難燃性低反発ウレタンフォームクッション

申请号 JP2007514577 申请日 2006-04-17 公开(公告)号 JPWO2006118008A1 公开(公告)日 2008-12-18
申请人 株式会社カネカ; 发明人 渡 見尾; 渡 見尾; 進 岩出; 進 岩出; 真彦 三歩一; 真彦 三歩一; 丸山 茂; 茂 丸山;
摘要 クッションや枕に使用される低反発ウレタンフォームの持つ素材独特の風合いや心地よさを充分に保持するとともに、繊維素材の持つ、優れた風合いや触感などを損なわず、快適でしかも高い難燃性を有する低反発ウレタンフォームクッションを提供することを課題とする。ハロゲン含有繊維(A)、難燃性セルロース系繊維(B)、セルロース系繊維(C)、およびポリエステル系繊維(D)よりなる群から選択される少なくとも2種を用いてなる炎遮蔽性生地であって、(A)及び(B)の合計量が炎遮蔽性生地中の25〜75重量%、(B)及び(C)の合計量が炎遮蔽性生地中の30重量%以上、(C)単独は炎遮蔽性生地中の75重量%以下で、かつ、(D)単独は炎遮蔽性生地中の30重量%以下で構成された炎遮蔽性生地により低反発ウレタンフォームを覆うことで、上記課題を解決した低反発ウレタンフォームクッションが得られる。
权利要求
  • ハロゲン含有繊維(A)、難燃性セルロース系繊維(B)、セルロース系繊維(C)、およびポリエステル系繊維(D)よりなる群から選択される少なくとも2種を用いてなる炎遮蔽性生地であって、(A)及び(B)の合計量が炎遮蔽性生地中の25〜75重量%、(B)及び(C)の合計量が炎遮蔽性生地中の30重量%以上、(C)単独は炎遮蔽性生地中の75重量%以下で、かつ、(D)単独は炎遮蔽性生地中の30重量%以下で構成された炎遮蔽性生地により低反発ウレタンフォームを覆い、更に、前記炎遮蔽性生地の厚みと側地の厚みの合計が1mm以上である難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • ハロゲン含有繊維(A)がモダクリル繊維である請求項1記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 難燃性セルロース系繊維(B)が木綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートおよびトリアセテートよりなる群から選ばれた少なくとも1つの繊維に、難燃剤を含有させた繊維である請求項1または請求項2記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 難燃性セルロース系繊維(B)が珪酸、または珪酸アルミニウムから選ばれる難燃剤を20〜50重量%含有するレーヨン繊維である請求項3記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 難燃性セルロース系繊維(B)がリン酸エステル系化合物、含ハロゲンリン酸エステル系化合物、縮合リン酸エステル系化合物、ポリリン酸塩系化合物、赤リン、アミン化合物、ホウ酸、ハロゲン化合物、臭化物、尿素―ホルムアルデヒド化合物、硫酸アンモニウムからなる群から選ばれる難燃剤を、セルロース系繊維に対して6〜25重量%付着させた繊維である請求項3記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • セルロース系繊維(C)が木綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートおよびトリアセテートよりなる群から選ばれた少なくとも1つの繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • セルロース系繊維(C)が木綿である請求項6記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • ポリエステル系繊維(D)の融点が200℃以上である請求項1〜7のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 炎遮蔽性生地中に難燃剤を2〜40重量%含有する請求項1〜8いずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 前記難燃剤としてアンチモン化合物を2〜20重量%含有する請求項9記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 側地がパイル状の編物の炎遮蔽性生地である請求項1〜10のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 側地の内側に編物である炎遮蔽性生地を有する請求項1〜10のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 側地がパイル状の編物であり、その内側に編物である炎遮蔽性生地を有する請求項12に記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 低反発ウレタンフォームを覆う側地の目付けの合計が、300g/m 2以上である請求項11〜13いずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
  • 说明书全文

    本発明は、枕等の寝具に使用する低反発ウレタンを用いた難燃性低反発ウレタンフォームクッションに関する。 更に詳しくは、難燃繊維を含む繊維で構成された炎遮蔽性生地により、低反発ウレタンフォームを覆った難燃性低反発ウレタンフォームクッションに関する。

    低反発ウレタンフォームは大きい比重と多くの連続気泡を有する発泡体で独特の柔軟性などの心地よさを有するため枕等の寝具やインテリア繊維製品として使用され始めている。 通常のウレタンフォームは比重が小さく炎に晒された際に溶融物を生じることなく燃焼する。 しかし、低反発ウレタンフォームは炎に晒された際に溶融物が生じ、これが側地から染み出るため燃焼が始まると消火することが困難となる。 従って、低反発ウレタンフォームは高度の難燃化が要求される。

    一方、近年、寝具やインテリア繊維製品は長時間、例えば20秒間、火炎と接しても燃焼しないなど、高度の難燃性が要求されるようになっている。 このような難燃性は、例えば米国カリフォルニア州の枕の燃焼試験方法Technical Bulletin 604の2003年10月発行のドラフト(以下TB604)に記載されている。 このように、低反発ウレタンフォーム寝具等であって長時間火炎と接しても燃焼しない高度の難燃性を有するものを得ることが望まれる。 また、寝具やインテリア繊維製品は難燃性だけでなく吸湿性などの快適さや優れた外観や風合いを有するものでなければならない。

