シートパッドおよびシートパッドの製造方法

申请号 JP2014253238 申请日 2014-12-15 公开(公告)号 JP2016112203A 公开(公告)日 2016-06-23
申请人 株式会社タチエス; 株式会社ブリヂストン; 发明人 戸畑 秀夫; 吉川 淳平; 高野 潤; 野口 和男; 熊谷 健司;
摘要 【課題】 車両用シートのシートパッドにおいて、通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れたシートパッドを提供する。 【解決手段】 外部との通気機能を有する通気部材を備え、前記通気部材を導入した状態で発泡樹脂材料で一体的に発泡成型されたシートパッドにおいて、前記通気部材に最も近い部分に 位置 するシートパッドの表面よりも前記通気部材の表面が突出していることを特徴とする。 【選択図】図1
权利要求

外部との通気機能を有する通気部材を備え、前記通気部材を導入した状態で発泡樹脂材料で一体的に発泡成型されたシートパッドにおいて、 前記通気部材に最も近い部分に位置するシートパッドの表面よりも前記通気部材の表面が突出していることを特徴とするシートパッド。前記通気部材と前記発泡樹脂材料との境界面において前記通気部材の少なくとも一部を被覆する被覆部材を備え、 該被覆部材は、 少なくとも前記通気部材よりも前記発泡樹脂材料の浸入抑制機能が高い含浸抑制材料で構成された、 ことを特徴とする請求項1に記載のシートパッド。前記通気部材に最も近い部分に位置するシートパッドの表面からの前記通気部材の表面までの突出量は、0mmより大きく5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のシートパッド。前記通気部材は、有機繊維体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用シート。前記シートパッドは、着座面を有するクッションパッドであり、 前記通気部材が、前記クッションパッドの前方方向側に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシートパッド。前記シートパッドは、背もたれを有するバックパッドであり、 前記通気部材が、前記バックパッドの下部側に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシートパッド。前記通気部材は、前記シートパッドに複数分割して設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のシートパッド。以下の工程を含むシートパッドの製造方法であり、 (a)金型のキャビティ内に通気部材を配置し、前記金型のキャビティ内に発泡樹脂材料を注入し、 (b)金型を閉めることにより前記通気部材を圧縮し、前記通気部材を圧縮した状態で前記キャビティ内で発泡樹脂材料を発泡させる工程。前記(b)工程において、金型により前記通気部材を圧縮する圧縮率は20%以上40%以下であることを特徴とする請求項8に記載のシートパッドの製造方法。

说明书全文

本発明は、車両用シートのシートパッドおよびその製造方法に関する。

自動車用シートなどの車両用シートは、安全性や乗降性、ホールド性といった車両用シートの基本性能に加え、通気性やクッションの耐久性といった着座時の快適性に対する様々な要求がある。

車両用シートのクッション性に関する背景技術としては、例えば、特開2013−198730号公報(特許文献1)のような技術がある。特許文献1には、「着座者が着座する車両用シートのクッションパッドであって、着座荷重の作用域を占める軟質の発泡樹脂体と、該発泡樹脂体内部における前記作用域の中央部位を挟んで対向する両側位置に配置される三次元網状弾性体と、を備えた車両用シートのクッションパッド」が開示されている。

上記車両用シートのクッションパッドによれば、薄くても座り心地の良いクッションパッドを提供することができる。

特開2013−198730号公報

従来の自動車用シートにおいては、クッション材として一般的に金型のキャビティ内で発泡樹脂材料を発泡させて作られる発泡ウレタンが用いられているが、発泡ウレタンは通気性が悪く蒸れ易い。

金型のキャビティ上部に通気部材を取り付け、キャビティ内で発泡ウレタンと結合させる技術があるが、車両用シートとして使用する際、この通気部材は弾性体(発泡ウレタン)の裏面側になるため、通気性能を発揮することができない。

また、非発泡性のウレタン下面に通気部材を結合させて通気性を持たせる技術もあるが、非発泡ウレタンのため、弾性体としての性能に劣る。

さらに、溝構造を持つ発泡ウレタンの一辺を別の部材で塞ぎ、空気の流路を設ける技術があるが、製造工程での工程増加が避けられない。

上記の特許文献1の技術は、ポリウレタンフォーム内部に含浸状態で配置される前方が解放されたC字状の三次元網状弾性体を設けるため、ポリウレタンフォーム(発泡ウレタン)よりも高い弾性率を有するものの、例えば、長距離運転時にクッションがへたってしまい、そのへたりが回復し難いなど、クッションの耐久性の点において、要求される性能を満たすには不十分である。

