれば、実施例1及び2では、表面付近のアスペクト比が比較的大きいことから、着座時の反発力が適度であり、座面からの圧迫感が少ないことがわかる。 実施例1、実施例2及び比較例のアスペクト比より得られる近似曲線は、それぞれ、Y=-0.668X+1.541(実施例1)、Y=-0.836X+1.647(実施例2)、Y=-0.123X+1.190(比較例)となる。すなわち、前記近似曲線の傾きが-0.85から-0.60であることにより、着座感を良好に保ちつつ、且つぐらつきを抑えることで安定性を向上させることができ、乗り心地が向上する。

ここで、本実施の形態の具体的な軟質ポリウレタンフォームについて説明する。

軟質ポリウレタンフォームの好適な実施形態は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームである。上記発泡原液を構成する材料の特徴として、下記(A)〜(C)が挙げられる。

(A) ポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3000〜12000であり、且つ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。 (B) 架橋剤成分として発泡原液中に含まれる化合物の全体(架橋剤の総体)におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)は100以上である。 (C) ポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をイソシアネート当量で70以上含有する。

<ポリオール成分> 前記発泡原液を構成するポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3,000〜12000であり、且つ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。上記ポリエーテルポリオールとしては、反応性が良好であることから、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好ましい。アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられる。ポリエーテルポリオールの材料として使用されるアルキレンオキシドは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。

前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールとしては、原料活性の観点から、上記PO及びEOを併用して得られたポリエーテルポリオールが好適である。POとEOとの配合比(モル比)は特に限定されず、例えば、EO/PO(モル比)として、8/92〜25/75が好ましく、13/87〜20/80がより好ましい。EO/PO(モル比)が上記範囲であると、反応性が良好なポリエーテルポリオールを容易に生成することができる。

前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの一分子中に含まれるヒドロキシル基(官能基)の数は3〜4個であることが好ましい。これらの好適な範囲であると、発泡原液の粘度が適度となり、優れた物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。なお、任意成分として、前記(A)のポリエーテルポリオールに加えて、官能基が2個のポリエーテルポリオールを併用しても構わない。

前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの重量平均分子量Mwとしては、3,000〜12,000が好ましく、3,000〜8,000がより好ましく、5,000〜8,000がさらに好ましい。ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が12,000以下であると、前記発泡原液の粘度が大きくなりすぎず、撹拌効率が良好になる。一方、ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が3,000以上であると、良好な反発弾性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によってポリスチレン換算値として算出した値である。なお、任意成分として、前記(A)のポリエーテルポリオールに加えて、重量平均分子量が8,000超12,000以下のポリエーテルポリオールを併用しても構わない。

前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの不飽和度は、0.03ミリ当量/g以下であることが好ましい。上記不飽和度が0.03ミリ当量/g以下であると、耐久性等の物性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、「不飽和度」とは、日本工業規格JIS K 1557−1970に準拠し、試料中の不飽和結合に酢酸第二銀を作用させて遊離する酢酸を水酸化カリウムで滴定する方法にて測定した、総不飽和度(ミリ当量/g)を意味する。

前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。

前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールが1種類である場合、重量平均分子量が7000以上であり、且つ、官能基が4個(4官能)であるポリエーテルポリオールが含有されることが好ましい。当該ポリエーテルポリオールであると、発泡成形によって得られた軟質ポリウレタンフォームをシート用パッドとして使用した場合の前述のぐらつき感を大幅に低減することができる。

前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリオール成分の総質量に対する、前記(A)のポリエーテルポリオールに該当する1種類又は2種類以上のポリエーテルポリオールの合計の含有量は、60質量%以上が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましく、85〜100質量%が最も好ましい。

前記発泡原液を構成するポリオール成分として、前記ポリエーテルポリオールに加えて、ポリマーポリオールを併用しても良い。前記ポリマーポリオールとしては、ポリウレタン発泡成形体用として汎用されるポリマーポリオールが適用可能である。例えば、ポリアルキレンオキシドからなる重量平均分子量Mwが3,000〜8,000、より好ましくは4,000〜7,000のポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオールが挙げられる。前記ポリアルキレンオキシドの原料となるアルキレンオキシドとしては、官能基(重合性基)としてプロピレンオキシド(PO)を含むアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドのみを含むアルキレンオキシド、又はプロピレンオキシド及びエチレンオキシド(EO)を共に含むアルキレンオキシドがより好ましい。また、上記ポリマーポリオールの総質量に対する上記ポリマー成分の含有量は、25〜50質量%であることが好ましい。