    寝具やインテリア繊維製品によく使用される汎用的な素材であるポリエステルは、容易に溶融し、燃焼時、炭化物を生成しない。 このため、火炎と接した場合、溶融、燃焼により穴が空き、構造を維持することが出来ない。 従って、ポリエステルは寝具やインテリア繊維製品に用いられる木綿などの他の繊維や低反発ウレタンフォームへの着炎を防ぐ性質は全く不十分である。

    過去様々な難燃繊維や防災薬剤が検討されてきたが、低反発ウレタンフォームを含むクッションであって、上記の高度な難燃性と快適さ・外観を兼ね備えたものは未だ現れていない。 例えば、綿布等の織布に防災薬剤を塗布する、いわゆる後加工防災という手法があるが、防災薬剤の不均一な付着による防炎性能のばらつきや、防災薬剤の付着による布の硬化による触感などの快適さの低下や、防炎薬剤の脱落による防炎性能の低下などの問題があった。 また、ガラス繊維に代表される無機繊維を用いた布は、難燃性は優れているが開繊が困難である、吸湿性や触感が低い、そして染色性が低いという欠点がある。 また、耐熱繊維からの布は、難燃性は優れているが極めて高価であり、さらに耐熱繊維も開繊が困難である、吸湿性や触感が低い、そして染色性が低いという欠点がある。

    特許文献1や特許文献2には、寝具製品、インテリア繊維製品に用いることができ、優れた風合、吸湿性、触感を有し、かつ、安定した難燃性を有する素材として、難燃剤を大量に添加し高度に難燃化した含ハロゲン繊維と、難燃化していない他の繊維とを組み合わせた難燃繊維複合体が提案されている。 しかし、特許文献1や特許文献2に記載された難燃繊維複合体を低反発ウレタンフォームのような極めて易燃性の低融点の素材に使用することについての開示はない。 また、本質的に難燃性である繊維と含ハロゲン繊維からなる嵩高さを有する難燃性不織布(特許文献3)、ハロゲン含有ポリアクリロニトリル繊維と燃焼時にそれをサポートする(燃焼した繊維の崩れを防ぐ)繊維からなる難燃性不織布(特許文献4)、難燃性レーヨン繊維あるいは難燃性アクリル繊維あるいは難燃性メラミン繊維からなる難燃性不織布(特許文献5)が提案されているが、何れも不織布を用いた技術である。 従って、この技術による製品はニット生地を使用した製品のような柔らかい肌触りや伸縮性を欠き、寝具や家具に用いられる木綿や低反発ウレタンフォームの持つ素材独特の風合いや心地よさを損ない快適性に劣る難燃化技術であった。

    特開平05−106132号公報

    特開平05−093330号公報

    WO03/023108

    US2004/0062912A1

    US2004/0097156A1

    本発明の目的は独特の柔軟性や心地よさを有するけれども、燃焼しやすい低反発ウレタンフォームを使用し、TB604に記載されているような長時間火炎に接触させるテストにおいても燃焼を防止できる難燃性低反発ウレタンフォームクッションを提供することである。
    本発明の他の目的はニット製品のような柔らかい肌触りや伸縮性を有し、低反発ウレタンフォームの持つ独特の柔軟性や心地よさを損なわない難燃性低反発ウレタンフォームクッションを提供することである。

    本発明者らは、前記問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、モダクリル繊維やセルロース系繊維等の従来から使用されている繊維を使用して、上記目的が達成されることを見いだした。
    すなわち、本発明は次に記載される発明である。
    (1)ハロゲン含有繊維(A)、難燃性セルロース系繊維(B)、セルロース系繊維(C)、およびポリエステル系繊維(D)よりなる群から選択される少なくとも2種を用いてなる炎遮蔽性生地であって、(A)及び(B)の合計量が炎遮蔽性生地中の25〜75重量%、(B)及び(C)の合計量が炎遮蔽性生地中の30重量%以上、(C)単独は炎遮蔽性生地中の75重量%以下で、かつ、(D)単独は炎遮蔽性生地中の30重量%以下で構成された炎遮蔽性生地により低反発ウレタンフォームを覆い、更に、前記炎遮蔽性生地の厚みと側地の厚みの合計が1mm以上である難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (2)ハロゲン含有繊維(A)がモダクリル繊維である(1)記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (3)難燃性セルロース系繊維(B)が木綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートおよびトリアセテートよりなる群から選ばれた少なくとも1つの繊維に、難燃剤を含有させた繊維である(1)または(2)記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (4)難燃性セルロース系繊維(B)が珪酸、または珪酸アルミニウムから選ばれる難燃剤を20〜50重量%含有するレーヨン繊維である(3)記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (5)難燃性セルロース系繊維(B)がリン酸エステル系化合物、含ハロゲンリン酸エステル系化合物、縮合リン酸エステル系化合物、ポリリン酸塩系化合物、赤リン、アミン化合物、ホウ酸、ハロゲン化合物、臭化物、尿素―ホルムアルデヒド化合物、硫酸アンモニウムの群から選ばれる難燃剤を、セルロース系繊維に対して6〜25重量%付着させた繊維である(3)記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (6)セルロース系繊維(C)が木綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートおよびトリアセテートよりなる群から選ばれた少なくとも1つの繊維である(1)〜(5)のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (7)セルロース系繊維(C)が木綿である(6)記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (8)ポリエステル系繊維(D)の融点が200℃以上である(1)〜(7)のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (9)炎遮蔽性生地中に難燃剤を2〜40重量%含有する(1)〜(8)いずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (10)前記難燃剤としてアンチモン化合物を2〜20重量%含有する(9)記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (11)側地がパイル状の編物の炎遮蔽性生地である(1)〜(10)のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (12)側地の内側に編物である炎遮蔽性生地を有する(1)〜(10)のいずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (13)側地がパイル状の編物であり、その内側に編物である炎遮蔽性生地を有する(12)に記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。
    (14)低反発ウレタンフォームを覆う側地の目付けの合計が、300g/m 2以上である(11)〜(13)いずれかに記載の難燃性低反発ウレタンフォームクッション。