そこで、本発明の目的は、車両用シートのシートパッドにおいて、通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れたシートパッドを提供することにある。

また、本発明の別の目的は、通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れた車両用シートのシートパッドの製造方法を提供することにある。

本発明は、外部との通気機能を有する通気部材を備え、前記通気部材を導入した状態で発泡樹脂材料で一体的に発泡成型されたシートパッドにおいて、前記通気部材に最も近い部分に位置するシートパッドの表面よりも前記通気部材の表面が突出していることを特徴とする。

また、本発明は、(a)金型のキャビティ内に通気部材を配置し、前記金型のキャビティ内に発泡樹脂材料を注入し、(b)金型を閉めることにより前記通気部材を圧縮し、前記通気部材を圧縮した状態で前記キャビティ内で発泡樹脂材料を発泡させる工程、を含むシートパッドの製造方法である。

本発明によれば、車両用シートのシートパッドにおいて、通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れたシートパッドを実現することができる。

また、本発明によれば、通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れた車両用シートのシートパッドの製造方法を実現することができる。

上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの一部切欠き斜視断面図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの一部断面図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの斜視図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの斜視図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの斜視図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの斜視図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの製造工程を示す図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの製造工程を示す図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの製造工程を示す図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの製造工程を示す図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートの製造に用いる金型と通気部材の寸法を示す図である。

本発明の一実施形態に係る車両用シートに用いる通気部材の圧縮率と繊維材凸量の関係を示す図である。

従来の車両用シートの斜視図である。

従来の車両用シートの製造工程を示す図である。

従来の車両用シートの製造工程を示す図である。

従来の車両用シートの製造工程を示す図である。

一般的な車両用シートの全体概要を示す図である。

以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。

先ず、図12を用いて、自動車等に用いられる一般的な車両用シートについて説明する。図12は一般的な車両用シートの全体概要を示している。車両用シート1は、その主な部位として、シートの座面部となるクッションパッド2、クッションパッド2の背側に設けられ、シートの背もたれ部となるバックパッド3、バックパッドの上部に設けられ、乗員の頭部および頸部を保護するヘッドレスト4を有している。クッションパッド2の両脇には、座面部のサイド部分のサポートとなるサイドサポート5が設けられている。

図10および図11A乃至図11Cを用いて、本発明の課題をより詳しく説明する。図10は従来の車両用シートのクッションパッド2において、シートカバー(トリムカバー)を取り除いたクッションの基盤となるシートパッド8すなわちウレタンパッドの斜視図である。従来の車両用シートでは、クッション材として一般的に金型のキャビティ内で発泡樹脂材料を発泡させて作られる発泡ウレタンが用いられている。しかしながら、上述した通り、発泡ウレタンは通気性が悪く蒸れ易い。

そこで、図11A乃至図11Cに示すように、上金型10のキャビティ側の上部に通気部材6を取り付け(図11A)、金型のキャビティ内にウレタン発泡樹脂9を注入し(図11B)、キャビティ内でウレタンを発泡させて、通気部材6とシートパッド8とを結合させることにより発泡ウレタンの上部に通気部材6を設ける技術がある(図11C)。

しかしながら、車両用シートとして使用する際、この通気部材6は弾性体すなわちシートパッド8の裏面側(下面側)になるため、通気性能を発揮することができない。

次に、図1および図2を用いて、本発明の実施例1における車両用シートについて説明する。図1は、本実施例における車両用シートのクッションパッドの一部切欠き斜視断面図である。なお、本発明の特徴を分かり易くするために、図1ではクッションパッド2のシートカバー(トリムカバー)を取り除いた状態を示している。

図1に示すように、本実施例の車両用シートのクッションパッド2は、クッションの基盤となるシートパッド8(ウレタンパッド)の一部に上面から下面にかけて貫通する複数の開孔が設けられており、その開孔の内壁には、内壁に沿うように布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}からなる被覆部材7が設けられている。また、開孔内には被覆部材7を介して圧縮された通気部材6が充填されている。

