車両用シートクッション芯材

申请号 JP2017035715 申请日 2017-02-28 公开(公告)号 JP2018139820A 公开(公告)日 2018-09-13
申请人 株式会社ジェイエスピー; 发明人 橋本 圭一; 久松 功昇;
摘要 【課題】反りが少なく寸法 精度 の優れた、補強部材が一体化された熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる、車両用シートクッション芯材を提供する。 【解決手段】長手と短手を有する上面視略矩形状の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体2と、その周縁部にインサート成形された環状の補強部材3とからなる車両用シートクッション芯材1であって、発泡粒子成形体には、厚み方向に貫通する肉抜き部4が形成されており、該肉抜き部の少なくとも一つの隅部において該隅部近傍から発泡粒子成形体の外方に向けてスリット7が形成されている車両用シートクッション芯材とした。 【選択図】図2
权利要求

長手と短手を有する上面視略矩形状の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体と、その周縁部にインサート成形された環状の補強部材とからなる車両用シートクッション芯材であって、上記発泡粒子成形体には、厚み方向に貫通する肉抜き部が形成されており、該肉抜き部の少なくとも一つの隅部において該隅部近傍から発泡粒子成形体の外方に向けてスリットが形成されていることを特徴とする、車両用シートクッション芯材。上記スリットが、発泡粒子成形体の短手方向外方に向けて形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用シートクッション芯材。上記発泡粒子成形体には、長手方向に並んだ3個の上記肉抜き部が形成されており、該肉抜き部のうち両側に位置する肉抜き部の前方側の隅部のうち、発泡粒子成形体の内方側に位置する隅部近傍から発泡粒子成形体の短手方向外方に向けて上記スリットがそれぞれ形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用シークッション芯材。上記肉抜き部のうち中央に位置するに肉抜き部の前方側の二つの隅部近傍から発泡粒子成形体の短手方向外方に向けて上記スリットがそれぞれ形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の車両用シークッション芯材。上記発泡粒子成形体の最大厚みが、150mm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用シークッション芯材。上記スリットが、発泡粒子成形体の周縁部に配設された上記補強部材まで達する長さに、または該補強部材から0mmを超え150mm以下離れた内方位置に達する長さに形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の車両用シークッション芯材。

说明书全文

本発明は、補強部材が埋め込まれた熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる、車両用シートクッション芯材に関するものである。

近年、車両用シートクッション芯材として、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(以下、単に「発泡粒子成形体」という場合もある。)の内部に金属等からなる補強部材を埋め込み、一体化させた車両用シートクッション芯材が用いられている。この場合、発泡粒子成形体に埋め込まれた補強部材は、車体への取り付けや、シートアレンジのための構造体フレーム、また衝突時の補強材などとして機能する。

このような発泡粒子成形体と補強部材とを一体化させてなる部材としては、これまでに、基体発泡樹脂層と、該基体発泡樹脂層の内部に配設される補強部材とから構成され、補強部材を被覆した発泡性樹脂の発泡層と、基体発泡樹脂層とが係合又は係合・融着した複合発泡粒子成形体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

このような複合発泡粒子成形体の製造は、例えば、金型内の所定の位置に補強部材を配設し、次いで基体を構成する発泡粒子を充填し、加熱、融着させる、所謂インサート成形によって製造されている。

特開平5−154929号公報

ところで、発泡粒子成形体は、一般的に金型による型内成形後に成形収縮を起こす。このような特性を有する発泡粒子成形体と、補強部材とを融着一体化した複合発泡粒子成形体にあっては、発泡粒子成形体と補強部材との収縮率の相違等から、型内成形後に反りが発生する場合があった。このような反りが残存した複合発泡粒子成形体を、車両用シートクッション芯材とする場合には、車体への取り付け精度が悪くなったり、所定の性能が確保できないなどの問題が生じるおそれがあった。

これらの問題を解決するための対策としては、発泡粒子成形体の成形後の収縮率を予め予測して、発泡粒子成形体や補強部材を予め逆方向に反らせて成形しておき、収縮後に反りのない形状とする方法が考えられる。 しかしながら、成形後の発泡粒子成形体の収縮率は、使用する熱可塑性樹脂発泡粒子の種類、製造条件、補強部材の材質などによっても異なり、また発泡粒子成形体の形状、インサートされた補強部材の配置状態などにも影響されるため、発泡粒子成形体の反りの大きさをその都度精度よく予測することは困難であった。かかる問題は、特に車両の凸部を逃げるため、または後工程にて芯材上に積層される軟質発泡ウレタンなどの軟質合成樹脂発泡体の厚みを確保するために、厚み方向に貫通した肉抜き部を形成したような、形状の複雑な複合発泡粒子成形体を製造する場合には顕著に現れていた。