    本発明によればTB604に記載されているような長時間火炎に接触させるテストにおいてもウレタンフォームへの延焼を防止できる高度の難燃性を有する難燃性低反発ウレタンフォームクッションを提供することができる。 また、難燃性セルロース系繊維(B)やセルロース系繊維(C)を含有するため、これら繊維が有する、優れた風合いや触感および吸湿性などの快適性を保持することができる。
    さらに、本発明によればニット製品のような柔らかい肌触りや伸縮性を有し、低反発ウレタンフォームの持つ独特の柔軟性や心地よさを損なわない難燃性低反発ウレタンフォームクッションを提供することできる。

    本発明の難燃性低反発ウレタンフォームクッションは、炎遮蔽性生地で内部の低反発ウレタンフォームを覆ったことを特徴とする。 本発明の難燃性低反発ウレタンフォームクッションは、枕やクッション、ベッドの頭板部分に使用するヘッドボードクッション等に使用できるが、これらに限定されるものではない。

    ここでいう低反発ウレタンフォームとは、一般的に弾性と粘性を併せ持つ粘弾性フォームのことであり、一般の軟質ウレタンフォームに比較してヒステリシスロス率(JIS K 6400−2)の大きい衝撃吸収性フォームの特性を有している。 また、一般の軟質ウレタンフォームに比較して反発弾性率が15%以下(JIS K 6400−3)と非常に小さいことを特徴とする。 本発明に用いられる低反発ウレタンフォームとしては、テンピュール(登録商標)(テンピュールワールド社製、Tempur World,Inc.)に代表される圧分散機能を有する素材があげられるが、特に限定されるものではない。 このような低反発ウレタンフォームを寝具製品に使用した際には、反発力が弱く体圧を分散するために体にフィットする、弾性回復率が高く柔軟性を有し、かつ放湿性に優れるために手入れが簡単である、などの特徴を有する。 通常のウレタンフォームは炎に晒された際に溶融物を生じることなく燃焼する。 しかし、低反発ウレタンフォームは炎に晒された際に溶融物が生じ、これが側地から染み出るため燃焼が始まると消火することが困難となる。 従って、低反発ウレタンフォームを寝具等に使用する場合、高度の難燃性を付与することが必要である。

    本発明に用いられる炎遮蔽性生地は、表面を形成する通常の側地と低反発ウレタンフォームの間にはさみこんで用いてもよい。 この場合は、低反発ウレタンフォーム全体を炎遮蔽性生地で覆い、その上から側地を張る構造となる。 炎遮蔽性生地は編物の形態で用いてもよい。 また、本発明に用いられる炎遮蔽性生地は、低反発ウレタンフォームの表面を形成する側地として用いてもよい。 この場合の炎遮蔽性生地は表面がパイル状の編物の形態で用いてもよい。 また、本発明に用いられる炎遮蔽性生地を側地として用い、その側地と低反発ウレタンフォームの間に本発明の炎遮蔽性生地をはさみこむ、すなわち炎遮蔽性生地を2枚重ねて用いてもよい。

    本発明に用いられる炎遮蔽性生地は、ハロゲン含有繊維(A)および/もしくは難燃性セルロース系繊維(B)により難燃性を、セルロース繊維(C)および/もしくは難燃性セルロース系繊維(B)により風合いや触感、吸湿性を付与し、必要に応じてポリエステル系繊維(D)などを含ませた繊維で構成されるものである。 このため本発明の炎遮蔽性生地は少なくとも2種類の繊維を含む。 このような生地の製造方法としては混綿、混紡、交編等があるが、これらに限定されるものではない。

    本発明の炎遮蔽性とは、炎遮蔽性生地が炎に晒された際に生地が繊維の形態を維持したまま炭化することで炎を遮蔽し、低反発ウレタンフォームのような生地以外の部分に炎が移るのを防ぐ性質である。 具体的には側地と内部の低反発ウレタンフォームとの間に炎遮蔽性生地を挟む、もしくは側地に炎遮蔽性生地を用いることで、火災の際に内部の低反発ウレタンフォームへの炎の着火を防ぎ、火災の拡大を食い止めることができる。

    前記炎遮蔽性生地は編物とすることで、織物に比べて任意の方向に伸縮することができる。 また、編物は不織布のような厚みを持たず、生地の厚みが小さい。 このため、炎遮蔽性生地を編物にすることが低反発ウレタンフォームの持つ素材独特の風合いや、心地よさを損なわないことが可能であるため好ましい。 また、一般的に繊維は燃焼して炭化膜を形成する際に収縮するため、生じた炭化膜は亀裂を生じ易い。 しかし、編物においては任意の方向に伸縮することができるために亀裂のない極めて良好な炭化膜を得ることが可能である。 このように、炎遮蔽性生地は編物であることが好ましい。 炎遮蔽性編物の編み方には特に制限はなく、緯編み、経編みの何れでもよい。 また、編物の形状としては特に制限はなく、表面が起毛したパイル状の編物であってもよい。

