クッションパッド

申请号 JP2014159210 申请日 2014-08-05 公开(公告)号 JP6308905B2 公开(公告)日 2018-04-11
申请人 東洋ゴム工業株式会社; 发明人 仲田 徹; 山田 洋;
摘要
权利要求

着座者が着座する着座面およびその反対側の底面を有するサポート部を備え、 前記サポート部は、前記着座面側となる部位および前記底面側となる部位の中間部位に位置するコア部から採取した長さ100mm幅100mm厚さ50mmの第1試験片について、JISK6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠して測定した圧縮時の荷重100Nに対するたわみが30mm以下であり、 前記第1試験片について、20mm/分の引張速度で測定した300N負荷時の静ばね定数が25N/mm以下であることを特徴とするクッションパッド。前記サポート部は、前記着座面および前記底面に挟まれた厚さ方向の中央である厚さ中央より前記着座面側に位置する第1部の硬さが、前記第1部を通る鉛直線上に位置する部位であって前記厚さ中央より前記底面側に位置する第2部の硬さより小さい値に設定され、 前記第1部および前記第2部は、前記着座面に着座した着座者から見た左右方向の中央に位置し、 前記第1部を通る平線上に位置する部位であって前記第1部より左右方向外側に位置する第1サイド部の硬さは、前記第1サイド部を通る鉛直線上の部位であって前記第2部を通る水平線上に位置する第2サイド部の硬さより小さい値に設定され、 前記硬さは、前記サポート部を等分に分割して採取された四柱状の第2試験片を用いてJISK6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠して測定した25%圧縮時のであることを特徴とする請求項1記載のクッションパッド。前記第1部の硬さに対する前記第1サイド部の硬さの比率は、前記第2部の硬さに対する前記第2サイド部の硬さの比率より小さい値に設定されていることを特徴とする請求項2記載のクッションパッド。前記第1サイド部および前記第2サイド部は、前記着座者の臀部の座圧によって圧縮される部位であって、前記着座面に着座した着座者の左右の坐骨結節部より左右方向外側に位置することを特徴とする請求項2又は3に記載のクッションパッド。前記底面を含む底面部の左右方向の中央に位置する部位の硬さは、前記着座面を含む着座部の左右方向の中央に位置する部位の硬さの1.1倍以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかにクッションパッド。前記第1部および前記第2部を通る鉛直線上に位置する各部位の硬さは、前記着座面側から前記底面側へ向かうにつれて次第に大きくなることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のクッションパッド。前記第1サイド部および前記第2サイド部を通る鉛直線上に位置する各部位の硬さは、前記着座面側から前記底面側へ向かうにつれて次第に大きくなることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のクッションパッド。前記第2部を通る水平線上に位置する各部位の硬さは、前記第2部から左右方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載のクッションパッド。前記サポート部は、単一の発泡合成樹脂材料により一体に成形されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のクッションパッド。

说明书全文

本発明はクッションパッドに関し、特にぐらつき感を抑制できるクッションパッドに関するものである。

車両や船舶、航空機等の乗物に装備される座席や家具等の椅子などに用いられるクッションパッドでは、着座者が横方向のぐらつき感を覚えることがある。例えば、車両に取り付けられるクッションパッドでは、車両が緩いカーブを走行したり車線変更したりするときの低周波数帯(例えば1Hz程度)の振動入により、クッションパッドが変形して、横滑りやロール軸回りの横揺れ等のぐらつき感が生じることがある。ぐらつき感は、操縦安定性に影響を与える要因である。このぐらつき感を抑制するために、低周波数帯の振動に対するtanδを所定範囲に設定する技術がある(特許文献1)。

特開2012−45104号公報

しかしながら、上述した従来の技術に対して、ぐらつき感をさらに抑制したいという要求がある。

本発明は上述した要求に応えるためになされたものであり、ぐらつき感を抑制できるクッションパッドを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段および発明の効果

この目的を達成するために請求項1記載のクッションパッドによれば、着座者が着座する着座面およびその反対側の底面を有するサポート部は、着座面側となる部位および底面側となる部位の中間部位に位置するコア部から採取した長さ100mm幅100mm厚さ50mmの第1試験片について、JISK6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠して測定した圧縮時の荷重100Nに対するたわみが30mm以下である。さらに、第1試験片について、20mm/分の引張速度で測定した300N負荷時の静ばね定数が25N/mm以下である。

ここで、横方向に低周波数帯の振動入力があった場合、着座者の体重による鉛直方向の圧縮応力、及び、横方向の振動入力による引張応力がサポート部に作用する。サポート部は、コア部から採取した第1試験片の引張方向の静ばね定数が25N/mm以下なので、静ばね定数がそれより大きい場合と比較して、引張応力を小さくすることができる。その結果、圧縮応力および引張応力を合成した合力の方向(傾き)を鉛直方向へ近づけることができる。これにより、振動入力によって着座者の臀部(坐骨)が鉛直方向に対して傾く度を小さくできるので、ぐらつき感を抑制できる効果がある。