前記発泡原液を構成するポリオール成分として、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールとを混合する場合の混合比としては、ポリエーテルポリオール/ポリマーポリオール(質量比)として、70/30〜99/1が好ましく、80/20〜99/1がより好ましく、85/15〜99/1がさらに好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。

<ポリイソシアネート成分> 前記発泡原液を構成するポリイソシアネート成分として、ジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネート当量で70以上含有する。

ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、ポリウレタンフォームの分野で一般的に使用されるポリイソシアネート成分である。具体的なMDIとしては、一般にモノメリックMDIと称される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4-MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4-MDI)、2,2−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2-MDI)、ポリメリックMDI、粗(クルード)MDI等が挙げられる。前記発泡原液において、1種類のMDIが単独で含有されてもよいし、2種類以上のMDIが含有されてもよい。

前記発泡原液に含まれるポリイソシアネートの総量を表す「イソシアネート当量」は、前記発泡原液中の活性水素量(モル)を100とした時の、イソシアネート基のモル比を意味する。

前記発泡原液に含まれるMDIに由来するイソシアネート当量は、少なくとも70以上であり、70〜120が好ましく、80〜100がより好ましい。上記イソシアネート当量が70以上であると、発泡原液の撹拌不良を防ぐことができる。上記イソシアネート当量が120以下であると、フォームの崩壊の発生を防ぐことができる。

任意成分として、前記(C)のMDIに加えて、MDI以外の公知のポリイソシアネート成分を少量加えても構わない。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。

前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートの1種類又は2種類以上の合計の含有量は、70質量%以上が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、95〜100質量%が最も好ましい。

また、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートを構成するピュアMDIの含有量は、40質量%以上が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜85質量%がさらに好ましく、60〜80質量%が最も好ましい。

<架橋剤成分> 前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームが所望の物性を有するために、前記発泡原液を構成する架橋剤成分として、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が水よりも高い架橋剤が、主成分として含まれることが好ましい。通常、グリセリン、エチレンオキシド基を有する架橋剤(EO系架橋剤)、水、プロピレンオキシド基を有する架橋剤(PO系架橋剤)の順で、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が低下する。これに基づいて、前記発泡原液に架橋剤として含有される1種又は2種以上の化合物の全体が有するEO基とPO基のモル比(EO基のモル数/PO基のモル数)は100以上であることが好ましく、105以上であることがより好ましく、110以上であることがさらに好ましい。このモル比は高い程好ましい。つまり、前記発泡原液において、PO基を有する架橋剤が実質的には含有されないことが好ましい。

ここで、エチレンオキシド基(EO基)は、エチレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。プロピレンオキシド基(PO基)は、プロピレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。

具体的な架橋剤成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の架橋剤が適用できる。架橋剤の分子量は、通常1000以下であることが好ましい。上記EO基/PO基のモル比を大きくする観点から、「EO(基)/PO(基)=100/0」と表示された市販の架橋剤が好ましい。

前記発泡原液に含まれる架橋剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。EO基/PO基(モル比)が100以上の架橋剤とグリセリンを併用する場合、当該架橋剤/グリセリンの質量比は、10:1〜1:10が好ましく、5:1〜1:5がより好ましく、2:1〜1:2が更に好ましい。

前記発泡原液に含まれる架橋剤成分の合計の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲の上限値以下であると、独立気泡性が高くなりすぎたり、成形が困難になったり、フォームの崩壊を防止できる。上記範囲の下限値以上であると、架橋剤の効果が十分に得られる。

<発泡剤成分> 前記発泡原液を構成する発泡剤成分としては、水を用いることが好ましい。水はポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生するため、発泡剤として機能する。 前記発泡原液中の水の含有量としては、ポリオール成分100質量部に対して、1〜7質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。また、得られた軟質ポリウレタンフォームの熱圧縮残留歪み特性が劣化することを防止できる。

<触媒成分> 前記発泡原液を構成する触媒成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の触媒が挙げられる。公知の触媒としては、アミン系触媒、スズ触媒が挙げられる。

通常、公知の触媒は大きく分けて、ポリウレタンの樹脂化を促進する樹脂化触媒と、ポリイソシアネート成分の発泡を促す泡化触媒と、に分類される。 好適な樹脂化触媒は、ポリイソシアネートとポリオールの反応を特に促進する第三級アミン触媒であり、特に限定するものではないが、例えば、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、及び1−メチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)が挙げられる。また好適な泡化触媒は、イソシアネ−トと水の反応を特に促進し、炭酸ガスを有効に発生させる第三級アミン触媒であり、一般的にフォームの流動性、寸法安定性改良に使用される。泡化触媒は特に限定されないが、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、及びN,N,N′,N″,N''',N'''−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等が挙げられる。