図2は、図1におけるA−A’断面を示している。ここで、開孔内に充填されている通気部材6の表面は、図2に示すように、ウレタンパッドすなわちシートパッド8の上面側において、開孔近傍のシートパッド8の表面よりも凸形状に突出して設けられている。これは、布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}からなる被覆部材7により側面を覆われた通気部材6が、圧縮された状態でシートパッド8の開孔に充填されているため、シートパッド8の上面側の開孔部では、通気部材6を圧縮した状態から元の状態に戻ろうとする復元によりシートパッド8の表面から突出するためである。

このように、ウレタンパッドすなわちシートパッド8の一部に設けた開孔に、被覆部材7を介して圧縮された通気部材6を充填することにより、通気部材6が開孔近傍のウレタン表面よりも突出し、クッションパッド2のクッションの耐久性が向上する。また、通気部材6はシートパッド8に比べて通気性も高いため、本実施例で説明したクッションパッド2を用いることにより、車両用シートの通気性およびクッションの耐久性を向上することが可能となる。

なお、上記で説明したシートパッド8の開孔の内壁に沿うように設けられる被覆部材7すなわち布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}の素材は、2枚の筬で編み込まれたいわゆるロックニット(トリコットハーフとも称される)或いは不織布等を用いている。

また、シートパッド8の開孔に圧縮した状態で充填される通気部材6の素材は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylen−Terephthalate:PET)或いはポリプロピレン(Polypropylene:PP)等を用いている。この通気部材6は、芯鞘構造繊維を使用し、繊維を圧縮成形することによって弾力を得ることができる。

また、通気部材6はシートパッド8に比べて通気性も高く、通気性やクッションの耐久性すなわち着座時の快適性を向上することができる。

以上説明したように、実施例1の車両用シートによれば、車両用シートの通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れた車両用シートを実現することができる。

なお、本実施例では、シートパッド8に設けられる複数の開孔の形状すなわち開孔に充填される通気部材6の形状は、略円筒形状(図1および図2は一部切欠き斜視断面のため略円筒形状の半分を図示)の例を示したが、ウレタンパッド8の上面から見て略矩形形状で設けても良く、車両の車種や用途に合わせて、シートパッド8における開孔の配置や開孔数を適宜設計することができる。

図3および図4を用いて、本発明の実施例2における車両用シートについて説明する。図3および図4は、図1と同様に、本発明の特徴を分かり易くするため、クッションパッド2のシートカバー(トリムカバー)を取り除いた状態を示している。

図3および図4に示す車両用シートのクッションパッド2は、クッションの基盤となるシートパッド8(ウレタンパッド)の一部に上面から下面にかけて貫通する少なくとも1つ以上の開孔が設けられている。図3では2つの開孔が設けられており、図4では図3における2つの開孔が連結したような1つの大きな開孔が設けられている。図3および図4の開孔の内壁には、内壁に沿うように布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}からなる被覆部材7が設けられており、また、開孔内に布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}すなわち被覆部材7を介して圧縮された通気部材6が充填されている点においては、実施例1で説明したクッションパッド2と同様である。

図3および図4のそれぞれのシートパッド8に設けられる開孔の位置は、乗員の着座時に乗員の大腿部が通気部材6上に載るようにクッションパッド2の前面寄りに設けられている点において、実施例1のクッションパッドと異なっている。

また、シートパッド8に設けられる開孔の形状すなわち通気部材6の形状がシートパッド8の上面側から見て、略矩形形状に設けられている点においても、実施例1のクッションパッドとは異なっている。

図3および図4に示すように、シートパッド8における通気部材6の配置をクッションパッド2の前面寄りにすることで、着座時に乗員の大腿部を通気部材6上に載せることができる。これにより、乗員の大腿部とクッションパッド2の間の通気性を向上させることができ、さらに、通気部材6の表面が開孔近傍のウレタン表面から突出しているため、長距離運転時に乗員の大腿部がクッションパッド2に載った状態でもクッション性能を維持することができる。

以上説明したように、実施例2の車両用シートによれば、車両用シートの通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れた車両用シートを実現することができる。

図5および図6を用いて、本発明の実施例3における車両用シートについて説明する。図5および図6は、他の実施例と同様に、本発明の特徴を分かり易くするため、バックパッド3のシートカバー(トリムカバー)を取り除いた状態を示している。