請求項2記載のクッションパッドによれば、サポート部は、着座面および底面に挟まれた厚さ方向の中央である厚さ中央より着座面側に位置する第1部の硬さが、第1部を通る鉛直線上に位置する部位であって厚さ中央より底面側に位置する第2部の硬さより小さい値に設定される。また、第1部および第2部は、着座面に着座した着座者から見た左右方向の中央に位置し、第1部を通る平線上に位置する部位であって第1部より左右方向外側に位置する第1サイド部の硬さは、第1サイド部を通る鉛直線上の部位であって第2部を通る水平線上に位置する第2サイド部の硬さより小さい値に設定される。硬さは、サポート部を等分に分割して採取された四角柱状の試験片を用いてJISK6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠して測定される25%圧縮時の力である。

着座面側に位置する第1部および第1サイド部の硬さが、底面側に位置する第2部および第2サイド部の硬さより小さい値に設定されるので、着座時のソフト感を着座者に与えることができる。また、第1部および第1サイド部は厚さ中央より着座面側に位置するので、着座者との密着性を確保できる。さらに、第2部および第2サイド部は厚さ中央より底面側に位置するので、請求項1の効果に加え、ホールド性を向上させつつぐらつき感を抑制できる効果がある。

請求項3記載のクッションパッドによれば、第1部の硬さに対する第1サイド部の硬さの比率は、第2部の硬さに対する第2サイド部の硬さの比率より小さい値に設定される。第1部および第1サイド部によって着座者の座圧を軽減できるので、請求項2の効果に加え、ソフト感を向上させることができ、座り心地を良くできる効果がある。

請求項4記載のクッションパッドによれば、第1サイド部および第2サイド部は、着座者の臀部の座圧によって圧縮される部位に位置する。通常、着座面に着座した着座者の坐骨結節部は最も座圧が高くなるが、第1サイド部および第2サイド部は着座面に着座した着座者の左右の坐骨結節部より左右方向外側に位置するので、着座者の臀部のうち最も座圧が高くなる部分の座圧を軽減できる。さらに、第1サイド部および第2サイド部によって左右の坐骨結節部を左右方向外側から拘束できるので、請求項2又は3の効果に加え、臀部のホールド性を向上させて、ぐらつき感を抑制しつつ座り心地を良好にできる効果がある。

請求項5記載のクッションパッドによれば、底面を含む底面部の左右方向の中央に位置する部位の硬さは、着座面を含む着座部の左右方向の中央に位置する部位の硬さの1.1倍以上である。よって、請求項1から4のいずれかの効果に加え、底面部によって臀部を支えることができ、臀部の沈み込みを抑制できる効果がある。

請求項6記載のクッションパッドによれば、第1部および第2部を通る鉛直線上に位置する各部位の硬さは、着座面側から底面側へ向かうにつれて次第に大きくなる。その結果、請求項2から5のいずれかの効果に加え、サポート部の着座面側によって着座時のソフト感を得つつ、サポート部の底面側によって臀部の沈み込みを抑制できる効果がある。

請求項7記載のクッションパッドによれば、第1サイド部および第2サイド部を通る鉛直線上に位置する各部位の硬さは、着座面側から底面側へ向かうにつれて次第に大きくなる。その結果、請求項2から6のいずれかの効果に加え、サポート部の着座面側によって着座時のソフト感を得つつ、サポート部の底面側によってホールド性を向上できる効果がある。

請求項8記載のクッションパッドによれば、第2部を通る水平線上に位置する各部位の硬さは、第2部から左右方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなる。その結果、請求項2から7のいずれかの効果に加え、サポート部の底面側によって、着座者の臀部のホールド性を確保してぐらつき感を抑制できる効果がある。

請求項9記載のクッションパッドによれば、サポート部は、単一の発泡合成樹脂材料により一体に成形されている。そのため、クッションパッドの製造工程において、硬さの大きいインサート材を埋設したり硬さの異なる複数の層を積層したりする工程を不要にできる。よって、請求項1から8のいずれかの効果に加え、製造コストを削減できる効果がある。

本発明の第1実施の形態におけるクッションパッドの平面図である。

サポート部を等分に分割した試験片を図1のII−II線におけるクッションパッドの断面図に重ねた模式図である。

サポート部の硬さ分布を示す図である。

着座者が着座した状態を示すクッションパッドの模式図である。

(a)はクッションパッドの硬さを示す図であり、(b)は比較例におけるクッションパッドの硬さを示す図である。

コア部から採取した試験片の圧縮時および引張時の荷重−たわみ曲線である。

(a)はクッションパッドに作用する応力を示す模式図であり、(b)は比較例におけるクッションパッドに作用する応力を示す模式図である。

第2実施の形態におけるクッションパッドの断面図である。

以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態におけるクッションパッド1の平面図である。本実施の形態では、振動を伴う車両(特に自動車)に搭載されるクッションパッド1について説明する。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、クッションパッド1が搭載された車両(図示せず)の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している(図2、図4及び図7において同じ)。

図1に示すようにクッションパッド1は、軟質ポリウレタンフォーム(発泡合成樹脂材料の一種)により一体に成形される基材であり、着座者Hの臀部および大腿部裏側を支持するサポート部2と、サポート部2の左右方向(矢印L−R方向)両側に配置されるサイドサポート部5とを備えている。サイドサポート部5は、大腿部および臀部の側部を支持する部位である。