    本発明の炎遮蔽性生地には、必要に応じて帯電防止剤、熱着色防止剤、耐光性向上剤、白度向上剤、失透性防止剤などを含有せしめてもよい。

    本発明に用いられるハロゲン含有繊維(A)は、炎遮蔽性生地の難燃性向上のために使用される成分であり、燃焼時に酸素欠乏ガスを発生することで表面の炎の自己消火を助ける効果がある成分である。 本発明に用いられるハロゲン含有繊維(A)としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン含有モノマーの単独重合体や共重合体、これらのハロゲン含有モノマーと共重合可能なモノマー、例えばアクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステルなどとの共重合体、またはハロゲン含有モノマーがPVA系ポリマーにグラフトした形のグラフト重合体などからなる繊維があげられるがこれらに限定されるものではない。 これらハロゲン含有繊維(A)の中では、炎遮蔽性生地に難燃性とともに優れた風合い、触感、を与えるという点から、ハロゲン含有モノマーとアクリロニトリルの共重合体からなる繊維であるモダクリル繊維を用いることが好ましい。

    前記モダクリル繊維には、炎遮蔽性生地の難燃性を強化するために難燃剤が添加されていることが好ましく、難燃剤の具体例としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸、オキシ塩化アンチモンなどのアンチモン化合物、酸化第二スズ、メタスズ酸、オキシハロゲン化第一スズ、オキシハロゲン化第二スズ、酸化第一スズ、四塩化スズなどのSn系化合物、酸化亜鉛などのZn化合物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどのMg系化合物、酸化モリブデンなどのMo系化合物、酸化チタン、チタン酸バリウムなどのTi系化合物、硫酸メラミン、スルファミン酸グアニジンなどの窒素系化合物、ポリ燐酸アンモニウム、ジブチルアミノフォスフェートなどの燐系化合物、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム� ��珪酸アルミニウムなどのAl系化合物、酸化ジルコニウムなどのZr系化合物、シリケート、ガラス等のSi系化合物、カオリン、ゼオライト、モンモリロナイト、タルク、パーライト、ベントナイト、バーミキュライト、珪藻土、黒鉛等の天然もしくは合成鉱産物系化合物、塩化パラフィン、ヘキサブロモベンセン、ヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン化合物が挙げられる。 また錫酸マグネシウム、錫酸亜鉛、錫酸ジルコニウムなどの複合化合物を使用しても良い。

    これらについては、単独で使用しても良く、2種以上組み合わせても良い。 これらの中ではアンチモン化合物が、燃焼時にモダクリル繊維中より脱離したハロゲン原子と反応しハロゲン化アンチモンを生成することで極めて高い難燃性を発揮することから好ましい。 モダクリル繊維中に添加されるアンチモン化合物は炎遮蔽性生地の難燃性を維持するために、炎遮蔽性生地全体に対して2重量%以上になるように添加することが好ましい。 また、炎遮蔽性生地の風合いや強度を損なわないという観点から炎遮蔽性生地全体に対して20重量%以下になるように添加することが好ましい。 モダクリル繊維の具体例としては(株)カネカ製のカネカロンがあげられるがこれらに限定されるものではない。

    本発明に用いられる難燃性セルロース系繊維(B)は、炎遮蔽性生地の難燃性向上および強度維持のために使用され、しかも優れた風合や吸湿性などの快適性を与える。 さらに難燃性セルロース系繊維(B)は燃焼時に炭化膜を形成するのに効果がある成分である。

    本発明に用いる難燃性セルロース系繊維(B)の例としては、難燃剤を含有する紡糸原液から得られる難燃性セルロース繊維や、繊維に対して難燃剤を用いて後加工等により難燃化したセルロース系繊維を挙げることができる。 前者の例としては難燃剤として珪酸または/および珪酸アルミニウムを含有した珪酸含有セルロース系繊維や、その他難燃剤を繊維製造時に含有させた難燃性セルロース系繊維が挙げられる。 難燃性セルロース系繊維(B)の基質であるセルロース系繊維の具体例としては、木綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートおよびトリアセテートがあげられ、これらは単独使用しても良く、2種類以上組み合わせて使用してもよい。

    前記珪酸含有セルロース系繊維は、難燃剤として珪酸または/および珪酸アルミニウムを繊維中に20〜50%含有するものであり、通常、1.7〜8dtex程度の繊度、38〜128mm程度のカット長を有している。 その具体例としては、例えば珪酸を繊維中に約30%含有したサテリ(Sateri)社のヴィジル(Visil)や、珪酸アルミニウムを繊維中に約33%含有したサテリ(Sateri)社のヴィジルAP(Visil AP)があげられる。 その他の難燃性セルロース系繊維としてレンチング社(Lenzing A.G)のレンチングFR(Lenzing FR)あげられる。 難燃性セルロース系繊維はこれらに限定されるものではない。

    後者のセルロース系繊維を後加工等により難燃化する際に用いられる難燃剤としてはトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェート(商品名、レオフォス)、芳香族リン酸エステル、ホスホノカルボン酸アミド誘導体、テトラキス・ヒドロキシメチルホスホニウム誘導体、N−メチロールジメチルホスホノプロピオンアミドなどのリン酸エステル系化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリスジクロロプロピル� ��スフェート、トリス−β−クロロプロピルホスフェート、クロロアルキルホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェートなどの含ハロゲンリン酸エステル系化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステルなどの縮合リン酸エステル系化合物、ポリリン酸アンモニウム・アミド、ポリクロロホスフォネートなどのポリリン酸塩系化合物、ポリリン酸カルバメートなどのポリリン酸エステル系化合物、赤リン、アミン化合物、ホウ酸、ハロゲン化合物、臭化物、尿素―ホルムアルデヒド化合物、硫酸アンモニウム、グアニジン系縮合物等があげられ、これらについては単独 で使用しても良く、2種以上組み合わせても良い。