図5および図6に示す車両用シートのバックパッド3は、クッションの基盤となるシートパッド8(ウレタンパッド)の一部に上面から下面すなわちバックパッド3の乗員の背中が接触する面からバックパッド3の裏側にかけて貫通する少なくとも1つ以上の開孔が設けられている。図5では2つの開孔が設けられており、図6では図5における2つの開孔が連結したような1つの大きな開孔が設けられている。

実施例1或いは実施例2と同様に、バックパッド3に設けられた開孔には、布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}からなる被覆部材5を介して圧縮された通気部材6が充填されている。

また、シートパッド8すなわちウレタンパッドに設けられる開孔は、図5および図6に示すように、乗員の着座時に、乗員の背中が通気部材6上に跨るようにバックパッド3の下部側寄りに設けられている。

この通気部材6も、他の実施例と同様に、その表面がシートパッド8の上面すなわち乗員の背中が接触する面における開孔近傍のウレタン表面から突出しているため、長距離運転時に乗員の背中がバックパッド3に長時間寄りかかった状態でもクッション性能を維持することができる。

以上説明したように、実施例3の車両用シートによれば、車両用シートの通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れた車両用シートを実現することができる。

なお、本実施例においても、シートパッド8に設けられる複数の開孔の形状すなわち開孔に充填される通気部材6の形状は、図5および図6で示したような略矩形形状以外に、略円筒形状となるように設けても良い。つまり、車両の車種や用途に合わせて、ウレタンパッド8における開孔の配置や開孔数を適宜設計することができる。

図7A乃至図7Dおよび図8を用いて、実施例1乃至実施例3で説明したクッションパッド2或いはバックパッド3の製造方法について説明する。

先ず、図7Aに示すように、上金型10および下金型11からなる金型のキャビティ内に、布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}からなる被覆部材7で側面を覆った通気部材6を少なくとも1つ以上配置する。通気部材6は金型のキャビティ内の下金型11上に配置される。

ここで、実施例1で説明したクッションパッド2のようにシートパッド8に設けられる開孔すなわち通気部材6の形状を略円筒形状としたい場合、金型のキャビティ内に配置する被覆部材7で側面を覆われた通気部材6の形状を略円筒形状で形成したものを用いる。

また、実施例2或いは実施例3で説明したようにクッションパッド2或いはバックパッド3のシートパッド8に設ける開孔すなわち通気部材6の形状を略矩形形状としたい場合、金型のキャビティ内に配置する被覆部材7で側面を覆われた通気部材6の形状を略矩形形状で形成したものを用いる。

また、車両の車種や用途に合わせて、ウレタンパッド8における開孔の配置や開孔数を変える場合は、この金型のキャビティ内に配置する被覆部材7で側面を覆われた通気部材6の配置や数を必要に応じて変更する。

被覆部材7で側面を覆われた通気部材6の形状は、略円筒形状で形成する場合、通気部材6を布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}で側面を覆うことにより比較的容易に略円筒形状とすることができるため、被覆部材7で側面を覆われた通気部材6を容易に形成することができる。

また、被覆部材7で側面を覆われた通気部材6を略矩形形状で形成する場合は、略矩形形状に加工するためのステップや治具が必要となるが、略円筒形状に比べて、ウレタンパッド8においてより広い範囲に通気部材6を配置することができる。

次に、図7Bに示すように、金型のキャビティ内に配置した通気部材6を被覆部材7と共に金型により圧縮する。ここで、図7Bに示すように、従来の製造方法のように金型の上部すなわち上金型10に通気部材6を設け、下金型11上に配置した通気部材6と一緒に圧縮しても良い。

図8に、金型により通気部材6を圧縮した際の金型と通気部材6の寸法の関係を示す。図8に示すように、金型による圧縮は上金型10と下金型11を密着させることにより行われ、圧縮した際の金型のキャビティ内の寸法をaとする。圧縮された状態の通気部材6の寸法は、金型のキャビティ内の寸法と同じaとなる。

ここで、上記で説明した図7Aにおいて下金型11上に配置する通気部材6の寸法を、図8に示すように、金型のキャビティ内の寸法aよりもbの分だけ長く形成することで、つまり、下金型11上に配置する通気部材6の寸法をcとすることで、金型で通気部材6を圧縮した際に、通気部材6を確実に圧縮することができる。