サポート部2は、左右方向に延びる横溝8により、臀部を支持する後部サポート部3及び大腿部裏側を支持する前部サポート部4に区画される。後部サポート部3により、着座した着座者Hの左右の坐骨結節部T1,T2を含む臀部が支持される。後部サポート部3及び前部サポート部4は、横溝8と平行に溝部7,9がそれぞれ凹設されている。サポート部2とサイドサポート部5との境界部分には、前後方向(矢印F−B方向)に延びる一対の縦溝6が形成される。一対の縦溝6は横溝7,8,9の両端がそれぞれ接続されている。縦溝6及び横溝7,8,9は、ファブリックや合成皮革または皮革等の表皮(図示せず)をクッションパッド1に引張固定するための部位である。

クッションパッド1は、サポート部2(後部サポート部3)の上下方向(矢印U−D方向)及び左右方向(矢印L−R方向)の硬さ分布に特徴を有している。本実施の形態では後部サポート部3(成形品)から採取した小さな試験片を用いて硬さを測定し、硬さ分布を求めている。図2を参照して試験片の採取位置を説明する。図2はサポート部2(後部サポート部3)を等分に分割して採取された試験片(第2試験片)を図1のII−II線におけるクッションパッド1の断面図に重ねた模式図である。

図2に示すように後部サポート部3は、一対の溝部6,6の左右方向内側に形成される部位であり、着座者Hが着座する着座面11と、その反対側の底面12を有し、断面が横長の略矩形状に形成されている。後部サポート部3は、硬さ測定のために、上下方向(矢印U−D方向)及び左右方向(矢印L−R方向)に等分に分割され、複数の試験片が採取される。

本実施の形態では、後部サポート部3の上下方向(矢印U−D方向)が等分に4層に区分され(厚さ各20mm)、それらの左右方向(矢印L−R方向)が等分に15個(幅各20mm)に区分される。各層の前後方向(図2紙面垂直方向)の長さが20mmにされることで、1辺が20mmの四角柱状(立方体)の試験片が60個採取される。後部サポート部3が上下方向(矢印U−D方向)に4等分されて形成される4層は、着座面11を含む着座部21、着座部21の下に位置する中央上部22、中央上部22の下に位置する中央下部23、中央下部23の下に位置すると共に底面12を含む底面部24である。着座部21及び中央上部22は、後部サポート部3の厚さ方向の中央である厚さ中央13より着座面11側に位置し、中央下部23及び底面部24は、厚さ中央13より底面12側に位置する。

採取された試験片は、JIS K6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠して25%圧縮時の力が測定される。この試験方法によれば、試験片より大きい支持板(図示せず)の上に上下方向(矢印U−D方向)を向けて置かれた試験片が、試験片の上面より大きい加圧面をもった加圧板(図示せず)により予備圧縮された後、厚さの75±2.5%まで毎分100±20mmの速度で加圧される。試験片が25±1%の厚さに加圧されたときの力が、その試験片の25%圧縮時の力S25(単位:N)とされる。この明細書では25%圧縮時の力(以下「S25」と称す)を「硬さ」と定義する。

なお、底面部24から採取される試験片は、底面12に一体成形される補強布(図示せず)が除去された後、支持板(図示せず)側に底面12側を向けて置かれ、硬さが測定される。補強布の影響を小さくするためである。また、中央下部23及び底面部24の左右方向の両端から採取される試験片(図2において×が付されたもの)は、硬さが、他の試験片の硬さと比較して大きいので、除外した。

また、便宜上、後部サポート部3の左右方向(矢印L−R方向)の中央に位置する部位であって、厚さ中央13より着座面11側に位置する部位(試験片)を第1部25と称し、第1部25を通る鉛直線(矢印U−D方向の直線)上に位置する部位であって、厚さ中央13より底面12側に位置する部位(試験片)を第2部26と称す。第1部25を通る水平線(矢印L−R方向の直線)上(中央上部22内)に位置する部位であって、第1部25より左右方向外側に位置する部位(試験片)を第1サイド部27と称し、第1サイド部27を通る鉛直線上の部位であって、厚さ中央13より底面12側に位置する部位(試験片)を第2サイド部28と称す。着座部21の左右方向の中央に位置する部位(試験片)を着座中央部21aと称し、底面部24の左右方向の中央に位置する部位(試験片)を底中央部24aと称す。

次に図3を参照して、各試験片のS25(測定値)に基づくサポート部2(後部サポート部3)の硬さ分布を説明する。図3はサポート部の硬さ分布を示す図である。なお図3では、各試験片の硬さ(単位:N)を試験片の断面積(単位:cm2)で除した値(単位:N/cm2)を4つの区間に分け、その区間を4段階の濃淡で表示した。図3では、色が濃いほど硬さが大きいことを示している。

図3に示すように後部サポート部3は、着座部21、中央上部22、中央下部23、底面部24の順に硬さが大きくなるように形成されている。また、中央上部22、中央下部23及び底面部24は、左右方向の中央より外側の硬さが大きくなるように形成されている。その結果、後部サポート部3は、着座面11から底面12に向かうにつれて硬さが大きく、且つ、左右方向の中央より外側の硬さが大きい擂鉢状の硬さ分布を有している。

次に図4を参照して、着座者Hが着座したクッションパッド1について説明する。図4は着座者Hが着座した状態を示すクッションパッド1の模式図である。なお、図4では、サイドサポート部5の図示が省略される。