    その付着量としてはセルロース系繊維に対して6〜25重量%になるようにするのが好ましい。 また、炎遮蔽性生地の難燃性を維持するために、炎遮蔽性生地全体に対して0.5重量%以上になるように添付させることが好ましい。 また、炎遮蔽性生地の風合いを損なわないという観点から炎遮蔽性生地全体に対して20重量%以下になるように付着させることが好ましい。

    本発明に用いられるセルロース系繊維(C)は、炎遮蔽性生地の強度維持や優れた風合や吸湿性などの快適性を与えるとともに、燃焼時に炭化膜を形成するのに効果がある成分である。 セルロース系繊維(C)の具体例としては、木綿、麻、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートおよびトリアセテートがあげられ、これらは単独使用しても良く、2種類以上組み合わせて使用してもよい。 また、これらの中では木綿、麻、レーヨンが触感や吸湿性の観点から好ましい。

    本発明に用いられるポリエステル繊維(D)は、炎遮蔽性生地に優れた風合、触感、製品強度、耐洗濯性、耐久性を与えることができる。 さらに、ポリエステル繊維(D)自体は可燃性繊維であるが、燃焼時に溶融し、その溶融物が炭化膜を覆うことで、出来上がった炭化膜の強度を向上させる効果がある。 低融点ポリエステルを使用すると、低融点成分は高融点成分に比較して容易に燃焼しやすいために、サーマルボンド型不織布を使用しない場合には融点が200℃以上のポリエステル繊維を用いることが好ましい。

    炎遮蔽性生地としてサーマルボンド型不織布を使用する場合には、融点が200℃以下である低融点バインダー繊維を用いても良い。 低融点バインダー繊維としては、低融点ポリエステル単一成分よりなる繊維、融点が200℃以上である通常のポリエステルと低融点ポリエステルの複合よりなる繊維、融点が200℃以上である通常のポリエステルと低融点ポリオレフィンの複合繊維が挙げられ、これらは単独で用いても複数を組み合わせて用いてもよい。 複合繊維としてはポリエステル/低融点ポリプロピレン、低融点ポリエチレン、低融点ポリエステルからなる並列型もしくは芯鞘型複合型繊維をあげることができる。 一般的に低融点ポリエステルの融点は概ね110〜200℃、低融点ポリプロピレンの融点は概ね140〜160℃、低融点ポリエチレンの融点は概ね95〜130℃であり、概ね110〜200℃程度で融解接着能力を有するものであれば特に限定はない。

    本発明に用いられる炎遮蔽性生地における難燃剤の割合は1.0重量%以上であることが好ましい。 生地全体における難燃剤の割合が1.0重量%未満であると、燃焼時における自己消火能力が不足し低反発ウレタンフォームへの着火を防ぐ能力が不充分となる。

    本発明において低反発ウレタンフォームを、炎遮蔽性生地を含む側地でくるむが、炎遮蔽性、および燃焼時の熱により分解溶融した低反発ウレタンフォームが外部へ染み出すのを防止する観点から、炎遮蔽性生地の厚みと側地の厚みの合計は1mm以上であることが必要である。 通常のウレタンフォームは炎に晒された際に溶融物を生じることなく燃焼するが、低反発ウレタンフォームに関しては溶融物が生じ、これが側地から染み出ることにより燃焼が始まると消火することが困難となる。 炎遮蔽性生地が1mm以上であることが好ましい。 なお、低反発ウレタンフォームを覆う全ての生地の目付けの合計が、300g/m 2以上であることが好ましい。 さらに、炎遮蔽性生地の目付けが300g/m 2以上であることが炎遮蔽性の観点から好ましい。

    本発明において、炎遮蔽性生地の風合い、吸湿性などの快適性や、耐久性および自己消火性を更に高めるために、セルロース系繊維(C)および/またはポリエステル系(D)を含んだ炎遮蔽性生地を用いる。 ハロゲン含有繊維(A)、難燃性セルロース系繊維(B)、セルロース系繊維(C)、ポリエステル系繊維(D)の割合は、風合いや吸湿性などの快適性、耐洗濯性や耐久性、炎遮蔽性生地の強度、炭化膜の形成の度合い、自己消火性の速度により決定される。 ハロゲン含有繊維(A)の割合は0〜75重量%、さらには25〜75重量%、が好ましい。 難燃性セルロース系繊維(B)の割合は0〜75重量%、さらには25〜70重量%、が好ましい。 セルロース系繊維(C)の割合は0〜75重量%、さらには5〜70重量%、が好ましい。 ポリエステル系繊維(D)の割合は0〜30重量%であり、0〜25重量%が好ましい。 また、25重量%≦(A)+(B)≦75重量%であり、30重量%≦(B)+(C)である。