前記発泡原液には、触媒成分として、樹脂化触媒及び泡化触媒のうち、少なくとも樹脂化触媒が含有されることが好ましい。 前記発泡原液に含有される、樹脂化触媒:泡化触媒の質量比は、100:0〜100:100が好ましく、100:0〜100:50がより好ましく、100:0〜100:20がさらに好ましい。

前記樹脂化触媒である1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜2.0質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1.2質量部であることがさらに好ましく、0.4〜0.9質量部であることが特に好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。

前記樹脂化触媒である1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)と、前記泡化触媒とを併用する場合は、両触媒の合計の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜1.5質量部であることが好ましく、0.4〜1.2質量部であることがより好ましく、0.7〜1.0質量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。

前記アミン系触媒としては、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化(ゲル化)反応を促進し、ウレタン結合生成を促進するために、ゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1以下である樹脂化触媒を用いることが好ましい。 ここで、ゲル化触媒定数は、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体の架橋密度が高くなって発泡体の機械的物性が良好になる。具体的には、トリレンジイソシアネートとジエチレングリコールとのゲル化反応の反応定数が用いられる。一方、泡化触媒定数は、ポリイソシアネート類と水との泡化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体のセルの連通性が高められる。具体的には、トリレンジイソシアネートと水との泡化反応の反応定数が用いられる。上記2つの触媒定数の比は、両方の触媒のバランスを表す。 好適なアミン系触媒の例を、前記樹脂化触媒の具体例も含めて以下に例示する。

前記樹脂化触媒の具体例として、前述した触媒も含めて、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルグアニジン、135−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の第3級アミン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、その他N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N′−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。

前記発泡原液における前記アミン系触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜0.4質量部であることが好ましく、0.2〜0.4質量部であることがより好ましく、0.3〜0.4質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値0.1質量部以上であるとフォームの崩壊を防止できる。上記範囲の上限値0.4質量部以下であると独立気泡となってシュリンクが発生することを防止できる。

前記スズ触媒の具体例としては、スタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、オクチル酸スズ等の公知の有機スズ触媒が挙げられる。

前記発泡原液における前記スズ触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.01〜0.4質量部であることがより好ましく、0.01〜0.2質量部であることが更に好ましい。

<整泡剤成分> 前記発泡原液には、整泡剤が含まれてもよい。整泡剤としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の整泡剤が適用可能であり、例えば、シリコーン系整泡剤、アニオン系整泡剤、カチオン系整泡剤が挙げられる。これらの整泡剤には、分子鎖末端に水酸基を有する整泡剤が含まれる。

前記発泡原液における整泡剤の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましく、0.3〜0.8質量部が更に好ましい。通常、5質量部以下の含有割合で、整泡剤としての効果が充分に得られる。また、0.1質量部以上の含有割合であると、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の攪拌性が向上し、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。

<その他の任意成分> 前記発泡原液には、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。例えば、顔料等の着色剤、鎖延長剤、炭酸カルシウム等の充填材、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを配合することができる。各種添加剤の配合量は、用途や目的に応じて適宜調整される。

<発泡原液の調製方法> 前記発泡原液の調製方法は、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート成分を除いた、残りの各成分からなる混合物(以下、「ポリオール混合物」と略記することがある。)を調製し、その後、ポリイソシアネート成分と混合して、発泡原液を得る調製方法が挙げられる。

前記ポリオール混合物の調製は、発泡剤である水と触媒成分との接触を減らすために、ポリオール成分に対して、まず触媒成分を混合し、次いで、整泡剤成分、架橋剤成分、及び必要に応じて任意成分を混合し、最後に、発泡剤である水を混合することが好ましい。 その後、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する工程において、前記ポリオール混合物とポリイソシアネート成分とを混合し、発泡原液を調製することが好ましい。

調製された前記ポリオール混合物の液温25℃における粘度は、2,400mPa・s以下であることが好ましく、1,800mPa・s以下であることがより好ましい。これらの好適な粘度範囲であると、発泡原液の攪拌効率が良好となり、発泡原液の全体で均一に充分な量の発泡が得られ、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォーム(発泡成形体)が得られ易くなる。