図4に示すようにクッションパッド1(後部サポート部3)に着座者Hが着座すると、この着座者Hの体重により後部サポート部3は上下方向(矢印U−D方向)に圧縮される。後部サポート部3は、着座面11から底面12に向かうにつれて硬さが大きくなるように設定されているので(図3参照)、主に着座部21及び中央上部22によりソフト感を発揮させながら、臀部への密着感(フィット感)を発揮させることができる。さらに、着座部21、中央上部22、中央下部23及び底面部24が変形することによって臀部の左右方向(矢印L−R方向)のホールド性(拘束性)が確保されるので、ぐらつき感を抑制できる。

特に後部サポート部3は、中央上部22、中央下部23及び底面部24が、左右方向中央より左右方向外側の硬さが大きくなる擂鉢状の硬さ分布を有しているので、臀部のホールド性を向上させることができる。

なお、図4に示すように第1サイド部27及び第2サイド部28は、着座者Hの臀部の座圧によって上下方向に圧縮される部位であって、着座した着座者Hの左右の坐骨結節部T1,T2より左右方向(矢印L−R方向)外側に位置する。

次に図5(a)を参照して、クッションパッド1(後部サポート部3)の硬さ分布について詳細に説明する。図5(a)はクッションパッド1(後部サポート部3)の硬さを示す図である。図5(a)では、着座中央部21a(着座部21の左右方向中央の部位)の25%圧縮時の力S25を1としたときの各試験片のS25(着座中央部21aの硬さに対する比率)をプロットした。図5(a)において、横軸(X軸)は後部サポート部3における各試験片の左右方向の採取位置を示し、縦軸(Y軸)はS25(比率)を示す。実線は着座部21の各試験片のS25、一点鎖線は中央上部22の各試験片のS25、二点鎖線は中央下部23の各試験片のS25、破線は底面部24の各試験片のS25を示す。

なお、図5(a)では、着座部21、中央上部22、中央下部23及び底面部24の左右方向両端から採取される試験片の硬さはプロットされていない。他の試験片の硬さと比較して大きいからである。

図5(a)に示すように、着座部21は、左右方向に亘って硬さが略一定であるのに対し、中央上部22、中央下部23及び底面部24は、左右方向外側に向かうにつれて硬さが次第に大きくなる硬さ勾配を有している。中央上部22の硬さ勾配と比較して、中央下部23及び底面部24の硬さ勾配が大きく設定されているので、着座者Hに違和感のないホールド性を与えることができる。

また、厚さ中央13(図2参照)より着座面11側に位置する第1部25の硬さは、厚さ中央13より底面12側に位置する第2部26の硬さより小さい値に設定され、第1サイド部27の硬さは、第2サイド部28の硬さより小さい値に設定される。着座面11側に位置する第1部25及び第1サイド部27の硬さが、底面12側に位置する第2部26及び第2サイド部28の硬さより小さい値に設定されるので、着座時のソフト感を着座者Hに与えることができる。また、第1部25及び第1サイド部27は厚さ中央13より着座面11側に位置するので、臀部との密着性を確保できる。さらに、第2部26及び第2サイド部28は厚さ中央13より底面12側に位置するので、臀部のホールド性を向上させつつぐらつき感を抑制できる。

第1部25の硬さに対する第1サイド部27の硬さの比率は、第2部26の硬さに対する第2サイド部28の硬さの比率より小さい値に設定される。その結果、第1部25及び第1サイド部27によって座圧を軽減できるので、ソフト感を向上させることができ、座り心地を良くできる。

第1サイド部27及び第2サイド部28(図4参照)は、着座者Hの座圧によって上下方向(矢印U−D方向)に圧縮される部位に位置する。通常、着座面11に着座した着座者Hの坐骨結節部T1,T2は最も座圧が高くなるが、第1サイド部27及び第2サイド部28は着座面11に着座した着座者Hの左右の坐骨結節部T1,T2より左右方向外側に位置するので、最も座圧が高くなる部分の座圧を軽減できる。さらに、第1サイド部27及び第2サイド部28によって左右の坐骨結節部T1,T2を左右方向外側から拘束できるので、臀部のホールド性を向上させて、ぐらつき感を抑制しつつ座り心地を良好にできる。

ここで、底面部24の左右方向の中央に位置する底中央部24aの硬さは、着座部21の左右方向の中央に位置する着座中央部21aの硬さの1.1倍以上に設定される。これにより、底面部24によって臀部をしっかりと支えることができ、臀部の沈み込みを抑制できる。なお、底中央部24aの硬さは、着座中央部21aの硬さの2倍以下、好ましくは1.5倍以下に設定される。底中央部24aが硬くなり過ぎると、座り心地が悪くなるからである。

図5(a)に示すように、第1部25及び第2部26を通る鉛直線上(Y軸に平行な直線上)に位置する各部位の硬さは、着座部21(中央上部22)、中央下部23、底面部24の順に次第に大きくなる。その結果、着座面11(図2参照)側によって着座時のソフト感を得つつ、底面12側によって臀部の沈み込みを抑制できる。

また、第1サイド部27及び第2サイド部28を通る鉛直線上(Y軸に平行な直線上)に位置する各部位の硬さは、着座部21、中央上部22、中央下部23、底面部24の順に次第に大きくなる。その結果、着座面11側によって着座時のソフト感を得つつ、底面12側によって臀部のホールド性を向上できる。

第2部26を通る水平線上に位置する各部位の硬さ(中央下部23の各試験片の硬さ)は、第2部26から左右方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなる。その結果、後部サポート部3の底面12側(中央下部23)によって、着座者Hの臀部のホールド性を確保してぐらつき感を抑制できる。