    ハロゲン含有繊維(A)は炎遮蔽性生地の自己消火性を付与する主要成分であるが、ハロゲン含有繊維(A)の割合が75重量%を超えると炭化成分の割合が少なくなり炎遮蔽性能が充分ではなくなる。 また、難燃性セルロース系繊維(B)は炎遮蔽性生地が炭化した際の炭化膜を与える主要成分であるが、難燃性セルロース系繊維(B)の割合が75重量%を超えると難燃化されていないセルロース系繊維に比べて触感が劣るため風合いや快適性が不充分となると同時に、カード等における加工性が大きく劣り極めて加工しづらくなるために好ましくない。 炎遮蔽性生地に難燃性を付与するにはハロゲン含有繊維(A)と難燃性セルロース系繊維(B)の合計量が25重量%以上必要である。 ハロゲン含有繊維(A)と難燃性セルロース系繊維(B)の合計量が25重量%未満では炎遮蔽性生地の炎遮蔽性、自己消火性能および/または炭化膜形成能力が不充分となり、炎遮蔽性能が不充分となる。 ハロゲン含有繊維(A)と難燃性セルロース系繊維(B)が75重量%を超えると炭化成分の割合が少なくなったり、難燃化されていないセルロース系繊維に比べて触感が劣るため風合いや快適性が不充分となるので好ましくない。

    また、セルロース系繊維(C)を加えることで優れた風合いや吸湿性などの快適性を付与することが可能となる他、セルロース系繊維(C)は炭化成分となり得るために炎遮蔽性生地の炎遮蔽性能を向上させる効果がある。 セルロース系繊維(C)の割合は75重量%以下である。 セルロース系繊維(C)の割合が75重量%を超えると炎遮蔽性生地における燃焼成分が多くなるために、充分な炎遮蔽性能が得られなくなるので好ましくない。 また、難燃性セルロース系繊維(B)とセルロース系繊維(C)の合計量が30重量%未満であるとセルロース系繊維の特徴である優れた風合いや吸湿性などの快適性を付与することが困難となる。

    さらに、ポリエステル系繊維(D)を加えることで耐洗濯性や耐久性を向上させることが期待できる。 また、ポリエステル系繊維(D)は燃焼時に溶融することで炭化した炎遮蔽性生地を覆い炭化膜強度を向上させる効果がある。 ポリエステル系繊維(D)の割合は30重量%以下である。 ポリエステル系繊維(D)の割合が30重量%を越えるとポリエステルの易燃性のために炎遮蔽性生地中の燃焼成分の割合が多くなり、炎遮蔽性に劣るものとなるので好ましくない。

    本発明に用いられる炎遮蔽性生地にはハロゲン含有繊維(A)および/または難燃性セルロース系繊維(B)が必須成分である。 ハロゲン含有繊維(A)は高い自己消火性を有し、とりわけアンチモン化合物を含有したハロゲン含有繊維(A)は自己消火性を有さない繊維と混合して用いた場合に、自己消火性を有さない繊維に対して働きかけ、生地に着火した炎を速やかに消火する性質を有する。 一方、ハロゲン含有繊維(A)自体の炭化促進効果は弱く、また形成した炭化膜強度はそれほど強固ではなく、炎に晒されると収縮する性質を有する。 これに対して、難燃性セルロース系繊維(B)は自己消火性を有するものの、自己消火性を有さない繊維に対して難燃剤として働く効果は弱い。 しかし、基質がセルロース系繊維であるがために強い炭化促進効果を有しており、速やかに炭化することで炎に晒された際の収縮が小さく安定した炭化膜を形成することが可能である。 そこでハロゲン含有繊維(A)と難燃性セルロース系繊維(B)を組み合わせることにより、炎遮蔽性生地に高い自己消化性と燃焼時に炎を遮ることの出来る強固な炭化膜を形成できる性質を付与することが可能となる。

    また、難燃性セルロース系繊維(B)のうち、珪酸含有レーヨン繊維は珪酸を含有するために繊維のしなやかさが損なわれカード等の加工において繊維が切れるという問題がある。 後加工による難燃性セルロース系繊維においては、長期使用において難燃剤が脱落し難燃性能が脱落し難燃性能が低下したり、また寝具においては直接肌に触れるため、難燃剤の脱落は好ましくないという欠点を有する。 また、後加工による難燃性セルロース系繊維は洗濯により難燃剤が脱落し、難燃性が大きく低下する可能性がある。 これらの欠点もハロゲン含有繊維(A)と組み合わせた場合、炎遮蔽性生地中の難燃性セルロース系繊維(B)の使用量を減らすことが出来るために解消できる。

    更には、難燃性セルロース系繊維(B)に起因する紡績性や対洗濯性の低下を防止するには難燃性セルロース系繊維(B)の使用量を減らし、ハロゲン含有繊維(A)とセルロース系繊維(C)の使用量を増加させることができる。 これにより炭化膜の強固さは低下するが、ハロゲン含有繊維(A)により難燃性を、セルロース系繊維(C)により優れた風合いや吸湿性などの快適性を付与できる。

    (A)〜(D)各成分を前記のような割合で含む炎遮蔽性生地は、繊維素材の持つ、優れた風合いや触感、および吸湿性、耐久性などを損なわず、しかも高度な難燃性を有する。 このような炎遮蔽性生地で低反発ウレタンフォームを覆うことにより、低反発ウレタンフォームの持つ素材独特の柔軟性や心地よさを損なわないとともに、快適で、しかも高い難燃性を有する寝具製品等を製造できる。 以下、実施をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。

    (難燃性評価用クッションの作成方法)
    低反発ウレタンフォームは、テンピュールワールド社製(Tempur World,Inc.)低反発ウレタンマットレスに使用されている低反発ウレタンフォームを縦約25cm×横約25cm×厚さ約10cmにカットして使用した。 カットしたウレタンフォームをクッションの内部の詰め物として用い、そのウレタンフォームをパイル状ニット生地1枚ないしはパイル状ニット生地とニット生地の2枚重ねの生地で完全に覆い、木綿のカタン糸を用いて完全に口を閉じ、縦約33cm×横約33cm×高さ約10cmのクッションを作成した。