本発明は、上述した背景技術が有する実情に鑑みなされたものであって、反りが少なく寸法精度の優れた、インサート成形により補強部材が一体化された熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる、車両用シートクッション芯材を提供することを課題とする。

上記した課題を解決するため、本発明は、次の〔1〕〜〔6〕に記載した車両用シートクッション芯材とした。 〔1〕長手と短手を有する上面視略矩形状の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体と、その周縁部にインサート成形された環状の補強部材とからなる車両用シートクッション芯材であって、上記発泡粒子成形体には、厚み方向に貫通する肉抜き部が形成されており、該肉抜き部の少なくとも一つの隅部において該隅部近傍から発泡粒子成形体の外方に向けてスリットが形成されていることを特徴とする、車両用シートクッション芯材。 〔2〕上記スリットが、発泡粒子成形体の短手方向外方に向けて形成されていることを特徴とする、上記〔1〕に記載の車両用シートクッション芯材。 〔3〕上記発泡粒子成形体には、長手方向に並んだ3個の上記肉抜き部が形成されており、該肉抜き部のうち両側に位置する肉抜き部の前方側の隅部のうち、発泡粒子成形体の内方側に位置する隅部近傍から発泡粒子成形体の短手方向外方に向けて上記スリットがそれぞれ形成されていることを特徴とする、上記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用シークッション芯材。 〔4〕上記肉抜き部のうち中央に位置するに肉抜き部の前方側の二つの隅部近傍から発泡粒子成形体の短手方向外方に向けて上記スリットがそれぞれ形成されていることを特徴とする、上記〔3〕に記載の車両用シークッション芯材。 〔5〕上記発泡粒子成形体の最大厚みが150mm以下であることを特徴とする、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の車両用シークッション芯材。 〔6〕上記スリットが、発泡粒子成形体の周縁部に配設された上記補強部材まで達する長さに、又は該補強部材から0mmを超え150mm以下離れた内方位置に達する長さに形成されていることを特徴とする、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の車両用シークッション芯材。

上記した本発明に係る車両用シートクッション芯材によれば、発泡粒子成形体に形成された厚み方向に貫通する肉抜き部の特定位置に、特定方向に延びるスリットを形成したため、このスリットの存在により、発泡粒子成形体と補強部材との収縮率の相違等に起因する反りが効果的に緩和され、反りが少なく寸法精度の優れた車両用シートクッション芯材を提供できる。

本発明に係る車両用シートクッション芯材の一実施形態を示した概念的な斜視図である。

図1に示した車両用シートクッション芯材の発泡粒子成形内への補強部材の埋設状態を現した概念的な平面図である。

図2のX−X線に沿う部分の断面図である。

実施例の反りの測定位置を示した概念的な平面図である。

以下、本発明の車両用シートクッション芯材について、詳細に説明する。

本発明に係る車両用シートクッション芯材は、長手と短手を有する上面視略矩形状の熱可塑性樹脂発泡粒子成形体と、その周縁部にインサート成形された環状の補強部材とからなる車両用シートクッション芯材であって、上記発泡粒子成形体には、厚み方向に貫通する肉抜き部が形成されており、該肉抜き部の少なくとも一つの隅部において該隅部近傍から発泡粒子成形体の外方に向けてスリットが形成されている車両用シートクッション芯材である。

上記した発泡粒子成形体を構成する熱可塑性樹脂は、適宜選択可能であるが、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、その他、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との複合樹脂などを用いる場合に、本発明を好適に適用することができる。中でも、結晶性樹脂であることから収縮し易い、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂を用いた場合に、特に本発明の反り防止の効果が顕著に発揮できることから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との複合樹脂を用いることがより好ましく、ポリプロピレン系樹脂を用いることが更に好ましい。

また、インサート成形により補強部材が一体化された熱可塑性樹脂発泡粒子成形体は、公知の方法により製造することができる。 例えば、オートクレーブ等の加圧可能な密閉容器内に分散媒体(通常は)と、所望により界面活性剤を添加し、その中に上記した熱可塑性樹脂粒子を分散させ、発泡剤を圧入して加熱下において撹拌して発泡剤を樹脂粒子に含浸させる。次いで、発泡剤を含浸させた樹脂粒子を高温高圧条件下の容器内から分散媒体とともに低圧域(通常大気圧下)に放出させるなどして、所定倍率に発泡した発泡粒子を製造する。次に、この発泡粒子を、予め補強部材を所定の位置に配設した金型内に充填し、スチームを導入することにより型内成形を行って発泡粒子を融着させ、補強部材と発泡粒子成形体が一体化され、補強部材が埋め込まれている発泡粒子成形体を一体成形体として製造することができる。