なお、後部サポート部3は、単一の発泡合成樹脂材料により一体に成形されているので、クッションパッドの製造工程において、硬さの大きいインサート材を埋設したり硬さの異なる複数の層を積層したりする工程を不要にできる。よって、クッションパッド1の製造コストを削減できる。

次に図6を参照して、サポート部2(後部サポート部3)の荷重(圧縮および引張)とたわみとの関係について説明する。図6はコア部から採取した第1試験片の圧縮時および引張時の荷重−たわみ曲線である。第1試験片は、サポート部2の硬さ分布を測定するための第2試験片とは異なる試験片である。第1試験片は、着座面11(図2参照)を含む着座部21と底面12を含む底面部24との中間部位に位置するコア部(中央上部22及び中央下部23)の左右方向の中央から採取される。第1試験片は、厚さ中央13を含むように、長さ100mm、幅100mm、厚さ50mmの四角柱形状に形成される。第1試験片は、表面スキンを有しておらず、クッションパッド1の上下方向(矢印U−D方向)と厚さ方向が平行であり、長さ方向および幅方向がクッションパッド1の上下方向(矢印U−D方向)と直角である。

採取された第1試験片は、JIS K6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠した試験方法で、荷重100Nに対する圧縮時のたわみが測定される。この試験方法によれば、第1試験片より大きい支持板(図示せず)の上に上下方向(矢印U−D方向)を向けて置かれた第1試験片が、第1試験片の上面(100mm×100mmの面)より大きい加圧面をもった加圧板(図示せず)により予備圧縮された後、厚さの75±2.5%まで毎分100±20mmの速度で加圧されて減圧される。加圧時(圧縮時)の荷重100Nに対する第1試験片のたわみを測定する。このときの第1試験片のたわみが30mm以下となるようにクッションパッド1は成形される。

次に、第1試験片を用いた引張試験について説明する。まず、第1試験片の上面(100mm×100mmの面)に第1試験片が変形しないように中心から等間隔かつ長さ方向と直角に平行な2本の標線を付ける。次いで、第1試験片の中央の断面に均一に引張力が加わるように、引張試験機のつかみ具に第1試験片の長さ方向の両端(100mm×50mmの面を含む部分)を左右対称に取り付ける。予備張力を加えずに、20mm/分の速度でつかみ具を移動させて引張試験を行い、300N負荷時の静ばね定数を求める。本実施の形態では、負荷290Nのときの標線間の距離L1(mm)と、負荷310Nのときの標線間の距離L2(mm)とを測定し、以下の「式1」により300N負荷時の静ばね定数を求める。

静ばね定数[N/mm]=(310−290)/(L2−L1)…式1 このときの静ばね定数が25N/mm以下となるようにクッションパッド1は成形される。なお、この静ばね定数の求め方は一例であり、他の方法により静ばね定数を求めることは当然可能である。静ばね定数を求める他の方法としては、例えば、引張試験時の荷重−たわみ曲線(負荷と標線間距離との関係)を測定し、負荷300Nのときの荷重−たわみ曲線の接線の正接の値(又は、荷重−たわみ曲線の傾き)を静ばね定数とするものが挙げられる。

このようにクッションパッド1は、第1試験片について、圧縮時の荷重100Nに対するたわみが30mm以下であり、300N負荷時の引張荷重に対する静ばね定数が25N/mm以下であるように成形される。なお、圧縮時の荷重100Nに対するたわみは、25mm以上かつ30mm以下が好適である。圧縮時の荷重100Nに対するたわみが25mmより小さくなるとソフト感が乏しく座り心地が悪くなり、たわみが30mmを超えるとホールド性が乏しくなるからである。

また、300N負荷時の引張荷重に対する静ばね定数は、25N/mm以下かつ15N/mm以上が好適である。300N負荷時の引張荷重に対する静ばね定数が25N/mmより大きくなるとぐらつき感が大きくなり、静ばね定数が15N/mmより小さくなるとホールド性が乏しくなるからである。

このように設定されるクッションパッド1のぐらつき感を、図7を参照して説明する。図7(a)はクッションパッド1に作用する応力を示す模式図であり、図7(b)は比較例におけるクッションパッドCに作用する応力を示す模式図である。図7(a)、図7(b)はいずれもクッションパッド1,Cに着座者Hが着座した状態を示している。

クッションパッド1,Cに着座者Hがそれぞれ着座すると、その体重によってクッションパッド1,Cに鉛直方向(矢印U−D方向)の圧縮応力F1,F4及び横方向(矢印L−R方向)の引張応力F2,F5がそれぞれ作用する。クッションパッド1の後部サポート部3(第1試験片)の引張荷重に対する静ばね定数は、クッションパッドCの後部サポート部(第1試験片)の引張荷重に対する静ばね定数より小さい値に設定されているので、クッションパッド1に作用する引張応力F2の大きさはクッションパッドCに作用する引張応力F5の大きさより小さい。クッションパッド1,Cに作用する鉛直方向の圧縮応力F1,F4はほぼ同じ大きさなので、圧縮応力F1及び引張応力F2を合成した合力F3の鉛直方向に対する傾きを、圧縮応力F4及び引張応力F5を合成した合力F6の鉛直方向に対する傾きより小さくできる。