    (難燃性評価方法)
    低反発ウレタンフォームクッションの難燃性は上記の難燃性評価用クッションを使用し、米国カリフォルニア州の枕の燃焼試験方法Technical Bulletin 604の2003年10月発行のドラフト(以下TB604)に基づいて評価した。 米国カリフォルニア州のTB604燃焼試験方法を簡単に説明すると、クッション(枕)のより下側3/4インチの所から35mmの炎を20秒間着炎し、6分後の重量減少率が20重量%以下であれば合格である。 このとき使用するバーナーチューブは内径6.5mm、外形8mm、長さ200mmである。 燃料ガスは純度99%以上のブタンガスで、ブタンガス流量45ml/minで炎の高さは約35mmである。
    接炎終了後360秒後に重量減少率が20重量%以内のクッションを試験に合格とした。 後記の表において重量減少率が20重量%以内のものを○、それ以外のものを×とした。

    (ハロゲン含有繊維(A)の製造例)
    アクリロニトリル52重量部、塩化ビニリデン46.8重量部、スチレンスルホン酸ナトリウム1.2重量部を共重合させて得られた共重合体を、アセトンに溶解させて30重量%溶液とした。 このとき共重合体100重量部に対して、三酸化アンチモン8重量部を加えて紡糸原液を調製した。 得られた紡糸原液を孔径0.07mm、孔数33000個のノズルを用いて、25℃の38重量%のアセトン水溶液中に押し出し、水洗後、120℃で8分間乾燥させた。 この後、150℃で3倍に延伸し、175℃で30秒間熱処理を行い、繊度2dtexのハロゲン含有繊維(A)を得た。 得られた含ハロゲン難燃繊維に紡績用仕上げ油剤(竹本油脂(株)製)を供給し、クリンプを付け、長さ51mmにカットした。

    (難燃性レーヨン繊維(B)の製造例)
    レーヨン繊維(繊度1.5dtex、カット長38mm)をポリリン酸アンモニウム((株)鈴裕化学製、FCP−730)の10重量%水溶液に浸漬し、ポリリン酸アンモニウムがレーヨン繊維に対して20重量%付着するよう脱水し、80℃で乾燥して難燃性レーヨン繊維を得た。

    (紡績糸1〜5)
    ハロゲン含有繊維(A)の製造例で作成したハロゲン含有繊維(A)、珪酸含有レーヨン繊維(B)であるサテリ(Sateri)社製のヴィジル(Visil)(繊度1.7dtex、カット長40mm)、難燃性レーヨン繊維の製造例で作成した難燃性レーヨン繊維(B)、木綿繊維(C)、ポリエステル繊維(D)(繊度1.7dtex、カット長51mm)を用いて、周知の方法によりメートル番手51番手の紡績糸を得た。 紡績糸1〜5を表1に示す。

    (パイル状ニット生地の製造例1〜34)
    紡績糸1〜5を用いて、周知のシンカーパイル編み機を用いて、パイル状ニット生地を作成した。 次に仕上げとしてパイル部分のループをシャーリングによりカットし、表2に示す混率、目付けのパイル状ニット生地を作成した。

    (ニット生地の製造例35〜67)
    紡績糸1〜5を用いて、周知の円形のメリヤス編み機を用いて、表3に示す混率、目付けのニット生地を作成した。

    (実施例1〜4、比較例1〜5)
    製造例1〜4、製造例18〜22で作成したパイル状ニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表4に示す。
    実施例1〜4では、何れの場合においても燃焼試験における難燃性、炭化膜の状態は良好であった。 比較例1,2ではハロゲン含有繊維の量が少ないために、生地の消火能力が不足した。 比較例3ではポリエステル系繊維が多いために、炎遮蔽性生地中の燃焼成分の割合が多くなり、炎遮蔽性に劣るものとなった。 比較例4ではハロゲン含有繊維の量は充分であるために難燃性は良好であったが、木綿繊維の割合が少なく、風合いや、触感、および吸湿性などの快適性に不満の残るものとなった。 比較例5では比較例4の木綿繊維に対してポリエステル系繊維を使用したものであるが、比較例4の欠点に更に吸湿性も劣るものとなった。

    (実施例5〜10、比較例6〜10)
    製造例5〜10、製造例23〜27で作成したパイル状ニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表5に示す。
    実施例5〜10では、何れの場合においても燃焼試験における難燃性、炭化膜の状態は良好であった。 比較例6,7では珪酸含有セルロース系繊維の量が少ないために、生地の消火能力が不足した。 比較例8ではポリエステル系繊維が多いために、炎遮蔽性生地中の燃焼成分の割合が多くなり、炎遮蔽性に劣るものとなった。 比較例9では珪酸含有レーヨン繊維の量は充分であるために難燃性は良好であったが、珪酸含有レーヨン繊維の割合が多すぎるために、寝具製品に求められる風合いや、触感を得ることが出来ず、また加工性においても紡績、編み加工が困難であった。 比較例10では比較例9の木綿繊維に対してポリエステル系繊維を使用したものであるが、比較例9の欠点に更に吸湿性も劣るものとなった。