本発明で用いる補強部材としては、通常、車両用シートクッション芯材の補強部材として用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅などからなる金属製補強部材や、エンジニアリングプラスチック、ガラス繊維強化樹脂などからなる樹脂製補強部材を挙げることができ、また、これらを適宜組み合わせたものであっても良い。また、補強部材の形状は、車両本体への取り付けや、衝突時の補強として機能する形状であれば特に制限はないが、少なくとも、熱可塑性樹脂発泡粒子成形体の周縁部に配置できる環状のものとする。環状の補強部材であれば、剛性の異なる補強部材を接続したもの、例えば、最も強度が要求される前方は剛性の高い線状の補強部材で構成し、両側方及び後方は前方側よりも細い線状の補強部材で構成したものとしても良く、また一部に異種の材料を介在させたものであっても良い。また、上面視略四形の環状の補強部材である場合、前方側半分の形状と後方側半分の形状が異なるものであっても良い。これらのように材質や形状が前後で非対称の補強部材が発泡粒子成形体中に埋設されていると、芯材に発生する反りの程度や方向を予想することがさらに難しくなる。

なお、通常、車両用座席として用いられる場合には、図2に示すように、車両用シートクッション芯材1を上から見た場合の各辺及び四隅を補強し得るよう、発泡粒子成形体2の外周形状に併せて略矩形に形成した環状の補強部材3とすることが望ましい。また、環状の補強部材3の全周が発泡粒子成形体に埋設されている必要はなく、例えば、車体に取り付けるため、また、車両用シートクッション芯材に他の部材を取り付けるために、補強部材3の一部が発泡粒子成形体2から露出していても構わない。 図示した実施形態に係るものにあっては、太さ4.5mm程度のワイヤー部材により、略四角形の環状であり、前方側半分と後方側半分とで形状が異なる前後非対称の補強部材3に構成されている。また、前方のワイヤー部材には、車体に取り付けるための金属製のフック3aが二個結合されており、後方のワイヤー部材には、バックシートと連結するための金属製のフック3bが一個結合されている。なお、これらのフックの数は特に限定されるものではない。

熱可塑性樹脂発泡粒子成形体2は、長手と短手を有する上面視略矩形状に形成されている。該発泡粒子成形体2の大きさは、搭載する車両に応じて適宜設計されるが、概ね、長手方向の長さは1000〜1500mm、短手方向の長さは400〜700mm程度に形成されている。また厚みは5〜200mmで、最大厚みは200mm以下、好ましくは150mm以下に形成されている。なお「厚み」とは、車両に本発明に係る車両用シートクッション芯材を取り付けた状態における発泡粒子成形体の上下方向の長さを意味する。そして、該発泡粒子成形体2には、車体に形成された凸部を逃げるためなどの厚み方向に貫通した肉抜き部4が少なくとも1個形成されている。該肉抜き部4の大きさ、形状及び数も、搭載する車両に応じて適宜設計されるが、概ね、縦(発泡粒子成形体の短手方向の長さ)50〜300mm、横(発泡粒子成形体の長手方向の長さ)100〜500mmの略矩形の肉抜き部4が2〜5個形成される。図示した実施形態に係るものにあっては、発泡粒子成形体2の長手方向に沿って、略矩形の厚み方向に貫通した肉抜き部4が、乗員の着座部に3個並んで形成されている。また、その後方には、シートベルトバックル用の開口部5が1個形成され、後方の両側には、ホイールハウスを逃げるための切欠き部6がそれぞれ形成されている。

発泡粒子成形体2に形成された上記厚み方向に貫通する肉抜き部4には、該肉抜き部4の少なくとも一つの隅部において該隅部近傍から発泡粒子成形体2の外方に向けてスリット7が形成されている。本発明においては、このスリット7を形成することにより、発泡粒子成形体2と補強部材3の収縮量の差等に起因する反りを効果的に防止することができる。これは、発泡粒子成形体2と補強部材3の収縮量の差等に起因する引張が最も集中する肉抜き部4の隅部近傍に発泡粒子成形体2の外方に向けてスリット7を形成したため、該スリット7が発泡粒子成形体を分断して収縮による引張力を良好に緩和することができるためと考えられる。かかる作用を生じさせる観点から、スリット7は、肉抜き部4の隅部近傍から発泡粒子成形体2の外方、即ち肉抜き部4の隅部近傍から発泡粒子成形体2の周縁に向けて形成されているものとする。上記引張力は発泡粒子成形体の長手方向に顕著に現れるので、更に引張力を緩和する作用を有効に果たすスリット7とするため、発泡粒子成形体の長手方向及び/又は短手方向外方に向けて、スリット7が形成されているものとすることが好ましく、発泡粒子成形体の長手方向に直交する発泡粒子成形体の短手方向外方に向けて、スリット7が形成されているものとすることがより好ましい。また、スリット7は、発泡粒子成形体2の下面側は開口せず上面に開口するものであっても、上面側は開口せず下面に開口するものであっても良いが、発泡粒子成形体2を厚み方向に貫通するものであることが好ましい。なお、上記のようにスリットが片面側にのみ開口する場合には、3〜25mmの厚みの底部を残してスリットを形成することが好ましい。