ここで、車両が緩いカーブを走行したり車線変更したりするときの横方向(矢印L−R方向)の低周波数帯(例えば1Hz程度)の振動入力があると、引張応力F2,F5の方向や大きさが変化する。それに伴い合力F3,F6の方向や大きさが変化するが、クッションパッド1は、合力F3の方向(傾き)をクッションパッドCの合力F6の方向と比較して鉛直方向へ近づけることができる。その結果、振動入力によって着座者Hの臀部(坐骨)が鉛直方向に対して傾く角度を、クッションパッド1は、クッションパッドCと比較して小さくできる。その結果、ぐらつき感を抑制できる。

次に、クッションパッド1の製造方法について説明する。クッションパッド1は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤および触媒を含有する混合液(発泡原液)が成形型(下型)へ注入され、成形型(下型および上型)内で発泡成形されて製造される。なお、クッションパッド1は、粗毛布や不織布等の補強布を成形型(上型)に予め装着して、底面12に一体成形することができる。また、クッションパッド1の成形後に補強布を底面12に接着することもできる。

ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ラクトン系ポリオールが挙げられ、このうちの1種または2種以上の混合物を使用することができる。この中でも、原料費が安価で耐水性に優れている点で、ポリエーテルポリオールが好ましい。

必要に応じて、ポリマーポリオールを併用できる。ポリマーポリオールとしては、例えば、ポリアルキレンオキシドからなるポリエーテルポリオールにポリアクリルニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたものが挙げられる。

ポリオール成分の重量平均分子量は6000〜10000であることが好ましい。重量平均分子量が6000未満の場合、得られるフォームの柔軟性が失われ、物性の悪化や弾性性能の低下が発生しやすい。重量平均分子量が10000を超える場合は、フォームの硬度が低下しやすい。

ポリイソシアネート成分としては、公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族および芳香族のイソシアネートを用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等を挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。

ジフェニルメタンジイソシアネートに代表されるMDI系イソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(ピュアMDI)、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、これらのポリメリック体、これらのウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、更にこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。

また、末端イソシアネートプレポリマーを用いることも可能である。末端イソシアネートプレポリマーは、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等のポリオールとポリイソシアネート(TDI系イソシアネートやMDI系イソシアネート等)とを予め反応させたものである。末端イソシアネートプレポリマーを用いることにより、混合液(発泡原液)の粘度やポリマーの一次構造、相溶性を制御することができるので好適である。

本実施の形態では、ポリイソシアネート成分として、TDI系イソシアネートによる弾性フォームに比べて反発弾性の小さい弾性フォームを成形できるMDI系イソシアネートが好適に用いられる。MDI系イソシアネートとTDI系イソシアネートとの混合物を用いる場合、その質量比はMDI系:TDI系=100:0〜75:25好ましくは100:0〜80:20とされる。ポリイソシアネート成分中のTDI系の質量比が20/100より大きくなるにつれ、得られる製品のぐらつき感が低下する傾向がみられ、TDI系の質量比が25/100より大きくなると、その傾向が著しくなる。なお、ポリイソシアネート成分のイソシアネートインデックス(活性水素基に対するイソシアネート基の等量比の百分率)は、例えば85〜130に設定される。

発泡剤としては、主に水が用いられる。必要に応じて、少量のシクロペンタンやノルマルペンタン、イソペンタン、HFC−245fa等の低沸点有機化合物を併用することや、ガスローディング装置を用いて原液中に空気、窒素ガス、液化酸化炭素等を混入溶解させて成形することもできる。発泡剤の好ましい添加量は、得られる製品の設定密度によるが、通常、ポリオール成分に対して0.5〜15質量%である。

触媒としては、当該分野において公知である各種ウレタン化触媒が使用できる。例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N′,N′,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等の反応性アミン、又は、これらの有機酸塩;酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸金属塩、スタナスオクトエート、ジブチルチンジラウレート、ナフテン酸亜鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。また、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の活性水素基を有するアミン触媒も好ましい。触媒の好ましい添加量は、ポリオール成分に対して、0.01〜10質量%である。

必要に応じて、低分子量の多価活性水素化合物が架橋剤として使用される。架橋剤により、クッションパッドのばね特性の調整が容易になる。架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール類、並びにこれらの多価アルコール類を開始剤としてエチレンオキシドやプロピレンオキシドを重合させて得られる化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。これらの化合物は単独で、又は2種以上を混合して使用される。

また、必要に応じて整泡剤が使用される。整泡剤としては当該分野において公知である有機珪素系界面活性剤が使用可能である。整泡剤の好ましい添加量は、ポリオール成分に対して0.1〜10質量%である。さらに必要に応じて、難燃剤、可塑剤、セルオープナー、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、各種充填剤、内部離型剤、その他の加工助剤が用いられる。

次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例におけるクッションパッドを成形する混合液(発泡原液)の配合を表1に示す。表1に示す数値は単位質量(質量比率)である。また、表1のイソシアネート量は、ポリオールに対するイソシアネートの(ポリオール100に対する)質量比率であり、イソシアネート1〜3は、全イソシアネートに対する構成比率である。