    (実施例11〜17、比較例11〜16)
    製造例11〜17、28〜33で作成したパイル状ニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表6に示す。
    実施例11〜17では、何れの場合においても燃焼試験における難燃性、炭化膜の状態は良好であった。 比較例11,12ではハロゲン含有繊維+珪酸含有セルロース系繊維の量が少ないために、生地の消火能力が不足した。 比較例13ではハロゲン含有繊維+珪酸含有セルロース系繊維の割合は充分であるために難燃性は良好であったが、生地に占める難燃性繊維の割合が多く寝具製品に求められる風合いや、触感を得ることが出来なかった。 比較例14でも比較例13と同様に、ハロゲン含有繊維+珪酸含有セルロース系繊維の割合は充分であるために難燃性は良好であったが、生地に占める難燃性繊維の割合が多く寝具製品に求められる風合いや、触感が不足し、比較例13に対してもセルロース系成分が少ないために、セルロース系繊維の触感や風合いがより少なく感じられた。 比較例15,16ではポリエステル系繊維が多いために、炎遮蔽性生地中の燃焼成分の割合が多くなり、炎遮蔽性に劣るものとなった。

    (実施例18〜21)
    製造例34で作成した非難燃のパイル状ニット生地を外側の側地に用い、製造例35〜38で作成した炎遮蔽性生地であるニット生地を側地と低反発ウレタンフォームとの間に挟み込み難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表7に示す。
    (比較例17〜20)
    製造例35〜38で作成したニット生地を用い、難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表7に示す。
    (比較例21〜25)
    製造例34で作成したパイル状ニット生地と製造例52〜56で作成したニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成し、難燃性評価結果を表7に示す。
    実施例18〜21では、何れの場合においても燃焼試験における難燃性、炭化膜の状態は良好であった。 比較例17〜20は実施例18〜21と同じファイバー構成であるが、生地の厚みが不足し、結果、難燃性が不充分であった。 比較例21,22ではハロゲン含有繊維の量が少ないために、生地の消火能力が不足した。 比較例23ではポリエステル系繊維が多いために、炎遮蔽性生地中の燃焼成分の割合が多くなり、炎遮蔽性に劣るものとなった。 比較例24ではハロゲン含有繊維の量は充分であるために難燃性は良好であったが、木綿繊維の割合が少なく、風合いや、触感、および吸湿性などの快適性に不満の残るものとなった。 比較例25では比較例24の木綿繊維に対してポリエステル系繊維を使用したものであるが、比較例24の欠点に更に吸湿性も劣るものとなった。

    (実施例22〜27)
    製造例34で作成したパイル状ニット生地と製造例39〜44で作成したニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表8に示す。
    (比較例26〜31)
    製造例39〜44で作成したニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表8に示す。
    (比較例32〜36)
    製造例34で作成したパイル状ニット生地と製造例57〜61で作成したニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表8に示す。
    実施例22〜27では、何れの場合においても燃焼試験における難燃性、炭化膜の状態は良好であった。 比較例26〜31は実施例22〜27と同じファイバー構成であるが、生地の厚みが不足し、結果、難燃性が不充分であった。 比較例32,33では珪酸含有セルロース系繊維の量が少ないために、生地の消火能力が不足した。 比較例34ではポリエステル系繊維が多いために、炎遮蔽性生地中の燃焼成分の割合が多くなり、炎遮蔽性に劣るものとなった。 比較例35では珪酸含有レーヨン繊維の量は充分であるために難燃性は良好であったが、珪酸含有レーヨン繊維の割合が多すぎるために、寝具製品に求められる風合いや、触感を得ることが出来ず、また加工性においても紡績、編み加工が困難であった。 比較例36では比較例35の木綿繊維に対してポリエステル系繊維を使用したものであるが、比較例35の欠点に更に吸湿性も劣るものとなった。

    (実施例28〜34)
    製造例34で作成したパイル状ニット生地と製造例45〜51で作成したニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表9に示す。
    (比較例37〜43)
    製造例45〜51で作成したパイル状ニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表9に示す。
    (比較例44〜49)
    製造例34で作成したパイル状ニット生地と製造例62〜67で作成したニット生地を用いて難燃性評価用クッションを作成した。 難燃性評価結果を表9に示す。
    実施例28〜34では、何れの場合においても燃焼試験における難燃性、炭化膜の状態は良好であった。 比較例37〜43は実施例28〜34と同じファイバー構成であるが、生地の厚みが不足し、結果、難燃性が不充分であった。 比較例44,45ではハロゲン含有繊維+珪酸含有セルロース系繊維の量が少ないために、生地の消火能力が不足した。 比較例46ではハロゲン含有繊維+珪酸含有セルロース系繊維の割合は充分であるために難燃性は良好であったが、生地に占める難燃性繊維の割合が多く寝具製品に求められる風合いや、触感を得ることが出来なかった。 比較例47でも比較例46と同様に、ハロゲン含有繊維+珪酸含有セルロース系繊維の割合は充分であるために難燃性は良好であったが、生地に占める難燃性繊維の割合が多く寝具製品に求められる風合いや、触感が不足し、比較例46に対してもセルロース系成分が少ないために、セルロース系繊維の触感や風合いがより少なく感じられた。 比較例48,49ではポリエステル系繊維が多いために、炎遮蔽性生地中の燃焼成分の割合が多くなり、炎遮蔽性に劣るものとなった。

    産業上の利用の可能性

    本発明の低反発ウレタンフォームクッションは、繊維素材の持つ、優れた風合いや触感、および吸湿性、耐久性などを損なわず、内部の低反発ウレタンフォームの持つ素材独特の柔軟性や心地よさを保持し、しかも高度な難燃性を有する。 従って本発明の低反発ウレタンフォームクッションは寝具製品やインテイア製品として使用することができる。

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