また、肉抜き部4の隅部近傍から発泡粒子成形体2の外方に向けて形成する上記スリット7は、発泡粒子成形体2の周縁部に配設された補強部材3の内方側まで形成されていても、該補強部材3と交差し発泡粒子成形体3の端部を連続部として残すように形成されていても、さらには該連続部を残さずに発泡粒子成形体3の端部まで形成されていても良いが、シート芯材としての剛性を考慮すると、補強部材3の内方側まで形成されていることが好ましい。その場合、上記スリット7の長さは、引張力を緩和する作用を有効に果たすものとするため、発泡粒子成形体2の周縁部に埋設された補強部材3まで達する長さに、または該補強部材から0mmを超え150mm以下離れた内方位置に達する長さとすることが好ましく、20〜120mm離れた内方位置に達する長さとすることがより好ましい。これは、より補強部材3に近接する位置にまでスリット7を形成することにより、発泡粒子成形体2を分断する効果が顕著に現れるためである。また、スリット7の幅は、50mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。その下限は0.1mm程度である。また、スリット7を型内成形時に形成する場合には、該スリット7の幅は5mm以上であることがさらに好ましい。

図示した実施形態に係るものにあっては、発泡粒子成形体2の長手方向に並んで形成された3個の上記肉抜き部4のうち両側に位置する肉抜き部4a,4aにあっては、その前方側の隅部のうち、発泡粒子成形体2の内方側に位置する隅部近傍から発泡粒子成形体2の短手方向外方に向けてスリット7aがそれぞれ形成されている。また、中央に位置するに肉抜き部4bにあっては、その前方側の二つの隅部近傍から発泡粒子成形体2の短手方向外方に向けてスリット7bがそれぞれ形成されている。上記スリット7a,7bは、ともに発泡粒子成形体2の周縁部に配設された補強部材3から100mm離れた内方位置に達する長さに形成されている。また、スリット7a,7bの幅は、ともに10mmに形成されている。

なお、本発明において上記した「前方」とは、車両に本発明に係る車両用シートクッション芯材を取り付けた状態において、車両の前方向に当たる車両用シートクッション芯材の方向を意味し、「側方」とは、車両の幅方向に当たる車両用シートクッション芯材の方向を意味する。

本発明の車両用シートクッション芯材1の上記した肉抜き部4の隅部近傍から発泡粒子成形体の外方に向けて形成された上記スリット7は、予め成形金型にスリット7を成形する突起部を設けておき、発泡粒子成形体2の成形と同時に形成するものとすることが生産性の観点から好ましいが、成形装置により成形した車両用シートクッション芯材1に、カッター、熱線などを利用して切り込みを入れることにより形成することとしても良い。但し、成形後にスリット7を形成する場合にあっては、金型から取り出してから反りが発生するまでに、できる限り速やかに形成する必要がある。

以上、説明した本発明の車両用シートクッション芯材は、車体に取り付けられるものであるが、該車両用シートクッション芯材の上面や側面には、ウレタンフォームなどの軟質合成樹脂発泡体が積層される。さらに、その積層体の前面、側面及び上部などの外周面を、織編物、ビニールレザー、皮革などの表皮材で被覆されることで車両用座席が形成される。

なお、上記軟質合成樹脂発泡体とは、シートクッションの材質として主に使用されている軟質発泡ウレタン、又は軟質発泡ウレタンとは異なる樹脂材料で発泡率を高くして発泡させて軟質にした樹脂発泡体を意味する。本発明の車両用シートクッション芯材を用いることによって、前記軟質合成樹脂発泡体の使用量を削減することもでき、軽量性に優れる車両用座席を形成することができる。

以下に、実施例により本発明の車両用シートクッション芯材についてさらに詳しく説明するが、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。