なお、表1に示す各成分は以下のとおりである。

ポリオール1:ポリエーテルポリオール EP828(三井化学株式会社製)、重量平均分子量6000 ポリオール2:ポリエーテルポリオール EP330N(三井化学株式会社製)、重量平均分子量5000 ポリオール3:ポリマーポリオール POP3623(三井化学株式会社製) 架橋剤1:ジエタノールアミン 架橋剤2:EL980(旭硝子株式会社製) セルオープナー:EP505S(三井化学株式会社製) 整泡剤1:SZ1336(東レダウコーニングシリコン株式会社製) 整泡剤2:SZ1325(東レダウコーニングシリコン株式会社製) 触媒1:TEDA L33(東ソー株式会社) 触媒2:ToyocatET(東ソー株式会社) イソシアネート1:トリレンジイソシアネート TDI−80(三井化学株式会社製) イソシアネート2:ポリメリックMDI 2,4′−MDI・4,4′−MDI混合物 イソシアネート3:ポリメリックMDI MR200(日本ポリウレタン株式会社製) これらの各成分を表1に示す質量比率で常法にて配合し、均一に混合した後、所定量を所定形状のクッションパッドの成形型(下型)に注入し、キャビティ内で発泡硬化させて実施例1〜4、比較例1〜4におけるクッションパッドを得た。全てのクッションパッドは、被験者が着座して行う官能試験によりぐらつき感を評価した。ぐらつき感の評価は、◎:ぐらつき感が小さく非常に良好、○:良好、×:ぐらつき感が大きいの3段階であり、その結果を表1に記した。

また、実施例3及び比較例1におけるクッションパッドは、後部サポート部を等分に区分して60個の第2試験片(長さ20mm幅20mm厚さ20mmの大きさの四角柱)を採取し(図2参照)、JIS K6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠して25%圧縮時の力S25を測定した。

また、実施例1、実施例3、実施例4、比較例1及び比較例2におけるクッションパッドは、後部サポート部のコア部から、厚さ中央を含むように第1試験片(長さ100mm幅100mm厚さ50mm)を採取した。採取した第1試験片を用いて、JIS K6400−2(2012年版)に規定されるE法に準拠した試験方法で荷重100Nに対する圧縮時のたわみ(mm)を測定した。

また、中心から等間隔に標線を付けた第1試験片の中央の断面に均一に引張力が加わるように、引張試験機のつかみ具に第1試験片の長さ方向の両端(100mm×50mmの面を含む部分)を左右対称に取り付けた。次いで、予備張力を加えずに、20mm/分の速度でつかみ具を移動させて引張試験を行った。負荷290Nのときの標線間の距離L1(mm)と、負荷310Nのときの標線間の距離L2(mm)とを測定し、(310−290)/(L2−L1)の計算式により、300N負荷時の静ばね定数(N/mm)を求めた。

表1に示すように、ぐらつき感の評価は実施例1〜3が◎、実施例4が○、比較例1〜4が×であった。たわみは、実施例1、実施例3、実施例4、比較例1及び比較例2いずれも30mm以下であった。動ばね定数は、実施例1、実施例3及び実施例4が25N/mm以下であり、比較例1及び比較例2は25N/mmを超えていた。この試験から、たわみが30mm以下であって動ばね定数が25N/mm以下の実施例1、実施例3及び実施例4は、ぐらつき感の評価が○以上であることがわかった。従って、第1試験片のたわみを30mm以下、且つ、動ばね定数を25N/mm以下にすることで、ぐらつき感を抑制できることがわかった。

次にクッションパッドの硬さについて説明する。図3及び図5(a)は実施例3におけるクッションパッドの硬さを示す図であり、図5(b)は比較例1におけるクッションパッドの硬さを示す図である。比較例1におけるクッションパッドは、実施例におけるクッションパッド1と同様に、着座者Hが着座する着座面から底面に向かって、着座部L1、中央上部L2、中央下部L3、底面部L4を有している。着座部L1は成形型の下型に接する部位であり、底面L4は成形型の上型に接する部位である。

図5(b)は、図5(a)と同様に、着座部L1の左右方向中央の部位のS25を1としたときの各試験片のS25をプロットした図である。図5(b)において、横軸(X軸)は後部サポート部における各試験片の左右方向の採取位置を示し、縦軸(Y軸)はS25(比率)を示す。実線は着座部L1の各試験片のS25、一点鎖線は中央上部L2の各試験片のS25、二点鎖線は中央下部L3の各試験片のS25、破線は底面部L4の各試験片のS25を示す。

図5(b)に示すように、比較例1におけるクッションパッドは、着座部L1の硬さが一番大きく、底面部L4の硬さが次に大きいことがわかった。また、中央上部L2及び中央下部L3は、それらに対して硬さが小さいことがわかった。さらに、底面部L4は、左右方向外側の硬さが左右方向中央の硬さと比較して少し大きいが、着座部L1、中央上部L2及び中央下部L3は、左右方向に亘って硬さが略一定であることがわかった。比較例1におけるクッションパッドは、着座部L1が最も硬いのでフィット感が乏しく、さらに着座部L1及び底面部L4(表層)が硬く、中央上部L2及び中央下部L3(コア層)が軟らかいので、着座者が横方向のぐらつき感を覚えるものと推察される。

これに対し実施例3におけるクッションパッドは、図5(a)に示すように、着座部21が最も軟らかく、中央上部22、中央下部23、底面部24の順に硬くなるように設定されているので、フィット感に優れると共に、中央上部22、中央下部23及び底面部24によりしっかりサポートされるので、ぐらつき感を抑制できると推察される。さらに、中央上部22、中央下部23及び底面部24は、左右方向外側の硬さが左右方向中央の硬さより大きいので、ホールド性を向上できると推察される。