前記発泡原液を使用して、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する方法は、特に制限されず、例えば、金型内に形成されたキャビティ内に発泡原液を注入し、発泡成形する公知の方法が適用できる。

上記の公知の方法において、発泡原液を構成する各成分の分離を防止するために、キャビティ内に発泡原液を注入する直前に、上述の各成分を混合して発泡原液を調製することが好ましい。注入する発泡原液の液温は、10〜50℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、25〜35℃であることが更に好ましい。金型の温度は、40〜80℃であることが好ましく、50〜70℃であることがより好ましく、60〜65℃であることが更に好ましい。発泡原液の液温及び金型の温度が上記の好適な範囲であると、適切な発泡が得られる。発泡に続いて、金型内において硬化させた後、脱型することによって、目的の軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで得られた軟質ポリウレタンフォームについて、公知の除膜処理を更に施してもよい。

<軟質ポリウレタンフォームの厚み方向における剛性分布について> 発泡成形の方法によらず、本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームは、発泡成形時の下層から上層へ向かう厚み方向(すなわち鉛直線に沿う上向きの方向)に向かって、徐々に剛性(硬度)が高まる傾向にある。つまり、本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームの厚み方向の剛性分布が、連続的な増加傾向又は減少傾向を示す。ここで、軟質ポリウレタンフォームの発泡成形時の下層から上層へ向かう方向に見るとその剛性分布は増加傾向を示すが、同じ軟質ポリウレタンフォームを発泡成形時の上層から下層へ向かう方向に見るとその剛性分布は減少傾向を示す。

本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームが上記の剛性分布を呈するメカニズムの詳細は不明であるが、前記発泡原液を構成する各成分の組み合わせが要因であると考えられる。特に、架橋剤成分が有する主な重合性基(反応性基)がEO基であり、架橋効果が実質的に発揮される程度のPO基が架橋剤成分に含まれないこと、及び、ポリイソシアネート成分の大部分として、MDIが含まれ、TDIが少ない又は含まれないこと、が大きな要因であると考えられる。また、架橋剤成分としてグリセリンが含有されること、触媒成分として樹脂化触媒が含有されていることも、上記の剛性分布が呈されることに少なからず寄与していると考えられる。

また、上記の剛性分布を呈する軟質ポリウレタンフォームを厚み方向に切断したとき、その断面に現れる発泡セル形状の扁平の度合が、発泡成形時の上層から下層へ向けて、徐々に大きくなる傾向が見られる。つまり、発泡成形により得られた軟質ポリウレタンフォームにおいて、発泡成形時の下層に位置する発泡セルは、重力方向に押し潰されて横に長い扁平形状(楕円形状)を呈し、中層に位置する発泡セルにおける扁平の度合は比較的緩和されて円に近づき、上層に位置する発泡セルにおける扁平の度合は更に緩和されて、より一層円に近くなる傾向が見られる。このように、軟質ポリウレタンフォームの厚み方向の断面に現れる発泡セルの形状の変化は、上記の剛性分布の傾向と相関があると考えられる。

なお、本発明にかかる軟質ポリウレタンフォームの「軟質」は、それを手で押したり、その上に座ったりしたときに、当該軟質ポリウレタンフォームが変形して凹む程度の硬さ(剛性)であることを意味する。

また、他の軟質ポリウレタンフォームとして、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、及び触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームであって、前記ポリオールとして、重量平均分子量Mwが3000〜12000であり且つ官能基数が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有し、前記架橋剤として含まれる化合物の全体におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)が100以上であり、前記架橋剤として重量平均分子量が1000以下の短鎖ポリオールを含有し、前記ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネートをイソシアネート当量で70以上含有するものを用いることができる。

次に、以上のように構成された軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッドの作用について、図面を使用して具体的に説明する。 本実施の形態のシート用パッド1では、図1、図3A、図3B及び図3Cに示すように、発泡セルの形状が、前記縦方向Yに沿って着座面1Aに向かうに従い横長に変化するので、前記縦方向Yに圧縮変形しやすい比較的横長の発泡セル21が着座面1A側に位置する一方、前記縦方向Yに圧縮変形しにくい比較的縦長の発泡セル21が前記縦方向Yに沿う裏面1B側に位置する。 したがって、着座面1A側の硬度を裏面1B側の硬度と比べて低くすることが可能になり、本実施の形態のように、この軟質ポリウレタンフォーム成形品が車両に装着されてシート用パッド1として用いられる場合、乗員に着座時の硬さを感じさせ難くすることができ、着座感を良好に保つことができる。