成形装置を使用し、発泡粒子成形体と補強部材とを一体化させてなる車両用後部シート用シートクッション芯材を10個製造した。 発泡粒子としては、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子(発泡倍率:30倍、発泡粒子径:約4mm)を用い、該発泡粒子を、予め補強部材(太さ4.5mmの金属ワイヤー部材を用いて長手方向の最大長さ1200mm、短手方向の最大長さ550mmの図2に示す前後非対称形状の略四角形に形成した環状の補強部材)を配設した成形金型内に充填し、スチーム加熱による型内成形を行った。加熱方法は、両方の型のドレン弁を開放した状態で0.30MPa(G)のスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行った後、0.22MPa(G)のスチームを一方の型から5秒間供給して一方加熱を行い、さらに0.26MPa(G)のスチームを逆方向の型から5秒間供給して逆一方加熱を行った後、0.30MPa(G)のスチームを両方の型からから3秒間供給して本加熱を行った。加熱終了後、放圧し、30秒間空冷し、240秒間水冷して、発泡粒子成形体と補強部材とを一体化させてなる車両用シートクッション芯材を得た。

得られた車両用シートクッション芯材は、上面視略矩形状のもので、その長手方向に沿って、厚み方向に貫通した肉抜き部が3個並んで形成されているものであった。また、その肉抜き部の後方には、シートベルトバックル用の開口部が1個形成され、後方の両側には、ホイールハウスを逃げるための切欠き部がそれぞれ形成されているものであった。中央に位置する上記肉抜き部は、縦150mm、横250mmの略矩形に形成され、両側に位置する上記肉抜き部は、縦150mm、横300mmの略矩形にそれぞれ形成されているものであった。

次いで、5個の車両用シートクッション芯材に対し、該芯材を金型から取り出した直後(10分以内)に、カッターナイフを用いて、肉抜き部の隅部において該隅部近傍から発泡粒子成形体の外方に向けて厚み方向に貫通するスリット7を形成した。このスリットは、図1〜図3に示したように、両側に位置する上記肉抜き部4a,4aにあっては、その前方側の隅部のうち、発泡粒子成形体の内方側に位置する隅部近傍から発泡粒子成形体の短手方向外方に向けてそれぞれスリット7aを形成し、また、中央に位置するに上記肉抜き部4bにあっては、その前方側の二つの隅部近傍から発泡粒子成形体の短手方向外方に向けてそれぞれスリット7bを形成した。上記スリット7a,7bは、ともに発泡粒子成形体の周縁部に配設された補強部材から100mm離れた内方位置に達する長さに形成し、また、スリットの幅は、ともに10mmに形成した。

スリットを形成した5個の車両用シートクッション芯材(実施例)及びスリットを形成していない残りの5個の車両用シートクッション芯材(比較例)をともに、60℃の雰囲気下に24時間放置して養生した後、実施例及び比較例の車両用シートクッション芯材の反りを以下の方法により測定を行い、評価を行った。 なお、実施例及び比較例の芯材は、その長手方向の最大長さが1250mm、短手方向の最大長さが580mm、最大厚みが80mmのものであった。

(反りの測定方法) 車両用シートクッション芯材の座面側を上にして検査治具上に載置し、図4に示したA〜Cの位置において、基準位置からの変位量(mm)を測定した。 なお、基準位置から上方に変位している場合を「+」、下方に変位している場合を「−」とした。 実施例5個、比較例5個のそれぞれの測定結果の算術平均値を、表1に示す。

表1より、スリットを形成した実施例は、スリットが存在しない比較例に比べて製品の変位量が小さく、発泡粒子成形体の反りが低減されており、製品価値に優れていることが分かる。 上記の結果から、本発明の車両用シートクッション芯材は、特定の条件でスリットを形成することにより、軽量で、反りが少なく商品価値の極めて優れた車両用シートクッション芯材を提供できることが確認された。

本発明によれば、反りが少なく寸法精度の優れた、補強部材が一体化された熱可塑性樹脂発泡粒子成形体からなる車両用シートクッション芯材を提供できるため、該車両用シートクッション芯材にウレタンフォームなどの軟質合成樹脂発泡体を積層し、さらにその積層体の外周面を、織編物、ビニールレザー、皮革などの表皮材で被覆することで車両用座席として広く使用することができるものとなる。

1 車両用シートクッション芯材 2 熱可塑性樹脂発泡粒子成形体(発泡粒子成形体) 3 環状の補強部材 3a 車両に取り付けるための金属製のフック 3b バックシートと連結するための金属製のフック 4,4a,4b 肉抜き部 5 シートベルトバックル用の開口部 6 ホイールハウスを逃げるための切欠き部 7,7a,7b スリット

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