次に図8を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、軟質ポリウレタンフォームにより一体的に形成されるクッションパッドについて説明した。これに対し第2実施の形態では、複数の層状の部材を積層して形成されるクッションパッドについて説明する。図8は第2実施の形態におけるクッションパッド30の断面図である。

図8に示すようにクッションパッド30は、着座者に着座される着座部31と、着座部31の下部に配置される中央上部32と、中央上部32の下部に配置される中央下部33と、中央下部33の下部に配置される底面部34とを備えている。着座部31の左右方向外側にサイドサポート部35が配置される。着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34は、互いに接着され積層される。サイドサポート部35は、中央上部32の左右両側に接着される。

着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34は、この順に25%圧縮時の力S25が大きくなるように材質が選択される。本実施の形態では、着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34は、いずれも軟質ポリウレタンフォーム(モールドウレタン)により平板状に形成される。着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34の硬さ分布は、第1実施の形態におけるクッションパッド1(後部サポート部3)の硬さ分布と同様に設定されるので、説明を省略する。第2実施の形態におけるクッションパッド30によれば、第1実施の形態におけるクッションパッド1と同様の作用・効果を実現できる。

以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた形状は一例であり、他の形状を採用することは当然可能である。

上記各実施の形態では、車両(自動車)に搭載されるクッションパッド1,30について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。クッションパッド1,30を自動車以外の他の車両(例えば鉄道車両)や船舶、航空機等の乗物に装備されるクッション材に適用したり、家具等のクッション材に適用したりすることは当然可能である。

上記第1実施の形態では、便宜上、一体に成形された発泡合成樹脂製(軟質ポリウレタンフォーム製)のクッションパッド1(後部サポート部3)を上下方向に4層に区分して、その各層を左右方向に15個に区分し、60個の試験片を採取して硬さを測定する場合について説明したが、試験片の数(層数や左右方向の区分数)や大きさはこれに限られるものでない。試験片の大きさは、硬さを測定可能な大きさに適宜設定することができる。また、試験片の数は、硬さを測定可能な試験片の大きさを勘案して、その大きさの試験片を採取できる数に適宜設定できる。なお、クッションパッド1(後部サポート部3)の大きさを考慮すると、後部サポート部3を4層または5層に区分するのが適当である。また、試験片の大きさは、四角柱の1辺の長さを20〜25mmにするのが好適である。

また、上記第1実施の形態では、便宜上、第1部25及び第1サイド部27が中央上部22に設けられると共に、第2部26及び第2サイド部28が中央下部23に設けられる場合について説明した。しかし、第1部25、第1サイド部27、第2部26及び第2サイド部28の位置は、これに限られるものではない。これらの位置は、クッションパッド1(後部サポート部3)を上下方向に区分する層数に応じて、適宜設定される。

上記各実施の形態では、クッションパッド1,30にサイドサポート部5,35が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、サイドサポート部5,35を省略することは可能である。クッションパッド1,30(サポート部2)は左右方向、即ち臀部および太腿の側部のホールド性(拘束性)に優れるからである。

上記各実施の形態では、後部サポート部3が所定の硬さ分布をもつものについて説明したが、前部サポート部4も後部サポート部3と同様の硬さ分布をもつように設定することができる。これにより、臀部のぐらつき感だけでなく太腿のぐらつき感も抑制できる。

上記各実施の形態では、表面に凹設された縦溝6及び横溝7,8,9を利用して表皮(図示せず)を引張固定するクッションパッド1,30について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、表面に接着剤を塗布して表皮を接着(装着)するクッションパッドに適用することは当然可能である。

上記第2実施の形態では、着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34が、いずれも所定形状の成形型で成形された軟質ポリウレタンフォーム(モールドウレタン)により形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の材質を採用することは当然可能である。他の材質としては、例えば、成形された軟質ポリウレタンフォームを切断して形成されるスラブウレタン、軟質ポリウレタンフォームの製造工程で生じる端材等を粉砕して形成されたチップウレタン、3次元的に絡み合う複数の合成樹脂製繊維で構成される立体網状体、固綿等の繊維体、ウレタンゴムや熱可塑性エラストマー等の合成樹脂製の弾性体が挙げられる。これらを積層することで、所定の硬さ分布を得ることができる。着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34の硬さや密度、形状は、材質を選択すると共に、成形型のキャビティ形状の設計や裁断、切削等により適宜設定できる。

また、上記第2実施の形態では、着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34の各層が平板状に形成された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、湾曲板状に形成することは当然可能である。着座部31、中央上部32、中央下部33及び底面部34は、モールド成形や裁断等によって所定の形状に成形することができるからである。これらの層を湾曲板状に形成することで、着座者の臀部の側方に硬さの大きい部分が配置されるようにすることは当然可能である。

1,30 クッションパッド 2 サポート部 3 後部サポート部(サポート部) 11 着座面 12 底面 13 厚さ中央 21,31 着座部 22,32 中央上部(コア部) 23,33 中央下部(コア部) 24,34 底面部 25 第1部 26 第2部 27 第1サイド部 28 第2サイド部 H 着座者 T1,T2 坐骨結節部

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