しかも、縦方向Yに沿って徐々に前記比率を変化させることによって、軟質ポリウレタンフォーム成形品において、前記縦方向Yに沿う着座面1Aと裏面1Bとの間に位置する部分のなかで、急激に硬度が変動する箇所が生じてしまうのを防ぐことが可能になり、乗員に着座した際の違和感を感じさせにくくすることができる。

また、横長の発泡セル21は、前記縦方向Yに圧縮変形しやすい反面、このように変形した状態において横方向Xにせん断変形しにくくなるので、着座面1A側を横方向Xに変形しにくくすることが可能になり、着座面1Aに着座する人や物が横方向にぐらつくのを確実に抑えることができる。そのため、載置面上の人や物に横方向への加速度が加わった場合であっても安定させることができる。

また、一種類のウレタン発泡材料を使用することで、上述したアスペクト比を有し、載置時に横方向への加速度が加わった場合のぐらつきを低減できる軟質ポリウレタンフォーム成形品を容易にかつ高精度に製造することができる。

また、裏面1B側の発泡セル21のアスペクト比を0.95〜1.05の範囲とすることで、アスペクト比が1に近い値となることから、どの方向からの力に対しても変形し難くなり、ぐらつき感をより低減することができる。

さらに、着座面1A側の発泡セルのアスペクト比を1.40〜1.60の範囲とすることで、着座時にシート用パッド1が縦方向Yにたわみ過ぎるのを抑えることができ、且つ着座面1Aに着座した着座者が硬さを感じることがない好適な座り心地を得ることができる。

また、本実施の形態では、アスペクト比の、縦方向Yに沿って着座面1Aに向かう増加率が同等になっていて、急激に変化することがないので、シート用パッド1の縦方向Yの硬度特性の変化も小さく、載置時、あるいは着座時の違和感をより抑えることができる。

上述のように本実施の形態による軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッドでは、着座感を良好に保ちつつ、且つぐらつきを抑えることで安定性を向上させることができる。

(実施例) 表1に示す配合のポリオール成分配合液と、イソシアネート成分とを混合して調製したウレタン配合原液を金型に注入して発泡成形することにより、厚み95mmの車両のシート用パッドを製造し、下記の測定方法により硬度を測定し、以下の評価を行った。 ここで、表1の配合は実施例1及び比較例を示している。なお、実施例2の配合は実施例1の配合と同様である。

<各深さ位置における硬度の測定> 以下、発泡成形時の上下の向きを反転させて、発泡成形時の下面を表面と見て、発泡成形時の上面を裏面と見る。この理由は、軟質ポリウレタンフォームをシート用パッドとして使用する場合、シート用パッドの座面に対応する前記表面側が柔らかく、座面と反対側の前記裏面側が硬い構成であると、安定した座り心地が得られ易いからである。

硬度の測定は、ヒップポイント直下のシート用パッドを縦20mm×横20mm×高さ20mmの立方体に切り出し、評価サンプルを取得して行った。なお、本実施例1では、シート用パッドの厚さが95mmであるため、載置面(表面)から裏面に向けた順に4つの評価サンプルを取り出した。4つの評価サンプルは、表面(座面)から裏面へ向かう厚み方向において、表面から深さ0%が表面(表層)、深さ100%が裏面であるとした場合の、深さ10.5%を第1評価サンプル、深さ31.6%を第2評価サンプル、深さ52.6%を第3評価サンプル、深さ73.7%を第4評価サンプルとした。 その後、各評価サンプルにおいて、荷重撓み測定を行うことにより、25%撓んだときの応力を測定し、測定した応力を硬度とした。

<硬度比> 上記で測定した、深さ位置が異なる4箇所の評価サンプルにおけるそれぞれの硬度の測定値の平均を算出して、その平均値に対する各箇所の硬度比を算出した。この硬度比は、発泡成形体の厚み方向の平均的な硬度に対する各箇所(各深さ位置)の硬度の比を意味する。これらの結果について、横軸に各深さ位置をとり、縦軸に硬度比をとったグラフを図6に示す。 実施例1の硬度比は、表層側から裏面側に向けて0.80,0.88,1.07,1.25となり、比較例の硬度比は、同じく表層側から裏面側に向けて1.17,0.96,0.87,1.00となっている。

図6のグラフに示されているように、実施例1の軟質ポリウレタンフォームは、表面から裏面へ向けた厚み方向の硬度が連続的に増加している。つまり、厚み方向の剛性分布が連続的な増加傾向を示している。この結果、シート用パッド用途において求められるぐらつき感が充分に低減されている。また、表面付近の硬度比が比較的小さいため、着座時の反発力が適度であり、座面からの圧迫感が少ないため、従来とは異なる快適な座り心地が得られる。