寸法a、b、cの関係は、a+b=cである。

次に、図7Cに示すように、金型のキャビティ内に配置した通気部材6を金型により圧縮した状態を維持したまま、従来の方法により、金型のキャビティ内にウレタン発泡樹脂9を注入し、図7Dに示すように、通気部材6、被覆部材7とシートパッド8が金型のキャビティ内で結合するようにウレタン発泡樹脂9発泡させる。

ウレタン発泡樹脂9は、主原料としてイソシアネート溶液およびポリオール溶液等を用い、混合させながら金型のキャビティに流し込み、混合溶液の化学反応により発泡させる。

ここで、金型のキャビティに注入したウレタン発泡樹脂9は、通気部材6の側面を覆う布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}すなわち被覆部材7に含浸し、シートパッド8と通気部材6の密着性を向上する。つまり、被覆部材7の内部にウレタン成分を含んで発泡ウレタンが形成され、被覆部材7はシートパッド8と通気部材6の接着機能を果たす。従って、シートパッド8と通気部材6はその境界面に設けられた被覆部材7によって結合される。

また、布材{織物(ナイロンハーフ)、不織布}すなわち被覆部材7は、金型のキャビティ内でウレタン発泡樹脂9が通気部材6に入り込み過ぎて通気部材の通気性や弾力性を損なうのを防止する役目も果たしている。つまり、被覆部材7は、少なくとも通気部材6よりもウレタン発泡樹脂9の浸入抑制機能が高い含浸抑制材料で構成されるのが好ましい。これにより、パッド部材すなわちウレタン発泡樹脂9が通気部材6に含浸される量を調整でき、通気部材6の通気性・耐久性の特性を十分発揮することができる。

その後、図示はしないが、上金型10と下金型11による圧縮を解放し、金型から発泡したシートパッド8を取り出すことにより、被覆部材7を介して通気部材6が充填されたシートパッド8(発泡ウレタンパッド)が完成する。

その後、やはり図示しないが、発泡ウレタンパッドすなわち被覆部材7を介して通気部材6が充填されたシートパッド8に表皮材およびワディング(中綿)からなるトリムカバー(シートカバー)を取り付け、シートフレーム上に据え付けることにより、車両用シートが完成する。

通気部材6の圧縮率とウレタン表面からの通気部材6の突出量(繊維材凸量)の関係を図9に示す。

なお、図9に示す評価は、140mm×140mm×厚さ50mmのウレタンの中央に繊維材(直径70mm、厚さ50mm)が挿入されているものをサンプルとして使用した。試験方法としては、サンプルを厚さが半分になるよう圧縮し、70℃且つ22時間放置した。繊維材凸量の測定は、25℃50%においてサンプル4隅の平均から繊維材の最も厚さのある部分の差を繊維材凸量とした。評価基準としては、耐久試験後、6時間以内に繊維材凸量が0mm以下になった場合はNGとした。

金型により圧縮される通気部材6の圧縮率をおよそ20%から30%程度とすることにより、通気部材6のシートパッド8の開孔近傍の表面からの突出量を乗員が快適と感じる突出量にすることができる。つまり、圧縮される前の通気部材6の寸法cを、圧縮後の通気部材6の寸法aに対して寸法bの分だけ、つまり寸法aの20%から30%程度厚く形成すれば通気部材6の突出量を適正範囲とすることができる。

なお、この開孔近傍のシートパッド8表面からの通気部材6表面の突出量としては、乗員の快適性を考慮して、0mm以上5mm以下とするのが好適である。これは、上記のように、通気部材6の圧縮率をおよそ20%から30%程度とすることにより実現され、突出量を多くし過ぎてシートの外観を損なうのを避ける一方、着座時に乗員が快適と感じる突出量を確保するためである。

以上説明したように、実施例4の車両用シートの製造方法によれば、通気性およびクッションの耐久性を向上し、着座時の快適性に優れた車両用シートを製造することができる。

なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

1…車両用シート、2…クッションパッド、3…バックパッド、4…ヘッドレスト、5…サイドサポート、6…通気部材、7…被覆部材、8…シートパッド、9…ウレタン発泡樹脂、10…上金型、11…下金型。

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