実施例1、実施例2の軟質ポリウレタンフォームが上記の剛性分布を示す要因として、軟質ポリウレタンフォームの発泡原液に、架橋剤としてのグリセロールが多く含まれていること、PO系架橋剤が実質的に含まれておらず、主要な架橋剤がEO系架橋剤であること、主要な触媒が樹脂化触媒であること、整泡剤が実質的に含まれていないこと、の何れか1つ以上が考えられる。

一方、比較例の軟質ポリウレタンフォームは、図6のグラフから明らかなように、表面層に近い深さ10.5%の第1評価サンプルの硬度比よりも、第1評価サンプルの直下となる深さ31.6%の第2評価サンプルの硬度比が低下している。このような剛性分布であると、横方向のGが加わった場合に、着座面に近い表層よりも深い中層において軟質ポリウレタンフォームが横ヅレする感触が生じて、ぐらつき感が生じ易い。

比較例の軟質ポリウレタンフォームが上記の剛性分布を示す原因として、軟質ポリウレタンフォームの発泡原液に、架橋剤としてのグリセリンが含まれていないこと、架橋剤としてPO系架橋剤が多く含まれていること、触媒として泡化触媒が多く含まれていること、の何れか1つ以上が考えられる。

なお、上記表1において、型番又は名称で示された各材料の詳細は、以下の通りである。

「ポリエーテルポリオールA1−1」は、EO/POモル比16/84、重量平均分子量7000、官能基数4である。 「ポリエーテルポリオールA1−2」は、EO/POモル比13/87、数平均重量平均分子量7000、官能基数3である。 「ポリマーポリオールA2−1」は、固形分33%、水酸基価23mgKOH/g、重量平均分子量5400、3.2官能のポリマーポリオール(三洋化成工業株式会社製、商品名:KC855)である。

「架橋剤C−1」は、EO/POモル比0/100、重量平均分子量700、官能基数3である。 「架橋剤C−2」は、EO/POモル比100/0、重量平均分子量400、官能基数4である。 「架橋剤C−3」は、グリセリンである。

「触媒D−1」は、市販の樹脂化触媒であり、1,1'−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)である。 「触媒D−2」は、市販の樹脂化触媒であり、トリエチレンジアミンである。 「触媒D−3」は、市販の泡化触媒であり、(2−ジメチルアミノエチル)エーテルである。 「触媒D−4」は、市販のジエタノールアミンであり、樹脂化と泡化の両方を触媒する。

「整泡剤E−1」は、エボニック社製の低活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8734)である。 「整泡剤E−2」は、エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)である。 「発泡剤F−1」は、水である。

「ポリイソシアネート(B−1)」は、BASF INOAC社製の「フォームライト1302B」と称されるMDI系のイソシアネートである。TDI系のイソシアネートは実質的に含まれない。 BASF INOAC社製の「フォームライト1302B」と称されるMDI系のイソシアネートである。TDI系のイソシアネートは実質的に含まれない。 「ポリイソシアネート(B−2)」は、市販のポリイソシアネートであり、TDI/MDI=80/20(質量比)で混合されたTDI系イソシアネートである。

なお、本発明の技術範囲は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。

例えば、本実施の形態では、軟質ポリウレタンフォーム成形品としてシート用パッド1を適用しているが、これに限定されることはなく、自動車などの乗り物のシート用パッドの他に、室内用の椅子、寝具などのクッション材、家屋のフローリング用緩衝材などの様々な用途のものを対象とすることが可能である。 また、人が着座することに限らず、荷物等を載置する載置面を有する軟質ポリウレタンフォーム成形品であっても良い。そのため、載置面が、本実施の形態の着座面1Aのように鉛直方向に直交する水平方向である必要はなく、載置面が上下方向となる場合などその方向は任意に設定することができる。

その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。

本発明の軟質ポリウレタンフォーム成形品、およびシート用パッドによれば、着座感を良好に保ちつつ、且つぐらつきを抑えることで安定性を向上させることができる。

1 シート用パッド(軟質ポリウレタンフォーム成形品) 1A 着座面(載置面) 1B 裏面 2 発泡原液 21、21A、21B、21C 発泡セル 3 成形型 C キャビティ Ry 発泡セルの縦方向の直径 Rx 発泡セルの横方向の直径 Y 縦方向 X 横方向

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